JP2003230140A - 画像圧縮装置と画像圧縮方法、並びにその画像伸張装置と画像伸張方法 - Google Patents

画像圧縮装置と画像圧縮方法、並びにその画像伸張装置と画像伸張方法

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JP2003230140A
JP2003230140A JP2002026389A JP2002026389A JP2003230140A JP 2003230140 A JP2003230140 A JP 2003230140A JP 2002026389 A JP2002026389 A JP 2002026389A JP 2002026389 A JP2002026389 A JP 2002026389A JP 2003230140 A JP2003230140 A JP 2003230140A
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conversion
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adaptive
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JP2002026389A
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English (en)
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Shigetoshi Noda
重利 納田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Compression Of Band Width Or Redundancy In Fax (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 予測処理を用いることなくエントロピーを減
少化させ、圧縮率をさらに高める。 【解決手段】 適応マルチ多段変換手段50は、デジタ
ル画像信号が入力すると、多段変換と、重み適応処理
と、を関連して行なう。ある場所xにおいて、入力画素
I_xから適応マルチ多段変換関数を算出する。適応マ
ルチ多段変換関数は、出力エントロピーを小さくならし
めるとともに可逆条件を満たすように決定される係数を
備えた変換関数を連結した多段構造を有しており、さら
に、多段構造を形成する任意の段に出力エントロピーを
小さくする適応変換係数が修飾されている。適応変換係
数を算出する重み処理は、エントロピー評価関数に基づ
いて、適応マルチ多段変換の各段、あるいは、任意の段
において適宜行なわれる。エントロピー符号化手段20
では、適応マルチ多段変換手段50から入力した変換デ
ータに対してエントロピー符号化を施し、圧縮コードを
生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像圧縮装置と画像
圧縮方法、並びにその画像伸張装置と画像伸張方法に関
し、特に圧縮・伸張の過程を経てもとの情報が保存され
るリバーシブル画像圧縮を行なう画像圧縮装置と画像圧
縮方法、並びにその圧縮された圧縮画像データの伸張を
行なう画像伸張装置と画像伸張方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ケーブルテレビ(CATV;Cabl
e Television)やADSL(Asymmetric Digital Subsc
riber Line)等を利用した高速インターネットが普及し
始め、大容量のデータがインターネットで交換すること
が可能となった。
【0003】一方、データを受信する側のパーソナルコ
ンピュータ等のコンピュータを搭載したコンピュータ機
器の性能も飛躍的に向上し、CPUクロックの高速化
や、メモリやハードディスク等の大容量化とアクセス高
速化等が実現されている。例えば、RAID(Redundan
t Array of Inexpensive Disk)を用いて、数百MB/
sの高速アクセスと、数テラバイトの大容量が非常に安
価に提供されるようになってきている。このため、高度
で複雑な処理や高速性が要求される各種リアルタイム画
像変換処理や、大容量画像データベースも実現可能とな
った。
【0004】このような背景から、一般家庭等にも大容
量のデータが配信されるブロードバンドネット時代が始
まり、大容量だが価値の高い高品質な画像の流通が可能
になってきている。
【0005】画像データとして、最も品質が高く価値も
高い画像は、デジタルカメラやコンピュータ・グラフィ
ックス(CG;Computer Graphics)等により作成され
たRGB(Red,Green,Blue)やTIFF(Tagged Image
File Format)等の原画(以下、デジタル原画とする)
であり、このようなデジタル原画を無損失(ロスレス)
で圧縮したリバーシブル圧縮画像データである。そのた
め高品質な画像流通時のデータ形式として、リバーシブ
ル圧縮画像データが必須となっている。
【0006】一般的な画像のリバーシブル圧縮手法とし
て、JPEG(CCITT Rec.T.81)等に見
られるように、予測値と画素との差分手法(DPCM手
法)による周辺画素予測差分処理が知られている。画像
のリバーシブル圧縮は、周辺画素予測差分処理によるエ
ントロピーの減少化と、その出力をエントロピー符号器
で符号化することで実現される。このため、圧縮率を向
上させるためには、いかにエントロピーを減少させる
か、すなわち、予測差分をいかに小さくするかが重要と
なる。
【0007】図28は、従来の予測差分処理を行なう画
像圧縮装置の構成図である。従来の画像圧縮装置は、予
測誤差を算出する適応切換え式予測差分処理手段91
と、予測誤差のエントロピー符号化を行なうエントロピ
ー符号化圧縮手段92とから構成される。
【0008】適応切換え式予測差分処理手段91は、デ
ジタル画像信号を入力し、対象画素と、対象画素周辺の
周辺画素から予測される予測誤差との差分から最も差分
が小さい計算モードを選択し、その予測誤差を算出す
る。エントロピー符号化圧縮手段92は、適応切換え式
予測差分処理手段91で算出された予測誤差について、
ハフマン符号化または算術符号化により可変長の符号化
を行ない、圧縮された圧縮コードを生成する。
【0009】適応切換え式予測差分処理手段91の行な
う予測差分処理について説明する。図29は、対象画素
とその周辺画素の配置の一例である。予測差分処理で
は、対象画素I_xと、その周辺にある既知の周辺画素
x_u_v(u、vは任意の整数)から予測した予測値
P_xとの差分である予測誤差Erを算出する。JPE
Gのロスレスモードでは、ラインごとに最も差分が小さ
い計算モードを選択する方法をとる。ここで選択計算モ
ードを表す特殊コード(適応コード)をSVとし、例え
ば、対象画素I_xの予測値P_xとして、
【0010】
【数1】 P_1=x_1_0 をSV=1、 P_2=x_0_1 をSV=2、 P_3=Integer{(x_1_0+x_0_1)/2} をSV=3 ・・・(1) というように決めておく。ここで、Integer{}
は、整数化する関数である。適応切換え予測差分処理で
は、予測値P_1、P_2、P_3から最も誤差が小さ
いものが選ばれる。
【0011】選択された予測値をSV_x=Selec
tion{P_x}とすると、予測誤差Erは、
【0012】
【数2】 Er=I_x−SV_x ・・・(2) で表される。
【0013】さらに予測精度を上げるため、適当な既知
の周辺画素からのコンテキストに応じて予測補正を行な
い、かつ、必要ならコンテキストをエントロピー符号化
へ反映させるコンテキストモデリング手法がある。適当
な既知の周辺画素から算出されるコンテキスト補正値を
C_xとし、式(2)にコンテキスト補正値を加味する
と、予測誤差Erは、
【0014】
【数3】 Er=I_x−SV_x+C_x ・・・(3) となる。これは、自然画像のように周辺のコンテキスト
が相関性を持つ場合には、有効な手法である。
【0015】さらに、インターネット等で高解像度画像
を閲覧配送するには、階層構造を持つ画像の方が、ユー
ザが画像の内容を早く把握することができるという点で
有利である。また、高解像度画像のデータベースの画像
インデックス検索にも、階層構造を持つ場合には、画像
データを直接に検索に利用できる利点がある。階層構造
を有するリバーシブル画像圧縮手法として、ウェーブレ
ット/サブバンド変換がある。
【0016】ウェーブレット/サブバンド変換における
1回目の2分割を添え字1で表現すれば、一方の領域を
便宜的にL領域、他方をH領域として、
【0017】
【数4】 L1_n= floor{{x_2n+x_(2n+1)}/2}、 H1_n= x_2n−x_(2n−1) ・・・(4) となる。ここで、nは、任意の整数であり、x_2nと
x_(2n+1)とは、水平方向に並ぶ画素であるとす
る。
【0018】式(4)の変換によって、入力したデジタ
ル画像信号は、L1領域とH1領域という水平方向に帯
域分割される。そのL1につき、今度は垂直方向へ同じ
処理で2分割変換すれば、2次元帯域がL2とH2とに
2分割されて、L2、H1、H2が得られる。ウェーブ
レット/サブバンド変換では、このような手順を順次繰
り返すことにより、階層構造を形成する。図30は、ウ
ェーブレット/サブバンド変換における階層構造を表し
ている。(1)の両階層構造は、L1を分割してL2と
H2を生成するとともに、H1も分割してHL2とHH
2を生成する。このように、L1側とH1側の双方で変
換を繰り返す。(2)の片階層構造は、L1を分割して
L2とH2を生成し、H1側は出力する。このようにし
てL側を順次分割していく。ここで、両階層構造の場合
は、変換後のレベル数が増加する欠点があり、圧縮率が
悪くなる。従って、一般には、片階層構造がとられる。
【0019】式(4)に示されたように、H領域側は単
純な差分であり、このままでは圧縮率は低いが、予測値
と画素との差分手法を適用することによって圧縮率を向
上させる手法が試みられている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のリバー
シブル圧縮手法では、圧縮率を向上させることが難しい
という問題がある。
【0021】従来のリバーシブル圧縮手法の性能は、例
えば自然画像なら、一般的な標準手法では通常1/2前
後(公称1/2)、やや滑らかな画像で1/3前後と低
く、実用化のためには不満足であった。
【0022】また、上記の説明のDPCM手法の場合、
計算モードを選択する特殊コードを付加しなければなら
ないという問題がある。各画素の処理ごとにこの特殊コ
ードを付加する場合は、ビット数が増加して圧縮率を高
くすることができない。
【0023】そこで、ある適当なスキャンブロックごと
にこの特殊コードを付加し、ビット数を増加させないよ
うにする方法がある。しかし、この場合、ブロック内に
おいての固定的なブロック適応処理となるため、圧縮率
向上への寄与が少なくなる。
【0024】その他、計算モードの選択にある定型パタ
ーンを用いる予測処理切換え方法も知られている。例え
ば、周辺画素x_1_1と、周辺画素x_1_0、x_
0_1とを比較した結果に応じて予測値P_xの計算モ
ードを選択する手法がある。
【0025】一例を挙げると、周辺画素x_1_1が周
辺画素(x_1_0、x_0_1)より大きい場合は、
その最小値を選択し、周辺画素x_1_1が周辺画素
(x_1_0、x_0_1)より小さい場合は、その最
大値を選択する。いずれでもない場合は、適当な補間処
理を行なうというものである。
【0026】このバリエーションは多々あり、何の評価
に基づいて処理を決定するかも様々である。しかしなが
ら、固定処理であり、画像の特徴に応じた適応処理がで
きないため、予測精度が良くない。
【0027】また、このような予測差分処理にコンテキ
ストモデリング処理を施しても、予測差分処理の予測精
度が良くないため、コンテキストモデリング処理の結果
もまた悪くなる。
【0028】さらに、ウェーブレット/サブバンド変換
においても、上記の説明のように従来の予測差分処理で
は予測精度を向上させることが難しいため、階層構造の
H領域にこのような予測差分処理を適用しても圧縮性能
を上げることは難しい。
【0029】このように、周辺画素からの予測処理に基
づく圧縮手法では、エントロピーの減少が少なく、圧縮
性能にも限界があった。本発明はこのような点に鑑みて
なされたものであり、予測処理を用いることなくエント
ロピーを減少化させ、圧縮率をさらに高めることの可能
な画像圧縮装置、画像伸張装置、画像圧縮方法及び画像
伸張方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、圧縮・伸張の過程を経てもとの情報が保
存されるリバーシブル画像圧縮を行なう画像圧縮装置に
おいて、デジタル画像信号を入力し、前記デジタル画像
信号に応じて得られる要素に基づいて出力エントロピー
を小さくならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定
される係数を備えた変換関数に出力を丸めて整数化する
丸め関数と出力レンジを変換前後で不変にするレンジ不
変関数とを修飾して成るマルチ変換関数を連結した多段
構造を有するマルチ多段変換関数であって、前記多段構
造を形成する任意の段に前記出力エントロピーを小さく
する適応変換係数が修飾された適応マルチ多段変換関数
を用いて前記デジタル画像信号に変換を施す適応マルチ
多段変換手段と、前記適応マルチ多段変換手段により変
換された変換データをエントロピー符号化して圧縮コー
ドを生成するエントロピー符号化手段と、を備えたこと
を特徴とする画像圧縮装置、が提供される。
【0031】このような構成の画像圧縮装置では、適応
マルチ多段変換手段は、デジタル画像信号を入力し、適
応マルチ多段変換関数を用いて入力したデジタル画像信
号に変換を施し、変換データをエントロピー符号化手段
へ出力する。適応マルチ多段変換関数は、デジタル画像
信号に応じて得られる要素、例えば、画素データあるい
は変換データ等に基づいて、出力エントロピーを小さく
ならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定される係
数を備えた変換関数に丸め関数とレンジ不変関数とを修
飾して成るマルチ変換関数を連結した多段構造を有する
マルチ多段変換関数であって、多段構造を形成する任意
の段に出力エントロピーを小さくする適応変換係数が修
飾された関数である。丸め関数は、変換関数の出力を丸
めて整数化する関数であり、レンジ不変関数は、変換関
数の出力のレンジを変換前と同じにする関数である。エ
ントロピー符号化手段は、適応マルチ多段変換手段によ
り変換された変換データをエントロピー符号化して圧縮
コードを生成し、出力する。
【0032】また、上記課題を解決するために、圧縮・
伸張の過程を経てもとの情報が保存されるリバーシブル
画像圧縮を行なう画像圧縮方法において、デジタル画像
信号を入力するステップと、前記デジタル画像信号に応
じて得られる要素に基づいて出力エントロピーを小さく
ならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定される係
数を備えた変換関数に出力を丸めて整数化する丸め関数
と出力レンジを変換前後で不変にするレンジ不変関数と
を修飾して成るマルチ変換関数を連結した多段構造を有
するマルチ多段変換関数であって、前記多段構造を形成
する任意の段に前記出力エントロピーを小さくする適応
変換係数が修飾された適応マルチ多段変換関数を、入力
した前記デジタル画像信号の任意の領域に対して算出す
るステップと、算出された前記適応マルチ多段変換関数
を用いて前記任意の領域のデジタル画像信号に対して変
換を施すステップと、前記適応マルチ多段変換関数によ
る変換が施された変換データをエントロピー符号化して
圧縮コードを出力するステップと、入力した前記デジタ
ル画像信号の全領域が終了したか否かを判定し、終了し
ていない場合には前記適応マルチ多段変換関数を求める
ステップからの手順を繰り返すことを特徴とする画像圧
縮方法、が提供される。
【0033】このような手順の画像圧縮方法では、最初
に圧縮するデジタル画像信号を入力する。続いて、デジ
タル画像信号に応じて得られる要素に基づいて適応マル
チ多段変換関数を決定する。適応マルチ多段変換関数
は、出力エントロピーを小さくならしめるとともに可逆
条件を満たすよう決定される係数を備えた変換関数に丸
め関数とレンジ不変関数とを修飾してマルチ変換関数を
連結した多段構造を有し、多段構造を形成する任意の段
に出力エントロピーを小さくする適応変換係数が修飾さ
れた関数である。丸め関数は、変換関数の出力を丸めて
整数化する関数であり、レンジ不変関数は、変換関数の
出力のレンジを変換前と同じにする関数である。ここで
は、デジタル画像信号の任意の領域に対するマルチ多段
変換関数が算出される。次に、求められたマルチ多段変
換関数を用いて、この任意の領域に対する変換が行なわ
れる。続いて、変換が行なわれた変換データに対して、
エントロピー符号化を行なって圧縮コードが生成され
る。入力したデジタル画像信号の全領域が終了したか否
かが判定され、終了していない場合には、次の領域につ
いてのマルチ多段変換関数を算出するステップからの処
理が行なわれる。
【0034】また、上記課題を解決するために、圧縮・
伸張の過程を経てもとの情報が保存されるリバーシブル
画像圧縮により圧縮されたデジタル画像信号の圧縮コー
ドを伸張する画像伸張装置において、前記圧縮コードを
入力し、前記圧縮コードをエントロピー復号するエント
ロピー復号手段と、前記エントロピー復号手段により復
号された復号信号を入力し、前記復号信号に応じて得ら
れる要素に基づいて出力エントロピーを小さくならしめ
るとともに可逆条件を満たすよう決定される係数を備え
た変換関数に出力を丸めて整数化する丸め関数と出力レ
ンジを変換前後で不変にするレンジ不変関数とを修飾し
て成るマルチ変換関数の逆変換関数を連結した多段構造
を有するマルチ多段逆変換関数であって、前記多段構造
を形成する任意の段に前記出力エントロピーを小さくす
る適応変換係数が修飾された適応マルチ多段逆変換関数
を用いて前記復号信号に逆変換を施して前記デジタル画
像信号を復元する適応マルチ多段逆変換手段と、を備え
たことを特徴とする画像伸張装置、が提供される。
【0035】このような構成の画像伸張装置では、エン
トロピー復号手段は、画像圧縮装置により圧縮された圧
縮コードを入力してエントロピー復号を施し、復号信号
をマルチ多段逆変換手段へ出力する。適応マルチ多段逆
変換手段は、復号信号を入力し、適応マルチ多段逆変換
関数を用いて復号信号をデジタル画像信号に復元する。
この適応マルチ多段逆変換関数は、復号信号に応じて得
られる要素に基づいて出力エントロピーを小さくならし
めるとともに可逆条件を満たすよう決定される係数を備
えた変換関数を丸め関数とレンジ不変関数とによって修
飾したマルチ変換関数の逆変換関数を連結した多段構造
を有する関数であって、多段構造を形成する任意の段に
出力エントロピーを小さくする適応変換係数が修飾され
た関数である。また、丸め関数は、変換関数の出力を丸
めて整数化する関数であり、レンジ不変関数は、変換関
数の出力のレンジを変換前と同じにする関数である。
【0036】また、上記課題を解決するために、圧縮・
伸張の過程を経てもとの情報が保存されるリバーシブル
画像圧縮により圧縮されたデジタル画像信号の圧縮コー
ドを伸張する画像伸張方法において、前記リバーシブル
画像圧縮が施された圧縮コードを入力するステップと、
任意の領域の前記圧縮コードに対してエントロピー復号
を施して復号信号を出力するステップと、前記復号信号
に応じて得られる要素に基づいて出力エントロピーを小
さくならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定され
る係数を備えた変換関数に出力を丸めて整数化する丸め
関数と出力レンジを変換前後で不変にするレンジ不変関
数とを修飾して成るマルチ変換関数の逆変換関数を連結
した多段構造を有するマルチ多段逆変換関数であって、
前記多段構造を形成する任意の段に前記出力エントロピ
ーを小さくする適応変換係数が修飾された適応マルチ多
段逆変換関数を前記任意の領域の復号信号に対して算出
するステップと、算出された前記適応マルチ多段逆変換
関数を用いて前記任意の領域の復号信号に逆変換を施し
てもとのデジタル画像信号を復元するステップと、入力
した前記圧縮コードの全領域が終了したか否かを判定
し、終了していない場合には前記エントロピー復号を施
すステップからの手順を繰り返すことを特徴とする画像
伸張方法、が提供される。
【0037】このような手順の画像伸張方法では、最初
に、リバーシブル画像圧縮が施された圧縮コードを入力
する。続いて、圧縮コードの任意の領域に対してエント
ロピー復号を施して、復号信号を出力する。次に、復号
信号に応じて得られる要素に基づいて出力エントロピー
を小さくならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定
される係数を備えた変換関数に出力を丸めて整数化する
丸め関数と出力レンジを変換前後で不変にするレンジ不
変関数とを修飾して成るマルチ変換関数の逆変換関数を
連結した多段構造を有するマルチ多段逆変換関数であっ
て、多段構造を形成する任意の段に出力エントロピーを
小さくする適応変換係数が修飾された適応マルチ多段逆
変換関数を、復号された復号信号に対して算出する。算
出された適応マルチ多段逆変換関数を用いて、任意の領
域の復号信号に対して逆変換を施してもとのデジタル画
像信号を復元する。続いて、入力した圧縮コードの変換
が全領域終了したか否かを判定し、終了していない場合
には、エントロピー復号を施すステップからの手順を繰
り返す。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の画像圧縮装置は、デジタ
ル画像信号を入力し、これを所定の変換関数を用いてマ
ルチ多段変換することによって画像のエントロピーを減
少させ、エントロピーを減少させたデータをエントロピ
ー符号化手段により符号化するマルチ多段変換手法を用
いている。以下、マルチ多段変換手法を用いた画像圧縮
装置とその画像圧縮方法、及び画像伸張装置とその画像
伸張方法の実施の態様について、図面を参照して説明す
る。
【0039】第1の実施の態様として、マルチ多段変換
手法を用いた基本的な構成の画像圧縮装置と画像圧縮方
法及びその画像伸張装置と画像伸張方法について順に説
明する。ここで、第1の実施の態様に則した基本的な構
成の画像圧縮装置と画像伸張装置の一例を実施例1の画
像圧縮装置と画像伸張装置と呼ぶこととする。
【0040】実施例1の画像圧縮装置について説明す
る。図1は、実施例1の画像圧縮装置の構成図である。
実施例1の画像圧縮装置は、デジタル画像信号を入力
し、デジタル画像信号から適当なマルチ系モデルを定
め、多段変換を施すマルチ多段変換手段10と、マルチ
多段変換手段10によって変換された変換データ(Dq
とする)にエントロピー符号化を施すエントロピー符号
化手段20と、から構成される。
【0041】マルチ多段変換手段10は、例えば、CC
D(Charge Coupled Device)で撮像されたような画像
信号や文字を含むフルカラーCG(Computer Graphic
s)等のデジタル画像信号を入力し、マルチ多段変換関
数を用いて変換を施し、変換データDqをエントロピー
符号化手段20に出力する。
【0042】変換に用いられるマルチ多段変換関数は、
画像の適当な要素の変換を行なう変換関数に、変換関数
の出力を丸めて整数化する一般的な丸め変換を行なう丸
め関数と、変換関数の出力レンジを変換前と同じにする
レンジ不変変換を行なうレンジ不変関数と、を修飾した
汎関数(変換の変換を行なう関数)を連結した多段構造
を形成する変換関数である。このような関数をマルチ多
段変換関数とする。関数の各係数は、可逆性を満たすよ
うに、かつ、出力エントロピーが小さくなるように、デ
ジタル画像信号に応じて得られる要素に基づいて決定さ
れる。マルチ多段変換関数を用いた変換処理では、複数
の系のマルチ変換関数の任意の変換関数処理を1段とし
て、多段の変換処理を繰り返し行なう。ここで、画像の
適当な要素あるいはデジタル画像信号に応じて得られる
要素とは、入力するもとのデジタル画像信号の任意の領
域の画像データ及び任意の段の変換関数処理が施された
画像データを指す。
【0043】デジタル画像信号のリバーシブル圧縮は、
丸め変換とレンジ不変変換とによって実現される。丸め
変換は、入力データを丸めて整数化する関数の総称であ
り、例えば、小数点の切り捨て等の変換処理を行なう。
このような丸め変換関数をround{}と表現する。
レンジ不変変換は、変換後のレンジを変換前と不変にす
る関数の総称であり、以下RM{}と表現する。
【0044】まず、丸め変換について説明する。ここ
で、画像の適当な要素数をN、変換係数マトリクスを
A、入力画像をI、変換出力をHとする。Aは、N×N
の係数マトリクスで、逆関数A-1が存在するものとす
る。この丸め変換の一般式は、可逆条件を満たす係数行
列Aの基で、便宜上、係数Aも変数とする関数fで表現
すると、
【0045】
【数5】 H=round{AI}=round{f(A、I)} ・・・(5) と表すことができる。逆関数は、A-1をBと表記して、
【0046】
【数6】 I=round{A-1H}=round{BH} ・・(6) と表すことができる。展開すると、例えば、1出力は、
整数n(n=1、・・・N)として、
【0047】
【数7】 h1=round{a11i1+a12i2+a13i3+・・・+a1Ni N}=round{[n=1toN]Σa1nin} ・・・(7) である。
【0048】レンジ不変変換について説明する。レンジ
不変変換は、変換前後でレンジを不変にする関数であ
る。例えば、式(4)にレンジ不変処理を施すと、
【0049】
【数8】 H=RM{round{f(A、I)}} ・・・(8) となり、変換出力Hと入力画像Iのレンジは同一にな
る。
【0050】次に、マルチ多段変換について説明する。
説明を簡単にするため、2つのマルチ系の場合で説明す
る。例えば、2つのマルチ系として、Hq、Hpとする
場合、個々の変換は式(4)を用いて、
【0051】
【数9】 Hq=round{AqIq}=round{f(Aq、Iq)} Hp=round{AqIq}=round{f(Aq、Iq)}・・・(9 ) と表される。round{}を省略して、Hq=f(A
q、Iq)、Hp=f(Ap、Aq)と表記すると、こ
れらによるqの変換Dqは、
【0052】
【数10】 Dq=f(Hq、Hp)=f(f(Aq、Iq)、f(Ap、Ip))・・・ (10) である。この関数を汎関数(変換の変換)として一般化
すると、汎多段変換、
【0053】
【数11】 Dq=f(Iq、f(Ip、f(Aq、Iq、f(Ap、Ip)))) ・・・(11) とすると、これは多段変換を成す。これが、マルチ多段
変換の概念式である。さらに、変換前後のレンジを不変
とするレンジ不変関数RM{}で修飾すると、マルチ多
段変換の一般式、
【0054】
【数12】 Dq=RM{round{f(Iq、RM{round{f(Ip、RM{ round{f(Aq、Iq、RM{round{f(Ap、Ip)}})}} )}})}} ・・・(12) が得られる。式(12)では、丸め変換関数も修飾され
ていることを明確にするため、round{}も表記し
た。このように、マルチ多段変換では、丸め関数rou
nd{}とレンジ不変関数RM{}とによって修飾され
たマルチ系の変換関数Hq、Hpが連結し、多段構成を
形成している。このように、マルチ多段変換関数は、2
つの系Hq、Hpの変数の組み合わせで構成される。
【0055】エンコードは、右から、すなわち最も内側
の関数から処理される。式(12)の場合、RM{ro
und{f(Ap、Ip)}}の変換処理が最初に行な
われる。以下、このような所定の変換処理を1段と呼
ぶ。続いて、RM{round{f(Ap、Ip)}}
の変換出力と、変数Aq、Iqとによる変換、RM{r
ound{f(Aq、Iq、RM{round{f(A
p、Ip)}})}}が行なわれる。このようにして、
順次、変換処理が行なわれる。
【0056】これらの各係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められるので、変換処理を繰り返すことにより、出力エ
ントロピーが減少する。
【0057】このように、原理的には変換処理を繰り返
すほど出力エントロピーは減少することになるが、実用
的には、それほど多段にする必要はなく、次の4つの場
合が着目される。
【0058】第1に、変換処理を3段行なう3段変換が
ある。3段変換出力RM{Dq3}は、
【0059】
【数13】 RM{Dq3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f(A q、Iq、RM{round{f(Ap、Ip)}})}})}}・・・(13) と表すことができる。
【0060】これは、1段目のHp系のRM{roun
d{f(Ap、Ip)}}変換(このとき生成された変
数をH1pとする)を行ない、変換によって生成された
変数H1pとHq系の変数とによる2段目のRM{ro
und{f(Aq、Iq、H1p)}}変換(このとき
生成された変数をH2qとする)を行ない、さらに、3
段目としてHq系のRM{round{f(Iq、H2
q)}}変換を行なうことを示している。
【0061】第2に、それぞれの系の変換処理を行なっ
た後、さらに変換を施す2段変換がある。2段変換出力
RM{Dq2}は、
【0062】
【数14】 RM{Dq2}=RM{round{f(RM{round{f(Aq、I q)}}、RM{round{f(Ap、Ip)}})}} ・・・(14) と表すことができる。
【0063】これは、1段目として、Hq系のRM{r
ound{f(Aq、Iq)}}変換(このとき生成さ
れた変数をHq1とする)と、Hp系の{round
{f(Ap、Ip)}}変換(このとき生成された変数
をHp1とする)と、を行ない、2段目としてRM{r
ound{f(Hq1、Hp1)}}変換を行なうこと
を示している。
【0064】第3に、2つのマルチ系の変換を連結する
片2段変換がある。片2段変換出力RM{Dq22}
は、
【0065】
【数15】 RM{Dq22}=RM{round{f(Aq、Iq、RM{round {f(Ap、Ip)}})}} ・・・(15) と表すことができる。
【0066】これは、1段目のHp系のRM{roun
d{f(Ap、Ip)}})変換(このとき生成された
変数をH1pとする)を行ない、変換によって生成され
た変数H1pとHq系の変数とによる2段目のRM{r
ound{f(Aq、Iq、H1p)}}変換を行なう
ことを示している。
【0067】第4に、2つのマルチ系の変数を組み合わ
せた直接変換がある。直接変換出力RM{Dq1}は、
【0068】
【数16】 RM{Dq1}=RM{round{f(Aq、Iq、Ap、Ip)}} ・・・(16) と表すことができる。
【0069】これは、2つのマルチ系HqとHpの変数
を組み合わせて1段の変換を行なうことを示している。
当然これらの関数は、可逆性を満たすような関数のみと
する。また、ここでは、わかりやすく説明するために、
上記の2つのマルチ系に限定して説明したが、2つのマ
ルチ系のみならず、同様な複数のマルチ系に適用される
のは言うまでもない。
【0070】次に、2つのマルチ多段変換の一例を示
す。3段変換の例として、
【0071】
【数17】 RM{Dq3}={RM{D1q3}、RM{D2q3}} ・・・(17) と置くと、q系の1つは、
【0072】
【数18】 Iq={iq1、iq2}、Aq={{aq11、aq22}}、 {aq21、aq22}={A1q、A2q}、 h1q=aq11iq1+aq12iq2={A1q、Iq}、 h2q=aq21iq1+aq22iq2={A2q、Iq}、 f(Aq、Iq)={h1q、h2q} ・・・(18) となる。同様に、p系の1つも2次数の場合、
【0073】
【数19】 Ip={ip1、ip2}、Aq={{ap11、ap22}}、 {ap21、ap22}={A1p、A2p}、 h1p=ap11ip1+ap12ip2={A1p、Ip}、 h2p=ap21ip1+ap22ip2={A2p、Ip}、 f(Ap、Ip)={h1p、h2p} ・・・(19) となる。これから、
【0074】
【数20】 RM{round{f(A1q、Iq、f(A1p、Ip))}=RM{r ound{f(A1q、Iq、h1p)}} ・・・(20) が得られる。
【0075】ここで、(Iq、h1p)の関係を線形結
合とし、対応する結合係数を(diq1、dh1p)と
すれば、
【0076】
【数21】 RM{round{f(A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}=RM{ round{diq1(aq11iq1+aq12iq2)+dh1p(ap1 1ip1+ap12ip2)}} ・・・(21) であり、さらに次の線形結合を、(Eiq、E)、Ef
=(ef1、ef2)、Eiq=(E1iq、E2i
q)=((eiq11、eiq12)、(eiq21、
eiq22))結合として、
【0077】
【数22】 RM{D1q3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f( A1q、Iq、f(A1p、Ip))}})}}=RM{round{(eiq 11iq1+eiq12iq2)+RM{round{ef1 f(A1q、I q、f(A1p、Ip))}}}} ・・・(22) となる。この過程にて、暗黙に、掛ける係数がRM{r
ound{}}の内部に入る可逆構造になっている。他
の1つのRM{D2q3}も同様に、
【0078】
【数23】 RM{D2q3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f( A2q、Iq、f(A2p、Ip))}})}}=RM{round{(eiq 21iq1+eiq22iq2)+RM{round{ef2 f(A2q、I q、f(A2p、Ip))}}}} ・・・(23) である。
【0079】この例は、単なる一例に過ぎず、q系やp
系が任意の次数の場合も次数が拡大するのみで同様であ
る。上記の説明の変換関数における各係数は、可逆性を
満たすように、かつ、出力エントロピーが小さくなるよ
うに適宜定められる。可逆性が満たされる決定方法は、
Ladder NetworkやLeapfrog構造
を利用した方法が周知であるが、ここでは係数を算出す
る周知の手法のうち適当な手法を適宜用いることとし、
係数の決定手法を限定しない。係数決定手法の一例とし
て、Ladder NetworkやLeapfrog
構造を利用した決定手法について説明する。図2は、2
×2行列のLadder Networkの構成図であ
る。
【0080】一般的な行列変換H=AXにおいて、2×
2行列で、正規化ab−bc=1として、変換係数マト
リクスAと、逆変換係数マトリクスA-1とは、
【0081】
【数24】
【0082】と表すことができる。ここで、k1=(a
−1)/b、k2=b、k3=(d−1)/bとして、
図2のLadder構成が実現される。このような構成
をLadder Networkと言う。
【0083】これらは、次のように整数関数変換しても
可逆である。
【0084】
【数25】 Q=round{x1+c0x0+1/2}、c0=k1 H0=round{x0+c1Q+1/2}、c1=k2 H1=round{Q+c2H0+1/2}、c2=k3……(25) また、これらは、Leapfrog構成で一般化するこ
とができる。図3は、Leapfrog構成で一般化し
た構成図である。これから、
【0085】
【数26】 H0=(c00+c10c11c01)x0+c11c01x1、 H1=c10c11x0+c11x1、 x0=d00H0+d00d01H1、 x1=d00d10H0+(d11+d01d00d10)H1…(26) が導かれる。可逆条件は、c00d00=c11d11
=1、c01=−d01、c10=−d10、である。
【0086】図1に戻って説明する。エントロピー符号
化手段20は、マルチ多段変換手段10により生成され
た変換データDqを入力し、所定のエントロピー符号化
手法によって符号化を行ない、圧縮コードを生成する。
エントロピー符号化手法には、例えば、ハフマン符号や
算術符号、ゴロムライス符号等があるが、ここでは、こ
れらの手法を適宜選択することとする。
【0087】エントロピー符号化の関数をEntr()
とすると、圧縮コードOutCodeは、
【0088】
【数27】 OutCode=Entr(Dq_x) ・・・(27) と表される。ここで、Dq_xは、ある場所xにおける
入力画素I_xのマルチ多段変換後の変換データであ
る。
【0089】このように、マルチ多段変換手段10によ
ってエントロピーが減少した画像信号を適当なエントロ
ピー符号化手法により符号化することによって、画像信
号を圧縮することが可能となる。
【0090】このような構成の画像圧縮装置の動作につ
いて説明する。デジタル画像信号がマルチ多段変換手段
10に入力すると、まず、任意の領域ごとに、デジタル
画像信号に応じて得られる要素に基づいて、式(12)
のマルチ多段変換関数を算出する。このとき、マルチ多
段変換関数の係数は、一般的に周知な手法を用いて、任
意の領域の入力画素に基づき、可逆性を満たすように、
かつ、出力エントロピーが小さくなるように決定され
る。続いて、算出されたマルチ多段変換関数に基づいて
デジタル画像信号に変換を施し、変換データDqをエン
トロピー符号化手段20に出力する。エントロピー符号
化手段20では、変換データDqにエントロピー符号化
を行ない、圧縮コードを生成する。マルチ多段変換手段
10におけるマルチ多段変換では、エントロピーを減少
させるように決定されたマルチ多段変換関数を用いて多
段に変換を行なう。このため、変換を行なうごとにエン
トロピーが減少する。この結果、マルチ多段変換手段1
0の出力は、従来よりもエントロピーの減少効果が大き
くなる。従って、この出力を次のエントロピー符号化手
段20で符号化してやれば、高い圧縮性能が得られる。
【0091】続いて、実施例1における画像圧縮方法に
ついて説明する。図4は、実施例1の画像圧縮方法のフ
ローチャートである。画像圧縮処理が開始され(S11
1)、初めに初期化処理が行なわれる(S112)。初
期化処理では、画像の端処理や系のパラメータの初期化
等を必要に応じて行なう。次に、デジタル画像信号のあ
る場所xにおけるマルチ多段変換処理を行なう(S11
3)。マルチ多段変換処理では、入力画素I_x(xは
任意の整数)から、xにおけるマルチ多段変換関数Dq
_x(xにおける式(11))を算出する。もちろん、
式(13)、式(14)、式(15)、式(16)に示
されたマルチ多段変換関数を算出することもできる。さ
らに、算出されたマルチ多段変換関数Dq_xを用い
て、入力画素I_xに変換を施す。続いて、変換が施さ
れてエントロピーが減少した変換データにエントロピー
符号化処理を行ない(S114)、圧縮コードを出力す
る。次に、入力画素I_xが画像の終わりであるか否か
を判定し(S115)、終わりであれば処理を終了する
(S116)。終わりでなければ、S113に戻って、
次の入力画素の処理を繰り返す。
【0092】このように、入力するデジタル画像信号の
任意の入力画素に基づいて、出力エントロピーを減少さ
せるマルチ多段変換関数を算出し、このマルチ多段変換
関数を用いて多段に変換を繰り返すことによりエントロ
ピーを減少させることが可能となる。これを適当なエン
トロピー符号化器で符号化すれば、この画像信号は圧縮
される。この結果、従来よりも高い圧縮性能が期待でき
る。
【0093】ここで、上記の説明の画像圧縮方法を用い
た場合の処理結果と、従来の代表的な圧縮手法を用いた
場合とを比較する。図5は、第1の実施の態様の画像圧
縮処理を含む統合化処理の圧縮率と従来の手法による処
理の圧縮率を表したものである。図で表したPNG、J
PLS(JPEG−LS、JPEGロスレス)、JP2
0(JPEG2000−LL、JPEG2000ロスレ
ス)は、現在の標準的手法である。また、実施の態様で
あるマルチ多段変換による圧縮手法は、THISで表さ
れている。横軸は、圧縮したデジタル画像信号の種類を
表しており、C1からC4は、デジタルカメラで撮影し
たフルカラー画像(2000×1500)の画像信号で
ある。また、G1からG4は、リアルCG画像の画像信
号である。縦軸は、入力/出力の圧縮率を表しており、
数値が高い程圧縮性能が高いことを示している。図から
わかるように、画像の種類によって圧縮率は異なるが、
上記の説明の実施の態様1のマルチ多段変換による圧縮
手法は、現在の標準的手法よりも、全ての場合において
高い圧縮性能を示している。
【0094】次に、マルチ多段変換によるエントロピー
の減少を比較する。図6は、第1の実施の態様の画像圧
縮処理におけるエントロピーの推移を表したものであ
る。横軸は、図5と同じである。また、縦軸は、エント
ロピーを示している。ここで、ORGは、もとの画像信
号を表しており、エントロピーは、100パーセントで
ある。ST1は、1段変換処理後のエントロピーの値で
あり、画像信号の種類によってエントロピーの減少に差
があるが、全ての画像信号においてエントロピーが減少
している。さらに、ST2は2段変換後のエントロピー
を示している。画像信号の種類によってエントロピーの
減少に差があるが、全ての画像信号において1段変換後
よりエントロピーが減少している。このように、変換を
繰り返すことにより、エントロピーを減少させていくこ
とができる。
【0095】次に、実施例1の画像圧縮装置により圧縮
された圧縮画像データを伸張する実施例1の画像伸張装
置について説明する。図7は、実施例1の画像伸張装置
の構成図である。実施例1の画像伸張装置は、実施例1
の画像圧縮装置により圧縮された圧縮コードを入力し、
エントロピー復号を行なうエントロピー復号手段30
と、マルチ多段変換関数の逆関数を用いてエントロピー
復号が行なわれた復号信号に逆変換を施し、もとのデジ
タル画像信号にするマルチ多段逆変換手段40と、から
構成される。
【0096】エントロピー復号手段30は、実施例1の
画像圧縮装置により圧縮された圧縮コードを入力し、画
像圧縮装置のエントロピー符号化手段20と同じ一般的
に周知なエントロピー符号化手法を用いてエントロピー
復号を行ない、復号信号を生成する。
【0097】画像圧縮装置によって圧縮されたもとの入
力画素をI_xとし、エントロピー符号化の関数をEn
tr()とし、圧縮コードをOutCodeとすると、
復号信号は画像圧縮装置のマルチ多段変換手段10の生
成した変換データDq_xになる。エントロピー復号手
段30による復号化は、式(27)から、
【0098】
【数28】 Dq_x=Entr-1(OutCode) ・・・(28) と表される。
【0099】マルチ多段逆変換手段40は、エントロピ
ー復号手段30の生成した復号信号を入力し、圧縮に用
いられたマルチ多段変換関数の逆関数を用いて復号信号
に逆変換を施し、もとのデジタル画像信号に伸張する。
逆変換は、それぞれの変換にて可逆性が保存されている
ため、fの逆変換をf-1で示せば、マルチ多段変換の一
般式である式(11)から、
【0100】
【数29】 Dq-1=RM{round{f-1(Iq、RM{round{f-1(Ip、 RM{round{f-1(Aq、Iq、RM{round{f-1(Ap、Ip) }})}})}})}} ・・・(29) と表される。ただし、f≡f-1が成立する場合も含み、
処理の方向は圧縮の場合と逆である。すなわち、デコー
ドは、左から、すなわち最も外側の関数から順に多段変
換が行なわれる。
【0101】このような構成の画像伸張装置の動作につ
いて説明する。画像圧縮装置によってマルチ多段変換が
施されてエントロピー符号化されたデジタル画像信号の
圧縮コードが、エントロピー復号手段30に入力する。
エントロピー復号手段30では、圧縮コードにエントロ
ピー復号を施し、復号信号を生成する。復号信号は、マ
ルチ多段逆変換手段40へ送られる。マルチ多段逆変換
手段40は、復号信号に応じて得られる要素に基づい
て、マルチ多段変換関数の逆関数である式(29)の係
数を決定し、マルチ多段逆変換関数を算出する。係数の
決定は、画像圧縮装置の場合と同様に、一般的に周知な
任意の手法で行なう。続いて、算出されたマルチ多段逆
変換関数を用いて復号信号に逆変換を施す。各変換は可
逆性が保存されているため、圧縮時とは逆の方向に多段
変換を行なうことにより、復号信号は、もとのデジタル
画像信号に逆変換される。このように、画像伸張装置に
入力した圧縮コードは、これらの変換によりロスレスで
もとのデジタル画像信号に伸張される。
【0102】次に、実施例1の画像伸張方法について説
明する。図8は、実施例1の画像伸張方法のフローチャ
ートである。画像伸張処理が開始され(S121)、初
めに初期化処理が行なわれる(S122)。初期化処理
では、系のパラメータの初期化等を必要に応じて行な
う。続いて、画像圧縮装置によって行なわれた画像圧縮
の単位ごとに、圧縮コードのエントロピー復号処理が行
なわれる(S123)。エントロピー復号処理は、画像
圧縮装置が行なったエントロピー符号化と同じ手法によ
り、圧縮コードを復号し、復号信号を生成する。続い
て、復号信号に対してマルチ多段逆変換処理が施される
(S124)。マルチ多段逆変換処理では、復号信号の
要素からマルチ多段逆変換関数Dq-1_x(xにおける
式(29))を算出する。さらに、算出されたマルチ多
段逆変換関数Dq-1_xを用いて、復号信号に逆変換を
施し、もとのデジタル画像信号に伸張して出力する。続
いて、圧縮コードが画像の終わりであるか否かを判定し
(S125)、終わりであれば処理を終了する(S12
6)。終わりでなければ、S123に戻って、次の圧縮
コードの伸張処理を繰り返す。
【0103】このように、実施例1の画像圧縮装置と画
像伸張装置では、可逆性を有するマルチ多段変換関数を
用いて画像信号のエントロピーを減少させることによ
り、画像のリバーシブル圧縮率を上げることを可能にし
た。
【0104】また、実施例1の画像圧縮装置及び画像伸
張装置は基本型であるが、これらに、コンテキストモデ
ル手法を適用することもできる。以下、実施例1の基本
構成にコンテキストモデル手法を適用したものを実施例
1−1の画像圧縮装置と画像伸張装置とする。実施例1
−1の画像圧縮装置と画像伸張装置の基本的な構成及び
動作は、実施例1と同じである。
【0105】図9は、実施例1−1の画像圧縮装置の構
成図である。図1と同じものには同じ番号を付し、説明
は省略する。実施例1−1の画像圧縮装置は、実施例1
の画像圧縮装置のマルチ多段変換手段10及びエントロ
ピー符号化手段20全体をコンテキストモデルに適応さ
せている。図示しないが、実施例1−1の画像伸張装置
も、実施例1の画像伸張装置のエントロピー復号手段3
0及びマルチ多段逆変換手段40全体をコンテキストモ
デルに適応させた構成となる。
【0106】実施例1−1の画像圧縮装置は、コンテキ
ストモデルに従ってデジタル画像信号を符号化するコン
テキスト符号化手段100によって、圧縮コードを生成
する。コンテキスト符号化手段100は、マルチ多段変
換手段にコンテキストに基づく適応処理が加味されたコ
ンテキストマルチ多段変換手段101と、同様に、コン
テキストによる適応処理が加味されたエントロピー符号
化手段102と、から構成される。
【0107】コンテキスト符号化手段100は、画像の
周辺画素から得られるコンテキストに基づいた適応処理
を行なう。例えば、エントロピーが小さくなるような変
換結果のコンテキスト制御による補正、符号化出力量が
小さくなるようなコンテキストにより制御される適応符
号化等である。従って、コンテキストモデルによる制御
は、圧縮系及び伸張系の全体に及ぶ。
【0108】コンテキストマルチ多段変換手段101
は、実施例1の基本型のマルチ多段変換手段10に、コ
ンテキストモデルに従ったコンテキスト適応処理が加味
されている。すなわち、マルチ多段変換関数にコンテキ
ストモデルにより得られたコンテキスト補正係数Cが修
飾される。従って、式(12)のマルチ多段変換関数
は、コンテキスト補正係数Cが加味され、
【0109】
【数30】 Dq=RM{round{f(Iq、RM{round{f(C、Ip、R M{round{f(Aq、Iq、RM{round{f(Ap、Ip)}}) }})}})}} ・・・(30) となる。Cの位置は、任意の段に設定されるが、複雑さ
を少なくするためには、補正を最後の段の手前で行なう
のが合理的である。変換処理は、右から、すなわち内側
から順に1段ごとに行なわれる。
【0110】画像伸張装置による逆変換は、それぞれの
変換にて可逆性が保存されているために、fの逆関数を
-1で示せば、
【0111】
【数31】 Dq-1=RM{round{f-1(Iq、RM{round{f-1(C、I p、RM{round{f-1(Aq、Iq、RM{round{f-1(Ap、I p)}})}})}})}} ・・・(31) である。ただし、f≡f-1が成立する場合も含み、処理
の方向は逆である。
【0112】また、マルチ多段変換関数の実用型である
3段変換の式(13)は、
【0113】
【数32】 RM{Dq3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f(C 、Aq、Iq、RM{round{f(Ap、Ip)}})}})}} ・・・(32) となる。また、2段変換の式(14)は、
【0114】
【数33】 RM{Dq2}=RM{round{f(C、RM{round{f(Aq 、Iq)}}、RM{round{f(Ap、Ip)}})}}・・・(33) となる。また、片2段変換の式(15)は、
【0115】
【数34】 RM{Dq22}=RM{round{f(C、Aq、Iq、RM{rou nd{f(Ap、Ip)}})}} ・・・(34) となる。また、直接変換の式(16)は、
【0116】
【数35】 RM{Dq1}=RM{round{f(C、Aq、Iq、Ap、Ip)} } ・・・(35) となる。
【0117】それぞれの変換処理は、実施例1と同様
に、右から、すなわち、内側から処理される。続いて、
実施例1と同様に2つのマルチ多段変換の例を示す。3
段変換の例として、式(16)のように置くと、式(1
8)及び式(19)とから式(20)が得られる。式
(20)にコンテキスト補正係数C1を加味すると、
【0118】
【数36】 RM{round{f(C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}= RM{round{f(C1、A1q、Iq、h1p)}} ・・・(36) が得られる。
【0119】ここで、(C1、Iq、h1p)の関係を
線形結合とし、対応する結合係数を(dc1、diq
1、dh1p)とすれば、
【0120】
【数37】 RM{round{f(C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}= RM{round{dc1C1+diq1(aq11iq1+aq12iq2) +dh1p(ap11ip1+ap12ip2)}} ・・・(37) であり、さらに次の線形結合を、(Eiq、E)、Ef
=(ef1、ef2)、Eiq=(E1iq、E2i
q)=((eiq11、eiq12)、(eiq21、
eiq22))結合として、
【0121】
【数38】 RM{D1q3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f( C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}})}}=RM{round{( eiq11iq1+eiq12iq2)+RM{round{ef1 f(C1 、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}}} ・・・(38) となる。この過程にて、暗黙に、掛ける係数がRM{r
ound{}}の内部に入る可逆構造になっている。他
の1つのRM{D2q3}も同様に、
【0122】
【数39】 RM{D2q3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f( C2、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}})}}=RM{round{( eiq21iq1+eiq22iq2)+RM{round{ef2 f(C2 、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}}}} ・・・(39) である。
【0123】これらの各係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められるが、ここでは、係数の決定手法を限定しない。
また、この例は、単なる一例に過ぎず、q系やp系が任
意の次数の場合も次数が拡大するのみで同様である。
【0124】ここで、コンテキストモデル手法について
説明する。コンテキストモデル手法は、画像の周辺画素
から得られるコンテキストに基づいて適応的に処理を行
なう手法である。一般に、z近傍の入力要素izのコン
テキストとして、z近傍の濃度勾配等があるが、ここで
は、コンテキストを抽出する方法は限定しない。
【0125】コンテキストの種類をCrとし、量子化数
をCqとすれば、全てのコンテキスト数Ctは、
【0126】
【数40】 Ct=Cr×Cq ・・・(40) となる。濃度勾配の場合には、正負の勾配パターンの類
似性からコンテキストの半減化が知られているが、これ
らの方法を限定しない。ここでは、多段変換の途中にて
得られる適当なデータからコンテキストを決定する。
【0127】ここで、式(36)及び式(37)に含ま
れる
【0128】
【数41】 h1p=ap11ip+ap12ip2={A1p、Ip}、 h2p=ap21ip+ap22ip2={A2p、Ip}・・・(41) からコンテキストモデル補正を行なう例を示す。
【0129】HP=(h1p、h2p)からコンテキス
トを抽出し、量子化する。このHpの濃度勾配Δpか
ら、pのz近傍の勾配Δpzとその隣接係数組を(Hp
z、Hpz’)とすれば、半減処理を絶対値表現(||
で囲む)で示し、コンテキスト反転符号をPCで表現し
て、
【0130】
【数42】 Δpz=Hpz−Hpz’ ・・・(42) となり、コンテキストCtsは、Cts=Δpzとな
る。反転符号を用いる場合は、PC=Sign{Δp
z}とし、Cts=|Δpz|となる。例えば、Hpの
周辺3点(z1、z2、z3)の場合、
【0131】
【数43】 Δpz1=Hpz1−Hpz2’、 Δpz2=Hpz2−Hpz3’ ・・・(43) の組Ctxがコンテキスト組になる。この例の場合、C
tx=(Δpz1、Δp2)である。
【0132】反転符号を用いる場合は、これが全ての反
転の場合に、PC=−1(通常はpc=1)とすると、
Ctx=(|Δpz1|、|Δp2|)である。反転符
号を用いる場合は、コンテキストの数Ctが特に多い場
合である。ここでは、反転符号を用いるかどうかを限定
しない。
【0133】量子化は、全体のエントロピーができるだ
け小さくなるような特性と処理が容易なコンテキストの
量子化数のトレードオフによって適宜決定される。すな
わち、コンテキストの量子化数を多くすれば正確なコン
テキスト制御が可能となりエントロピーを小さくするこ
とができるが、処理が複雑になる。一方、コンテキスト
の量子化数を少なくすれば処理は容易になるが、正確な
コンテキスト制御が難しくなる。ここでは、その決定方
法を限定しない。
【0134】また、多段変換に利用されるコンテキスト
補正係数Cは、それぞれのコンテキスト組Ctxと、そ
のときの多段変換出力RM{Dq}の値とに応じて増減
制御される係数である。反転符号を用いる場合には、C
にPCが掛けられる。
【0135】上記の説明の例は、Hpを利用した場合で
あるが、コンテキスト抽出のための周辺要素は、マルチ
多段変換の途中で得られる適当なデータから適宜決定さ
れる。
【0136】エントロピー符号化手段102は、コンテ
キストマルチ多段変換手段101によって変換が施され
た変換データDqを、ハフマン符号や算術符号等のエン
トロピー符号化手法で符号化する。コンテキストモデル
を含む場合には、それに適応する符号化手法であること
が望ましい。従来、コンテキストモデルを利用したエン
トロピー符号化手法は周知であるため、ここでは、これ
らの手法を適宜選択することとし、限定しない。
【0137】符号化は、式(27)に適当なコンテキス
ト制御Ct_xを加え、
【0138】
【数44】 OutCode=Entr(Dq_x、Ct_x) ・・・(44) となる。
【0139】また、実施例1−1の画像伸張装置による
復号化は、式(28)に適当なコンテキスト制御Ct_
xを加え、
【0140】
【数45】 Dq_x=Entr-1(OutCode、Ct_x) ・・・(45) となる。
【0141】また、必要に応じて、コンテキスト制御が
加味されない式(27)及び式(28)を用いてもよ
い。このような構成の実施例1−1の画像圧縮装置の動
作について説明する。
【0142】実施例1−1の画像圧縮装置では、コンテ
キストマルチ多段変換手段101にデジタル画像信号が
入力すると、多段変換、コンテキスト抽出と補正処理が
関連して行なわれる。まず、任意の領域ごとにデジタル
画像信号に応じて得られる要素に基づいて、式(30)
のマルチ多段変換関数を算出する。コンテキストによる
補正は、算出されたマルチ多段変換関数を用いた多段変
換の任意の段において行なわれる。エントロピー符号化
手段102では、コンテキストマルチ多段変換手段10
1から入力した変換データに対して、式(44)に示し
たコンテキスト適応型のエントロピー符号化を施し、圧
縮コードを生成する。
【0143】実施例1−1の画像伸張装置は、画像圧縮
装置とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエン
トロピー復号を施した後、式(31)に表された多段逆
変換、コンテキスト抽出とそのコンテキストを用いた補
正処理とを関連して行なって、もとのデジタル画像信号
に伸張する。
【0144】このように、実施例の1−1の画像圧縮装
置によれば、実施例1のマルチ多段変換による変換ごと
にエントロピーが減少していくのに加えて、コンテキス
トを抽出し、抽出したコンテキストに基づく補正を行な
うため、実施例1の画像圧縮装置よりもさらにエントロ
ピーを減少させることができる。これをエントロピー符
号化手段により符号化すれば、高い圧縮性能が得られ
る。
【0145】次に、実施例1−1の画像圧縮方法及び画
像伸張方法について説明する。図10は、実施例1−1
の画像圧縮方法のフローチャートである。画像圧縮処理
が開始され(S131)、初めに初期化処理が行なわれ
る(S132)。初期化処理では、コンテキストごと
に、マルチ多段変換値類型配列Sum[s][Cn]、
コンテキストのヒストグラム配列His[Cn]、補正
値配列Corr[Cn]、(sはモードパラメータ、C
nはコンテキストの組によって得られるコンテキスト番
号)をそれぞれ初期化する。その他、必要に応じて、画
像の端処理や、系のパラメータの初期化を行なう。
【0146】次に、ある任意の領域について、コンテキ
スト補正が加味されたマルチ多段変換処理が行なわれる
(S133)。ここでは、マルチ多段変換と、コンテキ
ストの抽出と補正処理と、が関連して行なわれる。ある
場所、xにおいて、符号化の場合には、入力画素I_x
からのマルチ多段変換Dq_x(式(30)または式
(11))を求める。この多段変換処理の途中で、コン
テキストの抽出とコンテキストによる補正が行なわれ
る。コンテキストによる補正C_x(xにおけるC)
は、マルチ多段変換の途中で得られる適当なデータにお
ける周辺要素から得られるコンテキストから算出され
る。C_xは、コンテキスト番号によって与えられるx
に関する補正値配列Corr_x[Cn]である。
【0147】次に、コンテキスト適応処理が加味された
マルチ多段変換処理により生成された変換データにエン
トロピー符号化処理を行なう(S134)。エントロピ
ー符号化処理では、変換データのエントロピー符号化の
際に、適当なコンテキスト制御が加わった式(44)の
処理が行なわれ、圧縮コードが出力される。このとき、
コンテキスト制御が加わらない式(27)によりエント
ロピー符号化を行なうとしてもよい。
【0148】次に、コンテキスト変数の更新計算(S1
35)が行なわれる。コンテキスト変数の更新計算で
は、上記の説明の変数、マルチ多段変換値累計Sum
[s][Cn]及びヒストグラムHis[Cn]の計算
が行なわれ、値が更新される。さらに、適当な補正関数
Correct()によって補正値の計算が行なわれ
る。補正値の計算は、
【0149】
【数46】 Corr_x[Cn]=Correct(Cn、Sum[s][Cn]、H [Cn]) ・・・(46) である。その他、必要な系のパラメータが更新される。
【0150】次に、画像の終わりまで処理が行なわれた
か否かを判定し(S136)、終わりであれば処理を終
了する(S137)。終わりでなければ、S133に戻
って、次の入力画素の処理を繰り返す。
【0151】実施例1−1の画像伸張方法では、画像圧
縮方法とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエ
ントロピー復号を施した後、式(31)に表された多段
逆変換、コンテキスト抽出とそのコンテキストを用いた
補正処理を行なって、もとのデジタル画像信号に伸張す
る。
【0152】このように、実施例1−1の画像圧縮方法
と画像伸張方法では、マルチ多段変換にコンテキストモ
デリングによる補正を加味することにより、さらに、画
像のエントロピーを減少させることが可能となる。この
結果、画像のリバーシブル圧縮性能がさらに向上する。
【0153】さらに、実施例1−1の画像圧縮装置及び
画像伸張装置に用いたコンテキストモデルを、適応型の
コンテキストモデル手法にすることもできる。以下、実
施例1−1のコンテキストモデル手法にコンテキストの
適応量子化を行なった適応型コンテキストモデル手法に
したものを実施例1−2の画像圧縮装置と画像伸張装置
とする。実施例1−2の画像圧縮装置と画像伸張装置の
基本的な構成及び動作は、実施例1及び実施例1−1と
同じである。
【0154】図11は、実施例1−2の画像圧縮装置の
構成図である。図1、図9と同じものには同じ番号を付
し、説明は省略する。実施例1−2の画像圧縮装置は、
実施例1−1の画像圧縮装置のコンテキスト符号化手段
100を適応型コンテキストにしたものである。図示し
ないが、実施例1−2の画像伸張装置も、実施例1−2
の画像伸張装置を適応型コンテキストにしたものであ
る。
【0155】実施例1−2の画像圧縮装置は、適応型コ
ンテキストモデル手法に従ってデジタル画像信号を符号
化する適応コンテキスト符号化手段110によって、圧
縮コードを生成する。適応コンテキスト符号化手段11
0は、マルチ多段変換に適応量子化したコンテキスト補
正が加味された適応コンテキストマルチ多段変換手段1
11と、同様にコンテキストによる適応処理が加味され
たエントロピー符号化手段102と、から構成される。
【0156】適応コンテキスト符号化手段110は、コ
ンテキストの量子化が固定的であった実施例1−1の画
像圧縮装置のコンテキスト符号化手段100に対し、コ
ンテキストの量子化を画像の特性に応じて可変にするこ
とにより、より正確なコンテキスト制御と補正を行な
う。
【0157】適応コンテキストマルチ多段変換手段11
1は、実施例1−1の画像圧縮装置のコンテキスト符号
化手段100に、コンテキストの適応量子化が加味され
ている。すなわち、コンテキスト補正係数Cが画像の特
性eに応じて量子化レベルCQを可変にする。このた
め、コンテキスト補正係数Cは、eとCQの関数、C
(e、CQ)になる。式で表すと、実施例1−1の画像
圧縮装置のコンテキスト補正係数Cが加味された式(3
0)のマルチ多段変換関数のCがC(e、CQ)で表さ
れ、
【0158】
【数47】 Dq=RM{round{f(Iq、RM{round{f(C(e、CQ )、Ip、RM{round{f(Aq、Iq、RM{round{f(Ap、 Ip)}})}})}})}} ・・・(47) である。C(e、CQ)の位置は、任意の段に設定され
るが、複雑さを少なくするためには、補正を最後の段の
手前で行なうのが合理的である。変換処理は、右から、
すなわち内側から順に1段ごとに行なわれる。
【0159】画像伸張装置による逆変換は、それぞれの
変換にて可逆性が保存されているために、fの逆関数を
-1で示せば、
【0160】
【数48】 Dq-1=RM{round{f-1(Iq、RM{round{f-1(C(e 、CQ)、Ip、RM{round{f-1(Aq、Iq、RM{round{f -1 (Ap、Ip)}})}})}})}} ・・・(48) である。ただし、f≡f-1が成立する場合も含み、処理
の方向は逆である。
【0161】また、コンテキストマルチ多段変換関数の
実用型である3段変換の式(32)、2段変換の式(3
3)、片2段変換の式(34)及び直接変換の式(3
5)のコンテキスト補正係数Cも同様にC(e、CQ)
置き換えて、適応量子化することができる。
【0162】続いて、実施例1−1と同様に、2つのマ
ルチ多段変換の例を示す。3段変換の例として、式(3
6)のコンテキスト補正係数C1を適応量子化されたコ
ンテキスト補正係数C1(e1、CQ1)に置き換える
と、
【0163】
【数49】 RM{round{f(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f(A1p 、Ip))}}=RM{round{f(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq 、h1p)}} ・・・(49) が得られる。ここで、(C1(e1、CQ1)、Iq、
h1p)の関係を線形結合とし、対応する結合係数を
(dc1、diq1、dh1p)とすれば、
【0164】
【数50】 RM{round{f(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f(A1p 、Ip))}}=RM{round{dc1C1(e1、CQ1)+diq1( aq11iq1+aq12iq2)+dh1p(ap11ip1+ap12ip 2)}} ・・・(50) であり、さらに次の線形結合を、(Eiq、E)、Ef
=(ef1、ef2)、Eiq=(E1iq、E2i
q)=((eiq11、eiq12)、(eiq21、
eiq22))結合として、
【0165】
【数51】 RM{D1q3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f( C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}})}}=RM {round{(eiq11iq1+eiq12iq2)+RM{round{ ef1 f(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}} }} ・・・(51) となる。他の1つのRM{D2q3}も同様に、
【0166】
【数52】 RM{D2q3}=RM{round{f(Iq、RM{round{f( C2(e2、CQ2)、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}})}}=RM {round{(eiq21iq1+eiq22iq2)+RM{round{ ef2 f(C2(e2、CQ2)、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}} }} ・・・(52) である。
【0167】これらの各係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められるが、ここでは、係数の決定手法を限定しない。
また、この例は、単なる一例に過ぎず、q系やp系が任
意の次数の場合も次数が拡大するのみで同様である。
【0168】ここで、コンテキストモデルにおける適応
量子化について説明する。量子化は、全体のエントロピ
ーができるだけ小さくなるような特性と、処理が容易な
コンテキスト数のトレードオフによって適宜決定され
る。実施例1−2の適応コンテキストモデルでは、この
決定方法において、画像の特性に応じた可変処理を行な
う。
【0169】コンテキストの種類をCr、量子化数をC
qとした場合、実施例1−1のコンテキストモデルにお
ける全てのコンテキスト数Ctは、式(40)で表され
たが、実施例1−2の適応コンテキストモデルの場合に
は、画像の特性eに応じて量子化レベルCQと量子化数
Cpが可変になり、従ってCtも可変になる。つまり、
式上では、Cpがe、CQの関数になり、
【0170】
【数53】 Ct=Cr×Cp(e、CQ) ・・・(53) となる。実施例1−2では、マルチ多段変換の途中にて
得られる適当なデータからコンテキストを決定する。式
(41)で示された実施例1−1のh1p、h2pから
適応コンテキストモデル補正を行なう例を示す。
【0171】実施例1−1と同様、HP=(h1p、h
2p)からコンテキストを抽出し、量子化する。実施例
1−1と同様に、Hpの周辺3点(z1、z2、z3)
の場合、コンテキスト組Ctxは、式(43)になり、
Ctx=(Δpz1、Δpz2)である。
【0172】ここで、初期の量子化数Cqを3、その各
量子化レベルをCQ(cq1、cq2、cq3)とすれ
ば、その周辺画像や周辺変換係数の特性(エントロピー
分布、テクスチャ特性、ノイズ分布性等)に応じてこの
レベルを可変にする。例えば、周辺のノイジー分布が大
ならば、cq1、cq2、cq3の間隔を大きくする。
さらに、これらの特性に応じてCqをも可変にする。例
えば、周辺がノイジーな分布ならば、Cqを大きくす
る。
【0173】図12は、適応量子化の例である。(1)
初期化状態では、量子化レベルcq1、cq2、cq3
の間隔は同じに設定されている。(2)レベル可変適応
では、周辺画素や周辺変換係数の特性に応じてレベルを
可変にして適応させており、cq1、cq2、cq3の
間隔が異なっている。(3)量子化数可変適応では、さ
らに、量子化数Cqを可変にして適応させており、Cq
数を5に増やし、それぞれの量子化レベルを可変に適応
させている。
【0174】このように、量子化数と量子化レベルが可
変に適応すると、コンテキストCtxは、CqとCQの
関数になり、
【0175】
【数54】 Ctx=(Δpz1(Cq、CQ)、Δpz2(Cq、CQ))、 Ct=2×Cp(e、CQ) ・・・(54) となる。決定時には、周辺の特性を何らかの分布で計算
する場合のみならず、定量化可能なあらゆる周辺特性を
利用するとし、特性計算の特定はしない。
【0176】エントロピー符号化手段102は、適応コ
ンテキストマルチ多段変換手段111によって変換が施
された変換データを適当なコンテキスト制御が加えられ
たエントロピー符号化で符号化する。その符号化処理
は、実施例1−1と同様に、式(44)で示された処理
が行なわれる。また、必要に応じて、コンテキスト制御
が加わらない式(27)で示したエントロピー符号化処
理を行なうとしてもよい。
【0177】また、実施例1−2の画像伸張装置による
エントロピー復号は、実施例1−1と同様に、式(4
5)に示されたコンテキスト制御が加味された復号処理
が行なわれる。画像圧縮装置が式(27)で表されるコ
ンテキスト制御を加味しないエントロピー符号化を行な
った場合は、式(28)で示したエントロピー復号を行
なう。
【0178】このような構成の実施例1−2の画像圧縮
装置の動作について図11に戻って説明する。実施例1
−2の画像圧縮装置では、適応コンテキストマルチ多段
変換手段111にデジタル画像信号が入力すると、多段
変換、コンテキスト抽出と量子化、及び抽出されたコン
テキストを用いた補正処理が関連して行なわれる。ま
ず、任意の領域ごとにデジタル画像信号に応じて得られ
る要素に基づいて、式(47)のマルチ多段変換関数を
算出する。コンテキストの抽出とその量子化、及び抽出
されたコンテキストを用いた補正は、算出されたマルチ
多段変換関数を用いた多段変換の任意の段階において行
なわれる。エントロピー符号化手段102では、適応コ
ンテキストマルチ多段変換手段111から入力した変換
データに対して、式(44)に示したコンテキスト適応
型のエントロピー符号化を施し、圧縮コードを生成す
る。
【0179】実施例1−2の画像伸張装置は、画像圧縮
装置とは逆に、圧縮コードを入力し、実施例1−1と同
様のエントロピー復号を施した後、式(48)に表され
たマルチ多段逆変換、適応コンテキストの抽出と適応量
子化、及び抽出されたコンテキストを用いた補正処理を
関連して行なって、もとのデジタル画像信号に伸張す
る。
【0180】このように、実施例1−2の画像圧縮装置
は、実施例1−1のコンテキスト補正において、コンテ
キストを周辺画像や周辺変換係数の特性に応じて適応量
子化することにより、実施例1−1の画像圧縮装置より
さらにエントロピーを減少させることができる。
【0181】次に、実施例1−2の画像圧縮方法及び画
像伸張方法について説明する。図13は、実施例1−2
の画像圧縮方法のフローチャートである。画像圧縮処理
が開始され(S141)、初めに初期化処理が行なわれ
る(S142)。初期化処理では、コンテキストごと
に、マルチ多段変換値類型配列Sum[s][Cn]
(sはモードパラメータ、Cnはコンテキストの組によ
って得られるコンテキスト可変番号n(r、m)、rは
種類番号、mはレベル番号)と、コンテキストの可変量
子化レベルCQ(cq1、・・・、cqm)と、コンテキ
ストのヒストグラム配列His[Cn]と、補正値配列
Corr[Cn]と、をそれぞれ初期化する。その他、
必要に応じて、画像の端処理や、系のパラメータの初期
化を行なう。
【0182】次に、ある任意の領域について、適応コン
テキスト抽出と抽出されたコンテキストによるコンテキ
スト補正とが加味されたマルチ多段変換処理が行なわれ
る(S143)。ここでは、マルチ多段変換と、適応コ
ンテキストの抽出と量子化及びコンテキスト補正処理
と、が関連して行なわれる。ある場所、xにおいて、符
号化の場合には、入力画素I_xからのマルチ多段変換
Dq_x(式(47))を求める。この多段変換処理の
途中で、適応コンテキストの抽出と量子化、及び抽出さ
れたコンテキストによる補正が行なわれる。コンテキス
トによる補正C_x(xにおけるC)は、マルチ多段変
換の途中で得られる適当なデータにおける周辺要素から
得られるコンテキストから算出される。C_xは、コン
テキスト番号によって与えられるxに関する補正値配列
Corr_x[Cn]である。マルチ多段変換の適当な
段にて、コンテキストを抽出し、適当な周辺画像や周辺
変換係数の特性に応じて、量子化レベルとコンテキスト
量子化数を可変に設定する。
【0183】次に、コンテキスト適応処理が加味された
マルチ多段変換処理により生成された変換データにエン
トロピー符号化処理を行なう(S144)。エントロピ
ー符号化処理では、式(44)に示したように、変換デ
ータのエントロピー符号化の際に、適当なコンテキスト
制御が加わった処理が行なわれ、圧縮コードが出力され
る。このとき、コンテキスト制御が加わらない式(2
7)によりエントロピー符号化を行なうとしてもよい。
【0184】次に、コンテキスト変数の更新計算(S1
45)が行なわれる。コンテキスト変数の更新計算で
は、上記の説明の変数、マルチ多段変換値累計Sum
[s][Cn]及びヒストグラムHis[Cn]の計算
が行なわれ、値が更新される。さらに、適当な補正関数
Correct()によって補正値の計算が行なわれ
る。補正値の計算は、式(46)によって行なう。その
他、必要な系のパラメータが更新される。
【0185】次に、画像の終わりまで処理が行なわれた
か否かを判定し(S146)、終わりであれば処理を終
了する(S147)。終わりでなければ、S143に戻
って、次の入力画素の処理を繰り返す。
【0186】実施例1−2の画像伸張方法では、画像圧
縮方法とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエ
ントロピー復号を施した後、式(48)に表された多段
逆変換、コンテキスト抽出と適応量子化、及び抽出され
たコンテキストを用いた補正処理を関連して行なって、
もとのデジタル画像信号に伸張する。
【0187】このように、実施例1−2の画像圧縮方法
及び画像伸張方法では、周辺特性に応じて適応量子化さ
れるコンテキストモデリングの補正が加わっており、マ
ルチ多段変換にコンテキストモデリングの補正が加味さ
れた実施例1−1の画像圧縮方法及び画像伸張方法よ
り、さらに画像のエントロピーを減少させることが可能
となる。この結果、画像のリバーシブル圧縮率がさらに
向上する。
【0188】第2の実施の態様として、第1の実施の態
様の基本構成のマルチ多段変換を適応型にした画像圧縮
装置と画像圧縮方法、並びにその画像伸張装置と画像伸
張方法について順に説明する。第2の実施の態様に則し
た適応型のマルチ多段変換を用いた画像圧縮装置と画像
伸張装置を実施例2の画像圧縮装置と画像伸張装置とす
る。実施例2の画像圧縮装置と画像伸張装置の基本的な
構成及び動作は、実施例1と同じである。
【0189】図14は、実施例2の画像圧縮装置の構成
図である。図1と同じものには同じ番号を付し、説明は
省略する。実施例2の画像圧縮装置は、実施例1のマル
チ多段変換手段10のマルチ多段変換関数の各段に重み
付けを行なって適応型に拡張した適応マルチ多段変換手
段50と、エントロピー符号化手段20と、から構成さ
れる。
【0190】適応マルチ多段変換手段50は、実施例1
のマルチ多段変換手段10のマルチ多段変換を重み付け
によって適応させる重み適応マルチ多段変換に拡張した
ものである。重み付けは、各段のエントロピーを評価す
るエントロピー評価関数によって行なう。式(12)に
よって表されたマルチ多段変換関数の関数fを適応関数
Fへ置き換えする。適応数aに応じた代表適応関数をF
a()として、式(12)を書き換えれば、
【0191】
【数55】 Dq=RM{round{Fa(Iq、RM{round{Fa(Ip、R M{round{Fa(Aq、Iq、RM{round{Fa(Ap、Ip)} })}})}})}} ・・・(55) となる。
【0192】ここで、それぞれの段の代表適応関数Fa
()は、それぞれの個々の適応関数fa()によって計
算される。一般化すれば、適応数aにおけるそれぞれの
β個のbの重み適応である重み適応係数Wabの適応関
数fab()の線形結合にて、
【0193】
【数56】 Fa()=[b=1toβ]ΣWabfab()/([b=1toβ]ΣW ab) ・・・(56) である。Wabは、aにおけるb個目の重み適応係数で
あり、各fabにおけるエントロピー評価関数Eabに
て、
【0194】
【数57】 Wab=([b=1toβ]Σ(Eab()+1)/(Eab()+1) ・・・(57) で与えられる。式(56)のEab関数は、予め適宜決
定しておく。式(55)で示された適応マルチ多段変換
関数の中の各段のFa()にて固有の式(56)、式
(57)が存在する。
【0195】つまり、各段の適応変換係数がエントロピ
ー評価関数を重みとして適応処理されるのである。マル
チ多段変換によって、変換段ごとにエントロピーが減少
する。そこで、エントロピーが減少する変換ほど重み付
けする原理である。この原理にて、変換出力がエントロ
ピーに関係する場合に、その変換出力は、再帰的に重み
適応可能であることを意味する。すなわち、第2の実施
の態様では、エントロピーを直接、または間接に表す変
換出力を利用して重み演算することが簡素で実用的とな
る。
【0196】各段における重みを適宜1つに限定すれ
ば、各段にて重み適応処理を行なわないマルチ多段変換
関数の一般式に一致する。従って、適当な段にて唯一の
適応処理することが最も簡単な本適応手法となり、全段
に適応処理を行なえば最も複雑な適応処理となる。この
設定は任意であり、処理速度と性能にて適宜決定すれば
よい。ちなみに、最後の段で唯一の適応処理を行なった
場合には、適応数aが1となり、式(55)、式(5
6)及び式(57)は、それぞれ、次式になる。
【0197】
【数58】 Dq=RM{round{F(Iq、RM{round{f(Ip、RM{ round{(Aq、Iq、RM{round{(Ap、Ip)}})}})} })}}、 F()=[b=1toβ]ΣWbfab()/([b=1toβ]ΣWb) 、 Wb=([b=1toβ]ΣEb()+1/(Eb()+1)・・・(58) もちろん、マルチ多段変換関数の実用型である3段変換
の式(13)、2段変換の式(14)、片2段変換の式
(15)及び直接変換の式(16)の関数fを上記説明
と同様に適応関数Fへ置き換えすれば、適応マルチ多段
変換における実用型の変換が得られる。適応数aに応じ
た代表適応関数をFaとして、式(13)、式(1
4)、式(15)及び式(16)を書き換えれば、それ
ぞれ、次式のようになる。
【0198】
【数59】 RM{Dq3}=RM{round{Fa(Iq、RM{round{Fa (Aq、Iq、RM{round{Fa(Ap、Ip)}})}})}}、 RM{Dq2}=RM{round{Fa(RM{round{Fa(Aq 、Iq)}}、RM{round{Fa(Ap、Ip)}})}}、 RM{Dq22}=RM{round{Fa(Aq、Iq、RM{roun d{Fa(Ap、Ip)}})}}、 RM{Dq1}=RM{round{Fa(Aq、Iq、Ap、Ip)}} ・・・(59) 続いて、実施例1と同様に、2つのマルチ多段変換の例
を示す。3段変換の例として、式(16)のように置く
と、式(18)及び式(19)とから式(20)が得ら
れる。簡素な例として最後の段にて唯一の適応処理する
場合には、適応処理をF{f()}と表現して、式(2
0)は、
【0199】
【数60】 RM{round{F{f1(A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}} =RM{round{F{f(A1q、Iq、h1p)}}} ・・・(60) が得られる。
【0200】ここで、(Iq、h1p)の関係を線形結
合とし、対応する結合係数を(diq1、dh1p)と
すれば、
【0201】
【数61】 RM{round{F1{f1(A1q、Iq、f(A1p、Ip))}} }=RM{round{F1{diq1(aq11iq1+aq12iq2)+ dh1p(ap11ip1+ap12ip2)}}} ・・・(61) であり、さらに次の線形結合を、(Eiq、E)、Ef
=(ef1、ef2)、Eiq=(E1iq、E2i
q)=((eiq11、eiq12)、(eiq21、
eiq22))結合として、
【0202】
【数62】 RM{D1q3}=RM{round{F1{f1(Iq、RM{roun d{f(A1q、Iq、f(A1p、Ip))}})}}}=RM{round {F1{(eiq11iq1+eiq12iq2)+RM{round{ef1 f(A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}}}} ・・・(62) となる。この最後の段のf1をf1bに拡張して、間接
エントロピーの評価を等直な評価関数Ef1b()で行
なえば、
【0203】
【数63】 F1()=[b=1toβ]ΣW1bf1b()/([b=1toβ]ΣW 1b)、 W1b=([b=1toβ]ΣEf1b()+1/(Ef1b()+1) ・・・(63) となる。
【0204】他の1つのRM{D2q3}も同様に、
【0205】
【数64】 RM{D2q3}=RM{round{F2{f2(Iq、RM{roun d{f(A2q、Iq、f(A2p、Ip))}})}}}=RM{round {F2{(eiq21iq1+eiq22iq2)+RM{round{ef2 f(A2q、Iq、f(A2p、Ip))}}}}}、 F2()=[b=1toβ]ΣW2bf2b()/([b=1toβ]ΣW 2b)、 W2b=([b=1toβ]ΣEf2b()+1/(Ef2b()+1) ・・・(64) である。
【0206】これらの各係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められるが、ここでは、係数の決定手法を限定しない。
また、この例は、単なる一例に過ぎず、q系やp系が任
意の次数の場合も次数が拡大するのみで同様である。
【0207】エントロピー符号化手段20は、実施例1
と同様に、適応マルチ多段変換手段50により生成され
た変換データDqを入力し、所定のエントロピー符号化
手法によって符号化を行ない、圧縮コードを生成する。
エントロピー符号化は、式(27)によって表される。
【0208】このような構成の実施例2の画像圧縮装置
の動作について説明する。実施例2の画像圧縮装置で
は、適応マルチ多段変換手段50にデジタル画像信号が
入力すると、多段変換、重み適応処理が関連して行なわ
れる。ある場所xにおいて、入力画素I_xから式(5
5)の適応マルチ多段変換関数を算出する。エントロピ
ー評価関数に基づく重み適応処理は、適応マルチ多段変
換の各段、あるいは、任意の段において適宜行なわれ
る。それぞれの段の重み適応関数は、式(56)及び式
(57)によって算出される。エントロピー符号化手段
20では、適応マルチ多段変換手段50から入力した変
換データに対して、式(27)によるエントロピー符号
化を施し、圧縮コードを生成する。
【0209】このように、実施例2の画像圧縮装置によ
れば、マルチ多段変換ごとにエントロピーが減少してい
くのに加えて、エントロピー評価関数を用いた重み適応
処理が行なわれるため、実施例1の画像圧縮装置よりも
さらにエントロピーの減少効果が大きくなる。従って、
この出力をエントロピー符号化手段で符号化すれば、高
い圧縮性能が得られる。
【0210】次に、実施例2における画像圧縮方法につ
いて説明する。図15は、実施例2の画像圧縮方法のフ
ローチャートである。画像圧縮処理が開始され(S21
1)、初めに初期化処理が行なわれる(S212)。初
期化処理では、画像の端処理や系のパラメータの初期化
等を必要に応じて行なう。次に、デジタル画像信号のあ
る任意の領域において、エントロピー評価関数に基づい
てマルチ多段変換の任意の段を重み付けした適応マルチ
多段変換処理を行なう(S213)。適応マルチ多段変
換処理では、多段変換と重み適応処理が関連して行なわ
れる。入力画素I_x(xは任意の整数)から、xにお
けるマルチ多段変換関数Dq_x(xにおける式(5
5))を算出し、算出されたマルチ多段変換関数Dq_
xを用いて、入力画素I_xに変換を施す。続いて、変
換が施されてエントロピーが減少した変換データにエン
トロピー符号化処理を行ない(S214)、圧縮コード
を出力する。次に、入力画素I_xが画像の終わりであ
るか否かを判定し(S215)、終わりであれば処理を
終了する(S216)。終わりでなければ、S213に
戻って、次の入力画素の処理を繰り返す。
【0211】このように、実施例2の画像圧縮方法によ
れば、マルチ多段変換に加えてエントロピー評価関数を
用いた重み適応処理が行なわれるため、実施例1の画像
圧縮装置よりもさらにエントロピーの減少効果が大きく
なる。このようにエントロピーが減少した変換データを
適当なエントロピー符号化手法で符号化すれば、高い圧
縮性能が得られる。
【0212】次に、実施例2の画像圧縮装置により圧縮
された圧縮画像データを伸張する実施例2の画像伸張装
置について説明する。図16は、実施例2の画像伸張装
置の構成図である。図7と同じものには同じ番号を付
し、説明は省略する。実施例2の画像伸張装置は、実施
例2の画像圧縮装置により圧縮された圧縮コードを入力
し、エントロピー復号を行なうエントロピー復号手段3
0と、適応マルチ多段変換関数の逆関数を用いてエント
ロピー復号が行なわれた復号信号に逆変換を施し、もと
のデジタル画像信号に伸張する適応マルチ多段逆変換手
段60と、から構成される。
【0213】エントロピー復号手段30は、実施例2の
画像圧縮装置により圧縮された圧縮コードを入力し、画
像圧縮装置のエントロピー符号化手段20と同じ一般的
に周知なエントロピー符号化手法を用いてエントロピー
復号を行ない、復号信号を生成する。復号化は、式(2
8)で表される。
【0214】適応マルチ多段変換手段60は、エントロ
ピー復号手段30の生成した復号信号を入力し、圧縮に
用いられた適応マルチ多段変換関数の逆関数を用いて復
号信号に逆変換を施し、もとのデジタル画像信号に伸張
する。逆関数は、それぞれの変換にて可逆性が保存され
ているため、代表適応関数Faの逆関数をFa-1で示せ
ば、適応マルチ多段変換の一般式である式(55)か
ら、
【0215】
【数65】 Dq-1=RM{round{Fa-1(Iq、RM{round{Fa-1(I p、RM{round{Fa-1(Aq、Iq、RM{round{Fa-1(Ap 、Ip)}})}})}})}} ・・・(65) と表される。ただし、f≡f-1が成立する場合も含み、
処理の方向は圧縮の場合と逆である。すなわち、デコー
ドは、左から、すなわち最も外側の関数から順に多段変
換が行なわれる。
【0216】このような構成の画像伸張装置の動作につ
いて説明する。このような構成の画像伸張装置の動作に
ついて説明する。画像圧縮装置によってマルチ多段変換
が施されてエントロピー符号化されたデジタル画像信号
の圧縮コードが、エントロピー復号手段30に入力す
る。エントロピー復号手段30では、圧縮コードにエン
トロピー復号を施し、復号信号を生成する。復号信号
は、適応マルチ多段逆変換手段60へ送られる。適応マ
ルチ多段逆変換手段60は、復号信号に応じて得られる
要素に基づいて、適応マルチ多段変換関数の逆関数であ
る式(65)の係数を決定し、適応マルチ多段逆変換関
数を算出する。係数の決定は、画像圧縮装置の場合と同
様に、一般的に周知な任意の手法で行なう。途中、任意
の段において、エントロピー評価関数に基づく重み適応
処理が行なわれ、算出された適応マルチ多段逆変換関数
を用いて復号信号に逆変換を施す。各変換は可逆性が保
存されているため、圧縮時とは逆の方向に多段変換を行
なうことにより、復号信号は、もとのデジタル画像信号
に逆変換される。このように、画像伸張装置に入力した
圧縮コードは、これらの変換によりロスレスでもとのデ
ジタル画像信号に伸張される。
【0217】続いて、実施例2の画像伸張方法について
説明する。図17は、実施例2の画像伸張方法のフロー
チャートである。画像伸張処理が開始され(S22
1)、初めに初期化処理が行なわれる(S222)。初
期化処理では、系のパラメータの初期化等を必要に応じ
て行なう。続いて、画像圧縮装置によって行なわれた画
像圧縮の単位ごとに、圧縮コードのエントロピー復号処
理が行なわれる(S223)。エントロピー復号処理
は、画像圧縮装置が行なったエントロピー符号化と同じ
手法により、圧縮コードを復号し、復号信号を生成す
る。続いて、復号信号に対して適応マルチ多段逆変換処
理が施される(S224)。適応マルチ多段逆変換処理
では、マルチ多段変換と重み適応処理とが関連付けて行
なわれる。まず、復号信号の要素から適応マルチ多段逆
変換関数Dq-1_x(xにおける式(65))を算出す
る。途中、任意の段において、エントロピー評価関数に
基づく重み適応処理が行なわれる。さらに、算出された
マルチ多段逆変換関数Dq-1_xを用いて、復号信号に
逆変換を施し、もとのデジタル画像信号に伸張し、出力
する。続いて、圧縮コードが画像の終わりであるか否か
を判定し(S225)、終わりであれば処理を終了する
(S226)。終わりでなければ、S223に戻って、
次の圧縮コードの伸張処理を繰り返す。
【0218】このように、実施例2の画像圧縮装置と画
像伸張装置では、実施例1の画像圧縮装置と画像伸張装
置に加え、マルチ多段変換関数に対してエントロピー評
価関数に基づく重み適応処理を行なうことにより、画像
信号のエントロピーをさらに減少させることが可能とな
る。
【0219】実施例2の画像圧縮装置及び画像伸張装置
は、実施例1の場合と同様に、コンテキストモデル手法
を適用することもできる。以下、実施例2の基本構成に
コンテキストモデル手法を適用したものを実施例2−1
の画像圧縮装置と画像伸張装置とする。実施例2−1の
画像圧縮装置と画像伸張装置の適応マルチ多段変換と適
応マルチ多段逆変換の基本的な構成及び動作は、実施例
2と同じである。また、適用するコンテキストモデル手
法は、実施例1−1と同様である。
【0220】図18は、実施例2−1の画像圧縮装置の
構成図である。図9、図14と同じものには同じ番号を
付し、説明は省略する。実施例2−1の画像圧縮装置
は、実施例2の画像圧縮装置の適応マルチ多段変換手段
50及びエントロピー符号化手段20全体をコンテキス
トモデルに適応させている。図示しないが、実施例2−
1の画像伸張装置も、実施例2の画像伸張装置のエント
ロピー復号手段30及び適応マルチ多段逆変換手段60
全体をコンテキストモデルに適応させた構成となる。
【0221】実施例2−1の画像圧縮装置は、コンテキ
ストモデルに従ってデジタル画像信号を符号化するコン
テキスト符号化手段100によって、圧縮コードを生成
する。コンテキスト符号化手段100は、適応マルチ多
段変換手段にコンテキストに基づく適応処理が加味され
たコンテキスト適応マルチ多段変換手段151と、同様
に、コンテキストによる適応処理が加味されたエントロ
ピー符号化手段102と、から構成される。
【0222】コンテキスト符号化手段100は、実施例
1−1と同様に、画像の周辺画素から得られるコンテキ
ストに基づいた適応処理を行なう。コンテキストに基づ
いた適応処理の制御は、圧縮系及び伸張系の全体に及
ぶ。
【0223】コンテキスト適応マルチ多段変換手段15
1は、実施例2の適応マルチ多段変換手段50に、コン
テキストモデルに従ったコンテキスト適応処理が加味さ
れている。すなわち、適応マルチ多段変換関数にコンテ
キストモデルにより得られたコンテキスト補正係数Cが
修飾される。従って、式(55)の適応マルチ多段変換
関数は、コンテキスト補正係数Cが加味され、
【0224】
【数66】 Dq=RM{round{Fa(Iq、RM{round{Fa(C、Ip 、RM{round{Fa(Aq、Iq、RM{round{Fa(Ap、Ip )}})}})}})}} ・・・(66) となる。ここで、それぞれの段の代表適応関数Fa()
は、それぞれの個々の適応関数fa()によって計算さ
れ、実施例2と同様に式(56)によって算出される。
重み適応係数は、エントロピー評価関数Eabを用いて
式(57)によって与えられる。これらの式のエントロ
ピー評価関数Eab関数は、予め決定しておく。また、
Cの位置は、任意の段に設定されるが、複雑さを少なく
するためには、補正を最後の段の手前で行なうのが合理
的である。変換処理は、右から、すなわち内側から順に
1段ごとに行なわれる。
【0225】実施例2と同様に、各段における重みを1
つに限定すれば、各段にて重み適応処理を行なわない実
施例1−1のコンテキスト適応処理が加味されたマルチ
多段変換処理になる。従って、適当な段にて唯一の適応
処理することが最も簡単な本適応手法となり、全段に適
応処理を行なえば最も複雑な適応処理となる。この設定
は任意であり、処理速度と性能にて適宜決定すればよ
い。ちなみに、最後の段で唯一の適応処理を行なった場
合には、適応数aが1となり、式(66)、式(56)
及び式(57)は、それぞれ、次式になる。
【0226】
【数67】 Dq=RM{round{F(Iq、RM{round{f(C、Ip、R M{round{(Aq、Iq、RM{round{(Ap、Ip)}})}} )}})}}、 F()=[b=1toβ]ΣWbfab()/([b=1toβ]ΣWb) 、 Wb=([b=1toβ]ΣEb()+1/(Eb()+1)・・・(67) 画像伸張装置による逆変換は、それぞれの変換にて可逆
性が保存されているために、fの逆関数をf-1で示せ
ば、式(65)より、
【0227】
【数68】 Dq-1=RM{round{Fa-1(Iq、RM{round{Fa-1(C 、Ip、RM{round{Fa-1(Aq、Iq、RM{round{Fa-1( Ap、Ip)}})}})}})}} ・・・(68) と表される。ただし、f≡f-1が成立する場合も含み、
処理の方向は圧縮の場合と逆である。すなわち、デコー
ドは、左から、すなわち最も外側の関数から順に多段変
換が行なわれる。
【0228】また、適応マルチ多段変換関数の実用型で
ある3段変換、2段変換、片2段変換及び直接変換の式
(59)に、コンテキスト補正係数Cを加えることによ
り、コンテキスト適応処理を加味することができる。
【0229】続いて、実施例2と同様に、2つのマルチ
多段変換の例を示す。3段変換の例として、式(17)
のように置くと、式(18)及び式(19)とから式
(20)が得られる。これに重み適応処理が加味された
実施例2において、最後の段にて唯一の適応処理する場
合の式(60)にコンテキスト補正係数Cを加えてコン
テキスト適応処理を加味し、
【0230】
【数69】 RM{round{F{f1(C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip)) }}}=RM{round{F{f1(C1、A1q、Iq、h1p)}}} ・・・(69) となる。
【0231】ここで、(C1、Iq、h1p)の関係を
線形結合とし、対応する結合係数を(dc1、diq
1、dh1p)とすれば、
【0232】
【数70】 RM{round{F1{f1(C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip) )}}}=RM{round{F1{dc1C1+diq1(aq11iq1+ aq12iq2)+dh1p(ap11ip1+ap12ip2)}}} ・・・(70) であり、さらに次の線形結合を、(Eiq、E)、Ef
=(ef1、ef2)、Eiq=(E1iq、E2i
q)=((eiq11、eiq12)、(eiq21、
eiq22))結合として、
【0233】
【数71】 RM{D1q3}=RM{round{F1{f1(Iq、RM{roun d{f(C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}})}}}=RM{ro und{F1{(eiq11iq1+eiq12iq2)+RM{round{ ef1 f(C1、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}}}}}・・(71) となる。この最後の段のf1をf1bに拡張して、間接
エントロピーの評価を等直な評価関数Ef1b()で行
なえば、実施例2と同様に、式(63)が得られる。
【0234】他の1つのRM{D2q3}も同様に、
【0235】
【数72】 RM{D2q3}=RM{round{F2{f2(Iq、RM{roun d{f(C2、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}})}}}=RM{ro und{F2{(eiq21iq1+eiq22iq2)+RM{round{ ef2 f(C2、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}}}}}、 F2()=[b=1toβ]ΣW2bf2b()/([b=1toβ]ΣW 2b)、 W2b=([b=1toβ]ΣEf2b()+1/(Ef2b()+1) ・・・(72) である。
【0236】これらの各係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められるが、ここでは、係数の決定手法を限定しない。
また、この例は、単なる一例に過ぎず、q系やp系が任
意の次数の場合も次数が拡大するのみで同様である。
【0237】上記の説明の実施例2−1に用いられてい
るコンテキストモデル手法は、実施例1−1において説
明した手法と同じであるので、その詳細は省略する。エ
ントロピー符号化手段102は、コンテキスト適応マル
チ多段変換手段151によって変換が施された変換デー
タを適当なコンテキスト制御が加えられたエントロピー
符号化で符号化する。その符号化処理は、実施例1−1
と同様に、式(44)で示された処理が行なわれる。ま
た、必要に応じて、コンテキスト制御が加わらない式
(27)で示したエントロピー符号化処理を行なうとし
てもよい。
【0238】また、実施例2−1の画像伸張装置による
エントロピー復号は、実施例1−1と同様に、式(4
5)に示された復号処理が行なわれる。画像圧縮装置が
式(27)で表されるコンテキスト制御を加味しないエ
ントロピー符号化を行なった場合は、式(28)で示し
たエントロピー復号を行なう。
【0239】このような構成の実施例2−1の画像圧縮
装置の動作について説明する。実施例2−1の画像圧縮
装置では、コンテキスト適応マルチ多段変換手段151
にデジタル画像信号が入力すると、多段変換、多段変換
の重み適応処理、コンテキスト抽出、及び抽出されたコ
ンテキストによるコンテキスト補正処理とが関連して行
なわれる。ある場所xにおいて、入力画素I_xから式
(66)のコンテキスト補正が加味された適応マルチ多
段変換関数を算出する。エントロピー評価関数に基づく
重み適応処理は、適応マルチ多段変換の各段、あるい
は、任意の段において適宜行なわれる。それぞれの段の
重み適応関数は、式(56)及び式(57)によって算
出される。また、コンテキストによる補正は、算出され
た適応マルチ多段変換関数を用いた多段変換の任意の段
において行なわれる。エントロピー符号化手段102で
は、コンテキスト適応マルチ多段変換手段151から入
力した変換データに対して、コンテキスト制御が加えら
れた式(44)によるエントロピー符号化を施し、圧縮
コードを生成する。
【0240】実施例2−1の画像伸張装置は、画像圧縮
装置とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエン
トロピー復号を施した後、式(68)に表された多段逆
変換、重み適応処理、コンテキスト抽出と抽出されたコ
ンテキストを用いた補正処理とを関連して行なって、も
とのデジタル画像信号に伸張する。
【0241】このように、実施例の2−1の画像圧縮装
置によれば、実施例2の適応マルチ多段変換による変換
ごとにエントロピーが減少していくのに加えて、コンテ
キストを抽出し、抽出したコンテキストに基づく補正を
行なうため、実施例2の画像圧縮装置よりもさらにエン
トロピーを減少させることができる。従って、この出力
をコンテキスト適応制御されたエントロピー符号化手段
により符号化することにより、高い圧縮性能が得られ
る。
【0242】次に、実施例2−1の画像圧縮方法及び画
像伸張方法について説明する。図19は、実施例2−1
の画像圧縮方法のフローチャートである。画像圧縮処理
が開始され(S231)、初めに初期化処理が行なわれ
る(S232)。初期化処理では、コンテキストごと
に、マルチ多段変換値類型配列Sum[s][Cn]、
コンテキストのヒストグラム配列His[Cn]、補正
値配列Corr[Cn]をそれぞれ初期化する。その
他、必要に応じて、画像の端処理や、系のパラメータの
初期化を行なう。これらは、実施例1−1と同じ処理に
なる。
【0243】次に、ある任意の領域について、多段変
換、重み適応処理、コンテキスト抽出と補正処理とが関
連して行なわれる適応マルチ多段変換処理(コンテキス
ト補正)が行なわれる(S233)。ここでは、マルチ
多段変換と、マルチ多段変換の各段をエントロピー評価
関数により重み付けを行なって適応化させる重み適応処
理、及びコンテキストの抽出と抽出されたコンテキスト
によるコンテキスト補正処理、が関連して行なわれる。
ある場所、xにおいて、符号化の場合には、入力画素I
_xからのマルチ多段変換Dq_x(式(66)あるい
は式(67))を求める。この多段変換処理の途中で、
コンテキストの抽出とコンテキストによる補正が行なわ
れる。コンテキストによる補正C_x(xにおけるC)
は、マルチ多段変換の途中で得られる適当なデータにお
ける周辺要素から得られるコンテキストから算出され
る。C_xは、コンテキスト番号によって与えられるx
に関する補正値配列Corr_x[Cn]である。
【0244】次に、コンテキスト適応処理が加味された
適応マルチ多段変換処理により生成された変換データに
エントロピー符号化処理を行なう(S234)。エント
ロピー符号化処理では、変換データのエントロピー符号
化の際に、適当なコンテキスト制御が加わった式(4
4)の処理が行なわれ、圧縮コードが出力される。この
とき、コンテキスト制御が加わらない式(27)により
エントロピー符号化を行なうとしてもよい。
【0245】次に、コンテキスト変数の更新計算(S2
35)が行なわれる。コンテキスト変数の更新計算で
は、上記の説明の変数、マルチ多段変換値累計Sum
[s][Cn]及びヒストグラムHis[Cn]の計算
が行なわれ、値が更新される。さらに、適当な補正関数
Correct()によって補正値の計算が行なわれ
る。補正値の計算は、式(46)によって与えられる。
【0246】次に、画像の終わりまで処理が行なわれた
か否かを判定し(S236)、終わりであれば処理を終
了する(S237)。終わりでなければ、S233に戻
って、次の入力画素の処理を繰り返す。
【0247】実施例2−1の画像伸張方法では、画像圧
縮方法とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエ
ントロピー復号を施した後、式(68)に表された多段
逆変換、重み適応処理、コンテキスト抽出と、抽出され
たコンテキストを用いた補正処理を行なって、もとのデ
ジタル画像信号に伸張する。
【0248】このように、実施例2−1の画像圧縮方法
と画像伸張方法では、実施例2の重み適応がなされたマ
ルチ多段変換処理にコンテキスト補正を加味することに
より、さらに、画像のエントロピーを減少させることが
可能となる。この結果、画像のリバーシブル圧縮性能が
さらに向上する。
【0249】さらに、実施例2−1の画像圧縮装置及び
画像伸張装置に用いたコンテキストモデルを、適応型の
コンテキストモデル手法にすることもできる。以下、実
施例2−1のコンテキストモデル手法を適応型コンテキ
ストモデル手法にしたものを実施例2−2の画像圧縮装
置と画像伸張装置とする。実施例2−2の画像圧縮装置
と画像伸張装置の基本的な構成及び動作は、実施例2及
び実施例2−1と同じである。また、適応型のコンテキ
ストモデル手法は、実施例1−2と同様である。
【0250】図20は、実施例2−2の画像圧縮装置の
構成図である。図11、図14と同じものには同じ番号
を付し、説明は省略する。実施例2−2の画像圧縮装置
は、実施例2−1の画像圧縮装置のコンテキスト符号化
手段100を適応型コンテキストにしたものである。図
示しないが、実施例2−2の画像伸張装置も、実施例2
−2の画像伸張装置を適応型コンテキスト手法にしたも
のである。
【0251】実施例2−2の画像圧縮装置は、適応型コ
ンテキストモデル手法に従ってデジタル画像信号を符号
化する適応コンテキスト符号化手段110によって、圧
縮コードを生成する。適応コンテキスト符号化手段11
0は、適応マルチ多段変換に適応量子化したコンテキス
ト補正が加味された適応コンテキスト・適応マルチ多段
変換手段152と、同様にコンテキストによる適応処理
が加味されたエントロピー符号化手段102と、から構
成される。
【0252】適応コンテキスト符号化手段110は、コ
ンテキストの量子化を画像の特性に応じて可変にするこ
とにより、より正確なコンテキスト制御と補正を行な
う。基本的な機能は、実施例1−2と同じである。
【0253】適応コンテキスト・適応マルチ多段変換手
段152は、実施例2−1の画像圧縮装置のコンテキス
ト符号化手段100に、実施例1−2と同様のコンテキ
ストの適応量子化が加味されている。すなわち、コンテ
キスト補正係数Cが画像の特性eに応じて量子化レベル
CQを可変にする。式で表すと、実施例2−1の画像圧
縮装置のコンテキスト補正係数Cが加味された式(6
6)の適応マルチ多段変換関数のCが画像の特性eに応
じて量子化レベルCQを可変にする、可変なC(e、C
Q)で表され、
【0254】
【数73】 Dq=RM{round{Fa(Iq、RM{round{Fa(C(e、 CQ)、Ip、RM{round{Fa(Aq、Iq、RM{round{Fa (Ap、Ip)}})}})}})}} ・・・(73) である。ここで、それぞれの段の代表適応関数Fa()
は、それぞれの個々の適応関数fa()によって計算さ
れる。実施例2及び実施例2−1において、式(56)
で与えられた代表適応関数Fa()、及び式(57)に
よって与えられた重み適応係数Wabによって算出され
る重みWが、(e、CQ)による関数W(e、CQ)に
なる。代表適応関数Fa()は、式(56)から、
【0255】
【数74】 Fa((e1、CQ1))=[b=1toβ]ΣWabW(e、CQ)fa b((e1、CQ1))/([b=1toβ]ΣWabW(e、CQ)) ・・・(74) になる。Wab((e、CQ))は、aにおけるb個目
の重み適応係数であり、式(57)から、
【0256】
【数75】 Wab((e、CQ))=([b=1toβ]Σ(Eab((e、CQ)) +1)/(Eab((e、CQ))+1) ・・・(75) になる。ただし、ある段の重み計算の対象係数が重み適
応処理の内部で(e、CQ)に無関係な場合には、
(e、CQ)の関数とはならず、式(56)及び式(5
7)によって算出する。
【0257】また、式(73)において、C(e、C
Q)の位置は、任意の段に設定されるが、複雑さを少な
くするためには、補正を最後の段の手前で行なうのが合
理的である。変換処理は、右から、すなわち内側から順
に1段ごとに行なわれる。
【0258】実施例2及び実施例2−1と同様に、各段
における重みを1つに限定すれば、各段にて重み適応処
理を行なわない実施例2−1の適応量子化コンテキスト
適応処理が加味されたマルチ多段変換処理になる。従っ
て、適当な段にて唯一の適応処理することが最も簡単な
本適応手法となり、全段に適応処理を行なえば最も複雑
な適応処理となる。この設定は任意であり、処理速度と
性能にて適宜決定すればよい。
【0259】さらに、実施例2−2の画像伸張装置によ
る逆変換は、それぞれの変換にて可逆性が保存されてい
るために、Faの逆関数をFa-1で示せば、
【0260】
【数76】 Dq-1=RM{round{Fa-1(Iq、RM{round{f-1(C( e、CQ)、Ip、RM{round{Fa-1(Aq、Iq、RM{round {f-1(Ap、Ip)}})}})}})}} ・・・(76) である。ただし、f≡f-1が成立する場合も含み、処理
の方向は逆である。
【0261】また、実施例2−1と同様に、コンテキス
トマルチ多段変換関数の実用型である3段変換、2段変
換、片2段変換及び直接変換の式(59)に適応量子化
されたコンテキスト補正係数C(e、CQ)を加えるこ
とにより、適応量子化されたコンテキスト適応量処理を
加味することができる。
【0262】続いて、実施例2及び実施例2−1と同様
に、2つのマルチ多段変換の例を示す。3段変換の例と
して、式(17)のように置くと、式(18)及び式
(19)とから式(20)が得られる。これに重み適応
処理とコンテキスト適応処理が加味された実施例2−1
において、最後の段にて唯一の適応処理する場合の式
(69)のコンテキスト補正係数Cに量子化適応処理を
加味し、
【0263】
【数77】 RM{round{F{f1(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f( A1p、Ip))}}}=RM{round{F{f1(C1(e1、CQ1) 、A1q、Iq、h1p)}}} ・・・(77) となる。
【0264】ここで、(C1、Iq、h1p)の関係を
線形結合とし、対応する結合係数を(dc1、diq
1、dh1p)とすれば、
【0265】
【数78】 RM{round{F1{f1(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f (A1p、Ip))}}}=RM{round{F1{dc1C1(e1、CQ 1)+diq1(aq11iq1+aq12iq2)+dh1p(ap11ip 1+ap12ip2)}}} ・・・(78) であり、さらに次の線形結合を、(Eiq、E)、Ef
=(ef1、ef2)、Eiq=(E1iq、E2i
q)=((eiq11、eiq12)、(eiq21、
eiq22))結合として、
【0266】
【数79】 RM{D1q3}=RM{round{F1{f1(Iq、RM{roun d{f(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f(A1p、Ip))}})} }}=RM{round{F1{(eiq11iq1+eiq12iq2)+R M{round{ef1 f(C1(e1、CQ1)、A1q、Iq、f(A1 p、Ip))}}}}} ・・・(79) となる。この最後の段のf1をf1bに拡張して、間接
エントロピーの評価を等直な評価関数Ef1b()で行
なえば、
【0267】
【数80】 F1((e1、CQ1))=[b=1toβ]ΣW1b(e1、CQ1)f 1b((e1、CQ1))/([b=1toβ]ΣW1b(e、CQ))、 W1b((e1、CQ1))=([b=1toβ]Σ(Ef1b((e1、 CQ1))+1)/(Ef1b((e1、CQ1))+1) ・・・(80) となる。
【0268】他の1つのRM{D2q3}も同様に、
【0269】
【数81】 RM{D2q3}=RM{round{F2{f2(Iq、RM{roun d{f(C2(e2、CQ2)、A2q、Iq、f(A2p、Ip))}})} }}=RM{round{F2{(eiq21iq1+eiq22iq2)+R M{round{ef2 f(C2(e2、CQ2)、A2q、Iq、f(A2 p、Ip))}}}}}、 F2((e1、CQ1))=[b=1toβ]ΣW2b(e1、CQ1)f 2b((e1、CQ1))/([b=1toβ]ΣW2b(e、CQ))、 W2b((e1、CQ1))=([b=1toβ]Σ(Ef2b((e1、 CQ1))+1)/(Ef2b((e1、CQ1))+1) ・・・(81) である。
【0270】これらの各係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められるが、ここでは、係数の決定手法を限定しない。
また、この例は、単なる一例に過ぎず、q系やp系が任
意の次数の場合も次数が拡大するのみで同様である。
【0271】上記の説明の実施例2−2に用いられてい
るコンテキストモデルにおける適応量子化手法は、実施
例1−2において説明した手法と同じであるので、その
詳細は省略する。
【0272】エントロピー符号化手段102は、適応コ
ンテキスト・適応マルチ多段変換手段152によって変
換が施された変換データを適当なコンテキスト制御が加
えられたエントロピー符号化で符号化する。その符号化
処理は、実施例2−1と同様に、式(44)で示された
処理が行なわれる。また、必要に応じて、コンテキスト
制御が加わらない式(27)で示したエントロピー符号
化処理を行なうとしてもよい。
【0273】また、実施例2−2の画像伸張装置による
エントロピー復号は、実施例2−1と同様に、式(4
5)に示されたコンテキスト制御が加味された復号処理
が行なわれる。画像圧縮装置が式(27)で表されるコ
ンテキスト制御を加味しないエントロピー符号化を行な
った場合は、式(28)で示したエントロピー復号を行
なう。
【0274】このような構成の実施例2−2の画像圧縮
装置の動作について説明する。実施例2−2の画像圧縮
装置では、適応コンテキスト・適応マルチ多段変換手段
152は、デジタル画像信号を入力すると、多段変換、
多段変換の重み適応処理、コンテキスト抽出とその適応
量子化及び抽出されたコンテキストによるコンテキスト
補正処理とを関連して行なう。ある場所xにおいて、入
力画素I_xから式(73)の適応量子化されたコンテ
キスト補正が加味された適応マルチ多段変換関数を算出
する。エントロピー評価関数に基づく重み適応処理は、
適応マルチ多段変換の各段、あるいは、任意の段におい
て適宜行なわれる。それぞれの段の重み適応関数は、式
(74)及び式(75)によって算出される。また、コ
ンテキストの抽出とその適応量子化、及び適応量子化さ
れたコンテキストによる補正は、算出された適応マルチ
多段変換関数を用いた多段変換の任意の段において行な
われる。エントロピー符号化手段102では、適応コン
テキスト・適応マルチ多段変換手段152から入力した
変換データに対して、コンテキスト制御が加えられた式
(44)によるエントロピー符号化を施し、圧縮コード
を生成する。
【0275】実施例2−2の画像伸張装置は、画像圧縮
装置とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエン
トロピー復号を施した後、式(68)に表された多段逆
変換、重み適応処理、コンテキスト抽出とその適応量子
化、及び適応量子化されたコンテキストを用いた補正処
理とを関連して行なって、もとのデジタル画像信号に伸
張する。
【0276】このように、実施例2−1の画像圧縮装置
は、実施例2のコンテキスト補正において、コンテキス
トを周辺画像や周辺変換係数の特性に応じて適応量子化
することにより、実施例2−1の画像圧縮装置よりさら
にエントロピーを減少させることができる。従って、こ
の出力をコンテキスト適応制御されたエントロピー符号
化手段により符号化することにより、高い圧縮性能が得
られる。
【0277】次に、実施例2−2の画像圧縮方法及び画
像伸張方法について説明する。図21は、実施例2−2
の画像圧縮方法のフローチャートである。画像圧縮処理
が開始され(S241)、初めに初期化処理が行なわれ
る(S242)。初期化処理では、コンテキストごと
に、マルチ多段変換値類型配列Sum[s][Cn]
(sはモードパラメータ、Cnはコンテキストの組によ
って得られるコンテキスト可変番号n(r、m)、rは
種類番号、mはレベル番号)と、コンテキストの可変量
子化レベルCQ(cq1、・・・、cqm)と、コンテキ
ストのヒストグラム配列His[Cn]と、補正値配列
Corr[Cn]と、をそれぞれ初期化する。その他、
必要に応じて、画像の端処理や、系のパラメータの初期
化を行なう。
【0278】次に、ある任意の領域について、重み適応
処理を行なう適応マルチ多段変換処理、コンテキスト抽
出とその量子化を行なう適応コンテキスト抽出処理及び
そのコンテキストを用いたコンテキスト補正処理とが関
連して行なわれる(S243)。ここでは、マルチ多段
変換と、マルチ多段変換の各段をエントロピー評価関数
により重み付けを行なって適応化させる重み適応処理、
及びコンテキストの抽出と抽出されたコンテキストの適
応量子化、適応量子化されたコンテキスト補正処理、が
関連して行なわれる。ある場所、xにおいて、符号化の
場合には、入力画素I_xからのマルチ多段変換Dq_
x(式(73))を求める。この多段変換処理の途中
で、コンテキストの適応量子化、及びコンテキストによ
る補正が行なわれる。コンテキストによる補正C_x
(xにおけるC)は、マルチ多段変換の途中の適当な段
で得られる適当なデータから得られる周辺画像や周辺変
換係数の特性に応じて、コンテキストの量子化レベルと
数とを設定する。C_xは、コンテキスト番号Cnによ
って与えられるxに関する補正値配列Corr_x[C
n]である。
【0279】次に、適応量子化されたコンテキストによ
るコンテキスト適応処理が加味された適応マルチ多段変
換処理により生成された変換データにエントロピー符号
化処理を行なう(S244)。エントロピー符号化処理
では、変換データのエントロピー符号化の際に、適当な
コンテキスト制御が加わった式(44)の処理が行なわ
れ、圧縮コードが出力される。このとき、コンテキスト
制御が加わらない式(27)によりエントロピー符号化
を行なうとしてもよい。
【0280】次に、コンテキスト変数の更新計算(S2
45)が行なわれる。コンテキスト変数の更新計算で
は、上記の説明の変数、マルチ多段変換値累計Sum
[s][Cn]及びヒストグラムHis[Cn]の計算
が行なわれ、値が更新される。さらに、適当な補正関数
Correct()によって補正値の計算が行なわれ
る。補正値の計算は、式(46)によって与えられる。
【0281】次に、画像の終わりまで処理が行なわれた
か否かを判定し(S236)、終わりであれば処理を終
了する(S237)。終わりでなければ、S233に戻
って、次の入力画素の処理を繰り返す。
【0282】実施例2−2の画像伸張方法では、画像圧
縮方法とは逆に、圧縮コードを入力し、式(45)のエ
ントロピー復号を施した後、式(76)に表された多段
逆変換、重み適応処理、コンテキスト抽出とその適応量
子化と、適応量子化されたコンテキストを用いた補正処
理を行なって、もとのデジタル画像信号に伸張する。こ
のように、実施例2−2の画像圧縮方法と画像伸張方法
では、実施例2−1のコンテキスト補正に用いられるコ
ンテキストの適応量子化を加味することにより、さら
に、画像のエントロピーを減少させることが可能とな
る。この結果、画像のリバーシブル圧縮性能がさらに向
上する。
【0283】第3の実施の態様として、第1の実施の態
様の基本的構成をウェーブレット/サブバンド変換に適
用した画像圧縮装置と画像圧縮方法、並びにその画像伸
張装置と画像伸張方法について順に説明する。第3の実
施の態様に則したマルチ多段変換を用いたウェーブレッ
ト/サブバンド変換を行なう画像圧縮装置と画像伸張装
置を実施例3の画像圧縮装置と画像伸張装置とする。
【0284】図22は、実施例3の画像圧縮装置の構成
図である。図1と同じものには同じ番号を付し、説明は
省略する。実施例3の画像圧縮装置は、デジタル画像信
号及びデジタル画像信号に基づく入力信号の領域を分割
する領域分割変換手段70と、領域分割されたデジタル
画像信号に実施例1のマルチ多段変換を施すマルチ多段
変換手段10と、エントロピー符号化手段20と、から
構成される。
【0285】領域分割変換手段70は、デジタル画像信
号及びデジタル画像信号に基づく入力信号の領域を第1
の領域と第2の領域とに2分割する。以下、便宜的に第
1の領域をH領域、第2の領域をL領域とする。ここ
で、デジタル画像信号に基づく入力信号とは、領域分割
されたデジタル画像信号あるいはマルチ多段変換手段1
0によって変換が施されたデジタル画像信号等のデジタ
ル画像信号に基づく入力信号を指す。分割されたH領域
は、マルチ多段変換手段10に出力され、マルチ多段変
換が施された後、エントロピー符号化手段20によって
圧縮コードに符号化される。一方、L領域は、再び領域
分割変換手段70に入力してH領域とL領域とに分割さ
れる。このような手順を繰り返し、階層構造が形成され
る。ここでは、階層構造は片階層構造であるとする。ま
た、L領域をマルチ多段変換手段10でマルチ多段変換
し、その後再び領域分割変換手段70に入力させるとし
てもよい。
【0286】マルチ多段変換手段10は、入力したH領
域あるいはL領域について、H領域あるいはL領域に属
する要素と既知画素、または、H領域及びL領域に属す
る要素と既知画素とに基づいてマルチ多段変換関数を算
出し、入力したH領域あるいはL領域にマルチ多段変換
を施す。各階層のH領域あるいはL領域個々のマルチ多
段変換処理は、実施例1と同様に、式(11)に代表さ
れるマルチ多段変換関数を算出し、算出したマルチ多段
変換関数を用いて所定の領域に変換を施す処理を行な
う。マルチ多段変換関数の係数は、可逆性を満たすよう
に、かつ、出力エントロピーが小さくなるように適宜定
められる。
【0287】エントロピー符号化手段20は、必要に応
じて、マルチ多段変換手段10により変換された変換デ
ータをエントロピー符号化し、圧縮コードを生成する。
このような構成の画像圧縮装置の動作について説明す
る。図23は、対象となるデジタル画像信号の画素の配
置を表している。上記の説明のように、ウェーブレット
/サブバンド変換では、領域分割されたデジタル画像信
号をさらに分割する処理を行ない、片階層構造を形成す
る。
【0288】領域分割変換手段70では、最初にデジタ
ル画像信号を入力し、領域を2分割し、それぞれの領域
を処理する。2分割された領域の処理には、次の3つの
ケースがある。
【0289】第1のケースは、L領域を元の画像値と
し、H領域をマルチ多段変換手段10により変換を施す
場合である。図に示したように基の画素をx_2n、x
_(2n+1)とし、水平方向に帯域分割すると、L領
域成分L_nは、
【0290】
【数82】 L_n=x_2n ・・・(82) と表すことができる。式(82)は、L領域をもとの画
像値2n番とすることを示している。
【0291】マルチ多段変換手段10においてマルチ多
段変換が施されるH領域の成分H_nは、
【0292】
【数83】 H_n=RM{DqH_(2n、2n+1、p)} ・・・(83) と表すことができる。ここで、pは既知の画素、RM
{Dq}は、所定のマルチ多段変換関数を表す。所定の
マルチ多段変換関数は、式(12)、あるいは式(1
2)、式(13)、式(14)、式(15)で表される
ような関数である。式(83)は、H領域をもとの2n
または2n+1と既知画素pとから所定のマルチ多段変
換関数を算出し、H領域にマルチ多段変換を施すことを
示している。このようにしてマルチ多段変換が施された
H領域のエントロピーは減少しており、エントロピー符
号化手段20によるエントロピー符号化で高い圧縮性能
が得られる。続いて、L領域を領域分割変換手段70に
入力し、垂直方向に帯域分割し、それぞれの領域に式
(82)と式(83)の処理を行なう。さらに、水平方
向と垂直方向に所定の階層数に達するまでこれを繰り返
す。
【0293】第2のケースは、H領域をマルチ多段変換
手段10により変換を施して圧縮出力するとともに、L
領域にも同様の変換を施す場合である。1次元変換とし
て、水平方向に帯域分割した後、マルチ多段変換手段1
0によって変換が施されるL領域成分L_nは、
【0294】
【数84】 L_n=RM{DqL_(2n、p)} ・・・(84) と表される。これは、L領域は、もとの2n番と既知画
素からマルチ多段変換を施すことを示している。
【0295】H領域の成分H_nは、
【0296】
【数85】 H_n=RM{DqH_(2n+1、p)} ・・・(85) と表すことができる。これは、H領域は、もとの2n+
1番と既知画素からマルチ多段変換を施すことを示して
いる。このようにしてマルチ多段変換が施されたH領域
のエントロピーは減少しており、エントロピー符号化手
段20によるエントロピー符号化で高い圧縮性能が得ら
れる。続いて、L領域を領域分割変換手段70に入力
し、垂直方向に帯域分割し、それぞれの領域に式(8
4)と式(85)の処理を行なう。L領域は、マルチ多
段変換によりエントロピーが減少しており、さらに同様
の処理を繰り返すことにより、エントロピーをより減少
させることができる。以下、水平方向と垂直方向に所定
の階層数に達するまでこれを繰り返す。ここでは、L領
域は2nを参照し、H領域は2n+1番を参照するとし
たが、逆であってもよい。
【0297】第3のケースは、第2のケースと同様に、
H領域をマルチ多段変換手段10により変換を施して圧
縮出力するとともに、L領域にも同様の変換を施すが、
マルチ多段変換の際に2n及び2n+1を参照する場合
である。1次元変換として、水平方向に帯域分割した
後、マルチ多段変換手段10によって変換が施されるL
領域成分L_nは、
【0298】
【数86】 L_n=RM{DqL_(2n、2n+1、p)} ・・・(86) と表される。これは、L領域は、もとの2n番及び2n
+1番と、既知画素とからマルチ多段変換を施すことを
示している。
【0299】H領域の成分H_nは、
【0300】
【数87】 H_n=RM{DqH_(2n、2n+1、p)} ・・・(87) と表すことができる。これは、H領域は、もとの2n及
び2n+1番と、既知画素と、からマルチ多段変換を施
すことを示している。このようにしてマルチ多段変換が
施されたH領域のエントロピーは減少しており、エント
ロピー符号化手段20によるエントロピー符号化で高い
圧縮性能が得られる。続いて、L領域を領域分割変換手
段70に入力し、垂直方向に帯域分割し、それぞれの領
域に式(86)と式(87)の処理を行なう。L領域
は、マルチ多段変換によりエントロピーが減少してお
り、さらに同様の処理を繰り返すことにより、エントロ
ピーをより減少させることができる。以下、水平方向と
垂直方向に所定の階層数に達するまでこれを繰り返す。
【0301】第1、第2及び第3のケースのいずれも、
階層数に達するまで変換処理を繰り返すと、最後にL領
域が残る。最後のL領域の処理には、2つのモードがあ
る。第1のモードでは、最後に残ったL領域をそのまま
出力する。第2のモードでは、最後に残ったL領域も、
マルチ多段変換手段10にてマルチ多段変換を施した
後、圧縮出力する。
【0302】このように、実施例3の画像圧縮装置で
は、帯域分割した領域にマルチ多段変換を施すことによ
り、分割された領域のエントロピーを減少させることが
可能となる。これをエントロピー符号化手段20でエン
トロピー符号化することにより、高い圧縮性能を得るこ
とが可能となる。
【0303】次に、実施例3における画像圧縮方法につ
いて説明する。図24は、実施例3の画像圧縮方法のフ
ローチャートである。画像圧縮処理が開始され(S31
1)、初めに初期化処理が行なわれる(S312)。初
期化処理では、階層のステージ数(階層数S)が設定さ
れる。次に、デジタル画像信号の領域分割処理が行なわ
れ(S313)、分割された任意の領域のマルチ多段変
換処理が行なわれる(S314)。分割された領域の変
換処理には、3つのケースがあり、第1のケースの場合
には、L領域を元の画像値2n番とし、H領域をもとの
2n番または2n+1番と既知画素からマルチ多段変換
し、圧縮コードを出力する。第2のケースの場合には、
L領域をもとの2n番または2n+1番と既知画素から
マルチ多段変換するとともに、H領域をもとの2n+1
番または2n番と既知画素からマルチ多段変換し、圧縮
コードを出力する。第3のケースの場合には、L領域を
もとの2n番及び2n+1番と既知画素からマルチ多段
変換するとともに、H領域をもとの2n+1番及び2n
番と既知画素からマルチ多段変換し、圧縮コードを出力
する。マルチ多段変換の処理手順は、実施例1と同じで
あるので省略する。続いて、階層数Sが終了したか否か
を判定し(S315)、終了していなければ、S313
に戻ってL領域の領域分割からの処理を繰り返す。終わ
りであれば、後処理を行ない(S316)、処理を終了
する(S317)。後処理は、予め設定されたモードに
応じて、残ったL領域をそのまま出力するか、マルチ多
段変換を施した後出力するかの処理を行なう。
【0304】このように、実施例3の画像圧縮方法で
は、領域分割された画像信号にマルチ多段変換を施すこ
とにより、領域分割された画像信号のエントロピーを減
少させることが可能となった。
【0305】上記の説明では、帯域分割された領域に実
施例1のマルチ多段変換を施すとしたが、実施例1にコ
ンテキスト補正係数が加味された実施例1−1のコンテ
キストマルチ多段変換(式(30))、実施例1−1の
コンテキストが適応量子化された実施例1−2の適応コ
ンテキストマルチ多段変換(式(47))、実施例1に
重み適応係数が加味された実施例2の適応マルチ多段変
換(式(55))、実施例2の適応マルチ多段変換にコ
ンテキスト補正係数が加味された実施例2−1のコンテ
キスト適応マルチ多段変換(式(66))及び実施例2
−1のコンテキストが適応量子化された実施例2−2の
適応コンテキスト・適応マルチ多段変換(式(73))
のいずれを用いてもよい。
【0306】領域分割された階層ごとに上記のような多
段変換が施されることにより、この領域のエントロピー
がさらに減少する。従って、これをエントロピー符号化
することにより高い圧縮性能を得ることができる。
【0307】次に、実施例3の画像圧縮装置により圧縮
された圧縮画像データを伸張する実施例3の画像伸張装
置について説明する。図25は、実施例2の画像伸張装
置の構成図である。図7と同じものには同じ番号を付
し、説明は省略する。実施例3の画像伸張装置は、実施
例3の画像圧縮装置により圧縮された所定の領域の圧縮
コードを入力し、エントロピー復号を行なうエントロピ
ー復号手段30と、マルチ多段変換関数の逆関数を用い
てエントロピー復号が行なわれた所定の領域の復号信号
に逆変換を施し、もとのデジタル画像信号に伸張するマ
ルチ多段逆変換手段40と、伸張された所定の領域のデ
ジタル画像信号を合成してもとのデジタル画像を復元す
る領域合成手段80と、から構成される。
【0308】エントロピー復号手段30は、実施例2の
画像圧縮装置により圧縮された圧縮コードを入力し、画
像圧縮装置のエントロピー符号化手段20と同じ一般的
に周知なエントロピー符号化手法を用いてエントロピー
復号を行ない、復号信号を生成する。
【0309】マルチ多段逆変換手段40は、エントロピ
ー復号された所定の領域の復号データに対して実施例1
のマルチ多段逆変換関数(式(29))を用いて逆変換
を行ない、伸張したデジタル画像信号を領域合成手段8
0へ出力する。
【0310】領域合成手段80は、マルチ多段逆変換手
段40によって伸張された所定の領域のデジタル画像信
号を合成するウェーブレット/サブバンド逆変換を行な
い、もとのデジタル画像信号を復元する。
【0311】このような構成の画像伸張装置の動作につ
いて説明する。エントロピー復号手段30は、実施例3
の画像圧縮装置により領域分割され、マルチ多段変換が
施された圧縮コードを入力し、所定の領域のエントロピ
ー復号を行なう。エントロピー復号された所定の領域の
復号信号は、マルチ多段逆変換手段40により逆変換が
施され、領域合成手段80にてもとのデジタル画像信号
に合成される。
【0312】上記説明の第1のケースにより領域分割さ
れ、マルチ多段変換がなされた圧縮コードの復号化は、
式(82)と式(83)とから、
【0313】
【数88】 x_2n=L_n x_2n+1=RM{Dq-1H_(2n、2n+1、p)}・・・(88) となる。
【0314】また、第2のケースにより領域分割され、
マルチ多段変換がなされた圧縮コードの復号化は、式
(84)と式(85)とから、
【0315】
【数89】 x_2n=RM{Dq-1L_(2n、p)} x_2n+1=RM{Dq-1H_(2n+1、p)} ・・・(89) となる。
【0316】また、第3のケースにより領域分割され、
マルチ多段変換がなされた圧縮コードの復号化は、式
(86)と式(87)とから、
【0317】
【数90】 x_2n=RM{Dq-1L_(2n、2n+1、p)} x_2n+1=RM{Dq-1H_(2n、2n+1、p)}・・・(90) となる。
【0318】これらの変換を圧縮の場合とは逆方向に所
定の階層数に達するまで繰り返し行なって、もとのデジ
タル画像信号に伸張する。次に、実施例3の画像伸張方
法について説明する。図26は、実施例3の画像伸張方
法のフローチャートである。
【0319】画像伸張処理が開始され(S321)、初
めに初期化処理が行なわれる(S322)。初期化処理
では、階層のステージ数が設定される。続いて、実施例
3の画像圧縮装置によって行なわれた分割領域ごとに、
圧縮コードのエントロピー復号処理が行なわれる(S3
23)。エントロピー復号処理は、画像圧縮装置が行な
ったエントロピー符号化と同じ手法により、圧縮コード
を復号し、復号信号を生成する。続いて、復号信号に対
してマルチ多段逆変換処理と、領域合成処理とが行なわ
れる(S324)。分割された領域の逆変換処理には、
3つのケースがあり、第1のケースの場合には、式(8
8)で表された変換処理が行なわれる。また、第2のケ
ースの場合には、式(89)で表された変換処理が行な
われ、第3のケースの場合には、式(90)で表された
変換処理が行なわれる。マルチ多段逆変換の処理手順
は、実施例1と同じであるので省略する。続いて、階層
数Sが終了したか否かを判定し(S325)、終了して
いなければ、S323に戻ってL領域の領域分割からの
処理を繰り返す。終わりであれば、処理を終了する(S
326)。
【0320】上記の説明では、所定の領域に実施例1の
マルチ多段逆変換を施すとしたが、実施例1にコンテキ
スト補正係数が加味された実施例1−1のコンテキスト
マルチ多段逆変換(式(31))、実施例1−1のコン
テキストが適応量子化された実施例1−2の適応コンテ
キストマルチ多段逆変換(式(48))、実施例1に重
み適応係数が加味された実施例2の適応マルチ多段逆変
換(式(65))、実施例2の適応マルチ多段逆変換に
コンテキスト補正係数が加味された実施例2−1のコン
テキスト適応マルチ多段逆変換(式(68))及び実施
例2−1のコンテキストが適応量子化された実施例2−
2の適応コンテキスト・適応マルチ多段逆変換(式(7
6))のいずれを用いてもよい。
【0321】実施例3の画像圧縮装置は、領域をL領域
(2n番目)と、H領域(2n+1)と、に分割して階
層構造を形成していたが、階層構造をマルチレイヤー型
の階層構造とすることもできる。以下、実施例3の画像
圧縮装置と画像伸張装置をマルチレイヤー型の階層構造
に拡張したものを実施例3−1の画像圧縮装置と画像伸
張装置とする。実施例3−1の画像圧縮装置と画像伸張
装置の基本的な構成及び動作は実施例3と同じである。
【0322】マルチレイヤー型の階層構造では、実施例
3の階層構造の変換式に、マルチレイヤーをなすための
係数として構造係数dが加味される。構造係数dは、マ
ルチレイヤー型のパターンを決めるための係数であり、
例えば、ダイヤモンド構造係数等が知られている。構造
係数dは、整数値の係数であり、(0、1)または、
(0、−1)の値にて制御される。図27は、構造係数
と画素の関係を示した図である。ここでは、構造係数d
に応じて、x_(2n+1)の水平・垂直方向に隣接す
る4つの画素(二重丸で表された画素)が選択される。
また、必要に応じて、黒丸で表された画素も選択される
ような構造係数をとるとすることもできる。このよう
に、構造係数dが加味されることにより、式(82)か
ら式(87)で表される3つのケースの変換が次式のよ
うに置き換えられる。
【0323】第1のケースは、L領域を元の画像値と
し、H領域をマルチ多段変換手段10により変換を施す
場合である。L領域成分L_nは、式(82)が、
【0324】
【数91】 L_n=x_2n+d ・・・(91) に置き換わる。式(91)は、L領域をもとの画像値2
n+d番とすることを示している。また、マルチ多段変
換が施されるH領域の成分H_nは、式(83)が、
【0325】
【数92】 H_n=RM{DqH_(2n+d、2n+1+d、p)}・・・(92) に置き換わる。式(92)は、H領域をもとの2n+d
または2n+1+dと既知画素pとから所定のマルチ多
段変換関数を算出し、H領域にマルチ多段変換を施すこ
とを示している。このようにしてマルチ多段変換が施さ
れたH領域のエントロピーは減少しており、エントロピ
ー符号化手段20によるエントロピー符号化で高い圧縮
性能が得られる。続いて、L領域を領域分割変換手段7
0に入力し、垂直方向に帯域分割し、それぞれの領域に
式(91)と式(92)の処理を行なう。さらに、水平
方向と垂直方向に所定の階層数に達するまでこれを繰り
返す。
【0326】第2のケースは、H領域をマルチ多段変換
手段10により変換を施して圧縮出力するとともに、L
領域にも同様の変換を施す場合である。1次元変換とし
て、水平方向に帯域分割した後、マルチ多段変換手段1
0によって変換が施されるL領域成分L_nは、式(8
4)が
【0327】
【数93】 L_n=RM{DqL_(2n+d、p)} ・・・(93) に置き換わる。これは、L領域は、もとの2n+d番と
既知画素からマルチ多段変換を施すことを示している。
また、H領域の成分H_nは、式(85)が、
【0328】
【数94】 H_n=RM{DqH_(2n+1+d、p)} ・・・(94) に置き換わる。これは、H領域は、もとの2n+1+d
番と既知画素からマルチ多段変換を施すことを示してい
る。このようにしてマルチ多段変換が施されたH領域の
エントロピーは減少しており、エントロピー符号化手段
20によるエントロピー符号化で高い圧縮性能が得られ
る。続いて、L領域を領域分割変換手段70に入力し、
垂直方向に帯域分割し、それぞれの領域に式(93)と
式(94)の処理を行なう。L領域は、マルチ多段変換
によりエントロピーが減少しており、さらに同様の処理
を繰り返すことにより、エントロピーをより減少させる
ことができる。以下、水平方向と垂直方向に所定の階層
数に達するまでこれを繰り返す。ここでは、L領域は2
n+dを参照し、H領域は2n+1+d番を参照すると
したが、逆であってもよい。
【0329】第3のケースは、第2のケースと同様に、
H領域をマルチ多段変換手段10により変換を施して圧
縮出力するとともに、L領域にも同様の変換を施すが、
マルチ多段変換の際に2n+d及び2n+1+dを参照
する場合である。1次元変換として、水平方向に帯域分
割した後、マルチ多段変換手段10によって変換が施さ
れるL領域成分L_nは、式(86)が、
【0330】
【数95】 L_n=RM{DqL_(2n+d、2n+1+d、p)}・・・(95) と表される。これは、L領域は、もとの2n+d番及び
2n+1+d番と、既知画素とからマルチ多段変換を施
すことを示している。また、H領域の成分H_nは、
【0331】
【数96】 H_n=RM{DqH_(2n+d、2n+1+d、p)}・・・(96) と表すことができる。これは、H領域は、もとの2n+
d及び2n+1+d番と、既知画素と、からマルチ多段
変換を施すことを示している。
【0332】このように、実施例3−1の画像圧縮装置
によれば、変換の出力エントロピーが減少するように構
造係数dを適応させることにより、実施例3の画像圧縮
装置より、さらに、エントロピーを減少させることが可
能となる。
【0333】なお、上記の処理機能は、コンピュータに
よって実現することができる。その場合、画像圧縮装置
及び画像伸張装置が有すべき機能の処理内容を記述した
プログラムが提供される。そのプログラムをコンピュー
タで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ
上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コ
ンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくこ
とができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体と
しては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、
半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードデ
ィスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(F
D)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD
(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random
Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read
Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWri
table)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magne
to-Optical disk)などがある。
【0334】プログラムを流通させる場合には、たとえ
ば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM
などの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラム
をサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネッ
トワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピ
ュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0335】プログラムを実行するコンピュータは、た
とえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしく
はサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自
己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自
己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに
従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型
記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラ
ムに従った処理を実行することもできる。また、コンピ
ュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送さ
れるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理
を実行することもできる。
【0336】
【発明の効果】以上説明したように本発明の画像圧縮装
置では、出力エントロピーを小さくならしめるととも
に、可逆性を有しロスレス圧縮を可能にするマルチ変換
関数を連結した多段構造を有するマルチ多段変換関数に
重み適応係数を加味した適応マルチ多段変換関数を用い
てデジタル画像信号のエントロピーを減少させ、これを
エントロピー符号化する。マルチ多段変換関数により画
像信号のエントロピーは減少しており、これをエントロ
ピー符号化した圧縮コードの圧縮率は高くなる。この結
果、圧縮性能の向上が可能となる。
【0337】また、本発明の画像圧縮方法では、出力エ
ントロピーを小さくならしめるとともに、可逆性を有し
ロスレス圧縮を可能にするマルチ変換関数を連結した多
段構造を有するマルチ多段変換関数に重み適応係数を加
味した適応マルチ多段変換関数を生成し、これを用いて
デジタル画像信号のエントロピーを減少させた後、エン
トロピー符号化を行なう。マルチ多段変換関数により画
像信号のエントロピーは減少しており、これをエントロ
ピー符号化した圧縮コードの圧縮率は高くなる。この結
果、圧縮性能の向上が可能となる。
【0338】また、本発明の画像伸張装置では、圧縮さ
れたデジタル画像信号の圧縮コードを入力してエントロ
ピー復号を行ない、これに基づいて圧縮に用いられた適
応マルチ多段変換関数の逆関数を算出し、この逆関数を
用いてデジタル画像信号に復元する。適応マルチ多段変
換関数は可逆性が保証されており、もとのデジタル画像
信号を復元することができる。
【0339】また、本発明の画像伸張方法では、デジタ
ル画像信号の圧縮コードにエントロピー復号を施し、そ
の復号信号の任意の領域に対して、圧縮に用いられた適
応マルチ多段変換関数の逆関数を算出し、この逆関数を
用いてデジタル画像信号に復元する。適応マルチ多段変
換関数は可逆性が保証されており、もとのデジタル画像
信号を復元することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の画像圧縮装置の構成図である。
【図2】2×2行列のLadder Networkの
構成図である。
【図3】Leapfrogの構成図である。
【図4】実施例1の画像圧縮方法のフローチャートであ
る。
【図5】第1の実施の態様の画像圧縮処理を含む統合化
処理の圧縮率と従来の手法による処理の圧縮率を表した
ものである。
【図6】第1の実施の態様の画像圧縮処理におけるエン
トロピーの推移を表したものである。
【図7】実施例1の画像伸張装置の構成図である。
【図8】実施例1の画像伸張方法のフローチャートであ
る。
【図9】実施例1−1の画像圧縮装置の構成図である。
【図10】実施例1−1の画像圧縮方法のフローチャー
トである。
【図11】実施例1−2の画像圧縮装置の構成図であ
る。
【図12】適応量子化の例である。
【図13】実施例1−2の画像圧縮方法のフローチャー
トである。
【図14】実施例2の画像圧縮装置の構成図である。
【図15】実施例2の画像圧縮方法のフローチャートで
ある。
【図16】実施例2の画像伸張装置の構成図である。
【図17】実施例2の画像伸張方法のフローチャートで
ある。
【図18】実施例2−1の画像圧縮装置の構成図であ
る。
【図19】実施例2−1の画像圧縮方法のフローチャー
トである。
【図20】実施例2−2の画像圧縮装置の構成図であ
る。
【図21】実施例2−2の画像圧縮方法のフローチャー
トである。
【図22】実施例3の画像圧縮装置の構成図である。
【図23】対象となるデジタル画像信号の画素の配置を
表している。
【図24】実施例3の画像圧縮方法のフローチャートで
ある。
【図25】実施例2の画像伸張装置の構成図である。
【図26】実施例3の画像伸張方法のフローチャートで
ある。
【図27】構造係数と画素の関係を示した図である。
【図28】従来の予測差分処理を行なう画像圧縮装置の
構成図である。
【図29】対象画素とその周辺画素の配置の一例であ
る。
【図30】ウェーブレット/サブバンド変換における階
層構造を表している。
【符号の説明】
10・・・マルチ多段変換手段、20・・・エントロピー符号
化手段、30・・・エントロピー復号手段、40・・・マルチ
多段逆変換、50・・・適応マルチ多段変換手段、60・・・
適応マルチ多段逆変換手段、70・・・領域分割変換手
段、80・・・領域合成手段、100・・・コンテキスト符号
化手段、110・・・適応コンテキスト符号化手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5C059 LA00 MA00 MA45 ME01 PP14 TA41 TA46 TA48 TB04 TC32 TC43 TD00 TD10 TD13 TD16 UA02 UA05 UA39 5C078 AA04 BA53 CA01 DA01 5J064 AA01 BA09 BB05 BB13 BC08 BC14 BC26 BD02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧縮・伸張の過程を経てもとの情報が保
    存されるリバーシブル画像圧縮を行なう画像圧縮装置に
    おいて、 デジタル画像信号を入力し、前記デジタル画像信号に応
    じて得られる要素に基づいて出力エントロピーを小さく
    ならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定される係
    数を備えた変換関数に出力を丸めて整数化する丸め関数
    と出力レンジを変換前後で不変にするレンジ不変関数と
    を修飾して成るマルチ変換関数を連結した多段構造を有
    するマルチ多段変換関数であって、前記多段構造を形成
    する任意の段に前記出力エントロピーを小さくする適応
    変換係数が修飾された適応マルチ多段変換関数を用いて
    前記デジタル画像信号に変換を施す適応マルチ多段変換
    手段と、 前記マルチ多段変換手段により変換された変換データを
    エントロピー符号化して圧縮コードを生成するエントロ
    ピー符号化手段と、 を備えたことを特徴とする画像圧縮装置。
  2. 【請求項2】 前記適応変換係数は、各段における前記
    出力エントロピーを評価するエントロピー評価関数に応
    じて決定される重み適応関数であることを特徴とする請
    求項1記載の画像圧縮装置。
  3. 【請求項3】 前記適応マルチ多段変換関数は、複数の
    系の前記マルチ変換関数を用いて行なわれる所定の変換
    により生成される変数と前記マルチ変換関数の変数の組
    み合わせより成り、前記適応マルチ多段変換手段は、前
    記適応マルチ多段変換関数で表された所定の変換処理を
    1段として前記デジタル画像信号の変換から始めて前記
    1段ごとの前記変換処理を順次実行することを特徴とす
    る請求項1記載の画像圧縮装置。
  4. 【請求項4】 前記適応マルチ多段変換手段は、さら
    に、前記適応マルチ多段変換関数を用いた多段変換を施
    す際に、前記多段変換の途中で得られる変換データに関
    する周辺の要素から得られるコンテキストを抽出し、抽
    出された前記コンテキストに応じた補正処理を行ない、
    前記エントロピー符号化手段は、さらに、前記エントロ
    ピー符号化時に前記コンテキストに応じた適応処理を行
    なうことを特徴とする請求項1記載の画像圧縮装置。
  5. 【請求項5】 前記適応マルチ多段変換手段は、前記コ
    ンテキストに応じたコンテキスト補正係数を算出し、前
    記適応マルチ多段変換関数に前記コンテキスト補正係数
    を加味することを特徴とする請求項4記載の画像圧縮装
    置。
  6. 【請求項6】 前記適応マルチ多段変換手段は、前記適
    応マルチ多段変換関数の最後の段の手前の変換に前記コ
    ンテキスト補正係数による補正を施すことを特徴とする
    請求項5記載の画像圧縮装置。
  7. 【請求項7】 前記適応マルチ多段変換手段は、さら
    に、前記多段変換の適当な段において前記コンテキスト
    を抽出し、適当な周辺画像や変換係数の特性に応じて前
    記コンテキストの量子化レベルあるいは前記コンテキス
    トの量子化レベルと前記コンテキストの量子化数とを可
    変にすることを特徴とする請求項4記載の画像圧縮装
    置。
  8. 【請求項8】 圧縮・伸張の過程を経てもとの情報が保
    存されるリバーシブル画像圧縮を行なう画像圧縮方法に
    おいて、 デジタル画像信号を入力するステップと、 前記デジタル画像信号に応じて得られる要素に基づいて
    出力エントロピーを小さくならしめるとともに可逆条件
    を満たすよう決定される係数を備えた変換関数に出力を
    丸めて整数化する丸め関数と出力レンジを変換前後で不
    変にするレンジ不変関数とを修飾して成るマルチ変換関
    数を連結した多段構造を有するマルチ多段変換関数であ
    って、前記多段構造を形成する任意の段に前記出力エン
    トロピーを小さくする適応変換係数が修飾された適応マ
    ルチ多段変換関数を、入力した前記デジタル画像信号の
    任意の領域に対して算出するステップと、 算出された前記適応マルチ多段変換関数を用いて前記任
    意の領域のデジタル画像信号に対して変換を施すステッ
    プと、 前記適応マルチ多段変換関数による変換が施された変換
    データをエントロピー符号化して圧縮コードを出力する
    ステップと、 入力した前記デジタル画像信号の全領域が終了したか否
    かを判定し、終了していない場合には前記適応マルチ多
    段変換関数を求めるステップからの手順を繰り返すこと
    を特徴とする画像圧縮方法。
  9. 【請求項9】 前記適応マルチ多段変換関数を用いて変
    換を施すステップは、さらに、多段変換の途中で得られ
    る変換データに関する周辺の画像あるいは周辺変換係数
    のコンテキストを抽出し、前記コンテキストを用いてコ
    ンテキスト補正を行なうことを特徴とする請求項8記載
    の画像圧縮方法。
  10. 【請求項10】 コンピュータを、圧縮・伸張の過程を
    経てもとの情報が保存されるリバーシブル画像圧縮を行
    なう画像圧縮装置として機能させるプログラムにおい
    て、 コンピュータを、 デジタル画像信号を入力し、前記デジタル画像信号に応
    じて得られる要素に基づいて出力エントロピーを小さく
    ならしめるとともに可逆条件を満たすよう決定される係
    数を備えた変換関数に出力を丸めて整数化する丸め関数
    と出力レンジを変換前後で不変にするレンジ不変関数と
    を修飾して成るマルチ変換関数を連結した多段構造を有
    するマルチ多段変換関数であって、前記多段構造を形成
    する任意の段に前記出力エントロピーを小さくする適応
    変換係数が修飾された適応マルチ多段変換関数を用いて
    前記デジタル画像信号に変換を施す適応マルチ多段変換
    手段と、前記適応マルチ多段変換手段により変換された
    変換データをエントロピー符号化して圧縮コードを生成
    するエントロピー符号化手段と、して機能させるための
    プログラム。
  11. 【請求項11】 圧縮・伸張の過程を経てもとの情報が
    保存されるリバーシブル画像圧縮により圧縮されたデジ
    タル画像信号の圧縮コードを伸張する画像伸張装置にお
    いて、 圧縮コードを入力し、前記圧縮コードをエントロピー復
    号するエントロピー復号手段と、 前記エントロピー復号手段により復号された復号信号を
    入力し、前記復号信号に応じて得られる要素に基づいて
    出力エントロピーを小さくならしめるとともに可逆条件
    を満たすよう決定される係数を備えた変換関数に出力を
    丸めて整数化する丸め関数と出力レンジを変換前後で不
    変にするレンジ不変関数とを修飾して成るマルチ変換関
    数の逆変換関数を連結した多段構造を有するマルチ多段
    逆変換関数であって、前記多段構造を形成する任意の段
    に前記出力エントロピーを小さくする適応変換係数が修
    飾された適応マルチ多段逆変換関数を用いて前記復号信
    号に逆変換を施して前記デジタル画像信号を復元する適
    応マルチ多段逆変換手段と、 を備えたことを特徴とする画像伸張装置。
  12. 【請求項12】 圧縮・伸張の過程を経てもとの情報が
    保存されるリバーシブル画像圧縮により圧縮されたデジ
    タル画像信号の圧縮コードを伸張する画像伸張方法にお
    いて、 リバーシブル画像圧縮が施された圧縮コードを入力する
    ステップと、 任意の領域の前記圧縮コードに対してエントロピー復号
    を施して復号信号を出力するステップと、 前記復号信号に応じて得られる要素に基づいて出力エン
    トロピーを小さくならしめるとともに可逆条件を満たす
    よう決定される係数を備えた変換関数に出力を丸めて整
    数化する丸め関数と出力レンジを変換前後で不変にする
    レンジ不変関数とを修飾して成るマルチ変換関数の逆変
    換関数を連結した多段構造を有するマルチ多段逆変換関
    数であって、前記多段構造を形成する任意の段に前記出
    力エントロピーを小さくする適応変換係数が修飾された
    適応マルチ多段逆変換関数を前記任意の領域の復号信号
    に対して算出するステップと、 算出された前記適応マルチ多段逆変換関数を用いて前記
    任意の領域の復号信号に逆変換を施してもとのデジタル
    画像信号を復元するステップと、 入力した前記圧縮コードの全領域が終了したか否かを判
    定し、終了していない場合には前記エントロピー復号を
    施すステップからの手順を繰り返すことを特徴とする画
    像伸張方法。
  13. 【請求項13】 コンピュータを、圧縮・伸張の過程を
    経てもとの情報が保存されるリバーシブル画像圧縮によ
    り圧縮されたデジタル画像信号の圧縮コードを伸張する
    画像伸張装置として機能させるプログラムにおいて、 コンピュータを、 前記圧縮コードを入力し、前記圧縮コードをエントロピ
    ー復号するエントロピー復号手段と、 前記エントロピー復号手段により復号された復号信号を
    入力し、前記復号信号に応じて得られる要素に基づいて
    出力エントロピーを小さくならしめるとともに可逆条件
    を満たすよう決定される係数を備えた変換関数に出力を
    丸めて整数化する丸め関数と出力レンジを変換前後で不
    変にするレンジ不変関数とを修飾して成るマルチ変換関
    数の逆変換関数を連結した多段構造を有するマルチ多段
    逆変換関数であって、前記多段構造を形成する任意の段
    に前記出力エントロピーを小さくする適応変換係数が修
    飾された適応マルチ多段逆変換関数を用いて前記復号信
    号に逆変換を施して前記デジタル画像信号を復元する適
    応マルチ多段逆変換手段と、して機能させるためのプロ
    グラム。
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