JP2003183161A - 骨粗鬆症の予防治療剤 - Google Patents

骨粗鬆症の予防治療剤

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JP2003183161A
JP2003183161A JP2001389363A JP2001389363A JP2003183161A JP 2003183161 A JP2003183161 A JP 2003183161A JP 2001389363 A JP2001389363 A JP 2001389363A JP 2001389363 A JP2001389363 A JP 2001389363A JP 2003183161 A JP2003183161 A JP 2003183161A
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mdl
cells
mazindrin
osteoporosis
interleukin
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Application number
JP2001389363A
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Inventor
Satoshi Omura
智 大村
Hiroki Komiyama
寛機 小宮山
Masahiko Hayashi
正彦 林
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Kitasato Institute
Original Assignee
Kitasato Institute
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マジンドリン−Aが高いサイトカイン選択抑
制を示すこと、更にgp130に作用してgp130の
2量体化を阻害する作用機序にもとずいて骨吸収を抑制
せしめることにより、これまでの薬物に起因していた子
宮出血、子宮内膜癌、乳癌等のリスクの増大、或いは、
骨軟化症や頻回投与による効果の低下等の問題を解消し
得る骨粗鬆症の予防治療剤を得るものである。 【解決手段】 下記式 【化1】 (式中、Hは水素、Oは酸素、Nは窒素、R及びSは絶
対立体配置を表す記号)で表される化合物を有効成分と
する、骨粗鬆症の予防治療剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マジンドリン−A
が高いサイトカイン選択抑制を示すこと、さらに情報伝
達性130−kD糖タンパク鎖の2量体化(dimer
ization)を介した6量体を形成するインターロ
イキン−6及びインターロイキン−11の活性を抑制
し、6量体の形成を阻害するという新たな作用機序に基
づくものであって、下記式
【0002】
【化2】 (式中、Hは水素、Oは酸素、Nは窒素、R及びSは絶
対立体配置を表す記号)で表されるマジンドリン−Aを
有効成分とする骨粗鬆症の予防治療剤に関する。
【0003】
【従来の技術】現在までの骨粗鬆症(osteopor
osis)予防治療薬としては、例えば骨吸収抑制を中
心として、選択的エストロゲン誘導体[selecti
veestrogen receptor modul
ator(SERM)]のタモキシフェン、ラロキシフ
ェン[Burckhardt,P.Selective
estrogen receptor modula
tors(SERM):new substances
for hormone replacement
therapy.Schweiz.Med.Woche
nschr.129,1926−1930(199
9)]等が、また、ビスフォスフォネートやカルシトニ
ン等、破骨細胞に直接作用して、その活性を抑制する薬
物が開発されてきた。しかしながら、これら薬物は、子
宮出血、子宮内膜癌、乳癌等のリスクの増大、或いは、
骨軟化症や頻回投与による効果の低下(エスケープ現
象)が大きな問題となっていた。
【0004】最近、破骨細胞分化を制御する分子メカニ
ズムが次第に解明され、破骨細胞の分化誘導を促す破骨
細胞形成因子/NFκB受容体活性化(以下、ODF/
RANKLと称する)、その作用を抑制する破骨細胞形
成抑制因子/オステオプロテゲリン(以下、OCIF/
OPGと称する)が見出されている。[Yasuda,
H.et al.Osteoclast differ
entiationfactor is a liga
nd for osteoprotegerin/os
teoclastogenesis−inhibito
ry factor and is identica
l to TRANCE/RANKL,Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA.95,3597−3
602(1998)]。
【0005】一方、サイトカインの一つであるIL−6
は骨芽細胞に作用してODF/RANKLを発現させる
が、エストロゲンは、IL−6遺伝子を抑制し骨吸収を
抑制することが報告されている。[Girasole,
G.et al.17 beta−estradiol
inhibits interleukin−6pr
oduction by bone marrow−d
erived stromal cells and
osteoblasts in vitro:a po
tential mechanism for the
antiosteoporotic effect
of estrogens.J Clin Inves
t 89,883−891(1992)]。
【0006】サイトカインは免疫反応や生体防御を介し
て生体の恒常性維持(homeostasis)に寄与
しているだけでなく、癌や炎症アレルギー、自己免疫疾
患などにも深く関与していることが報告されている。
[Kishimoto,T.,Akira,S.& T
aga,T.interleukin−6 and i
ts receptor:a paradigm fo
r cytokines.Science 258,5
93−597(1992)]。これらサイトカインの中
でIL−6は抗体産生やT細胞活性化、造血、急性期反
応などの制御に関与する多機能性サイトカインであるこ
とから、IL−6活性の非制御は様々な重篤な疾患を引
き起こす要因となる。
【0007】事実、IL−6の過剰産生が癌性悪液質に
深く関与していることが報告されている。[Stras
smann,G.,Jacob,C.O.,Evan
s,R.,Beall,D.& Fong,M.Mec
hanism of experimental ca
ncer cachexia.Interaction
between mononuclear phago
cytes andcolon−26 carcino
ma and its relevanceto IL
−6−mediated cancer cachex
ia.J.Immunol.,148,3674−36
78(1992)]。
【0008】また、IL−6の過剰産生が、キャッスル
マン症候群[Yoshizaki,K.et al.P
athogenic significance of
interleukin−6(IL−6/BSF−
2)in Csatleman’s disease.
Blood 74,1360−1367(198
9)];リウマチ関節炎[Takagi,N.et a
l.Blockage ofinterleukin−
6 receptor ameliorates jo
int disease in murine col
lagen−induced arthritis.A
rthritis Rheum.41,2117−21
21(1998)にも深く関与していることも報告され
ている。
【0009】更にまた、IL−6の過剰産生が、高カル
シウム血症および多発性骨髄腫に深く関与していること
が報告されている。[de la Mata,J.,U
y,H.L.,Guise T.A.,Story,
B.,Boyce,B.F.,Mundy,G.R.&
Roodman,G.D.Interleukin−
6 enhances hypercalcemia
and bone resorption media
ted by parathyroid hormon
e−related protein in viv
o.J.Clin.Invest.95,2846−2
852(1995)及びZhang,X.G.et a
l.Granulocyte−macrophage
colony−stimulating factor
synergizes withinterleuk
in−6 in supporting the pr
oliferation of human myel
oma cells.Blood,76,2599−2
605(1990)]。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
疾患に対する有効な予防治療薬は未だ開発されていなか
った。それ故、サイトカインの機能を特異的に修飾する
低分子化合物は、新たな作用機序を有する治療薬として
期待されてきた。IL−6受容体機構は、配位子結合性
80−kD糖タンパク鎖(以下、IL−6Rと称する)
と情報伝達性130−kD糖タンパク鎖(以下、gp1
30と称する)の2成分から構成され、さらにこれとリ
ンクしたIL−6特異的情報伝達系であるジェーナスキ
ナーゼ/情報伝達及び転写活性化因子3(以下、JAK
/STAT3と称する)のリン酸化により活性を表わ
す。従って、このカスケード(cascade)を阻害
するものはIL−6特異的阻害剤になり得ると本発明者
らは推測した。
【0011】本発明者らはこれまでに微生物代謝産物よ
り抗寄生虫薬であるエバーメクチン、キナーゼ阻害剤で
あるスタウロスポリン、及びプロテアゾーム阻害剤であ
るラクタスチン等、数多くの有用活性物質を見出した。
そして、IL−6阻害剤の探索の過程でフロインドリン
(fuloindoline)骨格にディケトサイクロ
ペンテン(diketcyclopenten)がメチ
ル基で結合した化合物を見出し、この化合物を新規物質
としてマジンドリン(madindoline)と命名
した。[Hayashi,M.et al.Madin
doline,a novel inhibitor
of IL−6 activity from Str
eptomyces sp.K93−0711.I.T
axonomy,fermentation,isol
ation and biological acti
vities.J.Antibiot(Tokyo)4
9,1091−1095(1996)。
【0012】本マジンドリンは非常にユニークな活性を
示すものの産生量が微量であったため、その特異性の検
討や作用機序の解析は遅れていたが、本マジンドリンの
化学合成法の成功[Sunazuka,T.et a
l.Total Synthesis of(+)−M
adindoline A and(−)−Mdind
oline B,Potent,Selective
Inhibitorsof Interleukin
6.Determination of the Re
lative and Absolute Confi
gurations;ジャーナル オブ ザ アメリカ
ン ケミカル ソサイティー(J.Am.Chem.S
oc.2000,122,9,pp.2122−212
3(2000)]により、それの特異性や作用機序の解
析が本発明者らによって検討された。
【0013】その結果、意外にもマジンドリン(mad
indoline)−A(以下、MDL−Aと称する)
が高いサイトカイン選択抑制を示すこと、さらに情報伝
達性130−kD糖タンパク鎖の2量体化を介した6量
体を形成するインターロイキン−6及びインターロイキ
ン−11の活性を抑制し、6量体の形成を阻害するとい
う新たな作用機序があることを見出した。
【0014】このような選択的サイトカイン阻害剤及び
情報伝達性130−kD糖タンパク鎖の阻害物質は未だ
報告はなされておらず、このようなMDL−Aによる作
用機序は本発明者らによって初めて解明されたものであ
る。従って、本発明に用いるMDL−Aは高いサイトカ
イン選択抑制を示すこと、さらに情報伝達性130−k
D糖タンパク鎖の2量体化を介した6量体を形成するイ
ンターロイキン−6及びインターロイキン−11の活性
を抑制し、6量体の形成を阻害するという新たな作用機
序にもとずいたものである。すなわち、細胞を用いた実
験においては破骨細胞形成を阻害し、動物実験において
は閉経後骨粗鬆症モデルの実験動物である卵巣摘出マウ
スにおける骨吸収を抑制し、gp130阻害物質が破骨
細胞分化を制御して骨吸収を抑制することを見出し、本
発明は完成されたものである。
【0015】本発明は、このような特異的な作用機序に
より、これまでの薬物により起因していた子宮出血、子
宮内膜癌、乳癌等のリスクの増大、或いは、骨軟化症や
頻回投与による効果の低下(エスケープ現象)等の問題
を全て解消し、骨吸収を抑制する骨粗鬆症の予防、治療
に有効な予防治療剤を提供することを目的とするもので
ある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、高いサイトカ
イン選択抑制を示し、さらに情報伝達性130−kD糖
タンパク鎖の2量体化を介した6量体を形成するインタ
ーロイキン−6及びインターロイキン−11の活性を抑
制し、6量体の形成を阻害する下記式
【0017】
【化3】 (式中、Hは水素、Oは酸素、Nは窒素、R及びSは絶
対立体配置を表す記号)で表されるマジンドリン−Aを
有効成分とする骨粗鬆症の予防治療剤である。
【0018】更に本発明は、マジンドリン−Aはサイト
カイン選択的抑制を有し、この選択的抑制が細胞内情報
伝達系であるジェーナスキナーゼ/情報伝達及び転写活
性化因子の抑制であり、さらにまた、マジンドリン−A
の選択的抑制が情報伝達性130−kD糖タンパク鎖の
2量体化を介した6量体を形成するインターロイキン−
6及びインターロイキン−11の活性を抑制し、6量体
形成を阻害することである骨粗鬆症の予防治療剤であ
る。
【0019】以下に本発明の作用機序を詳しく説明す
る。微生物代謝産物より得られたマジンドリン(特開平
9−194494号公報)は、IL−6依存細胞増殖や
分化誘導を抑制したが他のサイトカインであるインター
ロイキン−2(以下、IL−2と称する)、インターロ
イキン−3(以下、IL−3と称する)、インターロイ
キン−4(以下、IL−4と称する)、インターロイキ
ン−8(以下、IL−8と称する)、組織壊死因子(以
下、TNFと称する)、神経成長因子(以下、NGFと
称する)、顆粒球コロニー刺激因子(以下、GCSFと
称する)の作用は抑制しなかった。
【0020】IL−6はIL−6レセプター(以下、I
L−6Rと称する)と結合してIL−6/IL−6R複
合体を形成し、さらに共有サブユニットの情報伝達性1
30−kD糖タンパク鎖(以下、gp130と称する)
と結合し、IL−6/IL−6R/gp130の3量体
を形成する。次いで、もう一つのIL−6/IL−6R
/gp130の3量体と会合し6量体を形成する。これ
によりジェーナスキナーゼ2(以下、JAK2と称す
る)を活性化して情報伝達及び転写活性化因子3(以
下、STAT3と称する)をリン酸化し、2分子会合し
たSTAT3が核内に移行することによって情報が核内
に伝達される。
【0021】インターロイキンは共有するサブニットの
種類によりいくつかの系に分類される。gp130を共
有する系にはIL−6、IL−11、白血病抑制因子
(以下、LIFと称する)、オンコスタチンM(以下、
OSMと称する)、カルディオトロフィン1(以下、C
T−1と称する)等が含まれる。このファミリーは更に
IL−6やIL−11のようにgp130同士が会合し
て6量体を形成する同種2量体タイプと、LIFやOS
MのようにLIFレセプターあるいはOSMレセプター
とgp130が会合する異種2量体タイプにそれぞれ区
別される。
【0022】本発明に用いられるMDL−Aはgp13
0を共有サブユニットとするIL−6系のサイトカイン
であるLIFの作用を抑制しなかった。すなわち、細胞
内情報伝達系は同種2量体タイプ(IL−6、IL−1
1)、異種2量体タイプ(LIF、OSM、CT−1)
とも共通の経路であることから、MDL−Aは、ジェー
ナスキナーゼ/情報伝達及び転写活性化因子系には影響
しないことが示唆された。このことは、顆粒球コロニー
刺激因子(以下、GCSFと称する)−gp130キメ
ラレセプター/ヒトプロB細胞(以下、Baf3と称す
る)の結果からも裏付けられた。
【0023】次に、IL−6Rを多く発現しているU2
66細胞(ヒト)について本発明のMDL−Aの影響に
ついて検討した。U266細胞(ヒト)の細胞破砕液を
用いて免疫沈降法とオートラヂオグラフィー法によりM
DL−Aの標的分子をしらべた。免疫沈降法による検討
の結果、IL−6/IL−6R/gp130の3量体の
形成は阻害しなかった。しかしながら、放射性MDL−
Aを用いたオートラヂオグラフィー法による検討では、
gp130相当位置に放射性MDL−Aによるバンドが
観察され、MDL−Aがgp130に結合していること
が示唆された。一方、過剰の非放射性MDL−Aを添加
してオートラヂオグラフィー法で測定したところ、gp
130相当のバンドが減少したことが観察された。
【0024】この結果は、過剰の非放射性MDL−A添
加によりgp130に結合していた放射性標識MDL−
Aが外れたことを示している。すなわち、これらの結果
は、MDL−Aがgp130に結合するが、IL−6/
IL−6R/gp130の3量体形成は阻害しないこと
を示している。MDL−A処理によりジェーナスキナー
ゼ/情報伝達及び転写活性化因子(以下、JAK/ST
ATと称する)による細胞内情報伝達系は阻害されない
こと、3量体形成は阻害されないこと、およびgp13
0の異種2量体タイプのLIFやOSMの活性は抑制さ
れないこと、等からMDL−Aの作用点はgp130を
介した6量体形成の阻害であることが示唆された。
【0025】IL−6/IL−6R/gp130複合体
の会合による6量体化の安定化に際して、最近、Bar
ton,V.A.et al.はIL−6のサイト3と
gp130のIgドメインにあるサイト2が結合し、安
定化に寄与していることを報告した。[Interle
ukin−11 signals throughth
e formation of a hexameri
c receptor complex.J.Bio
l.Chem.275,36197−36203(20
00)]。本発明による作用機序は彼らの仮説とよく一
致しており、本発明によるMDL−Aがgp130の結
合サイト2に結合している6量体形成による安定化を阻
害することが強く示唆される。
【0026】更にまた、MDL−Aは破骨細胞新生を顕
著に抑制し、卵巣摘出マウスでの骨吸収を17β−エス
トラジオール(estradiol)と異なる作用機序
で抑制することが観察された。すなわち、新生児マウス
頭頂骨より分離した骨芽細胞と大腿骨より調整した骨髄
細胞との共培養系に20ng/mLのIL−6と50n
g/mLのIL−6Rを添加することにより多核性破骨
細胞が形成される。MDL−AはこのIL−6刺激によ
る破骨細胞形成を用量依存的に抑制した。一方、閉経後
骨粗鬆症モデルである卵巣摘出マウスでの骨量比減少の
抑制においてもMDL−Aは10〜60mg/kg/d
ayの経口投与により顕著に抑制した。
【0027】閉経後骨粗鬆症は女性ホルモンである17
β−エストラジオールの欠乏により発症するが、17β
−エストラジオールは、通常IL−6産生を抑制してい
る。しかしながら、閉経により17β−エストラジオー
ルが減少するとIL−6産生抑制が抑制されたことによ
りIL−6産生が増加し、骨粗鬆症の引き金になると言
われている。卵巣摘出マウスに17β−エストラジオー
ルを投与することにより骨量比減少の抑制、血中Ca
2 + 濃度増加の抑制が観察される。
【0028】一方、MDL−A投与においても17β−
エストラジオールと同様の現象が観察される。しかしな
がら、17β−エストラジオール投与により子宮重量増
加、血中IL−6増加抑制が認められるが、MDL−A
投与においては子宮重量増加、血中IL−6増加抑制は
共に認められなかった。これらの事実から、MDL−A
は現在用いられている17β−エストラジオールとは全
く異なった作用機序により骨吸収を抑制していることが
示された。
【0029】骨量比減少の抑制を測定することにより、
正常骨量比への回復度合いが判断できる。また、血中C
2+濃度増加抑制の測定は、骨吸収により血中に放出さ
れるCa2+が増加するため、これを測定することによっ
て、骨吸収が起こっているか、その程度が評価できる。
更に、子宮重量増加の測定は、投与した物質に女性ホル
モン様作用があるかどうか判定できる。特に17β−エ
ストラジオールは女性ホルモンであることから、投与に
より子宮重量は増加するが、MDL−Aは増加しない。
このことから、MDL−Aにはホルモン様作用は無いこ
とが示される。更にまた血中IL−6増加抑制の測定
は、その物質にIL−6産生作用があるか否か判定でき
る。特に17β−エストラジオールはIL−6産生を増
加させて骨吸収を抑制するが、MDL−Aはそのような
作用を示さないことからIL−6産生を介さないことを
示すことになる。
【0030】以上の作用機序により、MDL−Aが高い
サイトカイン選択抑制を示すこと、更にgp130に作
用してgp130の2量体化(dimerizatio
n)を阻害すること、の新たな作用機序が見出された。
すなわち、選択的サイトカイン阻害剤およびgp130
阻害作用による骨吸収抑制作用はこれまでに報告されて
おらず、この特異的な作用機序により、はじめて閉経後
骨粗鬆症の実験モデルである卵巣摘出マウスにおける骨
吸収を顕著に抑制することが解明された。
【0031】IL−6は種々の重篤な疾患の主因子とな
ることについての報告は前述の通りであるが、IL−6
ノックアウトマウスは、期待された様な疾患は起こらな
かった。その理由としては、IL−6が欠損しても他の
サイトカインがその作用を補完、修飾する、いわゆる作
用の重複性により恒常性を維持すると考えられる。それ
故、IL−6遺伝子のみをノックアウトしてもIL−6
と同様の作用をするIL−6タイプのサイトカイン、I
L−11等がその作用を補完し、IL−6ノックアウト
の効果を打ち消していると推測される。
【0032】一方、IL−6タイプサイトカインの共有
サブユニットであるgp130のノックアウトは致死的
であり、gp130が恒常性維持に重要な働きをしてい
ることが示唆されている。[Yoshida,K.Ta
ga,Saito,M.acommon signal
transducer for the inter
leukin 6 family of cytoki
nes,leadsto mycocardial a
nd hematological disorder
s.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,
93,407−411(1996)]。
【0033】本発明に用いたMDL−Aの各種サイトカ
インや成長因子に対する特異性の検討法は、以下の方法
に従った。 1.IL−6依存性増殖 96穴プレートに5×104 cells/mLに調製し
たIL−6依存性MH60細胞懸濁液を100μL、
0.4U/mLに調製したIL−6溶液を100μL加
え、サンプル5μLを添加し、72時間インキュベート
した。細胞増殖の測定はMTT法により行った。細胞培
養液中にMTT試薬5mg/mLを20μL/well
で添加し、4時間培養後、4℃、1000rpm、5分
間遠心し、培養上清を捨てた。各wellにジメチルス
ルホキシド100μLを加え、マイクロミキサーで15
分間攪拌した後、MTT試薬により生成されたホルマザ
ンを溶出した。これを96穴マルチプレートリーダー
[Titertek Multiskan PLUS
MKII(大日本製薬社製)]を用いて測定波長540
nm、対照波長620nmで比色定量した。
【0034】2.PC−12細胞分化誘導 PC−12細胞懸濁液を、無血清のRPMI−1640
培地で2.5×104cells/mLに調製し、コラ
ーゲンコートした96穴平底プレートに200μLずつ
まき、24時間インキュベートした。βNGF(50n
g/mL、12.5ng/mL)及びサンプル5μLを
添加し、4日間インキュベートし、細胞の形態変化を毎
日観察した。PC−12細胞はβNGF(50ng/m
L、12.5ng/mL)刺激により突起を伸長して細
胞間ネットワークを形成し、神経様細胞へ分化する。こ
のβNGF(50ng/mL、12.5ng/mL)に
よるPC−12細胞の分化誘導は、12.5μg/mL
のMDL−A添加による有意な変化を生じなかった。
【0035】3.M1細胞分化誘導 24穴平底プレートにM1細胞を5×105 cells
/well(250μL)ずつまき、MDL−A 68
μM、IL−6 12.5U/mL添加し、72時間、
37℃、5%CO2 下でインキュベートした。そこに、
1×109 個オプソニン化した蛍光ビーズを加え、更に
24時間、37℃、5%CO2 下でインキュベートした
後、フローサイトメーター(ベックマンコールター社
製、米国)で貪食能を評価した。
【0036】4.IL−4によるFcεRII(CD2
3)発現 U937細胞は10%FCS−RPMI−1640培地
で継代した。これをHanks液で2回洗浄した後、5
×105 cell/mLにRPMI培地で調整し、24
穴平底プレートに200μLで播種し、MDL−A 6
8μM、IL−4 10ng/mLを添加し、最終容量
を500μLとし、37℃、5%CO2下、48時間イ
ンキュベートした。これにフルオレセインイソチオシア
ネート(以下、FITCと称する)標識抗CD23抗体
2μg/10μLを添加し、常法にしたがって染色、洗
浄し、PBS(−)緩衝液1mLに懸濁後、フローサイ
トメーター(ベックマンコールター社製、米国)で測定
した。
【0037】5.IL−8による細胞遊走活性 健常成人男子より採血し、常法に従いデキストランT5
00、Ficol遠心分離法により好中球を分離した。
得られた好中球は、カルボキシフルオレセインジアセテ
ートサクシニルエステル(以下、CSFEと称する)に
より蛍光標識された。ボイデンチャンバー上室に68μ
MのMDL−Aと1×109 個の好中球を添加した。2
0ng/mLのIL−8はボイデンチャンバー(Boy
denchamber)下室に添加した。次いで37
℃、5%CO2 下、4時間インキュベートした後、ボイ
デンチャンバー下室の液を回収し、遠心分離後、沈渣の
蛍光を測定した。
【0038】6.TNF−αによる細胞増殖抑制試験 96穴丸底プレートにU937細胞を1×105 cel
ls/well(200μL)ずつまき、1時間後、M
DL−A 68μM添加し、3時間、37℃、5%CO
2 下でインキュベートした。そこに、TNF−α 20
ng/mL添加し、72時間、37℃、5%CO2 下で
インキュベートした。細胞増殖の測定は、MTT法によ
り行った。細胞培養液中にMTT試薬(5mg/mL)
を20μL/wellで添加し、4時間培養後、4℃、
1000rpm、5分間遠心し、培養上清を捨てた。
【0039】次に、各wellにジメチルスルホキシド
100μLを加えて、マイクロミキサーで15分間攪拌
したのち、MTT試薬により生成されたホルマザンを溶
出した。これを96穴マルチプレートリーダー[Tit
ertek Multiskan PLUS MKII
(大日本製薬社製)]を用いて測定波長540nm、対
照波長620nmで比色定量した。TNF−α無添加の
ウェルを100%として細胞増殖率を算出した。
【0040】本MDL−Aの各種サイトカインや成長因
子に対する選択特異性は下記のとおりである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ サイトカイン 細胞 活性 IC50(μM) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ IL−2 CTLL−2 細胞増殖 >70 IL−3 Baf3 細胞増殖 >70 IL−4 U937 FcεRII 発現 >70 IL−6 MH−60 細胞増殖 8.2 PC12 神経分化 4.3 M1 分化(マクロファージ様) 14.5 卵巣細胞 破骨発生 3.8 IL−8 PMNLs 細胞遊走活性 >70 TNF U937 成長抑制 >70 NGF PC12 神経分化 >70 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0041】尚、上記細胞の略号名は下記の通りであ
る。CTLL−2;細胞障害性マウスT細胞株(IL−
2感受性)、Baf3;ヒトプロB細胞株(IL−3感
受性)、U937;ヒト組織球性リンパ腫(TNF感受
性)、MH−60;マウス骨髄細胞由来のIL−6依存
性MH−60、PC12;ラット副腎髄質褐色細胞腫
(NGF感受性)、M1;マウス骨髄芽球様白血病細胞
株(IL−6感受性)、PMNLs;ヒト多核性白血球
(IL−8感受性)を意味する。
【0042】MDL−Aの各種サイトカインや成長因子
に対する選択特異性は、IL−2、IL−3、TNFに
よる細胞増殖、IL−4刺激により誘導されるFcεR
II発現、IL−8による好中球の細胞遊走活性、NG
FによるPC12細胞の神経分化等に対して阻害しなか
った。一方において、MDL−AはIL−6によるMH
60細胞の増殖のみならず、PC12細胞、M1細胞、
骨髄幹細胞の各機能細胞への分化を顕著に抑制した。こ
れらの結果は、MDL−AがIL−6の作用を、幼弱化
活性化プロテインキナーゼ(以下、MAPKと称する)
が関与している細胞増殖作用のみならず、STATが関
与する情報伝達系による分化をも特異的に抑制すること
を示している。
【0043】また、サイトカインは他のレセプター機構
と異なり、以下のサブユニットを共有している。 (1)γ鎖を共有(share)するIL−2タイプの
サイトカインであるIL−4、IL−7、IL−9、I
L−15。 (2)β鎖を共有(share)するIL−3タイプの
サイトカインであるIL−3、IL−5、グラニュロサ
イト マクロファージ コロニー スティミュレーティ
ング ファクター(以下、G−MCSFと称する)。 (3)gp130を共有(share)するIL−6タ
イプのサイトカインであるIL−11、OSM、カルヂ
オトロピン−1(以下、CT−1と称する)、毛様体神
経親和性因子(以下、CNTFと称する)。
【0044】MDL−AがIL−6の反応を特異的に抑
制することは前述した通りであるが、IL−6と同様の
活性を示すgp130を共有サブユニットとするIL−
6タイプのサイトカイン等に対する作用は不明である。
そこで、gp130を共有サブユニットとするIL−6
タイプのサイトカインの作用について検討する。IL−
6タイプのサイトカインは特異的なJAK/STATの
情報伝達系を有しているが、IL−6タイプのサイトカ
インのレセプターは2種類に分けられる。すなわち、g
p130の同種2量体化を必須とするIL−6、IL−
11と、特異的サイトカインレセプターとgp130と
の異種2量体化を必要とするLIF、OSM、CT−
1、CNTFに分類される。
【0045】従って、これら2種のIL−6タイプのサ
イトカインに対するMDL−Aの反応の違いによってM
DL−Aの作用機序を推測することができる。例えば、
M1細胞は、gp130の同種2量体化を必須とするI
L−6或いはLIFの刺激により貪食能を有したマクロ
ファージ様細胞に分化する。そこで、マクロファージ様
細胞に対するM1細胞のIL−6またはLIF分化誘導
に対するMDL−Aの効果について検討を行った。検討
法は以下に従った。
【0046】24穴プレートにM1細胞を5×105
胞/250μL/wellでまき、IL−6の50ng
/mLあるいはLIFの5ng/mLの存在下、あるい
は不在下にMDL−Aを70μM添加、あるいは非添加
で72時間、37℃、5%CO2 下でインキュベートし
た。次いで、1×109 個のオプソニン(opsoni
n)化した蛍光ビーズを加え、24時間、37℃、5%
CO2 下でインキュベートした。未反応のビーズを洗浄
後、フローサイトメーター(ベックマンコールター社
製、米国)で貪食能を測定した。
【0047】マクロファージ様細胞へのM1細胞のIL
−6またはLIF分化誘導に対するMDL−Aの効果の
測定結果は、下記に示す通りである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 処理 分類(%) 未分化 分化 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無処理 83.4±4.6 11.3±0.2 MDL−A,70μM 72.4±6.7 13.9±1.2 IL−6,50ng/mL 30.4±4.2 48.3±8.6 +MDL−A,70μM 57.7±4.3 26.4±3.5 LIF,5ng/mL 28.8±5.6 50.4±8.9 +MDL−A,70μM 33.1±4.4 48.3±7.6 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0048】上記の測定結果から、IL−6の50ng
/mL刺激により分化したM1細胞の増加はMDL−A
の70μMの処理により減少した。しかしながら、LI
Fの5ng/mLの刺激による増加は、同濃度のMDL
−Aでは抑制されなかった。そこで、M1細胞分化に対
するIL−6とLIFとの作用の違いについて検討する
ことにする。
【0049】IL−6レセプターとLIFレセプターは
共にgp130を共有サブユニットに持つIL−6レセ
プターファミリーである。IL−6はIL−6レセプタ
ーと結合した後gp130と結合し、形成された3量体
は別の3量体とgp130同士で会合して6量体を形成
し、2量体を形成したgp130によるJAKの活性化
とSTATのリン酸化を介して核内へ情報を伝達する。
一方、LIFはLIFレセプター、gp130と結合す
る。しかしながら、LIFの場合はIL−6と異なり、
6量体は形成せず、同じJAK/STATの情報伝達系
を使って、核内に情報を伝達する。
【0050】IL−6やLIF刺激によるM1細胞分化
経路は形成される受容体複合体以外は共通である。両者
における相違点は、IL−6の反応においてはIL−6
/IL−6R/gp130同士のgp130を介した6
量体を、一方、LIFの反応においてはLIFレセプタ
ーとgp130との3量体を形成することである。上記
の結果より、M1細胞分化誘導においてMDL−AはL
IFではなく、IL−6刺激による分化誘導のみを阻害
したことから、受容体複合体形成、とくにgp130の
2量体化による6量体形成を抑制することによって、I
L−6の作用を阻害していることが示唆された。
【0051】更に、サイトカイン特有の情報伝達系であ
るJAK/STATにも数種のサブユニットタイプがあ
り、その組み合わせでサイトカインに特異的な情報伝達
を制御していることが知られている。例えば、IL−6
タイプのサイトカインではジェーナスキナーゼ1(以
下、JAK1と称する)、ジェーナスキナーゼ2(以
下、JAK2と称する)、STAT3のキナーゼのサブ
ユニットが関与している。[Lutticken,C.
et al.Association of tran
scription factor APRF and
proteinkinase Jak1 with
the interleukin−6 signal
transducer,gp130.Science,
263,89−92(1994)]。
【0052】そこで、細胞外ドメインに顆粒球コロニー
刺激因子レセプター(以下、GCSFRと称する)を、
細胞内ドメインにBOX1,2構造(gp130の細胞
内リン酸化部位)のJAK2を組み込んだGCSFR−
gp130キメラレセプターを発現したBaf3/GC
SFR−gp130細胞を用いてJAK2/STAT3
に対するMDL−Aの効果を検討した。その検討は以下
の方法に従った。
【0053】共有サブユニットgp130及びIL−6
の特異的情報伝達系JAK/STATについて検討する
ため、遺伝子操作により細胞外にGCSFの細胞外ドメ
インを、細胞内にgp130の細胞内ドメインを持つキ
メラレセプターを発現させたBaf3細胞を作製した。
このキメラ細胞はIL−6には反応せず、GCSFの刺
激で反応し、増殖する。従って、レセプター複合体形成
に関わりなく、情報伝達系であるJAK/STATに対
する効果を検討することができる。
【0054】キメラレセプター細胞(Baf3/GCS
FR−gp130、104 cells/100μL/w
ell)を80μMのMDL−Aの存在下あるいは不在
下に、100ng/mLのGCSFあるいは50ng/
mLのIL−6を添加し、5%CO2 下、37℃で72
時間インキュベートした。次いで、5mg/mLのMT
T試薬を20μL添加し、4時間、37℃でインキュベ
ートした。遠心分離後、染色した細胞を100μLのジ
メチルスルホキシド溶液で溶解し、645nmの吸光度
を96穴マルチプレートリーダー(Titertek
Multiskan Plus MKII、大日本製薬
社製)により測定した。測定結果は以下の通りであっ
た。
【0055】キメラレセプター細胞のJAK/STAT
情報伝達系に対するMDL−Aの効果の測定結果は、下
記に示す通りである。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 細 胞 増 殖(%) 作用因子 MDL−A,0μM MDL−A,80μM ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ GCSF,0ng/mL 21.2±0.5 18.4±1.1 GCSF,100ng/mL 100.0 108.6±6.9 +GCSF抗体,3μg/mL 18.9±0.2 20.3±1.4 +チロフォスチンAG490,10μg/mL 13.5±1.8 15.8±1.8 IL−3,20ng/mL 125.7±10.3 130.1±12.4 IL−6, 50ng/mL 23.5±1.7 20.6±1.4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0056】上記の測定結果が示すように、GCSFの
100ng/mL添加時の細胞増殖を100%としたと
き、GCSFモノクロナール抗体の3μg/mL、JA
K2阻害剤、チロフォスチンAG490の10μg/m
Lの処理による細胞増殖は、それぞれ完全に抑制され
た。この結果から、この実験系がGCSFの刺激により
JAK/STATの情報伝達系を介して反応しているこ
とが確認された。GCSFの100ng/mL刺激によ
る細胞増殖は、MDL−Aの80μMの添加により抑制
されなかった。
【0057】更に、前記の測定結果が示すように、ヒト
プロB細胞株はIL−3依存的であることから、IL−
3の20ng/mLの添加によっても増殖するが、MD
L−Aはこの増殖にも影響しなかった。キメラレセプタ
ー細胞は、過剰のIL−6の50ng/mL添加によっ
ても増殖しなかった。これらの結果は、MDL−Aが顆
粒球コロニー刺激レセプターには作用せず、更に細胞内
ドメインのJAK/STATにも作用していないことを
明確に示している。これらの結果より、MDL−Aの作
用部位は情報伝達系及び、リン酸化や転写ではないこと
が示唆されたことからレセプター機構について検討する
必要がある。
【0058】そこで、レセプター機構の実験には、IL
−6Rを多く発現しているU266細胞(ヒト)の細胞
破砕液を用いた。図1のAに示すように、抗IL−6R
抗体により免疫沈降し、電気泳動後、抗gp130抗体
でブロッティングした。IL−6添加によりMDL−A
処理([ 3H]MDL−A、0.1μgを含む)、未処
理の、いずれの場合もgp130のバンドが観察された
ことから、MDL−AはIL−6/IL−6R/gp1
30の複合体の形成を阻害しないことが示された。しか
しながら、図1のBに示したように、オートラヂオグラ
フィーにより、gp130に相当する位置に明瞭な[ 3
H]MDL−Aによるバンドが認められ、更に過剰の非
放射性標識MDL−A添加によりバンドの減少が観察さ
れた。
【0059】一方、図1のCに示すIL−6Rのオート
ラヂオグラフィーを示す図1のDには、IL−6R相当
部分にはバンドは認められなかった。これらの結果は、
MDL−Aがgp130と競合的に結合するが、IL−
6/IL−6R/gp130の複合体の形成は阻害して
いないことを明瞭に示している。なお、STAT3抗体
による免疫沈降法とフォスホチロシンキナーゼ抗体によ
るブロッテイング法よりMDL−AはSTAT3を阻害
しないことが確認された。
【0060】MDL−AはIL−6/IL−6R/gp
130の複合体の形成を阻害しないことについて検討す
る。U266細胞破砕液にIL−6を添加していること
から、IL−6/IL−6R/gp130複合体が形成
される。この反応液を抗IL−6R抗体で免疫沈降して
いるのでIL−6R、IL−6/IL−6R複合体およ
びIL−6/IL−6R/gp130複合体がそれぞれ
沈降する。沈降物を電気泳動し、抗gp130抗体でウ
ェスタン ブロッティング(westernblott
ing)した。その結果、染色されたのはIL−6/I
L−6R/gp130複合体のみである。
【0061】MDL−AがIL−6/IL−6R/gp
130複合体の形成を阻害すれば、gp130のバンド
は減少あるいは消失するはずであるが、そのような結果
が得られなかったことから、MDL−Aは、3量体形成
には影響しないことが示された。更に、[3 H]MDL
−Aを同時に添加したオートラヂオグラフィーの結果よ
り、gp130のバンドに一致して[3 H]MDL−A
の活性が認められた。これらの結果は、MDL−Aが3
量体形成は阻害しないが、gp130に結合しているこ
とを明確に示している。従って、MDL−Aが細胞内情
報伝達系JAK/STATには影響しないこと、gp1
30の2量体化を介した6量体を形成するIL−6やI
L−11の活性を選択的に抑制すること、からMDL−
AのIL−6阻害作用はgp130に作用して6量体形
成を阻害することが示唆される。
【0062】更にまた、IL−6は3個のトポロジー的
な結合サイト1、2および3を持ち、結合サイト1を介
してIL−6Rと、結合サイト2を介してgp130
(第一gp130)と結合し、IL−6/IL−6R/
gp130の3量体複合体を形成する。次いで、3量体
複合体はgp130の同種2量体化を誘導して6量体複
合体を形成し、JAK/STATの情報伝達系の活性化
へと導く。
【0063】これまで不明とされていたIL−6の結合
サイト3の役割が3量体を形成したgp130(第二g
p130)と結合し、6量体レセプター複合体の安定化
への寄与であることが提唱された[Paonessa,
G.et al.Two distinct and
independent sites on IL−6
trigger gp130 dimer form
ation andsignaling.EMBO
J.14,1942−1955)]。以上の結果より、
MDL−Aの作用機序はgp130に存在するIL−6
サイト3のリガンドに結合し、gp130の同種2量体
化を阻害してIL−6やIL−11の作用を抑制するこ
とが解明された。
【0064】MDL−Aは、マウス頭頂骨細胞と大腿骨
細胞との共培養系においてIL−6誘導破骨細胞新生を
阻害したことから、IL−6と同様にgp130の2量
体化形成を必須とするIL−11の反応も抑制すること
が推測された。図2のAに示したIL−6の20ng/
mLとIL−6Rの50ng/mLとを同時添加した場
合、および図2のBに示したIL−11の10ng/m
Lの添加の場合により酒石酸抵抗性酸性フォスファター
ゼ陽性(TRAP陽性)の多核細胞、破骨細胞がそれぞ
れ観察された。これらの破骨細胞新生は、それぞれMD
L−Aの用量依存的に抑制された。
【0065】破骨細胞の実験には新生児マウス頭頂骨細
胞を用い骨髄細胞と共培養下でのサイトカイン誘導によ
る破骨細胞分化を指標としてMDL−Aの効果を検討し
た。IL−6、IL−11のいずれの刺激においても破
骨細胞分化が顕著に観察された。更に具体的に観察する
と、図3のAはIL−11が40ng/mL投与された
場合であり、大きく分化した細胞が観察された。図3の
BはIL−11が40ng/mL+MDL−Aが50μ
g/mL投与された場合であり、分化誘導作用が抑制さ
れていることが観察された。
【0066】同様に、図3のCはIL−6が50U/m
L+IL−6Rが50ng/mL投与された場合であ
り、大きく分化した細胞が観察された。図3のDはIL
−6が50U/mL+IL−6Rが50ng/mL+M
DL−Aが50μg/mL投与された場合であり、分化
誘導作用が抑制されていることが観察された。従って、
MDL−Aは、IL−6、IL−11共通の刺激伝達系
に対して阻害することが示唆された。
【0067】ホルモン依存性骨粗鬆症は、通常は17β
−エストラジオールの産生によりIL−6が抑制される
が、閉経後はホルモンバランスが崩れ、増加したIL−
6により骨粗鬆症が誘発されることが提唱されている。
[Atkins,G.J.et al.Coordin
ated cytokine expressionb
y stromal and hemotopoiet
ic cellsduring human oste
oclast formation.Bone,26,
653−661(2000)、Papadopoulo
s,N.G.,Georganas,K.,Skout
ellas,V.,Konstantellos,E.
& Lyritis,G.P.Correlation
of interleukin−6 serum l
evels with bone density i
n postmenopausal women.Cl
in.Rheumatol.16,162−165(1
997)]。
【0068】そこで、閉経後骨粗鬆症(postmen
opausal osteoporosis)モデルの
実験動物モデルである卵巣摘出(Ovariectom
yOVX)マウスを用いて骨吸収に対するMDL−Aの
効果を、以下の実施例により検討した。
【0069】
【実施例】本発明に用いられるMDL−Aの化合物は、
[Sunazuka,T.etal.Total Sy
nthesis of(+)−Madindoline
A and(−)−Mdindoline B,Pot
ent,Selective Inhibitors
of Interleukin 6.Determin
ation of the Relative and
Absolute Configurations
(J.Am.Chem.Soc.2000,122,
9,pp.2122−2123(2000)]の文献に
記載の方法に従って調製した。
【0070】4週齢のddy系雌性マウス(日本SLC
社より入手)をエーテル軽麻酔下に背部皮膚を切開し、
卵巣を摘出した。正常群(a)、卵巣摘出群(b)には
5%エタノールを投与した。一方、卵巣を摘出し、17
β−エストラジオール(同仁堂社製)の5μg/kgを
腹腔内投与した群(c)、MDL−Aの10mg/kg
経口投与群(d)、MDL−Aの60mg/kg投与群
(e)として、それぞれ隔日に4週間投与した。
【0071】4週間後における骨量比減少の抑制、血中
Ca2+濃度増加抑制、子宮重量減少、及び血中IL−6
濃度増加抑制をそれぞれ以下の方法に従って測定した。
骨量比減少抑制は体重に対する大腿骨重量の比で表し
た。血中カルシウム濃度増加抑制や血中IL−6濃度増
加抑制はそれぞれOCPC法(オルトクレゾールフタレ
インコンプレキソン法)、ELIZA法(Enzyme
−linkedimmunosorbent assa
y)法により測定した。なお、記号*、**は卵巣摘出
群を対照として、それぞれ5%、1%の統計的有意差を
示している。実験は各群を5匹とした。
【0072】実験結果は図4に示した通りであった。図
4のAに示した骨量比減少の抑制においては、正常群
(a)では2.19±0.13、卵巣摘出群(b)では
1.42±0.19、17β−エストラジオール投与群
(c)では2.02±0.28 * 、MDL−Aの10m
g/kg投与群(d)では1.72±0.18、MDL
−Aの60mg/kg投与群(e)では1.94±0.
27* であった。これらの結果によれば、MDL−Aは
陽性対象として用いた17β−エストラジオールと同等
の効果が示された。
【0073】図4のBに示した血中Ca2+濃度(mg/
dL)抑制においては、正常群(a)では10.7±
0.7、卵巣摘出群(b)では14.7±2.0、17
β−エストラジオール投与群(c)では10.3±0.
* 、MDL−Aの10mg/kg投与群(d)では1
2.9±0.9、MDL−Aの60mg/kg投与群
(e)では12.3±2.8であった。これらの結果に
よれば、MDL−Aは陽性対照とした17β−エストラ
ジオールと同様に骨吸収が起こっていることが認められ
た。
【0074】図4のCに示した子宮重量(mg)減少に
おいては、正常群(a)では182.9±45.3、卵
巣摘出群(b)では35.9±5.1、17β−エスト
ラジオール投与群(c)では229.9±26.
** 、MDL−Aの10mg/kg投与群(d)では
41.0±6.8、MDL−Aの60mg/kg投与群
(e)では38.5±6.8であった。これらの結果に
よれば、陽性対照とした17β−エストラジオールは女
性ホルモンであることから子宮重量が増加したが、MD
L−Aにはホルモン様作用がないことが示された。
【0075】図4のDに示した血中IL−6濃度(pg
/mL)増加においては、正常群(a)では26.9±
11.3、卵巣摘出群(b)では391.5±76.
3、17β−エストラジオール投与群(c)では22
9.9±26.5 ** 、MDL−Aの10mg/kg投
与群(d)では41.0±6.8、MDL−Aの60m
g/kg投与群(e)では38.5±6.8であった。
これらの結果によれば、陽性対照とした17β−エスト
ラジオールはIL−6産生を増加させて骨吸収を抑制す
るが、MDL−AはIL−6産生を介さないことを示し
ている。
【0076】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、骨量比
減少の抑制、血中Ca2+濃度増加抑制、子宮重量増加お
よび血中IL−6濃度増加は、MDL−Aが、17β−
エストラジオールのごとき女性ホルモン作用を介して作
用しているのではなく、それとは全く異なる作用機序に
よって骨吸収抑制作用を示し、骨粗鬆症モデルにおいて
効果を発揮していることを示している。すなわち、細胞
を用いた実験においては破骨細胞形成を阻害し、動物実
験においては閉経後骨粗鬆症モデルの実験動物である卵
巣摘出マウスにおける骨吸収を抑制し、gp130阻害
物質が破骨細胞分化を制御して骨吸収を抑制する。従っ
て、17β−エストラジオール治療時に見られるホルモ
ン作用による子宮出血や子宮内膜癌、乳癌等のリスクの
増大、或いは骨軟化症や頻回投与による効果の低下が解
消され、骨粗鬆症の有効な治療薬として期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】A:U266細胞(ヒト)の細胞破砕液を抗I
L−6R抗体により免疫沈降し、電気泳動後抗gp13
0抗体でブロッティングした電気泳動図である。 B:U266細胞(ヒト)の細胞破砕液を抗IL−6R
抗体により免疫沈降し、電気泳動後抗IL−6R抗体で
ブロッティングした電気泳動図である。 C:U266細胞(ヒト)の細胞破砕液を抗IL−6R
抗体により免疫沈降し、電気泳動後抗gp130抗体で
ブロッティングしたオートラヂオグラフィーである。 D:U266細胞(ヒト)の細胞破砕気を抗IL−6R
抗体により免疫沈降し、電気泳動後抗IL−6R抗体で
ブロッティングしたオートラヂオグラフィーである。
【図2】A:IL−6とIL−6Rの同時添加の場合に
おける形成された破骨細胞数に対するMDL−Aの用量
依存的抑制を示すグラフである。 B:IL−11の添加の場合における形成された破骨細
胞数に対するMDL−Aの用量依存的抑制を示すグラフ
である。
【図3】A:閉経後骨粗鬆症モデルの実験動物である卵
巣摘出マウスを用いてMDL−Aの効果確認のための骨
量比減少を示すものであり、(a)は正常群、(b)は
卵巣摘出群、(c)は陽性対象群、(d)及び(e)は
MDL−Aの経口投与に対するグラフである。 B:閉経後骨粗鬆症モデルの実験動物である卵巣摘出マ
ウスを用いてMDL−Aの効果確認のための血中Ca2+
濃度増加抑制を示すものであり、(a)は正常群、
(b)は卵巣摘出群、(c)は陽性対象群、(d)及び
(e)はMDL−Aの経口投与に対するグラフである。 C:閉経後骨粗鬆症モデルの実験動物である卵巣摘出マ
ウスを用いてMDL−Aの効果確認のための子宮重量減
少を示すものであり、(a)は正常群、(b)は卵巣摘
出群、(c)は陽性対象群、(d)及び(e)はMDL
−Aの経口投与に対するグラフである。 D:閉経後骨粗鬆症モデルの実験動物である卵巣摘出マ
ウスを用いてMDL−Aの効果確認のための血中IL−
6濃度増加を示すものであり、(a)は正常群、(b)
は卵巣摘出群、(c)は陽性対象群、(d)及び(e)
はMDL−Aの経口投与に対するグラフである。
【図4】A:骨量比減少の抑制を示すもので、(a)は
正常群、(b)は卵巣摘出群、(c)は陽性対象群、
(d)及び(e)はMDL−Aに対するグラフである。 B:血中Ca2+濃度(mg/dL)の抑制を示すもの
で、(a)は正常群、(b)は卵巣摘出群、(c)は陽
性対象群、(d)及び(e)はMDL−Aに対するグラ
フである。 C:子宮重量((mg)の減少を示すもので、(a)は
正常群、(b)は卵巣摘出群、(c)は陽性対象群、
(d)及び(e)はMDL−Aに対するグラフである。 D:血中IL−6濃度(pg/mL)の増加を示すもの
で、(a)は正常群、(b)は卵巣摘出群、(c)は陽
性対象群、(d)及び(e)はMDL−Aに対するグラ
フである。
フロントページの続き (72)発明者 林 正彦 東京都港区白金5丁目9番1号 社団法人 北里研究所内 Fターム(参考) 4C050 AA01 AA07 BB04 CC16 EE01 FF01 GG03 HH01 4C086 AA01 AA02 CB22 MA01 MA04 NA14 ZA97 ZB11 ZC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式 【化1】 (式中、Hは水素、Oは酸素、Nは窒素、R及びSは絶
    対立体配置を表す記号)で表されるマジンドリン−Aを
    有効成分とする骨粗鬆症の予防治療剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のマジンドリン−Aはサイ
    トカイン選択的抑制を有するマジンドリン−Aを有効成
    分とする骨粗鬆症の予防治療剤。
  3. 【請求項3】 選択的抑制が細胞内情報伝達系であるジ
    ェーナスキナーゼ/情報伝達及び転写活性化因子の抑制
    である請求項2に記載のマジンドリン−Aを有効成分と
    する骨粗鬆症の予防治療剤。
  4. 【請求項4】 選択的抑制が情報伝達性130−kD糖
    タンパク鎖の2量体化を介した6量体を形成するインタ
    ーロイキン−6及びインターロイキン−11の活性を抑
    制し、この6量体の形成を請求項1記載のマジンドリン
    −Aが阻害することからなる請求項2に記載のマジンド
    リン−Aを有効成分とする骨粗鬆症の予防治療剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007512284A (ja) * 2003-11-26 2007-05-17 ウニフェルシテット ベルン 骨吸収上昇の治療のための植物抽出物
JP4787765B2 (ja) * 2004-01-08 2011-10-05 メディヴィル・アクチボラグ システインプロテアーゼ阻害剤

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