JP2003109015A - 身体動作測定方式 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】映像から身体の３次元的な動作を測定すると
き、隠された部位の姿勢と運動を推定する。 【解決手段】身体の姿勢と運動を身体の多関節モデルの
各部位の姿勢とその変化で表し、連続する画像間の濃淡
変動比から姿勢の変化を測定するときに、隠された身体
部位の姿勢の変化を、姿勢を表す変数間の従属関係を利
用して、測定可能な身体部位の姿勢の変化から推定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明が属する技術分野】本発明は、ビデオ等の映像か
ら身体の動作を測定する方式に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】人間等の身体の動きを測定しコンピュー
タグラフィックス上に動作を再現させるシステムは、モ
ーションキャプチャと呼ばれている。これまで、機械
式、磁気式、光学式など、さまざまな原理に基づく手法
が提案されてきた。そのうちのいくつかはすでに実用化
され、特にコンピュータアニメーションでのキャラクタ
の動作作成には、欠かせない技術となっている。 【０００３】しかし、これまで実用化された方式は、身
体にあらかじめ目印となるマーカや測定器具を取付けた
りすることが多く、このことが被験者の自由な動作を妨
げ、自然な動作の測定を困難としていた。 【０００４】これに対して、映像を使えば身体に接触せ
ずに動作を測定することができる。しかしながら、身体
の一部は同じ身体によって隠されることもあり、隠され
た部分の姿勢や動作の測定が困難であった。 【０００５】この改善策として、身体の回りに配置した
複数のカメラからの映像を利用すれば隠れの問題は解消
される。しかし、多数のカメラの配置には、特別なスタ
ジオを用意し、カメラ映像信号間の同期を取るために
は、特殊な機材を必要とするため、映像からの測定法の
特徴である手軽さ失われる。また、映像からの測定法
は、映像さえ残っていれば本発明以前に撮られた過去の
動作の測定も可能であるが、この利点も失われる。 【０００６】 【発明が解決しようとする課題】身体全体が隠れた場合
には、その動作を測定することは不可能であるが、解決
しようとする課題は、身体の一部が隠されたとき、観測
可能な部位を手がかりに、隠された部位の姿勢と運動を
いかにして推定するかにある。 【０００７】 【課題を解決するための手段】本発明は、手や足など身
体部位は互いに関連して動作を行っていると考え、この
関連性を利用して、身体の一部が隠されたとき、見えて
いる部位から隠された部位の動作を推定することを最も
主要な特徴とする。 【０００８】 【発明の実施の形態】身体の構造を多関節モデルで表
す。多関節モデルは剛体がジョイントで結合した木構造
である。すなわち、手や足などの身体の各部位を剛体で
表し、各部位をジョイントで結合する。胴体を木構造の
頂点に置き根部位とよぶ。リンクを根部位から順に辿る
ことによって末端の手足に達することができる。この木
構造における上流の部位を親、下流の部位を子とする。
親が動けば子もそれに付随して動くが、子の動きは親に
影響を与えない。 【０００９】各部位は図１に示すように固有の座標系を
持っている。この座標系を部位座標系とよぶ。部位座標
系は原点を関節位置（胴体ではほぼ重心位置）に置き、
座標軸の一つを図１に示すように部位の体軸に一致させ
ておく。 【００１０】身体モデルの位置と姿勢は、「きをつけ」
のような適当な初期姿勢を基準座標系としたときの、各
部位座標系の位置と姿勢で表される。すなわち、位置は
座標系原点の座標値、姿勢は基準座標系に対する各軸回
りの回転の合成で表すことができる。根部位の位置と姿
勢は６つの変数で表されるが、それ以外の部位は、親部
位に関節で繋がっているので、姿勢を表す３つの変数で
十分である。 【００１１】一方、身体の運動は各部位の部位座標系を
基準とした運動で表すことができる。すなわち、根部位
は６つの位置と姿勢の変化パラメータ、それ以外の部位
は３つの姿勢変化パラメータで運動を表す。 【００１２】身体モデルが身体に一致しているとき、モ
デルの画像上への投影も身体像に一致している。身体が
運動すれば、身体像も変化する。逆に、身体像の変化は
身体の運動が原因である。したがって、連続する画像間
の濃淡変動比から、身体部位の位置と姿勢の変化パラメ
ータを連立方程式から逆推定することができる。この推
定法は良く知られているので説明は省略する。 【００１３】しかしながら、身体部位が隠されたとき
や、衣服の模様が顕著でない場合には、連立方程式の独
立性が失われ、解を一意に決定することが困難となる。 【００１４】このような困難が生じた場合には、あらか
じめ未知数の間に関係を見出しておき、この関係を使っ
て独立な未知数の数を少なくすることによって、解を決
定するのである。得られた位置と姿勢の変化をそれぞれ
の部位座標系に累積すれば、運動後のモデルの姿勢を得
ることができ、モデルは再び身体に一致する。この手続
きを繰り返せば、時刻順の姿勢データ列、すなわち身体
動作を測定することができる。 【００１５】 【実施例】身体の一部が隠される場合でも運動の測定が
可能である例を上げる。図２は肩を中心とした両腕のリ
ンク機構を体の側面から観測したものである。リンク１
は右腕、リンク2は左腕とする。簡単のため、腕の運動
は肩を中心とした１軸回転とする。リンク１の回転運動
は、動画像から測定可能である。リンク2も同様であ
る。 【００１６】さて、リンク２の左腕が胴体によって隠さ
れたとする。このとき、対応する方程式が存在しないの
で、運動を知ることができない。しかし、両腕の姿勢は
次の規則を満たすものとする。すなわち、両腕の姿勢は
胴体を中心として左右対称であるとする。この規則を使
えば、見えている右腕の動きから左腕の動きを知ること
ができる。 【００１７】親子関係で直列に繋がった多関節構造で
も、部分的な隠れに対して提案手法の効果は大きい。図
３には４つのリンクが直列に繋がった構造が示されてい
る。これは、上位から、胴体、上腕、下腕、及び手に対
応したリンク機構である。関節の動きは紙面に垂直な軸
回りの回転のみとする。 【００１８】このリンク機構の末端の部位が隠された場
合、その部位の動きを知るための推定式が存在しないた
め動きを決定することができない。そこで、隠された部
位と観測可能な部位との関連が既知であるならば、その
関係を介して隠された部位の動きを推定することができ
る。 【００１９】一方、リンク機構の上位部位は隠されて
も、その下位部位の動きに影響を与えることができるた
め、下位部位の運動が観測可能なら、そこから推定する
ことができる。しかしながら、推定可能な変数の数にも
限界がある。 【００２０】例えば、図３の末端リンクである手の動き
は、自身の動きにその上部である胴体、上腕、下腕の動
きが加わっている。したがって、各軸回りの４つの運動
パラメータを未知数とする動作推定式が導かれる。手の
部位上にある４点以上の観測点より連立方程式が得られ
るが、この連立方程式は解を一意に決定することができ
ない。これは、図３の手のリンクを固定しても、その上
位のリンクを固定することができないことから明らかで
ある。 【００２１】そこで、４つのリンクの姿勢について、予
め関数関係を見出すことができれば、自由度を１つ縛る
ことができ、リンクの動きを一意に決定することができ
る。 【００２２】 【発明の効果】以上説明したように本発明の身体動作測
定方式は、あらかじめ見出しておいた姿勢パラメータ間
の従属関係を利用して、身体運動の決定不能問題を解決
することができる。２つの実施例では、部位の自由度は
１自由度であったが、実際には各部位は３自由度まで可
能である。このことは、たとえ部位の隠れが少なくと
も、運動の決定不能問題に陥りやすいことを意味してい
る。姿勢パラメータ間の従属関係は、このような場合に
強力な拘束条件となる。

【図面の簡単な説明】 【図１】身体の多関節モデルの例である。 【図２】身体部位が並列に繋がっているときの、隠され
た部位の動作推定。（実施例１） 【図３】身体部位が直列に繋がっているときの、隠され
た部位の動作推定。（実施例２） 【符号の説明】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 身体等の対象物体を多関節モデルで表現
   し、身体等の位置・姿勢を互いに従属性を持ったモデル
   の位置及び関節角度の集まり、身体等の運動を互いに従
   属性を持ったモデルの速度及び関節角速度の集まりで表
   現し、このモデルを画像中の身体等の像に当てはめたと
   き、身体等の位置・姿勢をモデルの位置・姿勢として測
   定し、連続する画像間の濃淡変動比から身体等の運動を
   推定し、ある時刻での身体の位置・姿勢に、画像間から
   推定された運動を累積することにより、任意の時刻での
   身体等の位置・姿勢を決定することを特徴とする身体動
   作測定方式。