JP2003161298A - ガスタービンの圧縮機翼列 - Google Patents

ガスタービンの圧縮機翼列

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JP2003161298A
JP2003161298A JP2001357486A JP2001357486A JP2003161298A JP 2003161298 A JP2003161298 A JP 2003161298A JP 2001357486 A JP2001357486 A JP 2001357486A JP 2001357486 A JP2001357486 A JP 2001357486A JP 2003161298 A JP2003161298 A JP 2003161298A
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Kazuyuki Matsumoto
和幸 松本
Hiroyuki Hamana
寛幸 濱名
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続する静翼の位置関係を調整等して、動翼
のねじり振動を防止するガスタービンの圧縮機翼列を提
供すること。 【解決手段】 図の中段に横並びになっている静翼6、
動翼7、静翼8に注目すると、これらは一定の関係にな
っている。すなわち、静翼6を空気が通過するときに当
該静翼6の後縁部9の後方に生じる層状ウェイク流10
を動翼7の前縁部11が横切るときに、静翼8の前縁部
12前方に生じる局所的高圧エリア13を動翼7の後縁
部14が通過する位置関係となっている。この位置関係
により、動翼7の腹側の両縁部11、14には、局所的
高圧部分15、17が同時に生じる。これにより、動翼
に生じる高圧部分がアンバランスに存在することに起因
するねじり振動を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ガスタービンの
圧縮機翼列に関し、更に詳しくは、連続する静翼の位置
関係を調整したり、形状を工夫して、動翼のねじり振動
を防止するガスタービンの圧縮機翼列に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ガスタービンの圧縮機翼列は、速
度三角形や圧力係数、ディフュージョンファクタ、臨界
マッハ数等を考慮して選定・設計される。そして、翼列
の圧力上昇を過大にしないように、コスト、安全性、効
率を考慮しつつ複数段に翼列を配設するのが一般的であ
る。設計によっては、同数の静翼を有する静翼列が連続
して配設される場合もある。
【0003】同数の静翼を有する静翼列が連続する場
合、空気通路の大きさに合わせて翼の翼高さこそ異なる
ように設計されるが、静翼列の他の部分、特に静翼の周
方向配置は全く同じとなるように圧縮機内に設けられ
る。これはコスト的にも割安になるからである。したが
って、配設された静翼列を回転軸に直角方向から眺める
と、前段の静翼と後段の静翼とを回転軸に平行な直線で
結ぶことが出来る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のガスタービンの圧縮機翼列では、前段からの空気流
れを考慮して設計されているものの、ガスタービンが稼
働している最中の動的な圧力分布を考慮して設計されて
いない。そのため、前段静翼の後方に生じるウェイク流
や後段静翼のよどみ点付近のポテンシャル流が静翼間に
ある動翼にどのような影響を及ぼすかは全く不明であっ
た。また、このことに起因して動翼が激しいねじり振動
を生じた場合、効率を多少悪化させても動翼の剛性を上
げる等の手段をとらざるを得なかった。
【0005】そこで、この発明は、上記に鑑みてなされ
たものであって、連続する静翼の位置関係を調整した
り、形状を工夫して、当該静翼間にある動翼のねじり振
動を防止するガスタービンの圧縮機翼列を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1にかかるガスタービンの圧縮機翼列は、回
転軸方向に第一の静翼列、動翼列、第二の静翼列の順に
配設され、当該第一の静翼列および当該第二の静翼列
は、一定間隔で周方向に配置される同数の静翼を有する
ガスタービンの圧縮機翼列において、前記第一の静翼列
と前記第二の静翼列は、周方向配置に関して一定の関係
を有し、前記一定の関係は、前記第一の静翼列の有する
一の静翼の最大翼高さ部分を空気が通過するときに当該
静翼の後縁部後方に生じる層状ウェイク流を動翼のチッ
プ前縁部が横切るときに、前記第二の静翼列が有する一
の静翼の最大翼高さ部分であって当該静翼の前縁部前方
に生じる局所的高圧エリアを前記動翼のチップ後縁部が
通過する位置関係であるようにしたものである。
【0007】第一の静翼列の有する一の翼の最大翼高さ
部分を空気が通過するときには、当該翼の後縁部後方に
層状のウェイク流が生じる。当該ウェイク流を動翼のチ
ップ前縁部が横切るとき、動翼チップ前縁部の腹側に
は、局所的に高圧部分ができる。一方、第二の静翼列が
有する一の翼の最大翼高さ部分であって当該翼の前縁部
は、空気の静圧成分が上昇し、翼の前縁部前方には、局
所的に高圧エリアが生じる。この高圧エリアを動翼のチ
ップ後縁部が通過するとき、当該後縁部腹側に局所的に
高圧部分ができる。
【0008】したがって、動翼の腹側であって、両縁部
には、局所的高圧部分が生じることになる。このため、
翼の両縁部にかかる力のバランスが整い、片縁部だけに
高圧部分が生じる場合に励振されるねじり振動を防止す
ることができる。なお、第一の静翼列、第二の静翼列は
圧縮機の第一段、第二段の静翼列を意味するものでな
く、任意の段において同数の翼を有し、動翼を挟んで連
続する静翼列を意味するものである。また、静翼列の一
の翼で上記のような関係があると、他の翼でも同様な現
象を生じさせることが出来る。
【0009】また、請求項2にかかるガスタービンの圧
縮機翼列は、請求項1に記載のガスタービンの圧縮機翼
列において、前記第一の静翼列が有する静翼の前記後縁
部は、翼高さ方向全域にわたって前記動翼の前記前縁部
に沿うように回転軸の周方向に傾いており、前記第二の
静翼列が有する静翼の前記前縁部は、翼高さ方向全域に
わたって前記動翼の前記後縁部に沿うように回転軸の周
方向に傾いているようにしたものである。
【0010】動翼は回転軸の半径方向における周方向速
度差、流線の偏り等を考慮して、三次元的にねじれるよ
うにスタッキングされるのが一般的である。請求項1に
かかる発明では、動翼のねじり振動を防止する観点か
ら、最も影響を受けやすいチップ部に注目し、対応する
静翼との位置関係を創作した。請求項2にかかる発明で
は、前縁部が三次元的にねじれている動翼の前縁と後縁
に沿うように対応する静翼を傾けて設ける。これによ
り、動翼の翼高さ方向全域にわたって局所的高圧部分の
バランスを整え、ねじり振動防止に資することができ
る。
【0011】また、請求項3にかかるガスタービンの圧
縮機翼列は、請求項1に記載のガスタービンの圧縮機翼
列において、前記第二の静翼列の静翼は、ガスタービン
の定格運転時に動翼に現れる振動モードのうち、最も防
止したい振動モードに合わせて最大翼高さ部分より下部
となる前記前縁部の曲率半径を、最大翼高さ部分の前記
前縁部の曲率半径よりも小さくしたものである。
【0012】動翼のねじり振動にはいくつかの振動モー
ドが存在する。動翼の両縁部が周期的に振動する比較的
単純な振動モードに対しては、請求項1にかかる発明が
効果を奏するが、複雑な振動モードに対しては、さらに
手を加える余地がある。そこで、最も防止したい振動モ
ードに合わせて最大翼高さ部分より下部となる前縁部の
曲率半径を、最大翼高さ部分の前記前縁部の曲率半径よ
りも小さくする。これにより、ポテンシャル干渉による
影響が小さくなる。
【0013】また、請求項4にかかるガスタービンの圧
縮機翼列は、請求項1に記載のガスタービンの圧縮機翼
列において、前記第二の静翼列の静翼は、ガスタービン
の定格運転時に動翼に現れる振動モードのうち、最も防
止したい振動モードに合わせて、最大翼高さ部分より下
部における前記前縁部と前記動翼の前記後縁部との距離
を最大翼高さ部分における前記前縁部と前記動翼の前記
後縁部との距離よりも大きくするようにしたものであ
る。
【0014】第二の静翼列の翼は、最大翼高さ部分にお
いて動翼の後縁部との位置関係を調整することにより、
ポテンシャル干渉による局所的圧力のねじり振動への影
響を抑えることができた。この発明は、最大翼高さより
も下部となる部分でポテンシャル干渉の影響を小さくす
るものである。すなわち、最も防止したい振動モードに
合わせて、最大翼高さ部分より下部における前縁部と前
記動翼の後縁部との距離を、最大翼高さ部分における前
記前縁部と前記動翼の前記後縁部との距離よりも大きく
することにより、動翼が高圧力エリアを避けて通過でき
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき図面を参照
しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。また、この実施の形
態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、
或いは実質的に同一のものを含む。
【0016】(実施の形態1)図1は、この発明の実施
の形態1にかかる翼列を示した外観概略図である。同図
は、ガスタービンの圧縮機内に配設される複数の翼列の
うち一部を選出したものである。同図では、左から第一
の静翼列1、動翼列2、第二の静翼列3を平面上に展開
したものを示している。第一の静翼列1と第二の静翼列
3は、一定間隔で周方向に配置される同数の静翼を有す
る。
【0017】圧縮機を流れる空気は矢印4のように左側
から流れるものとし、また、動翼列2は、矢印5のよう
に上方に回転するものとする。また、各静翼列1、2が
有する静翼は最大翼高さ部分の断面のみを表してあり、
動翼列2が有する動翼はチップ部の断面のみを表してあ
る。なお、ここでは、動翼の数と静翼の数が同数表して
あるが、動翼の数は問題とならない。
【0018】同図の中段に横並びになっている静翼6、
動翼7、静翼8に注目すると、これらは一定の関係にな
っている。すなわち、静翼6を空気が通過するときに当
該静翼6の後縁部9の後方に生じる層状ウェイク流10
を動翼7の前縁部11が横切るときに、静翼8の前縁部
12前方に生じる局所的高圧エリア13を動翼7の後縁
部14が通過する位置関係となっている。
【0019】静翼6の最大翼高さ部分を空気が通過する
ときには、当該翼の後縁部9後方に層状ウェイク流10
が生じる。これは空気の粘性によって上下の早い流れの
中に遅い流れが生じる現象である。このため、当該層状
ウェイク流10を動翼7のチップ前縁部11(全翼長に
対しておよそ20%の部分)が横切るときに、速度三角
形でいうところのウェイク流の相対速度ベクトルが主流
の相対速度ベクトルに対して、動翼腹側に傾き、動翼7
のチップ前縁部11の腹側には、局所的に高圧部分15
ができる。
【0020】一方、静翼8の最大翼高さ部分であって当
該静翼8の前縁部12は、一定の厚み16を有するの
で、その部分で空気が淀む。そのため、空気の静圧成分
が上昇し、静翼8の前縁部12前方には、局所的に高圧
エリア13が生じる。この高圧エリア13を動翼7のチ
ップ後縁部14が通過するときには、当該後縁部14
(全翼長に対しておよそ20%の部分)腹側に局所的高
圧部分17ができる。
【0021】したがって、動翼7の腹側の両縁部11、
14に局所的高圧部分15、17が同時に生じることに
なる。ここで、片縁部、たとえば、動翼7の前縁部11
だけに局所的高圧部分15が生じた場合を考えてみる。
静翼列3の周方向位置によっては、動翼7の片縁部のみ
に局所的高圧部分が生じる。この場合、動翼7の片縁部
に偏って圧力がかかるので、動翼7にはねじり応力が加
わり、動翼7の回転と共にその応力は周期的に加わる。
そして、その周期が動翼の有する固有振動数になれば、
動翼7の破損に至る可能性が大きくなる。
【0022】図2は、2つの静翼と動翼との位置関係を
示した外観図である。同図では、横方向からみた図を下
方に示し、車室側からみた図を上方に示している。この
ように、この発明では、ねじり振動に最も影響をうける
動翼7のチップ部21に着目して静翼6,8と動翼7の
位置関係を決定する。これによって、チップ部21にお
ける力のバランスを整えることができる。
【0023】上記のように、この発明では、局所的高圧
部分15,17が動翼7の両側に同時に作用するので、
ねじり応力が加わらず、それによってねじれ振動の励起
を防止することができる。また、動翼7のねじり振動は
チップ部が最も影響を受けやすいので、この発明によっ
て当該チップ部における力のバランスを整えることがで
きる。
【0024】なお、2つの静翼6,8と動翼7とが前記
一定の関係を有するようにするには、たとえば、静翼6
の反り線の後縁部9における接線を延長した仮想線と、
動翼7の前縁部11とが交叉するときに、動翼7の後縁
部14と、静翼8の反り線の前縁部12における接線を
延長した仮想線とが交叉するような設計にしてもよい。
【0025】(実施の形態2)図3は、この発明の実施
の形態2にかかる圧縮機翼列を示す断面図である。同図
は、左の縦列から上段静翼列31,動翼列32、下段静
翼列33を示し、それぞれが有する一の翼(静翼、動
翼)を示している。また、上段から最大翼高さ部(チッ
プ部)断面34、最小翼高さ部(ルート部)断面35、
車室側からみた外観図36を示している。
【0026】動翼列32の有する動翼は、回転軸の半径
方向における周方向速度差、流線の偏り等を考慮して、
同図に示すように、三次元的にねじれるようにスタッキ
ングされるのが一般的である。すなわち、動翼のルート
部断面38に比べてチップ部断面37は、流入角と動翼
入口メタル角(前縁における翼弦の接線)が一致するよ
うに、空気流路に対する角度を大きくしてある。そのた
め、下段の外観図を見るとわかるように、前縁部40や
後縁部41は回転軸の周方向に傾く。
【0027】この実施の形態2にかかる発明では、前縁
部が三次元的にねじれている動翼の前縁と後縁に沿うよ
うに、対応する静翼を傾けて設ける。すなわち、上段の
静翼の後縁部42は、翼高さ方向全域にわたって動翼の
前縁部40に沿うように回転軸の周方向に傾け、同様
に、下段の静翼の前縁部43は、翼高さ方向全域にわた
って動翼の後縁部41に沿うように回転軸の周方向に傾
けて設ける。
【0028】上記のように静翼を設けると、動翼の翼高
さ方向全域にわたってウェイク干渉とポテンシャル干渉
に起因する局所的高圧部分のバランスが整うようにな
る。これにより、動翼に生じる高圧部分がアンバランス
に存在することに起因するねじり振動を翼高さ方向全域
にわたって防止することができる。
【0029】(実施の形態3)一般に、構造体の振動特
性を測定して、固有周波数、固有振動モード等、その構
造体に特有の性質を抽出してモードモデルを構築するこ
とによって、構造体の動的応答を推定する解析手段をモ
ード解析という。近年では理論解析と実験解析をコンピ
ュータで統合する実験モード解析と呼ばれる新しい解析
法も開発され,機械構造物の設計・開発に利用されてい
る。
【0030】図4は、動翼の振動モードを説明するため
の説明図であり、(a)は低周波数振動での振動モー
ド、(b)は中周波数振動での振動モード、(c)は高
周波振動での振動モードである。ここで、周波数振動
は、タービン回転数と翼列の有する翼数との積で求まる
周波数で生じる振動を意味する。したがって、ガスター
ビンの運転状況によって、おおよその振動モードを推定
することができる。
【0031】上記モード解析によって動翼の振動モード
を解析すると、同図に示したように、周波数が増加する
と(タービン回転数が上昇すると)、動翼の振動モード
も変化することがわかった。具体的に説明すると、
(a)で示した低周波数振動では、動翼51のチップ部
に近い部分52で単純なねじり振動が生じることがわか
った。また、(b)で示した中周波数振動では、動翼5
1全体をおおよそ四分割した領域53〜56であって隣
り合う上下左右の領域の位相が逆転するねじり振動が生
じることがわかった。
【0032】さらに、(c)で示した高周波振動では、
動翼51全体をおおよそ六分割した領域57〜62であ
って隣り合う上下左右の領域で位相が逆転するねじり振
動が生じることがわかった。したがって、ガスタービン
を低速で回転させるときには、動翼のチップ部に注目し
て、実施の形態1の手法で静翼との位置関係を調整すれ
ばよい。しかし、同図(b)(c)のような振動モード
となるような回転数でガスタービンを運転するときが常
であれば、動翼のチップ部より下部の領域(ルート部か
ら50%〜65%の部分)で何かしらの振動防止手段が
必要となる。
【0033】そこで、この実施の形態3では、ガスター
ビンの定格運転時に動翼に現れる振動モードのうち、最
も防止したい振動モードに合わせて、静翼の最大翼高さ
部分より下部となる前縁部(ルート部からおよそ50%
〜65%の部分)の曲率半径を、最大翼高さ部分の前縁
部の曲率半径よりも小さくするようにした発明を実施す
る例を示す。
【0034】図5は、静翼の最大翼高さ部分より下部と
なる部分の断面形状を示す断面図であり、(a)は、最
大翼高さ部分の断面形状であり、(b)は、最大翼高さ
部分より下部となる部分の断面形状である。同図(b)
に示すように、最大翼高さ部分より下部となる部分の断
面形状における前縁部の曲率半径62は、同図(a)の
曲率半径61に比べて小さくなっている。
【0035】動翼に局所的高圧部分を生じさせるポテン
シャル干渉は、下段静翼前縁部におけるよどみ点で静圧
が上昇した高圧エリアを動翼が通過することによって起
こる。したがって、下段静翼前縁部の曲率半径を小さく
すると、当該部分での空気のよどみが減少し、静圧の上
昇も抑えられる。この発明は、この点に着目し、動翼に
対するポテンシャル干渉の影響を減少させ、静翼の最大
翼高さ部分より下部で振動励起原因となる高圧部分を減
少させる。
【0036】このように、実施の形態3で示した下段静
翼前縁部での曲率半径の工夫と、実施の形態1で示した
静翼と動翼との位置関係の工夫を合わせて実施すれば、
動翼の翼高さ方向全域において、ねじり振動の励起を防
止することができる。なお、図5では、翼断面形状全体
が大きく変化しているように見えるが、問題となるの
は、前縁部の曲率半径であるので、その他の部分の形状
は、従来の設計手法によって適当な形状が選択・設計さ
れる。
【0037】(実施の形態4)図6は、実施の形態4に
かかる動翼と下段静翼を示す外観図である。この実施の
形態4は、実施の形態1ではカバーしきれない領域のポ
テンシャル干渉の影響を減少させるものである。具体的
には、図4(b)(c)といった中高周波振動モードに
合わせて、静翼70の最大翼高さ部分71より下部にお
ける前縁部72(ルート部からおよそ50%〜65%の
部分)と動翼73の後縁部74との距離75を、同図
(a)で示す従来の距離、または最大翼高さ部分71に
おける前記前縁部72と前記動翼73の前記後縁部74
との距離よりも大きくする。
【0038】実施の形態3で述べたように、動翼に局所
的高圧部分を生じさせるポテンシャル干渉は、下段静翼
前縁部におけるよどみ点で静圧が上昇した高圧エリアを
動翼が通過することによって起こる。したがって、上記
のように、前縁部72と動翼73の後縁部74との距離
75が大きいと、静圧が高いエリアを動翼73が通過し
なくなる。これにより、動翼73(ルート部からおよそ
50%〜65%の部分)に対するポテンシャル干渉の影
響を減少させることができ、延いては、動翼のねじり振
動を防止することができる。なお、上記ポテンシャル干
渉の影響は、距離の大きさに応じて指数関数的に飛躍的
に小さくなることが知られている。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
ガスタービンの圧縮機翼列(請求項1)によれば、局所
的高圧部分が動翼の両側に同時に作用するので、ねじり
応力が加わらず、それによってねじれ振動の励起を防止
することができる。また、動翼のねじり振動はチップ部
が最も影響を受けやすいので、この発明によって当該チ
ップ部における力のバランスを整えることができる。
【0040】また、この発明にかかるガスタービンの圧
縮機翼列(請求項2)によれば、請求項1にかかる発明
による効果に加え、動翼の翼高さ方向全域にわたってウ
ェイク干渉とポテンシャル干渉に起因する局所的高圧部
分のバランスが整うようになる。これにより、動翼に生
じる高圧部分がアンバランスに存在することに起因する
ねじり振動を翼高さ方向全域にわたって防止することが
できる。
【0041】また、この発明にかかるガスタービンの圧
縮機翼列(請求項3)によれば、請求項1にかかる発明
による効果に加え、第二の静翼列の翼前縁部前方におけ
る静圧上昇を抑えられるという効果を有する。これによ
り、動翼に生じる高圧部分がアンバランスに存在するこ
とに起因するねじり振動を翼高さ方向全域にわたって防
止することができる。
【0042】また、この発明にかかるガスタービンの圧
縮機翼列(請求項4)によれば、請求項1にかかる発明
による効果に加え、動翼が静圧の高いエリアを通過しな
くなるという効果を有する。これにより、動翼に生じる
高圧部分がアンバランスに存在することに起因するねじ
り振動を翼高さ方向全域にわたって防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる翼列を示した
外観概略図である。
【図2】2つの静翼と動翼との位置関係を示した外観図
である。
【図3】この発明の実施の形態2にかかる圧縮機翼列を
示す断面図である。
【図4】動翼の振動モードを説明するための説明図であ
り、(a)は低周波数振動での振動モード、(b)は中
周波数振動での振動モード、(c)は高周波振動での振
動モードである。
【図5】静翼の断面形状を示す断面図であり、(a)
は、最大翼高さ部分の断面形状であり、(b)は、最大
翼高さ部分より下部となる部分の断面形状である。
【図6】実施の形態4にかかる動翼と下段静翼を示す外
観図である。
【符号の説明】
1 第一の静翼列 2 動翼列 3 第二の静翼列 6 静翼 7、51 動翼 8、70、73 静翼 10 層状ウェイク流 11、12、40、43、72 前縁部 13 局所的高圧エリア 14、41、42、74 後縁部 15、17 局所的高圧部分 37 チップ部断面 38 動翼のルート部断面 61、62 曲率半径 75、76 距離

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸方向に第一の静翼列、動翼列、第
    二の静翼列の順に配設され、当該第一の静翼列および当
    該第二の静翼列は、一定間隔で周方向に配置される同数
    の静翼を有するガスタービンの圧縮機翼列において、 前記第一の静翼列と前記第二の静翼列は、周方向配置に
    関して一定の関係を有し、 前記一定の関係は、前記第一の静翼列の有する一の静翼
    の最大翼高さ部分を空気が通過するときに当該静翼の後
    縁部後方に生じる層状ウェイク流を動翼のチップ前縁部
    が横切るときに、前記第二の静翼列が有する一の静翼の
    最大翼高さ部分であって当該静翼の前縁部前方に生じる
    局所的高圧エリアを前記動翼のチップ後縁部が通過する
    位置関係であることを特徴とするガスタービンの圧縮機
    翼列。
  2. 【請求項2】 前記第一の静翼列が有する静翼の前記後
    縁部は、翼高さ方向全域にわたって前記動翼の前記前縁
    部に沿うように回転軸の周方向に傾いており、前記第二
    の静翼列が有する静翼の前記前縁部は、翼高さ方向全域
    にわたって前記動翼の前記後縁部に沿うように回転軸の
    周方向に傾いていることを特徴とする請求項1に記載の
    ガスタービンの圧縮機翼列。
  3. 【請求項3】 前記第二の静翼列の静翼は、ガスタービ
    ンの定格運転時に動翼に現れる振動モードのうち、最も
    防止したい振動モードに合わせて最大翼高さ部分より下
    部となる前記前縁部の曲率半径を、最大翼高さ部分の前
    記前縁部の曲率半径よりも小さくすることを特徴とする
    請求項1に記載のガスタービンの圧縮機翼列。
  4. 【請求項4】 前記第二の静翼列の静翼は、ガスタービ
    ンの定格運転時に動翼に現れる振動モードのうち、最も
    防止したい振動モードに合わせて、最大翼高さ部分より
    下部における前記前縁部と前記動翼の前記後縁部との距
    離を最大翼高さ部分における前記前縁部と前記動翼の前
    記後縁部との距離よりも大きくすることを特徴とする請
    求項1に記載のガスタービンの圧縮機翼列。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101846099B (zh) * 2009-03-24 2012-07-25 西北工业大学 一种提高叶片气动负荷的压气机叶栅

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