JP2003501060A - 生物学的エレメントの改変 - Google Patents

生物学的エレメントの改変

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Abstract

(57)【要約】 ウイルスおよび他の微生物をはじめとする生物学的エレメントの、生物学的および/または物理化学的特性を改変する方法が開示され、ここでは、生物学的エレメントは、該生物学的エレメントに、複数の反応性基を有する多価ポリマーのコーティングを提供するこによって改変される。この改変は、いくつかの生物学的エレメントが、ホストの生物学的システムにおける特定の部位にターゲット化されるかまたは再ターゲット化されることを可能にすることができ、さらに遺伝子治療または抗腫瘍治療のためのウイルスベクターに関して有用であることができる。他の場合には、改変は、例えば、有害生物防除、オイル沈殿物の分解および分散、並びに種々の他の産業、環境または医療用途に使用される、ウイルスまたはバクテリア微生物の有効性を増強または向上させるのに有用であることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、微生物、並びに、ある場合には、遺伝情報を含む微生物のフラグメ
ントまたは構成成分(以後、これら全てを集合的な用語「生物学的エレメント」
といい、そこでは、ウイルスは重要なカテゴリーの1つを構成する)の生物学的
および/または物理化学的特性を改変する方法に関する。本発明は、本発明に従
って、それらの生物学的および/または物理化学的特性についての改変または変
更をもたらす様に改変されている、そのような生物学的エレメント、それらの調
製のためのプロセス、並びに、農業、石油化学産業、環境科学および医薬を含む
種々の分野における種々のバイオテクノロジーストラテジーにおけるそれらの使
用にも関する。
【0002】 背景 ウイルスを含む微生物については、バイオテクノロジーの広範囲の分野にわた
る多くの用途が認められている。それらは、医薬、農業、産業上の製造プロセス
(特に、石油および醸造産業を含む)、並びにバイオレメディエーション(bi
oremediation)に包含される。多くの有用な用途および機能が、そ
のような生物学的物質(biological agent)について、特定さ
れ、開発されている。しかし、しばしば、それらの活性の開発または増強は、そ
れらの精密な特性によって限定され、理論的に可能であるが実際にはそれらの範
囲を超える課題を満足するように、それらの能力を制限する。全く一般的に遭遇
されるものであるこの状況においては、その必要とされる目的に対して、より適
切な特性を与えるように、ウイルスまたは微生物の特性を再設計することがしば
しば望まれる。 よって、例えば、バキュロウイルスをはじめとする生物学的殺虫剤は、不適切
な標的特異性および環境中での有害物生存特性を通じて、その有用性が限定され
る場合があり;硫黄代謝バクテリアは、不適切なパターンの分散および分布を通
じて、石油化学産業におけるその有用な用途に限定される場合があり;さらにヒ
トまたは家畜の遺伝子治療の状況において、治療遺伝子の送達を媒介することが
意図されたウイルスは、標的組織における導入遺伝子発現の非効率性を通じたそ
の有用性で限定される。
【0003】 体細胞の遺伝子治療の分野は、遺伝病(例えば、嚢胞性線維症、筋ジストロフ
ィー、酵素欠損)および加齢または損傷に関連した生理学的悪化(癌、心疾患、
成人型糖尿病)から生じる疾病を含む、多くの異なる種類の病気の治療を向上さ
せることを約束するので、近年、主たる興味を引きつけている。しかし、該分野
については、100を超える臨床試験の開始を含めて、急速かつ広範な開発が認
められているが、明らかに患者のためになる治療の実例は非常に少ない。1つの
アンチセンス技術が、近年、ヒトへの使用について許可されたが、遺伝子治療ス
トラテジーは未だ本来の見込みを満足しておらず、さらに遠くない未来における
日常的な臨床適用についても、何ら承認されそうにない。 治療の効能がないことについての理由は、部分的には、患者の個体群(これら
の試験的な治療のために登録されるほとんどの患者は、効果的な治療がわずかな
治療の利益を示すことができるとしても、既に完全に病気である)を反映するが
、主として、達成される治療遺伝子の発現の、不適切なレベル、持続期間、およ
び分布を反映する。簡単にいうと、洗練された治療ストラテジーの適用の成功は
、遺伝子送達および発現のための不適切なベクターによって制限される。
【0004】 遺伝子治療用途における使用のための、2つの主たるタイプのベクターが今ま
でに探索されており、それらは非ウイルス性(通常、カチオン性リポソームをベ
ースとする)またはウイルス性(通常、レトロウイルス、アデノウイルス、近年
ではアデノ随伴ウイルス(aav)およびレンチウイルス)である。 遺伝子送達は、本質的にはウイルスに必須の唯一の機能であるので、ウイルス
は遺伝子送達のためのベクターとして明白な選択肢である。よって、ウイルスに
ついては、現在までの遺伝子治療において、かなりの使用が認められ、臨床試験
において使用される大部分のベクターを形成する。その適用の成功を制限する、
アデノウイルスの主たる特徴は、その免疫原性である。それらは本物の病原体で
あって、100万年にわたって高度に効率的な遺伝子送達ベクターとして進化し
たものであるが、そのホストも同様に非常に効率的な保護メカニズムを開発して
きた。癌患者からの血清および腹水液は、高い希釈率においてさえ、インビトロ
(in vitro)でウイルス感染を完全に防ぐことができる抗体を含む。ア
デノウイルスを含む典型的なヒトのプロトコルは、ターゲット細胞の感染の効率
が上がらないだけでなく、顕著な炎症応答を導く。
【0005】 非ウイルス性のシステムは、より良い安全性が記録されており、また大量に生
産することがより容易であるが、特異的なトランスフェクション活性およびター
ゲット組織における遺伝子発現の効率が低いことが主要な問題となっている。 現在入手可能なベクターの、疾病の治療に対する適用の成功に対する、他の主
たる制限は、直接的な適用または動脈内投与のいずれかによって、疾病の部位へ
直接的にそれらを投与することの必要性である。静脈内注射後に、特定の細胞を
ターゲットとすることができるベクターはない。カチオン性リピッドシステムは
、それらが遭遇する第1の毛細血管ベッド(capillary bed)、肺
循環(pulmonary)ベッドを閉塞させ、同時にアデノウイルス/レトロ
ウイルスが急速に肝臓に取り込まれ、(動物実験において)局所的な毒性を媒介
する。局所投与が特定の疾病(例えば、気管支上皮嚢胞性繊維症(bronch
ial epithelial cystic fibrosis))の治療に
適することができるが、他の疾病(特に、臨床上の癌およびアテローム性動脈硬
化症)はより広範囲の分布を有しており、静脈内のターゲット化された遺伝子送
達は、遺伝子治療を成功させる実現性を包含するのに重要である。
【0006】 国際公開WO98/44143号に開示される、ウイルスの臨床的な使用を容
易にするための1つのアプローチは、ウイルスの表面を、ポリ(エチレン−グリ
コール)(PEG)をはじめとするモノ−官能性ポリマー改変することである。
これは、血清抗体による感染の中和を、顕著に低減させることを導くことができ
る。このアプローチは、ターゲット細胞に関しては(アデノウイルスに対するC
ARレセプターを介して)、正常のレセプター結合および感染能を維持するが、
有用で治療に関連するトロピズムを得るために選択されたレセプターへの、ウイ
ルスのターゲッティングを容易にしないという点で、問題を提供する。 国際公開WO98/19710号は、生物学的システムにおける核酸物質の送
達のためのキャリアビヒクルとして機能する、核酸物質のカチオン性複合体をコ
ートする多価ポリマーの使用を開示する。しかし、該ポリマーがウイルスまたは
他の微生物をコートするのに有用であるという開示も示唆もない。
【0007】 本発明の目的の1つは、ウイルスまたは微生物をターゲットにすることができ
、完全に柔軟なトロピズム、および生物学的または物理学的特性の改変を可能に
することである。 本発明の他の目的および特徴は、後述される、より詳細になされた記載および
実施例から明らかとなるであろう。
【0008】 発明の概要 本発明の1態様は、生物学的エレメントの、生物学的および/または物理化学
的特性を改変する方法であって、該方法は、該生物学的エレメントを複数の反応
性基を有する多価ポリマーと反応させ、その結果、該生物学的エレメントが該ポ
リマーに結合され、それにより、該生物学的および/または物理化学的特性を変
更または改変するように改変されることを含む該方法を提供する。 生物学的エレメントは、ホストにおける特定の部位またはレセプターを正常に
ターゲットとし、相互作用するようなウイルスをはじめとする感染性物質であり
、本発明は、そのような生物学的エレメントの感染性を改変し、および/または
、それをホストにおける新たなまたは異なる部位またはレセプターを再度ターゲ
ットにする方法を提供することができる。そのような再ターゲット化は、生物学
的エレメントが治療用遺伝子材料または抗ガン剤を含む、ウイルスベクターをは
じめとするベクターである場合に有用な、選択的に再設計された感染性を達成す
るための可能性を提供することができる。再ターゲット化は、多価ポリマー中に
特定のターゲッティング基または部分を導入することにより、そして、改変後、
ホストのオリジナルのターゲット部位またはレセプターとのターゲッティングお
よび相互作用を阻害するように、生物学的エレメントがポリマーで充分にコート
されるのを確実にすることにより行われることができる。
【0009】 本発明は、非水性媒体における生物学的エレメントの溶解性または分配係数特
性を改変する方法も提供することができ、このことは、例えば、油性の媒体にお
ける生物学的エレメントの適用と関連して有用であることができるか、または特
定のオイル分解(oil degrading)微生物のオイル分解活性の効率
を向上させるために有用であることができる。これは、いくつかの態様で、適切
な疎水性基をポリマー中に導入することによって達成されることができ、さらに
、これは、オイル中の遺伝子治療ウイルスベクターの動脈内投与を容易にするの
に有用であることもできる。
【0010】 生物学的エレメントが、アウターエンベロープを有するウイルスであるような
場合においては、ウイルスをポリマーと反応させる前の予備的工程は、該エンベ
ロープを取り除くことを含むことができる。 他の態様では、本発明は、生物学的エレメントが複数の反応性基を有するポリ
マーに結合されることにより改変され、それにより、該生物学的エレメントの生
物学的および/または物理化学的特性が改変されることを包含するものとして、
認められることもできる。
【0011】 本発明に関係する生物学的エレメントは、概して、ウイルス、またはバクテリ
アまたはバクテリオファージをはじめとする他の微生物、菌類、胞子(菌類また
はバクテリアからの)または遺伝情報を含むこれらの構成成分である。ウイルス
およびウイルス粒子は、生物学的エレメントの特に重要なカテゴリーの1つを構
成する。細胞性の微生物は原核生物または真核生物のいずれかであることができ
る。 多くの態様においては、ポリマーの生物学的エレメントとの結合は、結果とし
て、ホストの生物学的システムにおける生物学的エレメントの、それが正常に相
互作用する他の分子と相互作用する能力の阻害を生じさせるか、または生物学的
エレメントが、改変されない状態で正常に結合する、部位または細胞レセプター
へ結合する能力の阻害を生じさせる。特定の部位またはレセプターをターゲット
とするように改造された、ウイルスをはじめとする生物学的エレメントの場合に
は、ホストに感染する場合に、既に示されるように、それは、本発明によって、
異なるレセプターをターゲットにするか、または異なるターゲットと相互作用す
るように、そのような生物学的エレメントを再ターゲット化することが可能であ
る。
【0012】 通常、ポリマーは生物学的エレメントと2以上の結合によって結合されるであ
ろう。生物学的エレメント上のレセプター結合部位を隠すために、少なくとも2
つの結合が必要とされることが、概して認められる。 本発明によると、本発明に従ったポリマー改変された生物学的エレメントの調
製のための方法がさらに提供され、その方法は生物学的エレメントをポリマーと
結合することを含む。本発明は、この方法によって得られるポリマー改変された
生物学的エレメントも提供する。 本発明は、遺伝子治療またはDNAワクチン接種処理を行う場合における、イ
ンビボ(in vivo)での、治療用遺伝子材料の患者への送達のための、ポ
リマー改変された生物学的エレメントをさらに提供し、例えば、該ポリマー改変
された生物学的エレメントとしては、治療用遺伝子材料を含む本発明に従ったポ
リマー改変された生物学的エレメントが挙げられる。用語「治療用遺伝子材料」
は、本明細書においては、例えば、治療上有用なタンパク質またはRNAの発現
により、治療効果を獲得させるために投与される、広範囲の任意の遺伝子材料ま
たは核酸を意味するものとして了解されるであろう。
【0013】 本発明は、農業用用途のための、ウイルス性農薬をはじめとする生物学的農薬
の病原体への送達のための、ポリマー改変された生物学的エレメントをさらに提
供し、該ポリマー改変された生物学的エレメントは、本発明に従ったポリマー改
変された生物学的エレメントであり、該ポリマーは、環境中で、該生物学的エレ
メントの改変された溶解性、並びに向上された分散および安定性をもたらすよう
に、および/または特定のホストへのターゲット化された相互作用を通じた作用
のより大きな選択性を達成するように選択される。 本発明に従って、遺伝子治療の方法も提供され、該方法は、そのような治療を
必要としている患者に、治療用遺伝子材料を含む生物学的エレメントを含む、本
発明に従ったポリマー改変された生物学的エレメントを投与することを含む。 本発明は、遺伝子治療において使用するための薬剤の製造における、本発明に
従ったポリマー改変された生物学的エレメントの使用も提供し、ここで、該ポリ
マー改変された生物学的エレメントは、治療用遺伝子材料を含む生物学的エレメ
ントを含む。
【0014】 本発明は、さらに、キャリアと一緒になった、本発明に従ってポリマー改変さ
れた生物学的エレメントを含む組成物を提供する。 本発明の態様は、概して、ポリマー改変された生物学的エレメントであって、
該ポリマーは2以上の結合によって生物学的エレメントと結合されており、使用
される該ポリマーは多価ポリマーであり、すなわち、それは複数の反応性基を含
む、前記ポリマー改変された生物学的エレメントを提供する。 本明細書において使用される、用語「反応性基」とは、有意な化学的反応性を
示す基、特に、他の分子の補足的な反応性基とのカップリングまたは結合反応に
関連する基を意味するものとして理解されるであろう。
【0015】 本発明において使用されるポリマーは、好ましくは、複数の前記反応性基を含
む合成親水性多価ポリマーである。そして、該ポリマーは生物学的に不活性なポ
リマーである。ポリマーバックボーンは、概して前記反応性基で置換される。こ
れらの反応性基はポリマーバックボーンに、直接に、またはオリゴペプチド結合
をはじめとするスペーサー基を介して連結されることができる。そのようなオリ
ゴペプチド結合は、好ましくは、1〜4つの、特に2または4つのペプチド基を
含む。好適な結合の例としては、−Gly−Gly−、−Glu−Lys−Gl
u−;および−Gly−Phe−Leu−Gly−が挙げられる。 ポリマーバックボーンは好ましくは、N−2−ヒドロキシプロピルメタアクリ
ルアミド(HPMA)、N−(2−ヒドロキシエチル)−1−グルタミン(HE
G)、またはエチレングリコール−オリゴペプチドをはじめとするモノマー単位
をベースとする。バックボーンがエチレングリコール−オリゴペプチドをベース
とする場合には、該オリゴペプチド基は好ましくは1〜4つのペプチド基を含む
。該オリゴペプチド基は、反応性基によって、任意に上述のスペーサー基を介し
て、置換されたオリゴペプチド基である。
【0016】 ポリマーのために好適な反応性基は、生物学的エレメントの表面上に既に存在
する、例えば、アミノ基をはじめとする基と反応するであろう基である。例えば
、p−ニトロフェノール(ONp)エステルまたはN−ヒドロキシスクシンイミ
ド(NHS)エステルが使用されることができる。 本発明における使用のために好適なポリマーの例としては、国際公開WO98
/19710号に開示されており、さらに、ポリHPMA−GlyPheLeu
Gly−ONp、ポリHPMA−GlyPheLeuGly−NHS、ポリHP
MA−Gly−Gly−ONp、ポリHPMA−Gly−Gly−NHS、ポリ
(pEG−オリゴペプチド(−ONp))、ポリ(pEG−GluLysGlu
(ONp))、pHEG−ONp、pHEG−NHSを含む。これらの化合物の
調製は、国際公開WO98/19710号に開示されている。国際公開WO98
/19710号に記載された内容は本明細書の一部として参照される。
【0017】 いくつかの例においては、ポリマーおよび/または、該ポリマーと生物学的エ
レメントとの間の結合は、任意に、加水分解的にまたは酵素的に分解可能である
。加水分解可能性により提供される不安定性は、該不安定性が、生物学的エレメ
ントが保護される時間の調節を可能にするので、望まれる場合がある。よって、
ポリマーが組織特異的ターゲッティング基を有して提供される場合には、該ポリ
マー(または、ポリマーと生物学的エレメントとの間の結合)は、分解し、生物
学的エレメントが自由に組織と相互作用するようになる前に、改変された生物学
的エレメントがターゲット組織内での好適な位置に到達するのにかかる時間だけ
の間、該ポリマーが生物学的エレメントを保護するようにデザインされることが
できる。別法では、ポリマーは、生物学的エレメント放出の最適の速度論を生じ
させる速度で分解するようにデザインされることができる。酵素分解可能性によ
って提供される不安定性は、選択される酵素による切断選択性についてポリマー
(または、該ポリマーと生物学的エレメントとの間の結合)がデザインされるこ
とを可能にするので、望まれる場合がある。そのような酵素は、ターゲット部位
に存在し、改変された生物学的エレメントにターゲット部位で分解が引き起こさ
れる可能性を与えることができ、それにより、ターゲット部位との相互作用のた
めに、生物学的エレメントを放出することができる。酵素は細胞内酵素であるこ
ともでき、該酵素は、ターゲット細胞の、選択された細胞コンパートメント内で
、改変された生物学的エレメントの分解をもたらし、生物学的エレメントの活性
を増強させることができる。別法では、酵素−切断部位は、適切な生物学的活性
(例えば、浸潤しているかまたは転移性の、メタロプロテイナーゼを発現してい
る、腫瘍細胞への到着)に応答して、改変された生物学的エレメントの分解を促
進するようにデザインされることができる。さらなるバリエーションにおいては
、改変された生物学的エレメントを活性化することができる酵素は、好適な時間
または部位に投与されることができ、改変された生物学的エレメントに要求され
る分解、およびそれに引き続いての生物学的エレメントの組織との相互作用を媒
介することができる。
【0018】 少なくともいくつかの態様において、生物学的エレメントを改変するのに使用
されるポリマーは、好ましくは、架橋され、その結果ハイドロゲルを形成する。
ハイドロゲルは、好ましくは、加水分解的に不安定であるか、または例えば、マ
トリックスメタロプロテイナーゼ2または9をはじめとする酵素によって分解可
能である。これは、生物学的エレメントがハイドロゲル内に固定されるためであ
り、その結果、生物学的エレメントの放出が制御されることができる。よって、
本発明の好ましい特徴の1つに従って、架橋およびハイドロゲル形成を促進する
ような条件下で(例えば、過剰には存在しないが、高濃度の試薬)、または架橋
を促進するようなジアミン類をはじめとする薬剤の存在下で、本発明のプロセス
が行われる。改変された生物学的エレメントを含むハイドロゲルの形成は、概し
て、Subr,V.,Duncan,R.and Kopecek,J.(19
90)”Release of macromolecules and da
unomycin from hydrophilic gels conta
ining enzymatically degradable bonds
”J.Biomater.Sci.Polymer Edn.,1(4)261
−278に記載される化学的アプローチを使用して行われる。
【0019】 ポリマー上の反応性基の数は、好ましくは、0.5〜10モル%であり、より
好ましくは、1〜6モル%であり、最も好ましくは、2〜5モル%である。 ポリマーと生物学的エレメントとの間の結合の数は、好ましくは3つ以上であ
り、より好ましくは4つ以上である。結合の数は、例えば、12または14であ
ることができる。より多い数の結合を有する利点は、ポリマー改変された生物学
的エレメントがより安定であることである。 ポリマーと生物学的エレメントとの間の結合の2以上は、好ましくは、共有結
合である。
【0020】 通常、本発明に従って改変されたウイルスをはじめとする、感染性の生物学的
エレメントは、その本来の感染性を完全に失っている。しかし、感染性は、好ま
しい態様においては、ポリマーに対して生物学的活性物質(biologica
lly active agent)を結合することにより、回復されるか、ま
たは交換されることができる。生物学的活性物質は、ポリマーが生物学的エレメ
ントと結合される前に、またはその後に、任意に、ポリマーと結合される。好ま
しくは、ターゲット化剤が複数の反応性基を有する場合には、ターゲット化剤は
、カップリング反応を妨害するのを回避するために、ポリマーが生物学的エレメ
ントをコートした後に、ポリマーに結合されるが、他の場合には、生物学的エレ
メントをコートする前に、ターゲット化剤をポリマーに結合させることが、満足
のいくものである場合がある。 生物学的活性物質は、反応性ポリマーを生物学的エレメントに結合するのに使
用されるのと同じタイプの反応性基を用いて、導入されることができるか、また
は異なる化学作用を用いて結合されることができる。後者の状況においては、ヘ
テロ多官能性反応性ポリマー(例えば、ONpエステルおよびチオール基を混合
して含む)が使用される。
【0021】 そのような生物学的活性物質は、好ましくは、本発明に従って、ポリマーでコ
ートされた生物学的エレメントの表面上に導入されるかまたは結合させられ、タ
ーゲッティング、組織浸透または薬物動態学を向上させる。生物学的活性物質は
、例えば、成長因子またはサイトカイン、糖、ホルモン、脂質、リン脂質、脂肪
、アポリポプロテイン、細胞接着プロモーター、酵素、毒素、ペプチド、グリコ
プロテイン、血清タンパク質、ビタミン、ミネラル、または、例えば、成長因子
レセプター、組織特異性抗原、または腫瘍関連抗原をはじめとする、抗体認識レ
セプターであることができる。いくつかの生物学的活性物質は、混合物を含み、
ポリマー改変された生物学的エレメントのそれぞれに結合されることができる。
別法では、多目的剤が生物学的活性物質として、直接に、ポリマー改変された生
物学的エレメントに結合されることができ、続いて、所望の分子の付着を可能に
することができる。 抗体は、好ましくは、生物学的活性物質として使用され、コートされた生物学
的エレメントを異なるターゲット部位へ再ターゲット化し、該異なるターゲット
部位は、例えば、種々のレセプター、異なる細胞、細胞外環境および他のタンパ
ク質を含むことができる。広範囲の異なる形態の抗体が使用されることができ、
該抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ダイアボディー(
diabodies)、キメラ抗体、ヒト化(humanised)抗体、バイ
スペシフィック(bi−specific)抗体、カマリド(camalid)
抗体、Fabフラグメント、Fcフラグメントが含まれる。
【0022】 腫瘍をターゲットにするのに使用するために、好適な生物学的活性物質は、例
えば、癌胎児性抗原、またはα−フェトプロテイン、HER−2、プロトオンコ
ジーン、前立腺特異的抗原またはMUC−1をはじめとする癌関連抗原を認識す
る抗体が挙げられる。 一般的なリンカーとして機能し、適用の柔軟性を可能にする、生物学的活性物
質として使用するのに好適な多目的タンパク質としては、プロテインG(これは
抗体と結合し、ほとんどの種からの、任意のIgGクラス抗体で表面を改変する
ことを可能にする)、プロテインA(これは、プロテインGと同様の特性を有す
る)、アビジン(これはビオチンと非常に高い親和性で結合し、表面上にビオチ
ンラベルされた任意のエレメントの導入を可能にする)、ストレプトアビジン(
これは、アビジンと同様の特性を有する)、エクストラアビジン(これは、アビ
ジンと同様の特性を有する)、小麦胚芽アグルチニン(これは、糖と結合する)
、ヘキサヒスチジン(これは、ニッケルキレートカラム上でゆっくりと精製する
ことを考慮する)、GST(これは、アフィニティークロマトグラフィーによっ
て穏やかに精製することを考慮する)が挙げられる。
【0023】 生物学的活性物質として使用するのに好適な成長因子またはサイトカインとし
ては、例えば、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、b−内皮増殖因子、
上皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子 酸性(aFGF)、繊維芽細胞
成長因子 塩基性(bFGF)、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファー
ジコロニー刺激因子、成長ホルモン放出ホルモン、肝細胞(Hepatocyt
e)増殖因子、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、イン
ターロイキン−1a、インターロイキン−1b、インターロイキン2、インター
ロイキン3、インターロイキン4、インターロイキン5、インターロイキン6、
インターロイキン7、インターロイキン8、インターロイキン9、インターロイ
キン10、インターロイキン11、インターロイキン12、インターロイキン1
3、ケラチノサイト成長因子、レプチン、肝細胞(Liver cell)増殖
因子、マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージ炎症性タンパク質1a
、マクロファージ炎症性タンパク質1b、単球走化タンパク質1、2−メトキシ
エストラジオール、b−神経成長因子、2.5s神経成長因子、7s神経成長因
子、ニューロトロピン−3、ニューロトロピン−4、血小板由来増殖因子AA、
血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子BB、性ホルモン結合グロブリン
、ステムセル因子、トランスフォーミング成長因子−β1、トランスフォーミン
グ成長因子−β3、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、血管内皮成長因子、およ
び血管内皮成長因子Cが挙げられる。
【0024】 モノサッカライド、ジサッカライドまたはポリサッカライドの形態で、アミノ
誘導体化による導入のための、生物学的活性物質として使用するのに好適な糖と
しては、例えば、D−ガラクトース、D−マンノース、D−グルコース、L−グ
ルコース、L−フコースおよびラクトースが挙げられる。 生物学的活性物質としての使用に好適なホルモンとしては、例えば、アドレノ
メデュリン、副腎皮質刺激ホルモン、絨毛性性腺刺激ホルモン、コルチコステロ
ン、エストラジオール、エストリオール、卵胞刺激ホルモン、ガストリン1、グ
ルカゴン、ゴナドトロピン、成長ホルモン、ヒドロコルチゾン、インスリン、レ
プチン、メラニン細胞刺激ホルモン、メラトニン、オキシトシン、副甲状腺ホル
モン、プロラクチン、プロゲステロン、セクレチン、トロンボポエチン、チロト
ロピン、甲状腺刺激ホルモン、およびバソプレッシンが挙げられる。
【0025】 ポリマーでコートされた生物学的エレメントをターゲット化するか、またはス
テルス様(stealth−like)特性を提供するための、生物学的活性物
質としての使用に好適な脂質、脂肪またはリン脂質としては、例えば、コレステ
ロール、グリセロール、糖脂質、長鎖脂肪酸、特に、例えば、オレイン酸をはじ
めとする不飽和脂肪酸、血小板活性化因子、スフィンゴミエリン、ホスファチジ
ルコリン、またはホスファチジルセリンが挙げられる。 生物学的活性物質としての使用に好適な細胞接着プロモーターとしては、例え
ば、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、ポリ
カチオン、インテグリン、または、インテグリンもしくテトラスパン(tetr
aspan)タンパク質に結合するオリゴペプチド配列を挙げることができる。 生物学的活性物質としての使用に好適なアポリポプロテインは、ステルス様特
性を提供することもでき、例えば、高密度リポプロテインもしくは低密度リポプ
ロテイン、またはこれらの構成成分を挙げることもできる。
【0026】 生物学的活性物質としての使用に好適な酵素、例えば、特定の環境を通過する
、コートされた生物学的エレメントの移動性を促進させるための酵素としては、
細胞外マトリックスを分解することができる酵素(例えば、マトリックスメタロ
プロテアーゼタイプ1〜11をはじめとするゼラチナーゼ、またはヒアルロニダ
ーゼ)、核酸を分解することができる酵素(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ
I、デオキシリボヌクレアーゼII、ヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼA)、タ
ンパク質を分解することができる酵素(例えば、カルボキシペプチダーゼ、プラ
スミン、カテプシン、エンドプロテイナーゼ、ペプシン、プロテオキナーゼK、
トロンビン、トリプシン、組織型プラスミノーゲンアクチベーター、またはウロ
キナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター)、素早い検出を可能にする酵素(
例えば、ルシフェラーゼ、ペルオキシダーゼ、b−ガラクトシダーゼ)、または
他の有用な酵素、例えば、アミラーゼ、エンドグリコシダーゼ、エンド−b−ガ
ラクトシダーゼ、ガラクトシダーゼ、ヘパリナーゼ、HIV逆転写酵素、b−ヒ
ドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、インスリンレセプターキナーゼ、リゾチ
ーム、ノイラミニダーゼ、一酸化窒素合成酵素、タンパク質ジスルフィドイソメ
ラーゼが挙げられる。 生物学的活性物質としての使用に好適な毒素であって、レセプターに結合する
か、または細胞膜と相互作用する毒素としては、例えば、コレラトキシンBサブ
ユニット、クロトキシンBサブユニット、デンドロトキシン、ヒマ毒Bチェーン
が挙げられる。
【0027】 生物学的活性物質としての使用に好適なペプチドとしては、例えば、トランス
フェリン、グリーン/ブルー/イエロー蛍光タンパク質、アドレノメデュリン、
アミロイドペプチド、アンギオテンシンI、アンギオテンシンII、Arg−G
ly−Asp、アトリオペプチン、エンドセリン、フィブリノペプチドA、フィ
ブリノペプチドB、ガラニン、ガストリン、グルタチオン、ラミニン、ニューロ
ペプチド、Asn−Gly−Arg、インテグリン結合モチーフを含むペプチド
、ファージライブラリーを使用して同定されるターゲットペプチド、核に局在す
る配列を含むペプチド、およびミトコンドリアルホーミング配列を含むペプチド
が挙げられる。 生物学的活性物質としての使用に好適な血清タンパク質としては、例えば、ア
ルブミン、補体タンパク質、トランスフェリン、フィブロネクチン、またはプラ
スミノーゲンが挙げられる。 生物学的活性物質としての使用に好適なビタミンまたはミネラルとしては、例
えば、ビタミンB12、ビタミンBまたは葉酸が挙げられる。
【0028】 よって、本発明に従った、ポリマー改変された生物学的エレメントは、光度に
特定のセットの細胞、例えば腫瘍細胞をターゲットにするように合成されること
ができることが認められるであろう。しかし、同時に、本発明に従った、ポリマ
ー改変された生物学的エレメントは、概して、中和抗体によって不活性にされな
いことも見出された。これは、改変された生物学的エレメントがポリマーによっ
て遮蔽されるためと考えられる。ポリマーによる、生物学的エレメントの遮蔽は
、向上された有効期間および低pHへの、より良い耐性を含む、他の潜在的な利
点を有するものと認められている。そのような生物学的エレメントを精製するこ
とは、改変されていない生物学的エレメントの存在下で精製を実行するよりも、
よりアグレッシブな技術をつかって精製を行うことができる場合がある。 任意に、ポリマーは、例えば、生物学的環境下での生物学的エレメントの検出
を可能にするために、放射性同位元素と結合されることができる。
【0029】 本発明を実行するのに使用される、バクテリア性の生物学的エレメントとして
は、例えば、実験的な遺伝子治療に使用されるバクテリア(例えば、サルモネラ
)、生物学的農薬として使用されるバクテリアまたはバキュウロウイルス(例え
ば、核ポリデドロシス(polydedrosis)ウイルス NPD、ノノク
ルードド(nonocclude)ウイルス NV、グラニュロシス(gran
ulosis)ウイルス、またはバシラススリンギエンシス(bacillus
thuringiensis))、オイルスラッジ/スピルを分解するのに有
用なバクテリア株、または遺伝的に改変されたこれらのもの(例えば、ente
robacteriaceae、anitratum、psudomonas、
micrococcus、comamonas、zanthomonas、ac
hromobacterまたはvidrio−aeromonas)、オイル中
の硫黄をHSに還元することができるバクテリア株(例えば、petroto
ga mobilis、petrotoga miotherma、desul
fotomaculum nigrificans、desulphovibr
io)またはオイルからの硫黄を酸化することができるバクテリア株(例えば、
rhodococcus sp.ストレインECRD−1)が挙げられる。
【0030】 原則として、本発明において、任意の公知のウイルスが生物学的エレメントと
して使用されることができる。ウイルスは好ましくは、遺伝子工学による組み換
えウイルスである。組み換えウイルスは、任意に、トランスジーンを含む。本明
細書において使用される用語「トランスジーン」とは、ウイルス本来のものでは
ない核酸を意味するものと理解される。例えば、トランスジーンは、生物学的に
機能的なタンパク質もしくはペプチド、アンチセンス分子、またはマーカー分子
をコードすることができる。ウイルスはRNAまたはDNAウイルスのいずれか
であり、さらに、任意に、次のファミリー(family)およびグループ(g
roup)の1つからのものである:Adenovididae;Alfamo
viruses;Bromoviridae;Alphacryptoviru
ses;Partitiviridae;Baculoviridae;Bad
naviruses;Betacryptoviruses;Partitiv
iridae;Bigeminiviruses;Geminiviridae
;Birnaviridae;Bromoviruses;Bromoviri
dae;Bymoviruses;Potyviridae;Bunyavir
idae;Caliciviridae;Capillovirusグループ;
Carlavirusグループ;Carmovirus virusグループ;
グループCaulimovirus;Closterovirusグループ;C
ommelina yellow mottle virusグループ;Com
ovirus virusグループ;Coronaviridae;PM2 p
hageグループ;Corcicoviridae;グループCryptic
virus;グループCryptovirus;Cucumovirus vi
rusΦ6 phageグループ;Cystoviridae;Cytorha
bdoviruses;Rhabdoviridae;グループCarnati
on ringspot;Dianthovirus virusグループ;グ
ループBroad bean wilt;Enamoviruse;Fabav
irus virusグループ;Fijiviruses;Reovirida
e;Filoviridae;Flaviviridae;Furovirus
グループ;グループGeminivirus;グループ Giardiavir
us;Hepadnaviridae;Herpesviridae;Hord
eivirus virusグループ;Hybrigeminiviruses
;Geminivirida;Idaeoviruses;Ilarvirus
virusグループ;Inoviridae;Ipomoviruses;P
otyviridae;Iriodoviridae;Levivridae;
Lipothrixviridae;Luteovirusグループ;Mach
lomoviruses;Macluraviruses;Marafivir
us virusグループ;Maize chlorotic dwarf v
irusグループ;icroviridae;Monogeminivirus
es;Geminiviridae;Myoviridae;Nanaviru
ses;Necrovirusグループ;Nepovirus virusグル
ープ;Nodaviridae;Nucleorhabdoviruses;R
habdoviridae;Orthomyxoviridae;Oryzav
iruses;Reoviridae;Ourmiaviruses;Papo
vaviridae;Paramyxoviridae;Parsnip ye
llow fleck virusグループ;Partitiviridae;
アデノ随伴ウイルスを含むParvoviridae;Pea enation
モザイクウイルスグループ;Phycodnaviridae;Phytor
eoviruses;Reoviridae;Picornaviridae;
Plasmarviridae;Podoviridae;Polydnavi
ridae;Potexvirusグループ;Potyvirus;Poxvi
ridae;Reoviridae;Retroviridae;Rhabdo
viridae;グループRhizidiovirus;Rymoviruse
s;Potyviridae;Satellite RNAs;Satelli
viruses;Sequiviruses;Sequiviridae;So
bemoviruses;Siphoviridae;Sobemovirus
グループ;SSVI−タイプファージ;Tectirividae;Tenui
virus;Tetraviridae;グループTobamovirus;グ
ループTobravirus;Togaviridae;グループTombus
virus;Tospoviruses;Bunyaviridae;グループ
Torovirus;Totiviridae;Tymoviruses;グル
ープTymovirus;植物ウイルスサテライト;Umbraviruses
;Unassigned potyviruses;Potyviridae;
Unassigned rhabdoviruses;Rhabdovirid
ae;Varicosaviruses;Waikaviruses;Sequ
iviridae;グループ化されてないウイルス。
【0031】 本発明における使用のために特に好ましいウイルスとしては、レトロウイルス
、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、ヘルペスウイルス
、パポバウイルスまたはポックスウイルスが挙げられる。アビアンアデノウイル
スCELOをはじめとする非−ヒトアデノウイルスを含む、アデノウイルスが特
に好ましい。
【0032】 生物学的エレメントとしての使用に好適な、生物学的エレメントの構成成分は
、例えば、ウイルスのコアまたはプロウイルス(例えば、ポックスウイルスから
)によって提供されることができる。ウイルスのコアの例としては、Russe
ll,W.C.,M.,K.,Skehel,J.J.(1972)”The
preparation and properties of adenov
irus cores”Journal of General Virolo
gy 11、35−46において開示される方法およびこれらの改変法によって
調製されるアデノウイルスコアが挙げられる。
【0033】 生物学的エレメントとしての使用に好適なファージとしては、例えば、次のフ
ァミリーの1つからの1つが挙げられる:Cyanophages、Lambd
oidphages、Inovirus、Leviviridae、Stylo
viridae、Microviridae、Plectrovirus、Pl
asmaviridae、Corticoviridae、Satellite
バクテリオファージ、Myoviridae、Podoviridae、T−e
venファージ。特定のファージの例としては、MV−L3、P1、P2、P2
2、Φ29、SP01、T4、T7、MV−L2、PM2、F1、MV−L51
、ΦX174、Φ6、MS2、M13、Qβ、tectiviridae(例え
ば、PRD1)が挙げられる。
【0034】 生物学的エレメントとしての使用に好適な菌類としては、例えば、担子菌綱フ
ァミリー(担子菌は担子胞子を作成するものであり、Gasteromycet
es、hymenomycetes、urediniomycetes、ust
ilaginomycetesをはじめとするクラスを含む)、Beauver
ia、Metarrhizium、EntomophthoraまたはCoel
omomycesからの1つが挙げられる。生物学的エレメントとしての使用に
好適な胞子としては、担子胞子、アクチノミセア(actinomycere)
、アースロバクター(arthrobacter)、ミクロバクテリウム(mi
crobacterium)、クロストリジウム(clostridium)、
ロドコッカス(Rhodococcus)、サーモモノスポラ(Thermom
onospora)またはアスパラジーラスフミガタス(Aspergillu
s fumigatus)が挙げられる。 生物学的エレメントとしての使用に好適なバクテリアのさらなる例としては、
Rickettsiella popiliae、Bacillus popi
liae、B.thuringiensis(その亜種、israelensi
s、kurstakiおよびB.sphaericus)、B.lentimo
rbus、B.spaericus、Clostridium malacos
ome、Pseudomonas aeruginosaおよびXenorha
bdus nematophilusからなる群から選択される1つが挙げられ
る。
【0035】 本発明の方法は、好ましくは7より大きいpHで行われる。より好ましくは、
本発明の方法はpH7.4〜8.2で行われ、最も好ましくは、約pH8で行わ
れる。概して、本発明の方法は、より高いpHの値でより速いが、ポリマーの加
水分解の速度もより速くなる。該方法においては、好適なバッファーが概して使
用され、好適なバッファーとしては、リン酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩またはHEP
ESバッファーが挙げられる。プロセスの温度は、好ましくは室温以下であり、
より好ましくは、4〜10℃の範囲である。プロセスでは、好ましくは、混合が
行われる。pHPMA反応性ポリマーを用いて、本発明に従ってウイルスコーテ
ィング反応を行う場合には、ポリマーについての好ましい濃度範囲は、2−20
mg/mLであり、最も好ましい濃度は、概して、5−10mg/mLの範囲で
ある。 本発明の組成物は、in vitroでの使用、または植物もしくは動物での
使用に好適であることができる。該組成物が動物、特に哺乳類における使用のた
めのものである場合には、キャリアは好ましくは、薬学上受容可能な添加剤、希
釈剤または賦形剤である。
【0036】 図面の簡単な説明 添付される図面において、 図1は、合成ポリマーで表面改変した後の、アデノウイルス粒子上のフリーの
アミノ基のフルオレスカミン測定の結果を示す。アデノウイルスの反応性ポリマ
ーとの反応は、ウイルス表面上のフリーのアミノ基の数を減少させる。ここで、
ウイルスは、様々な量のpHPMA−Gly−Gly−ONpと反応され、残っ
ているアミノ基の量が、フルオレスカミンアッセイを用いて決定された(後述の
、実施例8参照)。 図2は、ポリマーとアデノウイルスとの間での典型的な反応の分光光度的な測
定結果を示す。反応性ポリマーのアデノウイルスとの反応は、遊離の4−ニトロ
フェノールの生成によって、または反応性エステルの喪失によって、分光光度的
にモニターされることができる。ここでは、pH7.4、7.8、8.0および
8.5での反応が、遊離の4−ニトロフェノールの生成(A410nm)によっ
てモニターされ、さらにウイルスを含まないコントロールの場合とそれぞれ比較
される。各ペアの上側のライン(接尾辞「v」を有するもの)は、ウイルスの存
在下での反応速度を示し、これはウイルスとの反応速度プラス加水分解速度を示
し、各ペアの下側のラインは、それぞれのpHの値における、単に加水分解だけ
の速度を記録するものである(後述の、実施例9参照)。
【0037】 図3は、ポリマーのアデノウイルスとの反応が、ファイバー(fibre)タ
ンパク質の改変をもたらすことを示すウエスタンブロットを示す。さらなる詳細
は、実施例10に示される。このウエスタンブロットは、増加する量のpHPM
A−Gly−Gly−ONpで処理されたウイルスをウエスタンブロットするこ
とにより、アデノウイルスファイバータンパク質について測定されるシグナルを
比較するものである。ファイバーは、少量のポリマーが使用される場合には正常
に移動するが、より多くの量のポリマーは移動の変化をもたらし、ファイバータ
ンパク質についての検出効率の変化をもたらすことができる。このことは、ポリ
マーによるファイバーの共有結合的な改変を示し、恐らく、架橋していることを
示している。 図4は、多価ポリマー、pHPMA−Gly−Phe−Leu−Gly−ON
pを用いて表面を改変した後での、アデノウイルスの細胞毒性の低減を示す。(
A)は、健全に成長している野生型A549細胞を示す。(B)は、顕著な細胞
変性を示す、野生型Ad5ウイルスに感染した細胞を示す。(C)は、モノ−p
EG化された、野生型のAd5ウイルスで処理された細胞を示し、pEG化は細
胞変性効果を除去しなかった。(D)pHPMA−Gly−Phe−Leu−G
ly−ONpで改変された野生型Ad5で処理された細胞を示し、ここでは、細
胞が正常に増殖し、細胞変性効果の完全な抑制を示した。
【0038】 図5は、競合的ELISA法を用いて測定される、ポリマーでコートされたア
デノウイルスの、低減された抗体結合性を示す。 抗アデノウイルス抗体を含む溶液が、一定範囲のウイルス濃度で、野生型Ad
5ウイルスまたはポリマー改変されたAd5vウイルスと共にプレインキュベー
トされた。次いで、残っている抗体が、リガンドとして野生型Ad5を用いて、
ELISAシステムを用いて測定された。溶液が、コートされたウイルスでプレ
ディプリートされる(pre−depleted)場合には、溶液が野生型のウ
イルスでプレディプリートされる場合よりも、より多くの遊離の抗体を認めるこ
とができる。このことは、ポリマーコートの存在による抗体結合の保護を示す。 図6はpHPMAでコートされたアデノウイルスのいくつかの物理的特性を示
す。野生型Ad5およびポリマーでコートされたAd5は、透過型電子顕微鏡(
TEM;倍率100000倍)によって可視化された。サンプルは、2%ホスホ
タングステン酸、pH7.0で染色された。TEMによる観察は、Ad5WTお
よびコートされたウイルスの両方についての粒径が、直径で80nmであること
を示した。Ad5WTはpHPMAの存在のために、ネガティブに染色されたが
、コートされたウイルスはポジティブに染色された。光子相関スペクトロスコピ
ー(PCS)による測定は、Ad5WTについての粒子サイズが、TEMによる
測定の80nmと同じであることを示した。しかし、pHPMAでコートされた
ウイルスの粒子サイズはPCSによって測定される場合には、Ad5WTのそれ
よりほぼ20%大きく、94nmを示した。さらなる記載は、実施例13に示さ
れる。
【0039】 図7は、pHPMA−Gly−Gly−ONpとの反応後の、A549細胞に
おける、Ad5−GFPの感染性の低減を示す。Ad5−GFP(改変されてい
ない親ウイルス)は、後述する実施例13に示されるように、反応性のpHPM
A−Gly−Gly−ONpで処理された。A549細胞は、48時間、ウイル
スに暴露され、グリーン蛍光タンパク質(GFP)の発現のレベルが、蛍光を用
いて測定された。ウイルスをpHPMAでコーティングすることは、GEP発現
の顕著な低減を媒介し、ウイルス感染の目立った阻害を反映している。「リガン
ド」への言及は、ポリマー改変されたウイルスに付着したリガンドにも当てはま
る。 図8は、pHPMA−Gly−Gly−ONpでの反応後での、ヒト臍静脈内
皮(HUVE)細胞におけるAd5−GFPの感染性の低減を示す。Ad5−G
FPは該明細書中で記載されるように(実施例14参照)、反応性のpHPMA
−Gly−Gly−ONpで処理された。HUVE細胞は、48時間ウイルスに
暴露され、GFPの発現レベルは蛍光を用いて測定された。pHPMAでウイル
スをコーティングすることは、GFP発現の顕著な低減を媒介し、ウイルス感染
の目立った阻害を反映している。再度、「リガンド」への言及は、ポリマー改変
されたウイルスに付着したリガンドにも当てはまる。
【0040】 図9は、ポリマーでコートされたウイルスを、成長因子bFGFまたはVEG
Fを用いて再ターゲット化することによる、A549細胞における感染性の回復
を示す。Ad5ウイルスはpHPMA−Gly−Phe−Leu−Gly−ON
pと反応され、次いで、bFGFまたはVEGFとの反応により再ターゲット化
される。次いで、ウイルスはA549細胞とインキュベートされ、48時間後に
、細胞でのGFP発現が測定された。bFGFはポリマーコーティングによる、
取り込みおよび感染阻害の両方を回復させたが、VEGFはGEP発現の弱い回
復だけを生じさせた。このことは、相対的に多量のbFGFレセプターがこれら
の細胞上に存在していることを反映し、また少量のVEGFレセプター存在して
いることを反映することができる。 図10は、ポリマーでコートされたウイルスをbFGFまたはVEGFで再度
ターゲッティングすることによる、A9、A9−21、A549およびヒト臍静
脈内皮(HUVE)細胞での、感染性回復の分析を示す。Ad5ウイルスはpH
PMA−Gly−Gly−ONpと反応され、次いで、bFGFまたはVEGF
との反応により再度ターゲッティングされた。次いで、ウイルスは細胞とインキ
ュベートされ、48時間後に、細胞でのGFPの発現が測定された。bFGFま
たはVEGFの存在は、HUVE細胞への感染性を回復させたが、VEGFはよ
り効果的であり、おそらく、多量のVEGFレセプターがこれらの細胞上に発現
していたことを反映したものであろう。感染の特異性は、再ターゲット化された
ウイルスを用い、好適な抗リガンド抗体(抗−bFGFおよび抗−VEGF抗体
)を適用して、HUVE細胞の感染を拮抗させることにより示された。A549
の感染は、過剰のファイバーノブドメインを添加しても拮抗されることができな
かったが、しかしながら、このことは、CAR結合は、再ターゲット化されたポ
リマーでコートされたウイルスの感染性における役割を有していないことを示す
【0041】 図11は、bFGFで再ターゲット化されたポリマーでコートされたウイルス
が使用され、プライマリー卵巣癌「ポリクローナル」株化細胞YSK19に感染
させた場合の効果を示す。顕著なレベルの遺伝子発現が達成され、これは改変さ
れていないウイルスを用いるよりも顕著に多かった。感染は、時間の長さを変更
して行われ、わずか4時間のインキュベーション後に、両物質は最大の感染レベ
ルに到達したことを認めることができる。 図12は、Ad5−GFPまたはpHPMA−Gly−Phe−Leu−Gl
y−ONpで改変されたAd5−GFP(図中のEC82として参照される)を
用いた、中和抗体の感染阻害効果の評価を示す。A549細胞は10粒子/細
胞のAd5−GFP、またはpHPMAで改変されたAd5−GFP、またはb
FGFで再ターゲット化されたpHPMAで改変されたAd5−GFP(実施例
15で記載されるように調製された)で、種々の希釈率のウサギ抗−Ad5血清
の存在下で、感染された。感染後5日目に、細胞中のGFP蛍光が測定され、タ
ンパク質濃度が決定された。コートされたウイルスの感染性はbFGFの添加に
より回復された。中和は、Ad5−GFP単独では99.2%の低減であったの
に対し、再ターゲット化されたコートされたウイルスで20%までに抑制された
。 図13は、反応性ポリマーの濃度が、ポリマー改変されたアデノウイルスに残
っている感染活性におよぼす影響を示す。
【0042】 調製方法および実施例のより詳細な記載 核酸送達ビヒクルとしての使用のための、ポリマーでコートされたウイルス、
および本発明に従って構成された他の生物学的エレメントの調製のための、次の
実施例および合成ルートにおけるステージの記載は、本発明のさらなる例示を提
供し、さらにこれらのさらなる重要な特徴を開示する。しかし、それらは、如何
なる方法においてもこれらを制限するものとして構成されるべきではない。 他に示されない限りは、ポリマーのために示される分子量の値は、重量平均の
値を示すことが意図される。実施例においては、ウイルス濃度は、mLあたりの
ウイルス粒子の数として与えられる。これは、概して、対応する感染単位(in
fectious unit)数より顕著に多い。 第1の実施例(実施例1)においては、調製方法としては、本発明に従って、
保護親水性ポリマーコーティングを用いて形成されたアデノウイルスを記載する
【0043】 実施例1 N−2−ヒドロキシプロピルメタアクリルアミド(HPMA)および反応性エ
ステルをベースとした、ポリマー性前駆体によって形成された親水性ポリマーの
コーティングを有する、ポリマー改変されたウイルスの調製。 この実施例は、アデノウイルスと、HPMAがメタアクリロイル化−オリゴペ
プチド(グリシン−フェニルアラニン−ロイシン−グリシン)パラ−ニトロフェ
ニルエステルと共重合されてなる、いわゆるポリマー性前駆体とから構成される
、コートされたウイルスの形成に関する。 そのようなメタアクリルポリマー性前駆体は、親水性ポリマー物質を提供する
。それらは、概して、約20,000Daの分子量を有し、活性化されたエステ
ル基(−ONp)を有するオリゴペプチド側鎖4−10モル%を含む。オリゴペ
プチドはスペーサーとして機能し、サイズを変更することができるが、テトラペ
プチドGly−Phe−Leu−Glyは、リソソームのカテプシン酵素(チオ
ールプロテイナーゼ)によって生物分解されるためにデザインされた好ましい1
形態を示す。典型的な構造は以下の通りである。
【0044】
【化1】
【0045】 上述のようなメタアクリルポリマー性前駆体の調製は、概して、HPMAを、
N−メタアクリロイル化された関係するペプチドのp−ニトロフェニルエステル
と共重合する工程を含み、さらに「ポリマー性前駆体」中での、そのように形成
されたペプチド側鎖の末端p−ニトロフェノキシ基が、その後の、ウイルスの反
応性アミノまたは他の官能基との付加反応のための簡便な脱離基を提供する。N
−メタアクリロイル化されたオリゴペプチドのp−ニトロフェニルエステルの合
成、およびそのHPMAとのコポリマーは、文献に、特に、合成ポリマードラッ
グデリバリー剤に関連する記事または論文に充分に示されており、例えば、P.
Rejmanova et al”Aminolyses of Monome
ric and Polymeric 4−Nitrophenyl Este
rs of N−Methacryloylamino Acids”,(19
77),Makromol.Chem.178,2159−2168,Subr
.V,et al,”Polymers Containing Enzyma
tically Degradable Bonds”,(1992),Jou
rnal of Controlled Release,18,No.2,p
p.123−132、およびUlbrich,K.et al,”Polyme
ric Conjugates of Drugs and Antibodi
es for Site−Specific Drug−Delivery”M
acromolecular Symposia,(1996),103,pp
.177−192が挙げられる。また、欧州特許出願公開EP−A−01875
47号も参照、該文献の内容は本明細書の一部として参照される。
【0046】 反応性p−ニトロフェニルエステルまたは反応性p−ニトロフェノキシ基を有
する、側鎖を有する親水性ポリ(HPMA)ポリマーの調製は、特に、国際公開
第WO98/19710号の実施例3および4に開示される。 さらに、親水性ポリマーを構成するために、N−メタアクリロイル化オリゴペ
プチドと共重合されたHPMAのポリマー前駆体であって、該ポリマー前駆体に
おけるペプチド側鎖が欧州特許出願公開EP−A−0187547号に開示され
るように調製されるp−ニトロフェニルエステル基のかわりに、カルボキシル基
で末端を形成するような、前記ポリマー前駆体を使用することも可能である。好
適な触媒の存在下において(欧州特許出願公開EP−A−0187547号を参
照)、カルボキシル基は、コートされるべきウイルス上の1級アミノ基にニトロ
フェニルエステルの場合のように結合するであろう。しかし、カルボキシル基は
ウイルス中の反応性アルコール基と結合することができ、エステル基を形成とい
う、さらなる可能性も生じる。その場合には、そのようなエステル基は、酸で触
媒される分解または加水分解を通じて、その後に分解されることができる。
【0047】 アデノウイルス(25μg、8.6×1010ウイルス粒子に等しい)が、5
0mMのHEPESを含むリン酸塩で緩衝された生理食塩水(PBS)/グリセ
ロール(10%容量/容量)バッファー、pH7.4の、100μL中で、6℃
でインキュベートされた。反応性エステル基を有する親水性ポリマー(ポリマー
性前駆体)が水に溶解され、穏やかに混合しながら前記混合物に添加された(最
終濃度2.5mg/mL)。溶液は、エステル基と反応することができる、反応
性アミン(例えば、Trisバッファー)をはじめとする求核性基を含まないこ
とが重要である。溶液は、過剰にアルカリ性になることが、活性化されたエステ
ル基の望まれない加水分解を促進するであろうから、過剰にアルカリ性(例えば
、pHは8.2より大きくない)になるべきでないことも重要である。ウイルス
溶液のpHが7.0より低くなることがアデノウイルスの不活性化を開始するの
で、ウイルス溶液のpHが7.0より低くならないことも重要である。 −ONpエステル基とウイルスの1級アミノ基との間の反応は、エステルの濃
度の減少を測定することにより(274nm)または遊離の4−ニトロフェノー
ルの出現をモニターすることによる(404−410nm)、分光測定法でモニ
ターされた。1時間後、アミノエタノール(0.1%、容量/容量)が添加され
、反応を停止させた。いくつかの場合には、高濃度のウイルスの適用のために、
細胞への適用の前に、遊離の4−ニトロフェノールは、ひき続いてろ過または透
析により除去された。
【0048】 任意の反応条件は、HEPESバッファー、ホウ酸塩溶液または水中で、pH
7.0−8.2、温度4−10℃、最大ウイルス濃度1013粒子/mLでの穏
やかな混合(しかし、ボルテックスではない)を含み、架橋を最小化させる。 いくつかの例においては、pHは、反応の間に、水酸化ナトリウムまたはより
高いpHのバッファーを添加することにより、約pH8.0まで、徐々に上昇さ
せることができる。これは、1級アミノ基の反応性を促進するが、エステルの加
水分解速度も促進させるので、注意深く制御されなければならない。 反応は、pHを8.5に上げて、素早いエステル加水分解を促進させることに
より、または好ましくは、例えば、アミノエタノール、アミノプロパノールまた
はエチレンジアミンをはじめとする、低分子量の反応性アミンを添加することに
より停止させることができる。 そのように形成されたコートされたウイルスは、比較的安定であり、取り扱い
やすく、さらにそれらはカラムクロマトグラフィー(例えば、セファロース4B
−CL)によって、または密度勾配遠心分離法によって精製されることができる
ことも見出された。
【0049】 上述の実施例において使用される、テトラペプチド−パラニトロフェニルエス
テルを含む反応性親水性ポリマーの合成は、既に言及されている。反応性親水性
コーティングポリマーの注意深い選択が、結果として得られるコートされたウイ
ルスの特性に顕著な影響を及ぼすことができる。例えば、単純なオリゴペプチド
−ニトロフェノールエステル反応性側鎖を有するポリマーの使用が、p−ニトロ
フェノールの遊離を伴った、ウイルスの変化していないアミノ基とのアミノリシ
ス反応を導くが、加水分解成分も有意に存在する。加水分解生成物は、末端アミ
ノ酸での遊離のカルボン酸であり、よって、そのようなコートされたウイルスは
、しばしば強力な負の表面電荷を有することが認められる(例えば、−25mV
のゼータ電位)。他の化学作用としては、例えば、パラニトロフェノールの炭酸
エステルは、二酸化炭素を遊離して、アミノリシスにおけるのと同じ産物を生じ
させるが、加水分解の後にヒドロキシル基を生じさせる。結果として得られる、
コートされたウイルスの、測定されたゼータ電位は、概して、非常にゼロに近い
。 いくつかの他の反応性親水性ポリマーが、ウイルスの表面コーティングを達成
するために使用されることができる。これらは、ポリ−N5−(2−ヒドロキシ
エチル)−L−グルタミン(pHEG)をはじめとする他のポリマーバックボー
ンをベースにした反応性エステル、またはペンダント反応性エステルを有するオ
リゴペプチドまたはその他の生物分解可能な配列によって、エンドツーエンド(
end−to−end)で一緒になった、主としてポリ(エチレングリコール)
のブロックからなるバックボーンを含む反応性ポリマーを含む。これらの分子の
構造の注意深い選択が、それらを特定の酵素による、特定の部位における分解に
、または加水分解もしくは酸触媒された加水分解に適合させることができる。こ
れらの物質のいくつかの合成が後の実施例に記載されており、それらは、上述の
ものと同じプロトコルを用いた、ウイルスの表面の改変に特に有効な薬剤を作成
する。アミノ酸スペーサーを有さず、反応性ONp炭酸エステルを含む、ポリ−
N−(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)(pHEG)をベースにした反
応性親水性ポリマー物質は、pHEGのクロロホルメートとの反応によって生成
されることができ、これは容易に生物分解可能であることが公知である。
【0050】 ネットで強力な負の表面電荷を有するように形成されたコートされたウイルス
は、静脈内投与後に、貪食細胞、とりわけクッパー細胞による素早いスカベンジ
ングにかけられる。ネットで正電荷を有するコートされたウイルスは、毛細血管
ベッド、とりわけ、肺循環毛細血管内に蓄積されがちである。よって、延長され
た血漿中循環を達成するために最も良い表面電荷は、中性またはわずかに負であ
る。 ターゲッティング基または追加の遮蔽分子をはじめとする、他の生物活性分子
が、親水性ポリマー前駆体に取り付けられることができることが認識されるであ
ろう。以下の実施例(実施例2)においては、ターゲット化剤であるトランスフ
ェリンは、単にアミノリシスすることによって、またはその炭化水素成分の酸化
の後に導入される。
【0051】 実施例2 アミノリシスを用いた、トランスフェリン−ターゲット化された、コートされ
たウイルスの構築。 E1中に、サイトメガロウイルスイミディエート−アーリー(immedia
te−early)プロモーターの制御下で、β−ガラクトシダーゼレポーター
遺伝子をコードする、E1−欠損アデノウイルス(25μg、8.6×1010 ウイルス粒子に等しい)が、50mMのHEPESバッファーを含み、pHが7
.4、温度6℃である、リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)/グリセロール(1
0%容量/容量)100μL中で、インキュベートされた。反応性親水性ポリマ
ー(実施例1からのものとして、8モル%のGly−Phe−Leu−Gly−
4−ニトロフェノールエステルを有するpHPMA)が添加された(最終濃度2
.5mg/mL)。反応は、ホロトランスフェリン(20μg)の添加前に、1
時間行われ、次いで、さらに1時間、反応は継続された。その時点で、アミノエ
タノール(0.1%容量/容量)の添加により反応が停止され、ウイルスはさら
に30分間そのままにされ、次いで、透析により精製された。 別法として、上述の反応は、温度が6℃に維持され、pHを7.4に維持する
ようにプログラムされた自動滴定装置(例えば、Radiometerからのp
H−Stat)で行われることができる。
【0052】 次いで、コートされたウイルスは、2%のウシ胎児血清を含む培地中で、トラ
ンスフェリンレセプターポジティブのK562細胞(10細胞/ウエル、94
ウエルプレート中)と共に、最終ウイルス濃度10粒子/ウエルでインキュベ
ートされた。72時間後、細胞はリン酸塩バッファー(100mM、pH7.2
、トライトンX−100(0.1%容量/容量)含有)中に溶解され、その後、
市販のGalactolight(商標)発光アッセイキットを用いた、β−ガ
ラクトシダーゼレポーター遺伝子発現の測定を行った。トランスフェリンターゲ
ット化されたコートされたウイルスは、ターゲット化されていないポリマーでコ
ートされたウイルスよりも、顕著により高い遺伝子発現を媒介したことが見出さ
れ、そして、このトランスフェクション活性は、拮抗する遊離トランスフェリン
を過剰に添加することにより阻害されることができた。しかし、トランスフェリ
ンレセプターネガティブの293細胞とインキュベートされる場合には、これら
トランスフェリン−ターゲット化された複合体は、トランスフェクション活性を
示さなかった。 この、コートされたウイルスを用いる、トランスフェリン−ターゲット化され
た遺伝子発現のデモンストレーションにもかかわらず、従前においては、コート
されたウイルスがエンドソーム/リソソームシステムから出て、細胞質に入るこ
とができるかどうかが不明であったので、この結果はむしろ予期しないものであ
った。この実施例は、トランスフェリンで媒介される内部移行において、コート
されたウイルスの細胞内への導入の後に、該コートされたウイルスの能力が有効
に機能することを示す。
【0053】 実施例3 炭化水素の酸化を用いた、トランスフェリンターゲット化されたコートされた
ウイルスの構築。 アデノウイルスが、上述の反応性親水性ポリマーでコートされた。しかし、実
施例2と異なり、トランスフェリンが使用されず、さらにコーティング反応が2
0倍のモル過剰量のジアミノエチレンの添加で停止された。これは、結果として
、残っている未反応のONpエステル基を介して、コートされたウイルスの表面
上にアミノ基を導入させた。該アミノ基を有するコートされたウイルスは、セフ
ァロース4B−CL上でのゲルろ過によって、溶出液として蒸留水を用いて、遊
離のジアミンから精製された。 トランスフェリン炭化水素鎖の酸化のために、10mgのトランスフェリン(
0.13μモル)が、0.45mLの酢酸ナトリウムバッファー(pH5.0、
30mM)に溶解され、0℃に冷却された。新たに溶解された過ヨウ素酸ナトリ
ウム(10mg/mLの溶液を50μL)が添加され、90分間、0℃、暗所で
反応が行われた。酸化されたトランスフェリンは、プレパックされたPD10カ
ラム(Pharmacia)上でゲルろ過で精製され、アルデヒド基の存在が、
アニスアルデヒドテストを用いて示された。酸化されたトランスフェリンは、p
H5.0で保たれ、自己反応を防止した。
【0054】 酸化されたトランスフェリンの、アミノ官能基を有するコートされたウイルス
への架橋のために、pHが7.4に調節され、好適な量の、酸化されたトランス
フェリンが、精製されたコートされた複合体に加えられた。混合物は、1−2時
間放置され、シッフ塩基タイプの共有結合の形成を可能にした。引き続いて、シ
ッフ塩基は、過剰のシアノボロハイドライドを用いた、最低1時間の還元によっ
て安定化された。最終的に、ウイルスは導入されていないトランスフェリンおよ
びシアノボロハイドライドから精製され、さらにセファロース4B−CLまたは
等価物上で、PBSpH7.4を溶出液として、ゲルろ過することにより滅菌さ
れた。 生物学的活性は、上述のように示された。
【0055】 実施例4 ヘテロ2官能性架橋剤を用いた、トランスフェリンターゲット化されたポリマ
ーコートされたアデノウイルスの構築。 この方法は、SH基を有する、ポリマーでコートされたウイルスの製造、およ
び該SH基のSH−反応性トランスフェリン分子との結合を含む。 ウイルス調製は、アデノウイルスを許容細胞系内で増殖させることにより生産
が行われた。システアミン(2−アミノエタンチオール)がpHPMA−ベース
の反応性コーティングポリマーと異なる比率(2〜25%、反応性エステルと当
量)で、ウイルスの添加の前に反応された。この反応は、pH−Stat(Ra
diometer)内で、pH7.4、16℃で、次のように行われた。 前駆体型の親水性コーティング物質の好適な量(例えば、8モル%の活性化さ
れたエステル基を有するpHPMA−ベースのコポリマーを400μg/mL)
が水に溶解され、所望の量のシステアミンが添加された。ポリマー前駆体のシス
テアミンとの反応は、pHを7.4に上昇させることによって開始された。反応
は非常に速く、3分後には本質的に完了する。改変されたポリマー前駆体はpH
6.0で貯蔵され、望まれない加水分解を防止した。
【0056】 次いで、等しい容量のアデノウイルスが、改変されたポリマー前駆体に添加さ
れた。コーティング物質の、ウイルスのアミノ基との反応はpHを7.4に上げ
ることにより開始され、2時間の間続けられた。次いで、未反応のONpエステ
ル基が過剰量のアミノプロパノールと反応された。 スルフィド−反応性トランスフェリンは次のように調製された。トランスフェ
リンは、25ng/mLで水に溶解された。1−2モル当量の間の、スクシンイ
ミドピリジルジチオプロピオネート(SPDP)が添加された(25mg/mL
のトランスフェリン1mLに対して、約20μLの10mg/mLのSPDP溶
液が使用された)。混合物は1時間室温で放置され、その後、PD10カラムを
用いたゲルろ過にかけられた。
【0057】 次いで、スルフィド−反応性ピリジルジチオプロピオネート−トランスフェリ
ン(PDP−Tf)が、スルフィドを有するコートされたウイルス上に反応され
た。これは、好適な量のPDP−Tfを、中性条件下で上述のように調製された
コートされたウイルスの溶液に添加することにより行われた。交換反応はオーバ
ーナイトで続けられた。 全ての反応は、脱ガスされた溶液を用いて、酸素が存在しない雰囲気中で行わ
れ、潜在的に凝集物の形成を導く、コーティングポリマーによるジスルフィド結
合の形成を防止した。同じ理由で、コーティング物質のスルフィド基を超える過
剰なモル数のスルフィド反応性トランスフェリンが使用される。全ての反応の完
了後、ウイルスは、セファロース4B−CLまたは他の好適なマトリックス上で
の無菌のゲルろ過によって、導入されなかった物質および反応副生成物から精製
され、滅菌された。リン酸塩緩衝生理食塩水が溶出液として使用された。生物学
的活性は、上述のように示された。
【0058】 実施例5 ウイルス複合体のpEG−SHとの反応。 アデノウイルスは、実施例4において示される、反応性エステルおよび遊離の
チオール基を有する多価ポリマーを用いてインキュベートされ、表面が改変され
た。コートされたウイルスは、アルゴン下で、リン酸塩バッファー、pH7.4
(酸素不含)3mL中のpEG−SH100mg溶液と混合された。反応は、室
温で4時間行われた。製造されたpEG−含有複合体は、アガロースゲル電気泳
動、原子力顕微鏡、および光子相関スペクトロスコピーによって検査された。ジ
スルフィド結合を介した、pEG(5モル%)のグラフティングは、DTTと反
応後、UV分光法(412nmでの吸収)によって確認され、続いて、5,5’
−ジチオビス(2−ニトロベンゾイックアシッド)(DTNB)を用いて、放出
されたpEG−SHを定量的に決定した。
【0059】 実施例6 ポリマーバックボーンが生物分解可能である反応性親水性ポリマーでの、ウイ
ルスのコーティング。 この実施例においては、アデノウイルスは、ペンダント反応性エステルを有す
る親水性ポリマー、すなわち、pEG−ペプチド−ONp繰り返しポリマーを用
いて表面を改変することにより安定化された。この親水性ポリマーは、ポリ(エ
チレングリコール)とトリペプチドの交互のブロックから形成され、ポリマーバ
ックボーン中に、タンパク質分解可能性を導入するようにデザインされ、国際公
開WO98/19710号の実施例11のパート11.1および11.2に開示
されるように調製された。 反応性pEG−ペプチド−ONp繰り返しポリマー(DMSO中に溶解された
)は、HEPESバッファー(50mM)(PH7.4)を含むPBS/グリセ
ロール(10%)中のウイルスに添加され、最終濃度を200μg/mLにした
。溶液は、遊離のパラニトロフェノールが放出され、徐々に黄色くなった。ウイ
ルスの感染性は、A549細胞に対する力価を測定することにより決定され、さ
らに、該感染性は、ポリマーコーティングの存在により低減されることが認めら
れた。
【0060】 実施例7 ヒドラジン基で誘導されたポリマーを用いた、アルデヒド基を有する生物学的
エレメントの表面の改変。 エンドソームのpHで酸不安定でかつレイビル(labile)である結合を
介した表面コーティングポリマーの付着は、本発明の重要な1態様である。この
目的に適する、いくつかの化学的ストラテジーが存在するが、ここではその1つ
が例示される。
【0061】 ヒドラジン−改変された親水性ポリマーの合成 (a)第1ステージ:pHPMA−ONpの、コハク酸t−ブチル−オキシカル
ボニルヒドラジンとのカップリング 0.2gのpHPMA−ONpが、pH8.0、HEPESバッファー中、エ
チレンジアミンでアミノリシスされた。物質は水中で透析され、コハク酸t−ブ
チルオキシカルボニルヒドラジン(20.64mg、0.156mモル)と混合
された。溶液のpHは、HClで5.0に調節された。続いて、水中の300m
gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(ED
C)(1.56mモル)がこの溶液に添加された。反応の間、pHはHClで5
.0に維持された。オーバーナイトで撹拌後、溶液は水で48時間の間透析され
た。ポリマーは、凍結乾燥によって集められた。置換の程度はH−NMRによ
って測定され、4%であった。 (b)第2ステージ:t−ブチルオキシカルボニル(BOC)保護基の除去 この改変されたpHPMA誘導体(上述のもの)0.2gが10mLのトリフ
ルオロ酢酸中に溶解された。混合物は1時間の間撹拌され、溶媒は減圧蒸発させ
られた。残留物は水に溶解され、さらに48時間透析された。ポリマーは凍結乾
燥により集められた。置換の程度はH−NMRによって測定され、3.8%で
あった。 (c)第3ステージ:Aspergillus fumigatus胞子の、ヒ
ドラジン改変されたpHPMAでのグラフト化 Aspergillusの胞子(50μg)が、ヒドラジン改変されたpHP
MA(200μg)と共に、クエン酸塩バッファー、pH5.0中で、撹拌して
、2時間インキュベートされた。胞子上にグラフトされるpHPMAの量は、ベ
ネディクト試薬を用いて胞子に随伴するアルデヒド基を測定した後に、算出され
た。
【0062】 実施例8 フルオレスカミンアッセイによる、野生型アデノウイルスタイプ5(wt A
d5)粒子のpHPMA−Gly−Gly−ONp改変の測定。 wt Ad5表面タンパク質のアミノ基改変の程度を定量するために、アミノ
反応性のフルオレスカミンを用いて、pHPMA−Gly−Gly−ONp処理
されたアデノウイルスが、改変されていないAd5に対して比較された。 100μLのPBSグリセロール(10%)、50mMのHEPES、pH7
.4中での25μg(8.6×1010)のwt Ad5粒子が、0−250μ
gのpHPMA−Gly−Gly−ONpで、氷上で、1時間処理された。この
調製物1mgが、375μLのPBSグリセロール(10%)中で希釈され、1
00μg/mLのフルオレスカミン含有アセトンで500μLにされた。フルオ
レスカミンでの反応後5分で、クオーツキュベット中、392ex:480em
で蛍光が測定された。結果は、未処理のウイルスと比較した、アミノ基の喪失の
パーセントで示され、ウイルス上の未反応のフルオレスカミンによるバックグラ
ウンドのシグナルが除かれた(図1)。
【0063】 実施例9 4−ニトロフェノールの放出による、pHPMA−Gly−Gly−ONpの
wt Ad5との反応の測定。 pHMPAのアミノ基との反応、または加水分解による反応は、遊離の4−ニ
トロフェノールを生じさせ、該4−ニトロフェノールは404nmまたは410
nmで測定されることができる。別法では、反応性エステルの喪失が274nm
でモニターされることができる。 PBSグリセロール(10%)および50mMのHEPES、pH7.4−8
.5中での、250μg/mLのwt Ad5は、5mg/mLのpHPMA−
Gly−Gly−ONpで処理され、遊離のパラニトロフェノールの生成が、1
mLのクオーツキュベット中で、異なるpH値での時間の関数として測定された
。反応速度は、バックグラウンドレベルの加水分解を測定するために、ウイルス
が存在しない、pHPMA−Gly−Gly−ONpと比較された(図2)。ウ
イルスの存在は、顕著により早い反応を誘発し、このことはウイルスとポリマー
との間における、共有結合の形成を示す。反応は、pH7.8−8.0で最も効
率的であり、この場合、アミノリシス:加水分解の比率が最も高い。
【0064】 実施例10 pHPMA−Gly−Gly−ONpによる、wt Ad5ファイバー改変の
ウエスタンブロットによるデモンストレーション。 pHPMA−Gly−Gly−ONpとの反応後の、ウイルスタンパク質に与
えられた移動性の変化を測定するために、コートされたウイルスがSDS−PA
GEによって分析され、抗体(この場合は、抗−ファイバー抗体)を用いて検出
するためにニトロセルロースペーパーにトランスファーされた。 25μg(8.6×1010)のwt Ad5粒子が、100μLのPBSグ
リセロール(10%)および50mMのHEPES、pH7.4中で、0−25
0μgのpHPMA−Gly−Gly−ONpで、1時間、氷上で処理された。
続いて、0.1%のアミノエタノールが添加され、余分のエステル基との反応を
完了させた。2μg(6.9×10)のwt Ad5粒子は、12%SDS
PAGEゲル上、2時間、200Vで変性され、分離された。次いで、タンパク
質は、45分間、10Vで、ニトロセルロースにトランスファーされ、電気泳動
された。次いで、ニトロセルロースメンブレンは0.1%Tween PBS、
5%Marvel中で、1時間、室温でブロックされ、その後、0.1%Twe
en PBS中の、1/1000希釈のモルモット抗Ad5ファイバー抗体で、
1時間、プローブ処理された。メンブレンについて、0.1%Tween PB
Sで10分間の洗浄を3回行い、0.1%PBS Tween中で、1時間、1
/10000希釈の抗モルモットペルオキシダーゼ結合体(SIGMA)に暴露
した。結果(図3)は、充分な濃度のポリマーが使用される場合に、移動性が低
減されることを示す。
【0065】 実施例11 pHPMA−Gly−Gly−ONpでの改変による、wt Ad5の細胞変
性効果の低減。 野生型Ad5は、高効率で、多くのタイプの細胞に感染し、このことは、細胞
変性効果(CPE)と呼ばれる、細胞の形態の明らかな変化を引き起こす。wt
Ad5の多価親水性ポリマー、この場合はpHPMA−Gly−Gly−ON
pでの改変は、次のプロトコルによって観察される、wt Ad5の細胞変性効
果を起こす能力を低減させる。 100μLのPBSグリセロール(10%)および50mM HEPES、p
H7.4中での、25μg(8.6×1010)のwt Ad5粒子が、氷上で
、1時間、0−250μgのpHPMA−Gly−Gly−ONpで処理された
。続いて、0.1%アミノエタノールが添加され、余分なエステル基との反応を
完結させた。0.25μg(8.6×10)のこの調製物は、2mMのグルタ
ミンが添加された10%ウシ胎児血清DMEMの500μL中に希釈され、24
ウエルプレート中の、単層のA549細胞(10)とインキュベートされた。
次いで、48時間後、細胞単層のイメージがデジタルカメラで捕捉された(図4
)。pHPMA−Gly−Gly−ONpで処理された8.6×10のアデノ
ウイルス粒子は、この濃度が、アデノウイルスが100%のCPEを生じさせる
のに通常必要とされる値の860倍であるにも拘わらず、CPEを引き起こすこ
とができなかったことに注目すべきである。
【0066】 実施例12 抗体の、pHPMA−Gly−Phe−Leu−Gly−ONp処理されたア
デノウイルスとの相互作用の低減。 アデノウイルスがターゲット細胞に感染する能力は、中和抗体の存在によって
低減されることができる。ここで記載される調製物においては、最適とはいえな
いが、抗体結合の実質的な損失が観察された。 20ngの、熱処理されたwt Ad5(56℃、30分)が、96ウエルプ
レートのPBSグリセロール(10%)100μLに添加され、2時間置かれた
。その間に、wt Ad5、またはpHPMA−Gly−Phe−Leu−Gl
y−ONp処理されたwt Ad5の連続2倍希釈物(最大濃度5μg/mL)
が、PBS0.1%Tween中のウサギ抗Ad5血清(1/1000)で1時
間、プレインキュベートされた。次いで、プレインキュベートされた混合物は、
ウォッシュ(PBS0.1%Tween×3回、PBS×3回)された、wt
Ad5でコートされた96ウエルプレートに添加され、2時間の間置かれ、残り
の抗体を結合させた。次いで、プレートは再びウォッシュされ(PBS0.1%
Tween×3回、PBS×3回)、二次抗ウサギペルオキシダーゼ結合体(1
/10000)がPBS0.1%Tweenに添加され、さらに2時間置かれた
。0.1Mクエン酸塩バッファー中に溶解されたOPD試薬の添加により、着色
反応が開始され、30分間置かれ、次いで、反応は4M HSOの50μL
で停止され、490nmで測定された。結果は、ポリマー改変されたアデノウイ
ルスによる、低減された抗体結合を示す(図5)。
【0067】 実施例13 pHPMA−Gly−Gly−ONp処理後の、A549細胞でレポーター遺
伝子を発現するAd5−GFPの能力の喪失、および電子顕微鏡によるコートさ
れたウイルスのキャラクタリゼーション。 多官能性親水性ポリマー、この場合は、pHPMA−Gly−Gly−ONp
でのアデノウイルスのコーティングは、A549細胞中での、グリーン蛍光タン
パク質(GFP)レポーター遺伝子によって記録される遺伝子発現を妨げた。 PBSグリセロール(10%)および50mM HEPES、pH7.4の、
100μL中での、25μg(8.6×1010)のAd5−GFP粒子が、0
−250μgのpHPMA−Gly−Gly−ONpで、氷上、1時間処理され
た。続いて、0.1%のアミノエタノールが添加され、余分なエステル基との反
応を完了させた。コートされた、およびコートされていないウイルスは、透過型
電子顕微鏡を用いて可視化された。コートされていないウイルスとコートされた
ウイルスとの間の、ホスホタングステン酸に対する親和性の違いが、ポリマー表
面コートの存在を示し、コートされたウイルスは、非常にわずかに、より大きい
直径を示し、ポリマーの表面コーティングの存在と一致した。ポリマーコーティ
ングの後に、少量の凝集体の存在も示唆され、いくつかのウイルスはダイマーま
たはトリマーとして認められた(図6)。10−10の、この調製物粒子が
、96ウエルプレート中、2mMグルタミンが添加された2%ウシ胎児血清含有
DMEM中の、10のA549細胞に添加された。72時間後、細胞は0.2
%Triton、pH7.2の100mMのリン酸カリウムバッファーを用いて
溶解され、96ウエル蛍光計を用いて、蛍光が測定された。結果は、コーティン
グ処理後の、感染活性の完全な喪失を示した(図7)。
【0068】 実施例14 pHPMA−Gly−Gly−ONp処理後の、HUVE細胞でのレポーター
遺伝子を発現する、Ad5−GFPの能力の喪失。 多官能性親水性ポリマー、この場合は、pHPMA−Gly−Gly−ONp
でのアデノウイルスのコーティングは、HUVE細胞中での、グリーン蛍光タン
パク質レポーター遺伝子によって記録される遺伝子発現も妨げた。 PBSグリセロール(10%)および50mM HEPES、pH7.4の、
100μL中での、25μg(8.6×1010)のAd5−GFP粒子が、0
−250μgのpHPMA−Gly−Gly−ONpで、氷上、1時間処理され
た。その後、0.1%のアミノエタノールが添加され、余分なエステル基との反
応を完了させた。10−10の、この調製物粒子が、96ウエルプレート中
、2mMグルタミンが添加された2%ウシ胎児血清含有DMEM中の、10
ellのHUVE細胞に添加された。72時間後、細胞は0.2%Triton
、pH7.2の100mMのリン酸カリウムバッファーを用いて溶解され、96
ウエル蛍光計を用いて、蛍光が測定された。結果は、コーティング処理後の、感
染活性の完全な喪失を示した(図8)。
【0069】 実施例15 pHPMA−Gly−Gly−ONpで改変されたウイルスの再ターゲット化
後の、A549、HUVE、A9、SKOV3およびYSK19細胞における、
遺伝子発現の回復。 上述のように、アデノウイルスを多官能性親水性ポリマー、この場合、pHP
MA−Gly−Gly−ONpでコーティングすることが、グリーンの蛍光タン
パク質レポーター遺伝子により記録される遺伝子発現を妨げる(実施例13およ
び14)。図9は、コーティング方法の適用後に観察される、感染活性の完全な
喪失が、ターゲット化剤としてのbFGFの導入により回復されることができる
ことを示す。bFGFで再ターゲット化されたポリマーでコートされたアデノウ
イルスは、改変されていない親のAd5−GFPに匹敵する遺伝子発現のレベル
を示した。これに対して、VEGFで再ターゲット化されたコートされたウイル
スは、低い活性しか示さず、おそらく、既に示されたように、これらの細胞上に
は、少数のVEGFレセプターしか存在していないことを反映しているのであろ
う。
【0070】 この特徴を立証するものとして、PBS/グリセロール(10%)および50
mM HEPES、pH7.4の、100μL中に、25μg(8.6×10 )のAd5−GFP粒子が、250μgのpHPMA−Gly−Phe−Le
u−Gly−ONpで、氷上、1時間処理された。次いで、10μgのbFGF
またはVEGFが添加され、さらに1時間置かれた。続いて、0.1%のアミノ
エタノールが添加され、任意の余分なエステル基との反応を完了させた。A54
9細胞が96ウエルプレート中に播種され(10細胞/ウエル)、サンプルは
、フェノールレッドを含まない2%ウシ胎児血清(FCS)/DMEM中で、グ
リーン蛍光タンパク質の遺伝子をコードするE1欠損アデノウイルス(Adgf
pΔE1)、ポリマーでコートされたAdgfpΔE1(pc−AdgfpΔE
1)、bFGF−再ターゲット化pc−AdgfpΔE1(bFGF−pc−A
dgfpΔE1)またはVEGF−再ターゲット化pc−AdgfpΔE1に感
染させられた。感染後(pi)48時間に、細胞がgfp蛍光で評価された。
【0071】 同じ方法が、HUVE細胞に適用された。図10は、HUVE細胞を用いて測
定される、Ad5−GFPのポリマーコーティング(PC)後の、感染性の抑止
が、ターゲッティングリガンドとしてのbFGFの導入によって戻されることが
できることも示す。これらの細胞においては、bFGFでの再ターゲット化は、
親のコートされていないウイルス(V)を用いて観察される感染性よりも、より
高い感染性を生じさせる。VEGFも、これらの細胞において、効果的な再ター
ゲット化剤として機能し、HUVE細胞上に発現する高レベルのVEGFレセプ
ターと一致して、コートされてないウイルスを使用して達成される感染性よりも
、さらにより高いレベルの感染性を媒介する。 感染の選択性およびCAR独立性は、細胞をアデノウイルスファイバーノブド
メイン(50μg/mL;A549細胞)またはbFGF(100ng/mL;
HUVE細胞)とプレインキュベート(1時間、37℃)することにより、また
はウイルスを、bFGFに対して(Transduction Laborat
ories,San Diego,USA)もしくはVEGFに対して(Sig
ma,Poole,UK)生じるモノクローナル抗体(100μg/mL)それ
ぞれ単独で、または組み合わせて(HUVE細胞)プレインキュベートすること
により示される。アデノウイルスファイバーノブドメインが、再ターゲット化さ
れたウイルスではなく、正常のウイルスによる感染を阻害する能力は、正常なC
AR−結合が、再ターゲット化されたウイルスの感染において関与していないこ
とを示す。遊離のbFGFが、再ターゲット化されていないウイルスを用いて、
トランスジーン発現を増強させることできないことは、感染を促進するために、
リガンドがウイルスに結合されなければならないことを示す。抗−bFGF抗体
および抗−VEGF抗体による、bFGFおよびVEGFターゲット化ウイルス
をそれぞれ用いた、HUVE細胞の感染阻害は、これらのリガンドがHUVE細
胞の再ターゲット化された感染の原因であることを示す。
【0072】 マウスA9細胞はCARを発現せず、正常なアデノウイルス5による感染に対
して感染性ではない。これに対して、A9−21細胞は、ヒト染色体21の導入
により、ヒトCARを発現するように加工されている。図10に示されるように
、正常なアデノウイルスはA9に感染することができないが、A9−21細胞に
感染することができる。これに対して、bFGF再ターゲット化されたポリマー
コートされたウイルスは、両方の培養細胞株に効率良く感染する。これは、正常
なレセプターが存在していなくても、どのように、アデノウイルスが再ターゲッ
ト化され、特定のターゲットに関連するレセプターを介して感染することができ
るかの明確な例である。 感染は、bFGFを用いて再ターゲット化するための同じ方法を用いて、SK
OV3ヒト卵巣癌細胞においても回復された。達成された感染のレベルは、改変
されていないウイルスに対するものよりも実質的に高かった。感染は、ターゲッ
トリガンドとしての上皮成長因子(EGF)並びに、抗体であって、Her2、
Muc−1、並びにbFGFおよびEGFレセプターの細胞外部分を認識する該
抗体を用いても、回復された(データは示さない)。同様に、ポリマーでコート
されたアデノウイルスをbFGFを用いて再ターゲット化することは、長期の培
養(extended culture)のためにin vitroで成長され
た、プライマリー卵巣癌ポリクローナルセル”ライン”YSK19において、図
11によって示されるように、高レベルの遺伝子発現を達成した。これらの細胞
において達成される遺伝子発現のレベルは、改変されていないウイルスによって
達成されるレベルよりも約4倍高かった。
【0073】 実施例16 アミノ末端を有するポリ(HPMA)の合成。 アミノ末端を有するポリ(HPMA)ポリマーが、連鎖移動剤としての2−ア
ミノエタンチオールヒドロクロライド(AET)の存在下で、HPMAのラジカ
ル重合によって調製された。ポリマーは、メタノール中、50℃で、24時間重
合することによって得られた。重合混合物中の試薬の濃度は次の通りである:H
PMA 0.79M、開始剤AIBN 3.3×10−3M、AET 5×10 −3 −5×10−2M。分子量が2000〜20000g/モルの範囲であるポ
リマーが、20倍過剰のアセトン−ジエチルエーテル(3:1)中での沈殿によ
って回収された。ポリマーの分子量は、Superose12(商標)カラム上
のFPLCによって、移動相としてpH8.0、0.5M NaCl含有、0.
05Mトリスバッファー中で決定された。末端アミノ基の含有量は、2,4,6
−トリニトロベンゼンスルホン酸を用いた比色アッセイによって測定された。
【0074】 実施例17 ポリ〔(HPMA)−co−(メタアクリロイル(MA)−Gly−Phe−
Leu−Gly−ONp)〕−グラフト−ポリ(HPMA)の合成。 ポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Phe−Leu−Gly−ONp
)〕が無水DMSOに溶解され、計算された量のアミノ末端を有するポリ(HP
MA)が添加され、活性エステル基の必要とされる部分を改変した。溶液は12
時間、25℃で撹拌された。ポリマーは、20倍過剰のアセトン−ジエチルエー
テル(容量比3:1)中での沈殿によって単離され、さらに20%メタノール溶
液からアセトン中に再沈殿させた。 残っているp−ニトロフェニル活性エステル基の量は、DMSO中で280n
mのUV吸収を測定することにより決定された。得られたポリマーの特徴(数平
均分子量および重量平均分子量の両方)は、オンライン18アングル光散乱検出
器WYATTを備えたFPLCにより特定された。
【0075】 実施例18 ポリ〔(HPMA)−co−(MA−Gly−Phe−Leu−Gly−ON
p)〕−グラフト−オレイルアミンの合成。 ポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Phe−Leu−Gly−ONp
)〕が無水DMSOに溶解され、計算された量のオレイルアミンが添加され、活
性エステル基の必要とされる部分を改変した。溶液は2時間、25℃で撹拌され
た。ポリマーは、20倍過剰のアセトン−ジエチルエーテル(容量比3:1)中
での沈殿によって単離され、さらに20%メタノール溶液からアセトン中に再沈
殿させた。 残っているp−ニトロフェニル活性エステル基の量は、DMSO中で280n
mのUV吸収を測定することにより決定された。オレイル基の含有量は、DMS
O−d中のH−NMRにより、オレイル二重結合(5.3ppm)のシグナ
ルを用いて評価された。得られたポリマーの特徴(数平均分子量および重量平均
分子量の両方)は、WYATTによる製造される、オンライン18アングル光散
乱検出器を備えたFPLCにより特定された。
【0076】 実施例19 pHPMA−Gly−Gly−ONpでのワクシニアウイルスの表面改変によ
る、プラークアッセイによる感染性の低減。 ポックスウイルスファミリーの代表的なメンバーとして、ワクシニアウイルス
が選択され、pHPMAベースの多価ポリマーを用いた表面の改変を示した。多
官能性親水性ポリマーでのワクシニアウイルスの表面改変は、本来の感染活性の
低減をモニターすることによって測定されることができる。感染活性は、次のプ
ロトコル(注(Nb.)、ウイルス粒子の架橋を低減させるために、低濃度(<
20μg/mL)、および短時間のソニケーションが必要とされることが見出さ
れた。)を用いて、bFGFの導入によって、野生型のレベルの大きさの1オー
ダーの範囲内まで、続けて回復されることができる。PBSおよび50mM H
EPES、pH7.4の、100μL中の、10μg(〜2.3×10)のワ
クシニアウイルスの粒子が100μgのpHPMA−Gly−Gly−ONpで
、氷上、1時間処理された。次いで、10μgのbFGFが添加され、さらに1
時間置かれた。続いて、0.1%(容量/容量)のアミノエタノールが添加され
、余分なエステル基との反応を完了させた。75%コンフルエントのHeLa細
胞を含む20mmプレート上での、粒子の連続希釈によって、ウイルス力価が測
定された。72時間後、クリスタルバイオレット染色を行い、プラークがカウン
トされた。
【0077】 実施例20 pHPMA−Gly−Gly−ONpを用いたレトロウイルスの表面改変。 RNAを含有し、エンベロープを有するウイルスの表面改変を示すために、ニ
トロリダクターゼ(NTR)遺伝子を発現するレトロウイルス、rv.AM12
.LNCが選択された。NTR発現は、株化細胞SKOV3の、プロドラッグ(
CB1954)への感受性を、該プロドラッグを活性なバイファンクショナルの
アルキレーティング種に転化することにより、増強させるものであり、これは結
果として、感染の測定法として毒性が使用されることとなる。rv.AM12.
LNCのpHPMA−Gly−Gly−ONpでの表面改変は、NTR発現レベ
ルを検出可能なレベル以下まで低減させた。しかし、NTRの発現およびSKO
V3細胞のCB1954への感受性は、次のプロトコルを用いたbFGFの導入
後に、野生型のレベルの50%以内まで回復された。 PBSおよび50mM HEPES、pH7.4の、100μL中の、濃縮さ
れたレトロウイルス粒子(5×10プラーク形成単位、PFU)が、100μ
gのpHPMA−Gly−Gly−ONpで、氷上、1時間処理された。次いで
、改変されたウイルスを再ターゲット化するために、10μgのbFGFが添加
され、さらに1時間置かれた。その後、0.1%(容量/容量)のアミノエタノ
ールが添加され、余分なエステル基との反応を完了させた。500mLのこの調
製物が、2mMグルタミンが添加された10%ウシ胎児血清を含有するDMEM
中に、5mLとなるように希釈され、さらに10cmのプレート中、ポリブレン
の存在下で、10のSKOV3細胞に添加された。
【0078】 実施例21 A549細胞においてbFGFを用いて、再ターゲット化されたポリマーでコ
ートされたアデノウイルスのトランスフェクション活性の、中和抗体による阻害
に対する耐性。 既に示されたように、多官能性親水性ポリマー、pHPMA−Gly−Gly
−ONpで、アデノウイルスをコートすることは、グリーン蛍光タンパク質レポ
ーター遺伝子により記録されるような、遺伝子発現を阻害する。この例において
、A549細胞は、種々の希釈のウサギ抗Ad5血清の存在下で、10粒子/
細胞のAd5−GFP、またはpHPMA−改変されたAd5−GFP、または
bFGF−再ターゲット化されたpHPMA−改変されたAd5−GFP(実施
例15に記載されるように調製される)で感染された。感染から5日後に、細胞
中のGFP蛍光が測定され、タンパク質濃度が決定された。コートされたウイル
スの感染性は、bFGFを添加することにより回復された。中和は、Ad5−G
FP単独での99.2%の低減と比較して、再ターゲット化されたコートされた
ウイルスでは、20%より少い量の低減であった。
【0079】 実施例22 混合されたポピュレーションにおける、レセプターポジティブのターゲット細
胞の選択的な感染を達成するためのアデノウイルスの再ターゲット化。 この実施例は、VEGFで再ターゲット化された、pHPMAでコートされた
アデノウイルスを用いた、混合された細胞ポピュレーションにおける、ターゲッ
ト化された感染性を示す。 SUIT2ヒト膵臓癌およびヒト臍静脈内皮(HUVE)細胞が個別に成長さ
せられ、トリプシン処理され、DMEM/2%FCSまたはM199/20%F
CS中にそれぞれ、5×10細胞/mLの濃度で再懸濁された。細胞は同じメ
ンバーとなるように混合され、37℃、2時間のリカバリーの後、ウイルスが添
加され(10粒子/細胞)、さらに1.5時間インキュベートされ、その後、
ゼラチンコートされた24ウエルプレートに播種された。フェーズコントラスト
および蛍光イメージが、感染後(pi)48時間で測定された。これらは、改変
されていないウイルスは優先的にSUIT2細胞に感染するが、VEGF再ター
ゲット化されたウイルスは選択的にHUVE細胞に感染することを示した。
【0080】 実施例23 in vivoにおける、ターゲットガン細胞のレセプターに媒介されるトラ
ンスフェクションを達成するためのアデノウイルスの再ターゲット化。 3×10SUIT2細胞が、ヌードマウス(Balb/C、雌、6−8週齢
)の腹腔内にインジェクトされた。48時間後、マウスは1010粒子の(A)
改変されていないアデノウイルスAdgfpΔE1;(B)ポリマーコートされ
たアデノウイルスpc−AdgfpΔE1;もしくは(C)bFGF−再ターゲ
ット化されたポリマーでコートされたウイルスbFGF−pc−AdgfpΔE
1が投与されたか、または(D)マウスは同じルートで、3×10粒子のbF
GF−再ターゲット化されたポリマーでコートされたウイルスbFGF−pc−
AdgfpΔE1が投与された。さらに、48時間後、動物は屠殺され、腹腔内
からガン細胞が回収された。Zeiss Axiovert25顕微鏡を用いて
、GFP蛍光が写真に撮られ、またフローサイトメトリーによって細胞が分析さ
れた。細胞は、SUIT2細胞のネガティブコントロールに対してゲートとされ
(gated)、最小蛍光閾値が、0.1%のコントロール細胞を含むものにセ
ットされた。得られたイメージは、(A)7.3%のポジティブ細胞:平均蛍光
チャンネル(MFC)120.5;(B)0.06%のポジティブ細胞:MFC
6.0;(C)8.69%のポジティブ細胞:MFC97.0;(D)2.61
%のポジティブ細胞:MFC64.0;を示した。全体では、これは、改変され
ていないウイルス(A)およびbFGF再ターゲット化されたポリマーでコート
されたウイルス(CおよびD)は、in vivoで細胞に感染する能力を有す
るが、ターゲット化されていないポリマーでコートされたウイルスは該能力を有
しないことを示した。
【0081】 実施例24 ポリマー濃度量の、コートされたウイルスの感染性に及ぼす影響。 β−ガラクトシダーゼの遺伝子をコードするアデノウイルス5が、200μg
/mLから20mg/mLまでの範囲の量の、反応性ポリマーpHPMA−Gl
y−Gly−ONpと、1時間、室温で反応され、その後、残っている反応性基
がアミノリシスされた。次いで、ポリマーでコートされたウイルスは、A549
細胞を感染させるために使用され、β−ガラクトシダーゼ遺伝子発現のレベルが
48時間後に測定された。図13は、ポリマー濃度5−10mg/mLを用いる
と、感染の最大阻害が達成され、この濃度は、ポリマーのより低い濃度(200
μg/mL−2mg/mL)よりも、2−3log大きい阻害が達成されたこと
を示す。ポリマーが、ウイルスの添加の前にアミノリシスされる場合には、感染
の阻害は観察されなかった。
【0082】 実施例25 オイル中のアデノウイルス配合物および動脈内投与。 PBSグリセロール(10%)および50mM HEPES、pH7.4の、
100μL中の、25μg(8.6×1010)のAd5−GFP粒子が、オレ
イル−改変された反応性pHPMA(5mg/mL、1時間;該ポリマーは実施
例18に記載されるように合成された)と反応された。アミノリシス後、未反応
の基を除去し、ポリマー改変されたウイルスは凍結乾燥され、リピドール(ポピ
ーシードオイルのヨード化された(iodinated)エステル)に再懸濁さ
れた。次いで、オイル懸濁液は、肝内にVX2腫瘍を有するウサギに、肝動脈を
介して注入された。配合物の腫瘍内での蓄積および保持が、X線イメージングに
よって可視化されることができた。48時間後、動物は屠殺され、蛍光顕微鏡を
用いて、腫瘍内での実際の遺伝子発現が測定された。周囲の組織は有意な遺伝子
発現を示さなかった。PBSグリセロール中のもので、改変されていないアデノ
ウイルスを投与することにより提供されるコントロールも、有意なトランスジー
ン発現を示さなかった。
【0083】 実施例26 バキュロウイルス粒子のpHPMA−Gly−Gly−ONpでの改変。 無血清改変(adapted)SF9細胞を用いて、C.Richardso
n”Methods in Molecular Biology”Volum
e39,Baculovirus Expression Protocols
,Humana Press1995に記載されるように、振とう培養(撹拌培
養が使用されることもできる)方法を用いてバキュロウイルス粒子が増殖された
。出芽したビリオン(BVs)は、細胞をペレットにする遠心分離により、細胞
懸濁液から精製された。BVsを含む上澄液は、300KDaのmwcoメンブ
レンでの濃縮透析を用いて、濃縮されHBSと置き換えられた。 PBSおよび50mM HEPES、pH7.4の100μL中の、濃縮され
たバキュロウイルス粒子(5×10粒子/mL)が、500μgのpHPMA
−Gly−Gly−ONpで、氷上、2時間処理された。次いで、改変されたウ
イルスを再ターゲッティングするために、10−100μgのターゲッティング
リガンド(bFGF)が添加され、さらに1時間置かれた。その後、0.1%(
容量/容量)のアミノエタノールが添加され、余分なエステル基との反応を完了
させた。
【0084】 実施例27 pHPMA−Gly−Gly−ONpで改変する前の、バキュロウイルスエン
ベロープの除去、およびバキュロウイルス粒子のpHPMA−Gly−Gly−
ONpでの改変。 精製されたバキュロウイルス粒子が、上述の実施例26におけるように生産さ
れ濃縮された。次いで、精製された粒子は、0.2%Triton x100で
、15分間、室温で処理され、バキュロウイルスエンベロープを除去した。 精製され、濃縮された、エンベロープを有しないバキュロウイルス粒子は、次
いで、実施例26に記載されるのと正確に同じ方法を用いてポリマー改変された
後に、処理され、再ターゲット化された。
【0085】 実施例28 多価親油性ポリマー、ポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Phe−L
eu−Gly−ONp)〕−グラフト−オレイルアミンでの、バキュロウイルス
の改変。 実施例26におけるように、無血清改変(adapted)SF9細胞を用い
て、そこで言及された振とう培養法を用いてバキュロウイルス粒子が増殖され、
細胞をペレットにする遠心分離により、細胞懸濁液から精製された。次いで、B
Vsを含む上澄液は、300KDaのmwcoメンブレンでの濃縮透析を用いて
、濃縮されDMSOと置き換えられた。 無水DMSO100μL中の、濃縮されたバキュロウイルス粒子(5×10 粒子/mL)が、500μgのポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Ph
e−Leu−Gly−ONp)〕−グラフト−オレイルアミン(実施例18参照
)で、氷上、2時間処理された。その後、0.1%(容量/容量)のアミノエタ
ノールが添加され、余分なエステル基との反応を完了させた。 この方法において改変されたウイルス粒子は、相分離によって、非水性液体(
オイル)中に保持されるべきである。オリーブ、コーン、ひまわりオイルをはじ
めとするオイルの、そのようなポリマー改変されたウイルス粒子、またはバクテ
リアもしくは胞子を含む配合物は、スプレーによって植物体表面に適用されるこ
とができる。例えば、有害生物の制御に関連して使用される、そのような適用は
、乾燥や降雨による除去に対して耐性なので、より長期間フィールド中で持続す
る。さらに、配合物またはこの種のものは、スタンディング(standing
)水に適用されることができるので、例えば、マラリアの幼虫個体群に対する使
用のために、バキュロウイルスを広範囲のエリアに渡って容易に分布させること
を可能にする。
【0086】 実施例29 ポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Phe−Leu−Gly−ONp
)〕−グラフト−オレイルアミンでの、Bacillus thuringie
nsisの改変。 この実施例においては、無水DMSO100μL中の、濃縮されたBacil
lus thuringiensis(5×10粒子/mL)が、1000μ
gのポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Phe−Leu−Gly−ON
p)〕−グラフト−オレイルアミン(実施例18)で、氷上、4時間処理された
。その後、0.1%(容量/容量)のアミノエタノールが添加され、余分なエス
テル基との反応を完了させた。実施例28の改変されたバキュロウイルスのよう
に、バクテリア(または、その胞子)は相分離によって、非水性液体(オイル)
中に保持されるべきであり、オリーブ、コーン、ひまわりオイルをはじめとする
オイルの、ポリマー改変されたバクテリア/胞子を含む配合物は、スプレーによ
って植物体表面に適用されることができる。繰り返すが、そのような適用は、乾
燥や降雨による除去に対して耐性なので、より長期間フィールド中で持続し、さ
らに、繰り返すが、配合物は、スタンディング水に適用されることができるので
、例えば、マラリアの幼虫個体群に対する使用のために、Bacillus t
huringiensisを広範囲のエリアに渡って容易に分布させることを可
能にする。
【0087】 実施例30 pHPMA−Gly−Gly−ONpでのPseudomonas sp.の
改変。 オイル分解性の単離されたPseudomonas fluorescens
がin vitroでトリプトンソイビーンブロスを用いて、増殖され、オイル
分解活性は、0.1%のディーゼルオイルが添加された合成海水中での成長によ
って選択された。 濃縮されたPseudomonas fluorescens(5×10
胞/mL)が、PBSでウォッシュされ、50mM HEPES含有、pH7.
4のPBSに再懸濁された。次いで、細胞は、ゆっくり撹拌されつつ、10mg
/mLのpHPMA−Gly−Gly−ONpで、氷上、8時間処理された。そ
の後、0.1%(容量/容量)のアミノエタノールが添加され、余分なエステル
基との反応を完了させた。 この方法によって改変されたPseudomonas sp.は、増加した水
和層に提供され、それにより、クルードのオイル懸濁液において、より効率的な
好気的代謝を可能にする。
【0088】 実施例31 (ポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−Phe−Leu−Gly−ON
p)〕−グラフト−オレイルアミン)での、Pseudomonas sp.の
改変。 ジエチルアミンが添加された(塩基性を高めるため)、無水DMSO100μ
L中の、濃縮されたPseudomonas fluorescens(2×1
/mL)が、100μgの(ポリ〔(HPMA)−co−(MAGly−P
he−Leu−Gly−ONp)〕−グラフト−オレイルアミン)で、氷上、4
時間処理された。次いで、0.1%(容量/容量)のアミノエタノールが添加さ
れ、余分なエステル基との反応を完了させた。得られた、ポリマー改変されたバ
クテリアは、非水性溶媒、とりわけオイルにおける向上された溶解性を示した。
この方法により改変されたバクテリアは、概して、クルードオイルスリック中で
の、より高い保持能を有し、結果として、バイオレメディエーションに対して、
向上された特別の活性を生じさせるであろう。
【0089】 実施例32 バクテリオファージM13の改変および再ターゲット化。 バクテリオファージM13は、LB培地中のE.Coli ER2537株中
で増殖された。ファージは公知の方法で、New England Biola
bsからのプロトコルに記載されるように、ポリ(エチレングリコール)を用い
た沈殿により精製され、次いで、透析によって、Hepes緩衝生理食塩水(p
H7.8)に戻された。次いで、ファージは、274nmでの吸収の低下を測定
することにより反応をモニターしつつ、pHPMA−Gly−Gly−NHSと
の反応により改変された。1時間後、ファージは、ヘルセプチン(hercep
tin)(HER2プロト−オンコジーンを認識するモノクローナル抗体)の添
加によって再ターゲット化され、ヘルセプチンの、ポリマー改変されたファージ
上の余分な反応性エステルとの結合を可能にした。精製後、得られた再ターゲッ
ト化されたファージは、HER2−ポジティブ細胞による蓄積を、100倍を超
える増加された速度にすることを示した。
【0090】 認められるように、本発明は多くの異なる態様を提示し、それは、本明細書に
おいて、明白にまたは暗黙のうちに、また、単独でまたは互いに組み合わせて開
示される、全ての新規なそして発明である特徴及び態様をその範囲に包含するも
のである。また、多くの改変が可能であり、特に、本発明の範囲は、例示的な実
施例によって、または単に記述的にもしくは説明的な意味で本明細書において使
用される用語および表現によって限定されるものとして構成されるものではない
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、合成ポリマーで表面改変した後の、アデノウイルス粒子上の
フリーのアミノ基のフルオレスカミン測定の結果を示すグラフである。
【図2】 図2は、ポリマーとアデノウイルスとの間での典型的な反応の分光光
度的な測定結果を示すグラフである。
【図3】 図3は、ポリマーのアデノウイルスとの反応が、ファイバータンパク
質の改変をもたらすことを示すウエスタンブロットの結果を示す写真である。
【図4】 図4は、pHPMA−Gly−Phe−Leu−Gly−ONpを用
いて表面を改変した後での、アデノウイルスの細胞毒性の低減を示す顕微鏡写真
である。
【図5】 図5は、競合的ELISA法を用いて測定される、ポリマーでコート
されたアデノウイルスの、低減された抗体結合性を示すグラフである。
【図6】 図6は、野生型Ad5およびポリマーでコートされたAd5の、透過
型電子顕微鏡(TEM;倍率100000倍)写真である。
【図7】 図7は、pHPMA−Gly−Gly−ONpとの反応後の、A54
9細胞における、Ad5−GFPの感染性の低減を示すグラフである。
【図8】 図8は、pHPMA−Gly−Gly−ONpでの反応後での、ヒト
臍静脈内皮(HUVE)細胞におけるAd5−GFPの感染性の低減を示すグラ
フである。
【図9】 図9は、ポリマーでコートされたウイルスを、成長因子bFGFまた
はVEGFを用いて再ターゲット化することによる、A549細胞における感染
性の回復を示すグラフである。
【図10】 図10は、ポリマーでコートされたウイルスをbFGFまたはVE
GFで再度ターゲッティングすることによる、A9、A9−21、A549およ
びヒト臍静脈内皮(HUVE)細胞での、感染性回復の分析を示すグラフである
【図11】 図11は、bFGFで再ターゲット化されたポリマーでコートされ
たウイルスが使用され、YSK19に感染させた場合の効果を示すグラフである
【図12】 図12は、Ad5−GFPまたはpHPMA−Gly−Phe−L
eu−Gly−ONpで改変されたAd5−GFPを用いた、中和抗体の感染阻
害効果の評価を示すグラフである。
【図13】 図13は、反応性ポリマーの濃度が、ポリマー改変されたアデノウ
イルスに残っている感染活性におよぼす影響を示すグラフである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年8月9日(2001.8.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】 本発明は、微生物(以後、集合的な用語「生物学的エレメント」といい、そこ では、ウイルスは重要なカテゴリーの1つを構成する)の生物学的および/また は物理化学的特性を改変する方法に関する 。本発明は、本発明に従って、それら
の生物学的および/または物理化学的特性についての改変または変更をもたらす
様に改変されている、そのような生物学的エレメント、それらの調製のためのプ
ロセス、並びに、農業、石油化学産業、環境科学および医薬を含む種々の分野に
おける種々のバイオテクノロジーストラテジーにおけるそれらの使用にも関する
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】 用語「生物学的エレメント」とは、バクテリア、バクテリオファージ、菌類、 胞子(バクテリアまたは菌類から)、ウイルスおよび遺伝情報を含むウイルスコ アを意味するものとして、本明細書において使用される。疑義を回避するために 、「ウイルスコア」の用語は、ウイルスの外表面エンベロープまたはキャプシド を除去するように処理されたウイルスを指すものと了解される。 多くの態様においては、ポリマーの生物学的エレメントとの結合は、結果とし
て、ホストの生物学的システムにおける生物学的エレメントの、それが正常に相
互作用する他の分子と相互作用する能力の阻害を生じさせるか、または生物学的
エレメントが、改変されない状態で正常に結合する、部位または細胞レセプター
へ結合する能力の阻害を生じさせる。特定の部位またはレセプターをターゲット
とするように改造された、ウイルスをはじめとする生物学的エレメントの場合に
は、ホストに感染する場合に、既に示されるように、それは、本発明によって、
異なるレセプターをターゲットにするか、または異なるターゲットと相互作用す
るように、そのような生物学的エレメントを再ターゲット化することが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 35/76 A61K 39/395 A 4H011 39/395 48/00 4H045 48/00 A61P 3/10 4J031 A61P 3/10 9/00 9/00 21/00 21/00 35/00 35/00 43/00 101 43/00 101 105 105 111 111 C07K 16/00 C07K 16/00 17/02 17/02 C08G 81/00 C08G 81/00 C12N 1/20 C C12N 1/20 7/00 7/00 15/00 ZABA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 ケリー・デービッド・フィッシャー イギリス,ビー15・2ティーエー,バーミ ンガム,ユニバーシティー・オブ・バーミ ンガム,シーアールシー・インスティテュ ート・フォー・キャンサー・スタディーズ (番地なし) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA03 AA05 AA07 AA17 BA41 BA80 CA01 CA11 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 GA11 HA01 HA17 HA20 4B065 AA01X AA01Y AA57X AA57Y AA87X AA87Y AA95Y AB01 BA01 CA23 CA25 CA43 CA44 CA54 4C084 AA13 MA05 MA66 NA13 ZA94 ZB21 ZB26 ZC01 ZC35 ZC51 4C085 AA21 CC03 CC26 DD62 EE01 GG01 4C087 AA01 AA02 BC11 BC30 BC83 CA12 MA05 MA66 NA13 ZA94 ZB21 ZB26 ZC01 ZC51 4H011 AA01 AC01 BB21 4H045 AA11 AA30 DA75 EA20 EA34 FA72 FA74 4J031 AA04 AA20 AB01 AB06 AC03 AC09 AD01 AE01 AF09

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物学的エレメントの生物学的および/または物理化学的特性
    を改変する方法であって、該方法は、該生物学的エレメントを、複数の反応性基
    を有する多価ポリマーと反応させ、該生物学的エレメントが複数の結合によって
    該ポリマーと結合され、それにより、その生物学的および/または物理化学的特
    性を変更または改変するように、該生物学的エレメントが改変されることを含む
    、前記方法。
  2. 【請求項2】 生物学的エレメントが、治療用遺伝子材料を含むウイルスベク
    ターである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 生物学的エレメントが、ホストにおける特定の部位またはレセ
    プターを正常にターゲットにし、相互作用するウイルスをはじめとする感染性物
    質であり、ポリマー改変が、該生物学的エレメントの感染性を改変する効果、お
    よび/またはそれをホストにおける新たなまたは異なる部位もしくはレセプター
    に再ターゲット化する効果を有することを特徴とする、請求項1または2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 再ターゲット化が、特定のターゲッティング基または部分を多
    価ポリマー中に導入することにより、さらに改変後、生物学的エレメントが、ホ
    ストの本来のターゲット部位またはレセプターをターゲットにし、相互作用する
    ことを阻害するのに充分に、該ポリマーでコートされることを確実にすることに
    より達成される、請求項2または3記載の方法。
  5. 【請求項5】 疎水性基がポリマー中に導入されることにより、非水性媒体中
    での、生物学的エレメントの溶解性または分配係数特性を改変する効果を有する
    、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 生物学的エレメントが、複数の反応性基を有するポリマーと結
    合され、それにより、該生物学的エレメントの生物学的および/または物理化学
    的特性が改変される、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  7. 【請求項7】 生物学的エレメントが、ウイルス、バクテリアもしくはバクテ
    リオファージからなる群から選択される微生物、菌類、胞子、真核細胞核もしく
    は他の微生物フラグメント、または遺伝情報を含む構成成分である、請求項6記
    載のポリマー改変された生物学的エレメント。
  8. 【請求項8】 生物学的エレメントが治療用遺伝子材料を含む、請求項6また
    は7記載のポリマー改変された生物学的エレメント。
  9. 【請求項9】 ポリマーが生物学的エレメントに、少なくとも2つの結合によ
    って結合されている、請求項6〜8のいずれか1項記載の、ポリマー改変された
    生物学的エレメント。
  10. 【請求項10】 ポリマーと生物学的エレメントとの間の結合の数が3より多
    い、請求項9記載のポリマー改変された生物学的エレメント。
  11. 【請求項11】 結合が共有結合である、請求項9または10記載のポリマー
    改変された生物学的エレメント。
  12. 【請求項12】 ポリマーの生物学的エレメントとの結合、および後者の改変
    が、結果として、該生物学的エレメントがホストの生物学的システムにおける、
    該改変がなければ正常に相互作用する他の分子と、相互作用する能力を阻害する
    か、または該生物学的エレメントが、該改変がなければ正常に結合する部位また
    はレセプターと結合する能力を阻害する、請求項6〜11のいずれか1項記載の
    、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  13. 【請求項13】 ポリマーが、1以上の反応性基で置換されたバックボーンを
    有する、生物学的に不活性な多価ポリマーである、請求項6〜12のいずれか1
    項記載の、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  14. 【請求項14】 各反応性基が直接にまたはスペーサー基を介してポリマーバ
    ックボーンに連結されている、請求項13記載のポリマー改変された生物学的エ
    レメント。
  15. 【請求項15】 ポリマーバックボーンが、N−2−ヒドロキシプロピルメタ
    アクリルアミド(HPMA)、N−(2−ヒドロキシエチル)−1−グルタミン
    (HEG)、またはエチレングリコール−オリゴペプチドをはじめとするモノマ
    ー単位をベースにしている、請求項13または14記載の、ポリマー改変された
    生物学的エレメント。
  16. 【請求項16】 ポリマー、および/または、該ポリマーと生物学的エレメン
    トとの間の結合が、加水分解的にまたは酵素的に分解可能である、請求項6〜1
    5のいずれか1項記載の、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  17. 【請求項17】 生物学的エレメントを改変するために使用されるポリマーが
    、ハイドロゲルを形成するように架橋される、請求項6〜16のいずれか1項記
    載の、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  18. 【請求項18】 生物学的活性物質がポリマーに結合されるか、またはポリマ
    ー中に含まれる、請求項6〜17のいずれか1項記載の、ポリマー改変された生
    物学的エレメント。
  19. 【請求項19】 生物学的活性物質が成長因子またはサイトカイン、糖、ホル
    モン、脂質、リン脂質、脂肪、アポリポプロテイン、細胞接着プロモーター、酵
    素、毒素、ペプチド、グリコプロテイン、血清タンパク質、ビタミン、ミネラル
    、および/またはレセプターを認識する抗体の1以上である、請求項18記載の
    、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  20. 【請求項20】 生物学的活性物質が抗体または抗体フラグメントである、請
    求項19記載のポリマー改変された生物学的エレメント。
  21. 【請求項21】 生物学的エレメントがウイルスまたはその他の感染性微生物
    であり、さらにポリマーが、改変されていない生物学的エレメントの感染性の完
    全な喪失を実質的にもたらすのに有効である、請求項6〜20のいずれか1項記
    載の、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  22. 【請求項22】 生物学的エレメントの改変が、該生物学的エレメントを、生
    物学的ホストにおける異なるレセプターに、再ターゲット化させる効果を有する
    、請求項6〜21のいずれか1項記載の、ポリマー改変された生物学的エレメン
    ト。
  23. 【請求項23】 生物学的エレメントの改変が、非水性環境内での該生物学的
    エレメントの、溶解性、並びに分散および安定特性を改変する効果を有する、請
    求項6〜20のいずれか1項記載の、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  24. 【請求項24】 生物学的エレメントが、オイル分解活性を有する微生物であ
    る、請求項23記載のポリマー改変された生物学的エレメント。
  25. 【請求項25】 ポリマーが、オレイルまたは他の疎水性基を有する、請求項
    23または24記載の、ポリマー改変された生物学的エレメント。
  26. 【請求項26】 生物学的エレメントがバキュロウイルス粒子である、請求項
    23記載のポリマー改変された生物学的エレメント。
  27. 【請求項27】 方法が、生物学的エレメントをポリマーと結合させることを
    含む、請求項6〜26のいずれか1項記載の、ポリマー改変された生物学的エレ
    メントの調製方法。
  28. 【請求項28】 請求項27記載の方法によって得ることができる、ポリマー
    改変された生物学的エレメント。
  29. 【請求項29】 ポリマー改変された生物学的エレメントが、治療用遺伝子材
    料を含有する生物学的エレメントを含む、治療用遺伝子材料の患者へのin v
    ivo送達のための、請求項6〜23のいずれか1項記載の、ポリマー改変され
    た生物学的エレメント。
  30. 【請求項30】 遺伝子治療を必要とする患者に、請求項6〜23のいずれか
    1項に記載されたものであって、治療用遺伝子材料を含む、ポリマー改変された
    生物学的エレメントを投与することを含む、遺伝子治療方法。
  31. 【請求項31】 遺伝子治療における使用のための薬剤の製造における、請求
    項6〜23のいずれか1項記載の、ポリマー改変された生物学的エレメントの使
    用であって、該ポリマー改変された生物学的エレメントが、治療用遺伝子材料を
    含有する生物学的エレメントを含む、前記ポリマー改変された生物学的エレメン
    トの使用。
  32. 【請求項32】 キャリアと共に、請求項6〜21のいずれか1項記載のポリ
    マー改変された生物学的エレメントを含む組成物。
  33. 【請求項33】 キャリアが、薬学上許容できる添加剤、希釈剤または賦形剤
    である、請求項32記載の組成物。
  34. 【請求項34】 オイル汚染物質の処理のための、または農業における病原体
    への生物学的農薬の送達のための、請求項23〜26のいずれか1項記載のポリ
    マー改変された生物学的エレメントの使用。
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