JP2003255039A - ネットワークアシスト型gps受信機の検査方法及び装置 - Google Patents

ネットワークアシスト型gps受信機の検査方法及び装置

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JP2003255039A
JP2003255039A JP2002052667A JP2002052667A JP2003255039A JP 2003255039 A JP2003255039 A JP 2003255039A JP 2002052667 A JP2002052667 A JP 2002052667A JP 2002052667 A JP2002052667 A JP 2002052667A JP 2003255039 A JP2003255039 A JP 2003255039A
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Kazuhiro Hatanaka
和広 畑中
Yuichiro Kinoshita
裕一郎 木下
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Japan Radio Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 網側との接続なしにネットワークアシスト型
GPS受信機を検査できるようにする。 【解決手段】 実際の衛星信号を模擬した模擬衛星信号
を発生させ、送信アンテナ48から輻射する。模擬サー
バを構成するパーソナルコンピュータ(PC)61或い
はそれと連携するシグナリングテスタ62から検査対象
品に模擬測位指示を与える。模擬測位指示は測位指示と
同じく衛星番号情報を含んでおり、検査対象品10はそ
れに従い模擬衛星信号を受信及び捕捉する。PC61は
検査対象品10の動作内容又は結果に関する情報を収集
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、開発工程、製造工
程、入出荷工程、顧客向けサービス、保守修理工程等に
て、ネットワークアシスト型GPS受信機を検査するた
め用いられる方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のGPS(Global Positioning Sys
tem)受信機は、GPS衛星から送信される衛星信号を
受信、捕捉、復調し、その結果得られた擬似距離、航法
メッセージ、ドップラシフト等から、現在位置や移動速
度を求める機能を有するものであった。このように衛星
信号の受信から現在位置等の導出に至る一連の測位動作
を内部完結的に実行できるGPS受信機は、オートノー
マス型或いは自律型と呼ばれる。これに対して、近年に
おける地上波無線通信システムの普及・発展、特にPD
C−P(Personal Digital Cellular-Packet)網をはじ
めとする携帯電話パケット通信網の広範な普及を背景と
して、ネットワークアシスト型と呼ばれるGPS受信機
が開発されるに至っている。
【0003】ネットワークアシスト型GPS受信機は、
衛星信号の受信から現在位置等の導出に至る一連の測位
動作のうち、そのGPS受信機でしか実行できない部分
を主として実行するGPS受信機である。ネットワーク
アシスト型GPS受信機は、PDC−P網等の無線通信
システムを利用してネットワーク上のサーバと通信を行
い、測位動作のうちそのGPS受信機でなくとも実行で
きる部分(の少なくとも一部)については、そのサーバ
に任せる。別の言い方をすると、GPS受信機は通信機
能付のセンシング端末として用いられ、サーバは、この
センシング端末の遠隔制御並びにこのセンシング端末か
ら遠隔受信した情報に基づく処理を実行して、測位結果
を得る。
【0004】サーバとネットワークアシスト型GPS受
信機とを、このように無線区間を含むネットワークで接
続し、両者の連携によって測位動作を完遂させるシステ
ムは、WAG(Wireless Assisted GPS)等と呼ばれ
る。WAGは、例えば、行方を知りたいという近親者か
らのリクエストに応じGPS受信機携帯者の現在位置を
サーバからその近親者に知らせる、盗難された疑いがあ
るGPS受信機実装車両の現在位置を車両所有者からの
リクエストに応じてサーバからその車両所有者に知らせ
る等、様々なサービスや機能を提供できることから、様
々な分野で注目されている。SnapTrackInc.及びスナッ
プトラック・ジャパン社が提唱しているスナップトラッ
ク方式は、高い測位精度、短い測位所要時間等の利点を
備えたネットワークアシスト方式であり、優れたWAG
を構築するのに適している(なお「スナップトラック」
又は「SnapTrack」は両社の商標)。
【0005】スナップトラック方式では、サーバが、各
GPS受信機にて衛星信号受信・捕捉対象とすべきGP
S衛星を決定・指定し、指定したGPS衛星に固有の衛
星番号を含むサーバコマンドである測位指示を、サーバ
からPDC−P網を含むネットワーク経由でそのGPS
受信機宛に送信する。この測位指示には、指定するGP
S衛星からの搬送波に現れるドップラシフト分を概略特
定する情報等も含まれている。GPS受信機は、PDC
−P網を介してこの測位指示を受信したとき、衛星信号
を受信すべく、所定のスナップショット期間に亘りGP
Sアンテナ出力をメモリ上に蓄積する。GPS受信機
は、スナップショット期間外に、測位指示によって指定
されたGPS衛星に対応する擬似雑音(PN)コードを
利用してメモリ上の受信信号を周波数解析する。GPS
受信機は、その際、測位指示によって概略特定されたド
ップラシフト分を加味した搬送周波数近傍での周波数サ
ーチを行うことによって、ドップラシフト分の周波数補
正を行う。GPS受信機は、この動作の結果として得ら
れる情報、即ちそのGPS衛星までの擬似距離等の情報
を、PDC−P網経由でネットワーク上のサーバ宛に送
信する。サーバは、別途入手している衛星軌道等の情報
と、GPS受信機が測位指示に応じて検出し送信してき
た擬似距離等の情報とに基づき、そのGPS受信機の現
在位置等の情報を導出して、記憶、出力、通信等に供す
る。
【0006】スナップトラック方式は、測位動作の一部
をサーバが実行しているためGPS受信機の処理負担が
軽く高速測位・消費電力低減となる、サーバにて各種誤
差を補正できるため高精度となる、サーバにて測位結果
に基づき様々なサービスを提供できる、GPS受信機に
て受信信号を累積加算しているため−150dBmとい
った低レベルの衛星信号をも捕捉でき(高感度)従って
屋内等でも測位できる、スナップショット期間中にメモ
リ上に蓄えた受信信号から周波数解析により擬似距離を
導出しているためスナップショット期間外は高周波回路
等を休止させておくことができ省電力である、周波数解
析手法としてFFT等の高速処理を用いることにより擬
似距離導出所要時間を短縮できる、測位指示にてドップ
ラシフト分を指定しているためごく狭い周波数範囲につ
いて周波数サーチを行えばよく周波数サーチ所要時間を
短縮できる、従ってサーバアクセスにより短時間で高精
度の測位結果を得ることができる、といった、様々な原
理上の長所を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】WAG導入・利用を検
討している企業・機関・潜在利用者は、上掲のように多
々ある長所を有するスナップトラック方式に期待してい
る。この期待に応えるには、期待通りの性能が得られる
GPS受信機を開発・製造する必要がある。その意味
で、スナップトラック方式向けGPS受信機の動作を的
確に検査する方法、装置の開発は、重要である。しかる
に、ネットワークアシストという性格上、スナップトラ
ック方式向けをはじめとするネットワークアシスト型G
PS受信機の検査を行うには、従来、ネットワークを介
しサーバに接続する必要があった。
【0008】本発明は、無線通信システム例えばPDC
−P網を含むネットワークを介してサーバに接続するこ
となしにネットワークアシスト型GPS受信機を的確に
検査できるようにすること、またそれとともに検査の低
コスト化・迅速化・網側負荷軽減(伝送路/サーバの輻
輳/過重負担の軽減・防止)を実現することを、その目
的の一つとしている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この様な目的を達成する
ために、本発明に係る検査方法は、(1)ネットワーク
経由で受信したサーバコマンドに即して衛星信号を受信
及び捕捉するネットワークアシスト型GPS受信機を、
検査対象品とする検査方法であって、(2)少なくとも
搬送周波数、スペクトラム拡散変調分及び検査対象品へ
の入力レベルの各点に関し実際の衛星信号を模擬した検
査用模擬衛星信号を、検査対象品に有線又は無線接続さ
れた模擬衛星信号発生装置により地球上で発生させて検
査対象品に入力する一方、(3)少なくとも衛星指定に
関し実際のサーバコマンドを模擬した検査用模擬サーバ
コマンドを、検査対象品にローカル接続された模擬サー
バにより発生させて検査対象品に入力し、(4)検査用
模擬サーバコマンドに即してかつ検査用模擬衛星信号に
関して検査対象品が実行した動作の内容又は結果に関す
る情報を、模擬サーバが検査対象品から収集することを
特徴とする。なお、検査用模擬衛星信号は、例えば、G
PSにおける衛星信号搬送波と同一周波数を有する検査
用模擬搬送波を、GPS衛星にて使用されるPNコード
と同一の符号列である検査用PNコードによってスペク
トラム拡散変調し、更に、地上における実際の衛星信号
受信レベルと同程度のレベルで検査対象品がその検査用
模擬衛星信号を受信できるようレベルを調整することに
よって、生成される。
【0010】また、本発明に係る検査装置は、(1)本
発明に係る検査方法を実行するための検査装置であっ
て、(2)上記検査用模擬搬送波を発生させる模擬搬送
波発生器、上記検査用PNコードを発生させるPNコー
ド発生器、検査用PNコードにより検査用模擬搬送波を
スペクトラム拡散変調する拡散変調器、地上における実
際の衛星信号受信レベルと同程度のレベルで検査対象品
が検査用模擬衛星信号を入力できるよう拡散変調器から
の信号をレベル調整して検査用模擬衛星信号を発生させ
るレベル調整手段、並びに検査用模擬衛星信号を検査対
象品に入力する模擬衛星信号供給手段を有する上記模擬
衛星信号発生装置と、(3)上記検査用模擬サーバコマ
ンドを発生させるコマンド発生手段、検査用模擬サーバ
コマンドを検査対象品に入力しまた検査対象品が実行し
た上記動作の内容又は結果に関する情報を検査対象品か
ら収集するため設けられたローカル伝送路及びそのイン
タフェース、並びに検査対象品から収集した情報に基づ
き検査対象品の動作正否及び評価に関する情報を作成し
て記憶又は出力する評価手段を有する上記模擬サーバ
と、を備えることを特徴とする。
【0011】そして、本発明に係る模擬衛星信号発生装
置は、(1)本発明に係る検査装置にて使用される上記
模擬衛星信号発生装置であって、(2)模擬衛星信号供
給手段が、検査対象品の高周波入力端子に有線接続する
部材を含むことを特徴とする。本発明に係る模擬衛星信
号発生装置は、或いは、(1)本発明に係る検査装置に
て使用される上記模擬衛星信号発生装置であって、
(2)模擬衛星信号供給手段が、検査対象品が配置され
た電磁遮蔽環境内に設けられ検査用模擬衛星信号を検査
対象品に無線送信する部材を含むことを特徴とする。
【0012】このように、本発明においては、模擬衛星
信号発生装置により検査用模擬衛星信号を地球上で発生
させ模擬衛星信号発生装置と検査対象品との有線又は無
線接続を介して検査対象品に入力する。検査用模擬衛星
信号は、GPS衛星で生成された実際の衛星信号ではな
いが、少なくとも搬送周波数、スペクトラム拡散変調分
及び検査対象品への入力レベルの各点に関し実際の衛星
信号を模擬した信号である。そのため、本物の衛星信号
と同様、GPS受信機で受信及び捕捉することができ
る。無論、ドップラシフト分等をも模擬するようにして
もよい。航法メッセージによるデータ変調は省略でき
る。
【0013】検査用模擬衛星信号を検査対象品に入力す
る方法としては、第1に、GPSアンテナ経由での無線
入力がある。即ち、検査対象品は衛星信号受信用にGP
Sアンテナ及び回路を備えているため、検査対象品配置
個所で検査用模擬衛星信号を無線送信することによっ
て、その検査対象品が検査用模擬衛星信号を好適に受信
及び捕捉できるか否かを調べることができる。この形態
による入力は、周囲と電磁的に隔離された環境即ち電磁
遮蔽環境内で行うのが望ましい。また、電磁遮蔽環境内
に複数個の検査対象品を配置することによって、複数品
対象の一括検査を簡便に実行できる。外部アンテナとの
接続等のため検査対象品に高周波入力端子(RFコネク
タ)が設けられている場合は、検査用模擬衛星信号を検
査対象品に入力する第2の方法として、この高周波入力
端子を介し模擬衛星信号発生装置を検査対象品に入力す
る、という方法を採りうる。この方法によれば、送信ア
ンテナや電磁遮蔽環境なしでも検査を行える。
【0014】本発明においては、他方で、模擬サーバに
より検査用模擬サーバコマンドを発生させ、模擬サーバ
と検査対象品とのローカル接続を介し検査対象品に入力
する。模擬サーバは、パーソナルコンピュータ(PC)
やシグナリングテスタ等、検査対象品の無線通信機能部
分を制御/検査できる装置又は装置群である。また、こ
こでいう「ローカル接続」は、検査対象品の本来の無線
接続先である無線通信システム例えばPDC−P網への
接続を伴わない接続である。例えば、模擬サーバを構成
するPCやシグナリングテスタとのケーブル接続や、模
擬サーバが接続されているLANへのケーブル接続等
が、これに該当する。検査用模擬サーバコマンドは、少
なくとも衛星指定に関して実際のサーバコマンド(スナ
ップトラック方式ではサーバコマンドの一種である測位
指示がこれに該当する)を模擬したコマンドである。即
ち、測位指示と同形式のコマンド中に本物の測位指示を
まねて衛星番号等をセットし、模擬サーバコマンドとす
る。検査用模擬衛星信号に模擬的にドップラシフトを加
味する場合は、検査用模擬サーバコマンド中にも、ドッ
プラシフト分を概略特定する情報をセットする。
【0015】検査用模擬サーバコマンド及び検査用模擬
衛星信号は、実施形態によっては、ドップラシフトが0
に設定されている、航法メッセージによる変調がかかっ
ていない等、実際のものと異なる内容になる。しかし、
上掲の各点について実際のものを模擬しているため、少
なくとも衛星信号の受信・捕捉やサーバコマンドへの応
答等の動作については、検査対象品の動作は、実際のサ
ーバコマンド及び衛星信号を与えた場合と同様の動作と
なる。従って、上掲のように検査用模擬サーバコマンド
及び検査用模擬衛星信号を検査対象品に与え、検査対象
品が実行した動作の内容又は結果に関する情報を模擬サ
ーバに収集することにより、その検査対象品の動作に関
する検査結果として扱える情報を、模擬サーバが取得す
ることができる。この収集・取得には、模擬サーバ・検
査対象品間のローカル接続が使用されるため、PDC−
P網等に接続する必要はない。
【0016】その結果、検査時におけるPDC−P網等
への接続が不要になるため、検査時における網側への接
続コストが発生しなくなり、検査自体を迅速かつ手軽に
行うことが可能になり、再現性のある検査を実施でき、
網側のトラフィックを緩和でき、サーバの負担をも軽減
でき、網やサーバの不具合・不調の影響を受けないで検
査を行うことができる。また、検査対象品の動作内容・
結果等に関する情報が網側ではなく模擬サーバにより取
得されるため、その情報は、検査対象品の動作正否及び
評価等の判断や、その結果の記憶・出力、ひいては品質
管理や顧客サービス等、様々な用途に随時利用できる。
過去の検査結果を調べるために網側(通信事業者等)へ
の問い合わせを行う必要はない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
関し図面に基づき説明する。
【0018】図1に、本発明に係る検査方法にて検査可
能なGPS受信機の一例を示す。この図に示すGPS受
信機10は、GPSモジュール20とPDC−Pモジュ
ール30とを、図示しないバッテリ等の部材と共に単一
の筐体内に収納した構成を有している。GPSモジュー
ル20及びPDC−Pモジュール30は、それぞれ衛星
信号の受信及びPDC−P網との無線接続によるサーバ
との通信のためのモジュールであり、いずれも無線周波
数を取り扱う回路を含み或いは不要輻射を発生させがち
な高速動作デバイスを含むことから、個別にモジュール
化されている。両モジュール間の情報伝送に介在しまた
GPS受信機10内のローカル制御を実行する部材を別
モジュール化してもよいが、このGPS受信機10で
は、その種の機能をPDC−Pモジュール30に統合し
ている。
【0019】GPSモジュール20の内部には、LNA
22、ダウンコンバータ24、DSP25等の部材が収
納されている。また、GPSモジュール20は、衛星信
号を受信するため、GPS受信機10の筐体の表面又は
内部に配置されたGPSアンテナ21に接続されてい
る。このGPSアンテナ21に代えて外部アンテナを使
用できるようにするため、GPSモジュール20は、R
Fコネクタ23を有している。RFコネクタ23に外部
アンテナが接続されていない状態では、GPSアンテナ
21による受信信号がLNA22により低雑音増幅さ
れ、LNA22の出力がダウンコンバータ24によりダ
ウンコンバートされる。RFコネクタ23に外部アンテ
ナが接続されている状態では、外部アンテナ21による
受信信号がダウンコンバータ24によりダウンコンバー
トされる。これらいずれの状態でも、ダウンコンバート
後の受信信号はDSP25に供給される。DSP25
は、図示しないメモリにこの受信信号を蓄積し、FFT
等の手法による周波数解析を通じて擬似距離を導出す
る。
【0020】PDC−Pモジュール30の内部には、無
線部32、制御部33等の部材が収納されている。PD
C−Pモジュール30は、GPS受信機10の筐体の表
面又は内部に配置されたPDCアンテナ31を用いてP
DC−P網(直接にはいずれかのPDC基地局)と無線
接続し、この無線接続及びその先のネットワークを通じ
てサーバと接続することが可能である。無線部32は、
PDC−P網との無線接続に係る送受信信号を処理する
高周波回路である。制御部33は、この無線部32の動
作制御やGPS受信機10のローカル制御等を実行する
部材であり、DSP25と接続されている。また、PD
C−Pモジュール30は、外部装置との有線接続手段と
してシリアルインタフェース34を備えており、無線部
32及び制御部33はこのシリアルインタフェース34
を介して外部装置との信号授受を行うことができる。
【0021】このGPS受信機10を実際に使用する際
には、例えば、GPS受信機10への電源投入に応じ制
御部33がローカルコマンドを発生させてGPSモジュ
ール20の動作条件等を初期設定する。GPS受信機1
0は、それ以後は電源切断までサーバコマンドの受信、
サーバコマンドにより指示された動作、サーバコマンド
への応答等を実行する。測位指示はサーバコマンドの一
種であり、受信・捕捉すべきGPS衛星を特定する衛星
番号情報、そのGPS衛星についてのドップラシフト分
を概略特定するドップラ周波数情報等を含んでいる。測
位指示をはじめとするサーバコマンドは、PDCアンテ
ナ31及び無線部32により受信される。受信したサー
バコマンド例えば測位指示は、制御部33を介してDS
P25に与えられる。DSP25は、この測位指示に応
じてダウンコンバータ24等の回路を動作させ、その結
果得られた受信信号をメモリに蓄え、メモリに蓄えた受
信信号から、測位指示により指定されたGPS衛星に係
る衛星信号を周波数解析により検出する(GPS衛星の
捕捉)。その際には、測位指示中のドップラ周波数情報
を参照して周波数サーチを行う。DSP25は、この捕
捉処理を通じて得られた情報からそのGPS衛星までの
擬似距離等を導出し、そのGPS衛星を特定する衛星番
号情報と共に、制御部33に出力する。これらの情報
は、無線部32を通じてPDC−P網に送出され、サー
バ宛に送信される。サーバは、この情報と、予め得てあ
る衛星軌道等の情報とに基づき、GPS受信機10の現
在位置等を導出して、サービスに供する。
【0022】以上の構成を有するGPS受信機10を検
査対象品とする検査を行う場合、従来であれば、実際に
検査対象品10を使用してみる必要があった。例えば、
衛星信号を受信できるであろう既知の位置に検査対象品
10を配置しておき、その状態で、測位指示の送信から
現在位置導出に至るサーバ側手順を実行する。この手順
が滞りなく実行されかつその結果が上記既知の位置と矛
盾していないのであれば、検査対象品10による衛星信
号受信・捕捉動作及び通信動作は一応正常と見なせる。
しかしながら、このようにサーバとの通信を必須とする
のでは、サーバとの通信のための通信費用が発生する、
検査を気軽に行えない、ごく限られた種類の検査しか行
えない、検査結果の再現性に欠ける、網側トラフィック
やサーバ負担が若干重くなる、サーバや通信網の不具合
が検査結果に影響するため純粋に検査対象品10のみを
検査したことにはならない等、いくつかの問題が発生す
る。
【0023】本発明の好適な実施形態では、サーバとの
通信が不要であるため、これらの問題点が解消されると
共に、検査自体を迅速かつ手軽に行うことが可能にな
り、また検査結果情報を検査実施者の模擬サーバ(後
述)等に蓄えて品質管理・顧客サービス等に有効利用で
きるようになる。本発明の好適な実施形態においては、
このような有用性ある検査手法を実施するため、図2に
示す構成の模擬衛星信号発生装置40及び図3に示す構
成の模擬サーバ60を、図4に示す環境や図5に示す環
境等で使用する。
【0024】図2に示す模擬衛星信号発生装置40は、
模擬搬送波発生器41、PNコード発生器42、拡散変
調器46、アッテネータ47等を有している。模擬搬送
波発生器41は、GPS衛星にて使用する搬送波と同一
周波数(L1搬送波ならば1575.42MHz)を有
する検査用模擬搬送波と、PNコード発生器42を動作
させるためのクロック例えば10MHzのクロックを、
発生させる。PNコード発生器42は、模擬サーバ60
が指定するGPS衛星で使用されるPNコードと同一の
符号列である検査用模擬PNコードを、発生させる。
【0025】より詳細には、PNコード発生器42は、
衛星番号、コード位相等に関する情報を模擬サーバ60
から或いは手動で入力するための設定部43、この設定
入力に応じてPNコードと同じ周波数(L1搬送波なら
ば1.023MHz)の搬送波を発生させるPN搬送波
発生器44、設定部43により設定された衛星番号に対
応するGPS衛星で使用するPNコードと同一の符号列
をPN搬送波発生器44からの搬送波に同期して生成し
出力するパターン発生器45等から、構成されており、
パターン発生器45の出力は検査用模擬PNコードとし
て拡散変調器46に供給される。
【0026】拡散変調器46は、模擬搬送波発生器41
にて発生した検査用模擬搬送波を、PNコード発生器4
2にて発生した検査用模擬PNコードにより位相変調す
ることにより、当該検査用模擬PNコードに従いスペク
トラム拡散変調された信号を発生させる。拡散変調器4
6の後段のアッテネータ47は、検査対象品10への入
力レベルが実使用時における衛星信号の無線受信レベル
(GPSアンテナ21使用時)又はコネクタ入力レベル
(RFコネクタ23使用時)と同程度となるよう、かつ
検査目的に応じて、手動調整又は自動制御され、その減
衰量が設定・制御される。
【0027】アッテネータ47の出力は、図4に示すよ
うな無線送信による検査の場合は図2(a)に示すよう
に送信アンテナ48に供給され、図5に示すようなRF
コネクタ23利用の有線入力による検査の場合は図2
(b)に示すようにDCカット回路49及びLNA50
を介してRFコネクタ23に印加される。なお、LNA
50は、外部アンテナに通常組み込まれているLNAに
相当する機能を担う部材であり、DCカット回路49を
介してアッテネータ47から供給される信号を低雑音増
幅する。また、GPSアンテナ21や外部アンテナは受
信機側から直流電流の供給を受けて動作するためRFコ
ネクタ23には直流も現れている。DCカット回路49
は、アッテネータ側に印加されないようこの直流分をカ
ットする回路である。また、図2及び図3中の(A)〜
(D)の記号は図1中の(A)〜(D)の記号と対応・
一致しているので、信号の流れを読み取る際には参照さ
れたい。
【0028】この様にして模擬衛星信号発生装置40か
ら検査対象品10に供給される信号即ち検査用模擬衛星
信号は、航法メッセージを搬送していないこと(航法メ
ッセージによる変調成分を含まないこと)、ドップラシ
フトを受けていないこと等の点で、実際の衛星信号と異
なっている。しかしながら、搬送周波数が衛星信号のそ
れと同一であり、実際のPNコードと同じ符号列に従い
スペクトラム拡散変調されており、そのレベルも実際の
衛星信号と同程度であるため、(その品が正常であるな
らば)検査対象品10にて実際の衛星信号と同様受信及
び捕捉し擬似距離相当の情報を導出することができる。
【0029】他方、模擬サーバ60は、PC61、シグ
ナリングテスタ62等から構成される。検査対象品10
のシリアルインタフェース34例えば16芯コネクタに
は、シリアルデータ入出力用の端子とRF信号入出力用
の端子とが設けられており、PC61は前者に、シグナ
リングテスタ62は後者(及びPDCアンテナ31)
に、それぞれ接続されている。シグナリングテスタ62
はPC61の制御下で動作する。従って、PC61は、
模擬測位指示等の模擬サーバコマンドを、直接にシリア
ルデータのかたちで検査対象品10に与えることもでき
るし、シグナリングテスタ62を介しRFのかたちで与
えることもできる。また、PC61は、各種のローカル
コマンドを、シリアルデータのかたちで検査対象品10
に与えることができる。
【0030】模擬サーバコマンドとは、実際のシステム
におけるサーバコマンドと同一の信号形式を有する模擬
的なサーバコマンドであり、模擬サーバコマンドにおい
ては検査には必要ない情報が適宜省略される。例えば模
擬測位指示は、実際の測位指示と同様に衛星番号情報、
ドップラ周波数情報等を含む信号であるが、ドップラ周
波数=0とすることによって、実質的にドップラ周波数
情報が省略されたもの(別の言い方をすると、ドップラ
シフトが存在しないという条件を検査場の環境設定とし
て導入したもの)である。無論、模擬衛星信号発生装置
40にてドップラシフト相当の周波数偏移を付加する一
方模擬測位指示中に非ゼロのドップラ周波数情報をセッ
トすることもできる。
【0031】PC61からシグナリングテスタ62経由
でRF信号により測位指示を受け取ったとき、無線部3
2は、それを復調して制御部33に与える。制御部33
は、シリアルインタフェース34からシリアルデータの
かたちで受け取った信号や、無線部32から復調出力と
して受け取った信号が測位指示である場合、それをDS
P25に供給する。DSP25からの応答や測位結果
(擬似距離)は、制御部33による制御の下、測位指示
と逆にシグナリングテスタ62を介して又は介さずにP
C61に供給される。また、測位指示の他、衛星番号や
受信レベル・S/N等の出力要求をシリアルインタフェ
ース34にデータとして与え、それらの情報をPC61
に収集することもできる。
【0032】図4に示す検査環境においては、送信アン
テナ48が設置された電磁遮蔽環境70内に、検査対象
品10が1個又は複数個配置される。この環境では、検
査として、総合動作確認試験等を実施することができ
る。総合動作確認試験では、送信アンテナ48を用いて
模擬衛星信号発生装置40が電磁遮蔽環境70内に検査
用模擬衛星信号を無線輻射する。このときの送信レベル
は、検査対象品10における受信レベルが感度限界点よ
り十分高いレベル、例えば−140dBm程度になるよ
う、アッテネータ47により調整又は制御する。PC6
1は、シグナリングテスタ62を介して模擬測位指示を
検査対象品10の無線部32に与え、擬似距離導出等の
ための手順を実行させる。PC61は、また、衛星番号
や受信レベル・S/N等の出力要求を検査対象品10の
制御部33に与える。検査対象品10が正常に動作して
いれば、これへの応答として、受信レベル・S/N等の
情報が制御部33からPC61に供給される。PC61
は、この様な手順を所定回数繰り返して実行する。その
結果PC61に収集されたデータのうち、最大/最小値
データを除く取得データの平均値が所定値以上であれ
ば、その検査対象品10は総合動作確認試験に合格した
ものとして扱われる。
【0033】また、図5に示す検査環境においては、R
Fコネクタ23に(外部アンテナ代わりに)図2(b)
の回路経由で模擬衛星信号発生装置40が接続される。
この環境では、検査として、感度限界点検査等を実施す
ることができる。感度限界点検査では、まず、LNA5
0の入力端で−110dBmとなるよう模擬搬送波発生
器41における模擬搬送波出力レベルを調整し、その状
態で、検査対象品10におけるRFコネクタ23経由で
の入力レベルが感度限界点となるよう、アッテネータ4
7を調整する。感度限界点は、オートノーマス型であれ
ば−130dBm程度であるが、スナップトラック方式
では−150dBm又はそれ以下である。PC61は、
模擬測位指示を検査対象品10の制御部33に与え、擬
似距離導出等のための手順を実行させる。PC61は、
また、衛星番号や受信レベル・S/N等の出力要求を検
査対象品10の制御部33に与える。検査対象品10が
正常に動作していれば、これへの応答として、受信レベ
ル・S/N等の情報が制御部33からPC61に供給さ
れる。PC61は、この様な手順を所定回数繰り返して
実行する。その結果PC61に収集されたデータのう
ち、最大/最小値データを除く取得データの平均値が所
定値(総合動作確認試験における合否判定しきい値を1
00とすると例えば40程度)以上であれば、その検査
対象品10は感度限界点検査に合格したものとして扱わ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にて検査可能なGPS受信機の一例構
成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る模擬衛星信号発生
装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 本実施形態に係る模擬サーバの構成を示すブ
ロック図である。
【図4】 検査環境の一例を示すブロック図である。
【図5】 検査環境の他の一例を示すブロック図であ
る。
【符号の説明】
10 GPS受信機(検査対象品)、40 模擬衛星信
号発生装置、41 模擬搬送波発生器、42 PNコー
ド発生器、46 拡散変調器、47 アッテネータ、4
8 送信アンテナ、60 模擬サーバ、61 パーソナ
ルコンピュータ(PC)、62 シグナリングテスタ、
70 電磁遮蔽環境。
フロントページの続き Fターム(参考) 5J062 AA09 BB01 CC07 DD01 DD05 DD14 FF01 5K042 AA05 BA08 CA02 CA12 DA06 DA11 EA13 FA11 FA20 JA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ネットワーク経由で受信したサーバコマ
    ンドに即して衛星信号を受信及び捕捉するネットワーク
    アシスト型GPS受信機を、検査対象品とする検査方法
    であって、 少なくとも搬送周波数、スペクトラム拡散変調分及び検
    査対象品への入力レベルの各点に関し実際の衛星信号を
    模擬した検査用模擬衛星信号を、検査対象品に有線又は
    無線接続された模擬衛星信号発生装置により地球上で発
    生させて検査対象品に入力する一方、 少なくとも衛星指定に関し実際のサーバコマンドを模擬
    した検査用模擬サーバコマンドを、検査対象品にローカ
    ル接続された模擬サーバにより発生させて検査対象品に
    入力し、 検査用模擬サーバコマンドに即してかつ検査用模擬衛星
    信号に関して検査対象品が実行した動作の内容又は結果
    に関する情報を、模擬サーバが検査対象品から収集する
    ことを特徴とする検査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の検査方法において、 検査用模擬衛星信号が、GPSにおける衛星信号搬送波
    と同一周波数を有する検査用模擬搬送波を、GPS衛星
    にて使用されるPNコードと同一の符号列である検査用
    PNコードによってスペクトラム拡散変調し、更に、地
    上における実際の衛星信号受信レベルと同程度のレベル
    で検査対象品がその検査用模擬衛星信号を受信できるよ
    うレベルを調整することによって、生成されることを特
    徴とする検査方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の検査方法を実行するため
    の検査装置であって、 上記検査用模擬搬送波を発生させる模擬搬送波発生器、
    上記検査用PNコードを発生させるPNコード発生器、
    検査用PNコードにより検査用模擬搬送波をスペクトラ
    ム拡散変調する拡散変調器、地上における実際の衛星信
    号受信レベルと同程度のレベルで検査対象品が検査用模
    擬衛星信号を入力できるよう拡散変調器からの信号をレ
    ベル調整して検査用模擬衛星信号を発生させるレベル調
    整手段、並びに検査用模擬衛星信号を検査対象品に入力
    する模擬衛星信号供給手段を有する上記模擬衛星信号発
    生装置と、 上記検査用模擬サーバコマンドを発生させるコマンド発
    生手段、検査用模擬サーバコマンドを検査対象品に入力
    しまた検査対象品が実行した上記動作の内容又は結果に
    関する情報を検査対象品から収集するため設けられたロ
    ーカル伝送路及びそのインタフェース、並びに検査対象
    品から収集した情報に基づき検査対象品の動作正否及び
    評価に関する情報を作成して記憶又は出力する評価手段
    を有する上記模擬サーバと、 を備えることを特徴とする検査装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の検査装置にて使用される
    上記模擬衛星信号発生装置であって、 模擬衛星信号供給手段が、検査対象品の高周波入力端子
    に有線接続する部材を含むことを特徴とする模擬衛星信
    号発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の検査装置にて使用される
    上記模擬衛星信号発生装置であって、 模擬衛星信号供給手段が、検査対象品が配置された電磁
    遮蔽環境内に設けられ検査用模擬衛星信号を検査対象品
    に無線送信する部材を含むことを特徴とする模擬衛星信
    号発生装置。
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