JP2003339746A - ステント型血管補綴材用織成管状体及びそれを用いたステント型血管補綴材 - Google Patents

ステント型血管補綴材用織成管状体及びそれを用いたステント型血管補綴材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステント型血管補綴材として病変部に留置さ
れた際に、血液の流れに押し潰されることなく管状を保
持できる保形性と、血液の外部への漏出を低減する高い
液密性を兼ね備え、病変部への血液流入を防ぐことがで
きるステント型血管補綴材用織成管状体及び該織成管状
体を用いたステント型血管補綴材を提供する。 【解決手段】 単糸数2〜5本より構成されるマルチフ
ィラメントを経糸の少なくとも一部に含み、該単糸が緯
糸内において単列配置状態であることを特徴とするステ
ント型血管補綴材用織成管状体及び該織成管状体を用い
たステント型血管補綴材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステント型血管補
綴材用織成管状体及び該織成管状体を用いたステント型
血管補綴材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から大動脈瘤や大動脈解離の治療法
としては、外科的に病変部を削除し、血管補綴材で置換
する方法が基本とされてきた。しかしながら、開腹ある
いは開胸操作を伴う手術は、侵襲による患者負担が大き
く、危険を伴うものであった。特に、慢性病を有する老
人にとっては合併症を誘発する恐れがあり適用が制限さ
れていた。そこで近年、大動脈瘤や大動脈解離に対する
低侵襲治療として、カテーテルを経由して、ステントを
有する血管補綴材、いわゆるステント型血管補綴材を病
変部血管内に誘導し、病変部をステント型血管補綴材で
覆い血栓化させることにより病変部への血液流入を防止
し、病変部の破裂等を防止するという血管内治療(血管
内手術)が注目を集めている。
【0003】このような血管内治療に用いられるステン
ト型血管補綴材は、小さく折り畳んだ状態でカテーテル
に挿入され、病変部まで搬送された後放出され、管状に
復元される。ここでステントとは、血管などの体内管状
器官を保持するために挿入される筒状の支持骨格であ
り、血管補綴材においては、管状を機械的に保持すると
ともに、血管補綴材を血管壁に留置固定するのに作用す
る。
【0004】ところが、ステント型血管補綴材はステン
トを有さない血管補綴材に比べて柔軟性が劣るため、折
り畳み性および人体の屈曲した血管への適合性に限界が
あった。
【0005】これに対し、間欠位置に配置した折り曲げ
自在な複数のリング状線材部(本明細書における「ステ
ント」に相当する)の間を筒状の表装材(本明細書にお
ける「織成管状体」に相当する)によって連結した移植
用器具(本明細書における「ステント型血管補綴材」に
相当する)が開示されている(例えば、特許文献1参
照)。ここに開示されるステントは、従来のステント、
すなわち長さ方向に連続的に連結した支持骨格を有する
ステントとは異なり、それ単独ではリング状線材部同士
が互いに連結されていない。このような構成により、柔
軟性の低下を防止し、折り畳み性、血管形状適合性に優
れた移植用器具を得ようとするものである。また、表装
材の経糸に保形性を有するモノフィラメントを、緯糸に
緻密なマルチフィラメントを使用することにより、リン
グ状線材部が互いに連結されていなくても血液の流れに
よって押しつぶされることのない程度の保形性と、血液
が外部に漏出することのない程度の液密性を達成しよう
とするものである。
【0006】
【特許文献1】特開2000−83978号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】該移植用器具は、該リ
ング状線材部と該表装材の組み合わせに特徴があり、換
言するならば、該リング状線材部自体は長さ方向の潰れ
に対し何ら耐性を有さないため、潰れに対する配慮がな
されていない従来の表装材を組み合わせた場合、血液の
流れによって移植用器具が押し潰され、末端部分の間隙
から病変部に血液が流れ込んで、致命的欠陥となりかね
ないのである。
【0008】しかしながら、経糸にモノフィラメントを
使用したことにより、表装材表面に経筋が発生しやすい
という別の問題が生じた。経筋は経糸張力、筬引込み
数、筬羽密度などの不適正により発生する製織工程上の
欠点で、経糸に付いた傷や経糸間の隙間が筋状となって
現れるものである。これらは、強度(破断強度、破裂強
度)や液密性を低下させるため好ましくない。また、経
糸にモノフィラメントを使用したことにより、経糸と緯
糸の交絡部に隙間が発生しやすいという更なる問題も生
じた。経糸・緯糸間の隙間は液密性を大きく低下させる
原因となる。このように、経糸にモノフィラメントを使
用した表装材は、緯糸に緻密なマルチフィラメントを使
用したとしても、液密性が不十分で、血液の漏出による
病変部への血液流入を防止することができなかった。
【0009】経糸・緯糸間の隙間は、経糸にマルチフィ
ラメントを用いることにより解消される。ところが、経
糸に従来のマルチフィラメントを用いた表装材は、長さ
方向の潰れに対する耐性が十分でなく、潰れに対し耐性
を有さないステント、たとえばリング状線材部を間欠位
置に配置することにより柔軟性を向上させたステントと
組み合わせることはできない。一方、経糸に従来のマル
チフィラメントを用いた表装材を潰れに対し耐性を有す
るステント、例えば、ステンレス製Z−ステントのよう
に長さ方向に連続的に連結する支持骨格を有するステン
トと組み合わせたのでは、表装材の柔軟性が損なわれ
る。このように、柔軟性、保形性、液密性のすべてを満
足するステント型血管補綴材は無く、大動脈瘤や大動脈
解離の治療に支障を来たしていたのである。
【0010】本発明はこのような現状に鑑みて行われた
ものであり、ステント型血管補綴材として病変部に留置
された際に、血液の流れに押し潰されることなく管状を
保持できる保形性と、血液の外部への漏出を低減する高
い液密性を兼ね備え、病変部への血液流入を防ぐことが
できるステント型血管補綴材用織成管状体及び該織成管
状体を用いたステント型血管補綴材を提供することを目
的とする。本発明のステント型血管補綴材用織成管状体
は、その優れた保形性により、長さ方向の潰れに対し耐
性を有さないステントに対して適用することが可能で、
たとえばリング状線材部を間欠位置に配置したステント
と組み合わせることにより、小さく折り畳んでカテーテ
ルに挿入することができ、かつ、人体の血管形状に適合
することができる柔軟性をも併せ持ったステント型血管
補綴材を提供することができる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の単糸数を備え
るマルチフィラメントをステント型血管補綴材用織成管
状体の経糸に用い、該単糸を緯糸内において単列配置状
態とすることが、上記目的達成のために極めて有効であ
ることを見出し、本発明に到達した。本発明は、次の構
成よりなるものである。
【0012】単糸数2〜5本より構成されるマルチフィ
ラメントを経糸の少なくとも一部に含み、該単糸が緯糸
内において単列配置状態であることを特徴とするステン
ト型血管補綴材用織成管状体。
【0013】前記ステント型血管補綴材用織成管状体に
おいて、前記マルチフィラメントの単糸繊度が5.5〜
50dtexであることを特徴とする。
【0014】前記ステント型血管補綴材用織成管状体に
おいて、単糸繊度0.1〜3.5dtex、単糸数10
〜1000本より構成されるマルチフィラメントを緯糸
に用いてなることを特徴とする。
【0015】前記ステント型血管補綴材用織成管状体に
おいて、クリンプ加工が施されていることを特徴とす
る。
【0016】前記ステント型血管補綴材用織成管状体に
おいて、分岐部を有することを特徴とする。
【0017】前記ステント型血管補綴材用織成管状体と
ステントとを含むことを特徴とするステント型血管補綴
材。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。なお、本明細書において「ステント型血管補
綴材用織成管状体」を、単に「織成管状体」という場合
もある。また、「織成管状体」とは、フラットな織布を
縫製、融着などによりつなぎ合わせて管状としたもの、
または袋織りの技法、すなわち長さ方向に沿った経糸の
間に、円周方向に沿った緯糸を螺旋状に織り込むことに
より、製織段階から管状としたものをいう。
【0019】本発明のステント型血管補綴材用織成管状
体は、単糸数2〜5本より構成されるマルチフィラメン
トを経糸の少なくとも一部に含み、該単糸が緯糸内にお
いて単列配置状態となるように製織したものである。こ
のようなマルチフィラメントは後述の図1〜3に示され
るように(もちろんその上下反対の配列も含まれる)、
緯糸13,23,33内において経糸11,21,31
をそれぞれ構成する単糸11a、11b;21a,21
b,21c;および31a,31b,31c,31d,
31eがそれぞれ単列に並ぶ状態で配置されている。こ
のように特定本数の経糸単糸を緯糸内において単列状態
で配置することにより、経糸・緯糸間の隙間を少なくす
ることが可能で、これによってカラム強度を大きくしな
がら、相対的に透水率を減少させることができる。ここ
で、単糸の単列状態とは、単糸が実質的に一列に並ぶこ
とをいい、具体的には図4に示される緯糸43と経糸4
1との状態までは許容できるが、後述の図5および図6
に示される状態は含まれない。図5に示されるように、
経糸51の単糸同士が重なった状態であると、緯糸53
との隙間が大きくなって、透水率を低く維持することが
できないからである。同様に、図6に示されるように、
経糸61の単糸同士が重なった状態であると、緯糸63
との隙間が大きくなるからである。また、本発明におい
て、緯糸による経糸の包絡線は楕円形ないしは扁平形と
なることが好ましい。
【0020】図7は単列配置状態を構成する方法の一例
を説明するための概略図である。単列配置状態を構成す
るためには、例えば、図7に示すように、単糸数2本よ
り構成されるマルチフィラメントである経糸71をセパ
レーター74などによって、単糸1本1本に分割した
後、単糸を引き揃えて綜絖75、筬76を通し、緯糸7
3との製織部に供給する方法を挙げることができる。
【0021】本発明の経糸に用いられるマルチフィラメ
ントは単糸数が2〜5本であれば特に制限されることは
ないが、さらに次の特性(a)〜(c)を備えることが
より好ましい。
【0022】(a)単糸繊度が5.5〜50dtexの
範囲であることが好ましい。単糸繊度が5.5dtex
より小さいと、単糸自体およびこれにより構成されるマ
ルチフィラメントの剛性が小さくなり、該マルチフィラ
メントを経糸の少なくとも一部に使用した織成管状体、
該織成管状体を使用したステント型血管補綴材において
十分な保形性が得られず、長さ方向の潰れに対し十分な
耐性が得られない。単糸繊度が50dtexより大きい
と、織成管状体の壁厚が増すとともに剛性が大きくなり
すぎて、織成管状体および該織成管状体を用いたステン
ト型血管補綴材を小さく折り畳むことが困難となる。こ
のため、血管内治療において径の大きなカテーテルが必
要となり、血管内への挿入、血管内の移動が難しく、さ
らには病変部を損傷する危険もある。
【0023】単糸数が1本、すなわちモノフィラメント
であると、織成管状体に経筋や経糸・緯糸間の隙間が発
生しやすく、強度(破断強度、破裂強度)や液密性が不
十分となり血液の漏出を防止できない。単糸数が5本よ
り多いと、単糸同士のねじれや重なりが発生しやすく、
緯糸内において単糸が単列に配置され難くなるため、織
成管状体の液密性が不十分となる恐れがある。
【0024】(b)上記構成よりなるマルチフィラメン
トの総繊度は、11〜250dtexの範囲内にあるも
のが好ましい。総繊度が11dtexより小さいと剛性
が小さくなり、該マルチフィラメントを経糸の少なくと
も一部に使用した織成管状体、該織成管状体を使用した
ステント型血管補綴材において十分な保形性が得られ
ず、長さ方向の潰れに対し十分な耐性が得られない。総
繊度が250dtexより大きいと、織成管状体の壁厚
が増すとともに剛性が大きくなりすぎて、織成管状体お
よび該織成管状体を用いたステント型血管補綴材を小さ
く折り畳むことが困難となる。このため、血管内治療に
おいて径の大きなカテーテルが必要となり、血管内への
挿入、血管内の移動が難しく、さらには病変部を損傷す
る危険もある。より好ましくは総繊度30〜80dte
xのマルチフィラメントであり、これらは単糸繊度
(5.5〜50dtex)、単糸数(2〜5本)を上記
範囲内で適宜調整することにより得ることができる。
【0025】全体として上記条件を満たすものであれ
ば、マルチフィラメントを構成する個々の単糸は、同一
繊度を有する単糸であっても構わないし、それぞれが異
なる繊度を有する単糸であっても構わない。
【0026】(c)また、該マルチフィラメントの撚り
数は0〜100回/mであることが好ましい。たとえば
単糸繊度5.5〜50dtex、単糸数2〜5本より構
成されるマルチフィラメントは、血管補綴材料として従
来から使用されているマルチフィラメント、すなわち単
糸繊度0.1〜3.5dtex、単糸数10〜1000
本より構成されるマルチフィラメントに比べて単糸繊度
が大きく、かつ単糸数が少ないため、撚りをかけること
による単糸同士のねじれや重なりが液密性に大きく影響
する。したがって撚り数は0回/m(無撚)、もしくは
限りなく0回/mに近いことが好ましく、最大でも10
0回/mである。撚り数が100回/m以下であれば、
製織の際に撚りが解かれ、緯糸内において単糸が単列に
配置される。撚り数が100回/mを越えると、製織の
際に完全に解撚されず、緯糸内において単糸が単列に配
置されないため、織成管状体の液密性が不十分となり、
血液の漏出を防止できない。
【0027】単糸数が特定範囲内にある、好ましくは単
糸数、単糸繊度、総繊度、撚り数の全てが特定範囲内に
あるマルチフィラメント(本明細書において「本発明の
マルチフィラメント」という場合もある)を、織成管状
体を形成する経糸の少なくとも一部に使用し、該単糸を
緯糸内において単列状態で配置させることにより、ステ
ント型血管補綴材として病変部に留置された際に、血液
の流れに押し潰されることなく管状を保持できる保形性
と、血液の外部への漏出を低減する高い液密性を兼ね備
え、病変部への血液流入を防ぐことができるステント型
血管補綴材用織成管状体を得ることが可能となる。本発
明のステント型血管補綴材用織成管状体は、経糸単糸を
緯糸内において単列状態で配置させた点に特徴があり、
本発明のマルチフィラメントにかわって、2〜5本のモ
ノフィラメントを用い、これらを引き揃えて単列配置状
態を構成したものであっても、本発明と同様の効果を得
ることができる。そこで、上記モノフィラメントも本発
明の範囲内であるといえる。使用するモノフィラメント
の繊度は5.5〜50dtexであることが好ましい。
【0028】経糸に使用される本発明のマルチフィラメ
ント以外の糸条(本明細書において「その他の糸条」と
いう場合もある)は特に限定されるものではなく、たと
えば血管補綴材料として従来から使用されているマルチ
フィラメント、すなわち単糸繊度0.1〜3.5dte
x、単糸数10〜1000本より構成されるマルチフィ
ラメントを使用することができる。
【0029】単糸繊度が0.1dtexより小さいと織
成管状体の強度(破断強度、破裂強度)が弱くなる。単
糸繊度が3.5dtexより大きいと、本発明のマルチ
フィラメントと組み合わせて使用した場合、織成管状体
の壁厚が増すとともに剛性が大きくなりすぎて、織成管
状体および該織成管状体を用いたステント型血管補綴材
を小さく折り畳むことが困難となる。
【0030】単糸数が10本より少ないと液密性が不十
分となって、血液の漏出を防止できない。単糸数が10
00本より多いと、製織過程において糸切れ、毛羽立ち
等の欠点が発生しやすく工業的安定性が低下する。
【0031】上記構成よりなるマルチフィラメントの総
繊度は、33〜110dtexであることが好ましい。
総繊度が33dtexより小さいと、本発明のマルチフ
ィラメントと組み合わせて使用した場合、織成管状体の
強度(破断強度、破裂強度)が弱くなる。総繊度が11
0dtexより大きいと、織成管状体の壁厚が増すとと
もに剛性が大きくなりすぎて、織成管状体および該織成
管状体を用いたステント型血管補綴材を小さく折り畳む
ことが困難となる。
【0032】経糸に使用されるその他の糸条としては、
たとえば上記マルチフィラメントより適宜選択可能であ
るが、好ましくは組み合わせとなる本発明のマルチフィ
ラメントと同程度の総繊度を有するマルチフィラメント
である。経糸に使用する本発明のマルチフィラメントと
その他の糸条の総繊度が大きく異なると、織成管状体表
面が不均一となるため、液密性が不十分となる恐れがあ
る。また、強度(破断強度、破裂強度)や壁厚のバラツ
キが大きくなる。
【0033】該マルチフィラメントの撚り数は0〜10
00回/mであることが好ましい。撚り数が少ないほど
単糸同士のねじれや重なりが発生しにくく液密性は良好
であるが、製織安定性の点から1000回/m以下の撚
りがかかっていても構わない。撚り数が1000回/m
より多いと、単糸同士のねじれや重なりが影響し、織成
管状体の液密性が不十分となる。製織安定性、液密性の
バランスから、マルチフィラメントの撚り数は200〜
500回/mであることがより好ましい。
【0034】経糸における本発明のマルチフィラメント
とその他の糸条の使用比率は、織成管状体を形成する総
経糸本数を100とした場合、25:75〜100:0
が好ましく、これらは均等に配置されることが好まし
い。使用比率が25:75より小さいと、織成管状体お
よび該織成管状体を用いたステント型血管補綴材におい
て十分な保形性が得られず、長さ方向の潰れに対して十
分な耐性が得られない。使用比率を25:75〜10
0:0の範囲内で調整することにより、長さ方向の潰れ
に対する耐性を調整することができる。つまり、上記マ
ルチフィラメントの使用比率を大きくするほど、織成管
状体および該織成管状体を用いたステント型血管補綴材
では、長さ方向の潰れに対して耐性が大きくなる。
【0035】次に、織成管状体を形成する緯糸は特に限
定されるものではなく、経糸に使用されるその他の糸条
の場合と同様、たとえば血管補綴材料として従来から使
用されているマルチフィラメント、すなわち単糸繊度
0.1〜3.5dtex、好ましくは0.1〜1.0d
tex、単糸数10〜1000本より構成されるマルチ
フィラメントを使用することができる。単糸繊度が0.
1〜1.0dtexであると、織成管状体がより緻密化
されて液密性が向上する。さらに、総繊度33〜110
dtex、撚り数0〜1000回/m、より好ましくは
200〜500回/mのマルチフィラメントが望まし
い。
【0036】上記条件を満たすマルチフィラメントを織
成管状体の緯糸に用いることで、強度(破断強度、破裂
強度)や折り畳み性を損なうことなく、本発明の特長の
一つである液密性を最大限に引き出すことが可能とな
る。
【0037】本発明の織成管状体の経糸に使用される本
発明のマルチフィラメント、経糸に使用されるその他の
糸条、および緯糸に使用される糸条の素材としては特に
限定されるものではないが、血管補綴材料としての使用
実績からポリエステル系繊維が好ましい。ポリエステル
系繊維は化学的に安定で耐久性が大きく、機械的強度も
高く、毒性や異物反応がないことから、血管補綴材料と
して広く用いられてきた。ポリエステル系繊維として具
体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエステル−ポリエーテルブロック
共重合体、及びこれらの複合繊維などを挙げることがで
きる。
【0038】織成管状体の織り組織は特に限定されるも
のでなく、例えば平織り、綾織り、朱子織り、梨地織り
などが挙げられるが、壁厚を薄く、且つ強度(破断強
度、破裂強度)や液密性に優れた管状体を得やすいとい
う理由により平織りが好ましい。
【0039】このようにして得られる本発明のステント
型血管補綴材用織成管状体は、ステント型血管補綴材と
して病変部に留置された際に、血液の流れに押し潰され
ることなく管状を保持できる保形性と、血液の外部への
漏出を低減する高い液密性を兼ね備えている。中でも、
カラム強度(Column Strength)、キン
ク半径、透水率、壁厚などの値が特定範囲内にある織成
管状体は、本発明の最大の特長である保形性、液密性に
加え、ステント型血管補綴材として当然具備すべき耐キ
ンク性や折り畳み性に優れ、血管内治療において極めて
有用である。
【0040】織成管状体のカラム強度は0.020〜
0.130N/mmφであることが好ましい。ここで、
カラム強度とは、長さ方向の潰れに対する強さ(耐性)
を表し、この値が大きいほど長さ方向の潰れに対し耐性
を有することを意味する。カラム強度が0.020N/
mmφより小さいと、ステント型血管補綴材として病変
部に留置された際に、血液の流れによって押し潰され病
変部に血液が流入する恐れがある。カラム強度が0.1
30N/mmφより大きいと、織成管状体の剛性が大き
くなりすぎて織成管状体および該織成管状体を用いたス
テント型血管補綴材を小さく折り畳むことが困難とな
る。また、ステント型血管補綴材として留置後、血管に
柔軟に追従しづらくなる。
【0041】織成管状体のキンク半径は織成管状体の内
径によって異なり、内径が大きいほどキンク半径も大き
くなる傾向にある。したがって、キンク半径を一律に規
定することはできないものの、たとえば織成管状体の内
径を24mmとした場合、キンク半径は5.5mm以下
であることが好ましい。ここで、キンクとは、体内での
屈曲や外圧により血管補綴材が折れ曲がる現象をいい、
耐キンク性はキンク半径(血管補綴材をループさせてい
き、外見上明らかに折れ曲がりが生じる半径)を指標と
して表される。すなわち、キンク半径が小さいほど折れ
曲がりに対し耐性が大きいことを意味する。キンク半径
が0mmに近いほど、複雑な血管内の屈曲部位において
も、該織成管状体を用いたステント型血管補綴材の挿入
および留置が容易となり好ましい。本発明の織成管状体
のキンク半径は、内径を24mmとした場合5.5mm
以下であることが好ましく、これより大きいと、ステン
ト型血管補綴材として病変部に留置された際に、屈曲し
た人体の血管形状に適合できない恐れがある。
【0042】本発明の織成管状体は、本来、ステントと
組み合わせて、大動脈瘤や大動脈解離の治療に適用する
ことを前提としており、その内径は通常7〜54mmで
ある。しかしながら、個体差もあり、この範囲に限定さ
れるものではない。
【0043】織成管状体にはクリンプ加工が施されてい
ることが好ましい。クリンプ加工を施すことにより、本
発明の織成管状体およびこれを使用したステント型血管
補綴材の屈曲性がより優れたものとなり、人体の血管形
状に無理なく適合することが可能となる。すなわち、キ
ンク半径が小さくなり、耐キンク性が向上するのであ
る。また、折り畳まれたステント型血管補綴材の復元動
作にも、クリンプが有効に作用する。織成管状体にクリ
ンプを付与する方法としては、従来公知の方法を採用す
ることができ、たとえば米国特許3337673や特開
平1−155860に開示される方法などを好ましく採
用することができる。
【0044】織成管状体の透水率は500ml/min
/cm2以下であることが好ましい。透水率は液密性と
密接に関係しており、この値が0ml/min/cm2
もしくは0ml/min/cm2に近いほど、織成管状体
からの血液の漏出を防止でき、血栓化を促進させること
ができるので好ましい。好ましい透水率の上限は500
ml/min/cm2で、これより大きいと、ステント
型血管補綴材として病変部に留置された際に、織成管状
体から血液が漏れ出し、病変部への血液流入を防止でき
ない恐れがある。
【0045】織成管状体の壁厚は150μm以下である
ことが好ましい。壁厚が150μmより大きいと、織成
管状体および該織成管状体を用いたステント型血管補綴
材を小さく折り畳むことが困難となる。前述したよう
に、折り畳み性はステント型血管補綴材の構成において
重要なパラメーターであり、折り畳み性が劣るものは血
管内治療において大きな径のカテーテルを必要とし、操
作性を低下させることにつながる。
【0046】織成管状体は、分岐部を有するものであっ
てもよい。生体血管の分岐部分に動脈瘤が形成された場
合、たとえば腹部大動脈から総腸骨動脈にいたる血管に
動脈瘤が生じた場合、ストレートタイプのステント型血
管補綴材を複数個用いて治療にあたることも可能である
が、手術操作は複雑で多大な時間を要する。このような
場合には、分岐部を有するステント型血管補綴材を使用
することが、患者負担や安全性の面から好ましく、合理
的である。
【0047】本発明の織成管状体は、特開2000−8
3978に開示されるステント、すなわちリング状線材
部を間欠位置に配置したステントに代表されるように、
それ自体では長さ方向の潰れに対し耐性を有さないステ
ントに対して適用することが好ましく、保形性に優れる
という本発明の特長を最大限に発揮することができる
が、これに限定されるものではない。
【0048】また、保形性および液密性に優れるという
特長により、ステントを有さない血管補綴材としても有
効に用いることができる。
【0049】図8は本発明のステント型血管補綴材用織
成管状体の一例を示す図面である。図8において、80
がステント型血管補綴材用織成管状体である。
【0050】図9は本発明のステント型血管補綴材の一
例を示す図面である。図9において、織成管状体90が
ステント97に取り付けられている。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0052】<測定方法> カラム強度(N/mmφ) 長さ50mmの織成管状体を、長さ30mmまで押し潰
す際に必要とする力を引張り圧縮試験機により測定し
た。なお、mmφは織成管状体の内径値を示す。
【0053】キンク半径(mm) 「人工血管ガイドライン」(ISO7198 Card
iovascularimplants−Tubula
r vascular prostheses)を参考
に測定した。織成管状体をループさせていき、外観上明
らかに折れ曲がりが生じた半径を半径既知の円筒状治具
を用いて測定した。織成管状体自体の特性を評価するた
め、内圧維持は行わなかった。
【0054】透水率(ml/min/cm2) 「人工血管ガイドライン」を参考に測定した。0.5〜
1.0cm2の試料面に、120mmHg(16.0k
Pa)の水を供給し、透過する水量を1分間測定した。
透過水量を1.0cm2当たりに換算し、透水率とし
た。なお、透水率の測定は、クリンプ加工を施す前の織
成管状体について行った。
【0055】壁厚(μm) 「人工血管ガイドライン」を参考に、定圧厚さ計を用い
て壁厚を測定した。なお、壁厚の測定は、クリンプ加工
を施す前の織成管状体について行った。
【0056】(実施例1)経糸に単糸繊度18dte
x、単糸数2本より構成される総繊度36dtex、無
撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント
(本発明のマルチフィラメント)、緯糸に単糸繊度0.
55dtex、単糸数170本より構成される総繊度9
4dtex、撚り数200回/mのポリエチレンテレフ
タレート製マルチフィラメントを用いて内径24mm、
平織り組織の管状体を袋織りにより作成し、クリンプ加
工を施して、目的のステント型血管補綴材用織成管状体
を得た。なお、得られた管状体において、経糸の状態を
模式的に図1に示す。
【0057】(実施例2)経糸に単糸繊度33.5dt
ex、単糸数2本より構成される総繊度67dtex、
無撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメン
ト(本発明のマルチフィラメント)を用いたこと以外は
実施例1と同じ方法で、目的のステント型血管補綴材用
織成管状体を得た。なお、得られた管状体において、経
糸の状態は単列配置状態であった。
【0058】(実施例3)経糸に単糸繊度16.8dt
ex、単糸数4本より構成される総繊度67dtex、
無撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメン
ト(本発明のマルチフィラメント)を用いたこと以外は
実施例1と同じ方法で、目的のステント型血管補綴材用
織成管状体を得た。なお、得られた管状体において、経
糸の状態は単列配置状態であった。
【0059】(実施例4)経糸に単糸繊度33dtex
の単糸1本および単糸繊度18dtexの単糸2本より
構成される総繊度69dtex、無撚のポリエチレンテ
レフタレート製マルチフィラメント(本発明のマルチフ
ィラメント)を用いたこと以外は実施例1と同じ方法
で、目的のステント型血管補綴材用織成管状体を得た。
なお、得られた管状体において、経糸の状態を模式的に
図2に示す。
【0060】(実施例5)経糸に単糸繊度18dte
x、単糸数2本より構成される総繊度36dtex、無
撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント
(本発明のマルチフィラメント)、および単糸繊度2.
8dtex、単糸数12本より構成される総繊度33d
tex、撚り数300回/mのポリエチレンテレフタレ
ート製マルチフィラメントを50:50の比率で用いた
こと以外は実施例1と同じ方法で、目的のステント型血
管補綴材用織成管状体を得た。なお、得られた管状体に
おいて、経糸の状態は単列配置状態であった。
【0061】(実施例6)経糸に単糸繊度50dte
x、単糸数4本より構成される総繊度200dtex、
無撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメン
ト(本発明のマルチフィラメント)を用いたこと以外は
実施例1と同じ方法で、目的のステント型血管補綴材用
織成管状体を得た。なお、得られた管状体において、経
糸の状態は単列配置状態であった。
【0062】(実施例7)経糸に単糸繊度18dte
x、単糸数5本より構成される総繊度90dtex、無
撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント
(本発明のマルチフィラメント)を用いたこと以外は実
施例1と同じ方法で、目的のステント型血管補綴材用織
成管状体を得た。なお、得られた管状体において、経糸
の状態を模式的に図3に示す。
【0063】(実施例8)経糸に単糸繊度18dte
x、単糸数5本より構成される総繊度90dtex、撚
り数100回/mのポリエチレンテレフタレート製マル
チフィラメント(本発明のマルチフィラメント)を用い
たこと以外は実施例1と同じ方法で、目的のステント型
血管補綴材用織成管状体を得た。なお、得られた管状体
において、経糸の状態は単列配置状態であった。
【0064】(比較例1)経糸に繊度18dtexのポ
リエチレンテレフタレート製モノフィラメントを用いた
こと以外は実施例1と同じ方法で、ステント型血管補綴
材用織成管状体を得た。
【0065】(比較例2)経糸に繊度33dtexのポ
リエチレンテレフタレート製モノフィラメントを用いた
こと以外は実施例1と同じ方法で、ステント型血管補綴
材用織成管状体を得た。
【0066】(比較例3)経糸に単糸繊度18dte
x、単糸数6本より構成される総繊度108dtex、
無撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメン
トを用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、ステント
型血管補綴材用織成管状体を得た。なお、得られた管状
体において、経糸の状態を模式的に図5に示す。
【0067】(比較例4)経糸に単糸繊度2.3dte
x、単糸数24本より構成される総繊度56dtex、
撚り数300回/mのポリエチレンテレフタレート製マ
ルチフィラメントを用いたこと以外は実施例1と同じ方
法で、ステント型血管補綴材用織成管状体を得た。
【0068】(比較例5)経糸に単糸繊度4.6dte
x、単糸数48本より構成される総繊度222dte
x、撚り数300回/mのポリエチレンテレフタレート
製マルチフィラメントを用いたこと以外は実施例1と同
じ方法で、ステント型血管補綴材用織成管状体を得た。
【0069】(比較例6)経糸に単糸繊度18dte
x、単糸数5本より構成される総繊度90dtex、撚
り数150回/mのポリエチレンテレフタレート製マル
チフィラメントを用いたこと以外は実施例1と同じ方法
で、ステント型血管補綴材用織成管状体を得た。なお、
得られた管状体において、経糸の状態を模式的に図6に
示す。
【0070】(比較例7)市販の血管補綴材(ポリエチ
レンテレフタレート製、内径24mm、平織り組織、袋
織り、クリンプ加工有り)について性能を評価した。
【0071】用いられている糸条の繊度、単糸数につい
ては次のように求めた。すなわち、糸断面を電子顕微鏡
で観察し、単糸数、単糸直径を計測した。ついで、単糸
直径から単糸繊度を算出し、単糸繊度、単糸数から総繊
度を算出した。この結果、経糸は単糸繊度0.58dt
ex、単糸数216本から構成される総繊度125dt
exのマルチフィラメント、緯糸は単糸繊度0.58d
tex、単糸数144本から構成される総繊度84dt
exのマルチフィラメントであった。なお、透水率、
壁厚は、熱処理によりクリンプを除去した血管補綴材
について測定した。
【0072】実施例1及び3、比較例2で得られたステ
ント型血管補綴材用織成管状体の外表面を拡大して写真
撮影し、それぞれ図10〜12として示す。図10及び
11において、経糸と緯糸との交絡部分は隙間がなく、
図12から、モノフィラメントを用いた経糸と緯糸との
間に隙間が観察された。
【0073】以上、実施例1〜8、及び比較例1〜7に
おける評価結果を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】表1において、経糸にモノフィラメントを
用いた比較例1,2では、カラム強度が0.045およ
び0.064N/mmφと特定範囲内(0.020〜
0.130N/mmφ)にあって好ましいが、透水率が
700,800ml/min/cm2と大きくて好まし
くない。また、経糸に従来のマルチフィラメント、すな
わち単糸数が多く、単糸繊度が小さいマルチフィラメン
トを用いた比較例4,5,7では、透水率がいずれも5
0ml/min/cm2と小さくて好ましいが、カラム
強度が0.010、0.018、0.010N/mmφ
と小さくて好ましくない。さらに、単糸数が6本と特定
範囲(2〜5本)を越えるマルチフィラメントを経糸に
用いた比較例3、および撚り数が150回/mと特定範
囲(0〜100回/m)を越えるマルチフィラメントを
経糸に用いた比較例6では、カラム強度が0.049、
0.050N/mmφと特定範囲内(0.020〜0.
130N/mmφ)にあって好ましいが、単列配置状態
とならないために透水率が600、800ml/min
/cm2と大きくて好ましくなかった。
【0076】(実施例9)実施例1〜8において作成さ
れた、全長60mmのステント型血管補綴材用織成管状
体に、特開2000−83978に開示されるリング状
線材部を、15mm間隔で縫着してステント型血管補綴
材を作成し、血管を模倣した内径24mm、外径28m
mの樹脂チューブ内にカテーテルを経由して留置した。
なお、該チューブのステント型血管補綴材留置位置は半
径50mmの円筒外周に沿って湾曲させられており、さ
らにステント型血管補綴材留置位置の大湾側には内径1
0mmのチューブにより分枝が形成されていた。該ステ
ント型血管補綴材留置後に、該チューブ内に血液に見立
てた水を流したところ、水流による形状の潰れもなく内
腔が保持され、また、該分枝からの水の漏出もなく、良
好な留置結果を得ることができた。
【0077】(比較例8)比較例1〜7において作成さ
れた、全長60mmのステント型血管補綴材用織成管状
体に、特開2000−83978に開示されたリング状
線材部を、15mm間隔で縫着してステント型血管補綴
材を作成し、実施例9と同様のチューブ内に留置し、該
チューブ内に血液に見立てた水を流した。
【0078】この結果、比較例1、2、3、6において
は、水流による形状の潰れはみられなかったものの、透
水率が大きいために分枝からの水の漏出が顕著に多く、
臨床使用において瘤内への血流の十分な遮断が行われな
いことが懸念された。
【0079】比較例4、7においては、カラム強度が小
さいために、チューブ内に留置するに当り最基部端のリ
ングをチューブに対して垂直に安定して配置することが
困難であり、また、部分的にキンクによる内腔断面積の
減少が見られた。さらに、水流により最基部端のリング
が若干抹消側に流される傾向が見られた。これにより、
長期の留置で留置位置のずれや、内腔の閉塞が起こりう
ることが懸念された。
【0080】比較例5においては、壁厚が厚いために、
カテーテルを経由する際にカテーテル内でのステント型
血管補綴材の摺動抵抗が増加し、留置操作が困難であっ
た。
【0081】
【発明の効果】本発明のステント型血管補綴材用織成管
状体は、単糸数が特定範囲内にある、好ましくは単糸
数、単糸繊度、総繊度、撚り数の全てが特定範囲内にあ
るマルチフィラメントを、織成管状体を形成する経糸の
少なくとも一部使用し、該単糸を緯糸内において単列状
態で配置させることにより、ステント型血管補綴材とし
て病変部に留置された際に、血管補綴材が血液の流れに
よって押し潰されることなく管状を保持できる保形性
と、血液の外部への漏出を低減する高い液密性を達成し
ている。これにより病変部への血液流入を防ぐことが可
能となる。
【0082】本発明のステント型血管補綴材用織成管状
体は、それ自体では長さ方向の潰れに対し耐性を有さな
いステントに対しても好ましく適用することができ、柔
軟性、追従性に優れたステント型血管補綴材となるた
め、血管内治療において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例1で得られた管状体の経糸における
単糸の緯糸内の配列の仕方を模式的に示す断面図であ
る。
【図2】は、実施例4で得られた管状体の経糸における
単糸の緯糸内の配列の仕方を模式的に示す断面図であ
る。
【図3】は、実施例7で得られた管状体の経糸における
単糸の緯糸内の配列の仕方を模式的に示す断面図であ
る。
【図4】は、管状体に用いられる経糸における単糸の緯
糸内の配列の許容される範囲を模式的に示す断面図であ
る。
【図5】は、比較例3で得られた管状体の経糸における
単糸の緯糸内の配列の仕方を模式的に示す断面図であ
る。
【図6】は、比較例6で得られた管状体の経糸における
単糸の緯糸内の配列の仕方を模式的に示す断面図であ
る。
【図7】は、単列配置状態を構成するための装置の概略
図である。
【図8】は、本発明のステント型血管補綴材用織成管状
体の一例を示す図面である。
【図9】は、本発明のステント型血管補綴材の一例を示
す図面である。
【図10】は、実施例1で得られたステント型血管補綴
材用織成管状体の拡大表面を示す写真である。
【図11】は、実施例3で得られたステント型血管補綴
材用織成管状体の拡大表面を示す写真である。
【図12】は、比較例2で得られたステント型血管補綴
材用織成管状体の拡大表面を示す写真である。
【符号の説明】
11、21,31,41、51,61、71…経糸 13、23,33,43,53,63、73…緯糸 80,90…ステント型血管補綴材用織成管状体 97…ステント
フロントページの続き (72)発明者 山崎 照久 福井県福井市毛矢1丁目10番1号 セーレ ン株式会社内 (72)発明者 若林 惣兵衛 福井県福井市毛矢1丁目10番1号 セーレ ン株式会社内 Fターム(参考) 4C097 AA15 BB01 CC01 CC03 CC05 DD11 FF11 FF12 FF20 4C167 AA42 AA45 AA47 BB17 BB20 BB26 CC08 CC10 DD01 DD08 FF05 GG02 GG45 HH04 HH08 HH20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単糸数2〜5本より構成されるマルチフ
    ィラメントを経糸の少なくとも一部に含み、該単糸が緯
    糸内において単列配置状態であることを特徴とするステ
    ント型血管補綴材用織成管状体。
  2. 【請求項2】 前記マルチフィラメントの単糸繊度が
    5.5〜50dtexであることを特徴とする請求項1
    記載のステント型血管補綴材用織成管状体。
  3. 【請求項3】 単糸繊度0.1〜3.5dtex、単糸
    数10〜1000本より構成されるマルチフィラメント
    を緯糸に用いてなることを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載のステント型血管補綴材用織成管状体。
  4. 【請求項4】 クリンプ加工が施されていることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のステント型
    血管補綴材用織成管状体。
  5. 【請求項5】 分岐部を有することを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載のステント型血管補綴材用
    織成管状体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のス
    テント型血管補綴材用織成管状体とステントとを含むこ
    とを特徴とするステント型血管補綴材。
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