JP2003113522A - 首を痛めない、流線型形状を持つヘルメット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 近年、主に頭部の後ろへ延びる流線型形状を
持つヘルメットが現れている。従来、この流線型形状部
分は、ヘルメット本体と一体であった。従って、流線型
形状先端に障害物が当たると大きなひねりを生じ、装着
者の首を痛めてしまう。このため、流線型形状部分を大
型化することは困難であった。 【解決手段】 そこで本案は、流線型形状部分とヘルメ
ット本体を別部品として、過大なひねりがヘルメットに
加わったとき、流線型形状の部品が外れるか、壊れる
か、変形するかの少なくとも１つの作用により、過大な
ひねりがヘルメット装着者の首にそのまま伝わることを
防ぎ、問題を解決するものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、スポーツに用い
るヘルメットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、サイクリングやスキーやスケート
等のスポーツは高速度化しており、これに伴って、主に
頭部の後ろへ延びる流線型形状を持つヘルメットが現れ
ている。従来、この流線型形状部分は、ヘルメット本体
と一体であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】主に頭部の後ろへ延び
る流線型形状を持つヘルメットにおいて、ヘルメット装
着者が転倒した場合などにおいて、流線型形状先端に障
害物が当たると大きなひねりを生じ、装着者の首を痛め
てしまう。このため、流線型形状部分を、装着者の首か
ら遠のく方向に延長すると危険であった。従って、装飾
性または機能性を追求するために、ヘルメットの流線型
形状部分を大型化することは困難であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで本案は、請求項１
に示すように、主に頭部の後ろへ延びる流線型形状を持
つヘルメットにおいて、流線型形状部分とヘルメット本
体を別部品とし、過大なひねりがヘルメットに加わった
とき、流線型形状部品が外れるか、壊れるか、変形する
かの少なくとも１つの作用により、過大なひねりがヘル
メット装着者の首にそのまま伝わることを防ぎ、問題を
解決するものである。

【０００５】ところで、ヘルメットに形成した後頭部の
流線型形状部分により、本当に空気抵抗を減少しようと
する場合、ヘルメットの上表面はなるべく滑らかな方が
良い。従って、ヘルメット本体と流線型形状部品は、滑
らかに接合したい。そこで、請求項２の様に、流線型形
状部品とヘルメット本体の接合線を皮膜で覆うと、表面
を滑らかにできる。また接合線から風が浸入し、流線型
形状部品がはがれるのを防ぐ。

【０００６】また請求項３の様に、流線型形状部品が、
ヘルメット本体の前縁部または全部を覆うことにより、
接合線自体がヘルメットの上表面から無くなるので、ヘ
ルメットの上表面を滑らかに出来る。

【０００７】さて、本案のヘルメットに多大なひねりが
加わると、流線型形状部品は外れるか、壊れるか、変形
するかの少なくとも１つの作用が生じる。このとき、流
線型形状部品や固定部品が万一目に入ると危険である。
従って発明者は、本案のヘルメットを使用する時はゴー
グルとの併用を強く推奨する。しかし、主に頭部の後ろ
へ延びる流線型形状を持つヘルメットにおいて、ゴーグ
ルをヘルメット上から被り、バンドをヘルメット後頭部
に回そうとすると、流線型形状部が邪魔である。従っ
て、従来の流線型形状を持つヘルメットでは、予めゴー
グルを着け、その上からヘルメットを被らなければなら
ない。そこで、請求項４の様に、ゴーグルがヘルメット
本体の耳当て部か、またはヘルメット本体前縁部に固定
または脱着可能にすれば、煩わしさは解消する。

【０００８】また、万一流線型形状部品がヘルメット本
体から外れない場合、ヘルメット本体に大きなひねりが
加わる。そこで、請求項５の様に、少なくともヘルメッ
ト本体の後頭部から装着者の両肩後ろに渡る部分にハー
ネスを設ける。また、このハーネスは所定の長さまでは
弾性で延びるが、所定の長さ以上には延びないストッパ
を持つ。ヘルメット本体がある程度ひねられるとハーネ
スのストッパが働くので、ヘルメット本体が過大にひね
られることを防ぐのである。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１に、本案の第１実施例のヘル
メット（１００ａ）を示す。請求項１に示すように、ヘ
ルメット本体（１０ａ）と、頭部の後ろへ延びる流線型
形状部品（２０ａ）は別部品である。また請求項３の様
に、流線型形状部品（２０ａ）はヘルメット本体（１０
ａ）を覆い、ヘルメット本体（１０ａ）前縁部にまで達
する。また、ヘルメット本体（１０ａ）には、請求項４
に示すようにゴーグル（３０）が、また、請求項５に示
すようにハーネス（４０）とが装着される。

【００１０】ゴーグル（３０）は、バンド（３１）およ
びバックル機構（３２）を介し、耳当て部（１５ａ）に
設けられた高さ調整機構（３３）に脱着可能に接続され
る。ゴーグル（３０）の反対端にはバックル機構（３
２）は無い。ゴーグル（３０）反対端側のバンド（３
１）はヒンジとして働き、ゴーグル（３０）を開閉でき
る。

【００１１】ハーネス（４０）は、一方端がヘルメット
本体（１０ａ）に、他方端が装着者（６０）の両肩に備
えた肩紐（５０）の背面側に装着される。このハーネス
は所定の長さまではバンド（４１）の弾性で延びるが、
ストッパ（４２）により、所定の長さ以上には延びな
い。ヘルメット本体がある程度ひねられるとハーネス
（４０）のストッパ（４２）が働くので、ヘルメット本
体（１０ａ）が過大にひねられることを防ぐのである。
ハーネス（４０）の作動については後で述べる。

【００１２】図２は、流線型形状部品（２０ａ）の上面
部とゴムパッキン（１３ａ）の半周部を取り除いた、ヘ
ルメット（１００ａ）の断面図である。図２で、本案の
ヘルメット（１００ａ）の詳細を説明する。流線型形状
部品（２０ａ）は破片が飛び散らないようポリエチレン
製とし、射出成形により一体成形される。リブ（２５
ａ）が数枚形成され、丈夫で軽量な中空構造になる。

【００１３】流線型形状部品（２０ａ）は、前縁部の爪
（２１ａ）と、２つの後縁部の爪（２２ａ）、そして登
頂部のボタン（２４ａ）によりヘルメット本体（１０
ａ）に固定される。そして、ヘルメット本体（１０ａ）
と流線型形状部品（２０ａ）の接合線から風が浸入する
のを防ぐため、ゴムパッキン（１３ａ）がヘルメット本
体（１０ａ）の外周部に張り巡らされる。

【００１４】前縁部の爪（２１ａ）と、２つの後縁部の
爪（２２ａ）の爪先は丸く、流線型形状部品（２０ａ）
に過大な力がかかると容易に外れる。また、２つの後縁
部の爪（２２ａ）の間に開口部（２３ａ）を設ける。装
着者（６０）の背後から流線型形状部品（２０ａ）先端
が上にひねられる時、開口部（２３ａ）が広がり、２つ
の後縁部の爪（２２ａ）をこじ開ける作用が生じ、流線
型形状部品（２０ａ）が容易に外れ、装着者（６０）の
首を痛めない。また、開口部（２３ａ）は、流線型形状
部品（２０ａ）下面に生じる負圧を内部に導入し、ヘル
メット本体（１０ａ）と流線型形状部品（２０ａ）の密
着性を高める。

【００１５】ヘルメット本体（１０ａ）に成形した、前
縁部の爪受け溝（１１ａ）および後縁部の爪受け溝（１
２ａ）は、上方向に開いた弧を描いている。流線型形状
部品（２０ａ）先端が水平方向にひねられて回転した
時、前縁部の爪（２１ａ）および後縁部の爪（２２ａ）
が、各々前縁部の爪受け溝（１１ａ）および後縁部の爪
受け溝（１２ａ）に沿って上方向に押し出されるので、
流線型形状部品（２０ａ）は上方向に容易に外れるので
ある。このときボタン（２４ａ）は、流線型形状部品
（２０ａ）の回転中心に設けられているので、回転の邪
魔をしない。

【００１６】図３はハーネス（４０）の作動図である。
バンド（４１）は弾性をもつゴムバンドで、ストッパ
（４２）は所定の長さから延びない単なる紐である。図
３左側では、ストッパ（４２）が延びきっていないの
で、バンド（４１）は弾性で延びる。しかし、図３右側
では、ストッパ（４２）が延びきっているので、ハーネ
ス（４０）はこれ以上延びない。これにより、所定の長
さ以上には延びないハーネス（４０）が得られる。

【００１７】図４に、本案の第２実施例のヘルメット
（１００ｂ）を示す。請求項１に示すように、ヘルメッ
ト本体（１０ｂ）と、頭部の後ろへ延びる流線型形状部
品（２０ｂ）は別部品である。流線型形状部品（２０
ｂ）は発泡性のポリウレタンで成形され、荷重により変
形する。流線型形状部品（２０ｂ）はヘルメット本体
（１０ｂ）にマジックテープ（登録商標）（１４ｂ）で
固定される。過大なねじりに対し、このマジックテープ
（１４ｂ）が剥がれるので、流線型形状部品（２０ｂ）
はヘルメット本体（１０ｂ）から容易に外れることが出
来る。流線型形状部品（２０ｂ）の材質は発泡スチロー
ル、ポリプロピレン、ＡＢＳ樹脂でもかまわない。ヘル
メット本体（１０ｂ）と流線型形状部品（２０ｂ）の接
合線は請求項２の様に塩化ビニール製の皮膜（１３ｂ）
で覆われ、ヘルメット本体（１０ｂ）の上表面を滑らか
にしている。

【発明の効果】主に頭部の後ろへ延びる流線型形状を持
つヘルメットにおいて、流線型形状部分とヘルメット本
体を別部品とすることで、過大なひねりがヘルメットに
加わったとき、流線型形状の部品が外れるか、壊れる
か、変形するかの少なくとも１つの作用により、過大な
ひねりがヘルメット装着者の首にそのまま伝わることを
防ぐ。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例のヘルメット（１００ａ）の代表図
である。

【図２】流線型形状部品（２０ａ）の上面部とゴムパッ
キン（１３ａ）の半周部を取り除いた、ヘルメット（１
００ａ）の断面図である。

【図３】ハーネス（４０）の作動図である。

【図４】第２実施例のヘルメット（１００ｂ）の代表図
である。

【符号の説明】

１００ａ…第１実施例のヘルメット １０ａ…ヘルメット（１００ａ）のヘルメット本体 １１ａ…前縁部の爪受け溝 １２ａ…後縁部の爪受け溝 １３ａ…ゴムパッキン １５ａ…耳当て部 １６ａ…高さ調整機構（３３）の位置決め溝 ２０ａ…ヘルメット（１００ａ）の流線型形状部品 ２１ａ…前縁部の爪 ２２ａ…後縁部の爪 ２３ａ…開口部 ２４ａ…ボタン ２５ａ…リブ １００ｂ…第２実施例のヘルメット １０ｂ…ヘルメット（１００ｂ）のヘルメット本体 １３ｂ…皮膜 １４ｂ…マジックテープ ２０ｂ…ヘルメット（１００ｂ）の流線型形状部品 ３０…ゴーグル ３１…バンド ３２…バックル機構 ３３…高さ調整機構 ４０…ハーネス ４１…バンド ４２…ストッパ ５０…肩紐 ６０…ヘルメット（１００ａ）の装着者

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主に頭部の後ろへ延びる流線型形状を持
   つヘルメットにおいて、流線型形状部とヘルメット本体
   が別部品であり、過大なひねりがヘルメットに加わった
   とき、流線型形状の部品が外れるか、壊れるか、変形す
   るかの少なくとも１つの作用により、過大なひねりがヘ
   ルメット装着者の首にそのまま伝わることを防ぐ、ヘル
   メット本体と流線型形状部品とを持つヘルメット。
2. 【請求項２】 請求項１記載の、ヘルメット本体と流線
   型形状部品とを持つヘルメットにおいて、流線型形状部
   品とヘルメット本体の接合線が、皮膜で覆われているこ
   とを特徴とするヘルメット。
3. 【請求項３】 請求項１から請求項２記載の、ヘルメッ
   ト本体と流線型形状部品とを持つヘルメットにおいて、
   流線型形状部品が、ヘルメット本体の前縁部または全部
   を覆うことを特徴とするヘルメット。
4. 【請求項４】 請求項１から請求項３記載の、ヘルメッ
   ト本体と流線型形状部品とを持つヘルメットにおいて、
   ゴーグルがヘルメット本体の耳当て部か、またはヘルメ
   ット本体前縁部に固定または脱着可能なことを特徴とす
   るヘルメット。
5. 【請求項５】 請求項１から請求項４記載の、ヘルメッ
   ト本体と流線型形状部品とを持つヘルメットにおいて、
   少なくともヘルメット本体の後頭部から装着者の両肩後
   ろに渡る部分にハーネスを設け、かつ、このハーネスは
   所定の長さまでは弾性で延びるが、所定の長さ以上には
   延びないようストッパを持ち、このハーネスのストッパ
   によりヘルメット本体が過大にひねられることを防ぐヘ
   ルメット。