JP2003126056A - 手術用受信コイル及びこれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

手術用受信コイル及びこれを用いた磁気共鳴イメージング装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定位脳手術において、手術から撮影、撮影か
ら手術に移行する場合、受信コイルの取り付け、取り外
し及び頭部固定具への脱着が必要であり、手術の効率が
低下していた。 【解決手段】 被検体頭部の周囲に配置され頭部固定用
のボルトを介して頭部を固定すると共に導電体で形成さ
れたU字形状の固定部と、手術用治具が取り付けられる
と共に導電体で形成されたフレーム部と、前記固定部と
前記フレーム部の端部同士を電気的に接続するコネクタ
部とを有して構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴イメージ
ング装置(以下、MRI装置という)に用いられる受信コ
イルに関し、特に診断画像を参照しながら手術を行うの
に好適な受信コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、脳の治療法として定位脳手術が行
われることがある。定位脳手術とは、開頭器具を用いて
頭部を開頭せず、ある特定の領域に対し治療をする手法
であり、頭部固定具を装着した状態で、腫瘍の切除、吸
引あるいは穿刺等を行うものである。また、この定位脳
手術と画像診断装置を組み合わせた治療法があり、電気
刺激を用いたてんかん等の機能解析、機能マップを用い
た腫瘍の切除、機能を刺激しながらの外科手術等を行う
機能的脳神経外科を始め、他の分野においても注目が集
められている。
【0003】X線CT装置と定位脳手術を組み合わせて、
病変部位を正確に計測し、目標点を決定するCT誘導定位
脳手術法があり、これをMRI装置に展開したMRI誘導定位
脳手術として応用が行われている。また、これまで画像
診断用として発展してきたMRI装置も、最近になって術
中にMR撮影し、撮影と手術を交互に繰り返すことで腫瘍
の確認をリアルタイムに行い、腫瘍を正確に切除すると
いった外科的手術に応用されてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MRI装
置による撮影では受信コイルを撮影部位に取り付けて撮
影をする必要があり、術中では患部を清潔に保つために
ドレープで覆わなければいけないため、受信コイルをド
レープの上から取り付けることになり、撮影スペースを
確保することが難しく、術中撮影の安全性、確実性に問
題があった。また、撮影時に受信コイルを取り付けると
きは、頭部固定具から頭部を外してから受信コイル取り
付けなければならず、逆に手術時には受信コイルを外し
再度頭部固定具に頭部を固定させなければならないた
め、術者の作業手順が増え、手術時間の延長となり効率
が低下するものとなっていた。
【0005】また、頭部固定具に固定したままで撮影し
ようとしてもこれまでと同様の各患部専用の診断用受信
コイルでは患部に触れることになり使用することは困難
であるため、患部に触れないよう径の大きな受信コイル
を用いなければならず、感度が劣るものとなっていた。
【0006】さらに、撮影された診断画像を腫瘍特定の
ためのナビゲーションとして使用する場合、MR画像空間
と実空間とのレジストレーションが必要となり、高価な
ナビゲーション装置を使用しなければならなかった。定
位脳手術においても、従来のような術前画像を用いた誘
導定位脳手術では、開頭後の髄液流出や腫瘍切除によっ
て撮影前の脳の位置と開頭後の脳の位置がずれてしまう
ブレインシフトの影響を回避できないなどの問題点があ
る。
【0007】本発明は、定位脳手術においても使用可能
な受信コイルを提供すると共に、ナビゲーション機能を
容易に達成することが可能な受信コイル並びにMRI装置
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の手術用受信コイルは、被検体頭部の周囲に
配置され頭部固定用のボルトを介して頭部を固定すると
共に導電体で形成されたU字形状の固定部と、手術用治
具が取り付けられると共に導電体で形成されたフレーム
部と、前記固定部と前記フレーム部の端部同士を電気的
に接続するコネクタ部とを有するようにしたものであ
る。上記コネクタは、上記フレーム部を所望の角度に変
更可能な可動機構を備えてもよい。
【0009】また、本発明の磁気共鳴イメージング装置
は、被検体を寝載する寝台と、静磁場空間を形成し前記
被検体に対し高周波磁場、傾斜磁場を印加して核磁気共
鳴信号を得るガントリとを有する磁気共鳴イメージング
装置において、前記寝台に取り付けられ被検体からの核
磁気共鳴信号を受信する手術用受信コイルを備え、この
手術用受信コイルは被検体頭部の周方向に配置され頭部
を固定し導電体で形成された頭部固定部と、手術用治具
が取り付けられると共に導電体で形成されたフレーム部
と、前記頭部固定部と前記フレーム部とを電気的に接続
するコネクタ部とを有してループ状のコイルを構成する
ようにしたものである。さらに、上記手術用受信コイル
に取り付けられもしくは内部に装填されたマーカと、上
記フレーム部に取り付けられた手術用治具とマーカとの
距離を計測するスケールとを有し、上記磁気共鳴イメー
ジング装置にて撮影された診断画像上のマーカと所望の
部位との距離を前記スケールに対応させて手術するナビ
ゲーションシステムを備えるようにしてもよい。
【0010】
【発明の実施例】以下、本発明の実施形態を添付図面に
基づいて説明する。図1は本実施形態のMRI装置の概略
図である。撮影室あるいは手術室内に静磁場発生用の磁
石、傾斜磁場発生用のGCコイル、被検体3に高周波信号
を発生するためのRFコイルとを含んで形成されるガント
リ1と被検体3を寝載する寝台2が配置され、手術用と
して顕微鏡4、麻酔器5等が配置される。ガントリ1の
周囲には術者が寝台2の脇で診断画像を確認するための
インルームモニタ6が設置されている。このインルーム
モニタ6はガントリ1の上部からアーム7を介して取り
付けられ、術者の位置に応じて種々の角度に向けること
ができる。寝台2は撮影及び手術時に用いられものであ
り、定位脳手術の際に頭部を固定するための定位脳用頭
部支持装置8が取り付けられている。このような構成に
より、被検体3をガントリ1から出した状態で手術を行
い、必要に応じてガントリ1に被検体3を入れて撮影を
行う。これを繰り返すことで腫瘍等の患部の位置を正確
に把握しながら手術が行える。
【0011】次に、定位脳用頭部支持装置8の詳細を説
明する。図2は寝台2に取り付けられた定位脳用頭部支
持装置8の説明図である。定位脳用頭部支持装置8は、
寝台2へ固定する寝台保持部9と、MR画像に影響の少な
いチタン製固定ボルト11を介して被検体3の頭部周囲
を固定すると共に導電性を持たせた例えばアルミ製のU
字形状の頭部固定部10と、開頭治具等を保持するヘッ
ドフレーム13と、頭部固定部10に取り付けられ中継
コネクタ15を介してステレオフレーム16を保持する
ためのコネクタ14と、頭部固定部10とステレオフレ
ーム16を電気的に接続し全体としてコイルとして形成
させるための中継コネクタ15と、穿刺針等の手術用器
具を保持すると共に導電性を持たせた例えばアルミ製の
ステレオフレーム16から構成される。このような定位
脳用頭部支持装置8を用いて手術を行う場合、頭部固定
部10に複数のボルト11で被検体を固定し、治療部位
が不潔にならないよう治療部位以外の全体をドレープ1
2で覆う。頭部固定部10の両端には接触抵抗の少ない
コネクタ14を取り付け、ドレープ12にはコネクタ1
4が貫通する穴を設け、この穴にコネクタ14を通して
取り付ける。この状態で、ヘッドフレーム13と滅菌さ
れた中継コネクタ15を頭部固定部10に取り付ける。
そして、中継コネクタ15にステレオフレーム16を取
り付ける。このように形成することにより、定位脳用頭
部支持装置8全体が導電性を持つこととなり、1つのル
ープ状コイルが形成されることとなる。つまり、電気的
導通のよいアルミ製の頭部固定部10〜コネクタ14〜
中継コネクタ15〜ステレオフレーム16〜中継コネク
タ15〜コネクタ14〜頭部固定部10でループ状の受
信コイルを形成することができる。この場合、ループ状
のコイルを形成させるために、頭部固定部10、コネク
タ14、中継コネクタ15、ステレオフレーム16のみ
導電性は持たせるようにし、それ以外のヘッドフレーム
13等は導電性を持たせないように構成する。なお、コ
ネクタ14を省略してもよく、この場合でも十分ループ
状の受信コイルを形成できる。また、ヘッドフレーム1
3も必要に応じて取り外すことができる。
【0012】本実施形態において、受信コイルのケーブ
ルは図示省略したが、中継コネクタ15より引き出され
る。なお、寝台2内にケーブルを埋め込み、寝台保持部
9が取り付けられる箇所をコネクタ状にすれば、定位脳
用頭部支持装置8を寝台2に取り付けるだけで、電気的
接続ができるようにすることもできる。また、寝台保持
部9と頭部固定部10を一体に構成してもよい。
【0013】次に、定位脳用頭部支持装置8を用いたナ
ビゲーションシステムの具体的な構成を説明する。ナビ
ゲーションシステムとは、MRI装置で撮影した診断画像
上において腫瘍等の病変部の位置とそれを処置するため
の手術用治具の位置関係を知ることで、正確な手術が行
えるものである。そのために、基準マーカと呼ばれる基
準点を設け、現実空間とMR診断画像とのレジストレーシ
ョンに使用される。従来、レジストレーションでは現実
空間に配置された基準マーカの位置を位置検知器で読み
取り、その位置とMR診断画像上に表示された基準マーカ
の位置を一致させる作業を行う。
【0014】本実施形態では、ステレオフレーム16に
直接基準マーカを取り付けたり、もしくは内部に基準マ
ーカを装填する。この基準マーカを含むMR診断画像を撮
影し、診断画像上で基準マーカの位置を把握する。そし
て、診断画像上で基準マーカと腫瘍等の病変部位の距離
を把握する。また、ステレオフレーム16にスケールを
取り付け、診断画像上からの距離とスケールとの距離が
合うよう設定することで、穿刺等の手術用治具を正確に
病変部位に位置させることができる。このような構成に
より、従来のナビゲーションシステムには必要であった
位置検知器を使用しなくともレジストレーションを行う
ことができる。
【0015】より具体的な構成を図3に示す。図3はナ
ビゲーションシステムとして定位脳用頭部支持装置8と
穿刺用治具17を使用した図である。本実施形態の定位
脳用頭部支持装置8を用いることによって手術を行う状
態で撮影をし、撮影終了後に即座に手術に移行できる。
手術時にナビゲーションを必要とする場合には、ステレ
オフレーム16の上に穿刺用治具17を取り付ける。こ
の穿刺用治具17には3次元的な位置を把握するための
スケールがあり、これにより正確に3次元の位置を知る
ことができ、正確な位置への穿刺ができる。なお、穿刺
用治具17の代わりに腫瘍切除用の治具や吸引用の治具
を取り付けることもでき上述と同様にスケールを備える
ことで腫瘍の切除、吸引を正確に行うことができる。
【0016】なお、術式によってはステレオフレーム1
6の配置場所が手術に支障をきたす場合もあるため、図
4に示すように角度を変更できる機構の可動式コネクタ
18を設けることで、ステレオフレーム16を手術の邪
魔にならないよう角度を変えることができる。このと
き、角度が新たに設定されてもナビゲーションの位置は
幾何学変換を施せば問題とならない。また、ナビゲーシ
ョンを必要としない手術の場合には、ステレオフレーム
16を中継コネクタ15から取り外すことができる。そ
して、撮影の際には中継コネクタ15やフレームコイル
16を再度取り付けるだけなので、作業的に煩雑になる
ことはない。
【0017】以上のように、手術時に使用する定位脳用
頭部支持装置8を導電体で構成することにより、ループ
状の受信コイルを形成することができ、手術から撮影に
移行する場合でも、被検体を移動させることがなくなる
ため、被検体及び術者の負担を軽減でき作業効率が向上
する。また、手術時と撮影時に頭部の位置が変わらない
ためブレインシフトの影響を最小限に抑えることがで
き、診断能が向上する。
【0018】また、ステレオフレームに直接基準マーカ
を取り付けもしくは内部に装填する共に、ステレオフレ
ームにスケールを備えることで、位置検出器を使用しな
くとも、正確な位置を把握できる。
【0019】このように本実施形態によれば、定位脳用
頭部支持装置8をコイル化することによって、径の小さ
な受信コイルが形成でき、高精度な画像を確保できる。
その上、撮影時における煩雑な操作を取り除き、安全性
を保持できる。また、目的に応じてステレオフレーム1
6の角度を変えたり、取付け、取り外しが可能であるた
め、より広範囲の手術に利用できる。また、マーカやス
ケールをステレオフレーム16に取り付け、術中撮影し
た画像を使用して手術を行えるため、ブレインシフトの
影響が少なく、頭部全体の動きがなく、正確なナビゲー
ションを行うことができる。
【0020】
【発明の効果】以上、説明したことから明らかなよう
に、頭部固定部とフレーム部を導電体で形成し中継コネ
クタで接続することでループ状のコイルを形成させるこ
とができるため、被検体を移動させることなく撮影と手
術を交互に行うような誘導定位脳手術が行え、手術手順
が簡略化され効率の向上が図れる。また、患者に近い位
置で径の小さな受信コイルを形成することが可能なこと
から、高感度の画像データを取得することができる。さ
らに、フレーム部にマーカとスケールを備えることで、
診断画像との位置合わせを容易に行えるため、簡易的な
ナビゲーションシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のMRI装置の概略を説明するための図で
ある。
【図2】本発明の手術用受信コイルの一実施形態を示す
図である。
【図3】本発明の手術用受信コイルの一実施形態を示す
図である。
【図4】本発明の手術用受信コイルの他の実施形態を示
す図である。
【符号の説明】
1 ガントリ、2 寝台、3 被検体、4 顕微鏡、5
麻酔器、6 インルームモニタ、7 モニタ支持アー
ム、8 定位脳用頭部支持装置、9 寝台保持部、10
頭部固定部、11 ボルト、12 ドレープ、13
ヘッドフレーム、14 コネクタ、15 中継コネク
タ、16 ステレオフレーム、17 穿刺用治具、18
可動式コネクタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C096 AA18 AA20 AB37 AB41 AB50 AC01 AD03 AD10 AD19 AD23 CA05 CA16 CC01 CC09 CC12 DA03 DA21 DD02 DD11 EA04 EB07 FC20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体頭部の周囲に配置され頭部固定用
    のボルトを介して頭部を固定すると共に導電体で形成さ
    れたU字形状の固定部と、手術用治具が取り付けられる
    と共に導電体で形成されたフレーム部と、前記固定部と
    前記フレーム部の端部同士を電気的に接続するコネクタ
    部とを有することを特徴とする手術用受信コイル。
  2. 【請求項2】 上記コネクタは、上記フレーム部を所望
    の角度に変更可能な可動機構を備えたことを特徴とする
    請求項1記載の手術用受信コイル。
  3. 【請求項3】 被検体を寝載する寝台と、静磁場空間を
    形成し前記被検体に対し高周波磁場、傾斜磁場を印加し
    て核磁気共鳴信号を得るガントリとを有する磁気共鳴イ
    メージング装置において、前記寝台に取り付けられ被検
    体からの核磁気共鳴信号を受信する手術用受信コイルを
    備え、この手術用受信コイルは被検体頭部の周方向に配
    置され頭部を固定し導電体で形成された頭部固定部と、
    手術用治具が取り付けられると共に導電体で形成された
    フレーム部と、前記頭部固定部と前記フレーム部とを電
    気的に接続するコネクタ部とを有してループ状のコイル
    を構成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装
    置。
  4. 【請求項4】 上記手術用受信コイルに取り付けられも
    しくは内部に装填されたマーカと、上記フレーム部に取
    り付けられた手術用治具とマーカとの距離を計測するス
    ケールとを有し、上記磁気共鳴イメージング装置にて撮
    影された診断画像上のマーカと所望の部位との距離を前
    記スケールに対応させて手術するナビゲーションシステ
    ムを備えたことを特徴とする請求項3記載の磁気共鳴イ
    メージング装置。
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