JP2003207437A - 光ファイバープローブ及びそれを備える走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

光ファイバープローブ及びそれを備える走査型プローブ顕微鏡

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JP2003207437A
JP2003207437A JP2002325920A JP2002325920A JP2003207437A JP 2003207437 A JP2003207437 A JP 2003207437A JP 2002325920 A JP2002325920 A JP 2002325920A JP 2002325920 A JP2002325920 A JP 2002325920A JP 2003207437 A JP2003207437 A JP 2003207437A
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probe
light
fiber probe
scanning
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Takeshi Nakajima
健 中嶋
Masahiko Hara
正彦 原
Daisuke Fujita
大介 藤田
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National Institute for Materials Science
RIKEN
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National Institute for Materials Science
RIKEN
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光観察が可能でありSNOMの感度が高い
SNOM/STM、及び局所光照射を可能にし熱膨張の
影響を軽減した照射STMを提供する。 【解決手段】 SNOMで用いる開口型光ファイバープ
ローブ11の開口部33にITO薄膜35をコーティン
グし、このITO薄膜35をSTM用の電極とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡、特に近接場光学顕微鏡と走査型トンネル顕微鏡と
を複合させた走査型プローブ顕微鏡、あるいは光励起走
査型トンネル顕微鏡等の走査型プローブ顕微鏡に関す
る。
【0002】
【従来の技術】試料表面の構造や性質を原子レベルある
いは分子レベルで測定する手段として、走査型プローブ
顕微鏡がある。走査型プローブ顕微鏡としては、プロー
ブと試料との間に流れるトンネル電流を利用して表面構
造を画像化する走査トンネル顕微鏡(STM:Scanning
Tunneling Microscope)や、プローブと試料との間に
作用する原子間力を用いて画像化する原子間力顕微鏡
(AFM:Atomic Force Microscope)が良く知られて
いる。また、磁性材料などの磁力分布を観察できる磁気
力顕微鏡(MFM:Magnetic Force Microscope)、プ
ローブと試料表面の間の静電容量の変化を検出し画像化
する走査型容量顕微鏡(SCaM:ScanningCapacitanc
e Microscope)等も開発されている。
【0003】こうした高分解能走査型プローブ顕微鏡の
一種に近接場光学顕微鏡(SNOM:Scanning Near-fi
eld Optical Microscope)がある。SNOMにも種々の
方式があるが、典型的には、微細な光ファイバの先端を
除く周囲を金属コーティングしたプローブを試料表面に
近接させて近接場光を取り込むもので、従来の光学顕微
鏡の分解能は回折効果により波長の半分程度に制限され
るのに対して、SNOMでは50nm程度の高分解能が
得られる。SNOMの分解能を規定する要因の一つは、
開口型プローブの開口サイズである。また、SNOMの
空間分解能を原子・分子レベルに高めるためには、試料
−プローブ間距離を数nmオーダーに制御する必要があ
る。
【0004】本発明者らは以前、SNOMの分解能向上
を図るために、SNOMとSTMを複合した装置を開発
した(非特許文献1)。この複合型SNOM/STM
は、コア部が円錐形に突出した光ファイバーの先端部を
除いて白金を膜厚100〜150nmにコーティングし
た通常のSNOMプローブの先端開口部に膜厚20〜3
0nmの白金超薄膜をコーティングした金属二重コーテ
ィング光ファイバープローブを使用する。膜厚20〜3
0nmの白金超薄膜は、光に対して半透明であり、電気
伝導性を有する。この金属二重コーティング光ファイバ
ープローブは、近接場光を取り込む開口部表面も電気伝
導性を有するため、プローブの開口部最先端でSTM測
定が可能となる。開発した複合型SNOM/STMは、
SNOM/STM同時測定が可能であり、同時測定にお
いて得られるSNOM像とSTM像には全くずれがな
い。また、STM定電流モードで試料−プローブ間距離
制御を行えば、プローブは試料表面から一定距離を保っ
て移動するため、試料−プローブ間距離を数nmオーダ
ーに高精度制御することが可能である。
【0005】なお、初期のSNOMも、STMによる距
離制御を行っていた(非特許文献2,3)。しかし、こ
の場合、開口部の周りの金属部位を電子トンネリングの
動作点とし、一方で開口部自身を光子の入射窓としてい
る原理に由来して、得られるSNOM像とSTM像の間
には常に開口サイズ程度のずれが存在する。
【0006】また、最近の走査型プローブ顕微鏡の応用
例として、光励起による構造、電子状態変化の検出が挙
げられる。普通この現象の解析には、金属プローブを用
いたSTMと遠視野光学系を組み合わせた光照射STM
(Light-Illumination STM)と呼ばれる手法が用いられ
ている(非特許文献4,5)。光照射STMでは、プロ
ーブ・試料部に側方から変調した光を導入し、トンネル
電流の変化を読み取る。
【0007】
【非特許文献1】Jpn. J. Appl. Phys., 38, 3949 (199
9)
【非特許文献2】Appl. Phys. Lett., 44, 651(1984)
【非特許文献3】J. Appl. Phys., 59, 3318(1986)
【非特許文献4】J. Appl. Phys., 82, 4153(1997)
【非特許文献5】Phys. Rev. Lett., 66, 1717(1991)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記した金属二重コー
ティング光ファイバープローブを使用する複合型SNO
M/STMは、試料−プローブ間距離を数nmオーダー
に高精度制御することができるため10nm程度の高分
解能を達成することができる。また、SNOM像とST
M像の場所の一致を図ることができ、光の情報と構造の
情報とを完全に一対一対応させることができる。
【0009】ところで、SNOMの適用例として、蛍光
分子を励起して蛍光観察する場合がある。それは、例え
ば多機能光機能性分子の特性を単一分子レベルで測定す
る場合であり、SNOMはこのような分子エレクトロニ
クス、分子フォトニクス等の分野における基礎研究のた
めのツールとして今後益々重要性が増すものと考えられ
る。しかし、金属二重コーティング光ファイバープロー
ブを使用する複合型SNOM/STMは、蛍光観察に適
さないという問題がある。これは、光励起された蛍光分
子のエネルギーがトンネル電流検出のために1nm程度
の距離に近接して位置する金属(開口部表面を覆ってい
る白金超薄膜)にエネルギー移動してしまい、蛍光とし
て観測されないためと考えられる。
【0010】また、従来の金属二重コーティング光ファ
イバープローブを使用する複合型SNOM/STMが有
するもう一つの問題点としてSNOMの感度が低いとい
うことがある。これは、近接場光を取り込む開口部表面
をSTMの動作を可能にするため膜厚20〜30nmの
白金超薄膜で覆ったことによる光透過率の低下に起因す
る。白金超薄膜によって光が吸収あるいは反射されるた
め、光検出感度は、開口型プローブの10%以下になっ
ていた。
【0011】また、従来の光照射STMは、プローブ直
下の領域は果たして真に光励起されているのか(一応の
解釈として、nmサイズのギャップ領域にしみ出した近
接場光励起と考えられている)という疑問に対して答え
を与えることが難しい。また技術的な問題として、光照
射に伴うプローブあるいは試料の熱膨張の影響は深刻で
ある。熱膨張によって生じるプローブ−試料間の距離の
変化はSTMの高感度性ゆえに大きな電流変化として測
定されてしまい、実際に測定したい試料からの信号変化
を分離することは容易ではない。通常、光の変調を熱膨
張の影響が無視できるくらいに高速化するか、光強度を
落とすかの対処法がとられるが、変調周波数を上げると
遅い現象は観測できなくなり、強い光を照射しなければ
観測できない現象もあるため、これらによる制約は大き
い。高感度測定を目的として、金属プローブの表面プラ
ズモン励起による電場増強の効果を狙う研究例もある
が、表面プラズモンの励起には金属と光波長の間に特別
の関係が必要であり一般的な方法ではない。更に、遠視
野からの光照射の別の問題として、光入射角に対する実
験結果の強い依存性が報告されている。また、強いレー
ザー光を試料のかなり広い範囲に照射するため、有機材
料に対する測定では消光の問題がある。
【0012】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑み、蛍光観察が可能なSNOM/STMを提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、SNOMの感度が高
いSNOM/STMを提供することを目的とする。
【0013】また、本発明は、近接場の概念を用いて局
所光照射を可能にし、熱膨張の影響を軽減した新しい光
照射STMを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明では、開口型光フ
ァイバープローブの開口部に白金超薄膜に代えてITO
(Indium Tin Oxide)薄膜をコーティングした光ファイ
バープローブを用いることで前記目的を達成する。
【0015】すなわち、走査型プローブ顕微鏡に用いら
れる本発明の光ファイバープローブは、円錐状に突出し
た先端部を有する光ファイバーと、前記先端部の最先端
領域以外の領域からの光入出射を防止する遮光膜と、最
先端領域に被覆されたITO薄膜とを備えることを特徴
とする。
【0016】ITO薄膜は可視光領域での透過率が80
〜90%であり光吸収が少ないため、可視光領域での光
検出感度が約1桁向上する。また、ITO薄膜の抵抗率
は1〜10×10-6Ωmであり、金属に比較して抵抗率
は増加するが、トンネル抵抗に比較すれば十分小さいの
で金属二重コーティングプローブと比較してもSTMと
しての性能はほとんど低下しない。
【0017】また、本発明による走査型プローブ顕微鏡
は、前述の光ファイバープローブと、光源と、光源から
の光を光ファイバープローブの最先端領域から出射させ
るための手段と、光ファイバープローブの最先端領域か
ら入射した光を検出するための光検出器と、光ファイバ
ープローブを当該光ファイバープローブからの出射光の
光軸方向に駆動するための第1の駆動手段と、光ファイ
バープローブを前記光軸方向と交差する2方向に駆動す
るための第2の駆動手段と、第2の駆動手段に光ファイ
バープローブを光軸と交差する方向に2次元走査するた
めの走査信号を出力する走査制御手段と、光ファイバー
プローブと試料との間に電圧を印加するための電源と、
光ファイバープローブと試料との間に流れるトンネル電
流が一定値となるように第1の駆動手段をサーボ制御す
るサーボ手段と、光検出器の出力と前記走査制御手段か
らの走査信号が入力される画像表示手段とを備えること
を特徴とする。
【0018】本発明による走査型プローブ顕微鏡は、S
NOMとSTMを複合化することで、SNOMとしての
高分解能化が可能である。従来の開口型SNOMの平均
的な分解能に比較すると5〜10倍の高分解能化を達成
できる。
【0019】また、本発明の走査型プローブ顕微鏡によ
ると、金属二重コーティング光ファイバープローブを使
用した従来の複合型SNOM/STMでは不可能であっ
た蛍光観測が可能となる。その理由については現在のと
ころ完全に説明することはできないが、ITO膜中に分
散させた蛍光分子が無輻射エネルギー移動をしないとい
う実験事実(蛍光顕微鏡観察で実際に確認)と、金属の
場合には無輻射エネルギー移動(光励起された色素分子
が金属に対して数ナノメートルまで接近すると、励起エ
ネルギーが金属膜へ移動し、熱となって光を放たずに緩
和する現象)が起こりうるということ(X. S. Xie, Ac
c. Chem. Res., vol.29, 598-606(1996))とが関係して
いると思われる。
【0020】更に、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、
開口型光ファイバープローブと同程度の光検出感度を保
持できる。ITO薄膜の光透過度は80〜90%であ
り、開口型プローブの100%に比較すると光透過度が
多少減少するが、STMとして動作させることでプロー
ブ−試料間距離を大幅に小さくできるため、トータルの
効率としては従来の値を保持、あるいは向上できる。
【0021】また、本発明による走査プローブ顕微鏡を
光照射STMとして用いると、従来型の光照射STMに
おいて大きな問題であった熱膨張の影響をほとんど受け
ず、高感度な測定が可能となる。また、試料を光照射す
ることによって生じる蛍光と光電流の同時測定が可能と
なる。
【0022】光照射STMとして用いることのできる本
発明の走査型プローブ顕微鏡は、前述の光ファイバープ
ローブと、光源と、光源からの光を強度変調する変調手
段と、強度変調された光を光ファイバープローブの最先
端領域から出射させるための手段と、光ファイバープロ
ーブと試料との間に電圧を印加するための電源と、光フ
ァイバープローブと試料との間に流れるトンネル電流を
検出するトンネル電流検出器と、試料への光照射によっ
て生じるトンネル電流検出器の出力変化を検出するトン
ネル電流変化検出手段と、トンネル電流変化検出手段に
よって検出された変化を表示する表示手段とを備えるこ
とを特徴とする。
【0023】この走査型プローブ顕微鏡に、光ファイバ
ープローブを当該光ファイバープローブからの出射光の
光軸方向に駆動するための第1の駆動手段と、光ファイ
バープローブを光軸方向と交差する2方向に駆動するた
めの第2の駆動手段と、第2の駆動手段に光ファイバー
プローブを光軸と交差する方向に2次元走査するための
走査信号を出力する走査制御手段と、光ファイバープロ
ーブと試料との間に流れるトンネル電流のうち変調手段
の変調周波数より低い周波数成分が一定値となるように
前記第1の駆動手段をサーボ制御するサーボ手段と、ト
ンネル電流変化検出手段の出力と走査制御手段からの走
査信号が入力される画像表示手段とを備えることもでき
る。実際には、変調手段の変調周波数をサーボ手段の応
答周波数より高く設定しておくことで、変調成分が加わ
ったトンネル電流をサーボ手段に直接入れても、サーボ
手段が応答できる以上の周波数成分は無視される。
【0024】本発明による走査型プローブ顕微鏡の他の
態様は、前述の光ファイバープローブと、光源と、光源
からの光を強度変調する変調手段と、強度変調された光
を光ファイバープローブの最先端領域から出射させるた
めの手段と、光ファイバープローブの最先端領域から入
射した光を検出するための光検出器と、光ファイバープ
ローブと試料との間に電圧を印加するための電源と、光
ファイバープローブと試料との間に流れるトンネル電流
を検出するトンネル電流検出器と、試料への光照射によ
って生じるトンネル電流検出器の出力変化を検出するト
ンネル電流変化検出手段と、光検出器の出力及びトンネ
ル電流変化検出手段によって検出された変化を表示する
表示手段とを備えることを特徴とする。
【0025】この走査型プローブ顕微鏡に、光ファイバ
ープローブを当該光ファイバープローブからの出射光の
光軸方向に駆動するための第1の駆動手段と、光ファイ
バープローブを光軸方向と交差する2方向に駆動するた
めの第2の駆動手段と、第2の駆動手段に光ファイバー
プローブを光軸と交差する方向に2次元走査するための
走査信号を出力する走査制御手段と、光ファイバープロ
ーブと試料との間に流れるトンネル電流のうち変調手段
の変調周波数より低い成分が一定値となるように第1の
駆動手段をサーボ制御するサーボ手段とを備えることも
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1は、本発明による走査型プロ
ーブ顕微鏡(SNOM/STM複合装置)の一例を示す
全体構成図である。
【0027】この走査型プローブ顕微鏡10は、詳細を
後述する光ファイバープローブ11、光ファイバープロ
ーブ11をX,Yに駆動するXY駆動部12,13、光
ファイバープローブ11をZ方向に駆動するZ駆動部1
4、レーザー等からなる光源15、光電子増倍管等の光
検出器17、光学フィルタ16,18、XY駆動部1
2,13に走査信号を出力して光ファイバープローブ1
1をXY方向に走査する走査回路19、走査回路19か
ら出力される走査信号に同期して光検出器17の検出信
号を表示する画像表示装置20、光ファイバープローブ
11と試料21との間に電圧を印加するための電源2
2、光ファイバープローブ11と試料21との間に流れ
るトンネル電流を検出するためのトンネル電流検出器2
3、トンネル電流検出器23で検出されたトンネル電流
が一定値となるようにZ駆動部14をサーボ制御するサ
ーボ回路24を備える。XY駆動部12,13、Z駆動
部14は、例えば圧電素子によって構成される。
【0028】光源15から出射された光線は、光学フィ
ルタ16及びダイクロイックミラー25を通って光ファ
イバープローブ11に入射され、光ファイバープローブ
11の先端から試料21に照射される。図では、光ファ
イバープローブ11から試料21に照射される光線の光
軸に平行な方向をZ軸とし、Z軸に垂直な平面内で互い
に直交するようにX軸とY軸を設定した。光照射を受け
た試料21から発せられた光は再び光ファイバープロー
ブ11に入射し、ダイクロイックミラー25で反射され
た後、光学フィルタ18を通って光検出器17に入射す
る。光検出器17の出力と走査回路19の走査信号は、
CRT等の画像表示装置20に入力され、画像表示装置
20に試料のSNOM像が表示される。また、トンネル
電流が一定値となるようにZ駆動部14をサーボ制御
し、サーボ回路24の出力と走査回路19の走査信号を
画像表示装置20に入力することにより、画像表示装置
20には試料のSTM像が表示される。
【0029】一方、光ファイバープローブ11と試料2
1との間には、電源22から一定電圧が印加され、トン
ネル電流検出器23は、試料21と光ファイバープロー
ブ11の間に流れるトンネル電流を検出する。サーボ回
路24は、検出されたトンネル電流が一定値となるよう
にZ駆動部14を制御し、試料表面と光ファイバープロ
ーブ11との間の距離を制御する。
【0030】図2は、本発明の走査型プローブ顕微鏡に
用いられる光ファイバープローブ(SNOM/STMプ
ローブ)の概略図である。
【0031】この光ファイバープローブは、コア31と
クラッド32を有する光ファイバーの先端を先鋭化し、
先鋭化したコア31の最先端部を除く部分に遮光膜とし
て白金、金などからなる金属膜34を厚さ100〜20
0nmに形成してSNOM用の開口部33を形成する。
開口部33の直径は50〜200nmである。更に、開
口部33の上に厚さ10〜100nmのITO薄膜35
を形成する。開口部33に形成された先鋭化したITO
薄膜35は、STM用の電極として作用する。
【0032】次に、この光ファイバープローブの製造方
法について説明する。まず、23mol%のGeO2を
ドープしたクラッド径125μm、コア径8μmの光フ
ァイバーをNH4F(40重量%):HF(50重量
%):H2O=2:1:1の溶液中で2時間エッチング
した。この高HF濃度溶液では、クラッド部、コア部の
エッチング速度は約0.8μm/分で実質的に等しく、
その結果、このエッチングによってクラッド径が30〜
40μmにまで減少する。エッチングされる部位の長さ
は、プローブの機械的不安定性に直接関与しており、安
定度の良いプローブ長さは約0.5〜1.0mmであっ
た。次に、NH4F(40重量%):HF(50重量
%):H2O=10:1:1の溶液中で1時間エッチン
グする。第1段階のエッチングとは異なり、この場合は
クラッド部のエッチング速度(0.3〜0.4μm)が
コア部のエッチング速度(0.1〜0.2μm)に比べ
て速いため、コア部が突出し、そしてその先端が円錐形
に成形される。円錐形の部分は、その根本部分の直径は
約2μmであり、根本から円錐先端までの高さは約5μ
mである。円錐角は、HF濃度とコア中のGeO2ドー
プ量に強く依存しており、23mol%の光ファイバー
の場合、円錐角25度が得られる。
【0033】こうして得られた先端が円錐形に尖った光
ファイバーに金のイオンコートを施す。イオンコーター
内の真空度は約0.1Torr程度で、コート膜の膜厚
はその真空度とスパッタ時間、ファイバーとターゲット
の間の距離と位置で決まり、100〜200nmの膜厚
とした。続いて、金をコーティングした先鋭化光ファイ
バーをアクリル樹脂溶液中に数秒間浸す。アクリル樹脂
は粘性が高く、かつ光ファイバー先端が先鋭化されてい
るため、表面張力によって先端から数十から数百nm程
度はアクリル樹脂に被覆されず、金コート膜が表面に出
た状態になる。その状態で、KI:I2:H2O=20:
1:400のエッチング液に浸せば、その先端部分だけ
の金がエッチングされ、数十nm程度のサイズの開口が
形成される。
【0034】次に、マグネトロンスパッタリング法によ
って、このプローブ先端表面にITO薄膜を約50nm
の厚さに形成した。ITOの抵抗率は5〜10×10-6
Ωmであった。また、ITOの光透過率は、膜厚100
nmにおいて83〜93%(波長630nm)であっ
た。
【0035】図3は、こうして作製された光ファイバー
プローブ先端の電子顕微鏡像である。この光ファイバー
プローブは、開口部表面もITO薄膜によって被覆され
ていて電気伝導性があるため、開口部最先端でSTM測
定が可能になる。従って、SNOM/STM同時測定に
おいて得られる2つの画像には全くずれがない。
【0036】図4は、本発明による光ファイバープロー
ブの先端部と従来のSNOMプローブの先端部を比較し
て示した模式図である。他の研究で用いられているSN
OMプローブは、光ファイバー41の周りの被覆金属膜
42が図4(a)に示すように光ファイバー先端から突
出しているか、図4(b)に示すように光ファイバー先
端と同じ平面上にある。この場合、観察対象である蛍光
分子と被覆金属膜42との接近は避けられない。一方、
本発明による光ファイバープローブは、図4(c)に示
すように、開口部となる光ファイバー43が被覆金属膜
44から突出したプローブ形状を有し、被覆金属膜44
がその下方に位置する試料から十分に離れている。ま
た、その突出部に対して金属をコーティングする従来の
金属二重コーティング光ファイバープローブでは再び金
属と蛍光分子との接近の問題は避けられないが、図4
(d)に示すようにITO薄膜45を被覆した場合には
その問題を回避することができる。
【0037】図2に示す光ファイバープローブを組み込
んだ走査型プローブ顕微鏡(SNOM/STM複合装
置)によって、SNOM/STM同時測定を行った。試
料は、カバーグラス上にITOを50nmコーティング
したものを基板とし、そこにCdSeナノ粒子をスピン
コートしたものである。ナノ粒子の密度は通常の蛍光顕
微鏡での単一粒子観察に用いるものの約100倍の濃度
で、蛍光顕微鏡で見るとミクロンオーダーの領域に密に
存在するような条件で試料を作成した。光学系は、53
2nmのLD励起固体レーザーを光ファイバー端面にカ
ップリングし、光ファイバープローブ先端による局所イ
ルミネーション、検出は再び光ファイバープローブから
行い(ICモード)、580nmのロングパスフィルタ
ーを通過させた後(CdSeナノ粒子の発光の中心波長
は550〜560nm程度)、光電子増倍管によるフォ
トンカウンティングを行った。GeO2ドープの光ファ
イバーであるため、この励起波長ではファイバー自身が
赤い蛍光を発する。従って、測定はそのオフセットの上
で行うことになる。
【0038】図5に、本発明の走査型プローブ顕微鏡に
よるSNOM/STM同時測定の測定例を示す。(a)
に示したSTM像(走査範囲380nm、走査速度0.
13Hz、100×100ピクセル、すなわち38ms
ec/ピクセル)では、ITO薄膜の凹凸が確認できる
が、個々のCdSeナノ粒子(直径5nm程度)は解像
できていない。(b)に示したSNOM像には、先述し
たとおり、約400カウント/ピクセルのオフセットを
除去した後の像を示した。個々の明るいピークが何に対
応するかは現段階では解釈できていないが、比較のため
に行ったITO薄膜だけの試料では得られないものであ
るため、何らかの蛍光イメージングが成功したものと考
えられる。なお、SNOM像に現れている個々の輝点の
クロスセクションプロファイル(断面図)をとると、半
値全幅は約20nmと、開口サイズ(50〜200n
m)に比較して非常に小さい値を示した。
【0039】このように、金属に比較して抵抗率が大き
いITOを開口部に被覆した本発明の光ファイバープロ
ーブを用いることで、開口部に白金超薄膜を被覆した従
来の金属二重コーティング光ファイバープローブを用い
た場合と異なり、励起された蛍光分子のエネルギー移動
がほとんど生じないため蛍光観察が可能となる。また、
開口型光ファイバープローブを用いたSNOMでは分解
能がその開口サイズによって規定されるが、本発明で
は、原理的にSTMフィードバックが可能で、プローブ
−試料間距離として1nm以下を達成でき、その結果、
開口サイズに規定されない高分解能化が図れる。
【0040】また、従来の金属二重コーティングプロー
ブが実現した高分解能性を保持したまま、光検出を高感
度化(従来の開口型光ファイバープローブと比較して同
程度、金属二重コーティングプローブに対しては約10
倍)できるため、単一量子構造(蛍光分子、ナノ粒子な
どを含む)などからの微弱光の高速検出が可能となる。
【0041】更に、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、
原理的な潜在能力として、光と電子が関わる現象への応
用が可能である。すなわち、STMの特徴を積極的に利
用し、トンネル電子注入によるエレクトロルミネッセン
スへの応用、あるいは光励起による様々なシステム(有
機分子、半導体など)の電子状態の変化を観察ないし制
御するという応用が可能である。
【0042】図6は、本発明による走査型プローブ顕微
鏡(光照射STM)の一例を示す全体構成図である。理
解を容易にするため、図6において、図1に示した走査
型プローブ顕微鏡と同じ機能部分には図1と同じ符号を
付して説明する。
【0043】この走査型プローブ顕微鏡50は、円錐状
に突出した先端部の最先端領域以外の領域を金属遮光膜
で被覆し、最先端領域をITO薄膜で被覆した本発明の
光ファイバープローブ11を備える。光ファイバープロ
ーブ11は、XY駆動部12,13によってX,Y方向
に駆動され、Z駆動部14によってZ方向に駆動され
る。レーザー等からなる光源15から出射された光線
は、光学フィルタ16を通り、チョッパー駆動部53に
よって駆動されるチョッパー54によって断続光とされ
た後、光ファイバープローブ11に入射され、光ファイ
バープローブ11の先端のITO薄膜を通して試料21
に照射される。光ファイバープローブ11と試料21と
の間には、電源制御部55によって制御される電源52
から電圧が印加され、トンネル電流検出器23は、試料
21と光ファイバープローブ11の間に流れるトンネル
電流を検出する。トンネル電流検出器23によって検出
されたトンネル電流はロックイン増幅器56に入力され
る。ロックイン増幅器56の参照入力には、チョッパー
駆動部53からの出力が入力される。ロックイン増幅器
56の出力は波形表示装置57あるいは画像表示装置2
0に入力される。波形表示装置57には、電源制御部5
5から電源52の電圧と、ロックイン増幅器56からの
出力が入力される。
【0044】なお、チョッパー54によって光源15か
らの光を断続する代わりに、光源15の光強度を変調す
るようにしてもよい。また、ロックイン増幅器56を用
いずに、トンネル電流検出器23の出力を直接、画像表
示装置20あるいは波形表示装置57に入力することも
可能である。
【0045】次に、図6に示した走査型プローブ顕微鏡
(光照射STM)を用いて測定を行う際の動作について
説明する。ここでは、2種類の測定モードについて説明
する。
【0046】第1の測定モードにおいては、光ファイバ
ープローブ11の先端を試料21上の測定点に固定して
測定を行う。従って、第1の測定モードにおいては、測
定の際に走査を行わないため、測定時には走査回路1
9、画像表示装置20、サーボ回路24を使用しない。
【0047】まず、電源52の電圧を一定に固定し、走
査回路19を用いて光ファイバープローブ11を試料2
1上の所望の測定点に移動し、サーボ回路24を用いて
光ファイバープローブ11と試料表面上の測定点との間
の距離をトンネル電流が流れる程度、すなわち1ナノメ
ートル程度に設定した後、サーボ回路24を切る。次
に、光源15からの断続光を光ファイバープローブ11
の先端から試料21上の測定点に照射する。このとき、
試料上の測定点に存在する物質が光励起電流発生現象を
示せば、トンネル電流検出器23によって検出されるト
ンネル電流が照射光の断続周波数と同じ周波数で変化す
るので、それをロックイン増幅器によって検出し、結果
を波形表示装置57に表示する。
【0048】次に図6に示した走査型プローブ顕微鏡
(光照射STM)による第2の測定モードについて説明
する。
【0049】第2の測定モードにおいては、電源52の
電圧を一定に固定し、走査回路19からXY駆動部1
2,13に走査信号を出力して光ファイバープローブ1
1をXY方向に走査する。サーボ回路24は、トンネル
電流検出器23によって検出されたトンネル電流が一定
値となるようにZ駆動部14を制御し、試料表面と光フ
ァイバープローブ11との間の距離を制御する。このと
き、光ファイバープローブ11のXY方向走査速度に対
して光源15からの光線の断続周波数を充分に高く設定
すると、サーボ回路24は、試料への光照射に起因して
高速に変化するトンネル電流成分には応答せず、光ファ
イバープローブ11と試料表面の間隔が一定となるよう
にZ駆動部14を制御する。従って、サーボ回路24の
出力と走査回路19の走査信号を画像表示装置20に入
力することにより、画像表示装置20には試料のSTM
像が表示される。このとき、画像表示装置20に、サー
ボ回路24の出力に代えてロックイン増幅器56の出力
を入力すると、画像表示装置20には光励起に対する試
料の応答の強弱を画像化したものが表示される。
【0050】本発明の光ファイバープローブによると蛍
光観察が可能であることから容易に判断できるように、
その光ファイバープローブを組み込んだ本発明の光照射
STMによると、試料に対して光ファイバープローブ開
口からの局所的近接場光照射が行われていることは確実
である。また、プローブ先端でのエネルギー散逸が非常
に少ないため、熱膨張の影響もほとんどない。このよう
に、本発明の光照射STMは、従来の光照射STMにつ
きまとっていた疑問(プローブ直下の領域は果たして真
に光励起されているのかという疑問)の余地をなくし、
更に従来の光照射STMでは解決が困難であった技術的
問題(光照射に伴うプローブあるいは試料の熱膨張の問
題)をも解決するものである。
【0051】本発明の光ファイバープローブを用いる光
照射STMが熱膨張の影響を受けないことを検証するた
めに、本発明の光照射STMと、従来型の光照射STM
を用意し、それぞれ光照射に伴う熱膨張の影響を調べ
た。従来型の光照射STMは、金属プローブ(金コート
Pt−Irプローブ)を備え、焦点距離約10cmの凸
レンズによって集光した光を側方からプローブ先端に対
向する試料位置に照射するものである。光源として波長
488nm、出力1mWのアルゴンレーザを用いた。照
射光は、機械的チョッパーによって周波数200Hzで
チョッピングした。プローブに対向する金属製の試料ス
テージ上に試料を設置せず、初期状態でトンネル電流が
200pAとなるようにプローブ−試料ステージ間距離
を設定した。
【0052】図7及び図8に測定結果を示す。図の横軸
は時間であり、縦軸はトンネル電流と参照信号である。
矩形の参照信号は照射光のチョッピングに対応し、参照
信号がHIGHの状態は光が照射されている状態、参照信号
がLOWの状態は光が照射されていない状態に対応する。
図7は従来型の光照射STMの測定結果であり、図8は
本発明による光照射STMの測定結果である。
【0053】図7に示した測定結果から明らかなよう
に、従来型の光照射STMによる測定では、試料がない
にもかかわらず計測されるトンネル電流が参照信号に同
期して変動し、照射光をチョッピングした影響が明らか
に現れている。一方、図8に示すように、本発明の光照
射STMによると、チョッピングした光を光ファイバー
プローブに入射してもトンネル電流に有意な変化は現れ
ない。このように、本発明の光ファイバープローブを用
いる光照射STMが熱膨張の影響を受けないことを確認
した。
【0054】次に、本発明の光照射STMによる測定例
について説明する。試料として、遺伝工学・タンパク質
工学的手法によって融合されたGFPとチトクロムb5
62から構成されるキメラタンパク質を用い、図6に示
した光照射STMにより測定を行った。このキメラタン
パク質の合成法については、Biochemical and Biophysi
cal Research Communication 289, 299-304 (2001)を参
照されたい。このような複合分子系ではGFP分子の光
励起は蛍光には導かれず、分子内エネルギー移動の末に
チトクロム部位で光電流が生じるため、観測しているト
ンネル電流に変化を生じる。
【0055】光照射STMのプローブ先端をこのキメラ
タンパク質の自己組織化単分子膜上の一点に固定し、そ
の電流−電圧特性を測定して光励起電流の電圧依存性を
調べた。光源としては波長488nmのアルゴンレーザ
を用い、チョッパーのチョッピング周波数は200Hz
とした。ただし、従来型の光照射STMでも測定結果に
熱膨張の影響がでないように、アルゴンレーザの出力を
0.1mWに低く設定して測定した。また、トンネル電
流検出器23の出力は、ロックイン増幅器56を通さ
ず、波形表示装置57に直接入力するようにした。
【0056】図9から図11に、従来の光照射STMと
本発明の光照射STMによる測定結果を比較して示す。
図9は従来の光照射STMによる測定結果であり、図1
0は本発明の光照射STMによる測定結果である。ま
た、図11は、図9の一部とそれに対応する図10の一
部を拡大して重ねて表示した図である。図の横軸は電源
52から印加されるバイアス電圧、縦軸はトンネル電流
検出器23で検出されたトンネル電流及び参照信号であ
る。図に矩形波として示された参照信号は照射光のチョ
ッピングに対応し、参照信号がHIGHの状態は光が照射さ
れている状態、参照信号がLOWの状態は光が照射されて
いない状態に対応する。ここでは、測定を簡便に行うた
めに電源制御部55による電源52の電圧制御とチョッ
パー駆動部53によるチョッパー54の駆動、すなわち
照射光のオン・オフを同期させたため、各バイアス電圧
値が照射光のオンあるいはオフのいずれかと対応してい
る。
【0057】図9に示すように、従来の光照射STMの
トンネル電流測定値には光照射したことによる変化がほ
とんど見られない。一方、図10に示す本発明の光照射
STMによると、特にバイアス電圧が比較的大きな領域
で、トンネル電流測定値に照射光のオン・オフに同期し
た変化が見られる。図11に示した拡大図によると、従
来の光照射STMのトンネル電流測定値には参照信号と
の関連が見られないのに対し、本発明の光照射STMに
よるトンネル電流測定値は参照信号と強い関連を有して
変化している様子がはっきり見て取れる。このように、
本発明の光照射STMによると従来の光照射STMでは
分かりづらい、励起光のオン・オフに同期して電流が変
化する様を観察できた。
【0058】なお、図9に示した測定でも光電流が生じ
ていないわけではないことを確認するため、トンネル電
流検出器23の出力をロックイン増幅器56に入力し、
ロックイン信号の変化を調べた。図12は、その結果を
示す図である。図示するように、ロックイン信号は単な
る熱膨張を見ているだけの測定の場合には生じないバイ
アス電圧依存性を示した。このようにロックイン検波を
行うことで、従来の光照射STMを用いた測定において
も光電流が生じていることを確認した。このことは、従
来の光照射STMと本発明の光照射STMには、ロック
イン検波が必要か否かという程大きな感度の違いがある
ということを意味する。なお従来法の場合には主に探針
の熱膨張を避けるために励起光をチョッピングするが、
本発明の光照射STMではその必要性はほとんどない。
図でチョッピングしているのは単に光電流発生が生じて
いることを視覚的により明らかにするために行ったもの
である。
【0059】図13は、本発明による走査型プローブ顕
微鏡(光照射STM)の他の例を示す全体構成図であ
る。図13に示した走査型プローブ顕微鏡60は、図6
に示した走査型プローブ顕微鏡(光照射STM)に、図
1に示した蛍光測定機能を付加したものである。図13
において、図6、図1と同じ機能部分には図6、図1と
同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0060】図13に示した走査型プローブ顕微鏡60
は、図6に示した光照射STMと同様に、測定の際に光
ファイバープローブ11の先端を試料21上の測定点に
固定し、走査を行わない測定モードと、電源52の電圧
を一定に固定し、トンネル電流検出器23によって検出
されたトンネル電流が一定値となるようにZ駆動部14
をサーボ制御する測定モードの2種類の測定モードにお
いて使用することができる。この走査型プローブ顕微鏡
60によると、STM像の測定、SNOM像の測定、光
励起電流の測定に加えて、光照射によって試料に生じる
蛍光の測定と光電流の測定を組み合わせた測定が可能に
なる。
【0061】分子の光電流発生機構の解明には、分子内
のエネルギー変換効率を知ることが重要である。そのた
めには、例えばGFP分子の励起エネルギーのどの程度
が光励起電流発生に寄与しているかを知る必要がある。
そこで、例えばGFPとチトクロムが融合したタンパク
質とGFP単体の分子の混合膜を作り、それぞれの上で
のデータの比較をする。GFP単体の方は光電流発生が
ないが、その代わり強い蛍光が観測されるので、この強
度を100%とする。次に、光励起電流発生がある場所
での蛍光強度を測定し、前記100%の強度と比較す
る。この測定により、分子内エネルギー変換効率などの
見積もりが可能となる。得られる画像としては光励起電
流発生像と蛍光像で、それぞれの画像の明暗はお互いに
ポジネガの関係にあるようなものになる。光励起電流発
生像と蛍光像の関係は、両者の空間相関をとるなどの方
法で数値的に解析することもできる。
【0062】
【発明の効果】本発明によると、SNOMの感度が高
く、蛍光観察が可能なSNOM/STMを提供すること
ができる。また、本発明によると、熱膨張の影響をほと
んど受けずに高感度な測定が可能であり、蛍光と光電流
の同時測定が可能な光照射STMを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による走査型プローブ顕微鏡(SNOM
/STM複合装置)の一例を示す全体構成図。
【図2】本発明による走査型プローブ顕微鏡に用いられ
る光ファイバープローブの先端部の概略図。
【図3】光ファイバープローブ先端の電子顕微鏡像。
【図4】本発明による光ファイバープローブの先端部と
従来のSNOMプローブの先端部を比較して示した模式
図。
【図5】本発明の走査型プローブ顕微鏡によるSNOM
/STM同時測定の測定例を示す図。
【図6】本発明による走査型プローブ顕微鏡(光照射S
TM)の一例を示す全体構成図。
【図7】試料がないときの従来型光照射STMの測定結
果を示す図。
【図8】試料がないときの本発明による光照射STMの
測定結果を示す図。
【図9】従来型光照射STMの測定結果を示す図。
【図10】本発明による光照射STMの測定結果を示す
図。
【図11】図9の一部とそれに対応する図10の一部を
拡大して重ねて表示した図。
【図12】従来型光照射STMの出力をロックイン検波
した結果を示す図。
【図13】本発明による走査型プローブ顕微鏡(光照射
STM)の他の例を示す全体構成図。
【符号の説明】
10…走査型プローブ顕微鏡(SNOM/STM複合装
置)、11…光ファイバープローブ、12,13…XY
駆動部、14…Z駆動部、15…光源、16…光学フィ
ルタ、17…光検出器、18…光学フィルタ、19…走
査回路、20…画像表示装置、21…試料、22…電
源、23…トンネル電流検出器、24…サーボ回路、2
5…ダイクロイックミラー、31…コア、32…クラッ
ド、33…開口部、34…金属膜、35…ITO薄膜、
41…光ファイバー、42…被覆金属膜、43…光ファ
イバー、44…被覆金属膜、45…ITO薄膜、50…
走査型プローブ顕微鏡(光照射STM)、52…電源、
53…チョッパー駆動部、54…チョッパー、55…電
源制御部、56…ロックイン増幅器、57…波形表示装
置、60…走査型プローブ顕微鏡(光照射STM)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 正彦 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 藤田 大介 茨城県つくば市千現一丁目2番1号 独立 行政法人物質・材料研究機構内 Fターム(参考) 2F069 AA60 GG06 GG07 GG62 HH30 JJ08 LL03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走査型プローブ顕微鏡に用いられる光フ
    ァイバープローブにおいて、円錐状に突出した先端部を
    有する光ファイバーと、前記先端部の最先端領域以外の
    領域からの光入出射を防止する遮光膜と、前記最先端領
    域に被覆されたITO薄膜とを備えることを特徴とする
    光ファイバープローブ。
  2. 【請求項2】 円錐状に突出した先端部を有する光ファ
    イバー、前記先端部の最先端領域以外の領域からの光入
    出射を防止する遮光膜、及び前記最先端領域に被覆され
    たITO薄膜を備える光ファイバープローブと、 光源と、 前記光源からの光を前記光ファイバープローブの前記最
    先端領域から出射させるための手段と、 前記光ファイバープローブの前記最先端領域から入射し
    た光を検出するための光検出器と、 前記光ファイバープローブを当該光ファイバープローブ
    からの出射光の光軸方向に駆動するための第1の駆動手
    段と、 前記光ファイバープローブを前記光軸方向と交差する2
    方向に駆動するための第2の駆動手段と、 前記第2の駆動手段に前記光ファイバープローブを前記
    光軸と交差する方向に2次元走査するための走査信号を
    出力する走査制御手段と、 前記光ファイバープローブと試料との間に電圧を印加す
    るための電源と、 前記光ファイバープローブと試料との間に流れるトンネ
    ル電流が一定値となるように前記第1の駆動手段をサー
    ボ制御するサーボ手段と、 前記光検出器の出力と前記走査制御手段からの走査信号
    が入力される画像表示手段と、を備えることを特徴とす
    る走査型プローブ顕微鏡。
  3. 【請求項3】 円錐状に突出した先端部を有する光ファ
    イバー、前記先端部の最先端領域以外の領域からの光入
    出射を防止する遮光膜、及び前記最先端領域に被覆され
    たITO薄膜を備える光ファイバープローブと、 光源と、 前記光源からの光を強度変調する変調手段と、 前記強度変調された光を前記光ファイバープローブの前
    記最先端領域から出射させるための手段と、 前記光ファイバープローブと試料との間に電圧を印加す
    るための電源と、 前記光ファイバープローブと試料との間に流れるトンネ
    ル電流を検出するトンネル電流検出器と、 試料への光照射によって生じる前記トンネル電流検出器
    の出力変化を検出するトンネル電流変化検出手段と、 前記トンネル電流変化検出手段によって検出された変化
    を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする走査
    型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の走査型プローブ顕微鏡に
    おいて、 前記光ファイバープローブを当該光ファイバープローブ
    からの出射光の光軸方向に駆動するための第1の駆動手
    段と、 前記光ファイバープローブを前記光軸方向と交差する2
    方向に駆動するための第2の駆動手段と、 前記第2の駆動手段に前記光ファイバープローブを前記
    光軸と交差する方向に2次元走査するための走査信号を
    出力する走査制御手段と、 前記光ファイバープローブと試料との間に流れるトンネ
    ル電流のうち前記変調手段の変調周波数より低い周波数
    成分が一定値となるように前記第1の駆動手段をサーボ
    制御するサーボ手段と、 前記トンネル電流変化検出手段の出力と前記走査制御手
    段からの走査信号が入力される画像表示手段とを備える
    ことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 円錐状に突出した先端部を有する光ファ
    イバー、前記先端部の最先端領域以外の領域からの光入
    出射を防止する遮光膜、及び前記最先端領域に被覆され
    たITO薄膜を備える光ファイバープローブと、 光源と、 前記光源からの光を強度変調する変調手段と、 前記強度変調された光を前記光ファイバープローブの前
    記最先端領域から出射させるための手段と、 前記光ファイバープローブの前記最先端領域から入射し
    た光を検出するための光検出器と、 前記光ファイバープローブと試料との間に電圧を印加す
    るための電源と、 前記光ファイバープローブと試料との間に流れるトンネ
    ル電流を検出するトンネル電流検出器と、 試料への光照射によって生じる前記トンネル電流検出器
    の出力変化を検出するトンネル電流変化検出手段と、 前記光検出器の出力及び前記トンネル電流変化検出手段
    によって検出された変化を表示する表示手段と、を備え
    ることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の走査型プローブ顕微鏡に
    おいて、 前記光ファイバープローブを当該光ファイバープローブ
    からの出射光の光軸方向に駆動するための第1の駆動手
    段と、 前記光ファイバープローブを前記光軸方向と交差する2
    方向に駆動するための第2の駆動手段と、 前記第2の駆動手段に前記光ファイバープローブを前記
    光軸と交差する方向に2次元走査するための走査信号を
    出力する走査制御手段と、 前記光ファイバープローブと試料との間に流れるトンネ
    ル電流のうち前記変調手段の変調周波数より低い周波数
    成分が一定値となるように前記第1の駆動手段をサーボ
    制御するサーボ手段とを備えることを特徴とする走査型
    プローブ顕微鏡。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6のいずれか1項記載の走査
    型プローブ顕微鏡において、前記トンネル電流変化検出
    手段は、ロックイン増幅器であることを特徴とする走査
    型プローブ顕微鏡。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006029831A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Ricoh Co Ltd 光ファイバプローブ、光検出装置、及び光検出方法
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JP2012088283A (ja) * 2010-10-22 2012-05-10 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> プローブ型光測定装置および光測定方法
WO2012145883A1 (zh) * 2011-04-23 2012-11-01 Fu Defu 一种发光采集装置

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