JP2003241766A - 制振吸音構造体 - Google Patents

制振吸音構造体

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JP2003241766A
JP2003241766A JP2002044400A JP2002044400A JP2003241766A JP 2003241766 A JP2003241766 A JP 2003241766A JP 2002044400 A JP2002044400 A JP 2002044400A JP 2002044400 A JP2002044400 A JP 2002044400A JP 2003241766 A JP2003241766 A JP 2003241766A
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sound
absorbing structure
vibration damping
damping
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Koki Miyazono
亨樹 宮園
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量性、加工性に優れ、また制振性能、遮音
性能、吸音性能、特に低周波数域の吸音性能に優れた制
振吸音構造体を提供すること。 【解決手段】 圧電性材料を不織布の繊維間に分散させ
てなる制振吸音構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は制振吸音構造体に関
する。さらに詳しくは、制振性能、遮音性能、吸音性
能、特に低周波数域の吸音性能に優れ、かつ軽量性、加
工性に優れた制振吸音構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の科学技術の大きな進歩により、自
動車や鉄道、航空機などの輸送機器、土木・建築材料、
家電・OA機器などの電化製品などはより高性能とな
り、我々の生活は便利になった。しかしながら、一方
で、それらの製品から発せられる振動や騒音は、快適な
住環境を脅かすものとして、大きな社会問題として取り
上げられており、そこでこれら振動・あるいは騒音を低
減するために、通常、制振材あるいは吸音材などが用い
られている。
【0003】例えば、特開平8−241084号公報、
あるいは特開平10−247085号公報では、合成繊
維不織布からなる車両用の遮音構造体に関する技術が開
示されている。該技術によると、不織布の面密度や繊維
径を一定の大きさとなすことにより、確かに遮音性能の
優れた遮音材となすことが可能であるものの、遮音性能
を有しうるための面密度や繊維径の制御が困難であるほ
か、質量則に沿った遮音効果であるため、遮音性能が遮
音材の使用量に依存し、結果的に所望の遮音性能を付与
するためには多量の遮音材を用いる必要があり、特に、
軽量化が必須である車両用途などに用いるには過度の重
量あるいはスペースを占有してしまうおそれもあること
などから、製法・性能において満足できるものではなか
った。
【0004】また一方で、質量則に依存しない制振材料
として、圧電性を利用した制振メカニズムにより振動を
減衰させる技術について、例えば特公昭61−4649
8号公報、あるいは特開平6−85346号公報では、
高分子マトリクス中に圧電材料と導電材料が混合されて
なる制振材に関する技術が開示されている。該技術にお
いては、質量則によらず少量でも確かに大きな制振効果
が得られるものの、複合材料の形状あるいは比表面積な
どに大きく依存する吸音性能の向上に関する技術的指針
について、何も示されていない。さらにこれらに代わる
ものとして、特開2002−4130号公報において
は、熱可塑性樹脂を主成分とする繊維に外部エネルギー
を消費する成分を含んだエネルギー変換繊維体に関する
技術が開示されている。該技術においては確かにエネル
ギーを変換し消費する繊維として、その効果はあるもの
の、外部エネルギーに関し特に音に関するエネルギーに
ついては、繊維の集合体としての形状が吸音性能に非常
に敏感であるにもかかわらず、本質的に音を吸収するた
めの素材設計に関する技術的指針については何も示唆さ
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点を解消し、制振性能、遮音性能、吸音
性能、特に低周波数域の吸音性能に優れ、かつ軽量性、
加工性に優れた制振吸音構造体を提供すること、そして
制振吸音構造体を得るための簡便な製造方法を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、振動あるいは
騒音の低減化に関し、制振性能および遮音・吸音性能に
優れ、かつあらゆる場所での設置・使用が可能となるよ
う加工性にも優れた制振吸音構造体を得るために鋭意検
討を重ね、その中で、特定の物質を分散させた構造体と
なすことにより従来技術の欠点を解消でき、かつ更なる
メリットをも付与しうることを見いだし、本発明に到達
したものである。
【0007】すなわち本発明は、圧電性材料を不織布の
繊維間に分散させてなる制振吸音構造体を提供するもの
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は不織布からなる制振吸音
構造体である。本発明における不織布とは、繊維を均一
な厚みとなるように分散・堆積させてシート状物を作
り、繊維が脱落しないように機械的に絡み合わせたり、
化学的あるいは熱処理を行うなどの方法で結合点を作
り、形態安定性を持たせたシートあるいはマット状構造
を持つ布状の物質のことを指し、織物や編み物とは異な
る。この不織布となすことで、遮音効果が発現し、かつ
その遮音効果が優れたものとなる。
【0009】不織布を製造する方法としては特に制限さ
れるものではないものの、ウェブの形成方法、ボンディ
ング方法などから分類することができ、例えばウェブ形
成方法としては、カード法、エアレイ法、湿式法、メル
トブロー法、スパンボンド法、フラッシュ法、などが挙
げられ、またボンディング方法としては、例えば、ケミ
カルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、
ウォータージェットパンチ(スパンレース)法、スティ
ッチボンド法、フェルト法、などが挙げられ、これらウ
ェブの形成方法、ボンディング方法の様々な組み合わせ
により、多種多様な不織布を形成することができる。
【0010】また本発明における不織布を形成するため
に繊維を用いる必要がある。繊維とは、細長い形状を有
していることを意味し、細長い形状であれば特に制限さ
れることなく繊維と認識して採用でき、例えば従来の合
成繊維の製造で作られる、長繊維(フィラメント)、短
繊維(ステープル)などが代表的な形状として挙げられ
る。また、繊維の繊維直径に関しては特に制限されるも
のではないが、上記の通り、吸音性能は繊維の集合体と
しての形状に非常に敏感であり、また吸音効果は繊維と
空気との摩擦による熱損失効果であることから繊維の比
表面積が大きいほど吸音効果が大きくなるため、比表面
積がより大きくなって吸音性能が向上するという点で、
また制振吸音構造体の加工性がより向上するという点
で、繊維直径は0.01〜5000μmであることが好
ましく、より好ましくは0.1〜1000μmである。
また、繊維の断面形状についても特に制限されるもので
はなく、例えば丸形、多角形、多葉型、中空型などが挙
げられる。
【0011】また、本発明の制振吸音構造体を形成して
いる繊維材料に関しては、特に制限されるものではな
く、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、無機
繊維など、用途・目的に応じて様々なものを用いること
が可能であるものの、不織布形成における自由度や形状
安定性、および制振吸音構造体をさらに用途に応じて加
工する際の、加工の自由度が高い点などから、合成繊維
であることが好ましい。
【0012】以下に、好ましいと思われる合成繊維の具
体例を述べるが、言うまでもなく、本発明における繊維
を形成している材料がこれら合成繊維に制限されるもの
ではない。
【0013】本発明にて用いる合成繊維とは、特に限定
されるものではなく、汎用的に用いられる合成繊維の材
料として、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リオレフィン、ポリビニル系樹脂、フッ素系樹脂、セル
ロース系樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー、その他
多種多様なエンジニアリングプラスチックなどをそれぞ
れ挙げることができる。より具体的には、縮合型熱可塑
性樹脂として、カルボン酸とアルコールのエステル化反
応により形成されるポリエステルが挙げられ、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
トなどがあるほか、あるいは芳香族、脂肪族、脂環族な
どの1つの化合物がカルボン酸と水酸基を両方有したヒ
ドロキシカルボン酸化合物の単独重縮合体である、ポリ
乳酸、ポリ(3−ヒドロキシプロピオネート)、ポリ
(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシ
ブチレートバリレート)、といったポリヒドロキシカル
ボン酸が挙げられ、そのほかにも、本発明の主旨を損ね
ない範囲で他の芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸、
あるいは芳香族、脂肪族、脂環族ジオール成分が用いら
れていてもよく、あるいは第3、第4の共重合成分が共
重合されていても良い。
【0014】またカルボン酸あるいはカルボン酸クロリ
ドと、アミンの反応により形成されるポリアミドでは、
ナイロン6、ナイロン7、ナイロン9、ナイロン11、
ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイ
ロン6,9、ナイロン6,12、ナイロン5,7などが
挙げられるほか、本発明の主旨を損ねない範囲で他の芳
香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸と芳香族、脂肪族、
脂環族ジアミン成分が、あるいは芳香族、脂肪族、脂環
族などの1つの化合物がカルボン酸とアミノ基を両方有
したアミノカルボン酸化合物が単独で用いられていても
よく、あるいは第3、第4の共重合成分が共重合されて
いても良い。
【0015】その他に、アルコールと炭酸誘導体のエス
テル交換反応により形成されるポリカーボネート、カル
ボン酸無水物とジアミンの環化重縮合により形成される
ポリイミド、ジカルボン酸エステルとジアミンの反応に
より形成されるポリベンゾイミダゾール、そのほかにも
縮合型熱可塑性樹脂として、ポリスルホン、ポリエーテ
ル、ポリスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リエーテルケトンケトンなどが挙げられる。
【0016】また、上記の縮合型熱可塑性樹脂の他に、
ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合といった、
ビニル基を有したモノマーが付加重合反応によりポリマ
ーが生成する機構により合成される付加型熱可塑性樹脂
が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアク
リロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ
化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリシアン化ビニ
リデン、などが付加型熱可塑性樹脂として挙げられる
が、これらは、例えば、ポリエチレンのみ、あるいはポ
リプロピレンのみといった単独重合であっても良いし、
あるいは複数のモノマー共存下に重合反応を行うことで
形成される共重合反応であっても良く、例えば、スチレ
ンとメチルメタクリレート存在下での重合を行うと、ポ
リ(スチレン−メタクリレート)という共重合した付加
型熱可塑性樹脂が生成するが、このような共重合体であ
っても構わない。
【0017】さらに、上記の縮合型熱可塑性樹脂、付加
型熱可塑性樹脂のほかに、セルロース誘導体や、キチ
ン、キトサンの誘導体など、天然高分子由来の熱可塑性
樹脂を用いても良い。
【0018】そしてさらに、加工特性、製造方法、用途
に応じて、上記の各種合成樹脂からなる複数種の繊維を
混繊して用いてもよく、あるいは合成樹脂の熱的挙動や
粘性挙動、加工特性と向上させるために上記の各合成樹
脂を複数種混練した(ポリマブレンドした)ものであっ
ても良い。
【0019】本発明の制振吸音構造体には不織布の繊維
間に圧電性材料が分散されているが、後述するように、
本発明の制振吸音構造体が有する制振吸音性は、「圧電
性材料が振動あるいは音波により電気エネルギーを発生
し、該電気エネルギーがさらに熱エネルギーへと変換さ
れる」というメカニズムにより制振・吸音効果を発現す
る。該圧電性材料については特に制限されるものではな
く、無機圧電材料、有機圧電材料を問わず、用途あるい
は制振吸音構造体の構造にあわせて適宜採用することが
できる。これら無機圧電材料、有機圧電材料について、
より具体的に例示すると、例えば無機圧電材料に関して
は、チタン酸バリウム[BaTiO3;BT]系、チタ
ン酸鉛[PbTiO3;PT]系、チタン酸ジルコン酸
鉛[Pb(TiZr)O3;PZT]の2成分あるいは
3成分系、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛[Pb(T
iZrLa)O3;PLZT]の2成分あるいは3成分
系、LiNbO3系、LiTaO3系、などを基本ベース
とした3成分系または4成分系が好適に用いられ、3成
分系または4成分系の元素としては、Nb、Mg、N
i、Zn、Mn、Co、Sn、Fe、Cd、Sb、A
l、Yb、In、Sc、Y、Ta、Bi、W、Te、R
eなどが挙げられ、それぞれの各種固溶体変性体などが
用いられる。
【0020】また有機圧電材料に関しては、低分子材
料、高分子材料を問わず採用することができ、低分子の
有機圧電材料であれば、例えば、フタル酸エステル系化
合物、スルフェンアミド系化合物、フェノール骨格を有
する有機化合物、などが挙げられる。より具体的には、
フタル酸エステル系化合物としては、例えばジヘキシル
フタレール、ジオクチルフタレート、ジペンチルフタレ
ート、ジシクロヘキシルフタレート等を挙げることがで
き、またスルフェンアミド系化合物としては、例えば
N,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフ
ェンアミドなどを挙げることができる。
【0021】またフェノール骨格を有する有機化合物と
しては、分子中にフェノール基または式(1)で表わさ
れる炭化水素基で置換されたフェノール基を有するもの
である。
【0022】
【式1】 上記式(1)においてRは炭素数1〜4の炭化水素基で
あり、nは1〜3の整数である。該フェノール骨格を有
する化合物として具体的に挙げると、例えば、4,4’
−チオビス(3−メチル−6−ターシャリブチルフェノ
ール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−ターシ
ャリブチルフェノール);4,4’−チオビス(4−メ
チル−6−エチルフェノール);4,4’−チオビス
(4,6−ジターシャリブチルフェノール);4,4’
−メチレンビス(2,6−ジターシャリブチルフェノー
ル);4,4’−エチレンビス(2,6−ジターシャリ
ブチルフェノール);4,4’−プロピリデンビス(2
−メチル−6−ターシャリブチルフェノール);2,
2’−メチレンビス(4−エチル−6−ターシャリブチ
ルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル
−6−ターシャリブチルフェノール);4,4’−ブチ
リデンビス(3−メチル6−ターシャリブチルフェノー
ル);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジタ
ーシャリブチルフェノール);2,2’−メチレンビス
(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イ
ソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)およ
び2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘ
キシルフェノール)等を挙げることができる。そしてま
た、上記フェノール骨格を有する有機化合物以外にも、
低分子の有機圧電材料としては、強誘電性液晶(DOB
AMBC)などを挙げることができる。
【0023】また、高分子の有機圧電材料であれば、例
えば、ポリフッ化ビニリデン[PVDF]、あるいはポ
リ(フッ化ビニリデン−3フッ化エチレン)共重合体
[P(VDF−TrFE)]などのフッ化ビニリデン系
共重合体、ポリシアン化ビニリデン[PVDCN]ある
いはシアン化ビニリデン系共重合体、あるいはナイロン
9、ナイロン11などの奇数ナイロンや、芳香族ナイロ
ン、脂環族ナイロン、あるいはポリ乳酸やポリヒドロキ
シブチレートなどのポリヒドロキシカルボン酸、シアノ
エチル化セルロースなどのセルロース系誘導体、などが
挙げられる。
【0024】これら圧電性材料は、1種類を単独で採用
しても良く、あるいは所望の効果に応じて複数の圧電性
材料を組み合わせて採用しても良い。そして、これら圧
電性材料の中で、圧電性が高く、制振吸音材料を形成し
た際に高い制振・吸音効果が発現するという点、さらに
制振吸音材を形成している不織布の繊維間に分散させる
際に、取り扱いが簡便であるという点で、圧電性材料
は、無機材料および/または分子量1000以上の有機
材料であることが好ましい。
【0025】本発明の制振吸音構造体における圧電性材
料の添加量に関しては特に制限はなく、添加する圧電性
材料の圧電性能、あるいは目的とする制振・吸音性能に
応じて適宜含有量を決めればよいが、本発明の制振吸音
構造体を実際に使用する際に、より加工性を向上させ、
かつ効果的な制振・吸音性能を発揮させるという点で、
圧電性材料の添加量は0.1〜95重量%であることが
好ましく、より好ましくは1.0〜90重量%である。
【0026】本発明の制振吸音構造体における圧電性材
料の大きさに関しては特に制限はなく、添加する圧電材
の圧電性能、目的とする制振・吸音効果、制振吸音構造
体の製造方法に応じて適宜決めればよいが、制振吸音構
造体を形成する上で、圧電性材料がより均一に繊維間に
分散し、かつ圧電性材料の比表面積が大きく効果的な制
振・吸音性能を発揮させるという点で、圧電性材料は平
均粒径で0.01〜5000μmの粉粒体であることが
好ましく、より好ましくは0.01〜1000μmであ
る。なお、平均粒径を測定するときの粒径は、圧電性材
料の粒子の最大長を有する部分の長さを示すものであ
る。
【0027】本発明の制振吸音構造体は圧電性材料を含
有しており、制振・吸音効果を発現する際に、振動ある
いは音のエネルギーが圧電性材料により電気エネルギー
へと変換され、さらに該電気エネルギーが、圧電性材料
間のギャップによる電気抵抗、あるいは圧電性材料と繊
維とのギャップによる電気抵抗などにより消費され、熱
エネルギーへと変換されるといったメカニズムにより、
制振・吸音効果が発現する。つまり、圧電性材料を組み
込むことで、従来の不織布のみからなる制振吸音材では
成し得なかった、大きな制振・吸音効果と低周波数域に
おける特徴的な吸音性能が得られるものである。しか
し、制振吸音構造体の圧電性材料の分散状態、あるいは
制振吸音構造体の形成方法によっては、圧電性材料間の
ギャップが過度に大きく、すなわち電気抵抗が過度に大
きいために電気が流れず、電気エネルギーから熱エネル
ギーといったエネルギー変換がスムーズに行われず、十
分な制振・吸音効果が得られない場合もあり、そこでよ
り高い制振・吸音効果が得られるという点で、制振吸音
構造体には導電性材料が含有されていることが好まし
い。
【0028】該導電性材料については、特に制限される
ものではなく、通常用いられる導電性材料を、目的とす
る制振・吸音効果に応じて、あるいは不織布の製造方法
に応じて適宜採用でき、具体的には、例えば、カーボン
ブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維(V
GCF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン
などのカーボン系材料、鉄、アルミニウムなどの金属
類、酸化錫や酸化亜鉛、酸化鉄などといった酸化金属
類、ポリアセチレンやポリピロール、アイオノマーなど
の導電性高分子材料、などが挙げられる。そして該導電
性材料の添加量としては特に制限されるものではなく、
目的とする制振・吸音効果に応じて添加量を適宜決めれ
ばよいが、制振吸音構造体がより加工性に優れ、また電
気エネルギー→熱エネルギーといったエネルギー変換に
優れることでより高い制振・吸音効果が得られるという
点で、導電性材料の含有量は0.001〜20重量%で
あることが好ましく、0.1〜15重量%であることが
より好ましい。さらには、制振・吸音効果において、特
定の周波数の振動あるいは音波の低減を図るという場合
には、次式(2) R=1/ωC ・・・(2) ただし、R:導電性材料の抵抗値、ω:目的とする振動
あるいは音波の周波数、C:圧電性材料の静電容量 で表されるインピーダンス整合に沿って制振吸音構造体
中の圧電性材料の添加量、種類、導電性材料の添加量、
種類を構成することで、制振吸音構造体の制振・吸音効
果を増大させることが可能であるため、より好ましく、
このことにより、従来の制振・吸音材料では不可能であ
った1000Hz以下の一般的に低周波数域といわれる
音の吸音性能についても、飛躍的に増大する。
【0029】また、該導電性材料の大きさに関しては特
に制限はなく、添加する導電性材料の導電性能、目的と
する制振・吸音効果、に応じて適宜決めればよいが、制
振吸音構造体を形成する上で導電性材料がより均一に繊
維間に分散し、また導電性材料の比表面積が大きく効果
的な制振・吸音性能を発揮させるという点で、さらに制
振吸音構造体の加工性をより向上させるという点で、制
振吸音構造体中の導電性材料は平均粒径で0.01〜5
000μmの粉粒体であることが好ましく、0.01〜
1000μmの粉粒体であることがより好ましい。な
お、平均粒径を測定するときの粒径は、導電性材料の粒
子の最大長を有する部分の長さを示すものである。
【0030】本発明の制振吸音構造体は、発明の主旨を
損ねない範囲で艶消剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末
端基封止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0031】本発明の制振吸音構造体の製造方法として
は、前述の通り、特に制限されることなく、不織布を製
造する様々な手法を採用可能であり、ウェブ形成が終了
する以前の任意の工程段階、ウェブを形成しボンディン
グを施す以前の任意の工程段階、ボンディングを施し様
々な処理加工を施す以前の任意の段階、のいずれの段階
においても圧電性材料、あるいは必要に応じて前述の導
電性材料をあわせて分散させても構わないものの、圧電
性材料の分散が制振吸音構造体中に均一になされる点か
ら、ウェブ形成時に圧電性材料を添加する方法が好まし
い。また、圧電性材料を、あるいは必要に応じて前述の
導電性材料をあわせて添加する方法としては特に制限さ
れるものではなく、不織布の製造方法、圧電性材料や導
電性材料の性状に従って、それぞれでより効果的な添加
方法を採用すれば良く、例えば、ウェブ形成段階あるい
はウェブ形成後のボンディングを施す以前の任意の段
階、ボンディングを施し様々な処理加工を施す以前の任
意の段階、のいずれかの形成段階において圧電性材料や
導電性材料を気流あるいは液流によって吹き付ける方
法、あるいは圧電性材料を(あるいは必要に応じて前述
の導電性材料をあわせて)混合した液体溶媒中に不織布
を浸漬する方法、など様々な添加方法が採用可能である
ものの、圧電性材料の分散が均一になされ、かつ工程が
簡便であるなどの点から、ウェブ形成段階において圧電
性材料および導電性材料を吹き付けて不織布の繊維間に
圧電性材料を分散させる方法が好ましい。
【0032】また、本発明の圧電性材料が不織布の繊維
間に分散させて構成される制振吸音構造体自体の面密度
に関しては、特に制限されるものではなく、目的とする
遮音・吸音効果や用途に応じて適宜決定すればよいもの
の、より効果的な遮音・吸音効果が発現し、本発明の制
振吸音構造体を用途に応じて加工する際の加工性に優
れ、さらに軽量性に優れるという点から、面密度は10
〜5000g/m2であることが好ましく、より好まし
くは50〜4000g/m2である。
【0033】本発明の制振吸音構造体は、発明の主旨を
損ねない範囲で、通常用いられる不織布の様々な処理加
工方法を必要に応じて採用することができる。特に制限
されるものではないものの、例えば、艶付けプレス、エ
ンボスプレス、コンパクト加工、柔軟加工、ヒートセッ
ティングなどの物理的処理加工や、ボンディング加工、
ラミネート加工、コーティング加工、防汚加工、撥水加
工、帯電防止加工、防炎加工、防虫加工、衛生加工、泡
樹脂加工などの化学的処理加工や、その他にマイクロ波
応用や、超音波応用、遠赤外線応用、紫外線応用、低温
プラズマ応用などのハイテク技術の応用処理方法を挙げ
ることができる。
【0034】本発明により得られる制振吸音構造体は、
上記の理由により、制振・吸音効果を発現させるために
不織布としての繊維構造を利用することに加え、圧電効
果を利用することから、軽量性に優れ、あらゆる場所で
の設置・使用が可能となる。また不織布状であることか
ら所望の遮音・吸音性能が得られるよう様々な形状に加
工し得るなど加工性にも優れている。そして、振動ある
いは騒音の低減化に関し、制振性能・遮音性能・吸音性
能に非常に優れ、制振性能に関しては、前述の通り、さ
らに不織布の面密度を制御することでマス効果により制
振効果がより増大し、また吸音性能に関しては、繊維と
空気との摩擦による熱損失効果が発現し、不織布の繊維
径を制御することでより大きな吸音効果が発現するほ
か、不織布構造となすことで通気を制限し、遮音効果も
付加しうる。さらに、近年大きな社会問題となりつつあ
る低周波数域の吸音に関しては、必要に応じて、上記
(2)式のインピーダンス整合に沿った制振吸音構造体
の構成、圧電材の選択、適量添加および分散状態、導電
材を適量添加するなどの組成を最適化することで優れた
性能を具備し、結果的に本発明の制振吸音構造体は、自
動車、船舶、航空機、鉄道などの乗り物用途、あるいは
道路、線路、空港などの壁材や、家屋・建物の壁材など
土木建築用途に非常に好適である。
【0035】
【実施例】以下実施例により、本発明を具体的かつより
詳細に説明する。本発明は、繊維材料の1例としてポリ
エステルを取り上げ実施例を説明するが、当然ながら以
下の実施例に制限されるものではない。なお、実施例中
の物性値は以下の方法によって測定した。
【0036】A.面密度の測定 制振吸音構造体から1m×1mの試験片を5つ作成し、
得られた5つの試験片の重量の平均値を面密度とした。
【0037】B.吸音性能評価 JIS A1416に制定されている実験装置を用いて
制振・吸音特性を調べた。具体的には、図1に示す矩形
形状の試験用鋼板上に種々の材料からなる制振吸音材を
貼設したものを用意し、これらの透過損失実験を行うこ
とによって制振・吸音特性を評価した。この透過損失実
験で用いた図1の実験装置は、2つの残響箱1A,1B
とこれら2つの残響箱1A,1Bを区分し、かつ試験試
料を装着できる1つの隔壁2を持ち、片側の残響箱1A
には音源となるスピーカー3が装着されていると共に、
2つの残響箱1A,1Bのそれぞれに音圧を計測できる
音圧計4A,4Bが組み込まれているものとなってい
る。そして、透過損失TL(dB)は、この2つの音圧
計4A,4Bで計測された音圧値(dB)の差で算出さ
れ、具体的には、音圧計4Aで計測された音源(スピー
カー3)側の音圧値I(dB)と、音圧計4Bで計測さ
れた音源を持たない側の音圧値O(dB)によって、下
式(3)として与えられる。 TL(dB)=I(dB)−O(dB) ・・・(3) そしてこの測定により得られたTLのうち、周波数が1
00〜1000Hzの範囲のTL値を平均した値[TL
ave]で、TLaveが、下記の参考例1で得られた制振吸
音材のベース吸音性能値[TLbase]と比較したとき
に、下記式4で表されるXが0.5dB未満を×(吸音
性能向上が見られない)、0.5dB以上1dB未満が
△(吸音性能の向上がわずかに有り)、1dB以上3d
B未満が○(吸音性能が良好)、3dB以上が二重丸
(吸音性能が優れる)と評価した。 X(dB)=[TLave]−[TLbase] ・・・(4) C.不織布の繊維径、圧電性材料・導電性材料の平均粒
径確認 (株)日立製作所社製、走査型電子顕微鏡S−4000
を用いて、加速電圧5kVで、白金−パラジウム蒸着
(蒸着膜圧:25〜50オングストローム)処理を行っ
た後、倍率2000倍〜20000倍の間の任意の倍率
で確認した。
【0038】D.不織布の加工性評価 上記B.項での隔壁2に装着する試験試料を作成する際
に、成形性が優れ作成が容易であったものを○(優れ
る)、剛性があって試料が割れやすかったりするもの
の、試験試料が作成可能であるものを△(良い)、非常
に剛性が高く、試験試料の作成が不可能であるものは×
(劣る)とした。
【0039】参考例 常法により得られたポリエチレンテレフタレート(PE
T)を用いて、スパンボンド法によりポリエステル不織
布を得たのち試験試料を作成し、透過損失TLを測定し
[TLbase]を得た。ポリエステル不織布の繊維径及び
面密度を表1に示す。
【0040】
【表1】 実施例1 参考例と同様の不織布の製造方法において、不織布を形
成する際に、同時に、気流を用いて不織布の繊維間に圧
電性材料としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を40
重量%添加、分散させ、参考例と同じ面密度となるよう
に不織布を得たのち、参考例と同様の方法により[TL
ave]を得た。吸音性能向上度Xは1dB以上3dB未
満となり、良好な吸音効果を示した。また試験試料の成
形に際し、加工性も優れていた。繊維径及び面密度を表
1に示す。
【0041】実施例2 実施例1と同様の不織布の製造方法において、不織布を
形成する際に、同時に、気流を用いて不織布の繊維間に
圧電性材料としてPZTを40重量%、さらに導電性材
料としてカーボンブラック(CB)を8重量%添加、分
散させ、参考例と同じ面密度となるように不織布を得た
のち、参考例と同様の方法により[TL ave]を得た。
吸音性能向上度Xは3dB以上となり、優れた吸音効果
を示した。また試験試料の成形に際し、加工性も優れて
いた。繊維径及び面密度を表1に示す。
【0042】実施例3 常法により得られたPETを用いて、スパンボンド法に
よりポリエステル不織布を形成する際に、同時に、気流
を用いて不織布の繊維間に圧電性材料として平均分子量
が20000のポリフッ化ビニリデン(PVDF)粉体
を60重量%、さらに導電性材料としてケッチェンブラ
ック(KB)を10重量%添加、分散させ、不織布を得
たのち、参考例と同様の方法により[TLave]を得
た。吸音性能向上度Xは3dB以上となり、優れた吸音
効果を示した。また試験試料の成形に際し、加工性も優
れていた。繊維径及び面密度を表1に示す。
【0043】実施例4 常法により得られたナイロン6(以下Ny6)を用い
て、スパンボンド法によりNy6不織布を形成する際
に、同時に、気流を用いて不織布の繊維間に圧電性材料
としてPZTを0.1重量%、さらに導電性材料として
CBを8重量%添加、分散させ、不織布を得たのち、参
考例と同様の方法により[TLave]を得た。吸音性能
向上度Xは1dB以上3dB未満となり、良好な吸音効
果を示した。また試験試料の成形に際し、加工性は優れ
ていた。繊維径及び面密度を表1に示す。
【0044】実施例5 実施例4にて、PZTを95重量%添加した以外は実施
例4と同様の方法により[TLave]を得た。吸音性能
向上度Xは3dB以上となり、優れた吸音効果を示し
た。また試験試料の成形に際し、若干試験試料のひび割
れも見られたが加工性はおおむね良好であった。繊維径
及び面密度を表1に示す。
【0045】実施例6 実施例4にて、PZTを1.0重量%添加した以外は実
施例4と同様の方法により[TLave]を得た。吸音性
能向上度Xは3dB以上となり、優れた吸音効果を示し
た。また試験試料の成形に際し、加工性は優れていた。
繊維径及び面密度を表1に示す。結果的に、実施例4あ
るいは5と比較して、圧電性材料の添加量を最適化する
ことで、より吸音性能および加工特性の優れた制振吸音
構造体が得られた。
【0046】実施例7 実施例4にて、PZTを90重量%添加した以外は実施
例4と同様の方法により[TLave]を得た。吸音性能
向上度Xは3dB以上となり、優れた吸音効果を示し
た。また試験試料の成形に際し、加工性は優れていた。
繊維径及び面密度を表1に示す。結果的に、実施例4あ
るいは5と比較して、圧電性材料の添加量を最適化する
ことで、より吸音性能および加工特性の優れた制振吸音
構造体が得られた。
【0047】実施例8 常法により得られたポリプロピレン(以下PP)を用い
て、スパンボンド法によりPP不織布を形成する際に、
同時に、気流を用いて不織布の繊維間に圧電性材料とし
てチタン酸バリウム(BT)を60重量%添加、分散さ
せ、不織布を得たのち、参考例と同様の方法により[T
ave]を得た。吸音性能向上度Xは1dB以上3dB
未満となり、良好な吸音効果を示した。また試験試料の
成形に際し、加工性は優れていた。繊維径及び面密度を
表2に示す。
【0048】
【表2】 実施例9 実施例8にて、スパンボンド法によりPP不織布を形成
する際に、同時に、さらに導電性材料としてKBを0.
001重量%添加した以外は実施例8と同様の方法によ
り[TLave]を得た。吸音性能向上度Xは1dB以上
3dB未満となり、良好な吸音効果を示した。また試験
試料の成形に際し、加工性は優れていた。繊維径及び面
密度を表2に示す。
【0049】実施例10 実施例8にて、スパンボンド法によりPP不織布を形成
する際に、同時に、さらに導電性材料としてKBを0.
1重量%添加した以外は実施例8と同様の方法により
[TLave]を得た。吸音性能向上度Xは3dB以上と
なり、優れた吸音効果を示した。また試験試料の成形に
際し、加工性は優れていた。繊維径及び面密度を表2に
示す。結果的に、実施例8あるいは9と比較して、導電
性材料を添加し、さらにその添加量を最適化すること
で、より吸音性能の優れた制振吸音構造体が得られた。
【0050】実施例11 実施例8にて、スパンボンド法によりPP不織布を形成
する際に、同時に、さらに導電性材料としてKBを15
重量%添加した以外は実施例8と同様の方法により[T
ave]を得た。吸音性能向上度Xは3dB以上とな
り、優れた吸音効果を示した。また試験試料の成形に際
し、加工性は優れていた。繊維径及び面密度を表2に示
す。結果的に、実施例8あるいは9と比較して、導電性
材料を添加し、さらにその添加量を最適化することで、
より吸音性能の優れた制振吸音構造体が得られた。
【0051】実施例12 常法により得られたPETを用いて、エアレイ法により
ポリエチレンテレフタレート短繊維不織布を形成する際
に、同時に、気流を用いて不織布の繊維間に圧電性材料
としてPZTを1重量%、およびKBを0.5重量%そ
れぞれ添加、分散させ、面密度12g/m2の不織布を
得たのち、参考例と同様の方法により[TLave]を得
た。吸音性能向上度Xは0.5dB以上1dB未満とな
り、わずかながら吸音効果向上を示した。また試験試料
の成形に際し、非常に面密度が小さいことで剛性が低か
ったものの、加工性は概ね良好であった。繊維径及び面
密度を表2に示す。
【0052】実施例13 実施例12にて、エアレイ法によりポリエチレンテレフ
タレート短繊維不織布を形成する際に、PZTを20重
量%、およびKBを3重量%それぞれ添加し、さらに不
織布形成時の繊維量を増大させた以外は実施例12と同
様の方法により面密度5000g/m2の不織布を得た
のち、参考例と同様の方法により[TLa ve]を得た。
吸音性能向上度Xは3dB以上となり、良好な吸音効果
を示した。また試験試料の成形に際し、非常に面密度が
大きいことで剛性が過度に高かったものの、加工性は概
ね良好であった。繊維径及び面密度を表2に示す。
【0053】実施例14 実施例12にて、エアレイ法によりポリエチレンテレフ
タレート短繊維不織布を形成する際に、繊維量を増大し
た以外は実施例12と同様の方法により面密度15g/
2の不織布を得たのち、参考例と同様の方法により
[TLave]を得た。吸音性能向上度Xは3dB以上と
なり、優れた吸音効果を示した。また試験試料の成形に
際し、加工性は優れていた。繊維径及び面密度を表2に
示す。結果的に、実施例12あるいは13と比較して、
面密度を最適化することで、より性能の優れた制振吸音
構造体が得られた。
【0054】実施例15 実施例12にて、エアレイ法によりポリエチレンテレフ
タレート短繊維不織布を形成する際に、PZTを20重
量%、およびKBを3重量%それぞれ添加し、さらに不
織布形成時の繊維量を増大させた以外は実施例12と同
様の方法により面密度3600g/m2の不織布を得た
のち、参考例と同様の方法により[TLa ve]を得た。
吸音性能向上度Xは3dB以上となり、優れた吸音効果
を示した。また試験試料の成形に際し、加工性は優れて
いた。繊維径及び面密度を表2に示す。結果的に、実施
例12あるいは13と比較して、面密度を最適化するこ
とで、より性能の優れた制振吸音構造体が得られた。
【0055】
【発明の効果】本発明により得られる制振吸音構造体
は、繊維からなる不織布状であることから繊維と空気と
の摩擦による熱損失効果が発現し、繊維径、繊維密度と
いった不織布としての構造を制御することで大きな吸音
効果が発現することに加え、圧電効果を利用することか
ら、単位重量当たりの制振・吸音性能が非常に高く、使
用する際の軽量性に優れ、あらゆる場所での設置・使用
が可能となる。また、不織布構造であることから通気を
制限することで遮音効果をも有した所望の構造体などに
容易に加工しうるなど、加工性にも優れることに加え、
マス効果により音とは認知し得ない振動に対しても、制
振効果が増大しうる。そして、振動あるいは騒音の低減
化に関し、近年大きな社会問題となりつつある低周波数
域の吸音に関しては、圧電材の選択および適量添加、導
電材を適量添加するなどの組成を最適化することで、更
に優れた性能を具備し、結果的に本発明の制振吸音構造
体は、自動車、船舶、航空機、鉄道などの乗り物用途、
あるいは道路、線路、空港などの壁材や、家屋・建物の
壁材など土木建築用途、またあるいはその他カーテンや
カーペット、リノリュームなどの制振・吸音性能が必要
とされる用途に非常に好適であり、優れた制振・吸音効
果を発揮しうるのである。
【0056】また本発明の制振吸音構造体は、従来の合
成繊維の製造方法と類似した方法を採用できるという、
非常に簡便な方法で達成しうるため、生産という観点に
おいても大変好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸音・遮音性能評価を調べるために、
透過損失実験を行うために用いた実験装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
1A、1B 残響箱 2 試験試料を装着できる隔壁および試験試料 3 スピーカー 4A、4B 音圧計

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電性材料を不織布の繊維間に分散させて
    なる制振吸音構造体。
  2. 【請求項2】制振吸音構造体中における圧電性材料の添
    加量が0.1〜95重量%である、請求項1に記載の制
    振吸音構造体。
  3. 【請求項3】制振吸音構造体中における導電性材料が
    0.001〜20重量%の割合で分散されていることを
    特徴とする、請求項1または2に記載の制振吸音構造
    体。
  4. 【請求項4】圧電性材料が平均粒径で0.01〜500
    0μmの粉粒体であることを特徴とする、請求項1〜3
    のいずれか1項に記載の制振吸音構造体。
  5. 【請求項5】導電性材料が平均粒径で0.01〜500
    0μmの粉粒体であることを特徴とする、請求項3また
    は4に記載の制振吸音構造体。
  6. 【請求項6】不織布が合成繊維からなることを特徴とす
    る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の制振吸音構造
    体。
  7. 【請求項7】不織布の繊維径が0.01〜5000μm
    であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の制振吸音構造体。
  8. 【請求項8】制振吸音構造体自体の面密度が10〜50
    00g/m2であることを特徴とする、請求項1〜7の
    いずれか1項に記載の制振吸音構造体。
  9. 【請求項9】圧電性材料が、無機材料および/または分
    子量1000以上の有機材料であることを特徴とする、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の制振吸音構造体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007026653A1 (ja) 2005-08-29 2007-03-08 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. 制振材料およびその製造方法
WO2015005420A1 (ja) * 2013-07-10 2015-01-15 日本バルカー工業株式会社 圧電性シート、該シートの製造方法および圧電積層体

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