JP2003339228A - 栽培用培地及びそれを用いる栽培方法 - Google Patents

栽培用培地及びそれを用いる栽培方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱処理や薬品を使用する消毒・殺菌などの労
力や資金がかからなく、廃棄物を生じることもない、連
作障害を生じない栽培用培地を提供する。 【解決手段】 交換性カチオン(Ca+Mg)/Kのモ
ル当量比値が6〜50であり、根圏微生物が存在する軽
石から構成されることを特徴とする栽培用培地。前記軽
石は、粒径が1.0〜5.6mmで多孔性表面を有する
粒子からなり、また3.0〜4.0meq/100gの
陽イオン交換容量を有することが好ましく、また、根圏
微生物が植物の青枯病の発生を阻止するのに十分な量存
在し、さらに飽和透水係数が0.3〜0.8cm/se
c、通気係数が乾燥試料及び湿潤試料で15〜40cm
/secの粒状であることが好ましい。前記栽培用培地
を用いる栽培方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、栽培用培地及び栽
培方法に関し、更に具体的には、例えば野菜、果樹、花
卉植物などを主として施設栽培法、場合によっては露地
栽培法によって節水及び省資源下で栽培するのに好適な
栽培用培地に関する。また、培地の水分調節ができるの
で、果菜類のうちトマトやメロン等で糖度を上げること
ができるなど、付加価値のある農作物を栽培することの
できる栽培用培地及び栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サラダナやトマトなどの高級野菜などを
栽培する場合、畑地などではなく、例えばオープンエリ
ヤ施設やハウス施設などで精密に環境管理しながら、工
場生産的に栽培をする必要がある場合がある。このよう
な栽培方法を、施設栽培と呼んでいる。一方、温室栽培
は、早生ミカン等を除き、従来は単年度毎に収穫される
植物(農作物)に適用されてきた。温室栽培は、むしろ
ポット栽培に向くが、植物から培地への影響があるた
め、1収穫毎に培地の交換が必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように野菜や花
卉植物の栽培法には土耕(露地栽培)と施設栽培があ
る。土耕では、肥料を施用しつつ作付を多年に渡り続
け、すなわち同種あるいは近種作物を連作した場合、病
害が発生したり、収量が著しく低下したりする。これを
連作障害と称する。上記した問題点の外に、連作障害は
種々の現象として表れ、野菜栽培において問題となって
いる。そのため連作障害を起こさず、健全な作物栽培を
持続するために種々の対策が実施されている。
【0004】微生物による連作障害を回避するための、
従来の土壌培地での解決策としては、1)熱による殺菌
・消毒(オートクレーブ処理)、2)薬液による殺菌・
消毒、及び3)培地を廃棄して交換する方法が実施され
てきた。しかしながら、これらの対策はいずれも労力、
資金がかかり、しかも廃棄物を生じることもあり、さら
に必ずしも完全に効果があがらないこともあった。そこ
で、土耕の場合はやむをえず輪作を行うこともあった。
【0005】また、土壌以外の培地を使用する養液栽培
においては、連作障害を回避するための手段としては、
次のような手段が取られている。 1)ロックウール耕では、毎年又は隔年の培地交換、 2)湛液型水耕では、系(管)の消毒、 3)NFTでは、栽培ベッド(薄膜状)のフィルムを一
作ごとに更新、 4)礫耕では、礫の洗浄・処理、残根の処理、 5)毛管水耕では、系(管)の消毒、 6)砂耕では、砂の洗浄、消毒。 しかしながら、これらの対策は上記の土耕のところで記
述したのと同様の問題点があった。
【0006】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、熱処理や薬品を使用する消毒・殺
菌などの動力や資金がかからず、廃棄物を生じることも
なく、しかも連作障害を生じない栽培用培地及び栽培方
法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために鋭意検討を行い、軽石培地を用いて
栽培する場合の連作障害を調べるために、それを用いて
連作したところ意外にも連作歴があるものの方が、新規
な軽石よりもかえって連作障害が生じない場合があるこ
とを確認し、その連作障害を生じない理由を探求して種
々分析を行った結果、連作して連作障害を生じないもの
となっている軽石培地は、その交換性カチオンの化学組
成が当初の化学組成から変化してある一定の範囲のもの
となっていること、かつその軽石培地にある微生物の状
況が変化して根圏微生物が植物の青枯病の発生を阻止で
きるようになっていることを見出した。その結果、連作
歴があって、前記のような条件になっている軽石培地を
植物栽培の培地とすれば、連作障害の発生を阻止できる
ことを見出した。そして、その栽培においては、培養液
を点滴掛流し式で供給し、少水量養液栽培法で栽培すれ
ば、連作障害の発生の防止が容易であることも見出し、
これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、次の手段により前記
の課題を解決した。 (1)交換性カチオン(Ca+Mg)/Kのモル当量比
値が6〜50であるとともに、根圏微生物が存在する軽
石から構成されることを特徴とする栽培用培地。 (2)前記軽石は、多孔性表面を有する粒子からなるこ
とを特徴とする前記(1)の栽培用培地。 (3)前記軽石は、3.0〜4.0meq/100gの
陽イオン交換容量を有することを特徴とする前記(1)
又は(2)記載の栽培用培地。 (4)前記(1)〜(3)のいずれか1項記載の栽培用
培地を用い、培養液を点滴掛け流し方式で供給し、植物
を育苗及び/又は成育させることを特徴とする栽培方
法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における軽石培地に用いる
軽石の化学組成は、交換性カチオン(Ca+Mg)/K
のモル当量比値が6〜50であることが必要である。軽
石培地に通常使用されている火山性軽石(未使用)は、
その化学組成からいうと、例えば交換性カルシウムが
3.64meq/kg(73mg/kg)で、交換性マ
グネシウムが0.84meq/kg(10mg/kg)
で、交換性カリウムが2.28meq/kg(89mg
/kg)であるため、それから計算すると、交換性カチ
オン(Ca+Mg)/Kのモル当量比値が約2.0であ
るから、本発明において使用する軽石培地の軽石の化学
組成はこれと著しく異なっている。なお、前記の「交換
性カチオン」の量は、軽石1に対しカチオンの量によっ
て測定したものである。
【0010】本発明者が発見した連作障害が発生しな
い、連作に使用してきた軽石培地の軽石の化学組成は、
長年の使用により培養液の適用に伴い、培養液が含む肥
料成分の適用、カルシウム分やマグネシウム分を含む水
の潅水により、さらには栽培植物の根の周囲の環境、例
えば根圏微生物の種類などの影響により、長期間にわた
り軽石のイオン交換が行われて、交換性カチオン(Ca
+Mg)/Kのモル当量比値が6〜50となるようなも
のに変化したものとみられる。この交換性カチオン(C
a+Mg)/Kのモル当量比値の最適範囲に関する本発
明の解明により、軽石培地として連作に使用してきた軽
石培地を用いなくとも、自然の未使用の軽石を処理によ
り交換性カチオン(Ca+Mg)/Kのモル当量比値が
6〜50となるように調整することにより、連作障害が
発生しにくい軽石培地を容易に得ることができる。その
化学組成を調整する処理としてはイオン交換などの処理
を挙げることができる。
【0011】軽石培地中には、試験によって確かめられ
た通り、連作障害を抑制する機能のある微生物が存在し
ている。これは、交換性カチオン比とともに、本栽培培
地の連作障害抑制機能の原因の一つである。本明細書に
おいて、根圏微生物について、植物根が土壌中に伸長
し、その影響が及ぶ範囲を根圏(rhizospher
e)と呼び、そこに定着することが可能な微生物群(主
として細菌、放線菌、糸状菌)を根圏微生物と総称して
いる。一般的に根圏では、植物根から糖、アミノ酸、有
機酸その他各種の物質が分泌されるため、非根圏に比べ
て微生物の数が多い。前記根圏微生物は、植物の青枯病
の発生を阻止するのに十分な量存在することが好まし
い。
【0012】根圏微生物として同定された細菌は各属に
わたるが、Pseudomonas,Arthroba
cter,Clostridium,Azot bac
ter,Beijerinckia,Klebsiel
laなどが知られている。イネのほかには、コムギ、ト
ウモロコシ、サトウキビなどでも同じ属の根圏微生物が
同定され、窒素固定能が計測されている。
【0013】本明細書において、青枯病とは、細菌Ra
lstonia solanacearumによる植物
の病気を称する。本病に罹ると、始め茎の先端部の葉が
日中萎ちょうし、夜間は回復するといった状態が数日続
くが、後に全身が萎ちょうし、夜間も回復しなくなり、
下葉から枯れ上がり、ついには枯死する。茎や根を切断
すると導管部を中心に維管束全体が褐変し、切口から汚
白色の病原細菌の粘液が溢出する。本病は気温の高い時
に発生しやすく、夏期に栽培する作型で発生が多く、秋
から春に収穫する作型では発生が少ない。病原細菌は短
桿状で1〜4本の単極鞭毛、ときに両極鞭毛をもつ細菌
で、高温でよく成育し、成育適温度は30〜37℃であ
る。本細菌は多犯性で、トマト、ナス、ピーマン、ジャ
ガイモ、タバコ、シュンギク、など44科数100種に
及ぶ植物を侵す(タバコでは例外的に立枯病と称し、青
枯病といわない)。本細菌には病原性あるいは生理的、
遺伝的性質の異なる系統の存在も知られている。
【0014】本病は典型的な土壌伝染性の病気である。
病原細菌は被害植物残渣とともに土中に残り、いったん
土壌中に入った病原細菌は植物遺体が分解しても、ま
た、宿主となる植物が存在しない状態でも、土壌湿度が
比較的高い場合には数年間は生存することができる。自
然状態では土壌中で生存していた病原細菌が根や茎の傷
口などから侵入する。また、本細菌は水中で長く生存で
きるので、灌漑水あるいは降雨時の地表水などによって
伝播されることもある。侵入した病原細菌は導管内で増
殖しながら上昇し、茎、葉柄などの導管を閉塞する。そ
のため水分の上昇が妨げられ、植物は萎ちょうし、つい
に枯死する。本病は多犯性で被害が極めて大きいが、有
効な防除薬剤もない。実用的な抵抗製品種もほとんどな
いことから、特に被害の大きいトマトおよびナスでは抵
抗性台木への接木による防除が広く行われている。上記
の微生物、疾病については、微生物学辞典(日本微生物
学協会編、技報堂出版、1998年8月23日発行)に
詳細に記載されている。
【0015】本発明においては、先に述べた化学組成と
前記した根圏微生物の条件の両方を一緒に満たすことに
より、軽石培地による栽培で連作障害を著しく抑えるこ
とができる。その一方の条件だけでもある程度の効果を
得ることができる。本発明においては、軽石培地の軽石
としては、本出願人が先に出願したPCT/JP00/
07204の発明で示しているように、飽和透水係数が
0.3〜0.8cm/sec、通気係数が乾燥試料及び
湿潤試料で15〜40cm/secで粒状の軽石である
ことが栽培を行うために好ましい。このように、軽石培
地の物理性に加えて、培地における化学性と生物性の特
徴に着目した点が、本発明における重要ポイントであ
る。病原菌の作用と関係の深い根圏微生物も、未使用軽
石には殆どないのに、連用軽石では多様を示しているこ
とである。
【0016】本発明においては、使用する軽石培地の軽
石は、前記した性状の他に、3.0〜4.0meq/1
00gの陽イオン交換容量を有するものであることが好
ましく、この点は肥料成分の保持能力を高くする点で好
ましい他、前記した交換性カチオン(Ca+Mg)/K
のモル当量比値を所定の値に調整する上でも好ましいこ
とである。また、軽石の粒状については1.0〜5.6
mmの粒径にあることが好ましい。
【0017】
【実施例】以下の実施例によって、本発明の各種態様を
より具体的に説明する。これらの実施例は、本発明の具
体例を示すものであり、本発明はこれらの実施例によっ
て何等限定されるものではない。
【0018】実施例1 サラダナを4年連作した軽石培地及び10年連作した軽
石培地の各上層及び下層並びに未使用軽石について、各
試料を風乾後5mm程度のふるいを通し、サラダナの根
等を除去した後の軽石の化学的特性値を第1表に示す。
なお、各2個づつの試料を混合して1試料とし、混合後
の試料について処理を実施した。また、未使用軽石及び
4年、10年連作した軽石培地は、飽和透水係数及び通
気係数、平均粒径は同等で、物性は安定している。陽イ
オン交換容量(NH4 +量で表す)などは第1表に示すとお
りのものである。
【0019】
【表1】
【0020】第1表から明らかなように、各使用済み軽
石は上層、下層とも未使用の軽石に比べ、(Ca+M
g)/Kのカチオン当量比値がずっと大きいことが分か
る。4年又は10年間サラダナの連作中に使用した肥料
は、水1リットルに対し大塚化学の液体肥料1号を0.
75g、2号を0.5g添加溶解した希釈液肥であり、
この液肥の化学組成は、Ca、Mg、Kだけについてい
うと、Ca:8.2、Mg:3.0、K:8.6で、
(Ca+Mg)/Kのカチオン当量比値は1.3であっ
た。
【0021】実施例2 トマトの青枯病の発生程度を、連作歴のある培地及び未
使用培地について、オートクレーブ殺菌及び養分添加の
影響を試験し、トマト青枯病抑制能の評価を行った。 1)方法:下記に示す連作歴のある軽石培地を用いて行
った。このとき、前記軽石培地をオートクレーブ殺菌を
した軽石も試料として用意した。また、軽石(1)に大
塚化学の液体肥料を播種時から水分の代わり添加し、良
好な養分条件での発病を検討した。病原菌の接種量は軽
石1g当たりに103個とし、水分含量はpF2.0程
度になるよう毎日灌水した。なお、pF値は土壌の保水
性に関する指数を表す。 軽石(1):フレッシュな軽石 軽石(2):サラダナを15年程連作した軽石 軽石(3):サラダナを5年程連作した軽石
【0022】2)結果:図1に示すように、オートクレ
ーブ殺菌していない軽石(2)(3)では全く発病しな
かったのに対し、オートクレーブ殺菌した軽石(2)
(3)ではいずれも発病が認められた。したがって、連
作歴のある軽石培地において、トマト青枯病発生が抑制
される原因の一つとして微生物の作用による病害抵抗性
の賦与が推察された。しかし、オートクレーブ殺菌した
軽石(2)(3)における発病率は、軽石(1)よりは
依然低く、培地中養分が植物体に病害抵抗性を賦与して
いる可能性も十分に考えられた。図1において、「Au
tclaved軽石」はオートクレーブ殺菌した軽石を
表し、「軽石1+Nutr」は液体肥料であらかじめ処
理した軽石1を表す。
【0023】実施例3 比較的高密度の病原菌を接種した場合のトマト青枯病発
生率について、実施例2と同様の試験を行った。この例
ではオートクレーブ殺菌したものは用いなかった。ま
た、対照のために、黄色土(愛知県東郷町名古屋大学農
学部付属農場より採取した化学肥料連用土壌)の試料も
用意した。 1)方法:実施例2では軽石1gあたりに103個の病
原菌を接種したが、本実施例では、105個と100倍
多い病原菌を接種し、発病の程度を観察した。2)結
果:図2に示すように、新鮮な軽石培地(1)では播種
18日後にはすべての個体が枯死したが、連作歴のある
培地(2)(3)、対照として用いている黄色土では播
種27日後でも8割程度が健全個体であった。
【0024】実施例4 軽石の土壌病害抑制機能の効果を、実際の成長状況から
極めて具体的に示す実験を行った。前記軽石の連作障害
抑制機能評価を目的に、トマト青枯病菌(Ralsto
nia sokanacearum)を接種しトマト種
子(桃太郎)播種後21日間栽培した時点での発病率を
調べた。その結果、病原菌非接種培地では全く発病しな
かったのに対し、未使用のエコポラス培地では100%
発病した。一方、連作歴のある培地では全く発病が見ら
れず、連作により病害菌に対する抵抗力が強まる可能性
が示唆された。
【0025】実施例5 培養液の点滴掛流し方式(少水量養液栽培)の各種土壌
病害抑制能の評価を下記の手順により行った。 1.トマト青枯病発生程度の評価 実験1:軽石培地と黄色土壌との比較 1)供試媒体:軽石及び黄色土(愛知県東郷町名古屋大
学農学部付属農場より採取した化学肥料連用土壌、これ
までの研究結果ではトマト青枯病が発生しやすい土
壌)。
【0026】2)接種菌量及び栽培条件:径9cmのビ
ニールポットに軽石は120g、黄色土は200gを充
填した。このとき、軽石などの培地は乾燥重1g当たり
101、103、105個となるように、トマト青枯病菌
(Ralstonia solanacearum Y
U1Rif43)を接種し、水分含量を軽石はpF2.
2程度、黄色土は最大容水量の45%(pF2.3程度
に相当)に調整した。そこに、2日間あらかじめ芽出し
したトマト種子(タキイ種苗、桃太郎)を播種し、実験
室、ないし人工気象機内で栽培した。毎日ポットの重量
を測定し、不足した水分量を添加し、初期の水分条件を
維持した。また播種後6日目以降は添加する水分を大塚
液肥に変更した。
【0027】3)結果:播種後21日間栽培した時点で
の発病率を第2表に示す。病原菌を接種しない場合、ま
た、1g当たり10個の病原菌を接種した場合には、軽
石でも黄色土でも発病は見られなかった。病原菌103
あるいは105個を接種したときには、黄色土に比べ軽
石でより発病率が高かった。これまでの結果より、黄色
土はトマト青枯病に対し発病助長的であることから、軽
石自体にトマト青枯病抑制能があるとは考えにくい結果
となった。
【0028】
【表2】
【0029】実施例6 実験2:連作歴のある軽石培地におけるトマト青枯病発
生程度 1)方法:上記実施例5の実験1と同じ実験を以下に示
す連作歴のある軽石培地を用いて行った。ただし、病原
菌の接種量は1g当たりに103個とした。また、水分
含量はpF2.0程度になるよう毎日灌水した。 軽石(1):フレッシュな軽石 軽石(2):サラダナを15年程連作した軽石 軽石(3):サラダナを5年程連作した軽石 軽石(4):ナスを4年程連作した軽石
【0030】2)結果:第3表に示すように、新鮮な軽
石では発病率が100%であったのに対し、連作した軽
石培地ではいずれも現時点では発病が見られていない。
植物を連作することにより、本軽石培地は病原菌に対
し、何らかの抵抗力を有する可能性が示唆された。この
原因として、連作によりある種の微生物が軽石培地に定
着し、それらが青枯病に対して拮抗能を示す可能性が考
えられる。
【0031】
【表3】
【0032】以上の実施例1〜6の結果を総合して、下
記の所見が得られる。 (1)未使用軽石培地は、黄色土(助長土壌:病害に弱
い土壌)と同程度に病害に弱いことが分かった(実施例
4の実験1より)。 (2)5年連作(サラダナ)、15年連作(サラダ
ナ)、4年連作(ナス)各軽石培地と未使用軽石培地と
の比較より、連用することにより抵抗性が増すことが分
かった(実施例6の実験2より)。 (3)蒸気加圧殺菌した連用軽石培地の抵抗性の低下に
関しては、10〜30%抵抗性が低下することが分かっ
た。これは、何らかの微生物効果が病害への抵抗性に関
与することを推定させる(実施例2より)。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、軽石を培地に用いるに
当たり、その化学組成及び生物性を予め調整しておくこ
とにより、連作しても連作障害を起こさずに良好な栽培
を継続できる。しかも、熱処理や薬品を使用する消毒・
殺菌などの必要がない。このため、植物の栽培、育成に
際して、熱処理や薬品を使用する消毒・殺菌などの必要
がなく、さらに、その栽培に使用した培地を使用する時
には、薬品を使用する消毒・殺菌などの必要がない。そ
して、連作に使用しても連作障害を起こさないので、培
地を交換する手間が掛からない。また、使用済みの培土
の廃棄による経済的な負担が軽減されるなど、多種多様
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】連作歴のある軽石培地のトマト青枯病抑制能に
対するオートクレーブ殺菌及び養分添加の影響を示すグ
ラフである。
【図2】比較的高濃度の病原菌を接種した場合の各種培
地に対するトマト青枯病発生率を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 哲生 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 関 和幸 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 豊田 剛己 東京都小金井市中町2−24−16 Fターム(参考) 2B022 AA01 BA02 BB01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交換性カチオン(Ca+Mg)/Kのモ
    ル当量比値が6〜50であるとともに、根圏微生物が存
    在する軽石から構成されることを特徴とする栽培用培
    地。
  2. 【請求項2】 前記軽石は、多孔性表面を有する粒子か
    らなることを特徴とする請求項1の栽培用培地。
  3. 【請求項3】 前記軽石は、3.0〜4.0meq/1
    00gの陽イオン交換容量を有することを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の栽培用培地。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項記載の栽培
    用培地を用い、培養液を点滴掛け流し方式で供給し、植
    物を育苗及び/又は成育させることを特徴とする栽培方
    法。
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