JP2003508354A - チアミントリホスフェートを用いての真核細胞での燐酸化を行う方法 - Google Patents

チアミントリホスフェートを用いての真核細胞での燐酸化を行う方法

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Abstract

(57)【要約】 チアミントリホスフェートを含有する組成物、およびチアミントリホスフェート(TPP)を原核細胞または真核細胞と接触させ、それにより、TTPからのホスフェート基を細胞のホスフェートアクセプタ基に移動させることを伴う燐酸化欠乏病態ならびに燐酸化方法におけるその適用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 この発明は、燐酸化不足(under-phosphorylated)である真核細胞を処理する
に適する組成物、ならびにチアミントリホスフェート(TTP)を用いての真核
細胞での燐酸化を行う方法に関する。
【0002】 神経筋接合部(NMJ)は、神経シグナルを運動神経から筋細胞または単純化
された筋細胞としてみることができるエレクトロサイトへの伝達に特殊化された
複雑な構造である。43Kラプシン(rapsyn)(1,2参照)は、デンキナマズ(
Torpedo)の電気器官のシナプス後膜の内面(5,6)およびげっ歯動物のNMJ
(7)で、nAChRsと同一に拡がって分布された膜関連周辺蛋白である(3
,4)。それは、機能性運動終板のnAChRのクラスター化と形成に必要であ
る。43Kラプシン遺伝子の欠損した変異マウスは出産後死亡し、nAChRの
欠損を示し、かつ機能不全のシナプス後膜を有する(8)。43Kラプシンをイ
ンビトロで除去するとnAChRsは膜面内でより移動性になり、酵素分解と熱
変性により感受性となり(1,2参照)かつ抗nAChR抗体により接触性にな
る(9)。 燐酸化は細胞シグナル化に重要である(10〜14参照)。43Kラプシンは
いくつか推定上の燐酸化部位を含有し(15)、インビボではセリン残基で部分
的に燐酸化され、インビトロでは内因性蛋白キナーゼA(PKA)で燐酸化され
る(16)。しかし、この燐酸化は43Kラプシンに特異的でなく、シナプス後
膜の他の蛋白でも起こりうる(16)。細胞シグナル化での燐酸化(10〜14
参照)およびシナプス後部の分化での43Kラプシン(1、2、17参照)の本
質的な役割からみて、このシナプス蛋白の特異的燐酸化を行う手段が望まれるで
あろう。
【0003】 チアミンは細胞生命に必須であり、中枢神経系とシナプス伝達での役割を奏す
ることができる(18〜20)。チアミン経路には、チアミンとそのモノホスフ
ェート(TMP)、ジホスフェート(TDP)およびトリホスフェート(TTP
)誘導体が含まれる。TTP、チアミンの非補助因子は、恐らく燐酸化を介して
マキシ−クロリドチャンネルの透過性を活性化する(21)。低濃度のTTPは
、神経細胞(23)と興奮細胞(24〜26)を除く殆どの細胞に見出されてい
る(22)。しかし、現在のところ、TTPが43Kラプシンの特異的燐酸化を
行うかどうかは不明である。 従って、〔γ32P〕標識化チアミントリホスフェート(〔γ32P〕−TTP)
が、デンキナマズの電気器官から精製したシナプス後膜が豊富なアセチルコリン
リセプター(nAChR)中に存在する蛋白のホスフェートのドナーとして機能
することが、ここに意外にも発見された。単純化された筋細胞と考えられるエレ
クトロサイトが、神経筋接合部(NMJ)のモデル系として使用された。このよ
うな精製AChRの豊富なシナプス後膜とインキュベートすると、燐ドナーとし
て使用した〔γ−32P〕−ATP(アデノシントリホスフェート)が多くの蛋白
の燐酸化をもたらす。反対に、〔γ−32P〕−TTPは、シナプス後膜に存在し
、AChRのクラスター化と凝集ならびにNMJでの機能性終板の形成に必須な
シナプス細胞骨格蛋白の43Kラプシンの特異的燐酸化をもたらす。かくして、
この発明は、TTPを燐ドナーとして最初に利用し、標的蛋白に対するTTP依
存燐酸化の強い特異性を提供するものである。
【0004】 この燐酸化は、主としてヒスチジン残基で生じ、新しい内因性蛋白キナーゼ(
類)で触媒化される。ヒスチジン残基での燐酸化は、原核細胞と単純な真核細胞
で主として観察されている。これらは、通常、ヒスチジン蛋白キナーゼを介して
細胞機能の制御に関与している。しかし、これらは、より高度な真核細胞でも起
こり、生育と転移制御で主要な役割を果たす酵素ヌクレオシドジホスフェートキ
ナーゼ(NDPK)の存在から、ヒスチジンでの燐酸化の重要性が推定される。
ヒスチジン残基での燐酸化についてのほんの少数の事例が、より高度な真核細胞
で報告されており、これは、おそらく燐ドナーとしてのATPの大量使用と、N
−燐酸化よりO−燐酸化により適する分析法が入手できることによる(ホスホヒ
スチジンはN−燐酸化残基である)結果である。このことは、N−燐酸化アミド
結合により適合した技術を明確にし、かつ多分シナプスおよび/または真核性蛋
白に重要な燐酸化経路を明確にしうる新しい燐酸化反応の研究が必要なことを示
すものである。
【0005】 この発明によれば、燐ドナーとしてのTTPの使用は、TTP依存性燐酸化
の効果を分析するため、明らかに他の細胞系蛋白にも拡張される。特に、TTP
の使用を神経、免疫および内分泌系へ拡張することが明らかに企てられる。ラッ
トまたはマウスの粗脳膜製剤中の蛋白に対しTTPを燐ドナーとして用いて、発
明者は、ある蛋白が製剤中に存在する内因性キナーゼで燐酸化されることを認め
た。脳膜および細胞骨格蛋白についてTTP−依存性燐酸化の分析を研究した。
また、発明者は、鳥および哺乳動物類、特にラット、マウス、サルとヒトからの
筋および脊髄蛋白への分析にこの分析を拡大した。発明者は、免疫および内分泌
系にもこの分析を拡大した。従って、この発明は広い応用性を有している。 TTPの燐ドナーとしての使用は、燐酸化の分野での新しい領域を開き、生理
学的細胞過程でのTTP依存燐酸化の役割をより理解させることになろう。今こ
こで事例にみられるように、これらの燐酸化が細胞機能に重要であるとすると、
その評価は、TTP依存燐酸化に関与する分子の機能障害に由来する疾患をより
理解させ、かつ治療に最も重要である。
【0006】 公知の方法論を用いて蛋白のTTP−依存燐酸化に関与するヒスチジンキナー
ゼを精製、配列決定かつクローニングすることにより、公知の方法論のキナーゼ
ファミリーを用いるかまたは公知のキナーゼファミリーのメンバーとして新しい
蛋白を分類することができるであろう。これにより、細胞過程、特に神経と筋細
胞の制御における新しいキナーゼの役割が洞察されるであろう。 この発明は、TTP依存燐酸化の欠乏または細胞の重要な機能の制御に本質的
な蛋白のTTP依存過剰燐酸化に関連する疾患のさらなる治療上の分析を可能と
する。 加えて、チアミンは神経系の認識機能障害に関与することが知られている(米
国特許第5,885,608号及び同5,843,469号)が、得られた結果はチ
アミントリホスフェートの使用に関連していなかった。 しかし、この発明は、放射性標識したTTPの存在下で、デンキナマズの43
Kラプシンが、nAChRリッチのシナプス後膜製剤中に存在する内因性キナー
ゼ(類)で燐酸化された有力な蛋白であることを例証するものである。
【0007】 燐酸化は、ヒスチジン(類)と多少のセリン(類)で殆ど起こる。43Kラプ
シンのTTPおよびATP依存燐酸化は、いずれもTTPとATPで阻害される
。従ってTTP依存キナーゼ(類)は、幾つかの燐酸化部位をPKAと共有する
であろう。43Kラプシン燐酸化を内因性Zn2+により制御できそうなこと、お
よび43Kラプシン機能の燐酸化を介したモジュレーションを以下に述べる。燐
酸化のげっ歯動物脳膜への拡大は、シナプス蛋白のホスフェートドナーとしての
TTPのより一般的な使用ならびに新しい燐酸化経路を示唆するものである。こ
の発明は、この広いかつ一般的発見に基づいている。 従って、この発明は、一部で、真核細胞の燐酸化レベルを増すのにチアミント
リホスフェートの有効量を含有する、燐酸化不足である真核細胞を処理するのに
適した組成物を提供する。この組成物は、慣習上、細胞処理組成物に添加される
他の成分、例えば緩衝液、電解質、細胞栄養源、抗酸化剤などを含有してもよく
、かつインビボ投与、例えば筋肉内または静脈内投与に適した何れの形態であっ
てもよい。
【0008】 この発明は、また、シナプス後蛋白の燐酸化不足に関連した病状を有するか、
機能性運動終板の形成を欠く患者を処置しうる組成物の製造へのチアミントリホ
スフェートの使用に関する。 好ましい具体例で、チアミントリホスフェートは、チアミントリホスフェート
と医薬的に受容な担体もしくは希釈剤を含有する医薬的に受容な組成物の形態で
投与される。 この発明の他の観点は、燐酸化ヒスチジン残基の欠乏している細胞膜または細
胞の細胞骨格を処置しうる組成物の製造へのチアミントリホスフェートの使用を
含む。 例えば、細胞膜を、細胞の細胞膜または細胞骨格に含まれた蛋白、例えばラプ
シンの燐酸化ヒスチジン残基の量を増加するのに有効な量のチアミントリホスフ
ェートと接触させる。 そのため、チアミントリホスフェートは神経または筋機能の改善のため細胞を
処置するのに有効であろう。
【0009】 この発明は、また、ラプシンを燐酸化するためにラプシンをチアミントリホス
フェートと接触することからなるラプシンのインビトロでの燐酸化方法を含む。 この方法は、チアミントリホスフェートの有効量を被検者、例えば患者に投与
することによりインビボで行うこともできる。被検者は、ヒトまたは動物であっ
てもよい。ヒトの被検者もしくは患者が特に好ましい。事実、この発明の方法の
全てに、被検者または患者はヒトまたは動物であってもよく、ヒトの被検者また
は患者が特に好ましい。 従って、この発明は、ラプシンを燐酸化しうる組成物の製造へのチアミントリ
ホスフェートの使用を含むものである。
【0010】 また、この発明は、 a)放射性標識したチアミントリホスフェート、 b)非放射性標識したチアミントリホスフェート、 c)チアミントリホスフェートの移行用試薬、 d)TTP依存燐酸化性ヒスチジン残基を含有する精製蛋白、 e)非TTP従属燐酸化性ヒスチジン残基を含有する蛋白、および f)任意の抗ホスホアミノ酸抗体 からなる、蛋白中のヒスチジン残基の特異的燐酸化を検出するキットを含む。 キット中、(d)はポジのコントロールとして使用し、(e)はネガのコント
ロールとして使用する。 この発明の他の観点は、 (a)患者から得た真核細胞サンプルから膜を精製し、 (b)その膜をチアミントリホスフェートとインキュベートし、 (c)外因性ホスフェートの導入をコントロールと比較し、かつ (d)サンプル中の蛋白の燐酸化ヒスチジン残基の存在または非存在を測定す
る ことからなる真核細胞膜の燐酸化レベルを定量する方法である。
【0011】 このような方法は、例えば異なる症状の評価に使用できる。 また、この発明には、原核細胞または真核細胞とチアミントリホスフェートを
接触させ、チアミントリホスフェートからのホスフェート基を、前記細胞のホス
フェートアクセプタ基に移行させることが含まれる。 好ましい具体例では、細胞のホスフェートアクセプタ基は、細胞蛋白のヒスチ
ジン残基である。 かくして、チアミントリホスフェートを含有する組成物は、 − ヒトの細胞または細胞膜の燐酸化不足に関連した疾患または症状、 − シナプス後蛋白の燐酸化不足に関連した疾患または症状、 − 機能性運動終板の形成の欠乏に関連した疾患または症状、 − 神経疾患または症状、 − 筋疾患又は症状、 − アレルギー関連の予防疾患または症状 を処置しうる。
【0012】 この発明は、新しいタイプのキナーゼの精製法とTTP依存キナーゼ活性を担
持するその精製蛋白抽出物も含む。 TTP依存キナーゼ活性を担持する蛋白抽出物の精製法は、 a)抽出物を真核生物組織から得、 b)膜からサイトゾルを分別し、かつ c)キナーゼ活性を奏する抽出物の1以上の成分を同定する ことからなる。 より詳しくは、精製法は、次の工程を含む: − プロテアーゼ阻害剤(例えばアンチパイン(登録商標)、アプロチニン(登
録商標)、ロイペプチン(登録商標)、ペプスタチンA(登録商標)、EDTA、E
GTA)のカクテルを含有する緩衝液中の真核生物組織の均質化による抽出、 − 上澄液中の細胞抽出物を集めるための、低速で(Beckman JA 10ロータ;5
Krpm、10分)4℃での遠心分離、 − 膜区分としてペレットを採集するため細胞抽出物の遠心分離(Beckman JA
14ロータ;12.5Krpm、50分、4℃)、 − 膜ペレットは均質化バッファーに再懸濁し、ショ糖を添加して35%ショ
糖(w/w)に調整する、 − 膜懸濁液の不連続ショ糖密度勾配(35%〜43%ショ糖)で高速超遠心
分離(Backman 45 Tiロータ;40Krpm、3時間、4℃)、 − 精製膜を35%/43%ショ糖界面で回収し、40Krpmでの遠心分離
で採取する、 − 任意に、膜区分をさらに連続(35%〜43%)ショ糖密度勾配(で精製
するBackman SW 27ロータ;18Krpm、12時間、4℃)、 − 採取したバンドは新しいTTP依存蛋白キナーゼ活性を含有する。
【0013】 精製蛋白抽出物は、5μmTTPと25μmTTPからなるKDを有する。精
製蛋白抽出物のキナーゼ活性は、pH7.5周辺が好ましい。 この発明は、次の工程: a)アレルギー性分子と、チアミントリホスフェートからなる組成物を、チア
ミントリホスフェートでその分子の燐酸化をさせるのに受容な条件下で接触させ
、 b)任意に、燐酸化されたアレルギー性分子を精製し、かつ c)燐酸化分子のアレルギー性を同じ非燐酸化分子と平行して試験する ことからなる分子のアレルギー性の評価方法をも含むものである。 アレルギー性質は、通常の既知のアレルギー試験でテストされる。 アレルギー分子中、ダクリス・グロメラタ(Dacrylis glomerata)花粉のよう
なアレルギー性植物に存在する蛋白が挙げられる。
【0014】 この発明をより詳細にかつ下記の図を参照して記載する。 図1:nAChRリッチのシナプス後膜に存在する内因性キナーゼ(類)による
ホスフェートドナーとしてTTPを用いる43kDa蛋白の燐酸化。1A:各種
のエフェクター存在下で8μM〔γ32P〕−TTPを用いて燐酸化したエレクト
ロサイトのシナプス後膜のSDS−PAGEオートラジオグラムによれば、〜4
3kDa(矢印)に1つの主要な放射性バンドが示される。燐酸化は、用量−依
存で冷TTP〔24μM(レーン8/コントロールレーン4,9)および240
μM(レーン7/コントロールレーン4、9およびレーン5/コントロールレー
ン3,6)〕で阻害される。分子量マーカー:かなり右。1B:図1Aのシスタ
ーゲルをブロットし、2つの部分に分離した。レーン1〜3は125I−Bgtx
を、レーン4〜9は緩衝液とインキュベートした。両部分を再アラインし、オー
トラジオグラフィーした。レーン2では、燐酸化が防止され、125I−Bgtx
で観察した放射性バンドはα−nAChRである(矢印ヘッド)。レーン4〜9
では、放射性バンドは43kDaの32P標識化蛋白である(矢印)。レーン3で
は、32P−膜をさらに125I−Bgtxとインキュベートし、2つの放射性バン
ドを認めた。これから、TTP依存燐酸化43kDa蛋白はα−nAChRでな
いことが示された。IC:図1Aのオートラジオグラムのクマシーブルー。
【0015】 図2:TTP依存32P−燐酸化43kDa蛋白は、43Kラプシンである。2
A:32P−TTPの存在下で燐酸化したシナプス後膜を可溶化し、3つの特異性
抗43Kラプシン抗ペプチド抗体で免疫沈殿した(レーン1〜3)。プレ免疫血
清で放射性は沈殿しなかった(レーン4)。2B:抗43Kラプシンの用量を増
加させる免疫沈降は、免疫沈殿した放射性は使用した抗体量に比例することを示
している(レーン3〜5)。免疫沈降の特異性は、プレ免疫血清と予吸収した抗
43Kラプシン抗体で例証される(レーン1、2)。2C:免疫沈降の上澄液に
残存する32P放射性は加えた抗体量に比例して減少し、全部ではないが殆どの放
射性ホスフェートが43Kラプシン上であることを示す。
【0016】 図3:43Kラプシンの燐酸化を触媒する内因性TTP依存キナーゼの特性。
3A:TTP、ATPおよびGTPトリホスフェートによる43KラプシンのT
TP依存燐酸化の阻害。3B:TTPキナーゼ活性はわずかなアルカリpHで最
適である。3C:43K-ラプシン燐酸化は用量依存性で飽和できる(KD−5〜
10μMTTP)。3D:43KラプシンのTTP依存燐酸化の動態。 図4:43Kラプシンを特異的に燐酸化するTTP依存キナーゼは、ATP依
存キナーゼと異なる。32P−TTPまたは32P−ATPで燐酸化したシナプス後
膜のオートラジオグラフは、32P−TTPで43Kラプシン(矢印)のみが燐酸
化され(レーン1〜2)、一方32P−ATP(レーン3〜6)では、nAChR
サブユニットと43Kラプシンを含む多くの蛋白が燐酸化されることを示してい
る。これは、燐ドナーの性質により異なるキナーゼが関与することを示唆してい
る。
【0017】 図5:抗ホスホアミノ酸抗体での分析。類似の量のコントロール(Mb)と32 P−TTP依存標識化(32P−Mb)シナプス後膜をエレクトロブロットした。
43Kラプシン(矢印)とα−nAChR(矢印頭部)を同定のためマークした
(ドット)。ブロットを業者提案の希釈で抗体を用いてプローブした:抗ホスホ
チロシン(PY1:2000)、抗ホスホスレオニン(PT1:50)および抗
ホスホセリン(PS1:500)。5A:抗PYは、双方の膜中の43Kラプシ
ンではなく、各種の蛋白を染色した(レーン1、5)。抗PTは、43Kラプシ
ンではなく幾つかの蛋白バンドをかなり染色した(レーン2、6)。抗PSは、
両膜の43Kラプシンを僅かに染色した(レーン3、7)。32P−43Kラプシ
ンのより高いシグナルに注目のこと(レーン7)。これは、43Kラプシンの原
位置燐酸化セリンと32P燐酸化セリンの存在がTTP依存キナーゼ(類)で生じた
ことを示唆している。レーン4、8に正常血清。5B:コントロール(レーン9
)と32P−標識化膜(32P−Mb、レーン10)のポンソーレッド染色が、32
−Mbでごく少ない蛋白を示している。5C:抗PS抗体での32P標識化膜の免
疫染色を繰り返し、抗PS抗体による32P−43Kラプシン染色を確認した(レ
ーン11、22)。レーン13はコントロール。
【0018】 図6:燐酸化43Kラプシンのホスホアミノ酸分析。32P−ATPまたは32
−TTPにより燐酸化した43Kラプシンを、SDS−PAGEで分別し、PV
DFでブロットし、5.7N HCl(1時間105℃)で加水分解し、薄層セ
ルロース上、pH3.5溶剤で1D高電圧電気泳動によりホスホアミノ酸を分析
した。非放射性P−Ser、P−ThrとP−Tyr(レーン2)を基準として
用いた。ATP−依存32P−43Kラプシン加水分解物(レーン1)は、ホスホ
ペプチド領域とP−Serレベルでニンヒドリンで染色された幾つかの重要な放
射性スポットを示す(点線)。これは、(16)で報告されたセリン燐酸化と一
致している。TTP依存32P−43Kラプシン加水分解物は、類似のニンヒドリ
ン染色パターン(レーン3、点線)となるが、ホスホペプチド領域で放射性が殆
どなく、P−Serレベルでかなり放射性が弱く、無機ホスフェート(Pi)領
域での放射性が大部分の、全く異なる放射性パターン(レーン3)となる。これ
らの結果は、ATPとTTPが43Kラプシンで異なった燐酸化を駆動すること
を示している。
【0019】 図7:TTP−32P−43KラプシンのTLC分析。TTP−32P−43Kラ
プシンとATP−32P−NDPKのアルカリ加水分解物(3N KOH、1時間
、105℃)と、TTP−32P−43Kラプシンのトリプシン/プロナーゼ消化
物を溶媒A中でTLCで分離し、ニンヒドリン染色し(点線)、オートラジオグ
ラフィーした。外部基準は、P−Ser(レーン1)とP−His(レーン5)
であった。7A:トリプシン/プロナーゼ消化(レーン2)、TTP−32P−ラ
プシンのアルカリ加水分解物(レーン3)と32P−NDPKのアルカリ加水分解
物(レーン4)の全部が、P−Hisレベルで放射性を示している。7B:TT
P−32P−43Kラプシンのアルカリ加水分解物(レーン2、3)またはNDP
Kのアルカリ加水分解物(レーン4)に添加したP−His(点線の円)は、放
射性スポットで同時移動(comigrate)する。これは43Kラプシン中TTPによ
りなされたヒスチジン燐酸化を強く示唆している。
【0020】 図8:TTPは、脳膜蛋白の燐ドナーである。32P−ATP(図8A)と32
−TTP(図8B)でインキュベートしたげっ歯動物の粗脳膜抽出物をSDS−
PAGEで分析し、オートラジオグラフィーした(分子量マーカー:かなり左)
。デンキナマズのシナプス後膜をコントロールとして用いた。8A:デンキナマ
ズのATP−32P膜(レーン1)。ATPは脳膜抽出物中の多くの蛋白を燐酸化
し(レーン2)、燐酸化は冷ATPで阻止される(レーン3)。8B:32P−T
TPとインキュベートした脳膜は、46kDa付近で2つの重要な32P−バンド
を有するかなり単純な放射性パターンを示す(レーン2)。燐酸化は、冷TTP
で部分的に阻止される(レーン3)。レーン1:コントロールのデンキナマズT
TP−32P膜を、弱い脳膜シグナルに合うように、低濃度の32P−TTPの低濃
度とインキュベートした。
【0021】 図9は、異なる組織からの膜についてのTTP依存燐酸化の後で得たオートラ
ジオグラムを示す。30kDaの領域は検査されていない。分子マーカは、最左
レーンに示した。 ヒト赤血球(HRB)膜由来蛋白(TM)の燐酸化は、主に30〜40kDa
、70kDaおよび200kDa付近のバンドで起こる。HRB溶解物(Ts)
は、1つは66kDa付近、2つの高度に燐酸化したバンドは70と200kD
a領域の少なくとも3つの燐酸化バンドを示す。フラクションPm(寄生虫+赤
血球膜)とTm(ヒト血球膜)との燐酸化の比較は、Pmフラクションのみで検
出される燐酸化蛋白バンド(レーンPm、例えば、50、55〜60、100、
100〜201kDa付近のバンド、図9Aと9B)は、ピー・ファルシパルム
(P.falciparum)寄生体から由来していることを示す。溶解物PsとTsの燐酸化
パターンは、明白なアンサーをさす2つの弱いものである(図9Bで、PmとT
mの蛋白量は、図9Aの同じフラクションに比較して倍にしている)。
【0022】 成体のマウス脳膜(A)は、主として46〜50と100kDa領域に燐酸化
蛋白を示す。燐酸化は、15日胚体マウス脳膜でも観察できる(E15、図9A
と9B)。AdとE15の2つの燐酸化パターンは同じではなく、脳フラクショ
ンの加令差によるとみられる。 マウス幹細胞神経球(SaとSf)は、50〜60kDaの領域に燐酸化を示
した(図9A)。 マウスの上頸神経筋膜(C SCG)は40〜60kDaの領域間に燐酸化を
示し、上澄液(S SCG)もTTPで燐酸化された(30〜97kDaの燐酸
化バンド)。 図9Bでは、ナツメヤシ(Dactyle)花粉膜蛋白は、主に30と55〜60k
Da領域で燐酸化される(花粉)。花粉溶解液フラクシン(S花粉)での主な燐
酸化バンドは、55〜60kDaに観察された(Fig10参照) コントロールの燐酸化は、エレクトロサイト膜(co mb)で行った。
【0023】 図10は、ナツメヤシ花粉蛋白の32P−TTPでの燐酸化後に得たオートラジ
オグラムを示す。30〜66kDa領域(*)の蛋白は、15℃と30℃で、水抽
出物(レーン2〜4;9〜10)とペレットフラクション(レーン5〜7;12
〜14)中の内因性キナーゼにより32P−TTPで燐酸化される。水抽出物(レ
ーンE1)とペレットフラクション(レーンP1)についてのTTP依存燐酸化
の特異性は、冷TTPでのプレインキュベーションによる燐酸化の減少で示され
る。
【0024】 図11は、マウス骨髄顆粒球のTTP依存燐酸化を示す。Fig11aで、右
レーン(SDS−PAGE10%アクリルアミド)、ペレットフラクションの燐
酸化の殆ど(C2K、顆粒球サイトプラストの均質物を200xgでの遠心分離
で得る)は、非常に高分子量でバンド(*)を示した。燐酸化バンドは、66と9
7kDaの領域付近にも検出された(*)。このバンドを抽出し、12%アクリル
アミド(図11bと11c)および20%アクリルアミド(図11d)SDS−
PAGEゲルでのオートラジオグラフィーによりさらに特徴付けた。図11bと
11cは、25kDa付近に主要な燐酸化バンドを示した(*)。図11dは、2
5kDa領域で(*)、また30〜46kDa領域(*)で燐酸化を示した。
【0025】実施例1 :43Kラプシンおよびデンキナマズ(Torpedo marmorata)のシナプ
ス後膜でのその燐酸化:TTPの役割材料と方法 シナプス後膜 nAChRリッチのシナプス後膜(nAChR膜)を、新たに殺したデンキナ
マズ(Tm)から切除した電気器官から調製した(Biologie Marine,Arcachon)
(3,16)。
【0026】ホスフェートドナー、燐酸化と定量 〔γ−32P〕−ATP(32P−ATP)は、ICNからのものであった。〔γ
32P〕−TTP(32P−TTP)は合成した(27)。nAChR膜は、50
mM Tris-HCl pH7.5、5〜15mM MgCl2、0.08% C
HAPS、プロテアーゼ阻害剤中の(7−8000Ci/mol)32P−TTP
または32P−ATPを用いて4〜20℃で60〜90分燐酸化した。燐酸化は、
SDSサンプル緩衝液で中止した。32P燐酸化膜は、アクチン、43Kラプシン
とα−nAChRを分離することを意図したSDS−PAGEに付し、オートラ
ジオグラフィー(Kodak Biomax)及び/又は32P−定量(Molecular Dynamics Ph
osphorimager)をした。クマシーブルー染色を必要なとき行った。特異化の際、
nAChR膜を、32P−TTPでのインキュベーション前に、50mM Naホ
スフェート緩衝液pH6.0と7.4中5〜20mMのジエチルピロカーボネー
ト(DEPC)(28)で処理した(20分、16℃)。43KラプシンのTTP
依存燐酸化に対する作用について、普通のキナーゼエフェクター〔cAMP:ア
デノシン3'−5'−サイクリックモノホスフェート、8−(4−クロロフェニル
チオ)ナトリウム塩(8−CPT−cAMP);アニソマイシン;cGMP;カ
ルミダゾリウム;カルホスチン:cdc2ペプチド;ゲニステイン;ビスインド
リルマレイミドI(GFX);H7;H89;KN62;KT5720、ML7
;蛋白キナーゼA阻害剤(PKI);スタウロスポリン;腫瘍壊死因子−α(T
NF−α);ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(TPA)〕
をテストした。
【0027】ホスフェート結合の化学安定性と性質 酸処理用に、32P−ATPまたは32P−TTP処理膜を含むSDS−PAGE
ゲルを切り、Tris緩衝液または16%TCAで90℃でインキュベートし(
29、30)、洗浄して分析した。43Kラプシンの当量は、クーマシーブルー
染色で確認した。ベース処理として、32P−標識化膜をSDS−PAGEで分析
し、ポリビニリデンジフルオライド膜(PVDF)上で電気ブロットした。ブロ
ットを55℃で乾燥し、蛋白ロスを最小にし、メタノールで湿潤し、H2Oで洗
い、切り、46℃で水または1N KOH中でインキュベートし、分析した。
【0028】PVDF−エレクトロトランスファーした(31) 32P−43Kラプシン上での
ホスホアミノ酸分析 酸安定性ホスホアミノ酸の測定のため、43Kラプシンを40μl 5.7N HClで加水分解した(1時間、105℃)。上澄液を蒸発させ、10μl
2Oを添加した。加水分解物を、1D−(pH3.5)または2D高圧電気泳動
の何れかで、薄層セルロースプレート上で分析した(第1電気泳動、pH1.9
;第2電気泳動、pH 3.5)(32)。塩基安定性分析のため、43Kラプシ
ンを3N KOH中で加水分解し(3時間、105℃)、10%HClO4でp
H7.5に中和した(33)。上澄液を、溶媒A(t−ブタノール:メチルエチル
ケトン:アセトン:メタノール:水:濃NH4OH=10:20:20:5:4
0:5、v/v)中のシリカゲル60Åプレート(ICN)上で薄層クロマトグ
ラフィー(TLC)により分析し、ホスホセリン(P−Ser)とホスホリジン
(P−Lys)とからホスホヒスチジン(P−His)を分離する(33)。ホス
ホヒスチジンとホスホリジンは、ポリヒスチジンとポリリジンからそれぞれ合成
した(34)。40μlのトリプシン緩衝液(10mM NaHCO3、135m
M NaCl、0.1%SDS、1mM Cacl2、pH8.5)中2μgのT
PCKトリプシン(Promega)を用い、酵素加水分解を行った(37℃、90分)
。2μgTPCK−トリプシンを加え(37℃、2時間)、次いで400μgプ
ロナーゼ(Boehringer-Mannheim)(37℃、18時間)を添加した。上澄液を、
溶媒A中TLCで分析した。ホスホアミノ酸とホスホペプチドは、ニンヒドリン
で目視した。
【0029】ホスホペプチド PVDFトランスファーした32P−43KラプシンをTPCK−トリプシンで
トリプシン消化し、ホスホペプチドを生じた(o.n.;トリプシン緩衝液中3
7℃)。加水分解物を15%SDS−PAGEで解析し、32P−ペプチドの同定
用にオートラジオグラフィーした。抗体またはα−ブンガロトキシン(Bgtx)での標識化 32P−膜をSDS−PAGEで分離し、電気ブロットし(35)、(36)に従っ
て処理し、特異的な抗34Kラプシン(37)、特異的な抗ホスホアミノ酸抗体(
Sigma)または125I−Bgtx(Amersham)でプローブし、分析した。免疫沈降 32P膜を、1mlの50mM Tris−HCl pH8.8/0.1% SD
S/1% NP40/0.5%デオキシコレート/プロテアーゼ阻害剤/0.1
5M NaClに希釈し、50μl蛋白A−アガロースビーズ(Santa Cruz)で
安全性を保証し、43Kラプシンを特異的に認識する抗43Kラプシン抗ペプチ
ド抗体で免疫沈降させた(37)。30μlの蛋白Aビーズを添加した(o.n.、
4℃)。ビーズを遠心分離、洗浄し分析した。
【0030】結 果 TTP依存燐酸化蛋白は43Kラプシンである。 nAChR膜を〔γ−32P〕TTPとインキュベートして燐酸化した蛋白は、
〜43kDaに移行した(図1、矢印)。燐酸化は、キナーゼを外部的に添加せ
ずに生じ、Mg2+(5mM、図1A、レーン3、6)で増強され、DTT(図1
A、レーン1)で部分的に阻害され、Zn2+(図1A、レーン2)で阻害され、
TTPは用量依存性〔図1A:24μM(レーン8対レーン4、9)〕;240
μM(レーン5対3、6;レーン対4,9)。 ブロットした32P−標識膜を125I−Bgtx、α-nAChRに特異的な毒素
とさらにインキュベーションすると、2つの放射性バンドが観察された(図1B
、レーン1、3)。レーン2では燐酸化が防止され、125I−Bgtx標識化バ
ンド(矢の頭)に対応し、32P標識化43kDaバンド(矢印)とは区別される
ただ1つの放射性バンドが観察された。これはα−nAChRが32P−TTPで
燐酸化されないことを示すものである。
【0031】 32P標識化バンドは、抗43Kラプシン抗体で認識された(免疫ブロット)。 32 P−燐酸化蛋白が43Kラプシンであることを確かめるため、32P標識化膜の
免疫沈降を3つの特異性抗43Kラプシン抗ペプチド抗体で行った(37)。図2
Aは、32Pラベル化蛋白が、抗43Kラプシン抗体で特異的に免疫沈降されたこ
とを示す。半定量分析(図2B)で用いた1つの抗43Kラプシン抗体(図2A
、レーン1)は、免疫沈降した放射性が使用した抗43Kラプシンの量に直接的
に相関していることを示した(図2B、レーン3〜5)。免疫沈降の上澄液は、
反対の状況を示した(図2C)。免疫沈降の特異性を、プレ免疫血清と予吸収抗
体で証明した(図2B、レーン1、2)。これは、43KにラプシンがTTP依
存燐酸化蛋白であることを示すものである。
【0032】TTP依存燐酸化は、nAChRリッチの膜の存在下、内因性キナーゼ(類)で駆 動される。 キナーゼを外から添加せず4〜22℃で生ずる43Kラプシンの燐酸化は、M
2+(5mM、図1A、レーン3、6)、pHおよび時間に依存性である(図3
)。それにはTTPを必要とし、用量依存で飽和でき(KD〜5〜10μMTT
P、図3C、しかし1つの膜製品KD〜25μM TTP)、酵素反応の特徴を
示す。従って、43KラプシンのTTP依存燐酸化を、シナプス後膜で共に精製
した内因性キナーゼ(類)で行った。TTP、ATP、GTPのIC50は、それ
ぞれ40μM、500μMと1000μM付近である(図3A)。CTPは阻害
が弱い。TTP依存キナーゼまたはキナーゼ類(TTPキナーゼ、TTP−43
Kキナーゼ)活性は弱アルカリpHで好ましく(図3B)、DTTで部分的に阻
害される(30〜40%阻害/10mM;図1A、レーン1)。
【0033】TTP−43キナーゼはPKAではない 43Kラプシンは、検出感度内で32P−TTPの存在下で燐酸化される唯一の
蛋白(図1と4、レーン1,2)である一方、nAChRサブユニットを含む付
加的な蛋白が、前の結果と一致して32P−ATPで(図4、レーン3〜6)燐酸
化される(16)。43Kラプシンの燐酸化は25〜50μM 32P−TTPで飽
和されるが(図3C)、200μM32P−ATPでは飽和されない。32P−AT
Pと32P−TTP依存43Kラプシンの燐酸化は特異的にTTPとATPの両方
で阻害され、PKAとTTPキナーゼに共通の燐酸化部位が存在することを示唆
している。しかし、PKAエフェクターで行った分析では、それらが異なること
が示された。PKIはPKAを阻害したが(60±13%阻害)、TTPキナー
ゼはしない(6±1%阻害)。外因性PKA触媒サブユニットは、ATP依存燐
酸化(603±14% 32P対100±23%コントロール)(16、この研究
)を増したが、TTPで行ったとき阻害する(41±6%対100±2%コント
ロール)。
【0034】TTP−43Kキナーゼ、新規なキナーゼ PKA〔Ser−406(38)〕とチロシンキノーゼ〔Tyr−98、Tyr
−189、Tyr−325(39)〕の推定上の燐酸化部位は、デンキナマズの4
3Kラプシンに存在する。プロサイト(Prosite)(40)とホスホベース(Phospho
Base)(41)の研究で、CaMII、CKI、CKII、PKA、PKC及びPK
G蛋白キナーゼに対する推定上の部位が示された。18の普通のキナーゼエフェ
クター中、スタウロスポリンのみが、僅かに阻害を引起こした(33±3%阻害
/200nM)。PKA、PKC(TPA、カルホスチン、GFX)、MAPキ
ナーゼ蛋白キナーゼG、CaMキナーゼII、JNK2キナーゼ、cdc2キナー
ゼ、MLCK、SAPキナーゼ、TyrPKの多くの活性化因子又は阻害剤は、
新しいタイプとみられるTTPキナーゼの活性を変更しなかった。
【0035】 このTTP依存燐酸化は、少なくとも新しい内因性キナーゼで触媒される。こ
のキナーゼは、上で述べたように共精製され(copurified)、KD(図3Cに示
した見掛解離定数)とIC50 (図3Aに示すようなTTPまたはATPまたは
GTPの存在下、サイオールキナーゼの酵素活性の50%を阻害する製品濃度)
の測定で特徴付けられる。このキナーゼは、pH依存性でもある。最適pHは7
.5付近である。ラプシンのヒスチジン残基のTTP依存燐酸化の原因とするキ
ナーゼ含有精製抽出物を、そのキナーゼの酵素活性を阻害する生成物の濃度を増
加させプレインキュベートする(図3A)。プレインキュベーション後に、キナ
ーゼは、その燐酸化性質の一部を90%まで損なう。43ラプシンのTTP依存
燐酸化に対する作用について、化学的キナーゼエフェクター、例えば〔cAMP
;アデノシン3'−5'−サイクリックモノホスフェート、8−(4−クロロフェ
ニルチオ)ナトリウム塩(8−CPT−cAMP);アニソマイシン;cGMP
;カルミダゾリウム;カルホスチン;cdc2ペプチド、ゲニステリン;ビスイ
ンドリルマレイミドI(GFX);H7H89;KN62;KT5720、ML
7;蛋白キナーゼA阻害剤(PKI);スタウロスポリン;腫瘍壊死因子−α(
TNF−α);ホスボール−12−ミリステート−13−アセテート(TPA)
〕を試験した。これらの分子は、TTP依存キナーゼの活性を劇的に変更せず、
結果として新しいタイプであった。
【0036】Znの効果 43Kラプシンは2つの隣近した亜鉛フィンガーモチーフを含有し(42)、Z
2+はTTP依存燐酸化をMg2+非依存で阻止する〔〜70%阻害/0.5〜3
mM Zn2+/8μM 32P−TTP(図1、レーン2)〕。
【0037】TTPで燐酸化したアミノ酸の性質 32P−ATP依存燐酸化43Kラプシン(ATP−32P−43Kラプシン)の
酸加水分解物の2D高電圧電気泳動で、PKAによる燐酸化が主にセリンで起こ
ることが分かっている(16)。TTP依存32P燐酸化43ラプシン(TTP−32 P43Kラプシン)での同様の分析では、セリンでわずかな放射性シグナルを、
無機ホスフェート(Pi)で強いシグナルを有する、異なる結果が示された。ホ
スホセリンの存在は、ホスホセリン(PSer)、ホスホスレオニン(PThr
)とホスホチロシン(PTyr)に特異な抗ホスホアミノ酸抗体で確認した(図
5)。SDS−PAGEで分離したコントロールとTTP32P燐酸化膜の等量を
エレクトロブロットし、ポンソーレッドで染色(図5B、レーン9、10)し、
特異性抗ホスホアミノ酸抗体でプローブした。抗PTyr(図5A、レーン1、
5)は、43Kラプシンではない、幾つかの非放射性バンドを強く染色した。こ
れは、原位置Tyr燐酸化蛋白とnAChR関連蛋白チロシンキナーゼの存在(
43)を示し、Tyrは43Kラプシンで燐酸化されないことを示唆している(
しかし44を参照)。32P−43Kラプシンは、抗PThrで染色されなかった
(図5A、レーン2、6)。抗PSerは、コントロール(図5A、レーン3)
〔これは43Kラプシン中の原位置PSerの存在と一致(16)〕とTTP32
膜(図5A、レーン7;図5C、レーン11、12)との両方で43Kラプシン
をわずかに染色した。32P−43Kラプシンのより強い染色(レーン7対3)は
TTPに駆動されたセリンでのいくらかの燐酸化を示唆しており、TTPとAT
Pによる43KラプシンのATPとTIP依存燐酸化の相互阻害にそれぞれ一致
している。
【0038】 TTP−32P−43Kラプシン加水分解物中の予期に反した高い32Pi含量を
洞察するため、ATP−とTTP−32P−43Kラプシンを同時にHClで加水
分解し、ID−電気泳動で分析した。類似のニンヒドリン染色ホスホペプチドパ
ターンとしかし異なるオートラジオグラムが得られた(図6)。ATP−32P−
43Kラプシン加水分解物(レーン1)はP−Serに高い放射活性(矢の頭)
を、Piに低い放射活性を示した。TTP−32P−43Kラプシン加水分解物(
レーン3)は、P−Serにごくわずかな放射活性(矢の頭)とPiに高い放射
活性を示した。これは、ATPでのセリン燐酸化を確認し、TTPでの燐酸化が
セリン以外の残基で優先的に起こり、かつTTP駆動のリン結合が主に酸不安定
であることを示唆している。
【0039】 さらに、pH安定性分析をATP−とTTP−32P−43Kラプシンで行った
。両方の燐蛋白を含有するSDS−PAGEゲルを90℃でTCAと処理し、32 P定量した(表1)。TTP−依存燐酸化43Kラプシンは酸に感受性で、32
ホスファート損失は、TCAでの時間の関数である(5および10分後の50±
4と16±1% 32P 対コントロールの100±13%)。反対に、ATP− 32 P−43Kラプシンは感受性が少ない(5および10分後の79±5と49±
9% 32P 対コントロールの100±8%)。アルカリpHで行った同様のテ
スト(表I)では、ATP駆動リン結合(18±2対コントロール100±6% 32 P)に対比し、TTP依存リン結合の顕しい安定性が示された(1N KOH
中2時間後の72±4% 32P 対コントロールの100±5%)。かくして、
ATPで励起されたホスフェート結合は酸安定でアルカリ不安定で、O−結合の
ホスホアミノ酸、ホスホセリンとホスホスレオニンのサインである(45)。セリ
ンは、実際にATPで燐酸化される(14および図6)。逆に、TTPで導入さ
れたホスホリル結合は酸不安定でアルカリ安定で、ホスホヒスチジンまたはホス
ホリジンでのN−ホスフェート結合の特性である(45)。
【0040】TTPはヒスチジン残基で燐酸化を優先的に起こす TTP燐酸化43KラプシンのN−ホスホアミノ酸を同定するため、43Kラ
プシン加水分解物のTLCを溶媒A中で行った。ヒスチジンを自己燐酸化する(
47)ヌクレオシドジホスフェートキナーゼ(NDPK)(46)をコントロール
として用いた(図7A、B、レーン4)。全ての加水分解物(図7A、B、レー
ン2〜4)がホスホヒスチジンに類似して移行する放射性物を示し、最も高い強
度がTTP−32P−43Kラプシンの酵素加水分解物に観察された(図7A、レ
ーン2)。43Kラプシン(図7A、レーン3;図7B、レーン2、3)とND
PKアルカリ加水分解物(図A、B、レーン4)の双方におけるP−Hisでの
低い放射性は、恐らく加水分解中のP−His部分分解に由来する。添加したホ
スホヒスチジン(内部基準)は、放射性スポットとともに移動した(図7B、レ
ーン2〜4)。この結果は、TTPでのヒスチジンの燐酸化に好ましい。
【0041】 ヒスチジンの重要性を評価するため、nAChR膜をDEPCと前処理し、32 P−TTPとインキュベートした〔DEPCはヒスチジン修飾し、続く燐酸化を
防止する(28)〕。43Kラプシン燐酸化は、DEPC膜で効果的に低下した(
偽膜中20±2%対100±19%32P)。 ATP−とTTP−32P−43Kラプシンで行った部分トリプシン消化と15
%アクリルアミドSDS−PAGEで、ATP−燐酸化43Kラプシンの〜6.
5〜15kDaでの1つの主要な放射性バンドおよびTTP燐酸化43Kラプシ
ンの〜6.5〜35kDaの幾つかの放射性バンドが示された。これは、燐ドナ
ーの性質によって燐酸化部位が異なることを示す。ATPは多分1つのセリン残
基を主に燐酸化し、一方TTPでは、1つまたはいくつかのヒスチジン残基が主
に燐酸化される。
【0042】TTPはNDPKの燐ドナーではない NDPKは、生育と転移制御で主要な役割を果たす高度に保存された酵素であ
る(47)。その酵素は、ヒスチジンを自己燐酸化し、幅広い特異性を示すので
、燐酸化をTTPでアッセイした。NDPKは、32P−TTPではなく、32P−
ATPで強く燐酸化された。TTP、中枢神経系(CNS)でのホスフェートドナー 32P−TTPまたは32P−ATPとインキュベートしたマウスとラットの脳膜
を燐酸化した。しかし、デンキナマズのシナプス後膜でのごとく(図8A、B、
レーン1)、ATPはマウス脳膜で多くの蛋白を燐酸化し(図8A、レーン2)
、一方TTPはほとんど燐酸化しなかった。2つの主要な32P標識化バンドは、
〜43〜46kDaで観察された(図8B、レーン2)。燐酸化はATP(図8
B、レーン3)またはTTP(図8B、レーン3)で部分的に阻害された。従っ
て、インビトロで、TTPはCSN中の蛋白の燐ドナーである。
【0043】論 考 nAChRリッチの膜製剤に関連した内因性PKAは、43Kラプシンと他の
蛋白を燐酸化する(16)。nAChRクラスター化とシナプス後構造形成での4
3Kラプシンの本質的な役割が、43Kラプシンの特異的燐酸化研究を促進させ
た。免疫沈降とウエスタンブロット分析で、TTPを燐ドナーとして用いるよう
な燐酸化を同定した。TTP依存キナーゼ(類)、(a)新規キナーゼ(類) 燐ドナーとしてTTPを用いる43Kラプシンの特異的燐酸化は、4〜30℃
のデンキナマズの周囲の海水温度に合う温度で起こる。43Kラプシンはシナプ
ス後膜内面に局在し(5、6)、このことから、局所解剖学的に、高いサイトゾ
ルTTP含量になり易い(〜4〜30nmol/g湿組織:24、26)。従っ
て、43Kラプシンの有効な内因性燐酸化に必要な条件は、燐ドナーとしてのT
TPでの43Kラプシンの燐酸化はインビボでデンキナマズのエレクトロサイト
で起こるという概念を支持するものに合致する。
【0044】 燐酸化は、nAChRリッチのシナプス後膜中に存在し、TTPに特異的、但
しATPにいくらか親和性の内因性キナーゼ(類)で駆動される酵素反応の特徴
を有するMg2+とTTP−依存性である。これらは、TTP依存−43Kラプシ
ンキナーゼ(類)またはTTP−キナーゼ(類)と命名された。 これらTTP−キナーゼ(類)は、新しいタイプとみられ、PKA、PKCま
たは通常のキナーゼと異なる。その親和性は、PKAの阻害剤、PKCの活性化
因子(TPA)あるいは阻害剤(カルホスチン、GFX)または他の通常のキナ
ーゼのエフェクターによっては劇的に影響されない。新しい真核性蛋白キナーゼ
群または公知のキナーゼ群のメンバーとしての分類の問題は、それらの同定、精
製、特徴付けおよびシーケンシングで解決されるであろう。
【0045】43Kラプシンのヒスチジン燐酸化 ホスホアミノ酸と抗体分析は、セリン残基でのいくらかの少ない燐酸化の他に
、ヒスチジンが優勢に燐酸化されることを示唆している。TTP依存43K燐酸
化のATPとTTPの両方による阻害は、TTPキナーゼがPKAとのいくつか
の共通の燐酸化部位を共有し得ることを示唆している。しかし、TTPで導入さ
れた検出しうるホスホリル基の殆どはヒスチジンであり、ATPによるものはセ
リンであること(16)から、共有されたセリン部位を介する阻害は、部分的に考
えるべきである。高濃度の異型トリホスフェートATPによる燐酸化の強い阻害
は、恐らく、異なった親和性ではあるが、ATPまたはTTPの何れかを認識し
結合するTTPキナーゼの能力にあるであろう。加えて、セリンの燐酸化でもた
らされたヒスチジンのミクロ環境の修飾が起こり、TTPキナーゼ(類)によるヒ
スチジン燐酸化が低下する(Ser−406、強いPKAコンセンサス部位は、
His−384とH−387に密接である)。
【0046】 Zn2+は多くの蛋白の活性を修飾し、シナプス伝達での役割を果たし得る(4
8)。我々は、TTPキナーゼ活性が500μM Zn2+で防止されることを示
した。Ser−406の前のC−終末として、43Kラプシンは2つの亜鉛フィ
ンガーモチーフを示し、これは多分nAChRクラスター化に重要である可能性
がある(42、49、50)。加えて2つの保存ヒスチジン、His−384と
His−387が亜鉛フィンガーモチーフに存在する。インビボで、43Kラプ
シンがZn2+を恐らく2つのヒスチジンを介して結合し(42)、結果として、事
後に燐酸化しにくくするであろう。Zn2+の結合は、配置の変化を誘発し、TT
Pキナーゼによるヒスチジン燐酸化に対する43Kラプシンの接触性の減少を誘
因する。Zn2+がインビボで43Kラプシンに結合すると、亜鉛フィンガー領域
は蛋白燐酸化状態の調節に役割を果たすのである。TTPキナーゼのZn2+に対
する固有の感受性は、Zn2+濃度で部分的にのみ考えるべきである。
【0047】 トリプシン消化は、ATPが多分1つの主たるセリンの燐酸化をもたらす(多
分Ser406、強く保有されたPKAコンセンサス部位)が、一方TTPは1
または数種のヒスチジンの燐酸化を行い得ることを示唆している。43Kラプシ
ンは潜在候補である13のヒスチジンを有する。これら残基中の10個が、ひよ
こ(51)、ヒト(52)、マウス(53)、デンキナマズ(54)とツノガエル(Xenop
us)(55)で保存されている。保存ヒスチジンのあるものは、タンデム亜鉛フィ
ンガーの保存された隣接シーケンス、例えばHis−154;His−239;
His−256;His−384とHis−387を有する。His−53;H
is−329;His−348とHis−353について全体的に保存された隣
接シーケンスではないが、高度な相同性が、43Kラプシン機能に重要とみられ
る領域に局在する。His−53は、43Kラプシン自己−会合に関与するドメ
インに存在する(56)。His−384とHis−387の変異は、43Kラプ
シンのクラスター形成能を低下する(42)。His−348とHis−353は
、43Kラプシンの2つの重要な部位に局在する。His−154の隣接シーケ
ンスRYAHはケイ.アエロゲネス(K.aerogenes)(57)、エヌ.メニンギティデ
ス(N.meningitides)(58)と大腸菌(59)に保存され、原核生物のポリホスフェ
ートキナーゼ活性に必須の燐酸化部位として同定されている(59)。ホスホヒス
チジンのホスフェートは、高エネルギー状態で、しばしばアクセプター残基(同
一又は他の分子上)に移送され、細胞調節の2成分シグナル化機構で重要な工程
である(60、61)。TTPで燐酸化されたヒスチジンを同定し、ヒスチジン
燐酸化の類似の役割がシナプス後ドメインでの43Kラプシン燐酸化とクラスタ
ー化機能に関連しているかどうかを変異分析で測定することが興味あるであろう
【0048】43KラプシンのTTP依存燐酸化、TTPキナーゼ(類)とnAChRクラスタ ー化 43Kラプシンは、組織成熟に応じた比率で、サイトゾルおよび膜付着プール
として存在する(37)。43Kラプシン燐酸化とその細胞区画化の関係の問題が
、提起されている。 nAChR燐酸化は、多くの事例で報告されている(62〜65)。43Kラ
プシンは、nAChRβ−サブユニットを含む幾つかのシナプス後膜蛋白のチロ
シン燐酸化を制御する(44)。nAChRチロシン燐酸化は速い速度のレセプタ
ー非感受化を制御し、神経誘因nAChRクラスター化で役割を果たし得る(6
5〜67)。nAChRと関連した2つの蛋白チロシンキナーゼは、デンキナマ
ズのエレクトロサイトでクローンされた(43)。主にヒスチジン(類)での43K
ラプシンの特異的燐酸化を駆動するTTP−キナーゼ(類)は、nAChRリッチ
のシナプス後膜にも存在する。その精製(上記参照)により、nAChR燐酸化
とクラスター化を原因とするカスケードにそれらが関与している可能性がさらに
分析できるであろう。
【0049】 18の普通の蛋白キナーゼエフェクター中、有力であるが非特異的な蛋白キナ
ーゼ阻害剤(68)であるスタウロスポリンのみが、いくらかの阻害を引起こす。
スタウロスポリンは、アグリン誘因nAChR燐酸化と凝集をも阻止する(69)
。このことから、これらの事象とTTPを介した43Kラプシン燐酸化の起こり
うる関連性についての疑問が呈せられる。アグリンはNMJ分化で重要な役割を
果たす(70〜72)。同時にトランスフェクトした43Kラプシンは、ダイス
トロフィン糖蛋白複合体のアグリン結合成分のダイストログリカンをクラスター
化させる(73)。これは、シナプス関連筋特異キナーゼ(74〜75)のMuS
Kと、nAChRクラスター化とシナプス後分化を原因とするアグリン−MuS
K−MASCシグナル化複合体の成分のクラスター化と活性化も誘発する。アグ
リン−ダイストログリカン−MuSK−MASCカスケードにおける43Kラプ
シンの関与に対するTTP−依存燐酸化の影響を研究するのは興味があることで
あろう。
【0050】 TTPを介した43Kラプシンの燐酸化は、興奮性細胞での43Kラプシンと
チアミン経路の相互作用の可能性をも示唆している。神経活性の増加は、TTP
とTDPからTMPとチアミンへの脱燐酸化をもたらし(18、76)、小脳の
求心路遮断はチアミンホスフェート誘導体の代謝回転を減少する(77)。
【0051】実施例2 :TTP依存燐酸化の他の真核細胞系への拡張。TTP、哺乳動物シナ
プス蛋白の燐ドナー 脊椎動物のNMJでの43KラプシンのTTP依存性燐酸化の発生、ならびに
蛋白質-蛋白質相互作用でのその潜在的な役割、nAChR凝集およびNMJで
の安定化は、依然として明らかにされるべきである。 TTPはNDPKヒスチジンの燐ドナー〔NDPKの広範な特異性にかかわら
ず(47)〕ではないが、TTPは、げっ歯動物の中枢神経膜に存在する蛋白の燐
酸化を引起こすことができる。かくして、TTPは、シナプス蛋白に特異な、可
能性のある新しい燐酸化経路を明確にする価値ある手段である。
【0052】 43Kラプシンは、同時にトランスフェクトしたGABAAレセプターをクラ
スター化させ(78)、ひなの毛様神経節神経に存在している(51)。脳レセプタ
ー、ひなの毛様神経節43Kラプシンおよび推定されている脳43Kラプシン同
族体の燐酸化での燐ドナーとしてのTTPの関与の解析により、シナプス機能の
基底にある分子過程がより理解できるはずである。 43Kラプシンの新しくかつ特異なTTP依存燐酸化は、シナプス組成化のモ
ジュレーションでTTP依存燐酸化が重要である可能性のあることを強調してい
る。それはまた、より古典的なプリン三燐酸経路と異なるシナプス蛋白の新しい
燐酸化経路をも開くものである。
【0053】使用された材料と方法 プロテアーゼ阻害剤 :アプロチミン、ピファブロック、ロイペプチン、アンチパ
イン、ペプスタチンAシナプス後膜 :nAChRリッチなシナプス後膜(nAChR膜)を、新しく殺
したデンキナマズ〔Torpedo marmorata(T.m.) から切除した電気器官から調製し
た (Biologie Marine, Arcachon) (Sobelら、1977, Hillら1991)。げっ歯動物の脳、SCGと神経球膜製剤 脳膜を4℃で調製した。マウスとラットを麻酔し、次に断頭して殺した。脳を
切開し、10%ショ糖(w/w)、1mM EDTA、1mM DTTとプロテ
アーゼ阻害剤(アプロチニン、ピファブロック、ロイペプチン、アンチパイン、
ペプスタチンA、PMSF)を含有する5容量の氷冷Tris緩衝液pH7.5
中でテフロン(登録商標)ガラスホモゲナイザーで均質化した。ホモジネートを 、1,000g、4℃で5分間遠心分離した。さらに、上澄液を30,000gで 4℃で1時間遠心分離した。粗脳膜に相当する得られるペレットを、DTTを欠 く氷冷均質化緩衝液中で均質化し、−80℃で貯蔵した。
【0054】マウスの骨髄顆粒細胞膜製剤(4℃) 骨髄顆粒細胞をマウスから単離し、核のないサイトプラストをWigler及び Wei
nstein 1975に従って調製し、顆粒のマーカーであるLy−6Gの存在およびリ
ンパ球様細胞用マーカーB220の不在をテストした。サイトプラスト膜を、1
0mM EGTAとプロテアーゼ阻害剤の存在下、10mM Hepes p
H7.5緩衝液でのガラスポッター中での均質化および2000×5分での遠心
分離によりWright ら、1977に従い調製してペレットC2Kを得、その上澄液を
さらに57000×1時間遠心分離し、ペレットC57Kを得た。ペレットは−
80℃で貯蔵した。ナツメヤシ花粉フラクション ナツメヤシ花粉50mgをプロテアーゼ阻害剤(アプロチニン、ピファブロッ
ク、ロイペプチン、アンチパイン、ペプスタチンA)の存在下300μl冷水中
で1時間循環させ、14Kで4℃、15分間遠心分離し、上澄液(抽出物)とペ
レットのフラクションを得る。ペレットのフラクションをプロテアーゼ阻害剤(
アプロチニン、ピファブロック、ロイペプチン、アンチパイン、ペプスタチンA
)の存在下で水に再懸濁する。両フラクションを−80℃で貯蔵する。
【0055】ヒト赤血球(HRB) 赤血球は、凝固防止のクエン酸塩上に採取したヒト血液(A+)からのもので
ある。血液を4℃で2〜4週間、50ml管中に保存し、RPMI 1640(G
ibco)で洗浄し、プラズマと白血球を除いた。赤血球細胞を900xgで10分
間室温で遠心分離し、RPMIで2回希釈した。次に赤血球細胞を、Hepes
(9g/l)とNaHCO3(2g/l)、pH7.2に緩衝化したCO2、RP
MI、+10%ヒト血清+グルコース(2g/l)、ハイポキサンチン(20m
g/l+ゲンタマイシン(2.5mg/l)の存在下、加湿オーブン中で培養し
た。赤血球細胞培養物をH2Oとプロテアーゼ阻害剤(アプロチニン、ピファブ
ロック、ロイペプチン、アンチパイン、ペプスタチンA)の存在下4℃で30分
溶解し、14Kで4℃30分遠心分離し、上澄液または溶解液(Ps)とペレッ
ト(Pm)のフラクションを得た。ペレットをH2O+プロテアーゼ阻害剤で2
回洗浄した。両方のフラクション(溶解物と膜)を−80℃で貯蔵した。
【0056】ピー.ファルシパルム寄生体培養物 寄生体は、ヒト赤血球細胞上で生育した。赤血球細胞は、凝固防止のためクエ
ン酸塩上で採取したヒト血球(A+)由来物である。血液を4℃で2〜4週間、
50ml管中で保有し、次いでRPMI 1640(Gibco)で洗浄し、血漿と
白血球を除去した。赤血球細胞を900xgで10分間、室温で遠心分離、RP
MIで2回希釈した。次に赤血球細胞を、Hepes(9g/l)とNaHCO 3 (2g/l)、pH7.2で緩衝化したCO2、RPMI、+10%ヒト血清+
グルコース(2g/l)、ハイポキサンチン(20mg/l)+ゲンタマイシン
(2.5mg/l)の存在下、37℃で加湿オーブンで培養した。培養物を、ヒ
ト赤血球細胞を含有する媒体で規則的に希釈し、高度な寄生体の生育を維持した
。高い含量の寄生虫を含有する培養物を、室温で600xgで10分間遠心分離
した。細胞ペレットを血漿ゲルとRPMIの混合物に再懸濁し、ホモジナイズし
、37℃で30分インキュベートし、次いで低速(150xg、10分)で遠心
分離した。ペレットは寄生体(mamre parasite)に感染した赤血球細胞からなり、
2Oとプロテアーゼ阻害剤(アプロチニン、ピファブロック、ロイペプチン、
アンチパイン、ペプスタチンA)の存在下、4℃で30分溶解させ、14Kで3
0分間遠心分離して上澄液または溶解物(Ps)とペレットのフラクションを得
た。ペレットはH2O+プロテアーゼ阻害剤で2回洗浄した。両フラクション(
溶解物と膜)を−80℃で貯蔵した。
【0057】神経球の調製 血経球を、わずかに変更したReynolds および Weiss 1992にしたがって調製す
る。胚線条体細胞を妊娠マウスから分離し、B27栄養源(Gibco)とEGFの
存在下、DMEM F12中で培養した。媒地は部分的に1週間に2回取換えた
。媒地に浮遊する細胞を、付着細胞から分別して解離し、使用まで週ごとの継代
で培養媒地に維持した。ホスフェートドナー、燐酸化と定量 〔γ−32P〕ATP(32P−ATP)は、ICNからのものであった。〔γ− 32 P〕−TTP(32P−TTP)は合成した(Grandfilsら、1988)。nACh
R膜は、50mM Tris-HCl pH7.5、5〜15mM MgCl2
0.08%CHAPS、プロテアーゼ阻害剤中の(7〜8000Ci/mol)3 2 P−TTPまたは32P−ATPを用いて、4〜20℃で60〜90分間燐酸化
した。 燐酸化はSDS−サンプル緩衝液で停止した。32P−燐酸化膜を、アク
チン、43Kラプシンおよびa−nAChRの分離を意図したSDS−PAGE
に付し、オートラジオグラフィー(Kodak Biomax)および/または32P−定量し
た(Molecular Dynamics Phosphorimager)。クーマシーブルー染色は、必要時
に行った。
【0058】結 果 TTPは、CNSと筋以外の多くの生理学系でのエンドキナーゼに対するホス
フェートのドナーである。 TTPは、内因性キナーゼを介する中枢神経系(CNS)のホスホドナーであ
ってもよい。多くの異なるCNS組織に存在する蛋白(全CNS、上頸神経筋(
SCG)、神経球)は、内因性キナーゼを介してホスホドナーとしてTTPで燐
酸化される(図9)。 TTPは、また多くの他の重要な生理学系(内因性キナーゼ)、例えばヒト赤
血球細胞(Tm、Ts)、マウス免疫系(脊髄顆粒球、図11)、アレルギー性
植物(Dactylis glomerate pollen)、寄生虫(Pm、Ps;プラスモジウム・
ファルシパルム)に存在する蛋白に対する燐ドナーであってもよい(図9と10
)。SDS−PAGEゲルで、TTP依存燐酸化蛋白は、系に重要な蛋白に類似
の領域に移行する。
【0059】 全ての燐酸化は、エキソキナーゼを添加することなく32P−TTPで行われた
。これはテストした組織におけるTTP依存エンドキナーゼの存在を示すもので
ある。 これらの結果によれば、ホスフェートのドナーとしてのTTPの使用が、CN
Sと筋の他の多くの生理学系で一般化できる。 図9は、異なる組織由来膜のTTP依存燐酸化後に得られたオートラジオグラ
ムを示す。30kDaの領域は、試験しなかった。分子マーカーは、最左レーン
である。 上記のとおり、組織で検出された燐酸化は全て、TTP-依存性のエンドキナ
ーゼに起因している。TTPは、神経筋接合部のモデルであるエレクトロサイト
の43Kラプシン蛋白の燐ドナーであることが証明されている。ここに示した結
果は、TTPが動物に重要な種々の生理学的組織の燐ドナーでもあることを立証
した。
【0060】 TTPが、CNS以外の組織、例えばSCGの燐ドナーであることが、発明者
らにより示された。さらに、燐酸化パターンは、加齢に依存し、かつ分化過程に
重要と思われる。 また、骨髄細胞は、細胞系の再生における可能性のために極めて興味深い。こ
のような細胞はTTPにより燐酸化されることが興味深い。過度な燐酸化又は燐
酸化の欠失は、それらの再生特性に関連があることを証明している。 神経球は、再生の複数の可能性に対しても重要である。それらは、ゲルでのシ
グナルが弱くても、燐酸化される(これは、実験で使用した神経球のわずかな量
に起因している可能性がある)。
【0061】 ピー.ファルシパルムは、ヒトにマラリアを引起こす最も毒性の寄生体であ
る。ピー.ファルシパルムに感染した赤血球は、血漿膜上でノブと呼ばれる電子
の密集した突出物を生じる。ノブは、感染した赤血球が上皮細胞に結合するのに
かならずしも十分ではないが、必要である。複雑な表現型は、大脳のマラリアに
寄与し得る(Pologeら、1987)。ピー.ロフラエ(P.Lophurae)に存在するものと
類似性を共有するピー.ファルシパルムの80〜90kDaのノブ-関連ヒスチジン-リッ
チな蛋白(KAHRP)は、ノブの存在と隔離に相関している(Leechら、1984
、Pologeら、1987)。このKAHRPは、43Kラプシンに極めて類似した特性
を示す。43Kラプシンは、エレクトロサイトのシナプス後膜の細胞質面に、神
経筋接合部のシナプス後密度で局在する(Nghiemら、2000)。KAHRP蛋白は、
これらのノブの細胞質面に局在し(Pologeら、1987)、細胞付着誘導において役
割を果たし得る(Udeinyaら、1983)。マラリア寄生体に共通なように、KAHR
Pは、ポリスチジン反復構造およびコンセンサスモチーフを有するタンデムに反
復するアミノ酸を含む(KARHについてはGlyHisHisProHis、K
oideら、1986)。パスツール研究所のMercereau-Pujalon博士のグループは、寄生
体抗原および特にR23抗原でのワクチンの開発を目的とした宿主-寄生体の相
互作用の研究に関わっている。この保存された抗原は、アミノ酸モチーフの1つ
として、Hisを有する6 AsnHisLysSerAspSer/His/A
snアミノ酸コンセンサスモチーフとともに11の繰り返しを含む。この抗原は
、ピー.ファルシパルム感染した赤血球細胞に対する抗体をオプソニン作用によ
り認識し、組換えR23は、リスザル(Saimiri sciureus)で良好な保護を誘発す
ることができる(Perrautら、1995、1997)。寄生体蛋白の燐酸化は、その感染又
はワクチンの特性を調節する上で重要である可能性がある。
【0062】 赤血球細胞の本質的な特性は、TTPによる燐酸化の程度、および赤血球細胞
の疾患又は感染性が蛋白の過度な燐酸化又はその欠乏によって調節されるかどう
かに関連している。 アレルギー性植物(Dactylis glomerate pollen)は多く、世界中の全ての温
度域にわたって繁殖している。2つの主要なアレルゲンDac g3およびDa
c g4は、アレルギー性植物(Dactylis glomerate pollen)に存在する。D
ac g3(30kDa)はクローンされ、シークエンスされ、多くのヒトのア
レルギーパターンからの血清で認識される(Guerin-Marchandら)。多くの花粉種
に存在する主要で基本的な花粉アレルゲンであるDac g4(60kDa)は
、精製、特徴付けられており、Dac g4に対するモノクローナル抗体が生産
されている(Leduc-Brodardら)。花粉蛋白のアレルゲン性およびTTP依存燐酸
化の関連性が、このために指摘されている。
【0063】 実施例3:真核細胞におけるヒスチジンの燐酸化 真核細胞で、燐酸化は、細胞調節での主要な役割にもかかわらず(32)、セ
リン残基で優勢であり(〜90%)、スレオニン残基で〜9.9%かつチロシン
残基でわずか〜0.1%で起こることが見積もられた。ヒスチジンでの燐酸化(
〜6%)は、大部分が原核細胞で証明されており、しばしば制御過程に関連して
いる(61)。真核細胞では、ほとんど報告されていない(79)。したがって
、この発明は、真核細胞中のシナプス蛋白上でヒスチジン燐酸化を行うことがで
き、このために真核細胞の燐酸化の重要性を拡大する、意外な新しい手段を提供
するものである。
【0064】 結 論 発明者らは、ここに、チアミントリホスフェート(TTP)、ATP又はGT
Pとは異なるトリホスフェート成分による蛋白の燐酸化をはじめて立証した。蛋
白キナーゼ(類)は、新規な種であると考えられる。燐酸化されたアミノ酸は、
アミノ酸が主としてヒスチジンであるために、真核細胞でも一般的である。また
、この燐酸化の蛋白標的は、シナプス後膜に特異的に存在し、適切に機能するよ
うにシナプスに必須の43Kラプシンであることが立証された。TTP依存燐酸
化のこの新しい型は、43Kラプシンに限定されず、マウスおよびラットの脳膜
でも認められる。これにより、新規な燐酸化経路の燐ドナーとしてTTPを広範
囲にかつより一般的に使用することができる。 明らかに、上記技術の下、この発明について多くの修飾及び変更が可能である
。したがって、多くの変更および修飾は、この発明の意図および範囲から逸脱し
ない限り、上記具体例に行うことができるものと理解される。
【0065】
【表1】
【0066】 値:32P-ATP(43Kラプシン/ATP)または32P-TTP(43Kラプシン/
TTP)で燐酸化し、TCAまたはKOHでインキュベートした43Kラプシン
中の32P%の、コントロールの偽対応物に対する(標準平均±標準偏差) * pH-安定性分析で測定したPaaは、酸及び塩基の安定性分析の双方に示す
推定上のPaaである(下線)。
【0067】 引用文献
【0068】 引用文献(つづき)
【0069】 引用文献(つづき)
【0070】 引用文献(つづき)
【0071】 引用文献(つづき)
【0072】 引用文献(つづき)
【0073】 引用文献(つづき)
【0074】 引用文献(つづき)
【0075】 引用文献(つづき)
【0076】 引用文献(つづき)
【0077】 上記の全ての引用文献を、ここに引用して導入する。 この発明を記載しているので、多くの変更及び修飾が、この発明の意図及び範
囲を逸脱しない限り、上記具体例に行い得ることは明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 43/00 105 A61P 43/00 105 C12N 5/06 C12N 9/12 9/12 C12Q 1/02 C12Q 1/02 G01N 33/68 G01N 33/68 C12N 5/00 E (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,C A,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM ,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH, GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,K E,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS ,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN, MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM ,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN, YU,ZA,ZW (71)出願人 サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェ ルシュ・シアンティフィク−シーエヌアー ルエス CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENT IFIQUE−CNRS フランス国 75794 パリ・セデックス 16リュ・ミシェル・アンジュ 3 (72)発明者 ニアン,ホアン−オアン フランス、エフ−75013 パリ、スクワー ル ド ポール ロワイヤル、8 Fターム(参考) 2G045 AA25 AA28 BA13 BB03 BB10 BB16 DA20 DA36 DA77 FB01 4B050 CC01 DD11 LL03 4B063 QA01 QQ08 QR41 QS02 4B065 AA93X BD50 CA44 4C086 AA01 AA02 DA38 MA01 MA02 MA03 MA04 MA05 MA66 NA14 ZA01 ZA94 ZB13 ZB21 ZC01 ZC41 ZC78

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チアミントリホスフェートと担体とからなる組成物。
  2. 【請求項2】 単位投与型である請求項1の組成物。
  3. 【請求項3】 哺乳動物への筋肉内または静脈内投与に適する形態である請
    求項1の組成物。
  4. 【請求項4】 真核細胞の燐酸化レベルを増加するのに有効な量のチアミン
    トリホスフェートからなる請求項1の組成物。
  5. 【請求項5】 シナプス後蛋白の燐酸化不足に関連した病態または機能的運
    動終板の形成における欠損を有する患者を処置しうる組成物の製造へのチアミン
    トリホスフェートの使用。
  6. 【請求項6】 チアミントリホスフェートが、チアミントリホスフェートと
    医薬的に受容な担体もしくは希釈剤を含む医薬的に受容な組成物の形態で投与さ
    れる請求項5の使用。
  7. 【請求項7】 燐酸化ヒスチジン残基の欠乏である細胞膜または細胞の細胞
    骨格を処置しうる組成物の製造へのチアミントリホスフェートの使用。
  8. 【請求項8】 欠乏燐酸化ヒスチジン残基がラプシン残基である請求項7の
    使用。
  9. 【請求項9】 ラプシンとチアミントリホスフェートを接触させ、ラプシン
    を燐酸化することからなるラプシンのインビトロの燐酸化方法。
  10. 【請求項10】 ラプシンを燐酸化しうる組成物の製造へのチアミントリホ
    スフェートの使用。
  11. 【請求項11】 (a)放射性標識したチアミントリホスフェート、 (b)非放射性標識したチアミントリホスフェート、 (c)チアミントリホスフェートの移行用の試薬、 (d)TTP依存燐酸化性ヒスチジン残基含有の精製蛋白、 (e)非TTP依存燐酸化性ヒスチジン残基含有の蛋白、および (f)任意の、抗ホスホアミノ酸抗体 からなる蛋白中のヒスチジン残基の特異的燐酸化を検出するキット。
  12. 【請求項12】 (a)患者から得た真核細胞サンプルから真核細胞の膜ま
    たは細胞骨格を精製し、 (b)その膜または細胞骨格をチアミントリホスフェートとインキュベートし、 (c)外因性ホスフェートの導入をコントロールと比較し、かつ (d)サンプル中の蛋白の燐酸化されたヒスチジン残基の存在または不存在を測
    定する ことからなる真核細胞の細胞骨格または膜の燐酸化のレベルを定量する方法。
  13. 【請求項13】 原核または真核細胞とチアミントリホスフェートを接触さ
    せ、チアミントリホスフェートからのホスフェート基を細胞のホスフェートアク
    セプタ基に移行させることからなる燐酸化方法。
  14. 【請求項14】 細胞のホスフェートアクセプタ基が細胞蛋白のヒスチジン
    残基である請求項13の方法。
  15. 【請求項15】 真核細胞がヒト細胞である請求項13の方法。
  16. 【請求項16】 a)真核生物組織から抽出物を収得し、 b)膜からサイトゾルを分別し、および c)キナーゼ活性を奏する抽出物の1以上の成分を同定する ことからなるTTP依存キナーゼ活性を有する蛋白抽出物の精製方法。
  17. 【請求項17】 ホスフェート基を蛋白のヒスチジン残基に移行しうる新し
    いTTP依存キナーゼ活性を有する精製した蛋白抽出物。
  18. 【請求項18】 真核細胞での燐酸化を行いうる組成物の製造へのチアミン
    トリホスフェートの使用。
  19. 【請求項19】 組成物が、ヒトの細胞又は細胞膜の燐酸化不足に関連した
    疾患又は症状を処置し得る請求項18の使用。
  20. 【請求項20】 組成物がシナプス後蛋白の燐酸化不足に関連した疾患また
    は症状を処置しうる請求項18の使用。
  21. 【請求項21】 組成物が、機能性運動終板の形成の欠乏に関連した疾患ま
    たは症状を処置しうる請求項18の使用。
  22. 【請求項22】 組成物が神経疾患または症状を処置しうる請求項18の使
    用。
  23. 【請求項23】 組成物が筋疾患または症状を処置しうる請求項18の使
    用。
  24. 【請求項24】 組成物がアレルギーに関連した疾患または症状を処置また
    は予防しうる請求項18の使用。
  25. 【請求項25】 次の工程: a)アレルギー性分子と、チアミントリホスフェートからなる組成物を、チアミ
    ントリホスフェートでその分子の燐酸化をさせるのに受容な条件下で接触させ b)任意に、燐酸化されたアレルギー性分子を精製し、および c)燐酸化分子のアレルギー性質を同じ非燐酸化分子と平行してテストする ことからなる分子のアレルギー性質の評価方法。
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