JP2003329550A - 試験体を備える構造物、該構造物の診断方法、評価方法及び改修方法 - Google Patents

試験体を備える構造物、該構造物の診断方法、評価方法及び改修方法

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JP2003329550A
JP2003329550A JP2002141828A JP2002141828A JP2003329550A JP 2003329550 A JP2003329550 A JP 2003329550A JP 2002141828 A JP2002141828 A JP 2002141828A JP 2002141828 A JP2002141828 A JP 2002141828A JP 2003329550 A JP2003329550 A JP 2003329550A
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JP2002141828A
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Takahiro Kudo
高弘 工藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 劣化状況を正確に診断できる試験体を備える
構造物と、試験体を分析して構造物を診断する方法、構
造物を評価する方法、及び前記分析に基づき改修する方
法を提供する。 【解決手段】 構造物は基礎10、構造部材である梁2
0、外壁材25、屋根葺き材である折板屋根材30等の
構成要素から構成され、構成要素は、この構成要素と同
じ材料で形成され経年変化等による劣化状況を診断する
試験体15,21,26,31を備える。構造物の診断
方法は試験体を取外して分析して劣化状況を診断する。
構造物の評価方法は、前記の分析に基づいて構造物の経
年変化等による劣化状況を構成要素ごとに診断して残存
価値を評価する。構造物の改修方法は、前記の分析に基
づいて構造物を構成要素ごとに改修する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物等の経年変化
等による劣化を正確に知ることができる構造物と、その
診断方法、評価方法、及び改修方法に係り、特に、経年
変化等による劣化具合を正確に診断でき、その診断に基
づいて構造物の評価を適切に行うことができる評価方法
と、その診断に基づいて適切に改修できる改修方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の建物等の残存価値を評価
する方法として、建物の現場での外観を観察して行う方
法や、超音波や音響等を利用して診断する方法、内視鏡
を使用して例えば外壁の内部を観察する方法等がある。
作業者の目視による建築物のモルタルまたはコンクリー
トである下地躯体の評価を行うものとして、特許第27
26054号の建築物の補修診断方法がある。また、遠
方に設置したカメラにより煙突等の外壁面を多数の部分
に分けて撮影し、表示画像について目視検査する建造物
のリモートセンシング方法が特開平5−322778号
公報に記載されている。
【0003】検査対象物を打叩し、実測した音の周波数
データと基準音の周波数データとを比較して検査対象物
の形態を判定する非破壊検査方法が特開平9−1524
27号公報に記載されている。音響エネルギー等の放出
に応答して信号を生成する検知器を配置し、構造物の強
化材の損傷と関係のある信号を分析して損傷の発生場所
を割り出す監視方法が特表平8−511622号公報に
記載されている。さらに、建築物の内壁部分などに付着
された石綿、ロックウールなどの微細繊維性物質層の付
着状態を診断するための光ファイバー装置として、特公
平6−27714号公報に記載の付着診断装置がある。
【0004】前記の目視検査する方法は、例えば基礎、
外壁や屋根葺き材の表面状態を観察すると共に、地盤の
沈下等による建物のゆがみ、傾斜状態を観察して診断す
ることができる。超音波や音響を利用して診断する方法
は、例えば外壁を打叩し、検知器で集音して内部の空隙
や腐食の状態を判断することができる。内視鏡や光ファ
イバー装置を使用する場合は、例えば外壁等に貫通孔を
あけて内視鏡の先端を挿入し、或いは隙間に内視鏡の先
端を挿入して内部の状態を目視により、或いは撮影して
診断することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した建
物等の評価は、建物を構成する部材の一時的な現地によ
る観察や診断によっているため、部材の分析は高精度な
分析が行えずに簡便な分析となってしまう。また、部材
を高精度に分析するために部材の一部を取外して分析室
等に持込むこともできるが、部材を取外すとその部分の
機能が無くなってしまうという問題点がある。例えば、
鉄骨梁を高精度に分析するために、梁の一部を切り取っ
てしまうと、梁としての機能が無くなるか、低下してし
まう。
【0006】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たものであって、その目的とするところは、建物を構成
する部材の経年変化等による劣化状況が詳細に診断でき
て確認できるため、建物の残存価値や寿命予測が正確に
行える構造物を提供することにある。また、この構造物
の劣化状況を診断し、劣化状況に基づいて残存価値を正
確に評価する方法、及び診断した劣化状況に基づいて改
修する構造物の効率的な改修方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
請求項1に記載の発明による試験体を備える構造物は、
基礎、構造部材、外壁、屋根葺き材等の構成要素から構
成され、構成要素は、この構成要素と同じ材料で形成さ
れ、経年変化等による劣化状況を診断する試験体を備え
ることを特徴とする。この構成によれば、5年、10年
等の所定期間の経過後に、試験体を構造物から取外して
例えば分析室で高精度に分析することができ、この分析
から試験体の劣化状況を正確に診断することができる。
これにより、劣化状況に合わせて構造物に必要な改修を
することができ、構造物の耐久性を向上させることがで
きる。
【0008】請求項2に記載の発明による試験体を備え
る構造物の好ましい具体的な態様としては、前記試験体
は構成要素ごとに複数個備えられることを特徴としてい
る。この構成によれば、基礎、構造部材、外壁、屋根葺
き材等の構成要素ごとに備えた複数の試験体を所定の期
間ごとに取外して精密に分析できるので、構成要素ごと
に所定期間経過した劣化状況を時系列的に確認すること
ができる。また、構成要素ごとに経過期間を変えること
ができ、構造要素に適切な診断期間、例えば基礎は10
年ごと、外壁材は5年ごと等と適切に設定できる。
【0009】請求項3に記載の発明による構造物の診断
方法は、前記した構造物の試験体を分析し、この分析に
基づいて構造物の劣化状況を構成要素ごとに診断するこ
とを特徴とする。この構成によれば、構成要素ごとに備
えられた試験体を分析して構成要素ごとの劣化状況を正
確に診断できるので、この診断に基づいて構造物の改修
や評価を適切に行うことができる。
【0010】また、請求項4に記載の発明による構造物
の評価方法は、前記した構造物の試験体を分析し、この
分析に基づいて構造物の経年変化等による劣化状況を構
成要素ごとに診断して構造物の残存価値を評価すること
を特徴としている。この構成によれば、構成要素ごとに
備えた試験体を分析し、構成要素ごとに経年変化等によ
る劣化状況を正確に診断できるため、構造物の寿命等を
含めた正確な残存価値を評価することができる。劣化状
況に合わせて改修することにより構成部材ごとの残存価
値を上昇でき、改修しない場合は価値が下がることを確
認できる。したがって、この構造物を売買する際には、
残存価値に基づく客観的な中古価値を確認することがで
き、売る側も買う側も安心して契約できる。
【0011】さらに、請求項5に記載の発明による構造
物の改修方法は、前記した構造物の試験体を分析し、こ
の分析に基づいて構造物を構成要素ごとに改修すること
を特徴としている。この構成によれば、試験体を分析し
て構成要素ごとの劣化状況を診断できるため、劣化状況
に合わせた適切な補修等の改修が可能となり、適切な時
期に改修することができる。すなわち、外壁材の試験体
に異常がない場合は改修せず、屋根葺き材の試験体に異
常がある場合は屋根葺き材の塗装等の改修を行うという
ように必要な構成要素のみ改修することができコストを
低減できる。また、例えばリフォーム業者が建築主にリ
フォームの提案を行うときも、正確な診断に基づくため
合理的なリフォームが可能となり、建築主に安心感を与
えることができる。なお、改修した部分に相当する新し
い試験体を追加して、今後の診断や評価に備えるように
してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る試験体を備え
る構造物の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
本実施形態に係る構造物である建物は、構成要素として
基礎、柱や梁等の構造部材、外壁及び屋根葺き材等を組
み合わせて構成され、構成要素ごとに経年変化による劣
化状況を診断する試験体を備えている。先ず、図1、2
を参照して建物の基礎部分について説明する。図1は、
本実施形態に係る試験体を備える構造物の基礎部分の一
部を破断した要部斜視図、図2(a)は図1の基礎の断
面図、図2(b)は図2(a)の右側面図である。
【0013】図1,2において、建物等の構造物の基礎
10は、割栗石等の下地層11と、この下地層の上部に
形成されたベースコンクリート部12aと、ベースコン
クリート部の上部に一体的に形成された立上げコンクリ
ート部12bとから形成される基礎コンクリート12と
を備え、必要に応じてベースコンクリート部12a及び
立上げコンクリート部12bに鉄筋13が配筋される。
基礎10にはアンカーボルト14が埋設され、上面に突
出している。
【0014】基礎10の部分では、基礎コンクリート1
2の打設と同時に複数の試験体15…を基礎の内側に、
基礎コンクリート12と同じコンクリートで形成する。
これにより、水、セメントの比が同じで強度の等しい同
一品質の同じ材料の試験体15…が形成できる。基礎1
0の試験体15は、例えば縦横が130mmで高さが2
50mm程度の直方体のブロックを形成し、このブロッ
クの中心にアンカーボルト16を埋め込んだものが形成
される。試験体15は基礎コンクリート12から取外し
やすいように、立上げコンクリート部12bとの間に垂
直溝17が形成されて分断され、ベースコンクリート部
12aとの間に左右から水平溝18が形成されて中心部
のみがベースコンクリート部と連結されている。
【0015】なお、基礎の試験体15…と基礎10を一
体的に形成しなくてもよい。すなわち、試験体を基礎本
体とは別の型枠で基礎本体と同時に同じコンクリートで
形成し、脱型した後、基礎本体に隣接して配置させて基
礎本体と一体とせず別体とする。このように構成する
と、分析時に試験体を取外す際に労力を要せず容易に取
外すことができる。
【0016】鉄筋コンクリートからなる基礎10の試験
体15…は、設計時に必要とされている鉄筋のかぶり厚
の2倍以上のコンクリート厚を有する大きさのものが好
ましい。基礎部分の分析周期は概ね10年毎に測定する
ことが好ましく、50年を建物の寿命として設計した場
合には、2倍の100年相当の期間に対応するように、
試験体15を9回分準備しておくことが好ましい。鉄筋
コンクリートの表面からの中性化により内部の鉄筋の錆
が進行するが、中性化の度合いを測定して鉄筋コンクリ
ートの寿命を予測する。このようにして、分析用の複数
の試験体15…を予め形成することで基礎10を取り壊
さずに、試験体15を1個ずつ取外して精密に分析する
ことができる。
【0017】つぎに、構造部材に備えられた試験体につ
いて図3を参照して説明する。図3は構造部材として土
台に相当する梁に試験体を固定した要部斜視図である。
構造部材は柱、梁等の建物躯体を構成するもので、例え
ば鋼製の梁20は外壁材25や内壁材(図示せず)の奥
に隠れているケースが殆どで最も判りにくい部分であ
る。最も腐食が進行しやすい部分である基礎、床下の部
分に、同じ材料からなる同じ品質の複数の試験体21…
を取付けておく。
【0018】鋼製の試験体21の大きさは、表面の塗装
膜やメッキ層の減量状況を分析するのに適当な大きさで
ある50×50mm程度で、梁20と同じ厚さで同じ処
理をされたものが好ましい。例えば土台に相当する梁2
0は、亜鉛メッキされた厚さが3mm程度のチャンネル
鋼材で形成され、このような梁に試験体を取付ける場
合、50×50mmで厚さが3mm程度の亜鉛メッキ鋼
板を使用する。
【0019】このような形状の複数の試験体21…を基
礎10と梁20の間に挟んでおく場合や、梁20の下面
に貼着しておく、或いはビス止め等で、適宜試験体21
を固定する。鋼材の表面処理が塗装である場合は、試験
体21…も同様に塗装処理したものとする。そして、梁
20の分析周期は概ね5年毎に測定することが好まし
く、試験体21の数は、建物の寿命を50年として設計
した場合には、2倍の100年の期間を考慮して19回
分準備しておくことが好ましい。
【0020】さらに、外壁の試験体について図4を参照
して説明する。図4(a)は外壁材の試験体を示す要部
正面図、図4(b)は(a)のA−A線断面図である。
外壁材、屋根葺き材のような構成要素は、日光や降雨に
よる劣化が最も顕著である。このことにより、外壁材2
5に備えられた複数の試験体26…は建物の南面の下部
に取付けると、劣化の進行の早い部分を診断することが
できる。試験体26…の大きさは75×150mm程度
が好適であり、外壁材25と同様の材料で形成され、同
じ塗装や処理が施される。例えば、外壁材が厚さ50m
mのALC板や、厚さが20mm程度のセメント板の場
合は、同じ材料で同じ処理を施した前記の寸法の試験体
26…が好ましい。
【0021】図示の例では5個の試験体26…は、支持
板27に固定されている。支持板27は例えばステンレ
ス鋼板等の板材を屈曲して形成し、上部は梁20と外壁
材25との間に挿入して固定され、下部は基礎10の外
側に延出して試験体26…を載置する係止部28が形成
されている。試験体26…は支持板27の係止部28に
載置して高耐久性を有する粘着テープ等で貼着すること
ができ、また止めねじ等で固定してもよい。外壁材25
の分析周期は、塗膜等の劣化防止のための塗料の塗布に
より劣化を抑制できる5年毎に行うことが好ましい。こ
のため、試験体26の数も、梁20の試験体21と同様
に19回分準備しておくことが好ましい。図示の例では
5個の試験体を示しているが、同様にして並設して19
個準備する。
【0022】構成要素として屋根葺き材の試験体につい
て、図5を参照して説明する。図5は屋根葺き材の試験
体を示す要部斜視図である。建物の屋根葺き材が例えば
金属の折板屋根材30の場合は、同じ材質で同じ処理を
施した金属板材を試験体31として屋根面に固定してお
く。屋根葺き材が例えば亜鉛鉄板を屈曲して塗膜を形成
したものであれば、試験体31…は同様の亜鉛鉄板を7
0×150mm程度に切断して塗膜を形成したものを使
用する。折板屋根材30の突部を止めている止めねじ3
2に固定板33を架け渡し、この固定板33に試験体3
1を固定ねじ34で固定する。また、屋根葺き材がスレ
ート材の場合は、同様の寸法のスレート片で形成された
試験体を屋根上に固定しておく。折板屋根材30の試験
体31の数は、5年ごとに分析することが好ましく、試
験体21,26と同様に19個準備する。このように、
試験体15,21,26,31の数は構成要素に合わせ
て適切な数となっている。
【0023】前記の如く構成された本実施形態の試験体
を備える構造物の劣化状況の診断方法と、評価方法及び
改修方法について以下に説明する。構造物を新築後、例
えば5年経過したときに折板屋根材30の試験体31、
外壁材25の試験体26、及び構造部材である梁20の
試験体21を取外して分析室に持ち込み、各試験体の詳
細な分析を行う。屋根葺き材が金属の折板屋根材30の
場合は、試験体31は表面の塗膜の劣化状況を詳細に分
析する。塗膜が日射や酸性雨、汚染された大気等により
劣化し、表面に微細なクラックが生じている場合や、塗
膜の厚さが減少している状況等を詳細に分析する。ま
た、クラックの進行が早くて金属素材に達している場合
等を、顕微鏡を使用して精密に観察して診断する。
【0024】試験体31の表面の塗膜に異常がなく、ク
ラック等が発生していない場合は特に改修は行わない。
塗膜の厚さが減少し次の5年間放置すると金属素材にダ
メージを与える場合は、再塗装による改修を行う。ま
た、既に塗膜がなくなり、金属素材に腐食が進行して再
塗装による改修が困難な場合は、折板屋根材30自体を
取外して新規のものと交換する。
【0025】同様にして分析室に持ち込まれた、梁20
の試験体21や、外壁材25の試験体26を詳細に分析
し、試験体21の表面処理の劣化や、外壁素材に塗装し
た塗膜の厚さの減少状況や劣化状況等を詳細に診断す
る。塗膜の厚さが減少している場合は再塗装が必要とな
り、塗膜の減少が少なく、塗膜にクラック等が発生して
おらず次の5年間を問題なく経過できる場合は、再塗装
等の改修を行わない。また、塗膜の厚さが極端に減少し
ている場合は、従来の塗装より耐久性の高い塗装を行う
等の改修をする。
【0026】新築後に10年経過したときには、折板屋
根材30の試験体31、外壁材25の試験体26、及び
梁20の試験体21の他に、基礎10の試験体15を取
外して分析室に持ち込んで詳細な分析を行う。試験体2
1,26,31は前記と同様の診断を行う。基礎10の
試験体15は、1個の試験体の下部の水平溝18にバー
ル等を挿入して、バールを持ち上げることにより基礎コ
ンクリート12との連結部が破断して容易に取外すこと
ができ、この取外しにより基礎の機能がなくなることは
ない。
【0027】試験体15はコンクリートの中性化につい
て主に分析する。中性化とは、硬化したコンクリートが
空気中の炭酸ガスの作用によって次第にアルカリ性を失
って中性に近づく現象であり、例えばフェノールフタレ
イン溶液等を使用して測定することができる。この測定
で、コンクリート部分の表面からの中性化の深度によ
り、内部の鉄筋の錆が進行する中性化度合いを測り、鉄
筋コンクリートの劣化具合を診断して、寿命を予測する
ことができる。また、鉄筋が使用されていない基礎の場
合は、コンクリートの中性化により寿命を予測すること
ができる。
【0028】このようにして、構造物の現在の状況を正
確に診断することにより、構造物の構成要素ごとに最適
な改修を行うことができ、残存価値や寿命を予測するこ
とができる。また、構成要素を改修することにより、残
存価値を高め寿命を延ばすことが可能かを判断する。さ
らに、試験体は各構成要素に付加的に備えられているた
め、構成要素から取外しても構成要素の機能を損なうこ
とはない。
【0029】本発明に係る構造物の改修方法は、前記し
たように構造物の構成要素ごとに備えられた試験体1
5,21,26,31を取外して高精度に分析して、経
年変化等による劣化状況を精密に診断し、この分析や診
断に基づいて必要な構成要素の改修を行うため、効率的
に行うことができる。例えば外壁材25は塗膜表面のク
ラックがわずかに発生している場合は表面を再塗装して
補修するだけで十分であり、この改修で初期の性能を十
分に発揮でき、寿命に影響を与えないと判断できる。こ
の改修により残存価値等の評価自体が大幅に下がること
はない。
【0030】また、基礎10については、ブロック状の
試験体15を取外して分析した結果、中性化が進んでい
なければ改修せず、コンクリートの厚さのどの部分まで
中性化が進んでいるかによって、例えば表面に防水性の
塗膜を形成する必要がある場合や、中性化した部分を除
去して再度コンクリートを打設する等の劣化具合に合わ
せた改修が可能となる。このように構成要素ごとに備え
られた試験体を分析して、構成要素ごとの劣化状況を正
確に診断して改修を行うため、構成要素ごとに最適な改
修を行うことができる。このため、改修がオーバースペ
ックとならず劣化状況に見合った改修ができ、改修のコ
ストを低減することができる。
【0031】また、構成要素ごとの試験体を分析室に持
ち込み、初期のものと試験体の劣化状況を比較した資料
を作成し、この資料をもとに建築主に説明しながらリフ
ォーム方法の提案を行うことができる。この提案は、建
築主に対して、見え難く、わかりずらい状況でも試験体
の現物で説明できるため適切な提案が行える。このた
め、建築主は過剰で不必要な提案を受けないで済み、安
心できる。前記のようにして、リフォーム等で構成要素
ごとの改修をした場合は、残りの構成要素も同じ改修を
行い、構造物と同一の状態となるようにしておくと、改
修後の定期的な診断が正確に行える。
【0032】このように本発明の構造物は、所定期間経
過後に試験体を詳細に分析して構成要素ごとの劣化状況
を正確に診断できるため、構造物の残存価値や寿命等を
正確に、客観的に評価できる。例えば、5年経過時点で
折板屋根材30は劣化が殆んど進んでいないので9割、
外壁材25も同様に9割、梁20は全く問題がないので
10割というように、建物の残存価値を正確に評価する
ことができる。また、10年経過時に、折板屋根材30
は塗装膜厚が減少して5割程度となるため、再塗装して
8割に復帰させ、外壁材25は表面が多少劣化している
が特に問題がないとして改修せず評価は7割というよう
に、構成要素ごとに残存価値の評価を行うことができ
る。
【0033】そして、前記した折板屋根材30のように
屋根葺き材を新規交換した場合、この構成要素の残存価
値は例えば9割程度に復帰するが、例えば塗膜の減少を
放置した場合は5割程度に低下し、クラックの進行を放
置した場合は3割程度に低下する。このような構成要素
ごとの評価により、建築主はこの構造物が例えば中古物
件としてどの程度の価値を有しているかを正確に評価で
き、この中古物件の購入を考慮している人は安心して検
討することができる。
【0034】なお、前記した実施形態では、試験体の分
析の期間を5年或いは10年としたが、この期間に限ら
れるものではない。また、構造部材として鋼製の梁の例
を示したが、これに限られるものでなく、木製の柱や
梁、鉄筋コンクリート製の柱や梁等でもよいことは勿論
である。基礎の試験体は基礎コンクリートの内側に備え
る構成としたが、通行の邪魔にならないようにして基礎
コンクリートの外側に備えるようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、請求
項1に記載の試験体を備える構造物によれば、構成要素
ごとに備えられた試験体を取外して分析室等に持ち込
み、精密に分析することができる。これにより構成要素
ごとの劣化状況を正確に診断することができる。また、
構造物の劣化状況を参考にして効率的な改修をでき、正
確な評価が可能となる。
【0036】請求項2に記載の試験体を備える構造物に
よれば、複数の試験体を所定の期間ごとに取外して精密
に分析できるので、構成要素ごとの所定期間経過した劣
化状況を時系列的に確認することができる。また、構成
要素ごとに経過期間を変えることができ、構造要素に適
切な診断期間を設定することができるため、試験体を適
切な個数とすることができる。
【0037】請求項3に記載の構造物の診断方法によれ
ば、建物を構成する構成要素ごとの劣化状況を正確に診
断できるので、この診断に基づいて構造物の改修や評価
を適切に行うことができるので、構造物を低コストで改
修することができ、構造物の正確な残存価値の評価が可
能となる。
【0038】請求項4に記載の構造物の評価方法によれ
ば、建物を構成する構成要素ごとの劣化状況を正確に診
断できるため、診断に基づいた構造物の残存価値を正確
に評価することができる。また、劣化状況に合わせて構
成要素ごとに効率的に改修でき、改修により構造物の残
存価値を上昇させることができる。改修しない場合は、
残存価値が低下することを確認することができる。この
ように、構造物の正確な評価ができるため、売買する時
にお互いに安心できる。
【0039】請求項5に記載の構造物の改修方法によれ
ば、建物を構成する構成要素ごとの劣化状況を正確に診
断できるため、診断に基づいた改修を構成要素ごとに効
率的に行うことができる。このため、不要な改修は行わ
ず、劣化状況に合わせた改修ができ、改修のコストを低
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る試験体を備える構造物の一実施形
態を示す基礎部分の一部を破断した要部斜視図。
【図2】(a)は図1の基礎の断面図、(b)は(a)
の右側面図。
【図3】構造部材に試験体を固定した要部斜視図。
【図4】(a)は外壁材の試験体を示す要部正面図、
(b)は(a)のA−A線断面図。
【図5】屋根葺き材の試験体を示す要部斜視図。
【符号の説明】
10 基礎(構成要素)、 15 基礎の試験体、 20 梁(構造部材、構成要素)、 21 梁の試験体、 25 外壁材(構成要素)、 26 外壁材の試験体、 30 折板屋根材(屋根葺き材、構成要素)、 31 折板屋根材の試験体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎、構造部材、外壁、屋根葺き材等の
    構成要素から構成される構造物であって、 前記構成要素は、該構成要素と同じ材料で形成され、経
    年変化等による劣化状況を診断する試験体を備えること
    を特徴とする構造物。
  2. 【請求項2】 前記試験体は、前記構成要素ごとに複数
    個備えられることを特徴とする請求項1に記載の試験体
    を備える構造物。
  3. 【請求項3】 請求項1,2に記載の構造物の前記試験
    体を分析し、該分析に基づいて前記構造物の劣化状況を
    前記構成要素ごとに診断することを特徴とする構造物の
    診断方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2に記載の構造物の前記試験
    体を分析し、該分析に基づいて前記構造物の劣化状況を
    前記構成要素ごとに診断して前記構造物の残存価値を評
    価することを特徴とする構造物の評価方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2に記載の構造物の前記試験
    体を分析し、該分析に基づいて前記構造物を前記構成要
    素ごとに改修することを特徴とする構造物の改修方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EA014390B1 (ru) * 2007-12-12 2010-10-29 Научно-Исследовательское И Проектно-Технологическое Республиканское Унитарное Предприятие "Институт Ниптис Им. Атаева С.С." Способ определения минимального количества испытаний преимущественно строительных материалов и изделий
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US11118998B2 (en) 2015-09-16 2021-09-14 Fujifilm Corporation Soundness determination device, soundness determination method, and soundness determination program

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