【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータの回転
運動をカム部材により直線運動に変換してディスクブレ
ーキのブレーキパッドを操作し、電動モータの出力によ
って制動力を発生するようにした電動ブレーキ装置に関
し、特にそのカム部材をブレーキバッドや被制動部材の
摩耗に応じて被制動部材側に移動することができるよう
にした電動ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレーキ装置としては従来より各種の分
野で多種のものが採用されている。車両用ブレーキ装置
として従来より油圧作動式ブレーキが広く用いられてき
た。しかしながら、近年は電動モータの回転力により制
動力を発生させる電動ブレーキが、油圧作動式ブレーキ
における複雑な油圧回路機器が不要になって全体として
コンパクトになり、また、そのアンチスキッド制御を初
めとする種々の複雑な制動制御を容易に行うことができ
ることから注目されている。
【0003】電動式ブレーキとしては種々のものが提案
されているが、その一つとして例えば特開2001−3
967号に示されるような電動ブレーキ装置が存在す
る。この電動ブレーキ装置においては図4に示すよう
に、キャリパ51にブレーキ作動用の電動モータ52、
力伝達変換機構53、押圧部材54等が設けられてい
る。キャリパ51と押圧部材54のそれぞれには、ブレ
ーキ部材を構成する一対のブレーキパッド55が設けら
れ、この1対のブレーキパッド55が互いに被制動部材
としてのブレーキロータ56を挟持する方向に移動し、
ブレーキ作用を行っている。
【0004】キャリパ51に支持されている電動モータ
52の出力軸66には力伝達手段53を構成する第1歯
車57が取り付けられ、この第1歯車57が更に回転部
材としての第2歯車58に噛み合っている。第2歯車5
8はナット59を一体に備えており、このナット59は
キャリパ51の軸支部60で回転自在に支持されてい
る。ナット59には回り止めされていて軸方向への移動
を可能とされているスクリューシャフト61が螺合して
いる。また、スクリューシャフト61の図中左方先端に
は押圧部材54が取り付けられている。
【0005】それにより、この電動ブレーキにおいて
は、ブレーキ作動信号によってモータ52が回転するこ
とにより、出力軸66、第1歯車57、第2歯車58、
ナット53が連動して回転し、その回転運動をスクリュ
ーシャフト61で図中左方向への直線運動に変換する。
スクリューシャフト61のこの移動により押圧部材54
を介してブレーキパッド55を押圧し、その反力でキャ
リパ51が図中右方向に移動することによって対向する
ブレーキパッド55が同方向に移動し、ブレーキロータ
56を両ブレーキパッド55で挟み込みブレーキ作用を
行っている。
【0006】また、ブレーキ力の解除に際しては、ペダ
ルの踏力解除、あるいはブレーキ解除制御信号によって
電動モータ52を逆転させることにより、前記とは逆の
作動を行って両ブレーキパッド55をブレーキロータ5
6から離す方向に移動させることにより解除している。
【0007】上記従来の電動ブレーキ装置においては、
電動モータ52の回転力をギヤ機構で減速した後にナッ
トに相当する力伝達変換機構53に回転力を伝え、これ
をボルトに相当するスクリューシャフト61の直線運動
に変換しているものであるが、この方式では以下のよう
な問題点がある。
【0008】即ち、ねじ機構を用いたものでは、ねじピ
ッチを小さくするとその分ねじ山が薄くなり過ぎて大き
な力をここで受けることができず、ねじの強度上ピッチ
に限界がある。そのため、ある程度以上のねじリードし
かとることができず、したがって回転力を直線方向の運
動に変換する変換係数を大きく取ることができない。そ
の結果、所定以上のブレーキ力を発生させるために必要
な直線方向の力を得るためには、その分大きな回転力が
必要となり、そのためには大型の電動機が必要となる。
【0009】このような電動機の大型化はブレーキ作動
機構全体の重量の増大や、消費電力の増大を招く。特に
自動車用の電動ブレーキにおいては、バネ下重量の増大
によるサスペンション能力の低下の問題が発生する。
【0010】上記公報に記載している電動ブレーキでは
これを緩和する手段の一つとして、ギヤによる減速機構
を組み合わせているが、装置全体として複雑な構成とな
る減速機構を用いることは好ましくなく、また重量増大
を引き起こし、結局この部分によりブレーキ作動機構全
体が大型化し、重量が増大する結果、前記のようなバネ
下重量の増大によるサスペンション能力の低下の問題が
発生する。
【0011】また、自動車用のブレーキ装置は、特に高
い信頼性が求められるが、前記装置においてはモータか
ら減速機構−直動変換機構と2つの機構を経て力が伝わ
るため、故障になる確率が増大し、信頼性の点からも問
題となる。
【0012】その対策として、本発明者等は以下の発明
の実施の形態の項においてその具体的構成を詳細に述べ
るように、電動モータの回転運動を直線運動に変換し、
ブレーキ部材を被制動部材に押圧するに際し、前記直線
運動への変換にカム機構を用いた電動ブレーキ装置を開
発した。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記のような本発明者
等が開発したカム機構を用いた電動ブレーキ装置におい
ては、簡単な機構によって電動モータの回転運動を直線
運動に変換することができ、またその時の運動変換効率
が良く、小型の電動モータでも大きなブレーキ作動力を
発生させることができると共に、装置全体を小型化軽量
化することができるようになったものであるが、この装
置においてもブレーキ部材や被制動部材の摩耗に対応す
る手段を付加する必要がある。
【0014】即ち、前記図6に示すような従来のねじ機
構を用いた電動ブレーキ装置においては、ブレーキ部材
や被制動部材が次第に摩耗してくるのに対応するために
は、ねじとナットの螺合部分において、摩耗分だけねじ
を進めることによって対応することができる。しかしな
がらカム機構を用いた電動ブレーキにおいてはこのよう
なねじ部分を備えないので、別途何らかの摩耗に対して
補償することができる手段を設ける必要がある。
【0015】このようなブレーキ部材や被制動部材の摩
耗に対する補償手段を設けるに際して、例えばカム機構
のカム面の凹凸形状を十分に大きくすると共に、このカ
ムに対して予めブレーキの作動側に回転させる弱い力を
付与しておき、ブレーキ部材や被制動部材の摩耗に応じ
てそのカムの回転を進め、それによりカムとローラの当
接部分の初期位置を次第に凸面の高い部分に移動させる
手段を講じることが考えられる。
【0016】しかしながら、ここで採用しているカム機
構は小さな回転力で大きな直線方向の力が得られるよう
に、即ち力の伝達効率を向上させるために、カムのリー
ドを小さく設定しており、カムの作動によってブレーキ
部材を移動するためのカムストロークは1mm以下であ
るので、これに対応できる程度に設定する。それに対し
て上記のようにブレーキ部材や被制動部材の摩耗に関し
ては、例えばブレーキパッドは5mm程度摩耗しても使
用することができ、全体として5〜10mm程度制動部
材が摩耗しても使用することができるようにしなければ
ならない。
【0017】このような摩耗量を、前記のようなカム部
材の凹凸形状の高さ部分で補おうとすると、一定のカム
の回転に対する直線方向へのストロークを大きく設定す
る必要があり、その分運動変換効率が悪くなる。このこ
とは電動ブレーキ装置にカム機構を用いて運動変換効率
を向上させ、小型の電動モータでも大きなブレーキ作動
力を発生させ、装置全体を小型化、軽量化するという、
この電動ブレーキ装置の開発目的とは相容れないことで
ある。
【0018】したがって、本発明は、電動モータの回転
運動をカム部材を用いて直線運動に変換し、ブレーキ部
材を被制動部材に押圧するようにした電動ブレーキ装置
において、ブレーキ部材や被制動部材の摩耗に対して運
動変換効率を低下させることなく対応することができる
ようにした電動ブレーキ装置を提供することを主たる目
的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、電動モータの回転運動を直線運動に変換
し、ブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動ブレーキ
装置において、前記直線運動への変換にカム機構を用
い、ブレーキ部材または被制動部材の摩耗に応じてカム
機構を被制動部材側に移動する機構を設けたものであ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に沿っ
て説明する。最初、本発明によるブレーキ部材または被
制動部材の摩耗に対応する手段が適用される電動ブレー
キ装置について説明する。図1はその電動ブレーキ装置
の一実施例の全体構成を示す断面図であり、図2はその
一部を拡大し、且つ、摩耗補償機構が作動してブレーキ
作動機構全体が軸線方向に移動した状態を示す断面図、
図3はカム機構部分を展開して略視的に示しその作動を
説明した図である。
【0021】図1において電動ブレーキ装置1のハウジ
ング2はディスクブレーキ装置のキャリパ3に対してボ
ルト4で固定し、支持されている。ハウジング2内には
その内部に円筒状空間を形成しているコイル5を固定
し、そのコイル5の円筒状空間に駆動側カム部材6の軸
部7が貫通し、この軸部7の外周には前記コイル5と対
向して磁石8を固定している。それにより、上記コイル
5に通電することによって磁石8を固定している軸部7
が回転力を受け、駆動側カム部材6の全体が所定の方向
に回転する力を受ける。
【0022】駆動側カム部材6は軸部7の図中右側端部
において軸受10によりハウジング2に回転自在に支持
され、また図中左側端部において後述する被駆動側カム
部材11の支持開口部12に軸受13によって、軸線方
向に相対的に移動自在で且つ回転自在に支持されてい
る。駆動側カム部材6には外周に広がるフランジ部14
を備え、このフランジ部14の図中左側端面15には図
3(a)にその展開図で示されるような駆動側カム面1
6を形成している。
【0023】被駆動側カム部材11のフランジ部17の
外周部分は、スライド支持部18によりハウジング2の
内面に対して回転不能で、且つその軸線方向には移動自
在に支持されており、且つその押圧部19はハウジング
2の端部の端面開口からキャリパ3の開口部を貫通し
て、ブレーキパッド20を固定するバックプレート21
の裏面に当接している。被駆動側カム部材11のフラン
ジ部17の図中右側端面、即ち前記駆動側カム部材6の
駆動側カム面16に対向する端面には、後述するような
作動を行う被駆動側カム面22を形成している。
【0024】キャリパ3内において互いに対向する前記
ブレーキパッド20の間にブレーキロータ24が配置さ
れ、後述するように被駆動側カム部材11が図中左側に
移動するとき、最初図中右側のブレーキパッド20がブ
レーキロータ24の片面に当接し、その反力でキャリパ
3が図中右方向に移動することによって図中左側のブレ
ーキパッド20がブレーキロータ24の他面に当接し、
それによりブレーキロータ24は両側のブレーキパッド
20に狭持されて制動力が付与される。
【0025】前記駆動側カム面16と被駆動側カム面2
2間には図示実施例においては転動体の一つの態様とし
てのローラ25を等間隔で複数個配置している。このロ
ーラ25はその長さ方向に2分割することによりカム作
動時にスキューの発生を防止している。また、このロー
ラ25の数は例えば120度ずつ等間隔に3個配置して
も良く、あるいは90度ずつ等間隔に4個配置する等種
々の態様で実施することができるが、その数を増やすと
各コロに掛かる力は分散するが、各コロ間の間隔が狭く
なるので、カムのリード角を小さくすることが困難とな
り運動変換効率が低下するため、その点を考慮して適切
な個数を選定する。更に、前記ローラの代わりにボール
を用いても良い。
【0026】駆動側カム面16と被駆動側カム面22の
共動するカム面は互いに点対称的に形成し配置されてお
り、ブレーキの非作動時には両カム面の谷部分にローラ
25が位置し、その際には図3(a)のカム面の展開図
に示されるように、全てのローラ25が保持器26で保
持された状態で両カム面の谷部分に位置している。
【0027】上記構成からなる電動ブレーキ装置1の作
動に際して、この電動ブレーキの初期状態には前記のよ
うに駆動側カム面16と被駆動側カム面22が図3
(a)の状態にあり、全てのローラ25が保持器26で
保持された状態で両カム面の谷部分に位置しており、こ
の両カム面とその間に配置されるローラ25の一つの部
分を同図(b)に示している。
【0028】この状態から運転者がブレーキを踏むこと
により、あるいはブレーキ制御装置からブレーキ作動の
信号が入ったときにはコイル5が通電され、磁石8を固
定している駆動側カム部材6が回転する。このときのカ
ム面とローラの関係を図3(c)に示しており、同図に
示されるように、回転することのない被駆動側カム部材
11が基準位置Aに留まっているのに対して、上記のよ
うに回転する駆動側カム部材6は、図中の白抜き矢印方
向にL1移動することとなる。なお、この移動距離L1
は、実際には駆動側カム部材11の任意の部分における
回転長さである。
【0029】この駆動側カム部材6の回転移動の結果、
駆動側カム面16と被駆動側カム面22との間で挟まれ
ている各ローラ25はその摩擦力によって図3(c)の
矢印方向に回転し駆動側カム面16の凸面部分に乗り上
げるように移動し、同様に、被駆動側カム面22に対し
ても同様に作用するので、この面においても凸面部分に
乗り上げるように移動する。その結果前記駆動側カム面
16のL1の移動に対して、各々その半分の長さである
L2だけ移動する。
【0030】上記のように、駆動側カム部材6の回転に
よりローラ25が駆動側カム面16と被駆動側カム面2
2の両方の凸面部分に乗り上げるため、ブレーキ作動時
には電動モータ1の軸線方向には移動することのない駆
動側カム6に対して、被駆動側カム11はスライド支持
部18により軸方向に対して移動自在に支持されている
ので、図3(c)中においてd1として示される距離だ
け軸線方向に移動する。
【0031】駆動側カム部材6のこのような作動が継続
すると、ブレーキパッドがブレーキディスクを狭持する
ブレーキ作動の最終状態においては、図3(d)に示す
ように駆動側カム部材6がL3だけ回転移動して停止
し、このときローラ25は図示するような位置となり、
その結果被駆動側カム部材11は初期状態からd2の距
離だけ移動した状態となっている。
【0032】運転者がブレーキペダルを解放することに
より、あるいはブレーキ制御装置からアンチスキッド制
御のようにブレーキ力解除の信号が入ったときにはコイ
ル5への通電が停止し、駆動側カム部材16に対する回
転力が解放される。その結果、ブレーキパッド20に対
してディスクプレート24を押さえつけていた反力によ
り、ブレーキパッド20がディスクプレートから離れる
力が直接作用し、その力により被駆動側カム部材11を
押し戻そうとする。
【0033】その力によって被駆動側カム面22からロ
ーラ25に対して、図3(e)の矢印方向の力を作用さ
せ、その力によりローラ25は同図の矢印に示す方向へ
の回転力を生じ、両カム面の凹部方向に回転しつつ移動
する。その結果、プレーキパッド20がディスクプレー
ト24に対して押圧力が作用すると常にローラ25が元
に戻る力が作用するため、電動モータを逆転させること
なく、またリターンスプリング等の戻し部材を用いるこ
となくブレーキ作動部材を元のブレーキ解放位置に戻す
ことができる。
【0034】この電動ブレーキは上記のようなカム機構
を用いているので、電動モータの所定の回転に対するブ
レーキパッドの移動量としてのリードを小さくすること
ができ、したがって小さな回転力でも大きなトルクを発
生することができる。このため電動モータからの減速機
構が不要となるので複雑な機構を用いる必要が無くな
る。また、モータの回転力はカム機構を通じて直動運動
に変換され、被制動部材を押圧するため、モータからカ
ム機構一つのみで運動を変換することができ、その機構
の信頼性が向上し、全体の部品点数も減少して小型の装
置とすることができ、且つ全体の重量も軽減する。
【0035】上記のような電動ブレーキ装置において、
長期間ブレーキ装置を使用していると次第にブレーキパ
ッドが摩耗し、あるいはブレーキディスクが摩耗するた
め、前記のように1mm程度のブレーキパッドを移動す
るのに対応して設計しているカムのストロークでは、こ
れに追従することができない。そのためこの発明におい
ては、図1の駆動側カム部材6の軸部7を支持する軸受
10に対してナット部材31の押圧部39を当接させて
いる。
【0036】このナット部材39は、その雌ねじ38が
補償シャフト30の軸部36に形成した雄ねじ37に螺
合している。補償シャフト30のフランジ部35はその
周囲で一方向クラッチ33に支持され、そのフランジ部
35の図中左側端面には図2に示すように、ねじりバネ
32の一端部44が固定されている。なお、このねじり
バネ32のバネ力は、後述するように十分に小さいもの
とする。
【0037】このねじりバネ32の他端部43はハウジ
ング2の内壁面に固定され、その固定時に予めねじり力
を付与しておくことにより、このねじりバネ32によっ
て補償シャフト30に常時回転する力を与えている。こ
のときの補償シャフト30の回転方向は、これに螺合す
るナット部材31が図中左側に移動する方向に設定して
いる。
【0038】駆動側カム部材6の軸部7を回転自在に支
持する軸受10は、外周がハウジング2の内壁面に支持
されている外輪40と、軸部7の端部に形成した段部に
固定している内輪42と、外輪40と内輪42間で転動
自在に配置されている複数のボール41から構成されて
おり、外輪40は、ハウジング2の内壁面に対してある
程度の力で軸線方向に移動できる程度の嵌め合い状態で
嵌合している。それにより、前記のようにナット部材3
6が図中左側に移動するとき、外輪40も移動し、それ
によりボール41を介して内輪42も移動し、軸受10
全体が一体的に同方向に移動することができるようにな
っている。
【0039】このように軸受10が図中左側に移動する
ときには、内輪42が固定されている軸部7を備えた駆
動側カム部材6が図中左方向に移動し、ローラ25を挟
んでいる被駆動側カム部材11も同方向に移動する。な
お、被駆動側カム部材11は前記のように、スライド支
持部18によりハウジング2の内面に対して回転不能
で、且つその軸線方向に移動自在に支持され、ブレーキ
作動時に移動可能とされており、したがって上記のよう
に駆動部材6が移動するときも同様に、ブレーキパッド
20をブレーキディスク24の表面に近づける方向に移
動することができる。
【0040】上記構成をなす制動部材の摩耗補償機構
は、ブレーキ装置の使用によりブレーキパッド20が摩
耗し、あるいはブレーキディスク24が摩耗するとき、
ブレーキパッド20の制動側表面とブレーキディスク2
4の表面との間に隙間が生じると、ねじりバネ32によ
って前記のように駆動側カム部材6及び被駆動側カム部
材11が一体的に移動し、その間隙をなくすことができ
る。このように、ブレーキパッド20やブレーキディス
ク24、即ちブレーキ部材や被制動部材が摩耗したとき
には、常にこれを補償することができ、長期間安定した
ブレーキ作用を維持することができる。なお、図2にお
いては、図1に示される摩耗補償機構が作動し、ナット
部材、軸受10、駆動側カム部材6が図中左側に移動し
ている状態を示している。
【0041】上記ねじりバネ32は、そのバネ力が強い
ときには上記作用によってブレーキパッド20を常時ブ
レーキディスク24に強く押しつけることとなり好まし
くないので、そのような影響を与えない程度の強さにし
なければならず、しかしながら当然上記摩耗補償機能を
行うために、軸受10、駆動側カム部材6、被駆動側カ
ム部材11を移動させる力がなければならないので、こ
れらを考慮してそのバネ定数を決定する。
【0042】この電動ブレーキ装置の作動時には、被駆
動側カム部材11、駆動側カム部材6、軸受10、ナッ
ト部材31を各々介して補償シャフト30に対して、前
記補償シャフト30の回転方向とは逆の方向に回転力が
発生し、元の状態に戻そうとする。その対策として上記
実施例においては一方向クラッチ33によって補償シャ
フト30を支持する構成としており、この一方向クラッ
チ33によって上記回転が阻止され、摩耗補償機能を確
実に維持することができる。
【0043】なお、上記摩耗補償機構においては、例え
ばブレーキパッドを交換する等、摩耗したブレーキ部材
を新しいものに交換するメンテナンスを行う際には、上
記補償機構のねじも元の定位置に戻すことにより、再び
同様に作動させることができる。
【0044】また、上記実施例においては、ねじりバネ
の作用により補償シャフトを回転する例を示したが、そ
れ以外に別途補償用モータを設置してそのモータにより
回転させることもでき、その際にはパッドの摩耗量を感
知するセンサを設け、そのセンサで感知た摩耗量に応じ
て前記補償用モータを駆動して補償シャフトを回転さ
せ、そのねじの作用によって前記のようにカム機構全体
を押し出すように構成することもできる。このように構
成することにより、摩耗量を常に感知しているため、よ
り精度の高い摩耗補償を行うことができ、ブレーキシス
テムの信頼性が向上する。
【0045】
【発明の効果】本願発明に係る電動ブレーキ装置は上記
のように構成したので、簡単な機構により電動モータの
回転運動を直線運動に変換することができ、運動変換効
率が良く、小型の電動モータでも大きなブレーキ作動力
を発生させることができ、小型かつ軽量な電動式ブレー
キ装置としたものにおいて、ブレーキ部材や被制動部材
が摩耗したときには常にこれを補償することができ、そ
の補償機構は上記カム機構を用いた電動ブレーキ装置の
効果を阻害することなく、且つこの電動ブレーキ装置を
長期間安定して作動させることができる。Description: BACKGROUND OF THE INVENTION 1. Field of the Invention The present invention relates to a method of operating a disc brake brake pad by converting a rotary motion of an electric motor into a linear motion by a cam member, and controlling the output of the electric motor. The present invention relates to an electric brake device that generates a braking force, and more particularly to an electric brake device that can move a cam member thereof toward a member to be braked in accordance with wear of a brake pad or a member to be braked. 2. Description of the Related Art Conventionally, various types of brake devices have been employed in various fields. BACKGROUND ART Hydraulically operated brakes have been widely used as vehicle brake devices. However, in recent years, an electric brake that generates a braking force by the rotational force of an electric motor has become more compact as a whole because complicated hydraulic circuit devices in a hydraulically actuated brake are not required. Attention has been paid to the fact that various complicated braking controls can be easily performed. [0003] Various types of electric brakes have been proposed.
There is an electric brake device as shown in US Pat. No. 967. In this electric brake device, as shown in FIG.
A force transmission conversion mechanism 53, a pressing member 54, and the like are provided. Each of the caliper 51 and the pressing member 54 is provided with a pair of brake pads 55 constituting a brake member, and the pair of brake pads 55 move in a direction to sandwich a brake rotor 56 as a member to be braked,
The brakes are working. [0004] A first gear 57 constituting a force transmitting means 53 is attached to an output shaft 66 of an electric motor 52 supported by a caliper 51. The first gear 57 is further connected to a second gear 58 as a rotating member. Are engaged. Second gear 5
8 is integrally provided with a nut 59, and the nut 59 is rotatably supported by a shaft support 60 of the caliper 51. The nut 59 is screwed with a screw shaft 61 which is prevented from rotating and is movable in the axial direction. A pressing member 54 is attached to the left end of the screw shaft 61 in the figure. Accordingly, in the electric brake, the output shaft 66, the first gear 57, the second gear 58,
The nut 53 rotates in conjunction therewith, and the rotational motion is converted by the screw shaft 61 into a linear motion to the left in the figure.
This movement of the screw shaft 61 causes the pressing member 54
When the caliper 51 moves rightward in the drawing due to the reaction force, the opposing brake pads 55 move in the same direction, and the brake rotor 56 is sandwiched between the two brake pads 55 to perform a braking action. It is carried out. When the brake force is released, the electric motor 52 is rotated in reverse by releasing the pedaling force of the pedal or by a brake release control signal.
6 is released by moving in the direction away from 6. In the above-mentioned conventional electric brake device,
After the rotational force of the electric motor 52 is reduced by a gear mechanism, the rotational force is transmitted to a force transmission conversion mechanism 53 corresponding to a nut, and is converted into a linear motion of a screw shaft 61 corresponding to a bolt. This method has the following problems. That is, in the case of using a screw mechanism, if the screw pitch is reduced, the thread becomes too thin to receive a large force here, and the pitch is limited due to the strength of the screw. For this reason, only a certain amount of screw leads can be taken, and therefore a large conversion coefficient for converting the rotational force into a linear motion cannot be obtained. As a result, in order to obtain a linear force necessary to generate a predetermined or more braking force, a correspondingly large rotational force is required, and a large motor is required. Such an increase in the size of the motor causes an increase in the weight of the entire brake operating mechanism and an increase in power consumption. In particular, in the case of an electric brake for an automobile, there is a problem that the suspension capacity is reduced due to an increase in unsprung weight. In the electric brake described in the above publication, a gear reduction mechanism is combined as one of means for alleviating this. However, it is not preferable to use a reduction mechanism having a complicated structure as a whole device. In addition, this causes an increase in the weight, and eventually the entire brake operation mechanism becomes large due to this portion, and as a result, the weight increases. As a result, the problem of a decrease in the suspension ability due to an increase in the unsprung weight occurs. [0011] In addition, a brake device for an automobile is required to have particularly high reliability. However, in such a device, since a force is transmitted from a motor through two mechanisms, ie, a speed reduction mechanism and a linear motion conversion mechanism, the probability of failure is high. And increase the reliability. As a countermeasure, the present inventors convert the rotary motion of the electric motor into a linear motion, as described in detail in the following embodiments of the invention.
We have developed an electric brake device that uses a cam mechanism to convert the linear motion into the linear motion when the brake member is pressed against the member to be braked. [0013] In the electric brake device using the cam mechanism developed by the present inventors as described above, the rotary motion of the electric motor is converted into linear motion by a simple mechanism. In addition, the motion conversion efficiency at that time is good, and a large brake operating force can be generated even with a small electric motor, and the entire device can be reduced in size and weight. In the apparatus, it is necessary to add a means corresponding to wear of the brake member and the member to be braked. That is, in the conventional electric brake device using the conventional screw mechanism as shown in FIG. 6, in order to cope with the wear of the brake member and the member to be braked gradually, the screw between the screw and the nut is required. At the joint, this can be accommodated by advancing the screw by the amount of wear. However, since the electric brake using the cam mechanism does not have such a threaded portion, it is necessary to separately provide a means for compensating for some kind of wear. In providing such a means for compensating wear of the brake member and the member to be braked, for example, the unevenness of the cam surface of the cam mechanism is made sufficiently large, and the cam is rotated in advance toward the brake operation side. Applying a weak force, advance the rotation of the cam according to wear of the brake member and the member to be braked, and thereby take measures to gradually move the initial position of the contact portion between the cam and the roller to a portion with a higher convex surface. It is possible. However, the cam mechanism employed here has a small cam lead so that a large linear force can be obtained with a small rotational force, that is, in order to improve the force transmission efficiency. Since the cam stroke for moving the brake member by the operation of the cam is 1 mm or less, the cam stroke is set to an extent corresponding to this. On the other hand, regarding the wear of the brake member and the member to be braked as described above, for example, the brake pad can be used even if it is worn about 5 mm, and the brake pad is used even if the brake member is worn about 5 to 10 mm as a whole. Must be able to do it. If it is attempted to compensate for such an amount of wear by the height of the unevenness of the cam member as described above, it is necessary to set a large stroke in a linear direction with respect to a constant rotation of the cam. Conversion efficiency will be poor. This means that the cam mechanism is used in the electric brake device to improve the motion conversion efficiency, and even a small electric motor generates a large braking force, making the entire device smaller and lighter.
This is incompatible with the development purpose of the electric brake device. Accordingly, the present invention provides an electric brake device in which the rotational motion of an electric motor is converted into a linear motion by using a cam member, and the brake member is pressed against the member to be braked. A main object of the present invention is to provide an electric brake device capable of coping with wear without lowering the motion conversion efficiency. According to the present invention, there is provided an electric brake device for converting the rotational movement of an electric motor into a linear movement and pressing a brake member against a member to be braked. A cam mechanism is used for conversion into linear motion, and a mechanism for moving the cam mechanism to the braked member side in accordance with wear of the brake member or the braked member is provided. Embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. First, an electric brake device to which a means corresponding to wear of a brake member or a member to be braked according to the present invention will be described. FIG. 1 is a cross-sectional view showing the entire configuration of one embodiment of the electric brake device, and FIG. 2 is an enlarged view of a part of the electric brake device. Sectional view showing the state,
FIG. 3 is a view schematically showing the cam mechanism portion in an unfolded state and illustrating its operation. In FIG. 1, a housing 2 of an electric brake device 1 is fixed to and supported by a caliper 3 of a disc brake device with bolts 4. A coil 5 forming a cylindrical space therein is fixed in the housing 2, and a shaft portion 7 of a driving side cam member 6 penetrates through the cylindrical space of the coil 5, and an outer periphery of the shaft portion 7 is formed. Is fixed to the magnet 8 in opposition to the coil 5. As a result, the shaft portion 7 that fixes the magnet 8 by energizing the coil 5
Receives the rotational force, and the entire drive side cam member 6 receives the rotational force in a predetermined direction. The driving cam member 6 is rotatably supported on the housing 2 by a bearing 10 at the right end of the shaft portion 7 in the drawing, and a support opening of a driven cam member 11 described later at the left end of the shaft portion. The bearing 12 is supported by a bearing 13 so as to be relatively movable and rotatable in the axial direction. The drive side cam member 6 has a flange portion 14 extending to the outer periphery.
A drive side cam surface 1 as shown in an exploded view of FIG.
6 are formed. The outer peripheral portion of the flange portion 17 of the driven cam member 11 is supported by a slide support portion 18 so as to be non-rotatable with respect to the inner surface of the housing 2 and movably in the axial direction thereof. The pressing portion 19 penetrates through the opening of the caliper 3 from the end face opening at the end of the housing 2 and the back plate 21 for fixing the brake pad 20.
Is in contact with the back of On the right end face of the flange portion 17 of the driven cam member 11 in the drawing, that is, on the end face of the driving cam member 6 facing the driving cam face 16, a driven cam face 22 that performs an operation described later is provided. Has formed. A brake rotor 24 is disposed between the brake pads 20 opposed to each other in the caliper 3, and when the driven cam member 11 moves to the left side in the figure as described later, first, the brake pad on the right side in the figure. 20 abuts on one surface of the brake rotor 24, and the caliper 3 moves rightward in the figure by the reaction force, whereby the brake pad 20 on the left side in the figure abuts on the other surface of the brake rotor 24,
As a result, the brake rotor 24 is held between the brake pads 20 on both sides to apply a braking force. The driving side cam surface 16 and the driven side cam surface 2
In the illustrated embodiment, a plurality of rollers 25 as one mode of a rolling element are arranged at equal intervals between the two. The roller 25 is divided into two in its length direction to prevent skew during cam operation. Further, the number of the rollers 25 may be arranged in various forms, for example, three may be arranged at equal intervals of 120 degrees or four may be arranged at equal intervals of 90 degrees, but the number is increased. And the force applied to each roller is dispersed, but the spacing between each roller is narrowed, so it is difficult to reduce the lead angle of the cam, and the motion conversion efficiency decreases. Select. Further, a ball may be used instead of the roller. The cam surfaces of the driving side cam surface 16 and the driven side cam surface 22 cooperating with each other are formed and arranged symmetrically with respect to each other. When the brake is not operated, the roller 25 is positioned at the valley between the two cam surfaces. In this case, as shown in the developed view of the cam surface in FIG. 3A, all the rollers 25 are located at the valleys of both cam surfaces while being held by the retainer 26. When the electric brake device 1 having the above configuration is operated, the drive cam surface 16 and the driven cam surface 22 are in the initial state of the electric brake as shown in FIG.
In the state of (a), all the rollers 25 are located at the valleys of the two cam surfaces while being held by the retainer 26, and the two cam surfaces and one part of the roller 25 disposed therebetween. Is shown in FIG. In this state, when the driver steps on the brake or when a brake operation signal is received from the brake control device, the coil 5 is energized, and the driving cam member 6 fixing the magnet 8 rotates. The relationship between the cam surface and the roller at this time is shown in FIG. 3C. As shown in FIG. 3C, the driven cam member 11 that does not rotate remains at the reference position A. Thus, the driving cam member 6 that rotates as described above moves L1 in the direction of the outlined arrow in the drawing. Note that this movement distance L1
Is actually the rotation length of an arbitrary portion of the driving side cam member 11. As a result of the rotational movement of the drive side cam member 6,
Each roller 25 sandwiched between the driving side cam surface 16 and the driven side cam surface 22 rotates in the direction of the arrow in FIG. 3C by its frictional force so as to ride on the convex portion of the driving side cam surface 16. , And similarly acts on the driven-side cam surface 22, so that this surface also moves so as to ride on the convex portion. As a result, the drive side cam surface 16 moves by L2, which is half the length of L1. As described above, the rotation of the driving cam member 6 causes the roller 25 to move between the driving cam surface 16 and the driven cam surface 2.
2, the driven cam 11 is moved by the slide support 18 in the axial direction with respect to the driving cam 6 which does not move in the axial direction of the electric motor 1 when the brake is actuated. Since it is movably supported, it moves in the axial direction by a distance indicated by d1 in FIG. When such operation of the drive side cam member 6 continues, in the final state of the brake operation in which the brake pad holds the brake disk, as shown in FIG. And the roller 25 stops at this time.
As a result, the driven side cam member 11 is in a state of being moved by a distance of d2 from the initial state. When the driver releases the brake pedal, or when a brake release signal is input from the brake control device as in anti-skid control, the energization of the coil 5 is stopped and the rotation of the drive side cam member 16 is stopped. Power is released. As a result, the reaction force that has pressed the disk plate 24 against the brake pad 20 causes a force that causes the brake pad 20 to separate from the disk plate to act directly, and the force attempts to push the driven cam member 11 back. The force causes the driven cam surface 22 to act on the roller 25 in the direction of the arrow in FIG. 3E, and the roller 25 rotates in the direction indicated by the arrow in FIG. And move while rotating in the direction of the concave portions of both cam surfaces. As a result, when the brake pad 20 applies a pressing force to the disk plate 24, a force for returning the roller 25 to the original position always acts, so that the electric motor does not reversely rotate and a return member such as a return spring is used. The brake operating member can be returned to the original brake release position. Since the electric brake uses the cam mechanism as described above, it is possible to reduce the lead as the amount of movement of the brake pad with respect to a predetermined rotation of the electric motor, so that a large torque can be generated even with a small torque. can do. This eliminates the need for a speed reduction mechanism from the electric motor, thereby eliminating the need for using a complicated mechanism. In addition, the rotational force of the motor is converted to a linear motion through a cam mechanism, and the member to be braked is pressed, so that the motion can be converted from the motor with only one cam mechanism, thereby improving the reliability of the mechanism. The total number of parts is reduced, so that a compact device can be obtained, and the overall weight can be reduced. In the electric brake device as described above,
As the brake pad gradually wears or the brake disc wears out when the brake device is used for a long time, the cam stroke designed to move the brake pad of about 1 mm as described above is used. , Can not follow this. Therefore, in the present invention, the pressing portion 39 of the nut member 31 is brought into contact with the bearing 10 supporting the shaft portion 7 of the driving cam member 6 in FIG. The nut member 39 has a female screw 38 screwed into a male screw 37 formed on the shaft 36 of the compensation shaft 30. A flange 35 of the compensating shaft 30 is supported by a one-way clutch 33 around the periphery, and one end 44 of the torsion spring 32 is fixed to a left end surface of the flange 35 as shown in FIG. Note that the spring force of the torsion spring 32 is sufficiently small as described later. The other end 43 of the torsion spring 32 is fixed to the inner wall surface of the housing 2, and a torsion force is applied in advance at the time of fixing, so that the torsion spring 32 applies a force for constantly rotating the compensation shaft 30. Have given. The rotation direction of the compensation shaft 30 at this time is set to the direction in which the nut member 31 screwed to the compensation shaft 30 moves to the left in the drawing. The bearing 10 for rotatably supporting the shaft 7 of the driving side cam member 6 includes an outer ring 40 whose outer periphery is supported on the inner wall surface of the housing 2 and a step formed at an end of the shaft 7. The inner ring 42 includes a fixed inner ring 42 and a plurality of balls 41 rotatably arranged between the outer ring 40 and the inner ring 42. The outer ring 40 has an axial line with a certain force against the inner wall surface of the housing 2. Are fitted in such a way that they can be moved in any direction. Thereby, as described above, the nut member 3
When 6 moves to the left in the figure, the outer ring 40 also moves, whereby the inner ring 42 also moves via the ball 41 and the bearing 10 moves.
The whole can be integrally moved in the same direction. As described above, when the bearing 10 moves to the left in the drawing, the driving cam member 6 having the shaft portion 7 to which the inner ring 42 is fixed moves to the left in the drawing, and sandwiches the roller 25. The driven cam member 11 also moves in the same direction. As described above, the driven side cam member 11 is non-rotatable with respect to the inner surface of the housing 2 by the slide support portion 18 and is movably supported in the axial direction thereof so as to be movable at the time of braking operation. Therefore, when the drive member 6 moves as described above, the brake pad 20 can also be moved in a direction to approach the surface of the brake disk 24. The wear compensating mechanism for the braking member having the above-described structure is used when the brake pad 20 or the brake disc 24 is worn due to the use of the brake device.
The braking surface of the brake pad 20 and the brake disc 2
When a gap is formed between the driving cam member 6 and the driven cam member 11 by the torsion spring 32 as described above, the gap can be eliminated. As described above, when the brake pad 20 and the brake disk 24, that is, the brake member and the member to be braked are worn, the wear can be always compensated for, and a stable braking operation can be maintained for a long time. FIG. 2 shows a state in which the wear compensation mechanism shown in FIG. 1 is operated, and the nut member, the bearing 10, and the drive-side cam member 6 are moved to the left in the drawing. When the torsion spring 32 has a strong spring force, the brake pad 20 is always strongly pressed against the brake disk 24 by the above-mentioned action, which is not preferable. Therefore, the torsion spring 32 must be made strong enough not to exert such an effect. However, in order to perform the wear compensation function, the bearing 10, the driving cam member 6, and the driven cam member 11 must be moved. Therefore, the spring constant is determined in consideration of these forces. When the electric brake device is operated, the rotation direction of the compensation shaft 30 is determined with respect to the compensation shaft 30 via the driven cam member 11, the driving cam member 6, the bearing 10, and the nut member 31, respectively. A rotational force is generated in the opposite direction, and attempts to return to the original state. As a countermeasure, in the above embodiment, the compensation shaft 30 is supported by the one-way clutch 33. The rotation is prevented by the one-way clutch 33, and the wear compensation function can be reliably maintained. In the wear compensating mechanism, when performing maintenance for replacing a worn brake member with a new one, for example, exchanging a brake pad, the screw of the compensating mechanism must be returned to an original position. Thus, the same operation can be performed again. In the above-described embodiment, the example in which the compensating shaft is rotated by the action of the torsion spring has been described. In addition, a compensating motor may be separately provided and rotated by the motor. Is provided with a sensor for detecting the amount of wear of the pad, and drives the compensation motor to rotate the compensation shaft according to the amount of wear detected by the sensor, and pushes the entire cam mechanism as described above by the action of the screw. It can also be configured as follows. With this configuration, since the amount of wear is constantly sensed, more accurate wear compensation can be performed, and the reliability of the brake system improves. Since the electric brake device according to the present invention is constructed as described above, the rotary motion of the electric motor can be converted into a linear motion by a simple mechanism, the motion conversion efficiency is good, and the size is small. The electric motor of the present invention can generate a large brake operating force, and in a small and lightweight electric brake device, when a brake member or a member to be braked is worn, it can always be compensated. Can stably operate the electric brake device without prohibiting the effect of the electric brake device using the cam mechanism for a long period of time.
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の断面図である。
【図2】同実施例における摩耗補償機構部分の拡大断面
図であり、図1の状態から摩耗補償機構が作動した後の
状態を示している。
【図3】同実施例において駆動側カム面と被駆動側カム
面とその間に配置する転動体の作動の状態を示す図であ
り、(a)はブレーキ非作動状態において円周上に配置
されるこれらの部分を展開して示した図であり、(b)
はその一部を拡大して示した図、(c)はブレーキ作動
開始時の状態、(d)は同じくブレーキ作動の最終状態
を示し、(e)はブレーキ作動解除時における戻り作動
時の状態を示す図である。
【図4】従来の電動ブレーキ装置の例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 電動ブレーキ装置
2 ハウジング
3 キャリパ
5 コイル
6 駆動側カム部材
7 軸部
8 磁石
11 被駆動側カム部材
16 駆動側カム面
17 フランジ部
18 スライド支持部
19 押圧部
20 ブレーキパッド
22 被駆動側カム面
24 ブレーキロータ
25 ローラ
26 保持器
30 補償シャフト
31 ナット部材
32 ねじりバネ
33 一方向クラッチ
37 雄ねじ
38 雌ねじ
40 外輪
41 ボール
42 内輪BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS FIG. 1 is a sectional view of an embodiment of the present invention. FIG. 2 is an enlarged sectional view of a wear compensation mechanism in the embodiment, showing a state after the wear compensation mechanism has been operated from the state of FIG. 1; 3A and 3B are diagrams showing a driving state of a driving side cam surface, a driven side cam surface and rolling elements disposed therebetween in the same embodiment, and FIG. 3A is arranged on a circumference in a brake non-operation state. FIG. 2 is an expanded view of these parts.
Is a partially enlarged view, (c) is a state at the start of the brake operation, (d) is a final state of the brake operation, and (e) is a state at the time of the return operation when the brake operation is released. FIG. FIG. 4 is a sectional view showing an example of a conventional electric brake device. [Description of Signs] 1 Electric brake device 2 Housing 3 Caliper 5 Coil 6 Driving cam member 7 Shaft 8 Magnet 11 Driven cam member 16 Driving cam surface 17 Flange 18 Slide support 19 Pressing portion 20 Brake pad 22 Driven cam surface 24 Brake rotor 25 Roller 26 Cage 30 Compensation shaft 31 Nut member 32 Torsion spring 33 One-way clutch 37 Male screw 38 Female screw 40 Outer ring 41 Ball 42 Inner ring