JP2003315697A - 分散補償器 - Google Patents

分散補償器

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JP2003315697A
JP2003315697A JP2002204583A JP2002204583A JP2003315697A JP 2003315697 A JP2003315697 A JP 2003315697A JP 2002204583 A JP2002204583 A JP 2002204583A JP 2002204583 A JP2002204583 A JP 2002204583A JP 2003315697 A JP2003315697 A JP 2003315697A
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reflecting surface
light
mirror
condenser lens
multiple reflection
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JP2002204583A
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English (en)
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Dairetsu In
大烈 尹
Hiroshi Matsuura
寛 松浦
Tatsuya Hatano
達也 畑野
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光伝送路における波長分散を高精度に補償す
ることができる分散補償器を提供する。 【解決手段】 多重反射素子と、集光レンズと、ミラー
とを備える分散補償器において、基準方向Yに対する前
記ミラーのミラー反射面15aの傾きを関数α(y)で
表示したときに、α(y)は次式: 【数1】 で示される関係を満足することを特徴とする分散補償
器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信システム及
び光計測分野等に用いられる分散補償器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバを用いた光通信システ
ムにおいては、単一波長の信号光のみでは、伝送すべき
情報量の増加に対応することが困難な状況にある。そこ
で、互いに波長の異なる複数の光を合波して波長多重光
とし、この波長多重光を信号光として用いることにより
伝送容量を増加させる波長多重分割通信システムが提案
され、実施されている。
【0003】しかしながら、波長多重光が光ファイバを
伝搬する際には、光ファイバの有する波長分散により、
波長多重光に含まれる光はその波長により伝搬速度が異
なるので、光ファイバに入射した時点における波長多重
光の波形が光ファイバを伝搬することにより変化し、そ
の結果、光ファイバから出射した時点における波長多重
光の波形は入射した時点の波形とは異なってしまう。
【0004】また、デジタル信号に基づきパルス状に強
度変調された信号光を、光ファイバを通じて伝送させる
際には、光ファイバの波長分散により、伝送距離が長く
なるにつれてそのパルス幅が広がり、隣接するパルスを
区別することができなくなって、通信エラーが発生しや
すくなるといった問題がある。上記した波長分散の影響
は、信号光の伝送速度を速めるためにパルス間隔を狭く
すればするほど大きくなるので、高速光通信システムに
おいては、光ファイバ自体のもつ波長分散量を低減させ
るか、または、光ファイバの波長分散量と逆の特性を持
つ分散補償器を光ファイバに接続し、システム全体とし
て波長分散の補償を高精度で行なう必要がある。
【0005】従来、このような分散補償器としては、例
えば、米国特許US5930045に記載されたものが
ある。この従来の分散補償器は、図1に例示したよう
に、多重反射素子10,集光レンズ13,および全反射
ミラー14により構成されており、以下のように動作す
る。すなわち、互いに波長の異なる複数の光λ1,λ2
λ3,…を含む光として、例えば、パルス幅の中に光
λ1,λ2,λ3を含み、かつ、光λ2の波長が中心波長と
等しいパルス光が多重反射素子10に入出射窓10bよ
り入射すると、パルス光は多重反射素子10の内部で多
重反射しながら、各反射の際にその一部を外部に出射す
る。これら複数の出射光は、互いに干渉することにより
波長毎に異なる方向に伝搬する光を形成するので、パル
ス光は光λ1,λ2,λ3に分波されながら、波長に応じ
て異なる出射角度で多重反射素子10から集光レンズ1
3の方へ出射する。そして、光λ1,λ2,λ3は集光レ
ンズ13を介してミラー14上に集光される。
【0006】ミラー14の反射面は、例えば平面であっ
て、集光された光λ1,λ2,λ3は、ミラー14で反射
されて再び集光レンズ13を介して多重反射素子10に
入射する。多重反射素子10に入射した光λ1,λ2,λ
3は、多重反射素子10内で多重反射した後、入出射窓
10bより出射する。ここで、光λ1,λ2,λ3が、ミ
ラー14で反射した後に多重反射素子10に入射する位
置及び角度は、多重反射素子10から集光レンズ13へ
向かって出射したときの出射角度によって規定される。
そして例えば、集光レンズの中心軸と直交する方向にみ
て、多重反射素子10の入出射窓10bから離れた場所
に戻る光線は、入出射窓10bから近い場所に戻る光線
に対し、より多くの多重反射を多重反射素子10内で繰
り返して、より長い距離を伝搬した後に、入出射窓10
bに戻った後そこから出射することになる。
【0007】したがって、パルス光が入出射窓10bに
入射してから、そこから出射するまでの間に、光λ1
λ2,λ3には、波長に応じて光路長の差異、あるいは、
分散補償器を通過するのに要する時間の差異が付与さ
れ、これらの差異により、分散補償器はパルス光に波長
分散を与えることができる。そして、前記分散補償器に
より発生する分散量は、図2及び3に示したように、集
光レンズ13とミラー14との間の相対位置を保ちなが
ら、これら集光レンズ13及びミラー14の多重反射素
子10からの距離を変化させることにより調整すること
ができる。
【0008】例えば、図2においては、光λ1は光λ3
場合に比べ、ミラー14で反射した後に多数反射素子1
0に戻る位置が入出射窓10bに近い。これに対して、
図3においては、光λ1は光λ3の場合に比べ、ミラー1
4で反射した後に多数反射素子10に戻る位置が入出射
窓10bから遠い。すなわち、集光レンズ13及びミラ
ー14の多重反射素子10からの距離を変化させること
により波長毎の光路長を調整し、それにより分散量を調
整することができるのである。
【0009】そして、このような分散補償器を任意の波
長分散を有する部材に接続した場合、部材の波長分散と
逆の波長分散となるように分散補償器の波長分散を調整
することにより、相手部材の波長分散を補償することが
できる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記分散補償器におい
ては、多重反射素子10に入出射窓10bより入射した
入射光は多重反射を繰り返しながら集光レンズ13に向
かって出射し、集光レンズ13及びミラー14を介して
多重反射素子10に再入射する。そして、再入射した光
は、多重反射素子10で多重反射された後に入出射窓1
0bに戻る。
【0011】ここで、多重反射素子10から集光レンズ
13へ向かって出射する出射光は、入射光の波長に応じ
て異なる出射角度で出射する。この出射角度をφout
し、入射光の波長をλとしたときに、波長λと出射角度
φoutの関係は、図4に示したようになる。なお、出射
角度φoutは、多重反射素子10から集光レンズ13へ
の出射光の集光レンズの中心軸13aに対する傾斜角度
である(図1)。そして、図5は、任意の波長λcを有
する光を基準にしたときの、入射光が多重反射素子10
の入出射窓10bに入射してから、再び入出射窓10b
に戻ってくるまでに要する時間(以下、相対遅延量とい
う)の波長依存性を示している。
【0012】図5から明らかなように、波長λに対して
相対遅延量は線形(直線)でなく曲線である。そのた
め、相対遅延量を波長λで微分して得られる波長分散量
は、波長λによって異なる値を持つ。そして、波長分散
量の波長依存性は、多重反射素子10に対する集光レン
ズ13及びミラー14の距離を変化させても消失しな
い。例えば、図6中の6つの鋸刃状の曲線は、それぞ
れ、6段階にこの距離を変化させた時の波長と波長分散
量の関係を示している。距離の変化に応じて分散量は正
から負へと変化しているものの、何れの距離の場合にお
いても、分散量は横軸(波長)方向にみて非線形に増加
している。
【0013】このように分散量が波長依存性を有する分
散補償器を光ファイバに接続した場合、パルス状の信号
光が光ファイバを伝搬したときに発生した波形の変化を
補償しようとしても、満足できる水準まで波形を元の形
に戻すことができないという問題があった。本発明は、
上記した問題を解決し、光伝送路における波長分散を高
精度に補償することができる分散補償器の提供を目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
した目的を達成するために、互いに平行であってそれぞ
れ一の方向に延びる第1の反射面及び前記第1の反射面
より反射率が低い第2の反射面、前記一の方向にみて前
記第1の反射面の一端側に設けられた窓部、ならびに、
前記一の方向を含むとともに前記第1の反射面及び第2
の反射面に直交する基準面内でみたときに集光されなが
ら前記窓部を介して入射した入射光が前記第2の反射面
にて最も集光される集光位置を有し、前記入射光をその
波長及び干渉次数に応じた出射角度にて前記第2の反射
面から出射させる多重反射素子と、前記多重反射素子の
前記第2の反射面側に配置され、前記第2の反射面から
の出射光を前記出射角度に応じて、その中心軸に直交す
るとともに前記基準面に含まれる基準方向にみて、その
焦点面上の異なる位置に集光する集光レンズと、前記集
光レンズの焦点面と略同じ位置に位置付けられ、前記集
光レンズによって集光された前記第2の反射面からの出
射光を反射し、前記集光レンズを介して前記第2の反射
面へ戻すミラー反射面を有するミラーとを備え、前記入
射光に所望の分散量を付与した後に前記窓部を介して出
射させる分散補償器であって、前記基準方向に対する前
記ミラー反射面の傾きを関数α(y)で表示したとき
に、α(y)は次式:
【0015】
【数3】
【0016】(yは基準方向における位置座標,fは集
光レンズの焦点距離,Lは多重反射素子の集光位置と集
光レンズ間の距離,cは光速,φは窓部から入射した基
準光が集光位置に入射する入射角度,nは第1の反射面
と第2の反射面との間の屈折率,mは多重反射素子の第
2の反射面から集光レンズへの出射光の干渉次数,γは
分散量,dは第1の反射面と第2の反射面との間の距
離,およびσは多重反射素子の集光位置と集光レンズの
中心軸との距離を表す。)で示される関係を満足するこ
とを特徴とする分散補償器が提供される(請求項1)。
【0017】前記ミラーには、前記基準面に直交する方
向に前記ミラー反射面を移動させる移動手段が設けら
れ、前記移動手段による前記ミラー反射面の移動の前後
で、前記集光レンズによって集光された前記第2の出射
面からの出射光が反射される前記ミラー反射面の部分に
おける関数α(y)が前記関係を満足しながら変化する
ことが好ましい(請求項2)。
【0018】更に、前記集光レンズの中心軸上に配置さ
れ、前記第2の反射面からの出射光を前記集光レンズに
よって集光される途中にて反射する回転ミラーと、この
回転ミラーを前記基準方向と平行な回転軸を中心として
回転させる回転手段とを備え、前記回転ミラーの前記回
転手段による回転に伴って前記集光レンズの焦点面は前
記回転軸を中心とする円周上を変化し、かつ、前記ミラ
ーは前記円周に沿って配列された複数の前記ミラー反射
面を有することが好ましい(請求項3)。
【0019】また、本発明においては、互いに平行であ
ってそれぞれ一の方向に延びる第1の反射面及び前記第
1の反射面より反射率が低い第2の反射面、前記一の方
向にみて前記第1の反射面の一端側に設けられた窓部、
ならびに、前記一の方向を含むとともに前記第1の反射
面及び第2の反射面に直交する基準面内でみたときに集
光されながら前記窓部を介して入射した入射光が前記第
2の反射面にて最も集光される集光位置を有し、前記入
射光をその波長及び干渉次数に応じた出射角度にて前記
第2の反射面から出射させる多重反射素子と、前記多重
反射素子の前記第2の反射面側に配置され、前記第2の
反射面からの出射光を前記出射角度に応じて、その中心
軸に直交するとともに前記基準面に含まれる基準方向に
みて、その焦点面上の異なる位置に集光する集光レンズ
と、前記集光レンズの焦点面と略同じ位置に位置付けら
れ、前記集光レンズによって集光された前記第2の反射
面からの出射光を反射し、前記集光レンズを介して前記
第2の反射面へ戻すミラー反射面を有するミラーとを備
え、前記入射光に所望の分散量を付与した後に前記窓部
を介して出射させる分散補償器であって、前記基準方向
における前記ミラーの反射面の表面形状を関数η(y)
で表示したときに、η(y)は次式:
【0020】
【数4】
【0021】(yは基準方向における位置座標,fは集
光レンズの焦点距離,Lは多重反射素子の集光位置と集
光レンズ間の距離,cは光速,φは窓部から入射した基
準光が集光位置に入射する入射角度,nは第1の反射面
と第2の反射面との間の屈折率,mは多重反射素子の第
2の反射面から集光レンズへの出射光の干渉次数,γは
分散量,dは第1の反射面と第2の反射面との間の距
離,σは多重反射素子の集光位置と集光レンズの中心軸
との距離,およびConst.は任意の定数を表す。)
で示される関係を満足することを特徴とする分散補償器
が提供される(請求項4)。
【0022】前記ミラーには、前記基準面に直交する方
向に前記ミラー反射面を移動させる移動手段が設けら
れ、前記移動手段による前記ミラー反射面の移動の前後
で、前記集光レンズによって集光された前記第2の出射
面からの出射光が反射される前記ミラー反射面の部分に
おける関数η(y)が前記関係を満足しながら変化する
ことが好ましい(請求項5)。
【0023】更に、前記集光レンズの中心軸上に配置さ
れ、前記第2の反射面からの出射光を前記集光レンズに
よって集光される途中にて反射する回転ミラーと、この
回転ミラーを前記基準方向と平行な回転軸を中心として
回転させる回転手段とを備え、前記回転ミラーの前記回
転手段による回転に伴って前記集光レンズの焦点面は前
記回転軸を中心とする円周上を変化し、かつ、前記ミラ
ーは前記円周に沿って配列された複数の前記ミラー反射
面を有することが好ましい(請求項6)。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係る分
散補償器Aを図面に基づき説明する。図1に示したよう
に、光伝送路1を伝搬している所定の波長帯域を有する
信号光は、例えば、光伝送路1,2間に介挿された光サ
ーキュレータ3及び光サーキュレータ3に接続された光
ファイバ4を介して分散補償器Aへと導かれる。そし
て、分散補償器Aにより所定の波長分散量を与えられた
信号光は、この光ファイバ4を逆方向に伝搬し、光サー
キュレータ3を介して光伝送路2へと戻る。
【0025】分散補償器Aは上部が開口し、中空矩形形
状のロアケース5を備え、上部開口はリッド(図示しな
い)により塞がれている。ロアケース5は側壁5aを有
し、側壁5aを貫いてファイバコネクタ6が設置されて
いる。光ファイバ4の光サーキュレータ3と反対側の一
端は、ファイバコネクタ6の外部端と接続されている。
ロアケース5内では、ファイバコネクタ6の内部端に光
ファイバ7の一端が接続され、光ファイバ7の他端部
は、中空円筒状のレンズホルダ8の一端部に挿入され、
同心状に固定されている。
【0026】レンズホルダ8の他端部には、光ファイバ
7の他端部と同軸状にコリメータレンズ9が固定され、
コリメータレンズ9の中心軸9aは図1に矢印で示した
Z方向に平行である。したがって、分散補償器Aに導か
れた光は、光ファイバ7の他端面から発散しながら出射
し、コリメータレンズ9へと入射する。コリメータレン
ズ9は、同軸状に並んだ2つのレンズからなり、そのう
ちの光ファイバ7側の一方のレンズは、発散光を平行光
に変換する作用を有するレンズである。コリメータレン
ズ9の他方のレンズは、光ファイバ7側のレンズにより
形成された平行光の直径を、図1に矢印で示したY方向
のみに狭くするよう、所定の焦点距離にて集光する作用
を有する。したがって、コリメータレンズ9に入射した
光ファイバ7からの発散光は、Y方向には集光され、か
つY方向に沿ってみたときには平行光となっている集光
光として出射する。すなわち、集光光はZ方向とY方向
を含む面(以下、基準面という)をこの基準面と直交す
る方向からみたときに集光されている。
【0027】コリメータレンズ9の前方(集光光の出射
側)には、所定距離だけ離れて多重反射素子10が配置
されている。多重反射素子10は、基板として屈折率n
が1.81であるガラス板10aを備える。なお、基板
をガラス板で構成する場合、高屈折率を有するガラス板
を使用すると多重反射素子10を薄くすることができ
る。
【0028】ガラス板10aは互いに平行な背合わせの
面を有し、これらの面間でのガラス板の厚みdは約50
0μmである。これら背合わせの面の一方には、端部の
一部にガラス面が表出する部分(以下、この部分を入出
射窓10bという)を確保しながら、反射率100%の
反射面10c(以下、高反射面10cという)が形成さ
れ、他方には、高反射面10cよりも反射率が低い、反
射率97%の反射面10d(以下、低反射面10dとい
う)が形成されている。
【0029】別の表現をすれば、多重反射素子10は、
互いに平行であってそれぞれ一の方向に延びる第1の反
射面(高反射面10c)及び第1の反射面より反射率が
低い第2の反射面(低反射面10d)並びにこの一の方
向にみて第1の反射面の一端側に設けられた窓部(入出
射窓10b)を有する。また、基準面は、この一の方向
を含むとともに、これら高反射面10c及び低反射面1
0dに直交している。
【0030】なお、多重反射素子10においては、一対
の反射面10c,10d間の屈折率がガラス板10aの
屈折率と等しく、一対の反射面10c,10d間の距離
はガラス板10aの厚みに等しい。多重反射素子10
は、コリメータレンズ9側に入出射窓10bおよび高反
射面10cが位置するよう配置されている。そして、コ
リメータレンズの中心軸9aは、入出射窓10bへと延
び、入出射窓10bの法線と成す角は約5.4度であ
る。したがって、図7に示したように、コリメータレン
ズ9からの集光光は、入出射窓10bより多重反射素子
のガラス板10aに入射し、集光光の光軸方向に進む光
の入出射窓10bにおける入射角φinおよび屈折角φ
は、それぞれ約5.4度及び約3度となる。
【0031】なお、多重反射素子の入出射窓は、高反射
面に対して傾斜して形成されていてもよく、その場合、
コリメータレンズと多重反射素子の相対位置は適宜調整
される。入出射窓10bにて屈折した集光光は、ガラス
板10a中を伝搬し、集光光の光軸方向に進む光は、低
反射面10dに屈折角φと同じ入射角φにて入射する。
ここで、集光光が低反射面10dに最初に入射した位置
が、コリメータレンズ9の他方のレンズの集光位置とほ
ぼ合致するよう、多重反射素子10は配置されている。
よって以下では、集光光が入出射窓10bを介して低反
射面10dに最初に入射した位置を集光位置10eとい
う。
【0032】集光位置10eにて最も集光された集光光
は、集光位置10eに入射角3度にて入射した後は、集
光位置10eを基点とする発散光となる。そして、集光
位置10eにて反射された発散光は、ガラス板10a中
を伝搬した後、高反射面10cで反射される。そして、
高反射面10cで反射された発散光は、低反射面10d
に入射し、そこで再び反射される。以後、発散光は高反
射面10c及び低反射面10dにて多重反射される。そ
のため、これら高反射面10c及び低反射面10dをま
とめて多重反射面という。
【0033】一方、集光位置10eを含む低反射面10
dにて発散光が反射される毎に、発散光の3%の光が低
反射面10dより屈折しながら出射する。これら低反射
面10dからの出射光も集光位置10eを基点とする発
散光である。多重反射素子10の内部にて多重反射され
た発散光及び低反射面10dより出射する発散光は、そ
れぞれ空間的に重なりあうことから、発散光のうち、波
長毎に特定の角度にて伝搬する光が互いに強め合って干
渉光を形成する。そしてその結果、低反射面10dから
は、発散光ではなく、これら干渉光が所定の干渉条件に
より波長毎に異なる出射角度にて出射する。
【0034】以下、上記した干渉条件について説明す
る。図7において、破線で示した光路は、集光光の光軸
方向に進む光であって、干渉により光路が変化しない波
長λcを有する光(以下、基準光という)が、集光位置
10eにて反射および屈折した後の光路を示している。
したがって、この波長λcの基準光の集光位置10e,
高反射率の反射面及び低反射率の反射面における入射及
び反射角度はφとなる。また、基準光の集光位置10e
を含む低反射面10dからの出射角度はφoutと表示す
る。
【0035】そして、図7において実線で示した光路
は、発散光に含まれる光のうち、基準光の光路に対して
多重反射素子10内部で傾斜角度Δφにて傾斜して進む
光(以下、傾斜光という)の光路を示す。したがって、
この傾斜光の、集光位置10eにおける反射角度、なら
びに、高反射面10c及び低反射面10dにおける入射
及び反射角度はφ+Δφとなる。また、傾斜光の集光位
置10eを含む低反射面10dからの出射角度はφout
+Δφoutと表示する。
【0036】ここで、傾斜光が集光位置10eより出射
した光11と、傾斜光が集光位置10e及び高反射面1
0cでそれぞれ1回ずつ反射された後に低反射面10d
から出射した光12との光路差をΔL(φ)としたとき
に、n・sin(φ+Δφ)≒sin(φout+Δ
φout)であることを用いて、ΔL(φ)は次式: ΔL(Δφ)=2nd・cos(φ+Δφ) …(1) (ただし、nは多重反射素子10のガラス板の屈折率,
dは高反射面10cと低反射面10d間におけるガラス
板10aの厚みである。)で示される。
【0037】そして、光11,12に限らず、高反射面
10cでの反射回数が互いに1回だけ異なる傾斜光がそ
れぞれ低反射面10dから出射したときの光路差も、Δ
L(Δφ)であらわすことができる。低反射面10dか
ら出射する傾斜光は、この光路差ΔL(Δφ)が、傾斜
光の波長の整数倍であるときに互いに強め合うように干
渉する。すなわち、次式: 2nd・cos(φ+Δφ)=m・λ …(2) (ただし、nは多重反射素子10のガラス板の屈折率,
dは高反射面10cと低反射面10d間でのガラス板1
0aの厚み,mは任意の整数を表わす。)が成立すると
きに傾斜光は互いに強め合い、式(2)を満足しない傾
斜光は減衰してしまう。なお、式(2)中、mは干渉次
数と呼ばれる任意の整数である。
【0038】このようにして発散光においては干渉が起
こり、多重反射素子10からは、波長λ及び干渉次数m
に応じた出射角度φout+Δφoutにて、干渉光が出射す
る。別の表現をすれば、基準面内でみたときに集光され
ながら入出射窓10bを介して多重反射素子10へ入射
した光は、その波長及び干渉次数に応じた出射角度にて
低反射面10dから出射する(図1参照)。
【0039】そして、低反射面10dからの出射位置
が、集光位置10eからY方向で距離δだけ離間してい
る干渉光が、集光位置10eから出射位置まで入射及び
反射角度φ+Δφにて多重反射しながら多重反射素子1
0内を進む光路長χ(δ,Δφ)は、次式:
【0040】
【数5】
【0041】で示される。なお、当然のことながら、波
長λcの基準光は出射角度φoutにて出射する。また、
基準光は集光光の光軸方向に進む光であることから、光
路が集光光の光軸方向から傾斜している傾斜光に比べ、
集光光の有する光エネルギーを有効に活用することがで
きる。このため通常、基準光の波長λcが、分散補償器
Aにより波長分散が与えられる波長帯域の中心波長とほ
ぼ等しくなるように、分散補償器Aは設計される。
【0042】多重反射素子10の低反射面10d側には
集光レンズ13が配置されている(図1)。この集光レ
ンズ13は30mmの焦点距離fを有し、図8に示した
ように、低反射面10dからの基準光の出射方向が集光
レンズ13の中心軸13aと互いに平行となるように、
或いは、コリメータレンズ9及び集光レンズ13の中心
軸9a,13aが互いに平行となるように配置されてい
る。したがって、Y方向は、集光レンズ13の中心軸1
3aと直交するとともに、基準面に含まれる。以下で
は、このY方向のことを基準方向ともいう。
【0043】なお、ここで、集光レンズ13は、集光位
置10eと集光レンズの中心軸13aとの間の距離σが
1mmであって、集光位置10eと集光レンズ13の主
面13bとの間の距離Lが30mmとなるよう配置され
ている。低反射面10dから出射した干渉光は、集光レ
ンズ13により集光され、低反射面10cとは反対側の
集光レンズ13の焦点面13c上に集光される。このと
き、低反射面10dから出射した干渉光はほぼ平行光で
あることから、干渉光は低反射面10dからの出射角度
φout+Δφoutに応じて、焦点面13c上のY方向(基
準方向)に異なる位置に集光される。具体的には、集光
レンズの中心軸13aを基準としたY方向の位置座標を
yとしたときに、この集光位置の位置座標yは次式: y=f・Δφout≒f・n・Δφ …(4) で示される。
【0044】このとき、低反射面10dからの干渉光
が、集光レンズ13により集光された後に集光レンズの
中心軸13aとなす角度r1’は、干渉光が集光レンズ
13に入射した位置のY方向での位置座標yに依存し、
更には、角度r1’は、干渉光が低反射面10dから出
射した位置のY方向における位置座標yに依存する。焦
点面13c近傍には、ミラー15の反射面15a(以
下、ミラー反射面15aという)が位置付けられてい
る。本発明では、基準面(YZ面)内における、ミラー
反射面15aの基準方向(Y方向)に対する傾きが、後
述するY方向の位置座標yの関数α(y)で表わされる
ことを特徴とする。また、本発明では、基準方向(Y方
向)におけるミラー反射面15aの表面形状が、後述す
るY方向の位置座標yの関数η(y)で表わされる形状
を有することを特徴とする。
【0045】低反射面10dより出射角度φout+Δφ
outにて出射した後、集光レンズ13により集光され、
集光レンズの中心軸13と成す角度がr1’である干渉
光は、式(4)で示される位置座標yに集光される。そ
して、図9に示したように、この集光された干渉光がミ
ラー反射面15aにより反射された場合、この反射光が
集光レンズの中心軸13aとなす角度r2’は、次式: r2’=r1’−2・α(y) …(5) で示される。
【0046】式(5)で示されるようにミラー反射面1
5aにて反射された干渉光は、集光レンズ13を介して
再び平行光となって、多重反射素子10の低反射面10
dに再入射する。このとき、干渉光が低反射面10dに
再入射する位置の、集光レンズの中心軸13aからの距
離h1(図8を参照)は、式(4),(5)に示した関
係と光線行列より近似値を求めることができ、h1は次
式: h1=2・(f−L)Δφout−2・α(y)・f+σ―δ …(6) で示される。
【0047】そして更に、干渉光が再入射する再入射角
度は、ミラー反射面15aの表面位置が集光レンズの焦
点面近傍13cに位置することから、干渉光が低反射面
10dから集光レンズ13へ向けて出射したときの出射
角度φout+Δφoutと略等しい。かくして、再入射角度
φout+Δφoutにて多重反射素子10に再入射した干渉
光は、高反射面10c及び低反射面10dからなる多重
反射面で入射及び反射角度φ+Δφにて多重反射した
後、集光位置10eを介して入出射窓10bから出射す
る。そしてこのとき、干渉光が、低反射面10dに再入
射してから、集光位置10eに達するまでに進む光路長
χ(σ+h1,Δφ)は、式(3)中のδをσ+h1で
置換することにより求めることができる。
【0048】そして入出射窓10bより出射した光は、
コリメータレンズ9により光ファイバ7の他端部に結合
され、ファイバコネクタ6を介して分散補償器Aの外部
へと出射する。以下では、ミラー反射面15aのY方向
からの傾きα(y)及びY方向における表面形状η
(y)と、ミラー15を有する分散補償器により得られ
る波長分散量の関係について説明する。
【0049】集光位置10eとミラー15間を往復する
干渉光の光路長OPLは、集光位置10eと低反射面1
0dからの出射位置との間の光路長χ(δ,Δφ)と、集
光位置10eと低反射面10dに干渉光が再入射した位
置との間の光路長χ(σ+h1,Δφ)と、集光レンズ1
3を介して多重反射素子10とミラー15間を往復する
光路長2(f+L)となり、次式: OPL=χ(δ,Δφ)+2f+2L+χ(σ+h1,Δφ) …(7) で示される。
【0050】光路長OPLのうち、光路長2(f+L)
はΔφすなわち干渉光の波長λによらずほぼ一定であ
る。したがって、光路長OPLのΔφに依存する部分の
光路長OPL’は、次式: OPL’=χ(δ,Δφ)+χ(σ+h1,Δφ) …(7’) にて示される。
【0051】干渉光に対して、波長、或いは、多重反射
素子10内部における傾斜角度Δφに応じて与えられる
相対遅延時間tdは、式(7’)に式(3)を代入し得
られる光路長OPL’を光速cで割ることによって求め
られ、sin(φ+Δφ)≒φ+Δφ,cosφout
1の近似を用いると、次式:
【0052】
【数6】
【0053】で示される。分散補償器Aの分散量γは相
対遅延時間tdを波長λで微分することによって求めら
れる。本発明では、分散量γが波長λによらず一定であ
るために、相対遅延時間tdは、次式: td(λ)=γ(λ―λc)+t0 …(9) で示される。
【0054】ここで、t0は、出射角度φoutにて多重反
射素子10から出射する、波長λcの干渉光(基準光)
の相対遅延時間である。分散補償器Aにおいては、基準
光のY方向での低反射面10dからの出射位置が、集光
レンズの中心軸13aと等しい場合、当該基準光は出射
位置と同じ位置に再入射する。したがって、相対遅延時
間t0は、次式:
【0055】
【数7】
【0056】にて示される。よって式(8)をα(y)
について変形し、そこに式(2),(4),(9),お
よび(10)を代入することにより、関数α(y)を求
めることでき、このα(y)は次式:
【0057】
【数8】
【0058】で示される。また、関数η(y)は、関数
α(y)を位置座標yについて積分することによって求
められ、次式:
【0059】
【数9】
【0060】で表示される。そして、ミラー反射面15
aの表面位置は集光レンズ13の焦点面13c近傍にあ
ることが望ましい。この場合、y=0でのミラー反射面
15aが焦点面13cと一致するように、次式: μ(y)=η(y)−η(0) …(13) で示される関数μ(y)にて表面形状が示されるミラー
反射面15aを備えるミラー15にて分散補償器を構成
することが望ましい。
【0061】なお、表面形状μ(y)は、η(y)に含
まれる任意の定数Const.が、次式:
【0062】
【数10】
【0063】で表わされるときのη(y)と等価であ
る。ここで実際のミラー反射面15aの表面形状の例を
図10中に曲線で示す。この曲線は、上記した関数μ
(y)に、表1にまとめて示した分散補償器Aの各パラ
メ−タの値を代入することにより求めることができる。
なおこの場合、分散補償器Aの基準光の波長λcは15
50.2nmである。
【0064】
【表1】
【0065】そして、分散補償器Aの相対遅延量td
波長依存性を示すグラフを図11に、そして分散量の波
長依存性を示すグラフを図12に示す。図11及び図1
2から明らかなように、図10に示した表面形状を有す
るミラー15を使用することによって、遅延量tdは波
長λに対して線形に変化し、分散量γの波長依存性が改
善される。
【0066】次に本発明の他の実施形態に係る可変分散
補償器Bについて説明する。図13の可変分散補償器B
は、分散補償器Aのミラー15を図13,14に示した
表面形状を有する可変ミラー16で置換え、かつ、この
可変ミラー16を基準面(YZ面)に直交するX方向に
連続的又は間欠的に移動可能な手段(図示しない)を備
えている点を除き、分散補償器Aと同一の構成を有す
る。
【0067】可変ミラー16の反射面16aは、図13
に模式的に示したように、X方向に配列された複数の反
射面要素16a1,16a2,16a3,16a4から成
る。各反射面要素は、それぞれ異なる分散量γ1〜γ4
与える関数α(y)で基準方向(Y方向)に対する傾き
がそれぞれ表わされる。あるいは、各反射面要素16a
1,16a2,16a3,16a4は、それぞれ異なる分散
量γ1〜γ4を与える関数μ(y)でY方向の表面形状が
表わされる。
【0068】そして、可変分散補償器Bは、移動手段に
より可変ミラー16をX方向に移動させて、所望の分散
量を与える反射面要素16a1,16a2,16a3,1
6a4に多重反射素子10からの光が入射するよう調整
することにより、信号光に所望の分散量を与えることが
できる。なお、上記した説明においては、反射面16a
は4つの反射面要素からなるとしたが、実際には、反射
面16aは、図14に示したように、X方向へのミラー
16の移動に応じて、連続的に変化する分散量γを与え
るように、互いに僅かに異なる分散量γを与えるほぼ無
数の反射面要素16a1,16a2,16a3,…,16
nからなる。そして、このミラー反射面16aは、例
えばコンピュータを用いて設計される。
【0069】より具体的には、図14に示された反射面
16aは、−200ps/nm〜200ps/nmの分
散量γ1〜γnを与える関数α1(y),α2(y),…αn
(y)を求め、これらの関数α1(y),α2(y),…α
n(y)でY方向に対する傾きがそれぞれ表わされるn
個の反射面要素16a1,16a2,16a3,…,16
n、あるいは、−200ps/nm〜200ps/n
mの分散量γを与える関数μ1(y),μ2(y),…μn
(y)を求め、これらの関数μ1(y),μ2(y),…μ
n(y)でY方向の表面形状が表わされるn個の反射面
要素16a1,16a2,16a3,…,16anを、YZ
方向に直交するX方向に配列して一体成形した形状とな
っている。この図14に示した表面形状を有する可変ミ
ラー16を備えた可変波長分散補償器Bは、分散量γが
−200ps/nm〜200ps/nmにて可変であ
る。
【0070】なお、例として、図15に分散量γがそれ
ぞれ−200,−100,0,100,200ps/n
mであるときの反射面要素の表面形状を示す。図15か
ら、分散量が−200ps/nm〜+200ps/nm
の範囲の場合、反射面要素の各形状は凸型から凹型に変
化することがわかる。次に本発明の更に他の実施形態に
係る可変分散補償器Cについて説明する。図16に概略
構成を示した可変分散補償器Cは、複数の反射面要素1
6a1,16a2,16a3,…,16anからなる反射面
17aを有する可変ミラー17を備えている点では可変
分散補償器Bと類似している。しかし、可変分散補償器
Cでは、可変ミラー17自体は固定されており、反射面
17aにおいていずれの反射面要素16a1,16a2
16a3,…,16anが使用されるかということが、集
光レンズ13の中心軸13a上に設置された回転ミラー
18で選択されるという点において可変分散補償器Bと
は異なっている。
【0071】この回転ミラー18は、平坦な反射面18
aを有している。そしてこの反射面18aの略中央部
は、図17,18,19に示したように、集光レンズ13
の中心軸13a上であって、その主面13bから焦点距
離fよりも距離Rだけ主面13b側の点Oに位置付けら
れている。そして、この反射面18aは、点Oを通って
基準方向(Y方向)と平行な回転軸Oyを含み、この回
転軸Oyを中心として、図16中に例示したステッピン
グモータ19等からなる回転手段によって回転可能であ
る。
【0072】したがって、集光レンズ13の焦点面13
cは、反射面18aと集光レンズ13の中心軸13aと
のなす角度に応じて、図17〜19中破線で示した円周
上に位置することとなる。そして、ここにおいて、可変
ミラー17の各反射面要素16a1,16a2,16
3,…,16anは、回転軸Oyを中心として放射線上
に延びる線に対して略直交して配置されている。すなわ
ち、複数の反射面要素16a1,16a2,16a3
…,16anは、焦点面13cに沿って、換言すれば、
半径Rの円周上に並べられている。
【0073】したがって、図20で示したように、回転
軸Oyを中心とした放射線上に延びる1点鎖線を含む断
面で可変ミラー17の表面形状をみたときには、例えば
先述の図15に示したように、各断面での可変ミラー1
7の表面形状は、互いに異なる分散量−200ps/n
m〜+200ps/nmを与える形状を有する。この可
変分散補償器Cによれば、回転ミラー18が回転するこ
とによって分散量が可変となるので、可変分散補償器C
に比べて、装置自体の小型化を図れるとともに、装置の
運転に必要な消費電力を抑制することができる。
【0074】より詳しくは、可変分散補償器Bの場合、
可変ミラー16自体をX方向に沿って往復運動させるの
で、可変ミラー16の移動手段においては、その動力源
の回転運動を往復運動に変換する必要がある。このよう
な変換には、複雑な機構が必要なばかりでなく、摩擦に
よるエネルギー損失も伴うので、移動手段はもとより、
それを含む装置自体の小型化及び消費電力の低減にも限
界が生じる。これに対し、可変分散補償器Cにおいて
は、回転運動を往復運動に変換する必要がないことか
ら、装置の小型化及び省電力化を達成することができ
る。
【0075】本発明は、上記した実施例に限定されるこ
とはなく、種々の変形が可能である。例えば、表1に示
した各パラメータの値は、格段限定されるものではな
く、分散補償器により補償したい信号光の波長帯域や、
信号光に付与する分散量等により適宜変更することがで
きる。そして、上記した実施例においては、光サーキュ
レータ3は分散補償器Aと別体であったが、分散補償器
Aが光サーキュレータ3を内蔵するように形成されてい
てもよく、光ファイバ4と光ファイバ7はファイバコネ
クタ6を介して接続されているが、直接融着接続されて
いてもよい。
【0076】また、上記した実施例においては、低反射
面10d及び高反射面10cがガラス板10aの背合わ
せの面にそれぞれ形成された多重反射素子10を用いた
が、2枚のガラス板が所定の間隔を存して対向配置さ
れ、これらガラス板の互いに対向する面に低反射面及び
高反射面がそれぞれ形成された多重反射素子を用いても
よい。そしてその場合、関数αおよびγには、ガラス板
の屈折率nとして、空気の屈折率を代入すればよい。
【0077】更に、上記した実施例においては、多重反
射素子10の入出射窓10bではガラス板10aが露出
していたが、入出射窓10bは反射防止膜を備えていて
もよい。
【0078】
【発明の効果】本発明の分散補償器によれば、基準方向
からの傾きが所定の関数α(y)で表わされるので、得
られる分散量は波長無依存であり、波長多重光やパルス
信号光の波長分散を高精度に補償することができる(請
求項1)。また、本発明の分散補償器によれば、ミラー
反射面の表面形状が所定の関数η(y)若しくはμ
(y)で表わされるので、得られる分散量は波長無依存
であり、波長多重光やパルス信号光の波長分散を高精度
に補償することができる(請求項4)。
【0079】そして、本発明の分散補償器によれば、光
伝送路の波長分散の変化に応じて信号光に波長分散を付
与することができるので、波長多重光やパルス信号光の
波長分散をより高精度に補償することができる(請求項
2,3,5,6)。更に、本発明の分散補償器によれ
ば、小型化及び省電力化を達成することができる(請求
項3,6)。
【図面の簡単な説明】
【図1】分散補償器の概略構成を示す平面図である。
【図2】従来の分散補償器における光線図の一例であ
る。
【図3】従来の分散補償器における光線図の他の例であ
る。
【図4】多重反射素子から出射する干渉光の出射角度の
波長依存性を示す図である。
【図5】従来の分散補償器における相対遅延量の波長依
存性を示す図である。
【図6】従来の分散補償器における波長分散量の波長依
存性を示す図である。
【図7】多重反射素子における光線図である。
【図8】分散補償器における光線図である。
【図9】本発明の一実施形態の分散補償器Aが有するミ
ラーにおける光線図である。
【図10】本発明の一実施形態の分散補償器Aが有する
ミラーの表面形状を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態の分散補償器Aにおける
相対遅延量の波長依存性を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態の分散補償器Aにおける
波長分散量の波長依存性を示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態の分散補償器Bの概略
構成図である。
【図14】本発明の他の実施形態の分散補償器Bが有す
るミラーの表面形状を示す立体図である。
【図15】本発明の他の実施形態の分散補償器Bが有す
るミラーを構成する反射面要素の表面形状を示す図であ
る。
【図16】本発明の更に他の実施形態の分散補償器Cの
概略構成図である。
【図17】本発明の更に他の実施形態の分散補償器Cが
有する回転ミラーによる光路変化の説明図である。
【図18】本発明の更に他の実施形態の分散補償器Cが
有する回転ミラーによる光路変化の説明図である。
【図19】本発明の更に他の実施形態の分散補償器Cが
有する回転ミラーによる光路変化の説明図である。
【図20】本発明の更に他の実施形態の分散補償器Cが
有する回転ミラーの回転に伴う分散補償量の変化の説明
図である。
【符号の説明】
7 光ファイバ 9 コリメータレンズ 10 多重反射素子 10a ガラス板 10b 入出射窓 10c 高反射面 10d 低反射面 10e 集光位置 13 集光レンズ 13a 集光レンズの中心軸 13b 集光レンズの主面 13c 集光レンズの焦点面 15 ミラー 15a ミラー反射面 16 可変ミラー 16a 可変ミラー反射面 16a1,16a2,16a3,…,16an 反射面要素 Y 基準方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑野 達也 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 2H037 AA01 BA32 DA03 DA04 DA05 DA06 2H041 AA21 AA23 AB10 AB15 AC01 AZ02 AZ05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行であってそれぞれ一の方向に
    延びる第1の反射面及び前記第1の反射面より反射率が
    低い第2の反射面、前記一の方向にみて前記第1の反射
    面の一端側に設けられた窓部、ならびに、前記一の方向
    を含むとともに前記第1の反射面及び第2の反射面に直
    交する基準面内でみたときに集光されながら前記窓部を
    介して入射した入射光が前記第2の反射面にて最も集光
    される集光位置を有し、前記入射光をその波長及び干渉
    次数に応じた出射角度にて前記第2の反射面から出射さ
    せる多重反射素子と、 前記多重反射素子の前記第2の反射面側に配置され、前
    記第2の反射面からの出射光を前記出射角度に応じて、
    その中心軸に直交するとともに前記基準面に含まれる基
    準方向にみて、その焦点面上の異なる位置に集光する集
    光レンズと、 前記集光レンズの焦点面と略同じ位置に位置付けられ、
    前記集光レンズによって集光された前記第2の反射面か
    らの出射光を反射し、前記集光レンズを介して前記第2
    の反射面へ戻すミラー反射面を有するミラーとを備え、
    前記入射光に所望の分散量を付与した後に前記窓部を介
    して出射させる分散補償器であって、 前記基準方向に対する前記ミラー反射面の傾きを関数α
    (y)で表示したときに、α(y)は次式: 【数1】 (yは基準方向における位置座標,fは集光レンズの焦
    点距離,Lは多重反射素子の集光位置と集光レンズ間の
    距離,cは光速,φは窓部を介して多重反射素子に入射
    した入射光が集光位置に入射する入射角度,nは第1の
    反射面と第2の反射面との間の屈折率,mは多重反射素
    子の第2の反射面から集光レンズへの出射光の干渉次
    数,γは分散量,dは第1の反射面と第2の反射面との
    間の距離,およびσは多重反射素子の集光位置と集光レ
    ンズの中心軸との距離を表す。)で示される関係を満足
    することを特徴とする分散補償器。
  2. 【請求項2】 前記ミラーには、前記基準面に直交する
    方向に前記ミラー反射面を移動させる移動手段が設けら
    れ、前記移動手段による前記ミラー反射面の移動の前後
    で、前記集光レンズによって集光された前記第2の出射
    面からの出射光が反射される前記ミラー反射面の部分に
    おける関数α(y)が前記関係を満足しながら変化する
    請求項1の分散補償器。
  3. 【請求項3】 更に、前記集光レンズの中心軸上に配置
    され、前記第2の反射面からの出射光を前記集光レンズ
    によって集光される途中にて反射する回転ミラーと、こ
    の回転ミラーを前記基準方向と平行な回転軸を中心とし
    て回転させる回転手段とを備え、前記回転ミラーの前記
    回転手段による回転に伴って前記集光レンズの焦点面は
    前記回転軸を中心とする円周上を変化し、かつ、前記ミ
    ラーは前記円周に沿って配列された複数の前記ミラー反
    射面を有する請求項1の分散補償器。
  4. 【請求項4】 互いに平行であってそれぞれ一の方向に
    延びる第1の反射面及び前記第1の反射面より反射率が
    低い第2の反射面、前記一の方向にみて前記第1の反射
    面の一端側に設けられた窓部、ならびに、前記一の方向
    を含むとともに前記第1の反射面及び第2の反射面に直
    交する基準面内でみたときに集光されながら前記窓部を
    介して入射した入射光が前記第2の反射面にて最も集光
    される集光位置を有し、前記入射光をその波長及び干渉
    次数に応じた出射角度にて前記第2の反射面から出射さ
    せる多重反射素子と、 前記多重反射素子の前記第2の反射面側に配置され、前
    記第2の反射面からの出射光を前記出射角度に応じて、
    その中心軸に直交するとともに前記基準面に含まれる基
    準方向にみて、その焦点面上の異なる位置に集光する集
    光レンズと、 前記集光レンズの焦点面と略同じ位置に位置付けられ、
    前記集光レンズによって集光された前記第2の反射面か
    らの出射光を反射し、前記集光レンズを介して前記第2
    の反射面へ戻すミラー反射面を有するミラーとを備え、
    前記入射光に所望の分散量を付与した後に前記窓部を介
    して出射させる分散補償器であって、 前記基準方向における前記ミラーの反射面の表面形状を
    関数η(y)で表示したときに、η(y)は次式: 【数2】 (yは基準方向における位置座標,fは集光レンズの焦
    点距離,Lは多重反射素子の集光位置と集光レンズ間の
    距離,cは光速,φは窓部を介して多重反射素子に入射
    した入射光が集光位置に入射する入射角度,nは第1の
    反射面と第2の反射面との間の屈折率,mは多重反射素
    子の第2の反射面から集光レンズへの出射光の干渉次
    数,γは分散量,dは第1の反射面と第2の反射面との
    間の距離,σは多重反射素子の集光位置と集光レンズの
    中心軸との距離,およびConst.は任意の定数を表
    す。)で示される関係を満足することを特徴とする分散
    補償器。
  5. 【請求項5】 前記ミラーには、前記基準面に直交する
    方向に前記ミラー反射面を移動させる移動手段が設けら
    れ、前記移動手段による前記ミラー反射面の移動の前後
    で、前記集光レンズによって集光された前記第2の出射
    面からの出射光が反射される前記ミラー反射面の部分に
    おける関数η(y)が前記関係を満足しながら変化する
    請求項4の分散補償器。
  6. 【請求項6】 更に、前記集光レンズの中心軸上に配置
    され、前記第2の反射面からの出射光を前記集光レンズ
    によって集光される途中にて反射する回転ミラーと、こ
    の回転ミラーを前記基準方向と平行な回転軸を中心とし
    て回転させる回転手段とを備え、前記回転ミラーの前記
    回転手段による回転に伴って前記集光レンズの焦点面は
    前記回転軸を中心とする円周上を変化し、かつ、前記ミ
    ラーは前記円周に沿って配列された複数の前記ミラー反
    射面を有する請求項4の分散補償器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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