JP2003189893A - 抗酸化物質高生産細胞のスクリーニング方法 - Google Patents

抗酸化物質高生産細胞のスクリーニング方法

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cell
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fluorescent indicator
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Shiyunei Kakizono
俊英 柿薗
Atsushi Kakimoto
淳 垣本
Yutaka Nakashimada
豊 中島田
Naomichi Nishio
尚道 西尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗酸化物質高生産細胞を簡便かつ効率的にスク
リーニングする方法を提供する。 【解決手段】細胞群に対し突然変異処理を行った後、活
性酸素種により酸化されて蛍光を発する酸化還元蛍光指
示薬を作用させ、励起光照射し、細胞内の蛍光指示薬が
発する蛍光を光学的検出器を用いて検出し、蛍光強度が
相対的に低い細胞を分別機構を用いて分取する。 【効果】極めて低い頻度でしか出現しない抗酸化物質高
生産変異細胞であっても、効率的に選抜できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗酸化性物質生産微生物
の育種の方法に関し、さらに詳細には、抗酸化性物質を
多量に生産する細胞を効率よくスクリーニングする方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体内における活性酸素種は、生体防御
反応の重要な担い手である一方で、脂質、核酸、タンパ
ク質を標的としてさまざまな障害を引き起こすことが知
られている。この活性酸素種による障害や各種疾病を予
防する目的で、さまざまな抗酸化性物質が医薬品あるい
は食品として摂取されるようになってきた。抗酸化性物
質には、化学合成法によって人工的に作られたものや、
植物や動物中に多く見出され、抽出され利用されている
ものも数多く存在する。特に、ある種の微生物は、抗酸
化性物質を生体内で産生することが知られており、この
ことを利用して微生物の培養生産によるさまざまな抗酸
化性物質の大量生産法が開発され、医薬品をはじめ食
品、化粧品などの原料として利用されている。
【0003】微生物を利用してさまざまな有用物質生産
を行う場合、目的とする生産物をいかに多量に細胞内外
に産生し得るかがその生産性の良し悪しを決める重要な
ポイントとなる。このため、一般に目的生産物を多量に
産生しうる微生物の育種が行われている。
【0004】この育種には遺伝子操作、細胞融合などの
ほか、適当な変異原で微生物を処理することによって遺
伝子に変異を加え、目的とした表現型、例えば培養生産
物の生産量が増加するなど変化が見られた細胞を選択す
る方法が用いられている。数多くの変異処理を施した細
胞の中から目的とする細胞を見出し、その細胞のみを分
離分別する手段として、目的生産物の代謝経路を阻害す
る各種薬剤に対する感受性や生育環境(温度等)に対す
る感受性、コロニー(集落)の外観(形態、色調)など
に変化が生じた細胞を抽出し、これらの細胞が産生する
目的生産物量を実際に定量、確認することによって目的
の細胞を得るという、極めて煩雑かつ高コストで経済的
負担の大きな操作が必要となる。さらに、目的とする変
異細胞が出現する確率は、通常、百万分の1程度という
極めて低いオーダーであるため、目的細胞の育種又は選
抜を工業的に実施するためには大きな困難が伴う。
【0005】近年、数多くの細胞群の中から目的の細胞
を迅速に選択する方法として、目的細胞を適当な標識化
合物で標識する方法が開発され、臨床検査の領域で応用
されている。これは、目的細胞に特異的な細胞表層抗原
や細胞内特定物質に対する抗体に発色色素やフルオレッ
セインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光色素を結
合させて標識抗体を調製し、これを用いて標識抗体の結
合した発色細胞を選択する方法である。現在では既に知
られた種々の蛍光試薬などと組み合わせることにより、
細胞のサイズ、形態をはじめ細胞周期、酸化還元電位、
細胞内酵素活性など構造・機能が異なる細胞を選択する
ことが可能となっている。
【0006】しかしながら、この方法では特定物質を検
出するためにその物質ごとに特異的な抗体を必要とする
うえ、抗体の作成が困難な低分子化合物を産生する細胞
を選択することができないなどの問題点がある。以上の
ような現状から、抗酸化物質の高生産細胞を簡便に効率
よくスクリーニングする方法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主要な課題
は、前記のような状況を鑑み、抗酸化物質を多量に生産
する細胞を簡便かつ効率的にスクリーニングする方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するにあたり鋭意検討した結果、細胞内で活性酸素
種により酸化され蛍光を発する酸化還元蛍光指示薬を突
然変異処理後の細胞群に対し作用し、励起光照射によっ
て細胞内の蛍光指示薬が発する蛍光を光学的に検出し、
処理細胞群の中から蛍光強度が相対的に低い細胞を選択
する過程を踏むことによって、抗酸化性物質高生産細胞
を極めて効率的に分別分離する方法を見出し本発明に至
った。
【0009】本発明のスクリーニングは、突然変異処理
後の細胞に対して行う。突然変異処理を行う細胞として
は、酸化還元指示薬を細胞内に取りこめる細胞種であれ
ばいずれでも適用可能であり、所望の抗酸化性物質を生
産しうる細胞種の中から選択される。好ましくは、細菌
類、酵母類、藻類又は真菌類を用いる。例えば、ビタミ
ンE類の生産にはEuglena gracilis、β-カロテンの生
産にはDunaliella salinaやSpirulina pacifica、アス
タキサンチンの生産にはPhaffia rhodozyma、Haematoco
ccus pluvialis、Agrobacterium aurantiacum、Paracoc
cusmarcusii、Paracoccus carotinifaciens、コウジ酸
の生産にはAspergillus albus 、Aspergillus oryzae
、ドコサヘキサエン酸の生産にはSchizochytrium lima
cinum やThraustochytrium sp 、エイコサペンタエン酸
の生産にはShewanella putrefaciens、Mortierella alp
ina 、γ-リノレン酸の生産にはMortierella属糸状菌、
Cunninghamella elegansなどが好適に用いられる。
【0010】本発明でいう抗酸化性物質とは、いずれか
の活性酸素種を消去しうる物質の意であり、このような
性質を持つ物質はすべて含まれる。例えば、ビタミンE
類(α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコ
フェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノー
ル、γ-トコトリエノール)、L-アスコルビン酸類(L-
アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アス
コルビン酸ステアリン酸エステル、L-アスコルビン酸パ
ルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸配糖体)、カロ
チノイド類(α-,β-,γ-カロテン、リコピン、アス
タキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、β
-クリプトキサンチン、ルテイン)、不飽和脂肪酸類
(ドコサヘキサエン酸、ドコサペンタエン酸、エイコサ
ペンタエン酸、アラキドン酸、共役リノール酸、γ-リ
ノレン酸)、レチノール、レチノイン酸、補酵素Q10、
補酵素A、スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラー
ゼ、ペルオキシダーゼ、ポリフェノール類、カテキン類
化合物、アントシアニン、フラボノイド類化合物、タウ
リン、コウジ酸、没食子酸、コーヒー酸、フェルラ酸、
オイゲノール、γ-オリザノール、セサミン、セサモリ
ン、セサミノールやこれら化合物の誘導体が含まれる。
【0011】ここでいう活性酸素種とは、スーパーオキ
サイド(O2 -)、一重項酸素(1O2)、ヒドロキシラジカ
ル(・OH)、過酸化水素(H2O2)、ペルオキシラジカル
(ROO・)、ペルオキシド(ROOR')、アルコキシラジカ
ル(RO・)などを意味する。
【0012】抗酸化性物質高生産細胞とは、突然変異処
理を行う前と比較して抗酸化性物質を多量に生産する細
胞の意である。本発明の抗酸化性物質高生産細胞をスク
リーニングするにあたって行う突然変異処理は、特に制
限はなく、公知の方法を用いて行うことができる。例え
ば、物理的方法としては放射線(X線、ガンマー線、中
性子線、重イオン)照射や紫外線照射などの方法があ
る。また化学的方法としては、メタンスルホン酸エステ
ル、アクリフラビン、N−メチル−N'−ニトロ−N−
ニトロソグアニジン(NTG)、5−ブロモウラシル、ヒ
ドロキシルアミン、マイトマイシンC 等の抗生物質、6
−メルカプトプリン等の塩基合成阻害剤、プロフラビ
ン、アクリジン系色素等の色素類もしくはその誘導体、
4−ニトロキノリン−N −オキシド等の発がん剤、塩化
マンガン又はホルムアルデヒド等の変異剤を含む水溶液
に懸濁させて一定時間インキュベートする方法を挙げる
ことができ、これらの方法を単独または組み合わせて適
宜実施することができる。上記の手段の中でも、変異誘
発活性が著しく高いNTG処理が好ましい。
【0013】酸化還元蛍光指示薬を細胞内に取り込ませ
る処理は、変異処理後の細胞を適当なバッファーや培地
中などに懸濁し、そこに酸化還元蛍光指示薬を加えて一
定時間インキュベートすればよい。本発明に用いる酸化
還元蛍光指示薬は、細胞内に取り込まれた後に、細胞内
で活性酸素種の存在により酸化されて蛍光を発する蛍光
試薬であればいずれでも良い。その物質自体が酸化され
て発光するものや、細胞内で化学変化を起こし蛍光物質
前駆体となったのち酸化されて蛍光を発するものも含ま
れる。
【0014】例えば2',7'ージクロロジハイドロフルオレ
ッセインジアセテート(H2DCFDA)やジヒドロローダミ
ン123(DHR123)、ニトロブルーテトラゾリウム(NB
T)、ジヒドロエチジウムなどがその代表的なものであ
り、その他公知の酸化還元蛍光指示薬も使用可能であ
る。さらに、酸化還元蛍光指示薬を作用させる前に、目
的とする抗酸化性物質の生合成阻害剤を細胞に作用させ
ることが好ましい。すなわち、目的とする抗酸化性物質
の生合成阻害剤を作用させることにより、ジフェニルア
ミン等の蛍光感度向上剤を細胞に作用させることが好ま
しい。蛍光感度向上剤を作用させることにより、励起光
照射により発せられる蛍光強度を測定する際の抗酸化性
物質高生産細胞の検出感度を高めることができる。抗酸
化性物質の生合成阻害剤として、例えば、アスタキサン
チンの生合成阻害剤には、HMG-CoA還元酵素阻害剤であ
るコンパクチンに例示されるスタチン系阻害剤、ジフェ
ニルアミンに例示されるフィトエンデサチュラーゼ阻害
剤、リコピンシクラーゼ阻害剤、βカロテンハイドロキ
シラーゼ阻害剤又はβカロテンケトラーゼ阻害剤などが
使用できる。
【0015】前記のような処理を受けた細胞は、励起光
照射される。励起光の波長は、酸化還元蛍光指示薬を蛍
光発光させるのに特有の波長を使用する。特に、レーザ
ー光照射が好ましい。
【0016】本発明では、検出する光学的検出器として
フローサイトメーターを使用し、分別機構としてフロー
サイトメーターからの信号に対応して作動するセルソー
ターを使用することが好ましい。ここで、フローサイト
メーターは、細管中に細胞懸濁液を高速で流し、一方か
らレーザー光などを照射して前方散乱光、側方散乱光あ
るいは発せられた蛍光細胞から反射する光の強度、スペ
クトルあるいは蛍光などを測定して細胞を分別する自動
化装置であり、セルソーター機能を有するフローサイト
メーターを用いれば、指定した散乱光を発する特定の細
胞のみを分取することが可能である。フローサイトメー
ターのレーザー冷却方式は空冷、水冷のいずれでも良い
が、よりレーザー光のロスが少ない水冷方式を採用した
機器を用いることによって高い検出感度が得られる。こ
のような機器としては、ベクトンアンドディッキンソン
社製のFACS Vantageやベックマンコールター社製のALTR
A、サイトメーション社製のMoFloなどが代表的である。
【0017】セルソーター機能を有するフローサイトメ
ーターは、励起光照射により発せられる蛍光強度を測定
し、回収方法の如何に関わらず特定の細胞のみを選択的
に回収できるものであればいずれでも良く、市販されて
いるものが使用できる。
【0018】
【実施の態様】活性酸素種により酸化され蛍光を発する
酸化還元蛍光指示薬として2',7'ージクロロジハイドロフ
ルオレッセインジアセテート(H2DCFDA)を使用する場
合を例にとって説明する。
【0019】まず、細胞群にN−メチル−N'−ニトロ
−N−ニトロソグアニジンによる突然変異処理を行い、
次いで、酸化還元蛍光指示薬としてH2DCFDAを作用させ
る。H 2DCFDAは細胞内に取り込まれた後に、細胞内エス
テラーゼにより脱アセチル化され、2',7'-ジクロロハイ
ドロフルオレッシン(H2DCF)に変換され、細胞内に保
持される。H2DCFは活性酸素種により酸化されると、488
nmの励起光の照射により530nmの蛍光を発する物質であ
るDCFに変換される。DCFの蛍光は530nmのバンドパスフ
ィルターを通して感度良く検出することができる。
【0020】一方、細胞内に活性酸素種を消去する抗酸
化性物質が多量に存在する場合、H2DCFからDCFへの変換
は抑えられるため、励起光照射により発せられる蛍光強
度は低下する。すなわち、488nmの励起光を細胞に照射
し、発せられる蛍光の強度を530nmのバンドパスフィル
ターを装着した検出器で光学的に検出することによっ
て、細胞内の抗酸化性物質の含有量の増減を知ることが
できる。このように、突然変異処理細胞群の中から発せ
られた蛍光強度が相対的に低下、あるいは突然変異処理
前に比べ低下した細胞を選択する過程を踏むことによっ
て、細胞内で抗酸化性物質を産生する細胞を効率的に分
別選択することが可能となる。
【0021】特に、検出する光学的検出器としてフロー
サイトメーターを使用し、分別機構がフローサイトメー
ターからの信号に対応して作動するセルソーターを使用
することができる。すなわち、発せられた蛍光強度の低
下した細胞をセルソーター機能を有するフローサイトメ
ーターを用いて分離することによって、細胞内に抗酸化
性物質を高濃度で蓄積した細胞を極めて自動的に分離回
収することが可能となる。
【0022】
【実施例】 以下、実施例により本発明を記述するが、
それらは例示のためであって、本発明はこれら実施例に
限定されるものではない。
【0023】実施例1H2DCFDAおよびセルソーター機能を有するフローサイト
メトリーを用いたジフェニルアミン耐性アスタキサンチ
ン高生産Phaffia rhodozymaのスクリーニング Phaffia rhodozymaのコンパクチン耐性株(C3.04株)を
親株として、50μg/mlN−メチル−N'−ニトロ−N−
ニトロソグアニジンを含む水溶液で30分変異処理を行っ
た。処理後の細胞を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄
したのち、10g/Lグルコース、3g/L酵母エキス、3g/L
麦芽エキス、5g/Lペプトンを含む水溶液(pH5.0)中で
一晩静置した。これを20g/Lグルコース、6.7g/L酵母
ニトロゲンベース(アミノ酸不含)(Difco社製)、10g
/L重フタル酸カリウムを含む培地に移した。次いで、7
5μM ジフェニルアミン(DPA)を添加し、20℃で、6日
間振盪培養(140rpm)した。各培養液にエタノール、グ
ルコースおよびH2DCFDAをそれぞれ2.5g/L、20g/L、50
μg/Lの濃度になるように添加し、30℃で1時間静置し
た。この培養液を、ベクトンアンドディッキンソン社製
FACS Calibur(フローサイトメーター)で分析を行っ
た。
【0024】全1×107個の細胞群における、細胞が発す
るDCF蛍光強度の違いによる細胞分布を図1に示す。図
1の分布において、ゲーティングゾーンに含まれる比較
的低蛍光強度の細胞群を採取した。その結果、全細胞1
×107個から84,000個の細胞が選抜された。
【0025】採取した細胞を、75μM DPA、20g/Lグ
ルコース、6.7g/L酵母ニトロゲンベース(アミノ酸不
含)(Difco社製)、10g/L重フタル酸カリウムからな
る2%寒天プレートに塗布し、20℃で、7日間培養し、プ
レート上に出現した赤色のコロニーのみを採取した結
果、184株が選抜された。採取した184株の変異株のうち
から、任意に選択した12株、変異処理を行わなかった耐
性株(C3.04株)及びPhaffia rhodozymaの野生株につい
て、アスタキサンチン含量を以下のように測定し、その
結果を表1に示した。
【0026】アスタキサンチン含量の測定 アスタキサンチン含量の測定は以下の方法により行っ
た。10mlの培養液を5,000×gで、10分間遠心分離した沈
渣を−80℃にて2時間置いた後、2.5M塩酸を2ml添加し10
0℃温浴中に2.5分間置いた。その後急冷したのち、5000
×gで、10分間遠心分離した。沈殿を蒸留水で2回洗浄
後、6mlのアセトンを添加し、4℃で1.5時間静置した。
等量の硫酸ナトリウム粉末を加えて水分を除去し、4℃
で30分置いた。5000×gで、10分間遠心分離し、その上
清の波長478nmでの吸光度を分光光度計を用いて測定
し、アスタキサンチン濃度を求めた。一方、0.45μmの
ニトロセルロースフィルターを用いて回収した細胞を、
90℃にて24時間かけて乾燥させることにより、細胞の乾
燥重量を求めた。
【0027】これらの測定値から、乾燥重量当たりの細
胞に含まれるアスタキサンチン含量を求めた。なお、評
価は、変異処理を行わなかった細胞(C3.04)のアスタ
キサンチン含量と比較して、変異処理細胞のアスタキサ
ンチン含量が2.0倍以上に増加したものをA、半分以下
に減少したものをC、その中間をBとした。
【0028】 表1 Phaffia rhodozyma株 アスタキサンチン含量(mg/g-cell) 評価 野生株 0.4 − C3.04 1.0 − DCF01 2.1 A DCF02 0.4 C DCF03 0.9 B DCF04 1.0 B DCF05 1.1 B DCF06 1.0 B DCF07 1.1 B DCF08 3.4 A DCF09 2.6 A DCF10 2.5 A DCF11 1.1 B DCF12 2.7 A
【0029】表1から、アスタキサンチン含量が2倍以
上に増加した変異株が5株見出された。すなわち、変異
処理した1×107個の細胞中からアスタキサンチンを多量
に産生する細胞5個が効率よく取得された。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、抗酸化物質を多
量に産生する抗酸化物質高生産細胞を極めて効率的に分
別分離することを可能にする。本発明の方法は、極めて
低い頻度でしか存在しない抗酸化物質高生産細胞であっ
ても、効率的に選抜することができ、当該目的細胞の採
取の工業的実施を容易にする。本発明の方法又はこれに
よって得られた抗酸化物質高生産細胞は、抗酸化物質の
工業的製造に有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】細胞が発するDCF蛍光強度の違いによる細胞
分布。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/48 G01N 33/48 M 33/483 33/483 C Fターム(参考) 2G045 BB04 BB10 BB46 BB48 BB50 CB01 FA29 FB12 GC10 GC15 2G054 AA08 CE02 EA03 EA04 FA08 GA04 4B063 QA17 QA18 QQ07 QQ91 QR66 QS36 QX02 4B065 AA72X AC20 BA18 BD50 CA44 CA60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性酸素種により酸化され蛍光を発する
    酸化還元蛍光指示薬を突然変異処理後の細胞群に対し作
    用させ、励起光照射し、細胞内の蛍光指示薬が発する蛍
    光を光学的検出器を用いて検出し、前記細胞群の中から
    蛍光強度が相対的に低い細胞を分別機構により分取する
    過程を含む抗酸化物質高生産細胞のスクリーニング方
    法。
  2. 【請求項2】 光学的検出器がフローサイトメーターで
    あり、分別機構がフローサイトメーターからの信号に対
    応して作動するセルソーターであることを特徴とする請
    求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 【請求項3】 酸化還元蛍光指示薬が、ジクロロジハイ
    ドロフルオレッセインジアセテート(H2DCFDA)である
    請求項1記載のスクリーニング方法。
  4. 【請求項4】 分取する細胞が、抗酸化物質としてアス
    タキサンチンを多量に生産する細胞である請求項1記載
    のスクリーニング方法。
  5. 【請求項5】 分取する細胞が、藻類、細菌類、酵母類
    のいずれかである請求項1記載のスクリーニング方法。
  6. 【請求項6】 分取する細胞がPhaffia rhodozyma属に
    属する請求項1記載のスクリーニング方法。
  7. 【請求項7】 請求項1によって得られた抗酸化物質高
    生産細胞。
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