JP2003252701A - 文化財殺虫処理用装置 - Google Patents

文化財殺虫処理用装置

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JP2003252701A
JP2003252701A JP2002055373A JP2002055373A JP2003252701A JP 2003252701 A JP2003252701 A JP 2003252701A JP 2002055373 A JP2002055373 A JP 2002055373A JP 2002055373 A JP2002055373 A JP 2002055373A JP 2003252701 A JP2003252701 A JP 2003252701A
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JP
Japan
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insecticidal
gas
cultural property
treatment
humidifying
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JP2002055373A
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English (en)
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Kenji Yasuoka
憲二 安岡
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Kofloc KK
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Kofloc KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水の補充や交換を必要とせず、周囲環境の相
対湿度に応じたレベルにまで殺虫性気体を加湿するのに
適し、文化財を有効に保存維持するのに適した展示ケー
スや燻蒸庫として利用可能な装置を提供する。 【解決手段】 文化財8を密閉状態にて収容可能な処理
部2を有し、処理部の内部に殺虫性のある気体を導入し
て使用される装置であって、処理部の流入路側には、導
入される気体を加湿するための加湿手段1として、中空
糸水分透過膜が配置されている。本発明では、処理室の
少なくとも一部を、透明性を有する部材にて構成するこ
とで、処理室内の文化財を外部から視認でき、処理室が
展示ケースとしての機能を有したものとすることがで
き、又、処理部が金属で構成された箱状体や、プラスチ
ックシートで構成された袋状体である場合には、処理室
が燻蒸庫としての機能を有したものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、美術品や工芸品な
どの文化財に対して変質等の悪影響を及ぼすことなく、
殺虫処理(防虫処理、燻蒸処理)を行うのに適した殺虫
処理用装置に関するものであり、詳しくは殺虫効果のあ
る窒素ガスや燻蒸ガスを、所定のレベルにまで加湿した
後、文化財が収容された処理部内に導入することで、文
化財の変質等を防止しつつ殺虫処理が行え、長期間に渡
って文化財を有効に保存維持するのに適した展示ケース
や燻蒸庫や保存袋として利用可能な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空気中から窒素濃縮気体を直接分離する
窒素濃縮気体装置が開発されて以来、使用時の利便性、
保守管理の容易さから窒素PSA法、又は中空糸分離法
として次第に普及するようになってきている。ところ
が、この圧力変動吸着法、又は中空糸分離膜法により生
成された窒素濃縮気体は、ほぼ完全に近い乾燥状態にあ
るために、このような気体を、文化財が展示又は収蔵さ
れた展示ケースや薫蒸庫内に導入すると、湿度の影響に
よって文化財が害されるという問題があり、導入時に加
湿を行う必要がある。
【0003】このような不具合を解消する加湿装置とし
ては、密閉された容器中に水を入れて、その水中に窒素
濃縮気体をバブリングさせるタイプの加湿器と、その水
面上に窒素濃縮気体を通過させることにより、蒸発した
水分で加湿するタイプの蒸発式加湿器があるが、これら
の加湿器にあっては、定期的に加湿器内の水を補充した
り、交換したりすることが必要であり、手間がかかると
同時に、加湿器着脱部から気体が漏れるなどの問題が起
こることがある。又、これらの加湿器では、原料窒素濃
縮気体の流量が少なく、気温変動の大きい場合に、窒素
濃縮気体の湿度が大きく影響を受け、乾燥した窒素によ
り文化財が害されたり、逆に水分が過剰となって結露を
発生し、文化財を害するなどの問題があった。
【0004】一方、美術品や工芸品などの文化財の保存
維持においては、密閉可能な燻蒸空間(燻蒸室)内に文
化財を収容した後、この室内に気体の状態で燻蒸剤を導
入し、一定時間所定のガス濃度を保持させて燻蒸処理す
ることが行われてきている。しかしながら、文化財はそ
の材質によって処理時の湿度を適宜調節する必要がある
にもかかわらず、これまで燻蒸処理装置においては安定
した加湿機能を有するものは提案されておらず、例えば
上述の加湿器を接続して燻蒸を行う場合には、一定時間
ごとに水の補充や交換を行う必要がある上、気温変動の
影響を受け易く、安定して周囲環境の相対湿度に応じた
レベルにまで加湿が行うことは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の文化
財展示用ケースや文化財殺虫処理用燻蒸庫にて生じる種
々の問題を解決して、水の補充や交換を必要とせず、周
囲環境の相対湿度に応じたレベルにまで加湿された窒素
濃縮気体や燻蒸気体を供給する機能を有したメンテナン
ス・フリーな文化財殺虫処理用装置を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の文化財殺虫処理
用装置は、文化財を密閉状態にて収容可能な処理部を有
し、当該処理部の内部に殺虫性のある気体を導入して殺
虫処理を行うのに使用される装置であって、前記装置に
おける前記処理部の流入路側に、導入される気体を加湿
するための加湿手段として、中空糸水分透過膜が配置さ
れていることを特徴とする。
【0007】又、本発明は、上述の特徴を有した装置に
おいて、前記処理部が、その少なくとも一部が透明性を
有する部材によって構成された室であり、当該室内に収
容された文化財が外部から視認できることによって、当
該室が展示ケースとしての機能を有することを特徴とす
るものでもある。
【0008】更に本発明は、上述の特徴を有した装置に
おいて、前記処理部が、金属によって構成された箱状
体、又はプラスチックシートによって構成された袋状体
であることを特徴とするものでもある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明を説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図
1は、展示用ケースとしての本発明の文化財殺虫処理用
装置の一例における構成を示す概略図であり、図2は、
燻蒸庫(燻蒸処理装置)としての本発明の文化財殺虫処
理用装置の一例における構成を示す概略図であり、この
図における処理部2は、金属によって構成された箱状体
であっても、プラスチックシートによって構成された袋
状体であっても良い。尚、図1及び図2には、殺虫性気
体を発生させるための手段(装置)7と共に使用する際
の状態が点線で示されており、殺虫性気体は窒素濃縮気
体であっても、臭化メチル等の燻蒸気体であっても良
い。
【0010】図1に例示した本発明の殺虫処理用装置に
おいては、展示台部3の上に、少なくとも一部が透明性
を有する部材によって構成された処理室(展示室)2
が、展示ケース部として設けられており、処理室2の下
方には、点線で表示された殺虫性気体発生部7から送ら
れてくる殺虫性気体を処理室2へ誘導するための流路が
形成されており、殺虫性気体を導入するための殺虫性気
体導入口4から加湿気体導入口5までの流路の途中に
は、殺虫性気体を所望の湿度にまで加湿するための加湿
手段1として、中空糸水分透過膜を利用して加湿可能な
加湿器が配置されている。これにより、気体発生部7か
らの殺虫性気体は、加湿手段(加湿器)1にて所望の湿
度にまで加湿された後、文化財8が陳列された処理室2
内へ送られる。もちろん、本発明では、加湿された殺虫
性気体が加湿ガスホルダーに供給されて備蓄された後で
処理室2に送られる構造であっても良い。
【0011】本発明の装置では、気体発生部7から発生
した殺虫性気体が、流量制御された後、中空糸水分透過
膜を通じて、当該中空糸水分透過膜の外部(周囲)に存
在する大気中の水分を取り込み、殺虫性気体の湿度が中
空糸水分透過膜の周囲環境湿度と実質的に同じレベルに
追従することで、当該湿度とほぼ同レベルにまで加湿さ
れた殺虫性加湿気体が製造され、このような加湿気体
を、文化財8が陳列された処理室2内へ導入すること
で、文化財に悪影響を及ぼさない状態での殺虫処置を行
うことができる。本発明では、殺虫性気体の発生源であ
る気体発生部7として、空気供給手段(コンプレッサ
ー)から供給される圧縮空気を、窒素より酸素を選択的
に吸着する吸着剤(例えば活性炭系吸着剤)が内部に充
填された一つ以上の吸着タンクへ供給して窒素濃縮気体
が発生させ得る構造を有した窒素濃縮気体発生装置(窒
素発生器)を使用することができるが、このような装置
の代わりに市販の窒素ガスボンベを利用しても良い。
又、文化財の燻蒸に適した燻蒸気体(例えば臭化メチル
など)を発生可能な装置を気体発生部7として使用する
こともできる。
【0012】尚、図1に例示した装置においては、処理
室2の加湿気体導入口5と反対側の位置には、処理室2
内を通過した気体を外部へ排出するための気体排出口6
が設けられており、加湿器1の流入側に、殺虫性気体の
流量を調節するための流量調節弁が設けられているが、
気体導入口4へ導入される殺虫性気体の流量が予め調節
される場合(例えば気体発生部7が送出流量調節機構を
有するものである場合)には、この流量調節弁は存在し
なくても良い。又、使用する殺虫性気体が加湿窒素ガス
である場合には、気体排出口6から気体をそのまま装置
外部に排出しても良いが、殺虫性気体(燻蒸気体)とし
て臭化メチル等を使用する場合には、気体排出口6に気
体処理装置(図示されていない)を接続し、処理後に外
部に排気する必要がある。
【0013】一方、図2に示した本発明の装置は、処理
部2が金属によって構成された箱状の燻蒸処理室や、プ
ラスチックシートによって構成された袋状の燻蒸処理袋
などの密閉状態で使用されるものであり、この装置で
は、密閉状態にて文化財8を収容した処理部2の流入路
側に、気体発生部7から送出される気体を加湿するため
の加湿手段1として、中空糸水分透過膜モジュールが配
置され、切換弁9と排気装置(一般的には減圧ポンプ)
10によって処理部2の内部を燻蒸気体により置換で
き、文化財8の燻蒸処理が行えるようになっている。本
発明では、処理部2が燻蒸処理袋である場合、その材質
が特に限定されるものではなく、単層フィルムにより構
成された袋状体であっても、積層加工されたシートより
構成された袋状体であっても良く、このような燻蒸処理
袋が処理部(処理室)2である本発明の装置の場合に
は、文化財8が収容された処理部2内を殺虫性加湿気体
で充填した後、開口部側を密封して一定時間保存し、処
理が終了した後、文化財8を取り出すことができ非常に
便利である。
【0014】図3には、本発明における加湿手段の好ま
しい一具体例として、チューブ状の中空糸水分透過膜モ
ジュールが複数本(図3の場合には3本)並列に配置さ
れた構造のものを示しているが、本発明における加湿手
段はこれに限定されるものではなく、殺虫性気体の使用
流量に応じて、図3に示される中空糸透過膜モジュール
の並列使用本数や、長さを変えることにより、殺虫性気
体への水分透過率を高めて、流体圧力損失の軽減を計る
ことができる。中空糸膜の水分透過原理としては、水蒸
気分圧差を利用して水分を透過する非多孔質の溶解拡散
膜と、分子篩作用を採用した水蒸気分子を選択透過する
微多孔質膜があるが、本発明における中空糸水分透過膜
モジュールとしては、強度や水分透過効率の点で、フッ
素系樹脂膜が好適であり、特に水蒸気分圧差を利用して
水分を透過する非多孔質のフッ素樹脂系溶解拡散膜(例
えば、デュポン社の商品名NAFION、その他)を使
用するのが好ましい。但し、このような物性を有する樹
脂系材料であれば、フッ素系樹脂膜に限定されるもので
はない。
【0015】本発明の加湿装置にあっては、図3に示さ
れるようにして、加湿手段に、水分透過性中空糸膜モジ
ュールの使用環境温度及び使用環境湿度を調整するため
のファン(加熱・冷却ファン)が設けられていることが
好ましく、これは、水分透過率の温度依存性が大きく、
使用環境温度及び使用環境湿度を高めることにより瞬時
に目標の加湿度を得ることが可能となるためである。本
発明では、短時間のうちに所望の湿度の殺虫性気体が得
られるように、ファンによって(使用環境温度+約5
℃)の温度の風を、水分透過性中空糸膜モジュールに吹
き付けて加湿するのが一般的であるが、温度条件はこれ
に限定されるものではない。
【0016】図4は、本発明における中空糸水分透過膜
モジュールとして好ましいNAFIONチューブ(デュ
ポン社製、モデルME−110)の水透過性能曲線であ
り、この製品の透過係数は128×106 cm3 ・cm
/cm2 ・sec・cmHgである。長さ50cmのN
AFIONチューブ(ME−110)3本を、図3のよ
うにして並列に接続した際の加湿テスト結果を以下の表
1に示す。表1のテストAには、並列に配置された3本
のNAFIONチューブ間のバラツキが示されており、
テストBには、高湿度下での水分透過量が示されてい
る。
【0017】
【表1】
【0018】図5には、図3に示される内部構造の加湿
装置(中空糸水分透過膜モジュールとして、長さ50c
mのNAFIONチューブ(ME−110)が3本、並
列に配列されている)を有する本発明の殺虫処理用装置
を用いて、2種類の周囲環境下で窒素濃縮気体(市販の
PSA式窒素ガス発生器を用いて得られたもの、酸素濃
度0.15%)の流量を変化させた場合の窒素濃縮加湿
気体(殺虫性加湿気体)の加湿度が示されている。図5
の試験結果は、本発明の殺虫処理用装置を用いることに
よって、環境湿度近くまで加湿された窒素濃縮気体を処
理室内に導入できることを示している。そして、上記に
て得られた湿度約70%の加湿窒素気体を、孵化して1
週間以内のアズキゾウムシ(約30〜50匹)を入れた
処理室(内容積約3リットル)内に導入して30℃で殺
虫効果を確認したところ、48時間の保存後にはアズキ
ゾウムシの生存割合は0%であることが確認された。
【0019】
【発明の効果】加湿手段として中空糸水分透過膜モジュ
ールが使用された本発明の殺虫処理用装置においては、
一定時間ごとに水を補給したり交換する必要がなく、水
分供給源として中空糸水分透過膜の周囲環境の水分を利
用して、周囲環境湿度に近いレベルにまで窒素濃度気体
を加湿することができ、加湿後の気体を、文化財を収容
した処理室内に導入することで、文化財に損傷を与える
ことなく有効に害虫から文化財を保護することができ
る。特に、展示ケースの形態である本発明の装置の場合
には、殺虫処理をした状態のままで展示及び収蔵を行う
ことができ、文化財の材質に応じた最適湿度に加湿され
た殺虫性気体を導入することによって文化財の乾燥を防
止でき、しかも、文化財を出し入れする必要がないの
で、文化財が損傷を受けにくいという利点もある。又、
本発明の装置では、プラスチック製の袋などを処理室と
して利用することもできるので文化財を個別に殺虫処理
し易くて便利であり、ガスバリヤー性のあるフィルムを
含む積層シートより成る袋を使用して殺虫処理後に密封
した場合には、文化財の乾燥を防止した状態で長期保存
することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】展示用ケースとしての本発明の文化財殺虫処理
用装置の一例における構成を示す概略図である。
【図2】燻蒸庫としての本発明の文化財殺虫処理用装置
の一例における構成を示す概略図である。
【図3】チューブ状の中空糸水分透過膜モジュールが3
本、並列に配置された構造の、本発明における加湿手段
の一例を示す構成図である。
【図4】本発明における中空糸水分透過膜として好まし
いNAFIONチューブ(ME−110)の水透過性能
曲線である。
【図5】本発明の文化財殺虫処理用装置を用いた際の一
例における、窒素濃縮気体についての加湿特性データで
ある。
【符号の説明】
1 加湿手段(加湿器) 2 処理部(処理室) 3 展示台部 4 殺虫性気体導入口 5 加湿気体導入口 6 気体排出口 7 気体発生部 8 文化財 9 切換弁 10 排気装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 文化財を密閉状態にて収容可能な処理部
    を有し、当該処理部の内部に殺虫性のある気体を導入し
    て殺虫処理を行うのに使用される装置であって、前記装
    置における前記処理部の流入路側に、導入される気体を
    加湿するための加湿手段として、中空糸水分透過膜が配
    置されていることを特徴とする文化財殺虫処理用装置。
  2. 【請求項2】 前記処理部が、その少なくとも一部が透
    明性を有する部材によって構成された室であり、当該室
    内に収容された文化財が外部から視認できることによっ
    て、当該室が展示ケースとしての機能を有することを特
    徴とする請求項1に記載の文化財殺虫処理用装置。
  3. 【請求項3】 前記処理部が、金属によって構成された
    箱状体、又はプラスチックシートによって構成された袋
    状体であることを特徴とする請求項1に記載の文化財殺
    虫処理用装置。
JP2002055373A 2002-03-01 2002-03-01 文化財殺虫処理用装置 Pending JP2003252701A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005249357A (ja) * 2004-03-08 2005-09-15 Anest Iwata Corp 文化財保護防虫用密閉室内の雰囲気制御方法および装置
JP2015024349A (ja) * 2013-07-24 2015-02-05 クラレケミカル株式会社 窒素ガス濃縮システム

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