JP2003104992A - チタン含有有機化合物前駆体及びその製造方法 - Google Patents

チタン含有有機化合物前駆体及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、大気中で安定で、揮発性に優れて
おり、基板での分解反応が簡単であり、低い温度(47
0℃以下)でも蒸着速度が高くて取扱が容易であるた
め、MOCVD材料として有用なチタン含有有機化合物
前駆体とその製造方法を提供することにある。 【解決手段】 一般式(1)又は(2): 【化33】 (式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立して、炭
素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、
シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であり、
3及びR6は炭素原子数2〜13の直鎖状又は分岐状の
アルキレン基であり、R7は、炭素数1〜8の直鎖状の
アルキル基である)で表される、単核性チタン含有有機
化合物前駆体又は二核性チタン含有有機化合物前駆体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン含有有機化
合物前駆体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、チ
タングリコラートとβ−ケトエステルとの反応により得
られる単核性チタン含有有機化合物前駆体、並びに該単
核性チタン含有有機化合物前駆体をアルコキシドで架橋
結合した二核性(binuclear)のチタン含有有機化合物
前駆体及びそれらの製造方法に関する。
【0002】本発明の単核性チタン含有有機化合物前駆
体及び二核性チタン含有有機化合物前駆体は、有機金属
化学気相蒸着法(Metal-Organic Chemical Vapor Depos
ition、以下「MOCVD」という)における二酸化チ
タン薄膜の原料として有用である。
【0003】
【従来の技術】揮発性のあるチタン含有有機化合物前駆
体は、二酸化チタン薄膜成分を形成する原料として、P
ZT及びBSTなどの強誘電体又は常誘電体などの薄膜
を製造する有機金属化学気相蒸着法(Metal-Organic Ch
emical Vapor Deposition、以下「MOCVD」という)
に用いられている。従来のチタンテトラアルコキシド
(Titanium tetraalkoxide)類のチタン含有有機化合物
前駆体は、空気や水分との反応性に富むので分解し易
く、オリゴマー化することにより、揮発特性が変化する
欠点を有している。
【0004】したがって、このような欠点を解決するた
めに、二つのアルコキシドを二つのジケトン化合物で置
換したTi(OPri2(tmhd)2(ここで、OPri
はイソプロポキシドであり、tmhdは2,2,6,6
−テトラメチルヘプタンジオナートである)が開発され
ている。しかし、Ti(OPri2(tmhd)2もま
た、使用中に熱分解し、あるいは同種間のやりとり反応
によってオリゴマー化するので、揮発特性が変化すると
いう欠点を解決することはできなかった。それのみなら
ず、分解反応も2段階以上の工程で複雑に進行し、蒸着
した薄膜の表面にハンプ(hump)やハージネス(hazine
ss)などを誘発して、薄膜表面に滑らかでない突出部を
生じさせ、均一な組成を有する薄膜は460℃以上の高
温のみで得られるという問題がある〔WO 00/37712, J.
Electrochem. Soc., 146(10)3783-3787 (1999)〕。
【0005】一方、1998年に、日本の旭電化(Asah
i Denka)株式会社で開発されたTi(mdp)(tmh
d)2〔ここで、mdpは2−メチル−2,4−ペンタジ
オラートである〕は、Ti(OPri2(tmhd)2
りも基板での分解反応が容易であり、使用中の熱分解や
オリゴマー化するなどの欠点を解決した。
【0006】しかしながら、Ti(OPri2(tmh
d)2を利用して薄膜を蒸着する場合には、基板の温度が
480℃以上に維持されてこそ、高い蒸着速度でチタン
組成比が一定の薄膜を得ることができ、これより低い温
度ではチタンが充分でない薄膜が蒸着される。したがっ
て、最高470℃まででのみ適用可能な伝統的なディー
ラム(DRAM)テクノロジーと共に使用する場合に
は、蒸着された薄膜中のチタンの含有量が不足するとい
う問題がある。
【0007】また、バリウムとストロンチウム対チタン
の比が1:1の薄膜を製造するためには、例えばTi
(OPri2(tmhd)2といったチタン含有有機化合
物前駆体を使用する場合、チタンの蒸着速度が遅いため
に、Ti(OPri2(tmhd)2を混合した前駆体混
合溶液において、バリウム:ストロンチウム:チタン含
有有機化合物前駆体の比を少なくとも1:1:8程度に
維持しなければならず、チタン含有有機化合物前駆体の
消費量が大きく問題となる。また、Ti(OPr i
2(tmhd)2前駆体は、その性状がガラス状の褐色固体
であり、溶媒に溶かし溶液の形態で市販されているた
め、取扱いが容易でなく、また固体状態では純粋に分離
して使用することが難しいという問題点もある〔特開平
11-255784号公報、特開平10-114781号公報, J. Mater.
Res., 14(10), 3988-3994(1999)〕。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、大気中で安定で、揮発性が優
れ、基板での分解反応が簡単であり、低い基板温度(例
えば、470℃以下)でも薄膜の蒸着速度が速く、取扱
いが容易であるため、MOCVD材料として有用なチタ
ン含有有機化合物前駆体を提供することにある。
【0009】また、本発明が解決しようとする他の課題
は、前記課題を解決するためのチタン含有有機化合物前
駆体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明(1)は、一般式
(1):
【0011】
【化13】
【0012】(式中、R1及びR2は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
り、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状のアル
キレン基である)で表される単核性チタン含有有機化合
物前駆体である。
【0013】また、本発明(2)は、Ti(OR)
4(式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のア
ルキル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
と、一般式(3):
【0014】
【化14】
【0015】(式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状
又は分岐状のアルキレン基である)で表されるグリコー
ルを反応させる第1段階と;前記第1段階で得られた反
応物と、一般式(4):
【0016】
【化15】
【0017】(式中、R1及びR2は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
る)で表されるβ−ケトエステルを反応させる第2段階
と;前記第2段階で得られた反応物から、ROH(式
中、Rは、前記で定義したとおりである)を除去した
後、ROH除去後の前記第2段階で得られた反応物を減
圧蒸留する第3段階と;を含む、単核性チタン含有有機
化合物前駆体の製造方法である。
【0018】さらに、本発明(3)は、前記第1段階の
反応を溶媒中で行い、前記溶媒を前記第2段階で得られ
た反応物から除去することを含む、本発明(2)の単核
性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法である。
【0019】また、本発明(4)は、前記のTi(O
R)4で表されるチタンテトラアルコキシドと、前記一
般式(3)で表されるグリコールを反応させる第1段階
と;前記第1段階で得られた反応物と、前記の一般式
(4)で表されるβ−ケトエステルを反応させる第2段
階と;前記第2段階で得られた反応物から不要な副産物
を除去し、前記副産物を除去した前記第2段階で得られ
た反応物にアルコール類の溶媒を加える第3段階と;を
含む単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法であ
る。
【0020】さらに、本発明(5)は、前記チタンテト
ラアルコキシドが、前記チタンテトラアルコキシドに脂
肪族又は芳香族の炭化水素系溶媒を加えて形成した溶液
中に含まれるチタンテトラアルコキシドであり、前記第
3段階が更に、前記炭化水素系溶媒及び/又は前記第3
段階で加えた溶媒を除去することを含む、本発明(4)
の単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法であ
る。
【0021】また、本発明(6)は、前記チタンテトラ
アルコキシドに含まれるチタンと、前記グリコールと、
前記β−ケトエステルとのモル数の比が、1:1:2で
ある、本発明(4)又は(5)記載の単核性チタン含有
有機化合物前駆体の製造方法である。
【0022】さらに、本発明(7)は、前記のTi(O
R)4で表されるチタンテトラアルコキシドと、前記の
一般式(4)で表されるβ−ケトエステルを反応させる
第1段階と;前記第1段階で得られた反応物と、前記の
一般式(3)で表されるグリコールを反応させる第2段
階と;前記第2段階で得られた反応物から不要な副産物
を除去し、前記副産物を除去した前記第2段階で得られ
た反応物にアルコール類の溶媒を加える第3段階と;を
含む、単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法で
ある。
【0023】また、本発明(8)は、前記チタンテトラ
アルコキシドが、前記チタンテトラアルコキシドに脂肪
族又は芳香族の炭化水素系溶媒を加えて形成した溶液中
に含まれるチタンテトラアルコキシドであり、前記第3
段階が更に、前記炭化水素系溶媒及び前記第3段階で加
えた溶媒を除去することを含む、本発明(7)の単核性
チタン含有有機化合物前駆体の製造方法である。
【0024】さらに、本発明(9)は、前記チタンテト
ラアルコキシドに含まれるチタンと、前記グリコール
と、前記β−ケトエステルとのモル数の比が、1:1:
2である、本発明(7)又は(8)の単核性チタン含有
有機化合物前駆体の製造方法である。
【0025】また、本発明(10)は、前記のTi(O
R)4と、前記の一般式(3)で表されるグリコール及
び前記の一般式(4)で表されるβ−ケトエステルを反
応させる第1段階と;前記第1段階で得られた反応物か
ら不要な副産物を除去し、前記副産物を除去した前記第
1段階で得られた反応物にアルコール類の溶媒を加える
第2段階と;を含む、単核性チタン含有有機化合物前駆
体の製造方法である。
【0026】さらに、本発明(11)は、前記チタンテ
トラアルコキシドが、前記チタンテトラアルコキシドに
脂肪族又は芳香族の炭化水素系溶媒を加えて形成した溶
液中に含まれるチタンテトラアルコキシドであり、前記
第2段階が更に、前記炭化水素系溶媒及び前記第2段階
で加えた溶媒を除去することを含む、本発明(10)の
単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法である。
【0027】また、本発明(12)は、前記チタンテト
ラアルコキシドに含まれるチタンと、前記グリコール
と、前記β−ケトエステルのモル数との比が、1:1:
2である、本発明(10)又は(11)の単核性チタン
含有有機化合物前駆体の製造方法である。
【0028】さらに、本発明(13)は、一般式
(2):
【0029】
【化16】
【0030】(式中、R4及びR5は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
り、R6は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状のアル
キレン基であり、R7は、炭素数1〜8の直鎖状のアル
キル基である)で表される二核性チタン含有有機化合物
前駆体である。
【0031】また、本発明(14)は、Ti(OR)4
(式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアル
キル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
と、一般式(5):
【0032】
【化17】
【0033】(式中、R6は、炭素数2〜13の直鎖状
又は分岐状のアルキレン基である)で表されるグリコー
ルを反応させる第1段階と;前記第1段階で得られた反
応物と、一般式(6):
【0034】
【化18】
【0035】(式中、R4及びR5は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
る)で表されるβ−ケトエステルを反応させる第2段階
と;前記第2段階で得られた反応物から、ROH(式
中、Rは、前記で定義したとおりである)を除去した
後、ROH除去後の前記第2段階で得られた反応物を減
圧蒸留する第3段階と;を含み、さらに、前記減圧蒸留
の前及び/又は後に、R7OH(式中、R7は炭素数1〜
8の直鎖状のアルキル基である)で表されるアルコール
類を加える段階;を含む二核性チタン含有有機化合物前
駆体の製造方法である。
【0036】さらに、本発明(15)は、前記第1段階
の反応を溶媒中で行い、前記溶媒を前記第2段階で得ら
れた反応物から除去することを含む、本発明(14)の
二核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法である。
【0037】また、本発明(16)は、前記R7OH
(式中、R7は、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基で
ある)で表されるアルコール類を加える段階を、前記R
OH(式中、Rは、前記で定義したとおりである)の除
去後、前記減圧蒸留前に行う、本発明(14)又は(1
5)の二核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法で
ある。
【0038】さらに、本発明(17)は、前記R7OH
(式中、R7は、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基で
ある)で表されるアルコール類を加える段階を、前記減
圧蒸留後に行う、本発明(14)又は(15)の二核性
チタン含有有機化合物前駆体の製造方法である。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施態様
を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0040】なお、大気中でも安定で、容易に取扱うこ
とができるチタン含有有機化合物前駆体を形成するため
には、チタン含有有機化合物前駆体は、チタンの6個の
配位位置を飽和させる構造を有していることが必要であ
る。また、チタン含有有機化合物前駆体が優れた揮発性
を有するためには、チタン含有有機化合物前駆体を製造
するときに、対称形よりは非対称形の有機リガンドを与
える必要がある。
【0041】ここで、既存のTi(OPri)2(tmh
d)2とTi(mpd)(tmhd)2 前駆体を利用して製
造したBST薄膜(バリウム・ストロンチウム・チタン
薄膜)において、チタンの組成が足りず、また高い蒸着
温度が必要である理由は、チタンとtmhd間の結合が
強過ぎるためであることが知られている。
【0042】本発明者らは、これらのことから、β−ジ
ケトンから陽イオンが解離して、ジケトンの2つの酸素
原子に配位された構造と、チタンがβ−ジケトネートの
2つの酸素原子に配位された構造との類似性から、陽イ
オン解離定数が、β−ジケトンより小さい、キレート性
の有機リガンドを選択してチタン含有有機化合物前駆体
を合成する場合、チタンとの結合強度が弱くなるため、
更に低い温度でも蒸着が可能であり、蒸着速度も高いと
考えた。
【0043】そして、このような点に着眼し、本発明者
らは、左右対称形の有機リガンドであるジケトンの代り
に、非対称で陽イオン解離定数が100倍小さいβ−ケ
トエステルを選択し、本発明の単核性チタン含有有機化
合物前駆体を合成した。更に、本発明者らは、これらの
単核性チタン含有有機化合物前駆体をアルコールで処理
して、本発明の二核性チタン含有有機化合物前駆体を合
成した。
【0044】本発明の第一の実施態様は、一般式
(1):
【0045】
【化19】
【0046】(式中、R1及びR2は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
り、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状のアル
キレン基である)で表される単核性チタン含有有機化合
物前駆体である。
【0047】本発明の一般式(1)の単核性チタン含有
有機化合物前駆体は、非対称形のチタン含有有機化合物
前駆体を生成するために、β−ケトエステルを使用して
揮発性を向上させ、チタンの配位位置を飽和させるもの
であり、チタン金属と2価のグリコールと1価のβ−ケ
トエステルとのモル数の比を、1:1:2として反応さ
せることが好ましい。
【0048】一般式(1)において、R1及びR2で表さ
れる炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基とし
ては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−
ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、第二
級ペンチル、第三級ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキ
シル、第二級ヘキシル、第三級ヘキシル、イソヘプチ
ル、イソオクチル、第二級オクチル、第三級オクチル、
2−エチルヘキシルなどが挙げられ、またシクロアルキ
ル基としてはシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0049】一般式(1)において、R3で表される炭
素数2〜13の直鎖状又は分岐状のアルキレン基として
は、グリコール(ジオール)により与えられる基であり、
そのグリコールとしては、エタンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,3−ジメチル−1,3−プロパン
ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオー
ル、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2
−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1
−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−
1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。特に、そ
れらのうち、1,3−プロパンジオール及びそのアルキ
ル基置換体が本発明の効果を一層向上させるために望ま
しい。
【0050】本発明のチタン含有有機化合物前駆体の更
に具体的な例は、一般式(7)〜(10)の化合物であ
る。但し、本発明はこのような化合物により限定される
ものではない。
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】
【化22】
【0053】
【化23】
【0054】本発明の第二の実施態様は、一般式
(2):
【0055】
【化24】
【0056】(式中、R4及びR5は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
り、R6は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状のアル
キレン基であり、R7は、炭素数1〜8の直鎖状のアル
キル基である)で表される二核性チタン含有有機化合物
前駆体である。
【0057】一般式(2)において、R4及びR5で表さ
れる炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基は、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、第2ペン
チル、第3ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、第
2ヘキシル、第3ヘキシル、イソヘプチル、イソオクチ
ル、第2オクチル、第3オクチル、2−エチルヘキシル
などが挙げられ、シクロアルキル基には、シクロヘキシ
ル基などが挙げられる。
【0058】一般式(2)において、R6で表される炭
素数2〜13の直鎖状又は分岐状のアルキレン基は、グ
リコール(ジオール)により与えられる基であり、その
グリコールには、エタンジオール、1,3−プロパンジ
オール、1,3−ジメチル−1,3−プロパンジオー
ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2
−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、
2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エ
チル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1−メ
チル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3
−プロパンジオールなどが挙げられ、その中で1,3−
プロパンジオール及びそのアルキル基置換体が本発明の
効果を一層向上させるため望ましい。
【0059】一般式(2)において、R7で表される炭
素数1〜8の直鎖状のアルキル基は、アルコールにより
与えられる基であり、アルコールは、例えば、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、
n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノー
ル、n−ノナノールなどの第一級アルコールが挙げられ
る。炭素数が3以上である第二級アルコールである場合
には、その立体的な障害効果のため架橋結合が形成でき
ないと考えられる。
【0060】本発明のチタン含有有機化合物前駆体の更
に具体的な例は、一般式(11)〜(14)の化合物で
ある。但し、本発明はこのような化合物により限定され
るものではない。
【0061】
【化25】
【0062】
【化26】
【0063】
【化27】
【0064】
【化28】
【0065】また、本発明の第三の実施態様は、一般式
(1)で表される単核性チタン含有有機化合物前駆体の
製造方法である。具体的には、Ti(OR)4(式中、
Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基で
ある)で表されるチタンテトラアルコキシドと一般式
(3):
【0066】
【化29】
【0067】(式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状
又は分岐状のアルキレン基である)のグリコールを反応
させ、次いで、この反応物に一般式(4):
【0068】
【化30】
【0069】(式中、R1及びR2は、それぞれ独立し
て、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル
基、シクロアルキル基、フェニル基又はベンジル基であ
る)のβ−ケトエステルを反応させた後、この反応物か
らROH(式中、Rは前記で定義されたとおりである)
を除去し、減圧蒸留することを含む方法である。なお、
除去するROHは、反応により付加的に発生する。
【0070】Ti(OR)4おいてRで表されるアルキ
ル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどが挙げられ、T
i(OR)4としては、チタンテトライソプロポキシド
などが挙げられる。
【0071】また、一般式(3)及び(4)におけるR
1、R2及びR3の具体例等は、一般式(1)について挙
げられたものに準ずる。
【0072】なお、Ti(OR)4で表されるチタンテ
トラアルコキシド、一般式(3)のグリコール及び一般
式(4)のβ−ケトエステルの反応は、Ti(OR)4
で表されるチタンテトラアルコキシドと一般式(4)の
β−ケトエステルを反応させ、この反応物と一般式
(3)のグリコールを反応させてもよいし、あるいはT
i(OR)4で表されるチタンテトラアルコキシドと、
一般式(3)のグリコール及び一般式(4)のβ−ケト
エステルを投入して反応させてもよい。
【0073】本発明の第四の実施態様は、一般式(2)
で表される二核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方
法である。二核性チタン含有有機化合物前駆体は、前記
単核性チタン含有化合物前駆体をアルコール処理し、ア
ルコキシドによる架橋結合を形成することにより製造す
ることができる。例えば、単核性チタン含有有機化合物
前駆体の合成過程において、減圧蒸留前又は後の単核性
チタン含有有機化合物前駆体に過量のアルコールを加え
て、二核性チタン含有有機化合物前駆体を得る方法が挙
げられる。この場合、加えられるアルコールは溶媒と、
反応物の二つの役割を果たす。
【0074】具体的には、Ti(OR)4(式中、R
は、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基であ
る)で表されるチタンテトラアルコキシドと、一般式
(5):
【0075】
【化31】
【0076】(式中、R6は、炭素数2〜13の直鎖状
又は分岐状のアルキレン基である)のグリコールを反応
させ、次いで、一般式(6):
【0077】
【化32】
【0078】(式中、R4及びR5は、それぞれ独立して
炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シ
クロアルキル基、フェニル基又はベンジル基である)の
β−ケトエステルを反応させた後、ROH(式中、Rは
前記で定義されたとおりである)を除去し、減圧蒸留す
ることを含み、更に減圧蒸留前及び/又は後にR7OH
(ここで、R7は直鎖状の炭素数1〜8のアルキル基で
ある)で表されるアルコールを加える段階を含む方法で
ある。ROHは、反応により付加的に発生する。この方
法により、通常、前記一般式(2)の二核性チタン含有
有機化合物前駆体は、白色固体状で得られる。R7OH
で表されるアルコールは、ROH及び存在する場合には
溶媒の除去後、減圧蒸留前に加えてもよいし、あるいは
減圧蒸留後に加えてもよい。
【0079】Ti(OR)4おいてRで表されるアルキ
ル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどが挙げられ、T
i(OR)4としては、チタンテトライソプロポキシド
などが挙げられる。
【0080】また、一般式(5)及び(6)におけるR
4、R5、R6及びR7の具体例、並びにR7を与えるアル
コールの具体例等は、一般式(2)について挙げられた
ものに準ずる。
【0081】なお、Ti(OR)4で表されるチタンテ
トラアルコキシド、一般式(5)のグリコール及び一般
式(6)のβ−ケトエステルの反応は、Ti(OR)4
で表されるチタンテトラアルコキシドと一般式(6)の
β−ケトエステルを反応させ、この反応物と一般式
(5)のグリコールを反応させてもよいし、あるいはT
i(OR)4で表されるチタンテトラアルコキシドと、
一般式(5)のグリコール及び一般式(6)のβ−ケト
エステルを投入して反応させてもよい。
【0082】上述の本発明の単核性チタン含有有機化合
物前駆体及び二核性チタン含有有機化合物前駆体の製造
方法において、溶媒を使用せずに反応を行うことも可能
であるが、前記チタンテトラアルコキシド、β−ケトエ
ステル、グリコールなどを均一に溶解させる溶媒、特
に、一定の方法により脱水及び蒸留した溶媒に、前記原
料を溶解させた溶液系で反応させることが、反応を順調
に進行させる点から好ましい。ヘキサン又はトルエンな
どのような脂肪族又は芳香族の炭化水素系溶媒が好まし
く、溶媒と副産物から生成される低級アルコールを効率
的に除去するためには低沸騰点で共沸できることが好ま
しい。また、このような溶媒は、前記原料と反応しない
ことが好ましく、アルコール類及びアミン類以外である
ことが好ましい。溶媒を使用する場合は、減圧蒸留前に
除去されることが好ましい。例えば、ROHとともに除
去することができる。
【0083】本発明のチタン含有有機化合物前駆体の製
造方法を、以下に更に具体的に説明するが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0084】市販のチタンテトラアルコキシド1モルと
グリコール1モルを反応させ、次いで、β−ケトエステ
ル2モルを反応させた後、溶媒と副産物を除去し、減圧
蒸留して、前記一般式(1)の単核性チタン含有有機化
合物前駆体を粘度が大きい黄色の液体として得ることが
できる。前記減圧蒸留前及び/又は後のチタン含有有機
化合物前駆体にアルコール類を加えて、アルコキシドが
架橋結合された前記一般式(2)の二核性チタン含有有
機化合物前駆体を白色固体の生成物として得ることがで
きる。
【0085】前記単核性チタン含有化合物前駆体の合成
例において、1価のアルコキシ基が2価のアルコールに
より置換され易い性質と、1価のアルコキシ基がβ−ケ
トエステルノニオンによりキレートされる効果で置換さ
れる性質を利用して、16時間以上室温で攪拌したり、
80℃以上にて1時間、還流させても同様な合成結果が
得られる。
【0086】
【実施例】以下に、本発明の一般式(1)で表されるチ
タン含有有機化合物前駆体及びその製造方法について詳
細に説明する。以下の実施例は、本発明のチタン含有有
機化合物前駆体の製造方法を説明するために例示したも
のであり、本発明は必ずしもこれに限定されるものでは
ない。
【0087】実施例1A〜実施例4Aは、チタンテトラ
アルコキシドを溶解した溶液に、グリコール及びβ−ケ
トエステルを共に投入して反応させた例であるが、チタ
ンテトラアルコキシドとグリコール又はβ−ケトエステ
ルの反応生成物を生成させて、チタン含有有機化合物前
駆体を製造したものである。
【0088】実施例5Aは、実施例1Aと同一組成のグ
リコール及びβ−ケトエステルを使用した例であるが、
チタンテトラアルコキシドを溶解した溶液にまず、グリ
コールを投入して反応させた後、β−ケトエステルを投
入して反応させる工程でチタン含有有機化合物前駆体を
製造したものである。
【0089】また、実施例6Aは実施例1Aと同一組成
のグリコール及びβ−ケトエステルを使用した例である
が、チタンテトラアルコキシドを溶解した溶液にまず、
β−ケトエステルを投入して反応させた後、グリコール
を投入して反応させる工程でチタン含有有機化合物前駆
体を製造したものである。
【0090】〔実施例1A〕まず、窒素雰囲気下で、チ
タンテトラアルコキシドとしてチタンテトライソプロポ
キシド4.55g(0.016モル)を、脱水及び蒸留
したヘキサン16mlに溶解させた。次に、このチタンテ
トライソプロポキシドが溶解した溶液に、β−ケトエス
テルとしてメチル−2,2−ジメチル−3−オキソペン
タノエート5.06g(0.032モル)及びグリコー
ルとして2−メチル−2,4−ペンタンジオール1.8
9g(0.016モル)を加えて1時間還流させた。そ
の後、チタンテトライソプロポキシドとメチル−2,2
−ジメチル−3−オキソペンタノエートと2−メチル−
2,4−ペンタンジオールの反応生成物を含む溶液を蒸
留してヘキサン溶媒と副産物、即ち、イソプロパノール
を除去した後、脱水及び蒸留したメタノールを加えて白
色の固体を得た。この固体をろ過し、冷メタノールで洗
浄し、真空状態で3時間乾燥して、チタン含有有機化合
物前駆体である一般式(7)で表される単核性チタン含
有有機化合物前駆体Ti(mdp)(mdop)23.48g
を製造した。
【0091】〔実施例2A〕まず、窒素雰囲気下で、チ
タンテトライソプロポキシド4.55g(0.016モ
ル)を、脱水及び蒸留したヘキサン16mlに溶解させ
た。次に、このチタンテトライソプロポキシドが溶解し
た溶液に、5.06g(0.032モル)のメチル−
2,2−ジメチル−3−オキソペンタノエート及びグリ
コールとして2,4−ペンタンジオール1.67g
(0.016モル)を加えて1時間還流させた。その
後、チタンテトライソプロポキシドとメチル−2,2−
ジメチル−3−オキソペンタノエートと2,4−ペンタ
ンジオールの反応生成物が含まれた溶液を蒸留してヘキ
サン溶媒とイソプロパノールを除去した後、脱水及び蒸
留したメタノールを加えて白色の固体を得た。この固体
をろ過し、冷メタノールで洗浄し、真空状態で3時間乾
燥して、チタン含有有機化合物前駆体である一般式
(8)で表される単核性チタン含有有機化合物前駆体T
i(pd)(mdop)23.08gを製造した。
【0092】〔実施例3A〕まず、窒素雰囲気下で、チ
タンテトライソプロポキシド4.55g(0.016モ
ル)を、脱水及び蒸留したヘキサン16mlに溶解させ
た。次に、このチタンテトライソプロポキシドが溶解し
た溶液に、5.06g(0.032モル)のメチル−
2,2−ジメチル−3−オキソペンタノエート及びグリ
コールとしてネオペンチルグリコール1.67g(0.
016モル)を加えて1時間還流させた。その後、チタ
ンテトライソプロポキシドとメチル−2,2−ジメチル
−3−オキソペンタノエートとネオペンチルグリコール
の反応生成物を含む溶液を蒸留してヘキサン溶媒とイソ
プロパノールを除去した後、脱水及び蒸留したメタノー
ルを加えて白色の固体を得た。この固体をろ過し、冷メ
タノールで洗浄し、真空状態で3時間乾燥して、チタン
含有有機化合物前駆体である下記の一般式(9)で表さ
れる単核性チタン含有有機化合物前駆体Ti(npg)
(mdop)23.56gを製造した。
【0093】〔実施例4A〕まず、窒素雰囲気下で、チ
タンテトライソプロポキシド4.55g(0.016モ
ル)を、脱水及び蒸留したヘキサン16mlに溶解させ
た。次いで、このチタンテトライソプロポキシドが溶解
した溶液に、1.89g(0.016モル)の2−メチ
ル−2,4−ペンタンジオール及びβ−ケトエステルと
してエチルアセトアセテート4.16g(0.032モ
ル)を加えて1時間還流させた。その後、チタンテトラ
イソプロポキシドとエチルアセトアセテートと2−メチ
ル−2,4−ペンタンジオールの反応生成物が含まれた
溶液を蒸留してヘキサン溶媒とイソプロパノールを除去
した後、脱水及び蒸留したメタノールを加えて白色の固
体を得た。この固体をろ過し、冷メタノールで洗浄し、
真空状態で3時間乾燥して、チタン含有有機化合物前駆
体である一般式(10)で表される単核性チタン含有有
機化合物前駆体Ti(mdp)(etac)22.06gを製
造した。
【0094】図1〜図4は、実施例1A〜4Aにより製
造した単核性チタン含有有機化合物前駆体をIR分析又
はTGA分析した結果を示す図である。ここで、図1a
及び図1bは、それぞれ、実施例1Aによる単核性チタ
ン含有有機化合物前駆体をIR分析、及びTGA分析し
た結果を示す図である。また、図2〜4は、実施例2A
〜4Aで製造した単核性チタン含有有機化合物前駆体を
IR分析した結果を示す図である。また表1は、図1〜
図4に示した図から求めた結果を数値化したものであ
る。
【0095】
【表1】
【0096】〔実施例5A〕まず、窒素雰囲気下で、チ
タンテトラアルコキシドとしてチタンテトライソプロポ
キシド4.55g(0.016モル)を、脱水及び蒸留
したヘキサン16mlに溶解させた。次いで、このチタン
テトライソプロポキシドが溶解した溶液に、1.89g
(0.016モル)の2−メチル−2,4−ペンタンジ
オールを加えて1時間攪拌して、チタンテトライソプロ
ポキシドと2−メチル−2,4−ペンタンジオールを反
応させた。次いで、チタンテトライソプロポキシドと2
−メチル−2,4−ペンタンジオールの反応物が含まれ
た溶液に、5.06g(0.032モル)のメチル−
2,2−ジメチル−3−オキソペンタノエートを加えて
1時間還流させることにより、チタンテトライソプロポ
キシドと2−メチル−2,4−ペンタンジオールの反応
物が含まれた溶液とメチル−2,2−ジメチル−3−オ
キソペンタノエートを反応させた。その後、チタンテト
ライソプロポキシドとメチル−2、2−ジメチル−3−
オキソペンタノエートと2−メチル−2,4−ペンタン
ジオールの反応生成物が含まれた溶液を蒸留してヘキサ
ン溶媒とイソプロパノールを除去した後、脱水及び蒸留
したメタノールを加えて白色固体を得た。この固体をろ
過し、冷メタノールで洗浄し、真空状態で3時間乾燥し
て、実施例1Aと同一の組成の単核性チタン含有有機化
合物前駆体Ti(mdp)(mdop) 23.11gを製造し
た。
【0097】〔実施例6A〕まず、窒素雰囲気下で、チ
タンテトラアルコキシドとしてチタンテトライソプロポ
キシド4.55g(0.016モル)を、脱水及び蒸留
したヘキサン16mlに溶解させた。次いで、このチタン
テトライソプロポキシドが溶解した溶液に、5.06g
(0.032モル)のメチル−2,2−ジメチル−3−
オキソペンタノエートを加えて1時間混合して、チタン
テトライソプロポキシドとメチル−2,2−ジメチル−
3−オキソペンタノエートを反応させた。次いで、チタ
ンテトライソプロポキシドとメチル−2,2−ジメチル
−3−オキソペンタノエートの反応物が含まれた溶液
に、1.89g(0.016モル)の2−メチル−2,
4−ペンタンジオールを加えて還流させることにより、
チタンテトライソプロポキシドとメチル−2,2−ジメ
チル−3−オキソペンタノエートの反応物が含まれた溶
液と2−メチル−2,4−ペンタンジオールを反応させ
た。その後、チタンテトライソプロポキシドとメチル−
2,2−ジメチル−3−オキソペンタノエートと2−メ
チル−2,4−ペンタンジオールの反応生成物が含まれ
た溶液を蒸留してヘキサン溶媒とイソプロパノールを除
去した後、脱水及び蒸留したメタノールを加えて白色の
固体を得た。この固体をろ過し、冷メタノールで洗浄
し、真空状態で3時間乾燥して、実施例1Aと同様の組
成を有する単核性チタン含有有機化合物前駆体Ti(m
dp)(mdop)23.13gを製造した。
【0098】〔TiO2薄膜の製造〕実施例1Aで得ら
れたTi(mdp)(mdop)2と従来のTi(OPri
2(tmhd)2をそれぞれ原料として、MOCVD法でT
iO2薄膜を蒸着して製造した。このとき、共通の薄膜
蒸着条件として、CVD装置は直接液体噴射システムを
備えた基板直接加熱式CVD装置を使用し、基板はSi
基板上にSiO2酸化膜とTi薄膜とPt薄膜を順次に
蒸着した基板を使用した。また、反応気体はO2を使用
し、運搬気体(キャリアガス)にはArを使用し、薄膜
蒸着時間は30分であった。また、Ti(OPri
2(tmhd)2はn−ブチルアセテートに溶解させ、一
方、Ti(mdp)(mdop)2はトルエンに溶解させた
後、それぞれ260℃の蒸発器に投入して気化させた。
このとき、それぞれの溶液内のチタン濃度は0.08モ
ルに維持した。
【0099】図5は、前記の薄膜蒸着条件のもとで、T
iO2薄膜をそれぞれ蒸着した場合の蒸着速度を比較し
た図である。図5において、参照符号Aは本発明による
単核性チタン含有有機化合物前駆体(Ti(mdp)(m
dop)2)を使用した場合であり、参照符号Bは従来の
有機金属前駆体(Ti(OPri2(tmhd)2)を使
用した場合の蒸着速度である。表2は、それぞれの基板
温度において30分間蒸着したときの蒸着薄膜の厚さ
を、走査電子顕微鏡写真を分析して表したものである。
【0100】
【表2】
【0101】図5及び表2を参照すると、本発明の単核
性チタン含有有機化合物前駆体Ti(mdp)(mdop)
2を使用してTiO2薄膜を蒸着する場合には、Ti(O
Pr i2(tmhd)2を使用してTiO2薄膜を製造する
場合よりも、薄膜の蒸着速度が著しく大きく、蒸着され
た薄膜の厚さも、本発明による場合の方が著しく大きい
ことがわかる。
【0102】前記の蒸着条件下で、単核性チタン含有有
機化合物前駆体としてTi(mdp)(mdop)2を使用
し、基板の温度を425℃にして蒸着させた厚さ262
5ÅのTiO2薄膜を走査電子顕微鏡で観察した。図6
a及び図6bに、それぞれ、蒸着薄膜の表面形状及び断
面を示すが、TiO2薄膜は非常に緻密で均質な薄膜で
あることがわかる。
【0103】〔実施例1B〜9B〕 〔実施例1B〕一般式(7)の化合物、Ti(mpd)(mdop)2
合成 窒素雰囲気下でチタンテトライソプロポキシド 4.7
2mL(16.0mmol)を16mLの脱水及び蒸留したヘキ
サンに溶解させ、生成溶液に2−メチル−2,4−ペン
タンジオール 2.04mLを加えて室温で1時間攪拌し
た後、メチル2,2−ジメチル−3−オキソペンタノエ
ート 5.11mLを加えて1時間還流させた。ヘキサン
溶媒と副産物から生じたイソプロパノールを蒸留により
除去し、減圧蒸留して粘度が大きい黄色液体として単核
性チタン含有有機化合物前駆体である一般式(7)の化
合物を6.48g(84.7%)得た。得られた一般式
(7)の化合物に対して以下の分析を行い、その結果を
表3に表した。NMR(600MHz, in C6D6)δppm; 5.314(2
H), 5.175 and 4.983(1H), 3.249(6H), 2.022(1H), 1.8
30(1H), 1.600 and 1.433(3H), 1.225-1.214(24H). FT-
IR(solution in benzene); 3112, 2961, 2926, 2892, 2
866, 1629, 1612, 1590, 1534, 1508, 1456, 1400, 135
7, 1280, 1228, 1193, 1150, 1077, 973, 939, 892 cm
-1
【0104】〔実施例2B〕一般式(8)の化合物、Ti(pd)(mdop)2の合
窒素雰囲気下でチタンテトライソプロポキシド2.36
mL(8.00mmol)を8mLの脱水及び蒸留したヘキサン
に溶解させ、これに、2,4−ペンタンジオール0.8
8mLを加えて1時間室温で攪拌した後、メチル2,2−
ジメチル−3−オキソペンタノエート2.56mLを加え
て1時間還流させた。ヘキサン溶媒と副産物から生じた
イソプロパノールを蒸留により除去し、減圧蒸留して粘
度が大きい黄色液体として単核性チタン含有有機化合物
前駆体である一般式(8)の化合物を2.95g(7
9.4%)得た。得られた一般式(8)の化合物に対し
て以下の分析を行い、その結果を表3に表した。 NMR(6
00MHz, in C6D6)δppm; 5.337(2H), 5.09-4.76(2H), 3.
279(6H), 1.983-1.691(2H), 1.208-1.158(24H). FT-IR
(solution in benzene); 3233, 3116, 2965, 2922, 286
2, 2275, 1633, 1612,1590, 1534, 1512, 1452, 1400,
1361, 1331, 1279, 1228, 1150, 1129, 1098,978, 956,
887 cm-1
【0105】〔実施例3B〕一般式(9)の化合物、Ti(npg)(mdop)2
合成 アルゴン雰囲気のグローブボックス(glove box)内で
ネオペンチルグリコール0.833gをフラスコに入れ
てから取り出した後、窒素雰囲気下で脱水及び蒸留した
ヘキサン12mLに溶解させた。生成溶液にチタンテトラ
イソプロポキシド2.36mLを加えて室温で1時間反応
させた後、メチル2,2−ジメチル−3−オキソペンタ
ノエート2.56mLを加えて16時間室温で攪拌した。
溶液をろ過して微量の固体を除去して濃縮させた後、冷
蔵庫に保管して白色固体として単核性チタン含有有機化
合物前駆体である一般式(9)の化合物を1.47g
(39.6%)得た。得られた一般式(9)の化合物に
対して以下の分析を行い、その結果を表3に表した。 F
T-IR(solution in benzene); 2952, 2923, 2899, 2867,
2826, 2675, 1631, 1533, 1513, 1456, 1387, 1354, 1
277, 1228, 1146, 1089, 1007, 971 cm-1
【0106】〔実施例4B〕一般式(10)の化合物、Ti(mpd)(etac)2
の合成 窒素雰囲気下でチタンテトライソプロポキシド2.36
mLを8mLの脱水及び蒸留したヘキサンに溶かし、これ
に、2−メチル−2,4−ペンタンジオール1.02mL
を加えて室温で1時間反応させた後、エチルアセトアセ
テート2.04mLを加えて16時間攪拌した。ヘキサン
溶媒と副産物から生じたイソプロパノールを蒸留により
除去し、減圧蒸留して黄色液体として単核性チタン含有
有機化合物前駆体である一般式(10)の化合物を2.
73g(80.8%)得た。得られた一般式(10)の
化合物に対して以下の分析を行い、その結果を表3に表
した。FT-IR(solution in benzene); 3112, 2974, 293
1, 2857, 1633, 1607, 1573,1530, 1443, 1409, 1370,
1280, 1215, 1172, 1150, 1060, 1012, 969, 939, 891
cm-1
【0107】〔実施例5B〕一般式(11)の化合物、〔Ti(mpd)(mdop)
(OMe)〕2の合成 実施例1Bと同様であるが、減圧蒸留前の物質に脱水及
び蒸留したメタノールを加えて白色固体を得た。この固
体を濾過し、冷たいメタノールで洗浄した後、真空下で
5時間以上乾燥して白色固体として一般式(11)の化
合物を3.48g得た。得られた一般式(11)の化合
物に対し以下の分析を行い、その結果を表1に表した。
また、白色固体を濾過した濾液から単結晶を作り、X線
構造分析を行って図7に表した。一般式(11)の化合
物のX線構造分析結果、メトキシド(methoxide)基が
二つのチタン間に架橋結合をした二核性分子であり、m
pdリガンドの三つのメチル基が無秩序(disorderd)
構造で存在することを確認した。得られた一般式(1
1)の化合物の熱分析結果を図8に表し、揮発性が優れ
ており、分解反応が簡単でありながらも、300℃以下
の低温で完結され、優れたチタン含有有機化合物前駆体
であることを確認した。FT-IR(solution in benzene);
2970, 2922, 2862, 2820, 1622, 1598, 1532, 1514, 14
54, 1400, 1358, 1281, 1226, 1190, 1155, 1076, 104
7, 1023, 968, 945 cm-1
【0108】〔実施例6B〕一般式(12)の化合物、〔Ti(pd)(mdop)
(OMe)〕2の合成 実施例2Bと同様であるが、反応スケールを2倍にした
2倍の反応過程で減圧蒸留前の物質に脱水及び蒸留した
メタノールを加えて白色固体を得た。この固体を濾過
し、冷たいメタノールで洗浄した後、真空下で5時間以
上乾燥して二核性チタン含有有機化合物前駆体である一
般式(12)の化合物を3.08g得た。得られた一般
式(12)の化合物に対して以下の分析を行い、その結
果を表3に表した。FT-IR (solution in benzene); 305
5, 2964, 2928, 2864, 1631, 1613,1592, 1533, 1515,
1448, 1396, 1355, 1281, 1227, 1154, 1126, 1096, 10
50,1021, 975, 952 cm-1
【0109】〔実施例7B〕一般式(13)の化合物、〔Ti(npg)(mdop)
(OMe)〕2の合成 実施例3Bと同様であるが、反応スケールを2倍にした
2倍の反応過程で濃縮後の物質に脱水及び蒸留したメタ
ノールを加えて白色固体を得た。この固体を濾過し、冷
たいメタノールで洗浄した後、真空下で5時間以上乾燥
して二核性チタン含有有機化合物前駆体である一般式
(13)の化合物を3.56g得た。得られた一般式
(13)の化合物に対して分析を行い、その結果を表3
に表した。FT-IR (solution in benzene); 3055, 2955,
2909, 2856, 2829, 1631, 1613, 1595, 1533, 1514, 1
451, 1398, 1281, 1227, 1154, 1126, 1092, 1048, 102
0, 975cm-1
【0110】〔実施例8B〕一般式(14)の化合物、〔Ti(mpd)(etac)
(OMe)〕2の合成 実施例4Bと同様であるが、反応スケールを2倍にした
2倍の反応過程で減圧蒸留前の物質に脱水及び蒸留した
メタノールを加えて白色固体を得た。この固体を濾過
し、冷たいメタノールで洗浄した後、真空下で5時間以
上乾燥して二核性チタン含有有機化合物前駆体である一
般式(14)の化合物を2.06g得た。得られた一般
式(14)の化合物に対して以下の分析を行い、表1に
表した。FT-IR (solution in benzene); 3045, 2973, 2
928, 1623, 1605, 1523, 1361, 1281, 1172, 1145, 103
7, 965, 938 cm-1。実施例3及び5〜8で濾液を濃縮し
て冷蔵保管することにより、白色固体を更に得て収率を
増加させることができた。
【0111】〔実施例9B〕一般式(7)及び(11)
の化合物とTi(OPri)2(tmhd)2 及びTi(m
pd)(tmhd)2をそれぞれ前駆体として使用し、LS
−MOCVD(liquidsource metal-organic chemical
vapor deposition)により薄膜を製造し、その蒸着速度
を比較して図9に表した。
【0112】(薄膜製造条件) CVD装置 : 発明者らが製造した基板加熱式CVD
装置&直接液体噴射システム(direct liquid injectio
n system)、 反応ガス : 酸素(O2)、 キャリアガス : アルゴン(Ar)、 基板 : Pt/TiN/SiO2/Si、 基板の温度 : 375−475℃、 蒸発器の温度 : 280℃、 前駆体の濃度 : 0.08mol/L、 溶媒 : 一般式(7)及び(11)の化合物の溶媒は
トルエン(toluene)、Ti(OPri)2(tmhd)2
びTi(mpd)(tmhd)2の溶媒はN−ブチルアセテ
ート。
【0113】図9に示したように、薄膜製造の全ての場
合において、本発明の一般式(7)及び(11)の化合
物の蒸着速度が従来のTi(OPri)2(tmhd)2及び
Ti(mpd)(tmhd)2の蒸着速度より遥かに速い
ことを確認した。一般式(11)の化合物から得られた
TiO2薄膜の表面形状及び断面を走査電子顕微鏡で観
察した結果、全て緻密であり、均質な薄膜の形成と同時
にカラム模様の成長(columnar growth)を確認した
(図10及び図11)。
【0114】
【表3】
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、大気中で安定で、取扱
が容易であり、熱安定性と気化安定性が良好であり、分
解反応が簡単で低い温度でも蒸着速度が優れた新規なチ
タン含有有機化合物前駆体を簡便な方法で合成でき、ま
た、経済的にも優れている。
【0116】なお、本発明は、前記の実施例に限定され
ることはなく、本発明の技術的思想内で当分野における
通常の知識を有する者により、多くの変形が可能である
ことは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1a】実施例1Aにより製造されたチタン含有有機
化合物前駆体をIR分析した図である。
【図1b】実施例1Aにより製造されたチタン含有有機
化合物前駆体をTGA分析した図である。
【図2】実施例2Aにより製造されたチタン含有有機化
合物前駆体をIR分析した図である。
【図3】実施例3Aにより製造されたチタン含有有機化
合物前駆体をIR分析した図である。
【図4】実施例4Aにより製造されたチタン含有有機化
合物前駆体をIR分析した図である。
【図5】本発明によるチタン含有有機化合物前駆体(符
号A)と従来のチタン含有有機化合物前駆体(符号B)
を使用して、有機金属化学気相蒸着法でチタン薄膜をそ
れぞれ蒸着した場合の蒸着速度を比較した図である。
【図6a】本発明によるチタン含有有機化合物前駆体を
使用して薄膜を蒸着した場合の薄膜の表面形状を表す走
査電子顕微鏡写真である。
【図6b】本発明によるチタン含有有機化合物前駆体を
使用して薄膜を蒸着した場合の薄膜の断面を表す走査電
子顕微鏡写真である。
【図7】実施例5Bで合成した化合物のX線構造分析に
よる構造模式図。
【図8】実施例5Bで合成した化合物のTG/DT分析
結果を表したグラフ。
【図9】実施例9Bで試験した各チタン含有有機化合物
前駆体の蒸着速度を比較したグラフ。
【図10】実施例9Bにおいて425℃で蒸着された試
片の表面形状の走査電子顕微鏡写真。
【図11】実施例9Bにおいて425℃で蒸着された試
片断面の走査電子顕微鏡写真。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年11月1日(2002.11.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基又はベンジル基であり、R3は、炭素
数2〜13の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である)
で表される単核性チタン含有有機化合物前駆体。
【化2】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
る第1段階と;前記第1段階で得られた反応物と、一般
式(4):
【化3】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
−ケトエステルを反応させる第2段階と;前記第2段階
で得られた反応物から、ROH(式中、Rは、前記で定
義したとおりである)を除去した後、ROH除去後の前
記第2段階で得られた反応物を減圧蒸留する第3段階
と;を含む、単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造
方法。
【化4】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
−ケトエステルを反応させる第1段階と;前記第1段階
で得られた反応物と、一般式(3):
【化5】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
る第2段階と;前記第2段階で得られた反応物から不要
な副産物を除去し、前記副産物を除去した前記第2段階
で得られた反応物を減圧蒸留する第3段階と;を含む、
単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法。
【化6】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
アルキレン基である)で表されるグリコール及び一般式
(4):
【化7】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
−ケトエステルを反応させる第1段階と;前記第1段階
で得られた反応物から不要な副産物を除去し、前記副産
物を除去した前記第1段階で得られた反応物を減圧蒸留
する第2段階と;を含む、単核性チタン含有有機化合物
前駆体の製造方法。
【化8】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基又はベンジル基であり、R6は、炭素
数2〜13の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、
7は、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基である)で
表される二核性チタン含有有機化合物前駆体。
【化9】 (式中、R6は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
る第1段階と;前記第1段階で得られた反応物と、一般
式(6):
【化10】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜
8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
−ケトエステルを反応させる第2段階と;前記第2段階
で得られた反応物から、ROH(式中、Rは、前記で定
義したとおりである)を除去した後、ROH除去後の前
記第2段階で得られた反応物を減圧蒸留する第3段階
と;を含み、さらに、前記減圧蒸留の前及び/又は後
に、R7OH(式中、R7は炭素数1〜8の直鎖状のアル
キル基である)で表されるアルコール類を加える段階;
を含む二核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1): 【化1】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基であり、R3は、炭素
    数2〜13の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である)
    で表される単核性チタン含有有機化合物前駆体。
  2. 【請求項2】 Ti(OR)4 (式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアル
    キル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
    と、一般式(3): 【化2】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
    アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
    る第1段階と;前記第1段階で得られた反応物と、一般
    式(4): 【化3】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
    −ケトエステルを反応させる第2段階と;前記第2段階
    で得られた反応物から、ROH(式中、Rは、前記で定
    義したとおりである)を除去した後、ROH除去後の前
    記第2段階で得られた反応物を減圧蒸留する第3段階
    と;を含む、単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記第1段階の反応を溶媒中で行い、前
    記溶媒を前記第2段階で得られた反応物から除去するこ
    とを含む、請求項2記載の単核性チタン含有有機化合物
    前駆体の製造方法。
  4. 【請求項4】 Ti(OR)4 (式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアル
    キル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
    と、一般式(3): 【化4】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
    アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
    る第1段階と;前記第1段階で得られた反応物と、一般
    式(4): 【化5】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
    −ケトエステルを反応させる第2段階と;前記第2段階
    で得られた反応物から不要な副産物を除去し、前記副産
    物を除去した前記第2段階で得られた反応物にアルコー
    ル類の溶媒を加える第3段階と;を含む単核性チタン含
    有有機化合物前駆体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記チタンテトラアルコキシドが、前記
    チタンテトラアルコキシドに脂肪族又は芳香族の炭化水
    素系溶媒を加えて形成した溶液中に含まれるチタンテト
    ラアルコキシドであり、前記第3段階が更に、前記炭化
    水素系溶媒及び/又は前記第3段階で加えた溶媒を除去
    することを含む、請求項4記載の単核性チタン含有有機
    化合物前駆体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記チタンテトラアルコキシドに含まれ
    るチタンと、前記グリコールと、前記β−ケトエステル
    とのモル数の比が、1:1:2である、請求項4又は5
    記載の単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法。
  7. 【請求項7】 Ti(OR)4 (式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアル
    キル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
    と、一般式(4): 【化6】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
    −ケトエステルを反応させる第1段階と;前記第1段階
    で得られた反応物と、一般式(3): 【化7】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
    アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
    る第2段階と;前記第2段階で得られた反応物から不要
    な副産物を除去し、前記副産物を除去した前記第2段階
    で得られた反応物にアルコール類の溶媒を加える第3段
    階と;を含む、単核性チタン含有有機化合物前駆体の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記チタンテトラアルコキシドが、前記
    チタンテトラアルコキシドに脂肪族又は芳香族の炭化水
    素系溶媒を加えて形成した溶液中に含まれるチタンテト
    ラアルコキシドであり、前記第3段階が更に、前記炭化
    水素系溶媒及び/又は前記第3段階で加えた溶媒を除去
    することを含む、請求項7記載の単核性チタン含有有機
    化合物前駆体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記チタンテトラアルコキシドに含まれ
    るチタンと、前記グリコールと、前記β−ケトエステル
    とのモル数の比が、1:1:2である、請求項7又は8
    記載の単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法。
  10. 【請求項10】 Ti(OR)4 (式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアル
    キル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
    と、一般式(3): 【化8】 (式中、R3は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
    アルキレン基である)で表されるグリコール及び一般式
    (4): 【化9】 (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
    −ケトエステルを反応させる第1段階と;前記第1段階
    で得られた反応物から不要な副産物を除去し、前記副産
    物を除去した前記第1段階で得られた反応物にアルコー
    ル類の溶媒を加える第2段階と;を含む、単核性チタン
    含有有機化合物前駆体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記チタンテトラアルコキシドが、前
    記チタンテトラアルコキシドに脂肪族又は芳香族の炭化
    水素系溶媒を加えて形成した溶液中に含まれるチタンテ
    トラアルコキシドであり、前記第2段階が更に、前記炭
    化水素系溶媒及び/又は前記第2段階で加えた溶媒を除
    去することを含む、請求項10記載の単核性チタン含有
    有機化合物前駆体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記チタンテトラアルコキシドに含ま
    れるチタンと、前記グリコールと、前記β−ケトエステ
    ルのモル数との比が、1:1:2である、請求項10又
    は11記載の単核性チタン含有有機化合物前駆体の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 一般式(2): 【化10】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基であり、R6は、炭素
    数2〜13の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、
    7は、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基である)で
    表される二核性チタン含有有機化合物前駆体。
  14. 【請求項14】 Ti(OR)4 (式中、Rは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアル
    キル基である)で表されるチタンテトラアルコキシド
    と、一般式(5): 【化11】 (式中、R6は、炭素数2〜13の直鎖状又は分岐状の
    アルキレン基である)で表されるグリコールを反応させ
    る第1段階と;前記第1段階で得られた反応物と、一般
    式(6): 【化12】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜
    8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキ
    ル基、フェニル基又はベンジル基である)で表されるβ
    −ケトエステルを反応させる第2段階と;前記第2段階
    で得られた反応物から、ROH(式中、Rは、前記で定
    義したとおりである)を除去した後、ROH除去後の前
    記第2段階で得られた反応物を減圧蒸留する第3段階
    と;を含み、さらに、前記減圧蒸留の前及び/又は後
    に、R7OH(式中、R7は炭素数1〜8の直鎖状のアル
    キル基である)で表されるアルコール類を加える段階;
    を含む二核性チタン含有有機化合物前駆体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1段階の反応を溶媒中で行い、
    前記溶媒を前記第2段階で得られた反応物から除去する
    ことを含む、請求項14記載の二核性チタン含有有機化
    合物前駆体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記R7OH(式中、R7は、炭素数1
    〜8の直鎖状のアルキル基である)で表されるアルコー
    ル類を加える段階を、前記ROH(式中、Rは、前記で
    定義したとおりである)の除去後、前記減圧蒸留前に行
    う、請求項14又は15に記載の二核性チタン含有有機
    化合物前駆体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記R7OH(式中、R7は、炭素数1
    〜8の直鎖状のアルキル基である)で表されるアルコー
    ル類を加える段階を、前記減圧蒸留後に行う、請求項1
    4又は15に記載の二核性チタン含有有機化合物前駆体
    の製造方法。
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