JP2003320363A - 土壌での電気化学的回収方法 - Google Patents

土壌での電気化学的回収方法

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JP2003320363A
JP2003320363A JP2002127210A JP2002127210A JP2003320363A JP 2003320363 A JP2003320363 A JP 2003320363A JP 2002127210 A JP2002127210 A JP 2002127210A JP 2002127210 A JP2002127210 A JP 2002127210A JP 2003320363 A JP2003320363 A JP 2003320363A
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Satoki Sasaki
郷紀 佐々木
Noriyuki Oyatsu
紀之 大谷津
Morio Ito
守男 伊藤
Hiroshi Nomura
洋 野村
Shinichi Matsumoto
真一 松本
Tadao Uenaka
忠男 植中
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】原位置の土壌から効率良く重金属類などを回収
する低コストの電気化学的回収方法を提供する。 【解決手段】原位置において電気化学的に処理すべき土
壌領域2を特定する工程と、その特定された土壌領域2
を掘削する掘削工程と、掘削して形成した土壌攪拌層6
を間にして陽極15と陰極16を対向するように設置す
る電極設置工程と、土壌攪拌層6を湿潤する湿潤工程
と、湿潤状態にある土壌攪拌層6間にして陽極15と陰
極16の間に電流を流す通電工程とを含むことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,電気泳動・電気浸
透などの作用により土壌中の例えば重金属類などを回収
する電気化学的回収方法に係り、特に直接現場(原位
置)で実施する回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重金属類などの有害成分を含む土壌浄化
方法には、 .土壌から重金属類を電気化学的に回収する方法、 .水や薬剤で土壌を洗浄する方法、 .酸化剤や還元剤で無害なものに分解する方法、 .土壌を加熱して脱離・揮発する方法、 .土壌を溶融炉でスラグ化する方法、 .土壌を高電圧でガラス固化する方法、 .土壌をセメントで固化する方法、 .薬剤で難溶性物質に固定化する方法、 .土壌をシートパイルで遮蔽して閉じ込める方法、 などがある。前記の土壌洗浄法は砂質には向いている
が、粘土質には不向きである。前記の酸化,還元法は
具体的には6価クロムやシアンなどにのみ適用可能であ
り、適用範囲が狭い。前記の熱脱離法、の溶融固化
法、のガラス固化は必要エネルギーが大でランニング
コストが高い。前記のセメント固化法やの不溶化法
は封じ込めするだけで有害成分を除去するものではな
い。前記の遮蔽法も単に遮蔽するだけで有害成分を除
去するものではない。これに対して前記の電気化学的
回収法は、土壌が粘土質でも有害成分の分離・回収が可
能であり、処理の適用範囲が広く、熱脱離法、溶融固化
法、ガラス固化法などに比べると必要エネルギーが小で
ランニングコストが低いなどの特長を有している。
【0003】汚染された土壌から重金属類を電気化学的
に回収する従来の方法は主に、陽極と陰極を内側に設置
した大型の処理槽を製作し、汚染された土壌を例えばト
ラックなどで処理槽の所まで搬送して、ベルトコンベア
などで処理槽内に投入して陽極と陰極の間に直流を流し
て電気化学的に処理していた。そして浄化された土壌
は、トラックなどで元の位置に戻される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の処理槽を利用す
る方法は、汚染土壌の搬送時にそれが脱落して2次公害
を招く恐れがあり、また土壌の搬送に経費と時間がかか
り、さらに大型の処理槽を設置するスペースも必要であ
るなどの問題点を有している。
【0005】また、直流では電圧一定値で印加されるた
め、電極近傍で水の電気分解反応が随時進行し、陽極部
での強酸性化による電極の溶損、陰極部での強アルカリ
化による重金属類の不溶化・沈殿という問題点が生じ
る。また、印加した電気エネルギーは、水の電気分解反
応、および土壌の電気抵抗に起因するジュール熱の発生
に使われてしまい、電気泳動への寄与分が低下するた
め、無駄が多いなどの問題点もある。
【0006】本発明の目的は、前述した従来技術の欠点
を解消し、原位置の土壌から効率良く重金属類などを回
収する低コストの電気化学的回収方法を提供することで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第1の手段は、原位置において電気化学的
に処理すべき土壌領域を例えば土壌検査などで特定する
工程と、その特定された土壌領域を例えば重機などで掘
削する掘削工程と、掘削して形成した土壌攪拌層を間に
して陽極と陰極を対向するように設置する電極設置工程
と、前記土壌攪拌層を水あるいは酸水溶液などで湿潤す
る湿潤工程と、湿潤状態にある土壌攪拌層間にして陽極
と陰極の間に電流を流す通電工程とを含むことを特徴と
するものである。
【0008】本発明の第2の手段は前記第1の手段にお
いて、前記特定される土壌領域が例えばカドミウムや鉛
などの重金属類を含んでいることを特徴とするものであ
る。
【0009】本発明の第3の手段は前記第1の手段にお
いて、前記掘削工程中に土壌中の例えば岩石やコンクリ
ート塊などの夾雑物を除去する夾雑物除去工程を含むこ
とを特徴とするものである。
【0010】本発明の第4の手段は前記第1の手段また
は第2の手段において、前記土壌攪拌層に対して湿潤液
が飽和状態または過飽和状態に添加されることを特徴と
するものである。
【0011】本発明の第5の手段は前記第1の手段また
は第4の手段において、前記湿潤液が水あるいは酸溶液
であることを特徴とするものである。
【0012】本発明の第6の手段は前記第1の手段、第
4の手段または第5の手段において、前記土壌攪拌層に
凹部を形成し、その凹部に前記湿潤液を注入して、その
凹部から湿潤液を土壌攪拌層内部に浸透させることを特
徴とするものである。
【0013】本発明の第7の手段は前記第1の手段ない
し第6の手段のいずれかにおいて、前記土壌攪拌層を囲
むように遮水壁、遮水シート、遮水層の少なくとも1つ
が存在することを特徴とするものである。
【0014】本発明の第8の手段は前記第1の手段にお
いて、前記電流の波形が矩形波、正弦波、パルス波、鋸
波または三角波であって、その印加電流の電圧が正側と
負側で時間とともに推移して、電圧の正の期間の電圧積
分値が電圧の負の期間の電圧積分値よりも大きいことを
特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施形態】次に本発明の実施形態を図とともに
説明する。図1ないし図8は、第1の実施形態に係る電
気化学的回収方法を説明するための工程図である。
【0016】例えば再開発土地などの土地1に対してま
ず例えばカドミウムや鉛などの重金属類の含有量ならび
に土壌のpH値測定の土壌検査を行ない、その検査結果
に基づいて汚染されて電気化学的に処理する必要のある
土壌領域2を特定する。重金属類は土壌に吸着され易
く、その重金属類を吸着した汚染土壌3は地表からせい
ぜい2〜3m程度の深さであり、図1に示すようにその
汚染土壌3を確実に含む面積と深さを有する領域が処理
すべき土壌領域2として特定される。次にショベルカー
などの重機4を用いて土壌領域2を掘り起こし、土壌の
塊を粉砕して、攪拌する。土壌領域2が粘土質の場合
は、土壌を充分に粉砕て浸液性を高める必要がある。掘
削の際地中に岩石、コンクリート塊、合成樹脂シート、
板などの夾雑物5があれば、電気化学的処理に障害を及
ぼすためそれら夾雑物5は系外に除去される。岩石やコ
ンクリート塊は、例えば大きさが10cm以上のものが
排除される。
【0017】このように夾雑物5を除去して掘削、攪拌
が終了した状態が図2に示されており、内部に無数の隙
間が形成されて湿潤液が浸透し易い土壌攪拌層6とな
る。この土壌攪拌層6の周辺土壌を土壌攪拌層6よりも
深く堀り、遮水壁7を設置して土壌攪拌層6の周囲を囲
む(図2、図7、図8参照)。遮水壁7としては鉄鋼な
どの金属板、木材の板、強化プラスチックの板、あるい
はこれらの複合材などが使用されるが、中でも木材は耐
酸性を有し有害物質が溶出しないため好適である。この
遮水壁7は、後から土壌攪拌層6に注入する酸あるいは
酸水溶液が他に漏れて水脈などに流れ込むのを防止する
ために設置される。
【0018】次に図3に示すように掘削作業により、少
なくとも一部が土壌攪拌層6と接するように電極設置用
の凹部8を土壌攪拌層6の4隅に形成する。掘削で堀り
起こされた土壌は重金属類を含んでいる可能性があるか
ら、土壌攪拌層6上に積み上げて一緒に処理する。本実
施形態の場合、遮水壁7ならびに凹部8は、土壌の下に
形成されている緻密な粘土質からなる遮水層8に到達す
るように設置、形成される。なお、図3以降は、図面を
簡略化するため遮水壁7より外側の土地1の図示は省略
している。
【0019】次いで図4に示すように凹部8内にフィル
タ10を設置し、フィルタ10の内側に電極設置室11
を形成する。フィルタ10は、液は容易に浸透するが、
土壌が崩れて電極設置室11内に入るのを阻止する機能
を有している。
【0020】本実施形態では、土壌攪拌層6を形成し、
遮水壁7を設置して、フィルタ10を設置したが、遮水
壁7を設置し、土壌攪拌層6を形成して、フィルタ10
を設置しても、遮水壁7を設置し、フィルタ10を設置
してから土壌攪拌層6を形成しても、また遮水壁7とフ
ィルタ10をほぼ同時に設置してから、土壌攪拌層6を
形成してもよい。
【0021】図5に示すようにポンプ12を駆動して、
タンク13内の湿潤液14を土壌攪拌層6内に浸透させ
る。本実施形態では各電極設置室11内に湿潤液14を
注入し、フィルタ10を通して土壌攪拌層6を湿潤させ
ているが、湿潤液14を直接土壌攪拌層6の上から散布
しても、また電極設置室11への注入と土壌攪拌層6へ
の直接散布を併用しても構わない。特に電極設置室11
から湿潤液14を注入する方法は、土壌攪拌層6の深部
まで短時間に浸透するため好ましい。いずれにしても土
壌攪拌層6は十分に粉砕・攪拌されているから、土壌攪
拌層6への湿潤液14の浸透はムラなく起こり、土壌攪
拌層6内の空隙が湿潤液14で置換されて十分に湿潤し
た状態、すなわち湿潤液14が土壌攪拌層6内でほぼ飽
和した状態あるいは過飽和状態(土壌攪拌層6の上面に
湿潤液14の溜まりができる程度)に保持される。具体
的には土壌質量の1〜30重量%に相当する湿潤液14
が添加される。
【0022】湿潤液14としては、酸、酸水溶液、水な
どが用いられ、土壌攪拌層6のpH値を酸性から中性領
域に調整する。酸としては塩酸、硫酸、硝酸などの無機
酸、あるいはギ酸、蓚酸、ベンゼンスルホン酸などの有
機酸などが用いられる。使用する酸の濃度は、前述の土
壌検査時に測定した土壌のpH値に応じて調整され、土
壌のpH値によっては湿潤液14として水のみを使用す
ることもある。
【0023】次に図7に示すように、4つの電極設置室
11のうち片側の2つの電極設置室11に陽極15が挿
入されるとともに、陽極液17が注入される。それと対
向する他の2つの電極設置室11に陰極16が挿入され
るとともに、陰極液18が注入される。本実施形態で
は、陽極液17として水が、陰極液18として酸水溶液
が用いられる。電極15,16は炭素鋼、ステンレス
鋼、炭素などから構成され、棒状あるいは板状など適宜
な形状をしている。
【0024】陽極15と陰極16の間に電源装置19が
接続され、各電極設置室11の開口部は蓋部材20で閉
じられ、雨水の侵入防止と、電極液17,18の蒸発防
止を図っている。土壌への通電については後で詳細に説
明する。
【0025】図9は、第2の実施形態に係る土壌中の要
部断面図である。本実施形態の場合のように、遮水壁7
が土壌下の遮水層9まで到達しておれば、フィルタ10
や電極15,16は土壌攪拌層6の深さ以上になってお
れば遮水層9まで到達していなくてもよい。
【0026】図10は、第3の実施形態に係る平面図で
ある。本実施形態の場合、土壌攪拌層6のほぼ中央部に
陰極16が配置され、その陰極16の周囲に土壌攪拌層
6を介して多数の陽極15が配置されている。本実施形
態のように土壌攪拌層6のほぼ中央部に陰極16を配置
すれば、土壌攪拌層6中の重金属類を土壌攪拌層6のほ
ぼ中央部に集めることができ、プラス電荷を持って陰極
側に集積する重金属イオンが誤って他の領域に流出する
恐れがない。
【0027】本実施形態において、土壌攪拌層6の周囲
を遮水壁7で囲んでいるため、陽極15側のフィルタ1
0が遮水層9まで到達しておれば遮水壁7は必ずしも必
要ではない。陽極15側のフィルタ10が遮水層9まで
到達していない場合には遮水壁7は設置した方が望まし
い。
【0028】図11と図12は、第4の実施形態に係る
平面図と断面図である。本実施形態の場合、土壌攪拌層
6を介して陽極15と陰極16が左右に分かれて対向し
ている。電極15,16の設置個数は任意で構わない。
また電極15,16の形状は棒状のほか板状でも構わな
い。
【0029】図11に示すようにフィルタ10の両端部
はそれぞれ遮水壁7の内面と接しており、そのフィルタ
10の下部は図12に示すように遮水層9まで到達して
いる。そのフィルタ10の土壌攪拌層6と接する方のフ
ィルタ10aは透液性を有しているが、そのフィルタ1
0aと反対側のフィルタ10b、すなわち遮水壁7aと
対向する方のフィルタ10bは液を通さない遮液性を有
する材料で構成されている。このように遮液性を有する
フィルタ10bを用いることにより、そのフィルタ10
bの外側に設置される遮水壁7aは必ずしも遮水層9ま
で到達させる必要はない。
【0030】また図13に示すように、フィルタ10b
の外側に設置される遮水壁7aを省略することも可能で
ある。
【0031】遮水壁7、遮水層9、遮液性を有するフィ
ルタ10bなどで土壌攪拌層6を完全に囲めば、水分の
浸透に起因する重金属類や酸などの系外への流出を阻止
することができる。
【0032】図14ないし図16は、第5の実施形態の
工程を説明するための断面図である。本実施形態の場
合、土壌検査で判明した汚染されていない土地1の上に
容器、遮水シート、板材などからなる簡易な受け部材3
5を設置し、重機4を用いて汚染土壌3とその周囲の土
壌を受け部材35上に移す(図14参照)。この移す工
程で夾雑物5があればそれを除去しながら、土壌を十分
に粉砕,攪拌することにより土壌攪拌層6となる。
【0033】図15に示すように掘削して形成された凹
所36の底面と周面の全体に遮水壁7を設置し、遮水壁
7内にフィルタ10、陽極15、陰極16などを所定の
位置に設置して、土壌攪拌層6を遮水壁7内に戻し、後
は第1の実施形態と同様に土壌浄化を行なう(図16参
照)。
【0034】図17ないし図22は、第6の実施形態の
工程を説明するための断面図である。まず、図17に示
すように土壌検査で判明した汚染されていない所を重機
4で掘削し、形成された凹所36の底面と周面の全体に
遮水壁7を設置する(図18参照)。次に図19のよう
に重機4を用いて汚染土壌3とその周囲の土壌を遮水壁
7内に移し、フィルタ10、陽極15、陰極16などを
所定の位置に設置して、第1の実施形態と同様に土壌浄
化を行なう(図20参照)。
【0035】土壌浄化が終了するとその浄化済み土壌3
7を掘削した元の位置に戻して遮水壁7内を開け、次に
他の箇所の汚染土壌3とその周囲の土壌を遮水壁7内に
移し(図21参照)、再びフィルタ10、陽極15、陰
極16などを所定の位置に設置して同様に土壌浄化を行
ない(図22参照)、土壌浄化が終了するとその浄化済
み土壌37を掘削した元の位置に戻す。
【0036】図23と図24は、第7の実施形態を説明
するための平面図と断面図である。本実施形態の場合、
掘削によって形成した凹所36の底面を平らにし、凹所
36の周辺に遮水壁7を設置して、前記底面から遮水壁
7の内面にわたって遮水シート38を敷設する。遮水シ
ート38の互いの重合部は熱溶着あるいは接着剤で液密
にシールされる。遮水シート38の内側にフィルタ1
0、陽極15、陰極16などを所定の位置に設置して、
土壌攪拌層6を投入する。本実施形態では陽極15と陰
極16は板状のものを使用している。
【0037】図25は、第8の実施形態を説明するため
の平面図である。本実施形態の場合、遮水壁7内で板状
の陽極15と陰極16がそれぞれ複数枚交互に設置され
ている。
【0038】いずれの実施形態においても陽極と陰極の
間隔は3m以下、印加電圧は150V以下、好ましくは
20〜40V、電流密度は3A/m2 程度である。
【0039】図26は、本発明の実施形態に係る電気化
学的回収方法の全体の系統図である。同図に示すように
土壌攪拌層6は遮水壁7や遮水層9(図示せず)などで
包囲され、供給ポンプ21により陽極15側に陽極液1
7が供給する一方で、陰極16側の陰極18は排出ポン
プ22で排出することにより、土壌攪拌層6内に矢印で
示すような液の流れを発生させる。
【0040】陽極15と陰極16は電源装置19に接続
され、両電極15、16間に正弦波、パルス波、矩形
波、鋸波、三角波等の電流を流す。
【0041】汚染土壌中の重金属類は、溶液中で大部分
は陽イオン化するので、陽イオンとして取り扱うことが
できる。そこで両電極15、16間に電流を流し、陰極
16側に移動した重金属類イオンを溶液の状態で排出ポ
ンプ22を用いて揚水タンク23に回収する。土壌攪拌
層6から取り出した回収液26の質量とほぼ等しい質量
の水分(水あるいは酸水溶液)を陽極液17として補給
する。
【0042】この重金属類イオンの回収を継続している
と、陰極16の表面に固形物が付着し、それが電気抵抗
となり回収効率が下がるため、付着した固形物を陰極1
6から物理的に落とすために気泡状の空気24を陰極1
6の表面に噴射している。陰極液18に供給する酸25
は、後述するpH調整のためのものである。
【0043】揚水タンク23に溜められた重金属類イオ
ンを含む回収液26は凝集タンク27に移され、例えば
硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなどのアルミ
ニウム塩あるいは鉄塩などの金属塩からなる凝集剤28
を添加して重金属類を凝集せしめ、NaOHなどのアル
カリ性物質29を添加して中和処理する。そしてこの凝
集物を含む液を沈澱槽30に移して凝集物を沈澱させ、
上澄液を上澄タンク31に回収し、沈澱物を脱水機32
にかけて脱水し重金属類を含むケーキ状の汚泥33を得
て、この汚泥33を産業廃棄物として所定の処分を行な
う。このように凝集、沈澱、脱水の工程を経ることによ
り、重金属類を高濃度に含有したケーキ状の汚泥33を
得ることができ、その後の汚泥33の処分が簡便であ
る。
【0044】脱水機32から出た水は上澄タンク31に
移送される。上澄タンク31に溜められた水は給水タン
ク34に送られ、pH調整された後に回収処理に再利用
されるシステムになっている。このようにして土壌内の
重金属類が電気化学的に回収され、土壌浄化が行なわれ
る。
【0045】なお、浄化後の土壌は酸性になっているた
め、例えば石灰などの塩基物質を土壌に適量添加して攪
拌、混合することにより、土壌のpH値を6〜7程度に
調整する。
【0046】本実施形態では、土壌が強アルカリ性であ
った場合を想定して、陰極16または土壌攪拌層6の陰
極近傍に酸25を加えて酸性化している。これにより土
壌中に水酸化物として不溶化している重金属類は溶解し
て、土壌攪拌層6中の水分とともに陰極16側に移動し
て回収される。また、水からなる陽極液17に酸25を
加えて土壌攪拌層6の全体を酸性化することも可能であ
る。土壌が酸性ならば酸25の添加は不要である。
【0047】重金属類を電気化学的に回収する際の基準
となる電源波形は任意であり、図27(a)〜(g)に
示すように正弦波、パルス波、矩形波、鋸波、三角波等
のいずれも使用できる。同図に示す斜線部が印加する電
圧値である。また、一定あるいは不定期間をもって、直
流と正弦波、パルス波、矩形波、鋸波または三角波等を
交互に与える方法もある。
【0048】図28と図29は、図27に示すような波
形が得られる電源装置の具体例を示す回路図である。図
中の41は周波数が50Hzあるいは60Hzの交流電
源、42はトランス、43はコンバータ、44は増幅
器、45は信号発生器、46は波形、周波数、デューテ
ィ比、バイアス調整機能付きのインバータである。図2
8に示す電源装置は安価であり、図29に示す電源装置
は80%以上の電源効率を有している。なお本例では周
波数が50Hzあるいは60Hzの交流電源41を用い
ているが、モータジェネレータ方式あるいはインバータ
方式で最適な周波数に調整することができる。
【0049】図30は別の電源波形を示す図、図31と
図32はその波形が得られる電源装置の回路図である。
図中の47は整流器、48は抵抗器で、正弦波の正側と
負側の電圧を適宜変えている。
【0050】図33はさらに別の電源波形を示す図、図
34はその波形が得られる電源装置の回路図である。図
中の49はSCR制御回路である。図33に示すように
負側の大部分をカットし、正と負のサイクルの電圧積分
値の差(正−負)が正値となるように制御した波形を図
34に示す電源装置で生成する。
【0051】図35と図36はさらに別の電源波形を示
す図、図37と図38はそれら波形が得られる電源装置
の回路図で、図37の電源装置で図35に示す波形が、
図38の電源装置で図36に示す波形が得られる。図中
の49aは第1のSCR制御回路、49bは第2のSC
R制御回路、50はGTO制御回路である。図35と図
36に示すように、一定周期で交流をON−OFFして
負側の大部分と正側の一部をカットしている。OFFの
期間分だけ電流が流れないため、一定の省力化が図れ
る。
【0052】図35と図36に示すように負側から正側
に切り変わった初期の部分を一部カットして正側の立ち
上がりが急峻になった急峻部51を設けるか、あるいは
図27の(a),(b),(e),(f),(g)のよ
うに急峻部51を有する矩形波や三角波を用いれば、回
収効率が高くなる。
【0053】これら正弦波、パルス波、矩形波、鋸波ま
たは三角波等は、正側と負側のサイクルの電圧積分値が
(正>負)となるように制御する。すなわち、時刻tに
おいて電圧V(t)で示され、電圧V( t)が正値である
期間をt1、負値である期間をt2とした場合、電圧の
絶対値|V(t)|に関して、次の式(1)の関係を持つ
ようにすればよい。
【0054】
【数1】 正側と負側のサイクルの積分値は、ピーク電圧値や、パ
ルス幅、或いはパルス数を制御することにより制御でき
る。ただし、正側と負側のサイクルの積分値を制御すれ
ばよいので、他の実現可能な方法を使っても構わない。
【0055】また印加電流の電圧が一定電圧(+V1:
正値)と、一定電圧(−V2:負値)間で推移し、正値(+
V1)である期間(t1)と負値(−V2)である期間(t
2)との間に、(V1×t1) > (V2×t2)の関係が
成立するように調整されている。
【0056】さらに印加電流の電圧が,±V1(V1:
正値)間で推移し、かつ、+V1である期間(t1)と−
V1である期間(t2)との間に、t1≧t2の関係が成
立するように調整されている。
【0057】直流電源を用いた従来の方式では、処理土
壌中の重金属類は、重金属イオンとして電気泳動及び電
気浸透の作用により処理土壌に浸透させた溶液ととも
に、通常、陰極側に移動する。
【0058】しかし、本実施形態で用いた電源では、一
部負方向の電圧が含まれており、ある周波数でもって正
負の両方向に電圧が切り替わる、すなわち電極の極性が
切り替わるため、電極近傍では、水の電気分解反応が進
行する前に極性が切り替わる。このとき、陽極部では水
の電気分解に起因する水素イオンの発生が抑えられて、
強酸性化は起こらず、電極の溶損が抑えられる。
【0059】従来の方法では、陽極の溶損、陰極部での
アルカリ化という問題点を有している。本発明者らは、
前述のように印加する電流を、単純な定電圧の直流電源
または交流電源を半波整流した直流の代わりに、印加電
流を任意周波数に制御し、正負両範囲を含めた正弦波、
パルス波、矩形波、鋸波、三角波などとし、正側の期間
の電圧(電流)の積分値と負側の期間の電圧(電流)の
積分値の差(正−負)が正値となるように制御すること
で解決した。
【0060】土壌中のマトリックスが一種の分子ふるい
作用を持っているかのように振舞うため、通常電気泳動
の速度は非常に遅く、一定の除去率に到達するためには
膨大な時間を要する。
【0061】前述の半波整流電源などを用いる方法にお
いても、電圧の変化は0V〜一定電圧であり、電極近傍
で水(または電極液)の電気分解反応が進行してしま
い、陽極部での強酸性化による電極の溶損、陰極部での
アルカリ化による重金属類の不溶化・沈殿という問題点
が生じる。
【0062】また、水(または電極液)の電気分解反応
が進行すると、印加した電気エネルギーが無駄に消費さ
れるばかりでなく、陰極近傍の土壌がアルカリ化し、こ
のアルカリ成分および不溶化重金属が電気抵抗となり、
陰極近傍で特に電位差が大きくなる。このため、さらに
土壌の電気抵抗が増え、ジュール熱の発生を増加させる
要因となる。
【0063】図39は、この直流電流を流した場合の弊
害を示す模式図である。同図に示すように電気的中和を
保つために、電極面(帯電面)の近傍にこれを中和する
対イオンの強い吸着層(電気二重層)が形成される。一
方、溶液相では、電極から遠ざかるにつれて正負の電荷
が中和していくような拡散的な分布を示す。そして電流
を流し続けると陰極側はアルカリ化、陽極側は酸性化
し、電極と溶液間で電子の授受が起きて水の電気分解が
進行する。
【0064】本発明では、電圧波形が正、負に渡る正弦
波、パルス波、矩形波、鋸波または三角波を用いること
で、ある周波数でもって電極の極性が切り替わるため、
電極近傍では、水の電気分解反応が進行する前に極性が
切り替わることになる。このとき、陽極部では水の電気
分解に起因する水素イオンの発生が抑えられて、強酸性
化は起こらず、電極の溶損が抑えられる。従って、高価
な貴金属を用いる必要がなく、コストを削減できる。
【0065】一方、陰極部では、水の電気分解に起因す
る水酸化物イオンの発生が抑えられて、強アルカリ化は
起こらない。従って、土壌を適正なpH値にコントロー
ルするために添加する酸濃度を従来法よりも低くする、
または酸の添加を不要とすることが可能となり、コスト
を削減できる。さらに、陰極近傍の土壌内で重金属類が
不溶化・沈殿するという問題が生じないため、効率的に
重金属類の除去が可能となる。
【0066】さらにまた、陰極付近の土壌が強アルカリ
化しないことから、陰極近傍の土壌で電気抵抗が増える
要因が無くなるため、特に陰極近傍での電位差を増加さ
せることがなく、ジュール熱の発生を抑える効果が得ら
れる。
【0067】本発明による、正、負に渡る正弦波、パル
ス波、矩形波、鋸波、三角波を用いると、印加した電気
エネルギーは、水の電気分解反応に使われることはな
く、また、土壌の電気抵抗に起因するジュール熱の発生
等に使われる割合が非常に少ない。電気エネルギーの大
部分は重金属類の電気泳動に使用されるため、無駄が非
常に少なく、効率よく重金属類を電気泳動できる。
【0068】また、比較的低い電圧値にした場合でも、
従来方法より重金属類の電気泳動効果を効率的に高める
ことができ、さらにジュール熱による電極液の蒸発、重
金属類の系外への飛散を抑えることができる。逆に、電
圧値を高くしても、ジュール熱の発生は従来方法よりも
抑えられるため、問題なく重金属類の除去効率を高める
ことができる。
【0069】交流電源を用いたり、正と負が対称なパル
ス波形を用いたりした場合は、同様に電極の溶損は起き
ないが、電気泳動効果による重金属イオンの移動が起こ
らないため、土壌中の重金属類を除去するには、浸透し
た溶液(酸、酸水溶液または水)を順次置換させるしか
なく、作業効率の面で望ましくはない。
【0070】電気泳動を推進させるためには、印加電流
の正の期間に流れる電流の積分値が、負の期間に流れる
電流の積分値と比べて大きくなるように制御し、一方向
に重金属イオンを移動させるようにする。当然、正の期
間の電流の積分値と負の期間の積分値の差(正−負)が
大きいほど、電気泳動速度は速くなる。電極部での水の
電気分解反応の抑制効果、および周囲への電波障害の影
響を考慮すると、周波数1Hzから100kHz程度の
間、好ましくは50Hzから1000Hzの間で使用さ
れる。
【0071】図40は、本実施形態の陰極近傍での状態
を模式的に示す図である。同図に示すようにある周波数
でもって正負の両方向に電圧(極性)が切り替わること
により、電気二重層の形成と崩壊が繰り返して起こり、
そのために水の電気分解が生じないで、陰極側のアルカ
リ化、陽極側の酸性化が抑制され、結果的には陰極側で
は重金属類の不溶化・沈殿が抑制され、陽極側では電極
の溶損が抑制されるという効果を有している。
【0072】図41は、本発明法および従来法で汚染土
壌の浄化を行なった場合の、陽極の重量の経時変化を比
較して示す図である。この図で明らかなように従来法
(破線)では陽極の溶損(重量変化)が激しいが、本発
明法(実線)では陽極の重量はほとんど変化せず、陽極
の耐用寿命が長い。従って、陽極に高価な貴金属を用い
る必要がなく、例えば鉄系の電極が使用可能となりコス
トを削減できる。
【0073】一方、陰極部では、水の電気分解に起因す
る水酸化物イオンの発生が抑えられ、強アルカリ化は起
こらない。従って、土壌を適正なpHにコントロールす
るために添加する酸濃度を従来法よりも低くすることが
可能となり、陰極近傍の土壌内で重金属類が不溶化・沈
殿するという問題は生じなかった。
【0074】図42は陽極近くの土壌、陰極近くの土
壌、ならびにその間の土壌の電位を測定した電位特性図
で、横軸に土壌の位置、縦軸に電位を示している。実線
のa)は本発明法、破線のb)とc)は従来法の特性曲
線である。この図から明らかなように、本発明法a)で
は両電極間の電位の勾配はほぼ等しいが、本発明a)と
同じ電圧E1を両電極間にかけても従来法b)では、陰
極近傍で急激な電位差があり、陽極から中央部近傍まで
の土壌での電位勾配(角度θb)が小さい。電気泳動効
果は電位勾配が大きいほど大きくなることから、従来法
b)では陽極から中央部近傍までの電気泳動効果は小さ
くなると考えられる。
【0075】また陰極近傍の急な電位勾配は、陰極近傍
での電気抵抗の増加に起因するものであり、陰極近傍で
のジュール熱の発生原因となる。陰極近傍の電気抵抗の
増加の原因は、陰極液の電気分解に基づく強アルカリ
化、陰極近傍での重金属類の不溶化である。従ってこの
領域では、重金属類は不溶化していると考えられ、電位
勾配が大きくなっていても、電気泳動効果は非常に小さ
い。
【0076】従来法b)よりも電気泳動効果を上げるた
めには、さらに両電極間の電圧を上げる必要がある。従
来法c)に電圧をE2まで上げたときの状態を示す。こ
の時の電位勾配(角度θc)が、本発明での電位勾配
(θa)とほぼ同等である。
【0077】この場合さらに陰極液の電気分解が促進
し、強アルカリ化領域が拡大てし、陰極での電気抵抗が
増大し、電位勾配が増加していることがわかる。従っ
て、ジュール熱発生量が増え、電気エネルギーの無駄使
いとなる。
【0078】本発明法a)では、土壌中の電位勾配(θ
a)は土壌全域でほぼ一定に保たれており、電気泳動効
果は従来法b)と比べて高いこと分かる。このように本
発明では、印加した電気エネルギーは、水の電気分解、
土壌のジュール熱発生等に使われることはなく、その大
部分が重金属類の電気泳動に使用されるため、無駄が非
常に少なく、効率よく重金属類を電気泳動できる。
【0079】図43は、本発明の原位置での電気化学的
回収方法の展開例を示す説明図である。まず1か所の例
えば土壌攪拌層6aの周囲四辺を遮水壁7a〜7dで囲
んで土壌攪拌層6aの浄化処理を行なう。次に遮水壁7
bはそのまま埋設した状態で、他の遮水壁7a,7c,
7dを抜き、土壌攪拌層6aと隣接する土壌攪拌層6b
の三辺にそれぞれ移動して設置することにより、土壌攪
拌層6bは遮水壁7a〜7dで囲まれる。このように設
置した遮水壁7のうち1つを残しながら、次の隣接する
土壌攪拌層6を浄化処理を行なうことにより、広い面積
にわたって効率よく土壌浄化が展開される。
【0080】図44は、本発明の原位置での電気化学的
回収方法の他の展開例を示す説明図である。まず1か所
の例えば土壌攪拌層6aを間にして陽極15と陰極16
を対向するように設置して、土壌攪拌層6aの浄化処理
を行なう。この土壌攪拌層6aの処理が終了すると、陰
極16はそのまま設置した状態で、陽極15を土壌攪拌
層6bの端部に移動し、土壌攪拌層6bを間にして陽極
15と陰極16を対向せしめ、土壌攪拌層6bの浄化処
理を行なう。このように設置した電極の一方を残しなが
ら、次の隣接する土壌攪拌層6を浄化処理を行なうこと
により、広い面積にわたって効率よく土壌浄化が展開さ
れる。
【0081】前記実施形態では土壌攪拌層から揚水した
回収液から凝集・沈澱法により重金属類などの回収物質
を回収したが、イオン交換樹脂、キレート材、活性炭な
どの吸着材を利用して回収物質を回収することも可能で
ある。
【0082】前記実施形態では土壌から鉛やカドミウム
などの重金属類を回収する場合を説明したが、本発明は
陽イオン化した希土類元素や陰イオン化したアルミ酸な
どの金属成分を回収することも可能である。
【0083】本発明の電気化学的回収方法は、土壌の浄
化だけでなく、例えば燃焼装置から排出される燃焼灰、
ばいじん、汚泥、河川や沼などに溜まった泥、その他汚
染物質を含む粉体、粉末、コロイド溶液、溶液などから
汚染物質を回収するときにも適用可能である。
【0084】
【発明の効果】請求項1記載の本発明は、原位置におい
て土壌の電気化学的処理ができるため、従来法のように
汚染土壌の搬送時にそれが脱落して2次公害を招く恐れ
がなく、また土壌の搬送に経費と時間がかかったり、大
型の処理槽を設置するスペースも不要である。
【0085】また特定された土壌領域を掘削・攪拌・混
合して内部に無数の隙間を有する土壌攪拌層を形成する
ため、後から添加する湿潤液の浸透が容易で、ムラなく
浸透し、土壌攪拌層は十分に湿潤した状態で通電される
から回収物質を電気化学的効率よく回収することがてき
る。
【0086】請求項2記載の本発明によれば、土壌中の
重金属類を効率よく回収できるから、重金属類による土
壌の汚染が解消される。
【0087】請求項3記載の本発明によれば、土壌中の
夾雑物を除去する工程を含んでいるから、土壌攪拌層中
には夾雑物が存在せず、そのため電気化学的な回収が効
率よく行なわれる。
【0088】請求項4記載の本発明によれば、土壌攪拌
層に対して湿潤液が飽和状態または過飽和状態に添加さ
れるから、電気化学的な回収が効率よく行なわれる。
【0089】請求項5記載の本発明によれば、湿潤液が
水あるいは酸溶液であるから、電気化学的な回収が効率
よく行なわれる。
【0090】請求項6記載の本発明によれば、凹部から
湿潤液を土壌攪拌層内部に浸透させるから、湿潤液の浸
透が速く、しかもムラなく浸透できる。
【0091】請求項7記載の本発明によれば、土壌攪拌
層を囲むように遮水壁、遮水シート、遮水層の少なくと
も1つが存在するから、土壌攪拌層に添加する酸などが
他の土壌領域に漏れて2次公害を招く恐れがない。
【0092】請求項8記載の本発明によれば、従来法の
ように電極近傍で水の電気分解反応が進行し、陽極部で
の強酸性化による電極の溶損、陰極部での強アルカリ化
による重金属類の不溶化・沈殿という問題点、ならびに
印加した電気エネルギーが、水の電気分解反応、および
土壌の電気抵抗に起因するジュール熱の発生に使われ
て、無駄が多いなどの問題点が有効に解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る土壌上の要部平
面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る遮水壁の側面図
である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る土壌中の要部断
面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る土壌上の要部
平面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る土壌上の要部
平面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図13】本発明の変形例に係る土壌中の要部断面図で
ある。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図18】本発明の第6の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図19】本発明の第6の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図20】本発明の第6の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図21】本発明の第6の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図22】本発明の第6の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図23】本発明の第7の実施形態に係る土壌上の要部
平面図である。
【図24】本発明の第7の実施形態に係る土壌中の要部
断面図である。
【図25】本発明の第8の実施形態に係る土壌上の要部
平面図である。
【図26】本発明の実施形態に係る電気化学的回収方法
の全体の系統図である。
【図27】本発明の実施形態に係る電源波形図である。
【図28】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図29】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図30】本発明の実施形態に係る電源波形図である。
【図31】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図32】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図33】本発明の実施形態に係る電源波形図である。
【図34】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図35】本発明の実施形態に係る電源波形図である。
【図36】本発明の実施形態に係る電源波形図である。
【図37】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図38】本発明の実施形態に係る電源装置の回路図で
ある。
【図39】従来の直流電流を流した場合の弊害を示す模
式図である。
【図40】本実施形態の効果を示す模式図である。
【図41】本発明法と従来法で汚染土壌の浄化を行なっ
た際の陽極重量の変化を示す図である。
【図42】陽極近くの土壌、陰極近くの土壌、ならびに
その間の土壌の電位を測定した電位特性図である。
【図43】本発明の原位置での電気化学的回収方法の展
開例を示す説明図である。
【図44】本発明の原位置での電気化学的回収方法の他
の展開例を示す説明図である。
【符号の説明】
1:土地、2:土壌領域、3:汚染土壌、4:重機、
5:夾雑物、6:土壌攪拌層、7:遮水壁、8:凹部、
9:遮水層、10:フィルタ、11:電極設置質、1
2:ポンプ、13:タンク、14:湿潤液、15:陽
極、16:陰極、17:陽極液、18:陰極液、19:
電源装置、20:蓋部材、21:供給ポンプ、22:排
水ポンプ、23:揚水タンク、24:空気、25:酸、
26:回収液、27:凝集タンク、28:凝集剤、2
9:アルカリ性物質、30:沈澱槽、31:上澄タン
ク、32:脱水機、33:汚泥、34:給水タンク、3
5:受け部材、36:凹所、37:浄化済み土壌、3
8:遮水シート、41:交流電源、42:トランス、4
3:コンバータ、44:増幅器、45:信号発生器、4
6:インバータ、47:整流器、48:抵抗器、49:
SCR制御回路、50:GOT制御回路、51:急峻部
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 守男 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 野村 洋 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 松本 真一 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 植中 忠男 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 Fターム(参考) 2D043 CA13 4D004 AA41 AB03 BA05 CA34 CA44

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原位置において電気化学的に処理すべき
    土壌領域を特定する工程と、 その特定された土壌領域を掘削する掘削工程と、 掘削して形成した土壌攪拌層を間にして陽極と陰極を対
    向するように設置する電極設置工程と、 前記土壌攪拌層を湿潤する湿潤工程と、 湿潤状態にある土壌攪拌層間にして陽極と陰極の間に電
    流を流す通電工程とを含むことを特徴とする土壌での電
    気化学的回収方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の土壌での電気化学的回収
    方法において、前記特定される土壌領域が重金属類を含
    んでいることを特徴とする土壌での電気化学的回収方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の土壌での電気化学的回収
    方法において、前記掘削工程中に土壌中の夾雑物を除去
    する夾雑物除去工程を含むことを特徴とする土壌での電
    気化学的回収方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の土壌での
    電気化学的回収方法において、前記土壌攪拌層に対して
    湿潤液が飽和状態または過飽和状態に添加されることを
    特徴とする土壌での電気化学的回収方法。
  5. 【請求項5】 請求項請1または求項4記載の土壌での
    電気化学的回収方法において、前記湿潤液が水あるいは
    酸溶液であることを特徴とする土壌での電気化学的回収
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、請求項4、請求項5のいずれ
    かに記載の土壌での電気化学的回収方法において、前記
    土壌攪拌層に凹部を形成し、その凹部に前記湿潤液を注
    入して、その凹部から湿潤液を土壌攪拌層内部に浸透さ
    せることを特徴とする土壌での電気化学的回収方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記
    載の1項の土壌での電気化学的回収方法において、前記
    土壌攪拌層を囲むように遮水壁、遮水シート、遮水層の
    少なくとも1つが存在することを特徴とする土壌での電
    気化学的回収方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の土壌での電気化学的回収
    方法において、前記電流の波形が矩形波、正弦波、パル
    ス波、鋸波または三角波であって、その印加電流の電圧
    が正側と負側で時間とともに推移して、電圧の正の期間
    の電圧積分値が電圧の負の期間の電圧積分値よりも大き
    いことを特徴とする土壌での電気化学的回収方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109731902A (zh) * 2019-01-17 2019-05-10 天津友爱环保科技有限公司 一种移动式电化学土壤修复装置
CN110102565A (zh) * 2019-05-31 2019-08-09 天津大学 应用于土壤多相抽提的具有防堵塞功能的抽提井系统
CN110102566A (zh) * 2019-03-19 2019-08-09 广东筑奥生态环境股份有限公司 一种用于土壤污染改性修复的重金属吸附方法

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