JP2003270261A - 局所空間平均粒子追跡法 - Google Patents
局所空間平均粒子追跡法Info
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Abstract
と流れ場に存在する速度変化を分離し、時間分解能を犠
牲にすることなくブラウン運動の影響を取り除くことが
できる局所空間平均粒子追跡法を提供することを目的と
する。 【解決手段】 トレーサ粒子を撮像し、その粒子の移動
距離から、速度を計測する計測方法において、あらかじ
め決められた画素の集合に属するトレーサ粒子を見出す
ステップと、そのトレーサ粒子のそれぞれの位置の変化
から、それぞれの速度ベクトルを求めるステップと、前
記それぞれの速度ベクトルから、前記の集合を代表する
速度ベクトルを求めるステップと、その集合を代表する
速度ベクトルと画素の集合を代表する位置との対応づけ
を行うステップとを備える方法とする。また、その速度
ベクトルと画素の集合を代表する位置との対応づけを用
いて、マイクロチャネル内における流速の測定を行う。
Description
ル内における微小領域速度計測に使用することのできる
局所空間平均粒子追跡法に関するものである。
や反応生成物を調べるために、マイクロチャネルが用い
られている。このマイクロチャネルは、微細加工技術を
用いてガラスなどの基板上に作られる。その、マイクロ
チャネル内部には、微量な流体が流されるが、微小空間
における流体現象を利用して、微量な試料の分離や混合
を効果的に行うことが可能である。しかし、多くの場
合、マイクロチャネル内部では、非定常な流れとなるた
め、これらの流体を用いたマイクロデバイスの更なる高
効率化・高精度化のためには、内部の流れを詳細に捉え
る必要がある。
するが、マイクロチャネル内部での速度計測には、粒子
画像流速計(PIV; Particle ImageVelocimetry)が
利用できることが知られている。この計測方法は、例え
ば、トレーサ粒子を連続して撮像した2枚の画像からト
レーサ粒子の移動距離を計測し、撮像時間差で除して流
速とするものである。この撮像においては、連続光源と
テレビカメラなどの時間分解可能な撮像装置の組み合わ
せや、パルス光源と写真乾板あるいはテレビカメラの組
み合わせが使われる。
V(マイクロPIV) は、文献1(Santiago , J.
G., ほか4 名, Exp. in Fluids,25 (1998), 316)に記
載されている。このPIVは、顕微鏡を用いてPIV
を微小空間における速度計測に適用したものである。こ
こで用いるトレーサ粒子は数百nmと非常に小さく、対
象とする流れ場の速度が遅いため、トレーサ粒子のブラ
ウン運動が顕著となる。PIV は粒子が流れに追従し
画像フレーム間で粒子の相対位置が変化しないという前
提で使用するが、ブラウン運動によりこの前提が満たさ
れない可能性があり、速度検出の際にブラウン運動の影
響を受けることになる。
ムな運動であることから、文献1には、速度ベクトルの
時間平均を行って速度ベクトル分布を平滑化する方法が
記載されている。また、文献2(Meinhart, C. D., ほ
か2 名, Exp. in Fluids, 27(1999), 414)あるいは文
献3(Meinhart , C. D., ほか2 名,Symposium on Opti
cal Methods and Image Processing in Fluid Flow, AS
ME/JSMEFluid Engineering Conference, San Francisc
o, CA, U.S.A, July 18-23 (1999),FEDSM99-7261)に
は、PIV の相関演算の際に算出される相関値マップ
を時間平均し、速度ベクトル分布を平滑化する方法が記
載されている。
では、定常な流れ場を計測する際には、このような時間
平均操作はブラウン運動の速度検出に与える影響を取り
除くのに有効である。しかし、流体の挙動を任意に制御
する非定常な流れ場を目的とした計測を実行するとき、
時間平均操作はブラウン運動の影響である速度ベクトル
の変動成分を取り除くと同時に、流れ場に存在する時間
的な速度変化までも平滑化し速度情報から取り除いてし
まう。
ブラウン運動による速度ベクトルの変動成分と流れ場に
存在する速度変化を分離し、時間分解能を犠牲にするこ
となくブラウン運動の影響を取り除くことができる局所
空間平均粒子追跡法を提供することを目的とする。
が偏りのないランダムな運動という性質を基礎として、
瞬時の速度ベクトルを局所的に空間平均を行うことで、
ブラウン運動が速度検出に与える影響を除去する手法を
提案するものである。この手法は、PIV で計測され
た速度ベクトルを単に空間平均するのではなく、各粒子
の速度を計測する粒子追跡法(PTV)を用いて同一領
域の速度情報を増加させることで、空間分解能の低下を
防ぐ手法である。
る第1の発明は、あらかじめ決められた時間間隔をおい
て流体に混入したトレーサ粒子を撮像し、そのトレーサ
粒子の移動距離から、トレーサ粒子の速度を計測する計
測方法において、あらかじめ決められた画素の集合に属
するトレーサ粒子を見出すステップと、そのトレーサ粒
子のそれぞれの位置の変化から、それぞれの速度ベクト
ルを求めるステップと、前記それぞれの速度ベクトルか
ら、前記の集合を代表する速度ベクトルを求めるステッ
プと、その集合を代表する速度ベクトルと画素の集合を
代表する位置との対応づけを行うステップとを備えるこ
とを特徴としている。
した第1の発明の方法における、その集合を代表する速
度ベクトルと画素の集合を代表する位置との対応づけを
用いて、マイクロチャネル内における流速の測定を行う
ことを特徴としている。
した第1の発明において、それぞれの速度ベクトルか
ら、前記の集合を代表する速度ベクトルを求めるステッ
プは、それぞれの速度ベクトルの算術平均を求めること
を含むことを特徴としている。
した第1の発明において、それぞれの速度ベクトルか
ら、前記の集合を代表する速度ベクトルを求めるステッ
プは、それぞれの速度ベクトルに重み付けをおこなった
加重平均を求めることを含むことを特徴としている。
した第1の発明において、あらかじめ決められた画素の
集合は、隣接する画素の集合と共通部分を有することを
特徴としている。
細に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す計測
装置図の模式図である。図1の計測装置図は、顕微鏡
(Nikon、 E800)を用いたもので、トレーサ粒子には流
路の微小化に対応するため直径の小さいものを選定し、
波長以下の径をもつ粒子の位置検出が容易となるよう
に、表1に示すような蛍光剤を含むポリスチレン粒子
(DukeScientific Co.)を使用した。
速は遅く、カメラのシャッタースピードで画像凍結が可
能であったので、光源に連続光の水銀ランプを用いた。
必要に応じて、文献2あるいはアメリカ合衆国特許第
4、988、191号に記載されているようにパルスレ
ーザ光、特にダブルパルスレーザ光を照射することで、
より分解能が向上し、また、高速な流れにも対応可能で
ある。フィルタによりトレーサ粒子に含まれる蛍光剤の
吸収波長(468nm)の光を流路に照射し、もう一方
のフィルタで入射光を除去してトレーサ粒子からの発光
(508nm)を494pixels× 656pixels × 12 bit
s のCCDカメラ(浜松フォトニクス、 C-4880-80)で
撮像した。カメラのフレーム間隔は37msとした。対
物レンズは倍率60倍で光の屈折による像の歪みを抑え
る効果があり、被写界深度の浅い油浸対物レンズ(Niko
n、CFIPlan Apo 60xH)を使用した。流路の温度を一定
に保つために、観察台の上に恒温プレートを設置し、2
93Kに設定した。
(SU−8)を用いて、フォトリソグラフィ法によりガ
ラス基板上に製作したマイクロチャネルであり、これを
図2に示す。
示す。まず、1)顕微鏡用カバーガラス(直径50m
m、厚さ170μm)を有機溶媒に浸して超音波洗浄を
行い、塵・油などの汚れを取り除いた。2)次に、洗浄
したガラス上にSU−8 をスピンコーターを用いて均
一(45μm)に塗布し、373K設定のオーブンで2
5分間加熱した。3)次にこの上にマスクを被せ、紫外
光を40秒間照射し必要な部分を固め、343K設定の
オーブンで15分間加熱した。4)最後に現像液に浸
し、光の照射されなかった部分を取り除いた。5)流路
の蓋に関しては、もう一枚のカバーガラス上面にSU−
8を1ミクロンの厚さで塗布し、6)先ほど作成した流
路と張り合わせ、7)373K設定のオーブンで5分間
加熱を行った。8)次に、紫外光を120秒間照射し、
9)再びオーブンで15分間加熱した。上述の方法で図
2のマイクロチャネルは製作した。流路の長さ=35m
m、幅=100μm、深さ=45μmである。
小空間における流体の速度をトレーサ粒子を用いて計測
するとき、流れ場を乱さないために直径数百ナノメート
ルの非常に小さなトレーサ粒子を用いる。しかし、この
ように微小なトレーサ粒子はブラウン運動が顕著にな
り、流体の速度検出に影響を与える。例えば、図3に示
した粒子画像の流動場はレイノルズ数Re=5×10-3
と層流であるにも関わらず、マイクロPIVで計測され
た速度ベクトルは図4のように乱れたものとなる。
のないランダムな運動であるので、速度ベクトルの時間
平均または空間平均操作によって速度検出への影響を抑
制することができる。図5は、時間を追って検出した連
続する10枚の瞬時速度ベクトルを平均したものであ
る。速度ベクトルの乱れが抑制されていることが判る。
定常な流れ場の速度計測には、時間平均操作が有効で、
空間分解能を低下させることのない計測が実現される。
流れ場を計測するとき、時間平均操作は時間分解能を低
下させる。このため、流れ場の変動周期を超えて時間平
均を行うと、ブラウン運動の影響による速度ベクトルの
空間的変動成分が取り除かれると同時に、流れ場に存在
する時間的な速度変化までもが速度情報から取り除かれ
る。
雑化、電気力、磁力等による強制変動流の測定を考慮に
入れれば、時間分解能を犠牲にすることなくブラウン運
動が速度検出に与える影響を取り除く新たな計測法の開
発が必要となることは容易に理解できる。汎用PIVに
より求めた速度ベクトルを単に空間平均すると、空間分
解能の低下をもたらし、流れ場を詳細に捉えることが難
しくなるので、本発明は、粒子追跡法(PIV;Particle T
racking Velocimetry)により各粒子の速度を計測し、
PIVに比べ同一領域における速度情報を増加させた後
に、空間平均を行うことで空間分解能の低下を避けるも
のである。PIVに用いる粒子画像は粒子濃度が高く、
また、PTV法では画像フレーム間で粒子の対応付けが
困難であるので、粒子対応付けの精度向上には、文献4
(Keane,R. D., ほか1 名, Meas. Sci. Technol., 23
(1995), 261)に記載されたSuper resolution PIVに見
られるような手法、即ち、汎用のPIVで計測して粒子
群の移動距離を求め、その距離情報を手がかりにPTV
を行うことで、より高空間分解能を得ることが可能であ
る。しかしながら、これらの手法のみでランダムな変動
を持つブラウン運動の影響を除去することはできない。
クトルを探索窓内で局所的に空間平均し、トレーサ粒子
のブラウン運動が速度検出に与える影響を取り除く方法
として、本発明では、局所空間平均粒子追跡法(SAT-PT
V:Spatial Averaged Time-resolved Particle Trackin
g Velocimetry)なる速度検出方法を提案している。こ
こで、PTVにより計測された速度ベクトルを探索窓内
で局所的に空間平均する方法は、算術平均を用いても、
たとえば代表点からの距離に依存した重みづけを変えた
加重平均によっても類似の結果を得る事が出来る。ま
た、探索窓は、その一部であれば、隣の探索窓と重なる
部分があっても重大な問題とはならない。次に、この方
法を詳しく説明する。図6は、SAT−PTVの模式図
である。図6(b)が示すように,2画像間の各粒子の
速度ベクトルspは流体の速度ベクトルsfとブラウン運
動の速度ベクトルsBの合成ベクトルである。例えば、
探索窓内にN個のトレーサ粒子が存在するとき、図6
(d)に示されたSAT−PTVのベクトルは数1の左
辺で表される。
ないランダムな運動のため、粒子数Nの増加に伴いsB
の総和が小さくなり、更に分母のNが大きくなるため右
辺の第2項がゼロに近づく。したがって、粒子数Nがブ
ラウン運動による速度ベクトルのランダム成分を打ち消
すのに十分なとき、空間平均された速度ベクトル、即ち
SAT−PTVの速度ベクトルは流体の速度ベクトルと
等しくなる。SAT−PTVは時系列計測が可能なた
め、時間平均操作を行った汎用の相関法を用いたPIV
では捉えきれない流れ場の速度変化を計測できる。
かるように、平均するベクトル数に依存する。同一領域
でのベクトル数を増加させるためには、粒子濃度を高く
する必要がある。しかし、粒子濃度の増加に伴い粒子の
対応付けが困難になる。粒子濃度には限界があり、図6
(b)の図に示すように、トレーサ粒子間の距離が、画
像フレーム間にブラウン運動で粒子が移動する距離より
大きいことが望ましいため、粒子濃度を高くしてトレー
サ粒子間の距離を際限なく小さくすることはできない。
本発明で提案するSAT−PTVでは、上述したよう
に、1)1組の粒子画像から正確な流体の速度ベクトル
を求め、2)各粒子の速度ベクトルの空間平均はPIV
の探索窓内で行い、3)その結果を探索窓内の流体の速
度ベクトルとするものである。
ったシミュレーションによる本発明のSAT−PTVの
性能評価について説明する。まず、トレーサ粒子のブラ
ウン運動を組み込んだ微小空間における粒子画像を作成
した。ここで、各粒子は微小空間に3次元的にランダム
に配置し、粒子像の輝度は256階調で表現した。その
際、粒子像を生成するにあたり、次の様に、光の回折理
論を用いた。
回折し、焦点近傍において3 次元的な強度分布を持
つ。ロンメル(Lommel) 関数により焦平面からずれた
位置に存在する粒子像の強度分布を求めることが可能で
あり、図7に示すように粒子のぼやけを表現した粒子画
像を作成した。時間間隔Δtにおいてブラウン運動によ
る粒子の移動量sの2乗平均は、拡散係数Dを用いて数
2のように表される。
は円周率、μは粘性係数、dpは粒子の直径である。こ
こで、ブラウン運動による粒子の移動距離の分布は平均
移動距離が数2を満たすガウス関数とした。また、粒子
の移動方向と距離は3次元的で、流体の移動距離とブラ
ウン運動の移動距離の和である。粒子画像を生成する上
でのパラメータは、すべて後に説明する実験の条件と揃
えた。作動流体は水として粘性を与え、温度=293
K、画像フレーム間を37msとした。このときブラウ
ン運動によるトレーサ粒子の移動量は粒径のみに依存す
るので、粒径は200、400、1000nmと変化さ
せ、一様流と速度勾配を持つ流れの粒子画像を作成し
た。PIV、時間平均PIV、SAT−PTVと3つの
方法でシミュレーションを行い、SAT−PTVの性能
を評価した。ここで用いたPIV は相互相関PIVで
サブピクセル精度を出すためにガウシアン補間法を採用
している。この方法については、文献5(Westerweel,
J., Meas. Sci. Technol., 8 (1997), 1379)に記載さ
れている。また、上記の時間平均PIV は瞬時の速度
ベクトル分布10枚分を平均したものである。
8(a)に示すような一様流における粒子画像(dp=
400nm)をモンテカルロ法により作成して行った。
探索窓の大きさを変化させ、探索窓内の粒子数とブラウ
ン運動による計測誤差の関係を調べた。計測誤差とは流
体の既知のx方向の移動量と計測されたx方向の移動量
の差のことである。探索窓内の粒子数の増加にともな
い、計測誤差が減少する様子が図9に示されている。時
間平均PIVの計測誤差はPIV、SAT−PTVの誤
差より小さかった。これは時間平均PIVが粒子画像1
0枚分の豊富な情報を含むためである。瞬時の速度計測
に関して比較すると、SAT−PTVの計測誤差がPI
Vより常に抑えられ、特に探索窓内に粒子数が10個以
下のときは、SAT−PTVがPIVより20%以上誤
差を低減している。
粒子数に関する性能評価の場合と同様の一様流におい
て、粒子直径を200、400、1000nmと変化さ
せた粒子画像を作成して行った。探索窓内の粒子数を1
0個としたときのトレーサ粒子直径による速度検出にお
ける誤差の変化を図10に示す。時間平均PIVの計測
誤差は粒径に関わらず最も小さかった。瞬時の速度計測
に注目すると、SAT−PTVは時間分解能を保ちなが
ら、PIVよりも粒径が400nmのときで25%、1
000nmのときで50%誤差を低減した。
図8(b)に示すように、y方向に1pixel進むとx方
向に0.01〜0.05pixelずつ増加する一定の速度
勾配を有する流れ場における粒子画像(dp=400n
m)を作成して行った。探索窓の大きさを40×40pi
xelと設定し、速度勾配の大きさと計測誤差の関係を調
べたところ図11に示す結果が得られた。時間平均PI
Vの誤差は小さく抑えられているが、速度勾配が大きく
なるにつれ計測誤差は増大した。瞬時の速度計測に注目
すると、PIVに比べSAT−PTVの誤差は安定して
低く抑えられている。SAT−PTVは壁近傍のような
速度勾配の大きい流れ場の計測に適しており、さらに時
系列で速度計測が可能であることが分かる。図12は速
度勾配の大きさ0.05pixels/pixelのときのPIVと
SAT−PTVにより計測された速度ベクトル分布を示
す。PIVは速度の遅い領域で流体の速度を正確に捉え
ていないが、SAT−PTVの結果はせん断流れをより
的確に表している。この結果から、SAT−PTVが速
度勾配を持つ流れ場計測に適しており、実際の流れ場計
測においても、ブラウン運動による速度変動と流れ場自
身の速度変化の分離の可能性が期待される。
した例について説明する。これは、図2に示すマイクロ
チャネル内の流れ場にSAT−PTVを適用したもので
ある。SAT−PTVは2値化により粒子を抽出し、周
りの粒子の相対位置から粒子の対応付けを行った。この
とき誤った対応付けを防ぐためにPIVの結果を利用し
て狭い範囲で対応する粒子を探索した。この例では、イ
オン交換水にトレーサ粒子を混入し、マイクロチャネル
に注入した。流路中心での流速50μm/sと流路幅1
00μmに基づくレイノルズ数Reは5×10-3であっ
た。トレーサ粒子は直径200、400、1000nm
のものを用いた。各粒子の移動距離を検出し、SAT−
PTVを用いて局所的な平均移動距離を求めた。探索窓
内における粒子の平均移動距離と各粒子の移動距離の差
でる変動成分を求めると、図13のように、上記の数2
から求まるブラウン運動の平均移動量と一致した。これ
はSAT−PTVの空間平均を行う際に取り除かれる各
粒子の移動距離の変動成分がブラウン運動による粒子の
移動であり、したがってSAT−PTVによりこの成分
が取り除かれることを意味する。図14に直径400n
mのトレーサ粒子を用いたときのSAT−PTVにより
計測されたマイクロチャネル内の瞬時の速度ベクトル分
布を示す。
速度ベクトル数の確率密度を示す。探索窓の大きさを変
え、平均する速度ベクトル数の確率密度と速度ベクトル
の乱れを観測した。探索窓の大きさを6.7×6.7μ
m(40×40pixels)と設定すると、図15(a)の
ように平均3個のPTV速度ベクトルが空間平均され
る。前節でのモンテカルロ法により作成された粒子画像
の結果(図9)から判るように、速度ベクトル3個では
ブラウン運動が速度検出に与える影響を取り除くのは難
しく、図14(a)のように瞬時の速度ベクトル分布は
乱れている。そこで、探索窓の大きさを2倍の13.3
×13.3μm(80×80pixels)に設定し、図15
(b)に示すように探索窓内で平均7個の速度ベクトル
を平均したところ、図14(b)のように、図14
(a)より平滑化された速度ベクトルが計測された。S
AT−PTVは1組の粒子画像から速度計測が可能であ
り、本発明の目的である時間分解能の向上は達成され
た。ブラウン運動による計測誤差を減少させるために探
索窓を大きくし空間平均する速度ベクトル数が3個から
7個に増加すると、図9より計測誤差は3分の1低減す
ると判断され、実際に図14(a)より図14(b)の
方がより的確な速度計測が行われている様子が観測され
た。
ラの画像フレーム間隔37msであったが、この値は、
自由に設定できるものであり、したがってSAT−PT
Vにより任意の時系列速度分布計測が可能であるため、
マイクロチャネル内におけるより大きな速度変化検出が
可能である。
以下に説明するような効果を奏することができる。
手法に加えて、あらかじめ決められた画素の集合に属す
る流体に混入したトレーサ粒子を見出すステップと、そ
のトレーサ粒子のそれぞれの位置の変化から、それぞれ
の速度ベクトルを求めるステップと、前記それぞれの速
度ベクトルから、前記の集合を代表する速度ベクトルを
求めるステップと、その集合を代表する速度ベクトルと
画素の集合を代表する位置との対応づけを行うステップ
とを備えることを特徴とする処理を行い、また、本発明
における第2の発明で、その集合を代表する速度ベクト
ルと画素の集合を代表する位置との対応づけを用いて、
マイクロチャネル内における流速の測定を行うようにし
たので、ブラウン運動が速度検出に与える影響を抑制し
て、時間分解能を犠牲にすることなく瞬時の速度分布計
測が可能である。また、PTVによる豊富な速度情報の
獲得により、空間平均による空間分解能の低下を防ぐこ
とができる。また、この発明では、PIVにより粒子群
の移動距離の手掛りを得たのちにPTVを行うため、粒
子濃度の高い流れ場に適用でき、空間分解能を高めるこ
とができる。
る様に、ブラウン運動がPIVによる速度検出に与える
影響を抑制できる。これは、特に速度勾配のある流れ場
において有用である。実流動場であるマイクロチャネル
内の流れにSAT−PTVを適用した結果は、シミュレ
ーションの結果と同様、探索窓を大きくし平均する速度
ベクトル数を増加させると、ブラウン運動の影響による
速度計測誤差が低減される。このように、本発明の局所
空間平均粒子追跡法によれば、1組の粒子画像からブラ
ウン運動の影響が低減された瞬時の速度ベクトルが計測
でき、ブラウン運動による速度の変動成分と流れ場自身
の速度変化を分離することが可能である。このように、
本発明は、マイクロチャネルにおける加速度流れや減速
度流れ、化学反応場や電気浸透流などの計測に適用可能
である。
ーサ粒子の顕微鏡写真である。
示す図である。
場を示す図である。
AT−PTVの模式図である。
図である。
場合の測定誤差を示すグラフである。
として粒子径を変えた場合の測定誤差を示すグラフであ
る。
変えた場合の測定誤差を示すグラフである。
法とSAT−PTVとで評価した速度プロファイルを示
す図である。
粒子の変移との差を平均化した粒子の変移変移を示すグ
ラフである。
である。
Claims (5)
- 【請求項1】 あらかじめ決められた時間間隔をおいて
流体に混入したトレーサ粒子を撮像し、そのトレーサ粒
子の移動距離から、トレーサ粒子の速度を計測する計測
方法において、 あらかじめ決められた画素の集合に属するトレーサ粒子
を見出すステップと、そのトレーサ粒子のそれぞれの位
置の変化から、それぞれの速度ベクトルを求めるステッ
プと、前記それぞれの速度ベクトルから、前記の集合を
代表する速度ベクトルを求めるステップと、その集合を
代表する速度ベクトルと画素の集合を代表する位置との
対応づけを行うステップとを備えることを特徴とする局
所空間平均粒子追跡法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の、その集合を代表する
速度ベクトルと画素の集合を代表する位置との対応づけ
の時間変化を用いて、マイクロチャネル内における流速
の測定を行うことを特徴とする局所空間平均粒子追跡
法。 - 【請求項3】 それぞれの速度ベクトルから、前記の集
合を代表する速度ベクトルを求めるステップは、それぞ
れの速度ベクトルの算術平均を求めることを含むことを
特徴とする請求項1に記載の局所空間平均粒子追跡法。 - 【請求項4】 それぞれの速度ベクトルから、前記の集
合を代表する速度ベクトルを求めるステップは、それぞ
れの速度ベクトルに重み付けをおこなった加重平均を求
めることを含むことを特徴とする請求項1に記載の局所
空間平均粒子追跡法。 - 【請求項5】 あらかじめ決められた画素の集合は、隣
接する画素の集合と共通部分を有することを特徴とする
請求項1に記載の局所空間平均粒子追跡法。
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