JP2003177984A - 通信システム、送信装置、並びに受信装置 - Google Patents

通信システム、送信装置、並びに受信装置

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JP2003177984A
JP2003177984A JP2002021122A JP2002021122A JP2003177984A JP 2003177984 A JP2003177984 A JP 2003177984A JP 2002021122 A JP2002021122 A JP 2002021122A JP 2002021122 A JP2002021122 A JP 2002021122A JP 2003177984 A JP2003177984 A JP 2003177984A
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eyeball
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JP2002021122A
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Kenichiro Mogi
健一郎 茂木
Yuichi Koto
雄一 光藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実世界上のオブジェクトに関連した情報を、
ユーザに特別な作業を強いることなく、オブジェクトか
ら直接入手する。 【解決手段】 実世界上のオブジェクトに赤外線送信機
を設置して、機器IDやネットワーク・アドレス、ホス
ト・ネーム、URLなどの情報を赤外線データとして送
信する。一方の赤外線受信機を、ユーザの眼球の反射光
を受光できる場所に設置して、眼球から反射された赤外
線データを信号処理及びデコードして、実世界上のオブ
ジェクトに関連した情報を取り出して、オブジェクトと
のネットワーク接続、関連するリソースへのアクセス、
プログラムの実行などを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク・ア
ドレス、ホスト・ネーム、URLなどの実世界上のオブ
ジェクトに関連した情報を複雑なネットワーク操作なし
に入手する通信システム、送信装置、並びに受信装置に
係り、特に、ユーザの目の前にある又はユーザが目にし
た実世界上のオブジェクトから情報を直接入手する通信
システム、送信装置、並びに受信装置に関する。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、可視光や非可
視光(あるいはその他の電磁波)などのようにオブジェ
クトから直接出力されるデータを基にオブジェクトに関
連した情報を取得する通信システム、送信装置、並びに
受信装置に係り、特に、読み取り機器をオブジェクトに
向けるような手作業を必要とせずにユーザが目にしたオ
ブジェクトからデータを直接入手してオブジェクトに関
連した情報を取得する通信システム、送信装置、並びに
受信装置に関する。
【0003】
【従来の技術】情報処理技術や情報通信技術が高度に発
達した現代においては、パーソナル・コンピュータ(P
C)や携帯情報端末を始めとする情報機器がオフィスや
家庭内などの実世界上のいたるところに遍在する。この
ような環境下では、機器どうしを接続して、いつでもど
こでも欲しい情報を入手できるようにする「ユビキタス
(Ubiquitous)・コンピューティング」の実現が期待さ
れる。
【0004】例えば、携帯電話やBluetooth、
あるいはIEEE802.11に代表される無線LAN
などの無線通信技術により、ユーザはケーブルから解放
され、気ままに歩き回りながらネットワークにアクセス
できる環境が現実のものとなりつつある。
【0005】また、デバイスの小型化が進み、実世界に
さまざまなネットワーク・デバイスを配置して、ユーザ
とデバイスが連携しながらタスクを実現するという作業
環境に移行しつつある。これに伴って、ユーザとコンピ
ュータとのインタラクション・スタイルが変化すること
が容易に予想される。
【0006】ネットワーク越しにさまざまな情報が得ら
れることは極めて便利であるが、そのために複雑なネッ
トワーク操作を行なわなければならないのではむしろ不
便である。
【0007】例えば、ネットワーク上でデータ転送先と
なるコンピュータや周辺機器(すなわちターゲット)を
指定したり、あるいは実世界上のオブジェクトに関連し
た情報を入手しようとすると、すぐ目の前にある相手で
あっても、その名前(若しくは、機器固有のIDやネッ
トワーク・アドレス、ホスト・ネーム、URL(Unifor
m Resource Locator)又はURI(Uniform Resource I
dentifier)などの資源識別情報を知る必要がある。す
なわち、ユーザ操作に関して言えば、間接的な形式でし
かコンピュータ間の連携がなされておらず、直感性にや
や欠ける。
【0008】このような煩雑な手続を省略するための技
術として、「サイバーコード(Cybercode)」や「フィ
ールド・マウス(FieldMouse)」、RFタグのような、
実世界コンピューティングを利用した手法が提案されて
いる。これらの手法によれば、ユーザは意識してネット
ワークにアクセスする必要はなく、自動的に拾われたオ
ブジェクトのIDなどから、オブジェクトに関連する情
報を獲得することができる。
【0009】ここで、サイバーコードとは、モザイク状
の2次元バーコードであり、n×m(例えば7×7)マ
トリックスにセルが配列されたコード・パターン表示領
域内で各セルを白又は黒の2値表現することで識別情報
を付与することができる。サイバーコードの認識手順
は、撮像画像を2値化するステップと、2値画像中から
ガイド・バーの候補を発見するステップと、ガイド・バ
ーの位置や方向に基づいてコーナー・セルを探索するス
テップと、ガイド・バー及びコーナー・セルを検出した
ことに応答して画像ビットマップ・パターンを復号化す
るステップで構成される。
【0010】例えば、2次元バーコードに対してあらか
じめアプリケーションなどの機能や、機器ID、ネット
ワーク・アドレス、ホスト・ネーム、URLなどを登録
しておく。そして、カメラの撮影画像から2次元バーコ
ードを認識したことに応答して、コンピュータは、登録
されたアプリケーションを実行させたり(例えば「メー
ルを起動する」など)、認識されたIDを基に相手のネ
ットワーク・アドレスを探索して自動的に接続を果たし
たり、認識されたURLを基に資源アクセスを行ったり
することができる。
【0011】また、RFタグは、固有の識別情報や読み
書き可能な記憶領域を含んだデバイスであり、特定周波
数の電波を受信したことに応答して識別情報や記憶され
ている情報に相当する電波を発信する動作特性を持ち、
読み取り装置側で無線タグの識別情報や記憶領域に書き
込まれている情報を読み出すことができる。したがっ
て、無線タグの識別情報として機器IDやネットワーク
・アドレス、ホスト・ネームを持たせたり、記憶領域に
URLやその他のオブジェクトに関連する情報を書き込
んでおくことにより、システムでは、登録されたアプリ
ケーションを実行させたり(例えば「メールを起動す
る」など)、認識されたIDを基に相手のネットワーク
・アドレスを探索して自動的に接続を果たしたり、認識
されたURLを基に資源アクセスを行ったりする。
【0012】また、フィールド・マウスとは、ID検出
装置と相対位置検出装置の任意の組み合わせで構成され
る実世界指向インターフェースである。ID検出装置に
は、バーコード、2次元バーコード、RFタグなどを利
用し、相対位置検出装置にはマウス、ジャイロ、加速度
検出器などを利用する。ユーザは、最初にフィールド・
マウスで場所の分かっているIDを読み込んで、次に、
相対位置検出によりその場所の絶対位置を知る。例え
ば、平面にバーコードなどのIDを貼設するだけで、任
意の紙や平面をタブレットのような絶対位置入力装置と
して利用することができる。また、IDを読み込んだ後
の移動量や方向を解析することで、紙や任意の平面をコ
ンピュータ画面と同様のGUI(Graphical User Inter
face)として用いることができる。
【0013】しかしながら、2次元バーコードのような
空間的情報の解析によりオブジェクトに関連する情報を
引き出すような手法においては、ノイズに対する安定性
や、カメラから2次元バーコードまでの距離に対する制
限、さらには、ビデオのフレームレートによる情報伝達
速度の制限などのさまざまな制約が存在する。
【0014】また、2次元バーコードやフィールド・マ
ウス、RFタグを適用したシステムでは、ユーザは、オ
ブジェクトから情報を獲得しようとしたとき、読み取り
機器をオブジェクトに向ける必要がある。すなわち、ユ
ーザは読み取り機器を手に持って操作しなければなら
ず、作業が煩雑であるとともに、直感性にやや欠ける。
【0015】発達した通信技術を充分に使いこなすため
には、直感的に理解でき、簡単な操作でネットワーク操
作を行うデバイスが必要である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ネッ
トワーク・アドレス、ホスト・ネーム、URLなどの実
世界上のオブジェクトに関連した情報を複雑なネットワ
ーク操作なしに入手することができる、優れた通信シス
テム、送信装置、並びに受信装置を提供することにあ
る。
【0017】本発明のさらなる目的は、ユーザの目の前
にある又はユーザが目にした実世界上のオブジェクトか
ら情報を直接入手することができる、優れた通信システ
ム、送信装置、並びに受信装を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、上記
課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面
は、1以上の実世界オブジェクトが存在する実空間上に
おいて実世界オブジェクトに関連する情報を転送する通
信システムであって、各実世界オブジェクトに設置され
て、送信データを表す点滅パターンを生成する符号化・
変調処理部と、該点滅パターンを持つ光信号を発光する
発光部とで構成される送信装置と、ユーザの眼球からの
前記光信号の反射光を受光する受光部と、受光信号を復
調・復号処理する復調・復号処理部と、復号後のデータ
の処理を行うデータ処理部とで構成される受信装置と、
を具備することを特徴とする通信システムである。
【0019】但し、ここで言う「システム」とは、複数
の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が
論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュ
ールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0020】本発明の第1の側面に係る通信システムに
よれば、実世界上のオブジェクトに光信号を送出する送
信機を設置して、機器IDやネットワーク・アドレス、
ホスト・ネーム、URLなどの情報を光信号データとし
て送信する。一方の受光器を、ユーザの眼球の反射光を
受光できる場所に設置する。そして、眼球から反射され
た光信号を受光し、復調及び復号、並びに復号されたデ
ータをデコードして、実世界上のオブジェクトに関連し
た情報を取り出して、オブジェクトとのネットワーク接
続、関連するリソースへのアクセス、プログラムの実行
などを行うことができる。
【0021】本発明の第1の側面に係る通信システムに
よれば、眼球の反射光から光信号を受信することから、
読み取り機器を手で持ってオブジェクトに向けるような
作業を必要としない。また、ユーザが所望のオブジェク
トを眺めていることを前提としてデータを受信すること
から、カメラの撮像画像から2次元バーコードを認識す
る場合のように空間上から注視点を抽出するような処理
を必要としない。
【0022】例えば、ユーザの視界の中にあるネットワ
ーク・デバイスと自動的に通信リンクを作成する機能を
ユーザが携帯している端末に持たせることによって、直
感的に理解でき、且つ、簡単な操作でネットワーク操作
を行なうことが可能となる。
【0023】ここで、本発明の第1の側面に係る通信シ
ステムは、実世界オブジェクトに関連する情報として、
例えば、オブジェクトのIDや、ネットワーク・アドレ
ス、ホスト・ネーム、URL(Uniform Resource Locat
or)、音楽やテキストなどのコンテンツ、プログラム・
コードやその他のコマンド情報などを転送することがで
きる。
【0024】また、前記データ処理部は、復号後のデー
タを解析して、取得したオブジェクトIDに基づく実世
界オブジェクトの認識・同定、ネットワーク・アドレス
やホスト・ネームの取得に基づくオブジェクトとのネッ
トワーク接続の確立、URLの取得に基づくWWW情報
探索空間での実世界オブジェクトに関連する情報の取
得、音楽やテキストなどの受信コンテンツの再生、受信
プログラムの起動、割り当てられたアプリケーションの
実行などを行うことができる。
【0025】また、前記受信装置は、前記受光部をユー
ザの眼球からの反射光を受光可能な場所で保持する保持
手段を備えていることが好ましい。例えば、眼鏡やゴー
グル、ヘッドセットなどの頭部に搭載する機材で受光部
を眼球の近傍で保持するようにすればよい。
【0026】一般に人の顔は額が頬に比べて高く形成さ
れているので、保持手段は、眼球の下側から瞳孔を見上
げる位置に受光部を配置することにより、比較的狭い空
間に受光部を効率的に収容することができる。
【0027】また、前記受信装置は、前記受光部がユー
ザの眼球以外の身体からの反射光やその他の散乱光など
のノイズの要因となる余分な光を遮る視野限定手段を備
えていることが好ましい。
【0028】また、前記受信装置は、ユーザが瞬きして
いる期間や実世界オブジェクトから目線を外したとき
は、ユーザは実世界オブジェクトに関心がない、又は、
実世界オブジェクトからの情報の取得を期待していない
と考えられるので、受信データの処理を行わないように
することが好ましい。例えば、前記復調・復号処理部又
や前記データ処理部は、前記受光部の受光強度が所定の
閾値を下回る期間は受信データの処理を行わないように
すればよい。このように無駄な期間のオペレーションを
停止することにより、消費電力の低減にもつながる。
【0029】また、前記送信装置は、ユーザが瞬きする
間隔以内のフレーム長を持つデータ・フレームとして光
信号を送信することが好ましい。
【0030】また、各実世界オブジェクトとユーザ端末
とを接続する通信媒体をさらに備えていてもよい。この
ような場合、前記データ処理部は、受信データを基に実
世界オブジェクトの通信媒体上のアドレスを取得して、
ユーザ端末と実世界オブジェクトとの接続を確立するこ
とができる。
【0031】したがって、ユーザは、どこに移動して
も、実世界オブジェクトを見るだけで、オブジェクトの
IDや、ネットワーク・アドレス、ホスト・ネーム、U
RLなどの実世界上のオブジェクトに関連した情報を実
世界オブジェクトから直接引き出して、ネットワーク接
続を確立することができ、ユビキタス・コンピューティ
ングが好適に実現される。
【0032】例えば、ユーザの視界の中にあるネットワ
ーク・デバイスと自動的に通信リンクを作成する機能を
ユーザが携帯している端末に持たせることによって、直
感的に理解でき、且つ、簡単な操作でネットワーク操作
を行なうことが可能となる。
【0033】また、本発明の第1の側面に係る通信シス
テムにおいて、伝送媒体に用いる光源は、可視光又は非
可視光のいずれであっても構わない。例えば近赤外線な
どの非可視光を用いた場合、非可視であることから、デ
ータ伝送中であるかどうかをユーザに意識させることが
ないので、ユーザの他の作業との並行性を維持し易くな
る。他方、可視光を用いた場合、空気中での減衰が著し
いので、ノイズ対策やデータの再現性を確保するための
信号処理が必要となる。勿論、眼球からの反射特性があ
れば、光以外として定義される帯域の電磁波を伝送媒体
に用いてもよい。
【0034】前記受光部は、例えばフォトダイオードで
構成されて、ユーザの眼球からのすべての反射光の受光
強度を同時に検出することができる。このような場合、
前記データ処理部は受光強度に応じたデータ処理を行な
うことができる。
【0035】あるいは、前記受光部は、例えばエリア・
センサで構成されて、ユーザの眼球からの反射光を平面
的・空間的に捕捉することができる。このような場合、
前記データ処理部は、受光した光信号が持つ強度だけで
なく、その平面的又は空間的情報を複合的に処理するこ
とができる。例えば、同じ光信号データであっても、受
光平面上で受光又は結像した位置、言い換えれば、発光
部としての光源の位置に応じてその意味解釈を変えるこ
とができる。
【0036】また、前記発光部は、空間上に配置された
複数の光源で構成されて、複数の光信号を送出するよう
にしてもよい。このような場合、送信装置側では、個々
の光源の点滅パターンだけでなく、複数の信号源からの
点滅パターンの組み合わせや、各光源の空間的位置関係
によって、送信データを表現することができる。そし
て、受信側で前記受光部がエリア・センサなどで構成さ
れて、ユーザの眼球からの反射光を平面的・空間的に捕
捉することができる場合には、これら複数の光信号を同
時に受信することができる。あるいは、前記受光部が単
一のフォトダイオードなどによって構成されて、複数の
光信号を同時に受信して、これらの各信号を分離してデ
ータを復元することも可能である。例えば、スペクトラ
ム拡散方式の信号伝送を行なうことにより、信号分離を
実現することができる(後述)。
【0037】また、前記受信装置は、ユーザの眼球から
の反射光を直接受光する第1の受光部と、偏光手段を介
してユーザの眼球からの反射光を受光する第2の受光部
を備えていてもよい。角膜表面での反射光には、入射面
に平行なP偏光成分と垂直なS偏光成分が含まれてい
る。これらの成分は、フレネルの法則により、それぞれ
入射角と屈折角に対応して決定されるのに対して、皮膚
や強膜からの反射光はあらゆる偏光を均等に含む非偏光
である。このため、第1の受光部は、角膜表面からの偏
光を含んだ反射光と、皮膚や強膜からの非偏光である反
射光の双方を受光することができる。これに対し、第2
の受光部は、偏光板などの偏光手段を介することによっ
て、特定の偏光成分のみを除去した光を受光する。そこ
で、前記復調・復号処理部は、前記第1の受光部におけ
る第1の受光信号と前記第2の受光部における第2の受
光信号との差分をとることによって、角膜からの反射光
のみの受光信号を抽出することができる。本発明に係る
通信システムは、ユーザの眼球からの反射により光信号
を送受信するものであるが、このように角膜表面からの
反射光を利用することが望ましい。
【0038】あるいは、前記受信装置は、第1の偏光手
段を介してユーザの眼球からの反射光を受光する第1の
受光部と、前記第1の偏光手段とは90゜の位相差を持
つ第2の偏光手段を介してユーザの眼球からの反射光を
受光する第2の受光部を備えていてもよい。第1及び第
2の偏光手段として、位相差を持つ2種類の偏光板を用
いてもよいし、あるいは偏光ビーム・スプリッタのよう
な光学部品を用いてもよい。
【0039】角膜表面での反射光は偏光であるが、皮膚
や強膜からの反射光はあらゆる偏光を含む非偏光であ
る。したがって、この場合も、前記復調・復号処理部
は、前記第1の受光部における第1の受光信号と前記第
2の受光部における第2の受光信号との差分をとること
によって、角膜からの反射光のみの受光信号を抽出する
ことができる。本発明に係る通信システムは、ユーザの
眼球からの反射により光信号を送受信するものである
が、このように角膜表面からの反射光を利用することが
望ましい。
【0040】また、本発明の第1の側面に係る通信シス
テムは、スペクトラム拡散方式を用いて光信号の伝送を
行なうようにしてもよい。すなわち、前記符号化・変調
処理部は送信信号をスペクトラム拡散変調するととも
に、前記復調・復号部は受光信号を逆拡散するようにし
てもよい。
【0041】スペクトラム拡散方式を用いた場合、送信
信号は広帯域に拡散された低レベルの信号として伝送さ
れるとともに、受信側では逆拡散処理により高いレベル
の信号として取り出される。また、伝搬路上のノイズは
逆拡散処理により低いレベルの信号となる。したがっ
て、空気中の減衰などの問題のある可視光を伝送媒体と
して使用する場合であっても、好適な通信品質が得られ
るので、さまざまな光線状態においても交信が可能な堅
牢な通信システムを構築することができる。また、拡散
符号が一種の暗号キーとして作用することから、通信シ
ステムの秘匿性が高まる。
【0042】本発明の第1の側面に係る通信システムに
スペクトラム拡散を適用する方法としては、送信信号と
しての点滅パターンの点滅周期を拡散・逆拡散する方法
と、伝送媒体としての光の周波数を拡散・逆拡散する方
法とを挙げることができる。
【0043】また、本発明の第2の側面は、実空間上で
実オブジェクトに関連する情報を送信する送信装置であ
って、実オブジェクトの近傍に設置する手段と、送信デ
ータを表す点滅パターンを生成する符号化・変調処理部
と、該点滅パターンを持つ光信号を発光する発光手段
と、を具備することを特徴とする送信装置である。
【0044】本発明の第2の側面に係る送信手段は、実
世界オブジェクトに関連する情報として、例えば、オブ
ジェクトのIDや、ネットワーク・アドレス、ホスト・
ネーム、URL(Uniform Resource Locator)、音楽や
テキストなどのコンテンツ、プログラム・コードやその
他のコマンド情報などを送信することができる。
【0045】受信装置側では、実世界オブジェクトを眺
めるユーザの眼球からの反射光を受光することから、本
発明の第2の側面に係る送信手段は、ユーザが瞬きする
間隔以内のフレーム長の光信号を送信することが好まし
い。
【0046】また、本発明の第2の側面に係る送信装置
は、伝送媒体に用いる光源は、可視光又は非可視光のい
ずれであっても構わない。例えば近赤外線などの非可視
光を用いた場合、非可視であることから、データ伝送中
であるかどうかをユーザに意識させることがないので、
ユーザの他の作業との並行性を維持し易くなる。他方、
可視光を用いた場合、空気中での減衰が著しいので、受
信側ではノイズ対策やデータの再現性を確保するための
信号処理が必要となる。勿論、眼球からの反射特性があ
れば、光以外として定義される帯域の電磁波を伝送媒体
に用いてもよい。
【0047】また、前記発光手段は、空間上に配置され
た複数の光源で構成されて、複数の光信号を送出するよ
うにしてもよい。このような場合、送信装置は、個々の
光源の点滅パターンだけでなく、複数の信号源からの点
滅パターンの組み合わせや、各光源の空間的位置関係に
よって、送信データを表現することができる。また、受
信側においては、ユーザの眼球からの反射光を平面的・
空間的に捕捉してもよい。
【0048】また、本発明の第2の側面に係る送信装置
は、スペクトラム拡散方式を用いて光信号の伝送を行な
うようにしてもよい。このような場合、前記符号化・変
調処理手段は送信信号をスペクトラム拡散変調する。ま
た、受信側においては、受光信号を逆拡散すればよい。
【0049】スペクトラム拡散方式を用いることによっ
て、さまざまな光線状態においても交信が可能な堅牢な
通信システムを構築することができる。したがって、空
気中の減衰などの問題のある可視光を伝送媒体として使
用する場合であっても、好適な通信品質が得られる。
【0050】本発明の第2の側面に係る送信装置がスペ
クトラム拡散を適用する方法としては、送信信号として
の点滅パターンの点滅周期を拡散・逆拡散する方法と、
伝送媒体としての光の周波数を拡散・逆拡散する方法と
を挙げることができる。
【0051】また、本発明の第3の側面は、1以上の実
世界オブジェクトが存在する実空間上において実世界オ
ブジェクトに関連する情報を受信する受信装置であっ
て、光信号をユーザの眼球からの反射光として受光する
受光手段と、受光信号を処理する復調・復号手段と、復
号処理後のデータの処理を行うデータ処理手段と、を具
備することを特徴とする受信装置である。
【0052】本発明の第3の側面に係る受信装置は、実
世界オブジェクトに関連する情報として、例えば、オブ
ジェクトのIDや、ネットワーク・アドレス、ホスト・
ネーム、URL(Uniform Resource Locator)、音楽や
テキストなどのコンテンツ、プログラム・コードやその
他のコマンド情報などを、実世界オブジェクトから直接
受信することができる。
【0053】また、前記データ処理手段は、復号処理後
のデータを解析して、取得したオブジェクトIDに基づ
く実世界オブジェクトの認識・同定、ネットワーク・ア
ドレスやホスト・ネームの取得に基づくオブジェクトと
のネットワーク接続の確立、URLの取得に基づくWW
W情報探索空間での実世界オブジェクトに関連する情報
の取得、音楽やテキストなどの受信コンテンツの再生、
受信プログラムの起動、割り当てられたアプリケーショ
ンの実行などを行うことができる。
【0054】また、本発明の第3の側面に係る受信装置
は、前記受光手段をユーザの眼球の反射光を受光可能な
場所で保持する保持手段をさらに備えていてもよい。例
えば、眼鏡やゴーグル、ヘッドセットなどの頭部に搭載
する機材で受光手段を保持するようにすればよい。一般
に人の顔は額が頬に比べて高く形成されているので、保
持手段は、眼球の下側から瞳孔を見上げる位置に受光部
を配置することにより、比較的狭い空間に受光部を効率
的に収容することができる。
【0055】また、本発明の第3の側面に係る受信装置
は、前記受光手段からユーザの眼球以外の身体からの反
射光やその他の散乱光などのノイズの要因を遮る視野限
定手段をさらに備えていてもよい。
【0056】また、本発明の第3の側面に受信装置は、
可視光又は非可視光のいずれを伝送媒体として用いても
構わない。例えば近赤外線などの非可視光を伝送媒体に
用いた場合、非可視であることから、データ伝送中であ
るかどうかをユーザに意識させることがないので、ユー
ザの他の作業との並行性を維持し易くなる。他方、可視
光を用いた場合、空気中での減衰が著しいので、ノイズ
対策やデータの再現性を確保するための信号処理が必要
となる。勿論、眼球からの反射特性があれば、光以外と
して定義される帯域の電磁波を伝送媒体に用いてもよ
い。
【0057】また、本発明の第3の側面に係る受信装置
は、ユーザが瞬きしている期間や実世界オブジェクトか
ら目線を外したときは、ユーザは実世界オブジェクトに
関心がない、又は、実世界オブジェクトからの情報の取
得を期待していないと考えられるので、受信データの処
理を行わないようにすることが好ましい。例えば、前記
復調・復号処理手段や前記データ処理手段は、前記受光
手段の受光強度が所定の閾値を下回る期間は受信データ
の処理を行わないようにすればよい。
【0058】実空間には、各実世界オブジェクトとユー
ザ端末とを接続する通信媒体が存在している。このよう
な場合、前記データ処理手段は、受信データを基に実世
界オブジェクトの通信媒体上のアドレスを取得して、ユ
ーザ端末と実世界オブジェクトとの接続を確立すること
ができる。
【0059】前記受光手段は、例えばフォトダイオード
で構成されて、ユーザの眼球からのすべての反射光の受
光強度を同時に検出することができる。このような場
合、前記データ処理部は受光強度に応じたデータ処理を
行なうことができる。
【0060】あるいは、前記受光手段は、例えばエリア
・センサで構成されて、ユーザの眼球からの反射光を平
面的・空間的に捕捉することができる。このような場
合、前記データ処理手段は、受光した光信号が持つ強度
だけでなく、その平面的又は空間的情報を複合的に処理
することができる。例えば、同じ光信号データであって
も、受光平面上で受光又は結像した位置、言い換えれ
ば、送信側における信号源の位置に応じてその意味解釈
を変えることができる。
【0061】また、前記受光手段は、ユーザの眼球から
の反射光を直接受光する第1の受光部と、偏光手段を介
してユーザの眼球からの反射光を受光する第2の受光部
を備えていてもよい。角膜表面での反射光は偏光である
が、強膜や皮膚からの反射光はあらゆる偏光を含む非偏
光である。第1の受光部は角膜表面からの全反射光と、
皮膚や強膜からの自然反射光の双方を受光する。これに
対して、第2の受光部は、偏光板などの偏光手段を介し
て特定の変更成分を除去することにより、皮膚や強膜か
らの自然反射光のみを受光する。そして、前記復調・復
号処理部は、前記第1の受光部における第1の受光信号
と前記第2の受光部における第2の受光信号との差分を
とることによって、角膜からの反射光のみの受光信号を
抽出することができる。ユーザの眼球からの反射光で光
信号を受信する通信システムでは、このように他の部位
からの反射光を排して角膜表面からの反射光を利用する
ことが望ましい。
【0062】あるいは、前記受光手段は、第1の偏光手
段を介してユーザの眼球からの反射光を受光する第1の
受光部と、前記第1の偏光手段とは90゜の位相差を持
つ第2の偏光手段を介してユーザの眼球からの反射光を
受光する第2の受光部を備えていてもよい。第1及び第
2の偏光手段として、位相差を持つ2種類の偏光板を用
いてもよいし、あるいは偏光ビーム・スプリッタのよう
な光学部品を用いてもよい。
【0063】この場合も、前記復調・復号処理部は、前
記第1の受光部における第1の受光信号と前記第2の受
光部における第2の受光信号との差分をとることによっ
て、角膜からの反射光のみの受光信号を抽出することが
できる。
【0064】また、本発明の第2の側面に係る受信装置
は、スペクトラム拡散方式を適用した光信号の受信を行
なうようにしてもよい。この場合、送信側でスペクトラ
ム拡散変調された光信号を受信して、前記復調・復号部
はこれを逆拡散する。
【0065】スペクトラム拡散方式を用いることによっ
て、さまざまな光線状態においても交信が可能な堅牢な
通信システムを構築することができる。したがって、空
気中の減衰などの問題のある可視光を伝送媒体として使
用する場合であっても、好適な通信品質が得られる。
【0066】本発明の第3の側面に係る受信装置がスペ
クトラム拡散を適用する方法としては、送信信号として
の点滅パターンの点滅周期を拡散・逆拡散する方法と、
伝送媒体としての光の周波数を拡散・逆拡散する方法と
を挙げることができる。
【0067】本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、
後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより
詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態について詳解する。
【0069】A.眼球からの反射光を利用した通信シス
テム A−1.システム構成 本発明は、オブジェクトから直接出力される電磁波信号
を基にオブジェクトに関連した情報を取得することがで
きるシステムを提供するものである。ここで言う電磁波
とは、近赤外光などのような非可視光や可視光などを挙
げることができる。但し、受信側ではユーザの眼球から
の反射光を利用することから、眼球に吸収されずに反射
する周波数帯域の電磁波を採用する必要がある。以下で
説明する本発明の実施形態では、伝送媒体として近赤外
線光を用いた場合を中心に説明することにする。
【0070】実世界上のオブジェクトに近赤外線送信機
を設置して、機器IDやネットワーク・アドレス、ホス
ト・ネーム、URL/URIなどの情報を近赤外線デー
タとして送信する。一方の近赤外線受信機を、ユーザの
眼球の反射光を受光できる場所に設置する。そして、眼
球から反射された近赤外線データを信号処理及びデコー
ドして、実世界上のオブジェクトに関連した情報を取り
出して、オブジェクトとのネットワーク接続、関連する
リソースへのアクセス、プログラムの実行などを行うこ
とができる。勿論、ユーザの視界の中にあるネットワー
ク・デバイスと自動的に通信リンクを作成することも可
能である。
【0071】眼球の反射光から近赤外線データを受信す
ることから、読み取り機器を手で持ってオブジェクトに
向けるような作業を必要としない。また、ユーザが所望
のオブジェクトを眺めていることを前提としてデータを
受信することから、カメラの撮像画像から2次元バーコ
ードを認識する場合のように空間上からユーザの注視点
を抽出するような処理を必要としない。また、画像フレ
ーム・ベースの処理を必要としない。
【0072】図1には、眼球の反射光を利用してオブジ
ェクトと通信を行うことができる、本発明の一実施形態
に係る通信システム10の構成を模式的に示している。
【0073】同図に示すように、この通信システム10
では、送信側は、実世界上のオブジェクトに取り付けら
れており、近赤外線信号を送出する送信器11で構成さ
れる。また、受信側は、ユーザの眼球から反射された近
赤外線信号を受光・検出する受光器12と、検出信号に
対して増幅、アナログ−デジタル変換、閾値処理、フィ
ルタリングなどの復調及び復号処理を行う信号処理部1
3と、復号処理後のデジタル・データを解析して該当す
るアプリケーション/サービスを実行するコンピュータ
14とで構成される。
【0074】送信器11は、オブジェクト表面の見え易
い場所に設置された発光部と、送信データを符号化及び
変調処理して点滅パターンを生成するデータ処理部(い
ずれも図示しない)を備えている。
【0075】発光部には、例えば波長870nmの赤外
線を照射する発光ダイオードを使用して、変調信号に基
づいてパルス発光させる。例えば、100マイクロ秒周
期でデューティ5%のパルスを用いて1つのシンボルを
表すようにしてもよい。
【0076】単一の発光ダイオードで充分な出力が得ら
れない場合には、例えば、発光ダイオードを例えばN×
Mマトリックス状に配置したものを発光部として用いて
もよい。
【0077】あるいは、複数の発光ダイオードを平面的
又は空間的に配置して発光部を構成してもよい(後
述)。この場合、個々の発光ダイオードの点滅パターン
だけでなく、複数の信号源からの点滅パターンの組み合
わせや、各信号源の空間的位置関係によって、送信デー
タを表現することができる。
【0078】送信器11側では、送信信号をスペクトラ
ム拡散して光信号を送出するようにしてもよい。スペク
トラム拡散方式を用いた場合、送信信号は広帯域に拡散
された低レベルの信号として伝送されるとともに、受信
側では逆拡散処理により高いレベルの信号として取り出
される。また、伝搬路上のノイズは逆拡散処理により低
いレベルの信号となる。したがって、空気中の減衰など
の問題のある可視光を伝送媒体として使用する場合であ
っても、好適な通信品質を得ることができる。また、拡
散に用いる符号系列が一種の暗号キーとして作用するこ
とから、通信システムの秘匿性が高まる。スペクトラム
拡散方式を用いた通信システム10については、後に詳
解する。
【0079】送信器11側からの送信データとしては、
例えば、オブジェクトのIDや、ネットワーク・アドレ
ス、ホスト・ネーム、URL(Uniform Resource Locat
or)/URI(Uniform Resource Identifier)などの
実世界上のオブジェクトに関連した情報、音楽やテキス
トなどのコンテンツ、エージェントなどのネットワーク
・プログラムやその他のコマンド情報などを挙げること
ができる。
【0080】一方、受光器12は、ユーザの眼球の近傍
に設置されて、ユーザがオブジェクト又はオブジェクト
上に設置された送信器11を注視している間(但し、目
蓋を閉じている間を除く)に眼球からの反射光を受光し
て、受光量に応じた強度の電流信号に変換するようにな
っている。
【0081】このように、ユーザの眼球の近傍に設置す
るために、例えば眼鏡やゴーグル、ヘッドセットなどの
頭部に搭載する機材に受光器12を取り付けることが好
ましい。図2には、受光器12をゴーグルに取り付けた
様子を示している。一般に人の顔は額が頬に比べて高く
形成されているので、眼球の下側から瞳孔を見上げるよ
うに受光部12を配置することにより(図3を参照のこ
と)、比較的狭い空間に受光部を効率的に収容すること
ができる。
【0082】また、眼球の近傍であっても、頬や額など
の皮膚からの反射光やその他の散乱光などのノイズ要因
を排除するために、受光部12が余分な光を拾わないよ
うにすることが好ましい。図1に示す例では、受光器1
2を円筒状の視野限定器(絞り)15内に収容して、そ
の円筒の中心軸を眼球に向けるようにしている。
【0083】受光器12には、例えばフォトダイオード
(PD)を使用することができる。フォトダイオードの
半値幅は15゜である。フォトダイオードは入射した光
信号の放射照度に比例した電流を生成する光電素子であ
る。
【0084】信号処理部13では、受光器12による検
出信号に対して増幅、アナログ−デジタル変換、閾値処
理、フィルタリングなどの復調・復号処理を行う。例え
ば、ユーザが目蓋を閉じているときやオブジェクト又は
送信器11から目線を外しているときには、検出信号強
度は低下する(図4を参照のこと)。そこで、所定の閾
値を下回っているときには、ユーザが目蓋を閉じていた
りオブジェクト又は送信器11から目線を外していて有
効なデータを受信できないと判断して、カットするよう
にする。
【0085】図5には、信号処理部13内の増幅部の内
部構成を図解している。増幅部では、フォトダイオード
から電流を電流電圧変換回路(I−V)で電圧信号に変
換して、10,000倍に増幅する。そして、増幅した
電圧信号から光信号の変調成分のみを検出するために、
ハイパス・フィルタ(HPF)を通過させ、さらに高周
波の伊豆を減衰させるためにローパス・フィルタ(LP
F)を通過させる。
【0086】なお、送信器11側が送信信号を広帯域に
スペクトラム拡散して伝送する場合には、信号処理部1
3では逆拡散処理により高いレベルで受光信号を取り出
すことができる。スペクトラム拡散方式を用いた通信シ
ステム10については、後に詳解する。
【0087】受光器12及び信号処理部13は、反射光
の点滅パターンの検出を行う能力があれば充分であり、
画像フレームの処理などを必要とせず、小型且つ軽量
で、安価に製作することが可能である。また、上述した
ように、受光器12及び信号処理部13をゴーグルや眼
鏡、ヘッドセットに搭載する(図2を参照のこと)な
ど、ウェアラブル機器としてデザインすることも可能で
ある。フォトダイオードなどで構成される受光器12が
ユーザの視界にあるのみで、また、波長の長い非可視光
を用いているので、その強度も室内の一般照明程度ある
いはそれ以下であることから、使用上で人体の健康を害
する危険はない。
【0088】コンピュータ14は、信号処理部13をイ
ンターフェース接続しており、信号処理後のデジタル・
データを解析して該当する処理を実行する。ここで言う
データの解析には、取得したオブジェクトIDに基づく
実世界オブジェクトの認識・同定、ネットワーク・アド
レスやホスト・ネームの取得に基づくオブジェクトとの
ネットワーク接続の確立、URLの取得に基づくWWW
情報探索空間での実世界オブジェクトに関連する情報の
取得、音楽やテキストなどの受信コンテンツの再生、エ
ージェントなどの受信プログラムの起動、割り当てられ
たコマンド(アプリケーション)の実行など、さまざま
なコンピュータ処理が含まれる。
【0089】コンピュータ14は、パーソナル・コンピ
ュータ(PC)のような大型の機器である必要は必ずし
もなく、例えば、PDA(Personal Digital Assistan
t)や携帯電話機、その他ポケットに入るような小型の
情報端末でもよい。
【0090】本実施形態に係る通信システム10は、ユ
ーザは関心のあるオブジェクトを眺めている、あるいは
目で追っているということを前提としてする。すなわ
ち、オブジェクトから発信される近赤外線のような非可
視光線データをユーザは目で見ているので、眼球からの
反射光によって非可視光線データを受信することができ
る。ユーザは、オブジェクトからのデータやメッセージ
を受け取るために、読み取り機器をオブジェクトに向け
たり近付けたりボタンを操作するといった意識的な作業
を行う必要はまったくなく、単に関心のあるオブジェク
トを見つめるというごく自然な動作を振舞うだけでよ
い。また、ユーザがオブジェクトを向いていることか
ら、システム側は、ユーザの注視点を探索する必要がな
く、処理が軽くて済む。
【0091】本実施形態に係る通信システム10によれ
ば、ユーザは、オブジェクトからデータやメッセージを
受信するために、ボタンを押すなどの操作を一切する必
要がない。但し、必要に応じて、受け取ったデータやメ
ッセージに関連した操作を行ったり、あるいはオブジェ
クトに関連した操作を行うようにしてもよい。例えば、
受け取ったデータを音楽としてヘッドフォンから聞くこ
とができる。あるいは、オブジェクト又はその背景にあ
るネットワークに情報を返して、オブジェクトから受け
取る情報を変更する(例えば、情報送信を開始させた
り、中断させたり、再送させたりする)ことができる。
【0092】なお、オブジェクトからユーザへのデータ
送信には通信システム10を適用するが、ユーザからオ
ブジェクトへのデータ送信には通信システム10を用い
る必要は必ずしもない。例えば、Ethernet(登
録商標)のような一般的なローカル・エリア・ネットワ
ーク(LAN)や、IEEE802.11のような無線
LAN、Bluetoothのような近距離無線データ
通信などを用いてオブジェクトにデータを返すようにし
てもよい。
【0093】図1に示す例では、受光部12は、フォト
ダイオードのような受光強度に応じた電気信号を生成す
るデバイスで構成されている。この場合、ユーザの眼球
からのすべての反射光の受光強度を同時に検出すること
になるので、コンピュータ14においては単一光源がユ
ーザの眼球で反射して得られた受光強度に応じたデータ
処理を行なうことになる。
【0094】受光部12の変形例として、フォトダイオ
ードに変えてエリア・センサを適用することが考えられ
る(図11を参照のこと)。このような場合、ユーザの
眼球からの反射光を平面的・空間的に捕捉することがで
きる。したがって、コンピュータ14上では、受光した
光信号が持つ強度だけでなく、その平面的又は空間的情
報を複合的に処理することができる。例えば、同じ光信
号データであっても、受光平面上で受光又は結像した位
置、言い換えれば、発光部としての光源の位置に応じて
その意味解釈を変えることができる。
【0095】また、受光部12として反射光を平面的又
は空間的に捕捉するエリア・センサを用いた場合には、
これに合わせて、送信器11側の発光部も、空間上に配
置された複数のLEDによって構成するようにしてもよ
い(図11を参照のこと)。このような場合、送信器1
1側では、個々の光源の点滅パターンだけでなく、複数
の光源による点滅パターンの組み合わせや、各光源の空
間的位置関係によって、さまざまな送信データを表現す
ることができる。そして、受光部12がエリア・センサ
などで構成されて、ユーザの眼球からの反射光を平面的
・空間的に捕捉することができる場合には、これら複数
の光信号を一括して受信し、各光源の組み合わせで表現
されている平面的・空間的情報をデコードすることがで
きる。
【0096】また、送信器11側で信号源としての発光
部を複数備えた場合であっても、受光器12側はエリア
センサでなく、フォトダイオードによって各発光部から
の光信号を同時に受信するように構成することも可能で
ある。この場合、受光器12において同時に受信された
光信号を分離する必要があるが、この点については後に
詳解する。
【0097】図4には、受光器12による眼球からの近
赤外信号の受信強度を示している。上述したように送信
器11側では、近赤外光の点滅パターンという形態でデ
ータを送信する。したがって、点滅パターンの駆動周波
数を上げることによって、通信システム10のビットレ
ートが向上することは明瞭である。但し、近赤外光の点
滅に対する眼球の応答速度の問題がある。眼球からの反
射が追従しないほど高速に点滅させても、受光信号が鈍
るなど受信エラーを招来する。
【0098】図4に示す例では、周波数10Hzにて点
滅パターンを生成した場合の受光強度を示している。現
状では、1kHzまで高速に点滅させても近赤外信号を
受信処理できることが判っている。また、眼球からの反
射特性を向上させるために、ユーザが特殊コンタクト・
レンズを使用するなど、眼球の表面に工夫や処理を施す
ことも考えられる。
【0099】図4からも判るように、ユーザが目蓋を閉
じているときや、オブジェクトから目線をそらしている
ときには、眼球からの反射信号レベルは低下する。この
ような状況の変化を用いて、ユーザがオブジェクトに注
視している、オブジェクトが視野の中に入っている(視
野の中に入ってぼんやり見ている)といった、注目の度
合いに応じて、オブジェクトに関連した情報を反射した
近赤外線信号から直接検出することができる。例えば、
縦軸の目盛で言えば、0.475程度の受信信号強度レ
ベルを、オブジェクトが視界に入っていることの閾値に
することができる。
【0100】送信器11側では、サイズの大きなデータ
・フレームを送信した場合、瞬きする間隔に収まらない
ので、受信エラーを招来する。したがって、ユーザが瞬
きする間隔以内でデータ・フレームの送信が完結しなけ
ればならない。このように瞬きの間隔と、眼球の反射特
性から定まる近赤外光の駆動周波数から、通信システム
10のビットレートが定まる。
【0101】原理的には、IrDA(Infrared Data As
sociation)で実現されているような100kbps〜
10Mbpsまでのビットレートをこの通信システム1
0でも実現できると本発明者等は思料する。
【0102】また、ユーザが瞬きするタイミングは不定
であり、送信器11からは予測がつかない。したがっ
て、瞬きのためにデータ受信エラーが起きないような、
あるいは瞬きによる受信エラーが発生したときの再送制
御などを含んだ通信プロトコルが必要であろう。
【0103】A−2.通信環境 本発明は、送信器11からの近赤外光信号をユーザの眼
球からの反射光で観測することによって、ユーザの視界
にあるデバイスとの通信を可能にするものである。これ
によって、ユーザは所望のオブジェクトを眺めるだけで
通信リンクを確立することができる。
【0104】ここでは、眼球からの反射光を利用した近
赤外光信号の通信環境について考察してみる。
【0105】(1)環境1 まず、ユーザの正面に送信器11を設置して、ユーザが
これを直視したときのどのような信号を受信することが
できるのかを検討してみる。但し、ユーザと送信器11
との距離を1.0mに設定し、蛍光灯による赤外線ノイ
ズの影響を避けるために暗室内で通信を行なった。ま
た、送信器11からは5μsecのパルスをデューティ
5%で送信した。ユーザは着座し、正面の送信器11を
注視している状態で、受光器12においてユーザの眼鏡
からの反射光を検出する。
【0106】送信器11側で発信する光信号は5μse
cのパルス信号をデューティ5%で送信する。すなわ
ち、100μsec毎に1つのパルス信号が送信され
る。これに対し、受信機側では、光信号を電流に変換
し、さらに電圧信号に変換している。出力された電圧信
号は図6に示す通りとなる。
【0107】図6に示す例では、パルス信号自体はなま
ってしまっているが、パルスが100μsec毎に繰り
返されていることは充分に判別することができる。よっ
て、眼球からの反射光によって通信可能であることが理
解できよう。
【0108】(2)環境2 次いで、ユーザの眼球の旋回が通信状態のどのような影
響を及ぼすかについて観察する。
【0109】ここでは、上記の通信環境1の場合と同様
に、ユーザの正面に送信器11を設置して、ユーザがこ
れを直視しているものとする。但し、送信器11とユー
ザの眼球との相対的な位置を変化させるために、送信器
11の設置場所をユーザの上側、正面、下側という具合
に移動させてみる(図7を参照のこと)。
【0110】図8〜図10には、送信器11をユーザの
上側、正面、下側にそれぞれ設置した場合において、受
光器12がユーザの眼球からの反射光を受光した出力信
号を示している。送信器11の設置場所を変更すること
に応じて、これを注視するユーザの視線は変位する。す
なわち、ユーザの眼球は旋回する。
【0111】各図を比較しても判るように、ユーザの眼
球が旋回することに応じて、受光器12における受信信
号の強度は著しく変動する。これは、眼球の角度の変化
に連れて受信機12に入射する光が変化していくからで
ある。
【0112】図7において、視線Aはユーザが上目使い
をしたことに相当するが、受信信号が最も高くなる。こ
れに対して、視線が見下ろすようになるにつれて受信信
号の強度は弱まっていく。
【0113】図8〜図10に示すような受信信号の強度
の変化は、眼球の下側から反射信号を捉えた(図3を参
照のこと)ために生ずると考えられる。上下左右などの
複数の角度から眼球を観察して、各々の受信信号の強度
を比較することで、眼球運動による受信範囲のコントロ
ールが可能である。
【0114】上述した各通信環境における通信状態の観
察結果(図6、図8〜図10)から、近赤外線などの光
信号を反射させても、信号の成分が維持されていること
が判る。したがって、図1に示したようなユーザの眼球
を介した光信号の通信システム10が実現可能であるこ
とが確認できよう。
【0115】さらに、図8〜図10を比較して判るよう
に、ユーザの眼球を介した光信号の受信強度は眼球の旋
回状態に大いに依存する。このような特性を積極的に利
用することにより、光信号の送受信間に介在するユーザ
は、自身の眼球運動によって受信範囲をある程度コント
ロールすることが可能である。
【0116】A−3.角膜反射のみを観察するための工
本発明は、実世界オブジェクトが送出する光信号を、オ
ブジェクトを見つめるユーザの眼球からの反射光を用い
て受信するものである。ユーザは通信したい実世界オブ
ジェクトを単に見つめるという動作を行なうだけで、通
信リンクが自動的に確立される。ユーザはオブジェクト
を見るという直感的な動作以外に、複雑なネットワーク
操作を行なう必要がない。
【0117】ここで、眼球からの反射光を用いて光信号
を受信するという通信システム10を考えた場合、受信
感度が目の旋回運動の影響を受けることは既に述べた通
りである。さらに、ひとえに眼球からの反射光といって
も、眼球の表面は均一ではなく、角膜と強膜とでは反射
特性が相違する。また、受光器の受光範囲に皮膚が入っ
ていれば、皮膚からの反射光も受光することになる。
【0118】したがって、眼球反射を利用したより高精
度のデータ通信を実現するためには、眼球の各部位から
の反射光の影響を考慮する必要があると思料する。
【0119】送信器11からの光Sがユーザの眼球に到
達すると、角膜からの反射光(プルキンエ像)aと虹彩
や強膜、皮膚などからの反射光a'が生じる。特に、伝
送媒体として近赤外線を用いた場合、虹彩からの反射が
強くなることが知られている。本明細書中では、角膜で
は光は入射角と屈折角に応じた偏光成分を以って反射す
るとともに、皮膚や強膜では自然反射するものとする。
受光器12には、これら全反射光と自然反射光が重なり
合ったものが到達することになる(図12を参照のこ
と)。
【0120】このような場合、受光器12では入射した
放射照度Eに比例して電流を発生する。ここで、角膜で
反射された受光信号の強度をESaRとおき、強膜で反射
された受光信号の強度をESa'Rとおく。
【0121】本実施形態に係る通信システム10は、ユ
ーザの眼球からの反射により光信号を送受信するもので
あるが、角膜表面からの反射光を利用することが望まし
い。しかしながら、各反射光が重なり合って到達するた
め、受光器12の出力のみを観察しても、これらを分離
することは困難である。そこで、本発明者等は、受光器
12に到達する光信号のうち角膜表面からの反射光を分
離する仕組みを通信システム10に導入することを提案
する。
【0122】図13には、受光器12に到達する光信号
のうち角膜表面からの反射光を分離する仕組みの一例を
図解している。同図に示す例では、ユーザの眼球からの
反射光を捕捉するための2系統の受光器が利用される。
一方は、図12に示したように、ユーザの眼球からの反
射光を直接する受光器12(図13には図示しない)で
ある。他方は、図13に示したように、角膜、並びに強
膜や皮膚のそれぞれからの反射光の経路上に偏光板17
が配設され、受光器12’はこの偏光板17を介して眼
球からの反射光を受光する。そして、このように偏光板
17を使用した受光器12’を、偏光板を使用しない受
光器12の充分近傍に配置する。
【0123】ここで、偏光板は、所定方向に振幅を持つ
成分のみを透過する光学的性質を持ち、例えば、水面か
らの反射光を除去して水面下の魚を捉えるために利用す
ることができる。
【0124】角膜表面での反射光は、入射面に対して平
行な偏光成分Pと、垂直な偏光成分Sからなる。P偏光
とS偏光の反射率は、それぞれ入射光線の入射角と屈折
角によって決定される(フレネルの法則)。以下では、
説明の簡素化のため、入射光線が角膜で全反射した場合
を例にとる。全反射の場合、反射光線はP偏光を持たな
いため、議論が単純になる。この場合、角膜表面からの
反射光はS偏光のみを含むのに対して、強膜や皮膚から
の反射光はあらゆる偏光を含む自然偏光である。このた
め、一方の受光器12では、角膜表面で全反射された偏
光ESaRと、強膜や皮膚で反射された自然偏光ESa'R
双方を受光することができる。これに対し、他方の受光
器12’では、偏光板17が介在することによって、皮
膚や強膜で反射された自然偏光ESa'R'のみを受光す
る。
【0125】ここで、受光器12’は受光器12の充分
近傍に配設されていることから、受光器12における受
光信号のうち自然偏光成分ESa'Rは、他方の受光器1
2’における受光信号ESa'R'とほぼ同じ放射照度を持
つと推定される。
【0126】図14には、図13に示した2系統の受光
器からの出力信号を処理する信号処理部の構成を模式的
に示している。
【0127】同図に示すように、各受光器12及び1
2’の出力信号はそれぞれ差分器18に入力され、以下
に示すような差分が取られることによって、角膜からの
反射光成分ESaRを取り出すことができる。
【0128】
【数1】ESaR+ESa'R−ESa'R' ≒ ESaR+ESa'R
−ESa'R = ESaR
【0129】したがって、角膜表面からの反射光ESaR
のみを利用して通信システム10を構成することができ
る。
【0130】また、図15には、受光器12に到達する
光信号のうち角膜表面からの反射光を分離する仕組みに
ついての他の例を図解している。同図に示す例では、ユ
ーザの眼球からの反射光を捕捉するために、2系統の受
光器12A及び12Bが利用される。
【0131】受光器12Aは、偏光板17Aを介してユ
ーザの眼球からの反射光を受光する。また、受光器12
Bは、偏光板17Bを介してユーザの眼球からの反射光
を受光する。偏光板17A及び17Bは、90゜だけ位
相がずれている。また、受光器12A及び12Bは充分
近傍に配置されている。
【0132】角膜表面からの反射光は偏光であるのに対
して、強膜や皮膚からの反射光は自然変更であり、あら
ゆる角度の偏光成分を含んでいる(前述)。
【0133】各受光器12A及び12Bの出力信号はそ
れぞれ差分器18に入力されている。すなわち、これら
出力信号の差分をとることによって、強膜や皮膚からの
反射光は相殺され、角膜反射光ESaRのみを検出するこ
とができる。
【0134】但し、現実には入射光線が全反射する以外
のケースも考えられるので、この場合、入射角によって
は90゜だけずらした変更が同じ出力になる可能性があ
るので、検出器を複数備えるなどして対処することがよ
り好ましい。
【0135】また、図16には、受光器12に到達する
光信号のうち角膜表面からの反射光を分離する仕組みに
ついてのさらに他の例を図解している。
【0136】同図に示す例では、ユーザの眼球からの反
射光を捕捉するために、2系統の光路が設けられてい
る。すなわち、ユーザの眼球の近傍には偏光ビーム・ス
プリッタ19が配設されており、眼球からの反射光をP
偏光とS偏光に分離する。
【0137】また、各光路毎に受光器が設けられ、一方
の受光器12AはP偏光を受光し、他方の受光器12B
はS偏光を受光する。
【0138】角膜表面からの反射光は偏光であるが(前
述)、角膜への入射角に依存して2つの偏光成分を持
つ。これら2つの偏光成分は偏光ビーム・スプリッタ1
9を介することによって分離することができる。また、
強膜や虹彩、皮膚からの反射光は非偏光であり、あらゆ
る角度の偏光をほぼ均等に含むものと考えられる。
【0139】したがって、各受光器12A及び12Bの
出力信号を差分器18によって差分をとることによっ
て、強膜や皮膚からの反射光は相殺され、角膜反射光E
SaRのみを検出することができる。
【0140】但し、現実には入射光線が全反射する以外
のケースも考えられるので、この場合、送信器11から
送られてくる近赤外線信号の入射角によっては2つの偏
光成分がまったく同じ強度になる可能性もあるので、1
対の受光器からなる受光システムを複数備えるなどして
対処することがより好ましい。
【0141】A−4.複数の信号を分離するための工夫 図11を参照しながら既に説明したように、複数の信号
源から送られてきた光信号をフォトダイオードのような
単一の受光部12によって同時に受信する場合には、こ
れら同時に受信された光信号を分離する必要がある(図
17を参照のこと)。
【0142】例えば、本実施形態に係る通信システム1
0における光信号の伝送にスペクトラム拡散を適用する
ことにより、信号分離が可能となる。この場合、送信器
11側では送信信号をスペクトラム拡散変調するととも
に、フォトダイオードなどの単一の受光部12による受
光信号を逆拡散することによって、各信号源からの光信
号を抽出することができる。
【0143】スペクトラム拡散方式を用いた場合、送信
信号は広帯域に拡散された低レベルの信号として伝送さ
れるとともに、受信側では逆拡散処理により高いレベル
の信号として取り出される。また、伝搬路上のノイズは
逆拡散処理により低いレベルの信号となる。したがっ
て、空気中の減衰などの問題のある可視光を伝送媒体と
して使用する場合であっても、好適な通信品質を得るこ
とができる。また、拡散符号が一種の暗号キーとして作
用することから、通信システムの秘匿性が高まるという
利点もある。
【0144】本実施形態に係る通信システム10にスペ
クトラム拡散を適用する方法としては、送信信号として
の点滅パターンの点滅周期を拡散・逆拡散する方法と、
伝送媒体としての光の周波数を拡散・逆拡散する方法と
を挙げることができる。
【0145】(1)点滅パターンの点滅周期を拡散・逆
拡散する方法 本実施形態に係る通信システム10では、送信器11は
送信データを表現した点滅パターンを発光するが、ここ
で送信信号に対して強度変調を適用することによって、
任意の周波数で明滅させることができる。
【0146】図18には、送信器11側で送信信号に強
度変調を適用して、周波数#1,周波数#2,…,周波
数#nという異なる周波数帯を用いて複数の信号を伝送
する様子を示している。
【0147】これらは、受光側でバンドパス・フィルタ
などを利用することによって容易に分離することができ
る。また、確保された多数の周波数帯を利用して、スペ
クトラム拡散通信を行なうことも可能である。
【0148】図19には、送信信号に強度変調を適用し
てスペクトラム拡散通信を行なう仕組みを表している。
それぞれ異なる点滅周波数を持つ各信号源の送信信号
は、スペクトラム拡散により広帯域に拡散された低レベ
ルの信号として送出される。伝搬路上ではこれら拡散信
号は重ね合わされ、受光器12はこれらを同時に受信す
る。そして、拡散時と同じ符号系列を用いて逆拡散を行
なうことにより、各送信信号を抽出することができる。
【0149】スペクトラム拡散通信を行なうことによ
り、多数の信号減が同時に交信しても、お互いの干渉量
を低く抑えることができる。
【0150】(2)伝送媒体としての光の周波数を拡散
・逆拡散する方法 本実施形態に係る通信システム10では、送信器11
は、発光色の異なる複数のLEDを備えつけることによ
り、波長の異なった光信号を発信することができる。
【0151】図20には、送信器11側で、各LEDの
点灯の組み合わせにより波長#1,波長#2,…,波長
#nという異なる波長帯を用いて複数の信号を伝送する
様子を示している。
【0152】これらは、受光側でプリズムやバンドパス
・フィルタなどを利用することによって容易に分離する
ことができる。また、確保された多数の波長帯を利用し
てスペクトラム拡散通信を行うことも可能である。
【0153】図21には、使用波長帯の異なる各送信信
号にスペクトラム拡散を行なう仕組みを表している。そ
れぞれ異なる波長帯を使用する各信号は、スペクトラム
拡散により広帯域に拡散された低レベルの信号として送
出される。伝搬路上ではこれら拡散信号は重ね合わさ
れ、受光器12はこれらを同時に受信する。そして、拡
散時と同じ符号系列を用いて逆拡散を行なうことによ
り、各送信信号を抽出することができる。
【0154】スペクトラム拡散通信を行なうことによ
り、多数の信号減が同時に交信しても、お互いの干渉量
を低く抑えることができる。また、さまざまな光線状態
においても交信が可能な堅牢な通信システムを構築する
ことができる。
【0155】B.ユビキタス・コンピューティングへの
適用 本実施形態に係る通信システム10を、いつでもどこで
も欲しい情報を入手できるようにする「ユビキタス(Ub
iquitous)・コンピューティング」に適用することがで
きる。この場合、ユーザは、どこに移動しても、実世界
オブジェクトを見るだけで、オブジェクトのIDや、ネ
ットワーク・アドレス、ホスト・ネーム、URLなどの
実世界上のオブジェクトに関連した情報を実世界オブジ
ェクトから直接引き出して、ネットワーク接続を確立す
ることができる。
【0156】図22には、図1に示した通信システム1
0を適用したユビキタス・ネットワーク50の構成を模
式的に示している。同図に示すように、このネットワー
ク50は、1以上のユーザ端末51と、ユーザ端末51
の接続対象となる1以上の実世界オブジェクト52A,
52B,…で構成される。
【0157】このユビキタス・ネットワーク50上で
は、ユーザ端末51を所持するユーザは、接続したいオ
ブジェクト52を見るだけでネットワーク接続を確立す
ることができる。本発明を実現する上で、ユビキタス・
ネットワーク50のネットワーク・プロトコルは特に限
定されない。例えば、Ethernet(登録商標)の
ようなLAN、IEEE802.11のような無線LA
N、Bluetoothのような近距離無線データ通信
であってもよい。
【0158】ユーザが実世界オブジェクトを見るだけで
ネットワーク接続の確立を実現するために、実世界オブ
ジェクト52は、近赤外線信号を送出する送信器11
と、ネットワーク50に接続するためのネットワーク・
インターフェース(NIC)21を備えており、オブジ
ェクトのIDや、ネットワーク・アドレス、ホスト・ネ
ーム、URLなどの実世界オブジェクト51自身に関連
した情報を近赤外線データとして発信するようになって
いる。また、送信器11は、実世界オブジェクトの見え
易い場所に設置されていることが好ましい。
【0159】また、ユーザ端末51は、ユーザの眼球か
ら反射された近赤外線信号を受光・検出する受光器12
と、検出信号に対して増幅、アナログ−デジタル変換、
閾値処理、フィルタリングなどの処理を行う信号処理部
13と、信号処理後のデジタル・データを解析して該当
する処理を実行するデータ処理部16と、ネットワーク
50に接続するためのネットワーク・インターフェース
22を備えている。受光器12は、ゴーグル(図2を参
照のこと)や眼鏡、ヘッドセットなどを利用して、ユー
ザの眼球の近傍に設置されている。ユーザ端末51は、
パーソナル・コンピュータ(PC)や、PDAなどの携
帯情報端末、携帯電話機などで構成される。
【0160】データ処理部16は、ユーザの眼球からの
反射光を基に得られたデータを解析して、ユーザが見つ
めている実世界オブジェクト52のネットワーク上の所
在を探索する。例えば、実世界オブジェクト52が自分
のネットワーク・アドレスをデータ送信する場合には、
データ処理部16は、そのままネットワーク・インター
フェース22を介して実世界オブジェクト52への接続
を行うことができる。
【0161】また、実世界オブジェクト52がIDやホ
スト・ネームなどのネットワーク・アドレス以外の識別
情報を送信する場合のために、ユーザ端末51は、オブ
ジェクトのID等とネットワーク・アドレスとの対応関
係を記述したデータベース23を装備していてもよい。
このような場合、データ処理部16は、ユーザの眼球か
らの反射光を基に得られた情報をデータベース23で検
索して、そのネットワーク・アドレスを突き止めて、そ
のままネットワーク・インターフェース22を介して実
世界オブジェクト52への接続を行うことができる。
【0162】また、他のユーザ端末との間でデータベー
スを共有する場合や、ユビキタス・ネットワーク50上
に多数の実世界オブジェクト52A,52B,…が存在
していて、データベースのサイズが膨大であるような場
合には、ネットワーク50上に専用のデータベース・サ
ーバ30を構築して、実世界オブジェクトのIDなどと
ネットワーク・アドレスとの対応関係を記述したデータ
ベースの管理の一部又は全部を委譲するようにしてもよ
い。このような場合、ユーザ端末51は、データベース
・サーバ30に対して実世界オブジェクト52のIDを
問い合わせて、これに対してデータベース・サーバ30
からは実世界オブジェクトのネットワーク・アドレスが
返される。
【0163】図23には、本実施形態に係る通信システ
ム10が適用されたユビキタス・ネットワーク50上で
ユーザ端末51が所望の実世界オブジェクト52に接続
するための処理手順をフローチャートの形式で示してい
る。
【0164】ユーザ端末51を所持するユーザは、実世
界上を探索中に、関心のある実世界オブジェクト52を
見つけると、これを眺め続ける(ステップS1)。
【0165】一方、実世界オブジェクト52側では、見
え易い場所に設置されている送信器11がオブジェクト
IDに相当する点滅パターンを持った近赤外線信号を発
信している。ユーザが実世界オブジェクト52を見てい
る間、受光器12は眼球からの反射光を受光する(ステ
ップS2)。
【0166】次いで、信号処理部13では、受光器12
による検出信号に対して増幅、アナログ−デジタル変
換、閾値処理、フィルタリングなどの処理を行う(ステ
ップS3)。
【0167】データ処理部16は、信号処理後のデジタ
ル・データを解析して、実世界オブジェクト52のID
を取り出す(ステップS4)。さらに、内部のデータベ
ース23又は、ネットワーク50上のデータベース・サ
ーバ30に問い合わせて、実世界オブジェクト52のネ
ットワーク・アドレスを取得する(ステップS5)。
【0168】そして、得られたネットワーク・アドレス
を基に、ネットワーク・インター不エース22を介して
実世界オブジェクト52とのネットワーク接続を確立す
る(ステップS6)。
【0169】ネットワーク接続を確立した後、実世界オ
ブジェクト52は、テキスト、プログラム、音声、画像
など、自分に関連するさまざまなコンテンツをユーザ端
末51に提供することができる。
【0170】本実施形態に係る通信システム10は、上
述した以外にも、ユーザがオブジェクトとの間でインタ
ラクションを行う実世界上のさまざまな場面に適用する
ことができる。実世界への適用例を以下に挙げておく。
【0171】(1)街角や電車の中のポスターに近赤外
線信号送信器を取り付ける。ユーザは、通勤途中など
に、ポスターを見るだけで、ポスターに関連する情報を
引き出すことができる。例えば、近赤外線信号送信器か
ら送信されたデータをデコードして、ポスターに表示さ
れているタレントの声を聞いたり、音楽を聴いたりする
ことができる。
【0172】(2)美術館などにおいて、展示されてい
る作品の近傍に近赤外線送信器を取り付ける。ユーザ
は、作品をぼんやりと眺めるだけで、近赤外線送信器か
ら送信されたデータをデコードして、作品に対する説明
を聞くことができる。同様に、商品展示においては、ユ
ーザは、商品を手にとって見ている間に、商品に関する
説明を聞くことができる。
【0173】(3)あるユーザが受け取った情報(例え
ば、電話)をリアルタイムで近赤外線信号に変換して発
信する。他のユーザは、電話を掛けている様子をぼんや
りと見るだけで、受け取っている音声情報を共有するこ
とができる。
【0174】(4)片方の目の眼球からの反射で近赤外
線信号を受け取り、他方の目に対して液晶眼鏡上に提示
させている画像を見る。これによって、実世界オブジェ
クトを見ながら、これに関連した視覚情報を得ることが
できる。
【0175】[追補]以上、特定の実施形態を参照しな
がら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修
正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示
という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書
の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の
要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範
囲の欄を参酌すべきである。
【0176】
【発明の効果】以上詳記したように、本発明によれば、
ネットワーク・アドレス、ホスト・ネーム、URLなど
の実世界上のオブジェクトに関連した情報を複雑なネッ
トワーク操作なしに入手することができる、優れた通信
システム、送信装置、並びに受信装置を提供することが
できる。
【0177】また、本発明によれば、ユーザの目の前に
ある又はユーザが目にした実世界上のオブジェクトから
情報を直接入手することができる、優れた通信システ
ム、送信装置、並びに受信装を提供することができる。
【0178】また、本発明によれば、可視光や非可視光
(あるいはその他の電磁波)などのようにオブジェクト
から直接出力されるデータを基にオブジェクトに関連し
た情報を取得することができる。したがって、読み取り
機器をオブジェクトに向けるような手作業を必要とせず
にユーザが目にしたオブジェクトからデータを直接入手
してオブジェクトに関連した情報を取得することができ
る。
【0179】例えば、ユーザの視界の中にあるネットワ
ーク・デバイスと自動的に通信リンクを作成する機能を
ユーザが携帯している端末に持たせることによって、直
感的に理解でき、且つ、簡単な操作でネットワーク操作
を行なうことが可能となる。
【0180】また、本発明によれば、実世界オブジェク
トから発信される光信号をユーザの眼球からの反射光に
よって受信することができる、優れた通信システムを提
供することができる。さらに、光信号の伝送にスペクト
ラム拡散方式を適用することによって、さまざまな光線
状態においても交信が可能な堅牢な通信システムを構築
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】眼球の反射光を利用してオブジェクトと通信を
行うことができる、本発明の一実施形態に係る通信シス
テム10の構成を模式的に示した図である。
【図2】受光器12をゴーグルに取り付けた様子を示し
た図である。
【図3】眼球の下側から瞳孔を見上げるような格好で受
光部12を配設した様子を示した図である。
【図4】受光部12による検出信号の強度を示したチャ
ートである。
【図5】信号処理部13内の増幅部の内部構成を示した
図である。
【図6】蛍光灯による赤外線ノイズの影響を避けるため
に暗室内で通信を行なったときの受光器12における出
力信号を示したチャートである。
【図7】ユーザの眼球の旋回が通信状態のどのような影
響を及ぼすかを実験するための通信環境を描写した図で
ある。
【図8】送信器11をユーザの上側に設置した場合にお
いて、受光器12がユーザの眼球からの反射光を受光し
た出力信号を示したチャートである。
【図9】送信器11をユーザの正面に設置した場合にお
いて、受光器12がユーザの眼球からの反射光を受光し
た出力信号を示したチャートである。
【図10】送信器11をユーザの下側に設置した場合に
おいて、受光器12がユーザの眼球からの反射光を受光
した出力信号を示したチャートである。
【図11】受光部12をエリアセンサで構成したときの
通信システム10の変形例を模式的に示した図である。
【図12】送信器11からの光信号を角膜からの反射と
強膜からの反射という2つの経路で受光する様子を示し
た図である。
【図13】受光器12に到達する光信号のうち角膜表面
からの反射光を分離する仕組みの一例を示した図であ
る。
【図14】図13に示した2系統の受光器からの出力信
号を処理する信号処理部の構成を模式的に示した図であ
る。
【図15】受光器12に到達する光信号のうち角膜表面
からの反射光を分離する仕組みの他の例を示した図であ
る。
【図16】受光器12に到達する光信号のうち角膜表面
からの反射光を分離する仕組みについてのさら他の例を
示した図である。
【図17】複数の信号源から送られてきた光信号を単一
の受光部12によって同時に受信する様子を示した図で
ある。
【図18】送信器11側で送信信号に強度変調を適用し
て、異なる周波数帯を用いて複数の信号を伝送する様子
を示した図である。
【図19】送信信号に強度変調を適用してスペクトラム
拡散通信を行なう仕組みを示した図である。
【図20】異なる波長帯を使用する複数の光信号を単一
の受光部12によって同時に受信する様子を示した図で
ある。
【図21】使用波長帯の異なる各送信信号にスペクトラ
ム拡散を行なう仕組みを示した図である。
【図22】図1に示した通信システム10を適用したユ
ビキタス・ネットワーク50の構成を模式的に示した図
である。
【図23】ユビキタス・ネットワーク50上でユーザ端
末51が所望の実世界オブジェクト52に接続するため
の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…通信システム 11…送信器 12…受光器 13…信号処理部 14…コンピュータ 15…視野限定器 16…データ処理部 17…偏光板 18…差分器 19…偏光ビーム・スプリッタ 21,22…ネットワーク・インターフェース 23…データベース部 30…データベース・サーバ 50…ユビキタス・ネットワーク 51…ユーザ端末 52…実世界オブジェクト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光藤 雄一 東京都品川区東五反田3丁目14番13号 株 式会社ソニーコンピュータサイエンス研究 所内 Fターム(参考) 5E501 AA02 AC25 BA05 CB14 CC03 CC08 CC13

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1以上の実世界オブジェクトが存在する実
    空間上において実世界オブジェクトに関連する情報を転
    送する通信システムであって、 各実世界オブジェクトに設置されて、送信データを表す
    点滅パターンを生成する符号化・変調処理部と、該点滅
    パターンを持つ光信号を発光する発光部とで構成される
    送信装置と、 ユーザの眼球からの前記光信号の反射光を受光する受光
    部と、受光信号を復調及び復号処理する復調・復号処理
    部と、復号後のデータの処理を行うデータ処理部とで構
    成される受信装置と、を具備することを特徴とする通信
    システム。
  2. 【請求項2】実世界オブジェクトに関連する情報とし
    て、オブジェクトのIDや、ネットワーク・アドレス、
    ホスト・ネーム、URL(Uniform Resource Locato
    r)、音楽やテキストなどのコンテンツ、プログラム・
    コードやその他のコマンド情報を転送する、ことを特徴
    とする請求項1に記載の通信システム。
  3. 【請求項3】前記データ処理部は、復号後のデータを解
    析して、取得したオブジェクトIDに基づく実世界オブ
    ジェクトの認識・同定、ネットワーク・アドレスやホス
    ト・ネームの取得に基づくオブジェクトとのネットワー
    ク接続の確立、URLの取得に基づくWWW情報探索空
    間での実世界オブジェクトに関連する情報の取得、音楽
    やテキストなどの受信コンテンツの再生、受信プログラ
    ムの起動、割り当てられたアプリケーションの実行など
    を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システ
    ム。
  4. 【請求項4】前記受信装置は、前記受光部をユーザの眼
    球の反射光を受光可能な場所で保持する保持手段を備え
    る、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  5. 【請求項5】前記保持手段は眼球の下側から瞳孔を見上
    げる位置に前記受光部を配置する、ことを特徴とする請
    求項4に記載の通信システム。
  6. 【請求項6】前記受信装置は、前記受光部からユーザの
    眼球以外の身体からの反射光やその他の散乱光を遮る視
    野限定手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載
    の通信システム。
  7. 【請求項7】前記受信装置は、ユーザが瞬きしている期
    間や実世界オブジェクトから目線を外したときは受信デ
    ータの処理を行わない、ことを特徴とする請求項1に記
    載の通信システム。
  8. 【請求項8】前記復調・復号処理部及び/又は前記デー
    タ処理部は、前記受光部の受光強度が所定の閾値を下回
    る期間は受信データの処理を行わない、ことを特徴とす
    る請求項1に記載の通信システム。
  9. 【請求項9】前記送信装置は、ユーザが瞬きする間隔以
    内のフレーム長の光信号を送信する、ことを特徴とする
    請求項1に記載の通信システム。
  10. 【請求項10】各実世界オブジェクトとユーザ端末とを
    接続する通信媒体をさらに備え、 前記データ処理部は、受信データを基に実世界オブジェ
    クトの通信媒体上のアドレスを取得して、ユーザ端末と
    実世界オブジェクトとの接続を確立する、ことを特徴と
    する請求項1に記載の通信システム。
  11. 【請求項11】前記発光部は可視光領域を利用して光信
    号を送出し、 前記受光部はユーザの眼球からの反射光のうち可視光領
    域を受光する、 ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
  12. 【請求項12】前記発光部は非可視光領域を利用して光
    信号を送出し、 前記受光部はユーザの眼球からの反射光のうち非可視光
    領域を受光する、ことを特徴とする請求項1に記載の通
    信システム。
  13. 【請求項13】前記受光部はユーザの眼球からのすべて
    の反射光の受光強度を同時に検出し、 前記復調・復号処理部は受光強度に応じた信号処理を行
    なう、ことを特徴とする請求項1に記載の通信システ
    ム。
  14. 【請求項14】前記受光部はユーザの眼球からの反射光
    を平面的又は空間的に捕捉し、 前記データ処理部は、受光した光信号が持つ平面的又は
    空間的情報を処理する、ことを特徴とする請求項1に記
    載の通信システム。
  15. 【請求項15】前記発光部は、空間上に配置された複数
    の光源で構成されて、複数の光信号を送出する、ことを
    特徴とする請求項1又は14のいずれかに記載の通信シ
    ステム。
  16. 【請求項16】前記受信装置は、ユーザの眼球からの反
    射光を直接受光する第1の受光部と、偏光手段を介して
    ユーザの眼球からの反射光を受光する第2の受光部を備
    え、 前記第1の受光部における第1の受光信号と前記第2の
    受光部における第2の受光信号との差分をとる信号処理
    部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の
    通信システム。
  17. 【請求項17】前記受信装置は、第1の偏光手段を介し
    てユーザの眼球からの反射光を受光する第1の受光部
    と、前記第1の偏光手段とは90゜の位相差を持つ第2
    の偏光手段を介してユーザの眼球からの反射光を受光す
    る第2の受光部を備え、 前記第1の受光部における第1の受光信号と前記第2の
    受光部における第2の受光信号との差分をとる信号処理
    部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の
    通信システム。
  18. 【請求項18】前記符号化・変調処理部は送信信号をス
    ペクトラム拡散変調するとともに、 前記復調・復号部は受光信号を逆拡散する、ことを特徴
    とする請求項1に記載の通信システム。
  19. 【請求項19】前記符号化・変調処理部は送信信号とし
    ての点滅パターンの点滅周期をスペクトラム拡散変調す
    るとともに、 前記復調・復号部は受光信号を逆拡散して元の点滅パタ
    ーンの点滅周期を得る、ことを特徴とする請求項18に
    記載の通信システム。
  20. 【請求項20】前記符号化・変調処理部は前記発光部に
    おける照射光の周波数をスペクトラム拡散変調するとと
    もに、 前記復調・復号部はユーザの眼球からの反射光の周波数
    を逆拡散する、ことを特徴とする請求項18に記載の通
    信システム。
  21. 【請求項21】実空間上で実オブジェクトに関連する情
    報を送信する送信装置であって、 実オブジェクトの近傍に設置する手段と、 送信データを表す点滅パターンを生成する符号化・変調
    処理部と、 該点滅パターンを持つ光信号を発光する発光手段と、を
    具備することを特徴とする送信装置。
  22. 【請求項22】実世界オブジェクトに関連する情報とし
    て、オブジェクトのIDや、ネットワーク・アドレス、
    ホスト・ネーム、URL(Uniform Resource Locato
    r)、音楽やテキストなどのコンテンツ、プログラム・
    コードやその他のコマンド情報を送信する、ことを特徴
    とする請求項21に記載の送信装置。
  23. 【請求項23】ユーザが瞬きする間隔以内のフレーム長
    の光信号を送信する、ことを特徴とする請求項21に記
    載の送信装置。
  24. 【請求項24】前記発光手段は可視光領域を利用して光
    信号を送出する、ことを特徴とする請求項21に記載の
    送信装置。
  25. 【請求項25】前記発光手段は非可視光領域を利用して
    光信号を送出する、ことを特徴とする請求項21に記載
    の送信装置。
  26. 【請求項26】前記発光手段は、空間上に配置された複
    数の光源で構成されて、複数の光信号を送出する、こと
    を特徴とする請求項21に記載の送信装置。
  27. 【請求項27】前記符号化・変調処理部は送信信号をス
    ペクトラム拡散変調する、ことを特徴とする請求項21
    に記載の送信装置。
  28. 【請求項28】前記符号化・変調処理部は送信信号とし
    ての点滅パターンの点滅周期をスペクトラム拡散変調す
    る、ことを特徴とする請求項27に記載の送信装置。
  29. 【請求項29】前記符号化・変調処理部は前記発光部に
    おける照射光の周波数をスペクトラム拡散変調する、こ
    とを特徴とする請求項27に記載の送信装置。
  30. 【請求項30】1以上の実世界オブジェクトが存在する
    実空間上において実世界オブジェクトに関連する情報を
    受信する受信装置であって、 光信号をユーザの眼球からの反射光として受光する受光
    手段と、 受光信号を処理する復調・復号手段と、 復号処理後のデータの処理を行うデータ処理手段と、を
    具備することを特徴とする受信装置。
  31. 【請求項31】実世界オブジェクトに関連する情報とし
    て、オブジェクトのIDや、ネットワーク・アドレス、
    ホスト・ネーム、URL(Uniform Resource Locato
    r)、音楽やテキストなどのコンテンツ、プログラム・
    コードやその他のコマンド情報を光信号として受信す
    る、ことを特徴とする請求項30に記載の受信装置。
  32. 【請求項32】前記データ処理手段は、復号処理後のデ
    ータを解析して、取得したオブジェクトIDに基づく実
    世界オブジェクトの認識・同定、ネットワーク・アドレ
    スやホスト・ネームの取得に基づくオブジェクトとのネ
    ットワーク接続の確立、URLの取得に基づくWWW情
    報探索空間での実世界オブジェクトに関連する情報の取
    得、音楽やテキストなどの受信コンテンツの再生、受信
    プログラムの起動、割り当てられたアプリケーションの
    実行などを行う、ことを特徴とする請求項30に記載の
    受信装置。
  33. 【請求項33】前記受光手段をユーザの眼球の反射光を
    受光可能な場所で保持する保持手段をさらに備える、こ
    とを特徴とする請求項30に記載の受信装置。
  34. 【請求項34】前記保持手段は眼球の下側から瞳孔を見
    上げる位置に前記受光手段を配置する、ことを特徴とす
    る請求項33に記載の受信装置。
  35. 【請求項35】前記受光手段からユーザの眼球以外の身
    体からの反射光やその他の散乱光を遮る視野限定手段を
    さらに備える、ことを特徴とする請求項30に記載の受
    信装置。
  36. 【請求項36】前記受光手段はユーザの眼球からの反射
    光のうち可視光領域を受光する、ことを特徴とする請求
    項30に記載の受信装置。
  37. 【請求項37】前記受光手段はユーザの眼球からの反射
    光のうち非可視光領域を受光する、ことを特徴とする請
    求項30に記載の受信装置。
  38. 【請求項38】前記復調・復号手段及び/又は前記デー
    タ処理手段は、ユーザが瞬きしている期間や実世界オブ
    ジェクトから目線を外したときは動作を行わない、こと
    を特徴とする請求項30に記載の受信装置。
  39. 【請求項39】前記復調・復号処理手段及び/又は前記
    データ処理手段は、前記受光手段の受光強度が所定の閾
    値を下回る期間は受信データの処理を行わない、ことを
    特徴とする請求項30に記載の受信装置。
  40. 【請求項40】実空間には各実世界オブジェクトとユー
    ザ端末とを接続する通信媒体が存在し、 前記データ処理手段は、受信データを基に実世界オブジ
    ェクトの通信媒体上のアドレスを取得して、ユーザ端末
    と実世界オブジェクトとの接続を確立する、ことを特徴
    とする請求項30に記載の受信装置。
  41. 【請求項41】前記受光手段はユーザの眼球からのすべ
    ての反射光の受光強度を同時に検出し、 前記復調・復号処理手段は受光強度に応じた信号処理を
    行なう、ことを特徴とする請求項30に記載の受信装
    置。
  42. 【請求項42】前記受光手段はユーザの眼球からの反射
    光を平面的又は空間的に捕捉し、 前記データ処理手段は、受光した光信号が持つ平面的又
    は空間的情報を処理する、ことを特徴とする請求項30
    に記載の受信装置。
  43. 【請求項43】前記受光手段は、ユーザの眼球からの反
    射光を直接受光する第1の受光部と、偏光手段を介して
    ユーザの眼球からの反射光を受光する第2の受光部を備
    え、 前記第1の受光部における第1の受光信号と前記第2の
    受光部における第2の受光信号との差分をとる信号処理
    手段をさらに備える、ことを特徴とする請求項30に記
    載の受信装置。
  44. 【請求項44】前記受光手段は、第1の偏光手段を介し
    てユーザの眼球からの反射光を受光する第1の受光部
    と、前記第1の偏光手段とは90゜の位相差を持つ第2
    の偏光手段を介してユーザの眼球からの反射光を受光す
    る第2の受光部を備え、 前記第1の受光部における第1の受光信号と前記第2の
    受光部における第2の受光信号との差分をとる信号処理
    部をさらに備える、ことを特徴とする請求項30に記載
    の受信装置。
  45. 【請求項45】送信される光信号はスペクトラム拡散変
    調が適用されており、 前記復調・復号手段は受光信号を逆拡散する、ことを特
    徴とする請求項30に記載の受信装置。
  46. 【請求項46】送信される光信号は点滅パターンの点滅
    周期に対してスペクトラム拡散変調が適用されており、 前記復調・復号手段は受光信号を逆拡散して元の点滅パ
    ターンの点滅周期を得る、ことを特徴とする請求項45
    に記載の受信装置。
  47. 【請求項47】送信される光信号は照射光の周波数に対
    してスペクトラム拡散変調が適用されており、 前記復調・復号手段は受光信号を逆拡散して元の照射光
    の周波数を得る、ことを特徴とする請求項45に記載の
    受信装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020087200A (ja) * 2018-11-29 2020-06-04 株式会社リコー 光学装置、網膜投影表示装置、頭部装着型表示装置、及び入力装置
JPWO2021084653A1 (ja) * 2019-10-30 2021-11-18 アイマトリックスホールディングス株式会社 アイコンタクト検出装置

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