JP2003149110A - 防舷材の特性解析方法 - Google Patents
防舷材の特性解析方法Info
- Publication number
- JP2003149110A JP2003149110A JP2001344848A JP2001344848A JP2003149110A JP 2003149110 A JP2003149110 A JP 2003149110A JP 2001344848 A JP2001344848 A JP 2001344848A JP 2001344848 A JP2001344848 A JP 2001344848A JP 2003149110 A JP2003149110 A JP 2003149110A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fender
- ships
- compression
- data
- time
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A30/00—Adapting or protecting infrastructure or their operation
- Y02A30/30—Adapting or protecting infrastructure or their operation in transportation, e.g. on roads, waterways or railways
Landscapes
- Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 実際に防舷材のモデルを製造することなく、
コンピュータ上で簡単に、防舷材の圧縮特性を解析する
ことができる、新規な特性解析方法を提供する。 【解決手段】 船舶類および岸壁の諸元データと、気象
データとをもとに、動揺シミュレーションのプログラム
によって、船舶類の接舷時の動きを連続的にシミュレー
トし、また防舷材の諸元データをもとに、三次元有限要
素法モデルのプログラムによって、上記シミュレートさ
れた船舶類の動きにより圧縮、変位された防舷材に発生
する反力を演算して、その結果を上記シミュレートにフ
ィードバックする。
コンピュータ上で簡単に、防舷材の圧縮特性を解析する
ことができる、新規な特性解析方法を提供する。 【解決手段】 船舶類および岸壁の諸元データと、気象
データとをもとに、動揺シミュレーションのプログラム
によって、船舶類の接舷時の動きを連続的にシミュレー
トし、また防舷材の諸元データをもとに、三次元有限要
素法モデルのプログラムによって、上記シミュレートさ
れた船舶類の動きにより圧縮、変位された防舷材に発生
する反力を演算して、その結果を上記シミュレートにフ
ィードバックする。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、防舷材の圧縮特
性を解析するための新規な解析方法に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】例えば船舶やはしけ、浮桟橋などの船舶
類の、岸壁などへの接舷時のエネルギーを吸収して衝撃
を緩和することで、当該船舶類の船体を保護するための
緩衝材として、種々の形状を有するいわゆる防舷材が使
用されている。こうした防舷材の圧縮特性を解析するた
めに従来は、まず実物大の、あるいは何分の一かに縮尺
した防舷材のモデルを、実際に防舷材に使用する材料を
用いて試作する。そしてそれを、プレス機などを使用し
て、防舷材の受衝面と直角な一方向に圧縮して、その際
に発生する反力を測定することで、圧縮量−反力特性曲
線を求めることが行われている。 【0003】しかし実際の船舶類は、接舷時に、その諸
元(断面形状、重量等)や積荷の積載状態、初期速度、
岸壁の形状、岸壁への係留装置の配置や個々の係留装置
の構成、あるいは波、潮流、風等の気象条件などに応じ
て、非常に複雑に動揺しながら防舷材を圧縮する。この
ため、プレス機を用いた一方向への静的な圧縮だけで
は、防舷材の圧縮特性を完全に把握し、解析することは
できない。そこで近時、防舷材のモデルを、実際の船舶
類の動揺に近い状態で動揺させながら圧縮して、その際
の圧縮特性を解析する試験装置が開発された(特公平4
−64020号公報)。 【0004】かかる試験装置は、防舷材の受衝面に対し
て直角な圧縮方向と、この受衝面に沿った剪断方向と、
この剪断方向に対して直角な軸周りの回転方向とに駆動
される加圧部材を備えている。また、この加圧部材を駆
動した際の、上記各方向の変位量を測定する手段と、そ
の際に防舷材に発生する、上記各方向の反力を測定する
手段とを有している。解析に際しては、まず予め設定し
た初期条件に応じて加圧部材を駆動して防舷材を圧縮し
た際の、上記各方向の変位量と、その際に防舷材に発生
する上記各方向の反力とを測定する。次にこの測定結果
をもとに、船舶類が防舷材に緩衝されつつ接舷する運動
を演算し、この演算結果を元に設定しなおした条件に基
づいて加圧部材をさらに駆動させて防舷材を圧縮する。
そしてこの操作を繰り返すことで、一定の条件下におい
て船舶類が接舷した際の、防舷材の圧縮特性を解析する
ことができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記の試験装置を使用
すれば、船舶類の複雑な動揺にかなり近い状態で、防舷
材の圧縮特性を解析できるものと考えられる。しかしこ
の試験装置を使用する場合でも、従来の、プレス機を使
用する場合と同様に、実際に防舷材のモデルを製造する
必要があることに変わりはない。このため、ある1つの
形状、構造を有する防舷材についての圧縮特性を解析す
るために、防舷材の設計から型の作製、材料の調製、成
形、ゴムの加硫、そして圧縮特性試験まで、長い時間と
多くの材料と多大な労力とを必要とするという問題があ
る。 【0006】このため、かかる試験を繰り返して、目的
に叶った理想的な防舷材の形状、構造を見出すためには
さらに膨大な時間、材料および労力を費やす必要がある
ことになり、このことが新たな、そして良好な圧縮特性
を有する防舷材の開発を妨げる一つの原因となってい
る。この発明の目的は、実際に防舷材のモデルを製造す
ることなくきわめて簡単に、防舷材の圧縮特性を解析す
ることができる、新規な特性解析方法を提供することに
ある。 【0007】 【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課
題を解決するための、この発明の防舷材の特性解析方法
は、船舶類の、岸壁への接舷時に緩衝材として機能する
防舷材の圧縮特性を、コンピュータによって解析する方
法であって、入力された船舶類、および岸壁の諸元デー
タと、気象データとをもとに、船舶類の、接舷時の動き
を連続的にシミュレートする動揺シミュレーションと、
入力された防舷材の諸元データをもとに、船舶類の接舷
によって圧縮され変位された防舷材に発生する反力を演
算する三次元有限要素法モデルと、を用い、(1) 動揺
シミュレーションによって、所定時点での船舶類の位
置、向き、移動方向および移動速度を求めて、その結果
から、上記の時点で船舶類によって防舷材に加えられる
圧縮の応力を演算し、(2) 三次元有限要素法モデルに
よって、上記の応力が加えられた状態の防舷材に発生す
る変位と反力とを演算し、(3) 上記変位と反力の演算
結果を先の動揺シミュレーションにフィードバックし
て、所定時点から微小時間後の、防舷材の変位および反
力の影響を受けた状態での船舶類の位置、向き、移動方
向および移動速度を演算する、工程を繰り返し行ないな
がら、防舷材の圧縮特性を解析することを特徴とする。 【0008】上記この発明の特性解析方法によれば、動
揺シミュレーションと三次元有限要素法モデルの2つの
プログラムを連携させることにより、実際に防舷材のモ
デルを製造することなく、コンピュータを用いてきわめ
て簡単に、複雑な動きを伴う船舶の接舷時の、防舷材の
圧縮特性を解析することが可能となる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。図
1は、この発明の特性解析方法の、手順の流れの一例を
示すフローチャート、図2は、コンピュータ内でのデー
タの流れの一例を示すブロック図である。また図3(a)
は、上記特性解析方法を実施する際に想定される防舷材
1、船舶類2および岸壁3の位置関係の一例を示す平面
図、図3(b)は、上記防舷材1を岸壁3側から見た正面
図、図3(c)は側面図である。さらに図4は、防舷材1
と船舶類2の位置関係の一例を示す斜視図である。 【0010】図2に見るように動揺シミュレーションの
プログラムP1には、コンピュータの入力手段などを使
用して、船舶類2の諸元データD1、岸壁3の諸元デー
タD2、および気象データD4が入力される。また三次
元有限要素法モデルのプログラムP2には、同様にコン
ピュータの入力手段などを使用して、防舷材1の諸元デ
ータD3が入力される。プログラムP1は、上記の入力
情報をもとに、コンピュータのタイマT1による計時に
したがって、船舶類2の、防舷材1への接舷時の動きを
連続的にシミュレートし、所定時点での船舶類2の位
置、向き、移動方向および移動速度を求める。そしてそ
の結果からプログラムP1は、上記の時点で船舶類2に
よって防舷材1に加えられる圧縮の応力(fx,fy,f
z,fα,fβ,fγ)を演算し、その結果を三次元有
限要素法モデルのプログラムP2に入力する。 【0011】一方、プログラムP2は、入力された防舷
材1の諸元データD3をもとに、上記圧縮の応力
(fx,fy,fz,fα,fβ,fγ)が加えられた状
態の防舷材1に発生する各方向の変位(x,y,z,
α,β,γ)と反力(Fx,Fy,Fz,Fα,Fβ,F
γ)とを演算する。そしてその結果をプログラムP1に
フィードバックする。そうするとプログラムP1は、こ
のフィードバックされた結果を加味して、前記所定時点
から微小時間後の船舶類2の位置、向き、移動方向およ
び移動速度を求めて、その結果から、微小時間後の船舶
類2によって防舷材1に加えられる圧縮の応力(fx,
fy,fz,fα,fβ,fγ)を再度、演算する。 【0012】各データのうち船舶類2の諸元データD1
としては、全長、全幅、総トン数、積載トン数等の他、
船舶類2の全長を等分に分割した位置ごとの断面形状を
座標で表した船型データ、船体の重心位置、初期速度等
のデータが挙げられる。これらのデータを、動揺シミュ
レーションのプログラムP1に組み込まれたデータ入力
ウィザードに従って順次、入力する。なお標準船型であ
る場合はその船型の種類(タンカー船型、コンテナ船
型、フェリー船型等)、満載であるか軽荷であるかとい
った項目を順次、選択することで、コンピュータにあら
かじめ記憶されたデータを読み出して自動的に入力する
簡易入力ウィザードを設けてもよい。 【0013】防舷材1の諸元データD3としては、三次
元有限要素法モデルによって、応力が加えられた状態の
防舷材1に発生する変位と反力とを演算するために、図
3(a)〜(c)および図4に一例を示したような防舷材1の
立体形状と、当該防舷材1を形成するゴム等の弾性材料
の材料物性(硬さ、弾性率、強度等)とが必要とされ
る。三次元有限要素法モデルでは、これらの図に示すよ
うに岸壁3に固定された防舷材1を多数の微小な立体
(ソリッド要素)に分割する。次に、各ソリッド要素上
で、船舶類2によって加えられた圧縮の応力に応じて発
生する変位と反力とを簡単な近似式によって計算する。
そして、それをつなぎ合わせて防舷材1の全体の近似式
にすることで、変位が加えられた状態の防舷材1に発生
する変位と反力とを演算する。 【0014】詳しくは、まず防舷材1と船舶類2との相
対的な変位を、防舷材1の受衝面に対して直角な圧縮方
向(図中y方向)と、受衝面に沿った、互いに直交する
横方向(x方向)および縦方向(z方向)と、上記各方
向を軸とする軸回りの回転方向(α,β,γ方向)の各
成分に項分けする。そして各成分ごとに、船舶類2によ
って防舷材1に加えられる応力(fx,fy,fz,f
α,fβ,fγ)を求める。次にこの応力(fx,fy,
fz,fα,fβ,fγ)に応じて、前記各ソリッド要
素ごとに発生する各成分ごとの変位を求め、それをつな
ぎ合わせて、防舷材1の全体としての、各成分ごとの変
位(x,y,z,α,β,γ)を演算する。 【0015】それとともに、上記応力(fx,fy,
fz,fα,fβ,fγ)に応じて各ソリッド要素ごと
に発生する各成分ごとの反力を求め、それをつなぎ合わ
せて、防舷材1の全体としての、各成分ごとの反力(F
x,Fy,Fz,Fα,Fβ,Fγ)を演算する。また防
舷材1の諸元データD3は、次に述べる岸壁3の諸元デ
ータD2の一つとしても求められる。その際に必要とさ
れる防舷材1の諸元データD3としては、上記の他に、
防舷材1の外形寸法や、前述した、プレス機を用いた一
方向への静的な圧縮による圧縮量−反力特性曲線などが
挙げられる。 【0016】岸壁3の諸元データD2としては、当該岸
壁3の形態、船舶類2の係留方向(右舷、左舷、直交
等)、係留距離(船体の重心位置から、船首船尾線と平
行な岸壁まで、あるいは船首船尾線と直行する岸壁まで
の距離等)、岸壁3による波の反射係数、係留装置の種
類〔カテナリー、ドルフィン、フェンダー(防舷
材)〕、諸元、数および配置等が挙げられる。さらに気
象データD4としては風向および風力、波のスペクトル
形状、入射方向、うねり成分の有無、平均周期、有義波
高等が挙げられる。 【0017】なおこれらデータの入力を簡略化するた
め、プログラムP1には、前述した船型に関するものと
同様に、あらかじめ指定された項目を順次、選択するこ
とで、コンピュータにあらかじめ記憶されたデータを読
み出して自動的に入力する簡易入力ウィザードなどを組
み込んでおいてもよい。特性解析方法の、より詳しい流
れにつき、図1に基づいて説明する。まずコンピュータ
の入力手段などを使用して、前記のように船舶類、防舷
材および岸壁の諸元データD1〜D3と、気象データD
4とを入力する(ステップSP1)。 【0018】次に、ステップSP2でタイマT1による
経時を開始し、入力された各データのうち船舶類2の諸
元データD1、および岸壁3の諸元データD2と、気象
データD4とをもとにプログラムP1を実行して、船舶
類2の、接舷時の動きを連続的にシミュレートする。そ
して、まず計時開始時点(T=0)での、船舶類2の位
置、向き、移動方向および移動速度を求めて、その結果
から、上記の時点で船舶類2によって防舷材1に加えら
れる圧縮の応力(fx,fy,fz,fα,fβ,fγ)
を演算する(ステップSP3)。 【0019】次に、上記演算結果をプログラムP2に取
り込んで、先に入力された防舷材1の諸元データD3を
もとにして、圧縮の応力(fx,fy,fz,fα,f
β,fγ)が加えられた際に発生する防舷材1の変位
(x,y,z,α,β,γ)と、その際の反力(Fx,
Fy,Fz,Fα,Fβ,Fγ)とを演算する(ステップ
SP4)。この間もプログラムP1による船舶類2の動
きのシミュレートと、タイマT1による計時は継続して
実行されており、上記計時開始時点から微小時間Δtが
経過した時点で(ステップSP5)、まず解析が終了し
たか否かを判断する(ステップSP6)。 【0020】次いで解析続行の場合には再びステップS
P3に戻って、防舷材1の変位(x,y,z,α,β,
γ)と反力(Fx,Fy,Fz,Fα,Fβ,Fγ)とを
加味した上で、上記微小時間Δtが経過した時点での、
船舶類2の位置、向き、移動方向および移動速度を求め
る。その結果から、上記の時点で船舶類2によって防舷
材1に加えられる新たな圧縮の応力(fx,fy,fz,
fα,fβ,fγ)を演算し、後は解析終了まで、ステ
ップSP3〜ステップSP6を繰り返し行う。 【0021】そしてステップSP6で解析終了と判断し
た際には結果をメモリ、ディスプレイ、プリンタ等に出
力して一連の解析作業を終了する。上記この発明の特性
解析方法によれば、動揺シミュレーションと三次元有限
要素法モデルの2つのプログラムを連携させることによ
り、実際に防舷材のモデルを製造することなく、コンピ
ュータを用いてきわめて簡単かつ短時間に、防舷材の圧
縮特性を解析することができる。 【0022】解析できる防舷材の圧縮特性としては、例
えば図5に示す圧縮量−反力特性曲線などがあげられ
る。図中の破線は、プレス機を用いて実際の防舷材を圧
縮して測定した圧縮量−反力特性曲線であり、また−○
−○−は、コンピュータ上でソリッド要素に分割した同
形状の防舷材を、同方向へ静的に圧縮した際の、圧縮量
−反力特性曲線である。図に見るように両曲線がほぼ完
全に一致していることから、三次元有限要素法モデルに
よる防舷材の特性解析が妥当なものであることわかる。 【0023】さらに同図中の−●−●−は、コンピュー
タ上でソリッド要素に分割した同形状の防舷材につい
て、この発明の特性解析方法にしたがって、船舶類およ
び岸壁の諸元データと気象データとをもとに、船舶の接
舷をシミュレートしながら求めた圧縮量−反力特性曲線
である。この結果より、シミュレートした条件下では、
静的な圧縮試験による測定結果よりも反力値が下回るこ
とがわかる。そしてこのことから、所定の反力値を得る
ためには防舷材の設計変更が必要となることがわかる。 【0024】またこの発明によれば、例えば図6に示す
ように船舶の接舷時におけるx方向(−■−■−)、お
よびz方向(−●−●−)の変位量と、圧縮量(−y方
向の変位量)との関係とを抽出してプロットすることに
より、上記圧縮時の防舷材に発生するせん断変位の、船
舶の動きに伴う変化を、3次元的に解析することもでき
る。また図示していないが、軸回りの回転方向(α,
β,γ方向)の回転量と、圧縮量(−y方向の変位量)
との関係とを抽出してプロットすることにより、上記圧
縮時の防舷材に発生する回転の、船舶の動きに伴う変化
を、3次元的に解析することもできる。 【0025】そして、これらの解析結果を参考データと
して利用して防舷材の設計変更を行い、新たに設計しな
おした防舷材について再びデータを入力するだけで、あ
とは上記の手順で再度、圧縮特性を解析することによ
り、行った設計変更が防舷材の圧縮特性に及ぼす影響を
検討することなどができる。したがってこの発明によれ
ば、理想的な圧縮特性を有する防舷材の開発を、多大な
労力などを要することなく、これまでよりも容易に行え
るようになるという特有の作用効果を奏する。 【0026】なおこの発明の防舷材の特性解析方法の構
成は、以上で説明した例には限定されず、この発明の要
旨を変更しない範囲で種々の変更を施すことができる。 【0027】 【実施例】以下にこの発明を、実施例に基づいて説明す
るが、この発明の構成はこれに限定されるものではな
い。 〈三次元有限要素法モデルによる防舷材の特性解析の妥
当性解析〉三次元有限要素法モデルのプログラムP2と
して、リバーモアソフトウエアーテクノロジー社(Live
rmore Software Technology Corporation)製の汎用非
線形陽解析ソフト"LS−DYNA"を使用した。 【0028】そして図3(a)〜(c)および図4に示す立体
形状を有する防舷材1〔住友ゴム工業(株)製の1000
H−LMD型防舷材、高さ1000mm〕について、上
記プログラムを用いて、コンピュータ上で、まずこれら
の図に示すように防舷材1を多数の微小な立体(ソリッ
ド要素)に分割した。次いで上記プログラムを用いて、
コンピュータ上で、ソリッド要素に分割した防舷材1
を、図中y方向と逆の圧縮方向へ静的に圧縮した際の、
圧縮量−反力特性曲線を求めたところ、図5に−○−○
−で示す結果が得られた。 【0029】この結果を、プレス機を用いて実際の防舷
材1を同方向に圧縮して測定した圧縮量−反力特性曲線
(図5中に破線で示す)と比較したところほぼ完全に一
致していた。そしてこのことから、三次元有限要素法モ
デルによる防舷材の特性解析が妥当なものであることが
確認された。 実施例1 上記と同じ図3(a)〜(c)および図4に示す立体形状を有
する防舷材1〔住友ゴム工業(株)製の1000H−LM
D型防舷材、高さ1000mm〕について、その圧縮特
性を解析すべく、下記の手順で作業を行った。 【0030】〈プログラムの構成〉三次元有限要素法モ
デルのプログラムP2としては、前記LS−DYNAを
用いた。このプログラムに、以下に述べる動揺シミュレ
ーションのプログラムP1との間で演算結果をやりとり
する入出力部を追加する改良を施した。また動揺シミュ
レーションのプログラムP1としては、(株)三井造船昭
島研究所製の係船状態解析システム"MOSQ2"を用い
た。このプログラムに、上記LS−DYNAとの間で演
算結果をやりとりする入出力部を追加する改良を施し
た。 【0031】〈データ入力〉上記両プログラムP1、P
2を立ち上げて、それぞれ下記の各諸元データ、および
気象データを、プログラムの入力ウィザードに従って入
力した。 ・船舶類2の諸元データD1 ・岸壁3の諸元データD2 ・防舷材1の諸元データD3 ・気象データD4 〈防舷材の特性解析〉上記の入力が完了した時点で、微
小時間Δt=0.1秒の条件で、前記両プログラムP
1、P2による演算を開始させて、防舷材1の圧縮特性
を解析した。 【0032】その結果、図5に−●−●−で示す圧縮量
−反力特性曲線が得られた。図の結果より防舷材1は、
シミュレートした条件下では、静的な圧縮試験の場合よ
りも反力値が小さくなることが判明した。そしてこの結
果から、この条件下では、所定の反力値を得るために防
舷材1の設計変更が必要となることが確認された。また
上記の解析結果より、防舷材1のx方向およびz方向の
変位量と、防舷材1の圧縮量(−y方向の変位量)との
関係を抽出してプロットしたところ、図6に示す結果が
得られた。図6において−■−■−はx方向の変位量
と、防舷材1の圧縮量(−y方向の変位量)との関係を
示す曲線、−●−●−はz方向の変位量と、防舷材1の
圧縮量(−y方向の変位量)との関係を示す曲線であ
る。 【0033】上記の結果は、圧縮時の防舷材に発生する
せん断変位の、船舶の動きに伴う変化を、3次元的に解
析したものであって、防舷材1の設計変更を行う際に、
参考データとして利用することができた。
性を解析するための新規な解析方法に関するものであ
る。 【0002】 【従来の技術】例えば船舶やはしけ、浮桟橋などの船舶
類の、岸壁などへの接舷時のエネルギーを吸収して衝撃
を緩和することで、当該船舶類の船体を保護するための
緩衝材として、種々の形状を有するいわゆる防舷材が使
用されている。こうした防舷材の圧縮特性を解析するた
めに従来は、まず実物大の、あるいは何分の一かに縮尺
した防舷材のモデルを、実際に防舷材に使用する材料を
用いて試作する。そしてそれを、プレス機などを使用し
て、防舷材の受衝面と直角な一方向に圧縮して、その際
に発生する反力を測定することで、圧縮量−反力特性曲
線を求めることが行われている。 【0003】しかし実際の船舶類は、接舷時に、その諸
元(断面形状、重量等)や積荷の積載状態、初期速度、
岸壁の形状、岸壁への係留装置の配置や個々の係留装置
の構成、あるいは波、潮流、風等の気象条件などに応じ
て、非常に複雑に動揺しながら防舷材を圧縮する。この
ため、プレス機を用いた一方向への静的な圧縮だけで
は、防舷材の圧縮特性を完全に把握し、解析することは
できない。そこで近時、防舷材のモデルを、実際の船舶
類の動揺に近い状態で動揺させながら圧縮して、その際
の圧縮特性を解析する試験装置が開発された(特公平4
−64020号公報)。 【0004】かかる試験装置は、防舷材の受衝面に対し
て直角な圧縮方向と、この受衝面に沿った剪断方向と、
この剪断方向に対して直角な軸周りの回転方向とに駆動
される加圧部材を備えている。また、この加圧部材を駆
動した際の、上記各方向の変位量を測定する手段と、そ
の際に防舷材に発生する、上記各方向の反力を測定する
手段とを有している。解析に際しては、まず予め設定し
た初期条件に応じて加圧部材を駆動して防舷材を圧縮し
た際の、上記各方向の変位量と、その際に防舷材に発生
する上記各方向の反力とを測定する。次にこの測定結果
をもとに、船舶類が防舷材に緩衝されつつ接舷する運動
を演算し、この演算結果を元に設定しなおした条件に基
づいて加圧部材をさらに駆動させて防舷材を圧縮する。
そしてこの操作を繰り返すことで、一定の条件下におい
て船舶類が接舷した際の、防舷材の圧縮特性を解析する
ことができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記の試験装置を使用
すれば、船舶類の複雑な動揺にかなり近い状態で、防舷
材の圧縮特性を解析できるものと考えられる。しかしこ
の試験装置を使用する場合でも、従来の、プレス機を使
用する場合と同様に、実際に防舷材のモデルを製造する
必要があることに変わりはない。このため、ある1つの
形状、構造を有する防舷材についての圧縮特性を解析す
るために、防舷材の設計から型の作製、材料の調製、成
形、ゴムの加硫、そして圧縮特性試験まで、長い時間と
多くの材料と多大な労力とを必要とするという問題があ
る。 【0006】このため、かかる試験を繰り返して、目的
に叶った理想的な防舷材の形状、構造を見出すためには
さらに膨大な時間、材料および労力を費やす必要がある
ことになり、このことが新たな、そして良好な圧縮特性
を有する防舷材の開発を妨げる一つの原因となってい
る。この発明の目的は、実際に防舷材のモデルを製造す
ることなくきわめて簡単に、防舷材の圧縮特性を解析す
ることができる、新規な特性解析方法を提供することに
ある。 【0007】 【課題を解決するための手段および発明の効果】上記課
題を解決するための、この発明の防舷材の特性解析方法
は、船舶類の、岸壁への接舷時に緩衝材として機能する
防舷材の圧縮特性を、コンピュータによって解析する方
法であって、入力された船舶類、および岸壁の諸元デー
タと、気象データとをもとに、船舶類の、接舷時の動き
を連続的にシミュレートする動揺シミュレーションと、
入力された防舷材の諸元データをもとに、船舶類の接舷
によって圧縮され変位された防舷材に発生する反力を演
算する三次元有限要素法モデルと、を用い、(1) 動揺
シミュレーションによって、所定時点での船舶類の位
置、向き、移動方向および移動速度を求めて、その結果
から、上記の時点で船舶類によって防舷材に加えられる
圧縮の応力を演算し、(2) 三次元有限要素法モデルに
よって、上記の応力が加えられた状態の防舷材に発生す
る変位と反力とを演算し、(3) 上記変位と反力の演算
結果を先の動揺シミュレーションにフィードバックし
て、所定時点から微小時間後の、防舷材の変位および反
力の影響を受けた状態での船舶類の位置、向き、移動方
向および移動速度を演算する、工程を繰り返し行ないな
がら、防舷材の圧縮特性を解析することを特徴とする。 【0008】上記この発明の特性解析方法によれば、動
揺シミュレーションと三次元有限要素法モデルの2つの
プログラムを連携させることにより、実際に防舷材のモ
デルを製造することなく、コンピュータを用いてきわめ
て簡単に、複雑な動きを伴う船舶の接舷時の、防舷材の
圧縮特性を解析することが可能となる。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。図
1は、この発明の特性解析方法の、手順の流れの一例を
示すフローチャート、図2は、コンピュータ内でのデー
タの流れの一例を示すブロック図である。また図3(a)
は、上記特性解析方法を実施する際に想定される防舷材
1、船舶類2および岸壁3の位置関係の一例を示す平面
図、図3(b)は、上記防舷材1を岸壁3側から見た正面
図、図3(c)は側面図である。さらに図4は、防舷材1
と船舶類2の位置関係の一例を示す斜視図である。 【0010】図2に見るように動揺シミュレーションの
プログラムP1には、コンピュータの入力手段などを使
用して、船舶類2の諸元データD1、岸壁3の諸元デー
タD2、および気象データD4が入力される。また三次
元有限要素法モデルのプログラムP2には、同様にコン
ピュータの入力手段などを使用して、防舷材1の諸元デ
ータD3が入力される。プログラムP1は、上記の入力
情報をもとに、コンピュータのタイマT1による計時に
したがって、船舶類2の、防舷材1への接舷時の動きを
連続的にシミュレートし、所定時点での船舶類2の位
置、向き、移動方向および移動速度を求める。そしてそ
の結果からプログラムP1は、上記の時点で船舶類2に
よって防舷材1に加えられる圧縮の応力(fx,fy,f
z,fα,fβ,fγ)を演算し、その結果を三次元有
限要素法モデルのプログラムP2に入力する。 【0011】一方、プログラムP2は、入力された防舷
材1の諸元データD3をもとに、上記圧縮の応力
(fx,fy,fz,fα,fβ,fγ)が加えられた状
態の防舷材1に発生する各方向の変位(x,y,z,
α,β,γ)と反力(Fx,Fy,Fz,Fα,Fβ,F
γ)とを演算する。そしてその結果をプログラムP1に
フィードバックする。そうするとプログラムP1は、こ
のフィードバックされた結果を加味して、前記所定時点
から微小時間後の船舶類2の位置、向き、移動方向およ
び移動速度を求めて、その結果から、微小時間後の船舶
類2によって防舷材1に加えられる圧縮の応力(fx,
fy,fz,fα,fβ,fγ)を再度、演算する。 【0012】各データのうち船舶類2の諸元データD1
としては、全長、全幅、総トン数、積載トン数等の他、
船舶類2の全長を等分に分割した位置ごとの断面形状を
座標で表した船型データ、船体の重心位置、初期速度等
のデータが挙げられる。これらのデータを、動揺シミュ
レーションのプログラムP1に組み込まれたデータ入力
ウィザードに従って順次、入力する。なお標準船型であ
る場合はその船型の種類(タンカー船型、コンテナ船
型、フェリー船型等)、満載であるか軽荷であるかとい
った項目を順次、選択することで、コンピュータにあら
かじめ記憶されたデータを読み出して自動的に入力する
簡易入力ウィザードを設けてもよい。 【0013】防舷材1の諸元データD3としては、三次
元有限要素法モデルによって、応力が加えられた状態の
防舷材1に発生する変位と反力とを演算するために、図
3(a)〜(c)および図4に一例を示したような防舷材1の
立体形状と、当該防舷材1を形成するゴム等の弾性材料
の材料物性(硬さ、弾性率、強度等)とが必要とされ
る。三次元有限要素法モデルでは、これらの図に示すよ
うに岸壁3に固定された防舷材1を多数の微小な立体
(ソリッド要素)に分割する。次に、各ソリッド要素上
で、船舶類2によって加えられた圧縮の応力に応じて発
生する変位と反力とを簡単な近似式によって計算する。
そして、それをつなぎ合わせて防舷材1の全体の近似式
にすることで、変位が加えられた状態の防舷材1に発生
する変位と反力とを演算する。 【0014】詳しくは、まず防舷材1と船舶類2との相
対的な変位を、防舷材1の受衝面に対して直角な圧縮方
向(図中y方向)と、受衝面に沿った、互いに直交する
横方向(x方向)および縦方向(z方向)と、上記各方
向を軸とする軸回りの回転方向(α,β,γ方向)の各
成分に項分けする。そして各成分ごとに、船舶類2によ
って防舷材1に加えられる応力(fx,fy,fz,f
α,fβ,fγ)を求める。次にこの応力(fx,fy,
fz,fα,fβ,fγ)に応じて、前記各ソリッド要
素ごとに発生する各成分ごとの変位を求め、それをつな
ぎ合わせて、防舷材1の全体としての、各成分ごとの変
位(x,y,z,α,β,γ)を演算する。 【0015】それとともに、上記応力(fx,fy,
fz,fα,fβ,fγ)に応じて各ソリッド要素ごと
に発生する各成分ごとの反力を求め、それをつなぎ合わ
せて、防舷材1の全体としての、各成分ごとの反力(F
x,Fy,Fz,Fα,Fβ,Fγ)を演算する。また防
舷材1の諸元データD3は、次に述べる岸壁3の諸元デ
ータD2の一つとしても求められる。その際に必要とさ
れる防舷材1の諸元データD3としては、上記の他に、
防舷材1の外形寸法や、前述した、プレス機を用いた一
方向への静的な圧縮による圧縮量−反力特性曲線などが
挙げられる。 【0016】岸壁3の諸元データD2としては、当該岸
壁3の形態、船舶類2の係留方向(右舷、左舷、直交
等)、係留距離(船体の重心位置から、船首船尾線と平
行な岸壁まで、あるいは船首船尾線と直行する岸壁まで
の距離等)、岸壁3による波の反射係数、係留装置の種
類〔カテナリー、ドルフィン、フェンダー(防舷
材)〕、諸元、数および配置等が挙げられる。さらに気
象データD4としては風向および風力、波のスペクトル
形状、入射方向、うねり成分の有無、平均周期、有義波
高等が挙げられる。 【0017】なおこれらデータの入力を簡略化するた
め、プログラムP1には、前述した船型に関するものと
同様に、あらかじめ指定された項目を順次、選択するこ
とで、コンピュータにあらかじめ記憶されたデータを読
み出して自動的に入力する簡易入力ウィザードなどを組
み込んでおいてもよい。特性解析方法の、より詳しい流
れにつき、図1に基づいて説明する。まずコンピュータ
の入力手段などを使用して、前記のように船舶類、防舷
材および岸壁の諸元データD1〜D3と、気象データD
4とを入力する(ステップSP1)。 【0018】次に、ステップSP2でタイマT1による
経時を開始し、入力された各データのうち船舶類2の諸
元データD1、および岸壁3の諸元データD2と、気象
データD4とをもとにプログラムP1を実行して、船舶
類2の、接舷時の動きを連続的にシミュレートする。そ
して、まず計時開始時点(T=0)での、船舶類2の位
置、向き、移動方向および移動速度を求めて、その結果
から、上記の時点で船舶類2によって防舷材1に加えら
れる圧縮の応力(fx,fy,fz,fα,fβ,fγ)
を演算する(ステップSP3)。 【0019】次に、上記演算結果をプログラムP2に取
り込んで、先に入力された防舷材1の諸元データD3を
もとにして、圧縮の応力(fx,fy,fz,fα,f
β,fγ)が加えられた際に発生する防舷材1の変位
(x,y,z,α,β,γ)と、その際の反力(Fx,
Fy,Fz,Fα,Fβ,Fγ)とを演算する(ステップ
SP4)。この間もプログラムP1による船舶類2の動
きのシミュレートと、タイマT1による計時は継続して
実行されており、上記計時開始時点から微小時間Δtが
経過した時点で(ステップSP5)、まず解析が終了し
たか否かを判断する(ステップSP6)。 【0020】次いで解析続行の場合には再びステップS
P3に戻って、防舷材1の変位(x,y,z,α,β,
γ)と反力(Fx,Fy,Fz,Fα,Fβ,Fγ)とを
加味した上で、上記微小時間Δtが経過した時点での、
船舶類2の位置、向き、移動方向および移動速度を求め
る。その結果から、上記の時点で船舶類2によって防舷
材1に加えられる新たな圧縮の応力(fx,fy,fz,
fα,fβ,fγ)を演算し、後は解析終了まで、ステ
ップSP3〜ステップSP6を繰り返し行う。 【0021】そしてステップSP6で解析終了と判断し
た際には結果をメモリ、ディスプレイ、プリンタ等に出
力して一連の解析作業を終了する。上記この発明の特性
解析方法によれば、動揺シミュレーションと三次元有限
要素法モデルの2つのプログラムを連携させることによ
り、実際に防舷材のモデルを製造することなく、コンピ
ュータを用いてきわめて簡単かつ短時間に、防舷材の圧
縮特性を解析することができる。 【0022】解析できる防舷材の圧縮特性としては、例
えば図5に示す圧縮量−反力特性曲線などがあげられ
る。図中の破線は、プレス機を用いて実際の防舷材を圧
縮して測定した圧縮量−反力特性曲線であり、また−○
−○−は、コンピュータ上でソリッド要素に分割した同
形状の防舷材を、同方向へ静的に圧縮した際の、圧縮量
−反力特性曲線である。図に見るように両曲線がほぼ完
全に一致していることから、三次元有限要素法モデルに
よる防舷材の特性解析が妥当なものであることわかる。 【0023】さらに同図中の−●−●−は、コンピュー
タ上でソリッド要素に分割した同形状の防舷材につい
て、この発明の特性解析方法にしたがって、船舶類およ
び岸壁の諸元データと気象データとをもとに、船舶の接
舷をシミュレートしながら求めた圧縮量−反力特性曲線
である。この結果より、シミュレートした条件下では、
静的な圧縮試験による測定結果よりも反力値が下回るこ
とがわかる。そしてこのことから、所定の反力値を得る
ためには防舷材の設計変更が必要となることがわかる。 【0024】またこの発明によれば、例えば図6に示す
ように船舶の接舷時におけるx方向(−■−■−)、お
よびz方向(−●−●−)の変位量と、圧縮量(−y方
向の変位量)との関係とを抽出してプロットすることに
より、上記圧縮時の防舷材に発生するせん断変位の、船
舶の動きに伴う変化を、3次元的に解析することもでき
る。また図示していないが、軸回りの回転方向(α,
β,γ方向)の回転量と、圧縮量(−y方向の変位量)
との関係とを抽出してプロットすることにより、上記圧
縮時の防舷材に発生する回転の、船舶の動きに伴う変化
を、3次元的に解析することもできる。 【0025】そして、これらの解析結果を参考データと
して利用して防舷材の設計変更を行い、新たに設計しな
おした防舷材について再びデータを入力するだけで、あ
とは上記の手順で再度、圧縮特性を解析することによ
り、行った設計変更が防舷材の圧縮特性に及ぼす影響を
検討することなどができる。したがってこの発明によれ
ば、理想的な圧縮特性を有する防舷材の開発を、多大な
労力などを要することなく、これまでよりも容易に行え
るようになるという特有の作用効果を奏する。 【0026】なおこの発明の防舷材の特性解析方法の構
成は、以上で説明した例には限定されず、この発明の要
旨を変更しない範囲で種々の変更を施すことができる。 【0027】 【実施例】以下にこの発明を、実施例に基づいて説明す
るが、この発明の構成はこれに限定されるものではな
い。 〈三次元有限要素法モデルによる防舷材の特性解析の妥
当性解析〉三次元有限要素法モデルのプログラムP2と
して、リバーモアソフトウエアーテクノロジー社(Live
rmore Software Technology Corporation)製の汎用非
線形陽解析ソフト"LS−DYNA"を使用した。 【0028】そして図3(a)〜(c)および図4に示す立体
形状を有する防舷材1〔住友ゴム工業(株)製の1000
H−LMD型防舷材、高さ1000mm〕について、上
記プログラムを用いて、コンピュータ上で、まずこれら
の図に示すように防舷材1を多数の微小な立体(ソリッ
ド要素)に分割した。次いで上記プログラムを用いて、
コンピュータ上で、ソリッド要素に分割した防舷材1
を、図中y方向と逆の圧縮方向へ静的に圧縮した際の、
圧縮量−反力特性曲線を求めたところ、図5に−○−○
−で示す結果が得られた。 【0029】この結果を、プレス機を用いて実際の防舷
材1を同方向に圧縮して測定した圧縮量−反力特性曲線
(図5中に破線で示す)と比較したところほぼ完全に一
致していた。そしてこのことから、三次元有限要素法モ
デルによる防舷材の特性解析が妥当なものであることが
確認された。 実施例1 上記と同じ図3(a)〜(c)および図4に示す立体形状を有
する防舷材1〔住友ゴム工業(株)製の1000H−LM
D型防舷材、高さ1000mm〕について、その圧縮特
性を解析すべく、下記の手順で作業を行った。 【0030】〈プログラムの構成〉三次元有限要素法モ
デルのプログラムP2としては、前記LS−DYNAを
用いた。このプログラムに、以下に述べる動揺シミュレ
ーションのプログラムP1との間で演算結果をやりとり
する入出力部を追加する改良を施した。また動揺シミュ
レーションのプログラムP1としては、(株)三井造船昭
島研究所製の係船状態解析システム"MOSQ2"を用い
た。このプログラムに、上記LS−DYNAとの間で演
算結果をやりとりする入出力部を追加する改良を施し
た。 【0031】〈データ入力〉上記両プログラムP1、P
2を立ち上げて、それぞれ下記の各諸元データ、および
気象データを、プログラムの入力ウィザードに従って入
力した。 ・船舶類2の諸元データD1 ・岸壁3の諸元データD2 ・防舷材1の諸元データD3 ・気象データD4 〈防舷材の特性解析〉上記の入力が完了した時点で、微
小時間Δt=0.1秒の条件で、前記両プログラムP
1、P2による演算を開始させて、防舷材1の圧縮特性
を解析した。 【0032】その結果、図5に−●−●−で示す圧縮量
−反力特性曲線が得られた。図の結果より防舷材1は、
シミュレートした条件下では、静的な圧縮試験の場合よ
りも反力値が小さくなることが判明した。そしてこの結
果から、この条件下では、所定の反力値を得るために防
舷材1の設計変更が必要となることが確認された。また
上記の解析結果より、防舷材1のx方向およびz方向の
変位量と、防舷材1の圧縮量(−y方向の変位量)との
関係を抽出してプロットしたところ、図6に示す結果が
得られた。図6において−■−■−はx方向の変位量
と、防舷材1の圧縮量(−y方向の変位量)との関係を
示す曲線、−●−●−はz方向の変位量と、防舷材1の
圧縮量(−y方向の変位量)との関係を示す曲線であ
る。 【0033】上記の結果は、圧縮時の防舷材に発生する
せん断変位の、船舶の動きに伴う変化を、3次元的に解
析したものであって、防舷材1の設計変更を行う際に、
参考データとして利用することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の特性解析方法の、手順の流れの一例
を示すフローチャートである。 【図2】コンピュータ内でのデータの流れの一例を示す
ブロック図である。 【図3】この発明の特性解析方法を実施する際に想定さ
れる防舷材、船舶類および岸壁の位置関係の一例を示す
図であって、同図(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側
面図である。 【図4】上記防舷材と船舶類の位置関係を示す斜視図で
ある。 【図5】この発明の実施例において、防舷材の静的な圧
縮による圧縮特性と、船舶の動きをシミュレートしなが
ら圧縮した際の圧縮特性とを測定した結果を示すグラフ
である。 【図6】上記測定結果から、防舷材のx方向およびz方
向の変位量と、圧縮量(−y方向の変位量)との関係を
抽出してプロットした結果を示すグラフである。
を示すフローチャートである。 【図2】コンピュータ内でのデータの流れの一例を示す
ブロック図である。 【図3】この発明の特性解析方法を実施する際に想定さ
れる防舷材、船舶類および岸壁の位置関係の一例を示す
図であって、同図(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側
面図である。 【図4】上記防舷材と船舶類の位置関係を示す斜視図で
ある。 【図5】この発明の実施例において、防舷材の静的な圧
縮による圧縮特性と、船舶の動きをシミュレートしなが
ら圧縮した際の圧縮特性とを測定した結果を示すグラフ
である。 【図6】上記測定結果から、防舷材のx方向およびz方
向の変位量と、圧縮量(−y方向の変位量)との関係を
抽出してプロットした結果を示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】船舶類の、岸壁への接舷時に緩衝材として
機能する防舷材の圧縮特性を、コンピュータによって解
析する方法であって、 入力された船舶類、および岸壁の諸元データと、気象デ
ータとをもとに、船舶類の、接舷時の動きを連続的にシ
ミュレートする動揺シミュレーションと、 入力された防舷材の諸元データをもとに、船舶類の接舷
によって圧縮され変位された防舷材に発生する反力を演
算する三次元有限要素法モデルと、を用い、 (1) 動揺シミュレーションによって、所定時点での船
舶類の位置、向き、移動方向および移動速度を求めて、
その結果から、上記の時点で船舶類によって防舷材に加
えられる圧縮の応力を演算し、 (2) 三次元有限要素法モデルによって、上記の応力が
加えられた状態の防舷材に発生する変位と反力とを演算
し、 (3) 上記変位と反力の演算結果を先の動揺シミュレー
ションにフィードバックして、所定時点から微小時間後
の、防舷材の変位および反力の影響を受けた状態での船
舶類の位置、向き、移動方向および移動速度を演算す
る、工程を繰り返し行ないながら、防舷材の圧縮特性を
解析することを特徴とする防舷材の特性解析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001344848A JP2003149110A (ja) | 2001-11-09 | 2001-11-09 | 防舷材の特性解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001344848A JP2003149110A (ja) | 2001-11-09 | 2001-11-09 | 防舷材の特性解析方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003149110A true JP2003149110A (ja) | 2003-05-21 |
Family
ID=19158303
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001344848A Pending JP2003149110A (ja) | 2001-11-09 | 2001-11-09 | 防舷材の特性解析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003149110A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004325213A (ja) * | 2003-04-24 | 2004-11-18 | Nippon Steel Corp | プレス成形金属部品を含む構造体の特性解析方法、特性解析プログラム及びそのプログラムを記録した記憶媒体 |
JP2007296931A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 防舷材の選定方法およびプログラム |
CN102663189A (zh) * | 2012-04-07 | 2012-09-12 | 中交第四航务工程勘察设计院有限公司 | 一种高桩码头荷载的处理方法 |
CN103543076A (zh) * | 2012-07-13 | 2014-01-29 | 广州海宁橡胶有限公司 | 一种橡胶护舷剪切压缩性能的测试方法 |
-
2001
- 2001-11-09 JP JP2001344848A patent/JP2003149110A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004325213A (ja) * | 2003-04-24 | 2004-11-18 | Nippon Steel Corp | プレス成形金属部品を含む構造体の特性解析方法、特性解析プログラム及びそのプログラムを記録した記憶媒体 |
JP2007296931A (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-15 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 防舷材の選定方法およびプログラム |
JP4508152B2 (ja) * | 2006-04-28 | 2010-07-21 | 横浜ゴム株式会社 | 防舷材の選定方法およびプログラム |
CN102663189A (zh) * | 2012-04-07 | 2012-09-12 | 中交第四航务工程勘察设计院有限公司 | 一种高桩码头荷载的处理方法 |
CN102663189B (zh) * | 2012-04-07 | 2014-05-07 | 中交第四航务工程勘察设计院有限公司 | 一种高桩码头荷载的处理方法 |
CN103543076A (zh) * | 2012-07-13 | 2014-01-29 | 广州海宁橡胶有限公司 | 一种橡胶护舷剪切压缩性能的测试方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Faltinsen | Hydroelastic slamming | |
Thomas et al. | Slam events of high-speed catamarans in irregular waves | |
Zhu et al. | Experimental investigation of hull girder vibrations of a flexible backbone model in bending and torsion | |
Brosset et al. | Overview of Sloshel project | |
Karlsson et al. | Experimental and numerical investigation of bulb impact with a ship side-shell structure | |
Drummen et al. | Experimental and numerical study of containership responses in severe head seas | |
Tuitman et al. | Fully coupled seakeeping, slamming, and whipping calculations | |
Lavroff et al. | Slamming kinematics, impulse and energy transfer for wave-piercing catamarans | |
JP2003149110A (ja) | 防舷材の特性解析方法 | |
Zhu et al. | Experimental and numerical study of wave-induced load effects of open ships in oblique seas | |
Adegeest et al. | Evaluation of methods for estimation of extreme nonlinear ship responses based on numerical simulations and model tests | |
Grammatikopoulos | A review of physical flexible ship models used for hydroelastic experiments | |
JP2002048689A (ja) | 防舷材の特性解析方法 | |
Rosén | Impact pressure distribution reconstruction from discrete point measurements | |
Korkut et al. | An experimental study of global loads acting on an intact and damaged Ro–Ro ship model | |
Auburtin et al. | An Experimental and Numerical Assessment of Moss-Type LNG Carrier Seakeeping Moored to PETRONAS FLNG in Partially Filled Condition | |
Schellin et al. | Prediction of loads for ship structural design | |
Dessi et al. | Experimental investigation versus numerical simulation of the dynamic response of a moored floating structure to waves | |
Matsubara et al. | Influence of centrebow on motions and loads of high-speed catamarans | |
Nugroho et al. | An experimental work on wireless structural health monitoring system applying on a submarine model scale | |
Yamada | Approach to simulate dynamic elasto-plastic whipping response of global hull girder of a large container ship due to slamming load | |
Prini et al. | Model scale prediction of seakeeping and global bending moment on a high speed craft | |
Almallah et al. | Real time structural loads monitoring for a large high-speed wave-piercing catamaran using numerical simulation and linear regression | |
Bigot et al. | Global hydroelastic ship response comparison of numerical model and WILS model tests | |
Garme et al. | In Detail Investigation of planing pressure |