JP2003105406A - ポーラス金属及びポーラス金属と中空金属の複合体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

ポーラス金属及びポーラス金属と中空金属の複合体並びにそれらの製造方法

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JP2003105406A
JP2003105406A JP2001293301A JP2001293301A JP2003105406A JP 2003105406 A JP2003105406 A JP 2003105406A JP 2001293301 A JP2001293301 A JP 2001293301A JP 2001293301 A JP2001293301 A JP 2001293301A JP 2003105406 A JP2003105406 A JP 2003105406A
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Yasumasa Chino
千野  靖正
Mamoru Mabuchi
馬渕  守
Yasutsugu Shimojima
康嗣 下島
Yasuo Yamada
康雄 山田
Hiroyuki Hosokawa
裕之 細川
Suiga Bun
翠娥 文
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便かつ安価な手法でポーラス金属を製造す
る方法、及びポーラス金属を内部に充填したポーラス金
属と中空金属の複合体を製造する方法、及びそれらの製
品を提供する。 【解決手段】 機械加工の際に生じた切屑を堆積した状
態、堆積した切屑を加圧した状態で、真空、不活性、又
は酸素還元雰囲気いずれかの雰囲気にて焼結を行うこと
によりポーラス金属を作製する。また、機械加工の再に
生じた切屑を中空構造を有する金属材料に充填し、上記
雰囲気中で焼結を完了させることにより、ポーラス金属
と中空金属の複合体を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポーラス金属、ポ
ーラス金属と中空金属の複合体に関するものであり、更
に詳しくは、簡便かつ安価なプロセスにより、多量の空
隙を含む低密度なポーラス金属を製造する方法、及び上
記ポーラス金属と中空構造を有する金属材料から構成さ
れるポーラス金属と中空金属の複合体を製造する方法、
及びそれらの方法により作製したポーラス金属及びその
複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポーラス金属は、低密度、優れ
た吸音性、高エネルギー吸収特性等を示すことから、建
設用材料、自動車用材料などに利用されている。また、
ポーラス金属は、超軽量とともにリサイクルが容易であ
ることから、循環型超軽量材料として大きな需要が見込
まれている。中空構造を有する金属材料にポーラス金属
を充填したポーラス金属と中空金属の複合体は、例え
ば、自動車用衝撃吸収材料として、従来バルク材が利用
されている自動車フロントサイドフレーム等への需要が
見込まれている。
【0003】これまでに、ポーラス金属の製造方法につ
いては、種々の方法が提案されており、例えば、ポーラ
ス鋳型に溶融金属を流し込み、凝固後、鋳型を崩壊させ
ポーラス金属を製造する精密鋳造法、ポーラス樹脂等に
金属メッキを施してポーラス金属を製造するメッキ法、
溶湯金属に発泡剤を充填し、気体を発生させた状態で凝
固することによりポーラス金属を製造する溶湯発泡法、
固体のまま発泡剤から気体を放出させポーラス金属を製
造する固体発泡法、微量の高圧の気体を含んだ金属を高
温に加熱し、気体を膨脹させることによりポーラス金属
を製造する気体膨脹法等がある。そして、更に、金属粉
末とバインダー粉末を圧縮・焼結することにより製造す
る粉末冶金法、金属短繊維を堆積させ、焼結させる金属
短繊維焼結法、中空金属球を充填した後に焼結を行う中
空金属球焼結法等がある。
【0004】また、ポーラス金属と中空金属の複合体を
作製する手法としては、中空構造を有する金属材料内に
中空金属球を充填し、焼結する製造法等が提案されてい
る(文献:O. Andersen, U. Waag, L. Schneider, G. S
tephani and B. Kieback; Proc. Metal Forms and Poro
us Metal Structures, ed. by J. Banhart, M. Ashbyan
d N. Fleck, (Verlag MIT Publishing, Bremen, 1999)
pp. 183-188.)。
【0005】しかしながら、精密鋳造法では、予めポー
ラス鋳型を作製する必要があること、鋳型を完全に崩壊
させるのに多くの時間を要すること等の問題点が存在す
る。メッキ法及び溶湯発泡法では、ポーラス金属を作製
可能な材質が限定される等の問題が存在する。固体発泡
法及び気体膨脹法では、金属中に発泡剤・気体を均一に
分散させる際に多くの工程を必要とする等の問題が存在
する。また、粉末冶金法においても、バインダーを金属
粉末状に均一に分布させる際に多くの工程を必要とする
こと、粉末を利用するため生産コストが高くなること等
の問題を抱えている。金属短繊維焼結法では、金属短繊
維を作製する際に引き抜き処理等、特別な処理により短
繊維を作製しなければならない等の問題を抱えている。
中空金属球焼結法では、1mmオーダーの空孔を有する
ポーラス金属を作製することが困難である等の問題を抱
えている。そのため、上記の生産方法では大量生産を実
施するのは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、簡便かつ安
価なプロセスにより多量の空隙を含む低密度なポーラス
金属を製造すること、及び上記ポーラス金属と中空構造
を有する金属材料から構成されるポーラス金属と中空金
属の複合体を製造することを目標として鋭意研究を積み
重ねた結果、機械加工によって生じる切屑、及び/又は
切屑に模して作製された金属片を堆積し、焼結工程を採
用することによって、使用する原料のコストを低く抑え
ることが可能となるだけでなく、機械加工の際に材料に
蓄積された転位の効果により、材料の焼結時間を短縮し
てポーラス金属を作製することが可能となること、ま
た、中空構造を有する金属材料内でポーラス金属を作製
することにより、低コスト、短時間にてポーラス金属と
中空金属の複合体を作製することが可能となることを見
出し、本発明を完成するに至った。本発明は、機械加工
によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製され
た金属片を堆積し、焼結工程のみにより製造することが
可能なポーラス金属、ポーラス金属と中空金属の複合
体、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)機械加工によって生じる切屑、及び/又は切屑に
模して作製された金属片を堆積し、真空、不活性、酸素
還元雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気にて、絶対温
度において該切屑を構成する金属の固相線温度の0.6
倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び/又は金属
片を焼結することを特徴とする、ポーラス金属の製造方
法。 (2)機械加工によって生じる切屑、及び/又は切屑に
模して作製された金属片を圧縮した状態で焼結を完了さ
せることを特徴とする、前記(1)に記載のポーラス金
属製造方法。 (3)使用する金属の主成分を、鉄、アルミニウム、チ
タン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タングステ
ン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、錫の内
から選ばれた1種以上とすることを特徴とする、前記
(1)に記載のポーラス金属製造方法。 (4)中空形状を有する金属材料に、機械加工によって
生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製された金属片
を充填し、真空、不活性、酸素還元雰囲気の内から選ば
れた1種の雰囲気にて、該切屑金属の固相線温度の0.
6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び/又は金
属片を焼結することを特徴とする、ポーラス金属と中空
金属の複合体の製造方法。 (5)中空形状を有する金属材料に、機械加工によって
生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製された金属片
を圧縮した状態で充填することを特徴とする、前記
(4)に記載のポーラス金属と中空金属の複合体製造方
法。 (6)使用する金属の主成分を、鉄、アルミニウム、チ
タン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タングステ
ン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、錫の内
から選ばれた1種以上とすることを特徴とする、前記
(4)に記載のポーラス金属と中空金属の複合体の製造
方法。 (7)機械加工によって生じる切屑、及び/又は切屑に
模して作製された金属片を堆積し、真空、不活性、酸素
還元雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気にて、絶対温
度において該切屑を構成する金属の固相線温度の0.6
倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び/又は金属
片を焼結することにより作製される、ポーラス金属。 (8)機械加工によって生じる切屑、及び/又は切屑に
模して作製された金属片を圧縮した状態で焼結を完了さ
せることを特徴とする、前記(7)に記載のポーラス金
属。 (9)使用する金属の主成分を、鉄、アルミニウム、チ
タン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タングステ
ン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、錫の内
から選ばれた1種以上とすることを特徴とする、前記
(7)に記載のポーラス金属。 (10)中空形状を有する金属材料に、機械加工によっ
て生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製された金属
片を充填し、真空、不活性、酸素還元雰囲気の内から選
ばれた1種の雰囲気にて、該切屑金属の固相線温度の
0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び/又
は金属片を焼結することにより作製される、ポーラス金
属と中空金属の複合体。 (11)中空形状を有する金属材料に、機械加工によっ
て生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製された金属
片を圧縮した状態で充填することを特徴とする、前記
(10)に記載のポーラス金属と中空金属の複合体。 (12)使用する金属の主成分を、鉄、アルミニウム、
チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タングス
テン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、錫の
内から選ばれた1種以上とすることを特徴とする、請求
項10に記載のポーラス金属と中空金属の複合体。
【0008】本発明者らは、種々の検討を重ねる中で、
ポーラス金属及びポーラス金属と中空金属の複合体を製
造する新たな手法として、従来、再溶解法によりリサイ
クルされていた金属材料の切屑を利用できることを見出
すとともに、焼結時間を短縮する手段として、切削加工
時に切削屑に印加される剪断力に起因して内部に蓄積さ
れる転位の効果を利用することに着目した。本発明は、
機械加工で切削可能な金属材料全般に適用することが可
能である。本発明において、ポーラス金属とは、空孔率
が30%以上の金属(合金)材料のことを意味する。
【0009】本発明のポーラス金属の作製方法は、機械
加工によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製
された金属片を堆積し、真空、不活性、酸素還元雰囲気
の内から選ばれた1種の雰囲気にて、絶対温度において
該切屑を構成する金属の固相線温度の0.6倍以上から
固相線以下の温度にて該切屑及び/又は金属片を焼結す
ることを特徴とする。
【0010】上記ポーラス金属の作製方法では、機械加
工によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製さ
れた金属片を堆積し、圧縮した状態で、真空、不活性、
酸素還元雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気にて、該
切屑及び/又は金属片の焼結を完了させる。
【0011】本発明のポーラス金属の作製方法において
は、使用する金属の主成分は、鉄、アルミニウム、チタ
ン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タングステ
ン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、錫の内
から選ばれた1種以上であり、該金属の機械加工によっ
て生じる切屑及び/又は切屑に模して作製された金属片
を堆積し、該切屑及び/又は金属片を焼結する。
【0012】次に、本発明のポーラス金属と中空金属の
複合体の製造方法は、中空形状を有する金属材料に、機
械加工によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作
製された金属片を充填し、真空、不活性、酸素還元雰囲
気の内から選ばれた1種の雰囲気にて、該切屑金属の固
相線温度の0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切
屑及び/又は金属片を焼結することを特徴とする。
【0013】上記ポーラス金属と中空金属の複合体の製
造方法では、中空形状を有する金属材料に、機械加工に
よって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製された
金属片を充填し、圧縮した状態で、真空、不活性、酸素
還元雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気にて、該切屑
及び/又は金属片の焼結を完了させる。
【0014】本発明のポーラス金属と中空金属の複合体
の製造方法においては、使用する金属の主成分は、鉄、
アルミニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、
亜鉛、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、金、
銀、白金、錫の内から選ばれた1種以上であり、中空形
状を有する該金属材料に、該金属の機械加工によって生
じる切屑及び/又は切屑に模して作製された金属片を充
填し、該切屑及び/又は金属片を焼結する。
【0015】本発明において、真空、不活性、酸素還元
雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気にて、該切屑及び
/又は金属片を焼結することにより、切屑又は金属片の
酸化が防止される。
【0016】本発明において、機械加工によって生じる
切屑、及び/又は切屑に模して作製された金属片を堆積
し、圧縮した状態で、該切屑及び/又は金属片を焼結す
ることにより、該切屑及び/又は金属片間の接触頻度、
該切屑及び/又は金属片と中空形状を有する金属材料間
の接触頻度が向上し、効果的な焼結が可能となる。
【0017】なお、本発明が適用可能な材料は、内部に
転位を高密度に存在させることができる金属材料に限定
される。実用金属材料を考慮した場合、本発明が適用可
能な金属材料は、使用する金属の主成分が、鉄、アルミ
ニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、
タングステン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白
金、錫の内から選ばれた1種以上で構成される金属材料
となる。
【0018】本発明においては、切屑金属の固相線温度
の0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び/
又は金属片を焼結することが重要であり、それにより、
転位に起因した拡散が活発化し、効率良く切屑の焼結を
完了させることができる。
【0019】本発明において、中空形状を有する金属材
料としては、金属パイプ材、金属缶、金属プレス加工材
等の塑性加工材、複雑形状で、かつ内部に中空構造を有
する鋳造材、粉末冶金材等が例示される。
【0020】本発明において、中空形状を有する該金属
材料に、該金属の機械加工によって生じる切屑及び/又
は切屑に模して作製された金属片を充填する方法として
は、遠心力を利用した遠心力充填法、エアーの吸引・導
入を繰り返すエアータッピング法、移動磁界の印加によ
り高電気伝導性を有する金属片を移送する電磁場印加法
等が例示される。しかしながら、比較的単純形状を有す
る該金属材料中空体の場合は、自然落下による充填法で
十分対応が可能である。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。図1は、本発明のポーラス金属及びポーラス
金属と中空金属の複合体を製造するためのプロセスの流
れを示すフローチャートである。ポーラス金属を製造す
る場合、本発明のプロセスは、(1)切屑の脱脂・洗
浄、(2)雰囲気制御炉内への切屑の堆積、場合によっ
ては堆積させた切屑の圧縮、(3)真空雰囲気、不活性
雰囲気、酸素還元雰囲気いずれかの雰囲気での焼結、以
上3つの工程により構成される。また、ポーラス金属と
中空金属の複合体を製造する場合、本発明のプロセス
は、(1)切屑の脱脂・洗浄、(2)パイプ等の中空構
造を有する金属材料への切屑の充填、場合によっては充
填された切屑の圧縮、(3)真空雰囲気、不活性雰囲
気、酸素還元雰囲気いずれかの雰囲気での焼結、以上3
つの工程により構成される。
【0022】使用する切屑の形状は、幅0.5mmから
5mm、厚み1mm以下、長さ10mm以上のものが好
ましい。しかしながら、上記の形状よりも微細又は粗大
な切屑が混入していたとしてもポーラス金属等の作製は
可能である。また、切屑に模して作製された金属片を利
用してもポーラス金属等を作製可能である。ポーラス金
属と中空金属の複合体を作製する際には、中空構造を有
する金属材料と比較して十分小さい切屑を利用する必要
がある。
【0023】通常、機械加工によって生じる切屑には、
切削油等の異物が付着しているため、前処理として、ア
セトン、エタノール等により、その表面の脱脂・洗浄処
理を行った後に焼結を行うことが好ましい。
【0024】脱脂及び洗浄処理を施した切屑は、表面酸
化を抑制するために、真空雰囲気、不活性雰囲気、又は
酸素還元雰囲気に制御可能な炉内に堆積させた状態で焼
結する必要がある。切屑同士の焼結を効果的に行うため
には、上部に重り等を設置して加重を印加することによ
り、隣接しあう切屑が接した状態を作り出すことが好ま
しい。
【0025】印加する加重の目安としては、対象とする
金属材料の降伏応力に作製されるポーラス金属の有効断
面積をかけた値が挙げられ、その値よりも小さい荷重を
印加する必要がある。なお、本発明のプロセスにより作
製されるポーラス金属の有効断面積は、バルクの有効断
面積の約40%以下である。
【0026】ポーラス金属と中空金属の複合体を作製す
る際には、金属パイプ等の中空構造を有する金属材料の
中に中空を構成する部分よりも十分小さい切屑を充填
し、真空雰囲気、不活性雰囲気、又は酸素還元雰囲気の
何れかの雰囲気内で焼結を実施する。場合によっては、
切屑に加重を印加した状態で焼結を実施する必要があ
る。
【0027】
【作用】切屑の焼結は、隣接する切屑の界面間を原子が
拡散により行き来することにより達成される。通常、金
属材料の原子拡散は格子間拡散機構により行われている
が、原子の配列に欠陥が存在すると、そこを経路として
原子の拡散は活発化し、拡散係数は増加する。金属中の
転位は、原子配列の欠陥の一種であり、転位密度が増加
すると、転位の存在に起因して高速拡散路が形成され、
原子の拡散は活発化する。金属の機械加工過程において
は、金属試料に比較的大きな剪断力が印加されるため、
切屑の内部には通常の金属よりも多くの転位が生成す
る。
【0028】そのため、切屑を利用して、ポーラス金属
・ハニカム金属の焼結を実施する場合、通常の金属短繊
維を利用してポーラス金属を作製する時と比較し、短時
間で焼結を完了させることが可能である。転位に起因し
た拡散は、金属試料の固相線温度の0.6倍以上におい
て活発化することから、焼結温度をそれ以上に設定する
ことにより、効果的に切屑の焼結を完了させることが可
能となる。また、焼結工程は、真空雰囲気、不活性ガス
雰囲気、又は酸素還元雰囲気にて実施することにより切
屑の酸化が防止される。
【0029】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定される
ものではない。 実施例1 市販のFe−0.4wt%C−0.15wt%Si−
0.4wt%Mn合金(S45C)を旋盤により機械加
工した際に生成する幅約1mm、厚み約0.5mm、長
さ約3mmの切屑をアセトンにより脱脂処理した後に、
外径40mm、内径28mm、高さ70mmのアルミナ
坩堝に挿入した。切屑中に蓄積される転位の効果を調査
するために、ここでは2種類の切屑を用意した。1つ
は、旋盤加工により作製された切屑、もう一つは、旋盤
加工により作製された切屑を焼き鈍し、内部の転位を取
り除いた試料である。焼き鈍しは、アルゴン雰囲気、温
度1100℃、焼結時間5時間の条件で実施した。
【0030】焼結に供される各試料には、アルミナ坩堝
に充填された切屑の上部に切屑と同材質の重り(0.2
kg)を配することにより、荷重が印加された。そし
て、アルゴン雰囲気、1430℃の条件にて1時間焼結
を実施することにより、ポーラス金属を作製した。な
お、実験に利用した試料の固相線温度は、1494℃で
ある。
【0031】作製された上記合金製ポーラス金属の概観
及び断面を図2に示す。図中、(a)はポーラス金属の
概観を、(b)はポーラス金属の断面形状を表す。な
お、図2は焼き鈍しを実施していない試料である。14
30℃、1時間の焼結により、切削屑間の焼結が達成さ
れ、ポーラス金属が作製されたことが確認できる。な
お、作製されたポーラス金属の気孔率は、約75%であ
った。
【0032】図3は、焼き鈍しを実施しない試料と焼き
鈍しを実施した試料の圧縮試験時の応力−ひずみ曲線で
ある。図中、(a)は焼き鈍しを実施しない試料の応力
−歪み曲線を、(b)は焼き鈍しを実施した試料の応力
−歪み曲線を表す。圧縮試験では、10mm×10mm
×10mmの立方体に切断されたポーラス金属をクロス
ヘッドスピード1.0mm/minで圧縮した。ここで
は、評点間距離を10mmとした。焼き鈍しを実施しな
い試料の応力−歪み曲線には、ポーラス金属特有の約1
5〜20MPaのプラトー応力(弾性変形の後に一定期
間維持される低応力)が確認できる。一方、焼き鈍しを
実施した試料には、焼結が完了されていないため、明確
な弾性変形領域が確認できない。すなわち、切削屑内部
に転位が存在することにより試料の焼結が良好に実施さ
れたことが確認できる。
【0033】実施例2 市販のFe−0.4wt%C−0.15wt%Si−
0.4wt%Mn合金(S45C)を旋盤により切削加
工した際に生成する幅約1mm、厚み約0.5mm、長
さ約3mmの切屑をアセトンにより脱脂処理した。次
に、外径40mm、内径17mm、高さ50mmのFe
−0.4wt%C−0.15wt%Si−0.4wt%
Mn合金(S45C)製円筒容器(中空容器)内に切屑
を挿入した。
【0034】切屑を充填したS45C製円筒容器を、無
荷重、アルゴン雰囲気、1430℃の条件にて1時間焼
結させることにより、ポーラス金属と中空金属の複合体
を作製した。なお、実験に利用した試料の固相線温度
は、1494℃である。
【0035】図4に、作製された上記合金製ポーラス金
属と中空金属の複合体の断面を示す。1430℃、1時
間の焼結により、切屑間の焼結が達成されると同時に、
切屑と中空金属の焼結が完了されることにより、ポーラ
ス金属と中空金属の複合体が作製されたことが確認でき
る。なお、作製されたポーラス金属と中空金属の複合体
内のポーラス金属の気孔率は、約75%であった。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、ポーラ
ス金属及びポーラス金属と中空金属の複合体並びにそれ
らの製造方法に係るものであり、本発明により、1)切
屑を焼結することにより、簡便かつ安価なプロセスによ
りポーラス金属及びポーラス金属と中空金属の複合体の
作製が可能である、2)また、金属短繊維を焼結する手
法と比較し、短時間で焼結を完了させることが可能であ
る、3)本発明によって作製されたポーラス金属及びポ
ーラス金属と中空金属の複合体は、軽量であるととも
に、エネルギー吸収性や振動吸収性に優れ、更に、金属
特有の優れたリサイクル性を有している、4)そして、
本発明は、殆ど無価値に等しい切屑(スクラップ)を、
簡便なプロセスにより高性能エネルギー吸収材、高性能
振動吸収材に変身させることができる、5)そのため、
本発明の工業的意義は極めて大きいものと言える、とい
う格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるポーラス金属及びポーラス金属
と中空金属の複合体の製造手順を示すフロー図である。
【図2】本発明に則って作製されたFe−0.4wt%
C−0.15wt%Si−0.4wt%Mn合金製ポー
ラス金属の説明図である。
【図3】本発明に則って作製されたFe−0.4wt%
C−0.15wt%Si−0.4wt%Mn合金製ポー
ラス金属の圧縮試験時の応力−曲線を示す。
【図4】本発明に則って作製されたFe−0.4wt%
C−0.15wt%Si−0.4wt%Mn合金製ポー
ラス金属と中空金属の複合体の断面形状の説明図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 康雄 愛知県名古屋市北区平手町1−1 独立行 政法人産業技術総合研究所中部センター内 (72)発明者 細川 裕之 愛知県名古屋市北区平手町1−1 独立行 政法人産業技術総合研究所中部センター内 (72)発明者 文 翠娥 愛知県名古屋市北区平手町1−1 独立行 政法人産業技術総合研究所中部センター内 Fターム(参考) 4K018 AA02 AA03 AA06 AA07 AA13 AA14 AA19 AA21 AA24 AA40 BB02 BB08 JA22 KA22

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械加工によって生じる切屑、及び/又
    は切屑に模して作製された金属片を堆積し、真空、不活
    性、酸素還元雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気に
    て、絶対温度において該切屑を構成する金属の固相線温
    度の0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び
    /又は金属片を焼結することを特徴とする、ポーラス金
    属の製造方法。
  2. 【請求項2】機械加工によって生じる切屑、及び/又は
    切屑に模して作製された金属片を圧縮した状態で焼結を
    完了させることを特徴とする、請求項1に記載のポーラ
    ス金属製造方法。
  3. 【請求項3】 使用する金属の主成分を、鉄、アルミニ
    ウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タ
    ングステン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白
    金、錫の内から選ばれた1種以上とすることを特徴とす
    る、請求項1に記載のポーラス金属製造方法。
  4. 【請求項4】 中空形状を有する金属材料に、機械加工
    によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製され
    た金属片を充填し、真空、不活性、酸素還元雰囲気の内
    から選ばれた1種の雰囲気にて、該切屑金属の固相線温
    度の0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び
    /又は金属片を焼結することを特徴とする、ポーラス金
    属と中空金属の複合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 中空形状を有する金属材料に、機械加工
    によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製され
    た金属片を圧縮した状態で充填することを特徴とする、
    請求項4に記載のポーラス金属と中空金属の複合体製造
    方法。
  6. 【請求項6】 使用する金属の主成分を、鉄、アルミニ
    ウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タ
    ングステン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白
    金、錫の内から選ばれた1種以上とすることを特徴とす
    る、請求項4に記載のポーラス金属と中空金属の複合体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 機械加工によって生じる切屑、及び/又
    は切屑に模して作製された金属片を堆積し、真空、不活
    性、酸素還元雰囲気の内から選ばれた1種の雰囲気に
    て、絶対温度において該切屑を構成する金属の固相線温
    度の0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及び
    /又は金属片を焼結することにより作製される、ポーラ
    ス金属。
  8. 【請求項8】 機械加工によって生じる切屑、及び/又
    は切屑に模して作製された金属片を圧縮した状態で焼結
    を完了させることを特徴とする、請求項7に記載のポー
    ラス金属。
  9. 【請求項9】 使用する金属の主成分を、鉄、アルミニ
    ウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、タ
    ングステン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白
    金、錫の内から選ばれた1種以上とすることを特徴とす
    る、請求項7に記載のポーラス金属。
  10. 【請求項10】 中空形状を有する金属材料に、機械加
    工によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製さ
    れた金属片を充填し、真空、不活性、酸素還元雰囲気の
    内から選ばれた1種の雰囲気にて、該切屑金属の固相線
    温度の0.6倍以上から固相線以下の温度にて該切屑及
    び/又は金属片を焼結することにより作製される、ポー
    ラス金属と中空金属の複合体。
  11. 【請求項11】 中空形状を有する金属材料に、機械加
    工によって生じる切屑、及び/又は切屑に模して作製さ
    れた金属片を圧縮した状態で充填することを特徴とす
    る、請求項10に記載のポーラス金属と中空金属の複合
    体。
  12. 【請求項12】 使用する金属の主成分を、鉄、アルミ
    ニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、
    タングステン、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白
    金、錫の内から選ばれた1種以上とすることを特徴とす
    る、請求項10に記載のポーラス金属と中空金属の複合
    体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011047012A (ja) * 2009-08-27 2011-03-10 Kobe Steel Ltd 高強度多孔質アルミニウム合金の製造方法
JP4759562B2 (ja) * 2004-05-25 2011-08-31 白光株式会社 交換可能な先端チップ、同先端チップを備えたはんだ加熱装置および同先端チップの製造方法
JP2012017739A (ja) * 2010-07-09 2012-01-26 General Electric Co <Ge> タービンエンジン用の圧縮性支持体
CN113618063A (zh) * 2021-08-02 2021-11-09 武汉理工大学 一种通孔新型金属基复合泡沫材料及其制备方法

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