JP2003207283A - 溶融金属の攪拌方法及び攪拌装置 - Google Patents

溶融金属の攪拌方法及び攪拌装置

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JP2003207283A
JP2003207283A JP2002005426A JP2002005426A JP2003207283A JP 2003207283 A JP2003207283 A JP 2003207283A JP 2002005426 A JP2002005426 A JP 2002005426A JP 2002005426 A JP2002005426 A JP 2002005426A JP 2003207283 A JP2003207283 A JP 2003207283A
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molten metal
rotating magnetic
field device
coil
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JP2002005426A
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Katsuhiko Yamada
勝彦 山田
Toushi Shibata
闘志 柴田
Shiyuuichiro Sekimoto
収一郎 関本
Katsuhiro Kumazuki
克浩 熊懐
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱酸、脱硫、脱非金属介在物、脱ガス、
還元等の溶融金属のレードル精錬において低コストで反
応速度を上げるため、溶融金属の効果的な攪拌方法及び
攪拌装置を提供する。 【解決手段】 螺旋回転磁界発生装置10を円筒状のレ
ードル1の中心軸Cと同軸に配置することによりレード
ル内の溶融金属に下向き又は上向きの螺旋流8を誘導
し、レードル内の外縁部と芯部が上下逆方向の容器全体
の循環流9を形成させる。循環により下層の未反応領域
から上層の反応領域へ効果的に物質移動が促進される。
螺旋回転磁界は構成要素の鉄心とコイルの幾何的関係を
直交状態から中心軸に対して傾斜させることにより得ら
れ、回転力の一部が軸方向推力に分配される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融金属の精錬に強
く影響を与える溶融金属の攪拌方法とその具体的な攪拌
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶鋼の酸化、還元、脱ガス、脱非金属介
在物等の精錬において溶鋼とスラグの攪拌は反応促進の
重要なキーとなっている。溶解炉において粗精錬された
溶鋼はレードルに移されスラグレス又は適切なスラグの
もとで攪拌装置、脱ガス装置、加熱装置などを駆使して
製品仕様及び次の鋳造工程に適合するよう、(1)溶鋼
成分、温度の均一化と的中、(2)脱酸、脱硫、脱非金
属介在物、脱炭、脱ガス等の溶鋼の清浄化、(3)スラ
グ中の有用成分の還元回収等の仕上精錬がなされてい
る。
【0003】製品品質は主に精錬内容とその水準に、精
錬コストは精錬内容と精錬速度に強く関わっている。速
度が小さいと結果的に再加熱の必要や耐火物の消耗など
によりコスト増になる。どの精錬方法においても溶鋼、
スラグ及び精錬媒体ガスの攪拌は精錬速度に大きな影響
力を持つ。
【0004】精錬速度に影響する攪拌の目安として、通
常攪拌エネルギー密度即ち溶鋼単位質量当たりの動力E
(W/トン)が使用される。
【0005】一方精錬能率の主体をなす反応速度は次式
に示される反応速度係数k(1/分)が使用される。 (C−Ce)/(Co−Ce)=exp(−k×t) C;濃度 Ce;平衡濃度 Co;初期濃度 t;
時間(分) 上記特性値Eとkを基に種々の攪拌方法の先行事例を比
較、検討する。
【0006】事例(1) 特公平1−46563号公報及び文献1には以下の内容
が開示されている。レードル上方の雰囲気圧を30〜1
50torrに減圧しつつ容器底部より溶鋼内にガスを
吹き込むことにより溶鋼上層部が強力に攪拌される。レ
ードル容量が小さい故にその攪拌エネルギー密度Eは
0.2(kW/トン)、脱酸速度係数kは0.4(1/
分)に達すると文献1に示され数分で精錬が完了するほ
ど早い。
【0007】欠点として、減圧下のガス・バブリング
は、原理上溶鋼上層部の攪拌は強烈であるが下層部では
限られた量の吹き込みガスの膨張・浮上による攪拌だけ
であるから極めて弱くこれが反応律速になっている。従
って小容量レードルでは成功しても大容量レードルには
不都合という問題がある。 文献1; The Institute of Metals; 3rd Internation
al Conference on CleanSteel,1985,June,P.250
【0008】事例(2) 特開平7−179927号公報には、上記方法におい
て、上記問題解決のため吹込みガス量、雰囲気圧などの
処理条件を適正化する方法が提示されている。本方法に
より改善はなされるが大容量レードルにおける反応速度
の不足は否めない。
【0009】事例(3) ASEA JOURNAL4,1971に溶鋼の誘導攪
拌について各種の方法が詳細に述べられている。移動磁
界装置を円筒状のレードルの側面に配置して溶鋼を壁面
に沿って上方または下方に流動させる型式、レードル外
周に移動磁界コイルを同軸に配置してレードル壁面全周
に沿って上昇流を与える型式、同様にソレノイド型単相
コイルにより溶鋼にピンチ力を作用させて攪拌する型式
など示されている。いずれの方法においても平均攪拌エ
ネルギー密度Eは0.1(kW/トン)程度は得られそ
うで、反応は促進される。
【0010】問題の一つはスラグは直接攪拌されない上
に溶鋼とスラグ間の接触は層流的であるので両相間の反
応は強くない。第2の問題は低周波による穏やかな且つ
不定形な流れであるからスラグによって処理された溶鋼
と未処理溶鋼が漫然と混合し、精錬反応は漸減的にな
る。脱酸速度係数kは通常0.1〜0.2(1/分)程
度と推定される。従って脱酸、脱硫、脱非金属介在物等
スラグによる精錬が主体をなす場合には精錬時間の短縮
はあまり期待できず再加熱の必要性が生ずる。その結果
スラグによる耐火物の溶蝕と言う問題も生ずる。
【0011】事例(4) いわゆるASEA−SKF法と称しレードルに上記誘導
攪拌装置、真空脱ガス装置及びアーク再加熱装置を付設
して高度精錬を行う方法がある。上記同等のEとkの値
が得られる。
【0012】この場合、長時間の精錬に耐えるためレー
ドル壁面のスラグ・レベルには塩基性高級耐火物が使用
される。当該耐火物は熱伝導、熱容量とも大きく溶鋼の
熱損を招き再加熱負荷を大きくする。これが耐火物の溶
蝕を助長させる。高度の品質が得られるが設備費の他、
精錬時間、電力、電極棒、耐火物などコスト上の問題が
大きい。
【0013】事例(5) 特開平11−335719号公報には、円筒状のタンデ
ィシュの中の溶鋼を水平回転磁界により遠心攪拌しつつ
ガス吹込み条件を特定して微細気泡を分散させ、非金属
介在物の浮上分離を促進させる方法が提示されている。
【0014】気泡分散に対して攪拌が効果的に利用され
ているが、問題は、遠心攪拌は意外に混合性が大きくな
い。即ち均一化時間が小さくないので多くの精錬反応で
は必ずしも効果的ではない。また精錬作用が気泡による
非金属介在物の吸着と分離にとどまり、単機能故に他の
精錬効果を求めることには無理がある。
【0015】以上の問題点をまとめると、反応速度に対
しては攪拌エネルギー密度が強く作用するとともに攪拌
流の様態も影響する。従来の各種の攪拌方法では前者に
対してはその量が不足であり後者に対しても問題があ
る。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明はレードル精錬
工程における上記問題点を解決するため、溶融金属の効
果的な誘導攪拌と減圧下のガス・バブリングとの相乗効
果により溶融金属−スラグ−ガス−疑似真空間の反応を
促進して多様な精錬を高効率即ち短時間で且つ低コスト
で実施できる溶融金属の攪拌方法及び溶融金属の攪拌装
置を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
反応速度のキーとなっている攪拌エネルギー密度を再検
討し二つの指針を得た。一つは、公知の攪拌エネルギー
密度Eと反応速度係数kとの経験的関係式は必ずしも反
応速度の限界を規定するものではない。律速過程が存在
し、反応領域へのマクロ物質移動にあるらしい。与えた
攪拌エネルギーはこの物質移動に対して効果的に作用し
ていない。
【0018】もう一つの指針は、従来の種々の攪拌方法
では容器の中で回分式に処理され一見規則的攪拌に見え
ても反応進行部、既反応部、未反応部の三者が漫然と混
合するので効率的な反応進行ではない。即ち上記2点か
ら攪拌の様態次第で反応高速化の可能性があることに気
づき、実験によりこの仮説がほぼ立証できたので以下の
発明を構成した。
【0019】本発明の第1は、回転磁界内に円筒状の冶
金容器を同軸に配置して、該冶金容器内に収容されてい
る溶融金属を攪拌する方法において、該回転磁界の磁極
面が中心軸に対称で且つ中心軸方向に沿って捻れるよう
に傾斜させて構成することにより誘導される接線方向電
磁力の一部を軸方向に分配させて螺旋回転磁界となした
ことを特徴とする溶融金属の攪拌方法である。
【0020】第2の発明は、誘導電動機固定子と同じ原
理を持つ回転磁界装置と、該回転磁界装置を外周に同軸
に配置し、溶融金属を収容する円筒状の冶金容器とから
なる溶融金属の攪拌装置であって、前記回転磁界装置
は、環状鉄心と該環状鉄心に電磁的に交叉して巻かれた
電磁コイルとからなり、該電磁コイルをはめ込むための
該環状鉄心の内面に形成されたコイル溝の方向が、回転
中心軸と平行の状態から該中心軸の周りに捻るように傾
斜した螺旋回転磁界装置であることを特徴とする溶融金
属の攪拌装置である。
【0021】第3の発明は、第2の発明においてコイル
溝間にヨークを取付け、該ヨークがコイル溝と平行に形
成したことを特徴とする溶融金属の攪拌装置である。
【0022】第4の発明は、誘導電動機固定子と同じ原
理を持つ回転磁界装置と、該回転磁界装置を外周に同軸
に配置し、溶融金属を収容する円筒状の冶金容器とから
なる溶融金属の攪拌装置であって、前記回転磁界装置
は、環状鉄心と該環状鉄心に鎖交して巻かれた電磁コイ
ルとからなり、該電磁コイルは該環状鉄心と直交の状態
から円周方向に傾斜した螺旋回転磁界装置であることを
特徴とする溶融金属の攪拌装置である。
【0023】第5の発明は、第3及び第4の発明におい
て、コイルとコイルの結線は一体であるが、環状鉄心が
回転軸対称に2等分され、それぞれの半割回転磁界装置
の分割面を互いに離反又は接触可能としたことを特徴と
する溶融金属の攪拌装置である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に従って説明
する。図1は第1の発明に適用される攪拌装置を例示す
る概略側面図である。図2は第2発明の攪拌装置の要部
である螺旋回転磁界装置の構造の特徴を示す概略図であ
る。
【0025】非磁性鋼板の外皮に耐火物2で内張りされ
た円筒状の冶金容器1を竪置きし、溶融金属3を保持す
る。該容器1の外周に該容器中心軸Cと同軸に電磁攪拌
装置4が配置される。
【0026】該電磁攪拌装置4の要部をなす回転磁界装
置10はそれを冷却し、保持し、保護するケースに収納
されている。該回転磁界装置10は通常の誘導電動機の
固定子の構造と同様に、図2に示すようにリング状の積
層鉄心11と電磁コイル12からなっているが、該コイ
ル12をはめ込む多数のコイル溝13の構造は固定子と
は異なる。
【0027】即ち該溝13の方向は鉄心11の中心軸C
と平行ではなく鉄心11の内面に沿って少し傾斜してお
り、従って少し螺旋状になっていて、あたかも固定子を
鉄心厚さ方向に沿って中心軸の周りに捻ったような構造
になっている。
【0028】該コイル12は3相低周波交流により回転
磁界を形成するよう結線され配置される。溝13の傾斜
によって極間を通る磁束は捻れ、傾斜に対応した電磁力
を作用させることができる。
【0029】該回転磁界装置10の作動により該溶融金
属3は誘導攪拌される。その流れは回転磁界による円周
接線方向推力5と鉄心溝の傾斜に起因する軸方向の推力
6の合成された傾斜接線推力7により容器壁面に沿う螺
旋流8が発生する。当然傾斜角αの大きさに従って推力
の比率は異なる。
【0030】軸方向推力が下向きの場合、該溶融金属3
は該容器1の壁面に沿って螺旋下降し、底面に達して、
底面中央部から上昇する。上層部では順次周辺に引き寄
せられ容器内全体の循環流9が形成される。該循環流9
は必ずしも定型的、安定的ではないが、加えられた攪拌
エネルギーは局所的混合にあまり浪費されず、溶融金属
各部は該循環流9により主たる反応領域である上層部に
効果的に移動する。
【0031】以上容器壁面に沿う螺旋流8は反応促進の
ための物質移動に効果的であることを示したが、螺旋流
を発生させる手段は図2のほか種々考え得る。図3は他
の例であり、第3の発明の攪拌装置の概略平面図であ
る。図3に示すように螺旋回転磁界装置は6角環状鉄心
14と6本のヨーク16とコイル15とで形成すること
ができる。当然ヨークは図中に示すように円周方向に沿
って傾斜させる。図3の構造は図2の構造において電磁
的には各溝間にヨークを付設したのと全く同等と見なす
ことができる。
【0032】図4は第4、第5の発明の攪拌装置の概略
平面図である。図に示すように、周知の環状鉄心・鎖交
コイル方式の回転磁界装置も本発明に応用することがで
きる。第2、第3発明と同様の原理に従い、環状鉄心2
1に鎖交して巻かれるコイル22は、図4のB矢視面に
示すように、鉄心21と直交の状態から円周方向に傾斜
させることにより誘導される接線方向電磁力の一部を軸
方向に分配させて螺旋回転磁界装置とすることができ
る。
【0033】図3及び図4に示した構造の回転磁界装置
は、図4に示すようにコイルとその結線は電気的には一
体のままであるが、環状鉄心を回転軸対称に2等分する
ことができる。それぞれの半割回転磁界装置23の分割
面24を互いに離反又は接触可能とすると両部分の開閉
によって冶金容器への着脱が容易になる。
【0034】螺旋回転磁界の回転数は溶鋼外周面での周
速が0.5〜20m/分となるよう設定するのが望まし
い。その理由は1)定性的には誘導される導体即ち溶融
金属と移動磁界の相対速度が小さいと誘導電磁力は小さ
く、逆に大きいと表皮効果により鉄皮や溶融金属の表皮
部で誘導加熱として消費され電磁力が小さくなるからで
あり、2)定量的には円運動による加速性を考慮して経
験的に知られる適正相対速度を若干越える値とした。
【0035】発生する渦流の回転数は10〜60rpm
とするのが望ましい。その理由は以下である。渦表面の
形状は放物面になる。陥没の深さは強制渦の方程式より
容器内径と回転数の積の二乗に比例する。渦は溶融金属
の表面を覆っているスラグを向心させ耐火物壁面から離
反させる。離反により耐火物の溶損は抑制される。10
rpm以下では大型レードルにおいても陥没深さが0.
2m以下となり、スラグの向心力も弱くスラグが壁面耐
火物から離反しない。60rpm以上では小型レードル
でも渦深さは1mを越え、危険性が増す。
【0036】傾斜角αは90°では従来の水平回転磁界
であるから効果的な物質移動は起こりにくい。αが小さ
いと回転に対する推進の割合が過剰になり安定した局所
混合状態が誘発され安定した循環流が得られにくくな
る。定量解析は未解明ではあるが実験的には80〜85
°程度が良い。
【0037】適切な螺旋流は精錬反応に極めて有効であ
ることを次に説明する。透明円筒容器と回転攪拌翼を用
いた水モデルによって流れと混合の状況を観察した。単
純渦流の場合、インキを渦のどの部分に滴下しても同心
円状に拡散するが意外に均一化が遅い。
【0038】容器内面に部分的に螺旋案内翼を取り付け
ると回転方向に依存して容易に上昇または下降の螺旋流
が得られた。そして容器内の芯部と外縁部が上下逆方向
の比較的安定・規則的な循環流が観察された。この場合
インキや懸濁物は急速に均一化した。第1の発明はこの
事実をもとに構成された。
【0039】円筒内の単純渦流に底部よりガス吹込みを
加えると回転と上昇の両作用の合成により螺旋流の発生
が認められ、芯部は上昇、外縁部は下降の循環流が得ら
れた。同時に不安定だが状況により含気泡トルネードの
発生も見られた。
【0040】螺旋案内翼により下向き螺旋攪拌しつつ円
筒底部よりガス吹込みを加えると含気泡トルネードと循
環流が安定的に持続した。
【0041】次に液面上方を減圧して行くと、液面は急
速に上昇し沸騰状から発泡状に変化して気相/液相/泡
のそれぞれの境界面が不明瞭になり攪乱の激しさととも
にトルネードと循環流が維持されることが観察された。
【0042】以上から溶融金属においても螺旋回転攪拌
による循環流と減圧下のガス・バブリングの相互作用は
トルネード流の発生と強化を通して容器内の未反応領域
である下層部部分を主たる反応領域である上層部に強力
且つ連続的、効率的に移送することが確信を持って推測
できた。
【0043】実際の溶鋼においても、ガス吹き込みによ
り沸騰状態にある溶鋼、スラグ表面は真空ポンプの作動
により、雰囲気圧が低下すると様相が一変し液面は発泡
状になる。そこでは猛烈な攪乱によって気泡−スラグ−
溶鋼−疑似真空の4相混合域が形成される。
【0044】精錬処理条件に従い、該混合域で脱酸、脱
硫、脱非金属介在物、脱ガス、還元などの諸反応が急速
に進行する。公知のように、スラグレスであれば脱ガ
ス、非酸化性塩基性スラグであれば脱酸・脱硫、酸性ス
ラグであれば脱非金属介在物、還元性スラグであれば有
用金属酸化物の還元回収等の精錬が効果的に進む。
【0045】次に攪拌エネルギーについて検討する。吹
き込まれた精錬用ガスは気泡を形成するとともに直ちに
昇温・膨張して最初の攪拌動エネルギーが発生する。次
に気泡の上昇と緩やかな膨張による第2の攪拌エネルギ
ー、液面直下に接近すると気泡外圧(=溶鋼静圧+雰囲
気圧)の急減による急膨張で第3の攪拌エネルギーが発
生する。
【0046】各種反応自体は既述のように大部分は発泡
・攪乱状態にある上層部の気泡−スラグ−溶鋼−疑似真
空の4相混合域で進行し、且つ周知のように反応自体の
速度は極めて大きい。これは充分な量である第3の攪拌
エネルギーからもたらされる。一方種々のプロセスにお
いて攪拌エネルギーの増加につれ全体の反応速度が増加
するという事実は反応領域への物質移動が律速となって
いることを示唆している。
【0047】先行事例(2)に説明されているように単
なる減圧下のガス・バブリングでは通常第3の攪拌エネ
ルギー量に対して第1、第2の攪拌エネルギー量は充分
ではない。本発明の螺旋回転磁界装置は上記第1,第2
の攪拌エネルギーを補強するものである。
【0048】攪拌エネルギーの量とともに攪拌エネルギ
ーの作用のあり方も重要である。即ち混合域以外に与え
た攪拌エネルギーが主に当該物質移動に消費されるのが
望ましい。そのためには攪拌エネルギーが局所攪乱には
消費されず、大きな安定的循環流が形成されことが必要
である。本発明は攪拌エネルギーの強化だけではなく、
加えた攪拌エネルギーが循環流の形成を通して物質移動
に効果的に作用するメカニズムを具体化したものでもあ
る。
【0049】
【実施例】高炭素鋼を対象に容量30トンの同一レード
ルを使用し、脱酸速度係数について事例(1)の方法と
本発明の方法を比較した。数10チャージの比較例の処
理条件と結果は、溶解炉からの受鋼時の温度は1570
〜1590℃、非酸化性の塩基性スラグを未脱酸溶鋼に
上置し、溶解酸素量は65〜85ppm、雰囲気圧力は
約14〜21kPa、Arガスの吹き込み量は150〜
200Nリットル/分、処理時間は3〜9分。精錬終了
時の溶解酸素量は18〜32ppm、溶鋼温度は153
5から1540℃、脱酸速度係数kは平均0.36(1
/分)となった。
【0050】上記と同様の条件において本発明の下向き
螺旋回転攪拌を適用した。入力160kVA、周波数1
Hzの2極回転磁界をレードルの下1/3の領域に作用
させた。電磁力の正確な計算ないし実測が困難なため磁
束密度分布測定値と磁界移動速度から概算して攪拌エネ
ルギー密度は約0.2kW/トンと推測した。処理時間
は2.5から6.0分、終了時の溶解酸素量は13〜2
4ppmm、溶鋼温度は1540から1550℃、脱酸
速度係数kは約0.5〜0.7となり、精錬能率の向上
が確認された。脱酸速度係数の増加によって脱酸のみな
らず、脱硫その他の精錬についても能率向上の基盤が確
立された。
【0051】
【発明の効果】本発明の攪拌方法によれば、円筒状容器
内の溶融金属に円筒内面に沿う螺旋状の電磁誘導攪拌流
を生じさせるので底部の非反応領域から上層の反応領域
への物質移動を促進させ、精錬諸反応を促進させる。特
に本発明の方法を減圧下のガス・バブリングに適用する
なら、その相互作用により含気泡トルネード流を伴う循
環流が形成され、該循環流と上層のガス−スラグ−溶融
金属−疑似真空間の強烈な接触反応領域とが相乗的に作
用して一層精錬諸反応を促進させる。その結果、反応水
準は容易に平衡状態まで接近し、且つ短時間で精錬が完
了するので再加熱の工程も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明に適用される精錬装置を例示する概
略側面図。
【図2】第2の発明の攪拌装置の要部である螺旋回転磁
界装置の概略図。
【図3】第3の発明の攪拌装置の要部である螺旋回転磁
界装置の概略平面図。
【図4】第4,第5の発明の攪拌装置の要部である螺旋
回転磁界装置の概略平面図。
【符号の説明】
1:冶金容器 2:耐火物 3:溶融金属 C:
中心軸 4:電磁攪拌装置 5:接線方向推力 6:軸方向
推力 7:傾斜接線方向推力 α:傾斜角 8:
螺旋流 9:循環流 10:回転磁界装置 11:積層鉄心 12:電磁コイル 13:コイル
溝 14:角環状鉄心 15:コイル 16:ヨ
ーク 21:環状鉄心 22:コイル 23:半割回転磁界装置 24:分割面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関本 収一郎 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 熊懐 克浩 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 4K056 AA05 AA06 BB07 CA01 CA02 EA13

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転磁界内に円筒状の冶金容器を同軸に
    配置して、該冶金容器内に収容されている溶融金属を攪
    拌する方法において、該回転磁界の磁極面が中心軸に対
    称で且つ中心軸方向に沿って捻れるように傾斜させて構
    成することにより誘導される接線方向電磁力の一部を軸
    方向に分配させて螺旋回転磁界となしたことを特徴とす
    る溶融金属の攪拌方法。
  2. 【請求項2】 誘導電動機固定子と同じ原理を持つ回転
    磁界装置と、該回転磁界装置を外周に同軸に配置し、溶
    融金属を収容する円筒状の冶金容器とからなる溶融金属
    の攪拌装置であって、前記回転磁界装置は、環状鉄心と
    該環状鉄心に電磁的に交叉して巻かれた電磁コイルとか
    らなり、該電磁コイルをはめ込むための該環状鉄心の内
    面に形成されたコイル溝の方向が、回転中心軸と平行の
    状態から該中心軸の周りに捻るように傾斜した螺旋回転
    磁界装置であることを特徴とする溶融金属の攪拌装置。
  3. 【請求項3】 コイル溝間にヨークを取付け、該ヨーク
    がコイル溝と平行に形成したことを特徴とする請求項2
    に記載の溶融金属の攪拌装置。
  4. 【請求項4】 誘導電動機固定子と同じ原理を持つ回転
    磁界装置と、該回転磁界装置を外周に同軸に配置し、溶
    融金属を収容する円筒状の冶金容器とからなる溶融金属
    の攪拌装置であって、前記回転磁界装置は、環状鉄心と
    該環状鉄心に鎖交して巻かれた電磁コイルとからなり、
    該電磁コイルは該環状鉄心と直交の状態から円周方向に
    傾斜した螺旋回転磁界装置であることを特徴とする溶融
    金属の攪拌装置。
  5. 【請求項5】 コイルとコイルの結線は一体であるが、
    環状鉄心が回転軸対称に2等分され、それぞれの半割回
    転磁界装置の分割面を互いに離反又は接触可能としたこ
    とを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の溶融金属
    の攪拌装置。
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