JP2003160596A - 蛍光標識化ペクチン多糖、蛍光標識化酸性糖類の製造方法、酸性糖類の分解または合成活性の測定方法およびそのためのキット - Google Patents

蛍光標識化ペクチン多糖、蛍光標識化酸性糖類の製造方法、酸性糖類の分解または合成活性の測定方法およびそのためのキット

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JP2003160596A
JP2003160596A JP2001364818A JP2001364818A JP2003160596A JP 2003160596 A JP2003160596 A JP 2003160596A JP 2001364818 A JP2001364818 A JP 2001364818A JP 2001364818 A JP2001364818 A JP 2001364818A JP 2003160596 A JP2003160596 A JP 2003160596A
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Tadashi Ishii
忠 石井
Junji Ichida
淳治 市田
Shinya Yamaguchi
信哉 山口
Hajime Matsue
一 松江
Hirotsugu Ono
裕嗣 小野
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Forestry and Forest Products Research Institute
National Food Research Institute
Aomori Prefecture
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Forestry and Forest Products Research Institute
National Food Research Institute
Aomori Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ペクチンやアルギン酸などの酸性多糖類の分
解または合成活性の測定に有用な蛍光標識された酸性糖
類を提供する。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 〔ただし式中、Xは、水素原子またはGalA、Gal
2 、GalA4 、GalA5 、GalA6 、GalA
7 、GalA8 、GalA9 、GalA−Rha、(G
alA−Rha)2 、(GalA−Rha)3 、RG−
I、RG−IIで示される糖鎖残基であり、糖鎖中のヒド
ロキシ基の水素原子がアセチル基で置換されていてもよ
く、糖鎖中のカルボキシル基の水素原子がメチル基で置
換されていてもよい。〕で表される蛍光標識化ペクチン
多糖。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、新規な蛍光標識化
酸性糖類の製造方法、酸性糖類の分解または合成活性の
測定方法およびそのためのキットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自然界に存在する多糖類の中には、カル
ボキシル基を有する酸性多糖類がある。酸性多糖類であ
るペクチンは植物細胞壁を構成するものとして存在し、
またそれらは植物の成長調節や生体防御などの生理機能
に関与している。植物細胞、組織におけるペクチンの構
造は成長又は成熟に伴って変化することが知られてい
る。このペクチンの正常な代謝が乱れると、様々な組織
の異常を引き起こし、農作物の収量の減少や商品価値の
著しい低下をもたらす。また、ペクチンは柑橘類の皮な
どに多く存在し、それらはジャムやゼリーなど食品や糊
剤や増強剤などの添加物として広く工業的に利用されて
いる。ペクチンが分解して生成するガラクツロン酸オリ
ゴ糖は、植物の成長・分化を調節したり、植物の病原菌
抵抗性に関与する。RG−Iは、柔組織などに見出さ
れ、組織や成長の段階により多様な構造をとることが知
られている。RG−IIは複雑な構造をもつ分子量約5,
000の多糖である。
【0003】上述のようにペクチンはオリゴガラクツロ
ナンのごとく生理活性物質として、また、種々の生理機
能の関与する生体組織の構築因子として、それぞれに重
要な生体成分であり、ペクチンの正常な代謝と細胞壁中
での分布は植物の生命活動の維持に極めて重要である。
したがって植物におけるペクチンの代謝および細胞壁中
での分布と機能との関連などペクチンの代謝、構造解
析、ペクチンの生合成や分解に関与する酵素群の分布、
活性の測定などが不可欠である。また、ペクチンは工業
材料として重要な素材である。
【0004】また、海藻に含まれるアルギン酸は、d−
マンヌロン酸残基とl−グルロン酸残基を含有し、著し
く不均一な分子構造の水溶性の酸性多糖類である。アル
ギン酸は、食品添加物、繊維、アイスクリームやチーズ
の安定化剤、医薬品用ガーゼ、歯の鋳型、ダイエット食
品等として応用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、糖の代謝を分析
する方法として、糖の特定の基を蛍光標識化した蛍光標
識化糖を利用する方法が知られている(特開平10−2
67931号公報)。しかしながら、蛍光標識したペク
チンやアルギン酸は知られておらず、ペクチンやアルギ
ン酸の代謝、構造解析、ペクチンやアルギン酸の生合成
や分解に関与する酵素群の分布、活性の測定を行うに
は、ペクチンやアルギン酸を放射性同位元素でラベル化
しなければならなかった。
【0006】蛍光標識したペクチン等が知られていなか
った理由は、ペクチンやアルギン酸などの酸性基を多く
含む酸性の糖質に対しては、従来知られている蛍光標識
化反応がほとんど進行しないためである。すなわち従
来、糖の蛍光標識反応は有機溶媒中で行われており、蛍
光標識化反応が脱水反応であるため、水分を十分除いて
行う必要があるが、ペクチンなどの酸性多糖類は有機溶
媒に全く溶解せず、反応は進行しない。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、ペクチ
ンやアルギン酸などの酸性多糖類の分解または合成活性
の測定に有用な蛍光標識された酸性糖類、その製造方
法、酸性糖類の分解または合成活性の測定方法およびそ
のためのキットを提供することにある。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の標識化試薬
を水性溶媒中で酸性糖類と反応させることにより、酸性
糖類の還元性末端が蛍光標識された蛍光標識化酸性糖類
が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、上記課題を解決するための第1
の発明は、一般式(1)
【0010】
【化3】
【0011】〔ただし式中、Xは、水素原子またはGa
lA、GalA2 、GalA4 、GalA5 、GalA
6 、GalA7 、GalA8 、GalA9 、GalA
−Rha、(GalA−Rha)2 、(GalA−R
ha)3 、RG−I、RG−IIで示される糖鎖残基で
あり、糖鎖中のヒドロキシ基の水素原子がアセチル基で
置換されていてもよく、糖鎖中のカルボキシル基の水素
原子がメチル基で置換されていてもよい。〕で表される
蛍光標識化ペクチン多糖に関するものである。
【0012】上記課題を解決するための第2の発明は、
一般式(2)
【0013】
【化4】
【0014】〔ただし式中、nは1〜9の整数を表
す。〕で示される蛍光標識化オリゴ−l−グルロン酸に
関するものである。
【0015】上記課題を解決するための第3の発明は、
酸性糖類を水性溶媒中蛍光試薬と反応させることによ
り、酸性糖類の還元性末端を蛍光標識化することを特徴
とする蛍光標識化酸性糖類の製造方法に関するものであ
る。
【0016】上記課題を解決するための第4の発明は、
上記第3の発明であって、前記酸性糖類が、ペクチンで
あることを特徴とするものである。
【0017】上記課題を解決するための第5の発明は、
上記第3の発明であって、前記ペクチンが、ホモガラク
ツロナン、ラムノガラクツロナンI 、ラムノガラクツロ
ナンII、それらの構成糖のヒドロキシ基の水素原子がア
セチル基で置換されたものまたはそれらの構成糖のカル
ボキシル基の水素原子がメチル基で置換されたものから
選ばれるペクチン多糖であることを特徴とするものであ
る。
【0018】上記課題を解決するための第6の発明は、
上記第3の発明であって、前記酸性糖類が、ガラクツロ
ン酸単糖、ガラクツロン酸二糖、オリゴガラクツロン
酸、RG−Iオリゴマー、それらの構成糖のヒドロキシ
基の水素原子がアセチル基で置換されたものまたはそれ
らの構成糖のカルボキシル基の水素原子がメチル基で置
換されたものであることを特徴とするものである。
【0019】上記課題を解決するための第7の発明は、
上記第3の発明であって、前記酸性糖類が、アルギン
酸、それらの構成糖のヒドロキシ基の水素原子がアセチ
ル基で置換されたものまたはそれらの構成糖のカルボキ
シル基の水素原子がメチル基で置換されたものであるこ
とを特徴とするものである。
【0020】上記課題を解決するための第8の発明は、
上記第3の発明であって、前記酸性糖類が、l−グルロ
ン酸を構成単位とする酸性多糖類であることを特徴とす
るものである。
【0021】上記課題を解決するための第9の発明は、
上記第3の発明であって、前記水性溶媒が水であること
を特徴とするものである。
【0022】上記課題を解決するための第10の発明
は、上記第3の発明であって、前記蛍光試薬が、2−ア
ミノピリジン、2−アミノベンズアミド、2−アミノ安
息香酸、7−アミノ−4−メチルクマリン、8−アミノ
ナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、5−ジメチ
ルアミノナフタレン−1−(N−(2−アミノメチ
ル))スルホンアミドおよび1−アミノピレン−3,
6,8−トリスルホン酸からなる群よりえらばれる蛍光
試薬であることを特徴とするものである。
【0023】上記課題を解決するための第11の発明
は、上記第3ないし第10のいずれかの発明に記載の方
法により製造した蛍光標識化酸性糖類を基質とし分解ま
たは合成活性を測定することを特徴とする酸性糖類の分
解または合成活性の測定方法に関するものである。
【0024】上記課題を解決するための第12の発明
は、上記第3ないし第10のいずれかの発明に方法によ
り製造した蛍光標識化酸性糖類を含むことを特徴とする
酸性糖類の分解または合成活性の測定用キットに関する
ものである。
【0025】上記課題を解決するための第13の発明
は、上記第12の発明であって、水性溶媒と蛍光試薬を
含むことを特徴とする酸性糖類の分解または合成活性の
測定用キットに関するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明において、前記一般式
(1)で示される蛍光標識化ペクチン多糖は、新規な化
合物である。一般式(1)で表される化合物を、具体的
に表記したものを表1に示す。なお、表1中「2AB」
は、2−アミノベンズアミドを表す。
【0027】
【表1】
【0028】前記一般式(1)で示される蛍光標識化ペ
クチン多糖を製造するには、ホモガラクツロナン、ラム
ノガラクツナンI、ラムノガラクツロナンII並びにそれ
らのメチルエステルからなる群より選ばれるペクチン多
糖と2−アミノベンズアミドとを、水等の水性溶媒中で
反応させて、ペクチン多糖の還元性末端をアミノ化し、
蛍光標識化したものである。
【0029】また、本発明における前記一般式(2)で
表される蛍光標識化オリゴグルロン酸は、新規化合物で
ある。
【0030】前記一般式(2)で表される蛍光標識化オ
リゴグルロン酸を製造するには、1〜9糖のオリゴ−l
−グルロン酸と2−アミノベンズアミドとを、水等の水
性溶媒中で反応させて、オリゴ−l−クルロン酸の還元
性末端をアミノ化し、蛍光標識化したものである。
【0031】また、前記一般式(1)および一般式
(2)で表される蛍光標識化糖化合物のの立体化学を明
確にするために表示すると以下のようになる。
【0032】
【化5】
【0033】請求項3に記載した本発明方法において、
蛍光標識化されるのは酸性糖類である。本発明における
酸性糖類とは、カルボキシル基を有するウロン酸から構
成される糖類であれば特に限定されないが、例えばペク
チン、アルギン酸等の酸性多糖類およびそれらの分解物
であるオリゴ糖を挙げることができる。
【0034】本発明におけるペクチンとは、ホモガラク
ツロナン(以下、「HG」と略記する)、ラムノガラク
ツロナンI(以下、「RG−I」と略記する)、及びラ
ムノガラクツロナンII(以下、「RG−II」と略記す
る)を包含するものである。
【0035】本発明におけるペクチン多糖の分解物であ
るオリゴ糖としては、ホモガラクツロナンを分解して得
られる3〜10糖のオリゴガラクツロン酸や、3〜9糖
のRG−Iオリゴマーを挙げることができる。またペク
チン多糖の分解物としては、ガラクツロン酸単糖、ガラ
クツロン酸二糖を挙げることができる。
【0036】本発明における、アルギン酸とはマンヌロ
ン酸とグルロン酸からなる不均一な分子である。
【0037】本発明におけるアルギン酸を分解して得ら
れるオリゴ糖としては、オリゴ−l−グルロン酸等を挙
げることができる。
【0038】本発明の酸性糖類は、上記のものの他、酸
性多糖類を構成する糖のヒドロキ基の水素原子がアセチ
ル基で置換されたものや、酸性多糖類を構成する糖のカ
ルボキシル基の水素原子がメチル基で置換されたもので
あってもよい。
【0039】本発明の蛍光標識化酸性糖類を製造するに
は、上記酸性糖類を水性溶媒中蛍光試薬と反応させ、そ
の還元性末端を蛍光試薬で標識することにより得られ
る。
【0040】本発明方法における水性溶媒とは、水を挙
げることができる。
【0041】本発明方法における蛍光試薬とは、上記酸
性糖類の還元性末端を蛍光標識化できる試薬であれば特
に限定されないが、例えば2−アミノピリジン、2−ア
ミノベンズアミド、2−アミノ安息香酸、7−アミノ−
4−メチルクマリン、8−アミノナフタレン−1,3,
6−トリスルホン酸、5−ジメチルアミノナフタレン−
1−(N−(2−アミノメチル))スルホンアミドおよ
び1−アミノピレン−3,6,8−トリスルホン酸等を
挙げることができる。
【0042】上記酸性糖類を水性溶媒中で蛍光標識化す
る条件は、pH5〜pH7の弱酸性から中性、さらに好
ましくは5.5〜6.0の範囲で行えばよく、反応時間
は基質の種類によって異なるが、2時間程度行えばよ
い。
【0043】例えばペクチンを2−アミノベンズアミド
で蛍光標識化する場合を例にとって具体的に説明する
と、以下のようになる。
【0044】まず還元剤であるシアノホウ素化ナトリウ
ム(NaCNBH3 )を水に溶解し、次いで蛍光試薬で
ある2−アミノベンズアミドを加え、約65℃に加温
し、溶解させる。これに10%酢酸を加えてpH5.5
〜6.0に調節する。65℃、2時間反応を行い、蛍光
標識化ペクチンを調製する。脱離しやすいアセチル基や
メチルエステル基を含むとき、あるいは、酸に不安定な
3−デオキシ糖を含む場合は40℃、16時間で行う。
2−アミノベンズアミド化したオリゴガラクツロン酸
(3糖)の構造を例示すると、以下の化学式(3)のよ
うになる。
【0045】
【化6】
【0046】蛍光標識化反応により得られた蛍光標識化
酸性糖類は、以下のように精製すればよい。
【0047】蛍光標識化酸性糖類が高分子である場合
は、反応混合物を透析し、透析液を乾燥させればよい。
蛍光標識化オリゴ糖の場合は、比較的短いカラムにサイ
ズ排除クロマトグラフィー担体を充填し、例えば10m
M酢酸アンモニウムを用い、pH7.0で脱塩すればよ
い。3糖より大きいオリゴ糖はカラムの排除体積に溶出
するので容易に回収される。例えば2−アミノベンズア
ミド糖の蛍光試薬は、カラムに吸着されるので、2−ア
ミノベンズアミド化糖を回収後、カラム体積の約5〜1
0倍の緩衝液でカラムを洗浄すると、カラムは容易に再
生できる。
【0048】なお、分取したフラクションのUV(25
4nm)の吸光度を測定することにより目的物を確認で
きる。
【0049】酸性糖類の分解または合成活性の測定方
は、蛍光標識化酸性糖類を基質として分解酵素または合
成酵素を作用させ、酵素による代謝物を蛍光分析または
エレクトロスプレーイオン化法(ESI)やマトリック
ス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等により
質量分析すればよい。以下、2ABにより蛍光標識した
10糖のオリゴガラクツロン酸(以下、「2ABGal
10」と略称する)の分解酵素による分解活性の測定法
を例に取って説明する。
【0050】まず、2ABGalA1010mMを1.5
μL秤取し、300μLの酢酸バッファー(50mM、
pH5.0)に加え、精製したエンドポリガラクツロナ
ーゼ5単位を加え、室温に所定時間反応させ、一部をと
って100℃、5分加熱して活性を失活させる。加水分
解液の1部5μLを蛍光検出器付ダイオネックHPLC
に注入し、蛍光検出法により分解して精製した2AB化
オリゴガラクツロン酸を検出すればよい。
【0051】本発明の酸性糖類の分解または合成活性の
測定のためのキットの第1実施形態としては、上記した
蛍光試薬と水性溶媒を必須構成要素としてなる。すなわ
ち、該キットに酸性糖類を加えて蛍光標識化し、分解酵
素または合成酵素を加えて代謝物を蛍光検出すればよ
い。またキットの第2実施形態としては、上述の蛍光標
識化された酸性糖類を必須構成要素とするものである。
蛍光標識化酸性糖類を含む該キットに酵素を加えて反応
させ、代謝物を蛍光検出すればよい。これらの必須構成
要素を公知の方法により、液体ないし固体の形状とする
ことができる。
【0052】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに詳しく
説明する。 実施例1 シアノホウ素化ナトリウム(NaCNBH3 )63mg
を1mlの水に溶解した。2−アミノベンズアミド(以
下、「2AB」と略称する)48mgをNaCNBH3
水溶液に加え、65℃に加温して溶解した。10%酢酸
を加えてpH5〜6に調節した。オリゴガラクツロン酸
約1mgをNaCNBH3 −2AB混液100〜150
μlに溶解した。反応液を65℃に保ち、2時間反応さ
せた。反応液に0.5mlの10mM酢酸アンモニウム
緩衝液(pH7.0)を加え、1.5cm×10cmの
「トヨパールHW−40F」(商品名、東ソー(株)
製)カラムにロードした。カラムの排除体積に溶出した
画分を集め、凍結乾燥により2−AB化オリゴガラクツ
ロン酸を約1mgを得た。得られた2−AB化オリゴガ
ラクツロン酸を蛍光分光光度計により測定して蛍光特性
を調べ、さらに高速液体クロマト分析を行った。 (1)2−AB化オリゴガラクツロン酸の蛍光特性 励起最大波長:330nm 蛍光最大波長:436nm (2)2−AB化オリゴガラクツロン酸のHPLC 得られた2AB化オリゴガラクツロン酸を、「CarboPac
PA1」(商品名、日本ダイオネクス社製)カラムを用
い、溶離液として100mMNaOHに溶解したCH3
COONaのグラジェント溶液(400mMから1M)
により溶出させた。結果を図1に示す。図中の算用数字
はオリゴガラクツロン酸の重合度を示す。
【0053】なお、2AB化オリゴガラクツロン酸およ
び2AB化RG−5を同様に調製し、図3に1H−NM
Rスペクトルを示す。図3中、(A)〜(D)は、下記
の化合物のスペクトルである。 (A)2AB化トリガラクツロン酸(2ABGal
3) (B)2AB化へプタガラクツロン酸(2ABGalA
7) (C)2AB化デカガラクツロン酸(2ABGal
10) (D)RG−I由来のRG−5の2AB化合物(2AB
RG−5) さらに、表1に示した化合物1〜13のネガティブイオ
ンモードによるエレクトロスプレーイオン化によるマス
スペクトル分析の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】注1)下記式のように非還元性末端から解
裂して生成するフラグメントイオン
【0056】
【化7】
【0057】注2)表1参照
【0058】実施例2 ラムノガラクツロンII(RG−II)1mgを実施例1と
同様にNaCNBH3−2AB混液200μlに溶解し
た。反応液を40℃に16時間保った。反応液を透析膜
(「スペクトラ/ポア1,000モルカット」、商品
名、スペクトラム社製)に移し、イオン交換水に対して
24時間透析した後、凍結乾燥して2−AB化RG−I
I を1mg得た。得られた2−AB化RG−IIを蛍光分
光光度計により測定して蛍光特性を調べた。 (1)2−AB化RG−IIの蛍光特性 励起最大波長:330nm 蛍光最大波長:435nm
【0059】実施例3(エンドポリガラクツロナーゼに
よる2ABGalA10の分解) 実施例1と同様の方法で調製した2ABGalA10を2
5℃、2時間エンドポリガラクツロナーゼ(以下、「E
PG」と略称する)で処理した。EPG処理前の2AB
−デカガラクツロン酸と前記によるEPG処理後の2A
BGalA10のHPLCを行った。その結果を図2に示
す。
【0060】図2(A)は、2ABGalA10を「トヨ
パールHW−40F」(商品名、東ソー(株)製)で脱
塩および過剰の2ABを除去したものをHPLCで分析
し蛍光検出したクロマトである。
【0061】図2(B)は、(A)と同じものをパルス
ドアンペロメトリー法(PAD)で同時検出したクロマ
トである。図2(B)中、10’は未反応のデカガラク
ツロン酸(以下、「GalA10」と略称する)である。
【0062】図2(A)および図2(B)の比較より、
反応が高収率であることが分かる。
【0063】また、図2(A)のクロマトからGalA
10が反応中分解してGalA9 などに変化していないこ
とが分かる。
【0064】図2(C)は、2ABGalA10をEPG
処理したものをHPLCで分析し蛍光検出したクロマト
である。ピーク上の1,2,3,4はガラクツロン酸の
重合度を表す。
【0065】以上の結果から2ABGalA10は未誘導
体GalA10と同様にEPGによりα−(1→4)結合
したガラクツロン酸残基が解裂され、遊離した2AB化
モノ、ジ、トリ、テトラ−ガラクツロン酸をHPLCに
接続した蛍光検出器により高検度で検出することができ
ることが分かる。したがって、2AB化オリゴガラクツ
ロン酸を基質とすることにより、酵素の反応特異性や酵
素活性を高感度かつ短時間に検出することができる。
【0066】実施例4 実施例1と同様の方法で調製した2ABGalA10を2
5℃、1時間、クロソーム画分(あずきのめばえより調
製)とウリジン5’−ジホスファート ガラクツロン酸
(UDP−d−GalA)と反応させた。
【0067】図2(D)は2ABGalA10とUDP−
d−GalAをミクロソーム画分と反応させたものをH
PLCで分析し、蛍光検出したクロマトグラムである。
ピーク上の11、12、13はガラクツロン酸の重合度
を表す。UDP−d−GalAから2ABGalA10
ガラクツロン酸が転位し、2ABGalA11さらに2A
BGalA12というように伸長した2ABGalA11
2ABGalA12、2ABGalA13をHPLCに接続
した蛍光検出器により好感度で検出できることが分か
る。
【0068】実施例5 グルロン酸(アルギン酸の部分加水分解物より単離精製
したもの、Mw:1602)1.2mgを実施例1と同
様にNaCNBH3 −2AB混液150mlに溶解し
た。反応液を40℃に16時間保った。反応液を実施例
1と同様に精製し、2−AB化GulA9 を1mg得
た。得られた2−AB化GulA9 をエレクトトロスプ
レーイオン化質量分析計(ESI−MS)により測定し
た。 (1)2−AB化GulA9 の質量分析 (M−2H)2-/2=(1722−2)-2/2=86
0.0に強いピークが検出された。その他に、(M−3
H)3-/3=(1722−3)/3=573.0にもピ
ークが検出された。
【0069】
【発明の効果】本発明により、本発明の蛍光標識された
ペクチン等の酸性糖類によれば、例えば、その微量を用
いてペクチン分解酵素の活性測定、ペクチン合成酵素の
活性測定、酵素の分布等を測定することも容易になる。
更に食品として広く利用されているペクチン等の酸性糖
類の生体内挙動を明らかにし、その機能性解明の研究に
役立て得ることは勿論、ペクチンの機能性食品としての
新規な用途開発の可能性が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の2AB化オリゴガラクツロン酸のH
PLCのクロマトグラム。
【図2】(A)は、2ABGalA10の蛍光検出による
HPLCのクロマトグラムであり、(B)は、2ABG
alA10のPAD検出によるHPLCのクロマトグラム
であり、(C)は、2ABGalA10をEPG処理した
ものをHPLCで分析し蛍光検出したクロマトグラムで
あり、(D)は2ABGalA10とUDP−d−Gal
Aをミクロソーム画分と反応させたものをHPLCで分
析し、蛍光検出したクロマトグラムである。
【図3】(A)は、2ABGalA31H−NMRのス
ペクトル図、(B)は2ABGalA71H−NMRの
スペクトル図、(C)は2ABGalA101H−NM
Rのスペクトル図、(D)は2ABRG−5の1H−N
MRのスペクトル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08B 37/00 C08B 37/00 K 37/04 37/04 37/06 37/06 (72)発明者 石井 忠 茨城県稲敷郡茎崎町松の里1番地 独立行 政法人 森林総合研究所内 (72)発明者 市田 淳治 青森県青森市第二問屋町4−11−6 青森 県産業技術開発センター内 (72)発明者 山口 信哉 青森県青森市第二問屋町4−11−6 青森 県産業技術開発センター内 (72)発明者 松江 一 青森県青森市第二問屋町4−11−6 青森 県産業技術開発センター内 (72)発明者 小野 裕嗣 茨城県つくば市観音台2丁目1−12 独立 行政法人 食品総合研究所内 Fターム(参考) 4C057 AA17 BB02 BB03 BB04 DD01 JJ10 JJ55 4C090 AA02 AA05 AA08 BA49 BA50 BA72 BB02 BB21 BB53 BB62 BB71 BB92 BC04 DA12 4H006 AA01 AB84 BJ50 BN10 BS10 BU46 BV71

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 〔ただし式中、Xは、水素原子またはGalA、Gal
    2 、GalA4 、GalA5 、GalA6 、GalA
    7 、GalA8 、GalA9 、GalA−Rha、
    (GalA−Rha)2 、(GalA−Rha)3
    RG−I、RG−IIで示される糖鎖残基であり、糖鎖中
    のヒドロキシ基の水素原子がアセチル基で置換されてい
    てもよく、糖鎖中のカルボキシル基の水素原子がメチル
    基で置換されていてもよい。〕で表される蛍光標識化ペ
    クチン多糖。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化2】 〔ただし式中、nは1〜9の整数を表す。〕で示される
    蛍光標識化オリゴ−l−グルロン酸。
  3. 【請求項3】 酸性糖類を水性溶媒中蛍光試薬と反応さ
    せることにより、酸性糖類の還元性末端を蛍光標識化す
    ることを特徴とする蛍光標識化酸性糖類の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記酸性糖類が、ペクチンであることを
    特徴とする請求項3に記載の蛍光標識化酸性糖類の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記ペクチンが、ホモガラクツロナン、
    ラムノガラクツロナンI 、ラムノガラクツロナンII、そ
    れらの構成糖のヒドロキシ基の水素原子がアセチル基で
    置換されたものまたはそれらの構成糖のカルボキシル基
    の水素原子がメチル基で置換されたものから選ばれるペ
    クチン多糖であることを特徴とする請求項4に記載の蛍
    光標識化酸性多糖類の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸性糖類が、ガラクツロン酸単糖、
    ガラクツロン酸二糖、オリゴガラクツロン酸、RG−I
    オリゴマー、それらの構成糖のヒドロキシ基の水素原子
    がアセチル基で置換されたものまたはそれらの構成糖の
    カルボキシル基の水素原子がメチル基で置換されたもの
    であることを特徴とする請求項3に記載の蛍光標識化酸
    性多糖類の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記酸性糖類が、アルギン酸、それらの
    構成糖のヒドロキシ基の水素原子がアセチル基で置換さ
    れたものまたはそれらの構成糖のカルボキシル基の水素
    原子がメチル基で置換されたものであることを特徴とす
    る請求項3に記載の蛍光標識化酸性多糖類の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸性糖類が、l−グルロン酸を構成
    単位とする酸性多糖類であることを特徴とする請求項3
    に記載の蛍光標識化酸性多糖類の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記水性溶媒が水であることを特徴とす
    る請求項3に記載の蛍光標識化酸性糖類の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記蛍光試薬が、2−アミノピリジ
    ン、2−アミノベンズアミド、2−アミノ安息香酸、7
    −アミノ−4−メチルクマリン、8−アミノナフタレン
    −1,3,6−トリスルホン酸、5−ジメチルアミノナ
    フタレン−1−(N−(2−アミノメチル))スルホン
    アミドおよび1−アミノピレン−3,6,8−トリスル
    ホン酸からなる群よりえらばれる蛍光試薬であることを
    特徴とする請求項3に記載の蛍光標識化酸性多糖類の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記請求項3ないし請求項10のいず
    れか1項に記載の方法により製造した蛍光標識化酸性糖
    類を基質とし分解または合成活性を測定することを特徴
    とする酸性糖類の分解または合成活性の測定方法。
  12. 【請求項12】 前記請求項3ないし請求項10のいず
    れか1項に記載の方法により製造した蛍光標識化酸性糖
    類を含むことを特徴とする酸性糖類の分解または合成活
    性の測定用キット。
  13. 【請求項13】 水性溶媒と蛍光試薬を含むことを特徴
    とする請求項12に記載の酸性糖類の分解または合成活
    性の測定用キット。
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