JP2003083874A - 粘弾性材料特性解析方法、システムおよび記録媒体 - Google Patents

粘弾性材料特性解析方法、システムおよび記録媒体

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JP2003083874A
JP2003083874A JP2001272990A JP2001272990A JP2003083874A JP 2003083874 A JP2003083874 A JP 2003083874A JP 2001272990 A JP2001272990 A JP 2001272990A JP 2001272990 A JP2001272990 A JP 2001272990A JP 2003083874 A JP2003083874 A JP 2003083874A
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model
viscoelastic
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finite element
viscoelastic material
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Nami Yu
兪  波
Eiji Kawai
栄二 河合
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘弾性材料の材料特性を実験データより算出
し、さらに様々な条件下における粘弾性材料構造物の変
形、応力、ひずみなどを算出することができる粘弾性材
料特性解析方法、システムおよび記録媒体を提供する。 【解決手段】 有限要素法ソルバ12により演算を行うデ
ータ処理装置13と、粘弾性材料に対する変形試験の実験
データを測定する引張試験機11と、データ処理装置13に
よる計算結果を出力する表示装置15と、有限要素法を用
いて粘弾性特性解析を行う際の複数種類のモデル、変形
モードおよび材料モデルを含むデータを記憶して管理す
るファイルサーバ14とをネットワーク16上に設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非線型特性を有す
る粘弾性材料が荷重などの負荷により変形することによ
り発生する応力やひずみ特性を有限要素法解析で効率的
に求めるための粘弾性材料特性解析方法、システムおよ
び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】有限要素法は、外力を受けて変形する物
体を多数の小領域(要素)に仮想的に分割し、各要素内
の変位と力の関係から全体の変形形状や歪分布または応
力分布を数値計算によって求める方法である。一般的な
線形弾性材料において、弾性変形(線形)領域では、応
力と歪の比であるヤング率は一定であるため、構造物の
形状、寸法、ヤング率などの材料定数や、拘束条件、負
荷条件などのパラメータを入力することにより、線形解
析を行い、さまざまな条件下における構造物の変形や応
力、歪を求めることができる。例えば、粘弾性材料で構
成されたタイミングベルトにより駆動伝達する場合に、
有限要素法を用いたタイミングベルト動的特性解析結果
を、複写機など駆動系の設計に応用するものである。
【0003】従来のこの種の粘弾性材料特性解析方法
は、金属板が塑性変形する過程を有限要素法で解析して
得られた各要素の歪みデータと破断限界ひずみデータか
ら、各要素の破断余裕度を算出し、この破断余裕度を示
す破断余裕度データの等高線分布を出力することによ
り、金属板の塑性変形過程を数値シミュレートした結果
を画面表示するものであった(特開平8-339396号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の粘弾性材料特性解析方法では、粘弾性材料の
有限要素解析を行う場合に、粘性などの影響により時間
の進行とともに材料のヤング率が変化を生じるため、単
にヤング率のみ入力すると、解析計算上の誤差が大きく
なって計算不可能となるという問題があった。また、粘
性の影響によるヤング率の変化を予測によって求めるの
は難しい。
【0005】本発明の目的は、このような問題点を改善
し、粘弾性材料の材料特性を実験データより算出し、さ
らに様々な条件下における粘弾性材料構造物の変形、応
力、ひずみなどを算出することができる粘弾性材料特性
解析方法、システムおよび記録媒体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、粘弾性材料で構成された構造物を複数の要素に分割
したモデルを作成し、このモデルに対して有限要素法を
用い、前記粘弾性材料に任意の負荷が作用することによ
り発生する応力、ひずみを求める粘弾性材料特性解析方
法であって、前記粘弾性材料を変形させる複数の変形モ
ードに対応する実験データおよび応力緩和特性値データ
から、前記粘弾性材料の構成則に対する材料定数を決定
し、この材料定数を前記粘弾性材料の材料特性として設
定するステップと、前記粘弾性材料からなる粘弾性挙動
構造物のモデルに対し、任意の加重方式による負荷を作
用させるステップとを有することに特徴がある。この方
法により、粘弾性材料の材料特性を設定して、任意の動
的な荷重などの負荷を前記粘弾性材料に加えるようにモ
デル化し、有限要素法を用いて解析することで、前記負
荷により変形して生じた粘弾性挙動構造物の動的な材料
特性を解析できることとなる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1におい
て、前記有限要素法を用いて、解析する際の代表的な複
数種類のモデルを格納したモデルファイルと、前記粘弾
性材料を変形させる代表的な複数種類の変形モードおよ
び材料モデルを含む材料データを格納した材料ファイル
とを予め用意しておき、前記モデルファイルおよび前記
材料ファイルの中から、前記負荷が作用した前記粘弾性
挙動構造物に対応するモデル、変形モードおよび材料モ
デルを選択し、選択したモデル、変形モードおよび材料
モデルにより、有限要素法解析のための解析用モデルを
生成するステップを有することに特徴がある。この方法
により、有限要素法解析のための諸条件の設定が容易に
行え、利用者に経験がなくても適切なモデルを作成でき
ることとなる。
【0008】請求項3に記載の発明は、請求項2におい
て、前記変形モードに対応する実験データを前記解析用
モデルに取り込み、前記実験データから、選択した材料
モデルの構成則に対する材料定数を算出することに特徴
がある。この方法により、実験データから選択された材
料モデルの構成則に対する材料定数を算出し、有限要素
法を用いて解析することで、任意の負荷による変形で生
じた粘弾性挙動構造物の動的な材料特性を解析できるこ
ととなる。
【0009】請求項4に記載の発明は、請求項2におい
て、前記応力緩和特性値データを前記解析用モデルに取
り込み、前記実験データから、選択した材料モデルの構
成則に対する材料定数を算出することに特徴がある。こ
の方法により、応力緩和試験で取得した応力緩和特性値
データから、選択された材料モデルの構成則に対する材
料定数を算出し、有限要素法を用いて解析することで、
任意の負荷による変形で生じた粘弾性挙動構造物の動的
な材料特性を解析できることとなる。
【0010】請求項5に記載の発明は、請求項2におい
て、前記変形モードに対する実験データを前記解析用モ
デルに取り込み、前記実験データから、選択した材料モ
デルの構成則に対する材料定数を算出する一方で、前記
応力緩和特性値データを前記解析用モデルに取り込み、
前記実験データから、選択した材料モデルの構成則に対
する材料定数を算出し、両材料定数を組み合わせて前記
解析用モデルの材料特性として設定することに特徴があ
る。この方法により、実験データおよび応力緩和特性値
の両方の効果を含んだ材料定数を有限要素モデル材料特
性として設定し、有限要素法を用いて解析することで、
任意の負荷による変形で生じた粘弾性挙動構造物の動的
な材料特性を解析できることとなる。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項1におい
て、前記粘弾性挙動構造物に対応するモデルにおいて、
動的な加重方式による加重変化のデータを予測して前記
モデルに取り込み、負荷条件を設定することに特徴があ
る。この方法により、任意の動的な加重方式を用いた場
合の加重変化の予測データを作成し、この予測データを
モデルに入力して負荷条件を設定し、有限要素法を用い
て解析することで、任意の負荷による変形で生じた粘弾
性挙動構造物の動的な材料特性を解析できることとな
る。
【0012】請求項7に記載の発明は、粘弾性材料で構
成された構成物を複数の要素に分割したモデルを作成
し、このモデルに対して、有限要素法を用い、前記粘弾
性材料に任意の負荷が作用することにより発生する応
力、ひずみを求める粘弾性材料特性解析システムであっ
て、前記粘弾性材料を変形させる複数の変形モードに対
応する実験データ、および前記変形モードで得られた応
力緩和特性値データを前記モデルに取り込んで、前記応
力緩和特性値から選択された材料モデルの構成則に対す
る材料定数を算出する材料定数算出手段と、この材料定
数算出手段によって算出した材料定数を組み合わせ、前
記粘弾性材料の材料特性として設定する材料特性設定手
段と、前記粘弾性材料からなる粘弾性挙動構造物のモデ
ルに動的な加重方式による負荷を作用させる負荷作用手
段と、前記モデルに対して与えられた条件にしたがって
有限要素法を用い、前記粘弾性材料に対して非線型解析
を行う有限要素法解析手段とを設けたことに特徴があ
る。この構成により、任意の動的な荷重などの負荷を粘
弾性材料に加えるようにモデル化し、有限要素法を用い
て解析することで、前記負荷による変形で生じた粘弾性
挙動構造物の動的な材料特性を解析できることとなる。
例えば、後述する式(10)、(11)を用いることによ
り、有限要素法を用いて、任意の一条件下の実験データ
から、他の引張り条件下の粘弾性挙動特性を予測できる
こととなる。
【0013】請求項8に記載の発明は、請求項7におい
て、前記有限要素法を用いて解析する際の複数種類のモ
デルを格納したモデルファイルと、複数種類の変形モー
ドおよび材料モデルを含む材料データを格納した材料フ
ァイルとを含むデータを記憶するためのファイルサーバ
を設けたことに特徴がある。この構成により、ファイル
サーバによって3次元モデルファイル、変形モードなど
をデータベース化することで、有限要素法解析のための
諸条件の設定が容易に行えることとなる。
【0014】請求項9に記載の発明は、請求項8におい
て、前記ファイルサーバの中から前記負荷が作用した粘
弾性挙動構造物に対応するモデル、変形モードおよび材
料モデルを選択し、選択されたモデル、変形モードおよ
び材料モデルの構成則に従って、有限要素法解析のため
の解析用モデルを生成するモデル生成手段を設けたこと
に特徴がある。この構成により、ファイルサーバの中か
らモデル、変形モードなどを選択することで、有限要素
法解析のための諸条件の設定が容易に行えることとな
る。
【0015】請求項10に記載の発明は、有限要素法ソル
バにより粘弾性特性解析のための演算を行う演算装置
と、粘弾性材料に対する変形試験の実験データを測定す
る測定装置と、前記実験データを前記演算装置に入力す
る入力装置と、前記前記演算装置による計算結果を出力
する出力装置と、有限要素法を用いて粘弾性特性解析を
行う際の複数種類のモデル、前記粘弾性材料に対する複
数種類の変形モードおよび材料モデルを含むデータを記
憶して管理するデータ管理サーバと、前記演算装置、前
記測定装置、前記入力装置、前記出力装置、および前記
データ管理サーバを相互に接続するための通信ネットワ
ークとを設けたことに特徴がある。この構成により、引
張試験機などの測定装置、データ処理装置などの入力装
置および演算装置、表示装置などの出力装置の間で容易
に情報を交信し、有限要素法を用いた粘弾性特性解析処
理を効率的に行えることとなる。
【0016】請求項11に記載の発明は、コンピュータに
請求項1〜6のいずれかに記載の粘弾性特性解析方法を
実行させるためのプログラムを記載したことに特徴があ
る。この構成により、記録媒体を持ち運ぶことでプログ
ラムの移動や更新が容易となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面を用いて説明する。 [第1の実施形態]図1に示すように、本発明の第1の
実施形態に係る粘弾性材料特性解析システムは、粘弾性
材料を変形させる複数の変形モードに対応する実験デー
タ、および前記変形モードで得られた応力緩和特性値デ
ータを前記モデルに取り込んで、前記応力緩和特性値か
ら選択された材料モデルの構成則に対する材料定数を算
出する材料定数算出手段13cと、この材料定数算出手段
によって算出した材料定数を組み合わせ、前記粘弾性材
料の材料特性として設定する材料特性設定手段13dと、
前記粘弾性材料からなる粘弾性挙動構造物のモデルに動
的な加重方式による負荷を作用させる負荷作用手段13e
と、前記モデルに対して与えられた条件にしたがって有
限要素法を用い、前記粘弾性材料に対して非線型解析を
行う有限要素法解析手段13fとを設けたものである。な
お、本実施形態の粘弾性材料特性解析システムは、請求
項7〜10のいずれかに記載の発明を適用したものであ
る。
【0018】図1において、引張試験機11、データ処理
装置13、ファイルサーバ14および表示装置15は、LANな
どのネットワーク16上に配置されて、本実施形態の粘弾
性材料特性解析システムを構成している。ここで、引張
試験機11は、粘弾性材料を変形した際の引張特性値(実
験データ)を取得するためのものである。有限要素法ソ
ルバ12は、有限要素法解析を行うためのソフトウェアで
あり、データ処理装置13が保持してもよいし、有限要素
法ソルバ12を蓄積したサーバを設けてもよいし、ネット
ワーク16を介して取得してもよい。なお、表示装置(出
力装置)15は、前述の有限要素法を用いた粘弾性材料非
線型解析の結果を表示するものであり、データ処理装置
13の表示装置と兼用してもよい。
【0019】データ処理装置13は、例えばワークステー
ションまたはパーソナルコンピュータ(CPUおよびメモ
リ、キーボード、マウスなどの入力装置、液晶表示器、
CRTなどの表示装置を含む)からなり、有限要素法を用
いて粘弾性材料の非線型解析処理を行う機能、および有
限要素法を用いて任意の一つの実験データから他の条件
下の粘弾性挙動特性を予測する機能(例えば、後述する
式(10)、式(11)を用いて実現する)を有する。この
機能を実現するため、予めデータ処理装置13に、選択手
段13a、解析用モデル生成手段13b、材料定数算出手段
13c、材料特性設定手段13d、負荷作用手段13e、有限
要素法解析手段13f、グラフ作成手段13gなどの制御手
段を組み込んでいる。なお、選択手段13aは、ファイル
サーバ14のファイル14a〜14cに蓄積されたデータの中
から、負荷が作用した粘弾性材料構造物に対応するモデ
ル、変形モードおよび材料モデルを選択し、解析用モデ
ル生成手段13bは、選択手段13aにより選択されたモデ
ル、変形モードおよび材料モデルの構成則に従って、有
限要素法解析のための解析用モデルを生成する。
【0020】ファイルサーバ14は、例えばワークステー
ション(CPUおよびメモリ、キーボード、マウスなどの
入力装置、液晶表示器、CRTなどの表示装置を含む)か
らなり、有限要素法を用いた粘弾性材料非線型解析に必
要なデータをファイル化して予め蓄積するものであり、
3次元モデルファイル14a、材料モデルファイル14b、
変形モードファイル14c、グラフ作成条件ファイル14d
などを組み込んである。なお、3次元モデルファイル14
aは、有限要素法を用いて解析する際の複数種類のモデ
ルを格納するものであり、何種類かの代表的な構造物の
形状について、有限要素法を用いて解析する際のモデル
が格納されている。材料モデルファイル14bおよび変形
モードファイル14cは、複数種類の粘弾性材料について
の変形モードおよび材料モデルを格納するものであり、
構造物の代表的な変形モードおよび材料モデルを含む何
種類かの材料データが格納されている。
【0021】次に、本実施形態の粘弾性材料特性解析シ
ステムの動作を説明する。まず、前記入力装置による動
作でデータ処理装置13を起動する。データ処理装置13が
起動されると、選択手段13aにより、表示装置15の画面
に三次元モデルおよびグラフ作成条件の一覧を表示し、
利用者が適切なものを選択すると、選択内容を入力す
る。この選択内容は、更新可能に前記メモリに記憶され
る。次いで、寸法や形状などが前記入力装置から入力さ
れると、解析用モデル生成手段13bにより、モデルを作
成する。表示装置15に表示されている変形モードから該
当するものが選択されると、前記入力装置により当該変
形モードに対する実験データを読み込む。さらに、表示
装置15に表示されている材料モデルが選択されると、材
料定数算出手段13cにより粘弾性材料の材料定数を算出
する。一方、前記入力装置により応力緩和特性値データ
を取り込み、材料定数算出手段13cにより粘弾性材料定
数を算出する。次いで、材料特性設定手段13dにより、
前述のようにして得られた粘弾性材料の材料定数を前記
モデル中の材料定数として設定する。次いで、前記入力
装置から負荷作用手段13eにより拘束条件を前記モデル
に設定する。これによって、解析用モデルの生成が完了
し、この解析用モデルを有限要素法解析手段13fによっ
て解析する。解析結果は、グラフ作成手段13gによりグ
ラフ化し、表示装置15により表示する。
【0022】以上のように、本発明の第1の実施形態に
係る粘弾性材料特性解析システムは、粘弾性材料を変形
させる複数の変形モードに対応する実験データ、および
前記変形モードで得られた応力緩和特性値データを前記
モデルに取り込んで、前記応力緩和特性値から選択され
た材料モデルの構成則に対する材料定数を算出する材料
定数算出手段13cと、この材料定数算出手段によって算
出した材料定数を組み合わせ、前記粘弾性材料の材料特
性として設定する材料特性設定手段13dと、前記粘弾性
材料からなる粘弾性挙動構造物のモデルに動的な加重方
式による負荷を作用させる負荷作用手段13eと、前記モ
デルに対して与えられた条件にしたがって有限要素法を
用い、前記粘弾性材料に対して非線型解析を行う有限要
素法解析手段13fとを設けているので、任意の動的な荷
重などの負荷を粘弾性材料に加えるようにモデル化し、
有限要素法を用いて解析することにより、前記負荷によ
り、変形して生じた粘弾性挙動構造物の動的な材料特性
を解析することができる。
【0023】また、本発明の第1の実施形態に係る粘弾
性材料特性解析システムは、有限要素法を用いて解析す
る際の複数種類のモデルを格納した3次元モデルファイ
ル14aと、複数種類の変形モードおよび材料モデルを含
む材料データを格納した材料モデルファイル14bおよび
変形モードファイル14cとを含むデータを記憶するため
のファイルサーバ14を設けているので、有限要素法解析
のための諸条件の設定を容易に行い、また、ファイルサ
ーバを有することにより、モデルファイルをデータベー
ス化することができる。さらに、有限要素法を用いて解
析することにより、任意の負荷によって変形した粘弾性
挙動構造物の動的な材料特性を解析できる。
【0024】また、本発明の第1の実施形態に係る粘弾
性材料特性解析システムは、ファイルサーバ14の中から
負荷が作用した粘弾性挙動構造物に対応するモデル、変
形モードおよび材料モデルを選択し、選択されたモデ
ル、変形モードおよび材料モデルの構成則に従って、有
限要素法解析のための解析用モデルを生成する選択手段
13aおよび解析用モデル生成手段13bを設けているの
で、有限要素法解析のための諸条件の設定を容易に行え
る。また、有限要素法を用いて解析することにより、任
意の負荷によって変形した粘弾性挙動構造物の動的な材
料特性を解析できる。
【0025】また、本発明の第1の実施形態に係る粘弾
性材料特性解析システムは、有限要素法ソルバ12により
粘弾性特性解析のための演算を行うデータ処理装置13
と、粘弾性材料に対する変形試験の実験データを測定す
る引張試験機11と、前記実験データをデータ処理装置13
に入力する前記入力装置と、データ処理装置13による計
算結果を出力する表示装置15と、有限要素法を用いて粘
弾性特性解析を行う際の複数種類のモデル、前記粘弾性
材料に対する複数種類の変形モードおよび材料モデルを
含むデータを記憶して管理するファイルサーバ14と、デ
ータ処理装置13、引張試験機11、前記入力装置、表示装
置15、およびファイルサーバ14を相互に接続するための
ネットワーク16とを設けているので、引張試験機11、前
記入力装置、データ処理装置13、表示装置15の間で、有
限要素法を用いた粘弾性材料特性解析に必要な情報を容
易に交信できる。
【0026】[第2の実施形態]本実施形態は、請求項
1に記載の発明を適用したものである。また、本実施形
態の全体構成は、第1の実施形態と概ね同様であるた
め、図1を用いると共に同一構成には同一符号を付与し
て説明を省略する。
【0027】図2に示すように、本発明の第2の実施形
態に係る粘弾性材料特性解析方法は、粘弾性材料を変形
させる複数の変形モードに対応する実験データおよび応
力緩和特性値データから、前記粘弾性材料の構成則に対
する材料定数を決定し、この材料定数を前記粘弾性材料
の材料特性として設定するステップs103、s104と、前
記粘弾性材料からなる粘弾性挙動構造物のモデルに対
し、任意の加重方式による負荷を作用させるステップs
105とを有するものである。
【0028】ここで、本実施形態で用いる有限要素法解
析は、一般に知られているようにモデルの作成、解析と
結果表示の3段階に分けられる。このうちのモデル作成
では、予め用意した3次元モデルファイル14aをファイ
ルサーバ14に有し、前記入力装置から構造物の寸法など
を入力することより、3次元モデルを簡単に作成でき
る。次いで、粘弾性材料の定数を特定するため、まずフ
ァイルサーバ14に予め用意した変形モードファイル14c
(例えば、単軸引張り、2軸引張り、純せん断、単純せ
ん断、体積試験モードなど)から、材料の変形モード
(例えば、単軸引張り試験に対する実験データから得ら
れた歪‐応力線図)に対応する変形モードを選択し、前
記材料の変形モードに対応する実験データをデータ処理
装置13に読み込む。次いで、ファイルサーバ14に予め用
意した材料モデルファイル14b(例えば、OGDENモデルや
MOONEYモデルなど)から、例えば、カーブフィッティン
グを使用する材料モデルを選択する。このように選択し
た変形モードおよび材料モデルで、材料定数を計算す
る。また、応力緩和特性値(例えば、材料の応力緩和試
験から得られた時間‐応力線図)のデータから、同様に
粘弾性挙動に関する材料定数を計算する。前述の二つの
材料定数を粘弾性挙動構造物の材料特性に割り当てる。
次いで、解析の拘束条件とする加重方式を決め、加重‐
時間線図を作成し、モデルに与える。最後に、データ処
理装置13により、有限要素法プログラム(有限要素法ソ
ルバ12に相当)を用いて粘弾性材料特性解析を行う。
【0029】次に、図2を参照しながら本実施形態の粘
弾性材料特性解析方法について、具体的な解析例を説明
する。なお、本実施形態の基本となる粘弾性材料の解析
モデルは、図3に示すとおりである。
【0030】例えば、負荷Pとして加重を与えた場合
に、利用者は図3に示すようなモデルに寸法や形状デー
タを前記入力装置から入力する(ステップs101)。こ
れは、左端X方向を固定され、右端をX方向に引っ張る
単軸引張モデルであり、解析を行うため、節点1にY軸
方向の拘束が必要である。
【0031】こうして、利用者が形状、寸法などを前記
入力装置から入力すると、選択手段13aおよび解析用モ
デル生成手段13bにより、モデル作成を開始する(s10
2)。ここで、利用者が表示装置15に表示されている変
形モードから該当するものを選択すると、前記入力装置
により実験データを読み込む。例えば、単軸引張り試験
データをモデルに読み込む。さらに、利用者は予めファ
イルサーバ14に用意した材料モデルファイル14bから較
正する材料モデルを選択する。この材料モデルは、例え
ば、MOONEY材料モデルやOGDEN材料モデルなどであり、
ここではMOONEY材料モデルを選択する。したがって、次
式(1)で示される3次変形モデルの形で歪エネルギー
関数Wを仮定する。
【数1】 次いで、粘弾性材料の特定処理を開始する(s103)。
ここで、材料定数算出手段13cにより粘弾性材料定数を
算出する。例えば実験データから、多項式関数などのカ
ーブフィッティング手法で、前記3次変形モデルを用い
て、応力‐ひずみ線図を較正し、材料定数C10、 C01
C11 、C20、 C30を算出する。
【0032】一方で、エネルギー緩和特性値データを読
み込む。例えば、粘弾性挙動についてのデータ(予測デ
ータ)をもとに応力緩和特性値を求め、その応力緩和特
性値データをモデルに読み込む。ここで、本実施形態に
関する粘弾性材料は非圧縮材料と仮定し、粘弾性挙動は
偏差的挙動のみとする。したがって、偏差ひずみエネル
ギー関数φが次式(2)で示される。
【数2】 実験データから、前記カーブフィッティング手法と同
様、前記3次偏差ひずみエネルギー関数の時間依存乗数
1、時間依存乗数2、時間依存乗数3および緩和時間1、緩
和時間2、緩和時間3が算出される。
【0033】その後、前述のように材料定数算出手段13
cにより算出された材料定数および時間依存定数など
を、材料特性設定手段13dにより材料特性として設定し
(s104)、モデル要素へ割り当てる。また、前記入力
装置からの入力に基づいて、任意の動的な加重方式によ
り、実験データを作成し、モデルに取り込み、負荷作用
手段13eにより拘束条件として負荷を設定する(s10
5)。
【0034】以上で、有限要素法解析のための諸条件の
設定が完了し、解析用モデルの生成が完了する。最後
に、有限要素法プログラムを用い、有限要素法解析手段
13fにより粘弾性材料特性解析を行う(s106〜s11
3)。その解析結果は、グラフ作成手段13gによりグラ
フ化し(図4、図5に示す)、表示装置15に表示する
(s114)。ここで、図4は応力‐ひずみ線図であり、
図5は変位‐時間線図である。図5に示すように、前記
粘弾性材料に荷重を与えると、弾性効果による瞬間的な
変形(0A)に続いて、粘性効果により時間の経過に伴う変
形(AB)が発生し、最終的には純粋な粘性流れ(BC)とな
る。
【0035】以上のように、本発明の第2の実施形態に
係る粘弾性材料特性解析方法は、粘弾性材料を変形させ
る複数の変形モードに対応する実験データと、前記変形
モードで得られた応力緩和特性値データから、前記粘弾
性材料の構成則に対する材料定数を決定し、この材料定
数を前記粘弾性材料の材料特性として設定するステップ
s103、s104と、前記粘弾性材料からなる粘弾性挙動構
造物のモデルに対し、任意の加重方式による負荷を解析
の拘束条件として設定するステップs105とを有してい
るので、任意の動的な荷重などの負荷を粘弾性材料に加
えるようにモデル化し、有限要素法を用いて解析するこ
とにより、前記負荷により、変形して生じた粘弾性挙動
構造物の動的な材料特性を解析することができる。
【0036】[第3の実施形態]本実施形態は、請求項
2に記載の発明を適用したものである。また、本実施形
態の全体構成は、第1の実施形態と概ね同様であるた
め、図1を用いると共に同一構成には同一符号を付与し
て説明を省略する。
【0037】本発明の第3の実施形態に係る粘弾性材料
解析方法は第2の実施形態とは、有限要素法を用いて、
解析する際の代表的な複数種類のモデルを格納した3次
元モデルファイル14aと、粘弾性材料を変形させる代表
的な複数種類の変形モードおよび材料モデルを含む材料
データを格納した変形モードファイル14cおよび材料モ
デルファイル14bとを予め用意しておき、3次元モデル
ファイル14a、変形モードファイル14cおよび材料モデ
ルファイル14bの中から、負荷が作用した粘弾性挙動構
造物に対応するモデル、変形モードおよび材料モデルを
選択し、選択したモデル、変形モードおよび材料モデル
により、有限要素法解析のための解析用モデルを生成す
るステップ(図2のs102などに相当)を有する点が相
違している。この方法によれば、有限要素法解析のため
の諸条件の設定が容易であり、利用者に経験がなくても
適切なモデルを作成できるという効果も得られる。
【0038】例えば、前述の実験データ(第2の実施形
態に示す)を読み込み、応力および歪を求め、あるいは
有限要素法を用いて解析する際の代表的な複数種類のモ
デル(例えば、シェルモデルやワイヤモデルなど)を格
納した3次元モデルファイル14aと、代表的な複数種類
の変形モード(例えば、単軸や2軸引張り、純せん断、
単純せん断、体積試験など)および材料モデル(例え
ば、MOONEY材料モデルやOGDEN材料モデルなど)を含む
材料データを格納した、変形モードファイル14cおよび
材料モデルファイル14bとを予めファイルサーバ14に用
意しておき、これらのファイル14a〜14cの中から粘弾
性材料構造物に対応するモデルおよび材料特性に関する
解析条件を選択し、選択されたモデルおよび材料特性に
より有限要素法解析のための解析用モデルを生成する。
本実施形態においても、有限要素法を用いて粘弾性材料
解析を行うことにより、任意の負荷で変形した粘弾性挙
動構造物の動的な材料特性を解析できる。
【0039】[第4の実施形態]本実施形態は、請求項
3に記載の発明を適用したものである。また、本実施形
態の全体構成は、第1の実施形態と概ね同様であるた
め、図1を用いると共に同一構成には同一符号を付与し
て説明を省略する。
【0040】図6は、本発明の第4の実施形態に係る粘
弾性材料特性解析方法を示す。これは第2の実施形態と
は、変形モードに対応する実験データを解析用モデルに
取り込み、前記実験データから、選択した材料モデルの
構成則に対する材料定数を算出する点が相違している。
この方法によれば、実験データから選択された材料モデ
ルの構成則に対する材料定数を算出し、有限要素法を用
いて解析することにより、任意の負荷で変形した粘弾性
挙動構造物の動的な材料特性を解析できるという効果が
得られる。
【0041】本実施形態では、前述の実験データ(第2
の実施形態に示す)をモデルに読み込み、前記実験デー
タから、選択された材料モデルの構成則に対する材料定
数を算出する場合(図2のs104に含まれる)を示す。
【0042】まず、実験データの各側定点での歪の不変
量を求め、次いで、測定した公称応力と材料定数の関係
を求め、その結果より引張り特性値データごとに材料定
数に関する連立線型方程式を立て、最後に、材料定数を
変数として連立方程式を解く。この際、例えば最小二乗
法、スプライン近似などの手法が適用できる。
【0043】次に、図6を参照しながら本実施形態の粘
弾性材料特性解析方法について、具体的な解析例を説明
する。
【0044】まず、第2の実施形態と同じモデルを用い
て、変形モードに対する各実験データ(図7に示す)を
モデルに読み込み(s201)、歪不変量を求める(s20
2)。単軸の場合、その伸長比は
【数3】
【数4】 次いで、材料の構成則は例えば、ムーニー材料と選定
し、公称応力sとムーニー材料定数C10 、C01 、C11
C20 、C30の関係を求める(s203)。式(1)より、
【数5】 従って、式(3)、(4)、(5)と前記実験データよ
り、次式(6)で示す線型方程式を実験データごとに得
ることができる(s204)。
【数6】 最後に、材料定数C10 、C01 、C11 、C20 、C30を変数
として連立線型方程式を解く(s205)。この際、次式
(7)で示す最小二乗法を用いる。
【数7】
【0045】以上のように、単軸試験の結果からだけで
も粘弾性材料の構成則に対する材料定数を定めることが
できるが、粘弾性材料は時として変形モードによって異
なった挙動をすることを考慮し、単軸試験データのほ
か、2軸試験、純せん断試験、単純せん断試験および体
積試験など複数の変形モード試験結果を用いて、材料特
性を決定する。
【0046】[第5の実施形態]本実施形態は、請求項
4に記載の発明を適用したものである。また、本実施形
態の全体構成は、第1の実施形態と概ね同様であるた
め、図1を用いると共に同一構成には同一符号を付与し
て説明を省略する。
【0047】図8は、本発明の第5の実施形態に係る粘
弾性材料特性解析方法を示す。これは第2の実施形態と
は、応力緩和特性値データを解析用モデルに取り込み、
実験データから、選択した材料モデルの構成則に対する
材料定数を算出する点が相違している。この方法によれ
ば、応力緩和特性値から選択された材料モデルの構成則
に対する材料定数を算出し、有限要素法を用いて解析す
ることにより、任意の負荷によって変形した粘弾性挙動
構造物の動的な材料特性を解析できるという効果が得ら
れる。
【0048】本実施形態では、前述の応力緩和特性値デ
ータ(第2の実施形態に示す)をモデルに読み込み、前
述の実験データ(第2の実施形態に示す)から、選択さ
れた材料モデルの構成則に対する粘弾性挙動材料定数を
算出する場合(図2のs104に含まれる)を示す。
【0049】まず、応力緩和特性値データから公称応力
と材料定数の関係を求め、次いで、その結果より応力緩
和特性値データごとに材料定数に関する連立線型方程式
を立て、最後に材料定数を変数として連立方程式を解
く。この際、例えば最小二乗法などの手法が適用でき
る。
【0050】次に、図8を参照しながら本実施形態の粘
弾性材料特性解析方法について、具体的な解析例を説明
する。
【0051】まず、第2の実施形態と同じモデルを用い
て、応力緩和特性値の各データ(図9に示す)をモデル
に読み込む。図9において、前記応力緩和特性値のデー
タは歪を一定にし、経過時間に対する応力の変化を示し
ている。前記式(2)により、
【数8】 従って、式(8)と応力緩和特性値データより、次式
(9)で示す線型方程式を実験データごとに得ることが
できる。
【数9】 最後に、時間に依存する材料定数(時間依存乗数i 、緩
和時間i)を変数として連立線型方程式を解く。この
際、式(7)で示す最小二乗法を用いる。
【0052】[第6の実施形態]本実施形態は、請求項
5に記載の発明を適用したものである。また、本実施形
態の全体構成は、第1の実施形態と概ね同様であるた
め、図1を用いると共に同一構成には同一符号を付与し
て説明を省略する。
【0053】本発明の第6の実施形態に係る粘弾性材料
特性解析方法は第2の実施の形態とは、変形モードに対
する実験データを解析用モデルに取り込み、前記実験デ
ータから、選択した材料モデルの構成則に対する材料定
数を算出する一方で、応力緩和特性値データを前記解析
用モデルに取り込み、前記実験データから、選択した材
料モデルの構成則に対する材料定数を算出し、両材料定
数を組み合わせて前記解析用モデルの材料特性として設
定する点が相違している。この方法によれば、実験デー
タおよび応力緩和特性値の両方の効果を含んだ材料定数
を組み合わせ、有限要素モデル材料特性として設定し、
有限要素法を用いて解析することにより、任意の負荷に
よって変形した粘弾性挙動構造物の動的な材料特性を解
析できるという効果も得られる。
【0054】本実施形態では、第4の実施形態により得
られた材料定数(例えば、ムーニー材料定数C10 、C
01 、C11 、C20 、C30)、および第5の実施形態により
得られた時間に依存する材料定数(例えば、第5の実施
形態の時間に依存する材料定数(時間依存乗数i 、緩和
時間i))を用いて、記憶媒体に記憶する処理をおこな
い、作成された有限要素モデルの材料特性として設定す
る場合(図2のs104に相当)を示す。
【0055】ここで、粘弾性材料は、一般的に弾性体お
よび粘性体としての挙動を示すため、図10に示すばね21
とダッシュポット22によるモデルで表現することができ
る。これによって、一定応力のもとで変形が進行し、あ
るいは一定ひずみのもとで応力が低下する現象を表現す
ることができる。各要素について、図10に示すモデルの
数学的表現は次式(10)に示すとおりである。
【数10】 第4の実施形態により得られた材料定数を材料の弾性体
材料定数マトリックス[α]に定義し、第5の実施形態
により得られた時間に依存する材料定数を粘性体材料定
数マトリックス[β]に定義する。これによって、第4の
実施形態により得られた材料定数と、第5の実施形態に
より得られた時間に依存する材料定数とを、作成された
有限要素モデルの材料特性として設定する。
【0056】[第7の実施形態]本実施形態は、請求項
6に記載の発明を適用したものである。また、本実施形
態の全体構成は、第1の実施形態と概ね同様であるた
め、図1を用いると共に同一構成には同一符号を付与し
て説明を省略する。
【0057】本発明の第7の実施形態に係る粘弾性材料
特性解析方法は第2の実施の形態とは、粘弾性挙動構造
物に対応するモデルにおいて、動的な加重方式による加
重変化のデータを予測して前記モデルに取り込み、負荷
条件を設定する点が相違している。この方法によれば、
任意の動的な加重方式により、実験データを作成してモ
デルに取り込み、負荷条件として設定し、有限要素法を
用いて解析することにより、任意の負荷によって変形し
た粘弾性挙動構造物の動的な材料特性を解析できるとい
う効果も得られる。
【0058】本実施形態では、任意の動的な荷重方式に
よりデータ(加重変化の予測データ)を作成し、例え
ば、図11に示すように、決められた時間帯T1におい
て、荷重を増加させ、決められた時間帯T2において、
荷重をキープする2段階の加重方式より、荷重‐時間線
図を作成し、この線図をモデルに入力し、拘束条件とし
て設定する。本実施形態では、T1=300s、T2=500s
である。前記の荷重を次式(11)に割り当てる。
【数11】 ここで、前述の式(10)、(11)を用いることにより、
任意の一条件下の実験データから有限要素法を用いて他
の引張条件下の粘弾性挙動特性を予測できることとな
る。
【0059】また、前述の各実施形態では粘弾性材料特
性解析方法を実現する機能をデータ処理装置13のCPUお
よびメモリに持たせた場合について説明したが、本発明
はこのほかに、前述の各実施形態の粘弾性材料特性解析
方法または粘弾性材料特性解析システムの機能を実現す
るプログラムを磁気ディスク、光磁気ディスク、ROM、C
D-ROM、ICカードなどの携帯可能な記録媒体に記録して
も同様の効果が得られるものである。この記録媒体をコ
ンピュータ(データ処理装置13に相当)で読み取ること
により、前述の各実施形態で示した粘弾性材料特性解析
方法およびシステムを実現できる。例えば、前記コンピ
ュータを、図1に示す選択手段13a、解析用モデル生成
手段13b、材料定数算出手段13c、材料特性設定手段13
d、負荷作用手段13e、有限要素法解析手段13f、グラ
フ作成手段13gとして機能させるプログラムを記録媒体
に記録してもよい。あるいは、前記コンピュータに、図
2に示すステップs101〜s114、図6に示すステップs
201〜s205、図8に示すステップs301〜s304などを実
行させるためのプログラムを記録媒体に記録してもよ
い。この構成により、記録媒体を持ち運ぶことでプログ
ラムの更新や移動が容易となる。
【0060】さらに、前述の各実施形態の粘弾性材料特
性解析方法を実現するプログラムをネットワーク16から
ファイル形式で取得し、コンピュータ(データ処理装置
13)で実行するようにしてもよい。この方法により、ネ
ットワーク16を用いることでプログラムの更新や配布が
容易となる。
【0061】前述の各実施形態では、3次元モデルファ
イル14aなどが前記モデルファイルを構成し、材料モデ
ルファイル14b、変形モードファイル14cなどが前記材
料ファイルを構成し、データ処理装置13などが前記演算
装置を構成し、表示装置15などが前記出力装置を構成
し、ファイルサーバ14などが前記データ管理サーバを構
成し、ネットワーク16などが前記通信ネットワークを構
成し、選択手段13a、解析用モデル生成手段13bなどが
前記モデル生成手段を構成している。
【0062】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、任意の
動的な荷重などの負荷を粘弾性材料に加えるようにモデ
ル化し、有限要素法を用いて解析することにより、前記
負荷により、変形して生じた粘弾性挙動構造物の動的な
材料特性を解析することができる。
【0063】請求項2に記載の発明によれば、有限要素
法解析のための諸条件の設定が容易に行え、利用者に経
験がなくても適切なモデルを作成できる。また、有限要
素法を用いて解析することにより、任意の負荷による変
形で生じた粘弾性挙動構造物の動的な材料特性を解析す
ることができる。
【0064】請求項3に記載の発明によれば、実験デー
タから選択された材料モデルの構成則に対する材料定数
を算出し、有限要素法を用いて解析することにより、任
意の負荷による変形で生じた粘弾性挙動構造物の動的な
材料特性を解析することができる。
【0065】請求項4に記載の発明によれば、応力緩和
特性値から選択された材料モデルの構成則に対する材料
定数を算出し、有限要素法を用いて解析することによ
り、任意の負荷による変形で生じた粘弾性挙動構造物の
動的な材料特性を解析することができる。
【0066】請求項5に記載の発明によれば、実験デー
タおよび応力緩和特性値の両方の効果を含んだ材料定数
を有限要素モデル材料特性として設定し、有限要素法を
用いて解析することにより、任意の負荷による変形で生
じた粘弾性挙動構造物の動的な材料特性を解析すること
ができる。
【0067】請求項6に記載の発明によれば、任意の動
的な加重方式により、実験データを作成してモデルに取
り込み、負荷条件として設定し、有限要素法を用いて解
析することにより、任意の負荷による変形で生じた粘弾
性挙動構造物の動的な材料特性を解析することができ
る。
【0068】請求項7に記載の発明によれば、任意の動
的な荷重などの負荷を粘弾性材料に加えるようにモデル
化し、有限要素法を用いて解析することにより、前記負
荷による変形で生じた粘弾性挙動構造物の動的な材料特
性を解析することができる。
【0069】請求項8に記載の発明によれば、有限要素
法解析のための諸条件の設定が容易に行え、ファイルサ
ーバを有することにより、モデルファイルをデータベー
ス化することができ、有限要素法を用いて解析すること
により、任意の負荷による変形で生じた粘弾性挙動構造
物の動的な材料特性を解析することができる。
【0070】請求項9に記載の発明によれば、有限要素
法解析のための諸条件の設定が容易に行え、有限要素法
を用いて解析することにより、任意の負荷による変形で
生じた粘弾性挙動構造物の動的な材料特性を解析するこ
とができる。
【0071】請求項10に記載の発明によれば、測定装置
(引張試験機)、入力装置、演算装置(データ処理装
置)、出力装置(表示装置)の間で、容易に情報を交信
することができる。
【0072】請求項11に記載の発明によれば、記録媒体
を装着し、コンピュータで読取ることにより、必要な情
報を入力して計算および結果出力を行い、前述の粘弾性
材料特性解析を実現することができる。
【0073】以上説明したように、本発明によれば、粘
弾性材料の材料特性を実験データより算出し、さらに様
々な条件下における粘弾性材料構造物の変形、応力、ひ
ずみなどを算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る粘弾性材料特性
解析システムの要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る粘弾性材料特性
解析方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る粘弾性材料の基
本モデルを示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る粘弾性材料の解
析結果を示す説明図(応力‐ひずみ線図)である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る粘弾性材料の解
析結果を示す説明図(時間‐変位図)である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る粘弾性材料特性
解析方法(実験データから材料定数を計算する手順)を
示すフローチャートである。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る実験データを示
す説明図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る粘弾性材料特性
解析方法(応力緩和特性値データから時間に依存する材
料定数を計算する手順)を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る応力緩和特性値
を示す説明図(応力緩和線図)である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る粘弾性材料の挙
動を示すモデル図である。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る粘弾性材料特性
解析方法(任意の動的加重方式から拘束条件を設定する
方法)を示す説明図である。
【符号の説明】
11 引張試験機 12 有限要素法ソルバ 13 データ処理装置 13a 選択手段 13b 解析用モデル生成手段 13c 材料定数算出手段 13d 材料定数設定手段 13e 負荷作用手段 13f 有限要素法解析手段 13g グラフ作成手段 14 ファイルサーバ 14a 3次元モデルファイル 14b 材料モデルファイル 14c 変形モードファイル 14d グラフ作成条件ファイル 15 表示装置 16 ネットワーク

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粘弾性材料で構成された構造物を複数の要
    素に分割したモデルを作成し、このモデルに対して有限
    要素法を用い、前記粘弾性材料に任意の負荷が作用する
    ことにより発生する応力、ひずみを求める粘弾性材料特
    性解析方法であって、 前記粘弾性材料を変形させる複数の変形モードに対応す
    る実験データおよび応力緩和特性値データから、前記粘
    弾性材料の構成則に対する材料定数を決定し、この材料
    定数を前記粘弾性材料の材料特性として設定するステッ
    プと、前記粘弾性材料からなる粘弾性挙動構造物のモデ
    ルに対し、任意の加重方式による負荷を作用させるステ
    ップとを有することを特徴とする粘弾性材料特性解析方
    法。
  2. 【請求項2】前記有限要素法を用いて、解析する際の代
    表的な複数種類のモデルを格納したモデルファイルと、
    前記粘弾性材料を変形させる代表的な複数種類の変形モ
    ードおよび材料モデルを含む材料データを格納した材料
    ファイルとを予め用意しておき、前記モデルファイルお
    よび前記材料ファイルの中から、前記負荷が作用した前
    記粘弾性挙動構造物に対応するモデル、変形モードおよ
    び材料モデルを選択し、選択したモデル、変形モードお
    よび材料モデルにより、有限要素法解析のための解析用
    モデルを生成するステップを有することを特徴とする請
    求項1に記載の粘弾性材料特性解析方法。
  3. 【請求項3】前記変形モードに対応する実験データを前
    記解析用モデルに取り込み、前記実験データから、選択
    した材料モデルの構成則に対する材料定数を算出するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の粘弾性材料特性解析方
    法。
  4. 【請求項4】前記応力緩和特性値データを前記解析用モ
    デルに取り込み、前記実験データから、選択した材料モ
    デルの構成則に対する材料定数を算出することを特徴と
    する請求項2に記載の粘弾性材料特性解析方法。
  5. 【請求項5】前記変形モードに対する実験データを前記
    解析用モデルに取り込み、前記実験データから、選択し
    た材料モデルの構成則に対する材料定数を算出する一方
    で、前記応力緩和特性値データを前記解析用モデルに取
    り込み、前記実験データから、選択した材料モデルの構
    成則に対する材料定数を算出し、両材料定数を組み合わ
    せて前記解析用モデルの材料特性として設定することを
    特徴とする請求項2に記載の粘弾性材料特性解析方法。
  6. 【請求項6】前記粘弾性挙動構造物に対応するモデルに
    おいて、動的な加重方式による加重変化のデータを予測
    して前記モデルに取り込み、負荷条件を設定することを
    特徴とする請求項1に記載した粘弾性材料特性解析方
    法。
  7. 【請求項7】粘弾性材料で構成された構成物を複数の要
    素に分割したモデルを作成し、このモデルに対して、有
    限要素法を用い、前記粘弾性材料に任意の負荷が作用す
    ることにより発生する応力、ひずみを求める粘弾性材料
    特性解析システムであって、 前記粘弾性材料を変形させる複数の変形モードに対応す
    る実験データ、および前記変形モードで得られた応力緩
    和特性値データを前記モデルに取り込んで、前記応力緩
    和特性値から選択された材料モデルの構成則に対する材
    料定数を算出する材料定数算出手段と、この材料定数算
    出手段によって算出した材料定数を組み合わせ、前記粘
    弾性材料の材料特性として設定する材料特性設定手段
    と、前記粘弾性材料からなる粘弾性挙動構造物のモデル
    に動的な加重方式による負荷を作用させる負荷作用手段
    と、前記モデルに対して与えられた条件にしたがって有
    限要素法を用い、前記粘弾性材料に対して非線型解析を
    行う有限要素法解析手段とを設けたことを特徴とする粘
    弾性材料特性解析システム。
  8. 【請求項8】前記有限要素法を用いて解析する際の複数
    種類のモデルを格納したモデルファイルと、複数種類の
    変形モードおよび材料モデルを含む材料データを格納し
    た材料ファイルとを含むデータを記憶するためのファイ
    ルサーバを設けたことを特徴とする請求項7に記載の粘
    弾性材料特性解析システム。
  9. 【請求項9】前記ファイルサーバの中から前記負荷が作
    用した粘弾性挙動構造物に対応するモデル、変形モード
    および材料モデルを選択し、選択されたモデル、変形モ
    ードおよび材料モデルの構成則に従って、有限要素法解
    析のための解析用モデルを生成するモデル生成手段を設
    けたことを特徴とする請求項8に記載の粘弾性材料特性
    解析システム。
  10. 【請求項10】有限要素法ソルバにより粘弾性特性解析の
    ための演算を行う演算装置と、粘弾性材料に対する変形
    試験の実験データを測定する測定装置と、前記実験デー
    タを前記演算装置に入力する入力装置と、前記前記演算
    装置による計算結果を出力する出力装置と、有限要素法
    を用いて粘弾性特性解析を行う際の複数種類のモデル、
    前記粘弾性材料に対する複数種類の変形モードおよび材
    料モデルを含むデータを記憶して管理するデータ管理サ
    ーバと、前記演算装置、前記測定装置、前記入力装置、
    前記出力装置、および前記データ管理サーバを相互に接
    続するための通信ネットワークとを設けたことを特徴と
    する粘弾性特性解析システム。
  11. 【請求項11】コンピュータに請求項1〜6のいずれかに
    記載の粘弾性特性解析方法を実行させるためのプログラ
    ムを記載したことを特徴とするコンピュータ読み取り可
    能な記録媒体。
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