JP2003144065A - 防黴性ジャム類及び食品用防黴剤 - Google Patents

防黴性ジャム類及び食品用防黴剤

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JP2003144065A
JP2003144065A JP2001345736A JP2001345736A JP2003144065A JP 2003144065 A JP2003144065 A JP 2003144065A JP 2001345736 A JP2001345736 A JP 2001345736A JP 2001345736 A JP2001345736 A JP 2001345736A JP 2003144065 A JP2003144065 A JP 2003144065A
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jams
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Yutaka Kikoku
豊 枳穀
Miki Kiuchi
幹 木内
Rie Katsumata
理恵 勝股
Houtashi Muramatsu
芳多子 村松
Yoshimi Kumagai
芳美 熊谷
Shiho Takeuchi
枝穂 竹内
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Aohata Corp
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Aohata Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成保存量を使用することなく、低糖度であ
りながら室温でも長期間保存が可能な防黴性ジャム類を
提供する。 【解決手段】 防黴性ジャム類は、シンナミックアルデ
ヒドを防黴剤として含有する。シンナミックアルデヒド
の含有量は、少なくとも20ppmである。防黴性ジャ
ム類の糖度は60%以下が好ましい。また、シンナミッ
クアルデヒドを有効成分とする食品用防黴剤は、ジャム
類だけでなく肉加工品、魚加工品、種実加工品などの各
種食品の防黴に適用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖度60%以下の
低糖度である場合であっても、室温(約25℃)で保管
した時に有害物質を生成する黴(カビ)が生えない防黴
性を有するジャム類に関する。
【0002】
【従来の技術】糖度が65%以上のジャム類は、主に加
熱殺菌を施した瓶詰めの形態にて市販されており、開封
後でも一般に室温で保存可能な食品として知られている
が、近年では、健康面を考慮して低カロリー、即ち、糠
度が60%以下、更には50%程度の低糖度のジャム類
が市販されるようになっている。
【0003】しかし、このような低糖度のジャム類は水
分活性が高いため、一度開封して空気中の黴胞子が瓶中
に入り込んだ場合、室温(約25℃)で保存すると1〜
2週間程度で黴が生えてしまうという問題があった。庫
内温度が約10℃以下の冷蔵庫中で保存したとしても、
3〜4週間程度で黴が生えてしまうという問題があっ
た。特に、ジャム類に生える黴として知られているアス
ペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)は、人体
に非常に有害で、食中毒の原因になるアフラトキシン等
の黴毒を生成するため、特にこの黴の発生を防止するこ
とが求められている。
【0004】そこで、低濃度のジャム類に防黴性を付与
するために、従来は合成食品保存料、例えば、ソルビン
酸ナトリウム等をジャム類に添加することが試みられて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、合成保
存料を大量摂取した場合、人体に対し悪影響がでること
が懸念されており、このため、ジャム類に合成保存量を
配合したことだけで、ジャム類の商品価値が大きく減じ
てしまうという問題があった。従って、低糖度のジャム
類には合成保存量の添加を極力減ずることが求められて
いるため、依然として低糖度のジャム類の保存性は改善
されていないのが現状である。
【0006】本発明は、合成保存量を使用しなくても、
低糖度としたときに室温で長期間保存が可能な防黴性ジ
ャム類を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シンナミ
ックアルデヒドを防黴剤としてジャム類に添加すると、
ジャム類の糖度が60%以下の低糖度であっても室温で
長期保存可能となることを見出し、本発明を完成させ
た。
【0008】即ち、本発明は、シンナミックアルデヒド
を防黴剤として含有することを特徴とする防黴性ジャム
類を提供する。
【0009】また、本発明は、シンナミックアルデヒド
を有効成分として含有する食品用防黴剤を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、シンナミックアルデヒ
ドを防黴剤として含有する防黴性ジャム類である。ここ
で、シンナミックアルデヒド(Cinnamic aldehyde: C
O)は、天然の香味料の一種であるシナモン粉末
に1重量%程度含まれている天然由来の化学物質であ
る。工業的には、桂皮油やシナモン油等の天然精油から
公知の単離手法(精留等)により得ることができる。ま
た、水酸化アルカリの存在下でベンズアルデヒドとアセ
トアルデヒドとのアルドール縮合・脱水反応生成物とし
て得ることもできる。
【0011】本発明の防黴性ジャム類において、シンナ
ミックアルデヒドを配合するという技術は、以下に説明
する本発明者らの得た知見に基づいている。
【0012】即ち、本発明者らは、シナモン粉末自体を
低糖度(糖度50%)のイチゴジャム等のジャム類に、
ジャム類の風味を損なわない範囲で添加(ジャム類10
0gにシナモン粉末500mg)した場合でも、防黴性
の向上が観察されないにも関わらず、シナモン粉末に含
まれている微量成分であるシンナミックアルデヒド単体
がシナモン粉末の性状からは予期できないような良好な
防黴性を示すという知見を得、この知見に基づき本発明
を完成させたのである。
【0013】従って、ジャム類にシナミックアルデヒド
を防黴剤として添加することにより、その糖度が60%
以下、例えば50%程度の低糖度であっても、黴毒を生
成するアスペルギルス・フラバス等の黴の育成を阻害で
き、ジャム類を室温で長期保存することができる。
【0014】なお、本発明における“防黴性”の意味
は、室温(約25℃)において、少なくとも約30日
間、アスペルギルス・フラバスの生育が阻害され、黴毒
が生成されないという効果を奏することである。従っ
て、いかなる条件においてもいかなる黴も生えないとい
う意味ではない。
【0015】本発明の防黴性ジャム類中のシンナミック
アルデヒドの配合量は、少なすぎると十分な防黴効果が
得られないので、好ましくは少なくとも20ppm、よ
り好ましくは50ppm以上の濃度で配合する。なお、
その配合量が多すぎる場合には、ジャム類の風味が損な
われるので、ジャム類の種類にもよるが、100ppm
を超えないようにすることが好ましい。
【0016】本発明におけるジャム類とは、日本農林規
格(JAS)におけるジャム類の定義に拘束されるもの
ではなく、果実、野菜または花弁等を糖類とともにゼリ
ー化するまで加熱し、必要に応じて、ゲル化剤、酸味
料、保存料、香料等を加えたものである。一般的には、
ジャム、マーマレード、ゼリーに分類される。ここで、
ジャムとは、ジャム類のうちマーマレードおよびゼリー
以外の総称であって、大きな果実片を含有するものは特
にプレザーブスタイルと呼ばれている。マーマレードと
は、ジャム類のうち柑橘類の果実を原料としたもので、
柑橘類の果皮が認められるものであり、ゼリーとは、ジ
ャム類のうち果実等の搾汁を原料としたものである。
【0017】本発明の防黴性ジャム類の糖度は、特に限
定されるものではないが、60%を超える高糖度の場合
にはそもそも水分活性が低いために黴が非常に生育しに
くい環境であるので、発明の効果(防黴性)を効果的に
奏するためには、一般に中糖度あるいは低糖度と称され
る糖度60%以下であることが好ましい。なお、糖度の
下限については、ジャム類の好ましい色調を長期間保持
するために40%以上であることが好ましい。ここで、
“糖度”は、JIS K7142に規定されている方法
で測定された屈折率を、国際砂糖分析統一委員会(IC
UMSA)の「規格・基準SPS−3、屈折率測定と屈
折率表」により換算した数値である。
【0018】本発明の防黴性ジャム類は、果実、野菜等
を、糖類、ゲル化剤、酸味料等と共に煮熟処理するとい
った常法によればよい。但し、シンナミックアルデヒド
は揮発性を有するため、ジャム類への添加は煮熟処理後
に行うことが好ましい。
【0019】以上説明したように、シンナミックアルデ
ヒドは防黴効果を有する。従って、シンナミックアルデ
ヒドは、それ自体を有効成分として含有する食品用防黴
剤として有用である。対象となる食品としては、ジャム
類をはじめとして、ハムやソーセージなどの肉加工品、
蒲鉾、はんぺん、ひものなどの魚加工品、バター、チー
ズ、練乳等の乳製品、ピーナッツバター、練りゴマ等の
種実類加工品などを挙げることができる。中でも、糖度
60%以下のジャム類が好ましく挙げられる。
【0020】シンナミックアルデヒドを有効成分として
含有する食品用防黴剤の食品への添加量としては、食品
の種類などにもよるが、少なすぎると十分な防黴効果が
得られないので、好ましくは少なくとも20ppm、よ
り好ましくは50ppm以上の濃度で添加する。なお、
その添加量が多すぎる場合には、食品の風味が損なわれ
るので、100ppmを超えないようにすることが好ま
しい。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。
【0022】実施例1 生のイチゴ145重量部、砂糖148重量部、5質量%
濃度のペクチン水溶液42重量部、及びクエン酸1重量
部を鍋に投入し、約30分間煮熟し、糖度50%のイチ
ゴジャムを製造した。
【0023】次いで、このイチゴジャムに、シナモン油
から単離した天然のシンナミックアルデヒドを50pp
mの濃度になるように添加し、その後十分に撹拌し、防
黴性イチゴジャムを得た。
【0024】得られた防黴性イチゴジャムを、滅菌済み
シャーレに20g分取し、黴胞子(アスペルギルス・フ
ラバスIAM2872)を接種した後、蓋を被せ、約2
5℃の室内にて保管したが、30日経過してもコロニー
の発生は見られなかった。
【0025】また、保管後30日経過した防黴性イチゴ
ジャムを有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮し、得られた
濃縮物を薄層クロマトグラフィーで展開し、スポットに
波長365nmの紫外線を照射し、得られたRf値から
アフラトキシン等の黴毒の有無を判断した。その結果、
黴毒(アフラトキシン)をはじめとする黴毒は検出され
なかった。
【0026】実施例2 砂糖の添加量を糖度40%、50%(実施例1と同
じ)、60%、70%とすること以外は、実施例1と同
様にイチゴジャムを製造した。
【0027】得られたイチゴジャムに、シンナミックア
ルデヒドを各々20ppm、50ppm、100ppm
の濃度になるように添加し、12種類のイチゴジャムサ
ンプルを調製した。また、シンナミックアルデヒドを添
加しない4種類のサンプルを用意した。
【0028】これら16種類のイチゴジャムサンプル
を、各々滅菌済みシャーレに20g分取し、黴胞子(ア
スペルギルス・フラバスIMA2872)を接種し、そ
の後で蓋を被せて、約25℃の室内にて30日間保管
し、コロニーの発生状況を観察した。得られた結果(コ
ロニー発生→“+”、コロニー未発生→“−”) を表
1に示す。
【0029】
【表1】 シンナミックアルデヒド添加量(ppm) 糖度(%) 0 20 50 100 40 + + + − 50 + + − − 60 + − − − 70 − − − −
【0030】また、表1において、コロニーの発生が見
られなかった10種類のサンプルについて、黴毒(アフ
ラトキシン)が生成されているか否かを、薄層クロマト
グラフィーにて確認したところ、全てのサンプルにおい
て黴毒は検出されなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明の防黴性ジャム類は、低糖度であ
るにもかかわらず、室温で長期間保管しても有害な黴毒
を生成するような黴が生育しないため、食中毒等の問題
を生じ難いものである。また、本発明の防黴性ジャム類
に添加するシンナミックアルデヒドは、桂皮中に存在す
る天然物質なので、合成保存料を忌避する消費者のニー
ズに合致するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝股 理恵 東京都千代田区一ツ橋2−2−1 共立女 子大学家政学部内 (72)発明者 村松 芳多子 千葉県千葉市美浜区若葉2−10−1 千葉 県立衛生短期大学栄養学科内 (72)発明者 熊谷 芳美 東京都千代田区一ツ橋2−2−1 共立女 子大学家政学部内 (72)発明者 竹内 枝穂 東京都千代田区一ツ橋2−2−1 共立女 子短期大学生活科学科内 Fターム(参考) 4B021 LW02 MC01 MK05 MK19 MP01 4B041 LC07 LD04 LK05 LK21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンナミックアルデヒドを防黴剤として
    含有することを特徴とする防黴性ジャム類。
  2. 【請求項2】 シンナミックアルデヒドの含有量が少な
    くとも20ppmである請求項1記載の防黴性ジャム
    類。
  3. 【請求項3】 糖度が60%以下である請求項1又は2
    記載の防黴性ジャム類。
  4. 【請求項4】 シンナミックアルデヒドを有効成分とし
    て含有する食品用防黴剤。
  5. 【請求項5】 食品が糖度60%以下のジャム類である
    請求項4記載の食品用防黴剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1848277A4 (en) * 2005-01-26 2009-01-21 Gavish Galilee Bio Appl Ltd COMPOSITIONS AND METHODS FOR PROTECTING FRUITS HARVESTED AGAINST ROT
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