JP2003212756A - 薬剤徐放剤 - Google Patents
薬剤徐放剤Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高い強度を有し、広範囲の薬剤を長期にわた
り徐放することの可能な、優れた骨伝導能を有する薬剤
徐放剤を提供すること。 【解決手段】 表面に第1の生分解性有機材料の被膜を
有するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬
剤を含む第2の生分解性有機材料の粒子とを混合し、加
圧成形してなることを特徴とする。また、第1の薬剤を
含有するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、
この多孔質顆粒の表面に被覆された生分解性有機材料層
と、この生分解性有機材料層の表面に被覆された、第2
の薬剤を含有するリン酸カルシウム系セラミック層とを
具備することを特徴とする。
り徐放することの可能な、優れた骨伝導能を有する薬剤
徐放剤を提供すること。 【解決手段】 表面に第1の生分解性有機材料の被膜を
有するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬
剤を含む第2の生分解性有機材料の粒子とを混合し、加
圧成形してなることを特徴とする。また、第1の薬剤を
含有するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、
この多孔質顆粒の表面に被覆された生分解性有機材料層
と、この生分解性有機材料層の表面に被覆された、第2
の薬剤を含有するリン酸カルシウム系セラミック層とを
具備することを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、担体としてリン酸
カルシウム系セラミックを用いた薬剤徐放剤に関する。
カルシウム系セラミックを用いた薬剤徐放剤に関する。
【0002】
【従来の技術】局在する炎症や腫瘍等に対する薬物治療
では、例えば、抗癌剤や抗生物質などが使用されてい
る。しかし、これらの薬剤には重篤な副作用を有するも
のが多く、また、全身投与しても患部に作用する量は極
めて少量となる。このため、薬剤の患部に選択的にかつ
適量を投与する方法として、薬剤を担体に担持させた、
生体内患部に埋入して薬剤を徐放させる薬剤徐放剤が提
案されている。
では、例えば、抗癌剤や抗生物質などが使用されてい
る。しかし、これらの薬剤には重篤な副作用を有するも
のが多く、また、全身投与しても患部に作用する量は極
めて少量となる。このため、薬剤の患部に選択的にかつ
適量を投与する方法として、薬剤を担体に担持させた、
生体内患部に埋入して薬剤を徐放させる薬剤徐放剤が提
案されている。
【0003】このような薬剤徐放剤のための担体とし
て、ゼラチンやポリ乳酸に代表される、生体内で徐々に
分解され、最終的には生体内に吸収されて消滅する生分
解性有機材料が用いられている。従来の薬剤徐放剤は、
このような生分解性有機材料からなる担体と所望の薬剤
とを混合することにより製造されている。
て、ゼラチンやポリ乳酸に代表される、生体内で徐々に
分解され、最終的には生体内に吸収されて消滅する生分
解性有機材料が用いられている。従来の薬剤徐放剤は、
このような生分解性有機材料からなる担体と所望の薬剤
とを混合することにより製造されている。
【0004】しかし、このような生分解性有機材料を担
体とする薬剤徐放剤の薬物の徐放特性は、担体の分解性
に依存する。すなわち、担体の分解量が多い場合、薬剤
も多く徐放され、長期的に一定の徐放特性を維持するこ
とができない。
体とする薬剤徐放剤の薬物の徐放特性は、担体の分解性
に依存する。すなわち、担体の分解量が多い場合、薬剤
も多く徐放され、長期的に一定の徐放特性を維持するこ
とができない。
【0005】また、同様に、薬剤徐放剤の担体として生
体適合性に優れたリン酸カルシウムが検討されたが、必
要とする徐放特性を得ることができなかった。そのた
め、特開昭61−47401号公報では、比表面積が5
0〜300m2 /gであるリン酸カルシウムに薬剤など
の被放散物質を吸着させることが提案されている。ま
た、特開平10−279471号公報では、多孔質リン
酸カルシウムへの薬剤の含浸効率を向上させるため、薬
剤溶液にリン酸カルシウムを浸漬し、63〜254mm
Hgに減圧することが提案されている。
体適合性に優れたリン酸カルシウムが検討されたが、必
要とする徐放特性を得ることができなかった。そのた
め、特開昭61−47401号公報では、比表面積が5
0〜300m2 /gであるリン酸カルシウムに薬剤など
の被放散物質を吸着させることが提案されている。ま
た、特開平10−279471号公報では、多孔質リン
酸カルシウムへの薬剤の含浸効率を向上させるため、薬
剤溶液にリン酸カルシウムを浸漬し、63〜254mm
Hgに減圧することが提案されている。
【0006】しかし、このようなリン酸カルシウムを担
体とする徐放剤は、薬剤が担架されている状態が物理的
な作用によるものであるため、埋入初期に大量の薬剤が
放出されるのみであり、この徐放剤も長期的に一定の徐
放特性を維持し得るものではない。
体とする徐放剤は、薬剤が担架されている状態が物理的
な作用によるものであるため、埋入初期に大量の薬剤が
放出されるのみであり、この徐放剤も長期的に一定の徐
放特性を維持し得るものではない。
【0007】そこで、特開平6−298639号公報で
は、一定量の薬物を長期間にわたり徐放させることを目
的として、薬物と生分解性有機材料との複合体およびセ
ラミックスを包含する複数の層を有する薬剤徐放剤が提
案されている。
は、一定量の薬物を長期間にわたり徐放させることを目
的として、薬物と生分解性有機材料との複合体およびセ
ラミックスを包含する複数の層を有する薬剤徐放剤が提
案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−298639号公報で提案された薬剤徐放剤は、上
述のように薬物と生分解性有機材料との複合体およびセ
ラミックスとの多層構造を有し、一定量の薬物を長期間
にわたり徐放させるものであるが、薬剤と生分解性有機
材料とを複合させる際、生分解性有機材料を加熱溶融さ
せながら混合する必要があるため、複合可能な薬物とし
て、比較的熱的安定性を有する薬物が対象となり、選択
できる薬物が極めて少なく、そのため適用可能な疾患へ
の有効性、効果が低いという問題がある。なお、熱的安
定性の低い薬物を用いる場合、生分解性有機材料の粉末
と薬剤粉末とを混合し、さらに、セラミックス粉末を混
合した後、圧縮成形するのではあるが、最外層において
セラミックスの割合を大きくせざるを得ないため、被膜
としての強度が十分でなく、取扱いが困難であるという
問題もある。
6−298639号公報で提案された薬剤徐放剤は、上
述のように薬物と生分解性有機材料との複合体およびセ
ラミックスとの多層構造を有し、一定量の薬物を長期間
にわたり徐放させるものであるが、薬剤と生分解性有機
材料とを複合させる際、生分解性有機材料を加熱溶融さ
せながら混合する必要があるため、複合可能な薬物とし
て、比較的熱的安定性を有する薬物が対象となり、選択
できる薬物が極めて少なく、そのため適用可能な疾患へ
の有効性、効果が低いという問題がある。なお、熱的安
定性の低い薬物を用いる場合、生分解性有機材料の粉末
と薬剤粉末とを混合し、さらに、セラミックス粉末を混
合した後、圧縮成形するのではあるが、最外層において
セラミックスの割合を大きくせざるを得ないため、被膜
としての強度が十分でなく、取扱いが困難であるという
問題もある。
【0009】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたもので、高い強度を有し、広範囲の薬剤を
長期にわたり徐放することの可能な、優れた骨伝導能を
有する薬剤徐放剤を提供することを目的とする。
めになされたもので、高い強度を有し、広範囲の薬剤を
長期にわたり徐放することの可能な、優れた骨伝導能を
有する薬剤徐放剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1の発明は、第1の生分解性有機材料の被膜を有
するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤
を含む第2の生分解性有機材料の粒子とを混合し、加圧
成形してなることを特徴とする薬剤徐放剤を提供する。
め、第1の発明は、第1の生分解性有機材料の被膜を有
するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤
を含む第2の生分解性有機材料の粒子とを混合し、加圧
成形してなることを特徴とする薬剤徐放剤を提供する。
【0011】第1の発明に係る薬剤徐放剤において、第
2の生分解性有機材料の粒子が、少なくとも2種類の薬
剤を含有する少なくとも2種類の生分解性有機材料から
なることが望ましい。
2の生分解性有機材料の粒子が、少なくとも2種類の薬
剤を含有する少なくとも2種類の生分解性有機材料から
なることが望ましい。
【0012】また、第2の発明は、第1の薬剤を含有す
るリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、この多
孔質顆粒の表面に被覆された生分解性有機材料層と、こ
の生分解性有機材料層の表面に被覆された、第2の薬剤
を含有するリン酸カルシウム系セラミック層とを具備す
ることを特徴とする薬剤徐放剤を提供する。
るリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、この多
孔質顆粒の表面に被覆された生分解性有機材料層と、こ
の生分解性有機材料層の表面に被覆された、第2の薬剤
を含有するリン酸カルシウム系セラミック層とを具備す
ることを特徴とする薬剤徐放剤を提供する。
【0013】本発明の薬剤徐放剤に使用する生分解性有
機材料としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ラクト
ンの重合体もしくは共重合体、アルブミン、デキストラ
ン、脂肪酸エチルエステル、ゼラチン、キチン、キトサ
ン等を挙げることが出来る。
機材料としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ラクト
ンの重合体もしくは共重合体、アルブミン、デキストラ
ン、脂肪酸エチルエステル、ゼラチン、キチン、キトサ
ン等を挙げることが出来る。
【0014】また、本発明の薬剤徐放剤に使用する薬剤
としては、特に制限するものではなく、抗生物質、合成
抗菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗癌剤、免疫能増強剤、抗ウィ
ルス剤抗真菌剤、免疫療法剤、細胞賦活用薬、ホルモン
剤、解熱鎮痛消炎剤、骨形成因子などを挙げることが出
来る。
としては、特に制限するものではなく、抗生物質、合成
抗菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗癌剤、免疫能増強剤、抗ウィ
ルス剤抗真菌剤、免疫療法剤、細胞賦活用薬、ホルモン
剤、解熱鎮痛消炎剤、骨形成因子などを挙げることが出
来る。
【0015】なお、骨補填材としての骨形成能を向上さ
せるため、薬剤として骨形成因子のBMP(Bone Morph
ogenetic Protein)、FGF(Fibroblast Growth Fact
or)、TGF−β(Transforming Growth Factor-
β)、IGF(Insulin-like Growth Factor)、PDG
F(Platelet-Derived Growth Factor)、VEGF(Va
scular Endothelial cell Growth Factor)などを用い
ることも可能である。
せるため、薬剤として骨形成因子のBMP(Bone Morph
ogenetic Protein)、FGF(Fibroblast Growth Fact
or)、TGF−β(Transforming Growth Factor-
β)、IGF(Insulin-like Growth Factor)、PDG
F(Platelet-Derived Growth Factor)、VEGF(Va
scular Endothelial cell Growth Factor)などを用い
ることも可能である。
【0016】リン酸カルシウム系セラミック(以下、リ
ン酸カルシウムと呼ぶ)としては、ハイドロキシアパタ
イト(HAP)やβ−リン酸三カルシウム(β−TC
P)などを挙げることが出来る。これらのリン酸カルシ
ウムは生体適合性が高く、骨欠損部などに充填した場
合、その周辺に直接新生骨を形成することが知られてい
る。その中でも、β−TCPは、生体適合性、骨形成に
優れている上、生体吸収性にも優れており、骨欠損部な
どに充填した場合、経時的に自家骨に置換するという特
徴を有する。
ン酸カルシウムと呼ぶ)としては、ハイドロキシアパタ
イト(HAP)やβ−リン酸三カルシウム(β−TC
P)などを挙げることが出来る。これらのリン酸カルシ
ウムは生体適合性が高く、骨欠損部などに充填した場
合、その周辺に直接新生骨を形成することが知られてい
る。その中でも、β−TCPは、生体適合性、骨形成に
優れている上、生体吸収性にも優れており、骨欠損部な
どに充填した場合、経時的に自家骨に置換するという特
徴を有する。
【0017】本発明に用いられるβ−TCPは、メカノ
ケミカル法で作製したβ−TCP粉末を原料とし、気孔
率50〜90%、連通する気孔径50〜1000μmと
5μm以下の気孔を有することが好ましい。これは、5
0〜1000μmの気孔がβ−TCP内部への細胞の進
入などに寄与し、5μm以下の気孔が生体内での吸収を
効率良くさせるためである。
ケミカル法で作製したβ−TCP粉末を原料とし、気孔
率50〜90%、連通する気孔径50〜1000μmと
5μm以下の気孔を有することが好ましい。これは、5
0〜1000μmの気孔がβ−TCP内部への細胞の進
入などに寄与し、5μm以下の気孔が生体内での吸収を
効率良くさせるためである。
【0018】なお、β−TCPは一般に骨伝導能と生体
吸収性の性質を併せ有するが、その合成プロセスにより
その性能は左右され、メカノケミカル法により合成され
たβ−TCPが最も骨補填材として優れている。
吸収性の性質を併せ有するが、その合成プロセスにより
その性能は左右され、メカノケミカル法により合成され
たβ−TCPが最も骨補填材として優れている。
【0019】以上のように構成される本発明に係る薬剤
徐放剤は、高い強度を有し、広範囲の薬剤を長期にわた
り徐放することの可能であるとともに、優れた骨伝導能
を有している。
徐放剤は、高い強度を有し、広範囲の薬剤を長期にわた
り徐放することの可能であるとともに、優れた骨伝導能
を有している。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
て説明する。
【0021】第1の発明に係る薬剤徐放剤は、表面に第
1の生分解性有機材料の被膜を有するリン酸カルシウム
系セラミック多孔質顆粒(以下、リン酸カルシウム顆粒
と呼ぶ)と、薬剤を含む第2の生分解性有機材料の粒子
とを混合し、加圧成形してなることを特徴とする。この
場合、リン酸カルシウム顆粒には、薬剤が含まれていて
もよい。薬剤としては、上述のものを用いることが出来
る。
1の生分解性有機材料の被膜を有するリン酸カルシウム
系セラミック多孔質顆粒(以下、リン酸カルシウム顆粒
と呼ぶ)と、薬剤を含む第2の生分解性有機材料の粒子
とを混合し、加圧成形してなることを特徴とする。この
場合、リン酸カルシウム顆粒には、薬剤が含まれていて
もよい。薬剤としては、上述のものを用いることが出来
る。
【0022】第1の発明に係る薬剤徐放剤において、リ
ン酸カルシウム顆粒の粒径は、100〜5000μmで
あるのが好ましい。また、第1の生分解性有機材料の膜
厚は、0.1〜50μmであるのが好ましい。
ン酸カルシウム顆粒の粒径は、100〜5000μmで
あるのが好ましい。また、第1の生分解性有機材料の膜
厚は、0.1〜50μmであるのが好ましい。
【0023】リン酸カルシウム顆粒に第1の生分解性有
機材料を被膜する方法は、特に限定されるものではない
が、生分解性有機材料を緩衝液もしくは有機溶剤に溶解
し、その溶液中に所望の形状のリン酸カルシウム粒子を
浸漬し、取り上げ、次いで乾燥するキャスト法が、容易
な方法であるため、好ましく用いることが出来る。
機材料を被膜する方法は、特に限定されるものではない
が、生分解性有機材料を緩衝液もしくは有機溶剤に溶解
し、その溶液中に所望の形状のリン酸カルシウム粒子を
浸漬し、取り上げ、次いで乾燥するキャスト法が、容易
な方法であるため、好ましく用いることが出来る。
【0024】また、リン酸カルシウム顆粒に薬剤を含ま
せる方法は、特に限定されるものではないが、薬剤を緩
衝液で希釈し、その溶液中に所望の形状のリン酸カルシ
ウム顆粒を浸漬し、取り上げ、次いで乾燥する方法を用
いることが出来る。なお、乾燥の際、凍結乾燥させるこ
とで、薬剤のリン酸カルシウム顆粒表面への化学的吸着
を向上させることができる。
せる方法は、特に限定されるものではないが、薬剤を緩
衝液で希釈し、その溶液中に所望の形状のリン酸カルシ
ウム顆粒を浸漬し、取り上げ、次いで乾燥する方法を用
いることが出来る。なお、乾燥の際、凍結乾燥させるこ
とで、薬剤のリン酸カルシウム顆粒表面への化学的吸着
を向上させることができる。
【0025】薬剤を含む第2の生分解性有機材料の粒子
の粒径は、100〜5000μmであるのが好ましい。
第2の生分解性有機材料に薬剤を含ませる方法は、特に
限定されるものではないが、それぞれの粉末を混合・加
圧成形する方法、薬剤を緩衝液に希釈した後、生分解性
有機材料と混合する方法、生分解性有機材料を溶剤に溶
解し、その溶液中に薬剤を滴下し、マイクロカプセルを
作製する方法などが容易な方法である。もちろん、薬剤
が熱的に安定なものであれば、加熱溶融による混合も可
能である。
の粒径は、100〜5000μmであるのが好ましい。
第2の生分解性有機材料に薬剤を含ませる方法は、特に
限定されるものではないが、それぞれの粉末を混合・加
圧成形する方法、薬剤を緩衝液に希釈した後、生分解性
有機材料と混合する方法、生分解性有機材料を溶剤に溶
解し、その溶液中に薬剤を滴下し、マイクロカプセルを
作製する方法などが容易な方法である。もちろん、薬剤
が熱的に安定なものであれば、加熱溶融による混合も可
能である。
【0026】なお、第1の生分解性有機材料の被膜を有
するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤
を含む第2の生分解性有機材料の粒子の混合割合(重量
比)は、1:9〜9:1であるのが好ましい。
するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤
を含む第2の生分解性有機材料の粒子の混合割合(重量
比)は、1:9〜9:1であるのが好ましい。
【0027】以上のように、第1の発明に係る薬剤徐放
剤は、表面に第1の生分解性有機材料の被膜を有するリ
ン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤を含む
第2の生分解性有機材料とを混合し、加圧成形してなる
ものであるため、生分解性有機材料の生分解に伴い、保
持されている薬剤が長期にわたり徐放することが出来
る。また、骨に関わる疾患で骨欠損部に充填した場合、
生分解性有機材料が分解、吸収後、リン酸カルシウムを
足場として、骨形成が進み、骨補填材として有効に働く
ことが出来る。さらに、複数の薬剤を複数の生分解性有
機材料の粒子に複合させ、3種の複合体を混合すること
により、複数の薬剤の薬効を得ることができる。
剤は、表面に第1の生分解性有機材料の被膜を有するリ
ン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤を含む
第2の生分解性有機材料とを混合し、加圧成形してなる
ものであるため、生分解性有機材料の生分解に伴い、保
持されている薬剤が長期にわたり徐放することが出来
る。また、骨に関わる疾患で骨欠損部に充填した場合、
生分解性有機材料が分解、吸収後、リン酸カルシウムを
足場として、骨形成が進み、骨補填材として有効に働く
ことが出来る。さらに、複数の薬剤を複数の生分解性有
機材料の粒子に複合させ、3種の複合体を混合すること
により、複数の薬剤の薬効を得ることができる。
【0028】次に、第2の発明に係る薬剤徐放剤は、第
1の薬剤を含有するリン酸カルシウム顆粒と、この顆粒
の表面に被覆された生分解性有機材料層と、この生分解
性有機材料層の表面に被覆された、第2の薬剤を含有す
るリン酸カルシウム系セラミック層とを具備する、即
ち、多層構造を有することを特徴とする。この場合、生
分解性有機材料に第3の薬剤を含ませることも可能であ
る。
1の薬剤を含有するリン酸カルシウム顆粒と、この顆粒
の表面に被覆された生分解性有機材料層と、この生分解
性有機材料層の表面に被覆された、第2の薬剤を含有す
るリン酸カルシウム系セラミック層とを具備する、即
ち、多層構造を有することを特徴とする。この場合、生
分解性有機材料に第3の薬剤を含ませることも可能であ
る。
【0029】第2の発明に係る薬剤徐放剤において、リ
ン酸カルシウム顆粒の粒径は、100〜5000μmで
あるのが好ましい。また、生分解性有機材料層の膜厚
は、0.1〜500μmであるのが好ましい。更に、第
2の薬剤を含有するリン酸カルシウム系セラミック層の
膜厚は、50〜1000μmであるのが好ましい。
ン酸カルシウム顆粒の粒径は、100〜5000μmで
あるのが好ましい。また、生分解性有機材料層の膜厚
は、0.1〜500μmであるのが好ましい。更に、第
2の薬剤を含有するリン酸カルシウム系セラミック層の
膜厚は、50〜1000μmであるのが好ましい。
【0030】リン酸カルシウム顆粒に薬剤を含ませる方
法および生分解性有機材料の被膜形成方法は、上述の通
りである。また、リン酸カルシウム被膜の形成方法は、
特に限定されるものではないが、メカノケミカル法で作
製したβ−TCP粉末を水に分散させてスラリー化し、
このスラリーに所望の薬剤を混合して薬剤混合スラリー
とし、この混合スラリーを用いて、通常の方法に従い、
形成することが出来る。
法および生分解性有機材料の被膜形成方法は、上述の通
りである。また、リン酸カルシウム被膜の形成方法は、
特に限定されるものではないが、メカノケミカル法で作
製したβ−TCP粉末を水に分散させてスラリー化し、
このスラリーに所望の薬剤を混合して薬剤混合スラリー
とし、この混合スラリーを用いて、通常の方法に従い、
形成することが出来る。
【0031】第1の薬剤および第2の薬剤は、上述した
通りであるが、第1の薬剤として、下記式(1)に示す
硫酸ゲンタマイシンや下記式(2)に示すテイコプラン
ニンのような抗生物質、下記式(3)に示すよう塩酸ド
キソルビシンのような抗癌剤を用いた場合、これら薬剤
は多くの極性基を有しているため、これら極性基とリン
酸カルシウム顆粒の表面とが電気化学的に吸着するので
好ましい。
通りであるが、第1の薬剤として、下記式(1)に示す
硫酸ゲンタマイシンや下記式(2)に示すテイコプラン
ニンのような抗生物質、下記式(3)に示すよう塩酸ド
キソルビシンのような抗癌剤を用いた場合、これら薬剤
は多くの極性基を有しているため、これら極性基とリン
酸カルシウム顆粒の表面とが電気化学的に吸着するので
好ましい。
【0032】
【化1】
【0033】以上のように、第2の発明に係る薬剤徐放
剤は、第1の薬剤を含有するリン酸カルシウム顆粒と、
この顆粒の表面に被覆された生分解性有機材料層と、こ
の生分解性有機材料層の表面に被覆された、第2の薬剤
を含有するリン酸カルシウム系セラミック層とを具備
し、即ち、リン酸カルシウム顆粒を中心として、生分解
性有機材料層とリン酸カルシウム層の多層構造を有する
ため、生分解性有機材料層の膜厚により薬剤の徐放特性
を制御することが可能である。また、各層に異なる薬剤
を複合することにより、複数の薬剤の薬効を必要な時期
に徐放させることができる。
剤は、第1の薬剤を含有するリン酸カルシウム顆粒と、
この顆粒の表面に被覆された生分解性有機材料層と、こ
の生分解性有機材料層の表面に被覆された、第2の薬剤
を含有するリン酸カルシウム系セラミック層とを具備
し、即ち、リン酸カルシウム顆粒を中心として、生分解
性有機材料層とリン酸カルシウム層の多層構造を有する
ため、生分解性有機材料層の膜厚により薬剤の徐放特性
を制御することが可能である。また、各層に異なる薬剤
を複合することにより、複数の薬剤の薬効を必要な時期
に徐放させることができる。
【0034】以下、本発明の種々の実施例について説明
する。
する。
【0035】[実施例1]原料とするβ−TCP粉末
は、メカノケミカル法により以下のようにして作製し
た。
は、メカノケミカル法により以下のようにして作製し
た。
【0036】まず、炭酸カルシウム粉末とリン酸水素カ
ルシウム2水和物粉末を1:2のモル比になるように秤
量し、これに純水を加えてスラリーを調製した。このス
ラリーをボールミルにて約24時間磨砕し、反応させた
後、乾燥し、次いで750〜900℃で焼成して、β−
TCP粉末を得た。
ルシウム2水和物粉末を1:2のモル比になるように秤
量し、これに純水を加えてスラリーを調製した。このス
ラリーをボールミルにて約24時間磨砕し、反応させた
後、乾燥し、次いで750〜900℃で焼成して、β−
TCP粉末を得た。
【0037】このようにして得たβ−TCP粉末を用い
て、多孔質顆粒を作製した。即ち、β−TCP粉末に純
水、解膠剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系あ
るいはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系
の界面活性剤を所定量加えた。これをミキサーなどで混
合し、発泡させ、乾燥し、1000〜1100℃で焼成
した。これにより、50〜80%の気孔率、50〜10
00μm及び5μm以下の気孔分布を有するβ−TCP
多孔体を得た。さらに、このβ−TCP多孔体を粉砕し
て多孔質顆粒を得た。なお、顆粒径は500〜1000
μmとした。
て、多孔質顆粒を作製した。即ち、β−TCP粉末に純
水、解膠剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系あ
るいはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系
の界面活性剤を所定量加えた。これをミキサーなどで混
合し、発泡させ、乾燥し、1000〜1100℃で焼成
した。これにより、50〜80%の気孔率、50〜10
00μm及び5μm以下の気孔分布を有するβ−TCP
多孔体を得た。さらに、このβ−TCP多孔体を粉砕し
て多孔質顆粒を得た。なお、顆粒径は500〜1000
μmとした。
【0038】上述のようにして作製したβ−TCP多孔
質顆粒を、緩衝液もしくは生理食塩水で希釈したゼラチ
ン溶液中に浸漬し、次いで取り出して乾燥することで、
β−TCP多孔質顆粒表面にゼラチン被膜を形成させ
た。なお、ゼラチン被膜の膜厚は、希釈するゼラチン濃
度もしくは、浸漬回数などにより調整した。また、β−
TCP多孔質顆粒に骨形成因子として、BMPを事前に
含有させることで、骨補填材としての効果を向上させる
こともできる。BMPのβ−TCP多孔質顆粒への複合
は、BMPの緩衝液中にβ−TCP多孔質顆粒を浸漬
し、取り出して凍結乾燥することにより行うことが出来
る。
質顆粒を、緩衝液もしくは生理食塩水で希釈したゼラチ
ン溶液中に浸漬し、次いで取り出して乾燥することで、
β−TCP多孔質顆粒表面にゼラチン被膜を形成させ
た。なお、ゼラチン被膜の膜厚は、希釈するゼラチン濃
度もしくは、浸漬回数などにより調整した。また、β−
TCP多孔質顆粒に骨形成因子として、BMPを事前に
含有させることで、骨補填材としての効果を向上させる
こともできる。BMPのβ−TCP多孔質顆粒への複合
は、BMPの緩衝液中にβ−TCP多孔質顆粒を浸漬
し、取り出して凍結乾燥することにより行うことが出来
る。
【0039】一方、ゼラチンと薬剤とを複合した。複合
は、薬剤としてゲンタマイシンを用い、緩衝液もしくは
生理食塩水で希釈したゼラチン溶液に500〜1000
μm程度の大きさになるように滴下することにより行わ
れた。
は、薬剤としてゲンタマイシンを用い、緩衝液もしくは
生理食塩水で希釈したゼラチン溶液に500〜1000
μm程度の大きさになるように滴下することにより行わ
れた。
【0040】上述のようにして得られたβ−TCP多孔
質顆粒と、ゲンタマイシンとゼラチンの複合体粒子とを
1:1の割合になるように混合し、40℃の温度に保持
された、内部に内径8mmの球状のキャビティが形成さ
れたステンレス製の2つの割鋳型に鋳込み、加圧成形し
た。このようにして、表面にゼラチン被膜を有するβ−
TCP多孔質顆粒と、薬剤とゼラチンとの複合粒子とが
加圧成形されてなる、外径8mmの球状の徐放剤を得
た。
質顆粒と、ゲンタマイシンとゼラチンの複合体粒子とを
1:1の割合になるように混合し、40℃の温度に保持
された、内部に内径8mmの球状のキャビティが形成さ
れたステンレス製の2つの割鋳型に鋳込み、加圧成形し
た。このようにして、表面にゼラチン被膜を有するβ−
TCP多孔質顆粒と、薬剤とゼラチンとの複合粒子とが
加圧成形されてなる、外径8mmの球状の徐放剤を得
た。
【0041】以上のようにして製造された徐放剤による
と、骨補填材としてのβ−TCPと薬剤とを併用するこ
とで、骨髄炎を伴う疾患の病巣掻爬部に施すと、骨形成
・自家骨置換作用に加え、骨髄炎を沈静化させる作用を
も発揮される。また、薬剤としての抗生剤を局所投与す
ることになるため、全身投与に比べ、副作用が少ないと
いう利点がある。更に、β−TCPに骨形成因子として
BMPを複合しているため、骨誘導能を有する骨補填材
を得ることが可能である。
と、骨補填材としてのβ−TCPと薬剤とを併用するこ
とで、骨髄炎を伴う疾患の病巣掻爬部に施すと、骨形成
・自家骨置換作用に加え、骨髄炎を沈静化させる作用を
も発揮される。また、薬剤としての抗生剤を局所投与す
ることになるため、全身投与に比べ、副作用が少ないと
いう利点がある。更に、β−TCPに骨形成因子として
BMPを複合しているため、骨誘導能を有する骨補填材
を得ることが可能である。
【0042】[実施例2]実施例1と同様のβ−TCP
多孔質顆粒を用い、ゼラチンの代わりにポリ乳酸を用い
た。薬剤は、抗生剤としてゲンタマイシンとテイコプラ
ンニンとを用いた。β−TCP顆粒、ゲンタマイシンと
ポリ乳酸複合体、およびテイコプランニンとポリ乳酸複
合体とを2:2:1の重量比となるように混合し、実施
例1と同様にして加圧成形し、外形10mmの球状の徐
放剤を得た。
多孔質顆粒を用い、ゼラチンの代わりにポリ乳酸を用い
た。薬剤は、抗生剤としてゲンタマイシンとテイコプラ
ンニンとを用いた。β−TCP顆粒、ゲンタマイシンと
ポリ乳酸複合体、およびテイコプランニンとポリ乳酸複
合体とを2:2:1の重量比となるように混合し、実施
例1と同様にして加圧成形し、外形10mmの球状の徐
放剤を得た。
【0043】このようにして得た徐放剤は、ゲンタマイ
シンとテイコプランニンの2つの薬剤の薬効を示すこと
ができ、効果的に抗生剤の局所投与が可能となる。な
お、複合する薬剤はこれらに限定されるものではなく、
所望する薬効に合わせて適宜任意のものを選択すること
が可能である。
シンとテイコプランニンの2つの薬剤の薬効を示すこと
ができ、効果的に抗生剤の局所投与が可能となる。な
お、複合する薬剤はこれらに限定されるものではなく、
所望する薬効に合わせて適宜任意のものを選択すること
が可能である。
【0044】[実施例3]図1〜図3を参照して本実施
例に係る徐放剤について説明する。
例に係る徐放剤について説明する。
【0045】本実施例に係る徐放剤は、図1に示すよう
に、中央にあるβ−TCP顆粒1の表面に、第1のポリ
乳酸−ポリグリコール酸(以下、PLGA)層2、第1
のβ−TCP層3、第2のPLGA層4、第2のβ−T
CP層5、および第3のPLGA層6を順次積層するこ
とにより構成されている。
に、中央にあるβ−TCP顆粒1の表面に、第1のポリ
乳酸−ポリグリコール酸(以下、PLGA)層2、第1
のβ−TCP層3、第2のPLGA層4、第2のβ−T
CP層5、および第3のPLGA層6を順次積層するこ
とにより構成されている。
【0046】このように構成される徐放剤において、β
−TCPとしては、実施例1と同様のものを用いた。中
央のβ−TCP顆粒1には骨形成因子であるBMPを含
浸してあり、中間の第1のβ−TCP層3には抗炎症作
用を持つステロイド剤としてプレドニンが含浸してあ
り、外側の第2のβ−TCP層5には、抗生剤としてテ
イコプランニンが含浸してある。
−TCPとしては、実施例1と同様のものを用いた。中
央のβ−TCP顆粒1には骨形成因子であるBMPを含
浸してあり、中間の第1のβ−TCP層3には抗炎症作
用を持つステロイド剤としてプレドニンが含浸してあ
り、外側の第2のβ−TCP層5には、抗生剤としてテ
イコプランニンが含浸してある。
【0047】本実施例に係る徐放剤は、以下のようにし
て製造される。
て製造される。
【0048】まず、緩衝液で希釈したBMP溶液に粒径
5mmのβ−TCP顆粒を浸漬し、取り上げ、凍結乾燥
することにより、BMPとβ−TCPの複合体を得た。
この複合体に、実施例1と同様にしてPLGAを200
μmの厚さになるように被覆した。
5mmのβ−TCP顆粒を浸漬し、取り上げ、凍結乾燥
することにより、BMPとβ−TCPの複合体を得た。
この複合体に、実施例1と同様にしてPLGAを200
μmの厚さになるように被覆した。
【0049】次いで、前述したβ−TCP粉末を水に分
散してスラリー化し、このスラリーに更にプレドニン粉
末を混合した。このスラリーおよびPLGAが被覆され
た複合体を、図2に示すような形状の、内部に内径8m
mの球状径のキャビティ21a,22aが形成されたテ
フロン(登録商標)製の2つの割鋳型21,22に鋳込
んで、加圧成形した。図2において、参照符号11はP
LGAが被覆された複合体を、23,24は、スラリー
をそれぞれ示す。次に、割鋳型21,22から取出され
た複合体に、PLGAを300μmの厚さになるように
被覆した。
散してスラリー化し、このスラリーに更にプレドニン粉
末を混合した。このスラリーおよびPLGAが被覆され
た複合体を、図2に示すような形状の、内部に内径8m
mの球状径のキャビティ21a,22aが形成されたテ
フロン(登録商標)製の2つの割鋳型21,22に鋳込
んで、加圧成形した。図2において、参照符号11はP
LGAが被覆された複合体を、23,24は、スラリー
をそれぞれ示す。次に、割鋳型21,22から取出され
た複合体に、PLGAを300μmの厚さになるように
被覆した。
【0050】その後、PLGAが被覆された複合体、お
よびテイコプランニンを混入したβ−TCPスラリー
を、図2に示すような形状の、内部に内径10mmの球
状のキャビティ21a,22aが形成されたテフロン製
の2つの割鋳型21,22に鋳込んで、加圧成形した。
そして、割鋳型21,22から取出された複合体に、P
LGAを300μmの厚さになるように被覆し、図1に
示すような徐放剤を作製した。なお、β−TCPに複合
する薬剤は上述のもの限定はされず、所望する薬効に合
わせて適宜選択することが可能である。
よびテイコプランニンを混入したβ−TCPスラリー
を、図2に示すような形状の、内部に内径10mmの球
状のキャビティ21a,22aが形成されたテフロン製
の2つの割鋳型21,22に鋳込んで、加圧成形した。
そして、割鋳型21,22から取出された複合体に、P
LGAを300μmの厚さになるように被覆し、図1に
示すような徐放剤を作製した。なお、β−TCPに複合
する薬剤は上述のもの限定はされず、所望する薬効に合
わせて適宜選択することが可能である。
【0051】図3は、以上のようにして製造された徐放
剤を用いた場合の、経過時間と薬剤放出量との関係を示
す特性図である。図3に示すように、第3のPLGA層
6は、その膜厚にも依存するが、2週間程度で生体内で
吸収され、外側の第2のβ−TCP層5に含まれている
テイコプランニン(抗生剤)が徐放される。その後、時
間経過とともに、第1のβ−TCP層3に含まれている
プレドニン(ステロイド)、およびβ−TCP顆粒1に
含まれているBMP(骨形成因子)の薬剤が順次徐放さ
れる。骨形成因子であるBMPが徐放される際には、徐
放剤を充填した部位の炎症が沈静化していることが望ま
しい。それにより、BMPを含むβ−TCPの骨補填材
としての有効性も向上する。
剤を用いた場合の、経過時間と薬剤放出量との関係を示
す特性図である。図3に示すように、第3のPLGA層
6は、その膜厚にも依存するが、2週間程度で生体内で
吸収され、外側の第2のβ−TCP層5に含まれている
テイコプランニン(抗生剤)が徐放される。その後、時
間経過とともに、第1のβ−TCP層3に含まれている
プレドニン(ステロイド)、およびβ−TCP顆粒1に
含まれているBMP(骨形成因子)の薬剤が順次徐放さ
れる。骨形成因子であるBMPが徐放される際には、徐
放剤を充填した部位の炎症が沈静化していることが望ま
しい。それにより、BMPを含むβ−TCPの骨補填材
としての有効性も向上する。
【0052】なお、本実施例に係る薬剤徐放剤では、各
層の膜厚を制御することにより、薬剤の徐放特性を制御
することが可能である。
層の膜厚を制御することにより、薬剤の徐放特性を制御
することが可能である。
【0053】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、高い強度を有し、広範囲の薬剤を長期にわたり徐
放することの可能であるとともに、優れた骨伝導能を有
する薬剤徐放剤を提供することができる。
れば、高い強度を有し、広範囲の薬剤を長期にわたり徐
放することの可能であるとともに、優れた骨伝導能を有
する薬剤徐放剤を提供することができる。
【図1】本発明の一実施形態に係る薬剤徐放剤の層構造
を示す断面図。
を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る薬剤徐放剤の製造に
用いる加圧成形法を説明する図。
用いる加圧成形法を説明する図。
【図3】本発明の一実施形態に係る薬剤徐放剤の徐放特
性を示す特性図。
性を示す特性図。
1・・・β−TCP顆粒
2・・・第1のPLGA層
3・・・第1のβ−TCP層
4・・・第2のPLGA層
5・・・第2のβ−TCP層
6・・・第3のPLGA層
11・・・複合体
21,22・・・割鋳型
21a,22a・・・キャビティ
23,24・・・スラリー。
フロントページの続き
(72)発明者 松岡 直之
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ
ンパス光学工業株式会社内
(72)発明者 袴塚 康治
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ
ンパス光学工業株式会社内
(72)発明者 中村 剛明
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ
ンパス光学工業株式会社内
Fターム(参考) 4C076 AA41 AA94 BB32 CC21 CC26
CC27 DD09 DD25 DD26 EE42
FF31 FF36
Claims (3)
- 【請求項1】表面に第1の生分解性有機材料の被膜を有
するリン酸カルシウム系セラミック多孔質顆粒と、薬剤
を含む第2の生分解性有機材料の粒子とを混合し、加圧
成形してなることを特徴とする薬剤徐放剤。 - 【請求項2】前記第2の生分解性有機材料の粒子が、少
なくとも2種類の薬剤を含有する少なくとも2種類の生
分解性有機材料からなることを特徴とする請求項1に記
載の薬剤徐放剤。 - 【請求項3】第1の薬剤を含有するリン酸カルシウム系
セラミック多孔質顆粒と、この多孔質顆粒の表面に被覆
された生分解性有機材料層と、この生分解性有機材料層
の表面に被覆された、第2の薬剤を含有するリン酸カル
シウム系セラミック層とを具備することを特徴とする薬
剤徐放剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002012096A JP2003212756A (ja) | 2002-01-21 | 2002-01-21 | 薬剤徐放剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002012096A JP2003212756A (ja) | 2002-01-21 | 2002-01-21 | 薬剤徐放剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003212756A true JP2003212756A (ja) | 2003-07-30 |
Family
ID=27649399
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002012096A Pending JP2003212756A (ja) | 2002-01-21 | 2002-01-21 | 薬剤徐放剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003212756A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2399499A (en) * | 2003-03-13 | 2004-09-22 | Nanotrend Ino Tech Inc | A porous apatite grain taste-masked oral dosage form |
WO2004089417A1 (ja) * | 2003-04-07 | 2004-10-21 | National Institute For Materials Science | 薬物封入多層構造微粒子及びその製造方法 |
JP2008086560A (ja) * | 2006-10-02 | 2008-04-17 | Olympus Terumo Biomaterials Corp | 生体組織補填材の製造方法および生体組織補填材 |
CN107307926A (zh) * | 2017-08-11 | 2017-11-03 | 上海交通大学医学院附属第九人民医院 | 一种多孔β‑磷酸三钙药物缓释系统及其制备方法 |
JP2017533796A (ja) * | 2014-12-29 | 2017-11-16 | ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドBoston Scientific Scimed,Inc. | 化学療法剤の多段階放出のための組成物、装置、および方法 |
WO2020065753A1 (ja) * | 2018-09-26 | 2020-04-02 | オリンパス株式会社 | 薬物投与体、薬物投与システム、および薬物投与方法 |
-
2002
- 2002-01-21 JP JP2002012096A patent/JP2003212756A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2399499A (en) * | 2003-03-13 | 2004-09-22 | Nanotrend Ino Tech Inc | A porous apatite grain taste-masked oral dosage form |
GB2399499B (en) * | 2003-03-13 | 2006-12-27 | Nanotrend Ino Tech Inc | Stable and taste masked pharmaceutical dosage form using porous apatite grains |
US8182831B2 (en) | 2003-03-13 | 2012-05-22 | Nanotrend Ino-Tech Inc. | Stable and taste masked pharmaceutical dosage form using porous apatite grains |
WO2004089417A1 (ja) * | 2003-04-07 | 2004-10-21 | National Institute For Materials Science | 薬物封入多層構造微粒子及びその製造方法 |
JP2008086560A (ja) * | 2006-10-02 | 2008-04-17 | Olympus Terumo Biomaterials Corp | 生体組織補填材の製造方法および生体組織補填材 |
JP2017533796A (ja) * | 2014-12-29 | 2017-11-16 | ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドBoston Scientific Scimed,Inc. | 化学療法剤の多段階放出のための組成物、装置、および方法 |
US10881619B2 (en) | 2014-12-29 | 2021-01-05 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Compositions, devices and methods for multi-stage release of chemotherapeutics |
US11672765B2 (en) | 2014-12-29 | 2023-06-13 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Compositions, devices and methods for multi-stage release of chemotherapeutics |
CN107307926A (zh) * | 2017-08-11 | 2017-11-03 | 上海交通大学医学院附属第九人民医院 | 一种多孔β‑磷酸三钙药物缓释系统及其制备方法 |
CN107307926B (zh) * | 2017-08-11 | 2024-03-19 | 上海交通大学医学院附属第九人民医院 | 一种多孔β-磷酸三钙药物缓释系统及其制备方法 |
WO2020065753A1 (ja) * | 2018-09-26 | 2020-04-02 | オリンパス株式会社 | 薬物投与体、薬物投与システム、および薬物投与方法 |
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A02 | Decision of refusal |
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