JP2003240945A - 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板および画像表示装置 - Google Patents

偏光子の製造方法、偏光子、偏光板および画像表示装置

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JP2003240945A
JP2003240945A JP2002036584A JP2002036584A JP2003240945A JP 2003240945 A JP2003240945 A JP 2003240945A JP 2002036584 A JP2002036584 A JP 2002036584A JP 2002036584 A JP2002036584 A JP 2002036584A JP 2003240945 A JP2003240945 A JP 2003240945A
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Japan
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boric acid
film
polarizer
polarizing plate
acid bath
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JP2002036584A
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Akihiro Nishida
昭博 西田
Seiji Kondo
誠司 近藤
Kazuyoshi Tsuchimoto
一喜 土本
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二色性色素で染色され、かつホウ酸処理され
た高偏光度のポリビニルアルコール系樹脂フィルムから
なる高偏光度の偏光子を、ネッキングによるフィルム幅
の狭小化を抑えながら製造する方法を提供すること。 【解決手段】 二色性色素を吸着させたポリビニルアル
コール系樹脂フィルムを、第一ホウ酸浴で浸漬処理した
後、続いて第一ホウ酸浴よりも温度の高い第二ホウ酸浴
中で1.1倍以上に延伸処理することを特徴とする偏光
子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光子の製造方法
および当該製造方法により得られた偏光子に関する。ま
た本発明は当該偏光子を用いた偏光板、さらには当該偏
光板を用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP
等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液晶表示装置等に用いる偏光子と
しては高い透過率と偏光度を兼ね備えていることから、
ヨウ素等の二色性色素で染色されたポリビニルアルコー
ル系樹脂フィルムが用いられている。また当該偏光子
は、通常、その片面または両面にトリアセチルセルロー
スフィルムなどの保護フィルムが貼合された偏光板とし
て用いられている。
【0003】前記染色されたポリビニルアルコール系樹
脂フィルム(偏光子)の偏光度を高める方法としては、
未延伸フィルムを乾式で一軸延伸したのち、二色性色素
で染色し、さらにホウ酸浴中にて特定の倍率に延伸する
方法が知られている(特開平11−49878号公報,
特開平10−288709号公報)。かかる製造方法に
よれば液晶表示装置等に要求される高いコントラストの
偏光子を得ることが可能である。しかし、前記製造方法
ではホウ酸浴中にて延伸する際に、ネッキングにより得
られるフィルムの幅が狭くなるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、二色性色素
で染色され、かつホウ酸処理された高偏光度のポリビニ
ルアルコール系樹脂フィルムからなる高偏光度の偏光子
を、ネッキングによるフィルム幅の狭小化を抑えながら
製造する方法を提供することを目的とする。また本発明
は当該製造方法によって得られた偏光子を提供するこ
と、当該偏光子を用いた偏光板、さらには当該偏光板を
用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す偏光子
の製造方法により前記目的を達成できることを見出し本
発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、二色性色素を吸着させ
たポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、第一ホウ酸
浴で浸漬処理した後、続いて第一ホウ酸浴よりも温度の
高い第二ホウ酸浴中で1.1倍以上に延伸処理すること
を特徴とする偏光子の製造方法、に関する。
【0007】前記偏光子の製造方法において、第一ホウ
酸浴の処理温度が30〜70℃であることが好ましい。
【0008】前記偏光子の製造方法において、第二ホウ
酸浴の処理温度が50〜80℃であることが好ましい。
【0009】前記偏光子の製造方法において、第一ホウ
酸浴および/または第二ホウ酸浴のホウ酸濃度が、ホウ
酸浴処理温度におけるホウ酸飽和溶解濃度の30%以上
であることが好ましい。
【0010】前記偏光子の製造方法において、二色性色
素を吸着させたポリビニルアルコール系樹脂フィルム
が、未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを乾式
で3〜6倍に一軸延伸処理した後に、二色性色素を吸着
させたものであることが好ましい。
【0011】上記本発明の偏光子の製造方法では、染色
されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにまず第一
ホウ酸浴で浸漬処理を行い、フィルムにある程度の架橋
を行ってから、第一ホウ酸浴よりも温度の高い第二ホウ
酸浴中で延伸している。これにより延伸時のネッキング
を極力抑えることができ、高偏光度で、広幅の偏光子を
製造することができる。
【0012】また本発明は前記製造方法により得られた
偏光子に関する。また、前記偏光子の少なくとも片面
に、透明保護層を設けた偏光板に関する。さらには本発
明は、前記偏光板を少なくとも1枚用いた画像表示装置
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の偏光子の製造には、二色
性色素を吸着させたポリビニルアルコール系樹脂フィル
ムが適用される。ポリビニルアルコール系樹脂フィルム
の材料には、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が
用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、
ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげ
られる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン
酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性した
ものがあげられる。ポリビニルアルコールの重合度は2
000〜10000程度、好ましくは重合度2000〜
5000、ケン化度は80〜100モル%程度のものが
一般に用いられる。
【0014】前記ポリビニルアルコール系樹脂フィルム
中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑
剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげら
れ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリ
ン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール等があげられる。可塑剤の使用量
は、特に制限されないがポリビニルアルコール系樹脂フ
ィルム中20重量%以下とするのが好適である。
【0015】二色性色素を吸着させたポリビニルアルコ
ール系樹脂フィルムの調製法は、特に制限されず、たと
えば、未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに一
軸延伸処理を施した後に、二色性色素による染色処理を
施す方法があげられる。前記一軸延伸処理方式は特に制
限さないが乾式方式が好ましい。また前記調製法として
は、未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを純水
等に膨潤させた後、染色処理を施す方法があげられる。
また、膨潤、染色にあたってはフィルムのシワを取るた
めに同時に延伸してもよい。前記例示の二色性色素を吸
着させたポリビニルアルコール系樹脂フィルムの調製
は、広幅化の点で、乾式一軸延伸処理後に、二色性色素
による染色処理を行う方法が好ましい。
【0016】未延伸ポリビニルアルコール系樹脂フィル
ムに対する前記一軸延伸処理の延伸倍率は3〜6倍程度
が好適である。通常、未延伸フィルムは30〜150μ
m程度のものが用いられる。延伸後のフィルムの厚さは
5〜40μm程度が好適である。延伸は多段で行うこと
もできる。乾式一軸延伸処理における延伸手段は、たと
えば、特許第1524033号、特許第2731813
号等に記載の方法や、乾燥オーブン内または外に設置さ
れたロール間で引張力を加えながら延伸する方法、加熱
ロールを用いて延伸する方法、テンター延伸機等を用い
て延伸する方法等のいずれもの方法も採用できる。前記
延伸手段において、未延伸フィルムは、通常、加熱状態
とされる。
【0017】二色性色素による染色処理は上記フィルム
にヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることによ
り行う。染色処理は、上記フィルムを染色溶液に浸漬す
ることにより一般に行われる。染色溶液としてはヨウ素
溶液が一般的である。ヨウ素溶液として用いられるヨウ
素水溶液は、ヨウ素の他に、溶解助剤として例えばヨウ
化カリウム等によりヨウ素イオンを含有させた水溶液な
どが用いられる。ヨウ素濃度は0.01〜0.5重量%
程度、好ましくは0.02〜0.4重量%であり、ヨウ
化カリウム濃度は0.01〜10重量%程度、さらには
0.02〜8重量%で用いるのが好ましい。
【0018】ヨウ素染色処理にあたり、ヨウ素溶液の温
度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃
である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好まし
くは20〜240秒間の範囲である。
【0019】次いで、染色処理された上記フィルムには
ホウ酸浴処理を施す。ホウ酸浴処理は、第一ホウ酸浴で
の浸漬処理後に、続いて第一ホウ酸浴よりも温度の高い
第二ホウ酸浴中で延伸処理を行う。
【0020】第一ホウ酸浴の処理温度は、架橋度の点か
ら30〜70℃が好ましく、50〜70℃がさらに好ま
しい。第一ホウ酸浴の処理時間は、通常、10〜800
秒間、好ましくは30〜500秒間程度である。また第
二ホウ酸浴の処理温度は、偏光度の向上の点から50〜
80℃が好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。第
二ホウ酸浴の処理時間は、通常、10〜800秒間、好
ましくは30〜500秒間程度である。また、第二ホウ
酸浴の処理温度は第一ホウ酸浴の処理温度よりも高けれ
ば特に制限はないが、第一ホウ酸浴の処理温度よりも1
0℃以上、さらには20℃以上高いのが好ましい。
【0021】第一ホウ酸浴処理および第二ホウ酸浴処理
にはホウ酸水溶液等が用いられるが、ホウ酸浴のホウ酸
濃度は、それぞれの処理温度におけるホウ酸飽和溶解濃
度の30%以上、さらには40%以上に調整するのが好
ましい。たとえば、ホウ酸浴の処理温度が70℃の場合
には、ホウ酸水溶液のホウ酸飽和溶解濃度は、13%で
あるため、ホウ酸浴のホウ酸濃度はその30%にあた
る、3.9%よりも高くなるように調整するのが好まし
い。ホウ酸浴のホウ酸濃度を前記範囲に調整すると水の
膨潤度を調整できる点で有利である。特に、第一ホウ酸
浴よりも第二ホウ酸浴のホウ酸濃度を高く設定するのが
第二ホウ酸浴を高温化できる点で好ましい。
【0022】ホウ酸水溶液等には、ヨウ化カリウムによ
りヨウ素イオンを含有させることができる。ヨウ化カリ
ウムを含有するホウ酸水溶液等は、着色の少ない偏光
子、即ち可視光のほぼ全波長域に亘って吸光度がほぼ一
定のいわゆるニュートラルグレーの偏光子を得ることが
できる。
【0023】前記第一ホウ酸浴処理は、前記染色処理さ
れたフィルムをホウ酸水溶液等へ浸漬することにより行
う。第一ホウ酸浴処理中で延伸することもできる。第二
ホウ酸浴処理では、延伸倍率が1.1倍以上になるよう
に延伸する。第二ホウ酸浴中での延伸倍率は高偏光度の
偏光子を得るには1. 1〜2倍に調整するのがより好ま
しい。前記ホウ酸浴中での湿潤延伸法としてはテンター
延伸方法、ロール間延伸方法等があげられる。延伸は多
段で行うこともできる。なお、第二ホウ酸浴での延伸処
理は、未延伸フィルムに対する延伸倍率がトータルで
5. 1〜6. 4倍程度になるように調整するのが好まし
い。
【0024】前記第二ホウ酸浴の処理後には、得られた
ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(偏光子)は、常
法に従って、純水により水洗処理、乾燥処理が行われ
る。
【0025】また、ヨウ素イオン含浸処理を施すことに
より、ホウ酸等の析出を防止して外観の良好な偏光子が
得られる。ヨウ素イオン含浸処理には、たとえば、ヨウ
化カリウム等によりヨウ素イオンを含有させた水溶液を
用いる。ヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程
度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。ヨウ素
イオン含浸処理にあたり、その水溶液の温度は、通常1
5〜60℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬
時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間
の範囲である。
【0026】得られた偏光子は、常法に従って、その少
なくとも片面に透明保護層を設けた偏光板とすることが
できる。透明保護層はポリマーによる塗布層として、ま
たはフィルムのラミネート層等として設ることができ
る。透明保護層を形成する、透明ポリマーまたはフィル
ム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性
や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるもの
が好ましく用いられる。前記透明保護層を形成する材料
としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエ
チレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢
酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリ
マー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマ
ー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合
体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネ
ート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構
造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重
合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポ
リマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリ
マー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエ
ーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケト
ン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、
ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマ
ー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマ
ー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマ
ー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明
保護層を形成するポリマーの例としてあげられる。
【0027】前記透明保護フィルムの偏光子を接着させ
ない面(前記塗布層を設けない面)には、ハードコート
層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないし
アンチグレアを目的とした処理を施したものであっても
よい。
【0028】ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防
止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル
系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による
硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルム
の表面に付加する方式などにて形成することができる。
反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に
施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形
成により達成することができる。また、スティッキング
防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0029】またアンチグレア処理は偏光板の表面で外
光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止
等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト
方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子
の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表
面に微細凹凸構造を付与することにより形成することが
できる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒
子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリ
カ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化イ
ンジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる
導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポ
リマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用い
られる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使
用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重
量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜
25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過
光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡
大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0030】なお、前記反射防止層、スティッキング防
止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルム
そのものに設けることができるほか、別途光学層として
透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
【0031】前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処
理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシ
アネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼ
ラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエス
テル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液から
なる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%
の固形分を含有してなる。
【0032】本発明の偏光板は、前記透明保護フィルム
と偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることによ
り製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光
子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り
合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接
着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わ
せは、ロールラミネーター等により行うことができる。
接着層の厚さは、特に制限されないが、通常0.1〜5
μm程度である。
【0033】本発明の偏光板は、実用に際して他の光学
層と積層した光学フィルムとして用いることができる。
その光学層については特に限定はないが、例えば反射板
や半透過板、位相差板(1/2 や1/4等の波長板を含
む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に
用いられることのある光学層を1層または2層以上用い
ることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板ま
たは半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または
半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてな
る楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フ
ィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光
板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好
ましい。
【0034】反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けた
もので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表
示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのもの
であり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶
表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反
射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して
偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式な
どの適宜な方式にて行うことができる。
【0035】反射型偏光板の具体例としては、必要に応
じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニ
ウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射
層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護
フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、
その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげ
られる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱
反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防
止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また
微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光及びその反射
光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制
しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面
微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成
は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、
スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適
宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法
などにより行うことができる。
【0036】反射板は前記の偏光板の透明保護フィルム
に直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じ
た適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなど
として用いることもできる。なお反射層は、通常、金属
からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板
等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の
低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護
層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0037】なお、半透過型偏光板は、上記において反
射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透
過型の反射層とすることにより得ることができる。半透
過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表
示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、
視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示
し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバ
ックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源
を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを
形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲
気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節
約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用い
て使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用で
ある。
【0038】偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕
円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を
楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏
光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向
を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直
線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える
位相差板としては、いわゆる1 /4 波長板(λ/4 板と
も言う)が用いられる。1 /2 波長板(λ/2 板とも言
う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用い
られる。
【0039】楕円偏光板はスーパーツイストネマチック
(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じ
た着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のな
い白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三
次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を
斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)するこ
とができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー
表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場
合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有す
る。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレ
フィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリ
マーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィ
ルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配
向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位
相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着
色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応
じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上
の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したも
のなどであってもよい。
【0040】また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板
は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せ
で積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射
型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液
晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっ
ても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学
フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に
優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点
がある。
【0041】視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面
を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合で
も、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるた
めのフィルムである。このような視角補償位相差板とし
ては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フ
ィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持し
たものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に
一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用
いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる
位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有す
るポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ
方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折
を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延
伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとして
は、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着し
て加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを
延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマー
を斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素
材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと
同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく
視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡
大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0042】また良視認の広い視野角を達成する点など
より、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液
晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリ
アセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相
差板が好ましく用いうる。
【0043】偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた
偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用
される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバッ
クライトや裏側からの反射などにより自然光が入射する
と所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射
し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィ
ルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光
源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると
共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射され
る。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後
ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フ
ィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態
の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の
増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給
して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図る
ことにより輝度を向上させうるものである。すなわち、
輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液
晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合に
は、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する
光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透
過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によって
も異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてし
まい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少
し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸
収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させ
ずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側
に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィ
ルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反
射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るよ
うな偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは
透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの
光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画
面を明るくすることができる。
【0044】前記の輝度向上フィルムとしては、例えば
誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィル
ムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過し
て他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液
晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム
基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいず
れか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示
すものなどの適宜なものを用いうる。
【0045】従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を
透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光
をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることによ
り、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過さ
せることができる。一方、コレステリック液晶層の如く
円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、その
まま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑
制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化し
て偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相
差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を
直線偏光に変換することができる。
【0046】可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板
として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡
色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他
の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板とし
て機能する位相差層とを重畳する方式などにより得るこ
とができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に
配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層から
なるものであってよい。
【0047】なお、コレステリック液晶層についても、
反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3
層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域
等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることが
でき、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得る
ことができる。
【0048】また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板
の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層し
たものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏
光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型
楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0049】偏光板に前記光学層を積層した光学フィル
ムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する
方式にても形成することができるが、予め積層して光学
フィルムとしたのものは、品質の安定性や組立作業等に
優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる
利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用い
うる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際
し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じ
て適宜な配置角度とすることができる。
【0050】前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1
層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部
材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着
層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアク
リル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、
ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系や
ゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適
宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘
着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性
と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優
れるものが好ましく用いうる。
【0051】また上記に加えて、吸湿による発泡現象や
剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や
液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる
液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐
熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0052】粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂
類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビー
ズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔
料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されること
の添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して
光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
【0053】偏光板や光学フィルムの片面又は両面への
粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例として
は、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独
物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその
組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘
着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜
な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設
する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を
形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着す
る方式などがあげられる。
【0054】粘着層は、異なる組成又は種類等のものの
重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設
けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や
光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等
の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目
的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜
500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に1
0〜100μmが好ましい。
【0055】粘着層の露出面に対しては、実用に供する
までの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着さ
れてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着
層に接触することを防止できる。セパレータとしては、
上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴ
ムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属
箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に
応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モ
リブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなど
の、従来に準じた適宜なものを用いうる。
【0056】なお本発明において、上記した偏光板を形
成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、ま
た粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系
化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾー
ル系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯
塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式
により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよ
い。
【0057】本発明の偏光板または光学フィルムは液晶
表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いること
ができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いう
る。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板
または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム
等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことな
どにより形成されるが、本発明においては本発明による
偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定
はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えば
TN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用
いうる。
【0058】液晶セルの片側又は両側に偏光板または光
学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムに
バックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な
液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発
明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又
は両側に設置することができる。両側に偏光板または光
学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても
よいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示
装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア
層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレ
イシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を
適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0059】次いで有機エレクトロルミネセンス装置
(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機
EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と
金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミ
ネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層
は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニ
ルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン
等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あ
るいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電
子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入
層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み
合わせをもった構成が知られている。
【0060】有機EL表示装置は、透明電極と金属電極
とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と
電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によっ
て生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍
光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原
理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般
のダイオードと同様であり、このことからも予想できる
ように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴
う強い非線形性を示す。
【0061】有機EL表示装置においては、有機発光層
での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透
明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(IT
O)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として
用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上
げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが
重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を
用いている。
【0062】このような構成の有機EL表示装置におい
て、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜
で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と
同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に
透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを
透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面
側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示
装置の表示面が鏡面のように見える。
【0063】電圧の印加によって発光する有機発光層の
表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面
側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス
発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表
面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光
板との間に位相差板を設けることができる。
【0064】位相差板および偏光板は、外部から入射し
て金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するた
め、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視
認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4
波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向の
なす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に
遮蔽することができる。
【0065】すなわち、この有機EL表示装置に入射す
る外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過す
る。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光とな
るが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と
位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏
光となる。
【0066】この円偏光は、透明基板、透明電極、有機
薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透
明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光
となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と
直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、
金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0067】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例をあげて
具体的に説明する。なお、各例中の%は重量%である。
【0068】実施例1 幅900mm、厚さ75μmのポリビニルアルコール系
樹脂フィルム(平均重合度2400、ケン化度99.9
%)を、105℃の熱ロールに接触させながら3.9倍
に一軸延伸を行った後、105℃の熱ロールで熱処理を
行い延伸フィルムを得た。次いで、この延伸フィルムを
ヨウ化カリウム濃度0.3%、ヨウ素濃度0.05%の
ヨウ素水溶液中に30℃で60秒間浸漬して染色した
後、40℃のホウ酸濃度6%のホウ酸水溶液(第一ホウ
酸浴)中に60秒間浸漬し、さらに70℃のホウ酸濃度
11%のホウ酸水溶液中(第二ホウ酸浴)で、1.3倍
に一軸延伸しながら60秒間浸漬した。その後、25℃
の純水にて15秒間水洗処理を行い、さらに30℃のヨ
ウ化カリウム濃度5%の水溶液に10秒間浸漬してか
ら、45℃で4分間乾燥して偏光子を得た。
【0069】実施例2 幅900mm、厚さ75μmのポリビニルアルコール系
樹脂フィルム(平均重合度2400、ケン化度99.9
%)を、105℃の熱ロールに接触させながら3.9倍
に一軸延伸を行った後、105℃の熱ロールで熱処理を
行い延伸フィルムを得た。次いで、この延伸フィルムを
ヨウ化カリウム濃度0.3%、ヨウ素濃度0.05%の
ヨウ素水溶液中に30℃で60秒間浸漬して染色した
後、50℃のホウ酸濃度8%のホウ酸水溶液(第一ホウ
酸浴)中に60秒間浸漬し、さらに70℃のホウ酸濃度
11%のホウ酸水溶液中(第二ホウ酸浴)で、1.3倍
に一軸延伸しながら60秒間浸漬した。その後、25℃
の純水にて15秒間水洗処理を行い、さらに30℃のヨ
ウ化カリウム濃度5%の水溶液に10秒間浸漬してか
ら、45℃で4分間乾燥して偏光子を得た。
【0070】比較例1 幅900mm、厚さ75μmのポリビニルアルコール系
樹脂フィルム(平均重合度2400、ケン化度99.9
%)を、105℃の熱ロールに接触させながら3.9倍
に一軸延伸を行った後、105℃の熱ロールで熱処理を
行い延伸フィルムを得た。次いで、この延伸フィルムを
ヨウ化カリウム濃度0.3%、ヨウ素濃度0.05%の
ヨウ素水溶液中に30℃で60秒間浸漬して染色した
後、70℃のホウ酸濃度11%のホウ酸水溶液(第一ホ
ウ酸浴)中に60秒間浸漬し、さらに70℃のホウ酸濃
度11%のホウ酸水溶液中(第二ホウ酸浴)で、1.3
倍に一軸延伸しながら60秒間浸漬した。その後、25
℃の純水にて15秒間水洗処理を行い、さらに30℃の
ヨウ化カリウム濃度5%の水溶液に10秒間浸漬してか
ら、45℃で4分間乾燥して偏光子を得た。
【0071】比較例2 幅900mm、厚さ75μmのポリビニルアルコール系
樹脂フィルム(平均重合度2400、ケン化度99.9
%)を、105℃の熱ロールに接触させながら3.9倍
に一軸延伸を行った後、105℃の熱ロールで熱処理を
行い延伸フィルムを得た。次いで、この延伸フィルムを
ヨウ化カリウム濃度0.3%、ヨウ素濃度0.05%の
ヨウ素水溶液中に30℃で60秒間浸漬して染色した
後、70℃のホウ酸濃度11%のホウ酸水溶液(第一ホ
ウ酸浴)中に60秒間浸漬し、さらに60℃のホウ酸濃
度8%のホウ酸水溶液中(第二ホウ酸浴)で、1.3倍
に一軸延伸しながら60秒間浸漬した。その後、25℃
の純水にて15秒間水洗処理を行い、さらに30℃のヨ
ウ化カリウム濃度5%の水溶液に10秒間浸漬してか
ら、45℃で4分間乾燥して偏光子を得た。
【0072】実施例および比較例で得られた偏光子につ
いて、フィルム幅を測定した。また、得られた偏光子に
ついて、単体透過率および偏光度を(株)村上色彩技術
研究所製の積分球式光透過率測定器DOT−3Cにより
測定した。結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 29:04 C08L 29:04 (72)発明者 土本 一喜 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB43 BB62 BC01 BC03 BC10 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA50X FA50Z FB02 FB06 FC08 FC21 LA12 4F073 AA05 AA14 AA15 BA17 BA46 BB01 EA01 EA11 EA38 EA52 EA75 EA76 4F210 AA19 AC03 AE10 AG01 AH73 AR06 AR12 AR20 QA03 QC02 QD01 QD06 QD13 QG01 QG18 QM02 QM03 QW17

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二色性色素を吸着させたポリビニルアル
    コール系樹脂フィルムを、第一ホウ酸浴で浸漬処理した
    後、続いて第一ホウ酸浴よりも温度の高い第二ホウ酸浴
    中で1.1倍以上に延伸処理することを特徴とする偏光
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】 第一ホウ酸浴の処理温度が30〜70℃
    であることを特徴とする請求項1記載の偏光子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 第二ホウ酸浴の処理温度が50〜80℃
    であることを特徴とする請求項1または2記載の偏光子
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 第一ホウ酸浴および/または第二ホウ酸
    浴のホウ酸濃度が、ホウ酸浴処理温度におけるホウ酸飽
    和溶解濃度の30%以上であることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
  5. 【請求項5】 二色性色素を吸着させたポリビニルアル
    コール系樹脂フィルムが、未延伸ポリビニルアルコール
    系樹脂フィルムを乾式で3〜6倍に一軸延伸処理した後
    に、二色性色素を吸着させたものであることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の偏光子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の偏光子
    の製造方法により得られた偏光子。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の偏光子の少なくとも片面
    に、透明保護層を設けた偏光板。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の偏光板を少なくとも1枚
    用いた画像表示装置。
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