JP2003236643A - 金属の造塊方法 - Google Patents
金属の造塊方法Info
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Abstract
よびザク欠陥の発生の極めて少ない金属鋳塊を得ること
のできる造塊方法の提供。 【解決手段】鋳型1の上部に金属製の押し湯枠2を設
け、前記押し湯枠の上端部まで溶湯を注入することによ
り、押し湯枠上端部2a近傍の溶湯を凝固させて鋳塊4
の内部に未凝固の溶湯3が存在する状態で鋳塊を閉塞
し、その後、鋳塊を鋳型から取り出し、鋳型内相当位置
4bおよび押し湯枠内相当位置4aの鋳塊内部に未凝固
の溶湯が存在する時期に、鋳塊の下端部4cから上端部
4eに向けて、順次、鋳塊側面4dを圧下する金属の造
塊方法。鋳塊は横倒しにした状態で、その側面を圧下す
るのが好ましい。
Description
欠陥の極めて少ない、炭素鋼、低合金鋼、ステンレス
鋼、Ni基超合金等の金属鋳塊の製造方法に関する。
片の製造では、連続鋳造法による鋳片の製造が主流であ
り、その適用比率は90%を超えるまでに達している
が、なお、小ロット品や、Ni基超合金で代表されるよ
うな連続鋳造が難しい金属の鋳塊の製造では、造塊方法
が用いられている。通常、造塊方法により製造された鋳
塊の内部には、V偏析、逆V偏析といった溶質成分のマ
クロ偏析や粗大なポロシティの集まりであるザク欠陥が
存在する。これらのマクロ偏析やザク欠陥は、次のよう
にして形成される。すなわち、鋳片が外表面から順次凝
固しつつ、内部に残された溶湯が凝固するときに凝固収
縮が生じ、その収縮分によりポロシティまたはザク欠陥
が形成される。さらに、これらの収縮孔を埋めようとし
てデンドライト樹間に存在する、溶質成分のミクロ偏析
した溶湯が流入して集積することによりマクロ偏析が形
成される。
間圧延を経て、製品まで加工される。これらの加工工程
を経る間に、素材の断面積が縮小すると同時に、マクロ
偏析やザク欠陥も縮小する。鋳塊の段階でこれらの欠陥
が粗大な場合は、後の加工工程でも十分に縮小せずに、
製造上および製品品質上の両面で問題となる。
鋼におては、マクロ偏析に起因する粗大なカーバイドが
存在すると、鍛造または圧延加工時にその部分が割れの
起点となり、熱間加工性の著しい低下を招く。また、製
品に偏析が残存すると、機械的性能を低下させる原因と
なる。さらに、ステンレス鋼およびNi基超合金におい
て、製品に偏析が残存すると、機械的性質の劣化のみな
らず、耐食性の低下をも招く。
残存すると、機械的性質を低下させる原因となる。例え
ば、高合金や超合金のシームレス油井管の製造工程にお
いて、ビレット加工後、中心部にザク欠陥に起因するポ
ロシティが残存すると、機械的性質の低下のみならず、
穿孔製管時にパイプの内面疵発生の原因ともなりやす
い。
欠陥を防止または抑制するためには、Ni基超合金の鋳
塊製造法に代表されるように、ESRやVARなどの再
溶解凝固法が最も適している。しかし、これらの再溶解
凝固法では、対象とする金属を溶解するための電極の鋳
造、およびその電極の再溶解と、少なくとも二回の造塊
工程を経る必要があるために、造塊方法に比較して、著
しく製造コストが高くなる。また、従来から、鋳塊の内
部欠陥を低減するために、鋳型形状の変更などが実施さ
れている。しかし、鋳型形状の変更だけでは、前述のマ
クロ偏析やザク欠陥を防止することは困難である。
は、凝固の進行中に鋼塊側面を加圧することにより、鋼
塊押湯部の未凝固溶湯が鋼塊本体に補給されないように
し、マクロ偏析を防止する鋼塊製造方法が開示されてい
る。ここで開示された方法は、鋼塊の凝固収縮量に応じ
て鋼塊を厚さ方向に圧下する方法である。しかし、この
方法では、圧下量が小さいため、マクロ偏析を確実に低
減させるには不十分である。まして、数十mmという空隙
をともなうこともあるザク欠陥を解消することは困難で
ある。また、押湯部は保温剤により保温されているの
で、押湯部の溶融スラグや溶質成分の濃化した溶鋼の一
部が凝固相に巻き込まれる可能性もある。
ク欠陥を解消するためには、鋳塊の内部が未凝固の段階
で、凝固収縮を上回る大きな変形を付与することが効果
的である。しかし、鋳塊が未凝固の段階で大きな圧下を
与える場合には、以下のような解決すべき問題点があ
る。
させると、鋳塊上端部の溶湯面(以下「湯面」ともい
う)で凝固した金属が湯面上に浮遊している溶融スラグ
をトラップして溶湯内へ沈降していき、凝固が進むにつ
れて鋳塊内部に留まる。トラップされた溶融スラグは鋳
塊内部で凝固して非金属介在物となり、鋳塊を熱間加工
する際に割れの起点となったり製品上の欠陥となる。 2)未凝固状態で圧下することによって凝固界面が圧着
すると、その間に存在した溶湯は圧下部以外の領域に排
出される。通常、凝固界面近傍では樹枝状の凝固相が形
成されており、樹間には溶質成分のミクロ偏析した溶湯
が存在している。圧下にともない、これらのミクロ偏析
を伴った溶湯は未凝固液相中に絞り出され、液相中の溶
質成分の著しい濃化をもたらす。
題点を解消し、非金属介在物の巻き込み、マクロ偏析の
発生およびザク欠陥の発生の極めて少ない鋳塊を得るこ
とのできる造塊方法を提供することにある。
題を達成するため、従来技術の問題点について検討を加
え、以下の知見を得た。
は、鋳塊上部に押し湯枠を設け、押し湯枠上端部近傍を
積極的に凝固させて閉塞した後、鋳塊内部および押し湯
内部が未凝固の状態で、鋳塊の下端部から上端部に向け
て、順次、鋳塊側面を圧下して(以下「未凝固圧下」と
もいう)、鋳塊上端部までを圧潰し、さらに、鋳塊の凝
固後に押し湯部を切り離す方法が適切である。
塊内部への溶融スラグの巻き込みや沈降に起因する非金
属介在物の生成を防止できるとともに、未凝固圧下によ
り排出された溶質成分の濃化した溶湯は、鋳塊下端部か
ら上端部に向けて順次しごき出されて、押し湯内に集積
する。鋳塊の凝固後に、この押し湯部を切り離すことに
より、液相中の溶質成分の濃化によるマクロ偏析の問題
は解消される。
作を行うためには、圧下箇所を鋳塊に沿って上下に移動
できる圧下装置、または鋳塊を上下に昇降できる装置が
必要であり、設備が大掛かりで複雑なものとなる。
完全に凝固した後の鋳塊の加工と同様に、鋳塊を水平に
保持し、鋳塊の側面を、その下端部から上端部に向けて
水平方向に圧延あるいは鍛造により圧下する方法が簡便
であり、しかも、既存設備をそのまま使用できる利点も
ある。 e)上記a)のように、押し湯枠上端部近傍を積極的に
凝固させて閉塞させれば、内部が未凝固の鋳塊を傾倒す
る場合にも、鋳塊の上端部からの溶湯の漏出や、鋳塊上
端部に存在する溶融スラグの鋳塊揺動による鋳塊内部へ
の巻き込みなどの問題が発生せず、したがって、上記
d)に示された方法を実施できる。本発明は、上記の知
見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記
に示す方法にある。
け、前記押し湯枠の上端部まで溶湯を注入することによ
り、押し湯枠上端部近傍の溶湯を凝固させることで鋳塊
の内部に未凝固の溶湯が存在する状態で鋳塊を閉塞し、
その後、鋳塊を鋳型から取り出し、鋳型内相当位置およ
び押し湯枠内相当位置の鋳塊内部に未凝固の溶湯が存在
する時期に、鋳塊の下端部から上端部に向けて、順次、
鋳塊の側面を圧下する金属の造塊方法。
鋳塊を横倒しにした状態で、鋳塊の側面を鋳塊の下端部
から上端部に向けて圧下する前記(1)に記載の金属の
造塊方法。
詳細に説明する。
とは、鋳塊の内部に未凝固部分が存在する状態で鋳塊を
圧下するにともなって排出される、溶質成分の濃化した
溶湯を集積するために、鋳塊の上端部に設置する溶湯の
保持部をいう。従来、鋳塊に溶湯の静圧を与え、鋳塊の
凝固による収縮分の溶湯を補うために設けられた押し湯
とは設置目的および機能を異にする。溶質成分の濃化集
積した押し湯の部分は、鋳塊が完全に凝固した後に、鋳
塊から切り離されるので、溶質成分の濃化した溶湯が鋳
塊の内部の残ることはない。 (2)押し湯枠: 材質:本発明で規定する「金属製の押し湯枠」とは、炭
素鋼や低合金鋼による鋳鋼、鋳鉄、および鋳塊の溶湯に
より溶融せず、また、鋳塊を汚染しない種類の金属によ
り構成される押し湯枠をいう。金属製としたのは、前記
のとおり、押し湯枠上端近傍の冷却を促進し、溶湯を積
極的に凝固させて鋳塊の上端部を閉塞させるためには熱
伝導率の高い材質のものが必要だからである。 形状:押し湯枠は鋳型の上部に配置され、押し湯部の溶
湯と接触して溶湯を冷却する機能を有するものであるか
ら、その形状は以下のようなものが好ましい。
の内面形状に合わせるのが好ましい。例えば、鋳型の水
平断面形状が長方形の場合には、押し湯枠の水平断面も
長方形とし、鋳型の水平断面形状が円形の場合には、押
し湯枠の水平断面形状も円形とし、鋳型の水平断面形状
が多角形の場合には、押し湯枠の水平断面形状も多角形
とするのが好ましい。押し湯枠の水平断面の大きさは、
押し湯枠の高さ方向で上部ほど小さくするのが好まし
い。その理由は、後述するとおり、押し湯枠内に満たさ
れる溶湯の形状が円錐台形状または角錐台形状となり、
溶湯の体積当たりの冷却面積を大きくできるからであ
る。
好ましい。鋳塊の凝固中に発生するガスを大気中へ放散
し、鋳型内のガス圧力の上昇を防止するためである。開
口部の大きさは、鋳造された鋳塊本体に未凝固の溶湯が
存在する間に、押し湯枠の上端部の溶湯が凝固して閉塞
するように極力小さくするのが望ましい。
離すため、極力小さくするのが望ましいが、鋳塊本体の
容積の5〜15%とするのが好ましい。15%を超える
と、切り離す部分の割合が多くなり、歩留まりロスが大
きくなる。一方、5%未満では、鋳塊の側面を圧下する
ことにより排出された溶湯を吸収できる容積が過小とな
るからである。押し湯枠の高さ、および鉛直線に対する
側面の傾斜角度は、前記の押し湯を収容できるよう容積
を確保した上で、最良の形状となるよう決定すればよ
い。
注入した際に、熱間強度と剛性を維持できる厚さであれ
ばよい。
鍛造または圧延などで加工された金属板を溶接またはボ
ルト絞めなどにより組み立てたものであってもよい。
せて鋳塊を閉塞:押し湯枠上端部近傍の溶湯を積極的に
凝固させて鋳塊を閉塞させることにより、鋳塊の揺動
時、傾倒時、あるいは未凝固圧下時の溶鋼の漏れを防止
することができるとともに、鋳塊内部への溶融スラグの
巻き込みや沈降に起因する非金属介在物の生成を防止す
ることができる。
の被覆材などが溶融スラグの状態で鋳塊上端部の溶湯面
に層を成して存在しており、凝固相最前面で凝固殻が形
成される時期に鋳塊を揺動させると、凝固殻に溶融スラ
グが固着あるいは、巻き込み内包されて、未凝固の溶湯
内へと落下する。
置時に上端部の溶湯面を凝固させることにより、その後
の鋳塊の揺動時に、上記のような好ましくない現象の生
じるのを防止することができる。したがって、凝固が十
分に進んだ段階で、傾倒や未凝固圧下を行う場合に揺動
が加わっても、未凝固溶湯内への介在物の落下による持
ち込みを抑制することができる。
鋳塊側面を圧下:未凝固圧下により、溶質成分の濃化し
た溶湯は非圧下部の未凝固相内に排出される。鋳塊下端
部から鋳塊側面の圧下を開始すると、溶質成分の濃化し
た溶湯は鋳塊下端部から排出され、上部の未凝固相の領
域向かって移動する。鋳塊の下端部から上端部に向かっ
て、順次、鋳塊側面を圧下することにより、溶質成分の
濃化した溶湯は鋳塊上端部まで移動し、最終的には、押
し湯内の未凝固領域に集積する。
凝固した後に切り離すことにより、鋳塊には溶質の濃化
した部分は残存しなくなり、成分偏析の問題は解消され
る。
面の圧下を開始すると、圧下位置よりも鋳塊下端側の残
存溶湯も溶質成分が濃化し、圧下位置よりも下端側の鋳
塊内に閉じ込められてしまう結果、鋳塊内部に著しいマ
クロ偏析として残ることになる。
よびザク欠陥の発生を防止する上で重要である。
した場合は鉛直断面)が長方形の場合には、鋳塊内部の
未凝固溶湯部分の断面の厚さの50%以上とすることが
好ましく、鋳塊の横断面が円形の場合には、未凝固溶湯
部分の断面の直径の50%以上とすることが好ましい。
また、鋳塊の横断面が多角形の場合には、未凝固溶湯部
分の横断面形状を円形に近似して、横断面形状が円形の
場合と同様に、断面の直径の50%以上とすることが好
ましい。圧下量が50%未満では、圧下後に多量の溶湯
が残存し、その溶湯が完全に凝固する際にマクロ偏析や
ザク欠陥が発生するからである。
たは直径をこえても構わない。未凝固溶湯が固液共存相
から完全に排出され、さらに凝固殻同士が圧着されて塑
性変形するからである。
当位置の鋳塊内部に未凝固溶湯が存在する時期:溶質成
分の濃化した溶湯を、鋳塊側面の圧下による溶湯の流動
により排出させるとともに、鋳塊の上端部に向かって移
動させ、さらに押し湯枠内の鋳塊内部に集積させるため
には、鋳型内および押し湯枠内の鋳塊内部に未凝固溶湯
の存在する必要がある。また、ザク欠陥の発生を防止す
る観点からも同様に、鋳型内および押し湯枠内の鋳塊内
部に未凝固溶湯の存在する必要がある。未凝固溶湯の存
在領域は、溶湯注入後の時間の経過とともに縮小してい
くが、これらの関係は、造塊する金属の種類、溶湯の注
入温度、鋳型の形状、鋳型のサイズ、鋳型構成金属の種
類、押し湯の形状、押し湯のサイズ、および押し湯構成
金属などにより影響を受ける。
固溶湯が存在する時期は、上記の実績を整理することに
より把握されるため、それらに基づいて求めればよい。
また、放射性同位元素などを溶湯にトレーサーとして添
加し、その挙動を観測することによりリアルタイムで把
握することもできる。さらには、鋳塊内の溶湯の流動お
よび凝固過程を伝熱計算により解析し、未凝固溶湯の存
在領域および存在時期を推算により求めることもでき
る。
50mm、高さが2000mmの逆錐形の鋳型の上端部
に鋳鋼製の押し湯枠を設置し、質量%で、C:0.2%
の13%Cr鋼の溶鋼を下注ぎ法により造塊した。
に溶鋼を鋳造した後、内部に未凝固の溶鋼が存在する状
態で閉塞凝固させた鋳塊の縦断面の概略図である。
の上端部と接する押し湯枠下端部2cの内径が980m
m、押し湯枠上端部2aの内径が200mmの円錐台形
状で、肉厚は40mmとした。この押し湯枠を、その下
端部が鋳型内面に内接するように設置して固定した。な
お、鋳型に押し湯枠を設置した状態での合計の高さは2
450mmであった。
aであり、押し湯枠の下端部と鋳型との当接位置よりも
下部の鋳型内領域は鋳型内相当位置4bである。
れた溶鋼の上部自由表面が押し湯枠の水準に到達した
後、溶鋼は、その自由表面の面積を減少しつつ押し湯枠
の側面との接触面積を増加していくので、溶鋼の体積当
たりの冷却面積は増加し、押し湯枠上端部に近づくにつ
れて、溶鋼の凝固速度は速くなる。凝固は、鋳型および
押し湯枠と溶鋼との接触部分からそれぞれ優先的に開始
し、凝固殻5を生成して、その厚さを増加していく。鋳
型内の鋳塊4の内部および押し湯部内には未凝固溶鋼3
が存在している。
ほど、鋳塊内部に未凝固溶鋼を残した状態で押し湯枠上
端部近傍の溶鋼が凝固する、いわゆる閉塞凝固は早期に
起こりやすい。しかし、鋳造中に発生するガスを抜くた
めには開口部が必要であり、本試験では内径200mm
の押し湯枠開口部2bを設けた。鋳造された溶鋼の押し
湯枠上端部近傍の早期凝固を促進させるためには、この
程度の大きさの開口部で充分であった。
であり、鋳型内相当位置の下端部は鋳塊下端部4cであ
る。
鋳塊を抜き、鋳塊を横倒しとした。このときの未凝固部
分の直径は、押し湯上端部を閉塞せずに鋳塊を横倒しし
て溶鋼を排出する溶鋼排出試験および伝熱計算により、
290mmと推定された。
面の圧下方法の実施例を示す図である。
鍛造機に搬送し、鋳塊側面4dを上下方向(鉛直方向)
から圧下した。圧下開始の時期は溶鋼注入完了から約2
00分経過した時点であった。前記したのと同様の方法
により、鋳型内相当位置の鋳塊4bには外側に凝固殻5
が、その内部に未凝固部3が存在すること、そして、押
し湯枠内相当位置の鋳塊4aすなわち押し湯部には、凝
固部4fの内部に未凝固部3aが存在することを確認し
た。未凝固部の存在状況は、以下のように推定された。
ら500〜2350mm。
把持し、鋳塊をその上端部から下端部の方向に移動させ
ながら、鍛造機に取り付けられた圧下金具7により、鋳
塊を繰り返し圧下することにより、鋳塊下端部4cから
鋳塊上端部4eに向けて、順次、その全長を圧下した。
ここで、マニピュレータによる鋳塊の把持部分と押し湯
部は圧下領域から除外した。
手方向(鋳塊の直立時には鋳塊の高さ方向)には400
mm、鋳塊の直径方向には1100mmの長方形断面の
ものを用いた。また、圧下力は最大で3000tonに
設定した。
果を確認するために、圧下能力の最大値に近い300m
mから始め、順次減少させた。鋳塊下端部から上端部ま
での圧下所要時間は2分以内とした。鋳塊の長手方向に
同一条件の圧下を与えるためには、鋳塊の圧下中におけ
る凝固の進行をできる限り抑え、鋳塊の圧下に要する時
間を極力短くするのが好ましいとの観点からである。
た。表1に試験条件および試験結果を示す。
0mm、同番号2では200mm、同番号3では100
mmとした。比較例の試験番号4〜6では、圧下の開始
位置のみを変更し、その他の条件は試験番号1〜3とそ
れぞれ同一とした。比較例の試験番号7〜9では、押し
湯枠を通常のアルミナ−シリカ系の耐火物とし、それ以
外の条件は、試験番号1〜3とそれぞれ同一とした。
の溶鋼は鋳塊内部に未凝固の溶鋼の存在する時期には凝
固せず、押し湯部は閉鎖されないため、鋳塊を横倒しす
ると未凝固の溶鋼が吐出する。そこで、鋳型から鋳塊を
吊り出した後、鋳塊を懸垂した状態で、その側面を横方
向(水平方向)から圧下した。比較例の試験番号10
は、試験番号1と同じ条件で鋳造を行ったが、鋳塊側面
の圧下は行わなかった。
後、鋳塊の中心軸を含む面で切断し、その縦断面から、
縦50cm、幅20cm、厚さ2cmのマクロ試験板を
鋳塊の縦方向に4枚切り出してマクロ偏析、ザク欠陥お
よび介在物の状態を調査した。
ちで、最悪のマクロ偏析のものを選び、試験板中央より
5cmピッチで縦方向および幅方向の計40点から直径
2cmの分析サンプルを切り出し、C含有量C(%)を
分析した。溶鋼中のC含有量をC0(%)とし、前記サ
ンプルのC含有量と溶鋼中のC含有量との比の値、C/
C0 を前記の各点について求め、各点における値の算
術平均を求めて偏析比とした。偏析比が1.0以下の場
合を良好とした。
口断面積を求め、これと同じ面積となる円の相当直径を
求めて最大ザク径とした。ザク欠陥は4枚のマクロ試験
板で確認された。最大ザク径が1.2mm以下の場合を
良好とした。
4枚のマクロ試験板の上部側中央位置から、縦2cm、
横2cmのミクロ調査用サンプルを採取して、光学式顕
微鏡により倍率100倍にて全視野を観察調査した。各
サンプルについて相当直径が100μm以上の大型介在
物の発生個数を調べ、4サンプルについての算術平均を
求めて介在物個数とした。介在物個数の値が0.5個以
下の場合を良好とした。
最大ザク径および介在物個数ともに極めて低い値を示
し、良好な性状の鋳塊がえられた。
れも、鋳塊の圧下により溶質成分の濃化した溶鋼が排出
はされたものの、押し湯部には移動集積せず、鋳塊内部
に閉じ込められたため、鋳塊下端側に著しいマクロ偏析
が残存した。また、圧下を加えたにも拘わらず、小さな
ザク欠陥も残存し、偏析比は高い値となった。これは、
上述のように逃げ場を失った溶質の濃化した溶鋼は、融
点が低く凝固が遅れることから、圧下後も溶融状態で残
存し、それが最終凝固時に凝固収縮してキャビティを形
成したためである。
び最大ザク径は低減したが、介在物個数は著しく高い値
となっている。これは、押し湯枠として通常のアルミナ
−シリカ系の耐火物を使用したため、前記した鋳塊の閉
塞凝固が実現されず、鋳塊の揺動時における鋳塊内部へ
の介在物の落下捕捉が顕著であったことによる。
施していないので、介在物の問題はないものの、偏析比
および最大ザク径はともに非常に高く、極めて性状の劣
ったものとなった。
る非金属介在物の落下や巻き込みの発生、ならびに未凝
固圧下にともなうマクロ偏析およびザク欠陥の発生の極
めて少ない健全な性状の鋳塊を得ることができる。
内部に未凝固の溶鋼が存在する状態で閉塞凝固させた鋳
塊の縦断面の概略図である。
の例を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】鋳型上部に金属製の押し湯枠を設け、前記
押し湯枠の上端部まで溶湯を注入することにより、押し
湯枠上端部近傍の溶湯を凝固させることで鋳塊の内部に
未凝固の溶湯が存在する状態で鋳塊を閉塞し、その後、
鋳塊を鋳型から取り出し、鋳型内相当位置および押し湯
枠内相当位置の鋳塊内部に未凝固の溶湯が存在する時期
に、鋳塊の下端部から上端部に向けて、順次、鋳塊の側
面を圧下することを特徴とする金属の造塊方法。 - 【請求項2】上記鋳塊を鋳型から取り出した後、鋳塊を
横倒しにした状態で、鋳塊の側面を鋳塊の下端部から上
端部に向けて圧下することを特徴とする請求項1に記載
の金属の造塊方法。
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---|---|---|---|---|
CN102836940A (zh) * | 2012-08-31 | 2012-12-26 | 太原重工股份有限公司 | 一种改善大型锻件夹杂物缺陷的方法 |
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- 2002-02-18 JP JP2002039566A patent/JP3925233B2/ja not_active Expired - Fee Related
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