JP2003220128A - 生体インプラント材とその製造方法 - Google Patents

生体インプラント材とその製造方法

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JP2003220128A
JP2003220128A JP2002022392A JP2002022392A JP2003220128A JP 2003220128 A JP2003220128 A JP 2003220128A JP 2002022392 A JP2002022392 A JP 2002022392A JP 2002022392 A JP2002022392 A JP 2002022392A JP 2003220128 A JP2003220128 A JP 2003220128A
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Hiroyuki Kitano
宏幸 北野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コバルト・クロム合金の基体の表面を粗面化
または多孔質化した生体インプラント材において、ガル
バニックコロージョンの発生とコバルトやクロムのイオ
ン溶出を防止する。 【解決手段】コバルト・クロム合金よりなる基体の表面
に緻密な純チタンまたはチタン合金からなる第1被覆層
を形成し、該第1被覆層上にその表面に開口する多数の
穴を有する純チタンまたはチタン合金からなる第2被覆
層を形成する。特に、前記第1被覆層をPVD法、CV
D法、もしくはメッキ法で形成し、前記第2被覆層を溶
射により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、疾病、災害などに
より骨機能や手足の関節機能が失われた場合などに、こ
れらを修復するために治療に用いられる整形外科用人工
骨及び人工関節等を構成する生体インプラント材に関
し、特に、基体がコバルト・クロム合金からなるととも
に表面を粗面化或いは多孔質化した生体インプラント材
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インプラントロジーの発展は目覚
ましいものがあり、人工心臓、人工血管、人工肺など様
々な人工臓器が医療の世界で活躍している。特に整形外
科の分野では、失われた関節機能を復元するための人工
関節が広く用いられている。この様な人工関節、人工骨
などの骨内挿入型のインプラントを構成する生体インプ
ラント材は高強度を必要とすることから、ステンレス鋼
やコバルト・クロム合金、チタン合金などが主流であ
る。特に、コバルト・クロム合金はその耐食性と耐摩耗
性により古くから整形外科分野で用いられてきている。
これらの生体インプラント材では、骨との接合面に溶射
コーティングに代表されるような表面の粗面化処理や、
ビーズコーティング、あるいはメッシュコーティングに
代表される多孔質処理が施されており、処理層への骨の
増殖あるいは骨セメントの浸透により、生体インプラン
ト材と骨とを固定させる方法が一般的である。現在既に
製品化されているコバルト・クロム合金を基体とした生
体インプラント材としては、 チタンの溶射皮膜をコーティングした人工膝関節、 コバルト・クロム製のビーズをコーティングした人工
股関節、などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記生体イ
ンプラント材のうち、は基体と溶射皮膜との結合様式
が基体の前処理によって形成された凹凸部への溶射皮膜
の物理的嵌合のみであるため、繰り返し応力下では皮膜
の密着力が低下する恐れがある。また、溶射皮膜には溶
射粒子が堆積したラメラ構造であるため、溶射皮膜の内
部に多数の連通した孔や間隙が認められる。コバルト・
クロム合金の基体とチタンの溶射皮膜とでは異種金属の
組み合わせであるため、それらの孔や間隙により、ガル
バニックコロージョンによるコバルトイオンの溶出が起
こり、骨固定の場である溶射皮膜部において骨のリモデ
リングを阻害する恐れがある。
【0004】一方、は同種金属の組み合わせであるた
めガルバニックコロージョンは起こらないが、溶射被膜
がチタンに比して耐食性に劣るコバルト・クロム合金で
あるため、骨リモデリングの局所的なpH低下時に有害
なコバルトやクロムのイオン溶出が懸念される。また、
溶射被膜との接合時に高温に曝されるため疲労強度の低
下も著しい。
【0005】このような従来技術の問題点に鑑み、本発
明は、コバルト・クロム合金の基体の表面を被覆層によ
り粗面化または多孔質化した生体インプラント材におい
て、耐腐食性と被覆層の密着性を向上させることを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1の生体インプラント材は、コバルト・クロム合
金よりなる基体の表面に緻密な純チタンまたはチタン合
金からなる第1被覆層を形成し、該第1被覆層上にその
表面に開口する多数の穴を有する純チタンまたはチタン
合金からなる第2被覆層を形成したことを特徴とする。
【0007】かかる構成において、第1被覆層は、コバ
ルト・クロム合金基体と純チタンまたはチタン合金より
なる第2被覆層とを安定かつ強固に結合する中間層とし
ての役割があると同時に、ガルバニックコロージョンに
よる金属イオン溶出を防ぐ作用がある。
【0008】例えば、緻密なチタン層(第1被覆層)を
なくして表面に開口する多数の穴を有する純チタンまた
はチタン合金からなる被覆層をコバルト・クロム合金製
基体にコーティングした場合、前述のように長期的な密
着力の低下と溶射皮膜でのガルバニックコロージョンに
よる骨固定性の低下が懸念されるのに対して、緻密なチ
タン層を介してチタン溶射層をコーティングした場合、
チタン同士の化学的結合により長期的に安定した質の高
い密着性が得られると同時に、第1被覆層が緻密である
ためコバルト・クロム合金基材を遮蔽でき、結果として
ガルバニックコロージョンおよびコバルトやクロムなど
の基材元素の溶出を防止することができる。
【0009】また、請求項2の生体インプラント材は、
前記第1被覆層の厚みを0.5μm〜1000μmとし
たことを特徴とする。
【0010】かかる構成によれば、基体と第1被覆層の
界面では、チタンとコバルト・クロム合金成分が相互に
拡散するところ、第1被覆層の厚みを0.5μm以上と
したことにより第1被覆層の表面にまでコバルト・クロ
ム合金成分が拡散してしまわないようにすることができ
る。すなわち、表面のチタンの純度を高くして第2被覆
層の密着力を大きくすることができる。また第1被覆層
の厚みを1000μm以下としたことにより、第1被覆
のひずみが過大となって基材を変形させてしまったり、
第1被覆を損傷させてしまうことがないようにすること
が可能である。
【0011】次に、請求項3の生体インプラント材は、
前記第2被覆層が多孔質構造の純チタンまたはチタン合
金からなることを特徴とする。
【0012】かかる構成によれば、新生骨を第2被覆層
内に深く侵入させ、骨と生体インプラント材との強固な
結合を達成することができる。
【0013】また、請求項4の生体インプラント材は、
前記多孔質構造の純チタンまたはチタン合金がチタンメ
ッシュ或いは多数のチタンビーズからなることを特徴と
する。
【0014】かかる構成によれば、骨の内部侵入に相応
しい開口径や空隙形状を有する表面多孔質構造を提供す
ることができる。
【0015】次に、請求項5の生体インプラント材は、
前記第2被覆層上にリン酸カルシウム系材料よりなるコ
ーティング層を形成したことを特徴とする。
【0016】かかる構成によれば、新生骨との接合力を
高め、また、新生骨の内部侵入を活発にすることができ
る。
【0017】また、請求項6の生体インプラント材は、
前記リン酸カルシウム系材料よりなるコーティング層の
厚みを1μm〜2000μmとしたことを特徴とする。
【0018】かかる構成によれば、前記コーティング層
の厚みを1μm以上としたことにより、このコーティン
グ層の消失が早すぎないようにし、且つ、厚みを200
0μm以下とすることでコーティング層の脱落が発生し
難くすることができる。
【0019】次に、請求項7の生体インプラント材の製
造方法は、第1被覆層をPVD法、CVD法、もしくは
メッキ法で形成することを特徴とする。
【0020】かかる構成によれば、第1被覆層には適度
な残留応力(圧縮応力)が生ずる。この応力により、生
体インプラント材の基材の疲労強度が向上する。
【0021】また、これらの方法で第1被覆層を形成し
た場合、第1被覆層と基材との接着強度が大きくなる。
これは、この第1被覆層が緻密、すなわち粒子が微細で
あるため基材との界面部分で第1被覆層のチタンのイオ
ンが基材のコバルト・クロムの格子内に侵入し、その結
果、化学的結合が起こるためである。また、請求項8の
生体インプラント材の製造方法は、前記第2被覆層を溶
射により形成することを特徴とする。
【0022】かかる構成によれば、生体インプラント材
に骨との機械的アンカリングに適した粗面を容易に形成
することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の生体インプラント材は、
コバルト・クロム合金よりなる基体の表面に緻密な純チ
タンまたはチタン合金からなる第1被覆層を形成し、該
第1被覆層上にその表面に開口する多数の穴を有する純
チタンまたはチタン合金からなる第2被覆層を形成した
構成である。
【0024】本発明における特徴は、緻密なチタンまた
はチタン合金より成る第1被覆層を用いることにある。
この第1被覆層は純チタン、もしくはチタン合金(Ti
−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb等)といった医
療用のチタン材よりなる。
【0025】この第1被覆層は、コバルト・クロム合金
基体と純チタンまたはチタン合金よりなる第2被覆層と
を安定かつ強固に結合する中間層としての役割があると
同時に、ガルバニックコロージョンによる金属イオン溶
出を防ぐ作用がある。
【0026】前記第1被覆層はコーティングにより形成
することができる。コーティング方法としては、真空蒸
着、イオンビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレー
ティング、ダイナミックミキシング法などのPVD法や
CVD法、或いは、電気メッキや無電解メッキなどの湿
式コーティング法を例示することができる。中でも、ス
パッタリングやイオンプレーティングがコーティング層
の密着強度や均質性の見地から特に有効である。これら
の方法により前記第1被覆層を形成した場合、第1被覆
層には適度な残留応力(圧縮応力)が生ずる。この応力
により、生体インプラント材の基材の疲労強度が向上す
る。
【0027】また、これらの方法で第1被覆層を形成し
た場合、第1被覆層と基材との接着強度が大きくなる。
これは、この第1被覆層が緻密、すなわち粒子が微細で
あるため基材との界面部分で第1被覆層のチタンのイオ
ンが基材のコバルト・クロムの格子内に侵入し、その結
果、化学的結合が起こるためである。
【0028】因みに、本発明において緻密とは、第1被
覆層の表面から基材へ向かって層内に連続した孔や間隙
が全く又はほとんど存在しないことを指す。
【0029】前記第1被覆層の厚みは、0.5μm〜1
000μmであることが好ましい。前記基体と前記第1
被覆層の界面では、チタンとコバルト・クロム合金の構
成成分が相互に拡散する。このため、厚みが0.5μm
より小さい場合、第1被覆層の表面にまでコバルト・ク
ロムの構成成分が拡散してしまう恐れがあり、その場
合、表面のチタンの純度が低くなるために第2被覆層の
密着力があまり期待できない。また逆に1000μmを
越える厚みでは、膜にひずみが大きくなりすぎ、基材の
変形もしくは被覆層の破壊の可能性がでてくるからであ
る。次に、表面から連通した多数の穴を有する前記第2
被覆層は、純チタン、もしくはチタン合金(Ti−6A
l−4V、Ti−6Al−7Nb等)といった医療用の
チタン材よりなる。
【0030】前記第2被覆層は、溶射により形成された
粗面を有する溶射層とすることができる。溶射により第
2被覆層を形成する利点としては、生体インプラント材
の表面を容易に粗面化することが挙げられる。この溶射
層は、表面から連通した多数の穴を有するが、空隙率は
非常に低い。骨とは、主に表面部分の凹凸が骨と係合す
る。
【0031】この第2被覆層を形成する溶射の方法とし
ては、溶射時の酸化や窒化などの化学反応を防ぐ目的か
らシールドアーク溶射、減圧アーク溶射、減圧プラズマ
溶射、減圧レーザー溶射などが好ましい。
【0032】また、前記第2被覆層は、ビーズ球を積層
し焼結させたビーズコーティングや、編んだメッシュ状
ワイヤーを3次元的にプレス成形して焼結させたメッシ
ュコーティング、シート状のメッシュを積層焼結させた
ものなどのメッシュを利用したものを用いることができ
る。かかる多孔質構造としての第2被覆層によれば、骨
の内部侵入に相応しい開口径や空隙形状を有する表面多
孔質構造を提供することができる。
【0033】上記多孔質構造の第2被覆層の第1被覆層
への固着方法は、高温加熱による焼結固着法や拡散接合
法を用いることができる。
【0034】この他、前記第2被覆層は鋳造多孔質体で
あっても良い。
【0035】次に、本発明の生体インプラント材は、骨
との接合力を高めるため、或いは、骨の内部侵入を促進
するため、前記第2被覆層に、リン酸カルシウム系材料
をコーティングするものであっても良い。
【0036】このリン酸カルシウム系材料よりなるコー
ティング層(以下、リン酸カルシウム層)は前記第2被
覆層の上に溶射法や析出法、塗布法などの方法でコーテ
ィングされる。
【0037】リン酸カルシウム系材料としては、ハイド
ロキシアパタイト(HA)やリン酸三カルシウム(TC
P)、リン酸八カルシウム(OCP)の様なリン酸カル
シウム結晶層、またはアパタイト・ウォラストナイト・
ガラスセラミック(AWGC)などのリン酸カルシウム
系ガラスセラミック、もしくはアパタイト・コンポジッ
ト・セラミック(ACC)などのリン酸カルシウム系複
合セラミック、あるいは非晶質リン酸カルシウムなどが
ある。
【0038】この他、リン酸カルシウム層には、骨との
親和性に優れるキチン、キトサンなどの有機物を混合し
ても良い。
【0039】これらの材料は、選ばれた一種の単層、ま
たは二種以上の複層、もしくは二種以上の混合層として
使用される。
【0040】例えば、リン酸カルシウム層としてHAを
プラズマ溶射法にてコーティングすることができる。こ
のHA層の上にさらに同じプラズマ溶射法にてTCPを
コーティングすることもできる。あるいは、TCPとH
Aの混合材料を同じプラズマ溶射法にてコーティングす
ることもできる。このリン酸カルシウム層の形成には、
フレーム溶射、プラズマ溶射、高速フレーム溶射、爆発
溶射、レーザー溶射などの溶射法の他、バイオミメティ
ック法などの析出法、あるいはディッピング法のような
塗布法を使用することができる。さらに、これらの方法
を組み合わせて使用することもできる。例えば、高速フ
レーム溶射法にてHAを溶射した後、ディッピング法に
てTCPをコーティングすることができる。前記リン酸
カルシウム層の厚みは、1μm〜2000μmであるこ
とが好ましい。これは、1μm未満の厚みでは生体内で
の消失が早すぎて実用性がないためであり、他方、20
00μmを越える厚みでは、リン酸カルシウム系材料層
の脱落が起こる危険性が大となる傾向があるためであ
る。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 直径5mm、長さ10mmのコバルト・クロム合金製円柱に
対して、表面をサンドブラストした後、減圧プラズマ
溶射法にて厚さ500μmのチタンをコーティングした
比較例としての従来法の試験片、表面にイオンプレー
ティング法により厚さ20μmの純チタンをコーティン
グした後、減圧プラズマ溶射法にて厚さ500μmの純
チタンをコーティングした本発明実施例の試験片、の2
種を作製した。この試験体に対し、ASTM F 74
6に準じて孔食電位の測定を行った。
【0042】本試験では5mV/秒で電圧を印荷し、得ら
れた電圧−電流密度曲線上の電流密度1mA/cm2の箇所で
その曲線に接線を引き、これと電圧軸(電流密度=0mA/c
m2の直線)との交点の電圧値をもって孔食電位とした。
試験はN数5で行った。
【0043】その結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示すように、本発明の試験片は、孔
食による材料の腐食よりもチタンの酸化反応が進み、電
圧を5Vまで印荷しても孔食は生じなかった。酸化反応
により電流値が急激に上昇したため、この時点で実験を
終了した。
【0046】一方、従来法の試験片は、0.8V付近で
急激な電流値の上昇が見られ、孔食が生じていることが
確認された。
【0047】実施例2 ASTM F 1147に準拠して引張密着力強度評価
を行った。
【0048】直径17mm、厚さ5mmのコバルト・クロム
合金製円柱に対して、片側平面をサンドブラストした
後、シールドアーク溶射法にて厚さ500μmのチタン
をコーティングし、さらにその上にフレーム溶射法にて
厚さ20μmのHAを溶射した比較例としての従来法の試
験片、片側平面にイオンプレーティング法により厚さ
20μmのチタンをコーティングした後、シールドアー
ク溶射法にて厚さ500μmのチタンをコーティング
し、さらにその上にフレーム溶射法にて厚さ20μmのH
Aを溶射した本発明実施例の試験片、の2種を作製した。
【0049】試験片の両面をエポキシ系接着剤で試験用
治具に接着し、万能引張試験機にてクロスヘッドスピー
ド1mm/minで、試験片が破断するまで荷重を加え、破断
時の強度をもって破断強度とした。試験片の破断強度と
破断部位の評価を行った。試験はN数10で行った。
【0050】その結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2から明らかなように従来法による皮膜
の密着強度は、平均60.3 MPaであり、破断は全てチ
タン溶射層とコバルト・クロム製基材間で生じた。一
方、本発明の試験片における皮膜の密着力は、平均7
6.0 MPaであり、破断はコバルト・クロム合金基材近
傍のイオンプレーティング層内で生じており、統計学的
処理により、破断強度に有意差が認められ、本発明の効
果が実証された。
【0053】以上、本発明の実施形態および実施例を例
示したが本発明はこれら実施形態および実施例に限定さ
れるものではなく、発明の目的を逸脱しない範囲におい
て任意の形態とすることができることは云うまでもな
い。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明の生体インプラント
材は、コバルト・クロム合金よりなる基体の表面に緻密
な純チタンまたはチタン合金からなる第1被覆層を形成
し、該第1被覆層上にその表面に開口する多数の穴を有
する純チタンまたはチタン合金からなる第2被覆層を形
成したものであり、第1被覆層は、コバルト・クロム合
金基体と純チタンまたはチタン合金よりなる第2被覆層
とを安定かつ強固に結合する中間層としての役割がある
と同時に、ガルバニックコロージョンによる金属イオン
溶出を防ぐ。
【0055】また、前記生体インプラント材において、
前記第1被覆層の厚みを0.5μm〜1000μmとし
た場合、第1被覆層の表面にまで前記酸素が拡散してし
まわないようにすることで表面のチタンの純度を高くし
て第2被覆層の密着力を大きくすることができる。他
方、第1被覆層の厚みを1000μm以下とすること
で、第1被覆膜の強度が過少とならないようにすること
が可能である。
【0056】また、前記生体インプラント材において、
前記第2被覆層を多孔質構造の純チタンまたはチタン合
金から構成した場合、新生骨を第2被覆層内に深く侵入
させ、骨と生体インプラント材との強固な結合を達成す
ることができる。また、前記多孔質構造の純チタンまた
はチタン合金がチタンメッシュ或いは多数のチタンビー
ズとした場合、骨の内部侵入に相応しい開口径や空隙形
状を有する表面多孔質構造を提供することができる。
【0057】次に、前記生体インプラント材において、
前記第2被覆層上にリン酸カルシウム系材料よりなるコ
ーティング層を形成した場合、新生骨との接合力を高
め、また、新生骨の内部侵入を活発にすることができ
る。特に、前記リン酸カルシウム系材料よりなるコーテ
ィング層の厚みを1μm〜2000μmとした場合、こ
のコーティング層の消失が早すぎないようにするととも
に、コーティング層の脱落が発生し難くすることができ
る。
【0058】また、本発明の生体インプラント材の製造
方法は、前記第1被覆層をPVD法、CVD法、もしく
はメッキ法で形成したので、第1被覆層には適度な残留
応力(圧縮応力)が生ずる。この応力により、生体イン
プラント材の基材の疲労強度が向上する。また、これら
の方法で第1被覆層を形成した場合、第1被覆層と基材
との接着強度が大きくなる。さらに、この生体インプラ
ント材の製造方法において。前記第2被覆層を溶射によ
り形成した場合、生体インプラント材の表面に骨との機
械的アンカリングに適した粗面を容易に形成することが
できる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コバルト・クロム合金よりなる基体の表
    面に緻密な純チタンまたはチタン合金からなる第1被覆
    層を形成し、該第1被覆層上にその表面に開口する多数
    の穴を有する純チタンまたはチタン合金からなる第2被
    覆層を形成したことを特徴とする生体インプラント材。
  2. 【請求項2】 前記第1被覆層の厚みを0.5μm〜1
    000μmとしてなる請求項1記載の生体インプラント
    材。
  3. 【請求項3】 前記第2被覆層が多孔質構造の純チタン
    またはチタン合金からなることを特徴とする請求項1記
    載の生体インプラント材。
  4. 【請求項4】 前記多孔質構造の純チタンまたはチタン
    合金がチタンメッシュ或いは多数のチタンビーズからな
    ることを特徴とする請求項3記載の生体インプラント
    材。
  5. 【請求項5】 前記第2被覆層上にリン酸カルシウム系
    材料よりなるコーティング層を形成したことを特徴とす
    る請求項1記載の生体インプラント材。
  6. 【請求項6】 前記リン酸カルシウム系材料よりなるコ
    ーティング層の厚みを1μm〜2000μmとしてなる
    請求項5記載の生体インプラント材。
  7. 【請求項7】 コバルト・クロム合金よりなる基体の表
    面に、PVD法、CVD法、もしくはメッキ法で純チタ
    ンまたはチタン合金からなる第1被覆層を形成し、この
    第1被覆層の上に、表面に開口する多数の穴を有する純
    チタンまたはチタン合金からなる第2被覆層を形成する
    ことを特徴とする生体プラント材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2被覆層を溶射により形成するこ
    とを特徴とする請求項7記載の生体インプラント材の製
    造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006054471A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Ulvac, Inc. 防食方法
JP2013528411A (ja) * 2010-04-19 2013-07-11 デル ゲーエムベーハー 抗菌性コーティングを有するインプラント

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006054471A1 (ja) * 2004-11-22 2006-05-26 Ulvac, Inc. 防食方法
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