JP2003261451A

JP2003261451A - ストレス抑制剤

Info

Publication number: JP2003261451A
Application number: JP2002061358A
Authority: JP
Inventors: Saiko Nonaka; 最子野中; Hachiro Kamata; 八郎鎌田; Shigehiko Masaki; 茂彦柾木; Fuminori Terada; 文典寺田; Masao Kitamura; 正男北村
Original assignee: BUSSAN BIOTECH KK; National Agricultural Research Organization
Current assignee: BUSSAN BIOTECH KK; National Agricultural Research Organization
Priority date: 2002-03-07
Filing date: 2002-03-07
Publication date: 2003-09-16

Abstract

(57)【要約】【課題】亜鉛がストレスに及ぼす影響を検討すること
により、新規なストレス抑制剤を提供すること。【解決手段】有効成分として亜鉛を含有する、ストレ
ス抑制剤およびストレス抑制用動物飼料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ストレス抑制剤、
より詳細には、動物における輸送時のストレス軽減のた
めに使用することができるストレス抑制剤、並びにそれ
を用いた動物飼料に関する。

【０００２】

【従来技術】一般にミネラル、特にクロムおよびセレン
の免疫賦活化機能については広く認識されている。ま
た、機能性成分の一つとして注目されている亜鉛は、家
畜の成長および免疫に関与していることが示唆されてい
る。しかしながら、亜鉛とストレスの関連を調べたとい
う報告はない。

【０００３】ストレスは代謝および免疫機能に負の影響
をもたらし、そのことによる感染症の増加を誘発するこ
とが知られている。また、過剰なストレス反応は有害な
活性酸素を増加させ、免疫機能を低下させることが知ら
れている。そこで、家畜や家禽などの動物におけるスト
レスを軽減させることができる新規なストレス抑制剤を
見出すことができれば、特に動物用の飼料として産業上
の利用価値は高いものとなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、亜鉛がスト
レスに及ぼす影響を検討することにより、新規なストレ
ス抑制剤を提供することを解決すべき課題とした。

【０００５】本発明者らは上記課題を解決することを目
的として、離乳後の子牛に輸送ストレスを負荷し、子牛
の免疫機能に及ぼす亜鉛添加の影響を検討した。その結
果、亜鉛を摂取させた家畜にストレスを負荷すると血液
化学発光能（即ち、白血球が貪食・殺菌時に放出する活
性酸素量に比例して発生する光の発光能）の上昇が抑制
されることが判明した。本発明はこの知見に基づいて完
成したものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
有効成分として亜鉛を含有する、ストレス抑制剤が提供
される。本発明の好ましい態様によれば、動物における
輸送時のストレス軽減のために使用する、上記ストレス
抑制剤；動物用飼料に添加して使用される、上記ストレ
ス抑制剤；動物が、家畜、家禽又は養殖魚介類である、
上記ストレス抑制剤；並びに、亜鉛として、有機亜鉛、
または亜鉛の無機塩を使用する、上記ストレス抑制剤が
提供される。

【０００７】本発明の別の側面によれば、有効成分とし
て亜鉛を含有する、ストレス抑制用動物飼料が提供され
る。本発明の好ましい態様によれば、動物における輸送
時のストレス軽減のために使用する、上記ストレス抑制
用動物飼料；動物が、家畜、家禽又は養殖魚介類であ
る、上記ストレス抑制用動物飼料；並びに、亜鉛とし
て、有機亜鉛、または亜鉛の無機塩を使用する、上記ス
トレス抑制用動物飼料が提供される。

【０００８】本発明のさらに別の側面によれば、亜鉛を
非ヒト動物に投与することを含む、該動物におけるスト
レスを抑制する方法が提供される。例えば、ストレスは
輸送時のストレスである。

【０００９】

【発明の実施の形態】１．ストレス抑制剤について本発明のストレス抑制剤は、有効成分として亜鉛を含む
ことを特徴とする。本発明のストレス抑制剤は、そのま
ま単独で使用することもできるが、通常は、動物用の飼
料に添加して使用することが好ましい。本発明で言うス
トレス抑制の具体例としては、例えば、動物における輸
送時のストレスの軽減などが挙げられる。

【００１０】本発明で有効成分として用いる亜鉛は、亜
鉛化合物の形態で使用されることが好ましい。ここで言
う亜鉛化合物は、有機亜鉛でも無機亜鉛でもよい。有機
亜鉛の具体例としては、アミノ酸と亜鉛が結合した化合
物、ペプチドと亜鉛が結合した化合物、蛋白質と亜鉛が
結合した化合物などを挙げることができる。本発明で用
いることができる有機亜鉛の具体例としては、メチオニ
ン亜鉛、メチオニン亜鉛・リジン亜鉛混合物、亜鉛アミ
ノ酸錯体などを挙げることができる。また、無機亜鉛の
具体例としては、亜鉛の無機塩が挙げられ、例えば、塩
化亜鉛や硫酸亜鉛などが挙げられる。本発明では、１種
類の亜鉛化合物を単独で使用してもよいが、２種以上の
亜鉛化合物を混合して用いることもできる。

【００１１】亜鉛化合物は、溶剤、基剤、希釈剤、増量
剤、充填剤、補形剤などの賦形剤、さらには結合剤、溶
解補助剤、崩壊剤、可溶化剤、滑沢剤、緩衝剤、等張化
剤、硬化剤、吸収剤、粘着剤、弾性剤、可塑剤、コーテ
ィング剤、徐放化剤、乳剤、懸濁化剤、分散剤、増粘
剤、ゲル化剤などの補助剤、そして着色剤、矯味剤、甘
味剤、矯臭剤、芳香剤、香味剤、抗酸化剤、保存剤、遮
光剤、つや出し剤、保湿剤、帯電防止剤などの公知の添
加剤を必要に応じ使用し、製剤化して使用してもよい。
製剤化して使用する場合、亜鉛成分は、液体、固体、半
固体の何れでもよく、溶液剤、懸濁剤、乳液剤、粉剤、
顆粒剤、粒剤、丸剤、ペレット剤、ペースト剤、エリキ
シル剤、液剤、マイクロカプセル剤など任意の形態をと
ることができる。

【００１２】本発明のストレス抑制剤の使用量は、使用
する亜鉛化合物の種類や投与形態及び投与される動物等
によって異なるため特に限定されない。適当な量の亜鉛
を含有する飼料を用いて動物を飼育することによりスト
レス抑制作用が発揮される。

【００１３】２．本発明の飼料について本発明はさらに、亜鉛を含むことを特徴とする、ストレ
ス抑制のために使用することができる動物飼料に関す
る。上記した本発明のストレス抑制剤はそれ自体単独で
使用することも可能であるが、好ましくは、動物用の飼
料に添加して給与することもできる。このように亜鉛を
飼料に配合してストレス抑制のために使用することは、
本発明の好ましい態様の一つである。

【００１４】本明細書で言う動物とは、ヒトを含めて最
も広義に解釈されるものであり、例えば、家畜、家禽又
は養殖魚介類などが挙げられる。より具体的には、豚、
牛、馬、ヤギ、鹿、ウサギ、ミンク、羊、山羊等の家畜
類、ニワトリ（ブロイラー、採卵鶏の両方を含む）、七
面鳥、アヒル、ウズラ、カモ、キジまたはガチョウ等の
家禽類、猿、マウス、ラット、モルモット等の実験動
物、ハマチ、マダイ、フグ、マグロ、ヒラメ、シマア
ジ、マアジ、サケ、ギンザケ、コイ、ウナギ、ニジマ
ス、アユ、エビ類（クルマエビ、ボタンエビ、イセエ
ビ、ロブスター、ブラックタイガー等）、カニ類（タラ
バガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニ等）、貝類
（アワビ、サザエ等）等の養殖水産動物、並びに、象、
キリン、ライオンその他の動物園で飼育される動物など
が挙げられる。

【００１５】投与期間は特に限定されるものではない
が、１週間から１０日間以上の連続投与がよく、好まし
くはストレスが負荷される時に先行して、動物の飼料に
添加して投与することが好ましい。

【００１６】本発明で有効成分として用いる亜鉛は、通
常の動物の飼料に添加して用いることができる。本発明
において、亜鉛を飼料に混合して用いる場合、飼料は動
物又は魚介類用の飼料として一般に使用されるものであ
ればいずれでもよい。そのような飼料は、通常、とうも
ろこし、ふすま、米、麦、綿実粕、マイロ、大豆粕、生
魚、冷凍魚、冷蔵魚、魚粉、脱脂米糠、油脂、アルファ
ルファ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナト
リウム、塩化コリン、各種ビタミン剤（ビタミンＡ、ビ
タミンＤ、ビタミンＥ、ビタミンＢ1 、ビタミンＢ2 、
ビタミンＢ6 、ビタミンＢ12、パントテン酸カルシウ
ム、ニコチン酸アミド、葉酸）、無機塩（硫酸マグネシ
ウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛、ヨウ化カリウム、硫
酸コバルト）等の一部又は全部を混合して調製される。

【００１７】飼料中の主要な成分としては、トウモロコ
シ、粉砕したトウモロコシ、トウモロコシ粉、トウモロ
コシ胚芽粗粉、マイロ、キビ、カラスムギ、小麦、小麦
粉、小麦胚芽粉、大麦、米、ライ麦、燕麦などの穀物類
又は加工穀物類副製品；米ヌカ、フスマ、麦ヌカなどの
糟糠類、エンドウマメ種子、ピーナッツ粉、大豆粉など
のマメ類、ジャガイモ粉などのイモ類；大豆粕、脱脂大
豆、綿実粕、菜種粕、ゴマ粕、ヒマワリ粕、サフラワー
粕、ココヤシ粗粉などの植物性油粕等；オオムギモル
ト、ビール粕、酒粕、グルタミン酸発酵粕、トウモロコ
シ発酵粕、コーングルテンフィード、コーンジャームミ
ール、コンニャク飛粉などの製造粕類；生魚、冷凍魚、
冷蔵魚、魚粉、肉粉、肉骨粉、ミートミール、ミートボ
ーンミール、血粉、フェザーミール、脱脂粉乳、乾燥ホ
エー、ヘビーミール、オキアミミール、カゼイン、ゼラ
チンなどの動物質材料；ビール酵母などの酵母類；トウ
モロコシデンプン、デキストリンなどの糖類；アルファ
ルファ、乾燥アルファルファ、牧草、各種リーフミー
ル、大豆タンパク、小麦グルテン、トウモロコシツエイ
ンなどの植物性タンパク質；結晶性セルロース、タル
ク、シリカ、白雲母、ゼオライト等の無機物質の微粉
末；炭酸カルシウムなどの無機カルシウム化合物；並び
にリン酸カルシウムなどの無機リン酸塩；などを挙げる
ことができる。飼料には、さらに必要に応じ、飼料に
は、畜産分野で許容されている他の添加物（例えば、他
の抗生物質や殺菌剤、駆虫剤、抗酸化剤など）を飼料に
配合することもできる。

【００１８】本発明の飼料における亜鉛の含有量は特に
は限定されないが、一般的には０．０００１重量％〜１
重量％であり、好ましくは０．００１重量％〜０．０５
重量％の範囲である。しかしながら、飼料中の亜鉛の含
有量は、上記の量に制限されること無く、対象動物の種
類、年齢、体重、環境条件、体調、飼料の材料の種類、
給餌する季節などに応じて必要量を適宜選択して添加配
合することができ、それにより得られる効果を調整する
ことができる。以下の実施例により本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるこ
とはない。

【００１９】

【実施例】１．材料と方法被験動物としては、ホルスタイン種雄子牛６頭および雌
子牛６頭を使用した。試験期間は、３週齢から８週齢で
ある。試験飼料としては、配合飼料およびチモシー乾草
(亜鉛含量はともに30ppm)を使用した。亜鉛添加群にお
いては、乾物給与量1kgあたり150mgの亜鉛(メチオニン
亜鉛, 10％亜鉛含有)を添加した。製品として1.5〜2.5g
/日を４週齢から１日１回添加した。ストレスは、７週
齢にトラックで2.5時間の輸送を行なうことによって負
荷した。経時採血は、輸送前、輸送直後、２時間、４時
間、６時間、翌日、翌々日、１週目に行なった。

【００２０】測定項目とその方法は以下の通りである。 [血漿亜鉛濃度] 10%トリクロロ酢酸で除蛋白後、原子
吸光分光光度計(AA-6400F,島津製作所)で測定 [白血球数] コールターカウンターで測定 [血液化学発光能] 白血球が貪食・殺菌時に放出する
活性酸素量に比例して発生する光を測定。血液50μlにH
epes Eagle's-MEM(細胞浮遊液)450μl、ルミノール(増
光剤)10μl、ザイモザン(細胞刺激剤)10μlを加え、化
学発光測定器(ベルトールド社, Multi-Biolumat, LB650
5C)で測定した。

【００２１】２．結果（１）体重の推移体重の推移を測定した結果を図１に示す。体重の推移は
対照区、Zn添加区で差はなかった。飼料中のZn含量は30
ppmであったが、C区における亜鉛欠乏はなかったと考え
られる

【００２２】（２）輸送直前血漿Zn濃度対照区0.8ppm、Zn添加区1.6ppmと有意に添加区で高かっ
た。

【００２３】（３）白血球数と化学発光能の経時的推移白血球数と化学発光能の経時的推移を図２に示す。輸送
時Cは、輸送時無添加区（輸送当日）、輸送時Znは、輸
送時亜鉛添加区（輸送当日）、前日Cは、輸送前日の無
添加区、前日Znは、輸送前日の亜鉛添加区をそれぞれ示
す。図２の結果から分かるように、ストレスを負荷した
とき、亜鉛を添加した区では白血球数および血液化学発
光能の上昇が抑制された。即ち、ストレス負荷時の白血
球数や化学発光能の値を個体のストレス反応として考え
た場合、亜鉛を添加した区の方が、その反応度合いは小
さいという結果が得られた。これらの結果から、亜鉛は
ストレス抑制に効果的であることが実証された。

【００２４】

【発明の効果】本発明のストレス抑制剤は、注射として
ではなく、サプリメントとして供給することができるの
で、作業上の労力が少ない。本発明のストレス抑制剤
は、過剰なストレス反応を軽減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、体重の推移を測定した結果を示す。

【図２】図２は、白血球数と化学発光能の経時的推移を
示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ａ６１Ｐ 25/00 Ａ６１Ｐ 25/00 (72)発明者鎌田八郎茨城県つくば市並木４−10−１−903−101 (72)発明者柾木茂彦茨城県牛久市南４−10−31 (72)発明者寺田文典茨城県つくば市並木４−10−１−914−103 (72)発明者北村正男東京都葛飾区青戸６−14−７青戸第２ローヤルコーポ908 Ｆターム(参考） 2B005 DA01 GA01 GA02 GA04 GA06 GA07 MA05 2B150 AA01 AA02 AA03 AA05 AA07 AA08 AA10 AA20 AB20 DH09 4C086 AA01 AA02 HA03 MA01 MA05 MA52 NA14 ZA02

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】有効成分として亜鉛を含有する、ストレ
ス抑制剤。
【請求項２】動物における輸送時のストレス軽減のた
めに使用する、請求項１に記載のストレス抑制剤。
【請求項３】動物用飼料に添加して使用される、請求
項１又は２に記載のストレス抑制剤。
【請求項４】動物が、家畜、家禽又は養殖魚介類であ
る、請求項１から３の何れかに記載のストレス抑制剤。
【請求項５】亜鉛として、有機亜鉛、または亜鉛の無
機塩を使用する、請求項１から４の何れかに記載のスト
レス抑制剤。
【請求項６】有効成分として亜鉛を含有する、ストレ
ス抑制用動物飼料。
【請求項７】動物における輸送時のストレス軽減のた
めに使用する、請求項６に記載のストレス抑制用動物飼
料。
【請求項８】動物が、家畜、家禽又は養殖魚介類であ
る、請求項６または７に記載のストレス抑制用動物飼
料。
【請求項９】亜鉛として、有機亜鉛、または亜鉛の無
機塩を使用する、請求項６から８の何れかに記載のスト
レス抑制用動物飼料。
【請求項１０】亜鉛を非ヒト動物に投与することを含
む、該動物におけるストレスを抑制する方法。
【請求項１１】ストレスが輸送時のストレスである、
請求項１０に記載の方法。