JP2003226598A - 結晶シートの製造装置、製造方法、その方法により製造される結晶シートおよびその結晶シートを用いて得られる太陽電池 - Google Patents

結晶シートの製造装置、製造方法、その方法により製造される結晶シートおよびその結晶シートを用いて得られる太陽電池

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JP2003226598A
JP2003226598A JP2002025928A JP2002025928A JP2003226598A JP 2003226598 A JP2003226598 A JP 2003226598A JP 2002025928 A JP2002025928 A JP 2002025928A JP 2002025928 A JP2002025928 A JP 2002025928A JP 2003226598 A JP2003226598 A JP 2003226598A
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substrate
crystal
sheet
silicon
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Hirozumi Gokaku
博純 五角
Yoshihiro Tsukuda
至弘 佃
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に形成した結晶シートが基板から不用
意に脱落することがなく、また結晶シートの回収時に結
晶シートに割れが生じることがないため、結晶シートの
歩留まりが高く、安価な結晶シートを効率的かつ連続的
に製造する。 【解決手段】 本発明の結晶シートの製造装置は、半導
体の融液に基板を浸漬し、その基板上に半導体の結晶シ
ートを形成する装置であって、基板は結晶シートを形成
する面に開口する孔を有し、この孔を介して結晶シート
を吸着または剥離するための手段を有することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体の融液から
直接的に結晶シートを製造する方法およびその製造装置
に関する。さらに詳しくは、本発明は、結晶シートの製
造工程において、結晶シートの落下防止機構および結晶
シートの割れ防止機構を設けることにより、安価なシリ
コン結晶シートの製造方法および製造装置に関する。ま
た、本発明は、前記の製造方法により製造された結晶シ
ートおよびその結晶シートから得られる太陽電池に関す
る。
【0002】
【従来の技術】薄板の製造装置および製造方法として
は、たとえば特開平10−29895号公報に「シリコ
ンリボンの製造装置およびその製造方法」が紹介されて
いる。同公報によると、回転体の円筒面の一部を、上下
可動可能なルツボに浸漬し、冷却体を回転しながら黒鉛
製のネットを引き出すことにより、黒鉛製のネットに続
いて固化成長したシリコン薄板を連続的に取り出すこと
ができるため、インゴットをワイヤーソーなどによりス
ライスして簿板を得る従来のシリコン薄板の製造方法よ
りも、プロセスコストおよび原材料の双方を低減するこ
とができるとする。また、回転する冷却体がシリコンを
強制冷却しながら引き出すため、引き出し速度が大幅に
向上し、回転体の大きさや回転数によって引き出し速度
の制御が可能であり、一般的には100mm/分以上で
の引き出しができるとする。しかしながら、この「シリ
コンリボンの製造装置およびその製造方法」では、回転
体が円筒形のため、薄板の形状に曲率が残り、曲がった
板になるという問題があった。
【0003】特開2001−247396号公報には、
このような問題を解決するため、「結晶シートの製造装
置および結晶シートの製造方法」が紹介されている。こ
の製造装置の構造を図4に示す。複数の基板3は、多角
柱の回転体2に案内され、一方向から回転しながら、融
液8に浸漬された後、取出され、搬出される。基板3同
士は基板連結器によって、キャタピラ状に連結されてい
る。また、回転軸15は回転駆動機構により所定回転数
に制御され、基板3がつぎ々に融液8に案内され、搬出
される。融液8は、加熱装置4を備えたルツボ9内に貯
留されている。この「結晶シートの製造装置」では、多
角柱の回転体2に案内された平坦な基板3を融液8中に
浸漬することで、基板3上に曲率を持たない平らで反り
の無い平板状の薄板からなる結晶シートを凝固成長させ
ることができ、多角柱の回転体2を連続して回転するこ
とにより、基板3から結晶シートを連続的に取り出すこ
とができるとする。しかし、この方法では、基板3が融
液8に浸漬され、取り出される際に、基板3と結晶シー
トとの接着力が弱いために、基板3の表面から結晶シー
トが剥離してしまい、装置内部に落下し、回収できず、
結晶シートの歩留まりが悪くなり、低コスト化への阻害
要因になっているという問題があった。また、表面に結
晶シートを成長させた基板3を、剥離機構17まで搬送
し、剥離機構17において真空チャックなどにより結晶
シートを吸着し、引き上げる際に、結晶シートに部分的
な応力がかかり、結晶シートに割れが生じ、結晶シート
の歩留まりを低下させ、低コスト化への阻害要因になっ
ているという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基板上に形
成した結晶シートが基板から不用意に脱落することがな
く、また結晶シートの回収時に割れが生じることがな
く、結晶シートの歩留まりが高く、安価な結晶シートを
効率的かつ連続的に製造することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の結晶シートの製
造装置は、半導体の融液に基板を浸漬し、その基板上に
半導体の結晶シートを形成する装置であって、基板は結
晶シートを形成する面に開口する孔を有し、この孔を介
して結晶シートを吸着または剥離するための手段を有す
ることを特徴とする。
【0006】この結晶シートの製造装置は、基板の孔に
連結する気体流通経路を有するものが好ましく、気体流
通経路は、開閉弁や経路切り換え弁を有するものが好ま
しい。また、結晶シートとしては、シリコンの結晶シー
トが好ましく、結晶シートの吸着または剥離には、不活
性ガスを使用することが好ましい。
【0007】本発明の結晶シートの製造方法は、半導体
の融液に基板を浸漬し、その基板上に半導体の結晶シー
トを形成する工程と、基板が結晶シートを形成する面に
開口する孔を有し、その孔を介して結晶シートを吸着ま
たは剥離するための工程と、を有することを特徴とす
る。
【0008】本発明の結晶シートは、半導体の融液に基
板を浸漬し、その基板上に半導体の結晶シートを形成す
る工程と、基板が結晶シートを形成する面に開口する孔
を有し、その孔を介して結晶シートを吸着または剥離す
るための工程と、を有する方法により製造されることを
特徴とする。
【0009】また、本発明の太陽電池は、シリコンの融
液に基板を浸漬し、基板上にシリコンの結晶シートを形
成する工程と、基板が結晶シートを形成する面に開口す
る孔を有し、その孔を介して結晶シートを吸着または剥
離するための工程と、を有する方法により製造されるシ
リコンの結晶シートを用いて得られることを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の結晶シートの製造装置
は、基板が結晶シートを形成する面に開口する孔を有
し、この孔を介して結晶シートを吸着または剥離するた
めの手段を有することを特徴とする。
【0011】基板上に結晶シートを形成した後、結晶シ
ートを形成した面に開口している孔の内部を減圧するこ
とにより結晶シートを基板上に吸着し確実に保持するこ
とができる。したがって、結晶シートの製造時における
結晶シートの脱落を防止し、製品の歩留まりを高めるこ
とができる。また、結晶シートを形成した面に開口して
いる孔の内部を加圧することにより結晶シートの全面に
わたり均一な力を加えて結晶シートを基板表面から確実
に剥離することができる。したがって、結晶シートを基
板から剥離するときに、結晶シートに局部的に余分な力
が加わることがなく、結晶シートの割れを防止し、製品
の歩留まりを高めることができる。
【0012】結晶シートを形成した面に開口している孔
の内部の減圧は、ロータリーポンプ、メカニカルブース
ターポンプなどを用いて脱気する通常の方法により行な
うことができる。一方、結晶シートを形成した面に開口
している孔の内部の加圧は、不活性ガスなどの気体や高
沸点オイルなどの液体を注入することにより行なうこと
ができるが、半導体の融液はかなり高温となることから
沸騰を避けるため、気体により加圧することが好ましい
(以下、気体を例にして、本発明の説明をする。)。ま
た、気体としては、半導体の融液と反応せず、半導体の
純粋な結晶シートを得ることができる点で、不活性ガス
が好ましい。不活性ガスとしては、アルゴンやヘリウム
などがあるが、コスト面からアルゴンが好ましい。
【0013】図1は、本発明の結晶シートの製造装置に
おける基板11および気体流通経路13の斜視図であ
る。基板11には、孔12が設けられ、孔12が開口し
ている面を半導体の融液に浸漬し、この面に半導体の結
晶シートを形成し、この孔12を介して結晶シートを吸
着または剥離する。
【0014】本発明の製造装置により、基板上に半導体
の結晶シートを低コストで製造することができる。半導
体としては、たとえば、シリコン(Si)、ゲルマニウ
ム(Ge)、ガリウム(Ga)などを主成分とするもの
であり、これらの一種あるいは二種以上を混合して使用
することもできる。
【0015】基板11の材質は、半導体の融液に適した
材質を選択することが好ましく、融液と反応せず、熱伝
導性や耐熱性に優れ、融液に対し濡れ性が悪く、耐久性
の良いものが好ましい。具体的には、窒化ケイ素、炭化
ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、石英、酸化アルミニ
ウム、酸化ジルコニウム、黒鉛などを、使用する融液に
応じて選択すればよい。たとえば、半導体がシリコンで
あるときは、シリコン融液は高温であり、反応性に富む
ため、基板の材質の選定はきわめて難しいが、濡れ性、
熱伝導率、コスト、加工性などの観点から黒鉛が優れて
いる。特に濡れ性に関して、シリコンと黒鉛との濡れ角
は150度と悪いため、シリコンの結晶成長時にシリコ
ン融液の孔への入り込みの少ない平滑な結晶シートを得
ることができる。黒鉛としては、高密度グラファイト
(東洋炭素IG−110)などが好ましい。また、太陽
電池用シリコン結晶シートを製造する場合には、窒化ホ
ウ素、炭化ホウ素などを用いることにより、生成するシ
リコン結晶シート中にホウ素が微量に含有されることと
なって、p型太陽電池に使用する際に有利となる。
【0016】基板11の形状は、結晶シートを形成する
表面を有し、全体として平坦なものが好ましい。結晶シ
ートを形成する表面の輪郭は、曲線を含んでいてもよい
が、生産性および製造される結晶シートの利用価値か
ら、多角形が好ましく、四角形がより好ましく、長方形
または正方形が特に好ましい。
【0017】孔12の大きさは、半導体の融液と基板1
1の材質との濡れ性により調整するのが好ましい。基板
に濡れ性が悪い材質を使用することにより、孔へ融液が
入り込みにくくなり、平滑な結晶シートを得やすい。ま
た、孔の大きさを大きくすることができるため、加工が
容易となり基板のコストを低減することができる。たと
えば、基板に黒鉛、半導体にシリコンを用い、基板表面
への開口部が円形の孔を設ける場合、孔の直径は0.3
mm〜5mmが好ましく、0.3mm〜2mmがより好
ましい。基板の材質として融液の濡れ性が良い材質を使
用すると、孔の中に融液が入り込みやすくなって、結晶
シートの平滑性が損なわれやすい。また、孔の大きさを
小さくしなければならないため、加工が困難となり、基
板のコストが高くなりやすい。孔の形状、数および位置
は特に限定されるものではなく、半導体の融液、基板の
材質、製造する結晶シートの大きさや厚さにより任意に
設定できる。
【0018】図2は、本発明の結晶シートの製造装置に
おける基板21および気体流通経路23の断面図であ
る。図2には、基板21に設けられている孔22が、気
体流通経路23に連結し、気体流通経路23に開閉弁2
4および経路切り換え弁25が設けられている例を示
す。
【0019】孔22は、気体流通経路23に連結してい
る態様が好ましい。孔22に気体流通経路23を設ける
ことにより、基板上に結晶シートが形成された後に、気
体流通経路23を使用して、気体を流出または流入する
ことにより、孔22を介して結晶シートを基板表面に均
一に吸着し、または基板表面から均一に剥離することが
できる。
【0020】気体流通経路23は、結晶シートの吸着ま
たは剥離をタイミングよく、かつ確実に行うことができ
る点で、開閉弁24を有するものが好ましい。この開閉
弁24としては、機械的に動作する機構の弁や電気的に
動作する機構の弁(電磁弁)のいずれも使用することが
できるが、開閉の制御が容易な電磁弁が好ましい。
【0021】気体流通経路23は、基板上に形成した結
晶シートと基板との吸着または剥離の動作を確実に行な
うことができる点で、経路切り換え弁25を有するもの
が好ましい。図2に示す例では、経路切り換え弁25に
連結する2つの経路の一方には真空ポンプ26が接続さ
れ、もう一方の経路からは不活性ガスを導入することが
できる。真空ポンプ26を動作させ、切り換え弁25を
真空経路に切り換え、開閉弁24を開放することによ
り、孔22および気体流通経路23は負圧となり、製造
された結晶シートを基板表面にスムーズかつ確実に吸着
することができる。一方、切り換え弁25を不活性ガス
導入側に切り換え、開閉弁24を開放することにより、
孔22および気体流通経路は加圧され、製造された結晶
シートの全面にわたり均一な応力をかけて基板表面から
確実に剥離することができる。
【0022】本発明の結晶シートの製造装置の例を図3
に示す。本体チャンバー111の内部には、加熱ヒータ
115により、ルツボ昇降台116上のルツボ114内
では、半導体材料を融点以上に加熱できるようになって
いる。また、本体チャンバー111内は真空ポンプで脱
気した後、不活性ガスを注入する。半導体材料は溶融す
ると体積が減るため、材料投入ポート117を設け、材
料の追加投入を行ない、融液113の液面の高さの調整
ができる。半導体材料の融液113に浸漬して、結晶シ
ートを製造するための基板101は回転軸112に取り
付けられた気体流通経路103の先端に配置されてお
り、回転軸112が回転することにより、基板101は
半導体材料の融液113に浸漬する構造となっている。
【0023】基板101上に形成された結晶シート12
2は、基板101に吸着された後、回転軸112の回転
により、シート回収機構にある吸着部118の直下の位
置で停止する。このとき吸着部118の吸着面と結晶シ
ート122は平行となり、そのギャップは約5mmとな
るように設定するのが好ましい。つぎに基板101内を
不活性ガスで加圧し、基板101から結晶シート122
を剥離する。剥離の際、副室120内は真空ポンプで脱
気し、不活性ガスを注入して、本体チャンバー111と
同圧に調整しておく。その後、本体チャンバー111と
副室120との間を仕切るゲートバルブ119を開放
し、基板101上の結晶シート122の上方の位置まで
吸着部118を下方向に移動する。つぎに吸着部118
で結晶シート122を保持する。吸着部118による保
持は、吸着部118にシリコンゴムなどの耐熱性ゴムを
用い、内部を真空ポンプなどで負圧にして吸着する方
法、または吸着部にセラミックス素材などを用い、フロ
ートチャックにて吸着する方法などがある。
【0024】つづいて吸着部118を上方向に移動し、
結晶シート122を副室120内に回収した後、ゲート
バルブ119により副室120と本体チャンバー111
との間を仕切る。これにより、結晶シート122を取り
出すために、副室の扉121を開放したときに、副室1
20を通って、本体チャンバー111内へ空気が流入
し、半導体材料が酸化するのを防止することができる。
副室120内を再度真空ポンプで脱気し、大気開放を行
った後、製造された結晶シート122を取り出す。その
後、再び副室の扉121を閉め、真空ポンプにて副室1
20内の空気を脱気し、不活性ガスを本体チャンバー1
11内と同一の圧力になるまで注入し、つぎの基板が吸
着部118の真上の位置に来るまで待機し、再び同じ工
程を繰り返す。取り出された結晶シートは、不要な部分
をダイサーもしくはレーザーなどにより除去する。
【0025】本発明の結晶シートの製造方法は、以上の
ような製造装置を使用して行なわれ、製造に際して結晶
シートの基板からの脱落や、結晶シート回収時の割れを
防止できるため、結晶シートの歩留まりが高く、生産性
がよい。したがって、このような方法により製造する結
晶シートは安価である。
【0026】本発明の太陽電池は、このようなシリコン
の結晶シートを用いて得られるため、安価である。
【0027】
【実施例】実施例1 図1に示すように、開口部の直径が2mmの円形の孔1
2を5個設けた基板11を用意した。結晶シートの製造
装置における基板および気体流通経路の断面図である図
2に示すように、基板21に設けた孔22は気体流通経
路23に連結しており、気体流通経路23には、電磁弁
である開閉弁24および経路切り換え弁25を設けた。
【0028】図3に示すように、本体チャンバー111
内に設置された黒鉛製のルツボ114に、直径50mm
前後のシリコン塊を5kg装填した後、本体チャンバー
111内を400Paになるまでロータリーポンプを用
いて脱気し、その後5Paになるまでメカニカルブース
ターポンプを用いて脱気を行なった。つぎにルツボ加熱
用のコイル115に周波数5kHz、電力100kWの
インバーターを用いて、ルツボ114を5℃/minの
昇温レートにて200℃まで昇温した。本体チャンバー
111内を5Pa、ルツボ114の温度を200℃の状
態で30分間維持することにより、多孔質である黒鉛製
ルツボ114の内部に含まれている水分を除去した。こ
のようなベーキング処理を行ない、ルツボ114内の水
分を除去することにより、水に含まれている酸素によっ
て、シリコンの酸化を防止することができる。
【0029】ベーキング処理後、一旦インバーターの出
力を停止し、ルツボ114の加熱を停止した。この状態
で、本体チャンバー111内が800hPaになるまで
アルゴンを充填した。これは、インバーターを稼動させ
た状態でアルゴンを充填すると、本体チャンバー内が数
10hPaから100hPa前後の間で、ルツボ114
とコイル115の間でグロー放電を起こりやすいので、
これを防止するためである。本体チャンバー111内が
800hPaに達した時点で、再びルツボ114を昇温
レート5℃/minにて1500℃になるまで加熱し
た。シリコンの融点は1415℃であり、ルツボ114
の温度を1500℃で維持することにより、ルツボ11
4内のシリコンはやがて全て溶解して、シリコンの融液
113となった。このときシリコンの融液113の液面
の高さを、ルツボ114の上端から15mm下になるよ
うに設定するために、シリコン塊の追加が必要となっ
た。これは、ルツボ114へのシリコン塊の装填におい
て、シリコン塊間に隙間があるためである。そこで、
1.5kgの直径10mm前後のシリコン塊を、原料投
入ポート117よりルツボ114に追加して、融液11
3の液面の高さを調整した。追加投入したシリコン塊が
全て溶融したことを確認した後、ルツボ114の設定温
度を1430℃まで落とし、融液の温度の安定化のため
30分間この状態を維持した。
【0030】回転軸112に固定されている気体流通経
路103は、120°の間隔で3本設け、そのうちの1
本が、結晶シート回収機構にある吸着部118と回転軸
112の中心とを結ぶ線上に位置するように調整した。
回転軸112および気体流通経路103は水冷した。
【0031】シリコンの融液113の温度が安定した
後、基板101表面の中央部が融液113に10mmの
深さまで浸漬するように、ルツボ昇降台116を調整
し、0.75rpmで基板101を回転し、基板101
を融液113に浸漬した。融液113から基板101が
引き上げられた直後に、気体流通経路103の開閉弁を
開き、気体流通経路103内を負圧とし、基板101の
表面に形成した結晶シート122を基板101に吸着し
た。結晶シート122を吸着保持した状態で、基板10
1を120°回転し、停止した。そうすることにより、
最初にシリコンの融液113に浸漬した基板101は、
シート回収機構の吸着部118と回転軸112の中心を
結ぶ直線上に位置した。
【0032】つぎに、気体流通経路103の開閉弁を閉
め、経路切り換え弁を調節して、気体流通経路103に
アルゴンを導入した。副室120と本体チャンバー11
1を仕切っているゲートバルブ119を開け、耐熱性の
シリコンゴムからなる吸着部118を、基板101上の
結晶シート122に密着した後、気体流通経路103の
開閉弁を開き、基板101の表面からアルゴンを結晶シ
ート122に吹き付けると、結晶シート122は容易に
基板101から剥離した。その後、吸着部118内を負
圧にし、結晶シート122を吸着部118に保持し、シ
ート回収機構とともに副室120内へ格納した。シート
回収機構が副室120内へ格納したことを確認した後、
本体チャンバー111と副室120を仕切っているゲー
トバルブ119を閉め、副室内圧力を大気圧と同じ10
13hPaに合わせた後、副室扉121を開けた。シー
ト回収機構の吸着部118の直下へ受け皿を配置し、吸
着部118の内部を大気圧に戻し、結晶シート122を
受け皿に回収した。取り出したシリコンの結晶シート1
22はダイサーにて不要な部分をカッティングした。
【0033】このように製造されたシリコンの結晶シー
トは基板からの脱落、またはシート回収時における割れ
が無く、歩留まりは98%であり、これまでの80%程
度の歩留まりに比べて18%向上した。またシートの厚
さは約400μmであり、結晶シートの表面形状および
結晶粒は共に均一で、基板の孔の影響は認められなかっ
た。またこのシリコンの結晶シートを用いて、通常の太
陽電池製造プロセスにより太陽電池用セルを製造した。
この太陽電池は、開放電圧570mV、短絡電流30.
4mA/cm2、変換効率13.1%の出力を発揮し
た。
【0034】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、結晶シート
の歩留まりが高く、生産性がよいため、安価な結晶シー
トを製造できる。また、この結晶シートを用いることに
より、安価な太陽電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の結晶シートの製造装置における基板
および気体流通経路の斜視図である。
【図2】 本発明の結晶シートの製造装置における基板
および気体流通経路の断面図である。
【図3】 本発明の結晶シートの製造装置の構造を示す
模式図である。
【図4】 従来の結晶シートの製造装置の構造を示す模
式図である。
【符号の説明】
11,21,101 基板、12,22 孔、13,2
3,103 気体流通経路、24 開閉弁、25 切り
換え弁、26 真空ポンプ、111 本体チャンバー、
112 回転軸、113 融液、114 ルツボ、11
5 加熱ヒータ、116 ルツボ昇降台、117 原料
投入ポート、118 吸着部、119ゲートバルブ、1
20 副室、121 副室扉、122 結晶シート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G072 AA01 BB09 BB12 GG01 GG03 GG04 GG05 HH01 RR12 UU01 UU02 4G077 AA02 BA04 CF10 ED04 HA20 5F051 AA03 CB04 CB30

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体の融液に基板を浸漬し、該基板上
    に半導体の結晶シートを形成する結晶シートの製造装置
    において、前記基板は結晶シートを形成する面に開口す
    る孔を有し、該孔を介して結晶シートを吸着または剥離
    するための手段を有することを特徴とする結晶シートの
    製造装置。
  2. 【請求項2】 前記基板の孔に連結する気体流通経路を
    有する請求項1記載の結晶シートの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記気体流通経路が、開閉弁を有する請
    求項2記載の結晶シートの製造装置。
  4. 【請求項4】 前記気体流通経路が、経路切り換え弁を
    有する請求項2記載の結晶シートの製造装置。
  5. 【請求項5】 前記結晶シートが、シリコンの結晶シー
    トである請求項1または2記載の結晶シートの製造装
    置。
  6. 【請求項6】 前記孔を介して結晶シートを吸着または
    剥離するための手段は、不活性ガスを使用することを特
    徴とする請求項1記載の結晶シートの製造装置。
  7. 【請求項7】 半導体の融液に基板を浸漬し、該基板上
    に半導体の結晶シートを形成する工程と、前記基板が結
    晶シートを形成する面に開口する孔を有し、該孔を介し
    て結晶シートを吸着または剥離するための工程と、を有
    する結晶シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 半導体の融液に基板を浸漬し、該基板上
    に半導体の結晶シートを形成する工程と、前記基板が結
    晶シートを形成する面に開口する孔を有し、該孔を介し
    て結晶シートを吸着または剥離するための工程と、を有
    する方法により製造される結晶シート。
  9. 【請求項9】 シリコンの融液に基板を浸漬し、該基板
    上にシリコンの結晶シートを形成する工程と、前記基板
    が結晶シートを形成する面に開口する孔を有し、該孔を
    介して結晶シートを吸着または剥離するための工程と、
    を有する方法により製造されるシリコンの結晶シートを
    用いて得られる太陽電池。
JP2002025928A 2002-02-01 2002-02-01 結晶シートの製造装置、製造方法、その方法により製造される結晶シートおよびその結晶シートを用いて得られる太陽電池 Withdrawn JP2003226598A (ja)

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