JP2003256004A - プラントの制御装置 - Google Patents

プラントの制御装置

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JP2003256004A JP2002050594A JP2002050594A JP2003256004A JP 2003256004 A JP2003256004 A JP 2003256004A JP 2002050594 A JP2002050594 A JP 2002050594A JP 2002050594 A JP2002050594 A JP 2002050594A JP 2003256004 A JP2003256004 A JP 2003256004A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 目標値の微少な変化に対するプラント出力の
追従性が、摺動部材の摩擦によって低下することを防止
することができるプラントの制御装置を提供する。 【解決手段】 所定周期及び所定振幅のディザ信号値F
waveを発生させ、その振動信号の基本ゲインKwa
veを、モデルパラメータベクトルの同定誤差ide
(k)の絶対値で補正することにより、ディザ入力ゲイン
KWIDを算出する(S315)。ディザ信号値Fwa
veとディザ入力ゲインKWIDを乗算し、モデルパラ
メータb1で除算することにより、強制加振入力Uwa
veが算出される(S320)。強制加振入力Uwav
eを含む制御入力Uslにより、プラントが制御され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラントの制御装
置に関し、特に制御対象であるプラントをモデル化した
制御対象モデルのモデルパラメータを同定し、同定した
モデルパラメータを用いてプラントを制御するコントロ
ーラを備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】プラントをモデル化した制御対象モデル
を用いて、スライディングモード制御により、プラント
を制御するスライディングモードコントローラは、従来
より知られている(例えば特開2000−110636
号公報)。またPID(比例積分微分)制御により、内
燃機関のスロットル弁の開度を目標開度に制御する制御
装置が、従来より知られている(特開平8−26105
0号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】スライディングモード
コントローラにより、例えば内燃機関のスロットル弁を
駆動するスロットル弁駆動装置を制御する場合には、以
下のような課題がある。スライディングモードコントロ
ーラは、スロットル弁の開度を目標開度に一致させるよ
うにスロットル弁駆動装置の制御を行うが、スロットル
弁駆動装置のような制御対象は、弁体を支持する部材な
どのように他の部材と接触して作動する部材(摺動部
材)を含むため、摺動部材の摩擦によって、目標開度の
微少な変化に対するスロットル弁開度の追従性が低下す
る。また上述したPID制御によりスロットル弁開度を
目標開度に制御する制御装置においても、同様の問題が
発生する。
【0004】本発明は、上述した点に鑑みなされたもの
であり、目標値の微少な変化に対するプラント出力の追
従性が、摺動部材の摩擦によって低下することを防止す
ることができるプラントの制御装置を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、プラントをモデル化した制御対象モデルのモデルパ
ラメータベクトルを同定する同定手段と、該同定手段に
より同定されたモデルパラメータベクトルを用いて前記
プラントを制御するコントローラとを備えたプラントの
制御装置において、前記同定手段は、同定されるモデル
パラメータベクトルの同定誤差を算出する同定誤差算出
手段を備え、前記コントローラは、所定周期及び所定振
幅の振動信号を発生する振動信号発生手段と、該振動信
号の振幅を前記同定誤差に応じて補正することにより、
強制加振入力を算出する強制加振入力算出手段とを備
え、前記プラントへの制御入力は前記強制加振入力を含
むことを特徴とする。
【0006】この構成によれば、所定周期及び所定振幅
の振動信号を発生し、該振動信号の振幅を、モデルパラ
メータベクトルの同定誤差に応じて補正することによ
り、強制加振入力が算出され、制御対象であるプラント
は、強制加振入力を含む制御入力により制御される。強
制加振入力を用いて、制御入力を微少に絶えず振動させ
ることにより、目標値の微小変化に対するプラント出力
の追従性が、摩擦によって低下することを防止すること
ができる。さらに、モデルパラメータベクトルの同定誤
差には、プラントに含まれる摺動部材の摩擦特性の変化
が反映されるので、同定誤差に応じて振動信号の振幅を
補正することにより、摩擦特性の変化に対応した適切な
強制加振入力を得ることができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のプラントの制御装置において、前記所定周期は、前記
プラントの機械的共振周期より短く設定されていること
を特徴とする。
【0008】この構成によれば、振動信号の所定周期
は、プラントの機械的共振周期より短く設定されるの
で、強制加振入力に起因する制御系の共振を防止するこ
とができる。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載のプラントの制御装置において、前記プラント
は、内燃機関のスロットル弁と、該スロットル弁を駆動
する駆動手段とを有するスロットル弁駆動装置を含み、
前記コントローラは、前記スロットル弁の開度を目標開
度に一致させるように、前記スロットル弁駆動装置への
制御入力を決定するパラメータを算出することを特徴と
する。
【0010】この構成によれば、強制加振入力を含む制
御入力により、スロットル弁駆動装置が制御される。し
たがって、スロットル弁駆動装置に含まれる摺動部材の
摩擦の影響により、目標開度の微小変化に対する追従性
が低下することが防止される。また、摺動部材の摩擦特
性が経時変化しても、制御性能を維持することができ
る。
【0011】前記強制加振入力算出手段は、前記同定誤
差の絶対値に応じて前記振動信号の振幅を補正すること
が望ましい。また、前記振動信号は、そのレベルが時間
経過に伴って徐々に変化することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。 (第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態にか
かるスロットル弁制御装置の構成を示す図である。内燃
機関(以下「エンジン」という)1の吸気通路2には、
スロットル弁3が設けられている。スロットル弁3に
は、該スロットル弁3を閉弁方向に付勢する第1付勢手
段としてのリターンスプリング4と、該スロットル弁3
を開弁方向に付勢する第2付勢手段としての弾性部材5
とが取り付けられている。またスロットル弁3は、駆動
手段としてのモータ6によりギヤ(図示せず)を介して
駆動できるように構成されている。モータ6による駆動
力がスロットル弁3に加えられない状態では、スロット
ル弁3の開度THは、リターンスプリング4の付勢力
と、弾性部材5の付勢力とが釣り合うデフォルト開度T
HDEF(例えば5度)に保持される。
【0013】モータ6は、電子制御ユニット(以下「E
CU」という)7に接続されており、その作動がECU
7により制御される。スロットル弁3には、スロットル
弁開度THを検出するスロットル弁開度センサ8が設け
られており、その検出信号は、ECU7に供給される。
【0014】またECU7には、エンジン1が搭載され
た車両の運転者の要求出力を検出するアクセルペダルの
踏み込み量ACCを検出するアクセルセンサ9が接続さ
れており、その検出信号がECU7に供給される。EC
U7は、スロットル弁開度センサ8及びアクセルセンサ
9の検出信号が供給される入力回路、入力信号をディジ
タル信号に変換するAD変換回路、各種演算処理を実行
する中央演算ユニット(CPU)、CPUが実行するプ
ログラムやプログラムで参照されるマップやテーブルな
どを格納するメモリ回路、及びモータ6に駆動電流を供
給する出力回路を備えている。ECU7は、アクセルペ
ダルの踏み込み量ACCに応じてスロットル弁3の目標
開度THRを決定し、検出したスロットル弁開度THが
目標開度THRと一致するようにモータ6の制御量DU
Tを決定し、制御量DUTに応じた電気信号をモータ6
に供給する。
【0015】本実施形態では、スロットル弁3、リター
ンスプリング4、弾性部材5及びモータ6からなるスロ
ットル弁駆動装置10を制御対象とし、該制御対象に対
する入力をモータ6に印加する電気信号のデューティ比
DUTとし、制御対象の出力をスロットル弁開度センサ
8により検出されるスロットル弁開度THとする。
【0016】スロットル弁駆動装置10の応答周波数特
性に応じて、下記式(1)で定義されるモデルを制御対
象モデルとして設定する。このモデルの応答周波数特性
は、スロットル弁駆動装置10の特性に近似させること
が可能であることが確認されている。 DTH(k+1)=a1×DTH(k)+a2×DTH(k-1) +b1×DUT(k-d)+c1 (1) ここで、kは第1の周期ΔT1で離散化されたサンプリ
ング時刻または制御時刻を表すパラメータであり、DT
H(k)は下記式(2)により定義されるスロットル弁開
度偏差量である。 DTH(k)=TH(k)−THDEF (2) ここで、THは検出したスロットル弁開度、THDEF
は前記デフォルト開度である。
【0017】また式(1)のa1,a2,b1,c1
は、制御対象モデルの特性を決めるモデルパラメータで
あり、dはむだ時間である。演算量低減のためには、む
だ時間dを「0」とした下記式(1a)で制御対象モデ
ルを定義することが有効である。むだ時間dを「0」と
することに起因するモデル化誤差(制御対象モデルの特
性と、実際の制御対象(プラント)の特性との差)は、
ロバスト性のあるスライディングモード制御を採用する
ことにより補償する。 DTH(k+1)=a1×DTH(k)+a2×DTH(k-1) +b1×DUT(k)+c1 (1a)
【0018】式(1a)においては、制御対象の出力で
ある偏差量DTHに関わるモデルパラメータa1,a
2、制御対象の入力であるデューティ比DUTに関わる
モデルパラメータb1の他に、入出力に関わらないモデ
ルパラメータc1が採用されている。このモデルパラメ
ータc1は、デフォルト開度THDEFのずれやスロッ
トル弁駆動装置に加わる外乱を示すパラメータである。
すなわち、後述するモデルパラメータ同定器により、モ
デルパラメータa1,a2,b1と同時にモデルパラメ
ータc1を同定することにより、デフォルト開度ずれや
外乱を同定できるようにしている。
【0019】図2は、ECU7により実現されるスロッ
トル弁制御装置の機能ブロック図であり、この制御装置
は、適応スライディングモードコントローラ21と、モ
デルパラメータ同定器22と、モデルパラメータスケジ
ューラ25と、アクセルペダル踏み込み量ACCに応じ
てスロットル弁3の目標開度THRを設定する目標開度
設定部24と、減算器26,27とからなる。
【0020】適応スライディングモードコントローラ2
1は、検出したスロットル弁開度THが目標開度THR
と一致するように、適応スライディングモード制御によ
りデューティ比DUTを算出し、該算出したデューティ
比DUTを出力する。適応スライディングモードコント
ローラ21を用いることにより、スロットル弁開度TH
の目標開度THRに対する応答特性を、所定のパラメー
タ(後述する切換関数設定パラメータVPOLE)を用
いて適宜変更する(指定する)ことが可能となる。その
結果、スロットル弁開度に応じて最適な応答特性を指定
することができ、例えばスロットル弁3を開弁位置から
全閉位置に移動させる際の衝撃(スロットル全閉ストッ
パへの衝突)の回避、及びアクセル操作に対するエンジ
ンレスポンスの可変化が可能となる。また、スライディ
ングモード制御により、モデルパラメータの誤差に対す
る安定性を確保することが可能となる。
【0021】モデルパラメータ同定器22は、修正モデ
ルパラメータベクトルθL(θLT=[a1,a2,b
1,c1])を算出し、適応スライディングモードコン
トローラ21に供給する。より具体的には、モデルパラ
メータ同定器22は、スロットル弁開度TH及びデュー
ティ比DUTに基づいて、モデルパラメータベクトルθ
を算出する。さらに、そのモデルパラメータベクトルθ
に対して第1リミット処理、オーバサンプリング及び移
動平均化処理、並びに第2リミット処理を行うことによ
り修正モデルパラメータベクトルθLを算出し、該修正
モデルパラメータベクトルθLを適応スライディングモ
ードコントローラ21に供給する。このようにしてスロ
ットル弁開度THを目標開度THRに追従させるために
最適なモデルパラメータa1,a2,b1が得られ、さ
らに外乱及びデフォルト開度THDEFのずれを示すモ
デルパラメータc1が得られる。第1リミット処理、オ
ーバサンプリング及び移動平均化処理、並びに第2リミ
ット処理については、後述する。
【0022】リアルタイムでモデルパラメータを同定す
るモデルパラメータ同定器22を用いることにより、エ
ンジン運転条件の変化への適応、ハードウエアの特性ば
らつきの補償、電源電圧変動の補償、及びハードウエア
特性の経年変化への適応が可能となる。
【0023】モデルパラメータスケジューラ25は、下
記式(3)により目標開度THR(k)とデフォルト開度
THDEFとの偏差量として定義される目標値DTHR
に応じて、基準モデルパラメータベクトルθbase
(θbaseT=[a1base,a2base,b1
base,c1base])を算出し、モデルパラメー
タ同定器22に供給する。 DTHR(k)=THR(k)−THDEF (3)
【0024】減算器26及び27は、デフォルト開度T
HDEFと、スロットル弁開度TH及び目標開度THR
との偏差量を、スロットル弁開度偏差量DTH及び目標
値DTHRとして算出する(式(2)及び式(3)参
照)。
【0025】[適応スライディングモードコントローラ
の概要]次に適応スライディングモードコントローラ2
1の動作原理を説明する。スロットル弁開度偏差量DT
Hと、目標値DTHRとの偏差e(k)を下記式(4)で
定義すると、適応スライディングモードコントローラの
切換関数値σ(k)は、下記式(5)にように設定され
る。 e(k)=DTH(k)−DTHR(k) (4) σ(k)=e(k)+VPOLE×e(k-1) (5) =(DTH(k)−DTHR(k)) +VPOLE×(DTH(k-1)−DTHR(k-1)) ここで、VPOLEは、−1より大きく1より小さい値
に設定される切換関数設定パラメータである。
【0026】縦軸を偏差e(k)とし、横軸を前回偏差e
(k-1)として定義される位相平面上では、σ(k)=0を満
たす偏差e(k)と、前回偏差e(k-1)との組み合わせは、
直線となるので、この直線は一般に切換直線と呼ばれ
る。スライディングモード制御は、この切換直線上の偏
差e(k)の振る舞いに着目した制御であり、切換関数値
σ(k)が0となるように、すなわち偏差e(k)と前回偏差
e(k-1)の組み合わせが位相平面上の切換直線上に載る
ように制御を行い、外乱やモデル化誤差に対してロバス
トな制御を実現するものである。その結果、スロットル
弁開度偏差量DTHは、目標値DTHRに追従するよう
に、良好なロバスト性を持って制御される。
【0027】また式(5)の切換関数設定パラメータV
POLEの値を変更することにより、図3に示すよう
に、偏差e(k)の減衰特性、すなわちスロットル弁開度
偏差量DTHの目標値DTHRへの追従特性を変更する
ことができる。具体的には、VPOLE=−1とする
と、全く追従しない特性となり、切換関数設定パラメー
タVPOLEの絶対値を小さくするほど、追従速度を速
めることができる。このようにスライディングモードコ
ントローラは、偏差e(k)の減衰特性を所望の特性に指
定可能であるので、応答指定型コントローラと呼ばれ
る。
【0028】スライディングモード制御によれば、切換
関数設定パラメータVPOLEを変更することにより、
容易に収束速度を変更できるので、本実施形態では、ス
ロットル弁開度偏差量DTHに応じて、切換関数設定パ
ラメータVPOLEを設定し、スロットル弁3の作動状
態に適した応答特性を得られるようにしている。
【0029】上述したようにスライディングモード制御
では、偏差e(k)と前回偏差e(k-1)の組み合わせ(以下
「偏差状態量」という)を切換直線上に拘束することに
より、偏差e(k)を指定した収束速度で、かつ外乱やモ
デル化誤差に対してロバストに、0に収束させる。した
がって、スライディングモード制御では、如何にして偏
差状態量を切換直線に載せ、そこに拘束するかが重要と
なる。
【0030】そのような観点から、制御対象への入力
(コントローラの出力)DUT(k)(Usl(k)とも表記
する)は、基本的には下記式(6)に示すように、等価
制御入力Ueq(k)、到達則入力Urch(k)及び適応則
入力Uadp(k)の和として算出される。 DUT(k)=Usl(k) =Ueq(k)+Urch(k)+Uadp(k) (6)
【0031】等価制御入力Ueq(k)は、偏差状態量を
切換直線上に拘束するための入力であり、到達則入力U
rch(k)は、偏差状態量を切換直線上へ載せるための
入力であり、適応則入力Uadp(k)は、モデル化誤差
や外乱の影響を抑制し、偏差状態量を切換直線へ載せる
ための入力である。以下各入力Ueq(k),Urch(k)
及びUadp(k)の算出方法を説明する。
【0032】等価制御入力Ueq(k)は、偏差状態量を
切換直線上に拘束するための入力であるから、満たすべ
き条件は下記式(7)で与えられる。 σ(k)=σ(k+1) (7) 式(1)並びに式(4)及び(5)を用いて式(7)を
満たすデューティ比DUT(k)を求めると、下記式
(8)が得られ、これが等価制御入力Ueq(k)とな
る。さらに、到達則入力Urch(k)及び適応則入力U
adp(k)を、それぞれ下記式(9)及び(10)によ
り定義する。
【0033】
【数1】
【0034】ここで、F及びGは、それぞれ到達則制御
ゲイン及び適応則制御ゲインであり、以下に述べるよう
に設定される。またΔT1は、制御周期である。制御周
期は、制御対象モデルの定義に使用されるサンプリング
周期と同一の第1の周期ΔT1としている。
【0035】次に到達則入力Urch及び適応則入力U
adpにより、偏差状態量が安定に切換直線上に載せら
れるように、到達則制御ゲインF及び適応則制御ゲイン
Gの決定を行う。具体的には外乱V(k)を想定し、外乱
V(k)に対して切換関数値σ(k)が安定であるための条件
を求めることにより、ゲインF及びGの設定条件を求め
る。その結果、ゲインF及びGの組み合わせが、下記式
(11)〜(13)を満たすこと、換言すれば図4にハ
ッチングを付して示す領域内にあることが安定条件とし
て得られた。 F>0 (11) G>0 (12) F<2−(ΔT/2)G (13)
【0036】以上のように、式(8)〜(10)によ
り、等価制御入力Ueq(k)、到達則入力Urch(k)及
び適応則入力Uadp(k)を算出し、それらの入力の総
和として、デューティ比DUT(k)を算出することがで
きる。
【0037】[モデルパラメータ同定器の概要]次にモ
デルパラメータ同定器22の動作原理を説明する。モデ
ルパラメータ同定器22は、前述したように制御対象の
入力(DUT(k))及び出力(TH(k))に基づいて、制
御対象モデルのモデルパラメータベクトルを算出する。
具体的には、モデルパラメータ同定器22は、下記式
(14)による逐次型同定アルゴリズム(一般化逐次型
最小2乗法アルゴリズム)により、モデルパラメータベ
クトルθ(k)を算出する。 θ(k)=θ(k-1)+KP(k)ide(k) (14) θ(k)T=[a1”,a2”,b1”,c1”] (15)
【0038】ここで、a1”,a2”,b1”及びc
1”は、後述する第1リミット処理を実施する前のモデ
ルパラメータである。またide(k)は、下記式(1
6)、(17)及び(18)により定義される同定誤差
である。DTHHAT(k)は、最新のモデルパラメータ
ベクトルθ(k-1)を用いて算出される、スロットル弁開
度偏差量DTH(k)の推定値(以下「推定スロットル弁
開度偏差量」という)である。KP(k)は、下記式(1
9)により定義されるゲイン係数ベクトルである。ま
た、式(19)のP(k)は、下記式(20)により算出
される4次の正方行列である。
【0039】
【数2】
【数3】
【0040】式(20)の係数λ1,λ2の設定によ
り、式(14)〜(20)による同定アルゴリズムは、
以下のような4つの同定アルゴリズムのいずれかにな
る。 λ1=1,λ2=0 固定ゲインアルゴリズム λ1=1,λ2=1 最小2乗法アルゴリズム λ1=1,λ2=λ 漸減ゲインアルゴリズム(λは
0,1以外の所定値) λ1=λ,λ2=1 重み付き最小2乗法アルゴリズム
(λは0,1以外の所定値)
【0041】演算量の低減のために固定ゲインアルゴリ
ズムを採用すると、式(19)は、下記式(19a)に
ように簡略化される。式(19a)においてPは、定数
を対角要素とする正方行列である。
【数4】
【0042】式(14)〜(18),及び(19a)に
より演算されるモデルパラメータは、所望値から徐々に
ずれていく場合がある。すなわち、図5に示すようにモ
デルパラメータがある程度収束した後に、スロットル弁
の摩擦特性などの非線形特性によって生じる残留同定誤
差が存在したり、平均値がゼロでない外乱が定常的に加
わるような場合には、残留同定誤差が蓄積し、モデルパ
ラメータのドリフトが引き起こされる。このようなモデ
ルパラメータのドリフトを防止すべく、モデルパラメー
タベクトルθ(k)は、上記式(14)に代えて、下記式
(14a)により算出される。 θ(k)=θ(0)+DELTAk-1×KP(1)ide(1) +DELTAk-2×KP(2)ide(2)+…… +DELTA×KP(k-1)ide(k-1)+KP(k)ide(k) (14a)
【0043】ここで、DELTAは下記式(21)で示
すように、忘却係数δi(i=1〜3)及び「1」を要
素とする忘却係数ベクトルである。 DELTA=[δ1,δ2,δ3,1] (21) 忘却係数δiは、0から1の間の値に設定され(0<δ
i<1)、過去の同定誤差の影響を徐々に減少させる機
能を有する。式(21)では、モデルパラメータc1の
演算にかかる係数が「1」に設定されており、過去値の
影響が保持されるようになっている。このように、忘却
係数ベクトルDELTAの要素の一部、すなわちモデル
パラメータc1の演算にかかる係数を「1」とすること
により、目標値DTHRと、スロットル弁開度偏差量D
THとの定常偏差が発生することを防止することができ
る。また忘却係数ベクトルDELTAの他の要素δ1,
δ2及びδ3を「0」より大きく「1」より小さい値に
設定することにより、モデルパラメータのドリフトが防
止される。
【0044】式(14a)を漸化式形式に書き直すと、
下記式(14b)(14c)が得られる。前記式(1
4)に代えて下記式(14b)及び(14c)を用いて
モデルパラメータベクトルθ(k)を算出する手法を、以
下δ修正法といい、式(14c)で定義されるdθ(k)
を「更新ベクトル」という。 θ(k)=θ(0)+dθ(k) (14b) dθ(k)=DELTA・dθ(k-1)+KP(k)ide(k) (14c)
【0045】δ修正法を用いたアルゴリズムによれば、
ドリフト防止効果とともに、モデルパラメータの安定化
効果も得られる。すなわち、初期値ベクトルθ(0)が常
に保存され、更新ベクトルdθ(k)も忘却係数ベクトル
DELTAの働きにより、その要素のとりうる値が制限
されるので、各モデルパラメータを初期値近傍に安定さ
せることができる。
【0046】さらに実際の制御対象の入出力データに基
づいた同定により更新ベクトルdθ(k)を調整しつつモ
デルパラメータを算出するので、実際の制御対象に適合
したモデルパラメータを算出できる。さらに上記式(1
4b)の初期値ベクトルθ(0)に代えて、基準モデルパ
ラメータベクトルθbaseを用いる下記式(14d)
により、モデルパラメータベクトルθ(k)を算出するこ
とが望ましい。 θ(k)=θbase+dθ(k) (14d)
【0047】基準モデルパラメータベクトルθbase
は、モデルパラメータスケジューラ25により目標値D
THRに応じて設定されるので、スロットル弁開度TH
の変化に対応する動特性の変化に適応させることができ
る。
【0048】本実施形態では、さらに同定誤差ide
(k)のローパスフィルタ処理を行う。具体的には、ロー
パス特性を有する制御対象のモデルパラメータを同定す
る場合、同定アルゴリズムの、同定誤差ide(k)に対
する同定重みは、図6(a)に実線L1で示すような周
波数特性を有するが、これをローパスフィルタ処理によ
り、破線L2で示すように高周波成分を減衰させた特性
とする。これは、以下の理由による。
【0049】ローパス特性を有する実際の制御対象及び
これをモデル化した制御対象モデルの周波数特性は、そ
れぞれ図6(b)に実線L3及びL4で示すようにな
る。すなわち、ローパス特性(高周波成分が減衰する特
性)を有する制御対象について、モデルパラメータ同定
器22によりモデルパラメータを同定すると、同定され
たモデルパラメータは高周波域阻止特性に大きく影響さ
れたものとなるため、低周波域での制御対象モデルのゲ
インが実際の特性より低くなる。その結果、スライディ
ングモードコントローラ21による制御入力の補正が過
補正となる。
【0050】そこで、ローパスフィルタ処理により同定
アルゴリズムの重みの周波数特性を、図6(a)に破線
L2で示すような特性とすることにより、制御対象モデ
ルの周波数特性を、同図(b)に破線L5で示すような
特性とし、実際の周波数特性と一致させ、あるいは制御
対象モデルのゲインが実際のゲインよりやや高くなるよ
うに修正することとした。これにより、コントローラ2
1による過補正を防止し、制御系のロバスト性を高めて
制御系をより安定化させることができる。
【0051】なお、ローパスフィルタ処理は、同定誤差
の過去値ide(k-i)(例えばi=1〜10に対応する1
0個の過去値)をリングバッファに記憶し、それらの過
去値に重み係数を乗算して加算することにより実行す
る。さらに、同定誤差ide(k)は、前記式(16)、
(17)及び(18)を用いて算出しているため、スロ
ットル弁開度偏差量DTH(k)と、推定スロットル弁開
度偏差量DTHHAT(k)とに同様のローパスフィルタ
処理を行うこと、あるいは、スロットル弁開度偏差量D
TH(k-1)及びDTH(k-2)と、デューティ比DUT(k
-1)とに同様のローパスフィルタ処理を行うことによっ
ても同様の効果が得られる。
【0052】ローパスフィルタ処理を施した同定誤差を
idef(k)と表すこととすると、前記式(14c)に
代えて、下記式(14e)を用いて更新ベクトルdθ
(k)が算出される。 dθ(k)=DELTA×dθ(k-1)+KP(k)idef(k) (14e)
【0053】[サンプリング周期の検討]ところで、上
述した制御対象モデルのサンプリング周期及び制御周期
に相当する第1の周期ΔT1を数ミリ秒程度(例えば2
ミリ秒程度)に設定した場合には、外乱の抑制能力が不
十分となること、及びハードウエア特性のばらつきや経
時変化への適応能力が不十分となることが、本願発明者
により確認された。以下この点を詳細に説明する。
【0054】1)外乱抑制能力の不足 前記式(8)により算出される等価制御入力Ueqは、
スロットル弁開度偏差量DTHを目標値DTHRへ追従
させるためのフィードフォワード入力である。したがっ
て、外乱(例えばスロットル弁3の弁体を支持する部材
が受ける摩擦力の変化や弁体が受ける圧力(弁体の両側
の圧力差に起因して弁体に加わる圧力)の変化など)の
影響の抑制に寄与するのは、前記式(9)及び(10)
により到達則入力Urch及び適応則入力Uadpであ
る。到達則入力Urch及び適応則入力Uadpは、切
換関数値σに基づいて算出される。
【0055】第1の周期ΔT1を数ミリ秒程度の小さな
値に設定すると、スロットル弁開度偏差量DTHや目標
値DTHRの変化速度が小さい場合には、制御偏差の今
回値e(k)と前回値e(k-1)は、ほぼ等しくなってしま
う。そのため、式(5)の切換関数設定パラメータVP
OLEを「−1」に近い値に設定すると、切換関数値σ
(k)は、ほぼ「0」となってしまう。その結果、式
(9)及び(10)により算出される到達則入力Urc
h(k)及び適応則入力Uadp(k)は、ぼぼ「0」となっ
てしまい、適応スライディングモードコントローラの外
乱抑制能力が著しく低下する。すなわち、制御対象の出
力の変化速度(変化周期)と比較して、短いサンプル周
期を用いて制御対象モデルを定義すると、その制御対象
モデルに基づいて設計された適応スライディングモード
コントローラは、その外乱抑制能力が著しく低いものと
なる。
【0056】2)ハードウエア特性のばらつきや経時変
化への適応能力の不足 ハードウエア特性のばらつきや経時変化への適応は、モ
デルパラメータ同定器22によってモデルパラメータを
逐次的に同定することによって行われる。第1の周期Δ
T1を数ミリ秒程度に設定すると、サンプリング周波数
は数100Hz(例えば500Hz程度)となり、ナイ
キスト周波数fnyqはその1/2の周波数となる。と
ころが、スロットル弁駆動装置10の出力であるスロッ
トル弁開度偏差量DTHや目標値DTHRの周波数成分
の大部分は、図7に示すようにナイキスト周波数fny
qに比べてかなり低い周波数帯域(5Hz未満の周波数
帯域)に存在する。図7においてΦthはパワースペク
トルを示す。このため、図8に示すように変化速度の遅
いパラメータを相対的に短い周期でサンプリングする
と、その変化量を観測できなくなる。すなわち、スロッ
トル弁開度偏差量の今回値DTH(k)と前回DTH(k-1)
とは、ほぼ等しくなる。
【0057】このような検出データを用いてモデルパラ
メータの同定を行うと、同定されるモデルパラメータa
1”及びa2”の和はほぼ「1」となり、モデルパラメ
ータb1”及びc1”は、いずれもほぼ「0」となって
しまう。すなわち、同定されるモデルパラメータは、制
御対象の動特性を正確に表現したものではなくなる。
【0058】以上のように、制御対象の出力の変化速度
(変化周期)と比較して、短いサンプリング周期でサン
プリングしたデータに基づいてモデルパラメータの同定
を行うと、その精度が著しく低下し、制御対象特性のば
らつきや変化に対する適応能力が不十分となる。
【0059】サンプリング周期が長すぎると、ナイキス
ト周波数fnyqが低下し、制御性能が低下することは
明らかであるが、サンプリング周期が短いために問題が
発生することはないと、従来は考えられていた。ところ
が、制御対象の状態の変化に着目した制御を行う場合に
は、サンプリング周期が短すぎるために制御性能が低下
することがある点が明らかとなった。
【0060】そこで本実施形態では、制御対象モデルの
サンプリング周期を制御対象の動作周波数帯域に応じ
て、より長い周期とすることにより、上述した課題を解
決している。ただし、摩擦などにように非線形な外乱に
対しては、経験的に制御周期を短くした方が制御性能が
向上するので、適応スライディングモードコントローラ
の制御周期は数ミリ秒程度に設定される第1の周期ΔT
1を採用し、制御対象モデルの定義に使用するサンプリ
ング周期を第1の周期ΔT1より長い第2の周期ΔT2
に設定するようにした。例えば制御対象の動作周波数帯
域の上限のカットオフ周波数が1Hzである場合、制御
対象の動きを観測するための最低サンプル周波数は、サ
ンプリング定理により、2Hzである。また、制御対象
の動きを表すモデルのモデルパラメータを正確に同定す
るための最高サンプル周波数は20Hz程度であること
が実験により確認されている。したがって、制御対象モ
デルの定義に使用するサンプリング周期は、制御対象の
動作周波数帯域の上限のカットオフ周波数の3倍から3
0倍以下程度の周波数に対応する周期とすることが望ま
しい。第1の周期ΔT1及び第2の周期ΔT2に対応す
るナイキスト周波数をそれぞれfnyq1及びfnyq
2とすると、両者の関係は図9に示すようになる。図9
に示すfsmp2は、第2の周期ΔT2に対応するサン
プリング周波数である。
【0061】サンプリング周期を上限カットオフ周波数
の30倍の周波数に対応する周期より短く設定すると、
上述したような問題点が発生し、上限カットオフ周波数
の3倍の周波数に対応する周期より長く設定するとナイ
キスト周波数が制御対象の動作周波数帯域に対して低す
ぎることとなり、制御性を低下させる。
【0062】さらに本実施形態では、モデルパラメータ
同定器による同定演算周期は、第2の周期ΔT2と同一
とした。
【0063】第2の周期ΔT2で離散化したサンプリン
グ時刻または制御時刻を「n」で示すことにすると、制
御対象モデルを定義する前記式(1a)は、下記式(1
b)のように書き直される。同様に前記式(3)(4)
及び(5)も下記式(3a)(4a)及び(5a)のよ
うに書き直される。以下、式(1b)で定義される制御
対象モデルを「ΔT2モデル」といい、前記式(1a)
で定義される制御対象モデルを「ΔT1モデル」とい
う。 DTH(n+1)=a1×DTH(n)+a2×DTH(n-1) +b1×DUT(n)+c1 (1b) DTHR(n)=THR(n)−THDEF (3a) e(n)=DTH(n)−DTHR(n) (4a) σ(n)=e(n)+VPOLE×e(n-1) (5a) =(DTH(n)−DTHR(n)) +VPOLE×(DTH(n-1)−DTHR(n-1))
【0064】ここで、サンプリング周期を長くすること
が切換関数値σに与える影響について説明する。ΔT1
モデルにおける偏差e(k)の減衰特性と、ΔT2モデル
における偏差e(n)の減衰特性とが、時間tを横軸にと
った場合に図10に示すように同一となるようにするに
は、例えば第2の周期ΔT2が第1の周期T1の5倍に
設定された場合には、切換関数設定パラメータVPOL
Eの値を下記のように設定すればよい。 ΔT1モデルのVPOLE=−0.9 ΔT2モデルのVPOLE=−0.59
【0065】このように切換関数設定パラメータVPO
LEを設定した場合において、図11に示すような低周
波の正弦波状外乱によって、スロットル弁開度偏差量D
THを振動させると、各モデルの切換関数値σは、図1
2に示すようになる。偏差eの減衰特性が同一となるよ
うに設定された切換関数の、同じ外乱に対する値が異な
るものとなっており、ΔT2モデルの切換関数値σ(n)
の方が、ΔT1モデルの切換関数値σ(k)より大きくな
る。すなわち、サンプリング周波数を低下させることに
より、外乱に対する切換関数値σの感度が増加すること
が確認される。したがって、このように外乱に対する感
度が高められた切換関数値σ(n)を使用することによ
り、外乱抑制能力を向上させることができる。
【0066】[ΔT2モデルに基づく適応スライディン
グモードコントローラの再設計]次にΔT2モデルの基
づいて適応スライディングモードコントローラの再設計
を行う。適応スライディングモードコントローラの出力
は、下記式(6a)で表される。 DUT(n)=Usl(n) =Ueq(n)+Urch(n)+Uadp(n) (6a)
【0067】等価制御入力Ueq(n)は、前記式(8)
の「k」を「n」に置き換えることにより得られる。た
だし、実際には目標値の未来値であるDTHR(n+1)を
得ることは困難であるので、本実施形態では、目標値D
THRに関わる項を除いた下記式(8a)により、等価
制御入力Ueq(n)を算出する。未来値DTHR(n+1)の
項のみを除き、今回の目標値DTHR(n)及び前回の目
標値DTHR(n-1)を残すと、コントローラが不安定化
することが実験的に確認されているので、式(8a)で
は今回目標値DTHR(n)及び前回目標値DTHR(n-1)
の項も除かれている。
【0068】また、到達則入力Urch(n)及び適応則
入力Uadp(n)は、それぞれ下記式(9a)及び(1
0a)により算出する。
【数5】
【0069】さらに、到達則入力Urch(n)及び適応
則入力Uadp(n)のゲインF及びGは、切換関数値σ
(n)に応じて、図13(a)に示すように設定すること
が望ましい。このようにゲインF及びGを設定すること
により、切換関数値σ(n)の絶対値が増加するほどゲイ
ンが低下するので、目標値DTHRが急激に変化した場
合でも、スロットル弁開度偏差量DTHが目標値DTH
Rに対してオーバシュートすることを防止することがで
きる。
【0070】図13(a)のような設定に代えて、同図
(b)または(c)に示すように、偏差e(n)またはス
ロットル弁開度偏差量DTH(n)に応じて、ゲインF及
びGを設定するようにしてもよい。同図(b)に示すよ
うに偏差e(n)に応じてゲインF,Gを設定することに
より、偏差e(n)の絶対値が増加するほどゲインが低下
するので、目標値DTHRが急激に変化した場合でも、
スロットル弁開度偏差量DTHが目標値DTHRに対し
てオーバシュートすることを防止することができる。
【0071】また同図(c)に示すように、スロットル
弁開度偏差量DTH(n)に応じてゲインF及びGを設定
することにより、スロットル弁開度偏差量DTH(n)が
「0」近傍にあるとき、すなわちスロットル弁開度TH
がデフォルト開度THDEF近傍にあるときの制御性を
向上させることができる。
【0072】ただし、ゲインF,Gを可変化すると、以
下のような課題が発生する。すなわち、、図14(b)
に示すように、ゲインFまたはGを決定するパラメータ
が時刻t1においてステップ状に変化することによりゲ
インFまたはGがステップ状に変化したときには、同図
(a)に破線で示すように到達則入力Urchまたは適
応則入力Uadpが急変し、スロットル弁開度THの急
変を招くおそれがある。したがって、前記式(9a)及
び(10a)に代えて、下記式(9b)及び(10b)
により、到達則入力Urch及び適応則入力Uadpを
算出するようにしてもよい。これにより、ゲインF,G
が急変したときでも、到達則入力Urchまたは適応則
入力Uadpは、同図(a)に実線で示すように、緩や
かに変化させることができる。 Urch(n)=Urch(n-1)−(F/b1)(σ(n)−σ(n-1)) (9b) Uadp(n)=Uadp(n-1)−(GΔT2/b1)×σ(n) (10b)
【0073】[演算周期の検討]制御対象モデルのサン
プリング周期として第2の周期ΔT2を採用すると、図
15に示すように、通常は制御周期も第1の周期ΔT1
より長い第2の周期ΔTに設定される。ところが、制御
周期を長くすると以下のような課題が生じる。
【0074】1)スロットル弁の駆動機構の摩擦などの
非線形な外乱によって生じる、目標値に対する出力の誤
差は、可能な限りその誤差を早く検知し、補正する方が
より良い制御性が得られる。サンプリング周期を長くす
ると、その誤差の検知が遅れるため、制御性が低下す
る。 2)コントローラへの目標値の入力周期が長くなるた
め、目標値の変化に対する出力の追従におけるむだ時間
が長くなる。また高周波数(高速)の目標値変化を出力
へ反映できなくなる。
【0075】そこで本実施形態では、適応スライディン
グモードコントローラ21,モデルパラメータ同定器2
2及びモデルパラメータスケジューラ25を第2の周期
ΔT2をサンプリング周期とするモデルに基づいて構成
し、適応スライディングモードコントローラ21は第1
の周期ΔT1毎に、制御入力を演算し、モデルパラメー
タ同定器22は、第2の周期ΔT2毎にモデルパラメー
タベクトルθを同定し、モデルパラメータスケジューラ
25は、第2の周期ΔT2毎に基準モデルパラメータベ
クトルθbaseを算出するようにした。
【0076】図16は、ΔT2=5ΔT1である場合に
おいて、上記各パラメータの演算タイミングを説明する
ためのタイムチャートである。この図では、モデルパラ
メータベクトルθ(n-1)は、時刻(n-1)(=時刻(k-5))
と時刻(n-2)(=時刻(k-10))とにおけるスロットル弁
開度偏差量DTH、時刻(n-1)における制御入力DU
T、及び目標値DTHRに基づいて、同時刻(n-1)にお
ける基準モデルパラメータベクトルθbase(n-1)を
用いて算出される。一方、制御入力DUT(k-5)は、目
標値DTHR(k-5)、DTHR(k-10)、スロットル弁開
度偏差量DTH(k-5)、DTH(k-10)、及びモデルパラ
メータベクトルθ(n-1)を用いて算出され、制御入力D
UT(k-4)は、目標値DTHR(k-4)、DTHR(k-9)、
スロットル弁開度偏差量DTH(k-4)、DTH(k-9)、及
びモデルパラメータベクトルθ(n-1)を用いて算出さ
れ、制御入力DUT(k-3)は、目標値DTHR(k-3)、D
THR(k-8)、スロットル弁開度偏差量DTH(k-3)、D
TH(k-8)、及びモデルパラメータベクトルθ(n-1)を用
いて算出される。
【0077】以上のような演算タイミングを採用する
と、コントローラ21による制御入力DUTの更新周期
より、制御入力DUTの演算に用いるモデルパラメータ
の更新周期の方が長くなるため、モデルパラメータの更
新周期が制御入力DUTに影響し、制御系の共振が発生
する可能性がある。
【0078】そこで、本実施形態ではそのような共振を
防止すべく、第2の周期ΔT2で同定されるモデルパラ
メータを、制御周期である第1の周期ΔT1でサンプリ
ング(オーバサンプリング)してリングバッファに格納
し、そのリングバッファに格納したデータを移動平均化
処理して得られる値をモデルパラメータとして使用して
いる。
【0079】図17はそのような演算処理を説明するた
めのタイムチャートであり、図16と同様にΔT2=5
ΔT1である場合について示している。図示例では、オ
ーバサンプリングした最新の9個のデータの平均化処理
を行う様子が示されている。すなわち、3個のθ(n-2)
と、5個のθ(n-1)と、1個のθ(n)とを平均化すること
により得られるモデルパラメータが、時刻kにおけるス
ライディングモードコントローラの演算に使用される。
他のタイミング、例えば時刻(k−3)では、1個のθ
(n-3)と、5個のθ(n-2)と、3個のθ(n-1)とを平均化
することにより得られるモデルパラメータが、スライデ
ィングモードコントローラの演算に使用される。なお、
図17のモデルパラメータベクトルθ’は、後述する第
1リミット処理及びオーバサンプリング・移動平均化処
理が施されたモデルパラメータベクトルを示している。
【0080】[適応スライディングモードコントローラ
の詳細]次に適応スライディングモードコントローラ2
1の詳細について説明する。なお、制御対象モデルは、
第2の周期ΔT2でモデル化したものを用いるが、上述
したように適応スライディングモードコントローラ21
の演算周期は、第2の周期ΔT2ではなく第1の周期Δ
T1とすることとしたので、離散化時刻としては、
「n」でななく「k」を用いる。
【0081】本実施形態では、目標値DTHRの微小変
化に対する応答性の向上、及びスロットル弁開度偏差量
DTHの目標値DTHRに対するオーバシュートの低減
を図るために、前記式(6a)に代えて、下記式(6
b)により制御入力DUT(k)を算出するようにしてい
る。式(6b)では、等価制御入力Ueq(k)、到達則
入力Urch(k)、及び適応則入力Uadp(k)に加え
て、非線形入力Unl(k)、強制加振入力Uwave
(k)、及びダンピング入力Udamp(k)を用いて制御入
力DUT(k)が算出される。 DUT(k)=Usl(k) =Ueq(k)+Urch(k)+Uadp(k) +Unl(k)+Uwave(k)+Udamp(k) (6b)
【0082】式(6b)において、等価制御入力Ueq
(k)、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Uadp
(k)は、下記式(8b)、(9)及び(10c)により
算出され、切換関数値σ(k)は、下記式(5b)により
算出される。
【0083】
【数6】
【0084】ここで式(5b)及び(8b)のk0は、
切換関数値σの算出にかかる偏差e(k)のサンプリング
時間間隔に相当するパラメータである。本実施形態で
は、パラメータk0を第2の周期ΔT2に相当する(Δ
T2/ΔT1)(例えば「5」)に設定している。この
ように切換関数値σの算出にかかる偏差e(k)のサンプ
リング時間間隔を第2の周期ΔT2に設定することによ
り、制御対象モデルの特性とプラントの特性とがよく一
致している周波数領域に適した切換関数値に算出が行わ
れ、外乱やモデル化誤差の抑制能力をさらに向上させる
ことできる。
【0085】モデル化のサンプリング周期を第2の周期
ΔT2とし、制御周期を第1の周期ΔT1としているた
めに、式(5b)、(8b)、及び(10c)は、前記
式(5)、(8a)及び(10b)とは異なっている。
非線形入力Unlは、スロットル弁3の弁体を駆動する
減速ギヤのバックラッシなどの非線形モデル化誤差を抑
制し、偏差状態量を切換直線上に載せるための入力であ
る。強制加振入力Uwaveは、スロットル弁3の駆動
機構の摩擦などに起因する非線形特性を抑制するための
入力である。ダンピング入力Udampは、スロットル
弁開度偏差量DTHの目標値DTHRに対するオーバシ
ュートを防止するための入力である。
【0086】先ず非線形入力Unlについて説明する。
減速ギヤを介して弁体を駆動する方式のスロットル弁駆
動装置では、微小変化する目標値DTHRに対して、図
18に示すような減速ギヤのバックラッシに起因する定
常偏差が生じ、それを解消するためにある程度時間を要
する。特に目標値DTHRやスロットル弁開度偏差量D
THの変化方向が反転した後にその傾向が強くなる。
【0087】非線形入力Unlを含まない式(6a)を
用いたコントローラでは、適応則入力Uadpと、等価
制御入力Ueqの演算式(8)に含まれるモデルパラメ
ータc1とによって、上記定常偏差が「0」に収束す
る。しかし、その収束速度が遅いため、十分な制御性が
得られなかった。図18では、適応則入力Uadpが変
化して定常偏差が「0」に収束する様子が示されてい
る。なお、式(6a)を用いた制御では、適応則入力U
adp及びモデルパラメータc1のうち少なくとも一方
を用いることにより、定常偏差を「0」とすることがで
きる。
【0088】本実施形態では、このような課題を解決す
るために下記式(22)により算出される非線形入力U
nl(k)を用いることとした。 Unl(k)=−Knl×sgn(σ(k))/b1 (22) ここで、sgn(σ(k))は、σ(k)が正の値のとき
「1」となり、σ(k)が負の値のとき「−1」となる符
号関数であり、Knlは非線形入力ゲインである。
【0089】非線形入力Unl(k)を用いると、微小変
化する目標値DTHRに対する応答は、図19(a)に
示すようになり、このとき非線形入力Unl(k)は、同
図(b)に示すように変化する。すなわち、図18に示
すように、定常偏差の収束が遅れることが防止される。
【0090】ただし図19からわかるように、非線形入
力Unlを追加することにより、式(6a)による制御
では問題とならなかったスライディングモードコントロ
ーラ特有のチャタリング現象が発生する。本実施形態で
は、上記適応則入力Uadp及びモデルパラメータc1
を使用すること、及び強制加振入力Uwaveを使用す
ることにより、非線形入力Unlによって補償すべきモ
デル化誤差を最小化し、非線形入力Unlの振幅、すな
わちチャタリングの振幅を最小化している。
【0091】さらに本実施形態では、非線形入力ゲイン
Knlをスロットル弁開度偏差量DTHに応じて図20
に示すように設定している。このように、スロットル弁
開度偏差量DTHが「0」近傍にあるとき、換言すれば
スロットル弁開度THがデフォルト開度THDEF近傍
にあるとき、非線形入力ゲインKnlを大きくすること
により、定常偏差の発生を抑制している。
【0092】次に強制加振入力Uwaveについて説明
する。スロットル弁駆動装置10のような制御対象で
は、スロットル弁3の弁体を駆動するための摺動部材の
摩擦特性が、目標値の微小変化に対する制御性を低下さ
せる傾向がある。
【0093】このような摩擦特性の補償としては、所定
周期のディザ入力を制御入力に加える方法があり、本実
施形態では、下記式(23)により算出するようにし
た。 Uwave(k)=Kwave×Fwave(k)×|ide(n)|/b1 (23) ここで、Kwaveはディザ入力基本ゲインであり、F
wave(k)はディザ信号値であり、ide(n)は、モデ
ルパラメータの同定誤差である。
【0094】ディザ信号値Fwaveを得るためのディ
ザ信号としては、図21に示す基本波形の連続波を採用
し、その繰り返し周波数は、制御系の共振を回避するた
め、図22に示すように、制御対象の共振周波数を外し
た周波数に設定した。図22では、周波数frが制御系
の共振周波数を示し、fwaveがディザ信号の周波数
を示す。
【0095】さらに、共振周波数frより低い周波数帯
域では、非線形入力Unlが強制加振入力Uwaveと
同様の効果をもたらすので、ディザ信号周波数fwav
eは、共振周波数frより高い周波数、より具体的には
ローパス特性(高周波成分が減衰する特性)を有する制
御対象の阻止周波数帯域内(通過周波数帯域外)に設定
されている。
【0096】また強制加振入力Uwaveも非線形入力
Unlと同様にチャタリング現象の原因となる。したが
って、強制加振入力Uwaveは、制御対象の摩擦特性
に応じてその振幅を設定すべきである。ところが、スロ
ットル弁駆動装置の摩擦特性は、ハードウエアの特性ば
らつき、経年劣化、弁体に加わる圧力などにより変化す
るため、非線形入力Unlのように、スロットル弁開度
(スロットル弁開度偏差量)に応じて設定するのは適切
でない。
【0097】そこで本実施形態では、摩擦特性などの非
線形特性は、制御対象モデルが線形モデルであるため、
モデルパラメータに反映されず、同定誤差ideとして
表れることに着目し、式(23)に示したように、強制
加振入力Uwaveの振幅を、同定誤差ideの絶対値
に応じて設定するようにした。これにより、摩擦特性の
変化に応じた振幅設定が可能となる。
【0098】図23は、強制加振入力Uwaveの効果
を説明するためのタイムチャートである。摩擦過大領域
への突入時(t1)及び離脱時(t2)において、同定
誤差ideが大きくなり、したがって強制加振入力Uw
aveが大きくなって、スロットル弁開度偏差量DTH
の制御誤差が増加することが防止される。
【0099】次にダンピング入力Udampについて説
明する。スロットル弁駆動装置の制御では、スロットル
弁の弁体を全閉位置へ移動させる際のストッパへの衝突
を回避することやエンジン駆動力が運転者の要求以上に
発生することを防止することが重要である。一方、スラ
イディングモード制御は、一般に高速の応答特性を有す
るが、目標値に対するオーバシュートを生じやすい特性
を有している。
【0100】そこで、本実施形態では、オーバシュート
を抑制するための制御入力として、ダンピング入力Ud
ampを用いることとした。オーバシュートを抑制する
ためのダンピング入力Udampとしては、下記の3つ
の式で定義されるものが考えられる。 Udamp1(k)=−Kdamp1(e(k)−e(k-1))/b1 (24) Udamp2(k)=−Kdamp2(σ(k)−σ(k-1))/b1 (25) Udamp3(k)=−Kdamp3(DTH(k)−DTH(k-1))/b1 (26) ここで、Kdamp1,Kdamp2,及びKdamp
3は、ダンピング制御ゲインである。
【0101】式(24)及び(25)で使用している偏
差e(k)と切換関数値σ(k)の変化速度は、スロットル弁
開度偏差量DTHの変化速度が大きい場合と、目標値D
THRの変化速度が大きい場合のいずれにおいても、大
きくなるため、ダンピング入力Udampの絶対値は増
加する。ダンピング入力Udampは、スロットル弁開
度偏差量DTHを目標値DTHRに収束させる他の制御
入力を抑制する機能を有する。したがって、式(24)
または(25)により定義されるダンピング入力Uda
mp1またはUdamp2を採用すると、目標値DTH
Rが大きく変化したときに、その目標値DTHRに追従
するための制御入力を抑制してしまうため、応答速度が
低下してしまう。
【0102】これに対し、式(26)で定義されるダン
ピング入力Udamp3は、スロットル弁開度の変化速
度が大きくなったときのみ、その絶対値が増加して他の
制御入力の抑制を行う一方、目標値DTHRが大きく変
化した場合には、他の制御入力の抑制は行わない。した
がって、式(24)または(25)により定義されるダ
ンピング入力Udamp1またはUdamp2では実現
できない、オーバシュート抑制と高い応答速度の両立を
実現することできる。
【0103】そこで本実施形態では、下記式(27)に
よりダンピング入力Udampを算出することとした。 Udamp=−Kdamp(DTH(k)−DTH(k-1))/b1 (27) 図24は、ダンピング入力Udampによるオーバシュ
ート抑制効果を説明するためのタイムチャートである。
破線で示すように目標値DTHRをステップ状に変化さ
せたときのスロットル弁開度偏差量DTHの応答特性が
示されており、同図(a)に示すオーバシュートは、ダ
ンピング入力Udampにより、同図(b)に示すよう
に抑制される。
【0104】また式(27)にはモデルパラメータb1
を含めるようにしたので、スロットル弁駆動装置10の
動特性が変化した場合でも、適切にオーバシュートを抑
制することができる。さらに式(27)のダンピング制
御ゲインKdampに関しては、スロットル弁開度偏差
量DTH及び目標値DTHRの状態に応じて可変化する
ことにより、制御性をより向上させることが可能であ
る。そこで、本実施形態では、スロットル弁開度偏差量
DTHに応じて図25(a)に示すように、基本値Kd
ampbsを設定し、さらに目標値DTHRの変化量の
移動平均値DDTHRAVに応じて同図(b)に示すよ
うに、補正係数Kkdampを算出し、下記式(28)
により、ダンピング制御ゲインKdampを算出するよ
うにしている。基本値Kdampbsは、デフォルト開
度近傍(DTH≒0)で小さな値に設定されるので、ダ
ンピング効果が低減され、高い応答速度が得られる。ま
た、補正係数Kkdampは、移動平均値DDTHRA
Vが正の所定値以上のとき、「1」より大きな値に設定
される。これは、スロットル弁開度THが増加するとき
オーバシュートが起きやすいことを考慮したものであ
る。 Kdamp=Kdampbs×Kkdamp (28)
【0105】移動平均値DDTHRAVは下記式(2
9)により算出される。
【数7】 ここでiAVは、例えば「50」に設定される所定数で
ある。
【0106】[モデルパラメータ同定器の詳細]前述し
たようにモデルパラメータ同定器22における同定演算
は、第2の周期ΔT2毎に行うこととしたので、モデル
パラメータ同定器の概要の説明で示した演算式の「k」
を「n」に変更した式を以下に示す。下記式(30)の
LF()は、前述した同定誤差のローパスフィルタ処理
を関数の形式で示したものである。 θ(n)=θbase+dθ(n) (14f) dθ(n)=DELTA・dθ(n-1)+KP(n)idef(n) (14g) KP(n)=Pζ(n)/(1+ζT(n)Pζ(n)) (19b) idef(n)=LF(ide(n)) (30) ide(n)=DTH(n)−DTHHAT(n) (16a) DTHHAT(n)=θ(n-1)Tζ(n) (17a) θ(n)T=[a1”(n),a2”(n),b1”(n),c1”(n)] (15a) ζ(n)T=[DTH(n-1),DTH(n-2),DUT(n-1),1] (18a) DELTA=[δ1,δ2,δ3,1] (21)
【0107】式(14f)により算出されるモデルパラ
メータベクトルθ(n)の要素a1”,a2”,b1”,
及びc1”は、制御系のロバスト性を高めるために、以
下に説明するリミット処理が施される。
【0108】図26は、モデルパラメータa1”及びa
2”のリミット処理を説明するための図であり、モデル
パラメータa1”を横軸とし、モデルパラメータa2”
を縦軸として定義される平面が示されている。モデルパ
ラメータa1”及びa2”は、同図にハッチングを付し
て示す安定領域の外側にあるときには、安定領域の外縁
部に対応する値に変更するリミット処理が行われる。
【0109】またモデルパラメータb1”は、上限値X
IDB1Hと下限値XIDB1Lの範囲外であるとき
は、上限値XIDB1Hまたは下限値XIDB1Lに変
更するリミット処理が行われ、モデルパラメータc1”
は、上限値XIDC1Hと下限値XIDC1Lの範囲外
であるときは、上限値XIDC1Hまたは下限値XID
C1Lに変更するリミット処理が行われる。
【0110】以上のリミット処理(第1リミット処理)
を数式では下記式(31)のように表現する。θ*(n)
は、リミット処理後のモデルパラメータベクトルであ
り、その要素は下記式(32)のように表す。 θ*(n)=LMT(θ(n)) (31) θ*(n)T=[a1*(n),a2*(n),b1*(n),c1*(n)] (32)
【0111】従来は、式(14g)により更新ベクトル
dθ(n)を算出する際に用いる、前回の更新ベクトルd
θ(n-1)と、式(17a)により推定スロットル弁開度
偏差量DTHHATを算出する際に用いる前回のモデル
パラメータベクトルθ(n-1)とは、上記リミット処理を
行う前のモデルパラメータを用いていたが、本実施形態
では、前回の更新ベクトルdθ(n)としては、下記式
(33)で算出されるものを用い、推定スロットル弁開
度偏差量DTHHATの算出に使用する前回のモデルパ
ラメータベクトルとしては、下記式(17b)に示すよ
うに、リミット処理後のモデルパラメータベクトルθ
*(n-1)を用いることとした。 dθ(n-1)=θ*(n-1)−θbase(n-1) (33) DTHHAT(n)=θ*(n-1)Tζ(n) (17b)
【0112】次にその理由を説明する。モデルパラメー
タa1”及びa2”で決まる座標(以下「モデルパラメ
ータ座標」という)が図26(b)の点PA1にある場
合には、リミット処理により、モデルパラメータ座標が
安定領域の外縁に位置する点PALに移動する。このと
きスロットル弁開度偏差量DTHが変化し、モデルパラ
メータa1”及びa2”が収束すべきモデルパラメータ
座標が、点PA2へ変化した場合には、点PA1から点
PA2への移動は、点PALからPA2への移動に比べ
て遅くなる。つまり、適応スライディングモードコント
ローラ21による制御を、制御対象の動特性変化へ適応
させる際にむだ時間が生じ、制御性が低下するおそれが
ある。
【0113】そこで本実施形態では、リミット処理後の
モデルパラメータベクトルθ*(n-1)を式(33)及び
(17b)に適用して、今回のモデルパラメータベクト
ルθ(n)を算出するようにした。第1リミット処理後の
モデルパラメータベクトルθ*(n)を時刻kでオーバサン
プリングすることにより得られるモデルパラメータベク
トルθ*(k)は、下記式(32a)で表される。 θ*(k)T=[a1*(k),a2*(k),b1*(k),c1*(k)] (32a)
【0114】このオーバサンプリングしたモデルパラメ
ータベクトルθ*(k)の移動平均化演算を行うことにより
得られるモデルパラメータベクトルθ’(k)を下記式
(32b)で表すこととすると、θ’(k)の要素a1’
(k),a2’(k),b1’(k),及びc1’(k)は、下記式
(34)〜(37)により算出される。 θ’(k)T=[a1’(k),a2’(k),b1’(k),c1’(k)] (32b)
【0115】
【数8】 ここで(m+1)は、移動平均化演算を行うデータの数
であり、「m」は例えば「4」に設定される。
【0116】次に下記式(38)に示すように、モデル
パラメータベクトルθ’(k)に対して、前述したリミッ
ト処理と同様のリミット処理(第2リミット処理)を行
うことにより、修正モデルパラメータベクトルθL(k)
(式(39))を算出する。移動平均化演算により、モ
デルパラメータa1’及び/またはa2’が、図26に
示した安定領域から外れる場合があるからである。モデ
ルパラメータb1’及びc1’については、移動平均化
演算によりリミット範囲から外れることはないので、実
質的にはリミット処理は行われない。 θL(k)=LMT(θ’(k)) (38) θL(k)T=[a1,a2,b1,c1] (39)
【0117】[モデルパラメータスケジューラの詳細]
モデルパラメータスケジューラ25により設定される基
準モデルパラメータa1base,a2base,b1
base,及びc1baseのうち、基準モデルパラメ
ータa1base及びa2baseは、目標値DTHR
に応じて図27に示すように設定される。目標値DTH
Rに応じて設定することにより、スロットル弁開度偏差
量DTHに応じて設定する場合に比べて、制御性、特に
即応性を向上させることができる。
【0118】また、基準モデルパラメータc1base
は、スロットル弁駆動装置の作動状態(目標値DTHR
またはスロットル弁開度偏差量DTH)に依存しないた
め、常に「0」に設定される。また、制御入力DUTに
関わる基準モデルパラメータb1baseについては、
スロットル弁駆動装置の作動状態に拘わらず、常にモデ
ルパラメータb1の下限リミット値XIDB1Lに設定
される。
【0119】基準モデルパラメータb1baseを常に
下限リミット値XIDB1Lに設定する理由を以下に説
明する。
【0120】図28(b)に示すように、時刻tSより
前において適応スライディングモードコントローラ21
で使用されているモデルパラメータb1が、更新ベクト
ルdθのb1成分であるdb1(同図(c))により補
正されて、基準モデルパラメータb1baseより小さ
い値である場合において、時刻tSに目標値DTHRが
同図(a)に示すように、値DTHR1からDTHR2
へステップ状に変化したとき、目標値DTHRが値DT
HR2に等しい状態で、モデルパラメータb1がとるべ
き値が同図(b)に示すb1sであるとする。
【0121】このとき、モデルパラメータ同定器22に
よる基準モデルパラメータb1baseの補正には、数
ステップを要するため、時刻tSより前において基準モ
デルパラメータb1baseをマイナス方向に補正して
いた更新成分db1が、時刻tS以後の適正値となるた
めには、数ステップを要する。したがって、その数ステ
ップの期間においては、モデルパラメータb1は、更新
成分db1により所望値b1sよりも大幅に小さい値と
なる。その結果、適応スライディングモードコントロー
ラ21は、過大な補正を行う制御入力DUTを算出し、
同図(a)に示すように、スロットル弁開度偏差量DT
Hのオーバシュートが発生することがある。
【0122】そこで本実施形態では、基準モデルパラメ
ータb1baseは常に下限リミット値XDB1Lに設
定することにより、図28に示すような不具合が生じな
いようにしている。基準モデルパラメータb1base
を下限リミット値XDB1Lに設定すると、更新成分d
b1は図29(c)に示すように、常に正の値となるた
め、例えばモデルパラメータb1の同定遅れが生じたと
しても、所望値b1sに比べて大幅に小さな値となるこ
とが防止され(同図(b))、同定遅れに起因して適応
スライディングモードコントローラ21が過補正を行う
ことを防止することができる。その結果、同図(a)に
示すように、スロットル弁開度偏差量DTHのオーバシ
ュートを抑制することができる。
【0123】[ECU7のCPUにおける演算処理]次
に上述した適応スライディングモードコントローラ2
1、モデルパラメータ同定器22、及びモデルパラメー
タスケジューラ23の機能を実現するための、ECU7
のCPUにおける演算処理を説明する。
【0124】図30は、スロットル弁開度制御の全体フ
ローチャートであり、この処理は所定時間(例えば2m
sec)毎にECU7のCPUで実行される。ステップ
S11では、図31に示す状態変数設定処理を実行す
る。すなわち、式(2)及び(3)の演算を実行し、ス
ロットル弁開度偏差量DTH(k)及び目標値DTHR(k)
を算出する(図31,ステップS31及びS32)。な
お、今回値であることを示す(k)または(n)は、省略して
示す場合がある。
【0125】ステップS12では、カウンタIDCOU
NTの値が「0」であるか否かを判別する。カウンタI
DCOUNTは、最初は「0」に設定されているので、
ステップS12からステップS14に進み、図32に示
すモデルパラメータの同定演算処理、すなわちモデルパ
ラメータベクトルθ(n)の算出処理を実行する。次い
で、図34に示す第1リミット処理を実行し、モデルパ
ラメータベクトルθ*(n)を算出する(ステップS1
5)。具体的には、モデルパラメータベクトルθ(n)の
リミット処理が実行され、モデルパラメータベクトルθ
*(n)が算出される。算出されたモデルパラメータベクト
ルの要素a1*(n),a2*(n),b1*(n),及びc1*(n)
は、オーバサンプリング処理のためにそれぞれ所定数N
ずつリングバッファに格納される。すなわち、θ*(k),
θ*(k+1),…,θ*(k+N-1)が、リングバッファに格納さ
れる。所定数Nは、第1の周期ΔT1と第2の周期ΔT
2との比(ΔT2/ΔT1)であり、例えば「5」に設
定される。
【0126】ステップS16では、カウンタIDCOU
NTに所定数Nが設定される。したがって、本処理の次
の実行時には、ステップS12の答が否定(NO)とな
り、カウンタIDCOUNTの値が「1」だけデクリメ
ントされ(ステップS13)、ステップS17に進む。
すなわち、ステップS14〜S16の処理は、N回に1
回の割合で実行される。
【0127】ステップS17では、リミット処理後のモ
デルパラメータベクトルθ*(n)の移動平均化演算により
モデルパラメータベクトルθ’(k)を算出する。具体的
には、前記リングバッファに格納されたモデルパラメー
タを式(34)〜(37)に適用して、モデルパラメー
タa1’(k),a2’(k),b1’(k),及びc1’(k)が
算出される。
【0128】ステップS18では、図39に示す第2リ
ミット処理を実行する。すなわち、ステップS17で算
出されたモデルパラメータa1’(k)及びa2’(k)のリ
ミット処理が実行され、修正モデルパラメータベクトル
θL(k)が算出される。尚、モデルパラメータb1’(k)
及びc1’(k)は、それぞれそのまま修正モデルパラメ
ータベクトルθL(k)の要素b1(k)及びc1(k)とな
る。
【0129】ステップS19では、図40に示す制御入
力Usl(k)の演算処理を実行する。すなわち、等価制
御入力Ueq(k)、到達則入力Urch(k)、適応則入力
Uadp(k)、非線形入力Unl(k)、強制加振入力Uw
ave、及びダンピング入力Udamp(k)を算出し、
それらの入力の総和として、制御入力Usl(k)(=デ
ューティ比DUT(k))を算出する。
【0130】ステップS20では、図50に示すスライ
ディングモードコントローラの安定判別処理を実行す
る。すなわち、リアプノフ関数の微分値に基づく安定判
別を行い、安定判別フラグFSMCSTABの設定を行
う。この安定判別フラグFSMCSTABは、制御入力
Usl(k)の演算実行時に参照される。
【0131】図32は、図30のステップS14におい
てモデルパラメータの同定演算を行う処理のフローチャ
ートである。ステップS41では、式(19b)により
ゲイン係数ベクトルKP(n)を算出し、次いで式(17
b)により推定スロットル弁開度偏差量DTHHAT
(n)を算出する(ステップS42)。
【0132】ステップS43では、図33に示すide
(n)の演算処理を実行し、同定誤差ide(n)を算出す
る。ステップS44では、式(14g)及び(33)に
より更新ベクトルdθ(n)を算出し、次いで目標値DT
HRに応じて図27に示したθbaseテーブルを検索
し、基準モデルパラメータベクトルθbaseを算出す
る(ステップS45)。θbaseテーブルには、実際
には基準モデルパラメータa1base及びa2bas
eが設定されており、基準モデルパラメータb1bas
eは、モデルパラメータb1の最小値XIDB1Lに設
定される。また、基準モデルパラメータc1base
は、「0」に設定される。ステップS46では、式(1
4f)によりモデルパラメータベクトルθ(n)を算出
し、本処理を終了する。
【0133】図33は、図32のステップS43で実行
される同定誤差ide(n)の演算処理のフローチャート
である。ステップS51では、式(16a)により同定
誤差ide(n)を算出する。次いで、ステップS53で
インクリメントされるカウンタCNTIDSTの値が、
制御対象のむだ時間dに応じて設定される所定値XCN
TIDST(本実施形態では、むだ時間dを「0」と近
似しているので、「2」に設定される)より大きいか否
かを判別する(ステップS52)。カウンタCNTID
STの初期値は「0」であるので、最初はステップS5
3に進み、カウンタCNTIDSTを「1」だけインク
リメントし、同定誤差ide(k)を「0」に設定して
(ステップS54)、ステップS55に進む。モデルパ
ラメータベクトルθ(n)の同定を開始した直後は、式
(16a)による演算で正しい同定誤差が得られないの
で、ステップS52〜S54により、式(16a)によ
る演算結果を用いずに同定誤差ide(n)を「0」に設
定するようにしている。
【0134】ステップS52の答が肯定(YES)とな
ると、直ちにステップS55に進む。ステップS55で
は、同定誤差ide(n)のローパスフィルタ処理を行
う。すなわち、図6を参照して説明したように制御対象
モデルの周波数特性を修正するための処理が実行され
る。
【0135】図34は、図30のステップS15で実行
される第1リミット処理のフローチャートである。ステ
ップS71では、この処理で使用されるフラグFA1S
TAB,FA2STAB,FB1LMT及びFC1LM
Tをそれぞれ「0」に設定することにより、初期化を行
う。そして、ステップS72では、図35に示すa1”
及びa2”のリミット処理を実行し、ステップS73で
は、図37に示すb1”のリミット処理を実行し、ステ
ップS74では、図38に示すc1”のリミット処理を
実行する。
【0136】図35は、図34のステップS72で実行
されるa1”及びa2”のリミット処理のフローチャー
トである。図36は、図35の処理を説明するための図
であり、図35とともに参照する。図36においては、
リミット処理が必要なモデルパラメータa1”とa2”
の組み合わせが「×」で示され、また安定なモデルパラ
メータa1”及びa2”の組み合わせの範囲がハッチン
グを付した領域(以下「安定領域」という)で示されて
いる。図35の処理は、安定領域外にあるモデルパラメ
ータa1”及びa2”の組み合わせを、安定領域内
(「○」で示す位置)に移動させる処理である。
【0137】ステップS81では、モデルパラメータa
2”が、所定a2下限値XIDA2L以上か否かを判別
する。所定a2下限値XIDA2Lは、「−1」より大
きい負の値に設定される。所定a2下限値XIDA2L
は、「−1」に設定しても、安定なモデルパラメータa
*,a2*が得られるが、下記式(40)で定義される
行列Aのn乗が不安定となる(これは、a1”及びa
2”が発散はしないが振動することを意味する)場合が
あるので、「−1」より大きな値に設定される。
【数9】
【0138】ステップS81でa2”<XIDA2Lで
あるときは、モデルパラメータa2 *を、この下限値X
IDA2Lに設定するとともに、a2安定化フラグFA
2STABを「1」に設定する(ステップS82)。a
2安定化フラグFA2STABは「1」に設定される
と、モデルパラメータa2*を下限値XIDA2Lに設
定したことを示す。図36においては、ステップS81
及びS82のリミット処理P1によるモデルパラメータ
の修正が、「P1」を付した矢線(矢印を付した線)で
示されている。
【0139】ステップS81の答が肯定(YES)、す
なわちa2”≧XIDA2Lであるときは、モデルパラ
メータa2*はモデルパラメータa2”に設定される
(ステップS83)。ステップS84及びステップS8
5では、モデルパラメータa1”が、所定a1下限値X
IDA1Lと所定a1上限値XIDA1Hできまる範囲
内にあるか否かを判別する。所定a1下限値XIDA1
Lは、−2以上且つ0より小さい値に設定され、所定a
1上限値XIDA1Hは、例えば2に設定される。
【0140】ステップS84及びS85の答がいずれも
肯定(YES)であるとき、すなわちXIDA1L≦a
1”≦XIDA1Hであるときは、モデルパラメータa
*はモデルパラメータa1”に設定される(ステップ
S88)。一方a1”<XIDA1Lであるときは、モ
デルパラメータa1*を下限値XIDA1Lに設定する
とともに、a1安定化フラグFA1STABを「1」に
設定する(ステップS84,S86)。またa1”>X
IDA1Hであるときは、モデルパラメータa1*を上
限値XIDA1Hに設定するとともに、a1安定化フラ
グFA1STABを「1」に設定する(ステップS8
5,S87)。a1安定化フラグFA1STABは、
「1」に設定されると、モデルパラメータa1*を下限
値XIDA1Lまたは上限値XIDA1Hに設定したこ
とを示す。図36においては、ステップS84〜S87
のリミット処理P2によるモデルパラメータの修正が、
「P2」を付した矢線で示されている。
【0141】ステップS90では、モデルパラメータa
*の絶対値とモデルパラメータa2*の和が、所定安定
判定値XA2STAB以下であるか否かを判別する。所
定安定判定値XA2STABは、「1」に近く「1」よ
り小さい値(例えば0.99)に設定される。
【0142】図36に示す直線L1及びL2は、下記式
(41)を満たす直線である。 a2*+|a1*|=XA2STAB (41) したがって、ステップS90は、モデルパラメータa1
*及びa2*の組み合わせが、図36に示す直線L1及び
L2の線上またはその下側にあるか否かを判別してい
る。ステップS90の答が肯定(YES)であるとき
は、モデルパラメータa1*及びa2*の組み合わせは、
図36の安定領域内にあるので、直ちに本処理を終了す
る。
【0143】一方ステップS90の答が否定(NO)で
あるときは、モデルパラメータa1 *が、所定安定判定
値XA2STABから所定a2下限値XIDA2Lを減
算した値(XIDA2L<0であるので、XA2STA
B−XIDA2L>XA2STABが成立する)以下か
否かを判別する(ステップS91)。そしてモデルパラ
メータa1*が(XA2STAB−XIDA2L)以下
であるときは、モデルパラメータa2*を(XA2ST
AB−|a1*|)に設定するとともに、a2安定化フ
ラグFA2STABを「1」に設定する(ステップS9
2)。
【0144】ステップS91でモデルパラメータa1*
が(XA2STAB−XIDA2L)より大きいとき
は、モデルパラメータa1*を(XA2STAB−XI
DA2L)に設定し、モデルパラメータa2*を所定a
2下限値XIDA2Lに設定するとともに、a1安定化
フラグFA1STAB及びa2安定化フラグFA2ST
ABをともに「1」に設定する(ステップS93)。
【0145】図36においては、ステップS91及びS
92のリミット処理P3によるモデルパラメータの修正
が、「P3」を付した矢線で示されており、またステッ
プS91及びS93のリミット処理P4によるモデルパ
ラメータの修正が、「P4」を付した矢線で示されてい
る。
【0146】以上のように図35の処理により、モデル
パラメータa1”及びa2”が図18に示す安定領域内
に入るようにリミット処理が実行され、モデルパラメー
タa1*及びa2*が算出される。
【0147】図37は、図34のステップS73で実行
されるb1”のリミット処理のフローチャートである。
ステップS101及びS102では、モデルパラメータ
b1”が、所定b1下限値XIDB1Lと所定b1上限
値XIDB1Hできまる範囲内にあるか否かを判別す
る。所定b1下限値XIDB1Lは、正の所定値(例え
ば0.1)に設定され、所定b1上限値XIDB1H
は、例えば「1」に設定される。
【0148】ステップS101及びS102の答がいず
れも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDB1L
≦b1”≦XIDB1Hであるときは、モデルパラメー
タb1*はモデルパラメータb1”に設定される(ステ
ップS105)。
【0149】一方b1”<XIDB1Lであるときは、
モデルパラメータb1*を下限値XIDB1Lに設定す
るとともに、b1リミットフラグFB1LMTを「1」
に設定する(ステップS101,S104)。またb
1”>XIDB1Hであるときは、モデルパラメータb
*を上限値XIDB1Hに設定するとともに、b1リ
ミットフラグFB1LMTを「1」に設定する(ステッ
プS102,S103)。b1リミットフラグFB1L
MTは、「1」に設定されると、モデルパラメータb1
*を下限値XIDB1Lまたは上限値XIDB1Hに設
定したことを示す。
【0150】図38は、図34のステップS74で実行
されるモデルパラメータc1”のリミット処理のフロー
チャートである。ステップS111及びS112では、
モデルパラメータc1”が、所定c1下限値XIDC1
Lと所定c1上限値XIDC1Hできまる範囲内にある
か否かを判別する。所定c1下限値XIDC1Lは、例
えば−60に設定され、所定c1上限値XIDC1H
は、例えば60に設定される。
【0151】ステップS111及びS112の答がいず
れも肯定(YES)であるとき、すなわちXIDC1L
≦c1”≦XIDC1Hであるときは、モデルパラメー
タc1*はモデルパラメータc1”に設定される(ステ
ップS115)。
【0152】一方c1”<XIDC1Lであるときは、
モデルパラメータc1*を下限値XIDC1Lに設定す
るとともに、c1リミットフラグFC1LMTを「1」
に設定する(ステップS111,S114)。またc
1”>XIDC1Hであるときは、モデルパラメータc
*を上限値XIDC1Hに設定するとともに、c1リ
ミットフラグFC1LMTを「1」に設定する(ステッ
プS112,S113)。c1リミットフラグFC1L
MTは、「1」に設定されると、修正モデルパラメータ
c1を下限値XIDC1Lまたは上限値XIDC1Hに
設定したことを示す。
【0153】図39は、図30のステップS18で実行
される第2リミット処理のフローチャートである。この
処理は、図35の処理の「a1”」及び「a2”」をそ
れぞれ「a1’」及び「a2’」に置換し、「a1*
及び「a2*」をそれぞれ「a1」及び「a2」に置換
したものであり、処理の内容は実質的に同一である。す
なわち、移動平均化処理されたモデルパラメータa1’
及びa2’について、図35と同様のリミット処理がス
テップS121〜S133で実行され、修正モデルパラ
メータa1及びa2が算出される。
【0154】図40は、図30のステップS19で実行
されるUsl算出処理のフローチャートである。ステッ
プS201では、図41に示す切換関数値σの演算処理
を実行し、ステップS202では、前記式(8b)によ
り、等価制御入力Ueqを算出する。ステップS203
では、図44に示す到達則入力Urchの演算処理を実
行し、ステップS204では、図45に示す適応則入力
Uadpの演算処理を実行する。ステップS205で
は、図46に示す非線形入力Unlの演算処理を実行
し、ステップS206では、図47に示す強制加振入力
Uwaveの演算処理を実行し、ステップS207で
は、図49に示すダンピング入力Udampの演算処理
を実行する。
【0155】ステップS208では、後述する図50の
処理で設定される安定判別フラグFSMCSTABが
「1」であるか否かを判別する。安定判別フラグFSM
CSTABは、「1」に設定されると、適応スライディ
ングモードコントローラ21が不安定となっていること
を示す。
【0156】ステップS208でFSMCSTAB=0
であって適応スライディングモードコントローラ21が
安定であるときは、ステップS202〜S207で算出
された制御入力Ueq,Urch,Uadp,Unl,
Uwave,及びUdampを加算することにより、制
御入力Uslを算出する(ステップS209)。
【0157】一方FSMCSTAB=1であって適応ス
ライディングモードコントローラ21が不安定となって
いるときは、到達則入力Urch及び適応則入力Uad
pの和を、制御入力Uslとして算出する。すなわち、
等価制御入力Ueq、非線形入力Unl,強制加振入力
Uwave,及びダンピング入力Udampを、制御入
力Uslの算出に使用しないようにする。これにより、
制御系が不安定化することを防止することができる。
【0158】続くステップS211及びS212では、
算出した制御入力Uslが所定上下限値XUSLH及び
XUSLLの範囲内にあるか否かを判別し、制御入力U
slが所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処
理を終了する。一方、制御入力Uslが所定下限値XU
SLL以下であるときは、制御入力Uslを所定下限値
XUSLLに設定し(ステップS211,S214)、
制御入力Uslが所定上限値XUSLH以上であるとき
は、制御入力Uslを所定上限値XUSLHに設定する
(ステップS212,S213)。
【0159】図41は、図40のステップS201で実
行される切換関数値σの演算処理のフローチャートであ
る。ステップS221では、図42に示すVPOLE演
算処理実行し、切換関数設定パラメータVPOLEを算
出する。次いで前記式(5b)により、切換関数値σ
(k)を算出する(ステップS222)。
【0160】続くステップS223及びS224では、
算出した切換関数値σ(k)が所定上下限値XSGMH及
びXSGMLの範囲内にあるか否かを判別し、切換関数
値σ(k)が所定上下限値の範囲内にあるときは、直ちに
本処理を終了する。一方、切換関数値σ(k)が所定下限
値XSGML以下であるときは、切換関数値σ(k)を所
定下限値XSGMLに設定し(ステップS223,S2
25)、切換関数値σ(k)が所定上限値XSGMH以上
であるときは、切換関数値σ(k)を所定上限値XSGM
Hに設定する(ステップS224,S226)。
【0161】図42は、図41のステップS221で実
行されるVPOLE演算処理のフローチャートである。
ステップS231では、安定判別フラグFSMCSTA
Bが「1」であるか否かを判別し、FSMCSTAB=
1であって適応スライディングモードコントローラ21
が不安定となっているときは、切換関数設定パラメータ
VPOLEを安定化所定値XPOLESTBに設定する
(ステップS232)。安定化所定値XPOLESTB
は、「−1」より大きく「−1」に非常に近い値(例え
ば−0.999)に設定される。
【0162】FSMCSTAB=0であって適応スライ
ディングモードコントローラ21が安定であるときは、
スロットル弁開度偏差量DTHに応じて図43に示すV
POLEテーブルを検索し、切換関数設定パラメータV
POLEを算出する(ステップS234)。VPOLE
テーブルは、スロットル弁開度偏差量DTHが0近傍の
値をとるとき(スロットル弁開度THがデフォルト開度
THDEF近傍の値をとるとき)、VPOLE値が増加
し、0近傍以外の値ではスロットル弁開度偏差量DTH
の変化に対してはほぼ一定の値となるように設定されて
いる。したがって、スロットル弁開度THがデフォルト
開度THDEF近傍にあるときは、切換関数設定パラメ
ータVPOLEが比較的大きな値に設定され、デフォル
ト開度THDEF近傍における制御性を向上させること
ができる。
【0163】続くステップS235及びS236では、
算出した切換関数設定パラメータVPOLEが所定上下
限値XPOLEH及びXPOLELの範囲内にあるか否
かを判別し、切換関数設定パラメータVPOLEが所定
上下限値の範囲内にあるときは、直ちに本処理を終了す
る。一方、切換関数設定パラメータVPOLEが所定下
限値XPOLEL以下であるときは、切換関数設定パラ
メータVPOLEを所定下限値XPOLELに設定し
(ステップS236,S238)、切換関数設定パラメ
ータVPOLEが所定上限値XPOLEH以上であると
きは、切換関数設定パラメータVPOLEを所定上限値
XPOLEHに設定する(ステップS235,S23
7)。
【0164】図44は、図40のステップS203で実
行される到達則入力Urchの演算処理のフローチャー
トである。ステップS261では、安定判別フラグFS
MCSTABが「1」であるか否かを判別する。安定判
別フラグFSMCSTABが「0」であって適応スライ
ディングモードコントローラ21が安定であるときは、
切換関数値σに応じて図13(a)に示すように制御ゲ
インFを設定する(ステップS262)。
【0165】次いで、下記式(42)(前記式(9)と
同一の式)により、到達則入力Urchを算出する(ス
テップS263)。 Urch=−F×σ/b1 (42) 一方安定判別フラグFSMCSTABが「1」であって
適応スライディングモードコントローラ21が不安定と
なったときは、制御ゲインFを、所定安定化ゲインXK
RCHSTBに設定し(ステップS264)、モデルパ
ラメータb1を使わない下記式(43)により到達則入
力Urchを算出する(ステップS265)。 Urch=−F×σ (43)
【0166】続くステップS266及びS267では、
算出した到達則入力Urchが所定上下限値XURCH
H及びXURCHLの範囲内にあるか否かを判別し、到
達則入力Urchが所定上下限値の範囲内にあるとき
は、直ちに本処理を終了する。一方、到達則入力Urc
hが所定下限値XURCHL以下であるときは、到達則
入力Urchを所定下限値XURCHLに設定し(ステ
ップS266,S268)、到達則入力Urchが所定
上限値XURCHH以上であるときは、到達則入力Ur
chを所定上限値XURCHHに設定する(ステップS
267,S269)。
【0167】このように適応スライディングモードコン
トローラ21が不安定となったときは、制御ゲインFを
所定安定化ゲインXKRCHSTBに設定するととも
に、モデルパラメータb1を使用しないで到達則入力U
rchを算出することにより、適応スライディングモー
ドコントローラ21を安定な状態に戻すことができる。
モデルパラメータ同定器22による同定が不安定となっ
た場合に、適応スライディングモードコントローラ21
が不安定となるので、不安定となったモデルパラメータ
b1を使わないことによって、適応スライディングモー
ドコントローラ21を安定化することができる。
【0168】図45は、図40のステップS204で実
行される適応則入力Uadpの演算処理のフローチャー
トである。ステップS271では、切換関数値σが所定
下限値−XSGMSL以下であるか否かを判別し、σ≦
−XSGMSLであるときは、切換関数パラメータSG
MSをその所定下限値XSGMSLに設定する(ステッ
プS272)。σ>−XSGMSLであるときは、切換
関数値σが所定上限値XSGMSL以上であるか否かを
判別する(ステップS273)。そして、σ≧XSGM
SLであるときは、切換関数パラメータSGMSをその
上限値XSGMSLに設定する(ステップS274)。
また切換関数値σが所定下限値−XSGMSLと所定上
限値XSGMSLとの間にあるときは、切換関数パラメ
ータSGMSを切換関数値σに設定する(ステップS2
75)。
【0169】ステップS271〜S275により、適応
則入力Uadpに使用する切換関数値σのリミット処理
が行われる。切換関数パラメータSGMSは、リミット
処理後の切換関数値σに相当するパラメータである。こ
のリミット処理により、目標値DTHRが急変した場合
において、スロットル弁開度偏差量DTHの目標値DT
HRに対するオーバシュートが発生することを防止する
ことができる。
【0170】続くステップS276では、安定判別フラ
グFSMCSTABが「1」であるか否かを判別し、F
SMCSTAB=0であって適応スライディングモード
コントローラ21が安定であるときは、切換関数値σに
応じて制御ゲインGを、図13(a)に示すように設定
する(ステップS279)。
【0171】次いで下記式(44)に切換関数パラメー
タSGMS、制御ゲインGを適用して、適応則入力Ua
dp(k)を算出する(ステップS280)。式(44)
は、前記式(10c)の切換関数値σ(k)を切換関数パ
ラメータSGMSに置き換えたものである。 Uadp(k)=Uadp(k-1)−G×SGMS×ΔT1/b1 (44)
【0172】一方ステップS276でFSMCSTAB
=1であって適応スライディングモードコントローラ2
1が不安定であるときは、制御ゲインGを所定安定化ゲ
インXKADPSTBに設定し(ステップS277)、
下記式(45)により、適応則入力Uadp(k)を算出
する(ステップS278)。式(45)は式(44)の
モデルパラメータb1を削除することにより得られる式
である。 Uadp(k)=Uadp(k-1)−G×SGMS×ΔT1 (45)
【0173】続くステップS281及びS282では、
算出した適応則入力Uadpが所定上下限値XUADP
H及びXUADPLの範囲内にあるか否かを判別し、適
応則入力Uadpが所定上下限値の範囲内にあるとき
は、直ちに本処理を終了する。一方、適応則入力Uad
pが所定下限値XUADPL以下であるときは、適応則
入力Uadpを所定下限値XUADPLに設定し(ステ
ップS282,S284)、適応則入力Uadpが所定
上限値XUADPH以上であるときは、適応則入力Ua
dpを所定上限値XUADPHに設定する(ステップS
281,S283)。
【0174】図46は、図40のステップS205で実
行される非線形入力Unlの演算処理のフローチャート
である。ステップS301では、スロットル弁開度偏差
量DTHに応じて非線形入力ゲインKnlを算出する
(図20参照)。ステップS302では、切換関数値σ
が所定下限値−XNLTH以下であるか否かを判別し、
σ>−XNLTHであるときは、切換関数値σが所定上
限値XNLTH以上であるか否かを判別する(ステップ
S304)。切換関数値σが所定上限値XNLTHと所
定下限値−XNLTHの間にあるときは、非線形入力パ
ラメータSNLを切換関数値σに設定する(ステップS
306)。
【0175】切換関数値σが所定下限値−XNLTH以
下であるときは、非線形入力パラメータSNLを「−
1」に設定し(ステップS303)、切換関数値σが所
定上限値XNLTH以上であるときは、非線形入力パラ
メータSNLを「1」に設定する(ステップS305) 続くステップS307では、下記式(46)により、非
線形入力Unl(k)を算出する。 Unl(k)=−Knl×SNL/b1 (46)
【0176】図46の処理では、前記式(22)の符号
関数sgn(σ(k))に代えて、非線形入力パラメータ
SNLを用い、切換関数値σの絶対値が小さい所定範囲
内では、切換関数値σをそのまま適用される。これによ
り、非線形入力Unlに起因する微少振動(チャタリン
グ)を抑制することができる。
【0177】図47は、図40のステップS206で実
行される強制加振入力Uwaveの演算処理のフローチ
ャートである。ステップS311では、時間パラメータ
twave(k)を下記式(47)により算出する。 twave(k)=twave(k-1)+XTWAVEINC (47) ここで、XTWAVEINCは、例えば本処理の実行周
期に設定される経過時間である。
【0178】ステップS312では、時間パラメータt
wave(k)が所定周期TPERIOD(例えば1秒)
以上か否かを判別し、twave(k)<TPERIOD
であるときは直ちにステップS314に進む。twav
e(k)≧TPERIODであるときは、時間パラメータ
twave(k)を「0」にリセットして(ステップS3
13)、ステップS314に進む。
【0179】ステップS314では、時間パラメータt
wave(k)に応じて図48に示すFwaveテーブル
を検索し、ディザ信号値Fwaveを算出する。なお、
図48に示す波形は、図21に示す波形と若干異なって
いる。図21に示す波形となるように、Fwaveテー
ブルを設定してもよい。ステップS315では、下記式
(48)にディザ入力基本ゲインKwave及び同定誤
差ide(k)を適用し、ディザ入力ゲインKWIDを算
出する。 KWID=Kwave×|ide(k)| (48)
【0180】続くステップS316では、ディザ入力ゲ
インKWIDが所定上限値XKWIDLより小さいか否
かを判別し、KWID<XKWIDLであるときは、直
ちにステップS320に進む。一方、ディザ入力ゲイン
KWIDが所定上限値XKWIDL以上であるときは、
ディザ入力ゲインKWIDを所定上限値XKWIDLに
設定する(ステップS318)。ステップS320で
は、下記式(49)により、強制加振入力Uwave
(k)を算出する。式(49)は、前記式(23)と実質
的に同一の式である。 Uwave(k)=KWID×Fwave/b1 (49)
【0181】図49は、図40のステップS207で実
行されるダンピング入力Udampの演算処理のフロー
チャートである。
【0182】ステップS331では、前記式(29)に
より、目標値DTHRの変化量の移動平均値DDTHR
AVを算出する。ステップS332では、スロットル弁
開度偏差量DTHに応じてダンピング制御ゲインの基本
値Kdampbsを算出する(図25(a)参照)。ス
テップS333では、移動平均値DDTHRAVに応じ
てダンピング制御ゲインの補正係数Kkdampを算出
する(図25(b)参照)。
【0183】ステップS334では、基本値Kdamp
bsに補正係数Kkdampを乗算することによりダン
ピング制御ゲインKdampを算出する。次いで下記式
(27)(再掲)により、ダンピング入力Udamp
(k)を算出する。 Udamp(k)=−Kdamp×(DTH(k)−DTH(k-1))/b1 (27)
【0184】図50は、図30のステップS20で実行
されるスライディングモードコントローラの安定判別処
理のフローチャートである。この処理では、リアプノフ
関数の微分項に基づく安定判別を行い、安定判別結果に
応じて安定判別フラグFSMCSTABの設定を行う。
【0185】ステップS351では下記式(50)によ
り、切換関数変化量Dσを算出し、次いで下記式(5
1)により、安定性判別パラメータSGMSTABを算
出する(ステップS352)。 Dσ=σ(k)−σ(k-k0) (50) SGMSTAB=Dσ×σ(k) (51)
【0186】ステップS353では、安定性判別パラメ
ータSGMSTABが安定性判定閾値XSGMSTAB
以下か否かを判別し、SGMSTAB>XSGMSTA
Bであるときは、コントローラ21が不安定である可能
性があると判定して不安定検知カウンタCNTSMCS
Tを「1」だけインクリメントする(ステップS35
5)。また、SGMSTAB≦XSGMSTABである
ときは、コントローラ21が安定であると判定して不安
定検知カウンタCNTSMCSTのカウント値をインク
リメントすることなく保持する(ステップS354)。
【0187】ステップS356では、不安定検知カウン
タCNTSMCSTの値が所定カウント値XSSTAB
以下か否かを判別する。CNTSMCST≦XSSTA
Bであるときは、コントローラ21は安定していると判
定し、第1判定フラグFSMCSTAB1を「0」に設
定する(ステップS357)。一方CNTSMCST>
XSSTABであるときは、コントローラ21は不安定
となっていると判定し、第1判定フラグFSMCSTA
B1を「1」に設定する(ステップS358)。なお、
不安定検知カウンタCNTSMCSTは、イグニッショ
ンスイッチオン時にそのカウント値が「0」に初期化さ
れる。
【0188】続くステップS359では、安定判別期間
カウンタCNTJUDSTを「1」だけデクリメント
し、次いでその安定判別期間カウンタCNTJUDST
の値が「0」であるか否かを判別する(ステップS36
0)。安定判別期間カウンタCNTJUDSTは、イグ
ニッションスイッチオン時に所定判別カウント値XCJ
UDSTに初期化される。したがって、最初はステップ
S360の答は否定(NO)となり、直ちにステップS
365に進む。
【0189】その後安定判別期間カウンタCNTJUD
STが「0」となると、ステップS360からステップ
S361に進み、第1判定フラグFSMCSTAB1が
「1」であるか否かを判別する。そして、第1判定フラ
グFSMCSTAB1が「0」であるときは、第2判定
フラグFSMCSTAB2を「0」に設定し(ステップ
S363)、第1判定フラグFSMCSTAB1が
「1」であるときは、第2判定フラグFSMCSTAB
2を「1」に設定する(ステップS362)。
【0190】続くステップS364では、安定判別期間
カウンタCNTJUDSTの値を所定判別カウント値X
CJUDSTに設定するとともに、不安定検知カウンタ
CNTSMCSTの値を「0」に設定し、ステップS3
65に進む。ステップS365では、安定判別フラグF
SMCSTABを、第1判定フラグFSMCSTAB1
と第2判定フラグFSMCSTAB2の論理和に設定す
る。第2判定フラグFSMCSTAB2は、ステップS
356の答が肯定(YES)となり、第1判定フラグF
SMCSTAB1が「0」に設定されても、安定判別期
間カウンタCNTJUDSTの値が「0」となるまで
は、「1」に維持される。したがって、安定判別フラグ
FSMCSTABも、安定判別期間カウンタCNTJU
DSTの値が「0」となるまでは、「1」に維持され
る。
【0191】本実施形態では、スロットル弁駆動装置1
0及びECU7の一部(モータ6に駆動電流を供給する
出力回路)がプラントに相当し、ECU7がスライディ
ングモードコントローラ、同定手段、振動信号発生手
段、及び強制加振入力算出手段を構成する。より具体的
には、図30のステップS19(図40の処理)がスラ
イディングモードコントローラに相当し、図30のステ
ップS12〜S18が同定手段に相当し、図47のステ
ップS311〜S314が振動信号発生手段に相当し、
ステップS315〜S320が強制加振入力算出手段に
相当する。
【0192】(第2の実施形態)図51は、本発明の第
2の実施形態にかかるプラントの制御装置、すなわち油
圧位置決め装置と、その制御装置の構成を示す図であ
る。このような油圧位置決め装置は、例えば内燃機関の
吸排気弁のバルブタイミングを連続的に変化させる連続
可変バルブタイミング機構に使用される。連続可変バル
ブタイミング機構は、吸排気弁を駆動するカムの回転位
相を変更することにより、吸排気弁の開閉タイミングを
ずらし、充填効率の向上とポンピングロスの低減を図る
ものである。
【0193】油圧位置決め装置は、ピストン64と、ピ
ストン64が嵌装された油圧シリンダ61と、電動スプ
ール弁67と、油圧ポンプ65と、油圧ポンプ65から
電動スプール弁67に油圧を供給する油圧供給路66
と、第1の油圧P1を油圧シリンダ61の第1油圧室6
2に供給する第1の油路68と、第2の油圧P2を油圧
シリンダ61の第2油圧室63に供給する第2の油路6
9と、電動スプール弁67から排出される作動油をオイ
ルパン(図示せず)に戻す油圧放出路70とを備えてい
る。
【0194】またピストン64の位置PACTを検出す
るポテンショメータ71が設けられており、検出位置P
ACTを示す信号が電子制御ユニット(ECU)72に
供給される。ECU72には、目標位置PCMDが入力
され、ECU72は、検出位置PACTを目標位置PC
MDに一致させるように、制御量DUTを算出し、制御
量DUTに応じた電気信号を電動スプール弁67へ供給
する。
【0195】電動スプール弁67は、制御量DUTに応
じて弁体(図示せず)の位置を移動させ、弁体の位置に
応じた第1及び第2の油圧P1,P2を出力する。第1
及び第2の油圧P1,P2の差圧DP(=P1−P2)
が正の値であるときは、ピストン64は図の右方向へ移
動し、逆に差圧DPが負の値であるときは、ピストン6
4は図の左方向へ移動する。検出位置PACTが目標位
置PCMDに一致した状態では、差圧DPは「0」に保
持される。
【0196】図52は、図51に示す油圧位置決め装置
を適応スライディングモードコントローラを用いて制御
する場合の制御系の構成を示すブロック図である。制御
装置80は、同定器81と、適応スライディングモード
コントローラ82と、スケジューラ83と、減算器85
及び86とからなり、ECU72のCPUで実行される
演算処理により実現される。
【0197】減算器85は、検出位置PACTから基準
値PBASEを減算することにより、検出位置偏差量D
PACTを算出し、減算器86は、目標位置PCMDか
ら基準値PBASEを減算することにより、目標値DP
CMDを算出する。なお、基準値PBASEは、油圧位
置決め装置の作動特性に基づいて予め最適な値に設定さ
れる。
【0198】本実施形態における検出位置PACT及び
検出位置偏差量DPACTが、第1の実施形態における
スロットル弁開度TH及びスロットル弁開度偏差量DT
Hに対応し、目標位置PCMD及び目標値DPCMD
が、それぞれ第1の実施形態における目標開度THR及
び目標値DTHRに対応する。
【0199】スケジューラ83は、第1の実施形態にお
けるモデルパラメータスケジューラ25と同様に、目標
値DPCMDに応じて基準モデルパラメータベクトルθ
baseを算出し、その基準モデルパラメータベクトル
θbaseを同定器81に供給する。
【0200】同定器81は、制御入力としての制御量D
UT及び制御出力としての検出位置偏差量DPACTに
応じて、第1の実施形態のモデルパラメータ同定器22
と同様に、修正モデルパラメータベクトルθL(k)を算
出する。すなわち、同定誤差ide(n)が下記式(5
2)及び(53)により算出される。ここで、入出力パ
ラメータベクトルζ(n)は、下記式(54)で定義され
る。 ide(n)=DPACT(n)(k)−DPACTHAT(n) (52) DPACTHAT(n)=θ*(n-1)Tζ(n) (53) ζT(n)= [DPACT(n-1),DPACT(n-2),DUT(n-1),1] (54)
【0201】そして同定誤差ide(n)を前記式(3
0)に適用するとともに、前記式(14f)、(14
g)、(19b)及び(33)を用いることにより、モ
デルパラメータベクトルθ(n)が算出される。さらに算
出されたモデルパラメータベクトルθ(n)に対して、第
1の実施形態と同様の第1リミット処理を行うことによ
り、モデルパラメータベクトルθ*(n)が算出される。さ
らにモデルパラメータベクトルθ*(n)のオーバサンプリ
ング及び移動平均化処理を行うことにより、モデルパラ
メータベクトルθ’(k)を算出し、モデルパラメータベ
クトルθ’(k)に対して第1の実施形態と同様に第2リ
ミット処理を行うことにより、修正モデルパラメータベ
クトルθL(k)が算出される。
【0202】適応スライディングモードコントローラ8
2は、第1の実施形態の適応スライディングモードコン
トローラ21と同様に、検出位置偏差量DPACTを下
記式(55)に適用して、等価制御入力Ueq(k)を算
出する。さらに適応スライディングモードコントローラ
82は、下記式(56)により切換関数値σ(k)を算出
し、前記式(9)及び(10c)に切換関数値σ(k)を
適用して、到達則入力Urch(k)及び適応則入力Ua
dp(k)を算出する。ただし、切換関数設定パラメータ
VPOLE、制御ゲインF及びGの設定は、本実施形態
の制御対象(油圧位置決め装置)に適したものとする。 Ueq(k)=(1/b1){(1−a1−VPOLE)DPACT(k) +(VPOLE−a2)DPACT(k-kO)−c1} (55) σ(k)=(DPACT(k)−DPCMD(k)) +VPOLE(DPACT(k-k0)−DPCMD(k-k0)) (56)
【0203】さらに適応スライディングモードコントロ
ーラ82は、式(56)により算出される切換関数値σ
(k)を前記式(22)に適用して、非線形入力Unl(k)
を算出する。ただし、非線形入力ゲインKnlの設定
は、本実施形態の制御対象に適したものとする。
【0204】さらに適応スライディングモードコントロ
ーラ82は、式(52)により算出される同定誤差id
e(n)を前記式(23)に適用することにより、強制加
振入力Uwaveを算出する。ただし、ディザ入力基本
ゲインKwave及びディザ信号値Fwaveの設定
は、本実施形態の制御対象に適したものとする。
【0205】さらに適応スライディングモードコントロ
ーラ82は、下記式(57)によりダンピング入力Ud
amp(k)を算出する。ただし、ダンピング制御ゲイン
Kdampの設定は、本実施形態の制御対象に適したも
のとする。 Udamp(k)=−Kdamp×(DACT(k)−DACT(k-1))/b1 (57) そして、適応スライディングモードコントローラ82
は、等価制御入力Ueq、到達則入力Urch(k)、適
応則入力Uadp(k)、非線形入力Unl(k)、強制加振
入力Uwave(k)、及びダンピング入力Udamp(k)
を加算することにより、制御入力Usl(=DUT)を
算出する。
【0206】したがって、制御装置80によれば、第1
の実施形態における制御出力TH及び目標開度THR
を、それぞれ制御出力PACT及び目標位置PCMDに
置き換えた制御が実行されるので、第1の実施形態と同
様に、制御出力PACTは目標位置PCMDに追従する
ように良好なロバスト性をもって制御される。
【0207】本実施形態では、図52の油圧位置決め装
置がプラントに相当し、ECU72が、スライディング
モードコントローラ、同定手段、振動信号発生手段、及
び強制加振入力算出手段を構成する。
【0208】なお本発明は上述した実施形態に限るもの
ではなく、種々の変形が可能である。例えば第2の実施
形態では、油圧式の位置決め装置を示したが、油圧に代
えて空気圧を用いる空気圧位置決め装置について、第2
の実施形態に示した制御装置80による制御を適用する
ようにしてもよい。
【0209】また制御対象の出力を目標値に一致させる
フィードバック制御を実行し、その制御偏差の減衰特性
を指定可能な応答指定型コントローラは、適応スライデ
ィングモードコントローラに限らず、スライディングモ
ード制御と同様な制御結果を実現するバックステッピン
グ制御を行うコントローラであってもよい。
【0210】また上述した実施形態では、モデルパラメ
ータの同定演算の周期は、第2の周期ΔT2と同一とし
たが、必ずしも同一としなくてもよく、第1の周期ΔT
1と第2の周期ΔT2の間の周期に設定したり、第2の
周期ΔT2より長い周期に設定するようにしてもよい。
【0211】また上述した実施形態では、切換関数σの
算出にかかる偏差e(k)のサンプリング時間間隔を示す
パラメータk0を、第2の周期ΔT2に相当する離散時
間であるΔT2/ΔT1に設定したが、「1」より大き
い他の整数値に設定するようにしてもよい。
【0212】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発
明によれば、所定周期及び所定振幅の振動信号を発生
し、該振動信号の振幅を、モデルパラメータベクトルの
同定誤差に応じて補正することにより、強制加振入力が
算出され、制御対象であるプラントは、強制加振入力を
含む制御入力により制御される。強制加振入力を用い
て、制御入力を微少に絶えず振動させることにより、目
標値の微小変化に対するプラント出力の追従性が、摩擦
によって低下することを防止することができる。さら
に、モデルパラメータベクトルの同定誤差には、プラン
トに含まれる摺動部材の摩擦特性の変化が反映されるの
で、同定誤差に応じて振動信号の振幅を補正することに
より、摩擦特性の変化に対応した適切な強制加振入力を
得ることができる。
【0213】請求項2に記載の発明によれば、振動信号
の所定周期は、プラントの機械的共振周期より短く設定
されるので、強制加振入力に起因する制御系の共振を防
止することができる。
【0214】請求項3に記載の発明によれば、強制加振
入力を含む制御入力により、スロットル弁駆動装置が制
御される。したがって、スロットル弁駆動装置に含まれ
る摺動部材の摩擦の影響により、目標開度の微小変化に
対する追従性が低下することが防止される。また、摺動
部材の摩擦特性が経時変化しても、制御性能を維持する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態にかかるスロッ
トル弁駆動装置及びその制御装置の構成を示す図であ
る。
【図2】図1の電子制御ユニット(ECU)により実現
される機能を示す機能ブロック図である。
【図3】スライディングモードコントローラの制御特性
と、切換関数設定パラメータ(VPOLE)の値との関
係を示す図である。
【図4】スライディングモードコントローラの制御ゲイ
ン(F,G)の設定範囲を示す図である。
【図5】モデルパラメータのドリフトを説明するための
図である。
【図6】同定誤差(ide)のローパスフィルタ処理を
説明するための図である。
【図7】制御対象の出力の周波数成分を説明するための
図である。
【図8】制御対象の出力の変化速度に対してサンプリン
グ周期が短い場合を説明するための図である。
【図9】サンプリング周波数の設定を説明するための図
である。
【図10】制御偏差(e(k))の減衰特性を示す図であ
る。
【図11】スロットル弁開度偏差量(DTH)の変化波
形を示す図である。
【図12】図11の変化波形に対応する切換関数値
(σ)の変化波形を示す図である。
【図13】スライディングモードコントローラの制御ゲ
イン(F,G)の設定方法を説明するための図である。
【図14】制御ゲイン(F,G)が急変した場合の問題
点を説明するためのタイムチャートである。
【図15】第2の周期(ΔT2)を制御周期とした場合
を説明するためのタイムチャートである。
【図16】モデルパラメータを第2の周期(ΔT2)で
算出し、制御周期を第1の周期(ΔT1)とした場合を
説明するためのタイムチャートである。
【図17】モデルパラメータの移動平均化演算を説明す
るためのタイムチャートである。
【図18】適応則入力(Uadp)による定常偏差の収
束を示すタイムチャートである。
【図19】非線形入力(Unl)を説明するためのタイ
ムチャートである。
【図20】非線形入力ゲイン(Knl)を算出するため
のテーブルを示す図である。
【図21】ディザ信号値(Fwave)の推移を示すタ
イムチャートである。
【図22】強制加振入力の周波数(fwave)と、制
御対象の共振周波数(fr)との関係を示す図である。
【図23】強制加振入力(Uwave)による同定誤差
(ide)の低減効果を説明するためのタイムチャート
である。
【図24】スロットル弁開度偏差量(DTH)のオーバ
シュートとその改善を説明するためのタイムチャートで
ある。
【図25】ダンピング制御ゲインの基本値(Kdamp
bs)及び補正係数(Kkdamp)を設定するための
テーブルを示す図である。
【図26】モデルパラメータ(a1”,a2”)のリミ
ット処理を説明するための図である。
【図27】基準モデルパラメータ(a1base,a2
base,b1base)の設定方法を説明するための
図である。
【図28】従来の基準モデルパラメータ(b1bas
e)の設定方法の問題点を説明するためのタイムチャー
トである。
【図29】本実施形態のおける基準モデルパラメータ
(b1base)の設定方法を説明するためのタイムチ
ャートである。
【図30】スロットル弁開度制御処理の全体構成を示す
フローチャートである。
【図31】図30の処理で実行される状態変数設定処理
のフローチャートである。
【図32】図30の処理で実行されるモデルパラメータ
の同定演算処理のフローチャートである。
【図33】図32の処理で実行される同定誤差(id
e)の演算処理のフローチャートである。
【図34】図30の処理で実行される第1リミット処理
のフローチャートである。
【図35】図34の処理で実行されるモデルパラメータ
(a1”,a2”)のリミット処理のフローチャートで
ある。
【図36】図35の処理を説明するための図である。
【図37】図34の処理で実行されるモデルパラメータ
(b1”)のリミット処理のフローチャートである。
【図38】図34の処理で実行されるモデルパラメータ
(c1”)のリミット処理のフローチャートである。
【図39】図30の処理で実行される第2リミット処理
のフローチャートである。
【図40】図30の処理で実行される制御入力(Us
l)の算出処理のフローチャートである。
【図41】図40の処理で実行される切換関数値(σ)
の演算処理のフローチャートである。
【図42】図41の処理で実行される切換関数設定パラ
メータ(VPOLE)の演算処理のフローチャートであ
る。
【図43】図42の処理で使用されるテーブルを示す図
である。
【図44】図40の処理で実行される到達則入力(Ur
ch)の演算処理のフローチャートである。
【図45】図40の処理で実行される適応則入力(Ua
dp)の演算処理のフローチャートである。
【図46】図40の処理で実行される非線形入力(Un
l)の演算処理のフローチャートである。
【図47】図40の処理で実行される強制加振入力(U
wave)の演算処理のフローチャートである。
【図48】図47の処理で使用されるテーブルを示す図
である。
【図49】図40の処理で実行されるダンピング入力
(Udamp)の演算処理のフローチャートである。
【図50】図30の処理で実行されるスライディングモ
ードコントローラの安定判別処理のフローチャートであ
る。
【図51】本発明の第2の実施形態にかかる油圧位置決
め装置の構成を示す図である。
【図52】図51に示す装置を含む制御系の構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 内燃機関 3 スロットル弁 7 電子制御ユニット 10 スロットル弁駆動装置 21 適応スライディングモードコントローラ(振動信
号発生手段、強制加振入力算出手段) 22 モデルパラメータ同定器(同定手段) 24 目標開度設定部 25 モデルパラメータスケジューラ 72 電子制御ユニット 81 同定器(同定手段) 82 適応スライディングモードコントローラ(振動信
号発生手段、強制加振入力算出手段) 83 スケジューラ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G05B 13/02 G05B 13/02 D (72)発明者 橋本 英史 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G065 CA00 DA05 FA11 GA41 KA36 3G301 JA11 LA01 LA03 LC03 ND01 ND41 PA11A PA11Z 5H004 GA03 GA14 GB20 HA07 HB07 JA03 KA32 KA74 KB28 KC45 LA02 LA03 LA07 LA12 MA12 MA36

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラントをモデル化した制御対象モデル
    のモデルパラメータベクトルを同定する同定手段と、該
    同定手段により同定されたモデルパラメータベクトルを
    用いて前記プラントを制御するコントローラとを備えた
    プラントの制御装置において、 前記同定手段は、同定されるモデルパラメータベクトル
    の同定誤差を算出する同定誤差算出手段を備え、前記コ
    ントローラは、所定周期及び所定振幅の振動信号を発生
    する振動信号発生手段と、該振動信号の振幅を前記同定
    誤差に応じて補正することにより、強制加振入力を算出
    する強制加振入力算出手段とを備え、前記プラントへの
    制御入力は前記強制加振入力を含むことを特徴とするプ
    ラントの制御装置。
  2. 【請求項2】 前記所定周期は、前記プラントの機械的
    共振周期より短く設定されていることを特徴とする請求
    項1に記載のプラントの制御装置。
  3. 【請求項3】 前記プラントは、内燃機関のスロットル
    弁と、該スロットル弁を駆動する駆動手段とを有するス
    ロットル弁駆動装置を含み、前記コントローラは、前記
    スロットル弁の開度を目標開度に一致させるように、前
    記スロットル弁駆動装置への制御入力を決定するパラメ
    ータを算出することを特徴とする請求項1または2に記
    載のプラントの制御装置。
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