JP2003319950A - 齲蝕歯硬度判定器 - Google Patents

齲蝕歯硬度判定器

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JP2003319950A
JP2003319950A JP2002127831A JP2002127831A JP2003319950A JP 2003319950 A JP2003319950 A JP 2003319950A JP 2002127831 A JP2002127831 A JP 2002127831A JP 2002127831 A JP2002127831 A JP 2002127831A JP 2003319950 A JP2003319950 A JP 2003319950A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 齲蝕歯治療のため軟化象牙質をドリルで研削
除去するとき研削の終点を歯科医が簡単に決定できる小
型で軽量安価な装置を提供すること。 【解決手段】 手で把持するハンドピース3と、ハンド
ピース先端に取り付けたチャックホルダー4と、チャッ
クホルダーの先端に固定された円筒状のチャック5と、
チャックの内部空間へ挿入されチャック内部上壁に付着
できる探針6とよりなり、探針を齲蝕歯Tに押し当て引
き上げた時に探針がチャックから下降するかしないかに
よって齲蝕歯の硬度を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は齲蝕歯を削ってゆ
くときに一定の硬さの部分まで正確に削り取るために、
被研削歯の硬度の変化を簡単に測定できるようにした装
置に関する。図1に人の正常な歯の断面を示す。最外層
にあるのがエナメル質Eでその内側の層が象牙質Dであ
る。象牙質の中心部には歯髄Pがある。この図は口腔の
奥にある臼歯を示す。前方にある門歯や犬歯は形状が異
なるが層構造は同様である。
【0002】齲蝕歯(虫歯)Tを図2に示す。エナメル
質Eの中央部に穴があき空洞C(Cavity)が象牙質Dに
到達している。齲蝕の進行とともに空洞Cが下方へ拡大
する。歯髄Pに齲蝕が進行してはいけないので、それま
でに治療を受ける。歯科医師はスプーンエキスカベータ
ーやドリルで齲蝕により軟化した象牙質SDを削りセメ
ントやアマルガムなどの修復物Kを空洞Cに充填する。
【0003】それによって齲蝕歯は修復されたことにな
るが、修復物Kの直下に齲蝕象牙質Q(SDの深層部)
が残留することがある。残留齲蝕象牙質Qは健全な象牙
質Dよりも軟らかい。この残留齲蝕象牙質Qがあること
による影響は一概にはいえない。さらに齲蝕が進む可能
性もあり、反対に修復物直下の残留齲蝕象牙質Qで再石
灰化がすすみ象牙質が硬化することもある。
【0004】齲蝕象牙質Qがある程度残留するのは構わ
ないが、あまりたくさん残留するのは好ましくない。ど
の程度まで齲蝕象牙質を削除するのか?というのが歯科
医にとって問題である。歯科医個人個人の臨床経験とカ
ンによる他はない。齲蝕の程度、部位、状態などによっ
て歯科医が試行錯誤し経験によって研削の終点を決めて
いる。
【0005】そうであるから齲蝕治療の結果の良否に歯
科医によるばらつきが生じる。カンや経験という主観的
なものに頼らず齲蝕歯研削の終端を決定できることが望
ましい。本発明はそのような課題に応えるものである。
【0006】
【従来の技術】齲蝕歯の検出方法や齲蝕歯の治療方法に
関する発明は数多くある。本発明の目的は齲蝕歯検出で
もないし齲蝕歯治療でもない。しかし、いきなり本発明
の説明をしても検出装置、治療装置と混同する可能性が
ある。そこで齲蝕歯検出装置や治療装置の従来技術につ
いて初めに説明する。
【0007】[A.齲蝕歯検出装置の従来技術]現在主
流である齲蝕歯検出法は目視観察とX線観察である。目
視では見えない部位、見にくい部位があって正確にゆか
ない。X線はX線被爆の悪影響があるから頻繁に使用す
るのは好ましくない。その他に光を当ててその吸収や反
射によって齲蝕歯を検出するようにした装置がいくつも
提案されている。
【0008】(1)特開昭56−40137号「虫歯検
出方法および装置」は400nm〜700nmにある2
種類の単色光λ、λを齲蝕歯に照射し反射光のスペ
クトルを見て虫歯を検出する。正常歯と齲蝕歯では反射
光のスペクトルが相違するのでそれによって齲蝕歯がわ
かる、という。
【0009】(2)特開平8−71092号「初期う蝕
検出装置」は赤外線を光ファイバによって導き歯に当て
反射された赤外線の線量から歯面にある水分量を求め水
分量から初期う蝕かそうでないかを判定する装置を提案
している。健全なエナメル質は小さな空隙があり、そこ
に水分が1〜2%の小さい割合で存在する。齲蝕が始ま
ると歯の表面で脱灰が進行しミネラルが減少する。空隙
は大きくなって水分量も10%以上に増える。1μm〜
3μm程度の赤外線を当てると水分があれば赤外は吸収
されるので水分量と吸収量が比例する。反射光の強度か
ら水分を求め初期齲蝕かどうかを判定する、という。
【0010】(3)特開平8−233758号「初期う
蝕検出装置」は赤外線を照射せず、歯からの自発的な輻
射赤外線の分布を測定して齲蝕かどうかを判断できるよ
うにした装置を与える。齲蝕部は水分を余計に含むので
熱的な挙動の差があり、温度分布に応じた赤外線放出を
するので赤外線分布を観測すると齲蝕歯かどうかわかる
という。
【0011】(4)特公昭46−12400号「歯抵抗
測定装置」は、口腔内の一箇所に接続したアースと、プ
ローブの先端の探針の間の電気抵抗を測定して初期齲蝕
歯を検出する。健全な歯の象牙質は高抵抗であり歯面と
口腔内の任意箇所に接続したアースとの間の電気抵抗は
600kΩ以上である。齲蝕歯のエナメル質は抵抗が低
くて250kΩ以下である。だから電気抵抗測定によっ
て初期齲蝕歯を検出できる、という。プローブは手で持
つ円筒形の部分と、その先端の曲がった探針とからなる
形状である。
【0012】(5)実開昭59−24017号「歯牙の
う蝕診断器」はやはり電気抵抗によって齲蝕歯を検出す
る装置である。齲蝕歯のエナメル質の電気抵抗が下がる
ことを利用するのは(4)と同じである。刻みが少し違
っており、18kΩ以下、18kΩ〜250kΩ、25
0kΩ〜600kΩ、600kΩ以上の4段階に分かれ
ている。600kΩ以上だと正常で、抵抗が下がるごと
により進行した齲蝕歯だと判断する。
【0013】[B.齲蝕歯象牙質厚み検出の従来技術]
以上に説明したものはいずれも齲蝕歯検出を目的とす
る。光学的あるいは電気的なセンサによって齲蝕歯を検
出するものであり齲蝕歯は電気抵抗が低く水分が多いと
いう点を利用したものである。次のものは少し違って象
牙質厚みを電気的手段によって求めるものである。
【0014】(6)特開平2−7952号「歯の象牙質
層厚の測定方法および歯科治療用装置」は歯科医がドリ
ルで齲蝕歯を研削するとき象牙質を突き破って歯髄に穴
を開けてはいけない。歯髄には神経があるので歯髄に穴
があくととても痛い。そのような事故を防ぐため象牙質
の厚みを測定するものである。象牙質が薄くなりすぎた
らドリルによる穿孔を中止する。探針を象牙質に当て口
腔内のアースとの間の電気抵抗を測定する。象牙質が4
mm厚みだと5MΩ、象牙質厚みが2mmだと2.3M
Ω、象牙質が1.5mm厚みだと2MΩ、象牙質が1m
mだと1.5MΩであるから抵抗によって象牙質厚みが
わかる。
【0015】ドリルで齲蝕歯を研削する途中で研削を中
止し、たびたび象牙質厚みを測って薄くなり過ぎたら研
削を止めるようにする。つまり適当な象牙質研削代(し
ろ)を求めることができる方法である。これは本発明に
近い目的をもっている。しかし象牙質は齲蝕の程度によ
って電気抵抗率が異なるはずであり、厚みと電気抵抗に
一義的な関係があるとは考えにくい。それに従来例
(4)、(5)が0.6MΩに齲蝕の臨界点だと主張し
ているのと比較し余りに抵抗値が高すぎるように思われ
る。(6)はフランス人の発明であるがフランス人の歯
牙はカルシウム分が多くて抵抗率が高いのかもしれな
い。
【0016】(7)特開昭57−196104号「歯の
超音波厚み測定装置」は歯科医がエナメル質、象牙質を
ドリルで削るときに象牙質を突き破って歯髄までドリル
を突き刺してはいけないから象牙質の厚みを測定する手
段を与えるものである。超音波を発生する3つの接触子
を歯の3方に当て超音波を歯に与えエコーを測定する。
エコーの遅延時間によって象牙質の厚みがわかる、とい
う。象牙質は硬くて超音波速度が速く歯髄は軟らかくて
超音波速度が遅い境界で反射するから超音波往復時間か
ら象牙質厚みが分かる。象牙質厚みが0にならないよう
齲蝕歯研削を中止することができる、という。これは超
音波の僅かな反射を検出するので感度のよい超音波検出
器、S/N比の高い増幅器などが必要である。装置は大
がかりであり高価なものとなる。それに齲蝕象牙質と正
常象牙質の密度や弾性率は異なるから超音波速度が違う
はずである。齲蝕歯の場合、正確な象牙質厚みを求める
のは難しい。
【0017】(8)特開昭58−223010号「歯の
超音波厚み測定装置」はやはり超音波エコーによって象
牙質の厚みを求める装置を提案している。
【0018】[C.齲蝕歯象牙質硬度検出の従来技術]
以上に説明したものは光学的、電気的齲蝕歯の検出装置
と、超音波、電気抵抗による象牙質厚みの測定装置であ
る。次に述べるのは象牙質の硬度を検出するものであ
る。
【0019】(9)特開昭58−121944号「う蝕
判定器のハンドピース」は本発明者の考案になるもので
ある。円筒状の把持部の先端に、根元に歪センサを取り
付け、?型に彎曲した金属棒よりなる探針を付け、探針
を齲蝕歯象牙質に押し当ててから引き上げたときに探針
が象牙質によって引っ張られる力を歪センサによって測
定している。それによって軟化象牙質の有無が分かると
主張している。軟化象牙質は軟らかいので探針が突き刺
さり探針を引き上げると探針を引き下げる力を発生す
る。探針を引き下げる牽引力をタグバック(Tug Back)
と呼ぶ。これはタグバックの強さを定量的に計測し平均
値や標準偏差を求める。それによって軟化象牙質がある
かどうかを求めるのである。これはタグバックという概
念を初めて提案したものである。象牙質の硬さを突き刺
した探針を引き上げた時に発生するタグバックによって
測定する。
【0020】(10)特開昭59−69071号「う歯
硬度測定装置」は齲蝕歯の象牙質の硬度を定量的に測定
するための装置である。直線状の鞘の中に上下変位可能
な針を差し込み針をスプリングで下へ押し針先端が鞘下
端より僅かに下へ露呈するように保持し針の上方への変
位量を歪センサを付けた皿バネの撓みで検出できるよう
にしている。自由状態で針は鞘よりdだけ下へ露出して
いるが、硬い物体に探針を当てると針は鞘下端まで押し
上げられる変位量はx=dである。軟らかい対象物に当
てると針は幾分対象物に突入し食い込み量eだけ針の上
方変位量は減りx=d−eとなる。針の上方変位は皿バ
ネの撓みを誘起する。皿バネ撓みは歪センサによって求
めることができる。探針を象牙質に押し当てると硬けれ
ば針の変位は大きくdに近い。軟らかいと針の変位は少
ない。これによって齲蝕歯の軟化した象牙質の硬度を定
量的に測定することができる。
【0021】これはヌープ硬度計とよく似た原理に基づ
く齲蝕歯象牙質硬度測定装置である。ヌープ硬度計は先
端の尖った四面体でひし形横断面をもつダイヤモンド圧
子を対象物へ押し当てできたくぼみの面積Sで加えた力
Fを割った値F/Sによって硬度を与えるものである。
(10)はヌープ硬度KHN(Knoop Hardness Numbe
r)の原理に忠実な象牙質硬度の測定装置である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】光学的性質、電気的性
質を利用して齲蝕歯の検出を行うという従来技術はいく
つもある(従来例(1)〜(5))。本発明は齲蝕歯の
検出を目的としない。齲蝕歯を歯科医がスプーンエキス
カベーターやドリルで削ってゆくときに、齲蝕象牙質を
どれだけ削ったら良いのかという的確な指針を与えるた
めの、扱い易く結果が瞬時に分かる簡便重宝な器具を与
えることが本発明の目的である。
【0023】齲蝕歯を削るときに残留象牙質の厚みがど
れだけかということを検出する従来例として(6)〜
(8)を述べた。(7)〜(8)は超音波のエコーや電
気抵抗測定によって残留象牙質厚みを測定する。超音波
エコーによる装置は超音波発生機構、超音波のエコーを
感受する機構、エコーと入射超音波の干渉によって時間
遅れを求める演算機構など甚だ複雑な装置となってしま
う。高額の装置となってしまい治療コストを押し上げ
る。
【0024】もっと根本的な問題がある。残留象牙質厚
みが、これこれこの値だとわかっても齲蝕の程度が多様
なのであるから、それだけから齲蝕歯研削の終点が決ま
るものではない。歯科医が治療のために齲蝕歯象牙質を
削る時その終点を決めるのは残留象牙質の厚みではな
い。齲蝕の程度が軽ければ象牙質を厚く残すことができ
るし、齲蝕が深在性ならば象牙質を深く削って残留象牙
質が薄くなるのもやむを得ない。
【0025】(6)は電気抵抗によって残留象牙質の厚
みを求めるのであるが、人により齲蝕の程度によって象
牙質の抵抗率ρは違うはずである。であるのに抵抗R=
ρt/Sによって厚みtが分かるとするのは問題があ
る。それにMΩ程度の高抵抗のものを単純なプローブの
押し付けによって正確に測定できるかどうかも電気工学
的に疑問のあるところである。(7)、(8)と同様に
象牙質をどれだけ残せばよいという絶対的な値はないの
で残留象牙質厚みがたとえ分かってもドリル研削の終点
を決めることはできない。
【0026】(10)は本発明者になるもので探針を突
き刺したときの探針の戻り量xによって齲蝕歯象牙質の
硬度を定量的に厳密に測定できるという利点がある。探
針は円錐形であり探針の食い込み量eと穴面積Sは比例
しスプリングの反力Fが一定だから探針の戻りxは硬度
を表現することになる。原理原則に忠実であって優れた
ものである。しかし測定面に凹凸があったり、探針と測
定面のなす角が少しでも直角からずれると、正しい値が
得られないというような問題がある。
【0027】(9)は本発明者になるものであり、タグ
バックBという概念を使った最初の発明である。針を対
象物に突き刺して引き上げる時の逆牽引力(牽引抵抗)
をタグバックという。硬いものだと針がそもそも突き刺
さらない。
【0028】その場合針を持ち上げても逆牽引力がない
のでタグバックBは0である。割り箸のように軟らかい
対象物に探針を押し込み力Gで押し下げ探針を引き上げ
ると、それに抵抗するタグバックBが発生する。だから
タグバックBが大きいと硬度が低く、タグバックBが小
さいと硬度が高い、といえる。
【0029】押圧力Gが大きいと深く突き刺さるのでタ
グバックBは大きくなる。タグバックは押圧力Gの関数
といえる。しかし押圧力GにタグバックBが比例するか
どうかは分からない。また探針の先端の状態によってタ
グバックの値は変わる。一つの対象物にある一定の値を
与える物性定数というよりは確率変数のようなものであ
る。
【0030】(9)は?型に彎曲した金属アームの先端
の探針を一定の押圧力Gで齲蝕歯に押し付けたのち引き
離す時に生じるタグバックBを、金属アームの根元に付
けた歪センサによって測定するようになっていた。金属
アームの先端が探針になっており探針がアームに対して
相対移動するということはない。だから押圧力Gもタグ
バックBもアーム根元の歪センサによって求めることが
できる。タグバックの値が分かれば齲蝕歯象牙質の硬度
がわかり、それがわかると象牙質をどれだけ除去すれば
よいのか判断できるという。
【0031】しかし歪センサの僅かな歪によってタグバ
ックを測定するのは簡単な装置では不可能であり歪セン
サの微妙な抵抗変化を増幅し、それをタグバックBに変
換するには大がかりな増幅・演算装置が必要である。そ
れに探針の先に働く力をアームの根元に付けた歪センサ
によって検出するというのでは感度が悪くて精度も劣
る。歪センサは基板の上に導体薄膜を形成し、その電気
抵抗の変化によって歪を求めるものである。薄膜の電気
抵抗は長さsに比例し厚みに反比例する。アームの長さ
をLとするとタグバックBがアームの根元に作る曲げモ
ーメントはBLである。アーム根元の断面の幅をw、厚
みをhとすると表面での歪の率ds/sは、
【0032】ds/s=6BL/whE (1)
【0033】となる。ここでEはアームのヤング率であ
る。この明細書で力の単位としてNでなくgを用いる。
その方がわかりやすいからである。ヤング率をkg/m
で表現すれば、力はg単位で表現できる。
【0034】金属アームを用いるがそのヤング率Eは大
きいし、h、wもかなり大きい。そもそも押圧力Gは大
きく出るがタグバックBは小さい値である。だから歪セ
ンサの歪ds/sはかなり小さい値になり、抵抗変化も
小さくて感度が悪い、という難点がある。
【0035】例えば、アームのヤング率を20000k
g/mm、幅をw=4mm、厚みをh=4mm、タグ
バックをB=5g、アーム長さをL=100mmとする
と、(1)式の値はds/s=2×10−6となる。こ
れはあまりに小さい値であって歪センサの出力は僅かで
ありS/N比が低く感度が悪い。
【0036】(11)柴谷貴子、菱田悦、清水明彦「修
復物下軟化象牙質と未修復軟化象牙質の硬さの比較」、
日本歯科保存学雑誌第24巻第3号p.134−142
(1981)は本発明者の論文である。正常な歯と修復
した齲蝕歯を抜歯した試料多数について深さ方向の硬度
を調べて報告している。抜歯した歯であるから人体の口
腔に存在している場合と少し事情は異なるが、硬度はそ
れほど変化していない筈である。
【0037】健全歯を長軸方向に削り、図1のような歯
の象牙質について象牙質表面から100μmの点から歯
髄との境界から100μmまでの範囲で、その範囲の1
/20の間隔でヌープ硬度を測定した。エナメル質・象
牙質境界から100μmと象牙質・歯髄境界近傍100
μmは安定したヌープ硬度の値が得にくいので省いてい
る。エナメル質・象牙質境界から象牙質・歯髄境界まで
の平均の距離は3000μmである。
【0038】多数の点で測定し、おのおのの深さでの標
準偏差も計算している。ヌープ硬度(KHN)というの
は菱型角錐尖端をもつダイヤモンド圧子を一定力で押し
付け、できたくぼみの面積で力を割ったものである。こ
こでは荷重は25gで負荷時間は15秒である。縦方向
の断面に圧子を当てるから圧力の方向が上からでなく横
からということになる。しかし象牙質の構造はそれぞれ
の点では等方的と考えられるので横方向硬さも縦方向硬
さも同じである。
【0039】図4は典型的な健全大臼歯の象牙質深さ方
向のヌープ硬度(KHN)である。横軸は先述のように
象牙質の両端100μmを除外した部分を20刻みした
測定点を示し、縦軸はヌープ硬度である。健全な歯はエ
ナメル質・象牙質の境界面近くUから充分の硬度(51
KHN)がある。U近くから3/20の深さのVまで硬
度が増える。4/20〜12/20の範囲(VS)でヌ
ープ硬度は63KHN〜66KHNであってほぼ一定硬
度を示す。15/20をこえて歯髄に接近すると(Z)
硬度は低下してゆく。
【0040】図5は典型的な齲蝕大臼歯の象牙質のヌー
プ硬度−深さ曲線を示す。初めの5/20までの部分
(QR)は象牙質が存在しない部分である。齲蝕で空洞
ができているからRから象牙質が始まる。象牙質の始ま
る点Rは齲蝕の状態によって変わり齲蝕歯によってまち
まちである。この例では10/20のあたりからヌープ
硬度が立ち上がるが初めは10KHN程度である。14
/20程度で60KHN程度の硬度に(軟化開始部S)
到達する。それは正常歯のその当たりの硬度と同じぐら
いである。16/20から硬度は低下する(Z)が、そ
れは健全歯でも同様である。
【0041】ヌープ硬度立ち上がりのカーブRSはどの
ような齲蝕歯象牙質にも見られる。齲蝕が浅いとSは左
によりRSの幅は広く、齲蝕が深いとSは右によりRS
の幅は狭くなる。
【0042】齲蝕象牙質の削除が適切であれば、その直
下の象牙質に石灰質が沈澱して軟化象牙質が再び硬化す
る。これを再石灰化と呼んでいる。
【0043】そのようなことが起これば望ましいのであ
るが、軟化した象牙質の除去が不適切であると再石灰化
が起こらない。残留細菌が繁殖することもある。水酸化
カルシウム剤で裏層したのち修復すると再石灰化が起こ
り易いとされている。しかし再石灰化を起こす詳しい条
件は未だにハッキリしない。
【0044】どれだけ軟化象牙質を削り取るべきか?そ
れが問題である。歯髄までの残り厚みを測り一定厚みを
残し歯髄が露呈しないようにするというのは適切でな
い。齲蝕の程度はまちまちだからである。
【0045】好都合なことに、図5に示すように齲蝕歯
の象牙質は深さ方向に硬度が一様に増大する。健全歯と
同じ硬さを示す点Sまでは削れば削るほど硬度が増して
いく。
【0046】だとすると、象牙質の硬度がある一定の値
(W)に到達したときに象牙質研削を中止する、という
のが最も望ましいことである。
【0047】齲蝕の深さや程度によって曲線RWSは異
なるけれども、硬度が一定になる点Wで研削をやめ、そ
こで修復物を充填するようにすれば修復後の象牙質の条
件は揃うはずである。
【0048】(12)Akihiko Shimizu, Yasuhiro Tori
i and Etsu Hishida, "Removal of Softened Dentin Us
ing the Objective Criterion "Tug Back" as a Guid
e," TheJournal of Osaka University Dental School,
Vol.22, p133-139, (1982)
【0049】は本発明者の論文である。タグバックとい
う概念を初めて提案している。
【0050】齲蝕歯象牙質は右上がりの硬度曲線RSを
もつ。そしてS点までのある適当な点Wが研削の終点を
与えることになるが、点Wは健全象牙質のおよそ3分の
1の硬度を与える点である。
【0051】(12)は抜歯した49本の齲蝕歯試料に
ついて象牙質を少しづつ削りながらタグバックを測定し
タグバックの合計が5g以下になれば硬質の象牙質が表
面に露呈したことになるということを主張している。本
発明者らがこの時に製作したタグバックを測定するため
の装置を図6に示す。
【0052】ハンドピース80の先端に彎曲した金属製
エクスプローラ82が装着されている。エクスプローラ
82に先端は堅牢で鋭い探針83となっている。エクス
プローラ82の根元には歪センサ84が固定されてい
る。ハンドピースの先端部には発光ダイオード85が付
いている。
【0053】歪センサ84のリードはコード86を通し
てブリッジボックス87に接続される。基板の上に抵抗
体を直交する方向に設け直交抵抗体の抵抗変化によって
伸びを検出するのが歪センサだから、直交方向抵抗体の
抵抗変化をブリッジによって求める。わずかな変動であ
るがブリッジをくみ、差分を求めるので微小歪を感受で
きる。ブリッジボックス87はコード88によって動歪
増幅器89に接続される。それは歪センサの出力を増幅
し探針にかかる力を電気信号として出力できる。その信
号がコード90でつながれたオッシロスコープ92に表
示される。オッシロスコープの出力は記録紙に記録され
る。
【0054】図6の右上にエクスプローラ82の拡大図
を示す。この例では、エクスプローラ82の先端がその
まま探針となっているのではなくて別体のダイヤモンド
探針83が保持筒93によって把持されている。エクス
プローラの根元の薄肉部94に歪センサ84が固定され
ている。
【0055】探針83を齲蝕歯Tの軟化象牙質Dに押し
付ける。探針は象牙質が軟らかければ深く刺さるし、硬
ければ殆ど刺さらない。押し付け力Gによって、エクス
プローラ82に上向きモーメント(M=G×L;Lは探
針と歪センサの距離)が働く。エクスプローラの根元が
少し撓むので歪センサは縮む。押し付け力Gがある値G
cに達すると発光ダイオード85が点くようになってい
る。発光ダイオード85が点くと押し付け力は規定値G
cになったということだからハンドピースを引き上げ
る。
【0056】硬質の象牙質ならそのまま引き上がり探針
は何の力も受けない。しかし軟質の象牙質では探針が突
き刺さっているから引き上げる時に逆牽引力が生ずる。
その逆牽引力をタグバックBと呼ぶ。その概念は本発明
者らが創案したものである。
【0057】図7は抜歯した齲蝕歯を削っていったもの
を図6の装置でタグバック測定した結果を示す。(a)
は抜歯しただけの厚い軟質象牙質を有する歯である。そ
の下にタグバック測定の際の歪センサのオッシロスコー
プ上の出力を示す。押し付け力の閾値Gcを200gと
する。つまり200gの力で探針を押し付けた(発光ダ
イオードが発光する)のちハンドピースを持ち上げる。
そのようなことを同じ窩底象牙質に対して10回試行す
る。
【0058】図7のグラフにおいて押し付け力(g)は
下向きに、逆牽引力(g)は上向きに示す。だから軸よ
り下は−200gまでピークがあるが長すぎるので図示
を省略している。下向きの力は測定対象でない。上向き
のタグバックBが問題である。試料(a)では1番目の
試行ではタグバックは0である。2番目以後は有限のタ
グバックが現れている。2番目では約5gの、3、5、
10番目試行では約8gのタグバックがある。6、7、
9番目で5〜6gのタグバックがある。10回の試行で
合計53gのタグバックがあったということである。こ
のようにタグバックが大きいのは象牙質が軟らかいから
である。図5のR点の近傍に該当する。
【0059】試料(a)の軟質象牙質を少し削ったもの
が試料(b)である。2、3、4、6、7回目の試行で
タグバックは0である。1回、5回の試行でタグバック
は2gである。8回目で3g、10回目で8gである。
合計のタグバックは15gである。試料(a)より象牙
質の硬い面が出ておりタグバックが減少したのである。
【0060】試料(b)の軟質象牙質を少し削ったもの
が試料(c)である。2、3、5、6、9、10回目の
試行でタグバックは0である。1回、7回目の試行でタ
グバックは約2gである。4回、8回目で1gである。
合計のタグバックは約7gである。試料(b)より硬い
面が露呈しているのでタグバックが減ったのである。
【0061】試料(c)の軟質象牙質をさらに少し削っ
たものが試料(d)である。1、2、4、5、6、7、
9、10回目の試行でタグバックは0である。3回、8
回目の試行でタグバックは約2gである。合計のタグバ
ックは約4gである。試料(c)より、さらに硬い面が
露呈しているのでタグバックが減ったのである。
【0062】10回の試行でタグバックの合計が5g以
下になったとき象牙質研削を終了する(d)。
【0063】(12)の報告ではそのような作業を49
本の抜歯した試料について行った。その結果残存象牙質
の硬さの平均値は23.3KHNであった。この硬度は
健全象牙質のおよそ3分の1の硬さであり、図5のW点
に該当する。
【0064】齲蝕象牙質の削除にともなってタグバック
が減少することから、タグバックは象牙質研削の終点を
検出するに適したパラメータだということになる。
【0065】しかし歪センサを用いて定量的にタグバッ
クを求めようとする従来例9、12で提案されたもの
は、増幅装置部分、表示装置部分が高価で大がかりであ
る。実験室に置くことは可能であるが一般の歯科診療室
にはとても置けない。より小型で安価、しかも使いやす
いものが望まれる。
【0066】装置が小型で測定容易であって扱い易く、
しかもタグバックによって象牙質研削の終点を決めるこ
とができる手軽な判定装置を提供することが本発明の目
的である。
【0067】
【課題を解決するための手段】本発明の齲蝕歯硬度判定
器は、手で把持するハンドピースと、ハンドピース先端
に取り付けたチャックホルダーと、チャックホルダーの
先端に固定された円筒状のチャックと、チャックの内部
空間へ挿入されチャック内部上壁に付着できる探針とよ
りなり、上壁に付着した探針はある程度の力で引っ張ら
れて初めて上壁をはなれ下降するようになっている。
【0068】齲蝕歯象牙質に探針を一定以上の力Gで押
し当てる。象牙質が軟らかいと深い凹部ができる。象牙
質が硬いと凹部はできない。探針を引き上げると象牙質
が軟らかい場合は探針がチャックから引き抜かれる。タ
グバックが大きいからである。象牙質が硬い場合は探針
はチャックと一体となってそのまま上がる。タグバック
が0に近いからである。
【0069】探針が下がればその象牙質は軟らかいとい
うことであり、齲蝕象牙質の研削を続行する。もし探針
が下がらなければその象牙質は硬いということである。
齲蝕歯研削をそこで中止する。
【0070】本発明によれば軟硬の2値判断を直ちにす
ることができる。タグバックを定量的に測定するのでは
なく、タグバックの有無から軟硬の2値判断をするだけ
である。齲蝕歯象牙質の研削において終点決定に必要な
のは、「続けるか」、「止めるか」の2値の選択なのだ
から、本発明のような2値判断でよいのである。
【0071】チャック上壁と探針の自然な付着力Fが重
要である。有限の自然付着力Fを得るためにチャック上
壁にゴムを貼るということも有用であろう。また上壁に
グリスのような粘度の高い流体を付着させることもでき
る。 さらに永久磁石と磁性体の組合せを用いることも
できる。
【0072】自然付着力FがタグバックBより小さいと
(B<F)探針は引き下ろされチャックから下へ出てく
る。自然付着力FがタグバックBより大きいと(B>
F)探針はチャックと一体のままの状態を保持し、下り
ない。
【0073】
【発明の実施の形態】本発明の骨子は、付着力によって
探針を引き上げた状態で収納しうるチャックをチャック
ホルダー先端に固定し、チャックホルダーをハンドピー
スで保持したものでよいのである。
【0074】さらに押圧力Gを一定閾値Gc以上にする
ための機構を追加してもよい。それは歪センサを用いる
のではなくてチャックホルダーに弾性体を接触させてお
きチャックホルダーに加わる力がある値以上になるとO
Nになるスイッチ、電池、発光ダイオードによって構成
することができる。
【0075】探針は摩滅しないように硬質の材料を使用
する。ダイヤモンド針、サファイヤ針など硬質の宝石の
針を用いることができる。タングステンカーバイドなど
の超硬合金の針を使うこともできる。硬質の金属針を使
うこともできる。探針の尖端部にダイヤモンド粒子のよ
うな硬質の微粒子を電着、接着などによって付着させる
のもよい。それは針を摩滅から防護する作用がある。ま
たタグバックを増やし感度を増強する作用もある。
【0076】探針の先端はRになっており曲率半径は1
0μm〜30μmである。尖端部の内抱角は40度〜9
0度である。
【0077】
【実施例】図9に本発明の実施例にかかる齲蝕歯硬度判
定器の断面図を示す。齲蝕歯硬度判定器2は、手で持ち
易い円筒状のハンドピース3、ハンドピース3の先端部
に取り付けられる彎曲した金属製のチャックホルダー
4、チャックホルダー4の先端に固定される鞘状のチャ
ック5、チャック5の中に進退可能に設けられ尖端をも
つ探針6、ハンドピース3の内部に装填された電池7、
ハンドピース3の一部に設けられた発光ダイオード8、
ハンドピース3の下に設けられた押圧調整ネジ9などを
有する。
【0078】円筒形のハンドピース3の後端は彎曲楕円
面となって閉じている。前端も彎曲楕円面であるが軸方
向に通し穴22が開いている。通し穴にチャックホルダ
ー4が挿入され軸23によって一点がハンドピース3に
対し枢結されている。軸23を中心としてチャックホル
ダー4は僅かな範囲で上下に揺動できる。
【0079】チャックホルダー4は一本の金属製の棒で
あるが、口腔内へ挿入されるべき彎曲したホルダー先端
部24、通し穴22の軸23によってハンドピース3に
対し枢支される直線状のホルダー中間部25、ハンドピ
ース3内部へ挿入されるホルダー後端部26を含む。
【0080】ホルダー後端部26には柔軟なゴム27が
取り付けてある。その後ろには接片28がメッキしてあ
る。接片28に対向するハンドピース壁には金属片29
が固定される。金属片29には雌螺穴30が設けられ、
それに接点調整ネジ32が螺入される。ゴム27に対向
するハンドピース壁には金属片33が設けてあり、その
雌螺穴34に押圧調整ネジ9が螺合している。押圧調整
ネジ9の先端とゴム27が接触している。ゴム27と押
圧調整ネジ9が接触した状態で接片28は接点調節ネジ
32から離隔している。ゴム・押圧調整ネジの組と、接
片・接点調整ネジの組はホルダー後端部26において前
後を入れ換えても良い。ゴム27は弾性のある部材であ
れば何でもよいので金属のスプリングで置換することも
できるし、ハンドピースに板バネを入れてチャックホル
ダーに弾性力を与えるようにすることもできる。
【0081】ハンドピース3前端の止め穴35に発光ダ
イオード8が固定されている。止め穴35に続いてコー
ド穴36がハンドピースに形成されている。チャックホ
ルダー4後端部の接片28と発光ダイオード8の一方の
ピン(アノード、カソード)がコード37によってつな
がれる。ハンドピース3の内部に設けた電池7の一方の
電極と発光ダイオード8の残りのピンがコード38によ
って接続される。電池7の他の電極と金属片29がコー
ド39によってつながれる。
【0082】チャックホルダー4が自由状態のときは押
圧調整ネジ9とゴム27によってホルダー後端部26が
持ち上がり、接片28は接点調整ネジ32と非接触であ
る。だから発光ダイオードは消えている。ゴム27はス
プリングによって置換することもできる。
【0083】探針を齲蝕歯に押し付けると、ハンドピー
スに対してチャックホルダー前端が持ち上がる。チャッ
クホルダー4の前端が持ち上げられると、ゴム27の弾
性力に抗して軸23廻りにチャックホルダー4が僅かに
回転する。押圧力がある程度以上になるとホルダー後端
部26が下がり、接片28が接点調整ネジ32に接触す
る。電池7、コード38、発光ダイオード8、コード3
7、接片28、接点調整ネジ32、コード39、電池7
よりなる閉回路ができる。それによって発光ダイオード
8が点灯する。その電気回路に適当な抵抗を入れてもよ
い。
【0084】チャックホルダー4の先端部には縦穴40
が穿孔される。縦穴40に設けたネジ部42によってチ
ャック5がネジ止めされる。チャック5から探針6の尖
端が覗いている。
【0085】術者はハンドピース3をもって、患者の口
腔内にチャックホルダー4を差し入れ、図10に示すよ
うに、探針6を齲蝕歯Tの空洞Cに挿入し象牙質SDに
接触させる。ハンドピースに力を加え探針6が象牙質S
Dを押さえるようにする。探針6は反力を受けチャック
ホルダー4が軸23を中心にし僅かに右回転する。ホル
ダー後端部26が下がり、ゴム27が押圧調整ネジ9に
押されて収縮する。探針6と齲蝕歯象牙質SDを押さえ
る力Gがある閾値Gcを越えると接片28が接点調整ネ
ジ32に接触する。
【0086】押圧調整ネジ9に対応するハンドピース面
には目盛りが打ってある。押圧調整ネジを左右に回転さ
せて、接点に当たるまでのゴム変形量を加減し、閾値G
cを加減することができるようになっている。閾値Gc
が高いと強く探針が象牙質に押し付けられるのでタグバ
ックも増える。閾値Gcが低いと探針が象牙質を押す力
は弱いのでタグバックは減る。同じ調整は接点調整ネジ
32を左右に回転させることによってもなされる。これ
を左右に捻って接片とネジとの間隔を増減して閾値Gc
を加減することもできる。同じことを調整するのだから
接点調整ネジと押圧調整ネジの何れか一方だけを使って
調整してもよい。押圧力は200〜400g程度とする
が、それより大きくても良いし小さくても良い。
【0087】接片28が接点調整ネジ32に接触すると
電池7から電流が接片28、接点調整ネジ32を経て発
光ダイオード8に流れる。発光ダイオード8が点灯す
る。それは探針6の押圧力が閾値Gcを越えたというこ
とを術者に告げる機能がある。
【0088】歯科医はそれを見てハンドピース3を持ち
上げ、チャック5を引き上げる。この瞬間に象牙質硬度
の判定が直ちになされる。
【0089】齲蝕歯象牙質SDの硬度が低ければ探針6
の尖端は深く突き刺さる。図12に突き刺さった状態の
象牙質と探針尖端の拡大図を示す。軟化象牙質SDが残
留しているので探針が象牙質に入り込む。探針の尖端が
象牙質によって把持される。探針6と軟質象牙質SDの
間には逆牽引力Bが発生する。チャック5の内壁と探針
6の間に働いている付着力Fより逆牽引力Bが大きい
(F<B)。
【0090】チャックを引き上げると探針は軟化象牙質
SDに引っ張られる。チャック5が引き上げられても探
針6は象牙質に突き刺さったままになる。鞘であるチャ
ックから探針6が引き抜かれる。探針6が鞘から出てチ
ャックの下へ延びる。探針6はチャック5から抜け落ち
ないようになっているのでストローク分以上にチャック
5を引き上げると探針6は齲蝕歯象牙質SDから離れ
る。その状態を図11に示す。探針6が長く引き抜かれ
た状態になる。
【0091】探針が引き抜かれた状態になれば象牙質は
軟らかいということが分かるのである。その場合は軟質
象牙質SDをさらに削るようにする。先述のように齲蝕
象牙質は上部が最も軟らかく内奥へ進むにしたがって硬
度が増してくるものである。もう少し象牙質を削り、も
う一度本発明の齲蝕歯硬度判定器で象牙質の硬さを図
る。研削と判定を交互に行いながら、齲蝕歯象牙質SD
を削ってゆくと、探針を象牙質に押し付けたとき探針が
図13、図9のように鞘と一体化して持ち上がる。その
際あらかじめネジ9(あるいは32)を調節することに
より、削除される象牙質の深さ、つまり残存象牙質を術
者の所望の硬度にコントロールすることができる。
【0092】探針が鞘に収まっているか、鞘から抜けて
いるかという二状態の違いは探針の色分けによって目視
ですぐにわかる。増幅器、画像解析装置、コンピュータ
など周辺装置はいっさい不要である。装置が簡単である
し判定も簡明である。
【0093】チャックホルダー4は彎曲した金属製丸棒
あるいは角棒である。丸棒の場合直径は2〜2.5mm
φ程度である。角棒の場合も似たような寸法とする。図
14はチャックホルダーの底面図である。前端に鞘状の
チャック5をもち探針6がその下から出ており、中間部
25に軸23が付いている。実際にはチャックホルダー
4をハンドピースの通し穴22に入れてから軸23を横
に通す。後端部26の下面にはゴム27が見える。さら
にその後ろに接片28が見える。
【0094】図9、10、11、14では前方から後方
まで一体のチャックホルダーを図示している。一体のチ
ャックホルダーでもよいが、先端部だけを交換できるよ
うにした方が便利であることもある。その場合はチャッ
クホルダーを2分割してホルダー中間部25で抜き差し
できるようにするとよい。
【0095】図15はある2分割型のチャックホルダー
の交換ホルダー45を示す。図15の交換ホルダー45
はチャックが外側へ向ている外向きチャックホルダーで
ある。鉛直線とチャックのなすチャック角Θは正であ
る。大臼歯など奥の歯の場合はそのような外向きチャッ
クが便利であろう。
【0096】図16は他の2分割型のチャックホルダー
交換ホルダー46を示す。図16の交換ホルダー46は
チャックが内側へ向いている内向きチャックホルダーで
ある。鉛直線とチャックのなすチャック角Θは負であ
る。前歯の裏側などの齲蝕歯象牙質に当てるときには便
利である。その他様々の交換ホルダーを与えることがで
きる。
【0097】図17はチャックホルダー4を交換ホルダ
ー45(或いは46)とホルダー棒47に二分割したも
のの結合部を示す。ホルダー棒47はハンドピース3に
取り付けられている。ホルダー棒47の先には細い凸部
48が形成される。交換ホルダーの後端面にはそれに対
応する凹部49が穿たれる。ホルダー棒47の凸部48
を、交換ホルダーの凹部49に差し込むことによって交
換ホルダー45、46とホルダー棒47を一体化するこ
とができる。何種類かの交換ホルダーと一つのハンドピ
ース・ホルダー棒の組み合わせによって様々の歯の様々
の齲蝕部位を探針によって押さえるようにすることがで
きる。
【0098】本発明の最も重要な構成要素は何と言って
もチャック5と探針6の組み合わせ部分である。タグバ
ックを感知する部分はここにあるからである。
【0099】図18は探針6がチャック5の上部に懸垂
されチャック5内部に収容された状態の断面図である。
図19は探針6がチャック5の下方へ長く突き出た状態
の断面図である。チャック5はやや広いチャック頭52
とその下方に続く円筒壁53をよりなる。チャック頭5
2は1.5mm〜3mm程度の直径を持つ。例えば直径
が2mmである。
【0100】チャック5の円筒壁53は下側が細くなる
ような傾斜円錐面となっている。内側の内部空間54は
上部がより広い円錐状空間となっている。下部は狭まり
探針6の直径より僅かに広い直径の抜け止め細頚部55
となる。抜け止め細頚部55が最も狭くて、細頚部55
より下でチャック内部空間の内径が再び広がる。細頚部
55が中心になって探針6は左右に振れることができ
る。
【0101】だから、内部空間54は中間で狭くなった
鼓型断面図の空間となっている。それは探針の振れを許
容して抜け易くするためにである。探針6の最大振れの
頂角角度は20度程度である。二点鎖線で左に振れた探
針6の位置を示している。
【0102】チャック5の円筒壁53の内部空間の上壁
70の中央部には永久磁石58が埋め込んである。永久
磁石58には凹部60が穿ってある。それは探針6の丸
い頭部62が丁度はまり込むような曲面の凹部60であ
る。探針6は頭部62の下に真っ直ぐの胴部63を持
ち、その下に尖端部64を有する。吸引状態で探針6の
胴部のチャックに隠れる部分には標識65が設けてあ
る。これは赤、黄色、緑などに着色してあり探針6がチ
ャック5から抜け出ると外部に出てくる。標識65が見
えなければ探針6がチャック5の上頂部に付いていると
いうことで、標識65が見えれば探針6が引き出されて
いるということである。尖端部64の先は鋭い突端66
になっている。
【0103】チャック5とチャックホルダー4の結合は
螺子結合になっている。チャック5の頭部52の外周面
には雄螺条56が形成され、チャックホルダー4の縦穴
40には雌螺条57が形成されている。チャックホルダ
ー4の縦穴40にチャック5を挿入してドライバ溝59
にドライバ端を差し込んでしめ、雄螺条56と雌螺条5
7を螺合することによって両者を結合することができ
る。
【0104】平常時は探針6は永久磁石58に吸引され
ている。図18のように探針6はチャック5の内部空間
54を貫いており標識65は隠れている。尖端部64は
チャック5の下に見えるが胴部63は内部にある。その
ような状態で対象となる歯に探針を当て、押し付ける。
歯が柔らかいと突端66が進入する。歯によって突端6
6が保持される。ハンドピースを持ち上げる。それが永
久磁石の吸着力より小さいと、そのまま探針は持ち上が
る。しかし歯に深く突き刺さると歯による保持力(タグ
バック)が永久磁石の吸引力を上回る。その場合は図1
9のように探針6がチャック5から抜け出てしまう。標
識65が見えるので探針6が抜け出たことがわかる。頭
部62が抜け止め細頚部55によって止まる。それは齲
蝕歯の象牙質が基準より軟弱だということであり、象牙
質の除去がいまだ不十分だということである。チャック
の内部空間が広がっているのは探針を抜き取るときに左
右に振れることを許容するのである。そのようにしない
とうまく抜けないのである。
【0105】図21には別の実施例にかかる探針・チャ
ックの構造を示す。これもチャック頭部52に雄螺子5
6があり、チャックホルダー4の雌螺条57に螺合す
る。円筒壁53の内部の上壁70に永久磁石58があっ
て、それに探針が吸引されている。探針6は頭部62、
胴部63、標識65、尖端部64、突端66よりなる。
そのような点も図18、19のものと同様である。異な
る点は抜け止め細頚部55がより下方へ移っており、チ
ャックの最下端に細頚部55があるということである。
探針は細頚部55を中心にして円錐揺動できる。この揺
動はチャックを引き上げるときに必要である。その振れ
の最大頂角は20度程度である。
【0106】図8は第3の実施例にかかる探針・チャッ
クの構造を示す。それは円筒部53の内部空間が鼓型の
空間ではなく下半は直胴型となっている。探針の円錐揺
動運動の中心を支持するものは細頚部でなくて探針6の
胴部63に設けた球状の膨大部96である。膨大部96
が円筒壁53に接触しており、それが支点となって探針
が円錐に振れるようになる。円筒壁53の下端には抜け
止めリング95が入っており、それが膨大部96を抜け
止めする。
【0107】図8、図18、図21の実施例はいずれも
探針を仮支持するために永久磁石を用いている。探針質
量mの2〜5倍程度の吸引力を持つ永久磁石を用いれば
よい。つまり吸引力が2mg〜5mgとするのである
(gは重力加速度)。それに限らず、関係を反対にし
て、探針頂部に球状永久磁石を付けチャックの上壁を磁
性体としてもよい。
【0108】しかし永久磁石で釣り上げるのが必須とい
うことはない。永久磁石の代わりに探針頭部とチャック
上壁の凹部の粘着力を利用することもできる。またグリ
スを上壁に塗布しておいてグリスの粘性によって探針を
仮保持するようにもできる。
【0109】探針6は球形の頭部62とそれに続く円柱
状の胴部63とその下にある尖端部64からなる。尖端
部64は円錐面をなす。その表面にはダイヤモンド粒子
65が電着してある。繰り返し使用で摩滅しないように
探針6自体の材質はダイヤモンドが最適であるが他の硬
質の宝石や金属であってもよい。探針の先端66の曲率
半径は10〜30μmの半球面となっている。
【0110】図10のように一定閾値Gc以上の押し付
け力Gで探針を齲蝕歯象牙質に押し付けたときの状態が
図18に示すものである。図18では探針6の頭部62
がチャック5の上壁70に埋め込んだ永久磁石58に吸
引されている。探針6を把持する力は、永久磁石と探針
(鉄、その他の強磁性体よりなる)頭部62の間に働く
磁力である。
【0111】象牙質が軟らかいと尖端部64が象牙質に
突き刺さり逆牽引力・タグバックBが発生する。チャッ
クホルダーを引き上げたとき、タグバックBが勝って
(B>F)、探針6が引き下げられる。それが図19の
状態である。探針6が鞘であるチャック5から下へ突出
する。それによって象牙質はまだ軟らかいことがわか
る。研削を続ける。何度か研削を繰り返すとタグバック
が0になる時があるので、そのときに研削を終了する。
【0112】図9、10、11に示す齲蝕歯硬度判定器
は押圧力閾値Gcを与えるために、ゴム27、押圧調整
ネジ9、接点調整ネジ32、電池7、発光ダイオード8
を用いている。押圧力GはタグバックBを決めるパラメ
ータではあるが、熟練すれば常に一定の押圧力Gを与え
るようにするのは歯科医であれば可能なことである。だ
から押圧力検出部を省くこともできる。
【0113】そのような場合は図20のような簡易な齲
蝕歯硬度判定器を用いることができる。これはハンドピ
ース93の中へチャックホルダー4の後端部26を挿入
固定しただけである。ハンドピースには電池、ゴム、ネ
ジ、コード、軸などがない。チャックホルダーは軸によ
って揺動自在に保持されるのではなくハンドピースによ
って固定保持される。チャックホルダー4の先端部24
にチャック5が固定される。チャック5の中へ探針6が
抜き差し可能に設けられる。そのような点は図9〜11
と同様である。探針がチャックの内壁頭頂部に一定付着
力Fで付着している点も同様である。
【0114】これは発光ダイオードがないが歯科医があ
る程度の力で探針を齲蝕歯に押し付け引き上げることに
よってタグバックの有無を調べることができる。熟練す
れば図20のような簡易な装置の方が使い易いであろ
う。図20の簡易型の場合でも図15、16のような交
換ホルダーを着脱できるようにするとよい。
【0115】
【発明の効果】本発明の装置を齲蝕歯に当て探針が抜け
ればさらに研削を続行し探針が抜けなければ研削を終了
する。本発明は、齲蝕歯の軟化象牙質を削りセメントな
ど修復物を充填する歯科治療におい軟化象牙質をどこま
で削るかという指針を明確に与えることができる。
【0116】齲蝕歯研削の終点判断は現在は歯科医の経
験とカンに頼っている。象牙質の残存厚みを超音波や電
気抵抗で測定して残存厚みによって終点検出するという
方法も提案されているが普及しない。装置が大がかりで
高価ということもあるが、残存厚みが終点検出の良いパ
ラメータでないからである。
【0117】象牙質のヌープ硬度を測定して齲蝕歯研削
の終点検出をするという方法も提案されているが普及し
ない。凹凸のある象牙質面に対しては全く実用にならな
いからである。
【0118】探針を突き刺し引き上がる時に発生するタ
グバックが終点検出の良いパラメータだと思われる。タ
グバックの大きさを検出して終点を決定するという方法
が提案されたが普及していない。大がかりな装置が必要
であるというだけでなく、歪センサによる定量的タグバ
ック測定は感度が悪くて実用的でなかったからである。
【0119】本発明は、歪センサを使わず、探針の出入
りということでタグバックの有無を判断するから感度は
良い。再現性もある。高価で大がかりな装置は全く不要
である。手軽に使える。収納の場所も不要である。
【0120】歪センサを用いる定量的タグバック測定に
よる方法と本発明の優劣をさらに詳しく比較する。エク
スプローラの根元に歪センサを付け歪センサの直交抵抗
値の差分からタグバックを定量測定するのは図7のよう
にばらつきが大きい。それはタグバックによる歪センサ
の誘起歪み量が余りに小さい(10−6程度)からだと
いうことを説明した。
【0121】それに歪センサが感じるのはエクスプロー
ラの全体の加速度変化であるからエクスプローラを手早
く動かすとタグバックBにエクスプローラの質量Mと加
速度αの積が加わったものが歪を誘起することになる。
(1)に代わって、
【0122】 ds/s=6(B+Mα)L/whE (2)
【0123】ということになる。しかもαは変動するか
らこれは変動する値である。タグバックBは1gとか2
gという小さい値であるのに、エクスプローラの質量M
は20gとか30gという値をもつ。それに軽くて硬い
エクスプローラはかなり速い固有振動数で自励振動す
る。これが加速度αを大きくする可能性がある。加速度
αを減らすためゆっくりとエクスプローラを動かす必要
がある。単純化していえば、これはエクスプローラの質
量M(30g程度)がタグバックB測定(1g程度)の
基準になっているから低精度となるのである。先述の、
小さい歪(10−6)と大きいM/B比率がタグバック
を歪センサで定量測定する装置の感度、精度、信頼性を
下げているといえよう。
【0124】ところが本発明の場合は探針だけを動か
す。探針のように軽いものだけが動くので、微小な力で
あるタグバックをより正確に検出できる。チャックの上
壁に吸引するのに必要な力は探針質量の2〜5倍程度で
あれば良い。例えば探針の質量m=0.2gとすると、
永久磁石の吸引力を0.4g〜1g程度とすれば良い。
【0125】本発明の場合は、小さいタグバックBと比
較する物理量が付着力Fという本来的に小さい量(探針
質量以上〜1g以下)であるから、タグバック(存在し
ない(0g)か、あるいは1g〜5g程度)の有無を正
確精密に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エナメル質、象牙質、歯髄よりなる健全な歯の
断面図。
【図2】エナメル質に穴が開き象牙質に齲蝕が進行した
齲蝕歯の断面図。
【図3】空洞に修復物を充填した治療済みの齲蝕歯の断
面図。
【図4】抜歯された健全歯の縦断面についてエナメル質
・象牙質境界から100μm部分と象牙質・歯髄境界か
ら100μmを除外した象牙質を深さ方向に20等分
し、それぞれの深さでのヌープ硬度(KHN)を測定
し、その平均値を深さの関数として示すグラフ。横軸が
20等分点(深さ)、縦軸がヌープ硬度である。
【図5】抜歯された齲蝕歯を縦断面が出るように削りエ
ナメル質・象牙質境界から100μm部分と象牙質・歯
髄境界から100μmを除外した象牙質を、健全歯と同
じ刻みで深さ方向に20等分し、それぞれの深さでのヌ
ープ硬度(KHN)を測定し、その平均値を深さの関数
として示すグラフ。横軸が20等分点(深さ)、縦軸が
ヌープ硬度である。Sは軟化開始部、Rは齲蝕象牙質の
表層部、Wは健全象牙質のおよそ3分の1の硬さの部を
示す。
【図6】従来例(12)Akihiko Shimizu, Yasuhiro To
rii and Etsu Hishida, "Removal of Softened Dentin
Using the Objective Criterion "Tug Back" as a Guid
e," The Journal of Osaka University Dental School,
Vol.22, p133-139, (1982)に於いて提案された根元に
歪センサを付けた探触子(Explorer)先端の探針を齲蝕
歯に押し当て齲蝕歯との間に発生する押し付け力Gと逆
牽引力(タグバック;Tug Back)Bを定量的に計測する
装置の概略構成図。
【図7】抜歯した齲蝕歯の象牙質を少しずつ削り象牙質
に図6の探触子の探針を押し当て、押し付け力と逆牽引
力の時間変化を測定したもので、上に示すのが齲蝕歯の
各段階での断面図であり、下がその齲蝕歯の象牙質に探
針を差し込み様々の地点で押し付け力Gと逆牽引力(タ
グバック)Bを測定した結果のグラフである。下向きに
押し付け力Gを、上向きにタグバックBを取っている。
【図8】本発明の第3の実施例にかかる齲蝕歯硬度判定
器の探針がチャック内に収容されている状態のチャック
・探針部分の縦断面図。
【図9】本発明の実施例にかかる齲蝕歯硬度判定器のチ
ャックに収納された探針が齲蝕歯に非接触の時の断面
図。測定前かあるいは高硬度の象牙質を押さえて引き上
げた時の状態を示す。
【図10】探針を齲蝕歯象牙質に押し付けた状態の本発
明の実施例にかかる齲蝕歯硬度判定器の断面図。
【図11】探針を齲蝕歯の軟質の象牙質から引き上げた
ときタグバックのために探針がチャックから引き出され
た状態を示す断面図。
【図12】硬度の低い軟質の象牙質に探針を押し当てた
とき窪みができて窪みと探針先端の間にタグバックが発
生する事を示す齲蝕歯断面図。
【図13】齲蝕象牙質をドリルで除去して露呈した硬度
の高い硬質の象牙質に探針を押し当てたとき窪みができ
ず探針のタグバックが働かず探針がそのまま引き上げら
れることを示す齲蝕歯断面図。
【図14】図9〜図11のチャックホルダーの底面図。
【図15】チャックホルダーをホルダー棒と交換ホルダ
ーに分割し交換ホルダーを着脱できるようにしたものに
おいて、外向きチャックをもつ交換ホルダーの側面図。
【図16】チャックホルダーをホルダー棒と交換ホルダ
ーに分割し交換ホルダーを着脱できるようにしたものに
おいて、内向きチャックをもつ交換ホルダーの側面図。
【図17】チャックホルダーをホルダー棒と交換ホルダ
ーに分割し交換ホルダーを着脱できるようにしたものに
おいて、着脱機構部分を示す断面図。
【図18】本発明の第1の実施例にかかる齲蝕歯硬度判
定器の探針がチャック内に収容され、チャック上壁に永
久磁石によって付着されている状態のチャック・探針部
分の縦断面図。
【図19】本発明の第1の実施例にかかる齲蝕歯硬度判
定器の探針がチャック内部において引き下げられ探針頭
部が下がり、抜け止め細頚部によって保持されている状
態のチャック・探針部分の縦断面図。
【図20】一定以上の押圧力が掛かったということを検
出する機構を省略した本発明の実施例にかかる齲蝕歯硬
度判定器の断面図。
【図21】本発明の第2の実施例にかかる齲蝕歯硬度判
定器の探針がチャック内に収容され、チャック上壁に永
久磁石によって付着されている状態のチャック・探針部
分の縦断面図。
【符号の説明】
2 齲蝕歯硬度判定器 3 ハンドピース 4 チャックホルダー 5 チャック 6 探針 7 電池 8 発光ダイオード 9 押圧調整ネジ 22 通し穴 23 軸 24 ホルダー先端部 25 ホルダー中間部 26 ホルダー後端部 27 ゴム 28 接片 29 金属片 30 雌螺穴 32 接点調整ネジ 33 金属片 34 雌螺穴 35 止め穴 36 コード穴 37 コード 38 コード 39 コード 40 縦穴 42 ネジ部 45 外向き交換ホルダー 46 内向き交換ホルダー 47 ホルダー棒 48 凸部 49 凹部 52 チャック頭 53 円筒壁 54 内部空間 55 抜け止め細頚部 56 雄螺条 57 雌螺条 58 永久磁石 59 ドライバ溝 60 凹部 62 頭部 63 胴部 64 尖端部 65 標識 66 先端 70 上壁 80 ハンドピース 82 エクスプローラ 83 探針 84 歪センサ 85 発光ダイオード 86 コード 87 ブリッジボックス 88 コード 89 歪増幅器 90 コード 92 オッシロスコープ 93 ハンドピース(保持筒) 94 薄肉部 95 抜け止めリング 96 膨大部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 手で把持するハンドピースと、ハンドピ
    ース先端に取り付けたチャックホルダーと、チャックホ
    ルダーの先端に固定された円筒状のチャックと、チャッ
    クの内部空間へ上下動可能に挿入されチャック内部上壁
    に付着できる探針とよりなり、探針を齲蝕歯に押し当て
    引き上げた時に探針がチャックから下降するかしないか
    によって齲蝕歯の硬度を判定することを特徴とする齲蝕
    歯硬度判定器。
  2. 【請求項2】 ハンドピースは内部空間をもち、チャッ
    クホルダーがハンドピース前端に軸によって回動自在に
    支持され、チャックホルダーの内部には、チャックホル
    ダーを探針の向きに弾性的に押さえる弾性体と、チャッ
    クホルダーが弾性体の弾性力に抗して回動したときに閉
    じるスイッチと、発光体と、電池とを含みスイッチが閉
    じたときに発光体が点灯するようにしたことを特徴とす
    る請求項1に記載の齲蝕歯硬度判定器。
  3. 【請求項3】 チャックホルダーに取り付けた弾性体と
    発光体とを組み合わせることによって、齲蝕部への押圧
    力Gを一定にし、治療内容や目的に合うように押圧力G
    の設定値を変更できるようにしたことを特徴とする請求
    項2に記載の齲蝕歯硬度判定器。
  4. 【請求項4】 探針をチャックの中で揺動できるように
    支持することによって齲蝕部の状況、齲蝕発生部位の如
    何に捕らわれず、押圧力の方向を特定でき、最適な齲蝕
    部硬度判定ができるようにしたことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の齲蝕歯硬度判定器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008029412A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Kaco Technos Co Ltd う蝕診断装置
JP2012078294A (ja) * 2010-10-05 2012-04-19 Bridgestone Corp 微小硬度測定装置及び微小硬度測定方法
KR101799428B1 (ko) * 2015-10-30 2017-11-20 동의대학교 산학협력단 의료용 실습 장치, 치아 모형 및 그 제어 방법
IT201700116028A1 (it) * 2017-10-13 2019-04-13 Giovambattista Vaccaro Metodo elettronico di misura della durezza di un dente per mezzo di un manipolo odontoiatrico e manipolo odontoiatrico

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