JP2003289877A - 新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬 - Google Patents

新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬

Info

Publication number
JP2003289877A
JP2003289877A JP2002104215A JP2002104215A JP2003289877A JP 2003289877 A JP2003289877 A JP 2003289877A JP 2002104215 A JP2002104215 A JP 2002104215A JP 2002104215 A JP2002104215 A JP 2002104215A JP 2003289877 A JP2003289877 A JP 2003289877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ret
seq
ovarian tumor
ret gene
kit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002104215A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Sasaki
佐々木  寛
Yasuo Ishizuka
康夫 石塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2002104215A priority Critical patent/JP2003289877A/ja
Publication of JP2003289877A publication Critical patent/JP2003289877A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な卵巣腫瘍のマーカー、当該腫瘍マーカ
ーの検査方法および当該方法に用い得るキットを提供す
る。更に、上記腫瘍マーカーを標的とした腫瘍治療のた
めの医薬を提供する。 【解決手段】 RET遺伝子産物からなる卵巣腫瘍マー
カー物質、RET遺伝子の発現を検出することを特徴と
する、卵巣腫瘍マーカーの検査、および卵巣腫瘍マーカ
ー物質としてのRETを標的分子とした卵巣腫瘍治療の
ための医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規卵巣腫瘍マー
カー物質に関する。また、本発明は、当該マーカーの検
査方法および該検査のためのキットに関し、特に該検査
においてはRET遺伝子の発現が検出される。更に、本
発明は、本発明の新規卵巣腫瘍マーカーを発現する腫瘍
細胞に指向性の化合物或いは核酸を用いた当該腫瘍治療
のための医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】RET遺伝子は、受容体型チロシンキナ
ーゼをコードするプロト癌遺伝子であり(Itoh,
F.,Ishizuka,Y.,Tahira,T.,
Ikeda,I.,Imai,K.,Yachi,
A.,Sugimura,T. and Nagao,
M., Recent studies on the
ret proto−oncogene., Tum
or Res., 24:1−13,1989)、当該
遺伝子によりコードされる受容体型チロシンキナーゼは
GDNF(Glial−cell Derived N
eurotrophicFactor)の共受容体であ
ることが報告されている(Jing,S.,et a
l., GDNF−induced activati
on of the ret protein tyr
osine kinase is mediated
by GDNFR−alpha, a novel r
eceptor for GDNF., Cell,
85:1113−1124,1996およびTrup
p,M.,et al., Functional r
eceptor for GDNF encoded
by the c−ret proto-oncoge
ne., Nature, 381:785−789,
1996)。
【0003】本発明者等は、先に、RET遺伝子産物
(翻訳産物;以下「RET」と略す。)の発現は神経芽
細胞腫において特異的に認められるが、ほかに調べられ
た19種の非神経芽細胞腫においては当該発現が認めら
れないことを明らかにした(Nagao,M.,Ish
izuka,Y.,Nakagawara,A.,Ko
hno,K.,Kuwano,M.,Tahira,
T.,Itoh,F.,Ikeda,I. and S
ugimura, T., Expressionof
ret proto−oncogene in hu
man neuroblastmas., Jpn.
J.CancerRes., 81:309−312,
1990およびIkeda.I.,Ishizuka,
Y.,Tahira,T.,Suzuki,T.,On
da.M.,Sugimura,T.and Naga
o.M., Specific expression
of the ret proto−oncogen
e in human neuroblastoma
cell lines., Oncogene, 5:
1291−1296,1990)。更に、IIa型多発
性内分泌腫瘍や甲状腺髄様癌において、RET遺伝子の
突然変異が認められている(Mulligan,L.
M.,et al., Germ−line muta
tions for the RET proto−o
ncogene in multipleendocr
ine neoplasis type 2A., N
ature, 363:458−460,1993およ
びHofstra,R.M.W.,et al., A
mutation in the ret prot
o−oncogene associated wit
h multiple endocrine neop
lasia type 2B and sporadi
c medullary thyroid carci
noma., Nature, 367:375−37
6,1994)。
【0004】このように、RET遺伝子の発現は、神経
芽細胞腫や多発性内分泌腫瘍(MEN2型)といった神
経堤細胞由来の腫瘍に特異的であることが報告されてき
たが、当該遺伝子が卵巣腫瘍細胞、特に卵巣癌細胞にお
いて発現していることは全く知られていない。
【0005】ところで、上記のRETに関連して、本発
明者等は、RETの細胞外ドメインに特異的なモノクロ
ーナル抗体を作製し、当該モノクローナル抗体が神経芽
細胞腫において遺伝子の特異的な転移を媒介することを
明らかにしている(Yano,L.,Shimura,
M.,Taniguchi,M.,Hayashi,
Y.,Suzuki,T.,Hatake,K.,Ta
kaku,F. andIshizuka,Y., I
mproved gene transferto n
euroblastoma cells by a m
onoclonal antibody target
ing RET, a receptor turos
ine kinase., Hum.Gene.The
r.,11:995−1004,2000)。このよう
なRETに特異的な抗体は、当該遺伝子産物を発現する
細胞を標的とする抗癌剤或いは遺伝子による治療に用い
ることができると考えられるが、そのような細胞に特異
的に結合する抗体以外の分子も使用可能であろう。いく
つかのペプチドが標的となり得るある種の細胞と特異的
に結合することが報告されている(Nicklin,
S.A.,etal., Selective tar
geting of gene transfer t
o vascular endothelial ce
llsby use of peptides iso
lated by phagedisply., Ci
rculation, 102:231−237,20
00; Jost,P.J.,et al., A n
ovel peptide,THALWHT,for
the targeting of human ai
rway epithelia., FEBS Let
t., 489:263−269,2001; および
Park,B.W.,et al.,Rational
ly designed anti−HER2/neu
peptide mimetic disables
P185 HER/neutyrosine kin
ases in vitro and in viv
o., Nat.Biotechnol., 18:1
94−198,2000)。上記のうちで、Park等
は、合理的に設計された抗HER2/neuペプチドに
よる、イン・ビトロおよびイン・ビボ双方での乳癌細胞
の成長抑制を報告しており、この事実は、ある種の標的
指向性ペプチド類もモノクローナル抗体類似の作用を奏
し得ることを示している。
【0006】しかしながら、ここでもまた、卵巣腫瘍細
胞のRETをその特異的な標的とするようなペプチド類
は知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規な卵巣
腫瘍のマーカーを提供することを目的とする。当該腫瘍
マーカーは卵巣腫瘍の診断に利用することが可能であ
る。また、当該腫瘍マーカーの検査は、RT−PCRや
イムノアッセイ、或いは当該腫瘍マーカーに特異的に結
合するペプチドを用いて該マーカーの発現を検出するこ
とにより行なうことができ、それらの方法および当該方
法に用い得るキットも本発明により提供される。更に、
本発明は、上記腫瘍マーカーを標的とした腫瘍治療のた
めの医薬を提供することをも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記のとおり、RET
伝子は神経芽細胞腫や多発性内分泌腫瘍(MEN2型)
といった神経堤細胞由来の腫瘍で特異的に発現すること
が報告されてきたが、当該遺伝子は全ての腫瘍細胞にお
いて発現しているわけではなく、特に、当該遺伝子が卵
巣腫瘍細胞で発現していることは全く報告されていなか
った。本発明者等は、卵巣腫瘍細胞における有用なマー
カーについて鋭意研究を重ねたところ、驚くべきこと
に、RET遺伝子が卵巣腫瘍細胞においても高率に発現
することを見出し、当該遺伝子産物が卵巣腫瘍のマーカ
ーとなることを明らかにした。従って、本発明の第1
は、(1)RET遺伝子産物からなる卵巣腫瘍マーカー
物質である。
【0009】該卵巣腫瘍マーカーの検査は、RET遺伝
子の発現を検出することにより実施するのが有利であ
る。当該発現の検出には、RET遺伝子の転写状態を検
出するRT−PCRや、FISH(Fluoresce
nt in situ hybridization)
法、或いはRET遺伝子産物を直接の検出対象とするイ
ムノアッセイや、当該翻訳産物に特異的に結合するペプ
チド、例えば、配列番号19乃至配列番号26のアミノ
酸配列を有するペプチドから選択される1以上のペプチ
ドを使用する方法が利用され得る。従って、本発明の第
2乃至6は、(2)RET遺伝子の発現を検出すること
を特徴とする、卵巣腫瘍マーカーの検査方法、(3)上
RET遺伝子発現の検出が、RET遺伝子の転写物ま
たはその断片を特異的に増幅するプローブを用いたRT
−PCR法により行われる上記(2)の検査方法、
(4)上記RET遺伝子発現の検出が、FISH法によ
り行われる上記(2)の検査方法、(5)上記RET
伝子発現の検出が、RET遺伝子産物に特異的に結合す
る抗体を用いたイムノアッセイ法により行われる上記
(2)の検査方法、および(6)上記RET遺伝子発現
の検出が、RET遺伝子産物に特異的に結合する配列番
号19乃至配列番号26のアミノ酸配列を有するペプチ
ドから選択される1以上のペプチドを用いて行われる上
記(2)の検査方法である。
【0010】更に、卵巣腫瘍細胞におけるRET遺伝子
の発現は、当該腫瘍細胞の悪性度や組織型を分類する指
標となり得る。従って、本発明の第7および8は、
(7)RET遺伝子の発現が、卵巣腫瘍細胞の悪性度の
指標となる(2)乃至(6)のいずれか1つに記載の検
査方法、および(8)RET遺伝子の発現が、卵巣腫瘍
細胞の組織型の指標となる(2)乃至(6)のいずれか
1つに記載の検査方法である。
【0011】検査の試料としては、検査対象者から採取
した組織切片や、細胞、体液等を用いることができる
が、RET遺伝子の転写状態を検出する検査方法におい
ては患者(検査対象者)由来のバッフィーコートが有利
に使用される。また、RET遺伝子産物(翻訳産物)に
対する検査方法においては患者(検査対象者)由来の血
清または病理組織切片が有利に使用される。従って、本
発明の第9および10は、(9)患者由来のバッフィー
コートを試料に用いることを特徴とする、上記(3)ま
たは(4)に記載の検査方法であり、
【0012】(10)患者由来の血清または病理組織切
片を試料に用いることを特徴とする、上記(5)または
(6)に記載の検査方法である。
【0013】上記検査は、当該検査に用いる試薬をキッ
トとすることで容易に行なうことができ、RT−PCR
による検査キットには、RET遺伝子の転写物またはそ
の断片を特異的に増幅し得る1以上のプライマーが含ま
れ得る。当該プライマーの例としては配列番号1乃至1
8の塩基配列を有する核酸があげられる。従って、本発
明の第11は、(11)上記(3)の卵巣腫瘍マーカー
の検査のためのキットであって、該キットは、プライマ
ーとして配列番号1乃至18の塩基配列を有する核酸か
ら選択される1以上の核酸を含むことを特徴とする、前
記キットである。
【0014】更に、イムノアッセイによる検査キットで
は、RETに対する特異的な抗体、例えば、RETに特
異的なモノクローナル抗体および/またはポリクローナ
ル抗体が含まれ得る。従って、本発明の第12は、(1
2)上記(5)の卵巣腫瘍マーカーの検査のためのキッ
トであって、該キットは、RET遺伝子産物に対するモ
ノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体を
含むことを特徴とする、前記キットである。
【0015】また、RETに特異的に結合するペプチド
を使用する方法のためのキットにおいては、そのように
RETに特異的に結合するペプチド或いはその改変体が
キットに含まれてよく、当該ペプチドの例としては、配
列番号19乃至配列番号26のアミノ酸配列を有するペ
プチドがあげられる。従って、本発明の第13は、(1
3)上記(6)に記載の卵巣腫瘍マーカーの検査のため
のキットであって、該キットは、配列番号19乃至配列
番号26のアミノ酸配列を有するペプチドから選択され
る1以上のペプチドを含むことを特徴とする、前記キッ
トである。
【0016】前述の如く、RET遺伝子は卵巣腫瘍細胞
において高率で発現していることが今や明らかとなり、
従って、卵巣腫瘍マーカー物質であるRETが卵巣腫瘍
治療のための標的分子として利用できることが示され
た。すなわち、本発明の別の側面によれば、卵巣腫瘍マ
ーカー物質としてのRETを標的分子とした卵巣腫瘍治
療のための医薬が提供され、RETに特異的に結合する
抗体或いはRETに特異的に結合するペプチドは当該医
薬の活性成分をRET遺伝子発現細胞に指向させ得る。
従って、本発明の第14は、(14)卵巣腫瘍を治療す
るための医薬であって、該医薬は、RET遺伝子産物に
対する特異的抗体にコンジュゲートするか、或いは配列
番号19乃至配列番号26のアミノ酸配列を有するペプ
チドから選択されるペプチドにコンジュゲートした制癌
化合物を含むことを特徴とする、前記医薬である。
【0017】前記医薬の活性成分或いは制癌化合物とし
ては、それ自体当業者に周知のいかなるものをも用いる
ことができるが、典型的に、当該制癌化合物は、タキソ
ール、シスプラチン、アドリアマイシン、エピルビシ
ン、サイクロフォスファマイドおよびカンプトテシンか
らなる群から選択される。従って、本発明の第15は、
(15)制癌化合物が、タキソール、シスプラチン、ア
ドリアマイシン、エピルビシン、サイクロフォスファマ
イドおよびカンプトテシンからなる群から選択される上
記(14)の医薬である。
【0018】更に、RETに特異的に結合する抗体或い
はRETに特異的に結合するペプチドは、いわゆる遺伝
子治療において、治療のための遺伝子を、RET遺伝子
を発現する腫瘍細胞に対して特異的に導入することを可
能にする。従って、本発明の第16は、(16)腫瘍を
治療するための医薬であって、該医薬は、RET遺伝子
産物に対する特異的抗体にコンジュゲートするか、或い
は配列番号19乃至配列番号26のアミノ酸配列を有す
るペプチドから選択されるペプチドにコンジュゲートし
RET遺伝子の発現を阻害しうる核酸を含むことを特
徴とする、前記医薬である。
【0019】上記から明らかなように、本発明のRET
遺伝子産物からなる卵巣腫瘍マーカー物質は、卵巣腫瘍
の診断における指標となり得、またそれを標的分子とし
た腫瘍の治療方法をも提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のRET遺伝子産物、すな
わちRETは、RET遺伝子によりコードされるポリペ
プチドであり、種々のグリコシル化度の相違する類縁体
が知られている(Takahashi,M.,et a
l., Identification of the
ret proto−oncogene produ
ctsin neuroblastoma and l
eukemia cells., Oncogene,
6:297−301,1997)。後述の実施例に記
載するように、卵巣癌細胞株2008およびD240か
ら得たRETは130kDaの分子量を有していたが、
神経芽細胞種株(NB−39−nu)由来のRETでは
その分子量が150および170kDaと見積もられ、
これらは上記のとおり、そのグリコシル化の度合いの相
違を反映しているものと考えられる。そして、このよう
に、そのグリコシル化度が相違するRETやグリコシル
化されないRETも本発明のRETに含まれる。また、
卵巣癌細胞株2008から得たRETのエキソン10、
11および13〜16での塩基配列分析の結果、当該細
胞種からのRETにおいては突然変異が認められず、当
該部分の塩基配列は正常なRETの配列と一致していた
が、上記のように、ある種の細胞ではRETの点突然変
異が観察されており、例えば、エキソン10、11およ
び13〜16以外の領域において突然変異を有するよう
なRETも本発明のRETに含まれる。なお、RET
ロト癌遺伝子cDNAは、国立国際医療センター難治性
疾患研究部(東京)より入手可能である。
【0021】前述の如く、腫瘍細胞におけるRET遺伝
子の発現は、神経堤細胞由来の腫瘍細胞で特異的と考え
られてきたが、当該遺伝子は、卵巣腫瘍細胞、特に卵巣
癌細胞で高率に発現していることが明らかとなった。す
なわち、4種の卵巣癌細胞株の全てで、抗RETモノク
ローナル抗体を用いた免疫染色の結果は陽性であり、ま
た、RETのC末端ペプチドに対する家兎血清を用いた
免疫組織化学的解析により検査した手術検体における免
疫染色の陽性率は、卵巣癌で61.1%、境界悪性卵巣
腫瘍で40%、良性卵巣腫瘍で20.7%であり、卵巣
癌の組織型別陽性率は、明細胞腺癌で75.9%、漿液
性腺癌で33.3%、粘液性腺癌で73.7%、類内膜腺
癌で66.6%、未分化癌で50.0%および悪性混合性
上皮性腫瘍では100%であった。従って、RETは、
卵巣腫瘍、特に卵巣癌のマーカーとして利用することが
でき、RET遺伝子の発現について検査することで、卵
巣癌の迅速な診断が可能となる。また、卵巣腫瘍におけ
る当該遺伝子の発現の検査は、卵巣腫瘍の悪性度や卵巣
癌の組織型の判定の指標とすることができる。
【0022】このようなRET遺伝子産物からなる卵巣
腫瘍マーカーの検査は、細胞におけるRET遺伝子の発
現を検出することで行ない得るが、当該検出には、RE
遺伝子の転写状態を対象とするRT−PCR、FIS
H法、或いはRET遺伝子産物自体の生成を測定するイ
ムノアッセイ若しくはRET特異的結合ペプチドを使用
する方法を利用するのが有利である。
【0023】RT−PCRは、典型的に、まず、被検試
料中のRET遺伝子転写物であるRET mRNAまた
はその断片に関して、逆転写酵素により当該RNAに相
補的な一本鎖DNA合成し、ついで、当該DNAまたは
その断片を特異的に増幅可能なプライマーを用いて該D
NAまたはその断片をRCR増幅した後、得られるDN
Aを電気泳動等に供して検出することで実施される。R
T−PCRの具体的な手法としては当業者に周知の種々
のものが利用可能で、例えば、lineraRT−PC
R法なども用いることができ、また、「Ishikaw
a,T.,et al.,Expression of
alpha−fetoprotein and pr
ostate−specific antigen g
enes in several tissues a
nd detection of mRNAs in
normal circulating bloodb
y reverse transcriptase−p
olymerasechain reaction.,
Jpn.J.Clin.Oncol.,28:723
−728,1998」に報告されている方法に準じて実
施することができる。なお、本発明のRT−PCRに使
用し得るプライマーの例としては、以下のものがあげら
れる。
【0024】 agatcctggaggatccaaag (配列番号1) gtatttggcgtactccacga (配列番号2) atttgcctggcagatctcac (配列番号3) cacagcaggacaccaaaaga (配列番号4) caccatgggcgacctcat (配列番号5) gacaagccgaaatccgaaatc (配列番号6) gcctggagagagtcctgtacca (配列番号7) tgagggtgaaagcatccagtta (配列番号8) tttgcctggcagatctcaca (配列番号9) agccgaaatccgaaatcttca (配列番号10) gaccgtacatgactataggctggtt (配列番号11) gccctggaagtctgagtcattg (配列番号12) gtgaggccaaggcttggat (配列番号13) tgtccaataagcatttttcaaactct(配列番号14) ctggagttcaagcggaagga (配列番号15) ctcccctgatgcaggtacca (配列番号16) ggatggagaggccagacaact (配列番号17) ggctcctgcttccagcatt (配列番号18) 上記の配列はRET遺伝子のcDNAに含まれるもので
あり、具体的に、配列番号1は、RET遺伝子のcDN
Aの2306位、配列番号2は、RET遺伝子のcDN
Aの2585位、配列番号3は、RET遺伝子のcDN
Aの2736位、配列番号4は、RET遺伝子のcDN
Aの2982位、配列番号5は、RET遺伝子のcDN
Aの2733位、配列番号6は、RET遺伝子のcDN
Aの2861位、配列番号7は、RET遺伝子のcDN
Aの3402位、配列番号8は、RET遺伝子のcDN
Aの3485位、配列番号9は、RET遺伝子のcDN
Aの2755位、配列番号10は、RET遺伝子のcD
NAの2857位、配列番号11は、RET遺伝子のc
DNAの1242位、配列番号12は、RET遺伝子の
cDNAの1322位、配列番号13は、RET遺伝子
のcDNAの3776位、配列番号14は、RET遺伝
子のcDNAの3839位、配列番号15は、RET
伝子のcDNAの1042位、配列番号16は、RET
遺伝子のcDNAの1102位、配列番号17は、RE
遺伝子のcDNAの3101位、および配列番号18
は、RET遺伝子のcDNAの3151位から始まる配
列、或いはそれに相補的な配列(偶数の配列番号を有す
る)に、夫々、対応する。なお、これらのプライマー
は、例えば、ホスホアミダイド法等の化学的合成手段に
より、上記の配列をもとにして容易に調製することがで
きる。
【0025】RT−PCRによる検出のためのキットの
使用は、測定者が検査を実施する際に好都合である。当
該キットには、RETのmRNAから一本鎖DNAを得
るためのプライマーおよび当該DNAまたはその断片を
特異的に増幅するRET特異的プライマーが含まれ得、
当該プライマーの例としては、上記配列番号1乃至18
の塩基配列を有するDNAがあげられる。キットには、
その他、RNaseH阻害剤や、逆転写酵素、TaqD
NAポリメラーゼ等が含まれてよく、そのようなキット
の構成や作製方法は当業者によく知られている。
【0026】更に、FISH(Fluorescent
in situ hybridization)法
も、RET遺伝子の転写状態の検出に用いることができ
る。当該方法に用いることのできるプローブの例とし
て、FITC若しくはCy5で標識されたRETコスミ
ド・クローンをあげることができ、当該コスミド・クロ
ーンは、健常人の抹消血DNAより抽出したコスミド・
ライブラリーより調製することができ、詳細は、Onc
ogene Res., 3:193−197,198
8を参照されたい。また、FISH法による検出は、上
記のコスミド・クローンにより、文献記載の方法に準じ
て行なうことができる(Shimura,M.,et
al.,Micronuclei formation
withchromosome break and
gene amplification cause
d by Vpr, an accessory ge
neof human immunodeficien
cy virus., Cancer Res., 5
9:2259−2264,1999)。
【0027】上記のRT−PCRやFISH法による、
RET遺伝子の転写状態を検出する方法においては、被
検試料として、患者由来のバッフィーコートを用いるの
が有利である。バッフィーコートは、患者由来の血液を
遠心分離した際、遠心管の最下層の赤血球層と最上層で
ある血清層の間に位置する、主に白血球などの細胞から
なる層であるが、当該層には血液中に存在する腫瘍細胞
も含まれ、従って、当該バッフィーコートは、上記RT
−PCRやFISH法による検査のための好適な被検試
料となる。従って、バッフィーコートによる検査では、
患者の血液を定法どおり遠心分離し、赤血球層と血清層
の間に位置するバッフィーコートを採取し、これをRT
−PCRやFISH法の被検試料とすればよい。
【0028】一方、RET遺伝子の発現は、RET遺伝
子産物、すなわちRETの生成として検出することもで
き、当該検出にはイムノアッセイが好適に応用される。
具体的に、例えば、患者由来の血清を試料としたサンド
ウイッチアッセイや競合アッセイ法、或いは病理組織切
片を試料とした免疫染色法等が利用可能である。イムノ
アッセイにはRET遺伝子産物に対する抗血清や抗体類
が用いられる。これらの抗血清或いは抗体はRET遺伝
子産物に特異的であればいかなるものを用いてもよく、
抗体類の例としては、RET遺伝子産物に特異的なポリ
クローナル抗体、モノクローナル抗体のほか、それら抗
体のフラグメント、例えば、Fabフラグメント、Fa
b’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、F
(v)フラグメント、H鎖モノマー又はダイマー、L鎖
モノマー又はダイマー、1個のH鎖及び1個のL鎖から
なるダイマー等もあげられる。これらの抗血清或いは抗
体の製造法も当業者に周知である。具体的に、抗血清
は、例えば、アジュバントと共に抗原(RET或いはR
ETのフラグメント)を免疫動物に皮下注射し、当該皮
下投与を適当な間隔(例えば2週間)で所定の回数(例
えば4回)繰り返し、最終免疫後に全血を採集して、こ
れを分離することで得ることができる。そのような方法
は、「CURRENT PROTOCOLS IN I
MMUNOLOGY、第2.4章(発行元:John
Wiley & Sons,Inc.,New Yor
k)」等に記載されている。ポリクローナル抗体は、上
記抗血清からのIgG画分を精製することにより得ら
れ、例えば、「CURRENT PROTOCOLS
IN IMMUNOLOGY、第2.7章(発行元:J
ohnWiley & Sons,Inc.,New Y
ork)」記載の方法を利用することができる。モノク
ローナル抗体は、抗原により免疫化した哺乳動物から得
たリンパ球(典型的には脾臓細胞)を特定の不死化細胞
(典型的には骨髄腫細胞)に融合し、生じたハイブリド
ーマ細胞の培養上清を、当該抗原に関してスクリーニン
グすることで得られる(Nature, 256:49
5−497,1975参照)。また、抗体のフラグメン
トは、例えばペプシンやパパイン等のプロテアーゼによ
り完全な抗体を消化するか、消化後、必要に応じて還元
剤で処理することにより得ることができる。H鎖及びL
鎖モノマーは、完全な抗体をジチオスレイトール等の還
元剤で処理した後、精製した鎖状体を分離することによ
り得ることもできる。
【0029】抗原としては、RETや組替え体RET、
或いはRETのC末端の20アミノ酸残基からなるポリ
ペプチドが利用できる。好ましいポリクローナル抗体
は、RETのC末端の20アミノ酸残基からなるポリペ
プチドを用いて製造され、本発明者らが先に報告した論
文(Ishizuka,Y.,Shima,H.,Su
gimura,T. and Nagao,M., D
etection ofphosphorylated
retTPC oncogene product
in cytoplasm., Oncogene,
7:1441−1444,1992)に記載されてい
る。好ましいモノクローナル抗体は、RETの組替えタ
ンパク質に関して得られ、本発明者らが、最近、報告し
た論文(Yano,L.,Shimura,M.,Ta
niguchi,M.,Hayashi,Y.,Suz
uki,T.,Hatake,K.,Takaku,
F.and Ishizuka,Y., Improv
ed gene transfer to neuro
blastoma cells by a monoc
lonal antibody targeting
RET, a receptor turosine
kinase., Hum.Gene.Ther.,
11:995−1004,2000)の方法に基づいて
調製することができる。これらの論文は、参照すること
で本明細書に組み込まれる。
【0030】上記の抗体類は、免疫組織染色或いはサン
ドウイッチアッセイのために標識され得る。放射性物
質、金コロイドなどの着色粒子、蛍光または化学発光標
識、或いは酵素(ELISA用)で標識すれば検出抗体
として使用することができる。抗体の標識の方法として
は当業者にとって周知のいかなる方法も採用することが
でき、例えば、「J.Biochem.vol.11、
395〜399頁(1979年)」「J.Bioche
m.vol.14、41〜57頁(1982年)」「I
mmunofluorescence and Rel
ated Techniques (Elsevier
/North Holland Biomedical
Press、215〜225頁(1978年))」記
載の方法を利用することができる。なお、競合アッセイ
においては、RETや組替え体RET、或いはRETの
C末端の20アミノ酸残基からなるポリペプチド等、R
ET特異的抗体の抗原となり得るものが標識され得、当
該標識方法も当業者に周知である。また、サンドウイッ
チアッセイや競合アッセイにおいては、上記の抗体類が
固体支持体に固相化されることが好ましく、当該抗体類
は、例えば、炭酸緩衝液(pH9.6)にそれらを溶解
し、該溶液をマイクロプレートのウェルに添加して所定
時間インキュベートすることで固相化できる。イムノア
ッセイによる測定は、上記の抗血清或いは抗体類とRE
Tの免疫複合体を検出することで行なわれる。病理組織
切片などの免疫染色では、RET特異的抗体をパラフィ
ン包埋切片と接触させ、生じた免疫複合体を、例えばC
SA system(Wako社製)により、当該シス
テムの製造者の指示に従って検出することができる。患
者血清を試料としたサンドウイッチアッセイでは、上記
の抗体類がウェル底面などの固相のコーティングに用い
られてキャプチャー側抗体を提供し、もう一方の抗体が
放射性物質や着色粒子又は酵素で標識されて検出側抗体
を提供する。キャプチャー側抗体を有するウェル内に試
料としての患者血清或いはその希釈液が添加され、所定
時間インキュベートされた後、該試料液をウェルから取
り除き、好適な緩衝液等によりウェル内を充分に洗浄
後、検出側の抗体がウェルに添加される。所定のインキ
ュベーションの後、ウェル内を洗浄し、キャプチャー側
抗体−測定対象物−検出側抗体複合体の生成を検出す
る。検出は、検出側抗体に標識された標識物質の性質に
依存し、放射性標識であれば放射線量が、着色粒子標識
であれば発色量や吸光度が、また酵素標識(ELISA
法)であれば、更に適当な基質をウェルに添加し、所定
のインキュベーション後の吸光度が検出される。なお、
上記ELISA法で酵素標識に用いる酵素に特に制限は
なく、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼやアルカリ性
フォスファターゼ等の酵素が有利に使用される。西洋ワ
サビペルオキシダーゼで標識する場合は、当該酵素の基
質として3,3’,5,5’−テトラメチルベンチジン等
がその基質として利用可能である。アルカリ性フォスフ
ァターゼを使用する場合は、基質としてp−ニトロフェ
ニル燐酸が基質としてあげられる。なお、競合アッセイ
では、上記標識抗体の代わりに標識されたRETまたは
その免疫学的等価物が使用され、該物質と試料中の被検
物質との特異的抗体結合に関する競合が測定される。
【0031】本発明のイムノアッセイは、上記の抗体を
含むキットを用いて容易に実施することができる。サン
ドウィッチ法に基づくELISA用キットの例では、キ
ャプチャー用としての抗体からなる試薬と、検出用とし
ての酵素標識した抗体からなる試薬及び適切な酵素基質
がキットに含まれ得る。洗浄用の緩衝液や、ウェルへの
非特異的吸着を抑制するブロッキング用試薬等が更に含
まれてもよい。そのようなキットの構成及びその製造方
法は当業者にとって公知であろう。更に、該キットは、
いわゆるイムノクロマトの形態で使用することも可能で
ある。そのようなイムノクロマトの製造方法は、例え
ば、特開平2−132375号公報に記載されている。
【0032】更に、RET遺伝子の発現をRET遺伝子
産物(RET)の生成として検出する場合、当該RET
に特異的に結合するペプチド(RET結合ペプチド;以
下、「RBP」と略す。)も上記抗体と同様にして利用
できる。すなわち、上記イムノアッセイにおける特異抗
体を、そのような特異的ペプチドに置き換えることで、
RETの生成を検出することが可能であり、イムノアッ
セイのプロトコールはそのままRBPを用いた検出に応
用できる。
【0033】好ましいRBPの例は、以下の配列番号1
9乃至26(配列表フリーテキスト:RET bind
ing peptide)のアミノ酸配列を有するペプ
チドである。
【0034】 KAGRGRDR(1文字表記、配列番号19) GRGRDR(1文字表記、配列番号20) GCVRLVTGRGTR(1文字表記、配列番号2
1) GSKAGRGRDRRR(1文字表記、配列番号2
2) GWANGTSRVVRR(1文字表記、配列番号2
3) ISCSGALRLPYW(1文字表記、配列番号2
4) ILSGWRGLAPCI(1文字表記、配列番号2
5) GTLKGLRQGRHV(1文字表記、配列番号2
6) 上記のうち、配列番号19および配列番号20のアミノ
酸配列を有するペプチドは、各々、RBP−1およびR
BP−3と命名され、本発明のRBPのうち特に好まし
いものである。RBP−1およびRBP−3は、ランダ
ム・ペプチド・ディスプレイ・ライブラリー(Flit
rx(商品名)、Invitrogen社製)により得
られた12アミノ酸残基からなるペプチドのチオレドキ
シン融合体を、RETに対する結合能力に関してスクリ
ーニングした結果得られた6種類のRET結合ペプチド
(配列番号21乃至配列番号26により表される)に存
在するグリシンとアルギニンの反復モチーフを参照して
化学的に合成されたペプチドである。当該RBP−1お
よびRBP−3は、他のRET結合ペプチド同様にRE
Tに特異的に結合することが確認された。
【0035】従って、本発明のRBPを用いるRET
伝子発現の検出方法では、該RBPがRET特異的抗体
と同様、対応するイムノアッセイの方式に応じて標識化
され、或いは固相化され、そのような標識或いは固相化
RBPも本発明のRBPに含まれる。病理組織切片を用
いた検出方法の例では、RBPをビオチン化し、これを
該切片と接触させ、形成されたビオチン化RBPとRE
Tの複合体を、ストレプトアビジンにコンジュゲートし
たFITC(SA−FITC)により蛍光的に可視化
し、これを検出すればよい。
【0036】更に、RBPは、通常、C末端がカルボキ
シル基(−COOH)またはカルボキシレート(−CO
O−)であるが、C末端がアミド(−CONH2)また
はエステル(−COOR)であってもよい。ここでエス
テルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC
1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキ
シルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニ
ル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベ
ンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基
もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C
1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、ピバ
ロイルオキシメチルエステルなどが用いられる。本発明
のRBPがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボ
キシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミ
ド化またはエステル化されているものも本発明のRBP
に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記
したC末端のエステルなどが用いられる。さらに、本発
明のRBPには、N末端のメチオニン残基のアミノ基が
保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6
アシル基など)で保護されているもの、分子内のアミノ
酸の側鎖上にある、例えばOH、COOH、NH2、S
Hなどが適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル
基などのC1-6アシル基など)で保護されているものも
含まれる。なお、本発明のRBPの合成は、当業者に周
知のいかなる方法を用いても行なうことができ、簡便に
は、ペプチド合成機(例えば、ペプチドシンセサイザー
430A型、PerkinElmerJapan社製)
を使用した化学合成法によって実施できる。
【0037】本発明のRBPを用いるRET遺伝子発現
の検出方法は、上記のとおり、対応するイムノアッセイ
においてRET特異的抗体をRBPに置き換えることに
より達成することができ、従って、当該検出のためのキ
ットもイムノアッセイのキットと対応付けることができ
る。例えば、サンドウィッチ法に基づくELISA類似
のキットの例では、キャプチャー用としての抗体の代わ
りとなるRBPからなる試薬と、検出用としての酵素標
識抗体の代わりの標識RBPからなる試薬及び適切な酵
素基質がキットに含まれ得る。洗浄用の緩衝液や、ウェ
ルへの非特異的吸着を抑制するブロッキング用試薬等が
更に含まれてもよい。病理組織切片における検出のため
のキットの例では、ビオチン化したRBPとSA−FI
TCがキットに含まれ得る。そのようなキットの構成及
びその製造方法は当業者にとって公知であろう。更に、
該キットは、いわゆるイムノクロマト類似の形態で使用
することも可能である。そのような装置の製造方法も、
上記の特開平2−132375号公報に記載されてい
る。
【0038】前述の如く、RET遺伝子は卵巣腫瘍細胞
において高率で発現していることが今や明らかとなり、
従って、卵巣腫瘍マーカー物質であるRETが卵巣腫瘍
治療のための標的分子として利用できることが示され
た。すなわち、本発明の別の側面によれば、卵巣腫瘍マ
ーカー物質としてのRETを標的分子とした卵巣腫瘍治
療のための医薬が提供され、RETに特異的に結合する
抗体或いはRETに特異的に結合するペプチド(RB
P)は当該医薬の活性成分をRET遺伝子発現細胞に指
向させ得る。また、RBPは、卵巣腫瘍細胞のほか、R
ETの発現が報告されている他の腫瘍の治療にも用いる
ことができる。
【0039】そのような医薬は、RET特異的抗体また
はRET結合ペプチド(RBP)と制癌作用を有する化
合物または細胞毒素とをコンジュゲートした物質、或い
は、いわゆる遺伝子治療においては、RET特異的抗体
またはRET結合ペプチド(RBP)とアンチセンス核
酸などのRET遺伝子の発現を抑制する核酸とをコンジ
ュゲートした物質を用いることにより製造され得る。
【0040】制癌化合物としては、当業者に周知のいか
なる化合物をも用いることができ、その好ましい例とし
ては、タキソール、シスプラチン、アドリアマイシン、
エピルビシン、サイクロフォスファマイドおよびカンプ
トテシンがあげられるがこれに限定されない。抗体或い
はRBPのようなペプチドと制癌化合物をコンジュゲー
トする方法はよく知られており、例えば、国際公開WO
99/25729号公報、特公平6−11713号公報
および日本国特許第3169223号公報を参照された
い。
【0041】いわゆる遺伝子治療においては、上記制癌
化合物に換えて、アンチセンス核酸などのRET遺伝子
の発現を抑制する核酸が抗体或いはRBPとコンジュゲ
ートされる。好ましいアンチセンス核酸は、RETをコ
ードするmRNAを作り出すのに必要なゲノム領域から
pre−mRNAへの転写段階、pre−mRNAから
成熟mRNAへのプロセッシング段階、核膜通過段階、
蛋白への翻訳段階のいずれかで、遺伝子情報を担うDN
AもしくはRNAに結合し、遺伝情報の伝達の正常な流
れに影響を与えて蛋白質の発現を調節するものを意味
し、RET遺伝子の核酸配列の全体あるいはいずれかの
部分に相補する配列からなるものであってもよい。ま
た、ゲノム領域から転写されるmRNAがイントロン構
造あるいは5’末端や3’末端に被翻訳領域を含む形で
あるときは、かかる非翻訳部分の配列に相当あるいは相
補するアンチセンス核酸も利用できる。アンチセンス核
酸は、DNAやRNAの他、その立体構造や機能がDN
AあるいはRNAと類似する各種誘導体のすべてを含む
ものである。例えば、3’末端もしくは5’末端に他の
物質が結合した核酸、オリゴヌクレオチドの塩基、糖、
リン酸の少なくともいずれか1つにおいて置換や修飾が
生じた核酸、天然には存在しないような塩基、糖あるい
はリン酸を有する核酸、糖−リン酸骨格以外の骨格(バ
ックボーン)を有する核酸等が挙げられる。これらの核
酸は、ヌクレアーゼ耐性、組織選択性、細胞透過性、結
合力の少なくとも1つが高められた誘導体として好適で
ある。また、一般的には、ステム・ループを形成してい
るmRNAのループ部分にハイブリダイズするような塩
基配列、すなわちステム・ループを形成している領域の
塩基配列に相補的な塩基配列をもつアンチセンス核酸、
あるいは、翻訳開始コドン付近、リボソーム結合部位、
キャッピング部位、スプライス部位に結合するようなア
ンチセンス核酸、すなわちこれらの部位の配列に相補的
な配列を有するアンチセンス核酸も、一般に高い発現抑
制効果が期待できる点で好ましい。
【0042】上記の医薬は、例えば、丸剤、錠剤、フィ
ルムコーティング錠、糖衣錠、顆粒剤、硬および軟ゼラ
チンカプセル剤、水性、アルコール性または油性溶液、
シロップ、エマルションまたは懸濁液の形で経口的に、
または、例えば坐剤の形で直腸的に投与できる。しか
し、投与は、例えば皮下、筋肉内または静脈内に、注射
溶液または点滴溶液の形で行なうこともできる。好まし
い投与形態は、例えば、処置する疾病およびその重度に
依存する。
【0043】本発明に記載の医薬は、医薬製品の製造に
既知の標準的なプロセスにより製造できる。
【0044】この目的のために、RET特異的抗体また
はRET結合ペプチド(RBP)と制癌作用を有する化
合物または細胞毒素とをコンジュゲートし、或いは、R
ET特異的抗体またはRET結合ペプチド(RBP)と
アンチセンス核酸などのRET遺伝子の発現を抑制する
核酸とをコンジュゲートした物質を、1つ以上の固体ま
たは液体医薬担体および/または添加剤または賦形剤
と、所望であれば、他の活性医薬成分と組合せて配合
し、適切な投与形または投与量形にし、医薬とすること
ができる。医薬製品は、RET特異的抗体またはRET
結合ペプチド(RBP)と制癌作用を有する化合物また
は細胞毒素とをコンジュゲートし、或いは、いわゆる遺
伝子治療においては、RET特異的抗体またはRET結
合ペプチド(RBP)とアンチセンス核酸などのRET
遺伝子の発現を抑制する核酸とをコンジュゲートさせた
物質を含み、これは通常、医薬製品の0.5から90重
量%の量である。
【0045】例えば、丸剤、錠剤、糖衣錠、および硬ゼ
ラチンカプセル剤を製造するために、ラクトース、デン
プン、例えばコーンスターチまたはデンプン誘導体、タ
ルク、ステアリン酸、またはその塩等を使用できる。軟
ゼラチンカプセル剤および坐剤の担体は、例えば、脂
肪、ワセリン、半固体および液体ポリオール、天然また
は硬化油等である。溶液、例えば注射溶液、またはエマ
ルションまたはシロップの製造に適切な担体の例は、
水、生理的食塩水、アルコール、例えばエタノール、グ
リセロール、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコ
ース、マンニトール、植物油等である。
【0046】医薬製品はまた、活性成分および担体の他
に、慣用的な添加剤、例えば充填剤、崩壊剤、結合剤、
潤滑剤、湿潤剤、安定化剤、乳化剤、分散剤、保存剤、
甘味剤、着色剤、香味剤、または芳香剤、増粘剤、希釈
剤、緩衝物質、また溶媒または可溶化剤、または、徐放
作用を達成するための手段、浸透圧を変化させる塩、コ
ーティング物質または抗酸化剤を含み得る。
【0047】投与するRET特異的抗体またはRET結
合ペプチド(RBP)と制癌作用を有する化合物または
細胞毒素とをコンジュゲートし、或いは、いわゆる遺伝
子治療においては、RET特異的抗体またはRET結合
ペプチド(RBP)とアンチセンス核酸などのRET
伝子の発現を抑制する核酸とをコンジュゲートした物質
の投与量は、個々の症例に依存し、慣用的な方法で最適
な効果について個々の環境に適合すべきである。従っ
て、処置する疾病の性質および重度、および、処置する
患者の性、年齢、体重および個々の応答、使用する化合
物の強度および作用時間、または上記のコンジュゲート
に加えて他の活性成分を投与するかどうかに依存する。
【0048】タキソールを特異的抗体にコンジュゲート
した物質の例では、一般に、タキソールとして、患者の
体表面積1m2あたり105乃至135mgの1日量が
投与に適切である。1日量は、1回投与量で、または特
に大量投与の場合、例えば2、3または4回の複数の単
回投与量に分割し得る。個々の特徴に応じて、適宜、記
載の1日量より上下に変動させることが必要であり得
る。
【0049】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0050】
【実施例】実施例1 卵巣癌細胞株におけるRET遺伝
子の発現RET 遺伝子の発現を4種類の卵巣癌細胞株で調べた。
本実施例に用いた卵巣癌細胞株は2008、D240、
2780ADおよび2780CPであり、2008株
は、Howell.S.B氏(カリフォルニア大学サン
・ディエゴ校・Cancer Center、La J
olla,CA.92093)から、D240株は、理
化学研究所セルバンクから、2780AD株および27
80CP株は、Hamilton.P.C.氏(Fox
Chase Cancer Center、Phil
adelphia,PA−19111)から、各々、入
手した。これらの細胞株は、10%牛胎児血清(Sig
ma社製)を含むDulbeccoの修飾Eagle’
s medium(日本水産社製)内で培養した。陽性
対照としてNB−39−nu(ヌードマウス移植neu
roblastoma由来、理化学研究所セルバンクか
ら入手)を用い、これは10%牛胎児血清を含むのIs
covesの修飾Dulbecco’s medium
内で培養した。HeLa(cervical epit
helial carcinoma)およびANCA3
(endometrial adenocarcino
ma)を陰性対照として用いた。
【0051】RET遺伝子発現の確認は免疫染色法を用
いて行い、特異抗体としては論文(Yano,L.,S
himura,M.,Taniguchi,M.,Ha
yashi,Y.,Suzuki,T.,Hatak
e,K.,Takaku,F.and Ishizuk
a,Y., Improved gene trans
fer to neuroblastoma cell
s by a monoclonal antibod
y targeting RET, a recept
or turosine kinase., Hum.
Gene.Ther., 11:995−1004,2
000)の方法に基づいて調製したものを用いた。免疫
複合体の検出は、CSA system(Wako社
製)により、製造者の指示に従って行なった。
【0052】その結果、上記4種の卵巣癌細胞ではRE
T遺伝子の発現が認められ、HeLaおよびANCA3
細胞では発現が観察されなかった(図1)。
【0053】なお、RETのC末端20アミノ酸残基か
らなるポリペプチドを用いて製造されたポリクローナル
抗体による、細胞の全抽出物或いは膜画分に対するウエ
スタン・ブロッテイングの結果、2008およびD24
0細胞株において観測されたRETは130kDaの分
子量を有していたのに対し、NB−39−nuにおいて
は150および170kDaであった。ウエスタン・ブ
ロットに用いた第1抗体をその抗原(RETのC末端ペ
プチド)とプレ・インキュベーションした後に再度検査
を行なうとウエスタン・ブロッテイングの像が完全に消
失することから、上記130kDaに検出されたバンド
もRETであったと結論される(図2)。このような分
子量の違いは、RET分子のグリコシル化の程度の相違
を反映しているものと考えられる(Takahash
i,M.,et al., Identificati
on of the ret proto−oncog
ene products in neuroblas
toma and leukemia cells.,
Oncogene, 6:297−301,199
7)。
【0054】また、2008細胞株において、FITC
で標識したRETのコスミド・クローン(10q11.
2)およびCy5で標識した中心体マーカーであるCE
N(10q11.1−q11.1)(図3)を用いてF
ISH分析(Shimura,M.,et al.,M
icronuclei formation with
chromosome break and gen
e amplification caused by
Vpr, an accessory gene o
f human immunodeficiency
virus.,Cancer Res., 59:22
59−2264,1999に準ずる)を行なったとこ
ろ、RET遺伝子の増幅や転座は認められなかった(図
4)。さらに、2008細胞株においてRET遺伝子を
PCR増幅し(Oriola,J.,et al.,
Novel point mutation in e
xon 10 of the ret proto−o
ncogene in afamily with m
edullary thyroid carcinom
a., Am.J.Med.Genet., 78:2
71−273、1998参照)、そのエキソン10、1
1および13−16について塩基配列の解析を行なった
ところ、それらの部位に変異は認められなかった。
【0055】実施例2 卵巣腫瘍手術例におけるRET
遺伝子の発現 慈恵医大の倫理委員会および患者の承認を得て、198
9〜1995年の卵巣腫瘍手術症例192例(卵巣癌9
0例、境界悪性15例および良性87例)について、そ
のパラフィン包埋切片での免疫組織化学的解析を実施し
た。免疫染色には、RETのC末端20アミノ酸残基か
らなるポリペプチドを抗原に用いて製造した家兎ポリク
ローナル抗体を第1抗体として用い(Ishizuk
a,Y.,Shima,H.,Sugimura,T.
and Nagao,M., Detection
of phosphorylated retTPC
oncogene product in cytop
lasm., Oncogene, 7:1441−1
444,1992)、免疫複合体の検出にはperox
idaseにコンジュゲートしたヤギ抗家兎IgG抗体
を第2抗体として用いて、Immunostar試薬
(商品名、Wako社製)により検出した(図5)。
【0056】その結果、免疫染色の陽性率は、卵巣癌で
61.1%、境界悪性卵巣腫瘍で40%、良性卵巣腫瘍
で20.7%であり、卵巣癌の組織型別陽性率は、明細
胞腺癌で75.9%、漿液性腺癌で33.3%、粘液性腺
癌で73.7%、類内膜腺癌で66.6%、未分化癌で5
0.0%および悪性混合性上皮性腫瘍では100%であ
った。この結果から、RET遺伝子産物が卵巣腫瘍マー
カーとなり得ることが示された。
【0057】実施例3 RBPの同定 RET細胞外ドメインに相当する組換えタンパク質を文
献(Yano,L.,Shimura,M.,Tani
guchi,M.,Hayashi,Y.,Suzuk
i,T.,Hatake,K.,Takaku,F.
and Ishizuka,Y., Improved
gene transfer toneurobla
stoma cells by a monoclon
alantibody targeting RET,
a receptor turosine kina
se., Hum.Gene.Ther., 11:9
95−1004,2000)の方法により発現させ、精
製した。当該タンパク質(20μg)を6cm径のプレ
ート(Nunc社製)にコーティングした。RET結合
タンパク質(RBP)は、ランダム・ペプチド・ディス
プレイ・ライブラリー(Flitrx(商品名)、In
vitrogen社製)内から、製造業者が推奨するプ
ロトコールに準じてスクリーニングした(Lu,Z.,
et ai., Expression of thi
oredoxin randompeptide li
braries on the escherichi
a coli cell surface as fu
nctional fusions to flage
llin: a system designed f
or exploring protein−prot
ein interactions., Biotec
hol., 13:366−372,1995)。この
ライブラリーにおいては、12アミノ酸残基からなるペ
プチドがチオレドキシンに融合した融合タンパク質とし
て発現された。該融合タンパクを発現するバクテリアの
プールを上記プレートに添加して、室温で1時間インキ
ュベートした後、PBSで5回、プレート内を緩やかに
洗浄した。プレートに結合したバクテリアはアンピシリ
ン含有培地に回収し、この操作を5回繰り返した。最終
的に回収されたバクテリアをクローニングし、そのプラ
スミドを精製した。精製したプラスミドに関して塩基配
列決定した。
【0058】その結果、図6に示す6種類のペプチド
(各々、配列番号21乃至26)をRET結合ペプチド
として同定した。
【0059】実施例4 RBP−1およびRBP−3 上記6種のRET結合ペプチドのアミノ酸配列中のグリ
シンとアルギニンの反復モチーフに着目して、クローン
27のペプチドから誘導されるRBP−1(配列番号1
9)およびRBP−3(配列番号20)をSawady
Technology(Tokyo)に依頼して化学
的に合成した。
【0060】RBP−1のRET遺伝子発現細胞への結
合を確かめるため、当該細胞を氷冷メタノールにより固
定化し、その後10μg/mlのビオチン化したRBP
−1とともにインキュベートした。0.02重量%のT
ween20を添加したPBSで洗浄後、細胞を更にス
トレプトアビジンにコンジュゲートしたFITC(SA
-FITC、Zymed社製)を含む溶液とともにイン
キュベートした。なお、細胞の核を可視化するために、
上記細胞を更に4’6−ジアミヂノ−2−フェニルイン
ドール(DAPI、Sigma社製)で染色し、染色し
た細胞を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、RBP−1
は、NB−39−nuや2008細胞株を含むRET陽
性細胞と結合するが対照としてのHeLa細胞には結合
しないことが示された(図7)。なお、図7において、
RBP−1の4位と6位のアルギニンをアラニンに置換
したペプチドでは、RET陽性細胞に対する結合が観察
されなかった。さらに、RETを発現しない野生型のR
CN−9細胞では、やはりRBP−1の結合が観察され
ず、一方、RETで形質転換したRCN−9においては
RBP−1の結合が観察された(図8)。この結果か
ら、RBP−1はRETに特異的に結合することが示さ
れた。
【0061】実施例5 RBP−1およびRBP−3の
RET発現細胞内への取り込み RBP−1およびRBP−3がRET遺伝子を発現する
細胞を標的とした医薬に使用できるかどうかを確かめる
ため、RBP−1およびRBP−3のRET陽性細胞へ
の取り込みを調べた。
【0062】実験は、NB−39−nu(RET陽性)
およびHeLa(RET陰性)細胞の培養物にビオチン
化したRBPを添加することにより行い、当該添加の翌
日に細胞を氷冷メタノールで15分間処理して固定し、
0.2重量%のTritonX−100で更に処理する
ことにより行なわれた。このようにして細胞膜に結合し
たRBPを除去し、細胞内に取り込まれたRBPのみを
測定することとした。上記の細胞は、更にSA−FIT
C溶液内で、室温、45分間インキュベートし、その
後、0.02%Tween20を含むPBSで3回洗浄
した。更に1μg/mlのDAPIで染色し、蛍光顕微
鏡下で観察した。
【0063】その結果、RBP−1およびRBP−3の
双方がNB−39−nuに取り込まれることを確認した
(図9)。
【0064】次に、RBP−3がイン・ビボでの診断試
薬としても使用可能かどうかを確認するために、ヌード
マウスの皮下に5x105の2008細胞を接種し、そ
の後、当該担癌マウスの腹腔にRBP−3を注入した。
注入1時間後に腫瘍を採取して検査した。結果を図10
に示す。血管周囲の部位に位置する腫瘍細胞は陽性に染
色され、対照として生理食塩水を投与したものでは陽性
のシグナルが観測されなかった。
【0065】以上の結果は、RBPが、RET遺伝子の
発現検出の試薬として並びにRETを標的とする医薬と
して応用可能なことを示す。
【0066】
【発明の効果】本発明のRET遺伝子産物からなる卵巣
腫瘍マーカー物質は、卵巣腫瘍の診断における指標とな
り得、また当該マーカーを標的分子とした腫瘍の治療方
法をも提供する。
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Sasaki, Hiroshi <120> Novel ovarian carcinoma marker, method of analysing the marker, kit for analysing the marker and medicament for treating ovarian carcinoma. <130> I-SSH-1 <160> 26 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 1 agatcctgga ggatccaaag 20 <210> 2 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 2 gtatttggcg tactccacga 20 <210> 3 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 3 atttgcctgg cagatctcac 20 <210> 4 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 4 cacagcagga caccaaaaga 20 <210> 5 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 5 caccatgggc gacctcat 18 <210> 6 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 6 gacaagccga aatccgaaat c 21 <210> 7 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 7 gcctggagag agtcctgtac ca 22 <210> 8 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 8 tgagggtgaa agcatccagt ta 22 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 9 tttgcctggc agatctcaca 20 <210> 10 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 10 agccgaaatc cgaaatcttc a 21 <210> 11 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 11 gaccgtacat gactataggc tggtt 25 <210> 12 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 12 gccctggaag tctgagtcat tg 22 <210> 13 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 13 gtgaggccaa ggcttggat 19 <210> 14 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 14 tgtccaataa gcatttttca aactct 26 <210> 15 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 15 ctggagttca agcggaagga 20 <210> 16 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 16 ctcccctgat gcaggtacca 20 <210> 17 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 17 ggatggagag gccagacaac t 21 <210> 18 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:primer <400> 18 ggctcctgct tccagcatt 19 <210> 19 <211> 8 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 19 Lys Ala Gly Arg Gly Arg Asp Arg 1 5 <210> 20 <211> 6 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 20 Gly Arg Gly Arg Asp Arg 1 5 <210> 21 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 21 Gly Cys Val Arg Leu Val Thr Gly Arg Gly Thr Arg 1 5 10 <210> 22 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 22 Gly Ser Lys Ala Gly Arg Gly Arg Asp Arg Arg Arg 1 5 10 <210> 23 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 23 Gly Trp Ala Asn Gly Thr Ser Arg Val Val Arg Arg 1 5 10 <210> 24 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 24 Ile Ser Cys Ser Gly Ala Leu Arg Leu Pro Tyr Trp 1 5 10 <210> 25 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 25 Ile Leu Ser Gly Trp Arg Gly Leu Ala Pro Cys Ile 1 5 10 <210> 26 <211> 12 <212> PRT <213> Artificial Sequence <223> Description of Artificial Sequence:RET binding peptide <400> 26 Gly Thr Leu Lys Gly Leu Arg Gln Gly Arg His Val 1 5 10
【図面の簡単な説明】
【図1】 卵巣癌細胞でのRETの発現に関する免疫組
織化学的解析結果を示す図面代用写真である。HeL
a、2008、A2780AD、NB−39−nu、D
*240およびAN3CAについて免疫染色を行なっ
た。赤色は抗RET抗体、緑色は抗核抗体を表す。
【図2】 卵巣癌細胞株におけるRETタンパク質の検
出を示す図面代用写真である。卵巣癌細胞株で発現され
たRETの分子量は130kDaである(上段パネ
ル)。
【図3】 RETのコスミド・クローン(10q11.
2)および中心体マーカーCEN(10q11.1−q
11.1)を示す図である。
【図4】 2008細胞株におけるRETのキャラクタ
リゼーションを示す図面代用写真である。FISH分析
の結果、RET遺伝子の増幅、転座は認められない。
【図5】 卵巣腫瘍の免疫組織化学的解析結果を示す図
面代用写真である。漿液性腺癌、粘液性腺癌および明細
胞腺癌について示した。左欄は第1抗体を用いない場合
(対照)、右欄は家兎抗RET抗体による。
【図6】 ランダム・ペプチド・ディスプレイ・ライブ
ラリーから得られたRBPを示す図である。各々、配列
番号21乃至26に対応。ボックスはグリシンとアルギ
ニンの反復モチーフを示す。
【図7】 RET陽性細胞に対するRBP−1の結合を
示す図面代用写真である。パネル1はNB−39−nu
(陽性対照)、パネル2はHeLa細胞(陰性対照)、
パネル3はRET陽性細胞である2008細胞へのRB
P−1の結合を示す。パネル4はRBP−1の4位と6
位のアルギニンをアラニンに置換したペプチドによる2
008細胞での結果を示し、特異的結合は認められな
い。
【図8】 RET発現に依存したRBP−1の結合を示
す図面代用写真である。ラット大腸癌細胞株RCN−9
をRET cDNAの発現プラスミドで形質転換した。
パネル1はベクタープラスミドのみで形質転換したRC
N−9、パネル2はRET cDNAによる形質転換
体。
【図9】 RET陽性細胞へのRBPの取り込みを示す
図面代用写真である。ビオチン化したRBP−1および
RBP−3を培養物に加えた。赤色はRBP、緑色は核
からのシグナルを示す。
【図10】 RET陽性卵巣癌細胞でのRBP−3の蓄
積を示す図面代用写真である。2008細胞株を接種し
たヌードマウスの腹腔にビオチン化RBP−3(パネル
3および4)或いは生理食塩水(パネル1および2)を
注射して投与した。1時間後腫瘍を摘出し分析した。検
出はSA-FITCにより行なった。パネル1および3
は低倍率(x100)、パネル2および4は高倍率(x
400)での観察結果で、パネル2および4は、各々、
パネル1および3の囲み部分に相当する。矢印は血管内
の赤血球による蛍光を示し、赤血球自体が本来有する自
家蛍光であると考えられる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 15/00 A61P 35/00 4C085 35/00 C12N 9/12 C12N 9/12 C12Q 1/02 C12Q 1/02 1/68 A 1/68 G01N 33/53 D G01N 33/53 33/566 33/566 33/574 A 33/574 33/577 B 33/577 C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 CA04 CA09 HA14 4B050 CC03 DD11 LL01 LL03 4B063 QA19 QQ03 QQ08 QQ44 QR55 QR62 QS25 QS33 QS34 4C076 CC26 CC27 EE41 FF68 4C084 AA13 MA05 NA13 ZA81 ZB26 4C085 AA13 AA14 BB01 BB07 CC21 EE01 EE05

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 RET遺伝子産物からなる卵巣腫瘍マ
    ーカー物質。
  2. 【請求項2】 RET遺伝子の発現を検出することを
    特徴とする、卵巣腫瘍マーカーの検査方法。
  3. 【請求項3】 上記RET遺伝子発現の検出が、RE
    遺伝子の転写物またはその断片を特異的に増幅するプ
    ローブを用いたRT−PCR法により行われる請求項2
    に記載の検査方法。
  4. 【請求項4】 上記RET遺伝子発現の検出が、FI
    SH法により行われる請求項2に記載の検査方法。
  5. 【請求項5】 上記RET遺伝子発現の検出が、RE
    遺伝子産物に特異的に結合する抗体を用いたイムノア
    ッセイ法により行われる請求項2に記載の検査方法。
  6. 【請求項6】 上記RET遺伝子発現の検出が、RE
    遺伝子産物に特異的に結合する配列番号19乃至配列
    番号26のアミノ酸配列を有するペプチドから選択され
    る1以上のペプチドを用いて行われる請求項2に記載の
    検査方法。
  7. 【請求項7】 RET遺伝子の発現が、卵巣腫瘍細胞
    の悪性度の指標となる請求項2乃至6のいずれか1項に
    記載の検査方法。
  8. 【請求項8】 RET遺伝子の発現が、卵巣腫瘍細胞
    の組織型の指標となる請求項2乃至6のいずれか1項に
    記載の検査方法。
  9. 【請求項9】 患者由来のバッフィーコートを試料に
    用いることを特徴とする、請求項3または4に記載の検
    査方法。
  10. 【請求項10】 患者由来の血清または病理組織切片を
    試料に用いることを特徴とする、請求項5または6に記
    載の検査方法。
  11. 【請求項11】 請求項3に記載の卵巣腫瘍マーカーの
    検査のためのキットであって、該キットは、プライマー
    として配列番号1乃至18の塩基配列を有する核酸から
    選択される1以上の核酸を含むことを特徴とする、前記
    キット。
  12. 【請求項12】 請求項5に記載の卵巣腫瘍マーカーの
    検査のためのキットであって、該キットは、RET遺伝
    子産物に対するモノクローナル抗体および/またはポリ
    クローナル抗体を含むことを特徴とする、前記キット。
  13. 【請求項13】 請求項6に記載の卵巣腫瘍マーカーの
    検査のためのキットであって、該キットは、配列番号1
    9乃至配列番号26のアミノ酸配列を有するペプチドか
    ら選択される1以上のペプチドを含むことを特徴とす
    る、前記キット。
  14. 【請求項14】 卵巣腫瘍を治療するための医薬であっ
    て、該医薬は、RET遺伝子産物に対する特異的抗体に
    コンジュゲートするか、或いは配列番号19乃至配列番
    号26のアミノ酸配列を有するペプチドから選択される
    ペプチドにコンジュゲートした制癌化合物を含むことを
    特徴とする、前記医薬。
  15. 【請求項15】 制癌化合物が、タキソール、シスプラ
    チン、アドリアマイシン、エピルビシン、サイクロフォ
    スファマイドおよびカンプトテシンからなる群から選択
    される請求項14に記載の医薬。
  16. 【請求項16】 腫瘍を治療するための医薬であって、
    該医薬は、RET遺伝子産物に対する特異的抗体にコン
    ジュゲートするか、或いは配列番号19乃至配列番号2
    6のアミノ酸配列を有するペプチドから選択されるペプ
    チドにコンジュゲートしたRET遺伝子の発現を阻害し
    うる核酸を含むことを特徴とする、前記医薬。
JP2002104215A 2002-04-05 2002-04-05 新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬 Pending JP2003289877A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002104215A JP2003289877A (ja) 2002-04-05 2002-04-05 新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002104215A JP2003289877A (ja) 2002-04-05 2002-04-05 新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003289877A true JP2003289877A (ja) 2003-10-14

Family

ID=29242875

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002104215A Pending JP2003289877A (ja) 2002-04-05 2002-04-05 新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003289877A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2223113A1 (en) * 2007-12-21 2010-09-01 Siemens Healthcare Diagnostics Inc. Circulating ret receptor

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2223113A1 (en) * 2007-12-21 2010-09-01 Siemens Healthcare Diagnostics Inc. Circulating ret receptor
EP2223113A4 (en) * 2007-12-21 2011-04-06 Siemens Healthcare Diagnostics RECEIVER RET CIRCULANT

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Joutel et al. The ectodomain of the Notch3 receptor accumulates within the cerebrovasculature of CADASIL patients
EP1814909B1 (en) Use of aimp2dx2 for the diagnosis and treatment of cancer
US7507532B2 (en) Cancer specific gene MH15
CN101835894A (zh) Ebi3、dlx5、nptx1和cdkn3用作肺癌治疗和诊断的靶基因
CN105349618B (zh) 三阴性乳腺癌标记物及其在诊断和治疗中的应用
KR101393144B1 (ko) 요로상피암의 검출용 키트 및 방법
KR20140057354A (ko) 결장직장암의 치료 및 진단을 위한 방법 및 조성물
KR20050111733A (ko) 액티빈 βC의 수치의 조정에 특징이 있는 질병의 진단 및치료 방법과, 이 질병에 유용한 제제
EP1062514B1 (en) C-myc coding region determinant-binding protein (crd-bp)
EP2452948A1 (en) New tumor marker
JP2010512781A (ja) Vegfrの変化体ならびに妊娠関連の医学的状態の診断および処置におけるその使用
US7871788B2 (en) Method of judging grade of malignancy of carcinoma cell using ATBF-1
CN115707784A (zh) Usp10在非小细胞肺癌患者的诊断和预后评估中的应用
US20130243757A1 (en) Method for cancer detection
AU2008296927A1 (en) Methods for diagnosing and treating cancers
JP2003289877A (ja) 新規卵巣腫瘍マーカー物質、該マーカーの検査方法および該検査のためのキット並びに卵巣腫瘍治療用医薬
WO2005106039A1 (en) Ibc-1 (invasive breast cancer-1), a putative oncogene amplified in breast cancer
KR102074559B1 (ko) 위암의 항암제 내성 진단용 바이오마커 및 이의 용도
KR100861464B1 (ko) 발암/전이유전자 tip41과 이에 의해 코드되는 단백질 및이를 이용한 발암 및 전이 진단 키트
US20120195916A1 (en) Method of treating cancer by inhibiting trim59 expression or activity
CN112143805A (zh) Rit1在肝细胞癌的诊断和治疗中的应用
KR101373103B1 (ko) Pauf 및 그의 결합 파트너의 상호작용을 이용한 암 치료제의 스크리닝 방법
KR101516716B1 (ko) 간 섬유화 진단용 바이오마커 rorc
WO2021172315A1 (ja) Lamc2-nr6a1スプライシングバリアント及びその翻訳産物
JP5209699B2 (ja) 胃癌遺伝子ZNF312b、該遺伝子から翻訳されるタンパク質、ならびに診断キット及び該タンパク質を使用する抗癌剤スクリーニング方法