JP2003140154A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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JP2003140154A
JP2003140154A JP2002262212A JP2002262212A JP2003140154A JP 2003140154 A JP2003140154 A JP 2003140154A JP 2002262212 A JP2002262212 A JP 2002262212A JP 2002262212 A JP2002262212 A JP 2002262212A JP 2003140154 A JP2003140154 A JP 2003140154A
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真澄 久保
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陽三 鳴瀧
Shiyougo Fujioka
正悟 藤岡
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 反射型と透過型とを兼ね備えた液晶表示装置
を提供する。 【解決手段】 反射機能を有する領域と透過機能を有す
る領域とが形成された基板1と、対向電極4が形成され
た基板2を有し、基板1と基板2の間に液晶層5が挟持
された液晶表示装置であって、基板2の液晶層5とは反
対の面に設けられた第1の偏光手段6と、基板1の液晶
層5とは反対の面に設けられた第2の偏光手段9と、第
1の偏光手段6と液晶層5との間に設けられた、第1の
位相差板7と、第2の偏光手段9と液晶層5との間に設
けられた、第2の位相差板10と、第1の偏光手段6と
液晶層5との間に設けられ、第1の位相差板7の屈折率
異方性の波長依存性を補償する第3の位相差板11とを
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワードプロセッサ
やパーソナルコンピュータなどのOA機器や、電子手帳
等の携帯情報機器、あるいは、液晶モニターを備えたカ
メラ一体型VTR等に用いられる反射型と透過型とを兼
ね備えた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイは、CRT(ブラウン
管)やEL(エレクトロルミネッセンス)とは異なり自
らは発光しないため、バックライトを液晶表示素子の背
面に設置して照明する透過型液晶表示装置が用いられて
いる。
【0003】しかしながら、バックライトは通常液晶デ
ィスプレイの全消費電力のうち50%以上を消費するた
め、戸外や常時携帯して使用する機会が多い携帯情報機
器ではバックライトの代わりに反射板を設置し、周囲光
のみで表示を行う反射型液晶表示装置も実現されてい
る。
【0004】反射型液晶表示装置で用いられる表示モー
ドには、現在透過型で広く用いられているTN(ツイス
テッドネマティック)モード、STN(スーパーツイス
テッドネマティック)モードといった偏光板を利用する
タイプの他、偏光板を用いないために明るい表示が実現
できる相転移型ゲストホストモードも近年盛んに開発が
行われており、例えば特開平4−75022号公報に開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、相転移
型ゲストホストモードは、液晶分子と色素を分散させた
液晶層において色素の光吸収を用いて表示を行なうため
コントラストが十分とれず、TN(ツイステッドネマテ
ィック)モード及びSTN(スーパーツイステッドネマ
ティック)モードといった偏光板を利用するタイプの液
晶表示装置に比べて表示品位は著しく悪くなる。
【0006】また、平行配向若しくはツイスト配向の液
晶表示装置の場合には、液晶層の中心付近の液晶分子は
電圧印加時に基板面に対して垂直方向に傾くが、配向膜
表面付近の液晶分子は電圧を印加しても基板に対して垂
直にならないため液晶層の複屈折率は0には程遠く、電
圧印加時に黒表示を行う表示モードの場合、液晶層の複
屈折のため十分な黒が表示できず、十分なコントラスト
を得ることができない。
【0007】TNモード及びSTNモードの液晶表示装
置も現在では輝度やコントラストの点で十分な表示品位
を有するとは言い難く、更なる高輝度化及びコントラス
トの向上等の表示品位の向上が求められている。
【0008】また、反射型液晶表示装置は、周囲の光が
暗い場合に表示に用いる反射光が低下し視認性が極端に
低下するという欠点を有し、一方透過型液晶表示装置は
これとは逆に周囲光が非常に明るい晴天下等での視認性
が低下する問題があった。
【0009】従って、透過表示と反射表示を組み合わせ
た表示装置が開発されているが、黒表示の場合に光漏れ
が発生し十分な黒レベルが得られない問題点がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、反射機能を有
する領域と透過機能を有する領域とが形成された一方基
板と、対向電極が形成された他方基板を有し、前記一方
基板と前記他方基板の間に液晶層が挟持された液晶表示
装置であって、前記他方基板の前記液晶層とは反対の面
に設けられた第1の偏光手段と、前記一方基板の前記液
晶層とは反対の面に設けられた第2の偏光手段と、前記
第1の偏光手段と前記液晶層との間に設けられ、前記第
1の偏光手段側から入射する直線偏光を円偏光または楕
円偏光として出射する第1の位相差板と、前記第2の偏
光手段と前記液晶層との間に設けられ、前記第2の偏光
手段側から入射する直線偏光を円偏光または楕円偏光と
して出射する第2の位相差板と、前記第1の偏光手段と
前記液晶層との間に設けられ、前記第1の位相差板の屈
折率異方性の波長依存性を補償する第3の位相差板とを
有する。
【0011】また、前記第2の偏光手段と前記液晶層と
の間に設けられ、前記第2の位相差板の屈折率異方性の
波長依存性を補償する第4の位相差板を有する。
【0012】また、前記第1の偏光手段の透過軸と前記
第2の偏光手段の透過軸とが直交している。
【0013】以下に本発明による作用について説明す
る。
【0014】本発明によれば、第1の位相差板により、
直線偏光を円偏光に変換する際に生じる屈折率異方性の
波長依存性をある程度相殺することができる。これによ
って、反射モードにおいて、広波長帯で偏光状態のばら
つきが小さくなった状態で円偏光にすることができる。
このため、暗表示の反射モードにおける色づきが改善で
きる。
【0015】また、偏光板を通過した直線偏光を、第3
の位相差板によりその方位を回転させてから、第1の位
相差板により円偏光とすれば、第1の位相差板の屈折率
異方性の波長依存性を最適に補償することができる。こ
れによって、反射モードにおいて、広波長帯で偏光状態
のばらつきがさらに小さくなり、円偏光にすることがで
きる。このため、暗表示の反射モードにおける色づきが
改善できる。
【0016】特に、液晶層が垂直配向モードであるとき
や、暗状態において液晶層に残存するリターデーション
が無視できる場合は、第1の位相差板をλ/4板にする
ことができる。
【0017】暗状態において、液晶層に、反射モードで
はγのリターデーションが残存している場合、第1の位
相差板のリターデーションを(λ/4−γ)にして、円
偏光からずらせて液晶層に入射させる。液晶層を通過し
て反射板に達したとき、広波長帯で偏光状態のばらつき
がなくなり円偏光となっているので、反射モードにおい
て良好な黒表示が実現される。
【0018】また、第4の位相差板により、直線偏光を
円偏光に変換する際に生じる屈折率異方性の波長依存性
をある程度相殺することができる。これによって、透過
モードにおいて、広波長帯で偏光状態のばらつきがなく
なった円偏光にすることができる。このため、暗表示の
透過モードにおける色づきが改善でき、反射モードと透
過モードとを両用した場合でも、良好な黒表示が実現さ
れる。
【0019】また、偏光板を通過した直線偏光を、第4
の位相差板によりその方位を回転させてから、第2の位
相差板により円偏光とすれば、第1の位相差板の屈折率
異方性の波長依存性を最適に補償することができる。こ
れによって、透過モードにおいて、広波長帯で偏光状態
のばらつきがさらに小さくなり、円偏光にすることがで
きる。
【0020】特に、液晶層が垂直配向モードであるとき
や、暗状態で液晶層に残存するリターデーションが無視
できる場合は、第2の位相差板をλ/4板にすることが
できる。
【0021】暗状態において、液晶層に、反射モードで
はγ、透過モードではΔのリターデーションが残存して
いる場合、それ以降の層のリターデーションを{λ/4
−(Δ−γ)}にして、円偏光からずらせて液晶層に入
射させる。液晶層を通過したとき、反射モードの出射光
と広波長帯で同じ偏光状態になっているので、第3の位
相差板を通過したとき、第1の偏光手段の透過軸と直交
する直線偏光となり、透過モードにおける色付きが改善
でき、透過モードと反射モードの両用した場合でも良好
な黒表示が実現される。
【0022】また、位相差板の遅相軸を直交させること
で、位相差板の屈折率異方性の波長依存性を、他方の位
相差板の屈折率異方性の波長依存性で相殺することがで
き、暗表示の色づきを改善できる。
【0023】また、液晶層に負の誘電率異方性を有する
垂直配向液晶材料を用いることで、液晶層のリターデシ
ョンがほぼ0である状態が実現されるので、暗状態がよ
り暗くなるので、コントラストが高くなる。
【0024】例えば、液晶層に平行配向液晶を用いる
と、電圧を印加して液晶分子の長軸を電極と垂直方向に
向けることで液晶層のリターデションを0にしようとし
ても、残留リターデションが発生するため液晶層のリタ
ーデションは0にはならない。
【0025】また、ノーマリブラック(以下NBとい
う)ではセルギャップ変化によるコントラスト比の変化
はほとんど発生せず、生産性の点でセルギャップ制御に
対するある程度の余裕がとれる。
【0026】液晶層に電圧無印加時に白表示を、電圧印
加時に黒表示を行なうノーマリホワイト(以下NWとい
う)ではセルギャップ変化に対して黒になる液晶層への
印加電圧が変化するのに対して、液晶層に電圧無印加時
に黒表示を、電圧印加時に白表示を行なうNBではセル
ギャップ変化に対して白になる液晶層への印加電圧が変
化する。そのため、NWではセルギャップ変化によりコ
ンラスト比が著しく変化するため、高精度のセルギャッ
プ制御が必要となる。また、NWでは輝点となっていた
点欠陥が、NBでは黒点となるため、製造上の良品率向
上が見込まれ、輝点フリーの高品位表示パネルが実現で
きる。
【0027】これらのことからも、NWに比べてNBの
方があらゆる環境下で使用可能な液晶表示装置の表示モ
ードとして優れている。
【0028】
【発明の実施の形態】(実施形態1)実施形態1の液晶
表示装置について図1を用いて説明する。
【0029】基板1にAl、Ta等の反射率の高い材料
で形成された反射電極3とITO等の透過率の高い材料
で形成された透明電極8とが設けられ、基板2に対向電
極4が設けられ、反射電極3及び透明電極8と対向電極
4との間に負の誘電異方性を示す液晶材料からなる液晶
層5が挟持されている。
【0030】反射電極3、透明電極8及び対向電極4の
液晶層5と接する面にはそれぞれ垂直配向性の配向膜
(図示せず)が形成されており、配向膜の塗布後、少な
くとも一方の配向膜にラビング等の配向処理を行なって
いる。これは、ラビングを用いなくても、光配向や電極
形状等で配向を規制しても良い。
【0031】液晶層5の液晶分子は、垂直配向性の配向
膜に対するラビング等の配向処理により、基板面の垂直
方向に対して、概ね0度または0.1度から5度程度の
ティルト角を持つ。
【0032】ここで、反射電極3は液晶層に電圧を印加
する電極として用いられるが、反射電極を電極として使
わずに反射板として用いて、透明電極8を反射板の上ま
で延ばして反射領域での液晶層5に電圧を印加する電極
としても良い。
【0033】液晶層5の液晶材料として、実施形態1と
同じNe=1.5546、No=1.4773の屈折率
異方性を有する液晶材料を用いた。
【0034】基板2の対向電極4が形成された側の反対
面にλ/4板7が配置され、さらに基板1の反射電極3
及び透明電極8が形成された側の反対面にλ/4板10
が配置され、λ/4板10の遅相軸はλ/4板7の遅相
軸と直交するように設定されている。
【0035】λ/4板7の基板2とは反対側の面にλ/
2板11が、λ/4板10の基板1とは反対側の面にλ
/2板12がそれぞれ設けられており、λ/2板11の
遅相軸はλ/4板7の遅相軸に対して60度、λ/2板
12の遅相軸はλ/4板10の遅相軸に対して60度傾
むくように、またλ/2板12の遅相軸はλ/2板11
の遅相軸と直交するように設定されている。
【0036】λ/2板11の基板2とは反対側の面に偏
光板6が、λ/2板12の基板1とは反対側の面に偏光
板9がそれぞれ設けられており、偏光板6の透過軸はλ
/4板7の遅相軸に対してλ/2板11の遅相軸を挟む
方向に75度、λ/2板11の遅相軸に対して15度、
偏光板9の透過軸はλ/4板10の遅相軸に対してλ/
2板12の遅相軸を挟む方向に75度、λ/2板12の
遅相軸に対して15度傾むくように、また偏光板6の透
過軸は偏光板9の透過軸に対して直交するように設定さ
れている。
【0037】図2(a)は本発明の実施形態1のアクテ
ィブマトリクス基板の平面概略図を示し、図2(b)は
図2(a)のA−A断面図を示す。
【0038】アクティブマトリクス基板は、ゲート配線
21、データ配線22、駆動素子23、ドレイン電極2
4、補助容量電極25、ゲート絶縁膜26、絶縁性基板
27、コンタクトホール28、層間絶縁膜29、反射用
絵素電極30と透過用絵素電極31を備えている。
【0039】補助容量電極25は、ドレイン電極24と
電気的に接続されており、ゲート絶縁膜26を介してゲ
ート配線21と重畳し補助容量を形成している。
【0040】コンタクトホール28は、透過用絵素電極
31と補助容量電極25を接続するために層間絶縁膜2
9に設けられている。
【0041】このアクティブマトリクス基板は一つの絵
素の中に反射用絵素電極30と透過用絵素電極31を備
えており、一つの絵素の中に外部からの光を反射する反
射用絵素電極30部分とバックライトの光を透過する透
過用絵素電極31部分を形成している。
【0042】ここで、図2(b)では反射用絵素電極3
0の表面形状を平面として図示しているが、反射特性を
向上するために表面形状を凹凸にしても良い。また、絵
素電極を反射用絵素電極30と透過用絵素電極31に分
割しているが、分割せずに半透過電極を用いても良い。
【0043】図3、図4を用いて実施形態1の液晶表示
装置における反射モード及び透過モードの光の透過状態
を説明する。
【0044】図3(a)は反射モードの液晶層に電圧が
印加されていない暗表示の場合を示し、図3(b)は反
射モードの液晶層に電圧が印加された白表示の場合を示
している。また、図4(a)は透過モードの液晶層に電
圧が印加されていない暗表示の場合を示し、図4(b)
は透過モードの液晶層に電圧が印加された白表示の場合
を示している。
【0045】図3(a)によって反射モードの暗表示を
説明する。
【0046】図3(a)の上側から偏光板6表面から入
った入射光は、偏光板6を通った後偏光軸が偏光板の透
過軸に一致した直線偏光となり、λ/2板11に入射さ
れる。
【0047】λ/2板11は、偏光板6の透過軸方向と
λ/2板11の遅相軸方向が15度になるように配置さ
れており、λ/2板11を通過した光は偏光板6の透過
軸方向に対してλ/2板11の遅相軸方向を挟んで30
度の偏光方向の直線偏光になり、λ/4板7に入射され
る。
【0048】λ/4板7は、偏光板6の透過軸方向に対
してλ/2板11の遅相軸方向を挟んでλ/4板7の遅
相軸方向が75度になるように配置されている。つま
り、λ/2板11を通過した直線偏光の偏光方向に対し
て、λ/4板7の遅相軸方向は45度になるように配置
されており、λ/4板7を通過した光は円偏光になる。
【0049】液晶層5に電界を印加していない場合は、
負の誘電異方性を示す液晶材料を用いた液晶層5は液晶
分子が基板面からほぼ垂直に配向しており、入射する光
に対する液晶層5の屈折率異方性は極わずかであり、光
が液晶層5を透過することによって生じる位相差はほぼ
0である。
【0050】従って、λ/4板7を通過した円偏光の光
線は、円偏光をほとんど崩さずに液晶層5を透過し、一
方の基板1上にある反射電極3にて反射される。
【0051】反射された光線は回転方向が逆転した円偏
光となり、λ/4板7を通過してλ/4板7入射時と直
交する直線偏光となり、λ/2板11に入射される。
【0052】λ/2板11を通過した直線偏光は、偏光
板6の透過軸と直交する方向の直線偏光であり、偏光板
6で吸収され透過しない。
【0053】この様に、液晶層5に電圧を印加しない場
合は暗表示となる。
【0054】次に図3(b)によって反射モードの白表
示を説明する。
【0055】図3(b)は、液晶層5に電圧を印加する
場合であり、λ/4板7を通過するまでは図3(a)と
同一であり説明は省略する。
【0056】液晶層5に電圧を印加すると、基板面から
垂直方向に配向していた液晶分子は基板面と水平方向に
幾分傾き、液晶層5に入射したλ/4板7からの円偏光
は、液晶分子の複屈折により楕円偏光になり、反射電極
3で反射された後さらに液晶層5で液晶分子の複屈折の
影響を受け、λ/4板7、λ/2板11を通過した後に
は偏光板6の透過軸と直交する直線偏光にはならず、偏
光板6を幾分通過する。
【0057】こうして、液晶層に印加される電圧を調整
することで、反射した後に偏光板6を透過できる光量を
調節することができ、階調表示が可能になる。
【0058】また、反射電極3と対向電極4から液晶層
5に電圧を印加し、液晶層5の位相差が1/4波長条件
になるように液晶分子の配向状態を変化させると、λ/
4板7を通過した後の円偏光は液晶層5を通過して反射
電極3に達したときに偏光板6の透過軸と直交する直線
偏光になり、再び液晶層5を通過して円偏光になった後
にλ/4板7、λ/2板11を通過し、偏光板6の透過
軸と平行な直線偏光になり、偏光板6を通過する反射光
は最大になる。
【0059】図3(b)には、反射電極3で反射された
光が最も偏光板6を透過する液晶層5のリタデーション
条件で図示しており、反射電極3上で偏光板6の透過軸
と直交する方向の直線偏光となっている。
【0060】従って、液晶層5に電圧が印加されてない
ときは、液晶層5に複屈折はほとんど無く暗表示が得ら
れ、液晶層5に電圧が印加するとその印加電圧によって
光の透過率が変化し階調表示が可能になる。
【0061】図4(a)によって透過モードの暗表示を
説明する。
【0062】図4(a)の下側から光源(図示せず)に
よって出射された光は偏光板9通過後、偏光板9の透過
軸に一致した直線偏光になる。
【0063】λ/2板12は、偏光板9の透過軸方向と
λ/2板11の遅相軸方向が15度になるように、また
λ/2板11の遅相軸方向に対して直交するように配置
されており、λ/2板12を通過した光は偏光板9の透
過軸方向に対してλ/2板12の遅相軸方向を挟んで3
0度の偏光方向の直線偏光になり、λ/4板10に入射
される。
【0064】λ/4板10は、偏光板9の透過軸方向に
対してλ/2板12の遅相軸方向を挟んでλ/4板10
の遅相軸方向が75度になるように配置されている。つ
まり、λ/2板12を通過した直線偏光の偏光方向に対
して、λ/4板10の遅相軸方向は45度になるように
配置されており、λ/4板10を通過した光は円偏光に
なる。
【0065】液晶層5に電界が発生していない場合は、
負の誘電異方性を示す液晶材料を用いた液晶層5は液晶
分子が基板面からほぼ垂直に配向しており、入射する光
に対する液晶層5の屈折率異方性は極わずかであり、光
が液晶層5を通過することによって生じる位相差はほぼ
0である。
【0066】従って、λ/4板10から出射される円偏
光は、円偏光を崩さずに液晶層5を通過し、λ/4板7
に入射する。
【0067】λ/4板10の遅相軸方向とλ/4板7の
遅相軸方向は直交しており、λ/4板7に入射した円偏
光は、偏光板9の透過軸方向と直交する方向の直線偏光
になり、λ/2板11に入射される。
【0068】λ/2板11を通過した直線偏光は、偏光
板6の透過軸と直交する方向の直線偏光であり、偏光板
6で吸収され透過しない。
【0069】この様に、液晶層5に電圧を印加しない場
合は暗表示となる。
【0070】次に図4(b)によって透過モードの明表
示を説明する。
【0071】図4(b)は液晶層に電圧を印加する場合
でありλ/4板10を光が通過するまでは図4(a)と
同一であり説明は省略する。
【0072】液晶層5に電圧を印加すると、基板面から
垂直方向に配向していた液晶分子は基板面と水平方向に
幾分傾き、液晶層5に入射したλ/4板10からの円偏
光は、液晶分子の複屈折により楕円偏光になり、λ/4
板7、λ/2板11を通過した後には偏光板6の透過軸
と直交する直線偏光にはならず、偏光板6を幾分通過す
る。
【0073】こうして、液晶層に印加される電圧を調整
することで、反射した後に偏光板6を透過できる光量を
調節することができ、階調表示が可能になる。
【0074】また、反射電極3と対向電極4から液晶層
5に電圧を印加し、液晶層5の位相差が1/2波長条件
になるように液晶分子の配向状態を変化させると、λ/
4板7を通過した後の円偏光は液晶層5のセル厚の半分
の地点で直線偏光になり、残りの液晶層5を通過すると
円偏光になる。
【0075】液晶層5から出射される円偏光はλ/4板
7、λ/2板11を通過すると、偏光板6の透過軸と平
行な直線偏光になり、偏光板6を通過する反射光は最大
になる。
【0076】図4(b)には、偏光板9を通過した光が
最も偏光板6を透過する液晶層5のリタデーション条件
で図示している。
【0077】従って、液晶層5に電圧が印加されてない
ときは、液晶層5に複屈折はほとんど無く暗表示が得ら
れ、液晶層5に電圧が印加するとその印加電圧によって
光の透過率が変化し階調表示が可能になる。
【0078】ここで、反射モードの明状態で反射率が最
大となる液晶層5の位相差はλ/4であり、透過モード
の明状態で透過率が最大となる液晶層5の位相差はλ/
2であることから、反射モードとして用いる領域の液晶
層と透過モードとして用いる領域の液晶層の厚みが等し
い場合には、反射モードとして用いる領域の液晶層5の
位相差をλ/4、透過モードとして用いる領域の液晶層
5の位相差をλ/2という位相差を同時に満たすことは
できない。
【0079】つまり、反射モードとして用いる領域の液
晶層5の位相差が0からλ/4に変化することで階調表
示を行なう場合は、透過モードとして用いる領域の液晶
層5の位相差も0からλ/4までしか変化しないため
に、透過モードは効率良く光を利用することができな
い。
【0080】よって、反射モードとして用いる領域の液
晶層と透過モードとして用いる領域の液晶層の厚みを変
えるか、反射モードとして用いる領域の液晶層と透過モ
ードとして用いる領域の液晶層に印加する電圧を変える
ことで、反射モード、透過モード共に効率良く光を利用
することができる。ここで、反射モードとして用いる領
域の液晶層と透過モードとして用いる領域の液晶層の厚
みを変える際に、透過モードとして用いる領域の液晶層
の厚みを反射モードとして用いる領域の液晶層の厚みの
2倍にすると、反射モードとして用いる領域の液晶層5
の位相差をλ/4、透過モードとして用いる領域の液晶
層5の位相差をλ/2という位相差を同時に満たすこと
ができるが、透過モードとして用いる領域の液晶層の厚
みを反射モードとして用いる領域の液晶層の厚みの2倍
にしなくても、透過モードとして用いる領域の液晶層の
厚みを反射モードとして用いる領域の液晶層の厚みの2
倍を超えない範囲で、透過モードとして用いる領域の液
晶層の厚みを反射モードとして用いる領域の液晶層の厚
みより大きくすることで、光の利用効率は向上する。
【0081】実施形態1ではλ/4板10の遅相軸はλ
/4板7の遅相軸と直交するように、λ/2板12の遅
相軸はλ/2板11の遅相軸と直交するように、また偏
光板6の透過軸は偏光板9の透過軸に対して直交するよ
うに設定されているが、透過モード時に液晶層にリタデ
ーションが無い状態で偏光板9を通過した直線偏光が、
偏光板6の透過軸に直角の直線偏光で偏光板6に入射す
れば、暗表示ができる。
【0082】つまり、偏光板6の透過軸とλ/4板7の
遅相軸とのなす角度が、偏光板6の透過軸とλ/2板1
1の遅相軸とのなす角度をαとした場合、概ね(2α+
45)度に、偏光板9の透過軸とλ/4板10の遅相軸
とのなす角度が、偏光板9の透過軸とλ/2板12の遅
相軸とのなす角度をαとした場合、概ね(2α+45)
度に設置され、かつ透過モード時に液晶層にリタデーシ
ョンが無い状態で偏光板9を通過した直線偏光が、偏光
板6の透過軸に直角の直線偏光で偏光板6に入射するよ
うな組み合わせであれば、λ/4板10の遅相軸はλ/
4板7の遅相軸と直交してなくても、λ/2板12の遅
相軸はλ/2板11の遅相軸と直交してなくても、また
偏光板6の透過軸は偏光板9の透過軸に対して直交しな
くても、液晶層5に電圧が印加されてないときは、液晶
層5に複屈折はほとんど無く暗表示が得られ、液晶層5
に電圧が印加するとその印加電圧によって光の透過率が
変化し階調表示が可能である。
【0083】ここで、λ/4板7、10、λ/2板1
1、12を構成する複屈折性材料の常光及び異常光の両
者に対する屈折率は波長に強く依存しているため、特定
の厚さの波長板内で蓄積された位相遅れもまた波長に依
存する。つまり、λ/4の位相遅れを入射光の直線偏光
面に与えるには、波長を特定した単波長の光線を入射さ
せた場合のみに完全に達成できる。よって、λ/4板
7、10を構成する複屈折性材料の屈折率異方性の波長
依存性により、λ/4の位相遅れが達成できない波長域
で偏光板6で遮光されずに透過する光が発生し、暗表示
に色づきが生じるが、λ/4板7とλ/2板11及びλ
/4板10とλ/2板12を組み合わせることで、λ/
4板7、10を構成する複屈折性材料の屈折率異方性の
波長依存性をある程度相殺することができ、比較的広波
長帯でλ/4条件を満たすようになる。
【0084】このため実施形態1と比較して反射モード
の暗表示の色づきを改善できる。もちろん、透過モード
の暗表示の色づきも、λ/4板10の遅相軸はλ/4板
7の遅相軸と直交するように、λ/2板12の遅相軸は
λ/2板11の遅相軸と直交するようにしなくても改善
される。また、実施形態1ではα=15度としたが、α
を変化することで明表示の色味を変化させることができ
るため、希望する色味に応じてαを変えても良い。ま
た、透過モードの暗表示の色づきは悪くなるが、λ/2
板12を省略し原価力向上を図ることも可能である。但
し、透過モード時に液晶層にリタデーションが無い状態
で偏光板9を通過した直線偏光が、偏光板6の透過軸に
直角の直線偏光で偏光板6に入射するようにλ/4板1
0の遅相軸と偏光板9の透過軸を設定する必要が有る。
【0085】ここで、λ/4板10の遅相軸はλ/4板
7の遅相軸と直交するように、λ/2板12の遅相軸は
λ/2板11の遅相軸と直交するように、また偏光板6
の透過軸は偏光板9の透過軸に対して直交するように設
定することで、透過モードにおいて、λ/4板10の屈
折率異方性の波長依存性を、λ/4板7の屈折率異方性
の波長依存性で相殺することができ、さらにλ/2板1
2の屈折率異方性の波長依存性を、λ/2板11の屈折
率異方性の波長依存性で相殺することができ、暗表示の
色づきをさらに改善できる。
【0086】さらに、液晶層5の視角特性を改善させる
ため、偏光板6と液晶層5の間と偏光板9と液晶層5の
間の少なくとも一方に、別の位相差板を設置させること
で、広い視角範囲で良好な表示が実現される。また、実
施形態1では液晶層5に垂直配向性液晶を用いている
が、基板表面近傍の液晶分子の配向が基板面の垂直方向
に対してある程度のティルト角を持つ場合には、液晶層
5に電圧無印加時でも完全にリタデーションは0にはな
らなくて、反射モードではγのリターデーションが残存
する場合、その分を補償し0に近付けるように偏光板6
と液晶層5の間と偏光板9と液晶層5の間の少なくとも
一方に、別の位相差板を設置すればより良好な暗表示が
得られる。
【0087】液晶分子が概ね基板面の垂直方向に向いて
いる状態の液晶層において、反射モードではγのリター
デーションが残存している場合、λ/4板7に代えて、
(λ/4−γ)のリターデーションをもつ位相差板を配
置すればよい。
【0088】反射モードでは、液晶層には、円偏光から
液晶層の残存しているリターデーション分ずれた楕円偏
光が入射する。液晶層を通過し、反射機能を有する領域
で円偏光となり、反射して回転方向が逆転した円偏光と
なる。液晶層を通過して液晶層から出射するとき、円偏
光からずれた楕円偏光となる。このときの楕円偏光は、
入射時位相が90度ずれた状態にある。位相差板を通過
すると偏光板6の透過軸と直交する直線偏光となる。
【0089】反射用絵素電極が透過用絵素電極より大き
い場合など、反射型表示がメインとなる場合は透過モー
ドの表示に用いているλ/4板10はそのままでもよ
い。
【0090】従って、液晶分子が基板面の垂直方向に向
いている状態の液晶層に残存するリターデーションが無
視できない場合でも、そのリターデーションを考慮した
位相差板を配置することにより反射モードでコントラス
トの高い表示が実現できる。
【0091】更に、液晶層に反射モードではγ、透過モ
ードでは△のリターデーションが残存している場合、λ
/4板7に代えて(λ/4−γ)のリターデーションを
もつ位相差板、λ/4板10に代えて(λ/4−(△−
γ))のリターデーションをもつ位相差板を配置すれば
よい。
【0092】透過機能を有する領域の透過光で表示を行
う透過モードでは、液晶分子が基板面の垂直方向に向い
ている状態では、液晶層を出射したとき反射モードの出
射光と同じ状態の楕円偏光となるように上記(λ/4−
(△−γ))のリターデーションをもつ位相差板が設定
され、その位相差を有した楕円偏光が上記(λ/4−
γ)のリターデーションをもつ位相差板に入射するの
で、上記(λ/4−γ)のリターデーションをもつ位相
差板を通過したとき、偏光板6の透過軸と直交する直線
偏光となり光漏れの少ない暗表示となる。
【0093】従って、液晶分子が基板面の垂直方向に向
いている状態の液晶層に残存するリターデーションが無
視できない場合でも、そのリターデーションを考慮した
位相差板を配置することにより反射モードでコントラス
トの高い表示が実現できる。
【0094】また、実施形態1では液晶層5に垂直配向
性液晶を用いているが、平行配向性液晶を用いても同様
の原理で表示が可能である。但し、平行配向性液晶を用
いると電圧印加につれて液晶層5のリタデーションが小
さくなるが、電圧印加時に基板近傍以外の液晶分子が概
ね基板面の垂直方向に向いている状態でも、基板近傍の
液晶分子は電界によりほとんど動かないため、基板近傍
の液晶分子による残留リタデーションが生じる。そのた
め、垂直配向性液晶を用いた場合よりも平行配向性液晶
を用いると残留リタデーションの影響分、暗表示時に黒
レベルが浮くことになりコントラスト低下が発生する。
そのため、平行配向性液晶を用いて垂直配向性液晶同様
の黒レベルを表示するには、残留リタデーションを補償
するように上下基板それぞれの近傍の液晶分子による残
留リタデーションを打ち消すように上下基板に液晶分子
を配向させるか、位相差板を追加する必要が有る。
【0095】図5は、本実施形態の透過領域において、
λ/4板10とλ/4板7の遅相軸を平行とし、λ/2
板11とλ/2板12の遅相軸を平行とした場合と、比
較例としてλ/4板10とλ/4板7の遅相軸を平行と
し、λ/2板は設けない場合に黒表示のときの光の波長
と透過率の関係を示す図である。
【0096】従って、図5に示すように、λ/2板を設
けることに、黒表示のときに光もれの少ない表示を得る
ことができる。
【0097】図6は、本実施形態の透過領域において、
λ/4板10とλ/4板7の遅相軸を平行とし、λ/2
板11とλ/2板12の遅相軸を平行とした場合と、λ
/4板10とλ/4板7の遅相軸を直交とし、λ/2板
11とλ/2板12の遅相軸を直交とした場合に、黒表
示のときの光の波長と透過率の関係を示す図である。
【0098】従って、図6に示すように、λ/4板及び
λ/2板をそれぞれ直交に配置することにより、黒表示
のときに光もれの少ない表示を得ることができる。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、反射モードにおいて、
広波長帯で偏光状態のばらつきがなくなり、ほぼ円偏光
にすることができる。このため、暗表示の反射モードに
おける色づきが改善できる。
【0100】また、第1の位相差板の屈折率異方性の波
長依存性を最適に補償することができる。
【0101】また、透過モードにおいて、広波長帯で偏
光状態のばらつきがなくなり、ほぼ円偏光にすることが
できる。このため、反射モードだけでなく、暗表示の透
過モードにおける色づきが改善でき、反射モードと透過
モードとを両用した場合でも、良好な黒表示が実現され
る。
【0102】また、第2の位相差板の屈折率異方性の波
長依存性を最適に補償することができる。
【0103】また、液晶層に負の誘電率異方性を有する
垂直配向液晶材料を用いることで、液晶層のリターデシ
ョンがほぼ0である状態が実現されるので、暗状態がよ
り暗くなるので、コントラストが高くなる。
【0104】また、ノーマリブラック(以下NBとい
う)ではセルギャップ変化によるコントラスト比の変化
はほとんど発生せず、生産性の点でセルギャップ制御に
対するある程度の余裕がとれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の断面模式
図である。
【図2】本発明の実施形態1の液晶表示装置の平面図で
ある。
【図3】本発明の実施形態1の液晶表示装置の反射領域
での光の透過状態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1の液晶表示装置の透過領域
での光の透過状態を示す図である。
【図5】透過領域において黒表示をおこなうときの光の
波長と透過率の関係を示す図である。
【図6】透過領域において黒表示をおこなうときの光の
波長と透過率の関係を示す図である。
【符号の説明】
1、2 基板 3 反射電極 4 対向電極 5 液晶層 6、9 偏光板 7、10 λ/4板 8 透明電極 11、12 λ/2板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤岡 正悟 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA11Z FA14Y FA41Z FD06 FD08 FD10 GA02 GA03 GA13 HA06 HA09 KA02 LA16 LA17 LA30 2H092 GA11 HA04 HA05 JA24 JB07 JB13 NA01 QA06 QA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射機能を有する領域と透過機能を有す
    る領域とが形成された一方基板と、対向電極が形成され
    た他方基板を有し、前記一方基板と前記他方基板の間に
    液晶層が挟持された液晶表示装置であって、 前記他方基板の前記液晶層とは反対の面に設けられた第
    1の偏光手段と、 前記一方基板の前記液晶層とは反対の面に設けられた第
    2の偏光手段と、 前記第1の偏光手段と前記液晶層との間に設けられ、前
    記第1の偏光手段側から入射する直線偏光を円偏光また
    は楕円偏光として出射する第1の位相差板と、 前記第2の偏光手段と前記液晶層との間に設けられ、前
    記第2の偏光手段側から入射する直線偏光を円偏光また
    は楕円偏光として出射する第2の位相差板と、 前記第1の偏光手段と前記液晶層との間に設けられ、前
    記第1の位相差板の屈折率異方性の波長依存性を補償す
    る第3の位相差板とを有する液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の偏光手段と前記液晶層との間
    に設けられ、前記第2の位相差板の屈折率異方性の波長
    依存性を補償する第4の位相差板を有する請求項1に記
    載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の偏光手段の透過軸と前記第2
    の偏光手段の透過軸とが直交している請求項1または請
    求項2に記載の液晶表示装置。
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