JP2003246752A - 心筋症治療剤 - Google Patents

心筋症治療剤

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JP2003246752A JP2002047542A JP2002047542A JP2003246752A JP 2003246752 A JP2003246752 A JP 2003246752A JP 2002047542 A JP2002047542 A JP 2002047542A JP 2002047542 A JP2002047542 A JP 2002047542A JP 2003246752 A JP2003246752 A JP 2003246752A
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Yasuhiko Tabata
泰彦 田畑
Seishi Yoneda
正始 米田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心筋症の治療に有用な組成物を提供する。 【解決手段】 HGF及びゼラチンヒドロゲルを含み、
HGFが徐放される、心筋症治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、HGF及びゼラチ
ンヒドロゲルを含み、HGFが徐放される、心筋症治療
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】HGF(hepatcyte growth factor:肝細
胞増殖因子)は、1984年に中村らにより、成熟ラッ
ト初代培養肝細胞に対する増殖因子として肝再生中のラ
ット血液から部分精製された増殖因子であり、その遺伝
子はクローニングされている(Biochem Biophys Res Co
mmun, 122, 1450(1984)、Proc. Natl. Acad. Sci, USA,
83,6489(1986)、FEBSLetter, 22, 311(1987)、Nature,
342, 440(1989)、Proc.Natl. Acad. Sci, USA, 87,3200
(1990))。
【0003】その後の研究によって、HGFは、インビ
トロ(in vitro)において肝再生因子として障害肝の修
復再生に働く増殖促進作用だけでなく、さまざまな標的
細胞に対する遊走促進、形態形成誘導、抗アポトーシス
などの極めて多岐にわたる性質を有すること、それによ
って臓器・組織の再生・維持因子として重要な役割を果
たしていること、さらに、心臓に関しては、血管新生の
促進、再還流傷害の防止、線維化の抑制などの心血管保
護作用を有していること、それによって虚血性疾患や動
脈疾患の治療または予防に大きな役割を果たしているこ
とが明らかとなってきた(Symp. .Soc. Exp. BioL., 4
7, cell behavior, 227-234(1993), Proc. Natl. Acad.
Sci, USA.,90,1937-1941(1993),Circulation, 97, 381
-390(1998))。
【0004】このようにHGFは、血管新生作用を始め
とする種々の機能を有している。そのためHGFを医薬
品として活用するために色々な試みがなされてきた。し
かし、HGFの血中における半減期は数分から10分と
短いことから、その血中濃度を維持することは困難であ
り、また、患部へのHGF移行が十分でないという問題
であった。したがって、HGFを単に水溶液の形で投与
すると、投与部位から急速に拡散され、その後排泄され
てしまい、HGFの十分な生理活性効果を得ることは難
しかった。
【0005】HGFの遺伝子を用いる心筋症の治療法も
開発されている。この治療法は、遺伝子を主に筋肉内に
投与し、筋肉内の細胞に遺伝子を取り込ませ、それによ
って遺伝子導入細胞から導入遺伝子の発現産生物である
タンパク質を分泌させるものである。この方法の特徴
は、細胞を用いる徐放化、すなわち、血管新生誘導因子
の徐放化を細胞に行わせる点にある。しかしながら、そ
の遺伝子発現効率は、低く、さらに、遺伝子発現のレベ
ルや期間などを制御することができないという欠点があ
る。また、遺伝子が導入されたことによる未知の作用発
現も未だ解決されていない問題である。
【0006】要するに、上記のような問題点を解決する
ポイントは、血管新生誘導因子の徐放化にある。遺伝子
を用いて細胞から細胞増殖因子を分泌させ、その徐放効
果を得ようとする理由は、血管新生誘導因子を水溶液の
形態で投与した場合には、血管新生誘導因子の作用発現
は、全く認められないこと、及び、血管新生誘導因子自
身を徐放化することができないことにある。しかし、本
発明のように、細胞増殖因子を徐放化することができれ
ば、遺伝子を用いる方法を選択する意味はなく、上記の
ような問題点を解決することができる。
【0007】インビボ(in vivo)における有効性を高
めることができる唯一の方法は、ポリマー担体にHGF
を含浸させ、長時間にわたるHGFの徐放を可能にする
ことである。近年、種々の担体マトリックスと併用した
場合には、塩基性線維芽細胞増殖因子、骨誘導タンパク
質および形質転換増殖因子などいくつかの増殖因子が、
in vivoにおいて予測される生理活性を示すことがいく
つかの試験で示された(Downs, E・C・et al., 1992、Miy
amoto et al.,1992、Gombotx, W.R. et al.,1993)。し
かし、in vivoにおけるHGFの徐放に関する報告は全
くない。生理的に過剰な用量でHGF溶液を注射する
と、予測される生理作用を誘導することができるという
研究結果がいくつかあるのみである。
【0008】また、実験動物においては、HGFが、ア
ンギオテンシンIIのブロックを介して心筋の線維化を抑
制すること(Taniyama T. et al., Circulation(2000)1
02:246-252)、これとは反対に、心不全患者におけるH
GF産生の障害を、アンギオテンシン変換酵素阻害剤の
投与によって解消することができることも知られている
(Yasuda S. et al., Hypertension(1999)33:1374-137
8)。
【0009】一方、拡張型心筋症は、心筋の線維化とそ
れに伴う心筋細胞の変性(肥大、萎縮)を特徴とする難治
性の疾患であるが、現在まで有効な処置法は見つかって
いない。
【0010】本発明者らは、拡張型心筋症の処置剤につ
いて、鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、田畑
らの開発したゼラチンハイドロゲルを用いたHGF徐放
性製剤による処置が、拡張型心筋症モデルラットの心臓
疾患に対する顕著な治療的効果を有することを見出し、
本発明を完成させたものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、HG
F及びゼラチンヒドロゲルを含み、HGFが徐放され
る、心筋症治療剤を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明で使用されるゼラ
チンとは、以下の物性: (1)コラーゲンからのアルカリ加水分解処理によって
得られる、酸性ゼラチンであり、(2)分子量が、SD
S−PAGEの非還元条件下で約10〜約20万ダルト
ンであり、(3)水溶液中のジータ電位が、約−15〜
約−20mVであるを有するゼラチンであり、市販のゼラ
チンとは異なるものである。
【0013】市販のゼラチンとして例えば、シグマ社製
タイプAゼラチン、和光社製ゼラチンかあるが、水溶液
中のジータ電位が以下のように異なっている。 シグマ社製タイプAゼラチン:約0〜約5mV 和光社製ゼラチン:約−5〜約−2mV
【0014】ジータ電位は、物質(ゼラチン)の静電的
な荷電の程度を表す尺度であり、本発明におけるHGF
と静電的複合体を形成するゼラチンの指標としては好適
なものと考えられる。
【0015】本発明のゼラチンは牛を始めとする各種の
動物種の皮膚・腱などの部分あるいはコラーゲンあるい
はコラーゲンとして用いられている物質からアルカリ加
水分解して得られるものである。好ましくは、ウシの骨
由来のI型コラーゲンをアルカリ処理して調製した酸性
ゼラチンであり、新田ゼラチン社の試料等電点(IEP)
5.Oとして入手することもできる。なお、酸処理して調
製した塩基性ゼラチンは同じく新田ゼラチン社の試料IE
P9.0として入手することができるが、ジータ電位は以下
のように大きく相違する。 酸性ゼラチン (新田ゼラチン社試料IEP5.O):約−1
5〜約−20mV 塩基性ゼラチン(新田ゼラチン社試料IEP9.O):約+1
2〜約+15mV
【0016】本発明で使用されるゼラチンヒドロゲルと
は、上記ゼラチンを用いて種々の化学的架橋剤と縮合さ
せて得られるヒドロゲルのことである。化学的架橋剤と
しては、例えばグルタルアルデヒド、例えばEDC等の
水溶性カルボジイミド、例えばプロピレンオキサイド、
ジエポキシ化合物、縮合剤を用いることができる。好ま
しいものとしては、グルタルアルデヒドを用いることが
挙げられる。
【0017】また、ゼラチンは、熱処理又は紫外線照射
によっても架橋化することもできる。
【0018】ゼラチンヒドロゲルの形状は、特に制限は
ないが、例えば、円柱状、角柱状、シート状、ディスク
状、球状、粒子状などがある。円柱状、角柱状、シート
状、ディスク状のものは、通常埋込片として用いられる
ことが多く、また、球状、粒子状のものは注射投与も可
能である。
【0019】円柱状、角柱状、シート状、ディスク状の
ゼラチンヒドロゲルは、ゼラチン水溶液に架橋剤水溶液
を添加するか、あるいは、架橋剤水溶液にゼラチンを添
加し、所望の形状の鋳型に流し込んで、架橋反応させる
ことにより調製することができる。また、成形したゼラ
チンゲルにそのまま、あるいは乾燥後に架橋剤水溶液を
添加してもよい。架橋反応を停止させるには、エタノー
ルアミン、グリシン等のアミノ基を有する低分子物質に
接触させるか、あるいは、pH2.5以下の水溶液を添
加する。得られたゼラチンヒドロゲルは、蒸留水、エタ
ノール、2−プロパノール、アセトン等により洗浄し、
製剤調製に供される。
【0020】球状、粒子状のゼラチンヒドロゲルは、例
えば、三口丸底フラスコに固定した攪拌用モーター(例
えば、新東科学社製、スリーワンモーター、EYELA mini
D.C.スターラー等)とテフロン(登録商標)用プロペラ
を取り付け、フラスコと一緒に固定した装置にゼラチン
溶液を入れ、ここにオリーブ油等の油を加えて200〜
600rpm程度の速度で攪拌し、W/O型エマルジョ
ンとし、これに架橋剤水溶液を添加するか、ゼラチン水
溶液を予めオリーブ油中こて前乳化(例えば、ボルテッ
クスミキサーAdvantec TME-21、ホモジナイザー、polyt
ron PT10-35等を用いて)しておいたものをオリーブ油
中に滴下し、微粒子化したW/O型エマルジョンを調製
し、これに架橋剤水溶液を添加して架橋反応させ、遠心
分離によりゼラチンヒドロゲルを回収した後、アセト
ン、酢酸エチル等で洗浄し、さらに2−プロパノール、
エタノール等に浸漬して架橋反応を停止させることによ
り、調製することができる。得られたゼラチンヒドロゲ
ル粒子は、2−プロパノール、Tween80を含む蒸
留水、蒸留水等で順次洗浄し、製剤調製に供される。
【0021】ゼラチンヒドロゲル粒子が凝集する場合に
は、例えば、界面活性剤などの添加あるいは超音波処理
(冷却下、1分以内程度が好ましい)等を行ってもよ
い。
【0022】尚、前乳化することによって、粒子サイズ
が20μ以下の微粒子状のゼラチンヒドロゲルを得るこ
とができる。
【0023】得られるゼラチンヒドロゲル粒子の平均粒
径は、1〜1000μmであり、目的に応じて適宜必要
なサイズの粒子をふるい分けて使用すればよい。
【0024】球状、粒子状のゼラチンヒドロゲルを調製
する別法として以下の方法も挙げられる。
【0025】上記の方法と同様の装置にオリーブ油を入
れ、200〜600rp孤程度の速度で攪拌し、ここに
ゼラチン水溶液を滴下してW/O型エマルジョンを調製
し、これを冷却後、アセトン、酢酸エチル等を加えて攪
拌し、遠心分離によりゼラチン粒子を回収する。回収し
たゼラチン粒子を、さらにアセトン、酢酸エチル等、次
いで2−プロパノール、工タノール等で洗浄後、乾燥さ
せる。この乾燥ゼラチン粒子を0.1%Tween80
を含む架橋剤水溶液に懸濁させ、緩やかに撹絆しながら
架橋反応させ、使用した架橋剤に応じて0.1%Twe
en80を含む100mMグリシン水溶液又は0.1%T
ween80を含む0.004N HCl等にて洗浄
し、架橋反応を停止することによりゼラチンヒドロゲル
粒子を調製することができる。本法で得られるゼラチン
ヒドロゲル粒子の平均粒径は上記の方法の場合と同様で
ある。
【0026】この徐放のメカニズムは、血管形成誘導因
子が、ハイドロゲル内のゼラチンに物理的に固定化され
ていることに基づく。この状態では、因子は、ハイドロ
ゲルから放出されない。ハイドロゲルが分解されること
によって、ゼラチン分子が、水可溶性となれば、それに
伴って、固定化されている血管形成誘導因子が、放出さ
れるようになる。すなわち、ハイドロゲルの分解によっ
て、血管形成誘導因子の徐放性を制御することができ
る。ハイドロゲルの分解性は、ハイドロゲル作成時での
架橋程度によって変えることができる。
【0027】架橋反応条件は特に制限はないが、例え
ば、0〜40℃、1〜48時間で行うことができる。
【0028】本発明のゼラチンヒドロゲルは、その含水
率が血管形成誘導因子の徐放性に大きく影響することが
明らかとなっており、好ましい徐放性効果を示す含水率
としては約80〜99w/w%が挙げられる。さらに好
ましいものとしては、約95〜98w/w%のものが挙
げられる。この架橋度の測定可能な指標に含水率があ
る。含水率が大きければ架橋度は低くなり、分解されや
すくなる。つまり、この含水率の値が血管形成誘導因子
の徐放(徐々に放出)を左右する。
【0029】本発明のゼラチンヒドロゲルは適宜、適当
な大きさ及び形に切断後凍結乾燥し滅菌して使用するこ
とができる。凍結乾燥は、例えば、ゼラチンヒドロゲル
を蒸留水に入れ、液体窒素中で30分以上、又は−80
℃で1時間以上凍結させた後に、凍結乾燥機で1〜3日
間乾燥させることにより行うことができる。
【0030】ゼラチンヒトロゲルを調製する際のゼラチ
ンと架橋剤の濃度は、所望の含水率に応じて適宜選択す
れば良いが、ゼラチン濃度は、1〜20w/w%、架橋剤
濃度は、0.01〜1w/w%が挙げられる。
【0031】本発明で使用されるHGFは公知物質であ
り、医薬として使用できる程度に精製されたものであれ
ば、種々の方法で調製されたものを用いることができ、
また既に市販されている製品(例えば、東洋紡Code
No.HGF−101等)を使用してもよい。HGFの
製造法としては、例えば、HGFを産生する初代培養細
胞や株化細胞を培養し、培養上清等から分離、精製して
該HGFを得ることができる。あるいは遺伝子工学的手
法こよりHGFをコードする遺伝子を適切なベクターに
組み込み、これを適当な宿主に挿入して形質転換し、こ
の形質転換体の培養上清から目的とする組換えHGFを
得ることもできる。(例えば、Nature,342, 440 (198
9)、特開平5−111382号公報、Biochem. Biophy
s. Res. Commun. 163, 967 (1989)などを参照)。上記
の宿主細胞は特に限定されず、従来から遺伝子工学的手
法で用いられている各種の宿主細胞、例えば大腸菌、酵
母又は動物細胞などを用いることができる。このように
して得られたHGFは、天然型HGFと実質的に同じ作
用を有する限り、そのアミノ酸配列中の1若しくは複数
のアミノ酸が置換、欠失及び/又は付加されていてもよ
く、また同様に糖鎖が置換、欠失及び/又は付加されて
いてもよい。
【0032】本発明におけるHGF徐放性ゼラチンヒド
ロゲル製剤とは、上記の酸性ゼラチンヒドロゲルにHG
Fを含浸させて得られる製剤である。HGFは塩基性タ
ンパク質であるため、酸性ゼラチンヒドロゲルと複合体
を形成するが、前述の溶液中のイオン強度変化に対する
HGFの収着抑制効果を考慮すると、このHGFゼラチ
ン(ヒドロゲル)複合体は静電的相互作用だけでなく、
疎水結合等の他の相互作用が大きく寄与している。この
複合体の解離定数(Kd)およびゼラチンに対するHG
Fの結合モル比はスキャッチャード結合モデル(Scatch
ard, G. 1949)にしたがって得られた。ゼラチンに対す
るHGFの結合モル比として、およそHGF分子7個
が、酸性ゼラチン分子1個に結合している。
【0033】また、37℃の酸性ゼラチンのKd値は、
5.5×10-7Mであり、これは、20℃の硫酸ヘパリ
ンのKd値1×10-9〜2.0×10-10Mよりも約2
〜3次数大きい(Rahmoune, H et al., 1998)。これ
は、HGFゼラチン複合体の結合性がHGFヘパリン硫
酸ほど強固でなく、緩やかであることを示している。
【0034】ゼラチンに対してHGFのモル比を約1:
7以上に上げた場合には、HGFの遊離が起きやすく活
性的にはほとんど遊離のHGFと同様の挙動を示す。し
かし、HGFのモル比を約1:7以下に下げた場合に
は、HGFが吸着され解離するものが少なくなるため、
HGFの見かけの活性は低下するように見える。
【0035】従って、HGFとゼラチンあるいはゼラチ
ンヒドロゲルとの複合体は、HGFとゼラチンのモル比
が種々に変化したものを作り得るが、初期バーストを回
避するためには、好適なものとして、ゼラチンヒドロゲ
ル1モルに対してHGFが約7モル以下のモル比の複合
体が挙げられる。
【0036】なお、ゼラチンに対しては、HGFの重量
比が約5倍量以下のものが好適である。さらに好適なも
のとしては、ゼラチンに対してHGFが約5〜約1/1
4倍量の重量比のものが望ましい。
【0037】本発明のHGF徐放性ゼラチンヒドロゲル
製剤は、HGFの徐放性効果とHGFの安定化効果を持
つため、HGFの機能を少量で長時間にわたって発揮し
得る。そのため、HGFの本来的機能である血管新生の
促進、再還流障害の防止、線維化の抑制などの心血管保
護作用が効果的に発揮され、これら心筋症治療剤として
有効に使用することができる。
【0038】本発明のHGFゼラチンヒドロゲル製剤
は、注射用製剤として、非経口的に使用することができ
る。例えば、皮下、筋肉内、静脈内、体腔内、結合組織
内、骨内膜あるいは障害臓器等に投与することができ
る。
【0039】本発明のHGF徐放性ゼラチンヒドロゲル
製剤あるいはその複合体は、それぞれの用途に応じて適
宜剤型を工夫することができる。例えば、シート状、ス
ティック状、粒子状、ロッド状、ぺ一スト状の剤型にし
て投与することができる。投与方法としては、皮内投
与、皮下投与、筋肉内投与、体腔内投与、結合組織内投
与、骨内膜投与などが考えられる。
【0040】本発明製剤中のHGFの用量は、疾患の重
篤度、患者の年齢、体重等により適宜調整することがで
きるが、通常成人患者当たり約0.01〜約5μgの範
囲、好ましくは、約0.01〜約0.5μgの範囲から
投与量が選択され、これを患部またはその周辺部位に注
入することができる。また1回の投与で効果が不十分で
あった場合は、該投与を複数回行うことも可能である。
【0041】本発明のHGF徐放性ゼラチンヒドロゲル
製剤の適用疾患は、上記のように、心筋症である。本発
明でいう心筋症とは、心筋に病変が見られるすべての疾
患をいい、明らかな原因のない、心筋の異常肥大、変
性、線維化を特徴とする。
【0042】適用疾患の具体例としては、拡張型心筋症
又は肥大型心筋症、あるいは、特発性心筋症、原発性心
筋症又は続発性心筋症を挙げることができる。好ましい
疾患は、拡張型心筋症である。続発性心筋症にあって
は、薬剤の副作用若しくは毒物の作用、ウイルスやバク
テリアの感染症に伴う続発性心筋症が好ましい。
【0043】
【実施例】実験方法 HGFの徐放が投与後約4週間にわたって持続するよう
に、田畑らの方法にしたがってHGF徐放剤を作製し
た。Lewisラット(雄性、n=9、清水実験動物株
式会社より購入)の皮下にブタ心筋由来のミオシンを投
与することによって急性心筋炎を誘発し、その後6週間
放置し、心筋症を誘発させ、拡張型心筋症のモデルとし
た。これらをHGF処理群(n=4)とSham群(n
=5)とに分類し、HGF処理群には、開胸後に、HG
F徐放剤を浸潤させたゼラチンシートを左室前壁に付着
させることによってその後のHGFの徐放を図り、Sh
am群には生食をしみ込ませたゼラチンシートを左室前
壁に付着させた。術後4週にわたり、10〜12MHzの
周波数の超音波フローべを用いた心エコーにて心臓の大
きさおよび機能を追跡した。
【0044】実験結果 HGF処理群においては、心臓の拡大が抑制されるのみ
ならずむしろ縮小したのに対し、Sham群では心臓の
拡大が見られた。 左室拡張末期径(cm): 術前 2週後 4週後 HGF群 0.91±0.04 0.86±0.05 0.80±0.05 Sham群 0.89±0.03 0.88±0.03 0.91±0.05* *p=0.0043 左室収縮末期径(cm) 術前 2週後 4週後 HGF群 0.67±0.02 0.55±0.08 0.47±0.07 Sham群 0.68±0.01 0.63±0.06 0.74±0.05* *p=0.0011
【0045】また、HGF処理群では、心収縮力の改善
が見られたのに対し、Sham群では、心機能の悪化が
進んだ。 左室短径短縮率(%): 術前 2週後 4週後 HGF群 26.7±1.9 37.9±3.4 41.7±9.3 Sham群 24.3±2.2 21.1±8.7 17.0±2.8* *p=0.0014 左室内腔面積変化率(%): 術前 2週後 4週後 HGF群 40.8±5.2 48.7±11.2 61.8±14.9 Sham群 43.1±3.9 35.0± 8.0 30.3± 3.3* *p=0.0010
【0046】HGF徐放剤の心筋への直接投与は、ラッ
トにおいて、術後4週にわたり心臓の縮小および心収縮
力の著明な改善をもたらした。この手法は、拡張型心筋
症の進行を抑えるのみならず、積極的な治療効果がある
ことが示唆された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、左室拡張末期径の変化を示す。HGF
処理群においては、心臓の拡大が抑制されるのみならず
むしろ縮小したのに対し、Sham群では心臓の拡大が
見られた。
【図2】図2は、左室収縮末期径の変化を示す。HGF
処理群においては、心臓の拡大が抑制されるのみならず
むしろ縮小したのに対し、Sham群では心臓の拡大が
見られた。
【図3】図3は、左室短径短縮率(心臓を輪切りにした
断面における左室径の、収縮に伴って生じる短縮の割合
のこと)の変化を示す。HGF処理群では、心収縮力の改
善が見られたのに対し、Sham群では、心機能の悪化
が進んだ。
【図4】図4は、左室内腔面積変化率(心臓を輪切りに
した断面における左室断面積の収縮に伴って生じる縮小
の割合のこと)の変化を示す。HGF処理群では、心収縮
力の改善が見られたのに対し、Sham群では、心機能
の悪化が進んだ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 正始 京都府京都市上京区室町通椹木町下ル大門 町256 御所西アーバンライフ303 Fターム(参考) 4C076 AA94 CC11 EE42A FF31 4C084 AA02 AA03 BA44 DB22 MA05 NA12 ZA382

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 HGF及びゼラチンヒドロゲルを含み、
    HGFが徐放される、心筋症治療剤。
  2. 【請求項2】 心筋症が、拡張型心筋症である、請求項
    1に記載の心筋症治療剤。
  3. 【請求項3】 心筋症が、肥大型心筋症である、請求項
    1に記載の心筋症治療剤。
  4. 【請求項4】 心筋症が、特発性心筋症、原発性心筋症
    又は続発性心筋症である、請求項2〜3のいずれか1項
    に記載の心筋症治療剤。
JP2002047542A 2002-02-25 2002-02-25 心筋症治療剤 Pending JP2003246752A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104587187A (zh) * 2015-01-20 2015-05-06 上海玉丹药业有限公司 荣心丸在制备治疗扩张型心肌病的药物中的应用

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