JP2003166252A - 杭基礎と液圧併用型の基礎構造 - Google Patents
杭基礎と液圧併用型の基礎構造Info
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Abstract
確にし、且つその分担率を安定的に保持することによっ
て、液圧を有効に活用できるものとし、もって杭基礎の
負担を低減する杭基礎と液圧併用型の基礎構造を提供す
ることである。 【解決手段】 構造物を一定の高さに支持する杭が設置
されていると共に、同構造物の地下躯体の直下に設けら
れた液槽と、前記液槽と連通され立ち上がらせた鉛直パ
イプとを備えて成る。液槽は液体で満たされており、そ
の液体圧力は鉛直パイプ内の液体の高さとして設定さ
れ、同鉛直パイプ内の液体高さに相当する液圧によって
構造物が支持されている。
Description
液体の圧力(浮力の概念も含む。以下、単に液圧とい
う。)による支持力とを併用して構造物を支持する、杭
基礎と液圧併用型の基礎構造の技術分野に属する。更に
云えば、杭の支持力と液圧による支持力との分担率を明
確にし、且つ恒久的に維持できる杭基礎と液圧併用型の
基礎構造に関する。
杭を用いた基礎構造を除くと、地盤で構造物の全荷重を
支持する直接基礎構造、又は杭で構造物の全荷重を支持
する杭基礎構造のいずれかに概ね大別される。直接基礎
と杭基礎の併用型は、地盤と杭との支持力分担率が明確
でないとの理由から採用されていない。
造物を支持する基礎構造も公知に属する。例えば、 (i)特公平6−45941号公報に記載された基礎構
造は、地下水位以下に位置する構造物の底盤下に発泡プ
ラスチックを敷設し、前記発泡プラスチックの浮力によ
り構造物を支持し、地盤支持力を軽減する構成である。
但し、杭基礎は採用していない。
載された基礎構造は、地下躯体の周辺にプールが構築さ
れ、そのプールに満たされた重泥水の浮力により構造物
を支持し、地盤支持力を軽減する構成であり、やはり杭
基礎は採用していない。
術が公知に属する。 (iii)特公平8−6337号公報に記載された基礎構
造は、地盤に打設された杭により構造物が支持されてい
る。地下水を杭の排水溝に沿って地下躯体の下部に設け
た排水透水層まで引き上げ、前記排水透水層に引き上げ
られた地下水を排水ドレンから地上へ排水することによ
り、液状化による構造物の浮き上がりを防止する構成で
ある。但し、液圧による支持力や浮力を利用する基礎構
造ではなく、液圧を一定値に維持する機構を有していな
い。
i)の基礎構造は、発泡プラスチック又は重泥水の浮力
のみで構造物を支持しており、杭基礎のような確実性、
安定性に欠ける。したがって、地盤の支持力(地盤耐
力)が構造物を支持するのに不足していると、採用する
ことができないか、又は大規模な地盤改良を必要とする
問題点がある。
による構造物の浮き上がりを防止できる構成と説明され
ているが、杭のみで構造物を支持しているから、構造物
が大規模になるにつれて、杭が大型化し、又は本数が増
えてコストが嵩むなどの不経済な問題点がある。
と液圧による支持との分担率を明確にし、且つその分担
率を安定的に保持することによって、液圧を有効に活用
できるものとし、もって杭基礎の負担を低減する杭基礎
と液圧併用型の基礎構造を提供することである。
る構造物の浮き上がりを防止できる杭基礎と液圧併用型
の基礎構造を提供することである。
を解決するための手段として、請求項1に記載した発明
に係る杭基礎と液圧併用型の基礎構造は、杭基礎の支持
力と、液体の圧力による支持力とで構造物を支持する杭
基礎と液圧併用型の基礎構造であって、構造物を一定の
高さに支持する杭が設置されていると共に、同構造物の
地下躯体の直下に設けられた液槽と、前記液槽と連通さ
れ立ち上がらせた鉛直パイプとを備えて成り、前記液槽
は液体で満たされており、その液体圧力は鉛直パイプ内
の液体の高さとして設定され、同鉛直パイプ内の液体高
さに相当する液圧によって構造物が支持されていること
を特徴とする。
た杭基礎と液圧併用型の基礎構造において、鉛直パイプ
の上端部は、構造物周辺の地表部まで立ち上がっている
ことを特徴とする。
た杭基礎と液圧併用型の基礎構造において、鉛直パイプ
の上端部は、構造物の内部へ立ち上がっていることを特
徴とする。
ずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造にお
いて、液槽は、粗粒材を敷き詰めた構成とされているこ
とを特徴とする。
ずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造にお
いて、液槽内には水平ドレンが設置され、各々のドレン
から立ち上げた鉛直パイプで液槽内の液圧分布を略均一
に、且つ一定値にすることを特徴とする。
ずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造にお
いて、構造物の地下躯体の外周には、不透水層まで到達
する止水壁が構築され、この止水壁が液槽の一部を形成
していることを特徴とする。
ずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造にお
いて、液槽の周壁面及び底面には泥膜が形成され、逸水
対策が行われていることを特徴とする。
項3〜7のいずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の
基礎構造において、構造物の内部に立ち上がる鉛直パイ
プには、圧力調整弁が設けられていることを特徴とす
る。
た杭基礎と液圧併用型の基礎構造において、鉛直パイプ
の上端部には天蓋が設けられていることを特徴とする。
に記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造において、鉛
直パイプの上端部まで液体が充填されていることを特徴
とする。
載した発明に係る杭基礎と液圧併用型の基礎構造の実施
形態を示している。この基礎構造は、地下水位の低い地
盤1で好適に実施される。
さに支持する複数本の杭5…が設置されていると共に、
同構造物4の地下躯体4aの直下に約0.3m程度の深
さで設けられた液槽2と、この液槽2と連通され、上端
部が地表部まで立ち上がったL字形状の鉛直パイプ6と
を備えて成る(請求項2記載の発明)。なお、必要に応
じて、後述する図4及び図5の基礎構造と略同様に、液
槽2を横断する複数本の水平ドレンを設置し、その各水
平ドレンと鉛直パイプ6の下端部とを連通した構成とさ
れる(請求項5記載の発明)。
り、その液圧Fが鉛直パイプ6内の液体3の高さH2と
して示されている。即ち、構造物4の下面の高さH1と
鉛直パイプ6内の液体3の高さH2との高低差ΔH=H
2−H1に相当する液圧Fが、構造物4の底面全域に働
いて構造物4の支持力となっているのである。
と、杭5の支持力とに分担して支持されている。そのた
め、杭5の支持力は液圧Fによる支持力の分担分だけ軽
減され、杭径の縮小、本数の節減によるコストの削減に
大きく寄与する。
内の液体3の高さH2を所定の高さに維持(調整)する
ことにより、一定に保たれる。具体的には、地盤沈下等
により液槽2の底面が沈下し、容積が増加して液圧Fが
下がると、鉛直パイプ6内の液体3の高さH2も低下す
るので、それを例えば鉛直パイプ6に設けられたレベル
センサー等(図示は省略)に感知させ、同センサーの信
号に基づいて液体ポンプ等(図示は省略)を自動運転さ
せ、所定の高さとなるまで液体3を補充することによ
り、液圧Fによる支持力を常に一定に保てる。
水が液槽2に浸入し、液圧Fが上がり鉛直パイプ6内の
液体3の高さH2が高くなった場合にも、レベルセンサ
ーがそれを感知し、同センサーの信号に基づいて液体ポ
ンプが鉛直パイプ6を通じて液体3を排出することによ
り、液圧Fによる支持力を一定に保てる。
は、例えば、構造物4を支持する杭5を構築し、山留め
壁(図示は省略)を構築した地盤1を通常の開削工法に
より液槽2の底面レベルまで掘削し、杭5の頭部へ底面
型枠(捨て型枠)を組み付けて構造物4の底盤を構築
し、その直下に液槽2を形成する。この液槽2に必要に
応じて水平ドレンを設置し、それに下端部を連通させ上
方に立ち上がる鉛直パイプ6を構築する。その後、液槽
2内に液体3を充填し、構造物4の建築の進行と共に、
鉛直パイプ6内の液体3の高さH2を調整して液圧を加
えてバランスをとる。但し、構造物4を逆打ち工法で構
築することもある。
下水位が低い場合は、水を充填する前に泥水を充填して
液槽2の周壁面及び底面に泥膜(図示は省略)を形成
し、逸水対策を行う(請求項7記載の発明)。泥水は、
泥膜形成能力が大きく、周辺地盤1への逸水を防止する
ことができる。
さに保つことができるので、液圧Fによる支持力と、杭
5の支持力との分担率が明確となる。しかも、鉛直パイ
プ6の利用により液圧Fの維持、管理を確実に行えるの
で、液圧Fを構造物4の恒久的な安定支持力として有効
に活用することができる。そのため、杭5は、液圧Fに
よる支持力の分担分だけ軽減した杭径と本数で良く、コ
ストの削減に大きく寄与し、経済的、合理的である。
プ6を通じて地下水を排出することができるので、過剰
水圧を解消することができ、構造物4の浮き上がりやそ
の底面に生じる過大応力の発生を防止できる。
る。この基礎構造は、図1の基礎構造とほぼ同一の構成
であるが、液槽2が粗粒材7を敷き詰めた帯水層(以
下、液槽と同一の符号2を使用する。)として構成され
ている(請求項4記載の発明)。そのため、帯水層2の
上に直接、構造物4の底盤を構築することができ、作業
性がよい。
ている。この基礎構造は、図2の基礎構造とほぼ同一の
構成であるが、地下水位Lが高い地盤1で好適に実施で
きる構成とされている。
周に不透水層1aまで到達するソイルセメント柱列壁8
が構築され、帯水層2の外周側壁が形成されている(請
求項4記載の発明)。このとき、図示するように、鉛直
パイプ6は、ソイルセメント柱列壁8内に配置されても
良く、また、ソイルセメント柱列壁8の一辺を地下躯体
4aの側面から間隔を開けて構築し、その間隔に配置し
ても良い。
とで、大量の地下水が帯水層2内に浸入することがな
く、鉛直パイプ6からの地下水の排出により容易に地下
水位Lを一定に保つことができ、構造物4の浮き上がり
やその底面に生じる過大応力の発生を防止できる。ま
た、構造物4直下で液状化が生じても、帯水層2に地下
水が浸入し、鉛直パイプ6から排出されるため、過剰水
圧を解消することができ、やはり構造物4の浮き上がり
やその底面に生じる過大応力の発生を防止できる。
理的には同一であるが、鉛直パイプ6の上端部が構造物
4の内部へ導かれた基礎構造を示している。
本の水平ドレン9、9が平行に設置され、各水平ドレン
9、9と連通され立ち上がらせた比較的高さの低い鉛直
パイプ6、6の上端部は、地下躯体4aの内部へ導かれ
ている(請求項3〜5記載の発明)。水平ドレン9を設
置することで、より確実に帯水層2内の液圧分布が均一
に、且つ一定値に保たれる。
力調整弁10と、充填用の圧力調整弁11が設けられて
おり、その上端部まで液体3が充填され、天蓋6aによ
り密閉されている(請求項8〜10記載の発明)。した
がって、液圧Fが上がると、鉛直パイプ6内の圧力が上
がり、圧力調整弁10から液体3が排出され、液圧Fが
一定に保たれる。逆に、液圧Fが下がると、鉛直パイプ
6内の圧力が下がり、圧力調整弁11から液体3が充填
され、液圧Fが一定に保たれる。
鉛直パイプ6の実施形態を示しているが、鉛直パイプ6
の高さが高い場合は、上端部に天蓋6aがなく、液圧F
が上がると、液体3が鉛直パイプ6の上端部からオーバ
ーフローし、必然的に液体3の高さが一定に保たれる構
成とされることもある。
構成としているが、鉛直パイプ6の高さが低い場合で
も、液体3がオーバーフローする構成とされても良い。
圧力調整弁10、11のみで液圧Fの調整を行っても良
い。
9の本数は構築される構造物の大きさ等により、適宜変
更される。
に係る杭基礎と液圧併用型の基礎構造は、液圧を一定の
大きさに保つことができるので、液圧による支持力と、
杭の支持力との分担率が明確となる。しかも、鉛直パイ
プの利用により液圧の維持、管理を確実に行えるので、
液圧を構造物の恒久的な安定支持力として有効に活用す
ることができる。そのため、杭は、液圧による支持力の
分担分だけ軽減した杭径と本数で良く、コストの削減に
大きく寄与し、経済的、合理的である。また、地下水位
が上昇した場合、鉛直パイプを通じて地下水を排出する
ことができるので、過剰水圧を解消することができ、構
造物の浮き上がりやその底面に生じる過大応力の発生を
防止できる。
実施形態を示した立面図である。
型の基礎構造の実施形態を示した立面図である。
れた杭基礎と液圧併用型の基礎構造の実施形態を示した
立面図である。
基礎と液圧併用型の基礎構造の実施形態を示した立面図
である。
Claims (10)
- 【請求項1】杭基礎の支持力と、液体の圧力による支持
力とで構造物を支持する杭基礎と液圧併用型の基礎構造
であって、 構造物を一定の高さに支持する杭が設置されていると共
に、同構造物の地下躯体の直下に設けられた液槽と、前
記液槽と連通され立ち上がらせた鉛直パイプとを備えて
成り、 前記液槽は液体で満たされており、その液体圧力は鉛直
パイプ内の液体の高さとして設定され、同鉛直パイプ内
の液体高さに相当する液圧によって構造物が支持されて
いることを特徴とする、杭基礎と液圧併用型の基礎構
造。 - 【請求項2】鉛直パイプの上端部は、構造物周辺の地表
部まで立ち上がっていることを特徴とする、請求項1に
記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造。 - 【請求項3】鉛直パイプの上端部は、構造物の内部へ立
ち上がっていることを特徴とする、請求項1に記載した
杭基礎と液圧併用型の基礎構造。 - 【請求項4】液槽は、粗粒材を敷き詰めた構成とされて
いることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記
載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造。 - 【請求項5】液槽内には水平ドレンが設置され、各々の
ドレンから立ち上げた鉛直パイプで液槽内の液圧分布を
略均一に、且つ一定値にすることを特徴とする、請求項
1〜4のいずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基
礎構造。 - 【請求項6】構造物の地下躯体の外周には、不透水層ま
で到達する止水壁が構築され、この止水壁が液槽の一部
を形成していることを特徴とする、請求項1〜5のいず
れか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基礎構造。 - 【請求項7】液槽の周壁面及び底面には泥膜が形成さ
れ、逸水対策が行われていることを特徴とする、請求項
1〜6のいずれか一に記載した杭基礎と液圧併用型の基
礎構造。 - 【請求項8】構造物の内部に立ち上がる鉛直パイプに
は、圧力調整弁が設けられていることを特徴とする、請
求項1又は請求項3〜7のいずれか一に記載した杭基礎
と液圧併用型の基礎構造。 - 【請求項9】鉛直パイプの上端部には天蓋が設けられて
いることを特徴とする、請求項8に記載した杭基礎と液
圧併用型の基礎構造。 - 【請求項10】鉛直パイプの上端部まで液体が充填され
ていることを特徴とする、請求項8又は9に記載した杭
基礎と液圧併用型の基礎構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001368128A JP3671294B2 (ja) | 2001-12-03 | 2001-12-03 | 杭基礎と液圧併用型の基礎構造 |
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