JP2003175394A - 人工浮島による水質浄化方法及びその水質浄化装置 - Google Patents

人工浮島による水質浄化方法及びその水質浄化装置

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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は人工浮島による水質浄化方法及びその
水質浄化装置に関するもので、閉鎖性水域に人工浮島を
浮上設置して表層水浄化させ、且つ循環流によって水域
内の水質を好気性にして浄化効率を高めることを目的と
する。 【構成】浮島本体フレームの(1)長手の中央部位に接
触酸化室(2)を、その幅方向の両隣にフロート室
(3)を配置し、当該中央部位を挟んだ長手方向の一端
にろ過室(4)を、他端にポンプ収納室(5)をそれぞ
れ設け、接触酸化室には接触酸化材(6)を、ろ過室に
はろ過材(7)を収納し、それぞれフロート室にはフロ
ート(8)を、ポンプ収納室には放水ノズル(10)に
連通するポンプ(9)をそれぞれ設置した人工浮島によ
る水質浄化装置の構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は人工浮島による水質
浄化方法及びその水質浄化装置に関するもので、閉鎖性
水域に人工浮島を浮上設置して表層水浄化させ、且つ循
環流によって水域内の水質を好気性にして浄化効率を高
めることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】一般に、生活環境内にある公園池・溜め
池・沼・お堀等における閉鎖性水域も、生活排水の流入
によって、富栄養化になり水質が悪化し、悪臭やアオコ
の発生、酸欠状態による魚類の浮上などの原因になって
いる。その悪化した水質を改善するための方法として
は、機械を用いて浚渫したり、薬品を散布したりするこ
とが知られている。ところで、最近の研究では表層水の
15cm位が見た目の汚水を発生させる部分であること
が解明されている。また、池などの水底と表層とでは酸
素にばらつきがあることも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、機械を用い
て浚渫する作業はコストが嵩み、且つ池やお堀などの水
際の足場が悪かったり、場所が狭かったりすると作業が
思うようにできないことがあった。また、薬品による水
質浄化は簡易ではあるが、環境保全の面からは必ずしも
好ましいものではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために提供するものである。本発明の第1は人工
浮島による水質浄化方法において、浮島本体フレームを
フロート室に収容したフロートによって水面に浮上さ
せ、浮島本体フレームのポンプ収納室に搭載した水中ポ
ンプによってこれに連通する放水ノズルによって水上に
放水して循環流を継続し、循環流水は浮島本体フレーム
のフィルター室から入って接触酸化室を通って水中ポン
プ収納室に入り、放水ノズルによって水中又は水面近く
に放水するようにしたものである。
【0005】本発明の第2は人工浮島による水質浄化装
置において、浮島本体フレームの長手の中央部位に接触
酸化室を、その幅方向の両隣にフロート室を配置し、当
該中央部位を挟んだ長手方向の一端にろ過室を、他端に
ポンプ収納室をそれぞれ設け、接触酸化室には接触酸化
材を、ろ過室にはろ過材を収納し、それぞれフロート室
にはフロートを、ポンプ収納室には放水ノズルに連通す
るポンプをそれぞれ設置したものである。
【0006】
【実施例】次に本発明の実施例につき図面を以て説明す
る。1は人工の浮島体を構成する浮島本体フレームであ
り、平面部と底面部が小判形に近似する長円形を成し、
その平面枠1と底面枠1の両面枠を縦桟1で結合
し、所定の高さHを成形してある。
【0007】2は本体フレーム1の長手方向の中央部位
に配置した接触酸化室であり、この室内に接触酸化材を
収納するようになっている。3は接触酸化室2の幅方向
の両隣に配置した複数のフロート収納室であり、その外
周面にパンチングメタル又は金網3を張設してある。
4は接触酸化室2とフロート収納室の長手方向の一端に
配置したろ(=濾)過室であり、その外周面には少なく
ともろ過材が逸脱しないメッシュの金網を張設してあ
る。5はその他端に配置したポンプ収納室である。前記
の各室の仕切りは平面枠1と底面枠1及び縦桟1
並びに側面板などで一応区切られているが、完全に遮蔽
する仕切体は存在せずにほぼ素通し状態になっている。
【0008】6は接触酸化室に収納した接触酸化材であ
り、その材料としては、礫(=小石)又は石に代わる表
面積率の高いろ過材がある。前記の礫は塊の中に水を通
して、汚れを栄養源とする微生物や水苔を石の表面に発
生させて水を浄化させる方法である。ろ過材はヤクルト
ろ材と呼ばれる乳酸菌飲料ヤクル65の空容器を底抜き加
工したものを用いる。本発明の実施例にあってはヤクル
トろ材を用い、これをポリエチレンネットで成形した円
筒袋60に収納してある。
【0009】7はろ過室に収容するろ過材であり、その
材料及び形状は接触酸化室2に収納したヤクルトろ材と
同じろ材を用い、これをろ過室4にむき出したままの状
態で収納してある。8はフロート室3に収容したボンベ
型フロート、9はポンプ収納室に搭載した水中ポンプ、
10は放水ノズルであり、ホース11で水中ポンプ9に
接続してある。12は本体フレーム1の流動を抑制する
コンクリートウエイトを示す。13は配電盤であり、水
中に敷設したケーブルコード14で水中ポンプ側に接続
してある。図中15は浮島本体フレーム1の平面上に施
した水生植物による緑化植栽物である。
【0010】
【発明の実施形態】次に本発明の実施形態を説明する。
まず、浮島の本体フレーム1の接触酸化室2に12,000個
を袋詰めしたヤクルトろ材の接触酸化材6を収納し、そ
の両隣のフロート室3にボンベ型フロート8を設置し、
さら接触酸化室2を挟んだ長手方向の一端のろ過室4に
ヤクルトろ材の接触酸化材7を充填し、他端のポンプ収
納室5に水中ポンプ9を設置して浮島体Aを構成する。
【0011】ヤクルトろ材の接触酸化材6及びろ過材7
は、懸濁物質(SS)、の捕捉生に優れ、化学的酸素要求量
(COD)、生物学的要求量(BOD)、窒素(N)、燐(P)などの除
去に効果があり、水質の富栄養化を防止する。また、特
性として、スチレンモノマーが高く、環境ホルモンの溶
出するおそれがなく、耐久性は紫外線に当たらない限り
永久的に使用が可能である。浄化特性は、生物学的要求
量の除去に最も良い効果を発揮し、現在のろ材が多量に
使用されている合併処理浄化槽では、処理水が5mg/
l以下とか、汚泥が出ないろ材としての高い信頼があ
る。
【0012】次に浮島体の水上設置及び運転開始までの
施工順序を説明する。 (1)準備工として、浮島体Aの水上設置場所の選定、
測量などの調整を行う。 (2)一次側電源工事として、水際の配電盤までの一次
側電気工事を行う。 (3)配電盤基礎工として、浮島体Aの水上設置の運転
制御するための配電盤13の基礎、防護柵などの工事を
行う。 (4)浮島体Aの搬入として、クレーン車等を手配す
る。 (5)浮島体Aの第1設置工として、輸送車を水際まで
接近させ、クレーン等で水上の目的位置に吊り降ろし、
浮揚状態を調整する。 (6)浮島体Aの第2設置工として、浮島本体フレーム
1を係留、放水ノズル10の設置、ホース12の接続、
配電盤13を経由して水中ポンプ側へケーブルコード1
4を介して一次電源との接続などの作業を行う。 (7)浮島体Aの緑化として、水生植物15による緑化
植栽は浮島体Aの設置終了後に行う。 (8)試運転として、放水ノズル10からの放水量の調
節を行う。 (9)最後に水中ポンプ9の本運転により循環流による
浄化を開始する。
【0013】「接触酸化ろ過材による浄化」接触酸化室
2及びろ過室4に収納する接触酸化材6とろ過材7とし
て用いる乳酸菌飲料ヤクルト65の空容器を底抜き加工し
て成るヤクルトろ材を使用した、閉鎖性水域の浄化デー
タは次に示す通りである。(ただし、浮島体1台当たり
乳酸菌飲料ヤクルト65の使用量12,000個)
【表1】
【表2】
【0014】「浮島体の緑化による浄化」浮島体の緑化
による浄化は、フロート8によって浮島体Aを水面に浮
上させ、その浮島体の上面に水生植物の植栽を行う。水
生植物15の植栽は水面にビオトープを作り出して、景
観に安らぎをもたらす。一般的に水生植物15は窒素や
リンを吸着させる機能があり、その主なものを下記の表
に示す。
【表3】
【0015】「循環流による浄化」循環流による浄化
は、池の水を接触酸化させるため、水中ポンプ9(0.4k
w、100V又は7.5kw、200V)を搭載する。この処理水は、
放水ノズル10によって水面近くに放水され、ろ過室4
のフィルタと放水ノズル10の間で循環流が発生する。
(図5参照)
【0016】「アオコ除去による浄化」アオコ除去によ
る浄化は、フィルタの一部が水面近くに浮いているた
め、アオコが多量に発生する水域、或いはアオコが吹き
寄せる水域では、フィルタはスリット状にして、極表面
水を吸引し、ホースを地上に設置したろ過室に接続さ
せ、アオコは、コンポスト化して利用したり、乾燥させ
て焼却処分する。(図6参照)。
【0017】
【発明の効果】本発明は上記のように、人工の浮島にお
いて接触酸化ろ過材方式と、循環流方式の複合により、
表層水が浄化される効果がある。また、循環流によっ
て、好気性に富むようになり、池などの水底と表層とで
は酸素にばらつきがあっても、水底のヘドロを分解でき
る効果がある。さらに、これらに水生植物を植生する方
式を追加して複合させて水質の浄化を実現することがで
きる。
【0018】また、本発明は水質を水面付近から徐々に
改善して、水域浄化を図ることができる。また、浮島体
を水上に浮かせる構造であるため、本体を設置するため
の基礎工事の必要がなく、また浮島体に水生植物の植栽
によってアメニティの向上が図れる。
【0019】さらに、本発明にあっては、接触酸化ろ過
材による方式、循環流による方式、水生植物を植栽する
方式を複合させて水質の浄化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る人工浮島による水質浄化装置の
正面図である。
【図2】 浮島本体フレームの平面図である。
【図3】 図2の正面図である。
【図4】 図2の斜面図である。
【図5】 浮島本体フレームに対する循環流を示す概略
正面図である。
【図6】 アオコ除去による浄化フローチャートであ
る。
【符号の説明】
1 浮島本体フレーム 2 接触酸化室 3 フロート室 4 ろ過室 5 水中ポンプ室 6 接触酸化材 7 ろ過材 8 ボンベ型フロート 9 水中ポンプ 10 放水ノズル 11 ホース 12 コンクリートウエイト 13 配電盤 14 ケーブルコード

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浮島本体フレーム(1)をフロート室
    (3)に収容したフロート(8)によって水面に浮上さ
    せ、浮島本体フレームのポンプ収納室(5)に搭載した
    水中ポンプ(9)によってこれに連通する放水ノズル
    (10)によって水上に放水して循環流を継続し、循環
    流水は浮島本体フレームのフィルター室(4)から入っ
    て接触酸化室(2)を通って水中ポンプ収納室(5)に
    入り、放水ノズル(10)によって水中又は水面近くに
    放水することを特徴とする人工浮島による水質浄化方
    法。
  2. 【請求項2】 浮島本体フレームの(1)長手の中央部
    位に接触酸化室(2)を、その幅方向の両隣にフロート
    室(3)を配置し、当該中央部位を挟んだ長手方向の一
    端にろ過室(4)を、他端にポンプ収納室(5)をそれ
    ぞれ設け、接触酸化室には接触酸化材(6)を、ろ過室
    にはろ過材(7)を収納し、それぞれフロート室にはフ
    ロート(8)を、ポンプ収納室には放水ノズル(10)
    に連通する水中ポンプ(9)をそれぞれ設置したことを
    特徴とする人工浮島による水質浄化装置。
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