JP2003182699A - ロケットとペイロードとのクランプバンド - Google Patents

ロケットとペイロードとのクランプバンド

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JP2003182699A JP2001381233A JP2001381233A JP2003182699A JP 2003182699 A JP2003182699 A JP 2003182699A JP 2001381233 A JP2001381233 A JP 2001381233A JP 2001381233 A JP2001381233 A JP 2001381233A JP 2003182699 A JP2003182699 A JP 2003182699A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロケットとペイロードの分離時にペイロード
にかかる衝撃力を少なくする。 【解決手段】 上段ロケット2の前端のフランジ2aと
ペイロード1の後端のフランジ1aとを全周で包囲し
て、上段ロケット2とペイロード1とを連結するととも
に、上段ロケット2の噴射終了後分離する環状のクラン
プバンド8であって、2個の半円形の部材8a、8bで
構成され、その内の少なくとも1個8bが形状記憶合金
製で、内部に極低温の推進薬の通路9を有していて、推
進薬を流通させると部材8bの曲率半径が増大して部材
同士8a、8bの結合が解除され、上段ロケット2とペ
イロード1とが分離するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は上段ロケットと人口
衛星などのペイロードとの結合・分離装置に使用するク
ランプバンドに関する。
【0002】
【従来の技術】空気を必要とするジェットエンジンに対
して、真空中で自分の持っている燃料と酸化剤を燃焼さ
せて推進するものをロケットという。ロケットの推進薬
は、燃料と酸化剤から構成されているが、固体(ポリウ
レタン、硝酸アンモンなど)と液体(ヒトラジンなど)
がある。固体は取り扱いに便利、必要なときにすぐ発射
できるなどの利点があるが、一旦点火したらその後の制
御ができないなどの欠点がある。固体ロケットは、大型
ロケットのブースタとして使用することもある。大型ロ
ケットの推進薬は、ほとんどが液体で、最近は液体水素
と液体酸素の組み合わせの液水ロケットが主流になって
いる。
【0003】図3ないし図5は、ロケットとペイロード
の従来の分離機構の図面であり、図3はロケットとペイ
ロードの側面図、図4は従来のクランプバンドの斜視
図、図5は割れナットの説明図である。図3において、
1は人工衛星などのペイロードである。ペイロード1の
後端にはフランジ1aが設けられている。2は上段(ま
たは最終段)ロケットである。上段ロケット2の前端に
はフランジ2aが設けられている。2bは推進薬タンク
であり、液体水素タンクと液体酸素タンクが前後に別々
に設けられている。
【0004】3は一対のフランジ1a、7aまたはフラ
ンジ7a、2aを包囲するクランプバンドであり、7は
スペーサである。クランプバンド3が2個並んで設けら
れているのは、もし一方の火薬が着火しなくても、もう
1つの方が着火すれば外れるような工夫であり、冗長系
(リダンダンシィ)として採用されている。しかし、信
頼性が高い場合は、クランプバンド3は1個でもよく、
その場合はスペーサ7は不要である。
【0005】クランプバンド3は、2個の半円形の部材
3aからなり、各部材3aは両端にフランジ部3dを有
しており、フランジ部3dにはボルト孔3cが穿設され
ている。部材3aの内側にはU字状の溝3bが設けられ
ていて、その溝3b内にフランジ1a、7aまたはフラ
ンジ7a、2aを収容して、ペイロード1とロケット2
を連結している。4はナット、5はボルトであり、この
ボルト・ナット5、4により、一対の部材3a、3aを
締結している。ナット4は図5に示すように割れナット
である。
【0006】以下、図5について説明する。ナット4は
中心線を通る放射状の平面によって4個ないし6個に分
割されており、各分割片はホルダ6によって支持されて
いる。ホルダ6は火薬室6eとピストン6cを収容する
ケーシング6dとケーシング6dとから支持されるリン
グ6bと先端にナット4の各分割片が固着された2本な
いし3本のU字状に形成された板ばね6aとからなる。
板ばね6aは花の蕾状にナット4の各分割片を狭窄する
方向に付勢するとともに、板ばね6aの底部中心はピス
トン6cをケーシング6dに押し付けている。6fは火
薬室6eの火薬に点火する点火栓である。
【0007】点火栓6fに通電して火薬に点火すると、
ピストン6cは矢印6gの方向にケーシング6dから飛
び出し、リング6bとピストン6cにより板ばね6aの
底部は上方に向かって凸状に変形し、板ばね6aの先端
は花びらが開くように矢印6h方向に拡がり、ナット4
の各分割片はボルト5から離れる。したがって、一対の
部材3a、3aのボルト・ナット5、4による締結は解
除され、クランプバンド3は分離して、ペイロード1と
上段ロケット2とが分離する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ペイロード1
と上段ロケット2との分離が、以上述べたように火工品
により行われると、作動時に数千Gの高い衝撃が発生す
るため、人工衛星などのペイロードに高い耐衝撃性が求
められ、構造重量が嵩む原因となっている。
【0009】本発明は、従来技術のかかる問題点に鑑み
案出されたもので、ペイロード1と上段ロケット2の分
離機構に火工品を使用せず、クランプバンドに形状記憶
性合金を使用して、その変形を利用して分離を行うよう
にし、ペイロードの重量の軽減を図ることができるロケ
ットとペイロードのクランプバンドを提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のロケットとペイロードのクランプバンド
は、上段ロケットの前端のフランジとペイロードの後端
のフランジとを全周で包囲して、上段ロケットとペイロ
ードとを連結するとともに、上段ロケットの噴射終了後
分離する環状のクランプバンドであって、2個の半円形
の部材で構成され、その内の少なくとも1個が形状記憶
合金製で、内部に極低温の推進薬の通路を有していて、
推進薬を流通させると部材の曲率半径が増大して部材同
士の結合が解除され、上段ロケットとペイロードとが分
離するようになっているものである。
【0011】半円形の部材は、一端が凸形に、他端が凹
形に形成されていて、凹凸を組み合わせて環状を形成す
るようになっているのが好ましい。
【0012】上段ロケット前端のフランジとペイロード
後端のフランジとの間にスペーサが設けられ、クランプ
バンドは2個並列に設けられていれば信頼性が向上す
る。
【0013】次に本発明のロケットとペイロードのクラ
ンプバンドの作用を説明する。内側にU字状の溝を有
し、両端に締結部を有する2個の半円形の部材を組み合
わせて環状に形成し、上段ロケットの前端のフランジと
ペイロードの後端のフランジの周縁部を包囲して、上段
ロケットとペイロードとを連結する。2個の半円形の部
材の内の少なくとも1個は形状記憶合金製であり、内部
に極低温の推進薬の流通可能な通路が形成されている。
形状記憶合金製の部材は、常温では半円形であり、極低
温に冷却すると曲率半径が大きくなるように作られてい
る。したがって、通路に極低温の推進薬を流すと冷却さ
れて曲率半径が大きくなり、締結部の締結が解除され、
クランプバンドはばらばらになり、上段ロケットとペイ
ロードとは分離する。
【0014】このように、本発明のクランプバンドは、
従来のように火工品を使用しないので、ペイロードに大
きな衝撃が発生しない。したがって、人工衛星などのペ
イロードに大きな耐衝撃性を付与する必要がなく、重量
低減が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の1実施形態につい
て図面を参照しつつ説明する。図1に本発明のロケット
とペイロードのクランプバンドの平面図である。図2は
クランプバンドの一方の部材の斜視図である。これらの
図において、8はクランプバンドである。クランプバン
ド8は内側にU字状の溝8cを有していて、上段ロケッ
ト2の前端のフランジ2aとペイロード1の後端のフラ
ンジ1aの周縁部を全周で包囲して、上段ロケット2と
ペイロード1とを連結するとともに、上段ロケットの噴
射終了後分離する働きをする環状の部品である。なお、
冗長系として、クランプバンド8を2個設ける場合に
は、ペイロード1のフランジ1aと上段ロケットのフラ
ンジ2aとの間にスペーサ7を介在させればよい。クラ
ンプバンド8は2個の半円形状の部材8a、8bで構成
されている。半円形状の部材8a、8bの一端には内側
に開いた凹部が形成された締結部8dが設けられ、他端
には外方に向かって突出した凸部が形成された締結部8
eが設けられていて、凸部を凹部に挿入して部材8aと
部材8bとが締結する。部材8aは通常の金属製であ
り、部材8bは形状記憶合金製で、内部に極低温の推進
薬が流通する通路9を有している。形状記憶合金は、任
意の形状をあらかじめ記憶させておくと、低温相または
高温相で変形を加えても、加熱または冷却して高温相ま
たは低温相にすると変形前の元の形状に戻る性質がある
合金であり、低温相と高温相では金属の組織が異なって
いる。形状記憶合金には、たとえば、ニッケル・チタン
合金、銅・亜鉛・アルミ合金などがあり、適用する温度
範囲によって適当なものを選べばよい。
【0016】通路9には推進薬の入口9aと出口9bが
あり、入口9aには推進薬の配管が接続されている。推
進薬は、液体水素(温度20K)と液体酸素(温度90
K)であり、それぞれ別々に上段ロケット2内の2個の
推進薬タンク2b、2b内に収容されている。推進薬タ
ンク2b、2bと通路9の入口9aとの間は、配管10
によって接続されていて、途中に液体水素の遮断弁10
aと液体酸素の遮断弁10bが設けられている。
【0017】次に本実施形態の作用を説明する。クラン
プバンド8は、内側にU字状の溝8cを有し、両端に締
結部8d、8eを有する2個の半円形の部材8a、8b
を組み合わせて環状に形成し、上段ロケット2の前端の
フランジ2aとペイロード1の後端のフランジ1aの周
縁部を包囲して、上段ロケット2とペイロード1とを連
結する。半円形の部材8bは形状記憶合金製であり、内
部に極低温の推進薬の流通可能な通路9が形成されてい
る。形状記憶合金製の部材は、通常では半円形であり、
極低温に冷却すると曲率半径が大きくなるように作られ
ている。したがって、通路に極低温の推進薬を流すと冷
却されて曲率半径が大きくなり、締結部8d、8eの締
結が、図1の点線で示すように解除され、クランプバン
ド8はばらばらになり、上段ロケット2とペイロード1
とは分離する。なお、上段ロケット2の噴射終了時には
推進薬の液体水素または液体酸素のいずれか一方は必ず
残っているので、残っている方の推進薬の遮断弁10a
または10bを開いて、通路9内に極低温の推進薬を流
通させる。また、凹部および凸部の一方の辺は図に示す
ように斜めに形成されているので、部材8bが変形した
ときに容易に分離する。
【0018】このように、本発明のクランプバンド8
は、従来のように火工品を使用しないので、ペイロード
1に大きな衝撃が発生しない。したがって、人工衛星な
どのペイロード1に大きな耐衝撃性を付与する必要がな
く、重量低減が可能になる。
【0019】本発明は以上述べた実施形態に限定される
ものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変
更が可能である。たとえば、クランプバンドの一方が形
状記憶合金製であるとして説明したが、両方が形状記憶
合金製であってもよい。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のロケットと
ペイロードとのクランプバンドは、従来のように火工品
を使用しないので、ペイロードに大きな衝撃が発生しな
い。したがって、人工衛星などのペイロードに大きな耐
衝撃性を付与する必要がなく、重量低減が可能になるな
どの大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロケットとペイロードとのクランプバ
ンドの平面図である。
【図2】クランプバンドの一方の部材の斜視図である。
【図3】従来のクランプバンドの側面図である。
【図4】従来のクランプバンドの斜視図である。
【図5】割れナットの説明図である。
【符号の説明】
1 ペイロード 1a ペイロード後端のフランジ 2 上段ロケット 2a 上段ロケット前端のフランジ 8 クランプバンド 9 推進薬の通路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上段ロケットの前端のフランジとペイロ
    ードの後端のフランジとを全周で包囲して、上段ロケッ
    トとペイロードとを連結するとともに、上段ロケットの
    噴射終了後分離する環状のクランプバンドであって、2
    個の半円形の部材で構成され、その内の少なくとも1個
    が形状記憶合金製で、内部に極低温の推進薬の通路を有
    していて、推進薬を流通させると部材の曲率半径が増大
    して部材同士の結合が解除され、上段ロケットとペイロ
    ードとが分離するようになっていることを特徴とするロ
    ケットとペイロードとのクランプバンド。
  2. 【請求項2】 上記半円形の部材は、一端が凸形に、他
    端が凹形に形成されていて、凹凸を組み合わせて環状を
    形成するようになっている請求項1記載のロケットとペ
    イロードとのクランプバンド。
  3. 【請求項3】 上段ロケット前端のフランジとペイロー
    ド後端のフランジとの間にスペーサが設けられ、クラン
    プバンドは2個並列に設けられている請求項1または請
    求項2記載のクランプバンド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006316830A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Honda Motor Co Ltd 締結構造

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