JP2003246736A - 自己免疫疾患発病抑制薬 - Google Patents

自己免疫疾患発病抑制薬

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JP2003246736A JP2002047679A JP2002047679A JP2003246736A JP 2003246736 A JP2003246736 A JP 2003246736A JP 2002047679 A JP2002047679 A JP 2002047679A JP 2002047679 A JP2002047679 A JP 2002047679A JP 2003246736 A JP2003246736 A JP 2003246736A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患
の発病を抑制できる自己免疫疾患発病抑制薬を提供す
る。 【解決手段】 エストロゲンであるエストラジオールを
有効成分として含有させる。全身性エリテマトーデスの
発病前である出生直後に1回投与する。恒常性の維持に
不可欠なエストロゲン受容体の発現を低下させない。生
殖器の異常が発生せず、成熟期以降の全身性エリテマト
ーデスの発病を抑制および防止できる。発病した全身性
エリテマトーデスの進行を抑制でき、生存率を上昇でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば全身性エリ
テマトーデスなどの自己免疫疾患の発病を抑制する自己
免疫疾患発病抑制薬に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、この種の様々な原因によって引き
起こされる自己免疫疾患の代表として知られている全身
性エリテマトーデス(Systemic Lupus Eryhtrmatosus:SL
E)は、一卵性双生児での一致率が63%程度であること
から何らかの遺伝的素因を背景として、感染、性ホルモ
ン、紫外線、薬物などの環境因子が加わって発病する多
因子性疾患と考えられている。
【0003】そして、この全身性エリテマトーデスの病
態は、種々の全身の臓器に対する自己抗体が産生され、
皮膚、関節、腎、神経、心、血管、肺、腸管あるいは膀
胱などに病変を生ずる。これらの自己抗体は、主に核お
よび細胞成分の抗原を認識しており、それぞれの臓器を
直接侵襲するか、もしくは血液中で免疫複合体を形成し
組織へ沈着する。さらに、捕体系の活性化を促し組織の
炎症、破壊を促すものと考えられている。
【0004】また、全身性エリテマトーデスの病態にお
ける主な自己抗体は、抗核抗体の一つである抗二本鎖DN
A抗体(anti-double-stranded DNA antibody:anti-dsDNA
Ab)とされ、診断や活動性の指標に非常重要であるとと
もに免疫複合体により誘起された糸球体腎炎(ループス
腎炎)は、致死に至る重篤な要因であり、病態の進行を
左右する中心的な抗体である。
【0005】一方、人体の感受性遺伝子や、自己の体内
に予め組み込まれている内在性レトロウイルス(Endogen
ous Retroviruses:ERV)の解析により全身性エリテマト
ーデスへの遺伝的素因の関連性が解明されつつあり、さ
らに、外来性のウイルスの解析により全身性エリテマト
ーデスへの環境因子の関連性が解明されつつあるが、未
だ全身性エリテマトーデスの全貌は明らかにされていな
い。
【0006】そして、この全身性エリテマトーデスの治
療としては、基本的に自己免疫疾患に共通しているが、
対照療法を除く根本的治療においては、抗炎症および免
疫抑制作用を期待して副腎皮質ホルモンであるプレドニ
ゾロン(Predonisolone)などの副腎皮質ステロイドが多
用され、特に病初期や重篤な症例では大量の使用が強い
られている。さらには、副腎皮質ステロイド抵抗性の症
例やこれによる副作用が出現した症例においてはシクロ
ホスファミド(Cyclophosphamide)やアザチオプリン(Aza
thioprine)などの免疫抑制薬の投与が考慮される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、既に発
病している全身性エリテマトーデスを治療する湯合に
は、上述した副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬などを長
期に亘って全身投与する必要性がある。この結果、再燃
とともに間欠的な大量療法を強いられるとともに、投与
する薬の減量により再発するおそれがあり、薬の減量ま
たは中止には及ばず一生涯薬を投与せざるを得なくな
る。
【0008】よって、現行の治療法では、全身性エリテ
マトーデス患者は、副腎皮質ステロイドによる骨疎しょ
う症、骨頭無腐性壊死、消化性潰瘍、糖尿病、感染症あ
るいはうつ状態などや、免疫抑制薬による骨髄機能抑
制、間質性肺炎、肝機能障事、腎機能障育あるいは感染
症などの副作用の発現に生涯に亘って常時悩まされてい
るとともに、全身性エリテマトーデスが発病する前に抑
制して予防する方法が未だ知られていないという問題を
有している。
【0009】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、自己免疫疾患の発病を抑制できる自己免疫疾患発
病抑制薬を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の自己免疫疾患発
病抑制薬は、エストロゲンを有効成分として含有するも
のである。そして、自己免疫疾患が発病する前に、エス
トロゲンを有効成分として含有する自己免疫疾患発病抑
制薬を投与することにより、自己免疫疾患の発病が抑制
される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態の自
己免疫疾患発病抑制薬の構成を図面を参照して説明す
る。
【0012】まず、自己免疫疾患としての膠原病の中の
代表的疾患である全身性エリテマトーデス(Systemic Lu
pus Eryhtrmatosus:SLE)は、思春期である若い女性に好
発するとともに、一卵性双生児での一致率が63%程度
であることから何らかの遺伝的素因を背景として、感
染、性ホルモン、紫外線、薬物などの環境因子が加わっ
て発病する多因子性疾患と考えられている。
【0013】そして、この全身性エリテマトーデスの病
態は、種々の全身の臓器に対する自己抗体が産生され、
皮膚、関節、腎、神経、心、血管、肺、腸管あるいは膀
胱などに病変を生ずる。これらの自己抗体は、主に核お
よび細胞成分の抗原を認識しており、それぞれの臓器を
直接侵襲するか、もしくは血液中で免疫複合体を形成し
組織へ沈着する。さらに、捕体系の活性化を促し組織の
炎症、破壊を促すものと考えられている。
【0014】また、全身性エリテマトーデスの病態にお
ける主な自己抗体は、抗核抗体の一つである抗二本鎖DN
A抗体(anti-double-stranded DNA antibody:anti-dsDNA
Ab)とされ、診断や活動性の指標に非常重要であるとと
もに免疫複合体により誘起された糸球体腎炎(ループス
腎炎)は、致死に至る重篤な要因であり、病態の進行を
左右する中心的な抗体である。
【0015】そして、この全身性エリテマトーデスの発
病を抑制する自己免疫疾患発病抑制薬としての全身性エ
リテマトーデス発病抑制薬である卵胞ホルモン製剤、例
えば吉草酸エストラジオールは、卵胞ホルモンの総称で
あるエストロゲン(estrogen)が有効成分として含有され
ている。また、この全身性エリテマトーデス発病抑制薬
は、この全身性エリテマトーデスが発病する前である出
生早期に1回だけ投与される。
【0016】ここで、エストロゲンは、最も基本的な女
性性ステロイドホルモンであり、内外性器の発育のみな
らず、中枢神経、代謝系、乳房などに対する性器外作用
を有している。また、このエストロゲンとしては、エス
トロン(estrone)、エストラジオール(estradiol)、エス
トリオール(estriol)などが存在する。
【0017】なお、エストラジオールは、生理活性が最
も高く、主として卵巣から産生され、卵胞発育に伴い特
徴的な分泌パターンを示し、妊娠中に至っては胎盤性エ
ストロゲンの一部として大量に分泌される。また、この
エストラジオールは、性腺系の発育増殖をつかさどるほ
か、骨代謝に関与し、骨格の成長効果を持つとともに、
妊娠時における胎盤機能の指標として、思春期、不妊
症、更年期および閉経婦人における卵巣機能の評価とし
て重要な意味を有する。
【0018】次に、上記一実施の形態の作用について実
験例を参照して説明する。
【0019】(実験例)動物モデルを用いて全身性エリテ
マトーデスに対するエストロゲン投与による発病抑制に
ついて実験した。
【0020】そして、全身性エリテマトーデスの動物モ
デルとしては、NZB(New Zealand black mice)/BINJおよ
びNZW(New Zealand white mice)/LacJに由来するNZB/NZ
W F1マウスが知られている。
【0021】このNZB/NZW F1雌マウスは、生後4週齢頃
より抗二本鎖DNA抗体(anti-dsDNA Ab)の発現と高グロブ
リン血症(hyper-globrinemia)とが認められ、加齢とと
もに抗二本鎖DNA抗体価の上昇がみられ、自然発生的に
免疫複合体に誘起された糸球体腎炎(immune complex-me
diated glomerulonephritis)であるループス腎炎を起し
生後約10ヶ月以内に腎不全で死亡する経過をとる。こ
のため、このNZB/NZWF1雌マウスの臨床経過は、ヒト全
身性エリテマトーデスの臨床経過と非常に類似してい
る。
【0022】そして、出生後2週間以内、より具体的に
は3日以内の雌のNZB/NZW F1マウスに、エストロゲンと
しての17-β-エストラジオール(17E2)吉草酸塩であるペ
ラニンデポー(Pelanin Depot:持田製薬株式会社製)を1
回のみ投与して、蛋白尿、抗DNA抗体(anti-dsDNA Ab)の
発現量、および生存率の経時的な観察を18ヶ月に亘っ
て3回ほど行った。
【0023】詳細な方法においては、このペラニンデポ
ー(エストロゲン)を接種用にゴマ油(sesame oil:Sigma
Chemical社製)で希釈し、2ng/ulに調整したものをマウ
スの体重に対し200ng/gの割合で背部皮下投与を行っ
た。エストロゲンの接種と同時にコントロールとして希
釈に使ったゴマ油を同比率の量(volume)で背部皮下投与
を行った。
【0024】そして、尿蛋白の判定量分析においてはテ
トラブロモフェノールブルー塗布尿検査スティック(tet
rabromophenolblue coated urine analysis stick:テル
モ社製)を用いて行った。
【0025】さらに、抗二本鎖DNA抗体(anti-dsDNA Ab)
の抗体価測定は、酵素免疫測定法(ELISA法)にて行い、
抗原には二本鎖の子牛胸腺DNA(Sigma Chemical社製)、
二次抗体としてペルオキシダーゼ標織抗マウスIgG Fab
フラグメント(Nordic Immunology Laboratories社製)、
抗体価測定のためのスタンダードとして単クローン性マ
ウス抗DNA抗体(CHEMICON International社製)を用い
た。
【0026】そして、生殖が可能な8〜10週齢のエス
トロゲンを投与した雌のNZB/NZW F1マウスにおいては、
生殖器の成熟を病理組織学的に観察し、各臓器における
エストロゲン受容体であるER-αmRNAの発現を、分子生
物学的手法としてのRT−PCR(Riverse Transcription-Po
lymerase Chain Reaction)法という遺伝子増幅法により
評価して、エストロゲンに関与する機能の保持を確認し
た。
【0027】このとき、RNAの抽出においては、各臓器
の組織を物理的にホモゲナイズした後、TRIZOL LS Reag
ent(GIBCO BRL社製)を用い試薬会社の実験方法に従って
行った。抽出されたRNAは、エストロゲン受容体αの6
から8までのエクソン領域をプライマーペア(センス[AG
G GTG AAG AGT TTG TGT GC;1534-1543]およびアンチセ
ンス[AGG AAT GTG CTG AAG TGG AG;1918to1937])を用い
てワンステップRT−PCRキット(QIAGEN社製)で増幅し
た。同時に、各臓器において持続的に発現をしているマ
ウス-グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(mouse g
lyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase:mGAPDH)RNA
を内部コントロールとし、Maxim Biotec社製のプライマ
ーキットを用いて増幅した。
【0028】この結果、多くの場合、抗DNA抗体は、雌
のNZB/NZW F1マウスで出生から約4週齢を過ぎると顕性
化し、以降週齢を重ねる毎に抗体陽性率および陽性化後
のそれぞれの量の増強が成熟するに連れて認められる。
【0029】このとき、生後3日以内にコントロールオ
イルを投与した雌のNZB/NZW F1マウスの20匹の群であ
るコントロール群でもまた、同様の結果を得たが、エス
トラジオールを投与した20匹の雌のエストロゲン投与
群では、図2に示すように、抗体陽性率および陽性化後
のその量の増強の抑制が有意に確認できた。
【0030】また、7週齢以降のコントロール群の雌の
NZB/NZW F1マウスは、抗体量の増加に伴って順次死亡
し、抗体価の低いものが生存する状態となり、それ故、
マウスの数の変動による統計処理の信頼性の低下から提
示してはいないが、雌のNZB/NZW F1マウスの抗体価の平
均値は、エストロゲン投与群が雌のコントロール群を下
回っていた。
【0031】さらに、図1に示すように、雌のコントロ
ール群の生存率は、生後7ヶ月以降に低下し、12ヶ月
目には10%以下に到達する。一方、エストロゲン投与
群の生存率は、雌のコントロール群より4ヶ月遅い生後
11ヶ月以降に低下し、18ヶ月に至っても50%の生
存率を維持した。なお、図1に示すバーは、雌のエスト
ロゲン投与群およびコントロール群毎の匹数の平均を示
し、エラーバーは標準偏差を示す。
【0032】この結果、エストロゲンを投与した雌のNZ
B/NZW F1マウスの生存率は、明らかに雌のコントロール
群に比べて高く、さらに、基本的に発病しない雄のコン
トロールマウスであるNZB/NZW F1マウスの自然生存率と
ほぼ同等もしくはそれ以上の結果が示された。また、全
ての死亡したマウスにおいて腎機能障害の指標とされる
蛋白尿に関しては、エストロゲン投与群およびコントロ
ール群それぞれに共通して蛋白尿が250mg/dl以上に
なった後に3ヶ月以内に全て死亡している。
【0033】さらに、生殖可能週齢である8〜10週齢
の雌のNZB/NZW F1マウスにおける解剖では、エストロゲ
ン投与群とコントロール群との間に、子宮および卵巣の
重量に有意な差はなく、萎縮や異常形態は認められず、
病理学的所見も同様であった。
【0034】また、NZB/NZW F1マウスの各臓器における
エストロゲン受容体の発現は、RT-PCR法にて分析した結
果、図3に示すように、脳内、肝臓および脾臓に強く、
心臓、肺および子宮では検出限界以下であった。なお、
図3に示すGAPDHは、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水
素酵素(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)で
ある。
【0035】よって、エストロゲンが投与された雌のNZ
B/NZW F1マウスの各臓器におけるエストロゲン受容体の
mRNA発現やエストロゲン関連組織での病理学的所見にお
いてエストロゲン投与群とコントロール群に有意差が無
かったことから、この治療は生体にホルモン動態的な変
化を与えず安全である事が確認された。
【0036】上述したように、上記一実施の形態によれ
ば、全身性エリテマトーデスの発病は、女性(雌)の思春
期に最も多く、この発病の要因であるトリガーの一つと
してエストロゲンの関与が強く考えられている。一方、
全身性エリテマトーデスの動物モデルである雌のNZB/NZ
W F1マウスにおいても、エストロゲンの投与による病気
の増悪、去勢による発病の抑制などが報告されている。
【0037】ところが、これらエストロゲンの投与によ
る病気の増悪、去勢による発病の抑制などは、ともに多
因子性疾患と考えられており、病因が未だ明らかではな
い。遺伝子素因として感受性遺伝子の解明が進められて
いるが、この感受性遺伝子が抗原として関与しているの
か、あるいは免疫応答や免疫寛容の異常に関与している
のかは明らかではなく、また、環境因子でも強い疑い性
のある物質や生物について同定されていない。
【0038】そこで、第二の遺伝的素因としてエストロ
ゲンに誘発されるプロモータを持つ内在性レトロウイル
スなどの何らかの遺伝子が体細胞遺伝子中に存在し、こ
のエストロゲンに誘導された物質と、その固体の持つ生
体内の構成成分が類似している可能性に着目して、思春
期にエストロゲン産生量が増加し生後初めて認識される
物質が産生された時、その物質に対する抗体が産生され
生体内の自己構成成分と交叉反応を起こすことが病因の
一つと仮定した。すなわち、出生直後に短期間エストロ
ゲン刺激を行うことにより、病原物質を生体内で発現さ
せ免疫寛容を行わせることを目的としている。
【0039】ここで、今回使用したエストロゲンの投与
量は、ヒトにおける一般的使用量に順じており、10分
の1の20ng/gでは有用な所見が得られなかったが、エ
ストロゲン投与群がコントロール群と同様の過程をたど
ったことや、エストロゲンの投与により発病および病像
の進行の抑制が明らかであったにも関わらず、全ての致
死マウスにおいて死亡前、抗DNA抗体の抗体産生の増加
や、蛋白尿の増加が認められたことは、さらに高濃度な
エストロゲンを投与することが必要であることを示唆し
ており、濃度依存的に発病が抑制される可能性がある。
【0040】このことは、全身性エリテマトーデスの患
者において発病する前にエストロゲンが産生されてお
り、低濃度の持続的産生がなされ、月経にいたる思春期
以降に周期的に高濃度のエストロゲンが産生されること
により発病したと考えれば理論的に一致する。
【0041】同様に、低濃度のエストロゲンが産生され
ている男性では全身性エリテマトーデスの発病率が低
く、また、動物実験においては雄のNZB/NZW F1マウスに
高濃度のエストロゲンを暴露することにより発病するこ
とも裏付けとすることができる。おそらく、一定濃度以
上の異常なエストロゲンによりプロモータが刺激されて
病因物質である抗原の産生が始まる可能性があると考え
られる。
【0042】したがって、上述の実験では、全身性エリ
テマトーデスの動物モデルである雌のNZB/NZW F1マウス
の出生早期に一度のエストロゲンの投与を行うことによ
り、基本的に発病しない雄のNZB/NZW F1マウスと同等の
寿命を得ることができ、各臓器のエストロゲン受容体の
発現および生殖機能へ異常を来さなかったことから、新
生児への1回のエストロゲンの投与により、恒常性の維
持に不可欠なエストロゲン受容体の発現を低下させるこ
となく、生殖器の異常が発生することなく、成熟期以降
の全身性エリテマトーデスの発病を抑制および防止でき
るとともに、進行の抑制が可能となり、生存率を上昇で
きると考えられる。
【0043】さらに、遺伝子解析が進むことにより原因
遺伝子が解明され、出生前診断が可能となれば、全身性
エリテマトーデスのさらに選択的な治療法が増える可能
性がある。
【0044】なお、上記一実施の形態では、自己免疫疾
患であり、エストロゲンが病態の増悪に関与する疾患の
代表として全身性エリテマトーデスについて説明した
が、慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)、強
皮症(progressive systemic sclerosis;PPS)、多発筋/
皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis;PM/DM)、シェ
ーグレン症候群(Sjogen syndrome;SjS)、混合性結合組
織病(mixed connective tissue disease;MCTD)、結節
性多発動脈炎(polyarteritis nodosa;PN)、分裂病(schi
zophrenia)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、一型
糖尿病(type 1 diabetes mellitus)、乳癌(breast canc
er)あるいは子宮癌(uterine cancer)など、自己免疫疾
患およびエストロゲンが病態の増悪に関与する疾患の全
てに対応させて用いることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、自己免疫疾患が発病す
る前におけるエストロゲンを有効成分として含有した自
己免疫疾患発病抑制薬の投与で、自己免疫疾患の発病を
抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自己免疫疾患発病抑制薬を投与した際
の生存率を示すグラフである。
【図2】同上自己免疫疾患発病抑制薬を投与した際の抗
DNA抗体の滴定濃度を示すグラフである。
【図3】同上自己免疫疾患発病抑制薬およびコントロー
ルオイルを投与した際の各臓器の細胞内におけるmRNAの
発現を示すデータである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/00 A61P 25/00 29/00 101 29/00 101 35/00 35/00 37/06 37/06 C07J 1/00 C07J 1/00 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 DA09 MA01 MA04 ZA15 ZA81 ZA89 ZA96 ZB08 ZB15 ZB26 ZC35 4C091 AA01 BB03 BB04 BB07 CC01 DD01 EE04 FF01 GG01 HH01 JJ01 KK01 LL01 MM03 NN12 PA02 PA09 QQ01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エストロゲンを有効成分として含有する
    ことを特徴とした自己免疫疾患発病抑制薬。
  2. 【請求項2】 出生早期に投与されることを特徴とした
    請求項1記載の自己免疫疾患発病抑制薬。
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