JP2003218366A - 量子ドット赤外光検出器 - Google Patents

量子ドット赤外光検出器

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JP2003218366A
JP2003218366A JP2002017422A JP2002017422A JP2003218366A JP 2003218366 A JP2003218366 A JP 2003218366A JP 2002017422 A JP2002017422 A JP 2002017422A JP 2002017422 A JP2002017422 A JP 2002017422A JP 2003218366 A JP2003218366 A JP 2003218366A
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Kazuhiko Hirakawa
一彦 平川
Shoyu Ri
承雄 李
Shinichi Fujimoto
真一 藤本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アレー化がしやすいように垂直入射光にも感
度を持ち、従来の中赤外光検出器に比べて高感度な検出
器を実現することである。 【解決手段】 キャリア障壁層と量子井戸層のヘテロ界
面と量子ドット層との距離を適切に設計することで、素
子の感度を向上させ、あるいは素子の感度と動作速度
(光励起キャリア寿命の逆数)を目的に応じて広い範囲
で制御可能にする。また、キャリアとして正孔を用いる
と、量子ドット中の正孔束縛エネルギーの量子ドットサ
イズ依存性が小さいため、感度波長が量子ドットのサイ
ズばらつきにより影響されにくくなり、波長領域の安定
した検出器ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中赤外光検出に有
用な高感度の量子ドット赤外光検出器に関する。中赤外
光検出技術は、化学、バイオ、環境、赤外天文学など幅
広い応用が期待される。
【0002】
【従来の技術】従来の中赤外光検出用半導体素子の多く
は、水銀・カドミウム・テルル系光伝導材料を用いるも
のである。しかし、水銀・カドミウム・テルル系光伝導
材料は、結晶成長やそのプロセスが非常に困難な材料系
であり、毒性も強く、検出器が非常に高価になるという
難点がある。また、量子井戸中のサブバンド間遷移を用
いた赤外光検出器(Quantum Well Infrared Photodetec
tor; QWIP)も提案されている。このタイプの赤外光検出
器(QWIP) は、GaAs系電子材料で10μm 帯の赤外光を
可能にしたという点で、極めて画期的なデバイスである
といえる。しかし、選択則のために試料表面への垂直入
射光に対しては感度を持たないこと、散乱を介した暗電
流が大きくて高温動作が難しく、実用上重要な77K で
の動作が困難であること、などの欠点がある。これらの
問題を解決するために、近年、量子井戸赤外光検出器に
おける量子井戸を、三次元的に電子を閉じ込めることの
できるインジウムひ素自己組織化量子ドットで置き換え
た縦型伝導量子ドット光検出器(Quantum Dot Infrared
Photodetector;QDIP)も報告されているが、この縦型伝
導量子ドット光検出器では、量子ドットの不規則なサイ
ズや配置による電子の散乱効果により、高感度での光検
出ができなかった。
【0003】一般に、高感度の赤外光検出器を実現する
ためには、光励起キャリアの移動度を高くするととも
に、その寿命を長くすることが必要である。本発明者ら
は、そのためには横方向伝導構造が有利と考え、先に、
自己組織化InAs量子ドットを井戸幅の広い変調ドープ量
子井戸中に埋め込んだ構造を研究し、赤外光検出素子の
試作と特性評価を行った(参考文献2)。本研究で提案
した素子は、変調ドープ量子井戸構造中に自己組織化量
子ドットを埋め込んだ構造を有し、中赤外光の入射によ
り量子ドットから光イオン化したキャリアが、空間的に
移動し、高移動度ヘテロ界面を走行するように設計した
ものである。光励起キャリアは、量子ドットと空間的に
分離された高移動度ヘテロ界面チャネルを走行するため
に、その寿命は素子構造の設計によりmsオーダー程度ま
で長くすることができる。そしてこの長い寿命と高移動
度性により、非常に高い感度を達成できる。次に、図6
(a),(b)および図7を用いて、本研究素子の概要
を説明する。
【0004】図6(a)は、本研究で試作した赤外光検
出器素子の概念図である。図中、1は真性高純度ガリウ
ムひ素GaAs層で、光励起されたキャリアが走行する高移
動度チャネルとなる。2はガリウムひ素層1中に埋め込
まれた量子ドットで、電子や正孔などのキャリアをトラ
ップする。典型的には、ガリウムひ素GaAs上に成長した
インジウムひ素InAs自己組織化量子ドットなどを用い
る。3は量子ドット2にキャリアを供給するためのキャ
リア障壁層で、典型的には、シリコンSi(n型)やベリ
リウムBe(p型)をドープしたアルミニウム・ガリウム
ひ素Al0.2Ga0.8As層である。4は光励起キャリアであ
る。5は光励起キャリア4を電流として取り出すための
オーム性拡散コンタクトである。6はバイアス印加や光
電流測定をするためのリード電極である。
【0005】図6(b)は、本研究で試作した赤外光検
出器素子のバンド構造を示す。量子ドットの成長温度は
470℃であり、比較的低温での成長により、量子ドッ
ト中にある束縛準位の数ができるだけ少なくなるよう
(典型的には一つまたは二つ)に工夫してある。またAl
0.2Ga0.8Asキャリア障壁層3は、シリコンSiを面密度で
1×1011cm-2ドープしてあり、低温ではほとんどのキ
ャリアの電子が量子ドット内に人っているものと思われ
る。量子ドット中にトラップされた電子は、中赤外光の
照射によりGaAs伝導帯中の仮想励起準位に励起される。
その後、光励起電子は、ガリウムひ素GaAs層1とキャリ
ア障壁層3の間のヘテロ界面へ高速に緩和し、印加され
ている電界にしたがってヘテロ界面を高移動度で伝導
し、図6(a)のリード電極6から取り出されて、光検
出がなされる。
【0006】図7は、試作した赤外光検出器素子の光伝
導スペクトルである。サブバンド間遷移がbound-to-con
tinuum型であることを反映して、この素子は光エネルギ
ーが約100meV から300meV の広い範囲で感度を持
つ広帯域検出器となっている。特に、応用上重要な10
μm 帯に大きな感度を持っているのが特徴である。ま
た、光検出の感度は、QWIPの約10倍、さらにこれまで
報告があった縦型QDIPの約1000倍という大きな値で
あった。この大きな光検出感度は、光励起電子の高移動
度性と長い寿命によるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、 シリコンやガリウムひ素など、作製プロセスが確立
している標準的な半導体材料により、中赤外光検出を可
能とすること、 アレー化がしやすいように、垂直入射光にも感度を
持つ光検出器を作製すること、 従来の中赤外光検出器に比べて高感度な検出器を実
現すること、 にあり、具体的には、本発明者らが先に研究試作した赤
外光検出器(図5)を改良し、いっそう高感度化を図る
ことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、図5に示され
る従来の赤外光検出器において、キャリア障壁層にはそ
の中心にドープのウエイトをかけたデルタドーピング
(変調ドーピング)を行い、さらにキャリア障壁層と量
子井戸層間のヘテロ界面と量子ドット層との距離、ある
いは該距離に対する感度や動作速度を最適化することに
より、上記課題を解決するものである。
【0009】これにより、本発明は、以下の(1)ない
し(5)の構成をとることができる。 (1) 不純物が変調ドープされたキャリア障壁層とキ
ャリア移動度の高い高純度半導体の量子井戸層からなる
変調ドープ量子井戸構造の量子井戸層内にキャリアをト
ラップする量子ドットを有し、前記障壁層から供給され
て前記量子ドットにトラップされたキャリアが、赤外光
の照射により前記量子井戸層内に励起され、その量子井
戸層内に励起されたキャリアが前記障壁層との間のヘテ
ロ界面を横方向電流として伝導し、検出される量子ドッ
ト赤外光検出器であって、前記障壁層と量子井戸層の間
のヘテロ界面と量子ドットが形成されている層との距離
と赤外光検出感度が最適化されていることを特徴とする
量子ドット赤外光検出器の構成。 (2) 前記ヘテロ界面と量子ドット層の距離が60n
mより大きいことを特徴とする前項(1)に記載の量子
ドット赤外光検出器の構成。 (3) 前記赤外光検出器の各層のうち、前記キャリア
障壁層がアルミニウムガリウムひ素(AlGaAs)であり、
ドナーまたはアクセプターのドープ物質を該障壁層の中
心部分にデルタドーピングされているものである、前記
量子井戸層が高純度ガリウムひ素(GaAs)である、前記
量子ドットがインジウムひ素(InAs)である、ことを特
徴とする前項(1)及び(2)に記載の量子ドット赤外
光検出器の構成。 (4) 前記障壁層のドープ物質は、シリコンまたはベ
リリウムであることを特徴とする前項(3)に記載の量
子ドット赤外光検出器の構成。 (5) 前記キャリアとして、正孔を用いることを特徴
とする前項(1)に記載の量子ドット赤外光検出器の構
成。
【0010】次に、図1(a),(b)を用いて、本発
明の原理を説明する。図1(a),(b)は前述した従
来技術の図6(a),(b)に対応し、両図の大部分の
要素は共通であり、同じ参照番号が付されている。
【0011】図1(a)は、本発明による量子ドット赤
外光検出器の概念図であり、図1(b)は、そのエネル
ギーバンド図である。図中、1は量子井戸を形成する真
性高純度ガリウムひ素GaAs層である。2はガリウムひ素
層1中に埋め込まれた量子ドットであり、ガリウムひ素
GaAs上に成長したインジウムひ素InAs自己組織化量子ド
ットなどを用いる。3は量子ドット2にキャリアを供給
するためのキャリア障壁層で、シリコンSi(n型)やベ
リリウムBe(p型)をドープしたアルミニウム・ガリウ
ムひ素Al0.2Ga0.8As層である。4は光励起キャリアであ
る。5は光励起キャリア4を電流として取り出すための
オーム性拡散コンタクトである。6はバイアス印加や光
電流測定をするためのリード電極である。またdは、量
子ドット2が埋め込まれている層とヘテロ界面との間の
距離を表す。
【0012】キャリア障壁層3には、量子ドット2にキ
ャリアを供給するためのドーピングが施されている。例
えば、ガリウムひ素を基本材料とする場合には、シリコ
ン(電子を供給する場合)やベリリウム(正孔を供給す
る場合)をドープする。ドーピングは、キャリア障壁層
3の中心にデルタドーピング(変調ドーピング)を行
い、電子が走行するヘテロ界面から空間的に分離し、不
純物散乱を抑制する。また、ドーピングの量は、量子ド
ットの面密度に応じて調整する。キャリア障壁層3から
放出されるキャリアは、最もエネルギー的に安定な量子
ドット2に移動し、捕獲される。暗状態では、素子は絶
縁的な特性を示す。ここで、中赤外光が素子に照射され
ると、量子ドット2に捕獲されていたキャリアが伝導帯
(または価電子帯)に励起され、ガリウムひ素層1の真
性チャネル中に緩和し、ヘテロ界面に到達する。リード
電極6を用いてオーム性拡散コンタクト5に電界を印加
しておくと、ヘテロ界面に緩和した光励起キャリア4
は、高移動度のヘテロ界面に沿って伝導し、光電流をな
す。そして量子ドット層とヘテロ界面との間の距離d
と、光励起キャリアの移動度と寿命の値とを最適値に定
めて、赤外光検出感度を高めたり、設計された距離dに
対して素子の感度と動作速度を使用目的に応じて最適化
したりすることができる。
【0013】
【作用】上記本発明の量子ドット赤外光検出器の構成に
より、以下の作用を得ることができる。 シリコンやガリウムひ素などの典型的な半導体材料
を用いて通常のプロセスにより製作可能であること。 光励起の活性層に量子ドットを用いているので、垂
直入射光にも感度をもつこと。 活性層にキャリアを供給する障壁層のドーピング
を、障壁層の中心にドープのウエィトをかけるデルタド
ーピング(変調ドーピング)していることにより、電子
が走行するヘテロ界面から空間的に分離でき、不純物に
よる散乱が抑制されて、暗電流が減少すること。 光励起キャリアが、量子ドット層から空間的に最適
な距離だけ分離されているヘテロ界面を走行することに
より、高移動度性と長寿命性を得ることができ、高感度
の中赤外光検出が可能となること。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明による量子ドット赤
外光検出器の試料の作製と最適化の測定例について述べ
る。 (1)量子ドット赤外光検出器の試料作製 量子ドット赤外光検出器の試料は、分子線エピタキシャ
ル成長技術により、結晶軸(001)のGaAs半導体基板
上に成長させた。この成長工程の詳細は、参考文献2な
どに詳しく説明されている。各量子ドット層は、2dの
巾をもつ変調ドープされたGaAs量子井戸の中央に埋め込
まれた。ここでdは、ヘテロ界面と量子井戸との間の距
離である。原子間力顕微鏡観察により、各々の量子ドッ
トが、平均の高さが7nmで基部の平均長が20nmの
レンズ形状をしていることが明らかになった。量子ドッ
トの密度は、約5×1010cm-2 であった。AlGaAs障
壁層には、シリコンSiがデルタドーピングされた。この
ドーピングの密度は、量子ドット中のs束縛準位のみが
電子をトラップするように決められた。試料のdの長さ
は、20nmから100nmの範囲で変化させた。 (2)光励起キャリア寿命τの測定と最適化 MD−QDIP試料は、dの長さが、20nmから10
0nm の範囲のものを用いた。低雑音増幅器とフーリ
エ変換分光器を使用して、MD−QDIP試料の光電流
スペクトルを、単一パスの垂直入射配置で測定した。試
料は、セレン化亜鉛の窓を備えた温度可変の冷却装置内
に入れられ、グローバーからの非偏光光線が励起に用い
られた。
【0015】図2は、d長がそれぞれ60nm,80n
m,100nmのMD−QDIP試料について、T=3
0Kにおいてバイアス電圧Vb =2Vで測定した光電流
のスペクトルを示す。図の横軸が光子エネルギー(Phot
on Energy )、縦軸が光電流(Photocurrent)を表わ
す。光電流は、光子エネルギーの100−400meV
の範囲では平坦なピークを示す。この光電流の特性は、
量子ドットQD中の局在されたs束縛準位からGaAsの伝
導帯上の共鳴仮想準位へ、bound-to-continuum型でサブ
バンド間遷移が行なわれることに基づいている。光電流
の信号レベルは、d長が増加するにつれて大きくなって
いる。測定されたピークの感度(responsivity )は、d
=100nmの場合およそ25A/Wであった。
【0016】光導電検出器においては、光励起キャリア
の寿命τが、感度を決定する基本的な要素となる。MD
−QDIPでは、量子ドットによりトラップされた電子
は、GaAsの伝導帯へ光励起されるとき、ヘテロ界面へ移
動し、量子ドットから空間的に分離される。この空間分
離が生じるために、光励起電子が量子ドットによって再
トラップされる確率がかなり小さくなるので、光励起電
子の寿命は、かなり延びることが期待できる。格子散乱
を介しての量子ドットによる光励起電子の再トラップの
確率は、量子ドットにおける束縛準位波動関数とヘテロ
界面における二次元状態の波動関数の重なりによって決
定されるから、光励起電子の寿命τは、次式に示すよう
に、おおむねdに依存することが期待できる。
【0017】 1/τ ∝ exp(−d/d0 ) (1) ここでd0 は、二つの波動関数の空間的広がりの度合に
よって決まる固有の長さである。
【0018】MD−QDIPにおける光励起キャリア寿
命τは、λ=630nmの高速変調されたInGaP 発光ダ
イオード(LED)からの光パルスで誘起された光電流
の波形を測定することにより決定された。図3は、この
光電流測定方法の原理を示したものである。
【0019】図3において、LEDがONのとき、量子
井戸の価電子帯および伝導帯においてそれぞれ電子と正
孔が生成される。空乏電界のために、光励起電子は、ヘ
テロ界面に緩和され、正孔は量子ドットQDによってト
ラップされる。量子ドットQDにトラップされた光励起
正孔は、QD中の電子と再結合する。LED照明の下で
は、これらの過程は定常状態に到達する。次に、LED
が急激にOFFに切り替わると、ヘテロ界面にある電子
は、格子散乱によって、量子ドットQDの束縛準位にゆ
るやかにトラップされる。この過程は、ヘテロ界面や量
子ドットへの緩和、発光再結合などの他の過程よりもは
るかに長くかかることが期待され、光電流の減衰過程を
支配する。したがって、可視光パルスを用いても、光励
起キャリアの寿命を決定することができる。ここでの試
料は、可変温度の冷却装置内に置かれ、負荷抵抗とDC
電圧源に直列に接続された。そして負荷抵抗の両端の電
圧が、オシロスコープにより測定された。
【0020】図4は、3種のd長のMD−QDIP試料
C,D,Eについてのパルス光照射時の光電流波形を示
す。各試料の光電流は、T=77Kにおいて、パルス駆
動LEDの出力パルス光を照射して測定された。図の横
軸(Time(ms))が時間,縦軸(Normalized Photocu
rrent )が正規化された光電流を表わす。使用された各
試料C,D,Eのd長は、それぞれ60nm,80n
m,100nmである。光励起キャリア寿命τは、各試
料の光電流波形の立ち下がり部分の減衰特性から求め
る。図から明らかなように、d長が長い試料ほど光電流
の減衰がゆっくりであり、光励起キャリア寿命τは長い
ものとなる。
【0021】図5は、20,40,60,80,100
(nm)の各種の試料について求めた光励起キャリア寿
命τと感度のグラフである。図の横軸(d)がd長、縦
軸(Lifetime/Responsivity)が光励起キャリア寿命τ
と感度を示している。図から明らかなように、d>60n
m のd長では、光励起キャリア寿命τと感度は、ほと
んどdの指数関数に依存する値となっている。d=20
nmとd=40nmの場合には、τの値がdの指数関数
からずれているが、これは測定中のCR時定数が影響し
たものである。電極間隔が100μmあるd=100n
mの試料では、T=77Kにおいて1×106 もの光伝
導利得が得られた。この利得値は、QWIP素子につい
ての値のおよそ106 倍である。この極めて大きい光伝
導利得は、MD−QDIP構造中での光励起キャリアの
長い寿命によって実現されており、高感度の動作を可能
にするものである。
【0022】
【発明の効果】本発明の量子ドット赤外光検出器によれ
ば、以下の効果が得られる。 1)光励起キャリアが走行するヘテロ界面と、キャリア
を捕獲する量子ドットが最適な距離によって空間的に分
離されているため、極めて長い光励起キャリア寿命が得
られる。典型的には、液体窒素温度で約0.1〜数ms
の値が得られる。一般に、光検出感度は、光励起キャリ
ア寿命に比例するため、高感度が得られ、典型的には、
従来の量子井戸赤外光検出器の10−100倍程度にも
達することができる。 2)キャリアが3次元的に閉じ込められる量子ドット構
造を光励起活性層として用いるため、すべての偏光を有
する赤外光に対して感度を持つ。特に、垂直入射光に対
して感度を持つことは、光検出器をアレー化するときに
有効である。 3)キャリアが3次元的に閉じ込められる量子ドット構
造を用いるために、暗電流が小さく、高温動作が可能で
ある。 3)光励起キャリアが変調ドープヘテロ界面を走行する
ため、高移動度性を有しており、高感度光検出ができ
る。 4)動作速度(光励起キャリア寿命の逆数)を広い範囲
で制御できる。 5)キャリアとして特に正孔を用いることにより、検出
波長域(または検出波長帯)の量子ドットのサイズ依存
性を減少させ、所定の波長領域に対して安定な検出感度
を与えることができる。 <参考文献> 1:平川 一彦,李 承雄,Ph. Lelong,榊 裕之
“自己組織化InAs量子ドット中のサブバンド間遷移を用
いた高感度中赤外光検出とFano共鳴”戦略的基礎研究推
進事業・科学技術振興事業団 3回シンポジウム予稿集
量子効果等の物理現象 p.165 ,1999.12.21-22 2:S.-W.Lee, K.Hirakawa,and Y.Shimada, Appl.Phys.
Lett. 75. 1428 (1999)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明によるMD−QDIP試料について測定
した光電流のスペクトル図である。
【図3】光電流測定方法の原理説明図である。
【図4】本発明によるMD−QDIP試料の光電流波形
図である。
【図5】本発明によるMD−QDIP試料の光励起キャ
リア寿命τと感度のグラフである。
【図6】従来例の赤外光検出器素子の概念図である。
【図7】従来例の赤外光検出器素子の光伝導スペクトル
図である。
【符号の説明】
1:量子井戸を形成する真性高純度ガリウムひ素GaAs層 2:量子ドット 3:キャリア障壁層 4:光励起キャリア 5:オーム性拡散コンタクト 6:リード電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物が変調ドープされたキャリア障壁
    層とキャリア移動度の高い高純度半導体の量子井戸層か
    らなる変調ドープ量子井戸構造の量子井戸層内にキャリ
    アをトラップする量子ドットを有し、前記障壁層から供
    給されて前記量子ドットにトラップされたキャリアが、
    赤外光の照射により前記量子井戸層内に励起され、その
    井戸層内に励起されたキャリアが前記障壁層との間のヘ
    テロ界面を横方向電流として伝導し、検出される量子ド
    ット赤外光検出器であって、 前記障壁層と量子井戸層の間のヘテロ界面と量子ドット
    が形成されている層との距離と赤外光検出感度が最適化
    されていることを特徴とする量子ドット赤外光検出器。
  2. 【請求項2】 前記ヘテロ界面と量子ドット層の距離が
    60nmより大きいことを特徴とする請求項1に記載の
    量子ドット赤外光検出器。
  3. 【請求項3】 前記赤外光検出器の各層のうち、 前記キャリア障壁層がアルミニウムガリウムひ素(AlGa
    As)であり、ドナーまたはアクセプターのドープ物質を
    該障壁層の中心部分にデルタドーピングされているもの
    である、 前記量子井戸層が高純度ガリウムひ素(GaAS)である、 前記量子ドットがインジウムひ素(InAs)である、 ことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の量子ド
    ット赤外光検出器。
  4. 【請求項4】 前記障壁層のドープ物質は、シリコンま
    たはベリリウムであることを特徴とする請求項3に記載
    の量子ドット赤外光検出器。
  5. 【請求項5】 前記キャリアとして、正孔を用いること
    を特徴とする請求項1に記載の量子ドット赤外光検出
    器。
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