JP2003331772A - 電子線装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

電子線装置及びデバイス製造方法

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JP2003331772A
JP2003331772A JP2002141172A JP2002141172A JP2003331772A JP 2003331772 A JP2003331772 A JP 2003331772A JP 2002141172 A JP2002141172 A JP 2002141172A JP 2002141172 A JP2002141172 A JP 2002141172A JP 2003331772 A JP2003331772 A JP 2003331772A
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Mamoru Nakasuji
護 中筋
Takao Kato
隆男 加藤
Toru Satake
徹 佐竹
Shinji Nomichi
伸治 野路
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一次電子線の収差を減少し、マルチビームを
用いる場合の二次光学系の構造を簡単化しスループット
を高める。 【解決手段】電子線装置は、試料表面上に複数の一次電
子線17を走査する走査手段を有する一次光学系、各一
次電子線17の走査により試料Wから放出される二次電
子を集束し二次電子線を形成する対物レンズ31、各二
次電子線を一次光学系から分離するE×B分離器29、
30、一次光学系から分離される各二次電子線をそれぞ
れ通過させる第2開口板32を有する二次光学系、及び
開口板を通過した各二次電子線を検出する検出器34を
含む。E×B分離器29、30は対物レンズ31に近接
して配置され、検出器34は第2開口板32に近接して
配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】半導体プロセスにおいて、デ
ザインルールは100nmの時代を迎えようとしてお
り、また生産形態はDRAMに代表される少品種大量生
産からSOC(Silicon on chip)のように多品種少量
生産へ移行しつつある。それに伴い、製造工程数が増加
し、各工程毎の歩留まり向上は必須となり、プロセス起
因の欠陥検査が重要になる。本発明は、半導体プロセス
における各工程後のウエハの検査のためのシングルビー
ム又はマルチビーム式電子線装置に関する。更に具体的
には、電子線などの荷電粒子線を用いた評価装置並びに
この評価装置を用いた半導体デバイス製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスの高集積化、パターンの
微細化に伴い、高分解能、高スループット(単位時間当
り処理量)の検査装置が要求されている。100nmデ
ザインルールのウエハ基板の欠陥を調べるためには、1
00nm以下の分解能が必要であり、デバイスの高集積
化による製造工程の増加により、検査量が増大するた
め、高スループットが要求されている。また、デバイス
の多層化が進むにつれて、層間の配線をつなぐビア(ウ
エハの上層配線と下層配線とを電気的に接続し、上下層
配線面に対して略垂直方向に延びる配線)のコンタクト
不良(電気的欠陥)を検出する機能も、検査装置に要求
されている。現在は主に光方式の欠陥検査装置が使用さ
れているが、分解能及び、コンタクト不良検査の点で
は、光方式の欠陥検査装置に代わって、電子線を用いた
欠陥検査装置が検査装置の主流になると予想される。た
だし、従来の電子線装置は、スループットの点で光方式
に劣るという弱点がある。
【0003】このため、高分解能、高スループット且つ
電気的欠陥検出が可能な検査装置の開発が要求されてい
る。光方式での分解能は使用する光の波長の1/2が限
界と言われており、実用化されている可視光の例では
0.2μm程度である。一方、電子線を使用する方式で
は、走査型電子顕微鏡(SEM)方式の検査装置が実用
化されており、分解能は0.1μm、検査時間は20c
mウエハの場合には8時間/枚である。電子線方式はま
た、電気的欠陥(配線の断線、導通不良、ビアの導通不
良等)も検査可能であることが大きな特徴である。しか
し、検査時間は非常に遅く、検査速度の速い欠陥検査装
置の開発が期待されている。
【0004】一般に、走査型電子顕微鏡(SEM)方式
検査装置は、高価でありまたスループット(単位時間当
りの処理量)も他のプロセス装置に比べて低いために、
現状では重要な工程の後、例えばエッチング、成膜また
はCMP(化学機械研磨)平坦化処理後等に使用されて
いる。電子線を用いたSEM方式の検査装置は、電子線
を細く絞って走査してライン状に試料を照射する。この
電子線径は分解能に相当する。一方、ステージを電子線
の走査方向に直角の方向に移動させることにより、平面
状に観察領域を電子線で照射する。電子線の走査幅は一
般に数100μmである。細く絞られた電子線(これを
一次電子線と呼ぶ)の照射により試料から発生した二次
電子線を検出器、例えば、シンチレータとフォトマルチ
プライヤ(光電子増倍管)又は半導体方式の検出器(P
INダイオード型)との組み合わせで検出する。照射位
置の座標と二次電子線の量(信号強度)を合成して画像
化し、記憶装置に記憶し、あるいはCRT(ブラウン
管)上に画像を出力する。
【0005】SEM(走査型電子顕微鏡)方式で得られ
た画像に基づき工程途中の半導体ウエハ(通常はシリコ
ンウエハ)の欠陥を検出する。スループットに相当する
検査速度は一次電子線の量(電流値)、ビーム径、検出
器の応答速度で決まる。ビーム径0.1μm(分解能と
同じと考えてよい)、電流値100nA、検出器の応答
速度100MHzが現在の最高値で、この場合での検査
速度は20cm径のウエハ1枚あたり約8時間と言われ
ている。SEM方式の検査装置では、上記の検査速度が
ほぼ限界と考えられており、更に高速にする、すなわち
スループットを上げるために新しい方式が要求されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のマルチビーム
(複数一次電子線)式電子線装置においては、試料の走
査点から放出される二次電子線をE×B分離器で一次電
子線から分離するが、E×B分離器による一次電子線の
収差が大きい問題があった。また一次電子線と試料との
アライメント(整合)を簡単に行うことができなかっ
た。マルチビームを使用する場合、二次電子の検出は、
E×B分離器で一次光学系から分離し二次光学系でビー
ム間隔を拡大し検出器へ導いている。そのため二次光学
系が複雑になる問題があった。更にE×B分離器の構造
が複雑である問題があった。従来の電子線装置におい
て、単一の鏡筒を使用する場合、スループットを大きく
することができなかった。本発明の目的は、上記の問題
を解消し、一次電子線の収差を減少し、マルチビームを
用いる場合の二次光学系の構造を簡単化しスループット
を高めた電子線装置を提供することにある。
【0007】対物レンズの収差を小さくしようとする
と、電極間の又は電極と試料間に放電が生じる問題があ
った。従来の電子線装置において、オートフォーカス又
はオートスティグを行う方法は確立していなかった。静
電チャックに関しては、上方へ凸に歪んだウエハを平坦
にすることができなかった。またウエハにリターディン
グ電圧を印加する場合、どのような時間経過を示す電圧
を印加すればよいのか不明であった。本発明の目的は、
上記の問題を解消し、電子線装置における放電を防止
し、また改良された静電チャックを備える電子線装置を
提供することにある。本発明のその他の目的、利点は、
以下の説明において明らかにされる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電子線装置は、
電子を放出する単一の電子銃、電子銃から放出された電
子を複数の一次電子線に形成する手段、及び複数の一次
電子線により試料表面上を走査する走査手段を有する一
次光学系、一次電子線の走査により試料から放出される
二次電子線を集束する対物レンズ、集束された二次電子
線を一次光学系から分離するE×B分離器、及び一次光
学系から分離される各二次電子線をそれぞれ通過させる
複数の開口を備える開口板を有する二次光学系、並びに
開口を通過した各二次電子線を検出する検出器を含む。
E×B分離器は対物レンズに近接して配置され、検出器
は開口板に近接して配置される。本発明は、本発明の電
子線装置を用いてプロセス途中のウエハの評価を行うデ
バイス製造方法にも存する。
【0009】本発明の電子線装置は、次の構成を含むこ
とができる。(1)走査手段は一次光学系の光軸から所
定距離以上離間した視野において一次電子線を走査する
電磁偏向器を含む。(2)検出器は電磁偏向器より電子
銃側で且つ光軸に関し視野の反対側に配置される。
(3)更に前記一次光学系、二次光学系及び検出器を収
容するワーキングチャンバ、ワーキングチャンバはその
内部を真空に排気することが可能にされる。(4)更に
試料の周辺に配置される位置センサーを含み、位置セン
サーは試料の端位置、試料のノッチ又はオリエンテーシ
ョンフラットを測定可能である。(5)試料は半導体ウ
エハである。
【0010】本発明の電子線装置は、更に次の構成を含
むことができる。(6)E×B分離器は、6極以上の多
極の静電偏向器及び静電偏向器の外側に配置されるサド
ル型又はトロイダル型の電磁偏向器を含む。(7)複数
組の前記一次光学系、二次光学系及び検出器が1枚のウ
エハ上に配置される。(8)対物レンズの表面が金、白
金又はロジウムで覆われる。(9)対物レンズは2つの
電極及び電極を固定する絶縁スペーサを含む。(10)
絶縁スペーサは2つの電極間の距離より長い沿面距離を
有し、絶縁スペーサと電極面との接触面における電極間
の間隔が増大する方向へ電極面が曲げられている。
【0011】本発明の電子線装置は、更に次の構成を含
むことができる。(11)一次光学系の合焦条件を求め
るとき、対物レンズの励起条件が少なくとも3条件設定
され、各条件においてビーム分解能が測定され、2次曲
線近似によって対物レンズの最適励起条件が求められ
る。(12)電子線装置は、更にウエハを保持する静電
チャックを含み、静電チャックは、中央部及び周辺部の
一部分から成る第1領域並びに周辺部のその他の部分か
らなる第2領域を有する。(13)ウエハをチャックす
る際、第1領域に正の高電圧、ウエハ及び第2領域に0
ボルト(V)を与え、その後第1の所定時間遅れで、第
2領域に正の高電圧を与え、更に第2所定時間遅れで第
1領域及び第2領域の電圧を徐々にゼロに近づけると共
にウエハに与える電圧を徐々に負の電圧へ向わせる。
(14)更に試料に一次電子線を照射する機械的構造
体、該機械的構造体の振動により力を受ける圧電素子、
及び圧電素子に接続される減衰回路を含み、減衰回路は
圧電素子から出力された電気エネルギーを減衰させるよ
うに働く。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施の形
態の電子線装置全体を示すの立面図である。電子線装置
1は、ワーキングチャンバ12及び充填室14を有し、
定盤11上に固定される。ワーキングチャンバ12及び
充填室14の内部は、ほぼ真空にされる。ワーキングチ
ャンバ12の上壁13に電子光学系を収容する鏡筒18
が固定される。ステージ16上に載置されるウエハWの
周辺部3個所及びウエハの周辺部のノッチ又はオリエン
テーションフラットの位置を観察するため、複数のエッ
ジ測定器15が配置される。エッジ測定器15は、ウエ
ハの周辺部と板状導電体との間の静電容量を測定する形
式の位置測定器とすることができる。ウエハの周辺部3
個所の位置の測定値に基づきウエハの中心位置が算出可
能であり、更にウエハの周辺部に設けたノッチ又はオリ
エンテーションフラットの位置の測定値に基づきウエハ
の回転姿勢が算出可能である。
【0013】ウエハの評価を行う電子線装置において
は、二次元画像を取得し、パターンマッチングを行えば
よいので、リソグラフィの場合のようにファインアライ
メントは必ずしも必要でなく、上記の測定後、直ちに二
次元画像の取得を始めることができる。
【0014】図2は、本発明の第2の実施の形態のマル
チビームを用いる電子光学系20を示す配置図である。
図2に示すように、電子銃Gのカソード21は、光軸1
9のまわりに複数の突起を有し、ウェーネルト22は、
カソードの突起の先端からのみ電子放出が起きるように
複数の穴が設けられる。アノード23は、1個の大きな
開口を有するものとすることができるが、開口の中央部
は電子線が通らないので、閉じた形状とすることもでき
る。電子銃Gから放出される電子線Eは、コンデンサレ
ンズ24により放出方向に向って拡大され、次にコンデ
ンサレンズ25でNA開口27にクロスオーバを作るよ
うに集束される。コンデンサレンズ25に隣接して第1
マルチ開口板26が配置され、それにより複数の一次電
子線17(マルチビーム)が形成される。
【0015】第1マルチ開口板26により形成されたマ
ルチビームは、縮小レンズ28及び対物レンズ31で縮
小され、試料W上にマルチプローブを形成する。試料W
上にマルチプローブが形成されることにより試料面から
放出される二次電子は、E×B分離器29、30により
図2において右方へ偏向され、軌道33及び第2開口板
32の開口を通り、二次電子検出器34で検出される。
二次電子検出器34は、R−θステージ35に固定され
る。
【0016】図3は、本発明の第3の実施の形態のシン
グルビームを使用する電子光学系50を示す配置図であ
る。図3に示すように、電子銃Gから放出された電子線
Eは、コンデンサレンズ53と対物レンズ56で縮小さ
れ試料W上にシングルビームのプローブを形成する。試
料上のシングルビームの走査は、偏向器54と電磁偏向
器55とで行われる。走査視野59は、光軸58から所
定距離dだけ外れた位置とされる。試料Wから放出され
た二次電子は、軌跡61を通り電磁偏向器55で図3の
右方へ偏向される。
【0017】図3の電子光学系50において、一次ビー
ム60が進行方向(光軸58)の左方へ偏向されるのに
対し、二次電子線61は、向きが逆であるからその逆の
方向へ偏向される。二次電子線61は、二次電子検出器
62で検出され、A/D変換器69でデジタル信号に変
えられ、走査電源68の信号と共に画像形成回路70で
二次元像を形成する。
【0018】図4は、本発明の第4の実施の形態のE×
B分離器40の断面図である。図4に示す電極41、4
8は、cosθに比例する電圧が付与される。ここでθ
は、形成しようとする電界の方向と、光軸49(紙面に
垂直)と電極41、48の中心を結ぶ方向との間の角度
である。このようにマルチ電極にすることによって、一
様な電界が形成される領域の直径と電極の内径の比を大
きくできるので、走査時等においてビームが光軸からあ
る程度離れていても大きい収差は発生しない。絶縁スペ
ーサ42が電極41、48を接地された円筒43に固定
する。円筒43は、真空壁とし、コイル44、45は、
大気中又は真空中に置くことができる。フェライトコア
46は、接合位置47においてつなぎ合わせて組立てら
れる。このような構造にすることによって、E×B分離
器の電子銃側と試料側の両方にフェライトコアより大き
い直径を持ち且つ分割できない部品があっても、E×B
分離器40は組立て可能となる。
【0019】図5A及び図5Bは、本発明の第5の実施
の態様のマルチカラムの電子光学系の立面図及び平面図
である。本発明のマルチカラムの考え方は、電子光学系
の外径を小さく作り、それを多数並べるということでは
なく、1枚の板に各光学系に対応する光軸を持たせ、そ
の板にレンズ作用や偏向器の作用を行うような加工を行
い、そのような板を必要な枚数(例えば静電レンズでは
3枚)光軸を合わせて、必要な間隔を設けて重ね合わ
せ、板の周辺部で絶縁固定し、その外側に真空壁や磁気
シールドを持たせる構造を採用する。
【0020】図5Aはマルチカラムの電子光学系の立面
図、図5Bはマルチカラムの電子光学系の平面図であ
る。図5Bの鎖線A−Aに沿う立面図が図5Aに示され
る。図5Bは一次光学系と二次光学系の平面上の位置関
係を示す平面図である。図5Aにおいて、電子線装置1
01の電子銃Gの下方に、2段の軸合せ偏向器121a
と121bが配置される。電子銃Gは、カソード11
0、共通のウェーネルト115、共通のアノード116
を備える。図5Bに示すように、一次光学系120、二
次電子が導入される二次光学系140、及び二次電子を
検出する検出系150が組合わされ具備される。
【0021】図5Aの静電レンズは、3段のユニポテン
シャルレンズ122、125、127を組込まれる。ビ
ーム成形開口123及びNA開口124は、各レンズ系
共通の1枚の板に光軸が合うように加工される。E×B
分離器126は、x方向のコイル132、y方向の偏向
コイル133、パーマロイコア134、静電偏向器13
5を備える。図5は4つの電子光学系を具備し、各光学
系は、それぞれ6本のビーム151を発生させ、試料上
を走査する。試料上の走査点から放出された二次電子
は、対物レンズ127で加速集束され、E×B分離器で
一次光学系から分離され、二次電子光学系140で検出
される。
【0022】図6Aは電極板210を形成するセラミッ
ク板の平面図、図6Bはシールド板131の平面図であ
る。図5Aの偏向器121aと121bは、それぞれ図
6Aのセラミック板210及び図6Bのシールド板13
1を上下に具備する。偏向器121a〜fは、光軸OA
1の方向(z軸方向)の長さ及び穴の径が異なる以外は
実質的に同じ構造であり、偏向器121aにより代表し
図6Aに示す。偏向器121aの電極板210は、各光
軸OA1と同軸の穴211、及び各電極を分離するため
の8本の溝213を有する。電極板210は、穴211
及び溝213を加工した後、セラミック板表面全体にニ
ッケル−リン合金からなる非磁性の無電界メッキを行
い、その表面に更に金メッキを行う。その後、各電極を
電気的に絶縁するため、溝213の光軸から最も離れた
端と、領域214で示される表面のメッキを削り取っ
た。メッキが残っている領域215で示される配線の外
側から各光学系の各電極に電圧を印加できるようにし
た。
【0023】図6Bはシールド板131の平面図であ
る。メッキを剥がされた領域214(図6A)が帯電し
ても、その電界が光軸へ漏れ出すのを、このシールド板
131及び偏向電極215(図6A)によりシールドす
る。
【0024】
【電極の構造に関する実施の形態】本発明は、電子線を
試料に照射する静電レンズを用いた電子光学系に使用可
能な絶縁破壊を防止する電極構造を提供する。電子線装
置に用いられる静電レンズ等の静電レンズを用いた電子
光学系には、電子線を加速したり収束するための電界を
生成する電極が、電子線の光軸方向に多段に配設され
る。これら電極には各々所定の電圧が印加され、こうし
て電極の電位差によって生ずる電界によって、電子線を
加速したり、光軸上の所定の点に収束させる。
【0025】従来の電子線装置においては、電子線源か
ら放出した電子線の一部が、静電レンズを用いた電子光
学系における電界に係わらず電極に衝突する場合があ
る。この場合に、電子線が電極に衝突することにより、
電極自体から二次電子線が放出される。この電極から放
出される二次電子線の量は、電極の材料又は電極をコー
ティングする材料によって変化する。この電極から放出
される二次電子線が多くなると、この二次電子線は電極
の電界によって加速され、装置内の残留ガスをイオン化
し、このイオンが電極に衝突することによって、更に、
電極から二次電子線が放出される。したがって、二次電
子線が大量に放出されると、電極間において放電が生じ
易くなり、電極間で絶縁破壊を起こす確率が増加してし
まう。
【0026】例えば、電極がアルミニウムでコーティン
グされている場合と、金でコーティングされている場合
とで、絶縁破壊の確率を比較すると、アルミニウムの場
負の方が電極間の絶縁破壊の確率が若干高かった。アル
ミニウムは、仕事関数が4.2[eV]であり、金は、
仕事関数は4.9[eV]である。ここで、仕事関数と
は、金属にある1個の電子線を真空中に取り出すのに必
要な最小のエネルギーである(単位:eV)。
【0027】また、電極が金でコーティングされている
場合であって、更に、電子線装置の試料が半導体ウエハ
である場合は、コーティングした金に電子線が衝突する
ことによって金がスパッタされ、半導体ウエハの表面に
金が付着してしまう場合がある。半導体表面に金が付着
すると、後の熱工程で金がシリコン結晶中に拡散されト
ランジスタの性能を劣化させる。よってこの場合に、電
子線装置は半導体ウエハの検査に適さない。一方、静電
レンズを用いた電子光学系の例えば、静電レンズにおい
ては、電極間距離を短くすることによって焦点距離の短
い静電レンズが得られる。焦点距離が短いと、静電レン
ズの収差係数は小さくなり低収差となるので、静電レン
ズは高分解能となり、評価装置の分解能が向上する。
【0028】また、静電レンズの電極間に与える電位差
を大きくすることによっても、焦点距離の短い静電レン
ズとすることができる。よって、電極間距離を短くする
場合と同様に、静電レンズは低収差で高分解能となり、
電子線装置の分解能が向上する。したがって、電極間距
離を短くして電極間の電位差大きくしてやれば、相乗的
に静電レンズは低収差で高分解能とすることができる。
しかし、電極間距離を短くして電極間の電位差大きくす
ると、電極間において放電が生じ易くなり、電極間で絶
縁破壊を起こす確率が増加してしまうという問題があ
る。
【0029】従来、電極間の絶縁は、電極間に絶縁材料
を挿入し、この絶縁材料によって電極を支持することに
よって、電極間の絶縁を保持していた。また、電極間の
絶縁材料の最短沿面距離(絶縁表面長さ)を長くするこ
とによって、絶縁材料表面の絶縁性能を高めていた。例
えば、絶縁材料の表面を電極間方向のヒダ形状とするこ
とによって、電極間における最短沿面距離を長くしてい
た。しかしながら、一般に、絶縁材料表面の加工は、金
属の加工に比べると加工が困難で、加工費用が高価にな
ってしまう。また、絶縁材料表面をヒダ形状等とする
と、絶縁材料の表面積が広くなってしまうので、電子線
装置内が真空の場合は、絶縁材料からの放出ガスが多く
なる場合がある。よって、真空度の劣化を招き、かえっ
て電極間の耐圧が下がってしまう場合が多かった。
【0030】本発明は、静電レンズ系の電極間の絶縁破
壊を防止し得る電極構造を提供しようとするものであ
る。そのため、図2の電子光学系20において、コンデ
ンサレンズ24、25、縮小レンズ28、及び対物レン
ズ31は、いずれも所定の電界を発生させるための複数
の電極を含む。これら全ての電極の表面には、白金がコ
ーティングされる。更に、E×B型偏向器29、30の
電極の表面も白金でコーティングされる。
【0031】図7は、電極をコーティングするアルミニ
ウム、金、白金の金属別における絶縁破壊発生確率を示
す表である。各金属の仕事関数は、アルミニウムが4.
2[eV〕であり、金が49[eV〕、白金は5.3
[eV]である。金属の仕事関数は、金属にある1個の
電子線を真空中に取り出すのに必要な最小のエネルギー
である(単位:eV)。即ち、仕事関数の値が大きい
程、電子線が取り出しにくいことになる。図7におい
て、絶縁破壊発生確率は、金属毎に相対的な大小関係で
表す。また、電極をコーティングする金属の種類を除く
他の検査条件は同一とした。
【0032】図7を参照すると、電極をコーティングし
た金属がアルミニウムの場合と、金の場合において、絶
縁破壊が発生する確率を比較すると、金の場合の方が電
極の絶縁破壊の発生確率が若干低かった。よって、金の
場合の方が絶縁破壊の防止については効果がある。また
電極をコーティングした金属が金の場合と、白金の場合
において、絶縁破壊が発生する確率を比較すると、白金
の場合の方が電極の絶縁破壊の発生確率が更に低かっ
た。電子光学系において、電子線源から放出された電子
線が電極に衝突した場合に、仕事関数の値が大きい金属
(仕事関数の値が大きい金属を主材料とする合金をも含
む)が電極にコーティングされていれば、電極から放出
される二次電子線は少なくなるので、電極の絶縁破壊の
発生確率も低下する。そのため、仕事関数が大きい金属
であれば、或る程度良い。具体的には、電極にコーティ
ングされる金属の仕事関数が5[eV〕であれば、電極
の絶縁破壊の発生確率は低く抑えることができる。
【0033】検査対象となる試料が半導体ウエハであ
り、更に、電極にコーティングされる金属が金の場合で
あると、電子線が金に衝突することによって、半導体ウ
エハのパターン上に金が付着してしまうことがあった。
電極にコーティングされる金属が白金であると、半導体
ウエハのパターン上に白金が付着することなく、また、
白金が付着することがあってもデバイス性能を劣化させ
ることもない。更に、電極の絶縁破壊の発生確率も低く
することができ、より好ましい。
【0034】次に、図8A、図8B及び図9を参照し
て、本発明の第6の実施の態様の電極の形状と構成を説
明する。図8A、図8Bにおいて、電極310は、静電
レンズ、静電対物レンズ及び静電中間レンズに含まれる
電極である。電極310は、電子線や二次電子線が通過
可能な通過孔を略中央部に設けた円盤形状であり、図示
しない電源装置により所定の電圧が印加される。図9は
電極310の表面部の一部断面図である。図2のE×B
偏向器の電極29の表面も電極310の表面と同等の構
成とすることができる。電極310の材料は、ケイ素銅
(シリコンブロンズ)310aから構成され、必要な寸
法形状に加工されたケイ素銅310a上にチタン310
bを50nmの厚さになるようにスパッタ・コーティン
グし、更に、チタン310b上に白金310cを200
nmの厚さになるようにスパッタ・コーティングを行っ
て電極310が形成される。
【0035】ここで、図10A、図10B、図11A、
及び図11Bを参照して、電極間の電位差が大きい場合
の電極間の絶縁破壊を防止する電極の構成について説明
する。図10Aは静電対物レンズの電極の平面図、図1
0Bは図10Aの電極の側断面図、図11は図10Bの
側断面図の部分拡大図である。電極320、322は、
例えば、対物レンズ31の電極であり、上記のように電
極には白金がコーティングされている。また、電極32
0、322には、図示しない電源装置により所定の電圧
が印加される。この実施の形態では、半導体ウエハ側の
電極322には高電圧、例えば15kVの電圧が印加さ
れ、電極320には5kVの電圧が印加される。
【0036】電子線や二次電子線が通過する通過孔32
4は、電極320、322の中央部にあり、通過孔32
4内は電極320、322の電位差によって電界が形成
される。この電界によって、電子線は減速し、且つ収束
されて、半導体ウエハWに照射される。この時、電極間
の電位差が大きいので、対物レンズ31は焦点距離の短
い対物レンズとすることができる。それ故、対物レンズ
31は低収差で高分解能となる。
【0037】電極320と322との間には、絶縁スペ
ーサ326が挿入される。絶縁スペーサ326は、電極
320、322を略垂直に離間し支持する。絶縁スペー
サ326の電極間における最短沿面距離は、支持された
電極部分における電極間距離と略同じ長さである。即
ち、電極間の絶縁スペーサ326の表面は、電極間方向
においてヒダ状等になっておらず、ほぼ平面である。電
極322は電極間において最短距離となる第1の電極面
322bと、この第1の電極面322bよりも電極間距
離が長い第2の電極面322cと、第1の電極面322
bと第2の電極面322cとの間にこれら2つの電極間
方向の段差322d(図11)を有する。絶縁スペーサ
326は電極322を第2の電極面322cで支持す
る。
【0038】電極322をこのような形状にしたので、
電極間の最短距離を所定の距離に保ちつつ、絶縁スペー
サ326の表面を電極間方向においてヒダ状等に加工す
ることなく、絶縁スペーサ326の最短沿面距離を電極
間の最短距離より長くすることが可能となる。また、絶
縁スペーサ326の表面には、大きい電界が加わらない
ので、沿面放電も起こり難い構造とすることができる。
【0039】それ故、静電対物レンズは、焦点距離の短
い、低収差で高分解能にすることができ、しかも、絶縁
スペーサ326の電極間の絶縁性能が低下しないので、
電極間の絶縁破壊を防止できる。また金属である電極3
22に段差322dを設けるように加工したので、絶縁
スペーサ326を加工するより加工費用が安価になる。
加えて、電極間方向における絶縁スペーサ326の表面
にはほとんど凹凸部分が無く、絶縁スペーサ326から
の放出ガスが多くなることも無い。更に、電極320の
通過孔324の開口端部320aと、電極322の通過
孔324の開口端部322aとのコーナー部に曲率を持
たせたので、両コーナー部に電界が集中することがなく
なり、電極間の絶縁破壊がより防止できる。また更に、
電極322の段差322dの電極間側のコーナー部に曲
率を持たせたので、コーナー部に電界が集中することが
なく、電極間の絶縁破壊がより防止できる。
【0040】図11の実施の形態では、電極322に段
差322dを設けたが、電極320にも電極322方向
に段差を設けるように加工してもよいし、電極322に
代えて、電極320にのみ電極322方向に段差を設け
るように加工してもよい。また、静電対物レンズにおい
て、絶縁スペーサ326が挿入された電極を説明した
が、他の静電レンズ系において、電位差の大きい電極が
ある場合は、その静電レンズ系に適用することによっ
て、電極間の絶縁破壊を防止することができる。図2、
図7〜図11を用いて説明した実施の形態は、図24及
び図25のデバイス製造方法におけるチップ検査工程に
用いることによって、静電レンズ系の電極間で絶縁破壊
が生じることなく半導体ウエハの評価を行うことが可能
となる。
【0041】
【対物レンズの駆動に関する実施の形態】本発明は、
0.1ミクロン以下の線幅を持つパターンの欠陥検査、
CD測定、合わせ精度測定、高時間分解能での電位測定
等の諸評価を高スループット、高精度且つ高信頼性で行
うことができる電子線装置および該装置を用いたデバイ
ス製造方法に関する。半導体ウエハ等の試料の表面に形
成されたパターンの評価を、電子線による走査の結果を
用いて高精度で行う場合、試料の高さの変化を考慮する
ことが必要である。これは、試料の高さにより、試料の
表面上のパターンとパターンに電子線を集束させる対物
レンズとの間の距離が変化して、合焦条件はずれにより
解像度が低下してしまい、正確な評価ができないためで
ある。
【0042】これを解消するため、試料面に対して斜め
に光を入射させ、その反射光を利用して試料の高さを測
定し、その測定結果を、電子線を試料に集束させるため
の電子光学系に帰還させて、電子光学系の構成要素に供
給する電流や電圧を制御することにより、電子光学系の
焦点合わせを行う電子線装置は公知である。しかし、試
料に対して斜めに光を入射させる方式においては、試料
面と電子光学系の下面との間のスペースに、入射光を反
射させるための、絶縁物を主体とする光学部品を配置し
なければならない。このためには、試料面と電子光学系
の下面との間の間隔を必要以上に大きく取る必要がある
が、そうすると電子光学系の収差等の問題が無視し得な
くなる。しかしながら、電子光学系の焦点合わせと電子
光学系の収差等の問題の解消とを同時に行う方法がない
のが実状であった。
【0043】また、電子光学系の焦点合わせは、試料面
と電子光学系の下面との間の距離ばかりでなく、試料面
上の帯電状態や、電子線の空間電荷効果をも考慮して行
う必要があるので、電子光学系の焦点合わせに関係する
パラメータを電子光学的に測定しないならば誤差が発生
しかねない。更に、電子光学系に含まれる磁気レンズの
励磁電流を調整して焦点合わせを行う場合、この励磁電
流を所定値に設定してから電子光学系の焦点距離が安定
的に定まるまでの時間、即ち整定時間を長く取ることが
必要であるため、高速で焦点合わせを行うことが困難で
あるという問題もあった。また、静電レンズの励起電圧
を変えて電子光学系の焦点合わせを行う場合、静電レン
ズに印加された高電圧を変化させなければならないの
で、同様に、整定時間が長くかかるという問題があっ
た。
【0044】本発明は、上記の問題点を解決するため
に、電子光学的に且つ短時間で電子光学系の焦点合わせ
を行うことができる電子線装置及び該装置を用いたデバ
イス製造方法を提供する。図12は、本発明の第7の実
施の形態の電子線装置の配置図である。図12におい
て、電子線源401はアノード402を備え、放出され
た一次電子線はアノード402によって加速されて軸合
わせ用偏向器403、404及び非点補正レンズ405
を経て開口板406の小孔407を通る。
【0045】開口板406を通過した一次電子線はコン
デンサ・レンズ408によって集束され、偏向器40
9、410を経てウィーン・フィルタ(E×B分離器)
411を通過した後、対物レンズ412によって縮小さ
れ、軸対称電極413を経て、ステージ414上に載置
された試料Wの表面に形成された例えば矩形の複数の回
路パターンの一つの上に結像される。軸対称電極413
は、試料Wとの間に殆どスペースがないよう配置され
る。ステージ414は、一次電子線が偏向される第1の
方向に対して直角な第2の方向に移動可能であり、この
ため、一次電子線の偏向とステージ414の移動とによ
り回路パターンの走査が行われる。
【0046】一次電子線による走査の結果、試料W上の
一つの回路パターンから放出された二次電子線は、対物
レンズ412の電界によって引かれて加速され、ウィー
ン・フィルタ411によって一次光学系の光軸Lから逸
れるように偏向されて一次電子線から分離される。こう
して二次電子線は二次電子線検出部415によって検出
される。二次電子線検出部415は、入射した二次電子
線の強度を表す電気信号を出力する。この電気信号は、
その対応の増幅器(図示せず)によって増幅された後、
画像処理される。
【0047】コンデンサ・レンズ408によって一次電
子線を縮小するため、コンデンサ・レンズ408を構成
する電極のそれぞれに対して、第1の電源417から所
要の電圧が印加される、一方、対物レンズ412はユニ
ポテンシャル・レンズであり、一次電子線を試料Wの表
面に集束させるため、対物レンズ412の中央電極には
第2の電源418から正の高電圧Voボルトが印加さ
れ、対物レンズ412の上側電極及び下側電極には第3
の電源419から小さい電圧±△Voボルトが印加され
る。
【0048】電子線源401、アノード402、軸合わ
せ用偏向器403、404、非点補正レンズ405、開
口板406、コンデンサ・レンズ408、偏向器40
9、410、ウィーン・フィルタ411、対物レンズ4
12、軸対称電極413及び二次電子線検出部415
は、適宜のサイズの鏡筒416内に収納されて一つの電
子線走査・検出系420を構成する。なお、電子線走査
・検出系420の初期焦点合わせは、電圧±△Voを例
えば−10ボルトに固定しておき、正電圧Voを変化さ
せることによって行い得る。
【0049】上述のように、電子線走査・検出系420
は、試料W上のチップパターンの1つを走査し、走査の
結果として試料Wから放出される二次電子線を検出し
て、その強度を表す電気信号を出力する。実際には、試
料Wの表面に複数のチップパターンが形成されているの
で、電子線走査・検出系420と同様の構成の電子線走
査・検出系(図示せず)が、電子線走査・検出系420
と並列する形で、互いの距離が試料W上のチップ寸法の
整数倍の距離になるよう配置される。
【0050】電子線走査・検出系420について更に説
明すると、二次電子線検出部415から出力される電気
信号は2値化情報へ変換され、この2値化情報を画像デ
ータに変換する。この結果、試料Wの表面に形成された
回路パターンの画像データが得られ、得られた画像デー
タは適宜の記憶手段に蓄積されると共に、基準の回路パ
ターンと比較される。これにより、試料W上に形成され
た回路パターンの欠陥を検出することができる。
【0051】図12に示す電子線装置において、対物レ
ンズ412の上側電極及び下側電極に印加すべき電圧±
△Voの値は、CPU等の制御装置(図示せず)の制御
下で以下のようにして決定される。まず、試料Wの表面
に形成された任意の一つの回路パターン上に、一次電子
線が偏向される第1の方向に平行なパターン・エッジ
と、この第1の方向に直角な第2の方向に平行なパター
ン・エッジとが存在する場所を、例えばパターン・デー
タから読み出す。
【0052】次いで、偏向器409、410及びウィー
ン・フィルタ411を用いて、一次電子線により、上記
第1の方向に平行なパターン・エッジを上記第2の方向
に走査し、その結果放出された二次電子線の強度を表す
電気信号を二次電子線検出部415から取り出し、その
電気信号の立上がり幅(単位:ミクロン)を測定する。
同様に、上記第2の方向に平行なパターン・エッジにつ
いても、偏向器409、410及びウィーン・フィルタ
411を用いて一次電子線により上記第1の方向に走査
し、その結果放出された二次電子線の強度を表す電気信
号を二次電子線検出部415から取り出し、その電気信
号の立上り幅を測定する。この操作を電圧±△Voの値
を変える毎に行う。こうして、図13Aに示すグラフG
及びHが求まる。図13Aは、対物レンズに印加する負
電圧と電気信号の立上り幅との間の関係を示すグラフで
あり、図13Bは、電気信号の立上り幅を説明するため
の図である。
【0053】上記の「電気信号の立上がり幅」は、図1
3Bに示すように、電圧±△Voを或る値に固定した状
態で、第1の方向に平行なパターン・エッジを第2の方
向に走査したときに測定される電気信号が、その最大値
の12%から88%まで変化するのに要する第2の方向
での走査距離(単位ミクロン)である。図13Aにおい
て、グラフGは、電圧△Voが−△Vo(x)で最小で
ある、即ち、立上りがもっとも鋭いことを示しており、
同様に、グラフHは、電圧△Voが+△Vo(y)で最
小である、即ち、立上りが最も鋭いことを示している。
したがって、対物レンズ412の焦点条件、即ち、上側
電極及び下側電極に印加する電圧±△Voの値は、{−
△Vo(x)+△Vo(y)}/2に設定することが好
ましい。
【0054】実際には、電圧±△Voは0〜±20ボル
トまでしか変化しないので、10マイクロ秒という高速
で対物レンズ412の電圧を整定させることができ、図
13AのグラフG及びHを取得するのに150マイクロ
秒しか要しなかった。また、曲線G、Hを測定するの
に、このように多くの測定を行う必要はなく、図13A
に示すように、±△Voの値として−△V(1)、+△
V(2)、+△V(3)を設定して立ち上がり幅を測定
し、双曲線で近似してグラフG、Hを求め、立上りの最
小値+△Vo(y)、−△Vo(x)を求めてもよい。
その場合には、45マイクロ秒程度で測定を行うことが
できる。
【0055】図13AのG、Hは双曲線の形状をしてい
る。立ち上がり幅をp(mm)、対物レンズ電圧±△V
oをq(ボルト)とすると、曲線G、Hはa、b及びc
を定数として、 (p2/a2)−(q−c)2/b2=1 と表せる。そこで、3つのqの値q1、q2、q3とそれ
らに対応するpの値p1、p2、p3を上式に代入する
と、次の3つの式が得られる。 (p1 2/a2)−(q1−c)2/b2=1 (1) (p2 2/a2)−(q2−c)2/b2=1 (2) (p3 2/a2)−(q3−c)2/b2=1 (3)
【0056】これらの式(1)〜(3)からa,b及び
cの値が算出され、q=cのとき、最小値となる。即
ち、立ち上がり幅が最小となる対物レンズ電圧−△Vo
(x)を3つのレンズ条件で求めることができたことに
なる。全く同様にして、+△Vo(y)を求めることが
できる。図13AのグラフG、Hのように立上り幅がパ
ターン・エッジを第1の方向に走査したときと第2の方
向に走査したときとで異なる場合が一般的である。こう
した場合には、例えば8極の非点補正レンズ405に印
加する電圧を調整して、第1の方向及びそれに直角な第
2の方向においてパターン・エッジを走査したときの二
次電子線検出部415からの電気信号の立上りが更に小
さくなるよう非点補正を行うことが必要である。
【0057】前述のとおり、図12の電子線走査・検出
系420と同様の構成の電子線走査・検出系(図示せ
ず)が、電子線走査・検出系420と並列する形で、互
いの距離が試料W上のチップサイズの整数倍の距離にな
るよう配置され、それぞれの電子線走査・検出系におい
て一次電子線が試料W上に合焦するよう焦点合わせを行
う必要があるが、こうした焦点合わせは略同時に行うこ
とが可能であるので、スループット・バジェットは僅か
な値でしかない。この方法では、光学的なZセンサでは
なく、電子光学的な手段で合焦条件を求めているため、
試料が帯電している場合にも正しい合焦条件が求められ
るという利点がある。以上説明したように電子線走査・
検出系における焦点合わせを行ってから、試料Wの評価
を行うプロセスに移行する。
【0058】
【制振装置に関する実施の形態】本発明は、電子線を半
導体ウエハ等の試料の目標位置に照射することにより、
試料の加工、製造、観測及び検査のうち少なくとも1つ
を実行する電子線装置を提供する。より詳しくは、電子
線を位置決めする機械構造体に生じる不要な機械的振動
を減少させた電子線装置、その制振方法および該装置を
用いた半導体デバイスの加工、製造、観測及び検査のう
ち少なくともいずれかを実行する工程を備えた半導体製
造プロセスを提供する。
【0059】一般に、電子線を用いて物質の微細な構造
を観測する手法に、ウエハ等に形成されたパターンの欠
陥を検査する検査装置や走査型電子線顕微鏡(SEM)
等が有るが、観測分解能がμm〜数十nmであるため、
外部からの振動を十分に除振して観測を行う必要があ
る。また、電子線を用いて露光を行う装置においても、
電子線を偏向させ、目標位置に正確にビーム照射するた
めには、外部からの振動を十分に除振するための除振装
置を用い、且つ、鏡筒部分の構造から生じる機械的共振
によるふらつきを出来るだけ小さくするために、剛性を
上げる必要がある。構造体の剛性を上げるためには、電
子光学系による物理的な寸法制約があることから、小型
化による剛性の向上は取りづらく、従って鏡筒部分の肉
厚化、大型化等により剛性向上が成されることが多かっ
た。しかし、この方法による剛性向上は、装置の重量
化、形状制限、除振台の大型化などを含む設計上の自由
度の拘束、並びに、経済的な面を含めて不利な面が多々
有った。
【0060】図14に示す本発明の第8の実施の形態
は、上記事実に鑑み、ビームを位置決めする機械構造体
の共振による不要な振動を、必ずしも機械構造体の剛性
を向上させなくても、ビームの位置決めを高精度に維持
できるよう適切に減衰可能とすることにより、設計上の
制約の緩和、装置の小型軽量化、経済性の向上を実現さ
せた電子線装置、および、該装置を半導体デバイスの製
造工程に用いて効率良く製造、検査、加工、観測等を可
能とする半導体製造プロセスを提供する。
【0061】図14は、本発明の第8の実施の態様にお
ける半導体ウエハの欠陥の検査を行う電子線装置の構成
を示す。同図に示す電子線装置500は、いわゆるSE
M型(走査電子顕微鏡型)であり、Aブロック(鏡筒5
46の部分)及びAブロックから斜め上方へ突出するB
ブロック(鏡筒546の部分)の機械構造体を有する。
Aブロック内には、一次電子線を照射する一次電子線照
射手段が配置される。Bブロック内には、ウエハWの二
次電子画像を検出する検出器が配置される。
【0062】図14の電子線装置500は、電子を放出
する電子銃501、電子銃から放出された電子を一次電
子線に偏向、成形させる静電レンズ502、成形された
一次電子線を電場E及び磁場Bの直交する場を通しウエ
ハWに略垂直に当たるようさせるE×B偏向器513、
一次電子線をウエハW上に結像させる対物レンズ51
0、ウエハWを載置した状態で水平面内を移動可能なス
テージ装置524、一次電子線の照射によりウエハWか
ら放出された二次電子線を拡大する静電レンズ506、
拡大された像をウエハWの二次電子画像として検出する
検出器507、及び装置全体を制御すると共に、検出器
507により検出された二次電子信号から画像を形成
し、その画像に基づいてウエハWの欠陥を検出する処理
を実行する制御部550を含んで構成される。
【0063】上記電子画像には、二次電子だけでなく散
乱電子や反射電子による画像も取得できるが、ここでは
二次電子画像を選択した場合を述べている。また、対物
レンズ510とウエハWとの間には、軸対称電極512
が配置される。この軸対称電極512には、二次電子の
フィルタ作用を制御する制御電源が接続される。検出器
507は、静電レンズ506によって拡大された二次電
子線を後処理可能な信号に変換することができる限り、
任意の構成とすることができる。
【0064】制御部550は、図14に示すように、汎
用的なパーソナルコンピュータ等から構成することがで
きる。このコンピュータは、所定のプログラムに従って
各種制御、演算処理を実行する制御部本体530と、本
体530の処理結果を表示するモニタ555と、オペレ
ータが命令を入力するためのキーボードやマウス等の入
力部558とを備える、勿論、欠陥検査装置専用のハー
ドウェア、或いは、ワークステーションなどによって制
御部550を構成してもよい。
【0065】制御部本体530は、図示しないCPU、
RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の各種
制御基板等から構成される。RAM若しくはハードディ
スクなどのメモリ上には、検出器507から受信した電
気信号即ちウエハWの二次電子画像のデジタル画像デー
タを記憶するための二次電子画像記憶領域538が割り
当てられる。また、ハードディスク上には、予め欠陥の
存在しないウエハWの基準画像データを記憶しておく基
準画像記憶部540が存在する。更に、ハードディスク
上には、欠陥検査装置全体を制御する制御プログラムの
他、記憶領域538から二次電子画像データを読み出
し、該画像データに基づき所定のアルゴリズムに従って
ウエハWの欠陥を自動的に検出する欠陥検出プログラム
539が格納されている。
【0066】この欠陥検出プログラム539は、詳細を
更に後述するように、基準画像記憶部540から読み出
した基準画像と、実際に検出された二次電子線画像とを
マッチングして、欠陥部分を自動的に検出し、欠陥有り
と判定した場合、オペレータに警告表示する機能を有す
る。このとき、モニタ555に二次電子画像557を表
示することにより警報してもよい。
【0067】図15Aは図14のAブロック及びこれに
連結されたBブロックの機械構造体の概略斜視図であ
る。Aブロック及びBブロックの機械構造体からなる鏡
筒546は、基台530に固定され、通常、一つ又はそ
れ以上の固有振動モードを有する。各固有振動モードの
共振周波数及び共振方向は、形状、質量分布、サイズ、
内部の機械の配置形態等によって決定される。例えば、
図15(B)に示すように、鏡筒546は、少なくとも
モード1(M1)の固有振動588を有する。このモー
ド1において、鏡筒546は、例えば略Y方向に沿って
固有振動f0≒150Hzの周波数で揺れる。この場合
の鏡筒の伝達関数の一例を図17に示す。
【0068】図17では、横軸が周波数f、縦軸が振動
振幅Aの対数である。この伝達関数では、共振周波数1
50Hzにおいて共振倍率30dB(約30倍)のゲイ
ンを有する。従って、外部から微少な振動が加わった場
合でも、その振動に150Hz近傍の周波数成分が含ま
れていると、その周波数成分はこの例では約30倍に増
幅されて鏡筒を振動させる。この結果、SEM像のボケ
等の有害な事象を発生させる。従来技術では、これを防
止するため、鏡筒全体を除振台の上に載せて外部からの
振動を除振するか、または鏡筒の肉厚や構造を見直し、
共振倍率を下げる等の大掛かりな対策を行っていた。
【0069】本発明では、これを避けるため、図15
(C)に示すように、振動588を打ち消すように鏡筒
に対し圧力振動590を加えるアクチュエータ525を
Aブロックの基部に設置する。このアクチュエータ52
5は、図16に示すように、振動減衰用回路527に電
気的に接続される。
【0070】アクチュエータ525及び振動減衰用回路
527の概略構成を図16に示す。同図に示すように、
アクチュエータ525は、圧電効果を有する誘電体55
1を電極552a及び552bで挟んでなる圧電素子5
50と、圧電素子550を電極552b側から支持する
ため固定台530に固定された支持台554とを有す
る。圧電素子550は、鏡筒546のAブロックと支持
台554との間に挟まれており、電極552aは、Aブ
ロックの外壁に、電極552bは支持台554に接着さ
れている。これにより、圧電素子550は、往復振動5
88により、鏡筒546が向かってくるときは正の圧
力、鏡筒546が遠ざかるときは負の圧力を受ける。圧
電素子550は、鏡筒546の振動588を抑制するた
め効果的な位置に設置される。例えば、振動588の方
向が、電極552a及び552bと直交するように配置
されるのが好ましい。
【0071】振動減衰用回路527は、圧電素子550
の両電極552a、552bの間を直列に接続された可
変インダクタンス558及び抵抗556から構成され
る。可変インダクタンス558はインダクタンスL、抵
抗556は抵抗値RD、圧電素子550は電気容量Cを
有するため、直列接続された圧電素子550及び振動減
衰用回路527は、参照番号560により示される直列
共振回路と等価となる。
【0072】この直列共振回路の共振周波数f0’は、 fo’=1/{2π(LC)1/2} で表される。本発明では、直列共振回路の共振周波数f
0’が鏡筒546の共振周波数f0に略一致するように、
各パラメータが設定される。即ち、与えられた圧電素子
550の電気容量Cに対して、 fo=1/{2π(LC)1/2} が成立するように、可変インダクタンス558のインダ
クタンスLが調整される。実際には、圧電素子550の
容量Cは、機械的共振周波数に合わせて共振回路を形成
する上では小さく、このため非常に大きなインダクタン
スLを必要とする場合が多いが、この場合には演算増幅
器等を用いて等価的に大きなインダクタンスを形成する
ことで共振回路を実現することができる。
【0073】また、直列共振回路の共振周波数成分のQ
値が、図18に示す伝達関数においてピークを持つ共振
成分のQ値に略一致するように、抵抗556の値RD
選択される。このようにして作られた直列共振回路56
0は、図18の参照番号584により示される電気的周
波数特性を有する。ここでQ値は、共振の鋭さで図17
の30dbの山の半値幅をΔfとするとQ=fo/Δf
で表される。
【0074】図14に示す電子線装置500は、制御部
550によって制御・管理される。制御部550は、汎
用的なパーソナルコンピュータ等から構成することがで
きる。このコンピュータは、所定のプログラムに従って
各種制御、演算処理を実行する制御部本体530と、本
体530の処理結果を表示するCRT557と、オペレ
ータが命令を入力するためのキーボードやマウス等の入
力部558とを備える。勿論、電子線装置専用のハード
ウェア、或いは、ワークステーションなどから制御部5
50を構成してもよい。
【0075】制御部本体530は、図示しないCPU、
RAM、ROM、ハードディスク、ビデオ基板等の各種
制御基板等から構成される。RAM若しくはハードディ
スクなどのメモリ上には、検出器507から受信した電
気信号即ちウエハWの二次電子線画像のデジタル画像デ
ータを記憶するための二次電子線画像記憶領域538が
割り当てられている。また、ハードディスク上には、予
め欠陥の存在しないウエハの基準画像データを記憶して
おく基準画像記憶部540が存在する。更に、ハードデ
ィスク上には、電子線装置全体を制御する制御プログラ
ムの他、欠陥検出プログラム539が格納される。
【0076】この欠陥検出プログラム539は、ステー
ジ524のXY平面内の移動を制御すると共に、この間
に検出器507から受信したデジタル画像データに関し
て加算等の各種演算処理を行い、その結果得られたデー
タから記憶領域538上で二次電子線画像を再構成する
機能を有する。更に、この欠陥検出プログラム539
は、記憶領域538上で構成された二次電子線画像デー
タを読み出し、該画像データに基づき所定のアルゴリズ
ムに従ってウエハWの欠陥を自動的に検出する。
【0077】次に、図14の実施の形態の作用を説明す
る。電子線源501から放出された電子により形成され
る一次電子線を、静電レンズ502、E×B偏向器51
3及び対物レンズ510を通して、セットされたウエハ
W表面上に照射する。上述のように、ウエハW上で例え
ば100μm×50μmの被検査領域が照明され、二次
電子線が放出される。この二次電子線は、静電レンズ5
06及び静電レンズ511を介して検出器507へ導入
され、ウエハW上の照射された領域の二次電子線画像が
得られる。ステージ524を駆動してウエハWを所定幅
毎にX−Y水平面内で逐次移動して上記手順を実行する
ことにより、検査面全体の画像を得ることができる。
【0078】拡大された二次電子線画像を撮像している
間に、鏡筒546(図15B)に共振周波数f0(≒1
50Hz)の振動成分を含む外力が加わると、鏡筒54
6は、その伝達関数で定まる共振倍率(30dB)でこ
の振動成分を増幅させて固有振動する。この振動588
は、圧電素子550(図16)に正負の圧力を印加す
る。圧電素子550は、鏡筒546の振動エネルギーを
一旦電気エネルギーに変換して出力する。圧電素子55
0の両電極552a、552bには、インダクタンス5
58(L)及び抵抗556(RD)が直列接続されて共
振回路を形成しているため、共振周波数f0において、
圧電素子550の容量性インピーダンスと、インダクタ
ンス558の誘導性インピーダンスLとは相殺され、共
振回路のインピーダンスは、事実上、抵抗556
(RD)のみとなる。従って、共振時には、圧電素子5
50から出力される電気エネルギーは、抵抗556(R
D)によりほぼ全部消費される。
【0079】かくして、鏡筒546から圧電素子550
に加わる外力を相殺するように圧電素子550は力を発
生することになり、機械共振により発生する振動588
を相殺し、共振倍率を下げることができる。二次電子線
像は拡大して表示されるため、振動によるSEM像の揺
らぎは更に大きなものとなるが、この実施の形態では、
このような揺らぎに起因したSEM像のぼけを未然に防
止することができる。
【0080】図18に示すように、機械構造体としての
鏡筒546の伝達関数582(図17に相当)の共振成
分は、電気的周波数特性584を持った直列共振回路5
60の共振成分により相殺され、鏡筒546は、全体と
して共振倍率の低い総合伝達関数586を持つようにな
る。
【0081】以上のように、SEM像のぼけの無い良好
な二次電子線画像が得られると、この実施の形態の電子
線装置500は、当該画像からウエハWの欠陥を検査す
る処理を行う。この欠陥検査の前処理として、いわゆる
パターンマッチングを用いることができる。この方法で
は、基準画像記憶部540(図14)から読み出した基
準画像と、実際に検出された二次電子線画像とのマッチ
ングを取って両者のx、y方向へのシフト距離値等を演
算する。この距離値をもとに二次電子線画像の位置を修
正した後、欠陥検査を行う。基準画像と上記修正した二
次電子画像を比較して差がなければ「欠陥無し」と判定
する。これに対し、差があれば「欠陥有り」と判定す
る。欠陥有りと判定した場合、オペレータに警告表示し
てもよい。このとき、CRT555の表示部に二次電子
線画像557を表示するようにしてもよい。なお、ウエ
ハの2個所で二次電子線画像を取得し上記パターンマッ
チングを用いてxy方向へのシフト距離を算出すればそ
れらの値からウエハ全体での領域毎のシフト距離を算出
してもよい。
【0082】
【ウエハの保持に関する実施の形態】本発明は、電子線
装置においてウエハを静電的に吸着保持する静電チャッ
ク、ウエハと静電チャックとの組合わせ、特に減速電界
対物レンズを用いた電子線装置で使用可能な静電チャッ
クとウエハとの組合わせ、並びに静電チャックとウエハ
との組合わせを備える電子線装置を使用するデバイス製
造方法を提供する。
【0083】ウエハを静電的に吸着固定する公知の静電
チャックにおいては、基板に配置される電極層を複数の
互いに絶縁された電極により形成し、一方の電極から他
方の電極へ向かって順次電圧を印可する電源装置を備え
る。また減速電界対物レンズを用いる電子線装置が公知
である。プロセス途中のウエハを減速電界対物レンズを
用いる電子線装置で評価する場合、ウエハに負の高電圧
を印加することが必要である。この場合、急激に負の高
電圧を印加するとプロセス途中のデバイスが破壊される
おそれがあるので、電圧を徐々に印加することが必要で
ある。
【0084】一方、大部分のウエハは、ウエハの側面及
び裏面にSiO2又は窒化膜等の絶縁膜を付着されるの
で、ウエハに0電位又は低い電位を与えようとすると
き、電圧が印加されない問題があった。更に静電チャッ
ク側へ中央が凸に歪んだウエハは、比較的容易に吸着固
定できるが、チャック側に中央が凹に歪んだウエハは、
単極の静電チャックでは、周辺部のみがチャックされ、
中央部はチャックされないまま保持される問題があっ
た。
【0085】本発明の図19、図20の実施の形態は、
上記の問題点を解決するため、減速電界対物レンズで使
用でき、側面及び裏面が絶縁膜で被覆され、チャック側
に向かって中央が凹に歪んだウエハをチャック可能な静
電チャック、並びにウエハと静電チャックとの組合わせ
を提供するとともに、このような静電チャック又はウエ
ハと静電チャックとの組合わせを用いてプロセス途中の
ウエハの評価を行うデバイス製造方法を提供する。
【0086】図19は、本発明の実施の形態における静
電チャック610の平面図であり、ウエハW及び絶縁層
604(図20)を取り除いて電極板612を見たもの
である。図20は、図19の静電チャックの線M−Mに
沿う垂直方向の概略断面図であり、ウエハWが載置され
電圧が印加されない状態を示すものである。静電チャッ
ク610は、図20に示すように、基板605、電極板
612、絶縁層604から成る積層構造を有する。電極
板612は、第1電極601及び第2電極602を含
む。第1電極601及び第2電極602は、別々に電圧
が印加できるように分離され、磁場中で渦電流を発生し
ないで高速で移動可能であるように、薄膜で形成され
る。
【0087】第1電極601は、平面図において円形の
電極板612の中央部分及び周辺部分の一部から成り、
第2電極602は、電極板の残りの馬蹄形周辺部分から
成る。電極板612の上方に絶縁層604が配置され
る。絶縁層604は、厚さ1mmのサファイア基板によ
り形成される。サファイアは、アルミナの単結晶であ
り、アルミナセラミックスの如き小孔が全くないので、
絶縁破壊電圧が大きい。例えば、1mm厚のサファイア
基板は、104V以上の電位差に十分耐えることができ
る。
【0088】ウエハWに対する電圧の印加は、ナイフエ
ッジ状の金属部分を有する接触子606を介してなされ
る。図20に示すように、2個の接触子606がウエハ
Wの側面に接触される。2個の接触子606を用いる理
由は、1個の接触子だけの場合、導通が取れなくなる恐
れがあること、及びウエハWを片側へ押す力が生じるの
を嫌ったからである。絶縁層604を破壊して導通を取
るのであるが、放電する時に粒子を飛散させる恐れがあ
るので、接触子606は,抵抗614を介して電源61
6に接続し大きい放電を生じないようにした。この抵抗
614は、大き過ぎると導通穴が形成されず、小さ過ぎ
ると大きい放電が起り、パーティクルを飛散させるの
で、絶縁層604毎に抵抗の許容値を決めた。
【0089】図21Aは電圧印加のタイムチャートを示
す。第1電極には、線Aで示すように、時刻t=0にお
いて、4kVが印加される。ウエハの中央部及び周辺部
が共にチャックされた時刻t=t0において、第2電極
に、線Bで示すように4kVが印加される。時刻t=t
1でウエハの電圧Cが少しずつ深くされ(下げられ)、
時刻t=t2で−4kVに達するように制御される。第
1電極及び第2電極は、時刻t=t1から時刻t=t2
おいて、少しずつ電圧が下げられ、時刻t=t 2で、0
Vにされる。
【0090】チャックに吸着保持されたウエハの評価が
終了した時刻t=t3でウエハの電圧Cが0Vにされ、
ウエハが外部へ取出される。静電チャックが4kVの電
位差がなくても2kVの電位差でもウエハを吸着保持す
る場合には、図21Aに1点鎖線で示すように、第1電
極及び第2電極にそれぞれに2kVの電圧A’、B’が
印加される。ウエハに−4kVが印加されるとき、第1
電極及び第2電極にそれぞに、−2kVが印加される。
このようにして、電圧印加によって必要以上に電圧を絶
縁層604に印加しないようにできるので、絶縁層の破
壊を防止できる。
【0091】図22は、上で説明した静電チャックを備
える電子線装置を示すブロック図である。電子線源63
1から放出された電子線は、開口アパーチャ(NA)を
決めるアノード632の開口で不要なビームを除去さ
れ、コンデンサレンズ637と対物レンズ643で縮小
され、−4kVを印加されたウエハWに結像されると共
に、偏向器638及び642によりウエハW上を走査す
る。ウエハWから放出される二次電子線は、対物レンズ
643で集められ、E×B偏向器642で35°程度、
右側へ曲げられ、二次電子線検出器640で検出され、
ウエハ上のSEM像が得られる。図22の電子線装置に
おいて、符号633、635は軸合わせ器具、634は
非点補正器具、636は開口板、641はシールド、6
44は電極である。ウエハWの下方に、図20および図
21で説明した静電チャック610が配置される。
【0092】図19の静電チャック610を、図24及
び図25で説明するデバイス製造方法におけるウエハ検
査工程に用いることにより、微細なパターンを有する半
導体デバイスでもスループットよく検査でき、全数検査
が可能になり、製品の歩留まり向上、欠陥製品の出荷防
止が可能である。静電チャックに対して印加する電圧の
増大又は減少の仕方は、図21Aに示すものに限られる
訳ではない。例えば、図21Bに示すように指数関数的
に変化する電圧であっても良い。要は、所定の電圧まで
時間内に到達する電圧であれば、どのようなものであっ
てもよい。
【0093】
【複数鏡筒を使用する発明の実施の形態】図23は、本
発明の電子線装置に使用可能な複数鏡筒702の配列状
態を説明する配置図である。図23において各鏡筒70
2は、外径寸法の小さい静電レンズを使用する電子線装
置を収納し、鏡筒の外径寸法が小さくされ、径の大きな
ウエハ1枚に対して、複数の鏡筒が配置される。例え
ば、レンズ外径(直径)を40mmにしたとすると、図
23に示すように、X方向に4個の鏡筒702を並べた
ものをY方向に2列、合計で8個の鏡筒702を1枚の
ウエハに対して配置できる。そして、ウエハを保持する
ステージ(図示せず)をY方向に連続移動させ、X方向
に各鏡筒で走査して評価を行えば、1電子線のみを使用
して評価する場合の8倍のスループットを得ることがで
きる。
【0094】
【デバイス製造方法に関する発明の実施の形態】図24
は、本発明の電子線装置を使用する半導体デバイス製造
方法の例を示すフロー図である。図24の半導体デバイ
ス製造方法は、以下の主工程を含む。(1)ウエハ85
2を製造するウエハ製造工程851又はウエハ852を
準備するウエハ準備工程、(2)露光に使用するマスク
(レチクル)862を製作するマスク製造工程861又
はマスクを準備するマスク準備工程、(3)ウエハに必
要な加工を行うウエハプロセッシング工程853、
(4)ウエハ上に形成されたチップを1個ずつ切り出
し、動作可能にならしめるチップ組立工程854、
(5)できたチップ855を検査するチップ検査工程8
56及び検査に合格したチップからなる製品(半導体デ
バイス)857を得る工程。なお、これらの主程は、そ
れぞれ幾つかのサブ工程を含む。図24の右方部分は、
そのうちのウエハプロセッシング工程853のサブ工程
を示す。
【0095】上記(1)〜(5)の主工程の中で、半導
体デバイスの性能に決定的な影響を及ぼす主工程がウエ
ハプロセッシング工程853である。この工程では、設
計された回路パターンをウエハ上に順次積層し、メモリ
やMPUとして動作するチップを多数形成する。このウ
エハプロセッシング工程は、以下の工程を含む。(6)
絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、あるいは電極部を形
成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程864(CV
Dやスパッタリング等を用いる)。(7)この薄膜層や
ウエハ基板を酸化する酸化工程864。(8)薄膜層や
ウエハ基板等を選択的に加工するためのマスク(レチク
ル)を用いてレジストのパターンを形成するリソグラフ
ィー工程863。(9)レジストパターンに従って薄膜
層や基板を加工するエッチング工程864(例えばドラ
イエッチング技術を用いる)。(10)イオン・不純物
注入拡散工程864。(11)レジスト剥離工程。(1
2)加工されたウエハを検査する検査工程。なお、ウエ
ハプロセッシング工程853は、必要な層数だけ繰り返
し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造する。
【0096】図25のフロー図は、上記(6)、(9)
及び(10)をまとめて1つのブロック864で示し、
付加的なウエハ検査工程865を含み、更に繰り返し工
程をブロック866で示す。上記(12)の加工された
ウエハを検査する検査工程に本発明の検査装置を用いる
ことにより、微細なパターンを有する半導体デバイスで
もスループットよく検査でき、全数検査が可能になり、
製品の歩留まり向上、欠陥製品の出荷防止が可能であ
る。
【0097】図25は、図24の製造方法におけるリソ
グラフィ工程863の詳細を示すフロー図である。図2
5に示すように、リソグラフィ工程863は、(13)
前段の工程で回路パターンが形成されたウエハ上にレジ
ストを被覆するレジスト塗布工程871、(14)レジ
ストを露光する露光工程872、(15)露光されたレ
ジストを現像してレジストパターンを得る現像工程87
3、(16)現像されたレジストパターンを安定化させ
るためのアニール工程874から成る。なお、半導体デ
バイス製造工程、ウエハプロセッシング工程、及びリソ
グラフィ工程は、周知のものであるから、これ以上の説
明は、省略する。
【0098】
【発明の効果】本発明のE×B分離器が対物レンズに近
接して配置され、検出器の前に開口板が配置される電子
線装置は、E×B分離器による一次電子線の収差を最小
にし、一次電子線と試料とのアラインメントを簡単化
し、二次光学系を簡単化する。それ故、複数鏡筒の使用
を可能にし検査装置のスループットを高めることができ
る。
【0099】本発明のマルチビーム(複数の一次電子
線)を使用し二次検出器を開口板に近接し配置する電子
線装置は、高スループットを得ることができると共に二
次光学系の構造を簡略化することができる。本発明の試
料の端位置、試料のノッチ又はオリエンテーションフラ
ットを測定可能な位置センサーを備える電子線検出装置
は、電子線を使用せずにアライメントを行うことにより
ゲート酸化膜等を破壊することを防止でき、またアライ
メント時間が少なく、スループットが向上する。
【0100】本発明の第2の実施例(図2)では、E×
B分離器を必要としないので、構造が簡単となり、電磁
偏向器を対物レンズに近づけることが可能になる。また
電磁偏向器の内径を小さくすることができ、感度を向上
させ得る。更にまた電磁偏向器の外径を小さくできるの
で、複数の鏡筒を1枚のウエハ上に配置する場合、多数
の鏡筒を配置することができる。
【0101】本発明の対物レンズの表面が金、白金又は
ロジウムで覆われる電子線装置は、真空度の劣化を招く
ことなく、またデバイス性能を劣化させることなく、静
電光学系の電極間の絶縁破壊を防止することができる。
本発明の対物レンズが2つの電極及び電極を固定する絶
縁スペーサを含み、絶縁スペーサが2つの電極間の距離
より長い沿面距離を有し、絶縁スペーサと電極面との接
触面における電極間の間隔が増大する方向へ電極面が曲
げられている電子線装置は、絶縁スペーサの最短沿面距
離を電極間の最短距離より長くすることができ、沿面放
電を防止することができる。
【0102】本発明のウエハを保持する静電チャックを
含む電子線装置は、静電チャックが中央部及び周辺部の
一部分から成る第1領域並びに周辺部のその他の部分か
らなる第2領域を有することにより、絶縁層に必要以上
に電圧を印加しないようにすることができ、絶縁層の破
壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態の電子線装
置全体を示す立面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態のマルチビームを用
いる電子光学系を示す配置図。
【図3】図3Aは、本発明の第3の実施の形態のシング
ルビームを使用する電子光学系を示す配置図、図3Bは
図3Aの電子光学系の光軸及び視野を示す平面図。
【図4】本発明の第4の実施の形態のE×B分離器の断
面図。
【図5】図5A及び図5Bは、本発明の第5の実施の態
様のマルチカラムの電子光学系の立面図及び平面図。
【図6】図6Aは電極が形成されるセラミック板の平面
図、図6Bはシールド板131の平面図。
【図7】電極をコーティングするアルミニウム、金、白
金の金属別における絶縁破壊発生確率を示す表。
【図8】図8Aは本発明の第6の実施の態様の静電レン
ズの電極の斜視図、図8Bは図8Aの電極の側断面図。
【図9】電極310の表面部分の部分断面図。
【図10】図10Aは静電対物レンズの電極の平面図、
図10Bは図10Aの電極の側断面図。
【図11】図10Bの側断面図の部分拡大図。
【図12】本発明の第7の実施の形態の電子線装置の配
置図。
【図13】図13Aは、対物レンズに印加する負電圧と
電気信号の立上り幅との間の関係を示すグラフ、図13
Bは、電気信号の立上り幅を説明するためのグラフ。
【図14】本発明の第8実施の形態である電子線装置の
構成図。
【図15】図15AB及びCは、図14に示す電子線装
置の機械構造体のブロックを概略的に示す図であって、
図14Aは電子線装置と座標軸との関係、図14Bは鏡
筒の固有振動、図14Cは、この固有振動を相殺するよ
うにアクチュエータを取り付けた場合の図である。
【図16】図14に示す電子線装置で用いられるアクチ
ュエータ、振動減衰用回路、並びに形成された直列共振
回路の等価回路の構成を示す概略図。
【図17】図14に示す電子線装置の鏡筒の伝達関数を
示すグラフ。
【図18】図14に示す電子線装置における鏡筒の伝達
関数、直列共振回路の電気的周波数特性および総合伝達
関数を示すグラフ。
【図19】本発明の第9の実施の形態における静電チャ
ックの概略平面図であり、ウェハを取り除いて電極を見
た平面図。
【図20】図19の直線M−Mに沿う概略垂直断面図で
あり、ウェハを載置し電圧が印加されない状態を示す断
面図。
【図21】図21A及び図21Bは、電極及びウェハへ
印加される電圧のタイムチャート。
【図22】図19に示す静電チャックを使用する電子線
装置の構成例を示す配置図。
【図23】電子線装置の鏡筒の配列状態を説明する配置
図。
【図24】本発明の電子線装置又はそれらの組合わせを
使用する半導体デバイス製造方法を示すフロー図。
【図25】図24の製造方法におけるリソグラフィ工程
の詳細を示すフロー図である。
【符号の説明】
1:電子線装置、11:定盤、12:ワーキングチャン
バ、13:上壁、14:充填室、15:エッジ測定器、
16:ステージ、17:一次電子線、18:鏡筒、1
9:光軸、20:電子光学系、21:カソード、22:
ウェーネルト、23:アノード、24、25:コンデン
サレンズ、26:マルチ開口板、27:NA開口、2
8:縮小レンズ、31:対物レンズ、29、30:E×
B分離器、32:第2開口板、33:軌道、34:二次
電子検出器、35:R−θステージ、41、48:電
極、42:絶縁スペーサ、43:円筒、44、45:コ
イル、46:フェライトコア、47:接合位置、49:
光軸、50:電子光学系、53:コンデンサレンズ、5
4:偏向器、55:電磁偏向器、56:対物レンズ、5
8:光軸、59:走査視野、61:軌跡、62:二次電
子検出器、68:走査電源、69:A/D変換器、7
0:画像形成回路、101:電子線装置、115:ウェ
ーネルト、116:アノード、120:一次光学系、1
21a〜f:偏向器、122、125、127:ユニポ
テンシャルレンズ、123:ビーム成形開口、124:
NA開口、126:E×B分離器、132、133:コ
イル、134:パーマロイコア、135:静電偏向器、
140:二次光学系、150:検出系、151:ビー
ム、121a、121b:軸合せ偏向器、131:シー
ルド板、210:電極板、211:穴、213:溝、3
10:電極、310a:ケイ素銅、320、322:電
極、324:通過孔、326:絶縁スペーサ、322
d:段差、401:電子線源、402:アノード、40
3、404:偏向器、405:非点補正レンズ、40
6:開口板、407:小孔、408:コンデンサ・レン
ズ、409、410:偏向器、411:E×B分離器、
412:対物レンズ、413:軸対称電極、414:ス
テージ、415:二次電子検出部、416:鏡筒、41
7:第1の電源、418:第2の電源、419:第3の
電源、420:電子線走査・検出系、500:電子線装
置、501:電子線源、502:静電レンズ、506:
静電レンズ、507:検出器、510:対物レンズ、5
11:静電レンズ、513:E×B偏向器、527:振
動減衰用回路、529:固定台、530:制御器本体、
538:二次電子線画像記憶領域、539:欠陥検出プ
ログラム、540:基準画像記憶領域、546:鏡筒、
549:圧電素子、550:制御部、551:誘電体、
552a、552b:電極、554:支持台、555:
CRT、556:抵抗、557:二次電子線画像、55
8:入力部、560:共振回路、582、586:伝達
関数、588:固有振動、590:圧力振動、601、
602:電極、604:絶縁層、605:基板、60
6:接触子、612:電極板、610:静電チャック、
612:電極板、614:抵抗、616:電源、63
1:電子線源、632:アノード、633、635:軸
合わせ器具、636:開口板、637:コンデンサレン
ズ、638:偏向器、641:シールド、642:E×
B偏向器、643:対物レンズ、644:電極、70
2:鏡筒、851:ウエハ製造工程、852:ウエハ、
856:チップ検査工程、861:マスク製造工程、8
63:リソグラフィ工程、E:電子銃から放出された電
子線、G:電子銃、W:ウエハ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐竹 徹 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 野路 伸治 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 5C001 BB07 CC08 5C033 AA02 UU02 UU03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子を放出する単一の電子銃、電子銃か
    ら放出された電子を複数の一次電子線に形成する手段、
    及び試料表面上に複数の一次電子線を走査する走査手段
    を有する一次光学系、各一次電子線の走査により試料か
    ら放出される二次電子を集束し各二次電子線を形成する
    対物レンズ、各二次電子線を一次光学系から分離するE
    ×B分離器、及び一次光学系から分離される各二次電子
    線をそれぞれ通過させる複数の開口を備える開口板を有
    する二次光学系、並びに開口を通過した各二次電子線を
    検出する検出器を含み、E×B分離器は対物レンズに近
    接して配置される電子線装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の電子線装置であって、更に前
    記一次光学系、二次光学系及び検出器を収容するワーキ
    ングチャンバ、並びに試料の周辺に配置される位置セン
    サーを含み、ワーキングチャンバはその内部を真空に排
    気可能にされ、位置センサーは試料の端位置、試料のノ
    ッチ又はオリエンテーションフラットを測定可能であ
    り、試料はウエハである電子線装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の電子線装置であって、
    前記E×B分離器は6極以上の多極の静電偏向器及び静
    電偏向器の外側に配置されるサドル型又はトロイダル型
    の電磁偏向器を含む電子線装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの電子線装置
    であって、試料がウエハであり、前記一次光学系、二次
    光学系及び検出器の複数組が1枚のウエハの上方に配置
    される電子線装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかの電子線装置
    であって、前記対物レンズの表面が金、白金又はロジウ
    ムで覆われる電子線装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかの電子線装置
    であって、前記対物レンズは2つの電極及び電極を固定
    する絶縁スペーサを含み、絶縁スペーサは前記2つの電
    極間の距離より長い沿面距離を有し、絶縁スペーサと電
    極面との接触面における電極間の間隔が増大する方向へ
    電極面が曲げられている電子線装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかの電子線装置
    であって、前記一次光学系の合焦条件を求めるとき、対
    物レンズの励起条件が少なくとも3条件設定され、各条
    件においてビーム分解能又はそれに対応する物理量が測
    定され、2次曲線近似によって対物レンズの最適励起条
    件が求められる電子線装置。
  8. 【請求項8】 請求項2の電子線装置であって、更にウ
    エハを保持する静電チャックを含み、静電チャックは、
    中央部及び周辺部の一部分から成る第1領域並びに周辺
    部のその他の部分からなる第2領域を有する電子線装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項8の電子線装置であって、ウエハ
    をチャックする際、第1領域に正の高電圧、ウエハ及び
    第2領域に0ボルト(V)を与え、その後第1の所定時
    間遅れで、第2領域に正の高電圧を与え、更に第2所定
    時間遅れで第1領域及び第2領域の電圧を徐々にゼロに
    近づけると共にウエハに与える電圧を徐々に負の電圧へ
    向わせる電子線装置。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至5のいずれかの電子線装
    置であって、更に試料に一次電子線を照射する機械的構
    造体、該機械的構造体の振動により力を受ける圧電素
    子、及び圧電素子に接続される減衰回路を含み、減衰回
    路は圧電素子から出力される電気エネルギーを減衰させ
    る電子線装置。
  11. 【請求項11】 電子銃から発生される電子線から一次
    電子線を形成する一次光学系、一次光学系の光軸から所
    定距離以上離間した視野内で試料を照射するように一次
    電子線を走査する電磁偏向器、一次電子線の照射により
    試料から放出される二次電子を検出する検出器を含み、
    前記検出器は前記電磁偏向器より電子銃側に且つ一次光
    学系の光軸に関し前記視野の反対側に配置される電子線
    装置。
  12. 【請求項12】 請求項11の電子線装置であって、更
    に前記一次光学系、電磁偏向器及び検出器を収容するワ
    ーキングチャンバ、並びに試料の周辺に配置される位置
    センサーを含み、ワーキングチャンバはその内部を真空
    に排気可能にされ、位置センサーは試料の端位置、試料
    のノッチ又はオリエンテーションフラットを測定可能で
    あり、試料はウエハである電子線装置。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12の電子線装置であ
    って、試料がウエハであり、前記一次光学系、電磁偏向
    器及び検出器の複数組が1枚のウエハの上方に配置され
    る電子線装置。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至13のいずれかの電子線
    装置を用いてプロセス途中のウエハの評価を行うことを
    特徴とするデバイス製造方法。
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