JP2003156084A - 電動ブレーキ装置 - Google Patents

電動ブレーキ装置

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JP2003156084A
JP2003156084A JP2001356776A JP2001356776A JP2003156084A JP 2003156084 A JP2003156084 A JP 2003156084A JP 2001356776 A JP2001356776 A JP 2001356776A JP 2001356776 A JP2001356776 A JP 2001356776A JP 2003156084 A JP2003156084 A JP 2003156084A
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Takashi Imanishi
尚 今西
Takashi Machida
尚 町田
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動モータの回転をカム機構により直線運動
に変換する電動ブレーキにおいて、モータと駆動機構を
できる限り一体化し、部品点数を減少させる。 【解決手段】 駆動側カム部材6の軸部7の外周に磁石
8を設け、ハウジング内面に設けたコイル5と対向させ
て電動モータを構成する。それによりカム部材とモータ
出力軸を一体化でき、モータ出力からカム部材への力伝
達機構が不要になるため、伝達機構の故障によるブレー
キの作動不良の可能性が無くなり、信頼性が向上し、装
置全体をコンパクト・軽量化することができる。コイル
への通電によって駆動側カム面16を回転させ、ローラ
25を介して被駆動側カム部材11を軸線方向に移動さ
せ、ブレーキパッド20をブレーキディスク24に押し
つけて制動を行う。摩耗補償はコイルばね32で補償シ
ャフト30を軽く回転し、ナット31、軸受10、駆動
側、被駆動側カム部材6、11を移動させる。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータの回転
運動をカム部材により直線運動に変換してディスクブレ
ーキのブレーキパッドを操作し、電動モータの出力によ
って制動力を発生するようにした電動ブレーキ装置に関
し、特にその電動機の永久磁石の取り付け部に工夫を施
した電動ブレーキ装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ブレーキ装置としては従来より各種の分
野で多種のものが採用されている。車両用ブレーキ装置
として従来より油圧作動式ブレーキが広く用いられてき
た。しかしながら、近年は電動モータの回転力により制
動力を発生させる電動ブレーキが、油圧作動式ブレーキ
における複雑な油圧回路機器が不要になって全体として
コンパクトになり、また、そのアンチスキッド制御を初
めとする種々の複雑な制動制御を容易に行うことができ
ることから注目されている。 【0003】電動式ブレーキとしては種々のものが提案
されているが、その一つとして例えば特開2001−3
967号に示されるような電動ブレーキ装置が存在す
る。この電動ブレーキ装置においては図6に示すよう
に、キャリパ31にブレーキ作動用の電動モータ32、
力伝達変換機構33、押圧部材34等が設けられてい
る。キャリパ31と押圧部材34のそれぞれには、ブレ
ーキ部材を構成する一対のブレーキパッド35が設けら
れ、この1対のブレーキパッド35が互いに被制動部材
としてのブレーキロータ36を挟持する方向に移動し、
ブレーキ作用を行っている。 【0004】キャリパ31に支持されている電動モータ
32の出力軸46には力伝達手段33を構成する第1歯
車37が取り付けられ、この第1歯車37が更に回転部
材としての第2歯車38に噛み合っている。第2歯車3
8はナット39を一体に備えており、このナット39は
キャリパ31の軸支部40で回転自在に支持されてい
る。ナット39には回り止めされていて軸方向への移動
を可能とされているスクリューシャフト41が螺合して
いる。また、スクリューシャフト41の図中左方先端に
は押圧部材34が取り付けられている。 【0005】それにより、この電動ブレーキにおいて
は、ブレーキ作動信号によってモータ32が回転するこ
とにより、出力軸46、第1歯車37、第2歯車38、
ナット33が連動して回転し、その回転運動をスクリュ
ーシャフト41で図中左方向への直線運動に変換する。
スクリューシャフト41のこの移動により押圧部材34
を介してブレーキパッド35を押圧し、その反力でキャ
リパ31が図中右方向に移動することによって対向する
ブレーキパッド35が同方向に移動し、ブレーキロータ
36を両ブレーキパッド35で挟み込みブレーキ作用を
行っている。 【0006】また、ブレーキ力の解除に際しては、ペダ
ルの踏力解除、あるいはブレーキ解除制御信号によって
電動モータ32を逆転させることにより、前記とは逆の
作動を行って両ブレーキパッド35をブレーキロータ3
6から離す方向に移動させることにより解除している。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の電動ブレー
キ装置においては、電動モータ32の回転力をギヤ機構
で減速した後にナットに相当する力伝達変換機構33に
回転力を伝え、これをボルトに相当するスクリューシャ
フト41の直線運動に変換しているものであるが、この
方式では以下のような問題点がある。 【0008】即ち、ねじ機構を用いたものでは、ねじピ
ッチを小さくするとその分ねじ山が薄くなり過ぎて大き
な力をここで受けることができず、ねじの強度上ピッチ
に限界がある。そのため、ある程度以上のねじリードし
かとることができず、したがって回転力を直線方向の運
動に変換する変換係数を大きく取ることができない。そ
の結果、所定以上のブレーキ力を発生させるために必要
な直線方向の力を得るためには、その分大きな回転力が
必要となり、そのためには大型の電動機が必要となる。 【0009】このような電動機の大型化はブレーキ作動
機構全体の重量の増大や、消費電力の増大を招く。特に
自動車用の電動ブレーキにおいては、バネ下重量の増大
によるサスペンション能力の低下の問題が発生する。 【0010】上記公報に記載している電動ブレーキでは
これを緩和する手段の一つとして、ギヤによる減速機構
を組み合わせているが、装置全体として複雑な構成とな
る減速機構を用いることは好ましくなく、また重量増大
を引き起こし、結局この部分によりブレーキ作動機構全
体が大型化し、重量が増大する結果、前記のようなバネ
下重量の増大によるサスペンション能力の低下の問題が
発生する。 【0011】また、自動車用のブレーキ装置は、特に高
い信頼性が求められるが、前記装置においてはモータか
ら減速機構−直動変換機構と2つの機構を経て力が伝わ
るため、故障になる確率が増大し、信頼性の点からも問
題となる。 【0012】更に、上記公報に記載している電動ブレー
キにおける前記問題点を解決するため、制動部材を駆動
するための新たな機構を考える際、単にその駆動機構の
みでなく、電動モータの構造の面からもできる限りコン
パクトにすることが求められ、しかも制動部材の駆動機
構と一体的に構成されることが好ましい。 【0013】したがって、本発明は、簡単な機構により
電動モータの回転運動を直線運動に変換することがで
き、またその時の運動変換効率が良く、小型の電動モー
タでも大きなブレーキ作動力を発生させることができる
と共に、駆動機構を小型化軽量化することができ、しか
も電動モータが制動部材の駆動機構と一体化し装置全体
として小型化軽量化することができるようにした電動ブ
レーキ装置を提供することを主たる目的としている。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、電動モータの回転運動を直線運動に変換
し、ブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動ブレーキ
装置において、前記直線運動への変換にカム機構を用
い、該カム部材に直接電動機の永久磁石を取り付けたこ
とを特徴とする電動ブレーキ装置としたものである。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に沿っ
て説明する。図1は本発明による電動ブレーキ装置の一
実施例の全体構成を示す断面図であり、同図において電
動ブレーキ装置1のハウジング2はディスクブレーキ装
置のキャリパ3に対してボルト4で固定し、支持されて
いる。ハウジング2内にはその内部に円筒状空間を形成
しているコイル5を固定し、そのコイル5の円筒状空間
に駆動側カム部材6の軸部7が貫通し、この軸部7の外
周には前記コイル5と対向して磁石8を固定している。
それにより、上記コイル5に通電することによって磁石
8を固定している軸部7が回転力を受け、駆動側カム部
材6の全体が所定の方向に回転する力を受ける。 【0016】上記のように電動モータの一部を構成する
磁石8を、制動部材駆動用の駆動側カム部材6の外周に
直接固定しているため、全体として小型に、且つ部品点
数を少なくすることができ、特に効果の欄に記載してい
るように更に種々の効果を奏する。また、この磁石は後
に詳述するように、コイル5の長さより長くなるように
設定しており、制動部材の摩耗に対応するため駆動側カ
ムが徐々に移動する際にも、確実にコイル全体と対向で
きるようにし、モータの駆動特性の低下を防止してい
る。 【0017】駆動側カム部材6は軸部7の図中右側端部
において軸受10によりハウジング2に回転自在に支持
され、また図中左側端部において後述する被駆動側カム
部材11の支持開口部12に軸受13によって、軸線方
向に相対的に移動自在で且つ回転自在に支持されてい
る。駆動側カム部材6には外周に広がるフランジ部14
を備え、このフランジ部14の図中左側端面15には図
2(a)にその展開図を示すような駆動側カム面16を
形成している。 【0018】被駆動側カム部材11のフランジ部17の
外周部分は、スライド支持部18によりハウジング2の
内面に対して回転不能で、且つその軸線方向には移動自
在に支持されており、且つその押圧部19はハウジング
2の端部の端面開口からキャリパ3の開口部を貫通し
て、ブレーキパッド20を固定するバックプレート21
の裏面に当接している。被駆動側カム部材11のフラン
ジ部17の図中右側端面、即ち前記駆動側カム部材6の
駆動側カム面16に対向する端面には図2(a)にその
展開図を示すような、また、後述するような作動を行う
被駆動側カム面22を形成している。 【0019】キャリパ3内において互いに対向する前記
ブレーキパッド20の間にブレーキロータ24が配置さ
れ、後述するように被駆動側カム部材11が図中左側に
移動するとき、最初図中右側のブレーキパッド20がブ
レーキロータ24の片面に当接し、その反力でキャリパ
3が図中右方向に移動することによって図中左側のブレ
ーキパッド20がブレーキロータ24の他面に当接し、
それによりブレーキロータ24は両側のブレーキパッド
20に狭持されて制動力が付与される。 【0020】前記駆動側カム面16と被駆動側カム面2
2間には図示実施例においては転動体の一つの態様とし
てのローラ25を等間隔で複数個配置している。このロ
ーラ25は図示実施例においてはその長さ方向に2分割
しており、後述するカム作動時にスキューの発生を防止
している。但し以下説明の便宜のためこの複数に分割し
たローラをまとめて、ローラ1個と称する。 【0021】また、このローラ25の数は例えば図4
(a)に示すように等間隔に120度ずつ3個配置して
も良く、あるいは同図(b)に示すように90度ずつ等
間隔に4個配置しても良い。更に60度ずつ6個配置す
る等、任意の個数を選択することができるが、その数を
増やすと各コロに掛かる力は分散するが、各コロ間の間
隔が狭くなるので、カムのリード角を小さくすることが
困難となり運動変換効率が低下するので、その点を考慮
して適切な個数を選定する。図2に展開図で示す実施例
においては、等間隔に90度ずつ4個のローラ25を配
置した例を示している。 【0022】前記実施例においては転動体としてローラ
25を用いた例を示したが、ローラ25の代わりにボー
ルを用いても同様に作動させることができ、例えば図4
(c)に示すように等間隔に120度ずつ配置し、ある
いは同図(d)に示すように等間隔に90度ずつ4個配
置しても良い。更に必要に応じて前記コロを2分割した
ものと同様に、半径方向に複数個配列することもでき
る。上記のように周方向に均等にローラを配置すること
により、駆動側カム部材からの力をローラが均一に受け
ることができ、また被駆動側カム部材が円周方向全体に
わたって均一に力を受けることができる。 【0023】駆動側カム面16と被駆動側カム面22の
共動するカム面は互いに点対称的に形成し配置されてお
り、ブレーキの非作動時には図2に示すように両カム面
の谷部分にローラ25が位置し、その際には図2(a)
のカム面の展開図に示されるように、全てのローラ25
が保持器26で保持された状態で両カム面の谷部分に位
置している。 【0024】上記構成からなる電動ブレーキ装置1の作
動に際して、この電動ブレーキの初期状態には前記のよ
うに駆動側カム面16と被駆動側カム面22が図2
(a)の状態にあり、全てのローラ25が保持器26で
保持された状態で両カム面の谷部分に位置しており、こ
の両カム面とその間に配置されるローラ25の一つの部
分を同図(b)に示している。 【0025】この状態から運転者がブレーキを踏むこと
により、あるいはブレーキ制御装置からブレーキ作動の
信号が入ったときにはコイル5が通電され、磁石8を固
定している駆動側カム部材6が回転する。このときのカ
ム面とローラの関係を図2(c)に示しており、同図に
示されるように、回転することのない被駆動側カム部材
11が基準位置Aに留まっているのに対して、上記のよ
うに回転する駆動側カム部材6は、図中の白抜き矢印方
向にL1移動することとなる。なお、この移動距離L1
は、実際には駆動側カム部材11の任意の部分における
回転長さである。 【0026】この駆動側カム部材6の回転移動の結果、
駆動側カム面16と被駆動側カム面22との間で挟まれ
ている各ローラ25はその摩擦力によって図2(c)の
矢印方向に回転し駆動側カム面16の凸面部分に乗り上
げるように移動し、同様に、被駆動側カム面22に対し
ても同様に作用するので、この面においても凸面部分に
乗り上げるように移動する。その結果前記駆動側カム面
16のL1の移動に対して、各々その半分の長さである
L2だけ移動する。 【0027】上記のように、駆動側カム部材6の回転に
よりローラ25が駆動側カム面16と被駆動側カム面2
2の両方の凸面部分に乗り上げるため、ブレーキ作動時
には電動モータ1の軸線方向には移動することのない駆
動側カム6に対して、被駆動側カム11はスライド支持
部18により軸方向に対して移動自在に支持されている
ので、図2(c)中においてd1として示される距離だ
け軸線方向に移動することとなる。 【0028】駆動側カム部材6のこのような作動が継続
すると、ブレーキパッドがブレーキディスクを狭持する
ブレーキ作動の最終状態においては、図2(d)に示す
ように駆動側カム部材6がL3だけ回転移動して停止
し、このときローラ25は図示するような位置となり、
その結果被駆動側カム部材11は初期状態からd2の距
離だけ移動した状態となっている。 【0029】運転者がブレーキペダルを解放することに
より、あるいはブレーキ制御装置からアンチスキッド制
御のようにブレーキ力解除の信号が入ったときにはコイ
ル5への通電が停止し、駆動側カム部材16に対する回
転力が解放される。その結果、ブレーキパッド20に対
してディスクプレート24を押さえつけていた反力によ
り、ブレーキパッド20がディスクプレートから離れる
力が直接作用し、その力により被駆動側カム部材11を
押し戻そうとする。 【0030】その力によって被駆動側カム面22からロ
ーラ25に対して、図2(e)の矢印方向の力を作用さ
せ、その力によりローラ25は同図の矢印に示す方向へ
の回転力を生じ、両カム面の凹部方向に回転しつつ移動
する。その結果、プレーキパッド20がディスクプレー
ト24に対して押圧力が作用すると常にローラ25が元
に戻る力が作用するため、電動モータを逆転させること
なく、またリターンスプリング等の戻し部材を用いるこ
となくブレーキ作動部材を元のブレーキ解放位置に戻す
ことができる。なお、カムのリード角を小さく設定した
場合には駆動カム部材6に対する戻し力がその分小さく
なるので、その際には必要に応じてリターンスプリング
を用い、より確実な戻し作用を行わせるように構成する
こともできる。 【0031】この実施例による電動ブレーキは上記のよ
うなカム機構を用いているので、電動モータの所定の回
転に対するブレーキパッドの移動量としてのリードを小
さくすることができ、したがって小さな回転力でも大き
なトルクを発生することができる。このため電動モータ
からの減速機構が不要となるので複雑な機構を用いる必
要が無くなる。 【0032】また、モータの回転力はカム機構を通じて
直動運動に変換され、被制動部材を押圧するため、モー
タからカム機構一つのみで運動を変換することができ、
その機構の信頼性が向上し、全体の部品点数も減少して
小型の装置とすることができ、且つ全体の重量も軽減す
ることができる。 【0033】車両用ブレーキ装置においては被制動時の
ブレーキ部材と被制動部材の隙間はわずかで良く、若干
こする程度のクリアランスでよい場合が多い。このため
ブレーキに要する被制動部材のストロークはわずかで良
く、ストロークが小さくても特に問題となることはな
い。そのため本発明のようにカム装置を用いると大きな
移動量に設定することは困難となるが、ディスクブレー
キの作動に際してはそのストロークは1mm以下で良い
ため、このようなカム機構によってもディスクブレーキ
の作動にとっては充分のストロークを得ることができ
る。 【0034】また、本発明による装置においてはカムの
斜面間にローラを配置しているため、カム間では転がり
運動が生じ、滑り運動を発生することがないので滑り摩
擦を生じない。そのためカムの運動変換効率が高く、そ
の分モータの消費電力を小さくすることができる。 【0035】更に、ブレーキ装置では非制動時に確実に
ブレーキ力を解除する必要があるが、上記本発明による
装置においてはブレーキバッドがブレーキロータに対し
て押圧する力が存在するときにはその力でカム機構を元
の状態に戻すことができ、確実なブレーキ力の解除を行
うことができる。またその時、モータを逆転する等の作
動を行う必要がないので消費電力を少なくすることがで
きる。また、上記戻り作動時も摩擦による損失が発生し
ないため、確実な作動が行われると共に、作動効率の良
い装置とすることができる。 【0036】また、上記実施例においてはカムローラを
軸線方向に2つに分割しているので、ローラの回転に伴
うスキューの発生を小さくすることができ、この点でも
カムの運動変換効率の向上に寄与することができる。更
に、同実施例においては駆動側カム部材6の軸部7に直
接モータの磁石8を配置しているためコンパクトな装置
にすることもできる。 【0037】一方、制動装置においては前記のようにブ
レーキディスクをブレーキパッドで両側から挟むことに
よって制動を行うので、制動部材としてのブレーキパッ
ドが主として摩耗し、被制動部材としてのブレーキディ
スクも摩耗するものがある。したがってこの摩耗を自動
的に補償する機能を備えている制動装置が多く、本発明
による上記のような電動ブレーキ装置においてもブレー
キ部材や被制動部材の摩耗に対応する手段を付加する必
要がある。 【0038】その際、前記図5に示すような従来のねじ
機構を用いた電動ブレーキ装置においては、ブレーキ部
材や被制動部材が次第に摩耗してくるのに対応するため
には、ねじとナットの螺合部分において、摩耗分だけね
じを進めることによって対応することができるものの、
カム機構を用いた上記電動ブレーキ装置においてはこの
ようなねじ部分を備えないので、別途何らかの摩耗に対
して補償することができる手段を設ける必要がある。 【0039】このようなブレーキ部材や被制動部材の摩
耗に対する補償手段を設けるに際して、例えばカム機構
のカム面の凹凸形状を十分に大きくすると共に、このカ
ムに対して予めブレーキの作動側に回転させる弱い力を
付与しておき、ブレーキ部材や被制動部材の摩耗に応じ
てそのカムの回転を進め、それによりカムとローラの当
接部分の初期位置を次第に凸面の高い部分に移動させる
手段を講じることが考えられる。 【0040】しかしながら、ここで採用しているカム機
構は小さな回転力で大きな直線方向の力が得られるよう
に、即ち力の伝達効率を向上させるために、カムのリー
ドを小さく設定しており、カムの作動によってブレーキ
部材を移動するためのカムストロークは1mm以下であ
るので、これに対応できる程度に設定する。それに対し
て上記のようにブレーキ部材や被制動部材の摩耗に関し
ては、例えばブレーキパッドは5mm程度摩耗しても使
用することができ、全体として5〜10mm程度制動部
材が摩耗しても使用することができるようにしなければ
ならない。 【0041】このような摩耗量を、前記のようなカム部
材の凹凸形状の高さ部分で補おうとすると、一定のカム
の回転に対する直線方向へのストロークを大きく設定す
る必要があり、その分運動変換効率が悪くなる。このこ
とは電動ブレーキ装置にカム機構を用いて運動変換効率
を向上させ、小型の電動モータでも大きなブレーキ作動
力を発生させ、装置全体を小型化、軽量化するという、
この電動ブレーキ装置の開発目的とは相容れないことで
ある。 【0042】上記のような点を考慮し、本発明による電
動ブレーキにおいては図1に示すように、駆動側カム部
材6における軸部7の図中右側端部に補償シャフト3
0、ナット31、ねじりバネ32からなる摩耗補償機構
を備えている。この摩耗補償機構においては駆動側カム
部材6の軸部7を支持する軸受10に対してナット部材
31の押圧部39を当接させている。このナット部材3
9は、その雌ねじ38が補償シャフト30の軸部36に
形成した雄ねじ37に螺合している。補償シャフト30
のフランジ部35はその周囲で一方向クラッチ33に支
持され、そのフランジ部35の図中左側端面にはねじり
バネ32の一端部44が固定されている。なお、このね
じりバネ32のバネ力は、後述するように十分に小さい
ものとする。 【0043】このねじりバネ32の他端部43はハウジ
ング2の内壁面に固定され、その固定時に予めねじり力
を付与しておくことにより、このねじりバネ32によっ
て補償シャフト30に常時回転する力を与えている。こ
のときの補償シャフト30の回転方向は、これに螺合す
るナット部材31が図中左側に移動する方向に設定して
いる。 【0044】駆動側カム部材6の軸部7を回転自在に支
持する軸受10は、外周がハウジング2の内壁面に支持
されている外輪40と、軸部7の端部に形成した段部に
固定している内輪42と、外輪40と内輪42間で転動
自在に配置されている複数のボール41から構成されて
おり、外輪40は、ハウジング2の内壁面に対してある
程度の力で軸線方向に移動できる程度の嵌め合い状態で
嵌合している。それにより、前記のようにナット部材3
6が図中左側に移動するとき、外輪40も移動し、それ
によりボール41を介して内輪42も移動し、軸受10
全体が一体的に同方向に移動することができるようにな
っている。 【0045】このように軸受10が図中左側に移動する
ときには、内輪42が固定されている軸部7を備えた駆
動側カム部材6が図中左方向に移動し、ローラ25を挟
んでいる被駆動側カム部材11も同方向に移動する。な
お、被駆動側カム部材11は前記のように、スライド支
持部18によりハウジング2の内面に対して回転不能
で、且つその軸線方向に移動自在に支持され、ブレーキ
作動時に移動可能とされており、したがって上記のよう
に駆動部材6が移動するときも同様に、ブレーキパッド
20をブレーキディスク24の表面に近づける方向に移
動することができる。 【0046】上記構成をなす制動部材の摩耗補償機構
は、ブレーキ装置の使用によりブレーキパッド20が摩
耗し、あるいはブレーキディスク24が摩耗するとき、
ブレーキパッド20の制動側表面とブレーキディスク2
4の表面との間に隙間が生じると、ねじりバネ32によ
って前記のように駆動側カム部材6及び被駆動側カム部
材11が一体的に移動し、その間隙をなくすことができ
る。このように、ブレーキパッド20やブレーキディス
ク24、即ちブレーキ部材や被制動部材が摩耗したとき
には、常にこれを補償することができ、長期間安定した
ブレーキ作用を維持することができる。 【0047】このような摩耗補償機能により、例えば図
3(a)に示す初期位置から同図(b)に示すように、
被駆動側カム部材11の押圧部19が距離dだけ突出す
ることにより前記摩耗を補償することができるものであ
るが、その際駆動側カム部材6も一体的に図中左側に移
動するため、この駆動側カム部材6の軸部7外周に固定
した磁石8も一体的に移動する。そのため、もしもこの
磁石8がコイル5と同じ長さであるときには、上記移動
によって最初は両者が全ての長さ部分で対向していたと
しても、上記移動によって対向しない部分が生じ、その
分モータの駆動力が低下する。 【0048】この実施例においては、摩耗補償時に移動
する駆動側カム部材に磁石を固定していることによる上
記問題点を解決するため、例えば図3(a)に示すよう
に、コイル5の長さAよりも磁石8の長さBをdだけ長
く設定している。したがって、この電動ブレーキ装置の
使用開始時の初期設定時には、同図に示すように図中左
端部が揃うようにセットした後、ブレーキの使用により
上記のような摩耗補償が行われ、次第に押圧部19が図
中左方向に移動し、この電動ブレーキ装置が予定してい
る最も大きな摩耗補償を行う位置が初期設定位置よりd
だけ突出した位置であるとき、図3(b)に示すよう
に、コイルと磁石の図中右側端部が一致するように設定
する。それにより、この電動モータにおいては、磁石の
移動に関わらず常にコイルの長さ方向全体にわたって磁
石と対向させることができ、常時一定の駆動力を得るこ
とが可能となる。 【0049】上記ねじりバネ32は、そのバネ力が強い
ときには上記作用によってブレーキパッド20を常にブ
レーキディスク24に強く押しつけることとなり好まし
くないので、そのような影響を与えない程度の強さにし
なければならず、しかしながら当然上記摩耗補償機能を
行うために、軸受10、駆動側カム部材6、被駆動側カ
ム部材11を移動させる力がなければならないので、こ
れらを考慮してそのバネ定数を決定する。 【0050】この電動ブレーキ装置の作動時には、被駆
動側カム部材11、駆動側カム部材6、軸受10、ナッ
ト部材31を各々介して補償シャフト30に対して、前
記補償シャフト30の回転方向とは逆の方向に回転力が
発生し、元の状態に戻そうとする。その対策として上記
実施例においては一方向クラッチ33によって補償シャ
フト30を支持する構成としており、この一方向クラッ
チ33によって上記回転が阻止され、摩耗補償機能を確
実に維持することができる。 【0051】なお、上記摩耗補償機構においては、例え
ばブレーキパッドを交換する等、摩耗したブレーキ部材
を新しいものに交換するメンテナンスを行う際には、上
記補償機構のねじも元の定位置に戻すことにより、再び
同様に作動させることができる。 【0052】 【発明の効果】本願発明に係る電動ブレーキ装置は上記
のようにモータの回転運動をカム部材により直線運動に
変換するようにしたので、簡単な機構により上記運動の
変換を行うことができ、また摩擦が少ないので、運動変
換効率が良く、小型の電動モータでも大きなブレーキ作
動力を発生させることができ、消費電力が少なく、更に
装置全体を小型化し軽量化することができる。 【0053】特に本発明においては、カム部材に直接電
動機の永久磁石を取り付けたので、カム部材とモータ出
力軸を一体化でき、モータ出力からカム部材への力伝達
機構が不要になるため、伝達機構の故障によるブレーキ
の作動不良の可能性が無くなり、信頼性が向上する。ま
た装置全体をコンパクト・軽量化することができ、特に
自動車用の用途においては、バネ下重量の低減によりサ
スペンション能力が向上する。且つ、部品点数減少によ
る組立性向上やコストダウンにも寄与することができ
る。更には、ギヤによる噛み合い伝達などとは異なり、
軸の周方向全体に均一に回転力が発生するため、一部の
ローラに力が加わることなく、ローラには均一な力が掛
かるので耐久性が向上する。また、回転力は偶力である
ので、支持軸受に大きなラジアル荷重が加わることもな
く、軸受を小型化することもでき、装置全体の小型化に
寄与することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例の断面図である。 【図2】同実施例において駆動側カム面と被駆動側カム
面とその間に配置する転動体の作動の状態を示す図であ
り、(a)はブレーキ非作動状態において円周上に配置
されるこれらの部分を展開して示した図であり、(b)
はその一部を拡大して示した図、(c)はブレーキ作動
開始時の状態、(d)は同じくブレーキ作動の最終状態
を示し、(e)はブレーキ作動解除時における戻り作動
時の状態を示す図である。 【図3】同実施例において、ブレーキ部材の摩耗を補償
する機構及びその作用を示す図であり、(a)はその初
期位置を示し、(b)は最も摩耗量が多い状態に対応し
ている位置を示す図である。 【図4】同実施例におけるカム面上の転動体の配置の態
様を示す図であり、(a)は転動体としてローラを用い
等間隔で3個配置した態様、(b)は同じく等間隔で4
個配置した態様を示し、(c)は転動体としてボールを
用い等間隔で3個配置した態様、(d)は等間隔で4個
配置した態様を示す。 【図5】従来の電動ブレーキ装置の例を示す断面図であ
る。 【符号の説明】 1 電動ブレーキ装置 2 ハウジング 3 キャリパ 5 コイル 6 駆動側カム部材 7 軸部 8 磁石 11 被駆動側カム部材 16 駆動側カム面 17 フランジ部 18 スライド支持部 19 押圧部 20 ブレーキパッド 22 被駆動側カム面 24 ブレーキロータ 25 ローラ 26 保持器 30 補償シャフト 31 ナット部材 32 ねじりバネ 33 一方向クラッチ 37 雄ねじ 38 雌ねじ 40 外輪 41 ボール 42 内輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J058 AA48 AA53 AA63 AA78 AA87 BA57 BA67 BA78 CC15 CC56 CC77 DA03 DA13 DA29 FA01

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 電動モータの回転運動を直線運動に変換
    し、ブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動ブレーキ
    装置において、前記直線運動への変換にカム機構を用
    い、該カム部材に直接電動機の永久磁石を取り付けたこ
    とを特徴とする電動ブレーキ装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101271509B1 (ko) 2011-09-08 2013-06-05 주식회사 만도 전자 기계식 브레이크
CN107725646A (zh) * 2017-09-11 2018-02-23 浙江零跑科技有限公司 一种新能源车用齿轮式制动执行装置

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KR101271509B1 (ko) 2011-09-08 2013-06-05 주식회사 만도 전자 기계식 브레이크
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