JP2003330358A - 内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法及び内部に腔所を再現した立体モデル - Google Patents

内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法及び内部に腔所を再現した立体モデル

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JP2003330358A JP2003037276A JP2003037276A JP2003330358A JP 2003330358 A JP2003330358 A JP 2003330358A JP 2003037276 A JP2003037276 A JP 2003037276A JP 2003037276 A JP2003037276 A JP 2003037276A JP 2003330358 A JP2003330358 A JP 2003330358A
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敏男 福田
Fumito Arai
史人 新井
Seiichi Ikeda
誠一 池田
Makoto Negoro
眞 根來
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 身体に存在する腔所を内部に再現した立体モ
デルを、データに基づいて製造し、製造にあたり、多様
な材料の使用を可能とするとともに、立体モデルの造形
体積によらず短時間での製造を可能とする。 【解決手段】 データに基づいて積層造形を行うことに
より、前記腔所を再現した積層造形モデルを作製し、そ
の周囲を成形材料で満たす。そして、成形材料を硬化さ
せた後、前記積層造形モデルを、前記成形材料の硬化に
より形成された立体モデルの内部より外部へ溶出する。
これによって、積層造形によって直接立体モデルの造形
を行う場合と異なり、積層造形では使用が不可能である
多様な材料を使用して立体モデルを製造できるととも
に、造形体積によらず短時間で立体モデルを得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身体に存在する腔
所を内部に再現した立体モデル及びその製造方法に関
し、さらに詳しくは、腔所の形状を再現した積層造形モ
デルを積層造形によって作製し、これを溶出して空洞を
形成するこによって得られる立体モデル、及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、医療機器の分野では、X線CT装
置やMRI装置、超音波装置といった各種の撮影装置
が、身体の諸器官における各種の疾病、あるいは妊娠等
の検査や診断の目的で普遍の技術として利用されるよう
になっている。
【0003】これらの撮影装置によれば、無侵襲によっ
て身体内部の撮影を行うことが可能であり、従来、医師
らは、撮影装置によって間隔を空けて二次元撮影を行
い、得られた二次元データを基に生成された複数枚の二
次元画像を連続的に配置することなどによって、撮影領
域の三次元形状をイメージし、手術の際に重要となる病
巣や器官などとの相対位置関係を把握することを行って
きた。しかしながら、このような方法により幹部周辺の
三次元構造を理解することは一般に容易ではない。
【0004】近年登場した、ヘリカルスキャン方式のX
線CT装置などによれば身体に対して三次元の撮影を行
うことが可能であり、これによって身体内部の三次元デ
ータを直接的に得ることができる。そして、ディジタル
画像処理技術などの進展に伴い、撮影装置により得られ
た前記二次元データや前記三次元データを基にコンピュ
ータによる再構成を行うことによって、撮影領域の三次
元画像を生成することも可能なった。さらには、生成さ
れた三次元画像に対して、任意の断面の二次元画像を生
成し表示することや、視点を変更して表示することや、
器官や組織毎に着色表示を行うことなどの様々な技術が
開発され、それらの利用も可能となった。そして、これ
らの環境を利用することで、撮影によって得られる画像
情報をより容易に、かつより正確に把握することが可能
となり、身体内部の三次元構造を把握するための環境は
飛躍的に向上した。
【0005】しかしながら、これらの方法によって呈示
される情報は、依然として従来と変わらず画像を主体と
したものであり、例えば、得られたモデルを実際に手に
取ってみることや、得られたモデルを使用して実際に手
術を試行してみることなどは、これら方法によっては不
可能である。
【0006】現在、急速に普及しつつある積層造形は、
こうした要求を満たす画期的な装置として医学界におい
ても急速に普及しつつある。
【0007】積層造形には光造形を始めとする様々な積
層造形方式がある。この積層造形は、データに基づいて
薄層を順次形成すると同時に積層させていくことによっ
て、所望の三次元形状を有する三次元造形物を造形する
技術である。この積層造形によれば、前記撮影装置によ
って得られた二次元画像や三次元画像を基に、対象とす
る部位を、同一形状を有する立体モデルとして精密に再
現することが可能である。
【0008】特開平5−11689は、積層造形による
こうした立体モデルの製造方法を提案したものである。
この発明は、撮影装置により等間隔に撮影することによ
り得られた複数枚の二次元画像を基に、積層造形の一種
である光造形により積層造形を行うことによって、対象
とする諸器官と同一形状を有する立体モデルを製造する
方法を提供するものである。この発明によれば、痛みや
人体への影響を与えることなく、低侵襲、或いは無侵襲
によって、十分な画像情報が得られる限りにおいて、い
かなる部位でも、その内部形状まで含めて立体モデルと
して忠実に再現することが可能である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−11689
によってその製造方法が提案される内臓や器官類の立体
モデルでは、特に対象とする部位全体の形状を精密に再
現すること主眼が置かれており、身体に存在する腔所を
再現することに重点が置かれている訳ではない。しかし
ながら、身体に存在する腔所を再現した立体モデルは、
腔所の形状或いは構造の把握の他、医療機器を実際に使
用しての手術試行など、様々な分野において多様な利用
が可能であり、そのような立体モデルを製造することは
非常に有益である。
【0010】一方、特開平5−11689のように、積
層造形により立体モデルの製造を行う場合、該立体モデ
ルの製造には、積層造形に使用する積層造形システムの
特性に依存した造形材料を使用せざるを得ず、材料選択
の自由度は非常に低い。そして、現状においては、例え
ば、高い透明性を備えた造形材料や、身体組織を再現す
るのに十分な柔軟性を備えた造形材料などは殆ど存在せ
ず、よって、それらの特性を有した立体モデルを製造す
ることは困難或いは不可能である。また、非常に薄い造
形層を積層することによって立体モデルの造形を行う積
層造形では、造形に対する所要時間は、立体モデルの造
形体積の増加や造形精度の向上などに伴って飛躍的に増
大する。したがって、特開平5−11689に提案され
る方法では、積層造形によって直接的に造形体積の大き
な立体モデルの造形を行うような場合には立体モデルの
造形に長時間を費やすことを余儀なくされる。
【0011】このため、積層造形に使用する積層造形シ
ステムの特性に依存した造形材料以外の材料によって構
成された、身体に存在する腔所を内部に再現した立体モ
デル、並びに、該立体モデルを、造形体積の増加や造形
精度の向上などに伴って造形に対する所要時間を飛躍的
に増大させることなく、製造するための製造技術を得る
ことが望まれる。
【0012】
【発明の目的】本発明は、上記課題に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、積層造形に使用する積層造形シ
ステムの特性に依存した造形材料以外の材料によって構
成された、身体に存在する腔所を内部に再現した立体モ
デルと、該立体モデルを、造形体積の増加や造形精度の
向上などに伴って飛躍的に造形に対する所要時間を増大
させることなく、製造するための製造技術を得ることに
ある。
【0013】
【用語の定義】この明細書における各用語は以下のよう
に定義される。
【0014】「腔所」とは、身体に存在する空所を総称
する用語であり、諸器官(骨格、筋、循環器、呼吸器、
消化器、泌尿生殖器、内分泌器、神経、感覚器など)に
存在する空所、並びに、これらの諸器官や体壁などの幾
何学的配置によって構成される空所を指す。したがっ
て、心臓の内腔、胃の内腔、腸の内腔、子宮の内腔、血
管の内腔、尿管の内腔などの諸器官の内腔や、口腔、鼻
腔、口峡、中耳腔、体腔、関節腔、囲心腔などは「腔
所」に含まれる。
【0015】「積層造形モデル」とは、積層造形を経て
作製された三次元造形物を指す用語であり、よって、積
層造形単独によって作製された三次元造形物に限定され
ることなく、積層造形を含む一連の造形行程を経て作製
された三次元造形物も含む。
【0016】「立体モデル」とは、本発明によって得ら
れる内部に腔所を再現したモデルのみを指す用語であっ
て、この明細書の中で他の一般的な立体形状のモデルを
指す場合に使用する「三次元モデル」とは区別される。
したがって、積層造形によって得られるモデルなどは
「三次元モデル」には含まれるが、「立体モデル」には
含まれない。
【0017】「撮影装置」とは、撮影を行うことによっ
て、身体に存在する腔所に関するデータを取得可能な装
置を総称する用語であり、各種方式のX線装置(X線C
T装置を含む)、MRI装置、超音波装置なども「撮影
装置」に含まれる。
【0018】「成形材料」とは、硬化し、この特性を利
用して三次元造形物の成形に使用可能な材料を総称する
用語である。
【課題を解決するための手段】
【0019】上記の目的を達成するため、請求項1の発
明では、身体に存在する腔所を再現した積層造形モデル
を溶出することによって、該積層造形モデルと同一の形
状を有する空洞を形成し、これにより内部に前記腔所を
再現した立体モデルを得る方法であって、(a) 腔所を再
現した積層造形モデルを積層造形するためのデータを用
意する準備行程と、(b) 前記積層造形モデルを、前記デ
ータを利用した積層造形を経て作製する積層造形行程
と、(c) 積層造形行程で得られた前記積層造形モデルの
周囲を成形材料で満たした後、該成形材料を硬化させて
立体モデルを形成する形成行程と、(d) 加熱により前記
積層造形モデルを溶融し、形成行程で前記成形材料の硬
化を経て得られた立体モデルの外部へ溶出する溶出行程
と、を備えることを特徴とする。
【0020】また、請求項2の発明は、身体に存在する
腔所を再現した積層造形モデルを溶出することによっ
て、該積層造形モデルと同一の形状を有する空洞を形成
し、これにより内部に前記腔所を再現した立体モデルを
得る方法であって、(a) 腔所を再現した積層造形モデル
を積層造形するためのデータを用意する準備行程と、
(b) 前記積層造形モデルを、前記データを利用した積層
造形を経て作製する積層造形行程と、(c) 積層造形行程
で得られた前記積層造形モデルの周囲を成形材料で満た
した後、該成形材料を硬化させて立体モデルを形成する
形成行程と、(d) 溶剤により前記積層造形モデルを溶解
し、形成行程で前記成形材料の硬化を経て得られた立体
モデルの外部へ溶出する溶出行程と、を備えることを特
徴とする。
【0021】また、請求項3の発明は、身体に存在する
腔所を再現した積層造形モデルを溶出することによっ
て、該積層造形モデルと同一の形状を有する空洞を形成
し、これにより内部に前記腔所を再現した立体モデルを
得る方法であって、(a) 腔所を再現した積層造形モデル
を積層造形するためのデータを用意する準備行程と、
(b) 前記積層造形モデルを、前記データを利用した積層
造形を経て作製する積層造形行程と、(c) 積層造形行程
で得られた前記積層造形モデルの周囲を成形材料で満た
した後、該成形材料を硬化させて立体モデルを形成する
形成行程と、(d) 加熱による溶融と、溶剤による溶解
と、を併用することによって、前記積層造形モデルを、
形成行程で前記成形材料の硬化を経て得られた立体モデ
ルの外部へ溶出する溶出行程と、を備えることを特徴と
する。
【0022】請求項4の発明は、請求項1から請求項3
のいずれかに記載の内部に腔所を再現した立体モデルの
製造方法において、さらに、前記準備工程で用意する前
記データを撮影装置による撮影に基づいて生成するデー
タ生成行程を、前記準備工程の前に備えることを特徴と
する。
【0023】請求項5の発明は、請求項1から請求項4
のいずれかに記載の内部に腔所を再現した立体モデルの
製造方法において、さらに、前記溶出行程の後の行程、
或いは、前記溶出行程の途中に介在する行程として、前
記溶出行程において前記立体モデルの内部へと拡散した
前記積層造形モデルの成分を、前記立体モデルを加熱す
ることによって蒸発させ、前記立体モデルの内部より除
去する拡散除去行程を備えることを特徴とする。
【0024】請求項6の発明は、請求項1から請求項5
のいずれかに記載の内部に腔所を再現した立体モデルの
製造方法において、粉末状の造形材料上にレーザを走査
することにより焼結硬化層を形成し、この焼結硬化層を
順次形成すると同時に積層させていく方式の積層造形を
経て、前記積層造形モデルを作製することを特徴とす
る。
【0025】請求項7の発明は、請求項1から請求項5
のいずれかに記載の内部に腔所を再現した立体モデルの
製造方法において、ノズルより加熱溶融した造形材料を
噴出或いは滴下させ固化させながらノズルヘッドを走査
させて薄層を形成し、この薄層を順次形成すると同時に
積層させていく方式の積層造形を経て、前記積層造形モ
デルを作製することを特徴とする。
【0026】請求項8の発明は、請求項1から請求項5
のいずれかに記載の内部に腔所を再現した立体モデルの
製造方法において、ノズルより造形材料を押し出し、こ
の細線状の造形材料を描画するようにノズルから押し出
し固化させながら、ノズルヘッドを走査させることによ
って薄層を形成し、この薄層を順次形成すると同時に積
層させていく方式の積層造形を経て、前記積層造形モデ
ルを作製することを特徴とする。
【0027】請求項9から請求項14の発明は、このよ
うな製造方法により製造される内部に腔所を再現した立
体モデルの利点を有している。
【0028】このうち、請求項9の発明の内部に腔所を
再現した立体モデルは、(a) 成形材料の硬化により形成
された立体モデル形成部分と、(b) 加熱による溶融を経
て積層造形モデルを溶出することにより形成された空洞
部分と、を備えることを特徴とする。
【0029】また、請求項10の発明の内部に腔所を再
現した立体モデルは、(a) 成形材料の硬化により形成さ
れた立体モデル形成部分と、(b) 溶剤による溶解を経て
積層造形モデルを溶出することにより形成された空洞部
分と、を備えることを特徴とする。
【0030】また、請求項11の発明の内部に腔所を再
現した立体モデルは、(a) 成形材料の硬化により形成さ
れた立体モデル形成部分と、(b) 加熱による溶融と、溶
剤による溶解とを併用して、積層造形モデルを溶出する
ことにより形成された空洞部分と、を備えることを特徴
とする。
【0031】請求項12の発明の内部に腔所を再現した
立体モデルは、請求項9から請求項11のいずれかに記
載の内部に腔所を再現した立体モデルであって、前記成
形材料が硬化後において透明性を有することを特徴とす
る。
【0032】請求項13の発明の内部に腔所を再現した
立体モデルは、請求項12に記載の内部に腔所を再現し
た立体モデルであって、前記立体モデルの外部形状に少
なくとも一つの平面を有することを特徴とする。
【0033】請求項14の発明の内部に腔所を再現した
立体モデルは、請求項9から請求項13のいずれかに記
載の内部に腔所を再現した立体モデルであって、前記立
体モデル形成部分の全部或いは一部に、シリコーンゴム
(シリコーンエラストマー又はシリコーンゲル)が使用
されていることを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を添付図面に基づい
て詳細に説明する。
【0035】図1は、本発明の内部に腔所を再現した立
体モデルの実施の一形態を示した全体斜視図、図2は、
積層造形により作製された、腔所を再現した積層造形モ
デルの実施の一形態を示した全体斜視図、また図3は、
図2に示す腔所を再現した積層造形モデルを中空の構造
として作製した場合の断面構造を示す要部断面拡大斜視
図である。図4から図8は、本発明の内部に腔所を再現
した立体モデルの製造方法について、各製造行程をそれ
ぞれ一つのステップとして概要を説明したフローチャー
トであって、図4から図8のフローチャートは、それぞ
れ請求項1から請求項5に記載の内部に腔所を再現した
立体モデルの製造方法に対応している。尚、これらの各
図において互いに共通する行程には同一のステップ番号
を使用している。
【0036】以下では、本発明の内部に腔所を再現した
立体モデルの製造方法を、添付図面に基づいて詳細に説
明する。
【0037】本発明の内部に腔所を再現した立体モデル
は、(a) 腔所を再現した積層造形モデルを積層造形する
ためのデータを用意する準備行程と、(b) 前記積層造形
モデルを、前記データを利用した積層造形を経て作製す
る積層造形行程と、(c) 積層造形行程で得られた前記積
層造形モデルの周囲を成形材料で満たした後、該成形材
料を硬化させて立体モデルを形成する形成行程と、(d)
前記積層造形モデルを、形成行程で前記成形材料の硬化
を経て得られた立体モデルの外部へ溶出する溶出行程
と、を備えることを特徴とする製造方法により製造され
る。さらに、請求項4に記載の製造方法では、前記準備
工程で用意する前記データを撮影装置による撮影に基づ
いて生成するデータ生成工程を、前記準備工程の前に備
える。また、請求項5に記載の製造方法では、前記溶出
行程の後の行程、或いは、前記溶出行程の途中に介在す
る行程として、前記立体モデルを加熱することによっ
て、前記溶出行程において前記立体モデルの内部へと拡
散した前記積層造形モデルの構成材料の成分を蒸発さ
せ、前記立体モデルの内部より除去する拡散除去行程を
備える。
【0038】以下では、本発明の内部に腔所を再現した
立体モデルの製造に係る各製造工程を、図4から図8の
フローチャートに示す各ステップと対比させながら詳細
に説明する。
【0039】<A.データ生成行程> 請求項4に記載
の内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法は、準備
工程で用意するデータ(腔所を再現した積層造形モデル
を積層造形するためのデータ)を、撮影装置による撮影
に基づいて生成するデータ生成工程を備えることを特徴
とする。以下では、このデータ生成工程の実施形態につ
いて詳述する。このデータ生成工程は、図7及び図8に
示すフローチャートのステップST0に対応する。
【0040】準備工程で用意するデータを、撮影装置に
よる撮影に基づいて生成するためには、まず、X線CT
装置やMRI装置などの撮影装置によって、対象とする
身体の二次元画像、或いは三次元画像を得る。撮影装置
には、種類によって、二次元画像のみ得ることができる
ものと、三次元画像を得ることができるものとが存在す
る。前記データの生成には、前記腔所に関する三次元の
画像情報が必要とされるため、二次元画像しか得られな
い撮影装置を使用する場合には、撮影位置を変えて撮影
を行うことにより複数の二次元画像を得る必要がある。
尚、撮影位置の変更は、例えば平行移動によって行えば
よい。これによって等間隔、或いは任意間隔で複数の二
次元画像を撮影することができ、得られた二次元画像を
撮影間隔に基づいて積層することによって、前記データ
の生成に必要とされる三次元の画像情報が得られる。し
かし撮影位置の変更は平行移動によることなく、十分な
三次元の画像情報が得られる限りにおいて自由に行えば
よい(任意方向への撮影位置の移動、或いは撮影方向の
回転)。また、複数の撮影装置によって得られた二次元
画像や三次元画像を組み合わせて利用してもよい。尚、
二次元画像の撮影間隔(撮影密度)は、腔所形状の再現
の精度に直結するため、必要とされる再現の精度に応じ
て適切に調節する必要がある。
【0041】次に、これらの二次元画像、三次元画像の
撮影に利用可能な代表的な撮影装置について説明する。
但し、撮影装置には以下で説明する装置以外にも様々な
ものがあり、本発明はこれらの撮影装置に限定されるも
のではない。
【0042】X線CT装置としては、身体の横同一断面
上のあらゆる方向からX線による撮影を行い、得られた
情報をコンピュータ処理することによって、撮影断面の
二次元画像を得る従来方式のX線CT装置の他、対象と
する身体を体軸方向に動かしながら、一方で体軸に垂直
な平面内でX線検出機構を回転させながら撮影を行うこ
とによって螺旋状のX線撮影を行い、これによって得ら
れた身体の三次元情報をコンピュータ処理することによ
り、三次元画像や、任意断面での二次元画像を得ること
ができるヘリカルスキャン方式のX線CT装置などがあ
る。さらに、ヘリカルスキャン方式のX線CT装置に
は、装置内部に多列のX線検出機構を内蔵することによ
って複数箇所の同時撮影を可能とし、これによって空間
分解能の向上や撮影時間の短縮などを実現したマルチス
ライス方式のものも存在する。
【0043】MRI装置は、身体の大部分を構成する水
素原子の核磁気共鳴現象を利用した装置であり、この現
象が身体組織に含まれる水素原子の量と水素原子の周囲
の環境の違いに影響されることに基づいて組織の状態を
画像化するものである。この装置によれば、対象となる
身体の位置を変えることなく任意断面の二次元画像を得
ることが可能であり、さらに多断面の二次元画像を同時
に得ることも可能である。このMRI装置はX線CT装
置と比べて、軟部組織を高いコントラストで撮影できる
ことや、骨組織の影響を受けないことから骨組織に囲ま
れた血管などを鮮明に撮影撮影できることなどの点で利
点を有する。
【0044】次に、撮影装置によって得られたこれらの
二次元画像や三次元画像を基に、立体モデル化の対象と
する腔所の三次元形状に関するデータ(以下、三次元形
状データ)を生成する。この三次元形状データの生成に
係る一連の処理は、これを可能とするソフトウェアを使
用することによって行うが、単一のソフトウェアによっ
て全ての処理が行えない場合には、その過程において複
数のソフトウェアを使用しても構わない。尚、現在で
は、これら一連の処理を自動的に行うソフトウェアは複
数市販されており、それらのソフトウェアを利用しても
よい。
【0045】撮影装置によって得られた二次元画像(複
数枚必要)或いは三次元画像を基に、撮影領域内の特定
部位の三次元形状データを生成する方法には、既に公知
の技術として様々な方法が存在しており、全ての方法に
ついて詳述することは困難であるため、ここではそれら
の方法の一形態を挙げて詳述するが、本発明は以下に記
す実施形態に限定されるものではない。
【0046】ここでは、体軸方向に平行移動しながら等
間隔に撮影することによって得られた複数の二次元画像
を入力画像として使用する場合について説明するが、他
の撮影方法によって得られた二次元画像、或いは三次元
画像を入力画像とする場合でも同様な処理を行うことに
よって腔所の三次元形状データを得ることができる。入
力された各二次元画像は、まず撮影時の撮影間隔に基づ
いて正確に積層される。次に、各二次元画像上に、画像
濃度値に関しての閾値を指定することにより、立体モデ
ル化の対象とする腔所領域のみを各二次元画像中より抽
出し、一方で他の領域を積層された二次元画像中より削
除する。これにより前記腔所領域に相当する部分の三次
元形状が二次元画像を積層した形で与えられ、この各二
次元画像の輪郭線を三次元的に補間し、三次元曲面とし
て再構成することにより対象とする腔所の三次元形状デ
ータが生成される。尚、この場合は濃度値に関しての閾
値を指定することによって、まず入力画像中より腔所領
域の抽出を行ったが、この方法とは別に、腔所表面を与
える特定濃度値を指定することによって入力画像中より
腔所表面の抽出し、三次元補間することによって直接的
に三次元曲面を生成することも可能である。また、閾値
指定による領域抽出(或いは特定濃度値指定による表面
抽出)を行った後に入力画像の積層を行ってもよい。ま
た、三次元曲面の生成はポリゴン近似によって行っても
よい。
【0047】尚、前記三次元形状データには、該三次元
データの生成中、或いは生成後において、形状の修正や
変更を施すことが可能である。例えば、撮影により得ら
れた画像データ中には存在しない構造を付加すること
や、サポートと呼ばれる支持構造を付加することや、或
いは前記画像データ中の構造を一部除去することや、腔
所の形状を変更することなどが可能であり、これによっ
て、立体モデル11の内部に形成される腔所の形状を自
由に修正或いは変更することができる。さらには、腔所
の内部に非積層造形領域を設けることも可能であり、後
に説明する内部を中空の構造とし、非積層造形領域31
を設けた積層造形モデルを作製する場合には、そのよう
な非積層造形領域31を腔所の内部に設けた三次元デー
タを生成しておく。尚、これらの処理は、積層造形シス
テム、或いは積層造形システムに対応したソフトウェア
において行ってもよい。
【0048】次に、生成した腔所の三次元形状データ
を、必要に応じて積層造形モデル21の積層造形に使用
する積層造形システムに対応した形式に変換し、使用す
る積層造形システム、或いは使用する積層造形システム
に対応したソフトウェアへと送る。
【0049】積層造形システム(或いは積層造形システ
ムに対応したソフトウェア)では、積層造形時の積層造
形モデル21の配置や積層方向などの各種設定項目の設
定を行うと同時に、積層造形中における形状保持などの
目的で、サポート(支持構造)をサポートが必要な箇所
に付加する(必要なければ付加する必要はない)。最後
に、このようにして得られた造形用データを積層造形時
の造形厚さに基づいてスライスすることによって、積層
造形に直接利用されるスライスデータを生成する。尚、
上記の手順とは逆に、スライスデータの生成を行った後
にサポートの付加を行ってもよい。また、スライスデー
タが使用する積層造形システム(或いは積層造形システ
ムに対応したソフトウェア)によって自動的に生成され
る場合には、スライスデータを生成する必要はない。但
し、その場合には積層造形厚さの設定が必要となる。サ
ポートの付加についても同様であり、積層造形システム
(或いは積層造形システムに対応したソフトウェア)に
よってサポートが自動的に生成される場合には、手動で
生成する必要はない(手動で生成してもよい)。
【0050】<B.準備工程> 準備工程は、立体モデ
ル化の対象とする腔所を再現した積層造形モデル21を
積層造形するためのデータを、上記データ生成工程の最
終形態として得られるデータと同様な形態にある直接積
層造形に利用可能なデータ(以下、積層造形データと呼
ぶ)として用意し、積層造形に備える行程であって、図
4から図8に示すフローチャートのステップST1に対
応する。但し、この準備工程は積層造形データを用意し
積層造形に備える行程であって、積層造形データを生成
する行程ではない(積層造形データの生成に関する一切
のプロセスは、この準備工程には含まれない)。
【0051】<C.積層造形行程> 積層造形行程は、
立体モデル化の対象とする腔所の形状を再現した前記積
層造形モデル21を、前記準備工程において用意された
前記積層造形データを利用した積層造形により作製する
行程であって、図4から図8に示すフローチャートのス
テップST2に対応する。以下ではこの積層造形行程の
実施形態について詳述する。
【0052】積層造形により作製された腔所を再現した
積層造形モデル21は、後の工程においてロストワック
ス用消失モデルとして使用される。ロストワックス用消
失モデルとは、本来、ロストワックス鋳造法と呼ばれる
精密鋳造法で使用される模型のことで、この模型の周囲
を微粒子の耐火物やセラミック耐火物でコーティング
し、焼成した後にこの模型を溶かして除去することによ
って、前記消失モデルと同一形状を有する鋳造物を鋳造
するための鋳型を製造する目的で使用されるものであ
る。しかしながら、本発明では、積層造形により作製さ
れた前記積層造形モデル21を前記の鋳型製造の目的で
使用するのではなく、成形材料によってその周囲全体、
或いは周囲の特定部分を満たし、該成形材料を硬化させ
ることによって立体モデル11を形成した後、立体モデ
ル11内部に存在する積層造形モデル21のみを、(a)
加熱により溶融する加熱溶融法、或いは、(b) 溶剤によ
り溶解する溶剤溶解法、或いは、(c) 加熱による溶融と
溶剤による溶解とを併用するハイブリッド法、のいずれ
かを適用することにより選択的に流動化し、立体モデル
11の外部へ溶出することによって、対象とする腔所と
同一の形状ないし構造を持つ空洞を内部に有する立体モ
デル11を製造する目的で使用する。尚、加熱溶融法は
請求項1に、溶剤溶解法は請求項2に、ハイブリッド法
は請求項3にそれぞれ対応する。
【0053】したがって、本発明においては、積層造形
モデル21の積層造形に使用する材料(以下、造形材料
と呼ぶ)と、立体モデル11の成形に使用する材料(以
下、成形材料と呼ぶ)との間には、前記の加熱溶融法
と、溶剤溶解法と、ハイブリッド法のいずれを使用する
かに依存して、互いに関連のある以下のような制約条件
が課される。
【0054】(1) 前記加熱溶融法により積層造形モデル
21の溶出を行う場合には、下記(1-1)と(1-2)の両方の
制約条件を満たす必要がある。 (1-1) 前記造形材料は、加熱により溶融する。 (1-2) 前記成形材料は、制約条件(1-1)に記載の造形材
料の溶融温度より低い温度において硬化可能であり、か
つ、硬化後においては制約条件(1-1)に記載の造形材料
の溶融温度より高い耐熱温度を有する。
【0055】(2) 前記溶剤溶解法により積層造形モデル
21の溶出を行う場合には、下記(2-1)と(2-2)の両方の
制約条件を満たす必要がある。 (2-1) 前記造形材料は、溶剤に溶解する(そのような溶
剤が存在する)。 (2-2) 前記成形材料は、制約条件(2-1)に記載の溶剤の
内、少なくとも一種類の溶剤(以下、特定溶剤と呼ぶ)
に対して耐溶剤性を有する。
【0056】(3) 前記ハイブリッド法により積層造形モ
デル21の溶出を行う場合には、下記(3-1)と(3-2)の両
方の制約条件を満たす必要がある。 (3-1) 前記造形材料は、加熱により溶融し、かつ、溶剤
に溶解する(そのような溶剤が存在する)。 (3-2) 前記成形材料は、制約条件(3-1)に記載の造形材
料の溶融温度より低い温度において硬化可能であり、か
つ、硬化後においては制約条件(3-1)に記載の造形材料
の溶融温度より高い耐熱温度を有すると同時に制約条件
(3-1)に記載の溶剤の内、少なくとも一種類の溶剤(特
定溶剤)に対して耐溶剤性を有する。
【0057】尚、前記積層造形モデル21は、次の形成
行程において該積層造形モデルの周囲を前記成形材料で
満たす際に外部から付加される圧力等の外力に耐え得る
強度を有する範囲であれば、その内部を中空構造とし、
内部に非積層造形領域31を設けることによって外形面
を薄肉化して作製してもよい。これによって、積層造形
に所要される時間や造形に伴うコストが低減されるだけ
でなく、後の溶出行程において積層造形モデル21の容
易な溶出が可能となる。但し、内部を中空の構造とし、
非積層造形領域31を内部に備えた積層造形モデルを造
形するためには、先の準備行程において用意する積層造
形データが、該造形を行うように生成されている必要が
ある。
【0058】上記の加熱溶融法、或いは、溶剤溶解法、
或いは、ハイブリッド法に係る制約条件を満足する造形
材料の使用を可能とする積層造形には、例えば、粉末焼
結方式の積層造形、溶融樹脂噴出方式の積層造形、溶融
樹脂押出方式の積層造形などが挙げられる。以下ではこ
れらの各種積層造形方式について詳述する。但し、本発
明の製造方法に係る積層造形はこれらの方式に限定され
るものではない。
【0059】粉末焼結方式の積層造形では、平面状に敷
設された粉末材料上に、前記積層造形データに基づい
て、レーザ等の加熱用ビームを走査することによって、
粉末の表面を溶融させて粉末同士を接合させ、焼結され
た粉末薄層を形成する。このときすでに焼結されている
下層の薄膜との接合も同時に行われる。次に、新たな粉
末の薄層が再度上面に供給され、この行程を繰り返して
粉末焼結層を順次形成すると同時に積層させていく方式
の積層造形を行うことによって積層造形モデル21の積
層造形を行う。
【0060】溶融樹脂噴出型の積層造形では、前記積層
造形データに基づいてノズルヘッドを平面上で走査させ
ながら、ノズルより溶融した造形材料を噴出或いは滴下
させ堆積固化させて薄層を形成し、この薄層を順次形成
すると同時に積層させていく方式の積層造形を行うこと
によって積層造形モデル21の積層造形を行う。
【0061】溶融樹脂押出型の積層造形では、細いノズ
ルから造形材料を押し出し、この細線状の材料を描画す
るようにノズルから送り出し固化させながら、前記積層
造形データに基づいてノズルヘッドを面上で走査させる
ことによって薄層を形成し、これを積層する方式の積層
造形を行うことによって積層造形モデル21の積層造形
を行う。
【0062】尚、積層造形によって作製された積層造形
モデル21には、積層造形の後に、表面研磨や、表面コ
ーティングの付加など各種の加工(除去加工及び付加加
工)を加えることが可能であり、これによって積層造形
モデル21の形状を修正或いは変更することが可能であ
る。これらの加工の一環として、積層造形モデル21の
作製にあたって、積層造形後の除去が必要なサポートを
付加した場合には、サポートの除去を行っておく。
【0063】<D.形成行程> 形成行程は、積層造形
行程で得られた前記積層造形モデル21の周囲を成形材
料で満たした後、該成形材料を硬化させ立体モデル11
を形成する行程であって、図4から図8に示すフローチ
ャートのステップST3に対応する。以下ではこの形成
行程の実施形態について詳述する。
【0064】立体モデル11の形成は、前記積層造形行
程で作製した積層造形モデル21の周囲を、(1) 後の溶
出行程において加熱溶融法を用いる場合は前記制約条件
(1-2)を満足する成形材料、(2) 後の溶出行程において
溶剤溶解法を用いる場合は前記制約条件(2-2)を満足す
る成形材料、(3) ハイブリッド法を用いる場合には前記
制約条件(3-2)を満足する成形材料で満たすか或いは覆
った後、該成形材料を硬化させることによって行う。
尚、積層造形モデル21の周囲を成形材料で満たす際に
は、予め用意しておいた所望形状の外型を使用すると良
い(この外型の内部を前記積層造形モデル21と成形材
料で満たす)が、外型を使用せず、積層造形モデル21
の表面にゾル或いは粉末状の成形材料を付着させ、これ
を硬化させることによって立体モデル11を形成(ディ
ッピング成形、スラッシュ成形)しても良い。外型を使
用する場合には、後の外型の除去に備え、使用する前記
成形材料との親和力の低い材料を使用することが望まし
い。但し、外型の除去を行わず最終的に得られる立体モ
デル11の一部としても良い。
【0065】尚、立体モデル11の外部形状を外型によ
って成形する場合、外型の成形面の形状を対象とする腔
所を内含する諸器官等の外部形状と一致させることによ
って、腔所と該腔所を内含する諸器官等の外部形状とを
共に再現することが可能である。
【0066】しかし、立体モデル11の外部形状は、対
象とする腔所を内含する諸器官等の外部形状と一致させ
る必要はなく、他形状(例えば立方体形状など)で置き
換えてもよい。例えば、透明性を有する成形材料を使用
して立体モデル11の製造を行う場合には、該立体モデ
ルの外部形状に平面14を設けることによって、該立体
モデル内部に再現した腔所の認識性を向上させることが
できる。
【0067】また、立体モデル11の外部形状に対して
は、成形材料の硬化による形成の後、各種の除去加工や
付加加工を行ってもよく、これによって平滑化したり、
形状に修正や変更を加えることができる。
【0068】<E.溶出工程> 次に、積層造形モデル
21を、前記加熱溶融法、或いは、前記溶剤溶解法、或
いは、前記ハイブリッド法によって、形成行程で得られ
た前記立体モデルの外部へ溶出する溶出する溶出行程の
実施形態について詳述する。請求項1及び請求項2及び
請求項3は、それぞれ前記加熱溶融法及び前記溶剤溶解
法及び前記ハイブリッド法を利用して積層造形モデルを
溶出することを特徴とする溶出行程を備えており、図4
から図8に示すフローチャートではこれらを区別し、請
求項1に対応する前記加熱溶融法を利用した溶出行程を
ステップST4a、請求項2に対応する前記溶剤溶解法
を利用した溶出行程をステップST4b、また請求項3
に対応する前記ハイブリッド法を利用した溶出行程をス
テップST4cと表記した。
【0069】成形材料を硬化させることにより立体モデ
ル11の形成を行った後、前記外型を除去すると共に、
前記加熱溶融法、或いは前記溶剤溶解法、或いは前記ハ
イブリッド法によって積層造形モデル21を立体モデル
11の外部へ溶出し除去する。以下では説明上、外型の
除去、積層造形モデル21の溶出、の順序で記述する
が、本発明はこの順序に限定されるものではなく、不要
部分の除去は任意の順序で実施すればよい。すなわち、
積層造形モデル21の除去の後に外型を除去すること
や、積層造形モデル21の除去途中で外型を除去(或い
は外型の除去途中に積層造形モデル21を除去)するこ
とや、積層造形モデル21と外型とを段階的に交互に除
去していくことなどが可能である。
【0070】外型の除去は、所定の除去方法によって行
う。但し、外型を立体モデル11の一部とする場合には
除去は不要である。
【0071】立体モデル11内部からの積層造形モデル
21の除去は、前記の加熱溶融法、或いは溶剤溶解法、
或いはハイブリッド法によって行う。以下では、それぞ
れの方法について説明を行う。尚、積層造形モデル21
の溶出は、立体モデル11より積層造形モデル21が露
出した溶出部分15より行うが、そのような溶出部分1
5が存在しない場合に場合には、立体モデル11の表面
に対して一部除去加工を施し積層造形モデル21の溶出
部分15を設けておく。尚、この除去加工は、積層造形
モデル21の溶融前或いは溶解前に行っても良いし、積
層造形モデル21を溶融或いは溶解した後に行っても良
い。
【0072】加熱溶融法は、立体モデル11内部に存在
する積層造形モデル21を、加熱によって選択的に溶融
し流動化することにより、立体モデル11内部より溶出
させ、除去を行う方法であり、前記制約条件(1-1)と(1-
2)の両方が満足される場合に限ってその適用が可能であ
る。
【0073】この加熱溶融法では、まず積層造形モデル
21の造形材料の溶融温度より高く、硬化後における立
体モデル11の成形材料の耐熱温度より低い温度に加熱
することによって、立体モデル11内部の積層造形モデ
ル21を選択的に溶融し流動化させる。溶出前において
積層造形モデル21は、立体モデル11や、外型除去の
順序に応じては外型と一体となった状態にあるが、前記
制約条件(1-1)と(1-2)の両方が満足される場合には、こ
れらの構造全体或いは一部分を加熱器等により加熱する
ことによって積層造形モデル21を選択的に溶融するこ
とが可能である。尚、立体モデル11の加熱は立体モデ
ル外部より行うことも可能であるが、立体モデル内部や
積層造形モデル内部に加熱電極を配置することや、外部
からレーザー等を照射することなどによって、立体モデ
ル内部より加熱を行うことも可能である。次に、この状
態において積層造形モデル21を立体モデル11の外部
へ溶出させ除去を行う。この積層造形モデル21の溶出
時には、重力や遠心力等の遠隔力や、衝撃や振動を与え
ることによって発生する慣性等を利用することができる
が、積層造形モデル21が露出した部分に外圧(正圧、
負圧)を掛けたり、他の液体を腔所内部に流し込むこと
によって溶出を促進することも可能である。また、立体
モデル11内部の積層造形モデル21(特に溶出後に立
体モデル11内部に残留した積層造形モデル21の一
部)は、固相の状態において、直接外力を加えたり衝撃
や振動を与えたり直接把持することなどによって、立体
モデル11の外部に排除してもよい。この際、立体モデ
ル11内部の積層造形モデル21を複数の部分に分解し
てもよい。
【0074】この加熱溶解法の適用を可能とする積層造
形モデル21の造形材料には、各種の熱可塑性樹脂(サ
ーモプラスチック)(溶融時の流動性が高い(溶融時の
粘性が低い)ものが好ましい)やワックス(油脂やパラ
フィン等)、或いは低融点金属や氷(水)などの他、立
体モデル11の形成に使用する成形材料の耐熱温度より
低い温度において溶融する限りにおいて多様な材料を使
用することができる。尚、これらの造形材料の選択は立
体モデル11に使用する成形材料の特性に応じて決定す
る必要がある(造形材料の特性に応じて成形材料を選択
してもよい)。
【0075】溶剤溶解法は、立体モデル11内部に存在
する積層造形モデル21を、溶剤によって選択的に溶解
し流動化することにより、立体モデル11内部より溶出
させ、除去を行う方法であり、前記制約条件(2-1)と(2-
2)の両方が満足される場合に限ってその適用が可能であ
る。
【0076】この溶剤溶解法では、まず前記制約条件(2
-2)によって与えられる特定溶剤を使用することによ
り、立体モデル11内部の積層造形モデル21を選択的
に溶解し流動化させる。溶出前において積層造形モデル
21は、立体モデル11や、外型除去の順序に応じては
外型と一体となった状態にあるが、前記制約条件(2-1)
と(2-2)の両方が満足される場合には、これらの構造全
体或いは積層造形モデル21が露出した部分を含む一部
分を前記特定溶剤に接触させることによって積層造形モ
デル21を選択的に溶解することが可能である。次に、
この状態において積層造形モデル21を立体モデル11
の外部へ溶出させ除去を行う。この積層造形モデル21
の溶出時には、加熱溶融法の場合と同じく、重力や遠心
力等の遠隔力や、衝撃や振動を与えることによって発生
する慣性等を利用することができる他、積層造形モデル
21が露出した部分に外圧(正圧、負圧)を掛けたり、
他の液体を腔所内部に流し込むことなどによって溶出を
促進することも可能である。また、立体モデル11内部
の積層造形モデル21(特に溶出後に立体モデル11内
部に残留した積層造形モデル21の一部)は、固相の状
態において、直接外力を加えたり衝撃や振動を与えたり
直接把持することなどによって、立体モデル11の外部
に排除してもよい。この際、立体モデル11内部の積層
造形モデル21を複数の部分に分解してもよい。
【0077】この溶剤溶解法の適用を可能とする積層造
形モデル21の造形材料には、シアノアクリレート(ア
セトンに溶解)や澱粉(水等に溶解)等の接着物質や、
トルエンスルホンアミド樹脂(アセトン等に溶解)、ポ
リビニルアルコール(水等に溶解)などの可溶剤溶解性
を有する各種樹脂、ワックス(油脂やパラフィン等)な
どの使用が可能である。尚、溶剤溶解法を実施する場合
には、立体モデル11に使用する成形材料が積層造形モ
デル21の溶解に使用する溶剤に対して耐溶剤性を有す
る必要があり、積層造形モデル21に使用する造形材料
の選択は立体モデル11に使用する成形材料の特性に応
じて決定するとよい(造形材料の特性に応じて成形材料
を選択してもよい)。
【0078】ハイブリッド法は、先に詳述した加熱溶融
法と溶剤溶解法とを併用することによって、立体モデル
11内部に存在する積層造形モデル21を、立体モデル
11内部より溶出させ、除去を行う方法であり、前記制
約条件(3-1)と(3-2)の両方が満足される場合に限ってそ
の適用が可能である。
【0079】このハイブリッド法では、(1) 加熱によっ
て立体モデル11内部より積層造形モデル21を溶出す
る行程と、(2) 溶剤よって立体モデル11内部より積層
造形モデル21を溶出する行程と、を任意の順序で実施
することによって(或いは、各工程を任意の順序で複数
回実施することによって)、立体モデル11内部より前
記積層造形モデル21の除去を行う。以下では、これら
の各工程について詳述する。
【0080】(1) 加熱によって立体モデル11内部より
積層造形モデル21を溶出する行程では、まず積層造形
モデル21の造形材料の溶融温度より高く、硬化後にお
ける立体モデル11の成形材料の耐熱温度より低い温度
に加熱することによって、立体モデル11内部の積層造
形モデル21を選択的に溶融し流動化させる。溶出前に
おいて積層造形モデル21は、立体モデル11や、外型
除去の順序に応じては外型と一体となった状態にある
が、前記制約条件(3-1)と(3-2)の両方が満足される場合
には、これらの構造全体或いは一部分を加熱器等により
加熱することによって積層造形モデル21を選択的に溶
融することが可能である。尚、立体モデル11の加熱は
立体モデル外部より行うことも可能であるが、立体モデ
ル内部や積層造形モデル内部に加熱電極を配置すること
や、外部からレーザー等を照射することなどによって、
立体モデル内部より加熱を行うことも可能である。次
に、この状態において積層造形モデル21を立体モデル
11の外部へ溶出させ除去を行う。この積層造形モデル
21の溶出時には、重力や遠心力等の遠隔力や、衝撃や
振動を与えることによって発生する慣性等を利用するこ
とができるが、積層造形モデル21が露出した部分に外
圧(正圧、負圧)を掛けたり、他の液体を腔所内部に流
し込むことなどによって溶出を促進することも可能であ
る。また、立体モデル11内部の積層造形モデル21
(特に溶出後に立体モデル11内部に残留した積層造形
モデル21の一部)は、固相の状態において、直接外力
を加えたり衝撃や振動を与えたり直接把持することなど
によって、立体モデル11の外部に排除してもよい。こ
の際、立体モデル11内部の積層造形モデル21を複数
の部分に分解してもよい。
【0081】(2) 溶剤によって立体モデル11内部より
積層造形モデル21を溶出する行程では、まず前記制約
条件(3-2)によって与えられる特定溶剤を使用すること
により、立体モデル11内部の積層造形モデル21を選
択的に溶解し流動化させる。溶出前において積層造形モ
デル21は、立体モデル11や、外型除去の順序に応じ
ては外型と一体となった状態にあるが、前記制約条件(3
-1)と(3-2)の両方が満足される場合には、これらの構造
全体或いは積層造形モデル21が露出した部分を含む一
部分を前記特定溶剤に接触させることによって積層造形
モデル21を選択的に溶解することが可能である。次
に、この状態において積層造形モデル21を立体モデル
11の外部へ溶出させ除去を行う。この積層造形モデル
21の溶出時には、先と同じく、重力や遠心力等の遠隔
力や、衝撃や振動を与えることによって発生する慣性等
を利用することができる他、積層造形モデル21が露出
した部分に外圧(正圧、負圧)を掛けたり、他の液体を
腔所内部に流し込むことなどによって溶出を促進するこ
とも可能である。また、立体モデル11内部の積層造形
モデル21(特に溶出後に立体モデル11内部に残留し
た積層造形モデル21の一部)は、固相の状態におい
て、直接外力を加えたり衝撃や振動を与えたり直接把持
することなどによって、立体モデル11の外部に排除し
てもよい。この際、立体モデル11内部の積層造形モデ
ル21を複数の部分に分解してもよい。
【0082】ハイブリッド法では、上記の各工程を各工
程を任意の順序で、必要に応じて複数回実施することが
可能であり、例えば、加熱より積層造形モデル21を溶
融し流動化させることにより積層造形モデル21の大半
を立体モデル11内部より溶出した後、立体モデル11
を室温まで冷却し、先の溶出によって形成された立体モ
デル11内部の空洞領域に前記制約条件(3-2)によって
与えられる特定溶剤を注入することで、表面張力などに
より立体モデル11内部に残留した積層造形モデル21
の一部を再度流動化し、注入した溶剤と共に立体モデル
11の外部へ溶出することなども可能である。
【0083】このハイブリッド法の適用を可能とする積
層造形モデル21の造形材料としては、前記加熱溶解法
と前記溶剤溶解法の双方の適用を可能とする材料を使用
することができ、トルエンスルホンアミド樹脂などの熱
可塑性樹脂(サーモプラスチック)や、ワックス(油脂
やパラフィン等)などの使用が可能である。
【0084】加熱により積層造形モデル21の溶融を行
う加熱溶融法やハイブリッド法によれば、積層造形モデ
ル21の露出面積によらず立体モデル11内部への熱拡
散の進行に伴って非接触にて積層造形モデル全体を溶融
し流動化することが可能であり、溶剤溶解法のように物
理的な接触によって接触領域から次第に積層造形モデル
21を溶解する場合には溶出が困難であるような複雑な
形状、例えばアスペクト比の高い細管状の腔所などを容
易に再現することが可能である。
【0085】以上では、加熱溶融法及び溶剤溶解法及び
ハイブリッド法により積層造形モデル21を立体モデル
11の内部より溶出する方法について説明を行ったが、
これらの方法以外にも、露出部分から積層造形モデル2
1に直接外力を与えることや、立体モデル11の外部よ
り衝撃力や振動等を与えることや、直接把持することな
どによってなどによって、立体モデル11内部より積層
造形モデル21を排除することも可能である。またこの
際、立体モデル11内部の積層造形モデル21を複数の
部分に分解し、分解された各部分を立体モデル11内部
より取り出してもよい。尚、この方法によって積層造形
モデル21の除去を行う場合には、内部を中空として積
層造形モデル21を作製することによって、積層造形モ
デル21の分解を容易化することが可能である。但しこ
の方法は、積層造形モデル21の形状が複雑である場合
や、積層造形モデル21がアスペクト比の高い形状を有
する場合には適用は困難である。
【0086】内部に腔所を再現した立体モデル11は、
立体モデル化の対象とする腔所を複数に分割し、分割さ
れた各腔所に対して本発明の製造方法を実施することに
より各腔所を内部に再現した立体モデルを作製し、得ら
れたそれぞれの腔所に対する立体モデルを組み合わせる
ことによって、立体モデル化の対象とする腔所全体を再
現した立体モデル11を得ることも可能である。この場
合、各腔所に対する立体モデルはそれぞれ異なる製造方
法によって製造することも可能である。但し、本発明は
複数に分割されたそれぞれの腔所に対する立体モデル及
びその製造方法も発明の対象とするものである。
【0087】<F.拡散除去行程> 請求項5に記載の
内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法は、溶出行
程の後の行程、或いは、溶出行程の途中に介在する行程
として、溶出行程において前記立体モデルの内部へと拡
散した前記造形材料の成分を、立体モデルを再度加熱す
ることによって蒸発させ、立体モデル内部より除去する
拡散除去行程を備えることを特徴とする。以下では、こ
の拡散除去行程の実施形態について詳述する。この拡散
除去行程は、溶出行程の後の行程として実施するか、溶
出行程の途中に介在する行程として実施するかによっ
て、それぞれ図8(a)と図8(b)に区別してフロー
チャートを示した。図8(a)のフローチャートでは拡
散除去行程はST5に対応する。一方、図8(b)のフ
ローチャートでは拡散除去行程と溶出行程を一つのステ
ップとして示し、溶出行程を前記加熱溶融法、前記溶剤
用解法、前記ハイブリッド法のいずれを利用して実施す
るかによって、それぞれステップST6a、ステップS
T6b、ステップST6cとして区別した。
【0088】形成行程において成形材料の硬化により形
成された立体モデル11が、特に、シリコーンゴム等の
弾性を有する材料によって構成される場合、溶出行程に
おいて積層造形モデル21を加熱によって溶融した際
に、積層造形モデル21を構成する造形材料の成分(以
下、拡散成分と呼ぶ)の一部が立体モデル11の内部へ
と拡散し、立体モデル11内部に染色等を発生する場合
がある。
【0089】この拡散は、加熱により積層造形モデル2
1を溶融した際に、積層造形材料21を構成する造形材
料の成分(以下、拡散成分と呼ぶ)の一部が気化(蒸
発)し、立体モデル11内部へと拡散することに起因し
て発生する。積層造形モデル21の溶出後に立体モデル
11内部に残留したこの拡散成分は、多くの場合(拡散
成分が立体モデル11の構成材料と化学的に結合する場
合などを除く)、立体モデル11を再度加熱することに
よって再度気化する(蒸発させる)ことが可能である。
立体モデル11の内部で気化した拡散成分の一部は、拡
散により立体モデル11内部より立体モデル11の外部
へと排出されるため、これによって立体モデル11内部
より拡散成分を除去することが可能である。さらに立体
モデル11の内部で気化した拡散成分は、冷却すること
によって、その一部、場合によってはその全てが立体モ
デル表面へと析出され、これによって立体モデル11内
部より拡散成分を除去することも可能であり、拡散除去
行程では、これらの方法を利用することによって立体モ
デル11内部より拡散成分の除去を行う。尚、成形材料
としてエラストマー等の架橋ポリマーを使用する場合に
は、架橋密度の高い材料を選択して使用することによっ
て、これらの方法による拡散除去の効果を高めることが
可能である。
【0090】また立体モデル11内部の拡散成分、特に
色素などは加熱により分解が可能な場合も多く、これに
よって拡散により生じた染色を除去或いは変色すること
も可能である。但し、立体モデル11の加熱は、立体モ
デル11を構成する材料の耐熱温度より低い範囲内で行
う必要があり、この方法は、この温度範囲内で拡散成分
の分解が可能な場合にのみ適用が可能である。
【0091】以上、本発明の立体モデルの製造方法によ
れば、対象とする腔所の積層造形モデル21を積層造形
するためのデータを基に、短時間で、対象とする腔所を
内部に再現した立体モデルを製造することが可能であ
る。また複雑形状の腔所も容易に再現することが可能で
ある。また請求項4に記載の製造方法によって立体モデ
ルを製造することによって、患者毎に患部等を再現した
立体モデルを短時間にて、かつ、対象とする身体に低侵
襲或いは無侵襲にて製造することが可能であり、製造し
た立体モデルを手術前計画や、手術前の手術試行に利用
することも可能とされる。
【0092】<G.内部に腔所を再現した立体モデル>
以下では、本発明の内部に腔所を再現した立体モデル
について、添付図面に示す実施の一形態に基づき、詳細
に説明を行う。
【0093】本発明の内部に腔所を再現した立体モデル
は、(a) 成形材料の硬化により形成された立体モデル形
成部分と、(b) 積層造形モデルを溶出することにより形
成された空洞部分と、を備えることを特徴とするもので
ある。請求項9に記載の内部に腔所を再現した立体モデ
ルは、前記空洞部分が加熱により積層造形モデルを溶解
し溶出することによって形成されることを特徴する。請
求項10に記載の内部に腔所を再現した立体モデルは、
前記空洞部分が溶剤により積層造形モデルを溶解し溶出
することによって形成されることを特徴する。また請求
項11に記載の内部に腔所を再現した立体モデルは、前
記空洞部分が加熱による溶融と、溶剤による溶解とを併
用して積層造形モデルを溶出することによって形成され
ることを特徴とする。
【0094】以下、図面を用いて説明する
【0095】立体モデル11は、成形材料の硬化により
形成された立体モデル形成部分12と、積層造形モデル
21を溶出することにより形成された空洞部分13とを
備える。
【0096】この内、立体モデル形成部分12は、積層
造形モデル21の周囲を成形材料で満たすか、或い積層
造形モデル21の周囲にゾル或いは粉末状の成形材料を
付着させた後、成形材料を硬化させることによって形成
される部分であって、その外部形状は、外型を使用して
成形を行う場合には外型の成形面の形状に一致し、外型
を使用せず成形材料を付着させ硬化することによって成
形する場合には、成形材料付着時の成形材料の状態、並
びに成形材料の硬化時における形状(体積)変化特性等
によって決定される。
【0097】立体モデル11の外部形状は、立方体形状
に限定されることなく、円柱形状や球形状など任意の形
状として形成してもよく、或いは対象とする腔所を内含
する諸器官等の外部形状と同一の形状として形成しても
よい。また積層造形モデル21の周囲に成形材料を付着
させ硬化させることによって、薄膜状、或いは一定の厚
みを持った薄肉状の形状として形成してもよい。
【0098】立体モデル形成部分12に使用できる成形
材料としては、生体組織が有する弾性を再現するためエ
ラストマー等の高い弾力性を有する材料を使用すること
が好ましい。しかし、高い弾力性を有する材料を使用す
ることは必須ではなく、樹脂等の一般的な成形材料を使
用してもよい。立体モデル形成部分12に使用できる成
形材料としては、例えば、シリコーンゴム(シリコーン
エラストマー、シリコーンゲル)や熱硬化性のポリウレ
タンエラストマー等のエラストマー或いはゲルの他、シ
リコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポ
リエステル、フェノール樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性
樹脂や、ポリメタクリル酸メチル等の熱可塑性樹脂を単
独で、或いは複数組み合わせて使用することができる。
尚、これらのエラストマーや樹脂等の成形材料は、(1)
触媒や硬化剤等を加えることにより室温で化学反応し硬
化する(触媒硬化或いはポリオール硬化)ものや、(2)
湿気により室温で化学反応し硬化する(湿気硬化)もの
や、(3) 酸化により室温で化学反応し硬化する(酸化硬
化)ものや、(4) 加熱することにより、或いは触媒や硬
化剤等を加えた後に加熱することにより化学反応し硬化
する(加熱硬化)ものや、(3) (1)から(4)の内、複数の
方法によって硬化するものを使用することができる。
【0099】空洞部分13は、積層造形モデル21の周
囲を成形材料で満たすか或い積層造形モデル21の周囲
にゾル或いは粉末状の成形材料を付着させた後、成形材
料を硬化させることによって形成される立体モデル形成
部分12の内部より、先の積層造形モデル21を溶出す
ることによって形成される部分であって、立体モデル形
成部分12の内部表面に囲まれることによって形作られ
る部分である。
【0100】この空洞部分13は、立体モデル化の対象
とする腔所を再現した部分であって、立体モデル化の対
象とする腔所の三次元形状と実質的に同一の三次元形状
を有することを特徴とするが、立体モデル化の対象とす
る腔所の三次元形状と、この空洞部分13の三次元形状
は完全に同一である必要はない。すなわち、形状に修正
や変更を加えてあってもよいし、形状再現の精度が低い
ことに起因して両者の形状が異なっていてもよい。尚、
立体モデル化の対象とする腔所は、実存する身体(生体
或いは死体)に存在する腔所(或いはそれを基に修正や
変更を加えたもの)であってもよいし、資料や知識を基
にして得られる腔所であってもよい。また立体モデル化
の対象とする腔所は、人間の身体に存在する腔所の他、
人間以外の動物の身体に存在する腔所であってもよい。
【0101】人間の身体に存在する腔所には、例えば、
心臓の内腔、胃の内腔、腸の内腔、子宮の内腔、血管の
内腔、尿管の内腔などの諸器官の内腔の他、これらの諸
器官や体壁などの幾何学的配置によって構成される口
腔、鼻腔、口峡、中耳腔、体腔、関節腔、囲心腔などが
あり、空洞部分13の三次元形状は、例えばこれらの腔
所の三次元形状を再現した形状とすることができる。
【0102】立体モデル形成部分12に使用する成形材
料は、硬化後において透明性を有する材料を使用しても
よい。透明性を有する種が存在する成形材料には、例え
ば、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー、シリコ
ーンゲル)、熱硬化性のポリウレタンエラストマー等の
エラストマー或いはゲルの他、シリコーン樹脂、エポキ
シ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノー
ル樹脂、ユリア樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリメタクリ
ル酸メチル等の熱可塑性樹脂などがある。このような透
明性を有する成形材料を使用して立体モデル形成部分1
2を形成することによって、内部に存在する、腔所を再
現した空洞部分13の認識性に優れた立体モデル11を
得ることができる。
【0103】また立体モデル形成部分12の外部形状、
すなわち立体モデル11の外部形状には平面14を設け
ることが可能である。このような平面14は、立体モデ
ルの外部形状を外型を使用して成形する場合には、使用
する外型の成形面上に平面を設けることによって形成す
ることが可能であり、また、成形材料の硬化により立体
モデル形成部分12を形成した後に各種の除去加工や付
加加工を行うことによって形成することも可能である。
立体モデル11の外部形状に平面14を設けることによ
って、設けられた平面14上において、平行光に対する
光の屈折方向を一定に揃えることができるため、特に立
体モデル形成部分12を透明性を有する成形材料によっ
て形成した場合、立体モデル11内部に存在する、腔所
を再現した空洞部分13の認識性に優れた立体モデルを
得ることができる。また立体モデル11の底部に平面1
4を設けることによって、立体モデルを平らな場所に置
く場合に安定性が向上する。
【0104】腔所を再現した空洞部分13は立体モデル
形成部分12の内部表面によってその周囲を囲まれる。
本発明の立体モデル11は、医療器具等を挿入し手術等
の試行に利用することも可能であり、そのような利用を
目的とする場合には、立体モデル形成部分12の内部表
面は腔所を内含する諸器官等の内部表面と似通った接触
特性を呈することが望ましく、そのため立体モデル形成
12には生体組織が有する弾力性等の接触特性を良好に
再現することのできる成形材料を使用することが好まし
い。シリコーンゴム(シリコーンエラストマー或いはシ
リコーンゲル)は、弾力性に優れており生体組織が有す
る弾力性を再現するのに適している。また弾力性(硬
さ)に関しては幅広いグレードが存在するため、立体モ
デル化の対象とする腔所の特性に応じて最適な弾力性を
有するグレードを選択することが可能である。さらにシ
リコーンゴム(シリコーンエラストマー或いはシリコー
ンゲル)は、一般に非粘着性を示し、潤滑剤を使用する
ことによって表面の潤滑性にも優れており、生体組織が
有する物理的諸特性を再現するのに非常に適している。
よって、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー或い
はシリコーンゲル)を使用して立体モデル形成部分12
を形成することによって、対象とする腔所の形状のみな
らず、生体組織が有する弾力性等の接触特性までを良好
に再現した立体モデルを得ることができる。また、シリ
コーンゴム(シリコーンエラストマー或いはシリコーン
ゲル)には、非常に高い透明性を有する種も存在するた
め、そのような透明性に優れたシリコーンゴム(シリコ
ーンエラストマー或いはシリコーンゲル)を使用して立
体モデル形成部分12を形成することによって、立体モ
デル11内部に存在する、腔所を再現した空洞部分13
の認識性に優れた立体モデルを得ることも可能である。
また、シリコーンゴム(シリコーンエラストマー或いは
シリコーンゲル)は、一般に化学的に不活性であり、耐
候性(耐薬品性)、耐熱性にも優れるため、本発明の内
部に腔所を再現した立体モデルの製造方法の実施にも特
に適している。
【0105】本発明の内部に腔所を再現した立体モデル
は、例えば、医療分野において、患部、或いは患部とそ
の周辺領域の形状を再現することで、医師らは患部や患
部周辺の三次元形状や構造を直感的に正確に把握するこ
とができるだけでなく、さらに立体モデル内部の腔所を
再現した空洞部分に、カテーテルや内視鏡等の各種の医
療器機を実際に挿入し手術の試行等に利用することも可
能とされる。手術試行の具体例としては、動脈瘤や血管
狭窄部或いは血栓部等の諸疾患を有する血管内腔を再現
した立体モデルを利用して、カテーテルを挿入すること
により動脈瘤塞栓術、血管拡張術やステント留置術、動
脈閉塞術等の手術の試行を行うことや、胃癌や食道癌等
の諸疾患を有する胃内腔或いは食道内腔、或いは大腸癌
や大腸ポリープを有する大腸内腔を再現した立体モデル
を利用して、内視鏡を挿入することにより癌やポリープ
等の切除術に対する手術の試行を行うことが可能であ
る。このような手術試行は鼻腔や耳腔、腹腔や子宮など
様々な部位に対して実施することが可能である。
【0106】このように、本発明の内部に腔所を再現し
た立体モデルは、医療分野において、患部やその周辺部
分の形状や状態等を把握する目的での利用が可能な他、
高度な技術と熟練を要する手術を円滑に遂行するため、
或いは研修の成果を大幅に向上させるための補助手段と
して大変に有用である。また本発明の内部に腔所を再現
した立体モデルの利用は、医療分野に限定されることな
く、理科教育分野や医学教育分野等の教育分野等、様々
な分野で利用することが可能である。
【0107】
【実施例】以下、本発明について、実施例を挙げて具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定さ
れるものではなく、実際の実施に際しては記載するプロ
セスの全てを経る必要はない。特に、[実施例1]で
は、積層造形モデル21を積層造形するためのデータの
生成に関した請求項4に対応するプロセスについても記
述しているが、積層造形モデル21を積層造形するため
のデータを生成するプロセスは、請求項1から請求項3
に記載の準備工程の範囲外にあり、必ずしも実施する必
要はない。
【0108】[実施例1]まず、立体モデル化の対象と
する脳血管及び及び患部である脳脳動脈の形状に関する
三次元データを得るため、撮影領域の血管内部へ造影剤
を投与しながら、患者の頭部に対して、0.35×0.
35×0.5mmの空間分解能を持つヘリカルスキャン
方式のX線CT装置により撮影を行った。撮影により得
られた三次元データは、3次元CADソフトへの受け渡
しのため、体軸方向に等間隔に配列された500枚の5
12×512の解像度をもつ256階調の二次元画像に
再構成した後、各二次元画像に対応する画像データを撮
影方向に一致する順序で前記X線CT装置に内蔵された
ドライブにより5.25インチ光磁気ディスクへ保存し
た。
【0109】次に、パーソナルコンピュータに外部接続
した5.25インチ光磁気ドライブによって、前記画像
データをコンピュータ内部の記憶装置へ取り込み、この
画像データから、市販の三次元CADソフトを利用し
て、積層造形に必要とされるSTL形式(三次元曲面を
三角形パッチの集合体として表現する形式)の三次元形
状データを生成した。この変換では、入力された二次元
画像を撮影間隔に基づいて積層することによって、濃度
値をスカラー量とする三次元のスカラー場を構築し、そ
のスカラー場上に血管内表面を与える特定の濃度値を指
定することによって、アイソサーフェス(特定スカラー
値の境界面)として血管内腔の三次元形状データを構築
した後、構築されたアイソサーフェスに対して三角形ポ
リゴン近似のレンダリングが行われる。
【0110】生成したSTL形式の三次元形状データ
を、次に溶融樹脂噴出方式の積層造形システムへと転送
し、造形システム内でのモデルの配置や積層方向、積層
厚さを決定すると同時にモデルに対してサポートを付加
した。このようにして生成された積層造形用のデータを
コンピュータ上で所定の積層造形厚さ(13μm)にス
ライスして多数のスライスデータを生成した。そして、
このようにして得られた各スライスデータに基づいて、
p−トルエンスルホンアミドとp−エチルベンゼンスル
ホンアミドを主成分とした造形材料(融点:約100
度、アセトンに容易に溶解)を加熱により溶融して噴出
することにより、各スライスデータに一致する形状を有
する指定厚さの樹脂硬化層を一面ずつ積層形成すること
よって積層造形を行った。最終層の形成の後にサポート
を除去することによって、脳血管内腔領域の積層造形モ
デルを作成した。
【0111】一方で、立体モデル11の外部形状を成形
する目的で使用する外型を機械加工により作成した。こ
の外型の内部成形面は立方体形状をしており、外型を構
成する部材は組立・分離が可能である。この注型成形用
外型の内部に積層造形システムにより作成した積層造形
モデル21を配置した後、モデルの端部を外型内面に接
着することによって両者の固定することにより型を作成
した。
【0112】このようにして作成された型の内部に、加
熱による短時間での重合硬化が可能な透明度の高い二液
混合型の液体状シリコーンエラストマーを流し込み、7
5℃の恒温層内で1時間加熱することにより重合硬化さ
せ、立体モデルを形成した。そして十分な硬化が得られ
たことを確認した後、外型を構成する部材を順次分離し
て取り外した。
【0113】このようにして得られた立方体形状の立体
モデル11を120℃の恒温層内で1時間加熱すること
により、立体モデル11の内部に存在する積層造形モデ
ル21を溶融し、立体モデル11の外部へ溶出を行っ
た。尚、この溶出は、積層造形モデル21の端部が立体
モデル11より露出していた部分から行った。加熱溶融
による造形材料の溶出後、ブロック全体を室温まで冷却
し、積層造形モデルの溶出によって立体モデル11の内
部に形成された空洞部にアセトンを注入した。これによ
り、立体モデル11内部に残留した造形材料を溶解し、
溶液化した造形材料を立体モデルの外部へ溶出した。こ
れにより、立体モデル11内部より積層造形モデル21
が完全に除去され、脳血管内腔を内部に再現した立体モ
デルを得た。
【0114】最後に、積層造形モデル21の溶融時に立
体モデル11の内部へと拡散した前記造形材料の成分を
立体モデル11の内部より排除するため、再度、120
℃に設定された恒温層内で前記立体モデル11を1時間
加熱し、前記成分を蒸発させ、これによって除去を行っ
た。
【0115】このようにして作製した脳血管内腔の立体
モデル11は、成形材料に透明度の高いシリコーンエラ
ストマーを使用したことによって高い透明性を有し、さ
らに外部形状を立方体形状として平面14を設けたこと
によって、立体モデル11内部に再現された脳血管内腔
の形状や構造、及び、患部を再現した脳動脈瘤の形状が
目視によって容易かつ正確に認識されるものであった。
さらに、作製した脳血管の立体モデルは、その内部に潤
滑液を注入することで、医療器具であるカテーテルの挿
入に対して、実際の脳血管手術時と非常によく似た挿入
感覚や操作感覚を呈するものであった。図1、図2はそ
れぞれ、本発明の実施により最終的に製造された脳血管
内腔の立体モデルの概略図、及び、積層造形システムに
より作製された脳血管内腔領域の積層造形モデルを示し
たものである。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1から請求
項3のいずれかの発明の方法によれば、データに基づい
て積層造形により作製した積層造形モデルを溶出するこ
とによって、該積層造形モデルと同一形状の空洞を形成
するため、前記データを腔所の形状に基づいて生成する
ことで任意形状の腔所を精密に再現することができる。
また、積層造形により直接立体モデルの造形を行う場合
とは異なり、積層造形では使用が不可能である多様な材
料によって立体モデルを製造することができる。さら
に、これら方法によれば、立体モデルは成形材料の硬化
によって形成されるため、積層造形によって直接立体モ
デルの造形を行う場合とは異なり、一般に、造形体積に
よらず短時間で立体モデルを得ることができる。その結
果、多様な材料により、内部に任意形状の腔所を再現し
た立体モデルを、造形体積によらず短時間で製造し、得
ることができる。
【0117】また、請求項4の発明の方法によれば、腔
所を再現した積層造形モデルを積層造形するためのデー
タを、撮影装置による撮影に基づいて生成するため、該
データを、対象とする身体に対して低侵襲或いは無侵襲
によって得ることができる。その結果、対象とする身体
に対して低侵襲或いは無侵襲によって、対象とする腔所
を内部に再現した立体モデルを得ることができる。
【0118】また、請求項5の発明の方法によれば、溶
出行程において立体モデルの内部へ拡散した積層造形モ
デルの造形材料の成分を蒸発させ、これによって立体モ
デルの内部より除去することができる。その結果、前記
成分が、一部、或いは、完全に除去された立体モデルを
得ることができる。
【0119】また、請求項6から請求項8のいずれかの
発明の方法によれば、加熱による溶融、或いは溶剤によ
る溶解、或いは加熱による溶融と溶剤による溶解の両方
が可能とされる造形材料を使用して積層造形を行うこと
が可能であり、該造形材料を構成材料として含む積層造
形モデルを作製することができる。その結果、作製した
積層造形モデルを立体モデルの内部より溶出することが
でき、内部に腔所を再現した立体モデルを得ることがで
きる。
【0120】また、請求項9から請求項11のいずれか
の発明は、上記の各方法発明で製造される内部に腔所を
再現した立体モデルとして、内部に任意形状の腔所を再
現できるという利点を有している。
【0121】また、請求項12又は請求項13の発明
は、上記の各方法発明で製造される内部に腔所を再現し
た立体モデルとして、内部に再現した腔所の認識性に優
れるという利点を有している。
【0122】また、請求項14の発明は、上記の各方法
発明で製造される内部に腔所を再現した立体モデルとし
て、柔軟性を有するという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内部に腔所を再現した立体モデルの実
施の一形態を示した全体斜視図である。
【図2】積層造形により作製された、腔所を再現した積
層造形モデルの実施の一形態を示した全体斜視図であ
る。
【図3】図2に示す腔所を再現した積層造形モデルを中
空の構造として作製した場合の断面構造を示す要部断面
拡大斜視図である。
【図4】請求項1に記載の内部に腔所を再現した立体モ
デルの製造方法の概略を説明したフローチャートであ
る。
【図5】請求項2に記載の内部に腔所を再現した立体モ
デルの製造方法の概略を説明したフローチャートであ
る。
【図6】請求項3に記載の内部に腔所を再現した立体モ
デルの製造方法の概略を説明したフローチャートであ
る。
【図7】請求項4に記載の内部に腔所を再現した立体モ
デルの製造方法の概略を説明したフローチャートであ
る。
【図8】請求項5に記載の内部に腔所を再現した立体モ
デルの製造方法の概略を説明したフローチャートであ
る。
【図9】請求項6に記載の内部に腔所を再現した立体モ
デルの製造方法の概略を説明したフローチャートであ
る。
【符号の説明】
11 立体モデル 12 立体モデル形成部分 13 空洞部分 14 平面 15 溶出部分 21 積層造形モデル 31 非積層造形領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 502212718 根來 眞 名古屋市千種区池上町2丁目19番地 三旺 第三東山605号室 (72)発明者 福田 敏男 名古屋市東区矢田町2丁目66番地 名大矢 田宿舎122号室 (72)発明者 新井 史人 名古屋市千種区青柳町6丁目5番地の1 メイツ千種青柳501号室 (72)発明者 池田 誠一 岡山県津山市高野本郷1258番地の4 (72)発明者 根來 眞 名古屋市千種区池上町2丁目19番地 三旺 第三東山605号室 Fターム(参考) 2C032 CA01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 身体に存在する腔所を再現した積層造形
    モデルを溶出することによって、該積層造形モデルと同
    一の形状を有する空洞を形成し、これにより内部に前記
    腔所を再現した立体モデルを得る方法であって、(a) 腔
    所を再現した積層造形モデルを積層造形するためのデー
    タを用意する準備行程と、(b) 前記積層造形モデルを、
    前記データを利用した積層造形を経て作製する積層造形
    行程と、(c) 積層造形行程で得られた前記積層造形モデ
    ルの周囲を成形材料で満たした後、該成形材料を硬化さ
    せて立体モデルを形成する形成行程と、(d) 加熱により
    前記積層造形モデルを溶融し、形成行程で前記成形材料
    の硬化を経て得られた立体モデルの外部へ溶出する溶出
    行程と、を備えることを特徴とする内部に腔所を再現し
    た立体モデルの製造方法。
  2. 【請求項2】 身体に存在する腔所を再現した積層造形
    モデルを溶出することによって、該積層造形モデルと同
    一の形状を有する空洞を形成し、これにより内部に前記
    腔所を再現した立体モデルを得る方法であって、(a) 腔
    所を再現した積層造形モデルを積層造形するためのデー
    タを用意する準備行程と、(b) 前記積層造形モデルを、
    前記データを利用した積層造形を経て作製する積層造形
    行程と、(c) 積層造形行程で得られた前記積層造形モデ
    ルの周囲を成形材料で満たした後、該成形材料を硬化さ
    せて立体モデルを形成する形成行程と、(d) 溶剤により
    前記積層造形モデルを溶解し、形成行程で前記成形材料
    の硬化を経て得られた立体モデルの外部へ溶出する溶出
    行程と、を備えることを特徴とする内部に腔所を再現し
    た立体モデルの製造方法。
  3. 【請求項3】 身体に存在する腔所を再現した積層造形
    モデルを溶出することによって、該積層造形モデルと同
    一の形状を有する空洞を形成し、これにより内部に前記
    腔所を再現した立体モデルを得る方法であって、(a) 腔
    所を再現した積層造形モデルを積層造形するためのデー
    タを用意する準備行程と、(b) 前記積層造形モデルを、
    前記データを利用した積層造形を経て作製する積層造形
    行程と、(c) 積層造形行程で得られた前記積層造形モデ
    ルの周囲を成形材料で満たした後、該成形材料を硬化さ
    せて立体モデルを形成する形成行程と、(d) 加熱による
    溶融と、溶剤による溶解と、を併用することによって、
    前記積層造形モデルを、形成行程で前記成形材料の硬化
    を経て得られた立体モデルの外部へ溶出する溶出行程
    と、を備えることを特徴とする内部に腔所を再現した立
    体モデルの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    の内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法におい
    て、さらに、前記準備工程で用意する前記データを撮影
    装置による撮影に基づいて生成するデータ生成行程を、
    前記準備工程の前に備えることを特徴とする内部に腔所
    を再現した立体モデルの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法におい
    て、さらに、前記溶出行程の後の行程、或いは、前記溶
    出行程の途中に介在する行程として、前記溶出行程にお
    いて、前記立体モデルの内部へと拡散した前記積層造形
    モデルの構成材料の成分を、前記立体モデルを加熱する
    ことによって蒸発させ、前記立体モデルの内部より除去
    する拡散除去行程を備えることを特徴とする内部に腔所
    を再現した立体モデルの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法におい
    て、粉末状の造形材料上にレーザを走査することにより
    焼結硬化層を形成し、この焼結硬化層を順次形成すると
    同時に積層させていく方式の積層造形を経て、前記積層
    造形モデルを作製することを特徴とする内部に腔所を再
    現した立体モデルの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法におい
    て、ノズルより加熱溶融した造形材料を噴出或いは滴下
    させ固化させながらノズルヘッドを走査させて薄層を形
    成し、この薄層を順次形成すると同時に積層させていく
    方式の積層造形を経て、前記積層造形モデルを作製する
    ことを特徴とする内部に腔所を再現した立体モデルの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項5のいずれかに記載
    の内部に腔所を再現した立体モデルの製造方法におい
    て、ノズルより造形材料を押し出し、この細線状の造形
    材料を描画するようにノズルから押し出し固化させなが
    ら、ノズルヘッドを走査させることによって薄層を形成
    し、この薄層を順次形成すると同時に積層させていく方
    式の積層造形を経て、前記積層造形モデルを作製するこ
    とを特徴とする内部に腔所を再現した立体モデルの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 内部に腔所を再現した立体モデルであっ
    て、(a) 成形材料の硬化により形成された立体モデル形
    成部分と、(b) 加熱による溶融を経て積層造形モデルを
    溶出することにより形成された空洞部分と、を備えるこ
    とを特徴とする内部に腔所を再現した立体モデル。
  10. 【請求項10】 内部に腔所を再現した立体モデルであ
    って、(a) 成形材料の硬化により形成された立体モデル
    形成部分と、(b) 溶剤による溶解を経て積層造形モデル
    を溶出することにより形成された空洞部分と、を備える
    ことを特徴とする内部に腔所を再現した立体モデル。
  11. 【請求項11】 内部に腔所を再現した立体モデルであ
    って、(a) 成形材料の硬化により形成された立体モデル
    形成部分と、(b) 加熱による溶融と、溶剤による溶解と
    を併用して、積層造形モデルを溶出することにより形成
    された空洞部分と、を備えることを特徴とする内部に腔
    所を再現した立体モデル。
  12. 【請求項12】 請求項9から請求項11のいずれかに
    記載の内部に腔所を再現した立体モデルであって、前記
    成形材料が硬化後において透明性を有することを特徴と
    する内部に腔所を再現した立体モデル。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の内部に腔所を再現
    した立体モデルであって、前記立体モデルの外部形状に
    少なくとも一つの平面を有することを特徴とする内部に
    腔所を再現した立体モデル。
  14. 【請求項14】 請求項9から請求項13のいずれかに
    記載の内部に腔所を再現した立体モデルであって、前記
    立体モデル形成部分の全部或いは一部に、シリコーンゴ
    ム(シリコーンエラストマー又はシリコーンゲル)が使
    用されていることを特徴とする内部に腔所を再現した立
    体モデル。
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