JP2003171832A - 炭素繊維の合成用原料組成物、それを用いた炭素繊維の製造方法および炭素繊維 - Google Patents

炭素繊維の合成用原料組成物、それを用いた炭素繊維の製造方法および炭素繊維

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JP2003171832A
JP2003171832A JP2001376538A JP2001376538A JP2003171832A JP 2003171832 A JP2003171832 A JP 2003171832A JP 2001376538 A JP2001376538 A JP 2001376538A JP 2001376538 A JP2001376538 A JP 2001376538A JP 2003171832 A JP2003171832 A JP 2003171832A
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carbon fiber
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polar solvent
carbon
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Torakichi Azuma
寅吉 東
Katsuyuki Tsuji
勝行 辻
Tetsuo Nakajo
哲夫 中條
Toshio Morita
利夫 森田
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は繊維径分布のシャープな炭素繊維を
簡便かつ安価に製造する為の原料組成物を提供すると共
に繊維径分布のシャープな炭素繊維を簡便かつ安価に製
造する方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 金属化合物の溶解した極性溶媒と非極性
溶媒とを必要により界面活性剤を介して共存させた組成
物を炭素繊維の原料組成物として用い、これを加熱帯域
に供給することにより、繊維径分布のシャープな炭素繊
維を製造することができる。すなわち、この方法では、
加熱帯域で得られる触媒粒子の粒径をコントロールする
ことができ、結果として生成する繊維の繊維径分布をシ
ャープにすることが可能なことができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカーボンナノチュー
ブ等に代表される炭素繊維を合成するための炭素繊維合
成用原料組成物、およびそれを用いた炭素繊維の製造方
法に関する。特に、その繊維径が1から500nmの範
囲にあり、かつ、繊維径分布がシャープな炭素繊維を安
価に製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】気相成長法により得られる炭素繊維はV
GCF(気相成長炭素繊維)と称され、高いアスペクト
比を有する特徴ある繊維が得られるため、従来から活発
に研究されており、その製造方法に関する報告例も多
い。こうした気相成長法を進展させることにより、近年
特に注目を集めているカーボンナノチューブを合成する
ことも可能になっている。
【0003】これら気相成長炭素繊維の製造方法を触媒
の供給方法により大別すると、触媒もしくはその前駆
体を載せたアルミナや黒鉛等の基板やボートを加熱帯域
に置いて、気相から供給する炭化水素と接触させるも
の、触媒もしくはその前駆体粒子を炭化水素等に分散
させて系外から加熱帯域に連続もしくはパルス的に供給
して炭化水素と高められた温度で接触させるもの、フ
ェロセンやカルボニル化合物といった炭化水素中に溶解
する化合物を触媒前駆体として用いて、触媒前駆体が溶
解した炭化水素を加熱帯域に供給することにより、触媒
と炭化水素を接触させるものに大別される。
【0004】の方法による合成は連続して安定的に生
成物を得ることができるため本方法を用いることでVG
CFを工業規模で生産することも可能となっている。
【0005】また、連続的な生産が可能であるの方法
においては炭化水素と触媒の供給量割合を安定化する目
的で界面活性剤を併用するといった改良方法や(特公平
6−65765)、マイクロエマルションを利用してナ
ノオーダーの均一な粒径を有する触媒微粒子を合成し、
これを反応帯域に連続的に供給することによる単層カー
ボンナノチューブの合成も可能になるといった報告もな
されている(化学工業日報 2001.10.15)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、カーボンナノチ
ューブの特異的性質が解明され、様々な分野でこうした
気相成長炭素繊維が応用できる可能性が示されつつあ
る。しかし、こうした将来有望な市場に炭素繊維が浸透
していくためには、用途にあった性状を有する炭素繊維
を安価に供給する方法が必要である。特に、性状として
重要な項目に繊維径分布がシャープであることがあり、
現行の製法では必ずしも満足できるレベルにない。ま
た、用途に応じて望ましい繊維径は異なることが予想さ
れ、異なる繊維径を有する炭素繊維を作り分ける方法も
熱望されている。
【0007】例えば、先述のの方法では触媒前駆体の
熱分解によって触媒粒子を生成させるため、反応帯域に
存在する触媒の粒径は必然的にブロードな分布を有する
ものになる。こうした触媒粒子の粒径の分布は得られる
繊維にも反映され、ブロードな粒子径分布を有する触媒
はブロードな繊維径を有する炭素繊維を与えることにな
り好ましくない。こうした問題を解決するために、前述
したようなマイクロエマルションを利用して調製した粒
径の揃った金属粒子を触媒として用いる方法が提案され
ており、繊維径をシャープにすることに成功している。
また、条件を選べば単層のナノチューブを得ることも可
能になっている。しかし、この方法では触媒調製にかな
りの費用と時間を要し、結果として安価に炭素繊維を供
給することが困難である。
【0008】以上のような問題に鑑み、本発明は繊維径
の揃った炭素繊維を簡便かつ安価に製造する為の原料組
成物を提供することを課題の一つとする。また、繊維径
の揃った炭素繊維を簡便かつ安価に製造する方法を提供
することを課題の一つとする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の課題を
解決するため、鋭意検討した結果、金属化合物の溶解し
た極性溶媒と非極性溶媒とを必要により界面活性剤を介
して共存させた組成物を炭素繊維の原料組成物として用
い、これを加熱帯域に供給することにより、得られる触
媒粒子の粒径をコントロールすることができ、結果とし
て生成する繊維の繊維径分布をシャープにすることが可
能なことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は例えば以下の各項の発
明からなる。
【0011】[1]非極性溶媒、極性溶媒および極性溶
媒中に溶解する金属化合物を含むことを特徴とする炭素
繊維合成用原料組成物。
【0012】[2]界面活性剤を含むことを特徴とする
[1]に記載の炭素繊維合成用原料組成物。
【0013】[3][1]または[2]に記載の炭素繊
維合成用原料組成物において、金属化合物を溶解した極
性溶媒が非極性溶媒中に分散した極性溶媒/非極性溶媒
型エマルションを形成していることを特徴とする炭素繊
維合成用原料組成物。
【0014】[4][1]または[2]に記載の炭素繊
維合成用原料組成物において、非極性溶媒が金属化合物
を溶解した極性溶媒中に分散した非極性溶媒/極性溶媒
型エマルションを形成していることを特徴とする炭素繊
維合成用原料組成物。
【0015】[5]極性溶媒が水であることを特徴とす
る[1]〜[4]のいずれかに記載の炭素繊維合成用原
料組成物。
【0016】[6]非極性溶媒が炭素数5〜12の炭化
水素であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか
に記載の炭素繊維合成用原料組成物。
【0017】[7]炭素数5〜12の炭化水素がベンゼ
ン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、シクロ
ヘキサン、シクロヘキセン、ヘプタン、オクタンおよび
ノナンからなる群から選ばれる少なくとも1種である
[6]に記載の炭素繊維合成用原料組成物。
【0018】[8]炭素数5〜12の炭化水素がベンゼ
ン、トルエンおよびキシレンからなる群から選ばれる少
なくとも1種である[7]に記載の炭素繊維合成用原料
組成物。
【0019】[9]界面活性剤がスルホコハク酸ジ−2
−エチルヘキシルエステルナトリウム塩、オクチルアル
コール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリ
スチルアルコール、ドデシルアルコール、セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ポ
リエチレングリコールラウリルエーテルおよびポリエチ
レングリコールノニルフェニルエーテルからなる群から
選ばれる少なくとも1種である[2]〜[8]のいずれ
かに記載の炭素繊維合成用原料組成物。
【0020】[10]極性溶媒中に溶解する金属化合物
が18族型元素周期表でいう3〜12族の金属から選ば
れる少なくとも1種の金属の化合物であることを特徴と
する[1]〜[9]のいずれかに記載の炭素繊維合成用
原料組成物。
【0021】[11]極性溶媒中に溶解する金属化合物
が18族型元素周期表でいう3、5、6、8、9、10
族の金属から選ばれる少なくとも1種の金属の化合物で
あることを特徴とする[10]に記載の炭素繊維合成用
原料組成物。
【0022】[12]硫黄含有化合物を含むことを特徴
とする[1]〜[11]のいずれかに記載の炭素繊維合
成用原料組成物。
【0023】[13]キャリアーガス、ガス状炭素源お
よび[1]〜[12]に記載の原料組成物とを加熱帯域
に供給して、加熱帯域において金属化合物から発生した
触媒と溶媒および/またはガス状炭素源に由来した炭素
源とを加熱下で接触することを特徴とする炭素繊維の製
造方法。
【0024】[14]ガス状炭素源が、一酸化炭素およ
び炭素数1〜4の低級炭化水素からなる群より選ばれる
少なくとも1種であることを特徴とする[13]に記載
の炭素繊維の製造方法。
【0025】[15][1]〜[12]に記載の原料組
成物とキャリアーガスとを加熱帯域に供給して、金属化
合物から発生した触媒と溶媒から由来した炭化水素とを
加熱下で接触することを特徴とする炭素繊維の製造方
法。
【0026】[16]炭素源となるガス状炭素源と非極
性溶媒として使用した炭化水素中の炭素数の合計モル数
と極性溶媒に溶解する金属化合物のモル数の比率とし
て、金属モル数が炭素モル数の1/10000000以
上1倍以下であることを特徴とする[13]〜[15]
のいずれかに記載の炭素繊維の製造方法。
【0027】[17]キャリアーガスが水素を含有する
ガスであることを特徴とする[13]〜[16]のいず
れかに記載の炭素繊維の製造方法。
【0028】[18]加熱帯域の温度が600℃以上1
500℃以下である[13]〜[17]のいずれかに記
載の製造方法。 [19][13]〜[18]に記載の製造方法で製造さ
れた炭素繊維。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0030】本発明の特徴の一つは触媒前駆体として極
性溶媒中に溶解した金属化合物を用いることにある。さ
らに、特徴の一つは触媒前駆体を含んだ極性溶媒に非極
性溶媒を混合して一方を他方に分散した乳化状態で用い
ることにある。さらに、特徴の一つはこれらの組成物に
加えて界面活性剤を共存させることによって安定なエマ
ルションを形成させ、エマルション中に存在する触媒前
駆体の量をコントロールすることによって反応帯域で生
成する触媒粒子の粒径を制御しようとする点にある。
【0031】従来から触媒前駆体として反応帯域で分解
して金属粒子を生成する金属化合物を用いる考えはあっ
たが、これらは一般に炭素繊維の原料である炭化水素に
溶解するメタロセンに代表される有機金属化合物であ
り、高価な原料を用いるものである。気相成長炭素繊維
の合成に頻用される鉄触媒を例にしてもフェロセンや鉄
カルボニル等を原料であるベンゼンやトルエンに溶解し
て反応帯域に供給する方法は多くの文献で紹介されてい
るが、こうした原料は一般的に鉄系触媒の調製に用いら
れる原料である硫酸鉄や塩化鉄といった鉄の無機塩に較
べると製造に手間が掛かり、はるかに高価であり、コス
トアップの原因となる。従って、鉄の無機塩を触媒前駆
体として用いることが、簡便な工業的製法、触媒コスト
といった観点からは推奨されるが、これら無機塩は一般
的に炭素繊維の原料として用いられるベンゼンやトルエ
ンといった非極性溶媒中にはほとんど溶解しないため、
触媒として必要な量を供給することが困難であったり、
あるいは、溶解せずに固体状態で混在する触媒前駆体が
太い繊維を与えるといった弊害をもたらす。
【0032】そこで本発明では触媒前駆体成分を溶解す
る媒体として極性溶媒を用いる。極性溶媒としては、金
属無機塩をはじめとする金属化合物を溶解する能力があ
ればよく、特に限定されるものではないが、極性の比較
的弱い溶媒を用いると非極性溶媒と溶け合い、後述する
ようなエマルションを形成する際の支障になるために好
ましくない。したがって、好ましい極性溶媒としては
水、アルコール、ケトン、カルボン酸、アミン等があ
り、水と低級アルコールがより好ましい。さらに好まし
くは水である。
【0033】こうして金属化合物を溶解した極性溶媒を
反応帯域に供給して分解することによって炭素繊維の成
長を促進する能力がある金属状態の粒子に変換する。し
かし、金属化合物を含んだ極性溶媒のみを供給したので
は得られる金属状態にある触媒の粒径分布がブロードに
なることが予想される。したがって、本発明ではこの変
換後の触媒粒径をコントロールする目的で非極性溶媒を
併用し、後述するように極性溶媒を非極性溶媒中に、も
しくは非極性溶媒を極性溶媒中に分散して用いる。
【0034】非極性溶媒としては特に脂肪族炭化水素、
芳香族炭化水素、エーテル等を用いることができ、特に
炭素数5〜12の炭化水素が好適に用いることができ
る。中でもベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、
ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン等が好ましい。これらは、単独ま
たは2種以上の混合物として用いることも可能である。
【0035】炭素繊維の原料炭化水素として好適に用い
られるベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素を原料組成物の構成成分である非極性溶媒として用い
ると新たに炭素源を添加する必要がないためさらに好ま
しい。
【0036】本発明の原料組成物は上記したような金属
化合物を溶解した極性溶媒と非極性溶媒とを混合するこ
とからなる。これらの溶媒は互いに溶解しないため攪拌
等を行うことで一方が他方に分散した状態になる。一般
に非極性溶媒の量が極性溶媒の量より多い場合には極性
溶媒が非極性溶媒中に分散したエマルション(乳濁液)
となり極性溶媒がある大きさをもつ液状粒子を形成す
る。この液状粒子の大きさは両溶媒の量比や攪拌等の分
散方法に依存する。単なる攪拌のみでなくホモジナイザ
ーやコロイドミルといった乳化分散用の装置を用いた
り、超音波等の電磁波を照射するとさらによい分散状態
を実現することが可能であり好ましい。しかし、こうし
た方法のみではエマルションを安定に保つことは困難な
場合が多く、通常攪拌や照射を停止すると短時間で2相
に分離してしまう。
【0037】そこで、本発明ではさらに安定な分散状態
を実現するために上記液に加えて界面活性剤(いわゆる
乳化剤)を用いることが推奨される。極性溶媒、非極性
溶媒、界面活性剤を混合した組成物はそれらの量比に応
じて極性溶媒/非極性溶媒型エマルション(非極性溶媒
中に極性溶媒が液滴状に分散されるエマルションで、極
性溶媒が水の場合に、一般的にW/O型(油中水滴型)
エマルションと表す。本発明では、このタイプを以下W
/O型と表す。)または非極性溶媒/極性溶媒型エマル
ション(極性溶媒中に非極性溶媒が液滴状に分散される
エマルションで、極性溶媒が水の場合に、一般的にO/
W型(水中油滴型)エマルションと表す。本発明ではこ
のタイプを以下O/W型と表す。)を形成する。さら
に、臨界ミセル濃度以上の界面活性剤を用いて可溶化領
域にある原料組成物を用いることも勿論可能であり、こ
うしたマイクロエマルションは通常のエマルション(い
わゆるマクロエマルション)と較べて安定で、かつ、液
滴の粒径を制御しやすいという特徴を有する。
【0038】界面活性剤としては極性溶媒と非極性溶媒
の混合系に添加することでエマルションを形成する能力
のあるものであればいかなる界面活性剤を用いてもよい
が、イオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤を用い
ることができる。イオン性界面活性剤の中で、アニオン
性界面活性剤に分類されるものの例としては、カルボン
酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、燐酸エステル
塩、ジチオリン酸エステル塩等があげられる。さらに、
詳しくは、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリ
ウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミ
リスチン酸カリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム
塩、ミリスチル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸
エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリ
ウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリル
エーテル硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カ
ルシウム、イゲポンT、スルホコハク酸ジ−2−エチル
ヘキシルエステルナトリウム塩、ラウリルリン酸エステ
ルナトリウム塩、混合物であるマッコーアルコール硫酸
エステルナトリウム塩、チーグラーアルコール硫酸エス
テルナトリウム塩、オキソアルコール硫酸エステルナト
リウム塩等が上げられ、これらのうちスルホコハク酸ジ
−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩が好まし
い。
【0039】また、カチオン性界面活性剤に分類される
ものの例としてはアミン塩型や第4級アンモニウム塩型
界面活性剤が上げられる。これらのうち好ましいものと
して、ジデシルジメチルアンモニウムブロマイド、また
はそのクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブ
ロマイド、またはそのクロライド、セチルトリメチルア
ンモニウムブロマイド、または、そのクロライド、ドデ
シルトリメチルアンモニウムブロマイド、またはそのク
ロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ト
リ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウムクロ
ライド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ス
テアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリル
ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、ヤシアルキル
トリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリ
メチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチ
ルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモ
ニウムクロライド、ヤシアルキルジメチルベンジルアン
モニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルア
ンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジル
アンモニウムクロライド、ヤシアルキルアミン塩酸塩、
テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルアミン酢酸
塩、N−硬化牛脂アルキル−N,N,N’,N’,N’
−ペンタメチル−プロピレンジアンモニウムジクロライ
ド、1−ヒドロキシエチル2−アルキル(硬化牛脂)イ
ミダゾリン4級塩、ジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムク
ロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、
N,N−塩化ジポリオキシエチレン−N−ステアリル−
N−メチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウ
ムクロライド、臭化ヤシアルキルイソキノリニウム、塩
化o−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニ
オ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、塩化o−
〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロ
ピル〕グァーガム等がある。
【0040】非イオン性界面活性剤の例としては高級ア
ルコール、ポリエチレングリコール型や多価アルコール
型のものがあり、高級アルコールは炭素数6から24の
ものがよい。更に具体的には、オクチルアルコール、デ
シルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアル
コール、ドデシルアルコール、セチルアルコール、ステ
アリルアルコール、オレイルアルコール、ポリエチレン
グリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコール
トリデシルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエ
ーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、
ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレ
ングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレング
リコールオクチルフェニルエーテル、モノステアリン酸
プロピレングリコール、モノラウリン酸グリセリル、モ
ノウンデシレン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセ
リル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリ
ン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジステア
リン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジオレ
イン酸グリセリル、ペンタエリスリトールパルミチン酸
モノエステル、ペンタエリスリトールステアリン酸モノ
エステル、ソルビトールパルミチン酸モノエステル、ソ
ルビタンカプリル酸モノエステル、ソルビタンラウリン
酸モノエステル、ソルビタンパルミチン酸モノエステ
ル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタン
オレイン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリ
エステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル等が例示
でき、更にこれらの化合物のエチレンオキサイド付加物
もあげられる。これらのうち、比較的安定なエマルショ
ンを形成する界面活性剤が好ましく、ポリエチレングリ
コールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニ
ルフェニルエーテル、エチレングリコールラウリルエー
テルのエチレンオキサイド付加モル数が5または6のも
の、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテルの
エチレンオキサイド付加モル数が6のものである。ま
た、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリル
アルコール、ミリスチルアルコール、ドデシルアルコー
ル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイ
ルアルコールも好適に利用できる。
【0041】エマルションの状態としてはW/O型であ
ってもO/W型であってもよいが、生成する触媒粒子の
粒径をコントロールしやすいのは触媒前駆体を溶解して
いる極性溶媒が不連続相となっているW/O型である。
したがって、極性溶媒と非極性溶媒の容積比としては極
性溶媒が非極性溶媒の1/2以下、さらには1/5以下
であることが好ましい。
【0042】界面活性剤の量としては先述したように物
理的方法でエマルションを形成することも可能であるた
めなくてもよいが、添加する際にはエマルションの形成
と安定化に十分な量以上であればよい。さらに、可溶化
したマイクロエマルションを形成したい場合には、溶媒
系と界面活性剤の種類で決まる臨界ミセル濃度(CM
C)以上添加することが必要である。界面活性剤は多す
ぎれば、炭素繊維の成長を阻害するため、CMCとなる
3倍の使用量が上限値であり、好ましくは1.5倍であ
る。さらに、原理的にはこれらの存在量比をコントロー
ルすることにより、エマルション中の液滴の大きさをあ
る程度制御することが可能であり、極性溶媒中に溶解し
ている触媒前駆体の濃度を考慮して液滴の大きさを適正
化することで生成する触媒の粒径を望ましいサイズに制
御することも可能である。
【0043】こうした原料組成物に粒径制御に効果があ
るとされているイオウ化合物を添加してもよく、イオ
ウ、チオフェン等の化合物を非極性溶媒中に溶解して供
給してもよいし、あるいは金属化合物として硫酸塩等の
イオウを含有する物質を用いても良い。さらに、スルホ
ン酸系や硫酸エステル塩系の界面活性剤を用いることで
界面活性剤にイオウ源を求めることも可能である。但
し、供給するイオウの量が多すぎると炭素繊維の成長を
妨げる原因となるため、供給するイオウの総モル数は触
媒の金属モル数の1000倍以下、好ましくは0.01
倍以上100倍以下、さらに好ましくは0.1倍以上1
0倍以下である。
【0044】極性溶媒に溶解する金属化合物としては炭
素繊維の成長を促進する金属を含む化合物であればよ
く、IUPACが1990年に勧告した18族型元素周
期表でいう3〜12族の金属から選ばれる少なくとも1
種の金属の化合物があげられる。さらには3、5、6、
8、9、10族の金属から選ばれる少なくとも1種の金
属の化合物が好ましく、このうち鉄、ニッケル、コバル
ト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金および希
土類元素の少なくとも1種を金属主成分として含有する
化合物がさらに好ましい。これらの金属化合物は1種ま
たは、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】これらの金属化合物は極性溶媒に溶解する
ことも本発明の必須要件であり、塩化物、硫酸塩、硝酸
塩、酢酸塩等が極性溶媒への溶解度が大きいため好適に
用いられる。したがって、好ましい金属化合物の例とし
ては塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、酢酸鉄、塩化コバルト、
硫酸コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、塩化ニッ
ケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル等が
挙げられる。
【0046】これら主成分に1〜17族からなる群から
選ばれる少なくとも1種の金属化合物を添加物(いわゆ
る助触媒)として加えて、主成分である金属の触媒性能
を修飾することも可能であり、本発明においては複数の
金属化合物を極性溶媒中に溶解するという非常に簡便な
方法で助触媒の添加が可能である。添加物の形態として
は主成分同様に極性溶媒に溶解しやすい塩化物、硫酸
塩、硝酸塩、酢酸塩等が好ましい。
【0047】好ましい触媒前駆体の供給量(速度)は触
媒金属のモル数と炭素繊維の原料となる炭化水素中に含
まれる全炭素モル数との比をパラメーターとして記述す
ると、金属モル数が炭素モル数の1/10000000
以上1倍以下、好ましくは1/1000000以上1/
10倍以下、更に好ましくは1/1000000以上1
/100倍以下である。
【0048】炭素繊維の原料となる炭化水素としては後
述するようにベンゼン、トルエンといった液状の炭化水
素のみを用いてこれを本発明でいう原料組成物の構成成
分である非極性溶媒として供給することも可能である
が、原料組成物に加えてCO、メタン、エタン、エチレ
ン、アセチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテ
ン、イソブテンといったガス状の炭化水素を追加して用
いることも可能である。このようなケースにおいては、
供給する全炭素モル数は原料組成物中に含まれる炭素数
に加えてガスとして追加する炭素数も加えて算出する必
要がある。
【0049】本発明の特徴の一つは、さらに、これまで
説明した原料組成物を用いて炭素繊維を合成する方法を
提供することにある。
【0050】炭素繊維の合成はキャリアーガスおよび必
要に応じてガス状のCOや炭化水素等の炭素源、さらに
上記の原料組成物とを加熱帯域に供給して炭化水素と該
原料組成物から発生した触媒とを加熱下で接触すること
により達成される。触媒前駆体を含有する原料組成物を
加熱帯域の壁面に接触するように噴霧して壁面で触媒を
生成させることも可能であるが、好ましくは壁面と極力
接触しないように原料組成物を噴霧して、いわば浮遊状
態にある触媒粒子を生成させることが繊維径分布のシャ
ープな生成物を得るために有効である。
【0051】キャリアーガスとしては水素、窒素、ニ酸
化炭素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、またはこれ
らの混合ガスを用いることができる。しかし、空気等の
酸素を含有するガスは適さない。本発明で用いる原料組
成物に含まれる金属化合物は酸化状態にある場合があ
り、こうした場合にはキャリアーガスとして水素を含有
するガスを用いるのがよい。しがたって、このましいキ
ャリアーガスとしては水素を1%以上、さらには30%
以上、最も好ましくは85%以上含んだガスであり、例
えば100%水素や水素を窒素で希釈したガスである。
添加するガス状で供給する炭素源としては先述したよう
にCO、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロ
パン、プロペン、ブタン、ブテン、イソブテン等があげ
られる。
【0052】触媒前駆体を分解して金属状態にある粒子
に転化し、さらに、この触媒粒子と炭素源とを接触させ
て炭素繊維を成長させるために、これら原料組成物とキ
ャリアーガス、必要に応じて炭素源となるガスとを加熱
帯域に供給する。加熱帯域の温度は600℃以上150
0℃以下であることが望ましく、さらに望ましくは10
00℃以上1350℃以下である。温度が低すぎると炭
素繊維が成長せず、高すぎると繊維が成長しなかった
り、あるいは太い繊維しか得られなかったりする。
【0053】触媒前駆体には溶媒を蒸発させると固体と
して析出するものもあるため、本発明の原料組成物の反
応ゾーンへの供給は液体状態で行うことが望ましい。し
たがって、加熱帯域の上部にノズルを設置してここから
液状の原料組成物を滴下する。ノズルにガスも同時に供
給することによってスプレー状に液を噴霧することも可
能であり、他のガスとの接触がよくなるため好ましい。
ノズル部までは原料組成物が気化せずに液状であること
がこのましいことから、ノズル部の温度は200℃以
下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃
以下になるように加熱帯域との間隔を調整したり、必要
に応じて冷却したりするのがよい。さらに、液を供給す
る配管にホモジナイザーや超音波分散器といったエマル
ションの分散状態を良くする装置を設置して配管内での
分散状態を維持したり、さらに改善したりすることも非
常に好ましい。
【0054】供給するガスの総流量としては加熱帯域の
容積との比で表される滞留時間としては0.001秒以
上1000秒以下、好ましくは0.01秒以上100秒
以下である。本発明ではCOやガス状炭化水素といった
炭素源をガスとして供給する必要は必ずしもなく、原料
組成物中の非極性溶媒として炭化水素を用いて、これを
炭化源として炭素繊維に転化することができる。
【0055】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0056】実施例1 〔原料組成物の調製〕0.50gの硫酸鉄(II)・7水
和物を2.06gの水に溶解して得た硫酸鉄水溶液を予
めAOT(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエス
テルナトリウム塩)0.84gを溶解したベンゼン9
6.60g中に攪拌しながら添加して水溶液がベンゼン
層に分散したW/O型エマルションを形成した。尚、こ
のエマルションは攪拌を停止して放置すると2層に分離
するため、炭素繊維の合成に際しては攪拌しながらポン
プで吸引して反応器に供給した。
【0057】〔炭素繊維の合成〕図1に示す液体噴霧ノ
ズル(外径1/16インチ)を備えた石英製反応管(内
径31mm、外径36mm、加熱帯域の長さ約400m
m)をN2気流中で1250℃にまで昇温し、その後、
2の供給を絶ち、代わってノズル部(1)より0.5
NL/min.、外周部(2)より0.5NL/mi
n.のH2を供給して、反応管内に計1NL/min.
のH2を流した。温度が安定した後に、上記原料組成物
を水素とともにノズル部(1)より小型ポンプを用いて
0.11g/min.の流速で10分の間供給し、反応
管内にスプレー状に噴霧した。
【0058】その結果、炭素繊維捕集器内に灰色を帯び
た蜘蛛の巣状の堆積物が生成した。降温後、この堆積物
を回収し走査型電子顕微鏡で観察した結果を図2に示
す。また、この写真から100本の繊維の繊維径を測定
した結果を表1に、グラフ化したヒストグラムを図3に
示す。平均直径が約55nm、標準偏差が約7.6nm
のシャープな繊維径分布を有する炭素繊維であった。
【表1】
【0059】実施例2 FeSO4・7H2Oの代わりに0.31gの酢酸鉄(I
I)を2.25gの水に溶解した酢酸鉄水溶液を用いた
以外は実施例1と同様にして炭素繊維の合成を行った。
【0060】回収した生成物は平均直径が約60nm、
標準偏差が8.2nmのシャープな繊維径を有する炭素
繊維であった。
【0061】比較例1 反応原料組成物の代わりに96.0gのベンゼンにフェ
ロセンを3.5g、硫黄を0.5g溶解した液を用いて
1200℃で反応を行った以外は、実施例1と同様にし
てフェロセンを触媒前駆体として炭素繊維の合成を行っ
た。回収した繊維を実施例1と同様に走査型電子顕微鏡
で観察した結果を図4に示す。また、この写真から10
0本の繊維の繊維径を測定した結果を表2に、グラフ化
したヒストグラムを図5に示す。繊維径の平均直径が約
68nm、標準偏差は約13nmであり、分布がブロー
ドであることがわかる。
【表2】
【0062】
【発明の効果】簡便で、安価に繊維径分布がシャープな
炭素繊維が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 反応器
【図2】 実施例1で生成した炭素繊維の走査電子顕微
鏡写真
【図3】 実施例1で生成した炭素繊維径のヒストグラ
【図4】 比較例で生成した炭素繊維の走査電子顕微鏡
写真
【図5】 比較例で生成した炭素繊維径のヒストグラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中條 哲夫 神奈川県川崎市川崎区扇町5−1 昭和電 工株式会社総合研究所川崎研究室内 (72)発明者 森田 利夫 神奈川県川崎市川崎区大川町5−1 昭和 電工株式会社生産技術センター内 Fターム(参考) 4G046 CA00 CA01 CB01 CC02 CC03 CC06 CC08 4L037 CS03 FA02 FA20 PA09 PA11 PA17 PA19 PA24 PC11

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非極性溶媒、極性溶媒および極性溶媒中に
    溶解する金属化合物を含むことを特徴とする炭素繊維合
    成用原料組成物。
  2. 【請求項2】界面活性剤を含むことを特徴とする請求項
    1に記載の炭素繊維合成用原料組成物。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の炭素繊維合成用
    原料組成物において、金属化合物を溶解した極性溶媒が
    非極性溶媒中に分散した極性溶媒/非極性溶媒型エマル
    ションを形成していることを特徴とする炭素繊維合成用
    原料組成物。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の炭素繊維合成用
    原料組成物において、非極性溶媒が金属化合物を溶解し
    た極性溶媒中に分散した非極性溶媒/極性溶媒型エマル
    ションを形成していることを特徴とする炭素繊維合成用
    原料組成物。
  5. 【請求項5】極性溶媒が水であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維合成用原料組成
    物。
  6. 【請求項6】非極性溶媒が炭素数5〜12の炭化水素で
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の
    炭素繊維合成用原料組成物。
  7. 【請求項7】炭素数5〜12の炭化水素がベンゼン、ト
    ルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサ
    ン、シクロヘキセン、ヘプタン、オクタンおよびノナン
    からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6
    に記載の炭素繊維合成用原料組成物。
  8. 【請求項8】炭化水素がベンゼン、トルエンおよびキシ
    レンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求
    項7に記載の炭素繊維合成用原料組成物。
  9. 【請求項9】界面活性剤がスルホコハク酸ジ−2−エチ
    ルヘキシルエステルナトリウム塩、オクチルアルコー
    ル、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチ
    ルアルコール、ドデシルアルコール、セチルアルコー
    ル、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ポリ
    エチレングリコールラウリルエーテルおよびポリエチレ
    ングリコールノニルフェニルエーテルからなる群から選
    ばれる少なくとも1種である請求項2〜8のいずれかに
    記載の炭素繊維合成用原料組成物。
  10. 【請求項10】極性溶媒中に溶解する金属化合物が18
    族型元素周期表でいう3〜12族の金属から選ばれる少
    なくとも1種の金属の化合物であることを特徴とする請
    求項1〜9のいずれかに記載の炭素繊維合成用原料組成
    物。
  11. 【請求項11】極性溶媒中に溶解する金属化合物が18
    族型元素周期表でいう3、5、6、8、9、10族の金
    属から選ばれる少なくとも1種の金属の化合物であるこ
    とを特徴とする請求項10に記載の炭素繊維合成用原料
    組成物。
  12. 【請求項12】硫黄含有化合物を含むことを特徴とする
    請求項1〜11のいずれかに記載の炭素繊維合成用原料
    組成物。
  13. 【請求項13】キャリアーガス、ガス状炭素源および請
    求項1〜12に記載の原料組成物とを加熱帯域に供給し
    て、加熱帯域において金属化合物から発生した触媒と溶
    媒および/またはガス状炭素源に由来した炭素源とを加
    熱下で接触することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  14. 【請求項14】ガス状炭素源が、一酸化炭素および炭素
    数1〜4の低級炭化水素からなる群より選ばれる少なく
    とも1種であることを特徴とする請求項13に記載の炭
    素繊維の製造方法。
  15. 【請求項15】請求項1〜12に記載の原料組成物とキ
    ャリアーガスとを加熱帯域に供給して、金属化合物から
    発生した触媒と溶媒から由来した炭化水素とを加熱下で
    接触することを特徴とする炭素繊維の製造方法。
  16. 【請求項16】ガス状炭素源と溶媒から由来した炭化水
    素中の炭素数の合計モル数と金属化合物のモル数の比率
    として、金属モル数が炭素モル数の1/1000000
    0以上1倍以下であることを特徴とする請求項13〜1
    5のいずれかに記載の炭素繊維の製造方法。
  17. 【請求項17】キャリアーガスが水素を含有するガスで
    あることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記
    載の炭素繊維の製造方法。
  18. 【請求項18】加熱帯域の温度が600℃以上1500
    ℃以下である請求項13〜17のいずれかに記載の製造
    方法。
  19. 【請求項19】請求項13〜18に記載の製造方法で製
    造された炭素繊維。
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