JP2003286643A - 炭素繊維フェルトの製造方法 - Google Patents

炭素繊維フェルトの製造方法

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JP2003286643A
JP2003286643A JP2002083766A JP2002083766A JP2003286643A JP 2003286643 A JP2003286643 A JP 2003286643A JP 2002083766 A JP2002083766 A JP 2002083766A JP 2002083766 A JP2002083766 A JP 2002083766A JP 2003286643 A JP2003286643 A JP 2003286643A
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carbon fibers
binder resin
carbon fiber
ultrafine
ultrafine carbon
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Fumikazu Machino
史和 町野
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一性に優れる極細炭素繊維フェルトを製造
する。 【解決手段】 極細炭素繊維に対して一流体ノズルを用
いてバインダー樹脂溶液を噴霧して炭素繊維フェルトを
製造する。前記方法において、極細炭素繊維集合体を開
繊して集綿部3に供給しつつ、一流体ノズルを有する噴
霧機7で、前記集綿部3にバインダー樹脂溶液を噴霧し
ながら、前記炭素繊維を綿状に堆積させてもよい。バイ
ンダー樹脂溶液の噴霧圧力は100〜1000kPa
(特に300〜900kPa)程度であってもよい。バ
インダー樹脂噴霧液の平均液滴径は20〜40μm程度
である。極細炭素繊維の平均繊維径は0.3〜10μm
(特に0.5〜5μm)程度である。極細炭素繊維は異
方性ピッチ系炭素繊維で構成されていてもよい。極細炭
素繊維とバインダー樹脂との割合は、極細炭素繊維10
0重量部に対してバインダー樹脂0.1〜50重量部程
度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極細炭素繊維フェ
ルトの製造方法、この製造方法で得られた炭素繊維フェ
ルトに関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維フェルトは、通常、図3に示す
ような工程を経て製造されている。すなわち、短繊維で
構成されたマット状炭素繊維を解きほぐして(粗開繊し
て)得られた炭素繊維集合体を、リザーブトランク1に
収容し、炭素繊維集合体を、開繊機2のガーネットシリ
ンダー2a(鋸刃状ワイヤーを捲いたシリンダー)で開
繊した後、集綿部3に供給し、サクションフード4によ
って吸引されたコンベア上に吸引落下させ、堆積させ
る。堆積した綿状炭素繊維5はコンベアで噴霧チャンバ
ー6に搬送され、噴霧チャンバー内で噴霧機7によりバ
インダー液を噴霧される。さらに、バインダー樹脂が付
着した綿状炭素繊維5は、加工工程に供され、所望の厚
みに折り畳まれた後、加熱成形される。
【0003】例えば、WO98/38140号公報に
は、綿状炭素繊維集合体を熱硬化性樹脂で接合した吸音
断熱材の製造方法として、ネットなどで捕集した炭素繊
維を、空気を吹きつける方法等で開繊し、これを落下さ
せ熱硬化性樹脂液を噴霧しながら堆積する方法(噴霧堆
積法)、及び開繊した炭素繊維を平面状に落下し堆積し
て粗な綿状集合体を形成し、この集合体に熱硬化性樹脂
液を噴霧する方法(堆積−噴霧法)が開示されている。
【0004】これらの方法において、バインダー樹脂溶
液の噴霧機は、二流体ノズルを有する噴霧機が使用され
ている。図4は、二流体ノズルの一例を示す概略断面斜
視図である。二流体ノズル30は、図4に示すように、
溶液を通過させる内筒部31と、エアー(圧縮空気)又
はガスを通過させる外筒部32とを有する二重構造で構
成されている。このノズルでは、バインダー溶液は、内
筒部31から吐出された溶液が、外筒部32から吐出さ
れたエアーと混合され、ノズルの外部で微粒子化(霧
化)される。
【0005】しかし、二流体ノズルを有する噴霧機を用
いた方法では、極細の炭素繊維を用いると、エアーによ
って集綿した炭素繊維が舞い上がって不均一となるため
に、得られる炭素繊維フェルトの密度の均一性が低下す
る。また、二流体ノズルを用いた方法では、エアーでバ
インダー溶液を拡散する必要があるため、広い噴霧スペ
ースが必要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、均一性に優れる極細炭素繊維フェルトを製造する方
法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、簡便に効率よく極細
炭素繊維フェルトを製造する方法を提供することにあ
る。
【0008】本発明のさらに他の目的は、厚みが大きく
ても均一性及び接合強度に優れる極細炭素繊維フェルト
を製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、一流体ノズルを
有する噴霧機でバインダー溶液を噴霧すると、均一性に
優れる極細炭素繊維フェルトを簡便に効率よく製造でき
ることを見出した。
【0010】すなわち、本発明の極細炭素繊維フェルト
の製造方法は、極細炭素繊維をバインダー樹脂で接合し
て炭素繊維フェルトを製造する方法であって、極細炭素
繊維に対して一流体ノズルを用いてバインダー樹脂溶液
を噴霧する。前記方法において、極細炭素繊維集合体を
開繊して集綿部に供給しつつ、前記集綿部にバインダー
樹脂溶液を噴霧しながら、前記炭素繊維を綿状に堆積さ
せてもよい。バインダー樹脂溶液の噴霧圧力は100〜
1000kPa(例えば、300〜900kPa)程度
であってもよい。バインダー樹脂噴霧液の平均液滴径は
15〜40μm程度である。極細炭素繊維の平均繊維径
は0.3〜10μm(特に0.5〜5μm)程度であ
る。極細炭素繊維は異方性ピッチ系炭素繊維で構成され
ていてもよい。極細炭素繊維とバインダー樹脂との割合
は、極細炭素繊維100重量部に対してバインダー樹脂
0.1〜50重量部程度である。
【0011】本発明には、前記方法で得られた炭素繊維
フェルトも含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】[極細炭素繊維フェルトの製造方
法]以下に、必要に応じて添付図面を参照しつつ本発明
の極細炭素繊維フェルトの製造方法を詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明の炭素繊維フェルトの製造
方法における製造工程の一例を示す概略図である。
【0014】マット状極細炭素繊維を解きほぐして得ら
れた極細炭素繊維集合体を、リザーブトランク1に収容
し、炭素繊維集合体を開繊機2のガーネットシリンダー
2aでさらに開繊した後、集綿部3に供給する。集綿部
3では、開繊された炭素繊維を供給しつつ、噴霧機7で
バインダー樹脂溶液を噴霧しながら、炭素繊維を綿状に
コンベア上に堆積させている。コンベアは、サクション
フード4によって下方から吸引されている。堆積した綿
状炭素繊維5は、コンベアで搬送され、加熱硬化して成
形される。
【0015】極細炭素繊維の種類としては、例えば、ピ
ッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭
素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維、再生セルロース系
炭素繊維(例えばレーヨン系炭素繊維、ポリノジック系
炭素繊維等)、セルロース系炭素繊維、ポリビニルアル
コール系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維の
うち、ピッチから得られた炭素繊維(ピッチ系炭素繊
維)を用いるのが好ましい。ピッチ系繊維は、慣用のピ
ッチを溶融紡糸することにより得ることができ、ピッチ
としては、石油系又は石炭系ピッチ等が使用できる。
【0016】ピッチ系炭素繊維は、例えば、ピッチ系繊
維を生成させるための紡糸工程、ピッチ系繊維の融着を
防止するための不融化又は耐炎化工程、及び不融化又は
耐炎化処理されたピッチ系繊維を炭化処理する焼成工程
を経て製造することができる。これらの工程は、非連続
的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。さらに、
焼成により生成した極細炭素繊維をフェルト化する工程
を半連続的に経てフェルトを製造してもよい。
【0017】紡糸工程では、慣用の紡糸方法が使用で
き、例えば、加熱溶融したピッチを紡糸ノズルから吐出
させるとともに、紡糸ノズルの周囲から加熱ガスを噴出
させるメルトブロー法を用いることができる。
【0018】不融化又は耐炎化工程では、例えば、不融
化炉において、150〜350℃、好ましくは160〜
340℃程度の酸化性気体(例えば、空気)を供給して
加熱することができる。
【0019】焼成工程では、例えば、焼成炉において、
不活性雰囲気又は真空下、400〜4000℃、好まし
くは500〜3000℃、さらに好ましくは700〜2
500℃程度で加熱する方法を使用できる。焼成工程で
は、温度2000〜4000℃(好ましくは2300〜
3300℃)程度で黒鉛化(グラファイト化)してもよ
い。
【0020】炭素繊維を形成するための炭素前駆体(例
えば、ピッチ)は、等方性前駆体(例えば、等方性ピッ
チなど)であってもよく、異方性前駆体(例えば、異方
性ピッチなど)であってもよいが、異方性前駆体(特に
異方性ピッチ)が好ましい。異方性ピッチとしては、例
えば、縮合多環式炭化水素(例えば、ナフタレン、アン
トラセン、フェナントレン、アセナフテン、アセナフチ
レン、ピレン等)を重合して得られた異方性ピッチなど
が挙げられる。従って、炭素繊維としては、異方性炭素
繊維が特に好ましい。
【0021】極細炭素繊維は、活性炭素繊維であっても
よい。これらの炭素繊維は、単独で又は二種以上組合わ
せて使用できる。
【0022】炭素繊維は、平均繊維径0.3〜10μ
m、好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは1〜
3μm程度の極細炭素繊維である。繊維径は、例えば、
紡糸ノズル径を制御することにより調整でき、通常、目
的の炭素繊維径よりも小さめの径の紡糸ノズルを用い
る。極細繊維は例えば、紡糸ノズルの吐出口の直径を
0.2〜0.5mm程度とし、ピッチの加熱溶融温度や
吐出速度、加熱ガスの温度や噴出速度を調整することに
より得られる。
【0023】前記炭素繊維は、平均繊維長1〜200m
m、好ましくは1〜100mm、さらに好ましくは3〜
50μm程度の短繊維である。
【0024】短繊維で構成された極細炭素繊維は、通
常、マット状の形態であり、不融化又は耐炎、炭化処理
での焼き縮により絡まっている場合が多い。そのため、
極細炭素繊維は、開繊して噴霧工程に供される。なお、
マット状炭素繊維は、単一の開繊によりフェルト化して
もよいが、粗開繊して炭素繊維集合体とした後、さらに
開繊して噴霧工程に供してもよい。開繊方法としては、
慣用の方法を使用でき、回転ドラムを備えた開繊機、特
に爪状突起部を有する回転ドラムを備えた開繊機(例え
ば、鋸刃状ワイヤーを巻いたシリンダー)を用いて開繊
するのが好ましい。
【0025】集綿部3において、極細炭素繊維を落下さ
せる方法は、自然落下でもよいし、空気流を利用して落
下させてもよい。極細炭素繊維は軽量であるため、好ま
しくは空気流を利用した方法(例えば、吸引装置を用い
て吸引させることにより落下させる方法)を用いること
ができる。
【0026】集綿部3における極細炭素繊維の供給量
は、コンベア速度やバインダー樹脂溶液の濃度等によっ
て異なり、特に限定されないが、炭素繊維の供給量は1
0〜1000g/分、好ましくは30〜500g/分、
さらに好ましくは50〜300g/分程度である。
【0027】本発明の方法では、噴霧工程において、噴
霧機7として、一流体ノズルを有する噴霧機を用いる。
図2は一流体ノズルの一例を示す概略断面図である。一
流体ノズル20は、図2に示すように、バインダー溶液
が導入されるノズル導入部21と、ノズル内部22と、
バインダー溶液が吐出されるノズル先端部23とで構成
されている。このノズルでは、加圧されたバインダー溶
液は、ノズル導入部21より、ノズル内部22に送られ
て、ノズル先端部23から微粒子状態で吐出される。
【0028】このように、一流体ノズルでは、エアーを
用いることなく、ノズル先端部の形状によって溶液を微
粒子化(霧状に)できる。従って、エアーを用いて溶液
を霧状にする二流体ノズルに比べて、低い圧力でバイン
ダー溶液を霧状にすることができる。そのため、噴霧圧
力は、例えば、100〜1000kPa程度の範囲から
選択でき、好ましくは300〜900kPa、さらに好
ましくは400〜850kPa(特に500〜800k
Pa)程度である。そして、一流体ノズルを用いた方法
では、このような低い噴霧圧力で溶液を微粒子化するた
めに、極細の炭素繊維であっても、炭素繊維が一定の速
度でコンベア上に落下し、コンベア上に堆積する繊維の
密度は均一となる。また、コンベア上に堆積した集綿体
に対してバインダー樹脂溶液を噴霧する場合であって
も、炭素繊維がバインダー樹脂溶液によって吹き飛ばさ
れるのが抑制されるため、炭素繊維の密度が一定とな
る。
【0029】一流体ノズルを用いた噴霧方法は、特に限
定されず、慣用のスプレー(噴霧機)によって噴霧して
もよいし、手動のスプレーで噴霧してもよい。
【0030】バインダー樹脂噴霧液の平均液滴径は、特
に制限されないが、例えば、10〜50μm、好ましく
は15〜40μm、さらに好ましくは20〜40μm
(特に20〜30μm)程度である。
【0031】バインダー樹脂溶液を構成するバインダー
樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等が使用で
きる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニル系樹脂、
アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、
熱可塑性エラストマー等が例示できる。熱硬化性樹脂と
しては、例えば、フェノール系樹脂(レゾール型、ノボ
ラック型フェノール樹脂等)、ポリウレタン系樹脂、ア
ミノ系樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂等)、フラン樹
脂、エポキシ系樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂
など)、ビニルエステル系樹脂、不飽和ポリエステル系
樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化性アクリル系樹
脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等が例示でき
る。熱硬化性樹脂には、慣用の硬化剤を使用してもよ
い。
【0032】これらのバインダー樹脂のうち、熱硬化性
樹脂(例えば、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹
脂、エポキシ系樹脂等)、特にフェノール系樹脂が好ま
しい。
【0033】バインダー樹脂溶液を構成する溶媒として
は、バインダー樹脂の種類によって異なるが、慣用の溶
媒を用いることができ、例えば、水、アルコール類(例
えば、エタノール、イソプロパノール等)、ハロゲン化
炭化水素類(例えば、塩化メチレンなど)、ケトン類
(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステ
ル類(酢酸エチルなど)、エーテル類(例えば、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン等)、セロソルブ類
(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、
芳香族炭化水素類(トルエンなど)、脂肪族炭化水素類
(ヘキサンなど)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサン
など)等が例示できる。これらの溶媒は、単独で又は二
種以上組み合わせて使用できる。
【0034】バインダー樹脂溶液において、バインダー
樹脂と溶媒の割合(重量比)は、溶媒/バインダー樹脂
=99/1〜50/50、好ましくは98/2〜60/
40、さらに好ましくは95/5〜70/30(特に9
5/5〜80/20)程度である。
【0035】噴霧工程では、慣用の方法により、集綿部
で極細炭素繊維を堆積させた後、噴霧チャンバーでバイ
ンダー樹脂溶液を噴霧してもよいが、図1に示すよう
に、開繊された極細炭素繊維の集綿部(又は集綿チャン
バー)3への供給と、集綿部3に対するバインダー樹脂
溶液の噴霧機7による噴霧とを併行して行ってもよい。
すなわち、極細炭素繊維集合体を開繊して集綿部3に供
給しながら、前記集綿部にバインダー樹脂溶液を噴霧し
てもよく、前記集綿部3にバインダー樹脂溶液を噴霧し
ながら、前記集綿部3に開繊した極細炭素繊維集合体を
供給してもよい。従って、集綿部3では、極細炭素繊維
が浮遊し、コンベア上にまで落下する行程で、噴霧され
たバインダー樹脂溶液が極細炭素繊維に付着するため、
全ての極細炭素繊維に略均一にバインダー樹脂溶液を付
着することができる。このように、極細炭素繊維の集綿
部への供給とバインダー樹脂溶液の噴霧とを併行して行
うことにより堆積させた綿状極細炭素繊維は、厚みが大
きくても、表層から内部まで均一にバインダー樹脂が浸
透している。噴霧は、極細炭素繊維がコンベア上にまで
落下する行程で行えばよく、噴霧する方向も特に限定さ
れず、極細炭素繊維の供給方向に対していずれの方向で
もよいが、極細炭素繊維とバインダー樹脂溶液との接触
効率を高めるためには、極細炭素繊維の供給方向に対し
て交差方向(図中、上方、下方や斜め方向等)、特に対
向方向(向流として)から噴霧するのが好ましい。
【0036】さらに、一流体ノズルを用いた噴霧方法
は、極細炭素繊維の集綿部への供給とバインダー樹脂溶
液の噴霧とを併行して行う方法に特に適している。すな
わち、二流体ノズルを用いた方法では、極細炭素繊維
は、落下してコンベア上に堆積するまでに、バインダー
樹脂溶液の噴霧流によって、広範に亘って飛散し易い。
また、噴霧スペースが小さいと、壁体からの反流などに
よって汚れが付着するため、噴霧スペースを広くする必
要がある。しかし、一流体ノズルを用いた方法では、エ
アーを用いることなく、低噴霧圧力で、バインダー樹脂
溶液を噴霧することができるため、極細炭素繊維の飛散
の程度が小さくなり、噴霧スペース(集綿部の容積)が
小さくてすむ。
【0037】バインダー樹脂溶液の噴霧量は、濃度や炭
素繊維の量、コンベア速度等によって異なり、特に限定
されないが、目付量で300g/m2以下(例えば、5
0〜300g/m2程度)の極細炭素繊維に対して、1
2当り、10〜1000g/分、好ましくは50〜5
00g/分、さらに好ましくは100〜400g/分程
度であり、固形分換算で、1〜100g/分、好ましく
は5〜50g/分、さらに好ましくは10〜40g/分
程度である。
【0038】極細炭素繊維とバインダー樹脂との割合
は、固形分換算で、極細炭素繊維100重量部に対して
バインダー樹脂0.1〜50重量部、好ましくは0.5
〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部(特に
10〜30重量部)程度である。
【0039】バインダー樹脂が熱硬化性樹脂の場合、樹
脂を熱硬化させるための温度は、熱硬化性樹脂の種類に
よって異なるが、通常、50〜400℃、好ましくは7
0〜300℃、さらに好ましくは100〜300℃程度
あり、硬化時間は、通常、1分間〜24時間、さらに好
ましくは1分間〜10時間、さらに好ましくは3分間〜
1時間程度である。熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂
を用いた場合、例えば、150〜300℃(特に180
〜270℃)程度の温度で、1〜10分間(3〜7分
間)程度硬化させてもよい。
【0040】[炭素繊維フェルト及び成形品]前記方法
で製造された炭素繊維フェルトは、厚みの如何に拘わら
ず高い均一性を有している。そのため、炭素繊維フェル
トの厚みは、特に制限されず、例えば、1〜100m
m、好ましくは5〜50mm、さらに好ましくは10〜
30mm程度であり、嵩密度は0.1〜30kg/
3、好ましくは0.5〜20kg/m3、さらに好まし
くは1〜10kg/m3程度である。バインダー樹脂が
熱硬化性樹脂の場合、硬化前の嵩密度は0.1〜10k
g/m3、好ましくは0.3〜5kg/m3、さらに好ま
しくは0.5〜3kg/m3程度である。
【0041】前記炭素繊維フェルトは、均一性に優れ、
例えば、嵩密度の均一性に優れている。また、厚みが大
きくても、バインダー樹脂が内部まで均一に浸透してい
るとともに、成形工程で必ずしも折り畳む必要がないた
め、剥離強度などの機械的特性に優れる。従って、この
炭素繊維フェルトで形成された成形品は、断熱材、吸音
材、緩衝材等、特に、断熱性や吸音性とともに、機械的
な強度も要求される用途(例えば、航空機、高速鉄道車
両、宇宙船等の高速輸送機用吸音断熱材など)に適して
いる。
【0042】
【発明の効果】本発明では、極細炭素繊維であっても、
均一性に優れる炭素繊維フェルトを製造できる。また、
極細炭素繊維であっても、簡便に効率よく炭素繊維フェ
ルトを製造できる。さらに、厚みが大きくても均一性及
び接合強度に優れた極細炭素繊維フェルトを製造でき
る。
【0043】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0044】実施例1 図1に示す装置を用いて、10重量%フェノール樹脂溶
液(溶媒:水)を一流体ノズルより平均液滴径20μm
として、300g/分で噴霧しながら、コンベア速度1
m/分で、平均繊維径2μmの極細炭素繊維を100g
/分の供給量で綿状に堆積させた後、250℃で5分間
硬化処理して炭素繊維フェルトを製造した。得られた炭
素繊維フェルトの特性を表1に示す。
【0045】比較例1 図1に示す装置を用いて、10重量%フェノール樹脂溶
液(溶媒:水)を二流体ノズルより平均液滴径10μm
として、400g/分で噴霧しながら、コンベア速度1
m/分で、平均繊維径2μmの極細炭素繊維を100g
/分の供給量で綿状に堆積させた後、250℃で5分間
硬化処理して炭素繊維フェルトを製造した。得られた炭
素繊維フェルトの特性を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1の結果から明らかなように、実施例の
方法では、極細炭素繊維が均一に集綿できたため、密度
5kg/m3の均一なフェルトが得られた。これに対し
て、比較例の方法では、集綿した極細炭素繊維が二流体
ノズルで使用したエア−のために吹き飛ばされて、密度
3〜7kg/m3までばらつきのある不均一なフェルト
が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の極細炭素繊維フェルトの製造
工程の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、一流体ノズルの一例を示す概略断面図
である。
【図3】図3は、従来の極細炭素繊維フェルトの製造工
程を示す概略図である。
【図4】図4は、二流体ノズルの一例を示す概略断面斜
視図である。
【符号の説明】
1…リザーブトランク 2…開繊機 2a…ガーネットシリンダ 3…集綿部 5…綿状炭素繊維 7…噴霧機 20…一流体ノズル 21…ノズル導入部 23…ノズル先端部 30…二流体ノズル

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 極細炭素繊維をバインダー樹脂で接合し
    て炭素繊維フェルトを製造する方法であって、極細炭素
    繊維に対して一流体ノズルを用いてバインダー樹脂溶液
    を噴霧する炭素繊維フェルトの製造方法。
  2. 【請求項2】 極細炭素繊維集合体を開繊して集綿部に
    供給しつつ、前記集綿部にバインダー樹脂溶液を噴霧し
    ながら、前記炭素繊維を綿状に堆積させる請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 バインダー樹脂溶液の噴霧圧力が100
    〜1000kPaである請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 バインダー樹脂噴霧液の平均液滴径が1
    5〜40μmである請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 極細炭素繊維の平均繊維径が0.3〜1
    0μmである請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 極細炭素繊維が異方性ピッチ系炭素繊維
    で構成されている請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 極細炭素繊維とバインダー樹脂との割合
    が、極細炭素繊維100重量部に対してバインダー樹脂
    0.1〜50重量部である請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 平均繊維径0.5〜5μmの極細炭素繊
    維集合体を開繊して集綿部に供給しつつ、前記集綿部
    に、極細炭素繊維に対して一流体ノズルを用いて噴霧圧
    力300〜900kPaでバインダー樹脂溶液を噴霧し
    ながら、前記炭素繊維を綿状に堆積させる炭素繊維フェ
    ルトの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の方法で得られた炭素繊維
    フェルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015099504A1 (ko) * 2013-12-27 2015-07-02 오씨아이 주식회사 탄소섬유 펠트 제조방법 및 이를 이용한 단열재의 제조방법

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