JP2003077193A - 光ピックアップ、ディスクドライブ装置、光ピックアップの製造方法 - Google Patents

光ピックアップ、ディスクドライブ装置、光ピックアップの製造方法

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JP2003077193A
JP2003077193A JP2001269759A JP2001269759A JP2003077193A JP 2003077193 A JP2003077193 A JP 2003077193A JP 2001269759 A JP2001269759 A JP 2001269759A JP 2001269759 A JP2001269759 A JP 2001269759A JP 2003077193 A JP2003077193 A JP 2003077193A
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Yoshiyuki Teraoka
善之 寺岡
Shinichi Nakao
進一 中尾
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 互換性及びコスト的に好適で、且つ十分なパ
ワーマージンが確保できる光ピックアップの提供。 【解決手段】 ディスク記録媒体上に形成されたランド
及びグルーブが記録トラックとされ、該記録トラックの
トラックピッチが0.75μm以下であり、さらにトラ
ック線方向の記録密度を磁気超解像を用いて高密度化し
たディスク記録媒体に対応するディスクドライブ装置に
搭載される光ピックアップにおいて、レーザ波長は65
0nm±30nm、開口数NA=0.52とされるとと
もに、レーザビーム整形素子を用いずに、ディスク記録
媒体の半径方向に相当するフィリングコンディションA
/Wが0.6〜0.8の間とされているようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度ディスク記
録媒体に好適なディスクドライブ装置及び光ピックアッ
プ、及び光ピックアップの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ディスク記録媒体として、光ディスク、
光磁気ディスクが普及しており、また大容量化のための
技術も各種開発されている。大容量化のための手法とし
ては、ディスク半径方向の密度に関しては狭トラックピ
ッチ化があり、また光磁気ディスクにおけるトラック方
向の密度に関してはMSR−CAD(Magnetically Ind
uced Super Resolution - Center ApertureDetection)
や、DWDD(Domain Wall Displacement Detection)
などとして知られる、いわゆる磁気超解像の技術を用い
ることなどが有効とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般的に光ディスクに
おいては、ディスク上に照射されるレーザスポットの径
を小さくすればするほど高密度記録が可能となる。この
ためには短波長のレーザダイオードを用いたり、光ピッ
クアップの対物レンズのNA(開口数)を大きくするこ
とが行われる。ところがこのような手法の場合、光学素
子のコストアップや、過去のフォーマットのディスクと
の互換性確保が困難になるなどの欠点がある。ここで、
上記DWDDなどを用いると、レーザスポット径を小さ
くしなくてもトラック線方向の記録密度を詰めることが
できるため好適なものとなる。しかしながら、ディスク
半径方向(トラックピッチ方向)の高密度化、つまり狭
トラックピッチ化は、記録時の隣接トラックに対するク
ロスライト特性から、スポット径により制約を受けるこ
とになり、レーザのパワーマージンが狭くなる。このこ
とについて以下、説明していく。
【0004】まず光ピックアップの光学系の構成例を図
8に示す。一般に光ピックアップのレーザ光源としては
半導体レーザ(レーザダイオード201)が使用され
る。レーザダイオード201から出力されたレーザ光
は、コリメータレンズ202で平行光とされる。そし
て、グレーティング203、ビームスプリッタ204を
介して対物レンズ205に入射され、ディスク51の記
録トラックに対して所定の径のスポットとして集光され
る。ディスク51からの反射光は、対物レンズ205、
ビームスプリッタ204を介してウォラストンプリズム
206に導かれ、さらに収光レンズ207、マルチレン
ズ208を介してフォトディテクタ209に照射され
る。フォトディテクタ209は、所定の受光部パターン
を有し、各受光部は受光光量に応じた電流信号を図示し
ない再生回路系に出力する。またレーザダイオード20
1から出力されたレーザ光は、ビームスプリッタ204
を介してフロントAPC用フォトディテクタ210にも
照射される。フロントAPC用フォトディテクタ210
はレーザパワーのモニタ信号として、受光光量に応じた
電流信号を出力し、レーザパワーのいわゆるAPC制御
に供する。
【0005】例えばこのような光ピックアップを想定し
た場合、レーザ光源として半導体レーザが使用されるた
めに、対物レンズ205の開口に対してレーザ光が一様
の強度分布で入射されることはない。図9に示すよう
に、半導体レーザ201の発散角は、活性層201aに
対する平行方向、垂直方向に対して、半値全角θH、θV
で表される(θH、θVは、強度がピークの1/2となる
角度の幅)。
【0006】このような楕円状スポットの場合、光学系
におけるレーザダイオード201とレンズ(例えばコリ
メータレンズ202)の距離によって、対物レンズ20
5にの開口に対して入射されるレーザスポットは、図1
0(a)(b)に模式的に示すようになる。例えば図1
0(a)は、実線の円で示す対物レンズ205の開口2
05aに対して、その開口205aより小さい楕円状の
スポット形状のレーザLが入射されている様子である。
一方、図10(b)は開口205aに対して、その開口
205aより大きい楕円状のスポット形状のレーザLが
入射されている様子である。図10(a)の場合は対物
レンズ205のNAが使い切られていない状況を示すも
のとなり、ディスクのトラック上では、半径方向(トラ
ックピッチ方向)に対して長径となる楕円スポットが照
射される。この場合、クロスライト特性上、不利とな
る。また図10(b)の場合は、レーザの一部が対物レ
ンズ205に入射され、用いられるものとなり、ディス
クに照射されるレーザの強度分布的には円形スポットと
なるが、レーザのロスが大きく、いわゆるカップリング
効率が良くない。
【0007】このように、対物レンズ205のアパーチ
ャ径に対してどのような強度のレーザ光が入射されてい
るかを示す指数として、フィリングコンディション(fi
lling condition)A/Wというものがある。このフィ
リングコンディションA/Wの値はクロスライト特性に
関して言えば小さいほど好適とされる。図11に示すよ
うに、レーザダイオード201からの発散角θ0、レー
ザダイオード201からコリメータレンズ202の焦点
距離fc、強度が1/e2になるスポット半径W、対物
レンズ205のアパーチャ半径A、対物レンズ205の
焦点距離fo、収光角度θを考えたとき、 A=fosinθ=fo・NA W=fcsinθO となり、従ってフィリングコンディションA/Wは、 A/W=fo・NA/fcsinθO となる。
【0008】ここで、MD3と呼ばれるディスクと、M
D−DATA2と呼ばれるディスクを例に挙げる。な
お、これらのディスクについては後に詳述するが、MD
−DATA2は、ランド記録方式が採用され、トラック
ピッチが0.95μmである。一方MD3はより高密度
記録を可能としたもので、ディスク上に形成されたラン
ド及びグルーブが記録トラックとされ、該記録トラック
(ランドトラックとグルーブトラック)のトラックピッ
チが0.55μmとされる。さらにトラック線方向の記
録密度をDWDDを用いて高密度化している。MD−D
ATA2に対応する光ピックアップでは、レーザ波長は
650nm±30nm、NA=0.52とされている。
MD−DATA2とMD3の互換性を考えた場合、MD
3に対応する光ピックアップも、レーザ波長は650n
m±30nm、NA=0.52とすることが好適であ
る。
【0009】このため、MD3に対して、MD−DAT
A2用の光ピックアップを用いた場合のパワーマージン
−ビットエラーレートの特性を測定したところ、図12
に示す結果が得られた。この場合、光ピックアップの、
ディスク半径方向に相当するフィリングコンディション
A/W=0.95であった。図12は、レーザパワーを
変化させて試し書き記録を行い、それを再生してエラー
レートを測定したオーバーライト特性と、所定の測定ト
ラックに或るレベルで記録を行った後、隣接トラックに
レーザパワーを変化させて記録を行い、測定トラックを
再生してエラーレートを測定したクロスライト特性を示
している。MD3のようなトラックピッチの狭いディス
クの場合、クロスライトによる影響が大きくなり、パワ
ーマージン(或る基準のエラーレートポイントEPでの
記録レーザパワーの許容範囲)は、クロスライト特性に
より制限を受ける。また、レーザスポット形状がディス
ク半径方向に長径の楕円となることも、クロスライト特
性上不利である。これらのことから、MD3に対してフ
ィリングコンディションA/W=0.95の光ピックア
ップを用いた場合、パワーマージンとしては±13.6
%となった。
【0010】なお、パワーマージンの数値は、次のよう
に定義されるものである。即ち、オーバーライト特性か
ら得られるパワー下限値と、クロスライト特性から得ら
れるパワー上限値に対して、通常は、そのセンター値が
適切なパワーとされるため、センター値に対して上限値
を+x%、センター値に対して下限値を−x%として、
±x%をパワーマージンの値として示している。また図
12等のエラーレートの数値の表記として、例えば
「1.E−03」は「1×10-3」の意味であり、基準
となるエラーレートポイントEPは、例えば「5×10
-4」とされる。パワーマージンは、この「5×10-4
を基準として測定される。
【0011】このパワーマージンとしては±15%程度
が望まれており、例えばMD3に対して十分なパワーマ
ージンが得られない。よりパワーマージンを多く確保す
るためには、ディスク半径方向のスポット径をより小さ
くすることが有効である。そしてレーザ波長を短くした
り、対物レンズのNAを上げることによりスポット径は
小さくすることが可能ではあるが、上述のように部品コ
ストのアップや互換性の問題が生じる。
【0012】一方、狭トラックピッチ化が半径方向のス
ポット径によって制約を受けてしまうような事態を回避
する手段として、光ピックアップ内にアナモルフィック
プリズム等のレーザビーム整形素子を配するということ
が考えられる。例えば図13のように、コリメータレン
ズ202とグレーティング203の間にアナモルフィッ
クプリズム211を配する。アナモルフィックプリズム
211を用いることで、楕円状の強度分布のレーザスポ
ットを円形の強度分布とすることができ、これによって
半径方向のスポット径を小さくできる。アナモルフィッ
クプリズム211を用いた光学系で、半径方向のフィリ
ングコンディションA/W=0.6とされた場合のオー
バライト特性、クロスライト特性は図14のようにな
る。この場合、クロスライト特性が改善され、記録レー
ザパワーのパワーマージンとしては±16.1%が確保
できた。しかしながら、アナモルフィックプリズム21
1等のレーザビーム整形素子は効果であることから、装
置のコストアップが生ずる。このため特に民生用のディ
スクドライブ装置などでは、アナモルフィックプリズム
等を用いた光ピックアップを搭載することは難がある。
【0013】以上のことをまとめると、狭トラックピッ
チのディスクに対する光ピックアップにおいて、互換性
の維持やコスト面を考慮すると、レーザ波長やNAを従
前の光ピックアップと同様とすることが望ましいが、こ
の場合、十分なパワーマージンが確保できない。その一
方で、レーザビームのスポット形状(強度分布)を整形
するアナモルフィックプリズム等を用いると、パワーマ
ージンは確保できるが、コスト的に好ましくないという
ことになる。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような事情に鑑みて
本発明では、互換性及びコスト的に好適で、且つ十分な
パワーマージンが確保できるようにした光ピックアッ
プ、光ピックアップの製造方法、及びそのような光ピッ
クアップを搭載したディスクドライブ装置を提供するこ
とを目的とする。
【0015】このため本発明では、ディスク記録媒体上
に形成されたランド及びグルーブが記録トラックとさ
れ、該記録トラックのトラックピッチが0.75μm以
下であり、さらにトラック線方向の記録密度を磁気超解
像を用いて高密度化したディスク記録媒体に対応するデ
ィスクドライブ装置に搭載される光ピックアップにおい
て、レーザ波長は650nm±30nm、開口数NA=
0.52とされるとともに、レーザビーム整形素子を用
いずに、ディスク記録媒体の半径方向に相当するフィリ
ングコンディションA/Wが0.6〜0.8の間とされ
ているようにする。
【0016】また、ディスク記録媒体上に形成されたラ
ンド及びグルーブが記録トラックとされ、該記録トラッ
クのトラックピッチが0.75μm以下であり、さらに
トラック線方向の記録密度を磁気超解像を用いて高密度
化したディスク記録媒体に対応するディスクドライブ装
置に搭載される光ピックアップの製造方法として、レー
ザ波長は650nm±30nm、開口数NA=0.52
とされるとともに、レーザ光源とコリメータレンズの距
離、もしくはレーザ光源と対物レンズの距離の設定によ
り、レーザビーム整形素子を用いずにディスク記録媒体
の半径方向に相当するフィリングコンディションA/W
を0.6〜0.8の間とする。
【0017】アナモルフィックプリズム等のレーザビー
ム整形素子を用いずにパワーマージンを多くしようとす
る場合、アナモルフィックプリズム等を用いずに半径方
向(トラックピッチ方向)のフィリングコンディション
A/Wの値を小さくすることが必要と考えられる。例え
ば図8の光学系において、コリメータレンズ202の焦
点距離(レーザダイオード201からコリメータレンズ
202の距離)を長くすることで半径方向のフィリング
コンディションA/Wの値を小さくできる。ところがこ
れは図10(a)の状態から図10(b)の状態へ変化
させることに相当する。つまり半径方向のフィリングコ
ンディションA/Wの値を小さくするにつれて、カップ
リング効率は低下していくことになる。カップリング効
率が悪くなれば、光ピックアップとして必要な光出力が
確保できなくなる。そこで、半径方向のフィリングコン
ディションA/Wとカップリング効率の両方において好
適な範囲として、半径方向のフィリングコンディション
A/Wを0.6〜0.8になるようなコリメータ・レンズの焦
点距離を設定することにより、光ピックアップのコスト
アップを生じさせずに、クロスライト特性とカップリン
グ効率の両方の条件を満たすようにする。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態のディ
スクドライブ装置及びその光ピックアップについて説明
していく。この実施の形態では、一例として、可搬型の
ビデオカメラに内蔵されるディスクドライブ装置の例を
述べる。但し、もちろん本発明のディスクドライブ装置
は単体の装置とされても良いし、他の電子機器に内蔵さ
れるものであってもかまわない。また、ディスクドライ
ブ装置は磁界変調方式でデータ記録が行われる光磁気デ
ィスクであるミニディスク(MD)に対する記録再生装
置としての例で述べる。なお、ミニディスク方式のディ
スクとしては、各種データ記録可能なメディアとして、
従前より、MD−DATAと呼ばれるディスク、MD−
DATA2と呼ばれるディスクが開発されている。また
本実施の形態では、新たに提案されているMD3と呼ば
れるディスクに対応するものとする。そこで説明上の区
別のため、各MD方式のディスクは次のように表記す
る。 MD−DATA・・・「MD−DATA1」 MD−DATA2・・「MD−DATA2」 MD3・・・・・・・「MD3」 説明は次の順序で行う。 1.ディスク構造 2.ビデオカメラの構成 3.ディスクドライブ装置の構成 4.光ピックアップのフィリングコンディション
【0019】1.ディスク構造 本例のビデオカメラに搭載される記録再生装置部となる
ディスクドライブ装置は、ミニディスク(光磁気ディス
ク)に対応してデータの記録/再生を行う、MDデータ
といわれるフォーマットに対応しているものとされる。
このMDデータフォーマットとしては、上記のようにM
D−DATA1、MD−DATA2、MD3といわれる
3種類のフォーマットが開発されている。まず図1によ
り各MDの物理フォーマットを比較して説明する。
【0020】MD−DATA1フォーマットとしては、
トラックピッチは1.6μm、ビット長は0.59μm
/bitとなる。また、レーザ波長λ=780nmとさ
れ、光ピックアップの開口率NA=0.45とされる。
記録方式としては、グルーブ記録方式を採っている。つ
まり、グルーブ(ディスク盤面上の溝)をトラックとし
て記録再生に用いるようにしている。アドレス方式とし
ては、シングルスパイラルによるグルーブ(トラック)
を形成したうえで、このグルーブの両側に対してアドレ
ス情報としてのウォブルを形成したウォブルドグルーブ
を利用する方式を採るようにされている。
【0021】記録データの変調方式としてはEFM(8
−14変換)方式を採用している。また、誤り訂正方式
としてはACIRC(Advanced Cross Interleave Reed-
Solomon Code) が採用され、データインターリーブには
畳み込み型を採用している。最小記録単位は64KB、
データの冗長度は46.3%となる。
【0022】また、MD−DATA1フォーマットで
は、ディスク駆動方式としてCLV(Constant Linear V
erocity)が採用されており、CLVの線速度としては、
1.2m/sとされる。そして、記録再生時の標準のデ
ータレートとしては、133kB/sとされ、記録容量
としては、140MBとなる。
【0023】次にMD−DATA2フォーマットとして
は、トラックピッチは0.95μm、ビット長は0.3
4μm/bitとされ、共にMD−DATA1フォーマ
ットよりも短くなっていることが分かる。そして、例え
ば上記ビット長を実現するために、レーザ波長λ=65
0nm、光ピックアップの開口率NA=0.52とし
て、合焦位置でのビームスポット径を絞ると共に光学系
としての帯域を拡げている。
【0024】記録方式としては、ランド記録方式が採用
され、アドレス方式としてはインターレースアドレッシ
ング方式が採用される。また、記録データの変調方式と
しては、高密度記録に適合するとされるRLL(1,
7)方式(RLL;Run Length Limited)が採用され、
誤り訂正方式としてはRS−PC方式、データインター
リーブにはブロック完結型が採用される。最小記録単位
は32KB、データの冗長度は20.43%である。
【0025】MD−DATA2フォーマットにおいて
も、ディスク駆動方式としてはCLVが採用されるので
あるが、その線速度としては2.0m/sとされ、記録
再生時の標準のデータレートとしては589kB/sと
される。そして、記録容量としては650MBを得るこ
とができ、MD−DATA1フォーマットと比較した場
合には、4倍強の高密度記録化が実現されたことにな
る。例えば、MD−DATA2フォーマットにより動画
像の記録を行うとして、動画像データについてMPEG
2による圧縮符号化を施した場合には、符号化データの
ビットレートにも依るが、時間にして15分〜17分の
動画を記録することが可能とされる。また、音声信号デ
ータのみを記録するとして、音声データについてATR
AC(Adaptive Transform Acoustic Coding) 2による
圧縮処理を施した場合には、時間にして10時間程度の
記録を行うことができる。
【0026】次に、MD3フォーマットとしては、トラ
ックピッチは0.55μm、ビット長は0.13μm/
bitとされ、共にMD−DATA2フォーマットより
も短くなっている。レーザ波長λ=650nm、光ピッ
クアップの開口率NA=0.52とされることはMD−
DATA2と同様である。記録方式としては、ランド/
グルーブ記録方式が採用され、アドレス方式としてはト
ラックの片側ウォブルによる方式が採用される。トラッ
クピッチが0.55μmとされることは、ランド、グル
ーブの両方がトラックとされることによる。従って、例
えばグルーブ−グルーブ間でみれば、トラックピッチは
1.1μmとなり、この点でMD−DATA2よりもト
ラッキングサーボに関しては有利となっている。またト
ラック線方向の高密度化は超磁気解像技術であるDWD
Dが利用される。これによってレーザ波長λ、開口率N
AがMD−DATA2と同様のままでビット長を1/3
にまで短くできる。つまり、DWDDを用いることで、
線密度をMD−DATA2の2.6倍程度まで高めなが
ら、光学系をMD−DATA2と同様とすることで下位
互換性を維持している。
【0027】記録データの変調方式としては、MD−D
ATA2と同様に高密度記録に適合するRLL(1,
7)方式が採用されるが、誤り訂正方式としては、より
訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付
きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Cod
e)方式を用いている。データインターリーブにはブロ
ック完結型が採用される。そして、最小記録単位は64
KB、データの冗長度は19.02%とされる。MD3
の場合もディスク駆動方式はCLVで、その線速度とし
ては1.53m/sとされ、記録再生時の標準のデータ
レートとしては1.18MB/sとされる。そして、記
録容量としては3GBを得ることができ、MD−DAT
A2からも約4.6倍という、さらなる高密度記録化が
実現されている。
【0028】各MDのアドレス方式及びトラック構造を
図2で説明する。図2(a)はMD−DATA1のトラ
ック構造を模式的に示している。MD−DATA1の場
合、ディスク上には1本のウォブリング(蛇行)された
グルーブGがディスク内周側から外周側にかけてスパイ
ラル状に形成されている。そしてトラックのウォブリン
グは、絶対アドレスの変調波形に基づいて形成されてお
り、記録再生時にはウォブル成分を読み出すことで、デ
ィスク上のアドレスが認識できるようにされている。そ
してグルーブGが記録トラックTKとされ、ランドLは
記録トラックとしては用いられない。トラックピッチは
グルーブGとグルーブGの間のピッチとなり、これが
1.6μmとなっている。なお、本明細書では、ウォブ
リングにより記録される絶対アドレスをADIP(Addr
ess in Pregroove)とも呼ぶ。
【0029】図2(b)はMD−DATA2のトラック
構造を模式的に示している。この場合、ディスク上には
ウォブルが与えられたウォブルドグルーブG(W)と、ウ
ォブルが与えられていないノンウォブルドグルーブG
(N)との2種類のグルーブが予め形成される。そして、
これらウォブルドグルーブG(W)とノンウォブルドグル
ーブG(N)は、その間にランドLを形成するようにして
ディスク上において2重のスパイラル状に存在する。つ
まり2本のグルーブが平行しながらディスク内周側から
外周側にかけてスパイラル状に形成されている。
【0030】MD−DATA2フォーマットでは、ラン
ドLがトラックTKとして利用されるのであるが、上記
のようにしてウォブルドグルーブG(W)とノンウォブル
ドグルーブG(N)が形成されることから、トラックとし
てもトラックTK−A,TK−Bの2つのトラックがそ
れぞれ独立して、2重のスパイラル状に形成されること
になる。例えばトラックTK−Aは、ディスク内周側に
ウォブルドグルーブG(W)が位置し、ディスク外周側に
ノンウォブルドグルーブG(N)が位置するトラックとな
る。これに対してトラックTK−Bは、ディスク外周側
にウォブルドグルーブG(W)が位置し、ディスク内周側
にノンウォブルドグルーブG(N)が位置するトラックと
なる。つまり、トラックTK−Aに対してはディスク内
周側の片側のみにウォブルが形成され、トラックTK−
Bとしてはディスク外周側の片側のみにウォブルが形成
されるようにしたものとみることができる。この場合、
トラックピッチは、互いに隣接するトラックTK−Aと
トラックTK−Bの各センター間の距離となり、図2
(b)に示すようにトラックピッチは0.95μmとさ
れている。
【0031】ここで、ウォブルドグルーブG(W)として
のグルーブに形成されたウォブルは、ディスク上の物理
アドレスがFM変調+バイフェーズ変調によりエンコー
ドされた信号に基づいて形成されているものである。こ
のため、記録再生時においてウォブルドグルーブG(W)
に与えられたウォブリングから得られる再生情報を復調
処理することで、ディスク上の物理アドレス(ADI
P)を抽出することが可能となる。また、ウォブルドグ
ルーブG(W)としてのアドレス情報は、トラックTK−
A,TK−Bに対して共通に有効なものとされる。つま
り、ウォブルドグルーブG(W)を挟んで外周に位置する
トラックTK−Aと、内周に位置するトラックTK−B
は、そのウォブルドグルーブG(W)に与えられたウォブ
リングによるADIPアドレス情報を共有するようにさ
れる。なお、このようなアドレッシング方式はインター
レースアドレッシング方式ともいわれる。このインター
レースアドレッシング方式を採用することで、例えば、
隣接するウォブル間のクロストークを抑制した上でトラ
ックピッチを小さくすることが可能となるものである。
【0032】なお、上記のようにして同一のアドレス情
報を共有するトラックTK−A,TK−Bの何れをトレ
ースしているのかという識別は次のようにして行うこと
ができる。例えば3ビーム方式を応用し、メインビーム
がトラック(ランドL)をトレースしている状態では、
残る2つのサイドビームは、上記メインビームがトレー
スしているトラックの両サイドに位置するグルーブをト
レースしているようにする。すると、一方のサイドビー
ムがウォブルドグルーブG(W)をトレースし、他方のサ
イドビームがノンウォブルドグルーブG(N)をトレース
する。従って、各サイドビームの反射光情報を観測する
ことで、メインビームがトレースしているトラックがト
ラックTK−AであるかトラックTK−Bであるかを判
別できるものとなる。
【0033】図2(c)はMD3のトラック構造を模式
的に示している。この場合、ディスク上には片側のみに
ウォブルが与えられ、他方側はDC状態とされたグルー
ブGが予め形成される。このため、グルーブGと、それ
に隣接するランドLの境界に、ウォブリングが形成され
ている状態となる。この場合、ディスク上においては、
片側ウォブルの1本のグルーブGがディスク内周側から
外周側にかけてスパイラル状に形成されることになる。
【0034】そしてMD3フォーマットでは、グルーブ
GとランドLの両方がトラックTKとして利用される。
今、グルーブGによるトラックをトラックTK−G、ラ
ンドLによるトラックをトラックTK−Lとすると、記
録トラックTKとしてみれば、ディスク上に2重のスパ
イラル状に形成されることになる。即ち図3に模式的に
示すように、グルーブGとしては実線で示すように1本
のグルーブがスパイラル状に形成されるが、ランドLも
トラックとされることから、記録トラックとしては、実
線で示すグルーブトラックTK−Gと、破線で示すラン
ドトラックTK−Lが平行して2重螺旋状に形成された
状態となる。
【0035】図2(c)からわかるように、グルーブト
ラックTK−Gは、例えばディスク内周側がウォブリン
グされ、ディスク外周側がDC状態のトラックとなる。
これに対してランドトラックTK−Lは、ディスク外周
側がウォブリングされ、ディスク内周側がDC状態とさ
れたトラックとなる。つまり、グルーブトラックTK−
Gに対してはディスク内周側の片側のみにウォブルが形
成され、ランドトラックTK−Lとしてはディスク外周
側の片側のみにウォブルが形成されるようにしたものと
みることができる。このようなトラック構造により、隣
接するウォブル間のクロストークを抑制した上でトラッ
クピッチを小さくすることが可能となる。
【0036】この場合も、形成されるウォブルは、ディ
スク上の物理アドレスがFM変調+バイフェーズ変調に
よりエンコードされた信号に基づいて形成されているも
のである。このため、記録再生時においてトラックのウ
ォブリングから得られる再生情報を復調処理すること
で、ディスク上の物理アドレス(ADIP)を抽出する
ことが可能となる。また、ウォブリングによるアドレス
情報は、トラックTK−G,TK−Lに対して共通に有
効なものとされる。つまり、ウォブリングを挟んで外周
に位置するグルーブトラックTK−Gと、内周に位置す
るランドトラックTK−Lは、そのトラックに与えられ
たウォブリングによるADIP情報を共有するようにさ
れる。
【0037】このMD3の場合、グルーブトラックTK
−GとランドトラックTK−LでADIPによる物理ア
ドレスを共有するわけであるが、トラッキングサーボに
関しては、各トラックがグルーブとランドの関係である
ことから、サーボ極性を反転することで、グルーブトラ
ックTK−GとランドトラックTK−Lのいずれかにト
ラッキングできる。換言すれば、ディスクドライブ装置
側で、グルーブトラックTK−Gをトレースしたい場合
と、ランドトラックTK−Lをトレースしたい場合と
で、トラッキングサーボ信号の極性をそれぞれ逆に設定
すれば良いことになり、つまりトレースしているトラッ
クがグルーブトラックTK−Gであるかランドトラック
TK−Lであるかを判別する必要はない。従って、グル
ーブトラックTK−Gの記録再生時には、サーボ極性設
定によって必ずグルーブトラックTK−Gをトレースす
る状態となるため、その際に抽出されるADIPアドレ
スを、グルーブトラックTK−Gのアドレスとして認識
できる。逆にランドトラックTK−Lの記録再生時に
は、サーボ極性設定によって必ずランドトラックTK−
Lをトレースする状態となるため、その際に抽出される
ADIPアドレスを、ランドトラックTK−Lのアドレ
スとして認識できる。このため、グルーブトラックTK
−GとランドトラックTK−LでADIPアドレスの共
有が問題ないものとされる。
【0038】なお、トラックピッチは、互いに隣接する
グルーブトラックTK−GとランドトラックTK−Lの
各センター間の距離となり、図2(c)に示すようにト
ラックピッチは0.55μmとされているが、上述した
ようにトラッキングサーボに関してはピッチを1.1μ
mとみることができるため、トラッキングエラー信号に
関してはMD−DATA2よりも大きく採ることができ
る。
【0039】2.ビデオカメラの構成 図4で、本例のディスクドライブ装置が内蔵されるビデ
オカメラの構成を説明する。レンズブロック1は、例え
ば実際には撮像レンズや絞りなどを備えて構成される光
学系11が備えられている。また、このレンズブロック
1には、光学系11に対してオートフォーカス動作を行
わせるためのフォーカスモータや、ユーザーのズーム操
作に基づくズームレンズの移動を行うためのズームモー
タなどが、モータ部12として備えられる。
【0040】カメラブロック2には、主としてレンズブ
ロック1により撮影した画像光をデジタル画像信号に変
換するための回路部が備えられる。このカメラブロック
2のCCD(Charge Coupled Device) 21に対しては、
光学系11を透過した被写体の光画像が与えられる。C
CD21においては上記光画像について光電変換を行う
ことで撮像信号を生成し、サンプルホールド/AGC(A
utomatic Gain Control)回路22に供給する。サンプル
ホールド/AGC回路22では、CCD21から出力さ
れた撮像信号についてゲイン調整を行うと共に、サンプ
ルホールド処理を施すことによって波形整形を行う。サ
ンプルホールド/AGC回路2の出力は、ビデオA/D
コンバータ23に供給されることで、デジタルとしての
画像信号データに変換される。
【0041】上記CCD21、サンプルホールド/AG
C回路22、ビデオA/Dコンバータ23における信号
処理タイミングは、タイミングジェネレータ24にて生
成されるタイミング信号により制御される。タイミング
ジェネレータ24では、後述するデータ処理/システム
コントロール回路31(ビデオ信号処理回部3内)にて
信号処理に利用されるクロックを入力し、このクロック
に基づいて所要のタイミング信号を生成するようにされ
る。これにより、カメラブロック2における信号処理タ
イミングを、ビデオ信号処理部3における処理タイミン
グと同期させるようにしている。カメラコントローラ2
5は、カメラブロック2内に備えられる上記各機能回路
部が適正に動作するように所要の制御を実行すると共
に、レンズブロック1に対してオートフォーカス、自動
露出調整、絞り調整、ズームなどのための制御を行うも
のとされる。例えばオートフォーカス制御であれば、カ
メラコントローラ25は、所定のオートフォーカス制御
方式に従って得られるフォーカス制御情報に基づいて、
フォーカスモータの回転角を制御する。これにより、撮
像レンズはジャストピント状態となるように駆動される
ことになる。
【0042】ビデオ信号処理部3は、記録時において
は、カメラブロック2から供給されたデジタル画像信
号、及びマイクロフォン202により集音したことで得
られるデジタル音声信号について圧縮処理を施し、これ
ら圧縮データをユーザ記録データとして後段のメディア
ドライブ部4に供給する。さらにカメラブロック2から
供給されたデジタル画像信号とキャラクタ画像により生
成した画像をビューファインダドライブ部207に供給
し、ビューファインダ204に表示させる。また、再生
時においては、メディアドライブ部4から供給されるユ
ーザ再生データ(ディスク51からの読み出しデー
タ)、つまり圧縮処理された画像信号データ及び音声信
号データについて復調処理を施し、これらを再生画像信
号、再生音声信号として出力する。
【0043】なお本例において、画像信号データ(画像
データ)の圧縮/伸張処理方式としては、動画像につい
てはMPEG(Moving Picture Experts Group)方式(例
えばMPEG2等)を採用し、静止画像についてはJP
EG(Joint Photographic Coding Experts Group) 方式
を採用しているものとする。また、音声信号デーのタ圧
縮/伸張処理方式には、ATRAC(Adaptive Transfor
m Acoustic Coding)方式(例えばATRAC、ATRA
C2、ATRAC3等)を採用するものとする。
【0044】ビデオ信号処理部3のデータ処理/システ
ムコントロール回路31は、主として、当該ビデオ信号
処理部3における画像信号データ及び音声信号データの
圧縮/伸張処理に関する制御処理と、ビデオ信号処理部
3を経由するデータの入出力を司るための処理を実行す
る。また、データ処理/システムコントロール回路31
を含むビデオ信号処理部3全体についての制御処理は、
ビデオコントローラ38が実行するようにされる。この
ビデオコントローラ38は、例えばマイクロコンピュー
タ等を備えて構成され、カメラブロック2のカメラコン
トローラ25、及び後述するメディアドライブ部4のド
ライバコントローラ46と、例えば図示しないバスライ
ン等を介して相互通信可能とされている。
【0045】ビデオ信号処理部3における記録時の基本
的な動作として、データ処理/システムコントロール回
路31には、カメラブロック2のビデオA/Dコンバー
タ23から供給された画像信号データが入力される。デ
ータ処理/システムコントロール回路31では、入力さ
れた画像信号データを例えば動き検出回路35に供給す
る。動き検出回路35では、例えばメモリ36を作業領
域として利用しながら入力された画像信号データについ
て動き補償等の画像処理を施した後、MPEG2ビデオ
信号処理回路33に供給する。
【0046】MPEG2ビデオ信号処理回路33におい
ては、例えばメモリ34を作業領域として利用しなが
ら、入力された画像信号データについてMPEG2のフ
ォーマットに従って圧縮処理を施し、動画像としての圧
縮データのビットストリーム(MPEG2ビットストリ
ーム)を出力するようにされる。また、MPEG2ビデ
オ信号処理回路33では、例えば動画像としての画像信
号データから静止画としての画像データを抽出してこれ
に圧縮処理を施す際には、JPEGのフォーマットに従
って静止画としての圧縮画像データを生成するように構
成されている。なお、JPEGは採用せずに、MPEG
2のフォーマットによる圧縮画像データとして、正規の
画像データとされるIピクチャ(Intra Picture) を静止
画の画像データとして扱うことも考えられる。MPEG
2ビデオ信号処理回路33により圧縮符号化された画像
信号データ(圧縮画像データ)は、例えば、バッファメ
モリ32に対して所定の転送レートにより書き込まれて
一時保持される。なおMPEG2のフォーマットにおい
ては、周知のようにいわゆる符号化ビットレート(デー
タレート)として、一定速度(CBR;Constant Bit R
ate)と、可変速度(VBR;Variable Bit Rate)の両者
がサポートされており、ビデオ信号処理部3ではこれら
に対応できるものとしている。
【0047】音声圧縮エンコーダ/デコーダ37には、
A/Dコンバータ64(表示/画像/音声入出力部6
内)を介して、例えばマイクロフォン202により集音
された音声がデジタルによる音声信号データとして入力
される。音声圧縮エンコーダ/デコーダ37では、前述
のように例えばATRAC3のフォーマットに従って入
力された音声信号データに対する圧縮処理を施す。この
圧縮音声信号データもまた、データ処理/システムコン
トロール回路31によってバッファメモリ32に対して
所定の転送レートによる書き込みが行われ、ここで一時
保持される。
【0048】上記のようにして、バッファメモリ32に
は、圧縮画像データ及び圧縮音声信号データが蓄積可能
とされる。バッファメモリ32は、主として、カメラブ
ロック2あるいは表示/画像/音声入出力部6とバッフ
ァメモリ32間のデータ転送レートと、バッファメモリ
32とメディアドライブ部4間のデータ転送レートの速
度差を吸収するための機能を有する。バッファメモリ3
2に蓄積された圧縮画像データ及び圧縮音声信号データ
は、記録時であれば、順次所定タイミングで読み出しが
行われて、メディアドライブ部4のMD3エンコーダ/
デコーダ41に伝送される。ただし、例えば再生時にお
いてバッファメモリ32に蓄積されたデータの読み出し
と、この読み出したデータをメディアドライブ部4から
デッキ部5を介してディスク51に記録するまでの動作
は、間欠的に行われても構わない。このようなバッファ
メモリ32に対するデータの書き込み及び読み出し制御
は、例えば、データ処理/システムコントロール回路3
1によって実行される。
【0049】なお、図1で説明したように、MD−DA
TA2フォーマットとMD3フォーマットでは、共に変
調方式がRLL(1−7)であり、誤り訂正方式として
の処理が多少異なるのみであるため、MD3エンコーダ
/デコーダ41としてMD−DATA2フォーマットに
も対応させることは容易である。本例では、MD3エン
コーダ/デコーダ41では、MD3フォーマット及びM
D−DATA2フォーマットの両方に対応してエンコー
ド処理、デコード処理を実行できるものとする。
【0050】ビデオ信号処理部3における再生時の動作
としては、概略的に次のようになる。再生時には、ディ
スク51から読み出され、MD3エンコーダ/デコーダ
41(メディアドライブ部4内)の処理によりMD3フ
ォーマットに従ってデコードされた圧縮画像データ、圧
縮音声信号データ(ユーザ再生データ)が、データ処理
/システムコントロール回路31に伝送されてくる。
【0051】データ処理/システムコントロール回路3
1では、例えば入力した圧縮画像データ及び圧縮音声信
号データを、一旦バッファメモリ32に蓄積させる。そ
して、例えば再生時間軸の整合が得られるようにされた
所要のタイミング及び転送レートで、バッファメモリ3
2から圧縮画像データ及び圧縮音声信号データの読み出
しを行い、圧縮画像データについてはMPEG2ビデオ
信号処理回路33に供給し、圧縮音声信号データについ
ては音声圧縮エンコーダ/デコーダ37に供給する。
【0052】MPEG2ビデオ信号処理回路33では、
入力された圧縮画像データについて伸張処理を施して、
データ処理/システムコントロール回路31に伝送す
る。データ処理/システムコントロール回路31では、
この伸張処理された画像信号データを、ビデオD/Aコ
ンバータ61(表示/画像/音声入出力部6内)に供給
する。音声圧縮エンコーダ/デコーダ37では、入力さ
れた圧縮音声信号データについて伸張処理を施して、D
/Aコンバータ65(表示/画像/音声入出力部6内)
に供給する。
【0053】表示/画像/音声入出力部6においては、
ビデオD/Aコンバータ61に入力された画像信号デー
タは、ここでアナログ画像信号に変換され、表示コント
ローラ62及びコンポジット信号処理回路63に対して
分岐して入力される。表示コントローラ62では、入力
された画像信号に基づいて表示部6Aを駆動する。これ
により、表示部6Aにおいて再生画像の表示が行われ
る。また、表示部6Aにおいては、ディスク51から再
生して得られる画像の表示だけでなく、当然のこととし
て、レンズブロック1及びカメラブロック2からなるカ
メラ部位により撮影して得られた撮像画像も、ほぼリア
ルタイムで表示出力させることが可能である。また、再
生画像及び撮像画像の他、前述のように、機器の動作に
応じて所要のメッセージをユーザに知らせるための文字
やキャラクタ等によるメッセージ表示も行われるものと
される。このようなメッセージ表示は、例えばビデオコ
ントローラ38の制御によって、所要の文字やキャラク
タ等が所定の位置に表示されるように、データ処理/シ
ステムコントロール回路31からビデオD/Aコンバー
タ61に出力すべき画像信号データに対して、所要の文
字やキャラクタ等の画像信号データを合成する処理を実
行するようにすればよい。
【0054】コンポジット信号処理回路63では、ビデ
オD/Aコンバータ61から供給されたアナログ画像信
号についてコンポジット信号に変換して、ビデオ出力端
子T1に出力する。例えば、ビデオ出力端子T1を介し
て、外部モニタ装置等と接続を行えば、当該ビデオカメ
ラで再生した画像を外部モニタ装置により表示させるこ
とが可能となる。
【0055】また、表示/画像/音声入出力部6におい
て、音声圧縮エンコーダ/デコーダ37からD/Aコン
バータ65に入力された音声信号データは、ここでアナ
ログ音声信号に変換され、ヘッドフォン/ライン端子T
2に対して出力される。また、D/Aコンバータ65か
ら出力されたアナログ音声信号は、アンプ66を介して
スピーカSPに対しても分岐して出力され、これによ
り、スピーカSPからは、再生音声等が出力されること
になる。
【0056】メディアドライブ部4では、主として、記
録時にはMD3フォーマットに従って記録データをディ
スク記録に適合するようにエンコードしてデッキ部5に
伝送し、再生時においては、デッキ部5においてディス
ク51から読み出されたデータについてデコード処理を
施すことで再生データを得て、ビデオ信号処理部3に対
して伝送する。なお、ディスク51としては、MD3が
想定されるが、MD−DATA2或いはMD−DATA
1としてのディスクとされても対応可能である。
【0057】このメディアドライブ部4のMD3エンコ
ーダ/デコーダ41は、記録時においては、データ処理
/システムコントロール回路31から記録データ(圧縮
画像データ+圧縮音声信号データ)が入力され、この記
録データについて、MD3フォーマット(又はMD−D
ATA2フォーマット)に従った所定のエンコード処理
を施し、このエンコードされたデータを一時バッファメ
モリ42に蓄積する。そして、所要のタイミングで読み
出しを行いながらデッキ部5に伝送する。
【0058】再生時においては、ディスク51から読み
出され、RF信号処理回路44、A/D変換器43を介
して入力されたデジタル再生信号について、MD3フォ
ーマット(又はMD−DATA2フォーマット)に従っ
たデコード処理を施して、再生データとしてビデオ信号
処理部3のデータ処理/システムコントロール回路31
に対して伝送する。なお、この際においても、必要があ
れば再生データを一旦バッファメモリ42に蓄積し、こ
こから所要のタイミングで読み出したデータをデータ処
理/システムコントロール回路31に伝送出力するよう
にされる。このような、バッファメモリ42に対する書
き込み/読み出し制御はドライバコントローラ46が実
行するものとされる。なお、例えばディスク51の再生
時において、外乱等によってサーボ等が外れて、ディス
クからの信号の読み出しが不可となったような場合で
も、バッファメモリ42に対して読み出しデータが蓄積
されている期間内にディスクに対する再生動作を復帰さ
せるようにすれば、再生データとしての時系列的連続性
を維持することが可能となる。
【0059】RF信号処理回路44には、ディスク51
からの読み出し信号について所要の処理を施すことで、
例えば、再生データとしてのRF信号、デッキ部5に対
するサーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッ
キングエラー信号等のサーボ制御信号を生成する。RF
信号は、上記のようにA/D変換器43により量子化さ
れ、デジタル信号データとしてMD3エンコーダ/デコ
ーダ41に入力される。また、生成された各種サーボ制
御信号はサーボ回路45に供給される。サーボ回路45
では、入力したサーボ制御信号に基づいて、デッキ部5
における所要のサーボ制御を実行する。
【0060】なお、本例においてはディスク51として
MD−DATA1が装填された場合に対応するために、
MD−DATA1フォーマットに対応するエンコーダ/
デコーダ47を備えており、ビデオ信号処理部3から供
給された記録データを、MD−DATA1フォーマット
に従ってエンコードしてディスク51に記録すること、
或いは、ディスク51からの読み出しデータがMD−D
ATA1フォーマットに従ってエンコードされているも
のについては、そのデコード処理を行って、ビデオ信号
処理部3に伝送出力することも可能とされている。つま
り本例のビデオカメラとしては、MD3フォーマット、
MD−DATA2フォーマット、MD−DATA1フォ
ーマットとについて互換性が得られるように構成されて
いる。ドライバコントローラ46は、メディアドライブ
部4を総括的に制御するための機能回路部とされる。
【0061】デッキ部5は、ディスク51を駆動するた
めの機構からなる部位とされる。ここでは図示しない
が、デッキ部5においては、装填されるべきディスク5
1が着脱可能とされ、ユーザの作業によって交換が可能
なようにされた機構を有しているものとされる。上記し
たように、装填されるディスク51は、MD3、MD−
DATA2、あるいはMD−DATA1としての光磁気
ディスクである。
【0062】デッキ部5においては、装填されたディス
ク51をCLVにより回転駆動するスピンドルモータ5
2によって、CLVにより回転駆動される。このディス
ク51に対しては記録/再生時に光ピックアップ53に
よってレーザ光が照射される。光ピックアップ53は、
記録時には記録トラックをキュリー温度まで加熱するた
めの高レベルのレーザ出力を行ない、また再生時には磁
気カー効果により反射光からデータを検出するための比
較的低レベルのレーザ出力を行なう。このため、光ピッ
クアップ53には、例えば図8で説明したように、レー
ザ出力手段としてのレーザダイオード201、コリメー
タレンズ202、ビームスプリッタ204、対物レンズ
205等からなる光学系、及び反射光を検出するための
フォトディテクタ209が搭載されている。光ピックア
ップ53に備えられる対物レンズ205としては、例え
ば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接
離する方向に変位可能に保持されている。
【0063】また、ディスク51を挟んで光ピックアッ
プ53と対向する位置には磁気ヘッド54が配置されて
いる。磁気ヘッド54は記録データによって変調された
磁界をディスク51に印加する動作を行なう。また、図
示しないが、デッキ部5においては、スレッドモータ5
5により駆動されるスレッド機構が備えられている。こ
のスレッド機構が駆動されることにより、上記光ピック
アップ53全体及び磁気ヘッド54はディスク半径方向
に移動可能とされている。
【0064】操作部7としては、当該ビデオカメラに対
するユーザー操作のための各種操作子が用意されてい
る。即ち電源操作、撮像操作、記録操作、再生操作、ズ
ーム操作、各種モード操作などのための操作子が形成さ
れる。これらの操作子によるユーザの各種操作情報は例
えばビデオコントローラ38に供給される。ビデオコン
トローラ38は、ユーザー操作に応じた必要な動作が各
部において実行されるようにするための操作情報、制御
情報をカメラコントローラ25、ドライバコントローラ
46に対して供給する。
【0065】外部インターフェイス8は、当該ビデオカ
メラと外部機器とでデータを相互伝送可能とするために
設けられており、例えば図のようにI/F端子T3とビ
デオ信号処理部間に対して設けられる。なお、外部イン
ターフェイス8としてはここでは特に限定されるもので
はないが、例えばUSBやIEEE1394等が採用さ
れればよい。例えば、外部のデジタル画像機器と本例の
ビデオカメラをI/F端子T3を介して接続した場合、
ビデオカメラで撮影した画像(音声)を外部デジタル画
像機器に録画したりすることが可能となる。また、外部
デジタル画像機器にて再生した画像(音声)データ等
を、外部インターフェイス8を介して取り込むことによ
り、MD3,MD−DATA2,或いはMD−DATA
1フォーマットに従ってディスク51に記録するといっ
たことも可能となる。
【0066】電源ブロック9は、内蔵のバッテリにより
得られる直流電源あるいは商用交流電源から生成した直
流電源を利用して、各機能回路部に対して所要のレベル
の電源電圧を供給する。電源ブロック9による電源オン
/オフは、上述した操作部7からの電源操作に応じてビ
デオコントローラ38が制御する。また記録動作中はビ
デオコントローラ38はインジケータ206の発光動作
を実行させる。
【0067】3.ディスクドライブ装置の構成 本実施の形態でいうディスクドライブ装置とは、上記ビ
デオカメラ内部におけるメディアドライブ部4及びデッ
キ部5により構成される部分が相当する。そこで、メデ
ィアドライブ部4及びデッキ部5の構成として、MD3
に対応する機能回路部を抽出した詳細な構成について、
図5のブロック図を参照して説明する。なお、デッキ部
5の内部構成については図4により説明したため、ここ
では、図4と同一符号を付して図示するのみとし、説明
を省略する。また、図5に示すメディアドライブ部4に
おいて図4のブロックに相当する範囲に同一符号を付し
ている。
【0068】光ピックアップ53のディスク51に対す
るデータ読み出し動作によりに検出された情報(図8の
フォトディテクタ209によりレーザ反射光を検出して
得られる光電流)は、RF信号処理回路44内のRFア
ンプ101に供給される。RFアンプ101では入力さ
れた検出情報から、再生信号としての再生RF信号を生
成する。ここでは、DWDD方式特有の低域成分の揺ら
ぎをとるための微分処理や、ノイズ低減のためのローパ
スフィルタ処理も行われる。
【0069】RFアンプ101で処理された信号はA/
D変換器43において量子化され、デジタル信号化され
た再生RF信号が得られる。この再生RF信号は、MD
3エンコーダ/デコーダ41に供給され、まずAGC/
クランプ回路103を介してゲイン調整、クランプ処理
等が行われた後、イコライザ/PLL回路104に入力
される。イコライザ/PLL回路104では、入力され
た量子化された再生RF信号についてイコライジング処
理を施してビタビデコーダ105に出力する。また、イ
コライジング処理後の再生RF信号をデジタルPLL回
路に入力することにより、再生RF信号(RLL(1,
7)符号列)に同期したクロックCLKを抽出する。
【0070】クロックCLKの周波数は現在のディスク
回転速度に対応する。このため、CLVプロセッサ11
1では、イコライザ/PLL回路104からクロックC
LKを入力し、所定のCLV速度(図1参照)に対応す
る基準値と比較することにより誤差情報を得て、この誤
差情報をスピンドルエラー信号SPEを生成するための
信号成分として利用する。また、クロックCLKは、例
えばRLL(1,7)復調回路106をはじめとする、
所要の信号処理回路系における処理のためのクロックと
して利用される。
【0071】ビタビデコーダ105は、イコライザ/P
LL回路104から入力された再生RF信号について、
いわゆるビタビ復号法に従った復号処理を行う。これに
より、RLL(1,7)符号列としての再生データが得
られることになる。この再生データはRLL(1,7)
復調回路106に入力され、ここでRLL(1,7)復
調が施されたデータストリームとされる。
【0072】なお、この例では、A/D変換器43によ
る量子化後の再生RF信号を用いて、AGC処理、イコ
ライジング、デジタルPLL処理を行うようにしている
が、A/D変換器の前段で量子化前の再生RF信号に対
してアナログAGC処理、イコライジング、PLL処理
を行うようにすることもある。
【0073】RLL(1,7)復調回路106における
復調処理により得られたデータストリームは、データバ
ス114を介してバッファメモリ42に対して書き込み
が行われ、バッファメモリ42上で展開される。このよ
うにしてバッファメモリ42上に展開されたデータスト
リームに対しては、先ず、ECC処理回路116によ
り、RS−LDC方式(MD−DATA2フォーマット
の場合はRS−PC方式)に従って誤り訂正ブロック単
位によるエラー訂正処理が施され、更に、デスクランブ
ル/EDCデコード回路117により、デスクランブル
処理と、EDCデコード処理が施される。これまでの処
理が施されたデータが再生データDATApとされる。
この再生データDATApは、転送クロック発生回路1
21にて発生された転送クロックに従った転送レート
で、例えばデスクランブル/EDCデコード回路117
からビデオ信号処理部3のデータ処理/システムコント
ロール回路31に対して伝送されることになる。
【0074】転送クロック発生回路121は、例えば、
クリスタル系のクロックをメディアドライブ部4とビデ
オ信号処理部3間のデータ伝送や、メディアドライブ部
4内における機能回路部間でのデータ伝送を行う際に、
適宜適正とされる周波数の転送クロックを発生するため
の部位とされる。
【0075】光ピックアップ53によりディスク51か
ら読み出された検出情報(光電流)は、マトリクスアン
プ107に対しても供給される。マトリクスアンプ10
7では、入力された検出情報について所要の演算処理を
施すことにより、トラッキングエラー信号TE、フォー
カスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク51にト
ラックのウォブリングにより記録されている絶対アドレ
ス情報)GFM等を抽出する。そして抽出されたトラッ
キングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEはサ
ーボプロセッサ112に供給され、グルーブ情報GFM
はADIPバンドパスフィルタ108に供給される。
【0076】ADIPバンドパスフィルタ108により
帯域制限されてウォブル成分として抽出されたグルーブ
情報GFMは、ADIPデコーダ110及びCLVプロ
セッサ111に対して供給される。なお図示していない
が、上述したようにMD−DATA2フォーマットの場
合は、トレースしているトラックが図2(b)における
トラックTK−A、TK−Bを判別する必要から、MD
−DATA2フォーマットに対応可能とするためにA/
Bトラック検出回路が設けられ、これに対してグルーブ
情報GFMが供給されることになる。
【0077】また、ADIPデコーダ110では、入力
されたグルーブ情報GFMをデコードしてディスク上の
絶対アドレス情報であるADIP信号を抽出し、ドライ
バコントローラ46に出力する。ドライバコントローラ
46ではADIP信号に基づいて、所要の制御処理を実
行する。
【0078】CLVプロセッサ111には、イコライザ
/PLL回路104からクロックCLKと、ADIPバ
ンドパスフィルタ108を介したグルーブ情報GFMが
入力される。CLVプロセッサ111では、例えばグル
ーブ情報GFMに対するクロックCLKとの位相誤差を
積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御
のためのスピンドルエラー信号SPEを生成し、サーボ
プロセッサ112に対して出力する。なお、CLVプロ
セッサ111が実行すべき所要の動作はドライバコント
ローラ46によって制御される。
【0079】サーボプロセッサ112は、上記のように
して入力されたトラッキングエラー信号TE、フォーカ
スエラー信号FE、スピンドルエラー信号SPE、或い
はドライバコントローラ46からのトラックジャンプ指
令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(ト
ラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制
御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、サーボドラ
イバ113に対して出力する。即ち上記サーボエラー信
号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設
定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成
する。
【0080】サーボドライバ113では、サーボプロセ
ッサ112から供給されたサーボ制御信号に基づいて所
要のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボド
ライブ信号としては、二軸機構を駆動する二軸ドライブ
信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、ス
レッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピン
ドルモータ52を駆動するスピンドルモータ駆動信号と
なる。このようなサーボドライブ信号がデッキ部5に対
して供給されることで、ディスク51に対するフォーカ
ス制御、トラッキング制御、及びスピンドルモータ52
に対するCLV制御が行われることになる。
【0081】なお、上述したようにMD3の場合、図2
(c)におけるグルーブトラックTK−Aとランドトラ
ックTK−Bについて、トラッキングサーボ極性を切り
換えることで、それぞれのトラックにサーボをかける。
このためドライバコントローラ46は、トレースすべき
トラックがグルーブトラックTK−Aかランドトラック
TK−Bかに応じて、サーボプロセッサ112で処理さ
れるトラッキングサーボ信号の極性を切り換えるように
指示することとなる。またMD3フォーマットの場合、
フォーカス制御において非点収差法を用いた場合は、グ
ルーブトラックTK−GとランドトラックTK−Lとで
フォーカスエラー信号にオフセットが出ることが知られ
ている。このため、ドライバコントローラ46は、トレ
ースしているトラックがグルーブトラックTK−Gかラ
ンドトラックTK−Lかに応じて、それぞれ異なるフォ
ーカスオフセットを設定するように制御している。
【0082】ディスク51に対して記録動作が実行され
る際には、例えば、ビデオ信号処理部3のデータ処理/
システムコントロール回路31からスクランブル/ED
Cエンコード回路115に対して記録データDATAr
が入力されることになる。このユーザ記録データDAT
Arは、例えば転送クロック発生回路121にて発生さ
れた転送クロックに同期して入力される。
【0083】スクランブル/EDCエンコード回路11
5では、例えば記録データDATArをバッファメモリ
42に書き込んで展開し、データスクランブル処理、E
DCエンコード処理(所定方式によるエラー検出符号の
付加処理)を施す。この処理の後、例えばECC処理回
路116によって、バッファメモリ42に展開させてい
る記録データDATArに対してRS−LDC方式(又
はRS−PC方式)によるエラー訂正符号を付加するよ
うにされる。ここまでの処理が施された記録データDA
TArは、バッファメモリ42から読み出されて、デー
タバス114を介してRLL(1,7)変調回路118
に供給される。
【0084】RLL(1,7)変調回路118では、入
力された記録データDATArについてRLL(1,
7)変調処理を施し、このRLL(1,7)符号列とし
ての記録データを磁気ヘッド駆動回路119に出力す
る。
【0085】ところで、MD−DATA2フォーマット
では、ディスクに対する記録方式として、いわゆるレー
ザストローブ磁界変調方式を採用している。レーザスト
ローブ磁界変調方式とは、記録データにより変調した磁
界をディスク記録面に印加すると共に、ディスクに照射
すべきレーザ光を記録データに同期してパルス発光させ
る記録方式をいう。このようなレーザストローブ磁界変
調方式では、ディスクに記録されるピットエッジの形成
過程が磁界の反転速度等の過渡特性に依存せず、レーザ
パルスの照射タイミングによって決定される。このた
め、例えば単純磁界変調方式(レーザ光をディスクに対
して定常的に照射すると共に記録データにより変調した
磁界をディスク記録面に印加するようにした方式)と比
較して、レーザストローブ磁界変調方式では、記録ピッ
トのジッタをきわめて小さくすることが容易に可能とさ
れる。つまり、レーザストローブ磁界変調方式は、高密
度記録化に有利な記録方式とされるものである。
【0086】メディアドライブ部4の磁気ヘッド駆動回
路119では、入力された記録データにより変調した磁
界が磁気ヘッド54からディスク51に印加されるよう
に動作する。また、RLL(1,7)変調回路118か
らレーザドライバ/APC120に対しては、記録デー
タに同期したクロックを出力する。レーザドライバ/A
PC120は、入力されたクロックに基づいて、磁気ヘ
ッド54により磁界として発生される記録データに同期
させたレーザパルスがディスクに対して照射されるよう
に、光ピックアップ53のレーザダイオード201を駆
動する。この際、レーザダイオードから発光出力される
レーザパルスとしては、記録に適合する所要のレーザパ
ワーに基づくものとなる。このようにして、本例のメデ
ィアドライブ部4により上記レーザストローブ磁界変調
方式としての記録動作が可能とされる。
【0087】レーザドライバ/APC120は、上記の
ような再生時及び記録時においてレーザダイオードにレ
ーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automa
ticLazer Power Control)動作も行う。即ち図8に示し
たように、光ピックアップ53内にはレーザパワーモニ
タのためにフロントAPC用ディテクタ210が設けら
れ、そのモニタ信号がレーザドライバ/APC120に
フィードバックされる。レーザドライバ/APC120
は、モニタ信号として得られる現在のレーザパワーを、
設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分を
レーザ駆動信号に反映させることで、レーザダイオード
201から出力されるレーザパワーが、設定値で安定す
るように制御している。なお、レーザパワーとしては、
再生レーザパワー、記録レーザパワーとしての値がドラ
イバコントローラ46によって、レーザドライバ/AP
C120内部のレジスタにセットされる。またMD3の
場合、グルーブトラックTK−GとランドトラックTK
−Lで最適なレーザパワーが異なることがある。このた
め、グルーブトラックTK−G用の再生レーザパワー、
記録レーザパワーと、ランドトラックTK−L用の再生
レーザパワー、記録レーザパワーが、レーザドライバ/
APC120にセットされる。
【0088】4.光ピックアップのフィリングコンディ
ション MD3に対応する本例のディスクドライブ装置の光ピッ
クアップ53は、例えば図8で説明したような構成とさ
れている。即ち、図13のようなアナモルフィックプリ
ズム等のレーザビーム整形素子を有しない構成のものと
される。また、MD3ではDWDDを用いることで、レ
ーザスポット径を小さくしなくても高密度化を実現する
ものであり、また図1により説明したが、この点を利用
して、レーザ波長は650nm(±30nm)、開口数
NA=0.52とされること、つまりMD−DATA2
の場合と同一のスポットサイズとすることで、MD3と
MD−DATA2との間での互換性を維持している。
【0089】そして本例の光ピックアップ53の最も特
徴的な点は、レーザダイオード201からコリメータレ
ンズ202の距離(コリメータレンズ202の焦点距
離:図11におけるfc)の設定により、ディスク51
の半径方向に相当するフィリングコンディションA/W
が0.6〜0.8の間とされていることである。
【0090】図6(a)に、レーザダイオード201か
らコリメータレンズ202の距離を変化させて半径方向
のフィリングコンディションA/Wを変化させた場合の
記録レーザパワーのパワーマージンの測定結果を示す。
図からわかるように、半径方向のフィリングコンディシ
ョンA/Wを小さくして行くにつれて、パワーマージン
が広くなっていく。そしてパワーマージンとしては±1
5%程度が十分なものとされるが、半径方向のフィリン
グコンディションA/Wが0.8以下となることで、こ
の十分なパワーマージンが確保できることになる。な
お、図6(a)には参考のため、アナモルフィックプリ
ズムを用いた光ピックアップの場合、フィリングコンデ
ィションがほぼ0.6となり、パワーマージンとして±
16%程度が得られることも示している。
【0091】一方、図6(b)は、同じくレーザダイオ
ード201からコリメータレンズ202の距離を変化さ
せて半径方向のフィリングコンディションA/Wを変化
させた場合の、カップリング効率の測定結果を示してい
る。図からわかるように、半径方向のフィリングコンデ
ィションA/Wを小さくして行くにつれて、カップリン
グ効率は低下していく。そしてカップリング効率が光ピ
ックアップ53のレーザ出力として十分な限度は、略1
3%付近であり、この点で、半径方向のフィリングコン
ディションA/Wが0.6以上となることで、十分なカ
ップリング効率が確保できることになる。
【0092】従って、図6において好適範囲として示す
ように、ディスク51の半径方向に相当するフィリング
コンディションA/Wが0.6〜0.8の間とされてい
ることが、パワーマージンとカップリング効率の両方の
必要条件を満たすことになる。MD3としてのディスク
51に対して、半径方向のフィリングコンディションA
/Wを0.6〜0.8の間とした場合の、パワーマージ
ン−ビットエラーレートの特性を測定すると、図7に示
すようになる。この図7と、上述した図12を比較して
わかるように、クロスライト特性が改善され、これによ
ってパワーマージンとしては±15%を確保できること
がわかる。
【0093】即ち本例の光ピックアップ53は、ランド
及びグルーブが記録トラックとされ、記録トラックのト
ラックピッチが0.55μm以下であり、さらにトラッ
ク線方向の記録密度を磁気超解像(DWDD)を用いて
高密度化したMD3に対応するディスクドライブ装置に
搭載される光ピックアップであり、レーザ波長は650
nm(±30nm)、開口数NA=0.52とされると
ともに、レーザダイオード201とコリメータレンズ2
02の間の距離設定により、ディスク記録媒体の半径方
向に相当するフィリングコンディションA/Wが0.6
〜0.8の間としたことから、レーザビーム整形素子を
用いずにクロスライト特性を改善でき、コストアップを
伴わないで十分なレーザパワーのパワーマージンを確保
できるとともに、カップリング効率としても十分な範囲
とできる。即ちクロスライト特性とカップリング効率の
両方の条件を満たすことができる。
【0094】なお、ここでは図8のようなコリメータレ
ンズ202を有する光ピックアップ53として説明した
が、光ピックアップ53としてコリメータレンズ202
を有しないタイプも考えられる。そのような光ピックア
ップの場合は、レーザダイオードと対物レンズの距離を
変化させることでフィリングコンディションA/Wを可
変できるため、レーザダイオードと対物レンズの距離を
所定長に設定して半径方向のフィリングコンディション
A/Wを0.8〜0.6の範囲内とすればよい。
【0095】以上、本発明の実施の形態を説明してきた
が、本発明はこれらに限定されず、各種の変形例が考え
られる。ディスクドライブ装置の構成としては、図4,
図5の構成に限られないし、装置形態もビデオカメラ内
蔵型に限られず多様に考えられる。光ピックアップ53
の構成も、図8のようなタイプに限られないことは言う
までもない。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、デ
ィスク記録媒体上に形成されたランド及びグルーブが記
録トラックとされ、該記録トラックのトラックピッチが
0.75μm以下であり、さらにトラック線方向の記録
密度を磁気超解像を用いて高密度化したディスク記録媒
体に対応するディスクドライブ装置に搭載される光ピッ
クアップにおいて、レーザ波長は650nm±30n
m、開口数NA=0.52とされるとともに、レーザビ
ーム整形素子を用いずに、ディスク記録媒体の半径方向
に相当するフィリングコンディションA/Wが0.6〜
0.8の間とされているようにしている。フィリングコ
ンディションA/Wを0.6〜0.8の間とすること
は、レーザ光源とコリメータレンズの距離、もしくはレ
ーザ光源と対物レンズの距離の設定により行う。このよ
うな本発明の場合、レーザビーム整形素子を用いずにク
ロスライト特性を改善でき、コストアップを伴わないで
十分なレーザパワーのパワーマージンを確保できるとと
もに、レーザ波長やNAを変更してスポットサイズを小
さくするものではないため、従前のディスクに対する互
換性を維持し、更に光学素子の変更によるコストアップ
を招かないという効果がある。そのうえ、半径方向のフ
ィリングコンディションA/Wを0.6〜0.8の間と
することは、カップリング効率としても十分な範囲とな
るため、結局、コストアップもなく、互換性も維持した
上で、クロスライト特性とカップリング効率の両方の条
件を満たすことができ、高密度ディスクに対応する光ピ
ックアップとして好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に用いられるディスクの説
明図である。
【図2】実施の形態に用いられるディスクのトラック構
造の説明図である。
【図3】実施の形態に用いられるMD3のトラックの説
明図である。
【図4】実施の形態のディスクドライブ装置を有するビ
デオカメラのブロック図である。
【図5】実施の形態のディスクドライブ装置のブロック
図である。
【図6】実施の形態のフィリングコンディション好適範
囲の説明図である。
【図7】実施の形態のパワーマージンの説明図である。
【図8】光ピックアップの構成例の説明図である。
【図9】半導体レーザからのレーザスポットの説明図で
ある。
【図10】レーザ強度分布と対物レンズアパーチャの関
係の説明図である。
【図11】フィリングコンディションA/Wの説明図で
ある。
【図12】フィリングコンディションA/W=0.95
の場合のパワーマージンの説明図である。
【図13】アナモルフィックプリズムを用いた光ピック
アップの構成例の説明図である。
【図14】アナモルフィックプリズムを用いた光ピック
アップによるパワーマージンの説明図である。
【符号の説明】
1 レンズブロック、2 カメラブロック、3 ビデオ
信号処理部、4 メディアドライブ部、5 デッキ部、
6 表示/画像/音声入出力部、6A 表示部、7 操
作部、8 外部インターフェイス、9 電源ブロック、
11 光学系、12 モータ部、22 サンプルホール
ド/AGC回路、23 A/Dコンバータ、24 タイ
ミングジェネレータ、25 カメラコントローラ、31
データ処理/システムコントロール回路、32 バッ
ファメモリ、33 ビデオ信号処理回路、34 メモ
リ、35 動き検出回路、36 メモリ、37 音声圧
縮エンコーダ/デコーダ、38 ビデオコントローラ、
41 MD3エンコーダ/デコーダ、42 バッファメ
モリ、43 A/D変換器、44 RF信号処理回路、
45 サーボ回路、46 ドライバコントローラ、51
ディスク、52 スピンドルモータ、53 光ピック
アップ、54 磁気ヘッド、55 スレッドモータ、6
1 ビデオD/Aコンバータ、62 表示コントロー
ラ、63 コンポジット信号処理回路、64 A/Dコ
ンバータ、65 D/Aコンバータ、66アンプ、10
1 RFアンプ、103 AGC/クランプ回路、10
4 イコライザ/PLL回路、105 ビタビデコー
ダ、106 RLL(1,7)復調回路、107 マト
リクスアンプ、108 ADIPバンドパスフィルタ、
110 ADIPデコーダ、111 CLVプロセッ
サ、112 サーボプロセッサ、113 サーボドライ
バ、114 データバス、115 スクランブル/ED
Cエンコード回路、116 ECC処理回路、117
デスクランブル/EDCデコード回路、118 RLL
(1,7)変調回路、119 磁気ヘッド駆動回路、1
20 レーザドライバ、121 転送クロック発生回
路、201 レーザダイオード、202 コリメータレ
ンズ、205 対物レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D075 AA03 CC11 CD10 CD17 CD20 EE03 FG18 5D090 AA01 BB10 CC01 CC04 CC14 EE01 FF11 FF15 GG10 5D119 AA11 AA22 AA41 AA43 BA01 DA01 DA05 FA02 JA02 JA43 JB02 LB05 LB11 NA02 5D789 AA11 AA22 AA41 AA43 BA01 DA01 DA05 FA02 JA02 JA43 JB02 LB05 LB11 NA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク記録媒体上に形成されたランド
    及びグルーブが記録トラックとされ、該記録トラックの
    トラックピッチが0.75μm以下であり、さらにトラ
    ック線方向の記録密度を磁気超解像を用いて高密度化し
    たディスク記録媒体に対応するディスクドライブ装置に
    搭載される光ピックアップにおいて、 レーザ波長は650nm±30nm、開口数NA=0.
    52とされるとともに、レーザビーム整形素子を用いず
    に、ディスク記録媒体の半径方向に相当するフィリング
    コンディションA/Wが0.6〜0.8の間とされてい
    ることを特徴とする光ピックアップ。
  2. 【請求項2】 ディスク記録媒体上に形成されたランド
    及びグルーブが記録トラックとされ、該記録トラックの
    トラックピッチが0.75μm以下であり、さらにトラ
    ック線方向の記録密度を磁気超解像を用いて高密度化し
    たディスク記録媒体に対応するディスクドライブ装置に
    おいて、 レーザ波長は650nm±30nm、開口数NA=0.
    52とされるとともに、レーザビーム整形素子を用いず
    に、ディスク記録媒体の半径方向に相当するフィリング
    コンディションA/Wが0.6〜0.8の間とされた光
    ピックアップを有することを特徴とするディスクドライ
    ブ装置。
  3. 【請求項3】 ディスク記録媒体上に形成されたランド
    及びグルーブが記録トラックとされ、該記録トラックの
    トラックピッチが0.75μm以下であり、さらにトラ
    ック線方向の記録密度を磁気超解像を用いて高密度化し
    たディスク記録媒体に対応するディスクドライブ装置に
    搭載される光ピックアップの製造方法として、 レーザ波長は650nm±30nm、開口数NA=0.
    52とされるとともに、レーザ光源とコリメータレンズ
    の距離、もしくはレーザ光源と対物レンズの距離の設定
    により、レーザビーム整形素子を用いずにディスク記録
    媒体の半径方向に相当するフィリングコンディションA
    /Wを0.6〜0.8の間とすることを特徴とする光ピ
    ックアップの製造方法。
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